説明

オブジェクト管理装置及びオブジェクト管理方法

【課題】AR技術において、オブジェクトの表示処理の負荷を軽減すると共に、オブジェクトを視認し易い表示画面を提供する。
【解決手段】オブジェクト管理装置1では、位置情報取得部10により位置情報が取得され、不可視構造物判別部12により、仮想空間における構造物から不可視構造物が判別され、非表示オブジェクト制御部15により、不可視構造物に対応付けられたオブジェクトに非表示フラグが付加される。これにより、オブジェクトの表示処理を実施する際に、非表示フラグが付されたオブジェクトを表示させないといった制御が可能となる。従って、オブジェクトを表示するときの表示処理の負荷が軽減されると共に、表示効率が向上する。また、表示不要なオブジェクトを表示させないように制御することができるので、整然としたオブジェクトの表示画面を提供することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オブジェクト管理装置及びオブジェクト管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年において、AR(Augmented Reality:拡張現実)技術を用いたサービスが開発・提供されている。例えば、移動端末の所在位置の周辺に配置されたオブジェクトを取得し、移動端末に備えられたカメラにより取得した画像にオブジェクトを重畳表示する技術が知られている。この技術では、オブジェクトには、例えば、現実環境における構造物に関連する情報が含まれるので、画像中の構造物に関連する情報を提供することが可能となる。また、仮想的な空間に配置されたオブジェクト等を表示するに際して、キャラクタオブジェクトが他のオブジェクトよりも視点寄りに位置する場合に、当該キャラクタオブジェクトを表示対象とする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−182077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のAR技術を用いたサービスでは、移動端末の所在位置及びカメラが向けられた方位といった情報に基づきオブジェクトを取得し、取得したオブジェクトを表示するので、例えば、他の構造物等に遮られて視認できない構造物に関連するオブジェクトが表示される場合がある。即ち、表示不要なオブジェクトが表示されることとなるので、表示処理の負荷が大きくなると共に、オブジェクトの表示が乱雑なものとなる。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、AR技術において、オブジェクトの表示処理の負荷を軽減すると共に、オブジェクトを視認し易い表示画面を提供することが可能なオブジェクト管理装置及びオブジェクト管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のオブジェクト管理装置は、仮想空間に配置されたオブジェクトに関する情報であるオブジェクト情報を管理するオブジェクト管理装置であって、仮想空間における視点位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、仮想空間に存在する構造物のうち、視点位置との間に他の構造物が存在することにより視点位置から一部又は全部を視認できない構造物である不可視構造物を判別する不可視構造物判別手段と、不可視構造物に対応付けられたオブジェクトを、非表示のオブジェクトとして判別する非表示オブジェクト制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明のオブジェクト管理方法は、仮想空間に配置されたオブジェクトに関する情報であるオブジェクト情報を管理するオブジェクト管理装置におけるオブジェクト管理方法であって、仮想空間における視点位置を示す位置情報を取得する位置情報取得ステップと、仮想空間に存在する構造物のうち、視点位置との間に他の構造物が存在することにより視点位置から一部又は全部を視認できない構造物である不可視構造物を判別する不可視構造物判別ステップと、不可視構造物に対応付けられたオブジェクトを、非表示のオブジェクトとして判別する非表示オブジェクト制御ステップとを有することを特徴とする。
【0008】
本発明のオブジェクト管理装置及びオブジェクト管理方法によれば、視点位置から一部又は全部を視認できない構造物に対応付けられたオブジェクトが非表示のオブジェクトとして判別されるので、オブジェクトの表示処理を実施する際に、非表示と判別されたオブジェクトを表示させないといった制御が可能となる。これにより、オブジェクトを表示するときの表示処理の負荷が軽減されると共に、表示効率が向上する。また、表示不要なオブジェクトを表示させないように制御することができるので、整然としたオブジェクトの表示画面を提供することが可能となる。なお、構造物は、地表に存在する全ての物を含んでおり、建造物のみならず、自然の地形により形成された物も含む。また、構造物には、仮想空間内において仮想的に設けられた構造物も含まれる。
【0009】
また、本発明のオブジェクト管理装置では、非表示オブジェクト制御手段は、オブジェクトを非表示とする属性である非表示属性を、オブジェクト情報における、非表示のオブジェクトとして判別されたオブジェクトの識別データに対応付けて、オブジェクト情報を記憶するためのオブジェクト情報記憶手段に記憶させることが好ましい。
【0010】
この場合には、視点位置から一部又は全部を視認できない構造物に対応付けられたオブジェクトに非表示属性が付加されるので、オブジェクトの表示処理を実施する際に、非表示属性が付されたオブジェクトを表示させないといった制御が可能となる。
【0011】
また、本発明のオブジェクト管理装置は、オブジェクトの仮想空間における配置位置を示す情報であるオブジェクト位置情報と、構造物の所在位置を示す情報である構造物位置情報とを取得し、オブジェクト及び構造物の位置関係に基づき、オブジェクトを構造物に対応付けるオブジェクト対応付手段を更に備え、非表示オブジェクト制御手段は、オブジェクト対応付手段により不可視構造物に対応付けられたオブジェクトを非表示のオブジェクトとして判別することを特徴とする。
【0012】
この場合には、構造物とオブジェクトとの位置関係に基づいて、オブジェクトが構造物に対応付けられるので、オブジェクトの配置位置に応じた適切な構造物に対応付けることが可能となる。
【0013】
また、本発明のオブジェクト管理装置では、オブジェクト対応付手段は、オブジェクトの配置位置と構造物の所在位置との距離が、予め設定された一定の距離以内である場合に、当該オブジェクトを当該構造物に対応付けることが好ましい。
【0014】
この場合には、オブジェクトは、一定の距離以内に存在する構造物に対応付けられることとなるので、オブジェクトと構造物との適切な対応付けが可能となる。
【0015】
また、本発明のオブジェクト管理装置では、オブジェクト対応付手段は、オブジェクト位置情報と構造物位置情報とが一定以上一致する場合に、当該オブジェクトを当該構造物に対応付けることが好ましい。
【0016】
オブジェクト位置情報と構造物位置情報とが一定以上一致することは、当該オブジェクトと当該構造物とが互いに近い位置に存在する可能性が高い。これにより、近い位置に存在する構造物にオブジェクトを対応付けることが可能となる。
【0017】
また、本発明のオブジェクト管理装置は、構造物に関する情報であり、構造物の所在位置を示す情報を含む構造物情報を予め記憶している地図データ記憶手段を更に備え、不可視構造物判別手段は、地図データ記憶手段に記憶されている構造物情報に基づいて不可視構造物を判別することが好ましい。この場合には、不可視構造物判別手段は、地図データ記憶手段に記憶された情報に基づき確実に不可視構造物の判別を実施できる。
【0018】
また、本発明のオブジェクト管理装置は、オブジェクト情報を記憶するためのオブジェクト情報記憶手段を更に備え、非表示オブジェクト制御手段は、オブジェクト情報記憶手段に記憶されたオブジェクト情報に非表示属性を付加することが好ましい。この場合には、確実に非表示属性を付すオブジェクト情報を記憶できる。
【0019】
また、本発明のオブジェクト管理装置では、オブジェクト情報を出力するためのオブジェクト情報出力手段であって、非表示属性が対応付けられたオブジェクト情報を出力せず、非表示属性が対応付けられていないオブジェクト情報を出力するオブジェクト情報出力手段を更に備えることが好ましい。
【0020】
この場合には、例えば、移動端末といった装置に、非表示属性が付されていないオブジェクト情報を出力できるので、当該移動端末に、視認可能な構造物に対応付けられたオブジェクトのみを表示させることが可能となる。
【0021】
また、本発明のオブジェクト管理装置では、オブジェクトを表示するためのオブジェクト表示手段であって、非表示属性が対応付けられたオブジェクトを表示せず、非表示属性が対応付けられていないオブジェクトを表示するオブジェクト表示手段を更に備えることが好ましい。
【0022】
この場合には、視認可能な構造物に対応付けられたオブジェクトのみを表示することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
AR技術において、オブジェクトの表示処理の負荷を軽減すると共に、オブジェクトを視認し易い表示画面を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】オブジェクト管理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】オブジェクト管理装置のハードブロック図である。
【図3】地図データ記憶部の構成及び記憶されているデータの例を示す図である。
【図4】不可視構造物判別処理を説明するための図である。
【図5】オブジェクト情報記憶部の構成及び記憶されているデータの例を示す図である。
【図6】オブジェクト管理装置において実施されるオブジェクト管理方法の処理内容を示すフローチャートである。
【図7】第2実施形態に係るオブジェクト管理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係るオブジェクト管理装置の実施形態について図面を参照して説明する。なお、可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るオブジェクト管理装置1の機能的構成を示すブロック図である。なお、図1では、オブジェクト管理装置1と通信可能な移動端末2の機能的構成も示されている。オブジェクト管理装置1は、仮想空間に配置されたオブジェクトに関する情報であるオブジェクト情報を管理する装置であって、本実施形態のオブジェクト管理装置1は、例えばサーバといったコンピュータにより構成される。
【0027】
また、移動端末2は、オブジェクト管理装置1からオブジェクト情報を受信し、受信したオブジェクト情報に基づきオブジェクトを表示する装置である。例えば、移動端末2が備える撮像装置(図示せず)により取得した現実環境の画像に、オブジェクトを重畳して表示することができる。表示画像中におけるオブジェクトは、表示画像中の現実環境の空間における、オブジェクト情報に含まれるオブジェクトの座標が示す位置に配置される。これにより、現実環境の画像に含まれる構造物にオブジェクトを対応付けた表示が可能となる。
【0028】
オブジェクト管理装置1は、機能的には、位置情報取得部10(位置情報取得手段)、地図データ記憶部11(地図データ記憶手段)、不可視構造物判別部12(不可視構造物判別手段)、オブジェクト情報記憶部13(オブジェクト情報記憶手段)、オブジェクト対応付部14(オブジェクト対応付手段)、非表示オブジェクト制御部15(非表示オブジェクト制御手段)及びオブジェクト情報出力部16(オブジェクト情報出力手段)を備える。
【0029】
図2は、オブジェクト管理装置1のハードウエア構成図である。オブジェクト管理装置1は、物理的には、図2に示すように、CPU101、主記憶装置であるRAM102及びROM103、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュール104、ハードディスク、フラッシュメモリ等の補助記憶装置105、入力デバイスであるキーボード及びマウス等の入力装置106、ディスプレイ等の出力装置107などを含むコンピュータシステムとして構成されている。図1に示した各機能は、図2に示すCPU101、RAM102等のハードウエア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信モジュール104、入力装置106、出力装置107を動作させるとともに、RAM102や補助記憶装置105におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。再び、図1を参照し、オブジェクト管理装置1の各機能部について詳細に説明する。
【0030】
位置情報取得部10は、移動端末2から位置情報を取得する部分である。本実施形態における移動端末2の位置情報は、移動端末2にオブジェクトを表示させる際の、仮想空間における視点位置を示し、例えば、緯度及び経度により表される座標情報である。
【0031】
地図データ記憶部11は、現実環境または仮想空間に存在する構造物に関する情報である構造物情報を予め記憶している記憶手段である。図3は、地図データ記憶部11の構成及び記憶されている構造物情報の例を示す図である。図3に示すように、地図データ記憶部11は、構造物を一意に識別する構造物IDに対応付けて、構造物名、住所、代表座標及び頂点座標を構造物情報として記憶している。
【0032】
構造物情報は、少なくとも構造物の所在位置を示す情報を含む。本実施形態では、住所、代表座標及び頂点座標といった情報により構造物の所在位置が示される。
【0033】
代表座標は、当該構造物が占める領域内の任意の一点を示す座標(緯度,経度)であり、例えば、当該構造物が占める領域の重心点や、当該構造物の輪郭を形成する複数の頂点のうちの一点の座標である。
【0034】
頂点座標は、当該構造物の輪郭を形成する頂点の座標(緯度,経度)である。図3に示す構造物情報は、4点の頂点座標を有しているが、複雑な構造物の形状を示すために、さらに多くの頂点座標が含まれていても良い。
【0035】
構造物は、地表に存在する全ての物を含んでおり、建造物のみならず、自然の地形により形成された物も含む。また、構造物には、仮想空間内において仮想的に設けられた構造物も含まれる。
【0036】
なお、本実施形態では、地図データ記憶部11は、オブジェクト管理装置1に備えられることとしたが、オブジェクト管理装置1と通信可能な他の装置に備えられることとしてもよい。
【0037】
不可視構造物判別部12は、仮想空間に存在する構造物のうち、視点位置との間に他の構造物が存在することにより視点位置から一部又は全部を視認できない構造物である不可視構造物を判別する部分である。次に、図4を参照して、不可視構造物判別部12による不可視構造物判別処理を具体的に説明する。
【0038】
まず、不可視構造物判別部12は、位置情報取得部10から視点位置の位置情報を取得する。続いて、不可視構造物判別部12は、地図データ記憶部11を参照して、視点位置から予め設定された所定の距離以内に存在する構造物の構造物情報を取得する。ここで、所定の距離は、例えば、500メートルといった距離に設定される。
【0039】
続いて、不可視構造物判別部12は、視点位置を原点とする2次元の座標系を設定し、原点を通る構造物Sの接線を生成し、生成された接線と横軸とが成す角のうち最大の角である最大角θmaxN及び最小の角である最小角θminNを生成する。図4(a)は、構造物S及び構造物Sのそれぞれについて生成された最大角θmaxA及び最小角θminA、並びに最大角θmaxB及び最小角θminBを示す図である。図4(a)に示すように、原点を通る構造物S,Sの接線は、原点と各構造物の頂点座標とを通る直線として生成することができる。
【0040】
次に、不可視構造物判別部12は、一の構造物に関する最小角から最大角までの範囲に、他の構造物に関する最小角及び最大角が含まれる場合に、当該一の構造物及び当該他の構造物を不可視構造物の候補として判別する。図4(a)に示す例では、θminA≦θminB<θmaxB≦θmaxAとなるので、不可視構造物判別部12は、構造物S及び構造物Sを不可視構造物の候補として判別する。即ち、構造物S及び構造物Sのいずれかは、視点位置から一部または全部が視認不可能な構造物である。
【0041】
続いて、不可視構造物判別部12は、視点位置から不可視構造物の候補として判別された一の構造物及び他の構造物のそれぞれまでの距離を算出し、視点位置からの距離が遠い方の構造物を不可視構造物として判別する。例えば、視点位置から、構造物の頂点座標から導かれる構造物の重心位置までの距離、または、視点位置から、構造物情報として記憶されている代表座標の位置までの距離を、視点位置から構造物までの距離として用いることができる。図4(b)に示す例では、不可視構造物判別部12は、視点位置から不可視構造物の候補として判別された構造物S及び構造物Sのそれぞれまでの距離R,Rを算出する。そして、距離R<距離Rであるので、不可視構造物判別部12は、構造物Sを不可視構造物として判別する。
【0042】
不可視構造物判別部12は、視点位置から予め設定された所定の距離以内に存在する構造物として地図データ記憶部11から取得した全ての構造物に対して、上記の不可視構造物判別処理を実施し、不可視構造物として判別された構造物の構造物IDを、非表示オブジェクト制御部15に送出する。
【0043】
なお、本実施形態では、不可視構造物判別部12は、視点位置から一部または全部が視認不可能な構造物を不可視構造物として判別しているが、一部が視認不可能な構造物を不可視構造物として判別するか否かは、予めオブジェクト管理装置1に設定することにより選択可能としてもよい。
【0044】
オブジェクト情報記憶部13は、オブジェクト情報を記憶させるための記憶手段である。図5は、オブジェクト情報記憶部13に記憶されたオブジェクト情報の構成及びデータの例を示す図である。図5(a)に示すように、オブジェクト情報記憶部13は、オブジェクトを識別するオブジェクトIDに対応付けて、オブジェクト名、住所、代表座標をオブジェクト情報として記憶している。オブジェクト情報に含まれる住所及び代表座標といった情報は、仮想空間におけるオブジェクトの配置位置を示す情報である。また、オブジェクト情報は、構造物ID及び非表示フラグを対応付けて記憶するためのフィールドを有している。
【0045】
なお、本実施形態では、オブジェクト情報記憶部13は、オブジェクト管理装置1に備えられることとしたが、オブジェクト管理装置1と通信可能な他の装置に備えられることとしてもよい。
【0046】
オブジェクト対応付部14は、オブジェクトの仮想空間における配置位置を示す情報であるオブジェクト位置情報と、構造物の所在位置を示す情報である構造物位置情報とを取得し、オブジェクト及び構造物の位置関係に基づき、オブジェクトを構造物に対応付ける部分である。以下に、オブジェクト対応付部14によるオブジェクトの構造物への対応付け処理を具体的に説明する。
【0047】
地図データ記憶部11に構造物の所在位置を示す代表座標が記憶されており、オブジェクト情報記憶部13にオブジェクトの配置位置を示す代表座標が記憶されている場合には、オブジェクト対応付部14は、オブジェクトの配置位置と構造物の所在位置との距離が、予め設定された一定の距離以内である場合に、当該オブジェクトを当該構造物に対応付ける。ここで、一定の距離は、例えば20メートルとすることができる。また、地図データ記憶部11に構造物の所在位置を示す代表座標が記憶されておらず、頂点座標のみが記憶されている場合には、複数の頂点座標から導かれる構造物の重心位置を構造物の所在位置とすることができる。これにより、オブジェクトは、一定の距離以内に存在する構造物に対応付けられることとなるので、オブジェクトと構造物との適切な対応付けが可能となる。
【0048】
また、地図データ記憶部11に構造物の所在位置を示す住所が記憶されており、オブジェクト情報記憶部13にオブジェクトの配置位置を示す住所が記憶されている場合には、オブジェクト対応付部14は、構造物の住所とオブジェクトの住所とが一定以上一致する場合に、当該オブジェクトを当該構造物に対応付ける。住所の一致判定には、例えば、いわゆるストリング解析といった方法を用いることができる。オブジェクトの住所と構造物の住所とが一定以上一致する場合には、当該オブジェクトと当該構造物とが互いに近い位置に存在する可能性が高い。これにより、近い位置に存在する構造物にオブジェクトを対応付けることが可能となる。
【0049】
オブジェクト対応付部14は、図5(b)に示すように、オブジェクトを対応付けた構造物の構造物IDを、当該オブジェクトのオブジェクトIDに対応付けてオブジェクト情報記憶部13に記憶させる。
【0050】
非表示オブジェクト制御部15は、不可視構造物に対応付けられたオブジェクトを、非表示のオブジェクトとして判別する部分である。具体的には、非表示オブジェクト制御部15は、不可視構造物に対応付けられたオブジェクトを非表示とする属性である非表示フラグ(非表示属性)を、オブジェクト情報における当該オブジェクトの識別データに対応付けて記憶させる。
【0051】
まず、非表示オブジェクト制御部15は、不可視構造物として判別された構造物の構造物IDを不可視構造物判別部12から取得する。次に、非表示オブジェクト制御部15は、オブジェクト情報記憶部13を参照して、不可視構造物に対応付けられたオブジェクトを抽出する。例えば、不可視構造物の構造物IDが「bbb」である場合には、非表示オブジェクト制御部15は、図5(b)に示すオブジェクト情報を参照して、構造物ID「bbb」が対応づけられたオブジェクトID「yyy」を抽出する。そして、非表示オブジェクト制御部15は、図5(c)に示すように、オブジェクトID「yyy」に非表示フラグ「1」をセットする。
【0052】
なお、本実施形態では、非表示オブジェクト制御部15は、非表示と判別されたオブジェクトのオブジェクト情報に非表示フラグを対応付けることにより、非表示のオブジェクトの判別をすることとしているが、オブジェクト情報記憶部13がオブジェクト管理装置1と通信可能な他の装置に備えられている場合には、非表示オブジェクト制御部15は、非表示のオブジェクトとして判別した判別結果の情報を当該他の装置に送信することとしてもよい。
【0053】
オブジェクト情報出力部16は、オブジェクト情報記憶部13に記憶されたオブジェクト情報を移動端末2に出力する部分である。ここで、オブジェクト情報出力部16は、移動端末2の所在位置から一定の距離以内に配置されたオブジェクトのオブジェクト情報を抽出し、抽出されたオブジェクト情報を移動端末2に出力することができる。移動端末2の所在位置を示す位置情報は、位置情報取得部10により取得される。
【0054】
また、オブジェクト情報出力部16は、非表示フラグがセットされたオブジェクト情報を出力せず、非表示フラグがセットされていないオブジェクト情報のみを移動端末2に出力することとしてもよい。これにより、移動端末2に、視認可能な構造物に対応付けられたオブジェクトのみを表示させることが可能となる。
【0055】
なお、本実施形態では、位置情報取得部10、地図データ記憶部11、不可視構造物判別部12、オブジェクト情報記憶部13、オブジェクト対応付部14、非表示オブジェクト制御部15及びオブジェクト情報出力部16は、オブジェクト管理装置1に1体に備えられることとしたが、上記各機能部10〜16はそれぞれ互いに通信可能な装置に分散されて備えられることとしてもよい。
【0056】
次に、移動端末2の機能を説明する。移動端末2は、機能的には、GPS20、方位センサ21、位置情報送信部22、オブジェクト情報受信部23及びオブジェクト表示部24を備える。移動端末2は、図2に示したオブジェクト管理装置1のハードウエア構成と同様の構成を有するコンピュータであり、例えば、携帯電話や携帯端末といった装置により構成される。
【0057】
GPS20は、移動端末2の所在位置を測位する装置であり、測位された所在位置を示す位置情報を位置情報送信部22及びオブジェクト表示部24に送出する。また、方位センサ21は、移動端末2が向けられている方位を検出する装置である。方位センサ21は、検出した方位に関する情報である方位情報をオブジェクト表示部24に送出する。移動端末2は、位置情報及び方位情報に基づき、移動端末2のユーザの視野範囲、または移動端末2が備える撮像装置(図示せず)の視野範囲を特定できる。
【0058】
位置情報送信部22は、移動端末2の所在位置を示す位置情報をオブジェクト管理装置1に送信する部分である。なお、本実施形態では、位置情報はGPS20により取得されることとしているが、例えば、WiFi、RFIDタグ、マーカ認識、画像認識といった方法により測位が実施され、位置情報が取得されることとしてもよい。
【0059】
オブジェクト情報受信部23は、オブジェクト管理装置1のオブジェクト情報出力部16から出力されたオブジェクト情報を受信する部分である。オブジェクト情報受信部23は、受信したオブジェクト情報をオブジェクト表示部24に送出する。
【0060】
オブジェクト表示部24は、オブジェクト情報受信部23から取得したオブジェクト情報に含まれるオブジェクトを、オブジェクト情報に示される当該オブジェクトの配置位置に対応させて表示する部分である。具体的には、オブジェクト表示部24は、移動端末2の撮像装置の視野範囲内に配置されたオブジェクトを表示する。ここで、オブジェクト表示部24は、非表示フラグがセットされたオブジェクトを表示せずに、非表示フラグがセットされていないオブジェクトのみを表示する。これにより、移動端末2における表示処理の負荷が軽減される。また、不可視構造物に対応付けられたオブジェクトが表示されないこととなるので、整然としたオブジェクトの表示画面を提供することが可能となる。
【0061】
続いて、図6を参照して、本実施形態のオブジェクト管理方法におけるオブジェクト管理装置1の動作について説明する。図6は、オブジェクト管理装置1において実施される処理内容を示すフローチャートである。
【0062】
まず、位置情報取得部10は、移動端末2から移動端末2の所在位置を示す位置情報を取得する(S1、位置情報取得ステップ)。続いて、不可視構造物判別部12は、ステップS1において取得した位置情報に基づき、地図データ記憶部11を参照し、仮想空間に存在する構造物から不可視構造物を判別する(S2、不可視構造物判別ステップ)。
【0063】
次に、オブジェクト対応付部14は、オブジェクト位置情報と構造物位置情報とを取得し、オブジェクト及び構造物の位置関係に基づき、オブジェクトを構造物に対応付ける(S3)。オブジェクト対応付部14は、例えば、一定の距離以内に存在する構造物にオブジェクトを対応付ける。
【0064】
続いて、非表示オブジェクト制御部15は、不可視構造物として判別された構造物の構造物IDを不可視構造物判別部12から取得し、オブジェクト情報記憶部13を参照して、不可視構造物に対応付けられたオブジェクトを抽出する(S4、非表示オブジェクト判別ステップ)。そして、非表示オブジェクト制御部15は、ステップS4において抽出されたオブジェクトのオブジェクトIDに対応付けて非表示フラグをセットし、オブジェクト情報としてオブジェクト情報記憶部13に記憶させる(S5、非表示オブジェクト判別ステップ)。
【0065】
そして、オブジェクト情報出力部16は、オブジェクト情報記憶部13に記憶されたオブジェクト情報を移動端末2に出力する(S6)。こうして、本実施形態の処理を終了する。
【0066】
以上説明した実施形態のオブジェクト管理装置1及びオブジェクト管理方法では、非表示オブジェクト制御部15により、視点位置から一部又は全部を視認できない構造物に対応付けられたオブジェクトに非表示フラグが付加されるので、オブジェクトの表示処理を実施する際に、非表示フラグが付されたオブジェクトを表示させないといった制御が可能となる。これにより、オブジェクトを表示するときの表示処理の負荷が軽減されると共に、表示効率が向上する。また、表示不要なオブジェクトを表示させないように制御することができるので、整然としたオブジェクトの表示画面を提供することが可能となる。
【0067】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態に係るオブジェクト管理装置1Aの機能的構成を示すブロック図である。第1実施形態におけるオブジェクト管理装置1は、移動端末2から送信された位置情報に基づき非表示オブジェクトの判別を行い、オブジェクトを移動端末2に出力する構成を有しており、例えばサーバといった装置により構成されるものである(図1参照)。これに対し、第2実施形態のオブジェクト管理装置1Aは、自装置において取得した位置情報に基づき非表示オブジェクトの判別を行い、オブジェクトを表示する構成を有している。第2実施形態のオブジェクト管理装置1Aは、例えば、携帯電話、移動端末といった装置により構成される。
【0068】
オブジェクト管理装置1Aは、機能的には、位置情報取得部10A(位置情報取得手段)、地図データ記憶部11A(地図データ記憶手段)、不可視構造物判別部12A(不可視構造物判別手段)、オブジェクト情報記憶部13A(オブジェクト情報記憶手段)、オブジェクト対応付部14A(オブジェクト対応付手段)、非表示オブジェクト制御部15A(非表示オブジェクト制御手段)、オブジェクト情報取得部17A(オブジェクト表示手段)、オブジェクト表示部18A(オブジェクト表示手段)、GPS20A及び方位センサ21Aを備える。
【0069】
位置情報取得部10Aは、オブジェクト管理装置1Aの所在位置を示す位置情報を取得する部分である。位置情報は、GPS20Aにより測位される。位置情報取得部10Aは、取得した位置情報を不可視構造物判別部12Aに送出する。なお、本実施形態では、位置情報はGPS20Aにより取得されることとしているが、例えば、WiFi、RFIDタグ、マーカ認識、画像認識といった方法により測位が実施され、位置情報が取得されることとしてもよい。
【0070】
地図データ記憶部11A、不可視構造物判別部12A、オブジェクト情報記憶部13A、オブジェクト対応付部14A及び非表示オブジェクト制御部15Aはそれぞれ、図1における地図データ記憶部11、不可視構造物判別部12、オブジェクト情報記憶部13、オブジェクト対応付部14及び非表示オブジェクト制御部15と同様の機能を有する。
【0071】
オブジェクト情報取得部17Aは、オブジェクト情報記憶部13に記憶されたオブジェクト情報を取得する部分である。ここで、オブジェクト情報取得部17Aは、GPS20Aから取得した位置情報に基づき、オブジェクト管理装置1Aの所在位置から一定の距離以内に配置されたオブジェクトのオブジェクト情報のみを取得することができる。オブジェクト情報取得部17Aは、取得したオブジェクト情報をオブジェクト表示部に送出する。
【0072】
オブジェクト表示部18Aは、オブジェクト情報取得部17Aから送出されたオブジェクト情報に含まれるオブジェクトを、オブジェクト情報に示される当該オブジェクトの配置位置に対応させて表示する部分である。具体的には、オブジェクト表示部18Aは、オブジェクト管理装置1Aの撮像装置(図示せず)の視野範囲内に配置されたオブジェクトを表示する。ここで、オブジェクト表示部18Aは、非表示フラグがセットされたオブジェクトを表示せずに、非表示フラグがセットされていないオブジェクトのみを表示する。これにより、オブジェクト管理装置1Aにおける表示処理の負荷が軽減される。また、不可視構造物に対応付けられたオブジェクトが表示されないこととなるので、整然としたオブジェクトの表示画面を提供することが可能となる。
【0073】
GPS20Aは、オブジェクト管理装置1Aの所在位置を測位する装置であり、測位された所在位置を示す位置情報を位置情報取得部10A、オブジェクト情報取得部17A及びオブジェクト表示部18Aに送出する。
【0074】
また、方位センサ21Aは、オブジェクト管理装置1Aが向けられている方位を検出する装置である。方位センサ21Aは、検出した方位に関する情報である方位情報をオブジェクト表示部18Aに送出する。オブジェクト管理装置1Aは、位置情報及び方位情報に基づき、オブジェクト管理装置1Aのユーザの視野範囲、またはオブジェクト管理装置1Aが備える撮像装置(図示せず)の視野範囲を特定できる。
【0075】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1,1A…オブジェクト管理装置、2…移動端末、10,10A…位置情報取得部、11,11A…地図データ記憶部、12,12A…不可視構造物判別部、13,13A…オブジェクト情報記憶部、14,14A…オブジェクト対応付部、15,15A…非表示オブジェクト制御部、16…オブジェクト情報出力部、17A…オブジェクト情報取得部、18A…オブジェクト表示部、21,21A…方位センサ、22…位置情報送信部、23…オブジェクト情報受信部、24…オブジェクト表示部、S,S…構造物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間に配置されたオブジェクトに関する情報であるオブジェクト情報を管理するオブジェクト管理装置であって、
前記仮想空間における視点位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記仮想空間に存在する構造物のうち、前記視点位置との間に他の構造物が存在することにより前記視点位置から一部又は全部を視認できない構造物である不可視構造物を判別する不可視構造物判別手段と、
前記不可視構造物に対応付けられた前記オブジェクトを、非表示のオブジェクトとして判別する非表示オブジェクト制御手段と
を備えることを特徴とするオブジェクト管理装置。
【請求項2】
前記非表示オブジェクト制御手段は、
前記オブジェクトを非表示とする属性である非表示属性を、前記オブジェクト情報における、非表示のオブジェクトとして判別された前記オブジェクトの識別データに対応付けて、前記オブジェクト情報を記憶するためのオブジェクト情報記憶手段に記憶させる
ことを特徴とする請求項1に記載のオブジェクト管理装置。
【請求項3】
前記オブジェクトの前記仮想空間における配置位置を示す情報であるオブジェクト位置情報と、前記構造物の所在位置を示す情報である構造物位置情報とを取得し、前記オブジェクト及び前記構造物の位置関係に基づき、前記オブジェクトを前記構造物に対応付けるオブジェクト対応付手段を更に備え、
前記非表示オブジェクト制御手段は、前記オブジェクト対応付手段により前記不可視構造物に対応付けられた前記オブジェクトを非表示のオブジェクトとして判別する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のオブジェクト管理装置。
【請求項4】
前記オブジェクト対応付手段は、前記オブジェクトの配置位置と前記構造物の所在位置との距離が、予め設定された一定の距離以内である場合に、当該オブジェクトを当該構造物に対応付けることを特徴とする請求項3に記載のオブジェクト管理装置。
【請求項5】
前記オブジェクト対応付手段は、前記オブジェクト位置情報と前記構造物位置情報とが一定以上一致する場合に、当該オブジェクトを当該構造物に対応付けることを特徴とする請求項3に記載のオブジェクト管理装置。
【請求項6】
前記構造物に関する情報であり、前記構造物の所在位置を示す情報を含む構造物情報を予め記憶している地図データ記憶手段を更に備え、
前記不可視構造物判別手段は、前記地図データ記憶手段に記憶されている前記構造物情報に基づいて不可視構造物を判別する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のオブジェクト管理装置。
【請求項7】
前記オブジェクト情報を記憶するためのオブジェクト情報記憶手段を更に備え、
前記非表示オブジェクト制御手段は、前記オブジェクト情報記憶手段に記憶された前記オブジェクト情報に前記非表示属性を付加する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のオブジェクト管理装置。
【請求項8】
前記オブジェクト情報を出力するためのオブジェクト情報出力手段であって、前記非表示属性が対応付けられた前記オブジェクト情報を出力せず、前記非表示属性が対応付けられていない前記オブジェクト情報を出力するオブジェクト情報出力手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のオブジェクト管理装置。
【請求項9】
前記オブジェクトを表示するためのオブジェクト表示手段であって、前記非表示属性が対応付けられた前記オブジェクトを表示せず、前記非表示属性が対応付けられていない前記オブジェクトを表示するオブジェクト表示手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のオブジェクト管理装置。
【請求項10】
仮想空間に配置されたオブジェクトに関する情報であるオブジェクト情報を管理するオブジェクト管理装置におけるオブジェクト管理方法であって、
前記仮想空間における視点位置を示す位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記仮想空間に存在する構造物のうち、前記視点位置との間に他の構造物が存在することにより前記視点位置から一部又は全部を視認できない構造物である不可視構造物を判別する不可視構造物判別ステップと、
前記不可視構造物に対応付けられた前記オブジェクトを、非表示のオブジェクトとして判別する非表示オブジェクト制御ステップと
を有することを特徴とするオブジェクト管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−118687(P2011−118687A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275745(P2009−275745)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】