説明

オゾン生成器

【課題】原料ガスの水分含有量に起因してオゾンの生成効率が低下することを防止し、且つ電源への負荷を低減することを実現したオゾン生成器を提供することを目的とする。
【解決手段】オゾン生成器21の生成部22は、内部に空気が供給されるハウジング24を備えている。ハウジング24の内部には一対の接地電極25a及び25bと、これらの間に配置された四つの放電電極31とが設けられている。各放電電極31の上部表面31c及び下部表面31dには、空気に含まれる水分を吸着する水分吸着材31eが設けられている。また、水分吸着材31eは、放電電極31の両端部にある突起部31a及び31bが露出した状態となるように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はオゾン生成器に係り、特に、放電電極と接地電極との間に電圧を印加することによって原料ガスからオゾンを生成するオゾン生成器の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンの排ガスに含まれる粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)を浄化する排ガス後処理装置の一例として、例えば特許文献1に記載の尿素選択還元システムが挙げられる。尿素選択還元システムとは、排ガスに尿素水を添加することによって生成されたアンモニア(NH)と排ガスに含まれるNOxとをSCR触媒によって反応させ、NOxを無害な窒素(N)と水(HO)とに還元するものである。
【0003】
SCR触媒は低温時における活性が低く、且つ低温時には一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO)との比が1:1でないとNOxの浄化を行えないという問題点を有している。また、通常、排ガスに含まれる一酸化窒素の量は二酸化窒素の量より多いため、SCR触媒の上流側に酸化触媒を設け、一酸化窒素を酸化して二酸化窒素とすることが一般的である。しかしながら、低温時には酸化触媒自体の活性も低く、活性を上げるためにはプラチナ(Pt)やパラジウム(Pd)等の高価な貴金属を担持させる必要がある。
【0004】
そこで、SCR触媒によるNOxの浄化を低温から効率よく行うため、酸化触媒の代わりにオゾン生成器を設け、オゾン生成器で生成したオゾン(O)によって一酸化窒素を酸化することが提案されている。例えば特許文献2に記載のオゾン生成器によれば、電源に接続された放電電極が一対の接地電極の間に配置されており、これらの間を空気等の原料ガスが流通するようになっている。電源が放電電極と接地電極との間に電圧を印加すると、これらの電極の間に放電が発生し、それにより、原料ガスに含まれる酸素分子(O)からオゾンが生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−105014号公報
【特許文献2】特開2002−137907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、特許文献2に記載のオゾン生成器のように、放電電極と接地電極との間に電圧を印加してオゾンを生成する場合、原料ガスの水分含有量が増加するにしたがって放電が発生しにくくなるため、オゾンの生成効率も低下する。生成効率の低下を防ぐためには、放電電極と接地電極との間により高い電圧を印加することが必要となるが、電源への負荷は大きくなる。また、印加する電圧が高くなることに起因して発生するアーク放電を抑制するため、セラミックや石英等を材料とする誘電板を設けることが一般的であるが、この場合、誘電板の分だけ原料ガスの流通経路が狭くなるため、原料ガスの流通量の低下によりオゾンの生成効率が低下するという悪循環が生じる。原料ガスの流通経路を広げるために放電電極と接地電極との間の距離を広げた場合は、放電電極と接地電極との間に更に高い電圧を印加する必要が生じるため、電源にかかる負荷が更に増加するという問題点が生じる。
【0007】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、原料ガスの水分含有量に起因してオゾンの生成効率が低下することを防止し、且つ電源への負荷を低減することを実現したオゾン生成器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るオゾン生成器は、間隔を空けて配置された一対の接地電極と、一対の接地電極の間に配置された放電電極と、放電電極に接続され、放電電極と一対の接地電極との間に電圧を印加する電源とを備え、一対の接地電極の間を流通する原料ガスからオゾンを生成するオゾン生成器において、放電電極には、原料ガスに含まれる水分を吸収する水分吸着材が、放電電極の表面の一部が露出した状態となるように設けられることを特徴とするものである。
【0009】
放電電極に設けた水分吸着材が原料ガスに含まれる水分を吸収するため、原料ガスの水分含有量に起因してオゾンの生成効率が低下することが防止される。また、水分吸着材を、放電電極の表面の一部が露出した状態となるように設けたので、露出した部位からの放電が発生しやすくなって電源への負荷が低減される。したがって、オゾン生成器において、原料ガスの水分含有量に起因してオゾンの生成効率が低下することを防止し、且つ電源への負荷を低減することができる。
【0010】
放電電極は略平板状の部材であって、先端側に向かって先細となる突起部が両側部に形成されており、水分吸着材は、突起部が露出するように設けられてもよい。露出した突起部の先端から放電が発生しやすくなるため、効率よくオゾンの生成を行うことができる。
放電電極は、突起部が先細となる方向が、原料ガスが流通する方向に対して平行となるように配置されてもよい。原料ガスが流通しやすくなるため、原料ガスを流通させるために用いるポンプ等の機器への負荷を低減することができる。
放電電極を複数備え、複数の放電電極は、原料ガスが流通する方向に沿って直列に並ぶように配置されてもよい。複数の放電電極から放電が発生するため、効率よくオゾンを生成することができる。また、原料ガスが流れやすいため、原料ガスを流通させるために用いるポンプ等の機器への負荷も低減される。
水分吸着材は、接地電極の表面の一部が露出した状態となるように、接地電極にも設けられてよい。原料ガスに含まれる水分が接地電極側の水分吸着材にも吸収されるため、オゾン生成効率の低下がより確実に防止される。また、接地電極の表面の一部は露出しているため、放電が発生しにくくなって電源への負荷が増大することもない。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、オゾン生成器において、原料ガスに含まれる水分に起因するオゾンの生成効率の低下を防止するとともに、電源への負荷を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1に係るオゾン生成器を備えたディーゼルエンジンの排ガス後処理装置の構成を示す概略図である。
【図2】実施の形態1に係るオゾン生成器の構成を概略的に示す断面側面図である。
【図3】図2のIII−IIIに沿った平面を含む断面図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係るオゾン生成器の構成を概略的に示す断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、この発明の実施の形態について、添付図に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1に、この実施の形態1に係るオゾン生成器を備えたディーゼルエンジンの排ガス後処理装置を概略的に示す。ディーゼルエンジン1には排気管2が接続されており、ディーゼルエンジン1から排出された排ガスが、排気管2の内部を矢印Aで示す方向に流通するようになっている。排気管2の途中には、排ガスに含まれるNOxを浄化するための尿素選択還元触媒3(以下、SCR触媒3とする)が設けられており、矢印Aで示す方向におけるSCR触媒3の下流側には、酸化触媒4が設けられている。また、酸化触媒4の下流側にはマフラ5が接続されており、SCR触媒3及び酸化触媒4を順次通過した排ガスが、マフラ5から大気中に放出されるようになっている。
【0014】
SCR触媒3の上流側には、排気管2の内部に尿素水を噴射するための噴射ノズル6が設けられており、噴射ノズル6には、内部に尿素水を貯留する尿素水タンク7が接続管8を介して接続されている。また、接続管8の途中には、尿素水タンク7内の尿素水を噴射ノズル6に供給する尿素水添加システム9が設けられている。尿素水添加システム9は、ディーゼルエンジン1及び排ガス後処理装置の制御装置であるECU10に電気的に接続されており、ECU10から尿素水添加システム9に出力される指令信号に基づいて、噴射ノズル6による尿素水の噴射が制御される。
【0015】
また、排気管2において、ディーゼルエンジン1とSCR触媒3との間に位置する部位にはオゾン供給管11の一端が接続されており、オゾン供給管11の他端には、原料ガスである空気からオゾンを生成するオゾン生成器21が接続されている。オゾン生成器21は、内部でオゾンを生成する生成部22と、オゾンを生成するための電圧を生成部22に供給する電源23とを備えている。生成部22には、接続管12を介してポンプ13が接続されている。ポンプ13は、ECU10に電気的に接続されており、ECU10から出力される指令信号に基づいてポンプ13が作動すると、生成部22の内部に空気が供給されるようになっている。また、電源23もECU10に電気的に接続されており、ECU10からの出力信号に基づいて電源23の動作が制御されるようになっている。
【0016】
ここで、オゾン生成器21の構成について、図2、3を用いて詳細に説明する。
図2に示すように、オゾン生成器21の生成部22は中空のハウジング24を備えており、このハウジング24の両端部にオゾン供給管11及び接続管12がそれぞれ接続されている。ハウジング24の内部には、平板形状をそれぞれ有する一対の接地電極25a及び25bが間隔を空けた状態で配置されている。ポンプ13(図1参照)から接続管12を介して供給される空気は、矢印B1、B2で方向を示すように、接地電極25aと接地電極25bとの間を流通してオゾン供給管11に流出するようになっている。
【0017】
接地電極25aと接地電極25bとの間には、電源23にそれぞれ接続された四つの放電電極31が、矢印B1、B2で示す空気の流通方向に沿って直列に配置されるように設けられている。また、各放電電極31は、接地電極25aと放電電極31との間、及び接地電極25bと放電電極31との間に等しい隙間が形成されるようにそれぞれ配置されている。放電電極31は略平板状の部材であって、先端側に向かって厚さが先細となる突起部31a及び31bが両側部に形成されている。放電電極31の上部表面31cと下部表面31dとには、例えばシリカゲル、ゼオライト及びモレキュラシーブ等のように水分を吸収する多孔質素材からなる水分吸着材31eが、上部表面31c及び下部表面31dに沿ってほぼ平坦となるように設けられている。すなわち、水分吸着材31eは、放電電極31の上部表面31c及び下部表面31dを覆うとともに、突起部31a及び突起部31bが露出した状態となるように設けられている。
【0018】
四つの放電電極31は同じ構成を有しており、各放電電極31の上部表面31c及び下部表面31dに、水分吸着材31eがそれぞれ設けられている。また、各放電電極31は、突起部31a及び突起部31bが先細となる方向が、空気が流通する方向、すなわち矢印B1、B2で示す方向に対して平行となるように配置されている。したがって、例えば放電電極31の上部表面31c及び下部表面31dが矢印B1、B2で示す方向に対して直行するように配置した場合と比較すると、空気が流れやすい状態となっており、それにより、ハウジング24の内部の圧力が上昇してポンプ13への負荷が増大することがないようになっている。
【0019】
尚、図3に示すように、接地電極25aと接地電極25bとの間において、これらの両端部に位置する部位には、セラミックや樹脂等の絶縁材料から形成された一対の側板26a及び26bが設けられている。接地電極25a及び25bと、各放電電極31とは、これらの側板26a及び26bによって支持されている。
【0020】
図1に戻って、排気管2の内部において、ディーゼルエンジン1の直後に位置する部位には、NOxセンサ14が設けられている。NOxセンサ14はECU10に電気的に接続されており、ディーゼルエンジン1が排出した排ガスに含まれるNOxの濃度を検出してECU10に出力する。また、ディーゼルエンジン1は、機関回転数等の運転状態を検出してECU10に出力する図示しないセンサを有している。ECU10は、ディーゼルエンジン1の運転状態や、NOxセンサ14が検出したNOxの濃度に基づいて、排ガスに含まれるNOxの量や、NOx中における一酸化窒素と二酸化窒素との比を推定可能となっており、この推定結果に基づいて、尿素水添加システム9やオゾン生成器21の動作が制御されるようになっている。
【0021】
次に、この発明の実施の形態1に係るオゾン生成器の動作について、ディーゼルエンジン1の排ガス後処理装置の動作と併せて説明する。
図1に示すように、ディーゼルエンジン1の運転が開始されると、ECU10はポンプ13を作動させる。ポンプ13が作動すると、図2の矢印B1で示すように、生成部22の内部に空気が供給されて接地電極25aと接地電極25bとの間を流通する。また、ECU10は、オゾン生成器21の電源23を作動させており、それにより、四つの放電電極31と接地電極25a及び25bとの間に電圧が印加される。電圧が印加され、各放電電極31と接地電極25a及び25bとの間で放電が発生することによって空気に含まれる酸素分子(O)が二つの酸素原子(O)に分解され、分解された酸素原子が他の酸素分子と結合することによってオゾンが生成される。
【0022】
ここで、接続管12からハウジング24内に流入し、接地電極25aと接地電極25bとの間を流通する空気の流れは、空気の流通方向における最も上流側に位置する放電電極31の突起部31aによって、上部表面31c側と下部表面31d側とに分断された状態で流通する。その際、各放電電極31の上部表面31cと下部表面31dとには水分吸着材31eがそれぞれ設けられているため、空気に含まれる水分は水分吸着材31eによって順次吸収される。すなわち、オゾン生成器21によるオゾンの生成は、空気の水分含有量が少ない状態で行われるようになっているため、原料ガスの水分含有量に起因してオゾンの生成効率が低下することが防止されている。また、各放電電極31の突起部31a及び突起部31bは、露出した状態となっているため、これらの部位から放電が発生しやすくなっており、電源23への負荷が低減されている。さらに、放電は、四つの放電電極31のそれぞれで発生するため、オゾンの生成が効率よく行われている状態となっている。
【0023】
図1に戻って、以上のように生成されたオゾンは、ハウジング24(生成部22)からオゾン供給管11に流出し、オゾン供給管11を介して排気管2の内部に供給されてディーゼルエンジン1から排出される排ガスに添加される。添加されたオゾンが、排ガスに含まれるNOx中の一酸化窒素を酸化して二酸化窒素とすることにより、排ガス中の一酸化窒素と二酸化窒素との比が徐々に1:1となる。尚、ECU10は、機関回転数、機関トルク及び燃料噴射量等のディーゼルエンジン1の運転状態やNOxセンサ14からの出力に基づいて排ガス中の一酸化窒素と二酸化窒素との比を推定しており、この推定結果に基づいて、オゾン生成器21の動作が制御されている。
【0024】
また、ディーゼルエンジン1の運転時、ECU10は、尿素水添加システム9を作動させる。尿素水タンク7内の尿素水は、尿素水添加システム9によって噴射ノズル6に供給され、噴射ノズル6から排気管2の内部に噴射される。噴射された尿素水が排気管2の内部で加水分解されることにより、アンモニア(NH)が生成される。SCR触媒3がアンモニアとNOxとを反応させて窒素と水とに還元することにより、排ガス中のNOxが浄化される。ここで、排ガス中の一酸化窒素と二酸化窒素との比は、オゾンが一酸化窒素を酸化したことによって1:1となっている。通常、SCR触媒3によるNOxの浄化は、一酸化窒素と二酸化窒素との比が1:1となった場合に低温から且つ効率よく行えるようになっているため、排ガスにオゾンを添加しない場合と比較すると、SCR触媒3によるNOxの浄化効率が向上した状態となっている。SCR触媒3によってNOxを浄化された排ガスは、酸化触媒4を通過する。酸化触媒4は、SCR触媒3によるNOxの還元時において余剰分となり、未反応のまま残留したアンモニアを酸化して除去する。このようにして浄化された排ガスは、排気管2からマフラ5の内部に流入して大気中に放出される。
【0025】
このように、各放電電極31に設けた水分吸着材31eが空気に含まれる水分を吸収するため、空気の水分含有量に起因してオゾンの生成効率が低下することが防止される。また、水分吸着材31eを、放電電極31の表面の一部である突起部31a及び突起部31bが露出した状態となるように設けたので、露出した部位からの放電が発生しやすくなって電源23への負荷が低減される。したがって、オゾン生成器21において、空気の水分含有量に起因してオゾンの生成効率が低下することを防止し、且つ電源23への負荷を低減することができる。
【0026】
また、各放電電極31において、先端側に向かって先細となる突起部31a及び突起部31bを露出させたので、これらの突起部の先端から放電が発生しやすくなり、効率よくオゾンが生成される。
さらに、各放電電極31を、これらの突起部31a及び突起部31bが先細となる方向が、空気が流通する方向、すなわち図2の矢印B1、B2で示される方向に対して平行となるように配置したので、空気が流れやすくなってハウジング24内の圧力が所定の圧力以上に高まることがなく、ポンプ13への負荷を低減することができる。
また、接地電極25aと接地電極25bとの間に四つの放電電極31を設け、これらが空気の流通方向に沿って直列に並ぶように配置したので、各放電電極31がそれぞれ放電を発生するようになって効率よくオゾンが生成されるとともに、空気が流れやすくなってポンプ13への負荷が低減される。
【0027】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2に係るオゾン生成器について説明する。
この実施の形態2に係るオゾン生成器は、実施の形態1に対し、水分吸着材を接地電極と放電電極との両方に設けるように構成したものである。尚、この実施の形態において、図1〜3の参照符号と同一の符号は同一または同様な構成要素であるので、その詳細な説明は省略する。
図4に示すように、オゾン生成器41の生成部22の内部に設けられた接地電極25a及び25bには、各放電電極31の突起部31a及び31bに対向する部位42が露出した状態となるように、水分吸着材43が設けられている。したがって、オゾン生成器41の作動時に接地電極25aと接地電極25bとの間を流通する空気に含まれる水分は、各放電電極31の水分吸着材31eと、水分吸着材43とに吸収されるようになっている。また、各放電電極31の突起部31a及び31bと、接地電極25a及び25b上において放電電極31の突起部31a及び31bに対向する部位42とは、それぞれ露出した状態となっているため、これらの部位42と突起部31a及び31bとの間には、放電が発生しやすい状態となっている。その他の構成については、実施の形態1と同様である。
【0028】
このように、接地電極25a及び接地電極25bの表面の一部(部位42)が露出するように水分吸着材43を設けたので、空気に含まれる水分が水分吸着材43にも吸収され、オゾンの生成効率の低下がより確実に防止される。また、接地電極25a及び25bの表面の一部は露出しているため、放電が発生しにくくなって電源23への負荷が増大することもない。
【0029】
実施の形態1、2において、放電電極は両端部に突起部を有するように構成されたが、放電電極の形状を限定するものではない。放電電極の一部が露出するように水分吸着材を設ければ、オゾンの生成効率の低下の防止、及び電源への負荷の低減は可能であるため、例えば放電電極を丸い断面を有するワイヤ状の部材によって構成することも可能である。また、水分吸着材を、放電電極の上部表面及び下部表面に沿ってほぼ平坦となるように形成したが、例えば翼のような形状となるように水分吸着材を設け、放電電極を通過する際の原料ガスの流れを改善することも可能である。
実施の形態1、2において、四つの放電電極を、原料ガスが流通する方向に沿って直列に並ぶように配置したが、放電電極の構成を限定するものではない。オゾンを生成可能であればよく、放電電極の数や配置等を適宜変更することが可能である。
【0030】
実施の形態1、2において、オゾン生成器の構成及び動作を、SCR触媒を備えた排ガス後処理装置に適用した場合の例として説明したが、排ガス後処理装置の構成を限定するものではない。例えば、NOxの一時的な吸蔵及び浄化を行うNOx吸蔵還元触媒や、排ガスに含まれる粒子状物質を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタをSCR触媒の代わりに用いることが可能であり、これらを組み合わせた構成とすることも可能である。NOx吸蔵還元触媒を用いた場合、排ガスに含まれるNOxをオゾンで酸化してより高次のNOxとすることにより、NOx吸蔵還元触媒によるNOxの吸蔵効率を向上することが可能となる。また、ディーゼルパティキュレートフィルタを用い、補修した粒子状物質をオゾンによって酸化して除去することも可能となる。
【符号の説明】
【0031】
21 オゾン生成器、23 電源、25a,25b 接地電極、31 放電電極、31a,31b 突起部(放電電極の表面の一部)、31e,43 水分吸着材、42 部位(接地電極の表面の一部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔を空けて配置された一対の接地電極と、
前記一対の接地電極の間に配置された放電電極と、
前記放電電極に接続され、前記放電電極と前記一対の接地電極との間に電圧を印加する電源と
を備え、前記一対の接地電極の間を流通する原料ガスからオゾンを生成するオゾン生成器において、
前記放電電極には、前記原料ガスに含まれる水分を吸収する水分吸着材が、前記放電電極の表面の一部が露出した状態となるように設けられることを特徴とするオゾン生成器。
【請求項2】
前記放電電極は略平板状の部材であって、先端側に向かって先細となる突起部が両側部に形成されており、
前記水分吸着材は、前記突起部が露出するように設けられる請求項1に記載のオゾン生成器。
【請求項3】
前記放電電極は、前記突起部が先細となる方向が、前記原料ガスが流通する方向に対して平行となるように配置される請求項1または2に記載のオゾン生成器。
【請求項4】
前記放電電極を複数備え、複数の前記放電電極は、前記原料ガスが流通する方向に沿って直列に並ぶように配置される請求項1〜3のいずれか一項に記載のオゾン生成器。
【請求項5】
前記水分吸着材は、前記接地電極の表面の一部が露出した状態となるように、前記接地電極にも設けられる請求項1〜4のいずれか一項に記載のオゾン生成器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−25608(P2012−25608A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164519(P2010−164519)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】