説明

オス部材カバー及びカバー付きオス部材

【課題】オス部材をメス部材から分離したときに、オス部材カバーを初期状態に確実に復帰させる。
【解決手段】オス部材カバーは、弾性的に圧縮変形可能な外周壁61と、外周壁の一端に設けられ且つオス部材が貫通可能な貫通穴66が形成された天板65とを含み、可撓性を有する材料からなるカバー本体60と、天板とともに変位するスライド部材80と、外周壁が圧縮変形することにともなうスライド部材の変位に抗する力をスライド部材に印加する弾性部材70とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オス部材に装着されるオス部材カバーに関する。また、本発明は、オス部材にオス部材カバーが装着されたカバー付きオス部材に関する。
【背景技術】
【0002】
バイアル瓶に収納された粉末状の薬剤を患者に投与する際には、一般に、バイアル瓶内に溶解液を注入し薬剤を溶解させ、次いで、薬剤の溶液(薬液)を薬液バッグに注入する。この一連の作業を効率的に行うことを可能にするコネクタが特許文献1に記載されている。このコネクタには、バイアル瓶と、薬液バッグと、更にこれらの間で液状物を移動させるためのシリンジとが接続される。コネクタには、これら三者間の流路を切り替えるためのコックが設けられている。コックを操作して適切な流路を形成した状態でシリンジを押し引き操作することにより、シリンジを介してバイアル瓶と薬液バッグとの間で液状物の移動を行うことができる。
【0003】
上記の特許文献1では、コネクタと薬液バッグのポートとは、オスルアーとニードルレスポートとによるスリップ接続により連通される。ニードルレスポートは、中央部に直線状のスリット(切り込み)が形成されたゴム等の弾性材料からなる隔壁部材(以下「セプタム」という)を備える。セプタムのスリットに、注射針等の鋭利な金属針が付いていないオスルアー(管状体)を挿入することにより、ニードルレスポートとオスルアーとが連通する。ニードルレスポートからオスルアーを抜き去るとセプタムのスリットは直ちに閉じる。
【0004】
一方、コネクタとバイアル瓶とは、コネクタに形成された樹脂針をバイアル瓶のゴム栓に穿刺することにより連通される。
【0005】
薬剤の中には、例えば一部の抗がん剤のように劇薬に指定されているものがある。このような危険な薬剤を含む薬液が漏れ出して作業者の指等に付着したり、薬液の蒸気を作業者が吸引したりする事態は回避しなければならない。
【0006】
そこで、上記の特許文献1には、ニードルレスポートに接続されていないオスルアーから液状物が漏れ出るのを防止するために、オスルアーを圧縮変形可能なオス部材カバー(以下、単に「カバー」という)で覆う方法が記載されている。このカバーのオスルアーの先端に対向する位置には、直線状のスリット(切り込み)が形成されている。オスルアーがニードルレスポートに接続されていないときには、オスルアーはカバーで覆われ、カバーのスリットは閉じている。オスルアーをニードルレスポートに接続しようとすると、オスルアーがカバーのスリットを貫通し、更にセプタムのスリットを貫通する。このとき、カバーは弾性的に圧縮変形する。オスルアーをニードルレスポートから抜き取ると、カバーは伸長し、初期状態に戻る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2010/061743号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
圧縮変形されたカバーが伸長する際、カバーはオスルアーの外周面上を摺動する。摺動の際のカバーとオスルアーとの間の摩擦力が、カバーの伸長を妨げる。
【0009】
上記の特許文献1では、オスルアーをニードルレスポートから抜き取った後のカバーの伸長は、圧縮変形されたカバーの弾性回復力を利用している。摩擦力に比べて弾性回復力が弱いと、カバーが初期状態に戻らないという課題がある。
【0010】
摩擦力を小さくするためには、カバーのスリットの対向する端縁間の密着性を低下させればよい。しかしながら、これは、オスルアーが貫通していないときのスリットのシール性を低下させ、スリットから液漏れが生じる可能性を増大させる。
【0011】
また、上記の特許文献1では、バイアル瓶のゴム栓に穿刺される樹脂針にはカバーが設けられておらず、当該樹脂針からの液漏れが生じる可能性がある。
【0012】
本発明の目的は、オスルアーや樹脂針等のオス部材をメス部材から分離したときに、オス部材カバーを初期状態に確実に復帰させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のオス部材カバーは、液状物が流れる流路が形成されたオス部材の少なくとも先端を覆うオス部材カバーであって、弾性的に圧縮変形可能な外周壁と、前記外周壁の一端に設けられ且つ前記オス部材が貫通可能な貫通穴が形成された天板とを含み、可撓性を有する材料からなるカバー本体と、前記天板とともに変位するスライド部材と、前記外周壁が圧縮変形することにともなう前記スライド部材の変位に抗する力を前記スライド部材に印加する弾性部材とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明のカバー付きオス部材は、液状物が流れる流路が形成されたオス部材と、前記オス部材の少なくとも先端を覆うオス部材カバーとを備えたカバー付きオス部材であって、前記オス部材カバーが上記の本発明のオス部材カバーであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、天板とともに変位するスライド部材と、外周壁が圧縮変形することにともなうスライド部材の変位に抗する力をスライド部材に印加する弾性部材とを備えるので、外周壁を圧縮変形させる外力がなくなると、外周壁は、自身の弾性回復力に加えて弾性部材の弾性回復力を利用して伸張する。即ち、外周壁を伸長させるために大きな力を発生させることができる。従って、オス部材をメス部材から抜き取ると、オス部材カバーは直ちに初期状態に復帰し、オス部材の先端を覆うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1Aは本発明の一実施形態に係るオス部材カバーを備えたコネクタの正面上方から見た斜視図、図1Bはその背面上方から見た斜視図、図1Cはその下方から見た斜視図である。
【図2A】図2Aは、図1Aの2A−2A線を含む上下方向断面に沿った本発明の一実施形態に係るコネクタの矢視断面図である。
【図2B】図2Bは、図1Bの2B−2B線を含む上下方向断面に沿った本発明の一実施形態に係るコネクタの矢視断面図である。
【図3】図3Aは図1A及び図1Bに示したコネクタを構成するコネクタ本体の上方から見た斜視図、図3Bはその下方から見た斜視図である。
【図4】図4Aは図1A及び図1Bに示したコネクタを構成するコネクタ本体の平面図、図4Bはその正面図、図4Cはその底面図である。
【図5】図5Aは図4Aの5A−5A線を含む上下方向断面に沿ったコネクタ本体の矢視断面図、図5Bは図4Aの5B−5B線を含む上下方向断面に沿ったコネクタ本体の矢視断面図である。
【図6】図6Aは図1A及び図1Bに示したコネクタを構成するカバー本体の上方から見た斜視図、図6Bはその下方から見た斜視図である。
【図7】図7Aは図6Aの7A−7A線を含む上下方向断面に沿ったカバー本体の矢視断面図、図7Bはカバー本体の底面図である。
【図8】図8Aは図1A及び図1Bに示したコネクタを構成するスライド部材の下方から見た斜視図、図8Bはその上方から見た斜視図である。
【図9】図9は、図1A及び図1Bに示したコネクタの樹脂針をバイアル瓶のゴム栓に穿刺する直前の状態を示した斜視図である。
【図10】図10は、図1A及び図1Bに示したコネクタの樹脂針をバイアル瓶のゴム栓に穿刺した状態を示した斜視図である。
【図11A】図11Aは、図10の11A−11A線を含む上下方向断面に沿った矢視断面図である。
【図11B】図11Bは、図10の11B−11B線を含む上下方向断面に沿った矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の上記のオス部材カバーにおいて、前記弾性部材は前記スライド部材が変位することによって弾性的に伸び変形し、前記スライド部材には伸び変形した前記弾性部材の引っ張り力が印加されることが好ましい。弾性部材の伸び変形とこれにより発生する引っ張り力を利用することにより、カバー本体の外周壁の圧縮変形量が大きな場合にも本発明を容易に適用することができる。
【0018】
前記弾性部材が前記カバー本体に一体的に設けられていることが好ましい。これにより、部品点数を削減することができ、また、組立が容易になる。
【0019】
前記弾性部材の一端が前記樹脂針又は前記樹脂針に対して変位しない部材に固定され、その他端が前記スライド部材に固定されていることが好ましい。これにより、弾性部材の弾性回復力を、圧縮変形したカバー本体を伸長させるために利用することができる。
【0020】
前記スライド部材は前記カバー本体よりも硬い材料からなることが好ましい。これにより、スライド部材は天板をしっかりと保持することができるので、弾性部材に発生した弾性回復力を無駄なくカバー本体を伸長させるために利用することができる。
【0021】
前記スライド部材は、前記貫通穴が閉じるように前記天板を変形させていることが好ましい。これにより、オス部材が貫通穴に挿入されていないとき、即ち、オス部材が非接続状態のときの貫通穴のシール性が向上するので、オス部材から液状物がカバー本体外に漏れ出る可能性を低減することができる。
【0022】
閉じられた前記貫通穴の対向する端縁に、互いに対向する向きの付勢力が印加されていることが好ましい。これにより、オス部材が貫通穴に挿入されていないときの貫通穴のシール性が更に向上する。
【0023】
前記保持穴に保持された前記貫通穴は「−」(マイナス)字状であることが好ましい。これにより、貫通穴の開口形状を簡単化することができる。
【0024】
前記スライド部材には、前記弾性部材の一端が係止される係止形状が設けられていることが好ましい。これにより、スライド部材と弾性部材との組立が容易になる。
【0025】
前記外周壁は蛇腹形状を有することが好ましい。これにより、オス部材の長手方向に弾性的に圧縮変形する外周壁を容易且つ低コストで提供することができる。
【0026】
本発明の上記のカバー付きオス部材において、前記オス部材をメス部材に挿入(穿刺を含む)する際、前記外周壁が圧縮変形し、前記オス部材が前記天板の前記貫通穴と前記スライド部材とを貫通することが好ましい。
【0027】
前記オス部材が前記天板の前記貫通穴を貫通していないとき、前記オス部材の流路の先端側の開口は前記カバー本体によって閉じられていることが好ましい。これにより、オス部材の流路内の液状物がオス部材カバー内に漏れ出る可能性を低減することができる。
【0028】
前記天板の前記貫通穴は、前記オス部材の先端が対向する位置に設けられていることが好ましい。これにより、オス部材をメス部材に挿入する際に、オス部材は貫通穴内に容易に進入することができる。
【0029】
前記オス部材が、バイアル瓶のゴム栓に穿刺される樹脂針であってもよい。
【0030】
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の部材を備え得る。また、以下の各図中の寸法は、実際の寸法および寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0031】
本発明のオス部材カバーをバイアル瓶のゴム栓に穿刺される樹脂針に適用した場合を例に、本発明を説明する。
【0032】
図1Aは本発明の一実施形態に係るオス部材カバーを備えたコネクタ1の正面上方から見た斜視図、図1Bはその背面上方から見た斜視図、図1Cはその下方から見た斜視図である。図2Aは図1Aの2A−2A線を含む上下方向断面に沿ったコネクタ1の矢視断面図、図2Bは図1Bの2B−2B線を含む上下方向断面に沿ったコネクタ1の矢視断面図である。コネクタ1は、上述した特許文献1に記載されたコネクタと同様に、シリンジを介してバイアル瓶と薬液バッグとの間で液状物の移動を行う際に使用することができるコネクタである。以下の説明では、主として本発明のオス部材カバー及びその周辺部の構成を説明し、これら以外のコネクタ1の構成の説明を省略する。
【0033】
以下の説明の便宜のために、図2A、図2Bの紙面の上側をコネクタ1及びオス部材カバーの「上側」と呼び、図2A、図2Bの紙面の下側をコネクタ1及びオス部材カバーの「下側」と呼ぶ。また、図2A、図2Bの紙面の左右方向を「水平方向」と呼ぶ。但し、この上下は、コネクタ1及びオス部材カバーの実際の使用状態の上下を意味するものではない。
【0034】
本実施形態のコネクタ1は、コネクタ本体20、カバー本体60、弾性部材70、スライド部材80、コック90を備える。本実施形態のオス部材カバーは、コネクタ本体20に設けられた樹脂針40(詳細は後述する)の少なくとも先端を覆うカバーであって、カバー本体60、弾性部材70、及びスライド部材80を含む。
【0035】
図3Aはコネクタ本体20の上方から見た斜視図、図3Bはその下方から見た斜視図である。図4Aはコネクタ本体20の平面図、図4Bはその正面図、図4Cはその底面図である。図5Aは図4Aの5A−5A線を含む上下方向断面に沿ったコネクタ本体20の矢視断面図、図5Bは図4Aの5B−5B線を含む上下方向断面に沿ったコネクタ本体20の矢視断面図である。
【0036】
図5Bに示されているように、コネクタ本体20は、バイアル瓶のゴム栓に穿刺される樹脂針40を備える。樹脂針40には、液状物が通過する第1流路41と、気体が通過する第2流路42とが形成されている。第1流路41及び第2流路42は、互いに独立し、樹脂針40の長手方向に沿っている。樹脂針40の先端(下端)は、略円錐面45が形成されて先鋭化されている。
【0037】
樹脂針40の上端は、水平方向に延びた筒状体21に接続されている。筒状体21は、略円筒形状を有し、樹脂針40の第1流路41及び第2流路42と連通している。筒状体21の外周面上であって、樹脂針40の付け根には、樹脂針40を取り囲むように、平面視形状がいずれも円形である溝43a及び突条43bからなる環状凹凸43が形成されている。
【0038】
筒状体21の一端は、コック90が挿入されるコック保持部25であり、その他端はシリンジ(図示せず)のオスルアーが挿入されるシリンジ接続部26である。樹脂針40の第1流路41及び第2流路42が対向する位置又はその近傍の位置に、筒状体21と連通して第3流路23及び第4流路24が形成されている。第3流路23は液状物が通過する流路であり、第4流路24は気体が通過する流路である。第3流路23及び第4流路24の上端は薬液バッグ(図示せず)に接続され連通される。薬液バッグには、例えばバイアル瓶中の粉末状の薬剤を溶解させるための溶解液が充填されている。第4流路24上には、逆止弁(図示せず)が設けられることが好ましい。逆止弁は、コネクタ本体20の姿勢によって気体の流れが禁止される方向が反転するように、球体等を用いて構成されることが好ましい。
【0039】
図3B、図5Bに示されているように、樹脂針40と同軸の略円筒形状を有するフード30が、樹脂針40を取り囲むように、筒状体21に一体的に設けられている。
【0040】
図3A、図3B、図5Aに示されているように、樹脂針40を挟むように、樹脂針40と略平行な一対のロックレバー31が設けられている。各ロックレバー31は、略水平方向に延びた一対の支持片35を介して筒状体21に保持されている。ロックレバー31は、支持片35が接続された位置に対して一方の側(下側)にロック片32を備え、他方の側(上側)に操作片34を備える。ロック片32が樹脂針40と直接対向するように、フード30が切り欠かれている。ロック片32の樹脂針30に対向する側の面の先端には、係合爪33が形成されている。
【0041】
ロック片32及び操作片34を含むロックレバー31は実質的に剛体とみなすことができる。一方、ロックレバー31を支持する支持片35は弾性的に湾曲可能である。従って、支持片35が湾曲することにより、ロックレバー31は弾性的に揺動する。例えば、操作片34を互いに接近するように一対のロックレバー31を揺動させると、ロック片32は互いに離間する。
【0042】
図4A、図4Cに示されているように、筒状体21の両側に、筒状体21と、ロックレバー31と、筒状体21とロックレバー31とを繋ぐ一対の支持片35とで囲まれた案内穴28が形成されている。
【0043】
図3B、図5A、図5Bに示されているように、フード30の内周面の下端近傍の位置に、樹脂針40に向かって突出した複数(本実施形態では4つ)の係止爪37が略等角度で形成されている。
【0044】
コネクタ本体20は、例えばポリカーボネート、ポリアセタール等の硬質材料を用いて、射出成形等により一体的に作成することができる。
【0045】
図6Aはカバー本体60の上方から見た斜視図、図6Bはその下方から見た斜視図である。図7Aは図6Aの7A−7A線を含む上下方向断面に沿ったカバー本体60の矢視断面図、図7Bはカバー本体60の底面図である。
【0046】
カバー本体60は、略筒形状を有する外周壁61と、外周壁61の下端に設けられた天板65と、外周壁61の上端に設けられた基部67とを備える。カバー本体60には、基部67側から天板65に向かって所定深さの内腔64が形成されている。
【0047】
外周壁61は、その上下方向寸法が短縮するように弾性的に圧縮変形可能である。これを実現するために、本実施形態では、外周壁61は、その外寸法が一定範囲内で上下方向に一定周期で変化した蛇腹形状を有している。本実施形態では、外周壁61の水平方向に沿った断面形状は円形であるが、四角形、六角形等の多角形などの任意の形状であってもよい。
【0048】
外周壁61の外周面は、天板65の近傍に、外径が拡大された径大部63を有し、径大部63と天板65との間に、これらに比べて外径が相対的に小さな径小部62を有する。
【0049】
天板65は、外径D1の、全体として略円板形状を有し、その中央には、天板65を上下方向に貫通する貫通穴66が形成されている。本実施形態では、下方から見た貫通穴66はスリット形状を有している。
【0050】
基部67は、全体として略ドーナツ形状を有し、その上面(外周壁61とは反対側の面)には、平面視形状がいずれも円形である溝68a及び突条68bからなる環状凹凸68が形成されている。
【0051】
基部67の外周端縁の対向する位置に、一対の弾性部材70が水平方向と略平行に外方向に突出するように設けられている。弾性部材70は、基部67側の基端部71と、先端(自由端)側の係止部72とを備える。係止部72には、係止部72を貫通する係止穴73が形成されている。弾性部材70の、基端部71と係止部72との間の領域には貫通穴74が形成されている。これにより、基端部71と係止部72とは一対の弾性変形部75によって接続されている。
【0052】
カバー本体60の内腔64を構成する内周面は、略円筒面であり、その最深部(天板65側の部分)には、略円錐面69が形成されている。略円錐面69の円錐角は、カバー本体60に挿入される樹脂針34の先端の略円錐面45の円錐角と同一であることが好ましい。貫通穴66は略円錐面69の頂点の位置に設けられている。
【0053】
カバー本体60は、弾性部材70とともに、可撓性(柔軟性)を有する材料(例えばシリコンゴム、イソプレンゴム)で一体的に形成することができる。
【0054】
図8Aはスライド部材80の下方から見た斜視図、図8Bはその上方から見た斜視図である。
【0055】
スライド部材80は、略円板形状を有する基板81を備える。基板81の中央には、基板81を貫通する保持穴82が形成されている。図8Aに示されているように、保持穴82の下側の外周端縁は基板81の下面に比べて後退して、保持凹部83を構成している。下方から見た保持凹部83の形状は、内径D0の円形である。
【0056】
基板81の外周端縁には一対の切り欠き84が形成されている。一対の切り欠き84は、保持穴82に対して対称位置に形成されている。
【0057】
保持穴82と一対の切り欠き84との間に、一対のガイド部材85が設けられている。一対のガイド部材85は、互いに平行に、基板81の上面に、上方に向かって立設されている。ガイド部材85の上端には、係止突起86が、上方に向かって立設されている。
【0058】
基板81の外周面には、切り欠き84が形成された領域を除いて、周方向に連続した係止リブ87が外方向に突出している。
【0059】
スライド部材80は、例えばポリカーボネート、ポリアセタール等の、カバー本体60よりも硬い材料を用いて、射出成形等により一体的に作成することができる。
【0060】
コック90の構成は、本発明と直接関係がないため、その詳細な説明を省略する。例えば、上述した特許文献1に記載されているように、コネクタ本体20のコック保持部25に挿入されるコック90の部分に、外周面に沿った溝及び/又は径方向に貫通する貫通穴を形成してもよい。これにより、コック90をコネクタ本体20のコック保持部25に挿入した状態でコック90を回転させることにより、第1流路41及び第2流路42と、第3流路23及び第4流路24と、シリンジ接続部26との間の連通状態を切り替えることができる。
【0061】
以下に、コネクタ1の組み立て方法を説明する。
【0062】
最初に、カバー本体60とスライド部材80とを組み合わせる。
【0063】
即ち、スライド部材80の上側(ガイド部材85が形成された側)から、スライド部材80の保持穴82内に、カバー本体60の天板65を挿入する。天板65の外径D1は保持穴82の内径より大きいが、カバー本体60は可撓性を有する材料からなるので、天板65を変形させることにより、保持穴82に天板65を通過させることができる。
【0064】
保持穴82を通過した天板65は、保持凹部83内に収納される。保持穴82の内周面にカバー本体60の径小部62が対向する。従って、図2Bに示されているように、スライド部材80の保持穴82の端縁が、カバー本体60の径大部63と天板65とで上下方向に挟まれる。その結果、天板65の上下方向位置はスライド部材80によって拘束される。更に、スライド部材80の係止突起86を、カバー本体60に一体化された弾性部材70の係止穴73に嵌入させて、弾性部材70の係止部72をガイド部材85に係止する。
【0065】
天板65の外径D1が、保持凹部83の内径D0より大きいことが好ましい。この好ましい構成では、保持凹部83の内径D0の内周面は、天板65に、その半径方向の圧縮力を印加する。この圧縮力が、天板65に形成されたスリット状の貫通穴66の対向する端縁を密着させる。より好ましくは、閉じられた貫通穴66の対向する端縁は、互いに相手方に向かう向きに付勢される。これにより、樹脂針40が貫通穴66に挿入されていないときの貫通穴66のシール性が向上する。
【0066】
次に、以上のようにカバー本体60が組み付けられたスライド部材80を、コネクタ本体20に組み合わせる。
【0067】
即ち、コネクタ本体20のフード30内に、スライド部材80を、ガイド部材85側から挿入する。このとき、コネクタ本体20の一対のロックレバー31に、スライド部材80の一対のガイド部材85が対向するように、コネクタ本体20とスライド部材80とを位置合わせする。スライド部材80の基板81の外周端縁に切り欠き84が形成されているので、挿入の過程で、コネクタ本体20のロックレバー31の先端に形成された係合爪33がスライド部材80の基板81に衝突することはない。スライド部材80の係止リブ87が、フード30の内周面に形成された係止爪37を乗り越えると、コネクタ本体20に対するスライド部材80の組み付けが完了する。
【0068】
最後に、コック90を、コネクタ本体20のコック保持部25に挿入する。
【0069】
かくして、図1A、図1B、図2A、図2Bに示したコネクタ1が得られる。
【0070】
図2A、図2Bに示されているように、カバー本体60の内腔64内にコネクタ本体20の樹脂針40が挿入されている。コネクタ本体20の環状凹凸43がカバー本体60の環状凹凸68と嵌合している。従って、樹脂針40を含む空間は、カバー本体60によって外界とは液密に封止されている。好ましくは、樹脂針40の第1流路41及び第2流路42の先端側の開口は、カバー本体60の内周面に密着することにより封止されている。天板65の貫通穴66は樹脂針40の先端と対向している。
【0071】
スライド部材80の係止リブ87が、フード30の内周面に形成された係止爪37と係合しているので、スライド部材80は、コネクタ本体20に対して下方に落下することはない。
【0072】
スライド部材80の基板81の外周端縁に切り欠き84が形成されているので、使用時にロックレバー31を揺動させても、ロックレバー31のロック片32及び係合爪33がスライド部材80に衝突することがない。
【0073】
図2Bに示されているように、スライド部材80の一対のガイド部材85が、コネクタ本体20の一対の案内穴28内に挿入されている。
【0074】
次に、本実施形態のコネクタ1とバイアル瓶100との接続を説明する。
【0075】
本実施形態のコネクタ1を図9に示すようにバイアル瓶100に対向させて、樹脂針40をゴム栓101に穿刺する。
【0076】
図10は、コネクタ1の樹脂針40をバイアル瓶100のゴム栓101に穿刺した状態を示した斜視図である。図11Aは図10の11A−11A線を含む上下方向断面に沿った矢視断面図、図11Bは図10の11B−11B線を含む上下方向断面に沿った矢視断面図である。実際には、コネクタ1のシリンジ接続部26にはシリンジのオスルアーが接続され、第3流路23及び第4流路24にはコネクタ1とは別のコネクタ等を介して薬液バッグと接続されるが、図9、図10、図11A、図11Bでは、図面を簡単化するために、これらの図示を省略している。
【0077】
以下に、樹脂針40をゴム栓101に穿刺するときの、コネクタ1を構成する各部の動作を説明する。
【0078】
図9に示すように、バイアル瓶100のゴム栓101にコネクタ1を対向させ、ゴム栓101がフード30内に挿入されるように、コネクタ1をバイアル瓶100に押し付ける。
【0079】
図1Cに示されているように、フード30内には、スライド部材80の基板81の下面及び天板65の下面が露出している。従って、ゴム栓101がフード30内に挿入されると、ゴム栓101の上面が基板81の下面(場合によっては更に天板65の下面)に当接する。ゴム栓101をフード30内に更に深く挿入すると、スライド部材80及びこれに保持された天板65は、ゴム栓101とともにフード30内に挿入され、樹脂針40を含むコネクタ本体20に対して一体的に変位する。従って、樹脂針40の先端が、カバー本体60の天板65に押し付けられ、天板65を弾性変形させて、貫通穴66内に侵入する。そして、樹脂針40は、貫通穴66及びスライド部材80の保持穴82を貫通する。その後、樹脂針40は、バイアル瓶100のゴム栓101に突き刺さる。一方、カバー本体60の環状凹凸68はコネクタ本体20の環状凹凸43と嵌合しているので、カバー本体60の基部67はコネクタ本体20に対して変位できない。その結果、カバー本体60の外周壁61は、上下方向に弾性的に圧縮変形せしめられる。また、基部67とガイド部材85との間に架け渡された弾性部材70は、弾性的に伸び変形せしめられる。
【0080】
樹脂針40がゴム栓101を貫通し、樹脂針40に形成された第1流路41及び第2流路42がバイアル瓶100の内部空間と連通するほどにゴム栓101をフード30内に深く挿入すると、コネクタ本体20の一対のロックレバー31の先端に形成された係合爪33が、バイアル瓶100の瓶口の下側の端縁102に係合する。
【0081】
かくして、図10、図11A、図11Bに示すように、コネクタ1とバイアル瓶100とを接続することができる。図11A、図11Bに示されているように、基板81及び天板65がゴム栓101に当接した状態で、樹脂針40が、天板65及びゴム栓101を貫通している。外周壁61は弾性的に圧縮変形している。弾性部材70(特にその弾性変形部75)は弾性的に伸び変形している。コネクタ本体20の係合爪33とバイアル瓶100の端縁102とが係合しているので、コネクタ1及びバイアル瓶100から手を離しても、樹脂針40とバイアル瓶100との連通状態は維持される。
【0082】
コネクタ1とバイアル瓶100との分離は以下のようにして行う。
【0083】
コネクタ本体20の一対の操作片34を互いに接近するように変位させ、ロック片32の係合爪33とバイアル瓶100の端縁102との係合を解除する。この状態でコネクタ1をバイアル瓶100から引き抜く。圧縮変形していた外周壁61及び伸び変形していた弾性部材70は、それぞれ直ちに弾性回復する。樹脂針40が天板65の貫通穴66から抜け出ると、貫通穴66は直ちに弾性回復して閉じる。また、バイアル瓶100のゴム栓101も、樹脂針40が抜き去られると、樹脂針40が貫通していた穴が直ちに閉じる。かくして、コネクタ1は、図1A、図1B、図2A、図2Bに示した初期状態に戻る。
【0084】
以上のように、本実施形態のオス部材カバーでは、スライド部材80が天板65とともに変位し、弾性部材70は、カバー本体60が圧縮変形することにともなうスライド部材80の変位に抗する力をスライド部材80に印加する。従って、樹脂針40がバイアル瓶100のゴム栓101から引き抜かれると、外周壁61の弾性回復力と弾性部材70の弾性回復力との合力がカバー本体60を初期状態に伸張させる。弾性部材70に相当する部材を備えていない特許文献1に記載された従来のオス部材カバーに比べて、本実施形態ではカバー本体60を伸張させるためにより大きな力が発生する。従って、樹脂針40がゴム栓101から抜き去られると、本実施形態のオス部材カバーは直ちに初期状態に復帰し、樹脂針40はカバー本体60で確実にシールされる。
【0085】
カバー本体60が短縮した状態(図11A、図11B)から初期状態(図2A、図2B)に復帰する過程で、天板65の貫通穴66の端縁は樹脂針40の外周面上を摺動する。樹脂針40に対して天板65を摺動させるためには、樹脂針40と天板65との間の摩擦力より大きな力が必要である。本実施形態では、上述したようにより大きな力を発生させることができるので、樹脂針40と天板65との間の摩擦力が大きくてもカバー本体60を伸張させることができる。
【0086】
樹脂針40が天板65の貫通穴66を貫通していない状態での貫通穴66のシール性を向上させようとすると、一般に樹脂針40と天板65との間の摩擦力は大きくなる。本発明によれば、摩擦力が大きくてもカバー本体60を伸張させることができるので、貫通穴66のシール性を向上させることが可能である。
【0087】
本実施形態では、天板65は、スライド部材80の保持凹部83の内周面によって半径方向に圧縮されているので、樹脂針40が貫通穴66を貫通する前、及び、貫通していた樹脂針40が貫通穴66から抜け出た後は、貫通穴66は保持凹部83による圧縮力によって閉じられて、液密なシールが形成される。従って、圧縮力を印加して貫通穴を閉じさせる構成を備えていない上述した特許文献1のオス部材カバーに比べて、本実施形態では、天板65の貫通穴66のシール性を向上させることができる。また、樹脂針40を天板65の貫通穴66に繰り返し抜き差ししても、貫通穴66のリシール性はほとんど低下しない。
【0088】
本実施形態のように、貫通穴66を閉じさせるために天板65に圧縮力を印加すると、樹脂針40と天板65との間の摩擦力は大きくなる。本実施形態では、天板65がこのように圧縮されていても、樹脂針40上を摺動させることができる。従って、本発明は、オス部材カバーの初期状態への復帰の確実性と、シール性とを高い次元で両立させることができる。
【0089】
バイアル瓶100に対するコネクタ1を介した液状物の授受の方法は、特に制限はなく、例えば特許文献1に記載された方法と同様であってもよいが、本発明とは直接関係がないので、詳細な説明を省略する。
【0090】
上述した実施形態は一例に過ぎない。本発明は、上記の実施形態に限定されず、適宜変更することができる。
【0091】
上記の実施形態では、弾性部材70は、カバー本体60に一体的に設けられていた。これは、部品点数の削減や組立の容易化等の点で有利である。しかしながら、弾性部材70は、カバー本体60とは別部材であってもよい。この場合、例えば弾性部材70の基端部71は、カバー本体60の基部67ではなく、例えばコネクタ本体20の筒状部21の外周面など、スライド部材80以外の任意の位置に固定してもよい。弾性部材70とカバー本体60とを分離することにより、設計や材料選択の自由度が向上する。
【0092】
弾性部材70がカバー本体60と一部品であるか別部品であるかに関わらず、弾性部材70の一端(基端部71)を樹脂針40又は樹脂針40に対して変位しない部材に固定し、その他端(係止部72)を天板65とともに変位するスライド部材80に固定すれば、上記の実施形態と同様に、弾性部材70の弾性回復力を、圧縮変形したカバー本体60を伸長させるために利用することができる。
【0093】
上記の実施形態に示した弾性部材70は、弾性変形を容易にさせるために、基端部71と係止部72との間に貫通穴74を形成して断面積が相対的に小さな弾性変形部75を形成した。しかしながら、弾性変形部75の構成は本発明では任意である。例えば、弾性部材70のの基端部71と係止部72との間の部分を小径化することで弾性変形部を形成してもよい。
【0094】
上記の実施形態では、カバー本体60が圧縮変形したとき、弾性部材70は伸び変形した。この構成は、カバー本体60の圧縮変形量、即ち、天板65の変位量が大きな場合にも適用が容易である点で有利である。しかしながら、本発明は、これに限定されず、例えば、カバー本体60が圧縮変形したとき、弾性部材が弾性的に圧縮変形してもよく、あるいは、弾性部材が弾性的に曲げ変形してもよい。
【0095】
弾性部材の材料は、弾性部材の形状等に応じて適宜選択することができる。例えば、弾性部材を金属又は樹脂からなるバネで構成してもよい。
【0096】
天板65に形成される貫通穴66の形状は、上記の実施形態に限定されず、任意に設定することができる。天板65に圧縮力が印加されていないときの貫通穴66の平面視形状は、例えば、一対の円弧を両端で繋いだ形状(ラグビーボールの平面視形状と略同一の形状)、楕円形、長円形、菱形、あるいはこれらに近似した形状等であってもよい。このように、貫通穴66が、その開口寸法がいずれか一方向において長い、いわゆる「長穴」であると、天板65を圧縮することにより、上記の実施形態と同様に、貫通穴66を「−」(マイナス)字状に閉じさせることができる。但し、閉じられた貫通穴の外観形状は、上記の実施形態のような「−」字状に限定されず、例えば「+」(プラス)字状であってもよい。
【0097】
上記の実施形態では、スライド部材80の保持凹部83は、天板65の全外周面に、天板65の中央に向かうほぼ均一な圧縮力を印加したが、本発明はこれに限定されない。圧縮力によって天板65に形成された貫通穴66を閉じさせることができれば、圧縮力の方向は自由に設定することができる。貫通穴66が上述した長穴である場合には、その長軸(開口寸法が最大となる方向に沿った軸)と直交する方向に圧縮力を印加してもよい。
【0098】
また、上記の実施形態と異なり、スライド部材80が天板65に圧縮力を印加しない構成であってもよい。このような構成であっても、上述した特許文献1に記載された従来のオス部材カバーと同等のシール性を得ることは可能である。
【0099】
本発明のオス部材カバーは、上記の実施形態に示したコネクタ以外の任意のコネクタに設けられた樹脂針に適用することができる。更に、コネクタ以外に設けられた樹脂針、例えばシリンジに設けられた樹脂針に適用することもできる。また、樹脂針ではなく、金属針に適用することもできる。
【0100】
上記の実施形態では、オス部材が樹脂針であり、メス部材がバイアル瓶のゴム栓である場合を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、メス部材が、中央部に直線状のスリット(切り込み)が形成されたゴム等の弾性材料からなる隔壁部材(「セプタム」と呼ばれることがある)であって、オス部材がこのセプタムに挿入することができる、注射針等の鋭利な金属針が付いていない管状体(オスルアー)であってもよい。本発明のオス部材は、相手方部材(メス部材)に対して挿入(穿刺を含む)することで連通される各種部材を包含する。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の利用分野は特に制限はないが、輸液、輸血、体外血液循環などを行うための輸送ラインで使用されるオス部材に好ましく利用することができる。また、患者に投与する薬液等の調製をする際に使用される各種コネクタのオス部材に利用することもできる。特に、漏出又は蒸発することを防止する必要がある危険な薬剤(例えば抗がん剤)等を取り扱う分野で好ましく利用することができる。更に、医療用以外の食品などの液状物を取り扱う各種分野で使用されるオス部材に利用することもできる。
【符号の説明】
【0102】
1 コネクタ
20 コネクタ本体
40 樹脂針(オス部材)
41 第1流路
42 第2流路
60 カバー本体
61 外周壁
65 天板
66 貫通穴
70 弾性部材
72 係止部
73 係止穴
80 スライド部材
81 基板
82 保持穴
83 保持凹部
85 ガイド部材
86 係止突起(係止形状)
100 バイアル瓶
101 バイアル瓶のゴム栓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状物が流れる流路が形成されたオス部材の少なくとも先端を覆うオス部材カバーであって、
弾性的に圧縮変形可能な外周壁と、前記外周壁の一端に設けられ且つ前記オス部材が貫通可能な貫通穴が形成された天板とを含み、可撓性を有する材料からなるカバー本体と、
前記天板とともに変位するスライド部材と、
前記外周壁が圧縮変形することにともなう前記スライド部材の変位に抗する力を前記スライド部材に印加する弾性部材とを備えたことを特徴とするオス部材カバー。
【請求項2】
前記弾性部材は前記スライド部材が変位することによって弾性的に伸び変形し、前記スライド部材には伸び変形した前記弾性部材の引っ張り力が印加される請求項1に記載のオス部材カバー。
【請求項3】
前記弾性部材が前記カバー本体に一体的に設けられている請求項1又は2に記載のオス部材カバー。
【請求項4】
前記弾性部材の一端が前記樹脂針又は前記樹脂針に対して変位しない部材に固定され、その他端が前記スライド部材に固定されている請求項1〜3のいずれかに記載のオス部材カバー。
【請求項5】
前記スライド部材は前記カバー本体よりも硬い材料からなる請求項1〜4のいずれかに記載のオス部材カバー。
【請求項6】
前記スライド部材は、前記貫通穴が閉じるように前記天板を変形させている請求項1〜5のいずれかに記載のオス部材カバー。
【請求項7】
閉じられた前記貫通穴の対向する端縁に、互いに対向する向きの付勢力が印加されている請求項1〜6のいずれかに記載のオス部材カバー。
【請求項8】
前記保持穴に保持された前記貫通穴は「−」字状である請求項1〜7のいずれかに記載のオス部材カバー。
【請求項9】
前記スライド部材には、前記弾性部材の一端が係止される係止形状が設けられている請求項1〜8のいずれかに記載のオス部材カバー。
【請求項10】
前記外周壁は蛇腹形状を有する請求項1〜9のいずれかに記載のオス部材カバー。
【請求項11】
液状物が流れる流路が形成されたオス部材と、前記オス部材の少なくとも先端を覆うオス部材カバーとを備えたカバー付きオス部材であって、
前記オス部材カバーが請求項1〜10のいずれかに記載のオス部材カバーであることを特徴とするカバー付きオス部材。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate


【公開番号】特開2012−135439(P2012−135439A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289771(P2010−289771)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【Fターム(参考)】