説明

オイルストレーナ

【課題】濾過室を流れるオイルを整流して通油抵抗を低減させることができる軽量、小型且つ安価なオイルストレーナを提供する。
【解決手段】本ストレーナ1は、オイル流入部3を有する下部ケース2と、前記下部ケースとの間で濾過室4を形成し且つオイル流出部6を有する上部ケース5と、前記下部ケース及び前記上部ケースの間に挟持されて前記濾過室内に配設されるメッシュ状の濾過材7と、を備え、前記オイル流入部の根元側の流入口3a及び前記オイル流出部の根元側の流出口6aの前記濾過材へのそれぞれの投影面の位置はずれており、前記濾過材の網の目7aは、前記オイル流入部の根元側の流入口の重心G1と前記オイル流出部の根元側の流出口の重心G2とを結ぶオイル流動方向Aに沿う整流面(縦面8)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルストレーナに関し、さらに詳しくは、濾過室を流れるオイルを整流して通油抵抗を低減させることができる軽量、小型且つ安価なオイルストレーナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、オイルストレーナとして、オイル流入部を有する下部ケースとオイル流出部を有する上部ケースとの間にメッシュ状の濾過材を挟持してなるものが一般に知られている(例えば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、第1及び第2半体(下部及び上部ケース)の各底壁の中央部に、オイルを整流するための板状リブをそれぞれ設けてなるオイルストレーナが開示されている(特許文献1の〔0008〕、図1及び図2等参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−322408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1では、第1及び第2半体に板状リブをそれぞれ設けているため、第1及び第2半体、ひいてはオイルストレーナの重量が重くなる。また、材料コストが高くなる。さらに、濾過室内に所定の容積を確保するために、板状リブの設置分だけ濾過室内の容積を大きくする必要があり、オイルストレーナが大型化してしまうといった問題がある。特に、オイルストレーナとして濾過室の容積が比較的大きなものを採用する場合、十分な整流効果を発揮させるために多数のリブを設ける必要があり、上述の問題等が顕著なものとなってしまう。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、濾過室を流れるオイルを整流して通油抵抗を低減させることができる軽量、小型且つ安価なオイルストレーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.オイル流入部を有する下部ケースと、
前記下部ケースとの間で濾過室を形成し且つオイル流出部を有する上部ケースと、
前記下部ケース及び前記上部ケースの間に挟持されて前記濾過室内に配設されるメッシュ状の濾過材と、を備え、
前記オイル流入部の根元側の流入口及び前記オイル流出部の根元側の流出口の前記濾過材へのそれぞれの投影面の位置はずれており、
前記濾過材の網の目は、前記オイル流入部の根元側の流入口の重心(G1)と前記オイル流出部の根元側の流出口の重心(G2)とを結ぶオイル流動方向(A)に沿う整流面を有していることを特徴とするオイルストレーナ。
2.前記濾過材はエキスパンドメタルからなり、前記濾過材の網の目は、前記整流面である縦面及び該縦面に交差する横面を有する整流壁により形成されている上記1.記載のオイルストレーナ。
【発明の効果】
【0007】
本発明のオイルストレーナによると、オイル流入部から濾過室内に流入されるオイルは、濾過材により濾過されると共に、濾過材の網の目を構成する整流面により整流されてオイル流出部に導かれる。これにより、濾過室内の通油抵抗を低減させることができる。また、従来のようにケース側に板状リブを設けるものに比べて、オイルストレーナの重量及び材料コストを低減でき、また小型化を図ることができる。さらに、オイルストレーナとして濾過室の容積が比較的大きなものを採用する場合であっても、濾過室内に流入される全オイルが濾過材を通過する際に整流されるため、全オイルに対して満遍なく整流効果を付与することができる。
さらに、前記濾過材がエキスパンドメタルからなり、前記濾過材の網の目が、前記整流面である縦面及び該縦面に交差する横面を有する整流壁により形成されている場合は、整流機能を持つ濾過材を容易に作製でき、オイルストレーナをより安価なものにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
1.オイルストレーナ
本実施形態1.に係るオイルストレーナは、以下に述べる下部ケース、上部ケース及び濾過材を備えている。
上記オイルストレーナの用途としては、例えば、内燃機関又は一般機械(例えば、建設機械、工作機械等)で使用される各種オイルを濾過する形態等を挙げることができる。
【0009】
上記「下部ケース」は、オイル流入部を有する限り、その構成、形状、材質等は特に問わない。この下部ケースの材質としては、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス等の金属、ポリエチレン、ポリスチレンテレフタレート、ポリアミド、ナイロン等の樹脂などを挙げることができる。また、この下部ケースの形状としては、例えば、ケース状、皿状、椀状、平板状等を挙げることができる。また、上記オイル流入部としては、例えば、外方に膨らむ膨出部である形態、管状部である形態、流入口のみを有する部位である形態等を挙げることができる。
【0010】
上記「上部ケース」は、下部ケースとの間で濾過室を形成し且つオイル流出部を有する限り、その構成、形状、材質等は特に問わない。この下部ケースの材質としては、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス等の金属、ポリエチレン、ポリスチレンテレフタレート、ポリアミド、ナイロン等の樹脂などを挙げることができる。また、この下部ケースの形状としては、例えば、ケース状、皿状、椀状、平板状等を挙げることができる。また、上記オイル流出部としては、例えば、管状部である形態、外方に膨らむ膨出部である形態、流出口のみを有する部位である形態等を挙げることができる。
なお、上記下部及び上部ケースは、通常、適宜接合手段(例えば、溶着、接着、溶接、ネジ止め、カシメ付け等)により一体化されている。
【0011】
上記「濾過材」は、上記下部及び上部ケースの間に挟持されて濾過室内に配設されるメッシュ状のものである限り、その構成、形状、材質等は特に問わない。この濾過材の材質としては、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス等の金属、ポリエチレン、ポリスチレンテレフタレート、ポリアミド、ナイロン等の樹脂などを挙げることができる。これらのうち、濾過材の強度性といった観点から、金属であることが好ましい。また、この濾過材の形状としては、例えば、平板状、ひだ折り状、波板状、重ね折り状等を挙げることができる。これらのうち、加工性といった観点から、平板状であることが好ましい。また、この濾過材の網の目の大きさは、例えば、17〜23メッシュ(好ましくは19〜21メッシュ)であることができる。これにより、特に内燃機関のエンジンオイル中に含まれる異物を好適に除去することができる。
【0012】
上記オイル流入部の根元側の流入口及びオイル流出部の根元側の流出口の濾過材へのそれぞれの投影面の位置はずれている。このオイル流入部の根元側の流入口としては、例えば、オイル流入部が連なる下部ケースの壁面(例えば、底壁面、側壁面等)に沿う平面上の流入口等を挙げることができる。また、オイル流出部の根元側の流出口としては、例えば、オイル流出部が連なる上部ケースの壁面(例えば、底壁面、側壁面等)に沿う平面上の流出口等を挙げることができる。
ここで、例えば、上記下部及び上部ケースは長尺状に形成されており、上記オイル流入部が下部ケースの長尺方向の一端側に設けられており、上記オイル流出部が上部ケースの長尺方向の一端側であり且つオイル流入部と反対側に設けられていることができる。これにより、濾過室の容積を比較的大きなものにして濾過能力を高めることができる。
なお、上記「投影面」とは、濾過材の平面方向に直交する方向に投影される面を意図する。また、上記「それぞれの投影面の位置はずれて」とは、各投影面の全領域が重ならない状態の他に、各投影面の一部領域が重なり且つ各投影面の重心がずれている状態も含むことを意図する。また、上記「根元側」とは、ケースの壁面に連なる基部側を意図する。
【0013】
上記濾過材の網の目は、上記オイル流入部の根元側の流入口の重心(G1)と上記オイル流出部の根元側の流出口の重心(G2)とを結ぶオイル流動方向(A)に沿う整流面を有している(図2及び図4参照)。この整流面は、通常、濾過材の平面方向(S)に対して所定角度(a1)で傾斜している(図4参照)。この傾斜角度(a1)としては、例えば、15〜75度(好ましくは30〜60度)等を挙げることができる。また、この整流面の平面形状としては、例えば、平面、湾曲面、屈曲面等を挙げることができる。
なお、上記「オイル流動方向(A)に沿う整流面」とは、オイル流動方向(A)に略一致する方向に延びる整流面の他に、整流機能を発揮し得る限りにおいて、オイル流動方向(A)に対して所定角度(a2)で傾斜して延びる整流面も含むことを意図する(図4参照)。この傾斜角度(a2)としては、例えば、同方向に45度(好ましくは30度)以内の角度等を挙げることができる。
【0014】
ここで、上記濾過材は、例えば、エキスパンドメタルからなり、この濾過材の網の目は、整流面である縦面及びこの縦面に交差する横面を有する整流壁により形成されていることができる。このエキスパンドメタルは、通常、金属製の板材に千鳥状に切れ目を入れると共に、その切れ目を押し広げて多数の網の目を形成して構成されている。また、濾過材の網の目の孔形状としては、例えば、多角形(菱形、亀甲形、矩形等)、円形(真円形、楕円形等)、異形等を挙げることができる。
【0015】
上述のように上記濾過材がエキスパンドメタルからなる場合、上記整流壁の縦面の縦長さ(L)は、例えば、0.5〜1.1mm(好ましくは0.7〜0.9mm)であることができる(図5参照)。これにより、整流壁の整流効果を高め得ると共に整流壁の管路抵抗を必要最小限に抑えることができる。また、上記整流壁の横面の横長さ(W)は、例えば、0.2〜0.4mm(好ましくは0.25〜0.35mm)であることができる(図5参照)。これにより、整流壁の強度を高め得ると共に整流壁の管路抵抗を必要最小限に抑えることができる。さらに、上記縦面の縦長さ(L)と横面の横長さ(W)との比(L/W)は、例えば、1.5〜3.5(好ましくは2.0〜3.0)であることができる。これにより、整流壁の整流効果及び強度を高め得ると共に、整流壁による管路抵抗を必要最小限に抑えることができる。
【0016】
上述のように上記濾過材がエキスパンドメタルからなる場合、例えば、上記エキスパンドメタルからなる濾過材にはその周縁端を折り曲げてなる曲折部が設けられ、この濾過材の曲折部の内側の周縁部は、樹脂製の下部ケース及び上部ケースの突合せ端部の溶着面の間に振動溶着により取り付けられ、この濾過材の曲折部は、下部ケース及び上部ケースの突合せ端部の間に形成される収納空間内に収納されていることができる(図7参照)。これにより、振動溶着の際に濾過材の周縁の切断端がケースの壁面に直接接触してバリ等の異物を大量に発生させてしまうことを抑制することができる。さらに、たて糸及びよこ糸を組んだ金網からなる濾過材に比べて、濾過材の網の目への樹脂回りがよく、濾過材を強固に固定できると共に溶着バリ等の異物の発生をより確実に抑制することができる。
【実施例】
【0017】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。
なお、本実施例では、本発明に係る「オイルストレーナ」として、内燃機関のエンジンオイルを濾過するオイルストレーナを例示する。
【0018】
(1)オイルストレーナの構成
本実施例に係るオイルストレーナ1は、図1及び図2に示すように、オイル流入部3を有する樹脂製でケース状の下部ケース2と、オイル流出部6を有する樹脂製でケース状の上部ケース5と、これら下部ケース2及び上部ケース5の間に挟持されて濾過室4内に配設される平板メッシュ状の濾過材7と、を備えている。
なお、上記オイルストレーナ1は、オイルパン(図示省略)内のエンジンオイル中にその一部が浸漬するように斜めに配設され、オイル流出部6に接続されるポンプ(図示省略)の作用でオイルパン内のエンジンオイルがオイル流入部3を介してオイルストレーナ1に流入されるようになっている。
【0019】
上記下部及び上部ケース2,5は、長尺状に形成されている。この下部ケース2の長尺方向の一端側には、外方に膨らむ膨出状の上記オイル流入部3が設けられている。このオイル流入部3は、下部ケース2の底壁面2aに沿う平面上の流入口3a(本発明に係る「オイル流入部の根元側の流入口」として例示する。)を有している。また、上部ケース5の長尺方向の一端側であり且つオイル流入部3と反対側には、管状のオイル流出部6が設けられている。このオイル流出部6は、上部ケース5の底壁面5aに沿う平面上の流出口6a(本発明に係る「オイル流出部の根元側の流出口」として例示する。)を有している。これら流入口3a及び流出口6aの濾過材7へのそれぞれの投影面は重なっていない。
【0020】
上記濾過材7は、図3、図4及び図6に示すように、金属製の板材に千鳥状に切れ目を入れると共に、その切れ目を押し広げて多数の菱形状の網の目7aを形成してなるエキスパンドメタルから構成されている。この濾過材7の各網の目7aは、平面状の縦面8(本発明に係る「整流面」として例示する。)と、この縦面8に略直交する平面状の横面9とを有する縦断面略矩形状の整流壁10により形成されている。この縦面8は、上記流入口3aの重心G1と上記流出口6aの重心G2とを結ぶオイル流動方向A(図1参照)に沿っている。即ち、この縦面8は、オイル流動方向Aに対して所定角度a2(例えば、約8度)で傾斜して延びている。また、この縦面8は、濾過材7の平面方向Sに対して所定角度a1(例えば、約30度)で傾斜して延びている。
なお、本実施例では、上記濾過材7の網の目7aの大きさは、エンジンオイル中に含まれる比較的大きな異物を好適に除去し得るように20メッシュに設定されている。また、上記整流壁10は、図5に示すように、その縦面8の縦長さLが約0.8mmに設定され、その横面9の横長さWが約0.3mmに設定されている。従って、これら縦面8の縦長さLと横面9の横長さWとの比(L/W)は2.66とされている。
【0021】
上記濾過材7には、図7に示すように、その周縁端を折り曲げて重ねられた曲折部12が設けられている。この濾過材7の曲折部12の内側の周縁部は、下部及び上部ケース2,5の突合せ端部13,14の溶着面13a,14aの間に振動溶着により取り付けられている。また、この濾過材7の曲折部12は、下部及び上部ケース2,5の突合せ端部13,14の間に形成される収納空間15内に収納されている。
【0022】
(2)オイルストレーナの作用
次に、上記構成のオイルストレーナ1の作用について説明する。
オイル流入部3から濾過室4内に流入されるエンジンオイルは、濾過材7により濾過されてオイル中に含まれる比較的大きな異物が除去される。このとき、濾過材7の網の目7aを通るオイルは、整流壁10によりオイル流動方向Aに整流される(図2及び図6中に破線矢印で示す。)。そして、その濾過後のオイルは、オイル流出部6に導かれた後、図示しないオイルフィルタに送られて比較的小さな異物が除去される。
【0023】
(3)実施例の効果
以上より、本実施例では、濾過材7の網の目7aを、オイル流動方向Aに沿う整流面(縦面8)により構成したので、オイル流入部3から流入されるオイルを、濾過材7で濾過すると共に整流面で整流してオイル流出部6に導くことができる。これにより、濾過室7内の通油抵抗を低減させることができる。また、従来のようにケース側に板状リブを設けるものに比べて、オイルストレーナ1の重量及び材料コストを低減でき、また小型化を図ることができる。さらに、オイルストレーナ1として濾過室の容積が比較的大きなものを採用する場合であっても、濾過室7内に流入される全オイルが濾過材7を通過する際に整流されるため、全オイルに対して満遍なく整流効果を付与することができる。特に、本実施例では、整流壁10の縦面8を、オイル流動方向Aに対して約22度で傾斜するようにしたので、濾過材7を通過する全オイルに対してより満遍なく整流効果を付与することができる。
【0024】
また、本実施例では、濾過材7をエキスパンドメタルから構成し、濾過材7の網の目7aを、整流面である縦面8及び縦面8に交差する横面9を有する整流壁10により形成したので、整流機能を持つ濾過材7を容易に作製でき、オイルストレーナ1をより安価なものにできる。
【0025】
また、本実施例では、整流壁10の縦面8の縦長さLを約0.8mmに設定し、整流壁10の横面9の横長さWを約0.3mmに設定し、この縦面8の縦長さLと横面9の横長さWとの比(L/W)を2.66としたので、整流壁10の整流効果及び強度を高め得ると共に、整流壁10による管路抵抗を必要最小限に抑えることができる。
【0026】
さらに、本実施例では、濾過材7にその周縁端を折り曲げてなる曲折部12を設け、この曲折部12の内側の周縁部を、下部及び上部ケース2,5の突合せ端部13,14の溶着面13a,14aの間に振動溶着により取り付け、この曲折部12を、下部及び上部ケース2,5の突合せ端部13,14の間に形成される収納空間15内に収納するようにしたので、振動溶着の際に濾過材7の周縁の切断端がケース2,5の壁面に直接接触してバリ等の異物を大量に発生させてしまうことを抑制することができる。さらに、たて糸及びよこ糸を組んだ金網からなる濾過材に比べて、整流壁10への樹脂回りがよく、濾過材7を強固に固定できると共に溶着バリ等の異物の発生をより確実に抑制することができる。
【0027】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、濾過材7をエキスパンドメタルから構成するようにしたが、これに限定されず、例えば、図8に示すように、オイル流動方向Aに沿う整流壁10を有する樹脂製でメッシュ状の濾過材7’を採用してもよい。この場合、例えば、濾過材にその周縁側を支持する支持枠を設けたり、濾過材の平面方向に沿って補強用のリブを設けたりすることが好ましい。
【0028】
また、上記実施例では、その縦断面形状が略矩形状の整流壁10を例示したが、これに限定されず、例えば、その縦断面形状が略台形状、略逆三角形状、略ひれ状等の整流壁としてもよい。
【0029】
また、上記実施例では、濾過材7の網の目7aを一様な整流壁10から形成するようにしたが、これに限定されず、例えば、異なる形状、大きさ等の複数種の整流壁から濾過材7の網の目7aを形成するようにしてもよい。この場合、例えば、オイル流入部3側の濾過材7の網の目7aを傾斜角度a1の比較的大きな縦面8を有する整流壁10から形成する一方、オイル流出部6側の濾過材7の網の目7aを傾斜角度a1の比較的小さな縦面8を有する整流壁10から形成することができる。これにより、オイル流入部3側で勢いよく流れるオイル、及びオイル流出部6側でやや緩やかに流れるオイルをより好適に整流することができる。
【0030】
また、上記実施例では、オイル流入部3の根元側の流入口3aとして、オイル流入部3が連なる下部ケース2の底壁面2aに沿う平面上の流入口3aを例示したが、これに限定されず、例えば、オイル流入部が下部ケースの側壁面2b(即ち、底壁面2aから立ち上がる壁面;図2参照)の側に主に接続されている場合には、オイル流入部3が連なる下部ケースの側壁面2bに沿う平面上の流入口としてもよい。また、上記実施例では、オイル流出部6の根元側の流出口6aとして、オイル流出部6が連なる上部ケース5の底壁面5aに沿う平面上の流出口6aを例示したが、これに限定されず、例えば、オイル流出部6が上部ケース5の側壁面5b(即ち、底壁面5aから立ち上がる壁面;図2参照)の側に主に接続されている場合には、オイル流出部6が連なる上部ケース5の側壁面5bに沿う平面上の流出口としてもよい。
【0031】
さらに、上記実施例では、濾過材7の周縁端を折り重ねられた曲折部12を例示したが、これに限定されず、例えば、濾過材7の周縁端を略直角に折り曲げてなる曲折部としてもよい。また、濾過材7の周縁端の全周囲にわたって曲折部12を設けてもよいし、濾過材7の周縁端の周囲の所定部位に曲折部12を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
オイル中の異物を除去する技術として広く利用される。特に、車両等の内燃機関のエンジンオイル中の異物を除去する技術として好適に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施例に係るオイルストレーナの分解斜視図である。
【図2】オイルストレーナの縦断面図である。
【図3】濾過材の要部平面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図4の要部拡大図である。
【図6】濾過材の斜視図である。
【図7】濾過材の取付け状態を説明するための説明図である。
【図8】その他の形態の濾過材を説明するための縦断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1;オイルストレーナ、2;下部ケース、3;オイル流入部、3a;流入口、4;濾過室、5;上部ケース、6;オイル流出部、6a;流出口、7,7’;濾過材、7a;網の目、8;縦面、9;横面、10;整流壁、A;オイル流動方向、G1;流入口の重心、G2;流出口の重心。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイル流入部を有する下部ケースと、
前記下部ケースとの間で濾過室を形成し且つオイル流出部を有する上部ケースと、
前記下部ケース及び前記上部ケースの間に挟持されて前記濾過室内に配設されるメッシュ状の濾過材と、を備え、
前記オイル流入部の根元側の流入口及び前記オイル流出部の根元側の流出口の前記濾過材へのそれぞれの投影面の位置はずれており、
前記濾過材の網の目は、前記オイル流入部の根元側の流入口の重心(G1)と前記オイル流出部の根元側の流出口の重心(G2)とを結ぶオイル流動方向(A)に沿う整流面を有していることを特徴とするオイルストレーナ。
【請求項2】
前記濾過材はエキスパンドメタルからなり、前記濾過材の網の目は、前記整流面である縦面及び該縦面に交差する横面を有する整流壁により形成されている請求項1記載のオイルストレーナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−247946(P2009−247946A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96630(P2008−96630)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】