説明

オイル流出封入装置及び方法

【課題】オイル封入容器からのオイル流出または漏れを封入するオイル流出封入システム
【解決手段】実施形態において、オイル流出封入システムは、複数のセルを規定するジオシンセティック材料と、ジオシンセティック材料に受け入れられるオイル吸収材料とオイル吸着材料を備えている。このシステムは、雨または雪解水をシステムに浸透させる際にオイル封入容器からのオイル流出、または漏れを封入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイル流出封入システム、詳細にはオイル封入機材からのオイルの流出または漏れを封入する装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電源トランス、コンデンサ、ブレイカーやスイッチは、電気公共施設にて幅広く使用されている電気的な構成部材である。乾式、又はガス充填式の入ったトランスといった著名なものを除いて、これらの電気的な構成部材は、一般的に絶縁オイルを封入している。電気システムの大きさによって、一部のトランスは、数万リットルのオイルを封入している。送電や配電システムの構成部材として、このような電気的な構成部材は、変電所の区域内に配置されるか、遠隔地にて設置されているか、またはユーザ側または設備内に配置されている。
【0003】
綿密な設計や運用メンテナンス計画であるにも関わらず、これら電気的な構成部材に事故が発生してしまう。突発的な事故は、結果として何千リットルものオイルを流出させ、環境に重大な損害を与えてしまう。事故の種類や特別な事情によって、オイル流出は、オイルやもしかしたら機材に火をつけてしまうかもしれない。例え電気的な構成部材の運用年数以内に突発的な事故が起こらなくても、能力の過負荷や環境状況の循環は多くの場合、電気的な構成部材に長期にわたりオイル漏れを生じさせることとなる。ユーザに確実な電気供給を維持することはコストがかかり、且つ必要なことであるがこれらの漏れはめったに修繕されない。そのうえ長期にわたる漏れは、環境に長期にわたって損害を与えてしまうかもしれない。オイルの量の大小にかかわらず、唐突に電気的な構成部材の事故が起これば、長期にわたって漏れているオイルの連続的な流れは、運河、または地下の水質汚濁を生じさせる地下水面に流れることになるかもしれない。
【0004】
環境規則、環境グループの関心事、大幅に急増するオイルの汚染修復のコストや本質的な環境政策は、オイル流出の問題に取り組み、新しい問題解決手段を追求する多くのカンパニーを駆り立てる多くの要因であり、突発的なオイル漏れに対して現在の管理方法には不備がある。しかしながら有効なオプションには限界があり、有効なテクノロジーは一般的に法外なコストがかかり、及び/または十分な保護を提供することができない。
【0005】
電気的な構成部材からのオイル流出、または漏れを封じ込みする公知の方法は、保護機材の下及び/または周辺にコンクリート製封じ込めエリア(concreat containment area)を用いている。通常この封じ込めエリアは、機材から漏れている、または流出しているオイルから、封じ込めエリアに集まった降雨や雪解水を分離するために使用されている水/オイル分離板と共に構築している。この方法の欠点は、集中した資本コストとオイル封入システムを効果的に維持するために著しい保守労力を必要とすることである。
【0006】
他の方法は、コンクリート製封じ込めエリア内に不浸透性の膜を使用している。壊滅的な破損が起こった時に、電気的な機材内の一部、または全てのオイルを回収するのに十分な容量を有する封じ込めエリアを設置するために、膜は、コンクリート製の囲い、または他の障壁システムによって支えられている。
【0007】
この方法は、信頼できない、効果の薄い、といった複数の欠点を有している。第1に、太陽光が、膜の長期間の耐久性、ひび割れの作成、本来のオイルの耐久特性の変化に影響を及ぼしてしまう。第2に降雨や雪解水は、危険な状態になった封じ込めエリアに集まってしまう。第3に封入システム周辺のケーブルや機材に基づく他の隆起による困難な密閉は、オイル漏れや不都合な封じ込めを引き起こしてしまう。第4にオイルが燃えることによって生じる高温が保護膜を破壊してしまうかもしれない。従って従来技術の欠点を鑑みて、オイル封入機材からのオイル流出と長期にわたるオイル漏れを封入し、費用効率が良く、信頼性のある装置を提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来技術における1つ以上の不利点を未然に防ぎ、または緩和するオイル流出封入システムとオイル保持トレイを提供する。1つの実施形態において、本発明は、システムによって回収されて、流出または漏れたオイルの火を消す、鎮圧する、封入するオイル流出封入システム機構を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の側面に従うと、オイル吸収材料の層と、オイル吸収材料の層をカバーするオイル吸着材料の層と、を具備するオイル封入容器からのオイル流出または漏れを封入するオイル流出封入システム提供する。
【0010】
本発明の他の側面に従うと、複数のセルを規定する支持構造物と、支持構造物のセルに受け入れられるオイル吸収材料と、を具備するオイル封入容器からのオイル流出または漏れを封入するオイル流出封入システムを提供する。
【0011】
本発明のさらに他の側面に従うと、複数のセルを規定するジオシンセティック材料を具備し、このジオシンセティック材料は、ジオシンセティック材料のセルに受け入れられるオイル吸収材料と、ジオシンセティック材料のセルに受け入れられるオイル吸着材料と、ジオシンセティック材料をカバーし、オイルや水を浸透させるジオテキスタイル繊維と、を有するオイル封入容器からのオイル流出または漏れを封入するオイル流出封入システムを提供する。
【0012】
本発明のまたさらに他の側面に従うと、メッシュの底面を有し、上面が開口している細長いトレイと、メッシュの底面に受け入れられるオイル吸収材料の層と、オイル吸収材料の層をカバーするオイル吸着材料の層と、を具備するオイル封入容器からのオイル流出または漏れを封入するオイル保持トレイを提供する。
【0013】
本発明のまたさらに他の側面に従うと、オイル封入容器からのオイル流出または漏れを封入するオイル流出封入システムを整備する方法を提供し、オイル封入容器の下及び周りにある封入ベイスン(basin)に受け入れられるオイル流出封入システムにおいて、本方法は、封入ベイスンの中にオイル吸収材料の層を形成し、オイル吸着材料の層と共に前記オイル吸収材をカバーするステップを具備する。
【0014】
本発明の他の側面や特徴は、後述する本発明の特定の実施形態と添付している参照図において、技術的に明らかである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、従来技術における1つ以上の不利点を未然に防ぎ、または緩和するオイル流出封入システムとオイル保持トレイを提供する。1つの実施形態において、本発明は、システムによって集められて、流出または漏れたオイルの火を消す、鎮圧する、封入するオイル流出封入システム機構を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
添付した図面は、本発明の実施形態の一例としての参照するためのものである。
【0017】
異なる図において、類似した構成部材については同一符合を付してある。
【0018】
第1に参照する図1は、本発明に関して構成されたオイル流出封入システム10の第1の実施形態について示している。システム10は、上方部12と下方部14を備えている。システム10は、封入ベイスン(containment basin)16の中に受け入れられている。第1の実施形態において、封入ベイスン16は、トランスといったオイル封入機材の周辺及び/または下に封じ込めエリアを形成するコンクリート製の隔壁を備えている。下方部14は、砂層18と、オイル吸収コポリマー24といったオイル吸収材料、オイルと水を浸透させる膜または繊維20と、複数の区画、またはセル23を規定する支持構造物22を有するオイル吸着層と、を備えている。オイル吸着材料26は、支持構造物22(図2)のセル23に受け入れられる。
【0019】
砂層18は、封入ベイスン16の土台に敷設されている。砂層18は、封入ベイスン16の土台から水を排水させることに役立ち、基盤を平坦にするようにアシストする。必要に応じて、砂よりも他の骨材を配置して、オイル流出封入システム10から水を排水させてもよい。オイルと水を浸透させる膜20は、砂層18よりも上方に位置しており、支持構造物22の端を取り囲んでいる。本実施形態において、膜20は、下方部14に対して構成、支持され、編まれたジオテキスタイルである。実施形態によって、膜20は、ポリプロピレンジオテキスタイルといった丈夫な材料にて構成されており、生物的劣化に対して耐久性があり、必然的に化学物質、アルカリ性や酸性に反応する。膜20に適したジオテキスタイルの例として、テンケイトニコルソン(ペンデルグラス,ジョージア州,アメリカ)((Ten Cate Nicolon (Pendergrass,GA,USA))によって提供されるミラフィー(Mirafi)(登録商標)600Xがある。
【0020】
支持構造物22は、オイル吸着材料26を受け入れる複数のセル23を規定する。実施形態によって、吸収材料24は、切り離された層として設置されるわけではないが、しかしセル23の底面に受け入れられている。実施形態によって、支持構造物22は、ジオシンセティク材料として構成される。ジオシンセティック材料は、例えばジオメンブレン、ジオテキスタイル、ジオネットとジオグリッドといった地質工学に使用されている人工材料である。本実施形態において、支持構造物22は、例えばプレストプロダクトカンパニー(アプレットン,ウィスコン州,アメリカ)((Presto Product Company (Appleton,WI,USA))によって提供されるゲオウェブ(Geoweb)(登録商標)といったジオシンセティック細胞制限システムを備えている。この実施形態において、オイル吸収材料24やオイル吸着材料26は、支持構造物22のセル23に受け入れられる。実施形態によって、オイル吸収材料24は、オイルを吸収する性質を有する顆粒状のポリマーである。好適には、オイル吸収材料24は、水には影響されない、または最小限にのみ影響される。さらに好適には、オイル吸収材料24は、疎水性であり、且つ水をはじくことである。本実施形態において、オイル吸収材料24は、CHEMTEXからのコポリマーを包んでいる炭化水素を備え、オイル吸着材料26は、ゾビットテクノロジー社(ミシンガン、オンタリオ)((Zorbit Technologies Inc(Mississauga、Ontario)から提供されているピートソーブ(Peat Sorb)(登録商標)を備えている。CHEMTEXのコポリマーは、水には影響せずに、水から離れた有機的な炭化水素を濾過して磨き上げることができ、システム10に浸入して通り抜ける降雨や雪解水を溶かすことができる。CHEMTEXのコポリマーは、炭化水素が合成していることで特によく働くことになる。オイル吸収材料24やオイル吸着材料26に使用される他に適したものとして、例えばインビビティブテクノロジーカナダ社(カサリニーストリート、オンタリオ)((Imbibitive Technologies Canada Inc(St.Catharines,Ontario))から提供されているインビバービーズ(Imbiber Beads(登録商標))をオイル吸収材料24に使用してもよく、またRoxul’s DrainBoard(登録商標)ロックウールをオイル吸着材料26に使用してもよい。
【0021】
上方部12は、参照するために28a,28bを個々に示している端部28を有する不浸透性の直線部27と、砂層25と、オイルと水を浸透させる膜29と、火封入層32を備えている。
【0022】
不浸透性の直線部27は、オイル封入機材において封入された水やオイルを不浸透にする。直線部27は、封入ベイスン16の側面に沿って下方に水やオイルが漏れる、または流出することや、地下の汚染を防止するために、封じ込めエリアに広がる端部28を有する封入ベイスン16の内部に密接にはめ込まれている。砂層25は、オイルや水を浸透させる膜29の表面を平坦にするように配設されている。オイルや水を浸透させる膜29は、下方部14の膜20に類似しており、実施形態によってはテンケイトニコルソン(ペンデルグラス,ジョージア州,アメリカ)((Ten Cate Nicolon (Pendergrass,GA,USA))から提供されているミラフィー(Mirafi)(登録商標)600Xを備えている。火抑制層32は、オイル封入機材のオイルの火を抑制する、または消火することに適した材料を備えている。用途によって、オイル封入機材は、鉱油を含んでいるかもしれない。このような場合、火抑制層は、鉱油の火を抑制する、または鎮圧することを選択する。本実施形態において、火抑制層32は、石灰岩を適切に砕いた層を備えている。もし必要であれば、火を消せる石といった他に適した火抑制材料を使用しても構わない。さらに1種類以上の火抑制材料を火抑制層32に使用することができる。
【0023】
オイル流出封入システム10の一例の実施形態の構造について簡潔に記載する。オイル流出封入システム10は、トランス、またはオイル封入容器といったオイルを封入する電気的な構成部材の周辺及び/または下方の封じ込めエリアの中に設置される。オイル流出封入システム10を設置する前に、保護される機材の下方に封じ込めエリアが掘り抜かれ、封入ベイスン16は、封じ込めエリアの周辺に形成される。封入ベイスン16は、通常コンクリートで形成されている。しかしながら他に適した材料を使用しても良い。次に不浸透性の膜27は、封入ベイスン16の壁に設置されている。不浸透性の直線部27は、その際、封入ベイスン16の壁にぶら下がっている端部28を有する封入ベイスン16の上面にて折りたたまれている。
【0024】
封じ込めエリアが正確に水平且つ適切に傾いて構築されていることを確保した後、砂層18は、システム10に浸水する水の排水をアシストするために封じ込めエリアの土台に敷設される。次にオイルと水を浸透させる膜20は、砂層18をカバーするように敷設される。次のステップにおいて、オイル吸収材料24の層は、封じ込めエリアをカバーするように敷設される。不浸透性の膜27の下端28aは、オイル吸収材料24の上面の一部に配置される。次にオイルと水を浸透させる膜20は、オイル吸収材料24をカバーするように敷設される。次のステップにおいて、ジオシンセティックセル23の層を備える支持構造物22は、オイルと水を浸透させる膜20の上面に設置される。ジオシンセティックセル23は、これ以降、オイル吸着材料26で満たされる。設置されるオイル吸収材料24とオイル吸着材料26の量は、封入するオイルの総量により、すなわち共通している他の要因、例えばオイル封入機材の中のオイル量である。支持構造物22の容積は、機材の中のオイルやオイル封入システムの固体の構成部材の容積を十分に保持する。
【0025】
次のステップにおいて、不浸透性の直線部27の上端28bは、支持構造物22の上面に位置している。不浸透性の膜27の上下端28は、水が溜まることを防止するために封じ込めエリアの表面の小さい一部分をだけをカバーする。次にオイルと水を浸透させる膜29は、支持構造物22の上面に、且つ支持構造物22の不浸透性の直線部27の上端28bをカバーするように設置される。オイルと水を浸透させる膜29がオイル吸着材料34をカバーするように敷設された後。砂層25は設置される。石灰岩32の層は、システム10に対して火を抑制する性質を提供するために砂層25の上面に設置される。
【0026】
オイル吸着材料、オイル吸収材料の層と膜は、複数の構成部に設置されており、同様の結果を達成すならば異なる種類の材料を使用しても構わない。支持構造物22に使用されているオイル吸着材料は、有機的な液体を保持することができ、鉱油や他の誘電性絶縁流体を有することができるピートモスや派生物、例えばゾビットテクノロジー社(ミシンガン、オンタリオ)((Zorbit Technologies Inc(Mississauga、Ontario)によって提供されるピートソーブ(Peat Sorb)(登録商標)、フラー土、細粒炭、ロックウール、他の固体を有している。オイル吸着材料26は、システム10を通じて水を浸透させる。オイル封入システムに使用されるオイル吸収材料は、顆粒状のコポリマーであるCHEMTEX(登録商標)、インビビティブテクノロジーカナダ社(カサリニーストリート、オンタリオ)((Imbibitive Technologies Canada Inc(St.Catharines,Ontario))によって提供されるインビバービーズ(Imbiber Beads(登録商標))、有機的な液体を吸収することができ、鉱油や他の誘電性絶縁流体を有することができる他の固体を有している。オイル吸収材料24は、水に影響しない、または最小限にのみ影響し、このような有用性に依存することで、封じ込めエリアに分離層として設置でき、または支持構造物22のセル23の底面に受け入れられることができる。
【0027】
オイル流出や漏れがオイル封入機材に発生した際、オイルは、一時的にオイル吸着材料26に捕捉される。オイル吸着層は、一杯になったらオイル放出ユニットを捕らえる。封じ込めエリアを通じて放出された追加オイルは、一杯になったオイル吸着材料26を通じてオイル吸収材料24にたどり着く。オイルに触れた途端に、オイル吸収材料24は、不浸透性の膜を形成し、オイルを吸収する。封入システム10を通じて放出された追加オイルは、オイル吸収材料24とオイルの間に形成された不浸透性の膜によって保持される。
【0028】
オイル吸収材料24は、広がるオイルを吸収する際、オイルと水を不浸透させる膜が切れずに繋がっている層を形成する。実施形態によっては、オイル吸収材料24は、冒頭のボリュームを数回にわたり拡張している。オイル吸収材料24は、ほとんど放出することなく、たとえあるとしても、オイルは吸収される。コポリマーを包んでいるCHEMTEX炭化水素は、通常、圧縮、引力、荒れ模様の天気、または半分に短縮された結果として吸収された液体を放出することはない。対照的にオイル吸着材料26は、オイルを汲み上げ、もし圧縮されたならば、ゆっくりと放出する。
【0029】
もしシステムが長期間にわたって設置され、トランスが長期にわたる漏れの被害を受けているならば、オイル吸収材料24の上層は、最終的に一杯になり、不浸透性の膜が作製され、オイルまたは水を浸透させることができなくなってしまう。システム10に浸入する水やさらにオイルは、不浸透性の膜を浸透することはできず、除去されるまで表面に集まることになる。この時に、オイル吸着材料26やオイル吸収材料24は、システム10の耐用年数を延ばすように置き換えることができる。
【0030】
様々な種類のオイル流出封入システム10が公知である。実施形態によっては、オイル吸収材料24は、支持構造物22に受け入れられていない。このような場合、オイル吸収材料24は、材料の層を均一に形成するために均一に分布されており、吸収パッド、フィルターパッド、クッション、パケット、または一様に分布されているオイル吸収材料24が提供する他の形成部を有している。同様に、実施形態によっては、オイル吸着材料26は、支持構造物に受け入れられていない。しかし材料の層を均一に形成するために均一に分布されており、吸収パッド、フィルターパッド、クッション、パケット、または一様に分布されているオイル吸着材料が提供する他の形成部を有している。砂層18と25には、他に適切な砂利が存在しており、同じまたは異なった種類の砂利を備えている。
【0031】
次に参照する図3は、本発明に関して構成されたオイル流出封入システム40の第2の実施形態について示している。
【0032】
システム40は、砂層42と、オイルと水を浸透させる膜44と、吸収材料24と吸着材料26(図4)を収容する複数の構成部材、またはセル47を規定している支持構造物46と、第2のオイルと水を浸透させる繊維48と、例えば石灰岩である火抑制層50と、不浸透性の直線部52と、を備えている。オイル流出封入システム40は、封入ベイスン16、例えばオイル封入機材の周辺及び/または下方の封じ込めエリアに形成されるコンクリートベイスンに受け入れられる。
【0033】
例1
本発明に関して構成されたオイル流出封入システムの1例目の実施形態ついて説明する。本例におけるシステムは、12000リットルのVoltesso35鉱油を収容するトランスを保護している。このオイルの容量のために、長さ8.5メートル、幅8.0メートル、深さ0.6メートルを有する封じ込めエリアが、トランスの周辺及び下方にて掘り抜かれている。掘り抜かれたエリアの底面からの総高さが0.70mである支え壁を有する封入ベイスン16は、封じ込めエリアの周辺に構築されている。人工のポリマーを備えている不浸透性の直線部27は、支え壁の内側に受け入れられている。
【0034】
その際、封入ベイスン16の底面は、使用している砂部を平らにする。例えばプレストプロダクトカンパニー(アプレットン,ウィスコン州,アメリカ)((Presto Product Company (Appleton,WI,USA))によって提供されたゲオウェブ(Geoweb)(登録商標)といった0.2mの高ジオシンセティックセル層は、その際、封入ベイスン16の中に設置され、封じ込めエリアの底面をカバーする。CHEMTEX(登録商標)顆粒状のコポリマーは、高さが約0.05mの均一なオイル吸収材料の層を形成するジオシンセティックセルの内側に配置される。オイル吸収材料に加えて、ジオシンセティックセルは、ピートソーブ(Peat Sorb)(登録商標)にて充填されている。オイルや水を浸透させる膜は、その際、充填されているジオシンセティックセルの上面に設置される。膜は、覆われていない支え壁から0.1m位離れて砕かれている石灰岩をカバーする。
【0035】
雨水や雪解水は、蓄積されずにオイル流出封入システムを通じて浸透する。しかしながらもしオイルがトランスから漏れて、吸収材料が選択的にオイルを除去すると、システムを水だけが通過することになる。
【0036】
もしシステムが長期間にわたって設置され、トランスが長期にわたる漏れの被害を受け、またはトランスが封じ込めエリアを通じて全てのオイルを放出するような突発的な事故の被害を受けたならば、その際オイル吸収材料の表面は、最終的に一杯になり、雨水を通過させることができなくなってしまう。吸収層が一杯になった際に、追加オイルを吸収しない不浸透性の膜が形成され、防水性になる。オイル流出封入システムに浸入した水、または追加オイルは、不浸透性の膜に集まる。このステージで、例えばジオシンセティックセルを充填しているオイル吸収及びオイル吸着層は、システムの耐用年数を延ばすように置き換えることができる。
【0037】
例2
本発明に関して構成されたオイル流出封入システムとオイル保持トレイの2例目の実施形態ついて説明する。
【0038】
本例におけるシステムは、12000リットルのVoltesso35鉱油を収容するトランスを保護しており、失敗したフランジからの長期的なインク漏れの被害を受けている。漏れの割合は、年間約20リットルのオイルである。オイル流出封入システムは、例1にて説明されているものと同様に構築されているが、漏れているオイルを捕捉することができるオイル保持トレイを有している。
【0039】
オイル保持トレイは、木製、金属製、または他の適した材料で構成されているフレームを有している。トレイは、長さ2m、幅3m、高さが0.20mである。フレームの上面は、開口しており、底面は、金属製のメッシュにて覆われている。底面の金属製のメッシュは、雨水をトレイに浸透させる。オイル保持トレイの底面は、オイルや水を浸透させる膜によってカバーされている。トレイの側面は、オイルや水を不浸透させる膜によってカバーされている。オイルや水を浸透させる膜の上面には、オイル吸収材料の層が設置されている。高さ約0.15mのロックウールのブロックは、オイル吸収材料をカバーしているトレイの内側に位置している。オイルや水を浸透させる膜は、その時ロックウールの上面に位置し、トレイをカバーしている。
【0040】
前述した配置は、オイル流出封入システムとオイル保持トレイに水を浸透させる。しかしながら漏れているオイルは、ロックウールによって吸収されることになる。ロックウールが一杯になった際に、オイルは、吸収材料に落ちる。落ちたオイルが吸収層に触れたとたんに、オイルは吸収される。一杯になったオイル吸収層の表面において、オイルと吸収材料は、追加オイルを吸収せず、且つ水を浸透させない、不浸透性の膜を形成する。封じ込めエリアに浸入する水または追加オイルは、除去されるまで不浸透性の膜ユニットに集まる。オイル保持トレイは、このポイントに配置されることになる。
【0041】
本発明は、トランス、コンデンサ、スイッチ、ストレージタンクや他の動かないオイル封入機材からのオイルの流出と漏れを封入するために使用される。このような用途において、本発明を使用することで、オイル封入機材からのオイル流出、または漏れたオイルによる地下の水質汚濁を防止、または減らすことができる。
【0042】
本発明の様々な実施形態における利点は、封じ込めエリアの中の液面高さを汲み上げること及び観測することが不要であり、信頼性があり費用効率が高く、システムが前処理に必要で処理の後にテストする水を蓄積せず、ケーブルや他の隆起の周りを密閉する必要がなく、封入システムによって吸収されたオイルや他の有機的な液体から放出された気体を減らすことを有している。吸収されたオイルや他の有機的な水から放出される気体は、本発明によって減少する。それゆえ流出、または漏れたオイルまたは有機的な液体によって引き起こる、燃焼/爆発、毒性の災害を減らすことができる。
【0043】
本発明は説明するために実施形態を参照して説明したが、本発明は正確にはこれら実施形態に限定される必要はないことは明白であり、本発明の範囲内におけるさまざまな変更や改善は、技術的に効果がある。例えば、膜の代わりとして、適した封じ込め、例えば他の液体や薬品を提供する他の液体や薬品のための吸収及び/または吸収材料を作製しても良い。全てのこのような変更や改善は、付随した請求項に含んでいることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、本発明に関するオイル流出封入システムの第1の実施形態の断面図である。
【図2】図2は、図1のオイル流出封入システムの支持構造物におけるセルの断面図であり、ここにオイル吸着材料を受け入れる。
【図3】図3は、本発明に関するオイル流出封入システムの第2の実施形態の断面図である。
【図4】図4は、図3のオイル流出封入システムの支持構造物におけるセルの断面図であり、ここにオイル吸収材料とオイル吸着材料を受け入れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイル封入容器からのオイル流出または漏れを封入するオイル流出封入システムは、
オイル吸収材料の層と、
前記オイル吸収材料の層をカバーするオイル吸着材料の層と、
を具備する。
【請求項2】
前記オイル吸収材料の層は、炭化水素や誘電性絶縁流体を包み込むことができるCHEMTEXコポリマー、インビバービーズ(登録商標:Imbiber Beads)及びほかの材料から構成されるグループのなかから選ばれることを特徴とする請求項1に記載のオイル流出封入システム。
【請求項3】
前記オイル吸着材料の層は、鉱油や他の誘電性絶縁流体を吸着、または保持することができるピートモス、ピートソーブ(登録商標:Peat Sorb)、フラー土、細粒炭、ロックウール、他の固体から構成されるグループのなかから選ばれることを特徴とする請求項1に記載のオイル流出封入システム。
【請求項4】
前記オイル吸収材料の層は、顆粒状のオイル吸収材料の層及び/または前記オイル吸収材料を収容している吸収パッドを備えていることを特徴とする請求項2に記載のオイル流出封入システム。
【請求項5】
前記オイル吸着材料の層をカバーする火抑制材料の層をさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載のオイル流出封入システム。
【請求項6】
前記オイル吸着材料の層と前記火抑制材料の層の間にオイルと水を浸透させる膜をさらに備えていることを特徴とする請求項5に記載のオイル流出封入システム。
【請求項7】
前記オイル吸収材料の層の下方に位置する砂利材料の層をさらに備えていることを特徴とする請求項請求項1乃至6のいずれか1つに記載のオイル流出封入システム。
【請求項8】
前記オイル吸収材料の層と前記砂利材料の層の間に水を浸透させる膜をさらに備えていることを特徴とする請求項7に記載のオイル流出封入システム。
【請求項9】
オイル封入容器からのオイル流出または漏れを封入するオイル流出封入システムは、
複数のセルを規定する支持構造物と、
前記支持構造物の前記セルに受け入れられるオイル吸収材料と、
を具備する。
【請求項10】
前記支持構造物の前記セルに受け入れられるオイル吸着材料をさらに備えていることを特徴とする請求項9に記載のオイル流出封入システム。
【請求項11】
前記支持構造物は、ジオシンセティック材料を備えていることを特徴とする請求項9または10に記載のオイル流出封入システム。
【請求項12】
前記オイル吸収材料は、顆粒状のオイル吸収ポリマー、及び/またはオイルを吸収する透過性の固体材料を備えていることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1つに記載のオイル流出封入システム。
【請求項13】
前記オイル吸収材料は、炭化水素や誘電性絶縁流体を包み込むことができるCHEMTEXコポリマー、インビバービーズ及びほかの材料から構成されるグループのなかから選ばれることを特徴とする請求項12に記載のオイル流出封入システム。
【請求項14】
前記オイル吸着材料は、鉱油や他の誘電性絶縁流体を保持することができるピートモス、ピートソーブ、フラー土、細粒炭、ロックウール、他の固体から構成されるグループのなかから選ばれることを特徴とする請求項13に記載のオイル流出封入システム。
【請求項15】
前記支持構造物をカバーする火抑制材料の層をさらに備えていることを特徴とする請求項10乃至14のいずれか1つに記載のオイル流出封入システム。
【請求項16】
前記火抑制材料の層は、砕かれた石灰岩を備えていることを特徴とする請求項15に記載のオイル流出封入システム。
【請求項17】
前記オイル流出封入システムは、前記オイル封入容器の下及び周辺に封入ベイスンに受け入れられることを特徴とする請求項9乃至16のいずれか1つに記載のオイル流出封入システム。
【請求項18】
オイル封入容器からのオイル流出または漏れを封入するオイル流出封入システムは、
複数のセルを規定するジオシンセティック材料を具備し、
前記ジオシンセティック材料は、
前記ジオシンセティック材料の前記セルに受け入れられるオイル吸収材料と、
前記ジオシンセティック材料の前記セルに受け入れられるオイル吸着材料と、
前記ジオシンセティック材料をカバーし、オイルや水を浸透させるジオテキスタイル繊維と、
を有する。
【請求項19】
前記オイル吸収材料は、炭化水素や誘電性絶縁流体を包み込むことができるCHEMTEXコポリマー、インビバービーズ及びほかの材料から構成されるグループのなかから選ばれ、前記オイル吸着材料は、鉱油や他の誘電性絶縁流体を保持することができるピートモス、ピートソーブ、フラー土、細粒炭、ロックウール、他の固体から構成されるグループのなかから選ばれることを特徴とする請求項18に記載のオイル流出封入システム。
【請求項20】
前記ジオテキスタイル繊維をカバーする火抑制材料の層をさらに備えることを特徴とする請求項18または19に記載のオイル流出封入システム。
【請求項21】
前記火抑制材料の層は、砕かれた石灰岩を備えていることを特徴とする請求項20に記載のオイル流出封入システム。
【請求項22】
オイル封入容器からのオイル流出または漏れを封入するオイル保持トレイは、
メッシュの底面を有し、上面が開口している細長いトレイと、
前記メッシュの底面に受け入れられるオイル吸収材料の層と、
前記オイル吸収材料の層をカバーするオイル吸着材料の層と、
を具備する。
【請求項23】
前記オイル吸収材料の層は、顆粒状のオイル吸収ポリマー及び/またはオイルを吸収する透過性の固体材料を収容している吸収パッドを備えていることを特徴とする請求項22に記載のオイル保持トレイ。
【請求項24】
前記オイル吸着材料の層をカバーするオイルと水を浸透させる膜と、前記オイル細長いトレイの側面をカバーするオイルと水を不浸透させる膜をさらに備えることを特徴とする請求項23に記載の保持トレイ。
【請求項25】
前記オイルと水を浸透させる膜をカバーする火抑制材料の層をさらに備えることを特徴とする請求項24に記載の保持トレイ。
【請求項26】
オイル封入容器からのオイル流出または漏れを封入するオイル流出封入システムを整備する方法は、前記オイル封入容器の下及び周りにある封入ベイスンに受け入れられるオイル流出封入システムにおいて、
前記封入ベイスンの中にオイル吸収材料の層を形成し、
オイル吸着材料の層と共に前記オイル吸収材をカバーするステップを具備する。
【請求項27】
前記オイル吸着材料の層と共に火抑制材料の層をカバーするステップをさらに備えることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記封入ベイスンの中にオイル吸収材料の層を形成する前記ステップの前に前記封入ベイスンの土台に砂利材料の層を形成するステップをさらに備えることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記砂利材料の層と共に水を浸透させる膜をカバーするステップをさらに備えることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記オイル吸収材料の層と共にオイルと水を浸透させる膜をカバーするステップをさらに備えることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記オイル吸収材料は、炭化水素や誘電性絶縁流体を包み込むことができるCHEMTEXコポリマー、インビバービーズ及びほかの材料から構成されるグループのなかから選ばれ、前記オイル吸着材料は、鉱油や他の誘電性絶縁流体を保持することができるピートモス、ピートソーブ、フラー土、細粒炭、ロックウール、他の固体から構成されるグループのなかから選ばれることを特徴とする請求項30に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2007−515351(P2007−515351A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535922(P2006−535922)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【国際出願番号】PCT/CA2004/001838
【国際公開番号】WO2005/037536
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(506135475)キネクトリックス・インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】