説明

オスミウム担持触媒組成物の製造方法

【課題】反応後、回収・再使用することができるオスミウム触媒組成物の製造方法の提供。
【解決手段】(I)(1)スチレン系モノマー並びに(2)エポキシ基を有する芳香族基及び重合性二重結合を含有するモノマーを共重合することにより得られるコポリマーと、(1)スチレン系モノマー並びに(2)特定の構造の親水性基含有モノマーを共重合することにより得られるコポリマーのそれぞれにオスミウム触媒を担持させ次いで混合した後、或いは、(II)(1)スチレン系モノマー並びに(2)エポキシ基を有する芳香族基及び重合性二重結合を含有するモノマーを共重合することにより得られるコポリマーと、(1)スチレン系モノマー並びに(2)上記特定の構造の親水性基含有モノマーを共重合することにより得られるコポリマーとの混合物にオスミウム触媒を担持させた後、オスミウム担持ポリマーを架橋反応に付す、オスミウム担持触媒組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰り返し使用によっても担体からのオスミウム触媒の漏れが少ないオスミウム担持触媒組成物の製造方法及びそれにより得られるオスミウム担持触媒組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年マイクロカプセル化を利用して金属触媒をポリマーに担持させた触媒組成物が開発され、触媒を繰り返し使用できる等の利点から、金属触媒をポリマーに物理的に担持させた触媒組成物の報告がなされていた(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、このようなポリマーに物理的に金属触媒を担持させた触媒組成物は、繰り返しの使用により触媒の活性が低下するという問題を有していた。そこで、担体を架橋型ポリマーとすることにより、金属触媒の漏れが少なく、その活性が低下しない触媒組成物となることについての報告がなされていた(特許文献2)。
【0004】
しかしながら、このような触媒組成物であっても触媒から金属触媒が徐々に漏出するため、複数回の繰り返し使用により触媒活性が低下する等の問題があった。そのため、金属触媒の漏れがほぼない触媒組成物の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平11-314038号
特開2002-66330
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の触媒組成物と同様に、反応後の回収・再使用をすることができ、且つ触媒組成物からの触媒の漏れがほぼないオスミウム触媒組成物の合成方法及びその方法により得られたオスミウム担持触媒組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために鋭意研究した結果、本発明者らは、特定の2元コポリマー2種類、即ち、(1)スチレン系モノマー並びに(2)エポキシ基を有する芳香族基及び重合性二重結合を含有するモノマーを共重合することにより得られるコポリマーと、(1)スチレン系モノマー並びに(2)下記一般式[3]で示される親水性基含有モノマー

[式中、R10〜R12は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R13は、炭素数6〜10のアリーレン基(その芳香環が炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基及び/又はハロゲン原子を置換基として有するものも含む)を表し、R14は、下記一般式[31]で示される基

(式中、R40は、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、R41は、酸素原子を鎖中に有する若しくは有さない炭素数1〜20のアルキレン基を表す)である。]を共重合することにより得られるコポリマーを用いて、コポリマーそれぞれにオスミウム触媒を担持させ、次いで混合した後架橋反応に付すことにより、或いは、上記2種類のコポリマーの混合物にオスミウム触媒を担持させた後架橋反応に付すことにより、漏れが非常に少ないオスミウム触媒組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
上記の如き方法により得られたオスミウム触媒組成物は、溶媒の種類に関わらず耐溶剤性に優れており、反応の種類により金属クラスターが漏れるという問題もなく、再利用を可能とするものである。
【0009】
即ち、本発明は、(I)(1)スチレン系モノマー並びに(2)エポキシ基を有する芳香族基及び重合性二重結合を含有するモノマーを共重合することにより得られるコポリマーと、(1)スチレン系モノマー並びに(2)下記一般式[3]で示される親水性基含有モノマー

(式中、R10〜R14は、上記と同じ)を共重合することにより得られるコポリマーのそれぞれにオスミウム触媒を担持させ、次いで混合した後、或いは、
(II)(1)スチレン系モノマー並びに(2)エポキシ基を有する芳香族基及び重合性二重結合を含有するモノマーを共重合することにより得られるコポリマーと、(1)スチレン系モノマー並びに(2)下記一般式[3]で示される親水性基含有モノマー

(式中、R10〜R14は、上記と同じ)を共重合することにより得られるコポリマーとの混合物にオスミウム触媒を担持させた後、得られたオスミウム担持ポリマーを架橋反応に付すことを特徴とする、オスミウム担持触媒組成物の製造方法、並びに該方法により得られるオスミウム触媒組成物に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の製造方法によれば、特定の2元コポリマー2種を用いて架橋反応に付すため、金属触媒がポリマーに強固に担持され、金属触媒の漏れがほぼなくなり、回収再使用が容易なオスミウム触媒組成物の提供を可能とする。更に、3元コポリマー1種を用いる従来のオスミウム担持触媒組成物の製造方法に比べ、2元コポリマー2種を用いる本発明の製造方法は、製造時間を短縮することができるという効果も奏する。
【0011】
また、本発明のオスミウム担持触媒組成物を用いた場合、溶媒の種類や反応の種類にかかわらず、金属触媒の漏れを2%以下に抑えることができるため、反応溶液に漏出するオスミウム触媒の量を抑えることができ、その結果、触媒活性の低下がほとんどないという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本発明に係るスチレン系モノマー]
本発明に係るスチレン系モノマーとしては、例えば下記一般式[1]で示されるモノマー

(R1〜R3は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは、炭素数6〜10のアリール基を表し、これらアリール基は、その芳香環が、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基及び/又はハロゲン原子を置換基として有するものも含む。)で示されるモノマーが挙げられる。
【0013】
一般式[1]においてR1〜R3で表されるアルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2のものが挙げられ、具体的には、例えばメチル基,エチル基,n-プロピル基,イソプロピル基,n-ブチル基,イソブチル基,sec-ブチル基,tert-ブチル基,n-ペンチル基,イソペンチル基,sec-ペンチル基,tert-ペンチル基,ネオペンチル基,n-ヘキシル基,イソヘキシル基,sec-ヘキシル基,tert-ヘキシル基,シクロプロピル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0014】
1〜R3の好ましい具体例としては、メチル基、水素原子が挙げられるが、水素原子がより好ましい。
【0015】
一般式[1]においてRで表されるアリール基としては、通常炭素数6〜10、好ましくは6のものが挙げられ、具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
【0016】
一般式[1]においてRで表されるアリール基の芳香環が置換基を有する場合、置換基としてのアルキル基としては、直鎖状でも分枝状でもよく、通常炭素数1〜4のものが挙げられ、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられ、置換基としてのアルコキシ基としては、直鎖状でも分枝状でもよく、通常炭素数1〜4のものが挙げられ、具体的には、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等が挙げられ、また、置換基としてのハロゲン原子としては、例えば塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。このような置換基は、Rで表されるアリール基の芳香環に通常1〜5個、好ましくは1〜2個置換される。
【0017】
本発明に係るスチレン系モノマーの好ましい具体例としては、例えばスチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、α-エチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン等が挙げられ、中でもスチレン及びα-メチルスチレンが好ましく、特にスチレンが好ましい。
【0018】
[本発明に係るエポキシ基を有する芳香族基及び重合性二重結合を含有するモノマー]
本発明に係るエポキシ基を有する芳香族基及び重合性二重結合を含有するモノマーとしては、例えば下記一般式[2]で示されるモノマー

[R〜Rは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは、炭素数6〜10のアリーレン基又は炭素数7〜12のアリールアルキレン基(該アリーレン基及びアリールアルキレン基は、その芳香環が炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基及び/又はハロゲン原子を置換基として有するものも含む)を表し、Rは、下記一般式[21]又は[22]で示されるエポキシ基を含有する基



(式中、R21及びR25は、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、R22及びR26は、酸素原子を鎖中に有する若しくは有さない炭素数1〜20のアルキレン基を表し、R23、R24、R27及びR28は夫々独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基を表し、該アリール基及びアラルキル基は、その芳香環が、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基及び/又はハロゲン原子を有するものも含む。)]で示されるモノマーが挙げられる。
【0019】
一般式[2]においてR〜Rで表されるアルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2のものが挙げられ、具体的には、例えばメチル基,エチル基,n-プロピル基,イソプロピル基,n-ブチル基,イソブチル基,sec-ブチル基,tert-ブチル基,n-ペンチル基,イソペンチル基,sec-ペンチル基,tert-ペンチル基,ネオペンチル基,n-ヘキシル基,イソヘキシル基,sec-ヘキシル基,tert-ヘキシル基,シクロプロピル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0020】
〜Rの好ましい具体例としては、メチル基、水素原子が挙げられるが、水素原子がより好ましい。
【0021】
一般式[2]においてRで表されるアリーレン基としては、通常炭素数6〜10のものが挙げられ、炭素数6が好ましい。具体的には、例えばp-フェニレン基、o-フェニレン基、m-フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
【0022】
一般式[2]においてRで表されるアリールアルキレン基としては、通常炭素数7〜12のものが挙げられ、具体的には、例えばフェニルメチレン基、フェニルエチレン基、1-フェニルプロピレン基、2-フェニルプロピレン基、1-フェニルブチレン基、2-フェニルブチレン基、ナフチルメチレン基、ナフチルエチレン基等が挙げられる。
【0023】
一般式[2]においてRで表されるアリーレン基又はアリールアルキレン基の芳香環が置換基を有する場合、置換基としてのアルキル基としては、直鎖状でも分枝状でもよく、通常炭素数1〜4のものが挙げられ、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられ、置換基としてのアルコキシ基としては、直鎖状でも分枝状でもよく、通常炭素数1〜4のものが挙げられ、具体的には、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等が挙げられ、また、置換基としてのハロゲン原子としては、例えば塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。このような置換基は、Rで表されるアリーレン基又はアリールアルキレン基の芳香環に通常1〜5個、好ましくは1〜2個置換される。
【0024】
一般式[2]においてRは、一般式[21]又は[22]で示されるエポキシ基を含有する基で示されるが、一般式[21]で示されるエポキシ基を含有する基が好ましい。
【0025】
一般式[21]又は一般式[22]においてR21及びR25で表されるアルキレン基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2のものが挙げられ、具体的には、例えばメチレン基,エチレン基,トリメチレン基,プロピレン基,メチルメチレン基,メチルエチレン基,エチルメチレン基,テトラメチレン基,ペンタメチレン基,ヘキサメチレン基,シクロプロピレン基,シクロペンチレン基,シクロヘキシレン基が挙げられ、メチレン基,エチレン基が好ましく、メチレン基が好ましい。
【0026】
一般式[21]又は一般式[22]においてR22及びR26で表されるアルキレン基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜3のものが挙げられ、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基,n-ヘキシル基,イソヘキシル基,sec-ヘキシル基,tert-ヘキシル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロドデシル基、シクロウンデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基、シクロノナデシル基、シクロイコシル基等が挙げられる。上記アルキレン基が酸素原子を有する場合、アルキル鎖中には、酸素原子が数通常1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個含まれる。
【0027】
一般式[21]又は一般式[22]においてR23、R24、R27及びR28で表されるアルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2のものが挙げられ、具体的には、例えばメチル基,エチル基,n-プロピル基,イソプロピル基,n-ブチル基,イソブチル基,sec-ブチル基,tert-ブチル基,n-ペンチル基,イソペンチル基,sec-ペンチル基,tert-ペンチル基,ネオペンチル基,n-ヘキシル基,イソヘキシル基,sec-ヘキシル基,tert-ヘキシル基,シクロプロピル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0028】
一般式[21]又は一般式[22]においてR23、R24、R27及びR28で表される
アリール基としては、通常炭素数6〜10、好ましくは6のものが挙げられ、具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0029】
一般式[21]又は一般式[22]においてR23、R24、R27及びR28で表されるアラルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数7〜12、好ましくは7〜10のものが挙げられ、具体的には、例えばベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基等が挙げられる。
【0030】
一般式[21]又は一般式[22]においてR23、R24、R27及びR28で表されるアリール基又はアラルキル基の芳香環が置換基を有する場合、置換基としてのアルキル基としては、直鎖状でも分枝状でもよく、通常炭素数1〜4のものが挙げられ、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられ、置換基としてのアルコキシ基としては、直鎖状でも分枝状でもよく、通常炭素数1〜4のものが挙げられ、具体的には、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等が挙げられ、また、置換基としてのハロゲン原子としては、例えば塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。このような置換基は、アリール基又はアラルキル基の芳香環に通常1〜5個、好ましくは1〜2個置換される。
【0031】
一般式[21]で示されるエポキシ基を含有する基の好ましい具体例として下記一般式[23]で示される基

(式中、R31は、炭素数1〜3のアルキレン基を表し、nは、1〜6を表す。R21、23及びR24は、上記と同じ。)が挙げられる。
【0032】
一般式[23]においてR31で表されるアルキレン基としては、通常炭素数1〜3のものが挙げられ、1〜2が好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられ、メチレン基、エチレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
【0033】
一般式[23]におけるnは、通常1〜6の整数であり、1〜4の整数が好ましく、1がより好ましい。
【0034】
一般式[23]の好ましい具体例としては、



等が挙げられる。
【0035】
一般式[22]で示されるエポキシ基を含有する基の好ましい具体例として下記一般式[24]で示される基

(式中、R32は、メチレン基又はエチレン基を表し、R33は、炭素数1〜3のアルキレン基を表し、mは、1〜6を表す。R25、27及びR28は、上記と同じ。)が挙げられる。
【0036】
一般式[24]においてR32はメチレン基又はエチレン基であり、メチレン基が好ましい。
【0037】
一般式[24]においてR33で表されるアルキレン基としては、通常炭素数1〜3のものが挙げられ、1〜2が好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられ、メチレン基、エチレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
【0038】
一般式[24]におけるmは、通常1〜6の整数であり、1〜4の整数が好ましく、1がより好ましい。
【0039】
一般式[24]の好ましい具体例としては、

等が挙げられる。
【0040】
本発明に係るエポキシ基を有する芳香族基及び重合性二重結合を含有するモノマーの好ましい具体例としては、

等が挙げられる。
【0041】
[本発明に係る一般式[3]で示される親水性基含有モノマー]
一般式[3]においてR10〜R12で表されるアルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2のものが挙げられ、具体的には、例えばメチル基,エチル基,n-プロピル基,イソプロピル基,n-ブチル基,イソブチル基,sec-ブチル基,tert-ブチル基,n-ペンチル基,イソペンチル基,sec-ペンチル基,tert-ペンチル基,ネオペンチル基,n-ヘキシル基,イソヘキシル基,sec-ヘキシル基,tert-ヘキシル基,シクロプロピル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基等が挙げられ、中でもメチル基,エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0042】
10〜R12の好ましい具体例としては、メチル基、水素原子が挙げられるが、水素原子がより好ましい。
【0043】
一般式[3]においてR13で表されるアリーレン基としては、通常炭素数6〜10のものが挙げられ、炭素数6が好ましい。具体的には、例えばp-フェニレン基、o-フェニレン基、m-フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
【0044】
一般式[3]においてR13で表されるアリーレン基の芳香環が置換基を有する場合、置換基としてのアルキル基としては、直鎖状でも分枝状でもよく、通常炭素数1〜4のものが挙げられ、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられ、置換基としてのアルコキシ基としては、直鎖状でも分枝状でもよく、通常炭素数1〜4のものが挙げられ、具体的には、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等が挙げられ、また、置換基としてのハロゲン原子としては、例えば塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。このような置換基は、R13で表されるアリーレン基の芳香環に通常1〜5個、好ましくは1〜2個置換される。
【0045】
一般式[31]において、R40で表されるアルキレン基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2のものが挙げられ、具体的には、例えばメチレン基,エチレン基,トリメチレン基,プロピレン基,メチルメチレン基,メチルエチレン基,エチルメチレン基,テトラメチレン基,ペンタメチレン基,ヘキサメチレン基,シクロプロピレン基,シクロペンチレン基,シクロヘキシレン基が挙げられ、メチレン基,エチレン基が好ましく、メチレン基が好ましい。
【0046】
一般式[31]において、R41で表されるアルキレン基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8のものが挙げられ、具体的には、具体的には、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、メチルメチレン基、メチルエチレン基、エチルメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、オクタデカメチレン基、イコサレン基、シクロプロピレン基,シクロペンチレン基,シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロウンデシレン基、シクロドデシレン基、シクロテトラデシレン基、シクロヘキサデシレン基、シクロオクタデシレン基、シクロイコサレン基等が挙げられる。上記アルキレン基が酸素原子を有する場合、その鎖中には、酸素原子が数通常1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個含まれる。
【0047】
一般式[31]で示される基の好ましい具体例として下記一般式[32]又は一般式[33]で示される基

(式中、R42は、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、R43、R44及びR45は、炭素数1〜3のアルキレン基を表し、pは1〜6の整数を、qは2〜6の整数を表す。)が挙げられるが、一般式[32]で示される基が好ましい。
【0048】
一般式[32]におけるR42で表されるアルキレン基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2のものが挙げられ、具体的には、例えばメチレン基,エチレン基,トリメチレン基,プロピレン基,メチルメチレン基,メチルエチレン基,エチルメチレン基,テトラメチレン基,ペンタメチレン基,ヘキサメチレン基,シクロプロピレン基,シクロペンチレン基,シクロヘキシレン基が挙げられ、メチレン基,エチレン基が好ましく、メチレン基が好ましい。
【0049】
一般式[33]におけるR44で表されるアルキレン基としては、通常炭素数1〜3のものが挙げられ、1〜2が好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられ、メチレン基、エチレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
【0050】
一般式[32]又は[33]におけるR43及びR45で表されるアルキレン基としては、通常炭素数1〜3のものが挙げられ、1〜2が好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられ、メチレン基、エチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
【0051】
一般式[32]におけるpは1〜6の整数であり、1〜4が好ましく、3〜4がより好ましく、4が特に好ましい。
【0052】
一般式[33]におけるqは2〜6の整数であり、2〜4が好ましく、3〜4がより好ましく、4が特に好ましい。
【0053】
一般式[31]で示される基のより具体的な好ましい例としては、





等が挙げられる。
【0054】
本発明に係る一般式[3]で示される親水性基含有モノマーの好ましい具体例としては、例えば、



等が挙げられる。
【0055】
[スチレン系モノマー並びにエポキシ基を有する芳香族基及び重合性二重結合を含有するモノマーを共重合することにより得られるコポリマー,スチレン系モノマー並びに下記一般式[3]で示される親水性基含有モノマーを共重合することにより得られるコポリマー]
スチレン系モノマー並びにエポキシ基を有する芳香族基及び重合性二重結合を含有するモノマーを共重合することにより得られるコポリマー(以下、本発明に係るコポリマー1と略記する場合がある)は、上記の如きスチレン系モノマーと上記の如きエポキシ基を有する芳香族基及び重合性二重結合を含有するモノマーとを、モル比で60:40〜95:5で、好ましくは70:30〜90:10で、より好ましくは80:20〜90:10で共重合することにより得られる。本発明に係るコポリマー1における、スチレン系モノマー由来のモノマー単位とエポキシ基を有する芳香族基及び重合性二重結合を含有するモノマー由来のモノマー単位の構成比率は、上記比率と同じである。
【0056】
スチレン系モノマー並びに一般式[3]で示される親水性基含有モノマーとを共重合することにより得られるコポリマー(以下、本発明に係るコポリマー2と略記する場合がある)は、上記の如きスチレン系モノマーと上記の如き一般式[3]で示される親水性基含有モノマーとを、モル比で60:40〜95:5で、好ましくは70:30〜90:10で、より好ましくは80:20〜90:10で共重合することにより得られる。本発明に係るコポリマー2における、スチレン系モノマー由来のモノマー単位と一般式[3]で示される親水性基含有モノマー由来のモノマー単位の構成比率は、上記比率と同じである。
【0057】
本発明に係るコポリマー1及びコポリマー2は、上記各種モノマーを上記比率で適当な溶媒に溶解或いは懸濁させ、適当な重合開始剤を加えた後加熱しながら撹拌反応させるという公知の方法に従って重合することにより得られる。
具体的には、例えば上記した如き各種モノマーを上記した如き比率となるように混合し、モノマーに対して1〜10倍容量の適当な溶媒、例えばトルエン、エタノール、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、メチルエチルケトン等に溶解し、モノマーに対して0.1〜30重量%の重合開始剤、例えばアゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸メチル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の存在下、50〜150℃で1〜20時間反応させ、反応後は高分子取得の常法に従って処理することにより目的のコポリマーが得られる。
【0058】
本発明に係るコポリマー1又は2の重量平均分子量(Mw)は、適当な溶媒に溶解する物であれば特に限定されないが通常2,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜100,000である。
【0059】
[オスミウム触媒]
本発明に係るオスミウム触媒は、本発明の製造方法において必要に応じて反応溶媒中で還元し、本発明のオスミウム担持触媒組成物中で0〜6価のオスミウム触媒となるもの、好ましくは4〜6価のオスミウム触媒となるものが挙げられ、具体的には、例えば塩化オスミウム等のハロゲン化オスミウム、二酸化オスミウム、四酸化オスミウム、オスミウム酸(VI)カリウム、ヘキサクロロオスミウム酸カリウム等のオスミウムの無機酸塩等が好ましく挙げられ、中でも、四酸化オスミウムがより好ましい。尚、これらのオスミウム化合物は市販品として容易に入手することができる。
【0060】
[本発明のオスミウム担持触媒組成物の製造方法]
本発明のオスミウム担持触媒組成物の製造方法(以下、本発明の製造方法と略記する場合がある)は、(I)上記本発明に係るコポリマー1及びコポリマー2のそれぞれにオスミウム触媒を担持させ次いで混合させた後、得られたオスミウム担持ポリマーを架橋反応に付すことにより(該方法を本発明の製造方法(I)と略記する場合がある)、或いは、(II)上記本発明に係るコポリマー1及びコポリマー2の混合物にオスミウム触媒を担持させた後、得られたオスミウム担持ポリマーを架橋反応に付すことにより(該方法を本発明の製造方法(II)と略記する場合がある)なされる。
【0061】
[本発明の製造方法(I)]
本発明の製造方法(I)における、オスミウム触媒をコポリマー1に担持させる方法としては、例えば前記コポリマー1と前記オスミウム触媒とを、コポリマー1を溶解する溶媒中で均一化させることによりなされる。得られたオスミウム触媒を担持したコポリマー(以下、マイクロカプセル化オスミウム触媒と略記する場合がある。)は、必要に応じて上記コポリマー1に対する貧溶媒を添加することにより析出させれば得ることができる。
【0062】
本発明の製造方法(I)における、オスミウム触媒をコポリマー2に担持させる方法も、上記オスミウム触媒をコポリマー1に担持させる方法と同様に、例えば前記コポリマー2と前記オスミウム触媒とを、コポリマー2を溶解する溶媒中で均一化させることによりなされ、得られたマイクロカプセル化オスミウム触媒は、必要に応じて上記コポリマー2に対する貧溶媒を添加することにより析出させれば得ることができる。
【0063】
上記本発明に係るコポリマー1又はコポリマー2を溶解する溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、例えば塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。その使用量は、用いられるコポリマーを溶解し得る量であればよく、コポリマー1gに対して通常1〜100ml、好ましくは1〜50mlである。尚、オスミウム触媒として四酸化オスミウム等の8価のオスミウム触媒を用いる場合には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール類又はヒドラジン等を、上記溶媒の10〜40%容量、より好ましくは10〜30%容量、更に好ましくは20〜30%容量添加するのが好ましい。
【0064】
上記コポリマー1又は2に対する貧溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、t-ブタノール、ジエチルエーテル、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。その使用量は、得られたマイクロカプセル化オスミウム触媒が全て析出する量であればよく、出発物質であるコポリマー1gに対して通常1〜100ml、好ましくは1〜50mlである。
【0065】
上記本発明に係るコポリマー1又はコポリマー2とオスミウム触媒の均一化は、通常0〜50℃、好ましくは5〜30℃で通常1〜200時間、好ましくは1〜100時間行われる。
【0066】
上記オスミウム触媒の量は、コポリマー1又はコポリマー2 1gに対して金属オスミウムとして通常0.05〜4.0mmol、好ましくは0.1〜4.0mmol、より好ましくは0.2〜2.0mmolとなる量であり、得られたマイクロカプセル化オスミウム触媒に担持されるオスミウムの量(金属オスミウム量で換算)は、マイクロカプセル化オスミウム触媒に対して通常0.05〜4.0mmol、好ましくは0.1〜4.0mmol、より好ましくは0.2〜2.0mmolである。
【0067】
本発明の製造方法(I)における、本発明に係るコポリマー1及びコポリマー2それぞれを用いて得られたマイクロカプセル化オスミウム触媒の混合方法としては、2種のマイクロカプセル化オスミウム触媒が完全に混ざり合えばよく、物理的に混合すればよいが、より完全に混合するため、以下の如く貧溶媒中で混合するのがより好ましい。即ち、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t-ブタノール、ジエチルエーテル、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン等本発明に係るコポリマー1及び2の貧溶媒中、通常0〜50℃、好ましくは5〜30℃で10分〜10時間、好ましくは30分〜2時間撹拌することにより、2種のマイクロカプセル化オスミウム触媒を混合するのが好ましい。このようにして得られた混合物は、必要に応じて乾燥させて、架橋反応に付してもよい。
【0068】
上記混合の際の本発明に係るコポリマー1によるマイクロカプセル化オスミウム触媒と本発明に係るコポリマー2によるマイクロカプセル化オスミウム触媒の使用量は、重量比で通常40:60〜60:40の割合で用いられればよく、好ましくは50:50の割合で用いられる。
【0069】
本発明の製造方法(I)における、架橋反応としては、加熱による方法や、従来公知の、架橋剤を用いる方法、縮合剤を用いる方法、過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合触媒を用いる方法、酸や塩基を添加して加熱する方法、例えばカルボジイミド類のような脱水縮合剤と適当な架橋剤を組み合わせて反応させる方法等が挙げられる。
【0070】
加熱により架橋させる際の温度は、通常50〜300℃、好ましくは70〜200℃、より好ましくは100〜180℃である。加熱架橋反応させる際の反応時間は、通常0.1〜100時間、好ましくは1〜50時間、より好ましくは3〜10時間である。加熱により架橋させる具体的な方法としては、例えば上記マイクロカプセル化オスミウム触媒を、例えば溶媒を用いることなく上記温度で上記時間加熱することによりなされればよい。
【0071】
架橋剤を用いて架橋させる場合の架橋剤としては、スチレン系モノマー並びにエポキシ基を有する芳香族基及び重合性二重結合を含有するモノマーを共重合することにより得られるコポリマーを架橋する場合には、例えばヘキサメチレンジアミン,ヘキサメチレンテトラミン等のポリアミン化合物、例えばエチレングリコール,プロピレングリコール,グリセリン等のポリオール、例えばマロン酸,コハク酸,グルタル酸,アジピン酸,ピメリン酸,マレイン酸,フマル酸等のポリカルボン酸及びそれらの無水物等の架橋剤が挙げられる。スチレン系モノマー並びに一般式[3]で示される親水性基含有モノマーを共重合することにより得られるコポリマーを架橋する場合には、例えばマロン酸,コハク酸,グルタル酸,アジピン酸,ピメリン酸,マレイン酸,フマル酸等のポリカルボン酸及びそれらの無水物、例えばエチレンオキサイド,プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド化合物、例えばヘキサメチレンジアミン,ヘキサメチレンテトラミン等のポリアミン化合物等の架橋剤が挙げられる。
架橋剤の量は、架橋反応の反応性、コポリマーの分子量、反応条件等によって影響されるが、通常架橋性官能基であるエポキシ基又はヒドロキシル基に対して架橋剤の反応性官能基が通常0.1〜10等量、好ましくは0.5〜5等量になるように添加する。
【0072】
縮合剤を用いて架橋させる際に使用する縮合剤としては、例えば架橋性官能基としてカルボキシル基を有するポリマーの場合には例えばジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド類等の脱水剤が挙げられる。
【0073】
縮合剤の量は、架橋反応の反応性、コポリマーの分子量、反応条件等によって影響されるが、通常架橋性官能基であるエポキシ基又はヒドロキシル基に対して架橋剤の反応性官能基が通常0.1〜20等量、好ましくは0.5〜10等量になるように添加する。
【0074】
本発明の製造方法においては、上記架橋反応の中でも加熱による架橋反応が好ましい。
【0075】
上記架橋の結果生じる架橋の程度は目的の触媒作用に支障を来さない範囲であれば特に限定されないが、架橋されたモノマー単位が全モノマー単位の通常0.1〜10%、好ましくは0.5〜5%、より好ましくは0.5〜3%程度である。
【0076】
[本発明の製造方法(II)]
本発明の製造方法(II)における、本発明に係るコポリマー1及びコポリマー2の混合方法としては、これら2種のコポリマー両方を溶解し得る溶媒中で混合することによりなされればよく、通常0〜50℃、好ましくは5〜30℃で通常1〜200時間、好ましくは1〜100時間行われる。
【0077】
ここで用いられる溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、例えば塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられるが、次工程のオスミウム触媒と同じ溶媒を用いる場合には、上記混合とオスミウム触媒をコポリマーに担持させる方法とを同時に行ってもよい。
【0078】
上記混合の際の本発明に係るコポリマー1とコポリマー2の使用量は、重量比で40:60〜60:40で用いられればよく、50:50で用いるのが好ましい。
【0079】
本発明の製造方法(II)における、オスミウム触媒を上記混合コポリマーに担持させる方法としては、例えば上記混合コポリマーとオスミウム触媒とを、本発明に係るコポリマー1及び2を溶解する溶媒中で均一化させることによりなされる。得られたマイクロカプセル化オスミウム触媒は、必要に応じてコポリマー1及び2に対する貧溶媒を添加することにより析出させればよい。
【0080】
上記本発明に係るコポリマー1及び2を溶解する溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、例えば塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。その使用量は、用いられるコポリマー両方を溶解し得る量であればよく、コポリマー1gに対して通常1〜100ml、好ましくは1〜50mlである。尚、オスミウム触媒として四酸化オスミウム等の8価のオスミウム触媒を用いる場合には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール類又はヒドラジン等を、上記溶媒の10〜40%容量、より好ましくは10〜30%容量、更に好ましくは20〜30%容量添加するのが好ましい。
【0081】
上記本発明に係るコポリマー1及び2に対する貧溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、t-ブタノール、ジエチルエーテル、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。その使用量は、得られたマイクロカプセル化オスミウム触媒が全て析出する量であればよく、出発物質であるコポリマーの総量に対して通常1〜100ml、好ましくは1〜50mlである。
【0082】
上記混合コポリマーとオスミウム触媒の均一化は、通常0〜50℃、好ましくは5〜30℃で通常1〜200時間、好ましくは1〜100時間行われる。
【0083】
上記オスミウム触媒の使用量は、混合コポリマー1gに対して金属オスミウムとして通常0.05〜4.0mmol、好ましくは0.1〜4.0mmol、より好ましくは0.2〜2.0mmolとなる量であり、得られたマイクロカプセル化オスミウム触媒に担持されるオスミウムの量(金属オスミウム量で換算)は、マイクロカプセル化オスミウム触媒に対して通常0.05〜4.0mmol、好ましくは0.1〜4.0mmol、より好ましくは0.2〜2.0mmolである。
【0084】
本発明の製造方法(II)における、架橋反応は、上記本発明の製造方法(I)における架橋反応と同じ方法を用いることができ、その結果生じる架橋の程度も同じである。
【0085】
[架橋後の再加熱について]
架橋反応に付して得られた本発明のオスミウム担持触媒組成物は、更に加熱反応させるのが好ましい。該加熱反応としては、通常50〜300℃、好ましくは70〜200℃、より好ましくは100〜180℃である。加熱架橋反応させる際の反応時間は、通常0.1〜100時間、好ましくは1〜50時間、より好ましくは1〜10時間である。このような加熱反応を行うことにより、より反応中のオスミウム触媒の漏れが少ないオスミウム担持触媒組成物を得ることができる。これは、加熱反応により、担体であるコポリマーの架橋がより進むため、より強固にオスミウム触媒を担持することができるためであると考えている。
【0086】
[具体的な本発明の製造方法]
本発明の製造方法は、具体的には以下のようになされる。
【0087】
例えば、本発明の製造方法(I)により行う場合、以下のようになされる。
【0088】
即ち、本発明に係るコポリマー1を例えばテトラヒドロフラン−メタノール(4:1)に溶解し、そこに四酸化オスミウムをコポリマー1 1gに対して通常0.01〜1.0g、好ましくは0.05〜1.0g、より好ましくは0.05〜0.5gとなるように添加し、室温で50〜100時間撹拌させる。その後、コポリマー1の貧溶媒である例えばヘキサンを添加して更に10〜30時間撹拌し、その沈殿物を採取乾燥させることによりコポリマー1によるマイクロカプセル化オスミウム触媒が得られる。同様にして、コポリマー2を例えばテトラヒドロフラン−メタノール(4:1)に溶解し、そこに四酸化オスミウムをコポリマー2 1gに対して通常0.01〜1.0g、好ましくは0.05〜1.0g、より好ましくは0.05〜0.5gとなるように添加し、室温で50〜100時間撹拌させる。その後、コポリマー2の貧溶媒である例えばヘキサンを添加して更に10〜30時間撹拌し、その沈殿物を採取することによりコポリマー2によるマイクロカプセル化オスミウム触媒が得られる。更に、乾燥させた、本発明に係るコポリマー1によるマイクロカプセル化オスミウム触媒及び本発明に係るコポリマー2によるマイクロカプセル化オスミウム触媒を例えば同量用い、ヘキサン等の両コポリマーに対する貧溶媒中で30分〜1時間撹拌させて混合する。得られた混合物を乾燥後、150〜200℃で3〜5時間加熱して架橋反応させることにより、本発明のオスミウム担持触媒組成物を得ることができる。
【0089】
例えば、本発明の製造方法(II)により行う場合、以下のようになされる。
【0090】
即ち、本発明に係るコポリマー1と本発明に係るコポリマー2を例えば同量用いて例えばテトラヒドロフラン−メタノール(4:1)中に溶解する。その後、本発明に係るコポリマー1と本発明に係るコポリマー2の総量に対して通常0.01〜1.0重量%、好ましくは0.05〜1重量%、より好ましくは0.05〜0.5重量%となる量の四酸化オスミウム添加し、室温で50〜100時間撹拌させる。その後、両コポリマーの貧溶媒、例えばヘキサンを添加して更に10〜30時間撹拌して目的物を沈殿させ、その沈殿物を採取することにより、本発明に係るコポリマー1及び2によるマイクロカプセル化オスミウム触媒が得られる。次いで、本発明に係るコポリマー1及び2によるマイクロカプセル化オスミウム触媒を乾燥させた後、150〜200℃で3〜5時間加熱して架橋反応させることにより、本発明のオスミウム担持触媒組成物を得ることができる。
【0091】
上記のようにして得られた本発明のオスミウム担持触媒組成物は、乾燥後、更に150〜200℃で3〜5時間加熱することにより、よりオスミウム触媒の漏れを抑えたオスミウム担持触媒組成物を得ることができる。
【0092】
[本発明のオスミウム担持触媒組成物]
本発明のオスミウム担持触媒組成物は、(I)(1)スチレン系モノマー並びに(2)エポキシ基を有する芳香族基及び重合性二重結合を含有するモノマーを共重合することにより得られるコポリマーと、(1)スチレン系モノマー並びに(2)一般式[3]で示される親水性基含有モノマーを共重合することにより得られるコポリマーのそれぞれにオスミウム触媒を担持させ、次いで混合した後、得られたオスミウム担持ポリマーを架橋反応に付すことにより得られる、オスミウム担持触媒組成物、或いは、
(II)(1)スチレン系モノマー並びに(2)エポキシ基を有する芳香族基及び重合性二重結合を含有するモノマーを共重合することにより得られるコポリマーと、(1)スチレン系モノマー並びに(2)一般式[3]で示される親水性基含有モノマーを共重合することにより得られるコポリマーとの混合物にオスミウム触媒を担持させた後、得られたオスミウム担持ポリマーを架橋反応に付すことにより得られる、オスミウム担持触媒組成物である。
【0093】
上記モノマー及びコポリマーの詳細、並びに製造方法等については、本発明の製造方法と同じである。
【0094】
本発明に係るオスミウム担持触媒組成物におけるコポリマー1とコポリマー2の比率は、重量比で40:60〜60:40であり、50:50が好ましい。
【0095】
本発明に係るオスミウム担持触媒組成物中のオスミウム触媒量は、触媒組成物1g中オスミウム金属量として通常0.05〜4.0mmol、好ましくは0.1〜4.0mmol、より好ましくは0.2〜2.0mmol、更に好ましくは0.5〜1mmolである。
【0096】
このような本発明のオスミウム担持触媒組成物は、耐溶剤性に優れ、繰り返しの使用によってもオスミウム担持触媒組成物に担持されたオスミウム触媒の漏れがほとんどないため、その活性が低下せず、各種反応の触媒として非常に有用性が高い。このような優れた特徴を有することから、本発明の触媒組成物は、種々の化学反応の触媒として工業的に有利に使用することが出来る。
【0097】
例えばアルケニル化合物のジオール化反応に用いる場合には以下のようになされればよい。
【0098】
即ち、本発明のオスミウム担持触媒組成物及び再酸化剤の存在下、要すれば適当な反応溶媒中で反応させることにより容易に行うことができる。具体的には、アルケニル化合物、本発明のオスミウム担持触媒組成物及び再酸化剤を、要すれば適当な反応溶媒に加え、通常−78℃〜100℃、好ましくは−10℃〜50℃で通常0.5〜50時間、好ましくは2〜30時間攪拌、反応させ、その後常法により単離・精製を行うことにより目的のジオール化合物が得られる。また、本発明のオスミウム担持触媒組成物は、ろ過等により簡単に回収することができ、再び酸化反応等に使用することができる。
【0099】
上記アルケニル化合物としては、四酸化オスミウム等の通常用いられる酸化触媒で酸化可能なものであれば、何れの化合物でも用いることができる。
【0100】
上記酸化方法に於ける、本発明のオスミウム担持触媒組成物の使用量は、アルケニル化合物1molに対して、担持されたオスミウム触媒量が通常0.0001〜1mol、好ましくは0.001〜0.5molより好ましくは0.005〜0.2molとなるように用いられる。
上記再酸化剤としては、通常この分野で用いられる金属を酸化し得る化合物を通常用いられる量適宜設定して用いればよい。また、必要に応じて用いられる反応溶媒についても、通常この分野で用いられるものを適宜設定して使用すればよい。
【0101】
以下に、実施例、合成例、実験例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって何等限定されるものではない。
【実施例】
【0102】
合成例1.ST-VBGEコポリマーの合成
スチレン(ST)11.8g(113.4mmol)、4-ビニルベンジルグリシジルエーテル(VBGE)3.8g(20.0mmol)、トルエン13mL及び2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(和光純薬工業(株)製:商品名V-601)215mg(0.9mmol)を混合し、80℃で7時間撹拌重合させた。重合終了後、重合液をメタノール260mLに注入しポリマーを晶析させた。晶析したポリマーを分離し、メタノール100mlを加えてデカンテーションを行った。得られたポリマーをクロロホルム13mLに溶解させ、その溶液をメタノール260mLに注入してポリマーを再沈殿させた。沈殿したポリマーを分離して再度デカンテーションを行った後、室温下で減圧乾燥して白色粉末のポリマー11g(Mn:25951, Mw:36754)を得た。これをポリマー1とする。
【0103】
尚、このような2元コポリマーの合成においては、80℃の高温で重合反応を行うことができるため、7時間で重合を完了させることができる。一方、3元コポリマーの合成においては、架橋を防ぐために室温での重合となる。そのため、後述の比較例1の如く72時間等の長時間の重合反応を要する。
【0104】
合成例2〜6.ST-VBGEコポリマーの合成
各原料の仕込量を表1に示したようにした以外は実施例1と同様にして、ポリマーを得た。対応する高分子化合物をポリマー2〜6とする。各原料の使用量(ST及びVBGE蘭の下段はモル比を表す)、得られた高分子化合物の収率及び得られた高分子の分子量を表1に併せて示す。また、合成例1の結果も併せて示す。
【0105】
【表1】

【0106】
合成例7.ST-TEGVBEコポリマーの合成
スチレン(ST)5.9g(56.7mmol)、テトラエチレングリコールモノ(4-ビニル)ベンジルエーテル(TEGVBE)3.1g(10.0mmol)、トルエン7mL及び2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(和光純薬工業(株)製:商品名V-601)108mg(0.5mmol)を混合し、80℃で7時間撹拌重合させた。重合終了後、重合液をメタノール130mLに注入しポリマーを晶析させた。晶析したポリマーを分離し、メタノール50mlを加えてデカンテーションを行った。得られたポリマーをクロロホルム7mLに溶解させ、その溶液をメタノール130mLに注入して再沈させた。その後、ポリマーを分離して再度デカンテーションを行った後、室温下で減圧乾燥して白色粉末のポリマー6g(Mn:29609, Mw:43092)を得た。これをポリマー7とする。
【0107】
合成例8〜12.ST-TEGVBEコポリマーの合成
各原料の仕込量を表2に示した量にしたこと及び合成例12において貧溶媒としてのメタノールの代わりにジエチルエーテルを用いたこと以外は合成例7と同様にして、高分子化合物を得た。対応する高分子化合物をポリマー8〜12とする。モノマーの使用量(下段はモル比を表す)、V-601の使用量、得られた高分子化合物の収率及び分子量を表2に併せて示す。また、合成例7の結果も併せて示す。
【0108】
【表2】

【0109】
実施例1.本発明のオスミウム担持触媒組成物(PI-Os-1)の合成[2元ポリマー混合後にMC化、架橋する方法]
ポリマー1 3gとポリマー7 3gをテトラヒドロフラン96mL、メタノール24mlの混合溶媒に溶解し、そこに四酸化オスミウム1.2gを投入した後、室温で72時間撹拌した。その後、ヘキサン180mLを反応液に注入してさらに24時間攪拌し、オスミウムをポリマーに担持させた、マイクロカプセル化オスミウム触媒(MC-Os)を沈殿させた。上澄み液を除去し、室温で1時間減圧乾燥して6.4gのマイクロカプセル化オスミウム触媒を得た。その触媒1gを取り出し、150℃で5時間加熱して架橋させた。それをテトラヒドロフランで洗浄し、室温にて真空乾燥後、目的とするオスミウム担持触媒組成物 1gを得た。得られたオスミウム担持触媒組成物をPI-OS-1とした。なお、触媒組成物中のオスミウム含有量は蛍光X線にて測定した。
【0110】
実施例2.本発明のオスミウム担持触媒組成物(PI-Os-2)の合成[2元ポリマー混合後にMC化、架橋する方法]
ポリマー1とポリマー7の代わりにポリマー2とポリマー8を用いた以外は実施例1と同様にしてマイクロカプセル化オスミウム触媒(6.6g)を得た。その後、マイクロカプセル化オスミウム触媒6.6gを用いた以外は実施例1と同様に実験し、オスミウム担持触媒組成物 5.4gを得た。得られたオスミウム触媒をPI-OS-2とした。
【0111】
実施例3.本発明のオスミウム担持触媒組成物(PI-Os-3)の合成[2元ポリマー混合後にMC化、架橋する方法]
ポリマー1 3gとポリマー7 3gの代わりにポリマー3 3.2g,ポリマー9 3.2gを用い、四酸化オスミウムの使用量を1.3gとした以外は実施例1と同様にしてマイクロカプセル化オスミウム触媒(7.1)を得た。その後、マイクロカプセル化オスミウム触媒 3.1gを用いた以外は実施例1と同様に実験し、オスミウム担持触媒組成物 3.0gを得た。得られたオスミウム触媒をPI-OS-3とした。
なお、実施例1から3の結果に関し、実施例1〜3で用いた高分子化合物及びその総量、使用した四酸化オスミウム量(OsO4)、得られたマイクロカプセル化オスミウム触媒量(取得MC-OS)、使用したマイクロカプセル化オスミウム触媒量(使用MC-Os)、得られたオスミウム担持触媒組成物(PI-Os)及び触媒のPI-Os中のオスミウム含有量(Os含有量)を、表3に示す。
【0112】
【表3】

【0113】
実施例4.本発明のオスミウム担持触媒組成物(PI-Os-4)の合成[PI-OSの再加熱]
実施例2で得られたオスミウム担持触媒組成物(PI-Os-2)をさらに150℃で3時間再加熱を行ったオスミウム触媒を、PI-OS-4として得た。
【0114】
合成例13.マイクロカプセル化オスミウム触媒(MC-Os)の合成
ポリマー5 54.7gをテトラヒドロフラン880mL、メタノール220mlの混合溶媒に溶解し、そこに四酸化オスミウム10.5gを投入した後、室温で72時間撹拌した。その後、ヘキサン1650mLを反応液に注入してさらに24時間攪拌し、オスミウムをポリマーに担持させた、マイクロカプセル化オスミウム触媒(MC-Os)を沈殿させた。上澄み液を除去し、室温で1時間減圧乾燥して54.8gのマイクロカプセル化オスミウム触媒を得た。
【0115】
合成例14〜18. マイクロカプセル化オスミウム触媒(MC-Os)の合成
用いられる高分子化合物とその使用量、及び四酸化オスミウムの使用量を表4に示したものを用いた以外は合成例13と同様に実験し、オスミウムをポリマーに担持させた、マイクロカプセル化オスミウム触媒(MC-Os)を得た。得られたMC-Os量も併せて表4に示す。
【0116】
【表4】

【0117】
実施例5.本発明のオスミウム担持触媒組成物(PI-Os-10)の合成[2元ポリマーMC化後、混合、架橋する方法]
合成例13で得られたマイクロカプセル54.8gと合成例14で得られたマイクロカプセル58.1gをヘキサン500ml中で室温にて30分間撹拌して濾過し、室温で30分間真空乾燥させた。その後、十分に混合した2種のマイクロカプセル112.3gを150℃で5時間加熱して架橋させた。得られた組成物を、テトラヒドロフランで洗浄し、室温にて真空乾燥し、目的とする、オスミウム担持触媒組成物 101.4gを得た(オスミウム含有量0.83mmol/g)。得られたオスミウム担持触媒組成物をPI-OS-10とした。
【0118】
実施例6.本発明のオスミウム担持触媒組成物(PI-Os-11)の合成[2元ポリマーMC化後、混合、架橋する方法]
合成例13と14で得られたマイクロカプセルの代わりに合成例15で得られたマイクロカプセル3.2gと合成例16で得られたマイクロカプセル3.2gを用いた以外は、実施例5と同様に実験し、目的とするオスミウム担持触媒組成物 5.7gを得た(オスミウム含有量0.83mmol/g)。得られたオスミウム担持触媒組成物をPI-OS-11とした。
【0119】
実施例7.本発明のオスミウム担持触媒組成物(PI-Os-12)の合成[2元ポリマーMC化後、混合、架橋する方法]
合成例13と14で得られたマイクロカプセルの代わりに合成例17で得られたマイクロカプセル3.0gと合成例18で得られたマイクロカプセル3.0gを用いた以外は、実施例5と同様に実験し、目的とするオスミウム担持触媒組成物 5.3gを得た(オスミウム含有量0.75mmol/g)。得られたオスミウム担持触媒組成物をPI-OS-12とした。
【0120】
実施例8.本発明のオスミウム担持触媒組成物(PI-Os-13)の合成[PI-OSの再加熱]
実施例5で得られたオスミウム担持触媒組成物(PI-Os-10)をさらに150℃で2時間再加熱したオスミウム担持触媒組成物を、PI-OS-13として得た。
【0121】
実施例9.本発明のオスミウム担持触媒組成物(PI-Os-14)の合成[PI-OSの再加熱]
実施例6で得られたオスミウム担持触媒組成物(PI-Os-12)をさらに150℃で2時間再加熱したオスミウム担持触媒組成物を、PI-OS-14として得た。
【0122】
比較例1.3元ポリマーに担持されたオスミウム触媒組成物の合成
スチレン(ST)25.0g(240.0mmol)、4-ビニルベンジルグリシジルエーテル(VBGE)5.7g(30.0mmol)、テトラエチレングリコールモノ(4-ビニル)ベンジルエーテル(TEGVBE)9.3g(30.0 mmol)、クロロホルム38mL及び2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業(株)製:商品名V-70)650mg(2.1mmol)を混合し、室温で72時間撹拌重合させた。重合終了後、重合液をメタノール500mLに注入しポリマーを晶析させた。晶析したポリマーを分離し、メタノール100mlを加えてデカンテーションを行った。上澄み液を除去した後、ポリマーをクロロホルム38mLに溶解させた。その溶液をメタノール500mLに注入して再沈させた。ポリマーを分離して再度デカンテーションを行った後、室温下で減圧乾燥して白色粉末のポリマー10g(Mn:24500, Mw:33400)を得た。
得られたポリマー1.0gをテトラヒドロフラン16mL、メタノール4mlの混合溶媒に溶解し、そこに四酸化オスミウム200mgを投入した後、室温で72時間撹拌した。その後、ヘキサン30mLを反応液に注入してさらに24時間攪拌し、オスミウムをポリマーに担持させた、マイクロカプセル化触媒(MC)が沈殿した。上澄み液を除去して室温で1時間減圧乾燥した後、120℃1時間、130℃2時間加熱して架橋させた。テトラヒドロフランで洗浄し、室温にて真空乾燥後、目的とする、架橋高分子化合物に担持されたオスミウム触媒組成物1.1gを得た(Os含有量:0.70mmol/g)。
【0123】
実験例1. 本発明のオスミウム担持触媒組成物を用いたスチレンのジオール化反応
t-ブタノール-水(1:1)の溶媒20mLに、スチレン0.21g(2.0mmol)、炭酸カリウム0.83g(6.0mmol)、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム1.98g(6.0mmol)、(DHQD)2PHAL(Aldrich製)82mg(0.1mmol)及びPI-OS-1 136mg(0.1mmol)を加えて室温で17時間撹拌反応させた。反応終了後、チオ硫酸ナトリウム0.63g(4.0mmol)、i-プロパノール-水(1:3)8mlを加えてオスミウム担持触媒組成物以外の固体を溶解した。オスミウム担持触媒組成物(PI-OS-1)を濾過回収し、i-プロパノール-水(1:3)で洗浄した。次いで、上記i-プロパノール-水で溶解した溶液と洗浄に使用した洗浄液を合わせ、50mlにメスアップした。この溶液を用いて、触媒から反応溶液へのオスミウムの漏れ(leaching)を蛍光X線(EDX-800、島津製作所製)にて測定した。その結果、漏れは1%であった。また、測定後、その溶液中の目的物を酢酸エチル50mlで3回抽出した。得られた有機層を50mlの水で洗浄した後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60、メルク社製)で精製して、1-フェニル-1,2-エタンジオール0.25g(1.8mmol)を得た(収率:91%,光学収率:96%ee)。
また、上記で回収したオスミウム触媒を再使用して、前記と同様にしてスチレンのジオール化を行った。その結果、オスミウムの漏れは検出限界(1%)以下であり、1-フェニル-1,2-エタンジオールの収率は84%,光学収率は97%eeであった。
【0124】
実験例2.本発明のオスミウム担持触媒組成物を用いたα-メチルスチレンのジオール化反応
基質としてα-メチルスチレンを用いたこと以外は実験例1と同様に実験を行い、2-フェニル-1,2-プロパンジオールを得た。(収率87%,92%ee,漏れ:1%)
【0125】
実験例3〜9.本発明のオスミウム担持触媒組成物の回収再使用
本発明の四酸化オスミウム触媒組成物として、PI-OS-1の代わりにPI-OS-3,4及びPI-OS-10〜14を用いたこと及び基質としてα-メチルスチレンを用いた以外は、実験例1と同様に実験を行い、α-メチルスチレンのジオール化を行った。また、実験例1と同様にオスミウム担持触媒組成物の回収再使用実験も行った。表5に反応回数毎のジオールの収率%、光学収率(%)及び漏れ[%]を示す。また、実験例1及び2の結果も併せて示す。
尚、表中では、基質の収率 (光学収率)[漏れ]の順で記載し、これらを表中で記載する場合には、以下同様とした。また、表中のNDは、検出限界以下だったことを表し、以下同様とした。
【0126】
実験例10.本発明のオスミウム担持触媒組成物を用いたα-メチルスチレンのジオール化反応(実験例6の10倍スケール)
t-ブタノール-水(1:1)の溶媒200mLに、α-メチルスチレン2.36g(20mmol)、炭酸カリウム8.29g(60mmol)、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム19.75g(60mmol)、(DHQD)2PHAL(Aldrich製)0.82g(1.0mmol)及びPI-OS-11 1.28g(1.0mmol)を加えて室温で38時間撹拌反応させた。反応終了後、チオ硫酸ナトリウム6.32g(40mmol)、i-プロパノール-水(1:3)160mlを加えてオスミウム担持触媒組成物以外の固体を溶解した。オスミウム担持触媒組成物(PI-OS-11)を濾過回収し、i-プロパノール-水(1:3)で洗浄した。次いで、上記i-プロパノール-水で溶解した溶液と洗浄に使用した洗浄液を合わせ、500mlにメスアップした。この溶液を用いて、触媒から反応溶液へのオスミウムの漏れ(leaching)を蛍光X線(EDX-800、島津製作所製)にて測定した。その結果、漏れは1%であった。また、測定後、その溶液中の目的物を酢酸エチル200mlで3回抽出した。得られた有機層を200mlの水で洗浄した後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60、メルク社製)で精製して、2-フェニル-1,2-プロパンジオール2.73g(18mmol)を得た(収率90%,94%ee,漏れ:1%)。結果については、表5に、実験例1〜9の結果と併せて示す。
【0127】
比較例2.比較例1で得られたオスミウム触媒組成物によるスチレンのジオール化反応
t-ブタノール-水(1:1)の溶媒5mLにスチレン52mg(0.5mmol)、炭酸カリウム207mg(1.5mmol)、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム494mg(1.5mmol)、(DHQD)2PHAL(Aldrich製)20mg(0.025mmol)及び比較例1で得られたオスミウム触媒組成物36mg(0.025mmol)を加えて室温で12時間撹拌反応させた。反応終了後、チオ硫酸ナトリウム158mg(1.0mmol)、i-プロパノール-水(1:3)4mlを加えてオスミウム組成物以外の固体を溶解し、室温で10分攪拌した。本発明のオスミウム組成物を濾過回収し、i-プロパノール-水(1:3)で洗浄した後、反応液と洗浄液を合わせて50mlにメスアップした。この溶液を用いて、触媒から反応溶液へのオスミウムの漏れ(leaching)を蛍光X線にて測定した。測定後、溶液中の目的物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗した後濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、1-フェニル-1,2-エタンジオール55mg(0.4mmol)を得た(収率80%,97%ee,漏れ6%)。結果については、表5に、実験例1〜10の結果と併せて示す。
【0128】
【表5】

【0129】
これらの結果より、本発明のオスミウム担持触媒組成物を用いれば、85%以上の収率でジオール化反応を進めることができ、且つ不斉反応においても90%以上の光学収率で不斉体を得ることができることが判った。
そして、ポリマーからのオスミウムの漏れに関しては、従来の3元ポリマーをマイクロカプセル化(MC化)後架橋して得たオスミウム触媒組成物を用いた場合が6%であったのに対し、本発明のオスミウム担持触媒組成物を用いた場合、2%以下であった。特に、実験例5〜10の結果、即ち、2元ポリマーにオスミウム触媒をマイクロカプセル化(MC化)した後に、混合、架橋する方法により得られるオスミウム担持触媒組成物を用いた場合、その漏れは1%以下に抑えることができた。更に、実験例8及び9の結果、即ち、2元ポリマーにオスミウム触媒をマイクロカプセル化(MC化)した後に、混合、架橋する方法により得られるオスミウム担持触媒組成物を、更に加熱して得た触媒組成物を用いた場合、検出限界以下にまで漏れを抑えることが可能となることも判った。
【0130】
実験例11〜13.各種基質を用いたジオール化反応
t-ブタノール-水(1:1)の溶媒20mLに、各種基質(2mmol)、炭酸カリウム0.83g(6.0mmol)、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム1.98g(6.0mmol)、(DHQD)2PHAL(Aldrich製)82mg(0.1mmol)及び各種オスミウム担持触媒組成物(0.1mmol)を加えて室温で撹拌反応させ、ジオール化された基質の収率が80%以上となるまで反応させ、反応時間及び光学収率を測定した。また、実験例1の方法と同様にして、オスミウムの漏れについても測定した。なお、基質としては、スチレン、trans-スチルベン、trans-β-メチルスチレン、4-クロロスチレン及び1-フェニル-1-シクロヘキセンの何れかを用い、オスミウム担持触媒組成物としては、PI-Os-3、PI-Os-11及びPI-Os-13をそれぞれ用いた。
下記表6に、ジオール化された基質の収率(%)、光学収率(%)、漏れ(%)、並びに反応時間を示す。
【0131】
【表6】

【0132】
この結果より、本発明のオスミウム担持触媒組成物を用いた場合、反応物の収率が80%以上となるのに時間のばらつきは見られるもののその際の光学収率は全て95%以上であり、オスミウム触媒の漏れも2%以下に抑えることができることが判った。即ち、本発明のオスミウム担持触媒組成物は、反応率、光学収率並びにオスミウム触媒の漏れに関し、基質の影響を受けないことが判った。
オスミウム触媒の漏れは、オスミウム触媒を2元ポリマーでMC化した後に、混合、架橋する方法により得られるPI-Os-11、及びオスミウム触媒を2元ポリマーでMC化した後に、混合、架橋する方法により得られるオスミウム担持触媒組成物を更に加熱処理して得られるPI-Os-13については、1%〜検出限界以下に抑えることができ、特に優れた効果を奏することが判った。
【0133】
実験例14.反応溶媒による漏れへの影響(耐溶剤性への影響)
t-ブタノール-水(1:1)の溶媒20mLに、α-メチルスチレン0.24g(2.0mmol)、N-メチルモルホリン-N-オキシド0.35g(3.0mmol)及び本発明の触媒組成物としてPI-OS-10 121mg(0.1mmol)を加えて室温で24時間撹拌反応させた。その後、PI-OS-10を濾過回収し、i-プロパノール-水(1:3)で洗浄した後、反応液と洗浄液を合わせて50mlにメスアップした。この溶液を用いて、触媒から反応溶液へのオスミウムの漏れ(leaching)を蛍光X線にて測定した。測定後、溶液中の目的物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗した後濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、2-フェニル-1,2-プロパンジオール0.20g(1.3mmol)を得た。(収率66%,漏れND)
【0134】
実験例15〜17.反応溶媒による漏れへの影響(耐溶剤性への影響)
溶媒と反応時間を表7に示したようにした以外は実験例14と同様にして、2-フェニル-1,2-プロパンジオールを得た。収率及び漏れを表7に示す。
【0135】
【表7】

【0136】
比較例3〜6.スチレンのジオール化反応(各種溶媒)
PI-OS-10の代わりに比較例1で得られたオスミウム担持触媒組成物を用い、溶媒と反応時間を表8に示したようにした以外は実験例14と同様にして、2-フェニル-1,2-プロパンジオールを得た。収率及び漏れを表8に示す。
【0137】
【表8】

【0138】
引例1で得られたオスミウム担持触媒組成物を用いて、各種溶媒を用いた時の漏れを確認した結果、4〜20%であり、特にアセトン-水(1:1)の場合、20%も溶け出していることが判った。一方、上記実験例14〜17の結果より、本発明のオスミウム担持触媒組成物を用いた場合、t-ブタノール-水(1:1)、アセトン―水(1:1)、酢酸エチル―水(1:1)及びトルエン―アセトニトリル―水(1:1:1)何れの溶媒であっても、漏れは1%又は検出限界以下であることが判った。特に、アセトン―水(1:1)を用いた場合であっても漏れが1%以下であったことから、従来のものよりもオスミウム触媒の漏れ率が大幅に改善されていることが判った。即ち、本発明のオスミウム担持触媒組成物は、従来のオスミウム担持触媒組成物と比較して、種々の溶媒に対して高い耐溶剤性効果を有することが判った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)(1)スチレン系モノマー並びに(2)エポキシ基を有する芳香族基及び重合性二重結合を含有するモノマーを共重合することにより得られるコポリマーと、(1)スチレン系モノマー並びに(2)下記一般式[3]で示される親水性基含有モノマー


[式中、R10〜R12は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R13は、炭素数6〜10のアリーレン基(その芳香環が炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基及び/又はハロゲン原子を置換基として有するものも含む)を表し、R14は、下記一般式[31]で示される基

(式中、R40は、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、R41は、酸素原子を鎖中に有する若しくは有さない炭素数1〜20のアルキレン基を表す)である。]を共重合することにより得られるコポリマーのそれぞれにオスミウム触媒を担持させ、次いで混合した後、或いは、
(II)(1)スチレン系モノマー並びに(2)エポキシ基を有する芳香族基及び重合性二重結合を含有するモノマーを共重合することにより得られるコポリマーと、(1)スチレン系モノマー並びに(2)下記一般式[3]で示される親水性基含有モノマー

[式中、R10〜R12は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R13は、炭素数6〜10のアリーレン基(その芳香環が炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基及び/又はハロゲン原子を置換基として有するものも含む)を表し、R14は、下記一般式[31]で示される基

(式中、R40は、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、R41は、酸素原子を鎖中に有する若しくは有さない炭素数1〜20のアルキレン基を表す)である。]を共重合することにより得られるコポリマーとの混合物にオスミウム触媒を担持させた後、得られたオスミウム担持ポリマーを架橋反応に付すことを特徴とする、オスミウム担持触媒組成物の製造方法。
【請求項2】
前記スチレン系モノマーが、下記一般式[1]で示されるモノマー

(R1〜R3は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは、炭素数6〜10のアリール基を表し、これらアリール基は、その芳香環が、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基及び/又はハロゲン原子を置換基として有するものも含む。)であり、
前記エポキシ基を有する芳香族基及び重合性二重結合を含有するモノマーが、下記一般式[2]で示されるモノマー

[R〜Rは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは、炭素数6〜10のアリーレン基又は炭素数7〜12のアリールアルキレン基(該アリーレン基及びアリールアルキレン基は、その芳香環が炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基及び/又はハロゲン原子を置換基として有するものも含む)を表し、Rは、下記一般式[21]又は[22]で示されるエポキシ基を含有する基



(式中、R21及びR25は、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、R22及びR26は、酸素原子を鎖中に有する若しくは有さない炭素数1〜20のアルキレン基を表し、R23、R24、R27及びR28は夫々独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基を表し、該アリール基及びアラルキル基は、その芳香環が、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基及び/又はハロゲン原子を有するものも含む。)]である、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
1〜R3、R〜R、R10〜R12が水素原子又はメチル基である請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
がフェニル基である請求項2記載の製造方法。
【請求項5】
がフェニレン基であって、Rが下記一般式[23]で示されるエポキシ基を含有する基

(式中、R31は、炭素数1〜3のアルキレン基を表し、nは、1〜6を表す。R21、R23及びR24は、上記と同じ。)である、請求項2記載の製造方法。
【請求項6】
21及びR31がメチレン基、R23及びR24がメチル基である、請求項5記載の製造方法。
【請求項7】
14が下記一般式[32]又は一般式[33]で示される基



(式中、R42は、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、R43、R44及びR45は、炭素数1〜3のアルキレン基を表し、pは1〜6の整数を、qは2〜6の整数を表す。)である、請求項1記載の製造方法。
【請求項8】
13がフェニレン基であって、R14が一般式[32]で示される基である、請求項7記載の製造方法。
【請求項9】
42がメチレン基、R43がエチレン基である、請求項8記載の製造方法。
【請求項10】
(1)スチレン系モノマーと(2)エポキシ基を有する芳香族基及び重合性二重結合を含有するモノマーのモル重合比率が60:40〜95:5であり、(1)スチレン系モノマーと(2)前記一般式[3]で示される親水性基含有モノマーのモル重合比率が60:40〜95:5である、請求項1記載の製造方法。
【請求項11】
(1)スチレン系モノマーと(2)エポキシ基を有する芳香族基及び重合性二重結合を含有するモノマーのモル重合比率が70:30〜90:10であり、(1)スチレン系モノマーと(2)前記一般式[3]で示される親水性基含有モノマーのモル重合比率が70:30〜90:10である、請求項1記載の製造方法。
【請求項12】
(I)(1)スチレン系モノマー並びに(2)エポキシ基を有する芳香族基及び重合性二重結合を含有するモノマーを共重合することにより得られるコポリマーと、(1)スチレン系モノマー並びに(2)下記一般式[3]で示される親水性基含有モノマー


[式中、R10〜R12は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R13は、炭素数6〜10のアリーレン基(その芳香環が炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基及び/又はハロゲン原子を置換基として有するものも含む)を表し、R14は、下記一般式[31]で示される基

(式中、R40は、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、R41は、酸素原子を鎖中に有する若しくは有さない炭素数1〜20のアルキレン基を表す)である。]を共重合することにより得られるコポリマーのそれぞれにオスミウム触媒を担持させ、次いで混合した後、或いは、
(II)(1)スチレン系モノマー並びに(2)エポキシ基を有する芳香族基及び重合性二重結合を含有するモノマーを共重合することにより得られるコポリマーと、(1)スチレン系モノマー並びに(2)下記一般式[3]で示される親水性基含有モノマー


[式中、R10〜R12は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R13は、炭素数6〜10のアリーレン基(その芳香環が炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基及び/又はハロゲン原子を置換基として有するものも含む)を表し、R14は、下記一般式[31]で示される基

(式中、R40は、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、R41は、酸素原子を鎖中に有する若しくは有さない炭素数1〜20のアルキレン基を表す)である。]を共重合することにより得られるコポリマーとの混合物にオスミウム触媒を担持させた後、得られたオスミウム担持ポリマーを架橋反応に付すことにより得られる、オスミウム担持触媒組成物。

【公開番号】特開2011−183363(P2011−183363A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54619(P2010−54619)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構委託研究(グリーン・サステイナブルケミカルプロセス基盤技術開発 有害な化学物質を削減できる、又は使わない革新的プロセス及び化学品の開発、及び廃棄物、副生成物を削減できる確信的プロセス及び化学品の開発 革新的アクア・固定化触媒プロセス技術開発)事案に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000252300)和光純薬工業株式会社 (105)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】