説明

オゾン水生成器

【課題】安価に製造できるとともに、装置の小型化、シンプル化を図れ、既存の給水管に対しても容易に取り付けられるようにする。
【解決手段】流路の一部に隘路32を有し、被処理水を通す給水管21に組み込まれるエジェクタ31と、紫外線ランプ42を内蔵したオゾン発生器41とを備えるとともに、これらエジェクタ31とオゾン発生器41との間に、オゾン発生器41内の雰囲気がエジェクタ31の隘路32に設けられた吸気口33から吸引されるように接続する接続管部51を備えたオゾン水生成器11。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば殺菌洗浄に好適なオゾン水を生成するオゾン水生成器に関し、より詳しくは、より安価に製造でき、しかも小型かつシンプルな構造のオゾン水生成器に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾン水を生成する装置は、食品や手などの洗浄に用いられており、この装置として、たとえば下記特許文献1〜3に開示されているようなものが提案されている。
【0003】
特許文献1に開示された装置は、コンパクトで効率よく殺菌水を生成するためのもので、オゾン発生体で生成されたオゾンを、エジェクタを利用して水に混合溶存させる構成である。混合効率を高めるためにエアーポンプなども備えられている。また、オゾン発生体には、放電式のものが用いられている。
【0004】
しかし、この装置では、台所に設置できる大きさのものではあるが構造が複雑である。しかも、オゾン発生体が放電式なので、大きさが大きく、高価になってしまう。そのうえ放電式のオゾン発生体では、NOが出るほかに、高温の環境下では放電しないという難点もある。
【0005】
特許文献2に開示された発明は、オゾン発生装置の付いた便座であり、オゾン水で人体の局部を洗浄するためのものである。この装置は、オゾン発生装置で発生されたオゾンを、ロータンクに溜めた水の中に噴出させてオゾン水を生成し、このオゾン水を洗浄に用いようとするものである。
【0006】
しかし、この装置も、オゾンの発生には放電を用いているので、上述の場合と同様の問題点がある。また、オゾン水はオゾンを水中に噴出させて生成するものであるので、オゾンの混合効率がよくない上に、ポンプ等の機器も必要になるという難点がある。
【0007】
特許文献3に開示された発明は、オゾンを水に混合するための装置であって、オゾン発生体として紫外線ランプを用いている。紫外線ランプの周りに、水を流したときに真空状態が得られるようにする構造を設け、紫外線ランプの作用で発生したオゾンを、周囲を流れる水に混合しようとするものである。
【特許文献1】特開平11−347575号公報
【特許文献2】特公平3−32364号公報
【特許文献3】特公平6−21009号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この特許文献3に開示された装置によれば、オゾンを水に混合するのにポンプ等は不要であって、効率よく混合できる。しかし、紫外線ランプが通水路内にあるので、装置への水の入口と出口を一直線上にならべることができず、既存の給水管に組み込むことができないという難点がある。
【0009】
そこで、この発明は、安価に製造できるとともに、装置の小型化、シンプル化を図れ、既存の給水管に対しても容易に取り付けられるようにすることを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのための手段は、流路の一部に隘路を有し、被処理水を通す通水路に組み込まれるエジェクタと、紫外線ランプを内蔵したオゾン発生器とを備えるとともに、これらエジェクタとオゾン発生器との間に、オゾン発生器内の雰囲気がエジェクタの隘路に設けられた吸気口から吸引されるように接続する接続管部を備えたオゾン水生成器である。
【0011】
このオゾン水生成器は、トイレや流しの給水管などに組み込んで使用されたり、シンクの周りなどに設置して使用されたりする。給水管などに組み込むときには、エジェクタの両端を給水管に接続し、給水管に介装する。
【0012】
被処理水がエジェクタ内を流れると、紫外線ランプの作用でオゾン発生器内に発生したオゾンが、接続管部を通ってエジェクタの吸気口から吸い込まれ、隘路部分で混合し、泡沫を有する処理水となる。処理水であるオゾン水は、所望の場所に導かれ、洗浄等に使用される。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、この発明によれば、オゾン発生体として紫外線ランプを用いているので、安価に製造できるとともに、装置の小型化を図ることができる。しかも、オゾン発生器は接続管部を介してエジェクタに付属させるような構成であるので、装置の構造を簡素にすることが可能である。また、エジェクタへの入口と出口を一直線上に並べることができるので、既存の給水管等への接続も可能で、用途の拡大を図ることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、トイレの給水管に組み込んで使用されるオゾン水生成器11の正面図である。
【0015】
この図に示すように、オゾン水生成器11は、通水路である給水管21に組み込まれるエジェクタ(Injector)31と、オゾンを発生するオゾン発生器41と、これらを一体に接続する接続管部51とからなる。
【0016】
エジェクタ31は、略円柱状をなし、流路の長さ方向の中間部分に隘路32を有する。そして、この隘路32部分には、吸気口33が形成されている。また、両端部には、上記のトイレ用の給水管21に接続される接続部34,34が形成されている。
【0017】
オゾン発生器41は、略円柱状をなし、中空の内部には紫外線ランプ42と、インバータなどの必要な電気部品43が収納されている。紫外線ランプ42は、着脱可能なカバー44で覆われ、このカバー44の上面には、通気孔44aが形成され、通気性を有するように構成されている。このカバー44は、オゾン水生成器11の設置箇所であるトイレ空間の雰囲気に触れるように露出した状態で備えられる。
【0018】
接続管部51は、オゾン発生器41の内部空間45とエジェクタ31の吸気口33とを連通させる。つまり、エジェクタ31内を水が通るときに、オゾン発生器41の内部空間にある雰囲気(オゾン)が、エジェクタ31内に吸い込まれるようにする。また、この接続管部51の内部には、逆止弁52が設けられ、エジェクタ31内を通過する水がオゾン発生器41の中に入るのを防止する。
【0019】
上記のエジェクタ31とオゾン発生器41と接続管部51は、エジェクタ31とオゾン発生器41が平行に並べられ、これらの長さ方向の中間部分を接続管部51で接続するようにH型に組み立てられている。つまりエジェクタ31内を下から上に向けて流れる水に対して、エジェクタ31に直交する方向の接続管部51からオゾンが供給される構成である。
【0020】
このように構成されたオゾン水生成器11は、給水管21におけるタンク61への分岐水栓62と洗浄便座63への分岐水栓64との間に介装する。既存の給水管に取り付けることも、新規の給水管に取り付けることもできる。取り付けは、エジェクタ31の両端の接続部34,34を各分岐水栓62,64の接続口に接続するだけでよく簡単である。
【0021】
トイレの給水管21に接続されたオゾン水生成器11では、紫外線ランプ42を点灯した状態で洗浄便座63を使用すると、水が流れるときに、紫外線ランプ42からの紫外線により発生したオゾンが、流れる水に溶け込んで、オゾン水が生成される。そして、このオゾン水が洗浄便座63のノズル63aから噴出される。このように、下から上に向けて水を流しながら生成したオゾン水は、その効用を有する状態で即座に適用されるので、効率のよい、所望の洗浄効果を得られる。
【0022】
また、紫外線ランプ42を収容しているオゾン発生器41は、トイレ空間内に露出しており、オゾン発生器41のカバー44には通気孔44aが形成されているので、オゾン発生器41で発生するオゾンは、トイレ空間内の空気の消臭も行う。
【0023】
このオゾン水生成器11では、上述のようにオゾン発生体として紫外線ランプ42を用いているので、安価に製造できる。また、オゾン発生器11は接続管部51を介してエジェクタ31に付属させるような構成であり、3つの部分からなる簡素な構造であるので、装置の小型化、シンプル化を図ることもできる。加えて、オゾン発生器41が独立したような構造であるので、紫外線ランプ42の交換なども容易に行える。
【0024】
さらに、エジェクタ31への入口と出口を一直線上に並べているので、上述のように既存の給水管21等への接続も可能で、トイレ以外の様々な部分に容易に使用でき、用途の拡大を図ることが可能である。
【0025】
なお、図1には、オゾン水生成器11を、給水管21におけるタンク61への分岐水栓62と洗浄便座63への分岐水栓64との間に介装した例を示したが、タンクへ61の分岐水栓62と、給水管21の一部としての止水栓22との間に組み込むと、タンク61へ供給される水も殺菌効果を有するオゾン水となる。この結果、雑菌の繁殖による臭いなども防止できる。
【0026】
以下、その他の例について説明する。この説明において、先の説明と同一または同等の部位については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0027】
図2は、オゾン水成形器11を横T型に構成した例を示す。
すなわち、エジェクタ31と、これに対して直交する方向に延びるオゾン発生器41および連結管部51とを有する。オゾン発生器41と連結管部51は一直線上に配設されている。また、オゾン発生器41における紫外線ランプ42を覆う部分であるカバー44には、複数の通気孔44a…が形成されている。
【0028】
このように構成されたオゾン水生成器11では、図1に示したオゾン水生成器11と同様の作用効果を達成する。横T型をなすので、給水管21の側部において縦方向の長さを十分に取れない場所での使用に適している。
【0029】
図3は、シンクの周辺部分などの小空間に設置して使用するオゾン水生成器11の例を示す。
【0030】
このオゾン水生成器11は、土台部71と、この土台部71の上面側を覆う被覆体72からなるケーシング73と、上記の土台部71に設けられたエジェクタ31、オゾン発生器41および接続管部51を有する。
【0031】
エジェクタ31は土台部71に立設された隔離板74の片面側に固定され、下端には水道の蛇口等に接続される通水路の一部としての導入管23を接続し、上端には処理水を吐出する通水路の一部としての吐水管24を接続している。そして、隔離板74の他面側には、オゾン発生器41が固定されている。オゾン発生器41のほかにインバータなどの必要な電気部品43も取り付けられる。
【0032】
このように構成されたオゾン水生成器11では、紫外線ランプ42を点灯した状態で水道を開くことによって、水道水が導入管23からエジェクタ31に入り、オゾンを混合してオゾン水を生成し、このオゾン水は吐出管24から排出され、手や食品などの洗浄等に使用される。
【0033】
部品点数が少なく、構造が簡素であるため、これまでのオゾン水生成器に比べて小さくすることができ、場所をとらず、使いやすいものとなる。なお、シンクの下の空間等に設置することもできる。
【0034】
この発明の構成と上述の一形態の構成との対応において、
この発明の通水路は、上記の給水管に対応するも、
この発明は、上述の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することもできる。
【0035】
たとえば、図3に示したような設置型のオゾン水生成器に対して、図1や図2に示したH型や横T型に構成したものを組み込んで構成することもできる。
また、入浴や養魚など、洗浄のほかの用途に用いることもできる。
さらに、インバータなどの必要な電気部品43の一部または全部をオゾン発生器41から分離させて備えれば、図1、図2に示したようなオゾン生成器11をより一層コンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】オゾン水生成器の構造説明図。
【図2】他の例に係るオゾン水生成器の構造説明図。
【図3】他の例に係るオゾン水生成器の構造説明図。
【符号の説明】
【0037】
11…オゾン水生成器
21…給水管
22…止水栓
23…導入管
24…吐出管
31…エジェクタ
32…隘路
33…吸気口
34…接続部
41…オゾン発生器
42…紫外線ランプ
44…カバー
44a…通気孔
51…接続管部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路の一部に隘路を有し、被処理水を通す通水路に組み込まれるエジェクタと、
紫外線ランプを内蔵したオゾン発生器を備えるとともに、
これらエジェクタとオゾン発生器との間に、オゾン発生器内の雰囲気がエジェクタの隘路に設けられた吸気口から吸引されるように接続する接続管部を備えた
オゾン水生成器。
【請求項2】
前記オゾン発生器の紫外線ランプを覆うカバーが、当該オゾン水生成器の設置箇所の雰囲気に触れるように露出したものであるとともに、通気性を有するものである
請求項1に記載のオゾン水生成器。
【請求項3】
前記エジェクタの両端部に、トイレの給水管に組み込むための接続部を備えた
請求項1または請求項2に記載のオゾン水生成器。
【請求項4】
前記給水管が洗浄便座に水を供給するためのものである
請求項3に記載のオゾン水生成器。
【請求項5】
前記通水路が下から上に向けて被処理水を流すものであるとともに、
前記接続管部が、エジェクタに直交する方向から接続された
請求項1から請求項4のうちのいずれか一項に記載のオゾン水生成器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−226323(P2009−226323A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−75172(P2008−75172)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(508088203)
【Fターム(参考)】