説明

オブジェクト透過表示装置

【課題】複数の表示オブジェクトを重ねて画面上に表示する情報機器において、前面の表示オブジェクトの透過度を変更した場合に、新たに表示される背面の表示オブジェクトが、常にユーザの所望する表示オブジェクトとなるようなオブジェクト透過表示装置を提供する。
【解決手段】表示オブジェクトAの透過度を変更した場合に、表示オブジェクト情報更新指示部104が、あらかじめ定められた表示オブジェクトBの上に重なる表示オブジェクトの表示オブジェクト情報の更新を、表示オブジェクト情報管理部103へ指示する。表示更新指示部102は、表示オブジェクト情報の更新を検知し、表示装置101に対して表示オブジェクトの表示更新を指示することにより、表示オブジェクトAを通じて、あらかじめ定められた表示オブジェクトBを表示装置101に表示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶やCRTなどに代表される表示装置上に、複数のウィンドウを表示させることができるマルチウィンドウシステムを搭載したパソコンやワークステーション、携帯電話等の情報機器において、前面に表示されているウィンドウの背景を透過表示状態あるいは、半透過表示状態に変更した場合に、あらかじめ指定しておいたウィンドウが前面に表示されたウィンドウから透けて見えるウィンドウ透過表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パソコンやワークステーション、携帯電話等の情報機器において、液晶やCRTなどの表示装置上に複数の画面を同時に表示したい場合には、複数のウィンドウと呼ばれる矩形領域に画面を表示する。このようなマルチウィンドウシステムの一例としては、マイクロソフト社のウィンドウズ(登録商標)や主にUNIX(登録商標)系OS上で動作することで有名なXウィンドウシステムなどがある。
【0003】
このようなマルチウィンドウシステムを搭載した情報機器を操作する場合に、ユーザは、マウスやキーボードなどの入力手段を利用したウィンドウ操作(表示、移動、消去、サイズ変更など)により、自由に表示装置上に表示されるウィンドウを選択することができる。
【0004】
しかし、複数のウィンドウを同時に表示した場合は、それぞれのウィンドウが重なり合う領域が増加することにより、ユーザが本当に表示したいウィンドウの情報が表示されないために、表示したいウィンドウを表示させるためのウィンドウ操作が煩雑になる場合がある。
【0005】
このような複数のウィンドウを同時に表示した場合に前面のウィンドウが背面のウィンドウに重なり、背面のウィンドウの表示が隠されてしまう課題に対して、従来技術では、前面のウィンドウの背景の一部または全部を透過状態あるいは、半透過状態として表示することにより、背面に隠れているウィンドウ情報をも同時に可視状態とするものがある。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−301505号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば、携帯電話を代表とする比較的画面が狭い情報機器においては、複数のウィンドウを表示する場合に、前面のウィンドウが背面のウィンドウ全体を覆うように、ウィンドウを重ねて表示することが多いが、このような情報機器では、ユーザは、前面のウィンドウを透過表示するまで、前面のウィンドウを通して新たにユーザに見える状態となる(以下、「可視状態となる」と言う)背面のウィンドウ情報を知ることができない。
【0007】
従って、複数(3枚以上)のウィンドウが重なる状況において、前面のウィンドウを透過状態にした場合、所望しないウィンドウが表示されることがある。よって、新たに可視状態となった背面のウィンドウ情報が所望しない情報である場合は、ユーザは、所望の情報が表示されたウィンドウを、透過表示された前面のウィンドウを通して可視状態にするために、マウスやキーボードなどに代表される入力手段を用いたウィンドウ操作を必要とする。しかし、携帯電話のような画面も狭く入力手段も限られる情報機器において、複数のウィンドウが重なりあっている場合には、ユーザのウィンドウ操作は困難であるという課題が生じる。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、ウィンドウやウィンドウ内の描画物である表示オブジェクトの透過度が変更された際に、その表示オブジェクトを通じて新たに可視状態となる表示オブジェクトが、あらかじめ設定された特定の表示オブジェクトとなるように、他の表示オブジェクトの透明度を変更したり、他の表示オブジェクトとの重なり状態を変更したり、表示位置を移動したりすることによって、煩雑な表示オブジェクト操作を必要としないで、所望する画面状態を表示可能とするオブジェクト透過表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明のオブジェクト透過表示装置は、表示装置と、前記表示装置に表示される、ウィンドウおよびウィンドウ内部の描画物である表示オブジェクトと、前記表示オブジェクトの表示情報である表示オブジェクト情報を管理する表示オブジェクト情報管理部と、前記表示装置に可視状態として表示されている表示オブジェクトの透過度変更要求を検知し、透過した前記表示オブジェクトを通して、あらかじめ設定されている表示オブジェクトを前記表示装置に可視状態とするよう表示オブジェクト情報を更新する表示オブジェクト情報更新指示部と、前記表示オブジェクト情報が更新された場合に、前記表示装置へ表示オブジェクトの表示更新を指示する表示更新指示部を備える。
【0010】
本構成によって、あらかじめ設定された表示オブジェクトの上に重なる複数の表示オブジェクトに邪魔されることなく、透過度の変更された表示オブジェクトを通じて所望の表示オブジェクトを表示することが可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のオブジェクト透過表示装置によれば、表示オブジェクトの透過度を変更した場合に、透過度を変更された表示オブジェクトを通じて所望する表示オブジェクトを可視状態とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態におけるオブジェクト透過表示装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0014】
図1において、表示装置101は、液晶やCRTなどである。表示更新指示部102は、表示オブジェクト情報管理部103が保持する表示オブジェクト情報に基づいて、ウィンドウやウィンドウ内部の描画物である表示オブジェクトを、表示装置101に表示するように指示する。
【0015】
図2では、表示装置101に表示ウィンドウまたは表示オブジェクトが重なって表示されている例を示す。図2におけるx座標、y座標は表示オブジェクトの表示位置を表すのに用いる。図2の表示装置101の表示画面201では、表示オブジェクト10001と表示オブジェクト10002を持つ表示ウィンドウ1000の背後に、表示オブジェクト20001を持つ表示ウィンドウ2000が表示されており、その背後に表示オブジェクト30001を持つ表示ウィンドウ3000が表示されていることを表している。
【0016】
図3における表示オブジェクト情報は、それぞれの表示オブジェクトを特定する表示オブジェクトID、表示オブジェクトがどのウィンドウに存在しているかを示す表示ウィンドウID、表示オブジェクトの表示位置や表示領域を定めるX座標値、Y座標値や幅、高さ、また、オブジェクトを表示する際の透過度、表示オブジェクトが実際に表示装置101で可視状態にあるかどうかを示す可視状態、可視状態の表示オブジェクトの透過度を変更した場合、透過した表示オブジェクトを通して可視状態にするようあらかじめ設定した表示オブジェクトであるかどうかを示す設定状態、表示オブジェクト間の重なり順序等である。
【0017】
ここでは、「透過度」が「0」の場合は非透過状態、「1」の場合は透過状態とし、「可視」が「0」の場合は可視状態、「1」の場合は可視状態ではないこととする。また、「設定」が「0」の場合は、可視状態の表示オブジェクトの透過度を変更した際、透過した表示オブジェクトを通して可視状態にするようあらかじめ設定されていないオブジェクト、「1」の場合は、可視状態の表示オブジェクトの透過度を変更した際、透過した表示オブジェクトを通して可視状態にするようあらかじめ設定されているオブジェクトとし、「重なり順序」は一番上から順番に「1」、「2」、「3」・・・と番号をつけた例とする。
【0018】
ここで、現在可視状態である表示ウィンドウを表示ウィンドウA、または表示オブジェクトを表示オブジェクトA、可視状態の表示オブジェクトの透過度が変更された場合、可視状態になるようあらかじめ設定されている表示ウィンドウを表示ウィンドウB、または表示オブジェクトを表示オブジェクトBと、以下呼ぶことにする。
【0019】
表示更新指示部102は、表示オブジェクト情報管理部103で管理される表示オブジェクト情報が更新されたことを検知し、表示装置101へ表示オブジェクトの表示更新を指示する。
【0020】
表示オブジェクト情報管理部103は、表示装置101に表示されている表示オブジェクトや表示ウィンドウの表示オブジェクト情報を保持する。また、表示オブジェクト情報更新指示部104が表示オブジェクト情報を更新する。次に、表示更新指示部102が表示オブジェクト情報の更新を検知する。
【0021】
表示オブジェクト情報更新指示部104は、表示オブジェクト情報管理部103で管理される表示オブジェクトの中から、可視状態である表示オブジェクトAの透過度変更要求を受ける。次に表示オブジェクト情報更新指示部104は、表示オブジェクトAの透過度を変更する際に、表示オブジェクトAを通してあらかじめ設定されていた表示オブジェクトB(表示オブジェクト情報管理部103が管理する表示オブジェクト情報の「設定」項目が「1」)が表示装置101に可視状態となるように、表示オブジェクト情報管理部103の表示オブジェクト情報を更新する。
【0022】
より具体的には、可視対象判定部105が、表示オブジェクト情報管理部103が管理する表示オブジェクト情報の「設定」項目の中から、「1」の表示オブジェクト、つまり、表示オブジェクトBがあるか否かを判定する。表示オブジェクトbがあると判定された場合、重なり判定部106へ、表示オブジェクトBがないと判定された場合、可視対象判定部105は表示オブジェクト情報管理部103が管理する表示オブジェクトAの透過度を変更する。
【0023】
重なり判定部106は、表示オブジェクトBがあると判定された場合、表示オブジェクトAと表示オブジェクトBとの間に表示オブジェクトがあるか否かを判定する。重なりがあると判定された場合、重なり判定部106は表示オブジェクトBが可視状態となるよう表示オブジェクト情報管理部103の表示オブジェクト情報を更新する。また、重なりがないと判定された場合、重なり判定部106は表示オブジェクト情報管理部103が管理する表示オブジェクトAの透過度を変更する。
【0024】
なお、表示オブジェクト情報更新指示部104は、表示オブジェクト情報の更新を伴わず、表示情報更新指示部102に対して表示装置101への表示更新を指示することもできる。
【0025】
また、表示オブジェクトAの透過度を変更するとしたが、可視状態である表示ウィンドウAの透過度を変更するとしてもよく、同様にあらかじめ設定されていた表示オブジェクトBを表示ウィンドウBとしてもよい。
【0026】
図4は、本発明の実施の形態におけるオブジェクト透過表示装置の動作の一例を示すフローチャートである。図4のフローチャートに従い、本発明の実施の形態におけるオブジェクト透過表示装置の各機能ブロックの動作を説明する。
【0027】
ステップS401において、表示オブジェクト情報更新指示部104は、表示オブジェクト情報管理部103において管理される表示オブジェクトの中から、可視状態となっている表示オブジェクトAに対する透過度変更要求を検知する。ここで、「透過度変更要求」は透過対象となる表示オブジェクトAと透過度とを含んでいるとする。
【0028】
ステップS402において、表示オブジェクト情報更新指示部104は、表示オブジェクト情報管理部103で管理される複数の表示オブジェクト情報から、あらかじめ設定されていた表示オブジェクトBの上に表示オブジェクトA以外の表示オブジェクトが重なっているかどうかを判定する。
【0029】
ここで、複数の表示オブジェクトが互いに重なっているかどうかは、表示オブジェクト情報(図3)の「重なり順序」によって判別できる。また、どの表示オブジェクトが表示オブジェクトBであるかは、表示オブジェクト情報の設定状態(例えば、図3の「設定」の項目が「1」)によって判別できる。
【0030】
ステップS403は、ステップS402において、表示オブジェクトBの上に、表示オブジェクトA以外の表示オブジェクトが重なっていないと判定された場合に実行される処理で、ステップS401で、表示オブジェクト情報更新指示部104が検知した、表示オブジェクトの透過度変更要求に基づき、表示オブジェクト情報更新指示部104が、表示オブジェクト情報管理部103において管理される表示オブジェクトAの透過度を変更する。
【0031】
なお、ここでは、表示オブジェクトBがあることを前提に説明しているが、表示オブジェクトがない場合(表示オブジェクトBを設定していない、表示オブジェクトBが表示されていない等)は、直下の表示オブジェクトを可視状態にしてもよいし、表示オブジェクトAの透過度を変更しないとしてもよい。
【0032】
ステップS404は、ステップS402において、表示オブジェクトBの上に、表示オブジェクトA以外の表示オブジェクトが重なっていると判定された場合に実行される処理で、表示オブジェクト情報更新指示部104は、表示オブジェクトBに重なっていると判定された表示オブジェクトの透過度を透過あるいは、半透過状態になるように表示オブジェクト情報を更新する。なお、表示オブジェクトAの透過度は、ステップS401における透過度変更要求で通知された透過度とする。
【0033】
ステップS405は、ステップS403または、ステップS404の後に実行される処理で、表示オブジェクト情報管理部103において、表示オブジェクト情報更新が実行されたことを表示更新指示部102が検知し、表示オブジェクト情報管理部103の表示オブジェクト情報に基づいて、表示オブジェクトBが可視状態で表示されるよう表示装置101に指示する。
【0034】
以上、本実施の形態におけるオブジェクト透過表示装置の一例として、その構成と処理内容を説明した。ここでは、表示オブジェクトについて、透過度を設定したり、透過度を変更する際に可視状態にするようあらかじめ設定したりする場合のみ説明したが、表示ウィンドウについて透過度を設定したり、透過度を変更する際に可視状態にするようあらかじめ設定したりしてもよい。
【0035】
続いて、図5の具体例を用いて図4のフローチャート処理を説明する。なお、以降、説明に用いる図中、説明済みの符合については、その都度の説明は省略する。
【0036】
図5は、本発明の実施の形態におけるオブジェクト透過表示装置を携帯電話に適用したときの具体例である。なお、携帯電話だけでなく、携帯情報端末やデジタルカメラ等にも適用できる。
【0037】
図5において、501〜504は、図4のフローチャート処理を開始する前の表示オブジェクトであって、501は、前述した表示オブジェクトAに相当し、一例として、携帯電話のメールアプリケーションの画面としている。以後、表示オブジェクトA(501)と表記する。また、504は、あらかじめ設定された表示オブジェクトBに相当し、ここでは、一例として天気予報中のテレビアプリケーションの画面としている。以後、表示オブジェクトB(504)と表記する。
【0038】
また、表示オブジェクト502と503は、表示オブジェクトB(504)の上に重なる2つの表示オブジェクトを示している。 また、携帯電話の表示装置(例えば液晶画面)上には、表示オブジェクトA(501)のみ可視状態となっているものとする。つまり、表示オブジェクトA(501)が非透過状態であれば、表示オブジェクト502、503、504は、表示オブジェクトA(501)に隠され携帯電話のユーザが視認することができない状態となっている。
【0039】
このような、条件下で、前述したステップS401に従って、表示オブジェクトA(501)に対する透過度変更要求を表示オブジェクト情報更新指示部103が検知すると、ステップS402において、表示オブジェクト情報更新指示部104は、表示オブジェクト情報管理部103の表示オブジェクト情報を参照し、あらかじめ設定された表示オブジェクトB(504)の上に表示オブジェクトA以外の表示オブジェクト(表示オブジェクト502、表示オブジェクト503)が重なっていると判定する。
【0040】
ステップS403の処理としては、表示オブジェクト情報更新指示部104は、表示オブジェクトB(504)の上に重なる表示オブジェクト502と503の透過度を完全透過状態とし、表示オブジェクトA(501)の透過度については、ステップS401の透過度変更要求に従った透過度となるような表示オブジェクト情報更新を表示オブジェクト情報管理部103に指示する。その後、前述したステップS405の処理が実行され、図4の透過表示画面(505)が表示される。
【0041】
透過表示画面(505)は、図4のフローチャートを経て、透過度変更後の表示オブジェクト506〜508(表示オブジェクト501〜503のそれぞれの透過度が変更された、透過表示オブジェクト)と表示オブジェクトB(504)が重なりあって表示装置101に表示された結果を示している。以後、透過度変更後の表示オブジェクトA(501)に対応する表示オブジェクト506を透過表示オブジェクトA(506)とする。
【0042】
透過表示画面(505)の表示結果より、携帯電話のユーザは、メールアプリケーション画面である透過表示オブジェクトA(506)を通じて、あらかじめ設定されたテレビアプリケーション画面である表示オブジェクトB(504)を同時に見ることができる。
【0043】
なお、本実施の形態として、ステップS404では、あらかじめ設定された表示オブジェクトBの上に重なる表示オブジェクトの透過度を変更したが、表示オブジェクトBの表示領域と重なる領域の透過度を部分的に変更してもよい。これにより、表示オブジェクトBの表示領域が過不足なく、表示オブジェクトAを通じて可視状態にすることができる。
【0044】
また、ステップS404では、表示オブジェクトBの上に重なる表示オブジェクトAと重なる領域のみの透過度を部分的に変更してもよい。これにより、本来、透過度変更要求のあった、表示オブジェクトAのみの表示領域のみを通じて表示オブジェクトBが表示されるため、可視状態かつ表示オブジェクトBの上に重なる他の表示オブジェクトが予期せず透過度変更されることを防ぐことができる。
【0045】
なお、本実施の形態として、ステップS404では、表示オブジェクトAの直下に表示オブジェクトBが重なるように、表示オブジェクト間の重なり順序を変更したうえで、表示オブジェクトAの透過度を変更してもよい。これにより、図5の表示オブジェクト501〜504の重なりは、図6の(A)で示される表示オブジェクトの重なり順序へと変更される。つまり、表示オブジェクトB(601)が表示オブジェクトA(506)の直下の表示オブジェクトとなるよう重なりの順序が変わる。これより、表示オブジェクトAの透過度変更と併せて、最終的には、透過表示画面(505)が可視状態として表示装置101に表示される。
【0046】
また、本実施の形態として、ステップS404では、表示オブジェクトAと表示オブジェクトBの両方と重なりのある表示オブジェクトについては、その表示を終了させた上で、表示オブジェクトAの透過度を変更してもよい。これにより、図5の表示オブジェクト501〜504の重なりは、図6の(B)で示されるように、透過表示オブジェクトA(506)とオブジェクトB(602)のみの重なりとなる。従って、最終的には、透過表示画面(505)が可視状態として表示装置101に表示される。
【0047】
なお、前述したステップS404の処理において、表示オブジェクトBと表示オブジェクトAの表示領域の重なり面積が、あらかじめ定められた面積S以下となる場合に、重なり面積を広めるように、表示オブジェクトBの表示位置を変更したうえで、表示オブジェクトBの上に重なる表示オブジェクトの透過度や重なり順序や表示状態、あるいは、それらの組み合わせにより、表示オブジェクトAを通して表示オブジェクトBが表示されるようにしてもよい。
【0048】
これにより、図7の上図に示されるように、表示オブジェクトA(501)と表示オブジェクトB(504)の表示領域の重なり部分(図7の701で示される斜線部で、S1はその面積)が極端に狭い場合、すなわち面積S1(701)<あらかじめ設定された面積S(S≧0)であったとしても、表示オブジェクトB(504)の表示位置を図7の右下図のように移動し、表示オブジェクト502〜503の重なり順序を変更したうえで、透過表示オブジェクトA(506)を通して、表示オブジェクトB(503)が可視状態となる透過表示画面(505)を表示装置101に表示することができる。
【0049】
なお、以上に述べたステップS404での表示オブジェクト情報変更指示部104の振る舞いは、あらかじめ設定された表示オブジェクトBの上に他の表示オブジェクトが重なる場合において、表示オブジェクトAを通して、ユーザの所望な形式で表示オブジェクトBが表示装置101に可視状態となるようにするために、前述したそれぞれのステップS404の処理を組み合わせてもよい。
【0050】
なお、本実施の形態において、オブジェクト透過表示装置を構成する各機能ブロックは、典型的には、CPUやメモリや要した情報機器上で動作するプログラムとして実現されるが、その機能の一部または全部を集積回路であるLSIとして実現してもよい。これらのLSIは、個別に1チップ化されても良いし、一部又は全てを含むように1チップ化されても良い。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0051】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(FIELD PROGRAMMABLE GATE ARRAY)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用しても良い。
【0052】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
【0053】
以上により、本発明のオブジェクト透過表示装置によれば、表示オブジェクトの透過度を変更した場合に、ユーザの煩雑な表示オブジェクト操作を必要としないで、透過度を変更された表示オブジェクトを通じてユーザが所望する表示オブジェクトを可視状態とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明にかかるオブジェクト透過表示装置は、ウィンドウが重なり、覆いあって表示されるようなマルチウィンドウシステムにおいて、透過あるいは、半透過表示されているウィンドウを通してあらかじめ設定されたウィンドウが表示されるという効果を有し、携帯電話や携帯情報端末等の画面が狭く、表示オブジェクトが別の表示オブジェクトを隠すことが多い機器や、システムにおいて有用である。また、デジタルカメラや車載機器などの用途にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態におけるオブジェクト透過表示装置の構成の一例を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態における表示装置に表示されるオブジェクトの一例を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態における表示オブジェクト情報の一例を示す図
【図4】本発明の実施の形態におけるオブジェクト透過表示装置の動作の一例を示すフローチャート
【図5】本発明の実施の形態におけるオブジェクト透過表示装置の携帯電話へ適用した場合の具体例を示す図
【図6】本発明の実施の形態におけるオブジェクト透過表示装置の携帯電話へ適用した場合の具体例を示す図
【図7】本発明の実施の形態におけるオブジェクト透過表示装置の携帯電話へ適用した場合の具体例を示す図
【符号の説明】
【0056】
101 表示装置
102 表示更新指示部
103 表示オブジェクト情報管理部
104 表示オブジェクト情報更新指示部
105 可視対象判定部
106 重なり判定部
201 表示画面
301 表示オブジェクト情報
501 表示オブジェクトA
502,503 表示オブジェクト
504 表示オブジェクトB
505 透過表示画面
506 透過表示オブジェクトA
507,508 透過表示オブジェクト
601,602 表示オブジェクトB
701 表示領域の重なり部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置と、
前記表示装置に表示される、ウィンドウおよびウィンドウ内部の描画物である表示オブジェクトと、
前記表示オブジェクトの表示情報である表示オブジェクト情報を管理する表示オブジェクト情報管理部と、
前記表示装置に可視状態として表示されている表示オブジェクトの透過度変更要求を検知し、透過した前記表示オブジェクトを通して、あらかじめ設定されている表示オブジェクトを前記表示装置に可視状態とするよう表示オブジェクト情報を更新する表示オブジェクト情報更新指示部と、
前記表示オブジェクト情報が更新された場合に、前記表示装置へ表示オブジェクトの表示更新を指示する表示更新指示部と
を備えたオブジェクト透過表示装置。
【請求項2】
前記表示オブジェクト情報更新指示部は、
透過度変更要求を検知された表示オブジェクトとあらかじめ設定されている表示オブジェクトとの間に表示されている表示オブジェクトがある場合、当該間に表示されている表示オブジェクトの透過度を変更することを特徴とする請求項1記載のオブジェクト透過表示装置。
【請求項3】
前記表示オブジェクト情報更新指示部は、
前記間に表示されている表示オブジェクトの表示領域のうち、前記あらかじめ設定されている表示オブジェクトと重なる領域のみの透過度を変更することを特徴とする請求項2記載のオブジェクト透過表示装置。
【請求項4】
前記表示オブジェクト情報更新指示部は、
前記間に表示されている表示オブジェクトの表示領域のうち、前記透過度変更要求を検知された表示オブジェクトと重なる領域のみの透過度を変更することを特徴とする請求項2記載のオブジェクト透過表示装置。
【請求項5】
前記表示オブジェクト情報更新指示部は、前記あらかじめ設定されている表示オブジェクトが、前記透過度変更要求を検知された表示オブジェクトの直下に表示されるように表示オブジェクト情報を更新することを特徴とする請求項1記載のオブジェクト透過表示装置。
【請求項6】
前記表示オブジェクト情報更新指示部は、
透過度変更要求を検知された表示オブジェクトとあらかじめ設定されている表示オブジェクトとの間に表示されている表示オブジェクトがある場合、当該間に表示されている表示オブジェクトの表示を終了するよう表示オブジェクト情報を更新することを特徴とする請求項1記載のオブジェクト透過表示装置。
【請求項7】
前記表示オブジェクト情報更新指示部は、
前記透過度変更要求を検知された表示オブジェクトと前記あらかじめ設定されている表示オブジェクトの表示領域の重なり部分の面積が、あらかじめ設定された面積S以下である場合に、前記重なり部分の面積を広めるように前記あらかじめ設定されている表示オブジェクトの表示位置を変更することを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載のオブジェクト透過表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−193089(P2009−193089A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−153381(P2006−153381)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】