説明

オリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド誘導体を用いたオリゴヌクレオチド構築物、オリゴヌクレオチド誘導体を合成するための化合物及びオリゴヌクレオチド誘導体の製造方法

【課題】本発明は、良好なヌクレアーゼ抵抗性を有するリゴヌクレオチド誘導体を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、ヌクレオシドに替えて、フルオロメチル基を置換基として有するベンゼン骨格(1)を有するユニットを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド誘導体を用いたオリゴヌクレオチド構築物、オリゴヌクレオチド誘導体を合成するための化合物及びオリゴヌクレオチド誘導体の製造方法に関する。
【0002】
近年、DNAやRNAなど各種のオリゴヌクレオチドが治療、診断等の用途に用いられるようになってきている。例えば、診断用途においては、DNAチップやDNAマイクロアレイが挙げられ、治療用途では、治療関連遺伝子の導入ほか、疾患関連遺伝子のノックダウンによる発現抑制等が挙げられる。また、特定の分子と特異的に結合する核酸分子やペプチドであるアプタマーを治療薬として用いる試みもなされている。
【背景技術】
【0003】
特に注目される核酸技術としては、RNA干渉(RNAi)を利用した、特定遺伝子のノックダウン法が挙げられる。RNAiとは、二本鎖RNA(dsRNA)の働きによって、それと配列の相同な遺伝子の働きが抑制される現象をいう。RNAiによる遺伝子発現の抑制は、dsRNAがRNaseIIIファミリーの一種であるDicerによって認識され、切断されて21〜23量体のsiRNAs(short interfering RNAs)となり、このsiRNAがRISC(RNA−induced silencing complex)に取り込まれ、続いて取り込まれたsiRNAに相同的なmRNAが中央部で切断され、分解されることによる。
【0004】
しかしながら、生体内において外来性のDNAやRNAは、各種のヌクレアーゼに曝されており、特にRNAはヌクレアーゼにより分解されやすいため、意図したノックダウン効果が充分得られなかったり、ノックダウン効果を安定的に維持させるのが困難であったりするという問題があった。
【0005】
こうした問題を解決するため、RNAを化学修飾してヌクレアーゼ抵抗性を向上させることが検討されている(非特許文献1〜3)
【0006】
例えば、siRNAについても、図3に示すように、様々な化学修飾が試みられている(非特許文献4)。また、本発明者は、siRNAの3’末端ダングリングエンドのリン酸ジエステル結合部分をカルバメート結合やウレア結合に変換し、これによって結合部分の負電荷をなくし、siRNAのヌクレアーゼ抵抗性とサイレンシング活性とを高めることに成功している(非特許文献5)。また、本発明者は、ヌクレオシドに替えてベンゼン骨格を有するユニットをRNA等の核酸オリゴマーに導入することによって、ヌクレアーゼ抵抗性を高めることにも成功し、さらには、ベンゼン骨格を導入するためのアミダイト試薬をCPG樹脂に修飾し、これを用いたヌクレオチドの修飾にも成功している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2007/094135
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】(L.Beigelman.,J.A McSwiggen.,K.G.Draper et al.,J Biolchem 270,25702−25708(1995)27)
【非特許文献2】S.P.Zinnen K.Domenico.,M. Wilson et al., RNA 8,214-228(2002)
【非特許文献3】S.AgrawalandE.R.KandimaIla.,Curr.CanGer Drug Targets.,1,197-209(2001))
【非特許文献4】H.Hoshi FEBS Letters 521,197-199(2002))
【非特許文献5】Y.Ueno,T.Naito,K.Kawada,A.Shibata,Hye-SookKim Y.Wataya,Y.Kidade,Biochem Biophys Res Commun330,1168-1175(2005)
【非特許文献6】J.J.Song.,LiuN.H.Tolia.,J.Schneiderman.,S.K.Smith.,R.A.Martienssen.,G.J.Hannon and L.Joshuator., Nat.Struct.Biol‥10,1026-1032(2003)
【非特許文献7】K.S.Yan.,S.Yan.,A.Farooq.,A.Han.,L.Zengand M.M.Zhou.,Nature.,426,468-474( 2003)
【非特許文献8】Zhang.,F.A Kolb.,L.Jaskiewicz.,E.Westhofand W.Filipowicz Cell 118,57-68(2003)
【非特許文献9】A.Linge B.SimonE.1zaurralde and M.Sattler Nature 426,465-469(2003))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1に記載されている、ベンゼン骨格を有するユニットをRNA等の核酸オリゴマーに導入する技術は、siRNAについて3’末端ダングリングエンドを化学修飾することにより、ヌクレアーゼ抵抗性やサイレンシング活性が高められることが確認されているが、さらにその効果を高めることが求められていた。
【0010】
また、生体内における薬物の局部位及び代謝等、分子レベルでの解明を可能にする陽電子放射断層画像撮影(PET)法を、オリゴヌクレオチド誘導体に適用できれば、RNA創薬等の開発の強力な武器になると考えられる。しかしながら、PETに用いられる標識元素の半減期は短く(11Cで20分、18Fで110分)、このため、PET法に適用できるような、短時間での合成を可能とするオリゴヌクレオチド誘導体の製造方法が求められていた。
【0011】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、良好なヌクレアーゼ抵抗性を有するオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド誘導体を用いたオリゴヌクレオチド構築物、オリゴヌクレオチド誘導体を合成するための化合物及びオリゴヌクレオチド誘導体の製造方法を提供することを一つの目的とする。また、本発明は、RNAiによる遺伝子発現抑制効果が向上されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド誘導体を用いたオリゴヌクレオチド構築物、オリゴヌクレオチド誘導体を合成するための化合物及びオリゴヌクレオチド誘導体の製造方法を提供することを他の一つの目的とする。さらに本発明は、短時間でPET法に用いられる標識元素の導入が可能なオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド誘導体を用いたオリゴヌクレオチド構築物、オリゴヌクレオチド誘導体を合成するための化合物及びオリゴヌクレオチド誘導体の製造方法を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、少なくとも1個の以下の式(1)で示されるユニット(ただし下記式(1)のベンゼン環に直接結合する水素に替えて、水素以外の置換基が結合しているものも含む)を有することを特徴とする。
【化1】

【0013】
上記式(1)のベンゼン環にはフルオロメチル基が結合しているが、このフルオロメチル基が水素に変わったオリゴヌクレオチド誘導体がヌクレアーゼ抵抗性を有することは、本発明者によって解明されている(特許文献1参照)。本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、ベンゼン環にフルオロメチル基が結合していることによって、さらに優れたヌクレアーゼ抵抗性を有する。また、上記式(1)で示されるユニットは、各種ヌクレアーゼのターゲットとなる箇所(ヌクレアーゼの種類により、3’末端や5’末端や非3’末端非5’末端の特定の部位等)に結合させることができる。
【0014】
また、上記式(1)のユニットをsiRNAの3’ダングリングエンドに結合させることにより、RNAiによる遺伝子発現抑制作用が増大される。この理由は、明確とはなっていないが、次のように推論される。RNAiにおいて重要な役割を果たすRISCは、RNAiの標的mRNAの分解の過程に関与するマルチドメインタンパクとして知られているが、近年、RISC中のPAZドメインとsiRNAとの共結晶のX線結晶構造解析が行われた(J.B.Ma K.Ye and D.J.Patel Nature‥429,318-322(2004).)。その結果、PAZドメインはsiRNAの3’末端ダングリングエンドを認識しており、3’末端ダングリングエンドの2ヌクレオチドがPAZドメインの疎水性ポケットに入り込んで認識されていることが明らかとなっている。本発明のオリゴヌクレオチド誘導体には、強力な疎水性を有するフルオロメチル基を有しており、このため、PAZとの親和性及びPAZによる認識性が向上し、これにより、サイレンシング効果が向上したものと考えられる。このため、上記ユニットを3’末端ダングリングエンドに備えたsiRNAは、優れたヌクレアーゼ抵抗性と、優れたサイレンシング効果とを有することができるのである。
【0015】
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、少なくとも1個の以下の式(2)で表されるユニットを有していてもよい。
【化2】

【0016】
また、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、以下に示す式(3)で表される構造であってもよい。
【化3】

式中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素又はヒドロキシル保護基を表し、a、b及びcは独立して0以上の整数であって少なくとも1つが1以上であり、A及びBは独立して改変されてもよいオリゴヌクレオチドであってAとBとを合わせた鎖長が3以上のオリゴヌクレオチドを表す。ただし、A及びBにおいてオリゴヌクレオチドの3’末端と5’末端の水酸基を含まない。
【0017】
さらに、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、上記式(3)において、R及びRはHとすることができる。また、ここでbは0であるとすることもできる。さらには、a及びbはともに0であるとすることもできる。また、cは1以上5以下であるとすることもできる。
【0018】
さらに、A及びBは、所定の遺伝子mRNAの部分配列又はその相補配列を有するオリゴヌクレオチド誘導体であってもよい。また、A及びBを合わせた鎖長は、10以上35以下であってもよい。さらに、A及びBはオリゴリボヌクレオチドであってもよい。
【0019】
本発明のオリゴヌクレオチド構築物は、遺伝子発現調節用オリゴヌクレオチド構築物であって、上記いずれかのオリゴヌクレオチド誘導体を有することを特徴とする。このオリゴヌクレオチド構築物は、1本鎖及び2本鎖DNA、1本鎖及び2本鎖RNA、DNA/RNAキメラ並びにDNA/RNAハイブリッドから選択されるオリゴヌクレオチド構築物とすることができ、また、その機能面からは、アンチジーン、アンチセンス、アプタマー、siRNA、miRNA、shRNA及びリポザイムから選択することができる。さらには、ダングリングエンド部分に以下の式(4)で表されるユニットを有することができる。
【化4】

【0020】
また、siRNAであって、前記オリゴヌクレオチド誘導体において、a及びbは0であり、cは1又は2であり、3’末端ダングリングエンド部分に上記式(4)で表されるユニットを含むことができる。
【0021】
また、本発明によれば、上記いずれかのオリゴヌクレオチド誘導体を有する遺伝子診断用オリゴヌクレオチド構築物とすることができる。さらに、本構築物はプローブ又はプライマーとすることができる。
【0022】
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、本発明の化合物を利用することにより、合成することができる。すなわち、本発明の化合物は、以下の式(5)で表されることを特徴とする(ただし式(5)のベンゼン環に直接結合する水素に替えて、水素以外の置換基が結合しているものも含む)。
【化5】

(式中Wはヒドロキシル保護基を表し、WはH、ホスホロアミダイト基又は固相担体に結合される若しくは結合された連結基を表す。
この化合物は、siRNAのダングリングエンドの化学修飾用のユニットとして用いることができる。
【0023】
本発明の上記化合物から選択される1種又は2種以上を用いて、オリゴヌクレオチドを修飾することができる。すなわち、オリゴヌクレオチドに、少なくとも1個の以下の式(1)で表されるユニット(ただし下記式(1)のベンゼン環に直接結合する水素に替えて、水素以外の置換基が結合しているものも含む)を付加、置換及び挿入のいずれか又はこれらを組み合わせて導入することができる。
【化6】

【発明を実施するための形態】
【0024】
(オリゴヌクレオチド誘導体)
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、上記式(1)で示されるユニットを、オリゴヌクレオチド誘導体の少なくとも1箇所に有するものである。このユニットの存在により、優れたヌクレアーゼ耐性を得ることができる。このようなユニットは、配列既知又は配列未知のオリゴヌクレオチドに対して、付加、置換又は挿入のいずれか、あるいは、これらを組み合わせて導入することができ、こうして本発明のオリゴヌクレオチド誘導体とすることができる。なお、ここでいうオリゴヌクレオチドとは、改変されてもよいオリゴヌクレオチドである。
【0025】
上記式(1)で示されるユニットにおいてベンゼン環に結合している2つの「−CHO−」基及びフルオロメチル基は、いずれの位置に結合していてもよい。また、ベンゼン環に直接結合する水素に替えて、水素以外の置換基が結合していてもよい。このような置換基としては、疎水基であって極性の小さいものが好ましい、例えば、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。すなわち、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基及びtert−ブチル基が挙げられる。
【0026】
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、上記式(1)で示されるユニットを適当な連結基を介して、オリゴヌクレオチドの一部に結合されている。連結基としては、たとえばホスホジエステル結合等、オリゴヌクレオチドのヌクレオチド単位の連結に用いられる公知の連結基を用いることができる。また、ユニットがオリゴヌクレオチドの末端にある場合には、ユニットの一方の酸素原子には、水素又は公知のヒドロキシル保護基が結合されていてもよい。
【0027】
また、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体の一態様として、下記式(3)に表される化合物が挙げられる。
【化7】

式中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素又はヒドロキシル保護基を表す。ヒドロキシル保護基としては、該保護基により置換されるヒドロキシル基中の酸素を意図しない反応から保護する基であればよい。好ましくは、保護基は、オリゴヌクレオチド誘導体の活性を維持し、脱離容易なものである。こうしたヒドロキシル保護基としては、特に限定されなくて、従来公知の各種のヒドロキシル保護基を用いることができる。本発明の好ましい保護基として、例えばフルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)、ジメトキシトリチル(DMT)、モノメトキシトリチル、トリフルオロアセチル、レブリニル、シリル基等である。例えば、ヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの5’末端にあるヒドロキシル基についての好ましい保護基は、トリチル基、ジメトキシトリチル基から選択される。
【0028】
この態様のオリゴヌクレオチド誘導体は、上式(3)に示す3種類のカッコで示されるユニット1〜3のいずれか又は2種類以上を有している。以下、式(3)において、5’末端に配置されるユニットをユニット1と称し、3’末端に配置にされるユニットをユニット3と称し、非5’末端及び非3’末端に配置されるユニットをユニット2と称する。オリゴヌクレオチド誘導体に付加しようとする機能によっても異なるが、ユニット1は、オリゴヌクレオチドの5’末端に配置されるため、例えば、5’末端に件用するエキソヌクレアーゼ抵抗性を付与するのに有効である。また、ユニット3は、3’末端に作用するエキソヌクレアーゼに有効である。また、ユニット2は、オリゴヌクレオチドの非3’末端非5’末端においてエンドヌクレアーゼ抵抗性を付与するのに有効である。さらに、ユニット3は、二本鎖RNAの3’末端ダングリングエンド部分に形成するときには、RNAiによるサイレンシング効果の向上に有効である。したがって、例えば3’末端作用性ヌクレアーゼ抵抗性を向上させたい場合には、a及びbは0であってもよい。逆に、5’末端作用性ヌクレアーゼ抵抗性を高める壌合には、b及びcは0であってもよい。また、ヌクレアーゼ抵抗性を得る場合には、a、b及びcはいずれも少なくとも1つ有していればよいが、それぞれあるいは組み合わせて2個以上有することもできる。
【0029】
ユニット1、ユニット2及びユニット3の数や部位は、ヌクレアーゼ抵抗性と、非ヌクレオシド性のユニット1〜ユニット3を導入することによるオリゴヌクレオチド誘導体への影響を考慮して決定される。例えば、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体を利用してsiRNA又はshRNAを構築する場合、a及びbは0とし、これらの構築物の3’末端のダングリングエンド部位に対応するヌクレオチド(例えば、dT(デオキシチミジン))の3’末端に1個〜3個(c=1〜3)、好ましくは1個又は2個(c=1、2)のユニット3を付加してもよいし、siRNAの例えば2つのdTのうち1個又は2個をユニット3で置換してもよい(c=1、2)。さらには、3’末端ダングリングエンドにユニット2を挿入してもよい。既存ヌクレオチドをユニット3で置換する形態は、siRNAの鎖長を延長することがないというメリットがある。
【0030】
また、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体を利用してアンチジーン、アンチセンス、アプタマー、miRNA及びリボザイムを構築するときには必要に応じて適宜、式(1)で表されるユニットあるいはユニット1〜ユニット3を備えるようにすればよい。例えば、アンチセンスRNAには、3’末端側及び5’末端側に式(1)で表されるユニット、ユニット1及びユニット3を形成することができる。また、アプタマーやリボザイムにあっては、非5’末端非3’未端における式(1)で表されるユニット又はユニット2が有効な場合もありえる。また、ブローブにおいては、3’末端側及び/又は5’末端側に式(1)で表されるユニット、ユニット3及び/又はユニットを1備えることもできるし、あるいは、ブローブが固相担体に固定化されている場合には、自由端側となる側に式(1)で表されるユニット、ユニット1又はユニット3を備えるようにすることができる。さらに、プライマーにおいては必要に応じて適宜式(1)で表されるユニットやユニット1〜ユニット3を備えていてもよい。
【0031】
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体においては、上記式(3)中、A及びBは、それぞれ独立し、同一であっても異なっていてもよいが、改変されていてもよいオリゴヌクレオチドを表す。ここで、本明細書においてオリゴヌクレオチドとは、一般にオリゴヌクレオチドやポリヌクレオチドを構成するモノマーであるヌクレオチドをモノマー単位として該モノマー単位を複数有するポリマーを意味するものとする。また、オリゴヌクレオチドとは、モノマー単位として、デオキシリボヌクレオチド及び/又はリボヌクレオチドを意味するものである。一般に、ヌクレオチドとしてデオキシリボヌクレオチドをモノマー単位とするポリマーをDNAと称し、リボヌクレオチドをモノマー単位とするポリマーをRNAと称するが、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、−般に挿されるDNA及びRNAのほか、これらのモノマー単位のオリゴマーを含むものとする。また、オリゴヌクレオチドは、RNA/DNAキメラも包含している。また、改変されていてもよいオリゴヌクレオチドとは、プリン及びピリミジンであるグアニン、シトシン、チミン、アデニン、ウラシルまたはメチルシトシンなどの天然塩基を含むヌクレオチドのみからなるオリゴヌクレオチドのほか、オリゴヌクレオチドの各種部分、すなわち、塩基、糖部分及びリン酸エステル部分において何らかの化学修飾が施された1又は2以上のヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドを包含している。
【0032】
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体において、上式(3)におけるAのオリゴヌクレオチドの塩基配列及びBのオリゴヌクレオチドの塩基配列は、それぞれ又はこれらを合わせて所定の遺伝子のDNAのセンス鎖、そのアンチセンス鎖又はmRNAの部分配列若しくはその相補配列を有することができる。こうした相補性を有することにより各種の標的核酸にハイブリダイズさせ、それによりオリゴヌクレオチド誘導体に意図した機能を発現させることができる。本発明のオリゴヌクレオチド誘導体において、A及びBの長さは特に限定しないで、用途に応じた長さとすることができるが、オリゴヌクレオチドの合成の容易性及び期待する効果の発揮を考慮すると、10以上35以下とすることが好ましい。また、アンチセンスの場合には、10以上30以下程度にすることができ、siRNAの場合には、A及びBの合計の鎖長は、好ましくは15以上35以下、より好ましくは30以下である。また、プライマーの場合には、10以上30以下であり、ブローブの場合には10以上30以下であることが好ましい。
【0033】
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体を、例えば、siRNA、shRNA、アンチセンス、リボザイム及びアプタマーに用いる場合には、A及びBのモノマー単位は改変されていてもよいオリゴリボヌクレオチドとすることができる。
【0034】
(オリゴヌクレオチド構築物)
本発明のオリゴヌクレオチド構築物は、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体を1種又は2種以上有している。本オリゴヌクレオチド構築物における本オリゴヌクレオチド誘導体の種類や組み合わせにより、本構築物は、1本鎖DNA、2本鎖DNA、1本鎖RNA、2本鎖RNA、DNA/RNAキメラ及びDNA/RNAハイブリツド等の形態をそれぞれあるいは組み合わせた形態とすることができる。なお、既に説明したように、本オリゴヌクレオチド誘導体を構成するオリゴヌクレオチド部分は、改変されたオリゴヌクレオチドを含んでいるため、本オリゴヌクレオチド構築物においても改変形態をオリゴヌクレオチドが含まれることがある。
【0035】
こうした各種形態を採るオリゴヌクレオチド構築物は、ヌクレアーゼのターゲットとなる可能性のある部位に式(1)で表されるユニット若しくはユニット1〜ユニット3を備えることが好ましい。式(1)で表されるユニット若しくはユニット1〜ユニット3は、ターミナルミスマッチやダングリングエンドに備えることができる。エキソヌクレオチド抵抗性を考慮すると、ダングリングエンドに式(1)で表されるユニットや、ユニット1や、ユニット2を備えることが好ましい。また、式(1)で表されるユニット又はユニット2は、バルジ、ミスマッチインターナルループ、ヘアピンループなどに備えることができる。
【0036】
本発明のオリゴヌクレオチド構築物は、ヌクレアーゼ抵抗性が向上されているため、遺伝子発現調節用、又は研究用、診断用の各種用途に用いることができる。遺伝子発現調節用途としては、アンチジーン、アンチセンス、アプタマー、siRNA、miRNA、shRNA及びリボザイム等が挙げられる。特に、siRNA及びshRNAにおいて3’末端オーバーハング部位のdTに対し式(1)で表されるユニット又はユニット2を置換的又は付加的に導入することでヌクレアーゼ耐性とサイレンシング活性の双方を向上させることができる。
【0037】
図1に、ユニット3を3’末端に有するsiRNAの−例を示す。また、診断用途又は研究用途としては、ブローブ及びプライマーが挙げられる。ブローブは、設計または選択により、ターゲット核酸に特異的に規定された配列を有しており、所定のストリンジェンシーの下で、それらがハイブリダイズするようにするに取得されたオリゴヌクレオチドである。ブローブに本オリゴヌクレオチド誘導体を用いることでヌクレアーゼ耐性が向上されるため、ターゲット核酸を含有するサンプル中に混在するヌクレアーゼの影響を抑制又は回避して、ヌクレアーゼの除去程度が低くてもあるいはヌクレアーゼ除去処理を省略したサンプル調製が可能になる。これにより簡易に遺伝子診断や検査をすることができるようになる。なお、こうしたプローブとターゲットとのハイブリタイゼーションは、プローブを適当なガラス基板や、プラスチック製基板や、ビーズ等の固相担体に固定化して行なうことができる。本発明には、本オリゴヌクレオチド誘導体を含むプローブを固定化した固相担体も含まれる。
【0038】
(オリゴヌクレオチド誘導体の製造方法)
式(5)で表される化合物は、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体を製造のための使用に好ましい化合物である。
【化8】

【0039】
これらの化合物は、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体中、ユニット1〜ユニット3をオリゴヌクレオチドにおいて置換、付加及び挿入のいずれかあるいはこれらを組み合わて導入するのに好ましい化合物である。また、これらの化合物はPET法に適用できるフッ素元素を有しており(18Fは半減期が110分であり、合成及び精製のための時間を1時間程度とることができる)、さらにはWにホスホルアミダイト基や固相担体に結合しておくことにより、短時間でオリゴヌクレオチド誘導体中に導入が可能であるため、PET法への適用が可能なオリゴヌクレオチド誘導体の原料として用いることできる。
【0040】
式(5)において、Wはヒドロキシル保護基を表す。ヒドロキシル保護基としては、該保護基により置換されるヒドロキシル基中の酸素を意図しない反応から保護する基であればよい。好ましくは、保護基は、オリゴヌクレオチド誘導体の活性を維持して除去されるものである。こうしたヒドロキシル保護基としては、特に限定しないで従来公知の各種のヒドロキシル保護基を用いることができる。本発明の好ましい保護基は、フルオレニルメトキシカルボニル基(FMOC)、ジメトキシトリチル基(DMT)、モノメトキシトリチル基、トリフルオロアセチル基、レブリニル基、及びシリル基等である。好ましい保護基は、トリチル基やジメトキシトリチル基である。
【0041】
また、Wは、H、ホスホルアミダイト基又は固相担体に結合される若しくは結合された連結基を表す。WがHである化合物(以下、化合物Iともいう)は、核酸合成のための前躯体化合物として利用できる。また、Wがホスホルアミダイト基である化合物(以下、化合物IIともいう)は、ホスホルアミダイト法によるホスホルアミダイト試薬として用いて、オリゴヌクレオチドに対して式(1)におけるユニット1及びユニット2ユニットを導入したオリゴヌクレオチド誘導体を得ることができる。なお、本発明において、ホスホルアミダイト基は、以下の式(6)で表すことができる。
【0042】
【化9】

(式(6)中、各Yは独立して、同−であっても異なっていてもよく、分枝していてもよい炭素数1〜5個のアルキル基を表し、Yは、分枚状又は直鎖状の炭素数1〜5偶のアルキル基又は置換されていてもよいアルコキシル基を表す。)上記式(6)において、Yは、特に限定しないがイソプロピル基が好ましいものとして挙げられ、またYとしては、一OCH、−OEtcN、−OCHCHCH等が挙げられる。また、式(5)においてWが固相担体に結合される連結基である化合物(以下、化合物IIIともいう)は、当該連結基とアミノ基など固相担体上の所定の官能基とを結合させることにより、固相担体に保持される。そして、式(5)において、Wが固相担体に結合された連結基である化合物(以下、化合物lVともいう)は、連結基を介して式(1)のユニットが固相担体に結合されているため、各種の核酸固相合成法の出発材料として用いることができる。この出発材料を用いることで、ユニット3を有するオリゴヌクレオチド誘導体を製造することができる。ここで固相担体とは、一般に高分子担体が用いられ、例えば、CPG(controlled pored glass)ややHCP(highly cross-1inked polystyren)や、ある種のゲルなどが挙げられる。また同相担体には適切なスペーサーを有していてもよい。連結基は固相担体と本化合物とを連結するリンカーである。こうした連結基としては、以下に示すコハク酸エステルリンカー、シュウ酸エステルリンカー、シランジイルリンカー、シリルリンカーなどを用いることができる。
【化10】

【0043】
(オリゴヌクレオチド誘導体の製造方法)
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体の製造方法は、上記した本発明の化合物I〜IVを用いることを特徴とする。オリゴヌクレオチドは従来公知の核酸合成法によって得ることができるため、こうした核酸合成法のオリゴヌクレオチド合成工程中、式(1)のユニット又はユニットl〜ユニット3を導入したい部位において、適宜本発明の化合物I〜IVを利用することにより、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体を製造することができる。
【0044】
例えば、5’末端に式(1)のユニットを有するオリゴヌクレオチド誘導体を得るには、従来の核酸合成法により取得したオリゴヌクレオチドの5’末端に上記化合物Iから誘導したホスホアミダイト試薬である化合物IIやその他の導入用試薬を用いることにより、式(1)のユニットを導入することができる。さらに、必要に応じ導入した式(1)のユニットに対して、引き続き化合物II等を連結することで複数個の式(1)のユニットを連続して導入することもできる。こうして5’末端側に1又は2個以上の式(1)のユニットを有するオリゴヌクレオチド誘導体を得ることができる。
【0045】
また、3’末端側に式(1)のユニットを有するオリゴヌクレオチド誘導体を得るには、化合物IIIから誘導した化合物IVを出発材料として用い、アミダイト法をはじめとする各種核酸合成法によりオリゴヌクレオチドを合成し、固相担体から式(1)のユニットを含んだ形態で生成物の切り出しを行えばよい。3’末端側に複数個連続して式(1)のユニットを有するオリゴヌクレオチド誘導体を得るには、化合物IVを出発材料とし、これに化合物IIをアミダイト法により導入するか、化合物Iから誘導した他の導入試薬を導入することで、複数個連続した式(1)のユニットを3’末端に有するオリゴヌクレオチド誘導体を得ることができる。さらに、非3’末端非5’末端に式(1)のユニットを有するオリゴヌクレオチド誘導体を得るには、従来のオリゴヌクレオチド合成途中において化合物IIや化合物Iから誘導したその他の導入試薬を用いればよい。
さらに、式(1)のユニット及びユニットl〜ユニット3のうち2種類以上を有するオリゴヌクレオチド誘導体は、本化合物I〜IVを組み合わせて用いることにより得ることができる。
【0046】
(オリゴヌクレオチドの修飾方法)
オリゴヌクレオチドの修飾方法は、配列既知又は配列未知のオリゴヌクレオチドに少なくとも1個の式(1)のユニットを付加、置換及び挿入のいずれかあるいはこれらを組み合わせて導入することができる。こうした修飾により、ヌクレアーゼ耐性の他、サイレンシング効果の高いRNA構築物を得ることができる。式(1)のユニットの導入は、オリゴヌクレオチド誘導体の製造方法に準じて実施すればよい。
【0047】
(オリゴヌクレオチド誘導体の利用)
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、siRNAやアンチセンス等として機能するように構築することで、遺伝子発現抑制剤として利用できる。また、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、ヒト及び非ヒト動物における疾患の予防・治療用医薬組成物の有効成分として用いることができる。例えば、遺伝子発現に伴う疾患に対して、遺伝子発現抑制剤として構築した本発明のオリゴヌクレオチド誘導体はこうした疾患の予防や治療に有効である。
【0048】
さらに、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、そのハイブリダイゼーション機能を発揮させるように構築することで、ブローブ、プライマー等の検査試薬や診断試薬として用いることができる。さらに、これらオリゴヌクレオチド構築物をチップやビ−ズ等の固体担体等に保持したものは、検査装置や診断装置又はこれらの一部として利用することができる。さらには、こうした検査試薬や診断薬は、他の試薬や診断薬あるいは装置等と組み合わせた検査用又は診断用キットとしても用いることができる。
【0049】
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体を含むオリゴヌクレオチド構築物の遺伝子発現抑制作用を利用した、遺伝子発現抑制方法にも利用できる。さらには、本発明のオリゴヌクレオチド構築物のハイブリダイゼーション機能を利用した遺伝子検出方法にも利用できる。
なお・本明細書においては、以下の略語及び略号を用いる。
Ar:アルゴン(argon)
BzCl=塩化べンゾイル(benzoyl chloride)
CPG:コントロールドポアガラス(controllde pore glass)
DEAD:ジエチルアゾカルボキシレート(diethyl azodicarboxylate)
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン(diisopropylethylamine)
DMAP:4一ジメチルアミノピリデイン(4−dimethylaminopyrideine)
DMF:ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)
DMSO:ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)
DMTrCl:ジメトキシトリチルクロライド(dimethoxytritylchloride)
dsRNA:二重鎖RNA(double Strand RNA)
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
HPLC:高速液体クロマトグラフィー(high Performanc liquid Comatgraphy)
HRHS:高分解能質量スペクトロメトリ (high−resolution mass spectrometry)
MS:質量分析(MASS Spectroscopy)
NMR:核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance)
PHO:ホスホロアミドモルホルノオリゴヌクレオチド(phosphoroamidite morpholino
oligonuoleotide)
RISC:RNA誘導サイレンシング複合体(RNA−induced Silencing Complex)
WSC:1−エチルー3−(3−ジメチルアミノブロビル)−カルポジイミドハイドロクロライド(1−methy−3−(3−dimethylaminopropyl)−carbodiimide,hydro chloride)
【0050】
以下、本発明を、実施例を比較例と比較しつつ具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
【0051】
(実施例)
<フルオロメチルベンゼンユニットの合成>
【0052】
【化11】

【0053】
実施例では、上記合成経路に従い、アミダイト体として利用できる化合物13及びCPG担体に結合した化合物14を合成した。すなわち、1,3,5-トリカルボン酸トリメチル(化合物7)を出発原料とし、LiAlH4にて還元反応を行うことで、トリオール体である化合物8を得た。次に3つの水酸基のうち2つをベンゾイル基で保護して化合物9を得た後、残り1つの水酸基はDASTを用いてFへの変換を行い、化合物10を得た。この後、ベンゾイル基の脱保護を行い、ジオール体である化合物11を得た後、一方の水酸基をDMTr化することでトリチル体である化合物12を得た。さらに、化合物12の残った水酸基を亜リン酸化することで化合物13のアミダイト体を得た。また化合物12からスクシニル化を経てCPG担体である化合物14を得た。各工程の詳細は以下のとおりである。
【0054】
1,3,5-
Trihydroxymethylbenzene(8)の合成
出発原料である
Trimethyl-1,3,5-Benzene-Tricarboxylate(4.00g,15.9 mmol)をdryTHF25
mLに溶解し、LiAlH4(1.80g,3eq)をdryTHF75mLに懸濁し氷冷した。氷冷下、出発原料/THFをLiAlH4/THFに滴下し撹拌した。8時間後、ethanolにより氷浴下でクエンチングした。反応液をセライトろ過することにより沈殿物を除き、ろ液を濃縮した。濃縮物からシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=7:1→5:1)により目的物質を単離し、白色結晶の化合物8(2.34g,13.9mmol,88%)を得た。
1H NMR (400MHz, DMSO- d6) δ[ppm]:7.11(3H,s, Ph-2,4,6)、5.13(3H, s, OH-1’,3’,5’)、4.46(6H,s, -CH2-1’,3’,5’)
【0055】
1-hydroxymethyl- 3,5- dibenzoyloxymethylbenzene(9)の合成
一晩真空乾燥させた化合物8(1.52g,9.01mmol)をdry CH2Cl2(45mL,0.2M solution)とdry pyridine(15mL)に溶解させた。次にBzCl(2.20mL, 2.1eq.)を加え、Ar雰囲気下で約8時間攪拌した。TLC(CHCl3 : MeOH=30: 1)にて反応の進行を確認した。溶媒を減圧留去後、シリカゲルクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=70:1→30:1→10:1)にて単離精製し、目的化合物9(2.06g,5.46mmol, 61%)を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ[ppm]:8.08(4H, d, -COPh-2,6)、7.57 (2H, t, -COPh-4)、7.46-7.42(7H,m, Ph-2,4,6 and -COPh-3,5)、5.39(4H,s, -CH2-3’,5’)、4.75(2H,s, -CH2-1’)
【0056】
1-
fluoromethyl- 3,5- dibenzoyloxymethylbenzene(10)の合成
一晩真空乾燥させた化合物9(2.06g,5.46mmol)をdry CH2Cl2(54.6mL,0.1M solution)に溶解させた。続いて氷浴下、DAST(1.43mL,2eq)を徐々に加え、2時間撹拌させた。TLC(Hex:EtOAc=2:1)にて反応の進行を確認した。MeOHでクエンチングを行い、一度溶液を濃縮した後、EtOAcとsat.NaHCO3 aq.で抽出し、有機層をsat. NaCl aq.で洗浄の後、無水Na2SOを加え乾燥させた。溶媒を減圧留去後、シリカゲルクロマトグラフィー(Hex:EtOAc=5:1)で単離し、目的化合物10(1.24g,3.28mmol, 62%)を得た。
1H NMR (400MHz, DMSO- d6) δ[ppm]:8.07(4H, d, -COPh-2,6)、7.58(2H,t, -COPh-4)、7.52(3H, s, Ph-2,4,6)、7.48(4H,t, COPh-3,5)、5.43(2H, br, -CH2-1’)、4.75(4H,s, -CH2-3’,5’)
【0057】
1-fluoromethyl- 3,5- dihydroxymethylbenzene(11)の合成
一晩真空乾燥させた化合物10(1.24g,3.28mmol)をdry CHCl3(10mL)とdryMeOH(50mL)に溶解させた。続いて氷浴下、CH3ONa in MeOH(2.5mL,0.052eq)を徐々に加え、Ar雰囲気下で24時間撹拌させた。TLC(Hex:EtOAc=4:1)にて反応の進行を確認した。その後80%酢酸を加え、pH=7を確認した。溶媒を減圧留去後、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc only)で単離し、目的化合物11(0.40g,2.36mmol, 72%)を得た。
1H NMR (400MHz, DMSO- d6) δ[ppm]:7.21(3H,s, Ph-2,4,6)、5.38(2H, d, -CH2-1’)、4.21(2H,t, OH-3’,5’)、4.49(4H, d, -CH2-3’,5’)
【0058】
1-
fluoromethyl- 3- (4,4’- dimethoxytrityloxy) methyl- 5- hydroxymethylbenzene(12)の合成
一晩真空乾燥させた化合物11(400mg,2.4mmol)をdry pyridine(24mL,0.1M solution)に溶解し、氷浴下で4,4’-dimethoxytrityl chloride(880mg,1.1eq)を加え、Ar雰囲気下で3時間半攪拌した。TLC(Hex:EtOAc=1:1)にて反応の進行を確認した。その後、EtOAcと水及びsat.NaHCO3 aq.で抽出し、有機層をsat. NaCl aq.で洗浄の後、無水Na2SOを加え乾燥させた。溶媒を減圧留去後、シリカゲルクロマトグラフィー(Hex:EtOAc=1:1)で単離し、化合物12(0.31g,0.66mmol, 28%)を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ[ppm]:7.51〜6.82(16H,m, Tr and Ph-2,4,6)、5.39(2H,d, -CH2-1’)、4.72(2H,d, -CH2-5’)、4.20(2H,s, -CH2-3’)、3.80 (6H, s, -Tr-OCH3)
19F NMR (372MHz, CDCl3) δ[ppm]:-143.37
【0059】
1-fluoromethyl-3-(4,4’-dimethoxytrityloxy)methyl-5-{(2-cyanoethoxy)-(N,N-diisopropylamino)}-phosphinyloxymethylbenzene(13)の合成
グローブバック中、完全無水条件下で反応操作を行った。一晩真空乾燥させた化合物12(150mg,0.31mmol)をdry THF(3.2mL,0.1M solution)に溶解させ、Hunig’s Base(0.16mL,3eq)と亜リン酸化試薬(0.11mL, 1.5eq)を加えた。その後グローブバックから取り出し、Ar雰囲気下で0.5時間攪拌した。TLC(Hex: EtOAc=1:1)により原料の消失を確認した。その後CHCl3とsatNaHCO3 aqで抽出し、有機層をsat NaClaqで洗浄し、無水Na2SO4を加え乾燥した。溶媒を減圧留去後、シリカゲルクロマトグラフィー(Hex: EtOAc=1: 1)にて単離精製し、目的化合物13(0.19g,0.27mmol, 87%)を得た。
31P NMR (160MHz, CDCl3)
δ[ppm]:149.04
【0060】
1-fluoromethyl-3-(4,4’-dimethoxytrityloxy)methyl-5-succinyloxymethylbenzene(12→14の中間体)の合成
一晩真空乾燥した化合物12(160mg,0.33mmol)をdry DMF(3.3mL,0.1Msolution)に溶解し、そこにDMAP(4mg,0.1eq)と無水コハク酸(100mg, 3eq)を加えAr雰囲気下、室温で32時間攪拌した。TLC(Hex:EtOAc=1:1)で原料の消失を確認した。その後、EtOAcとsat.NaHCO3 aq.で抽出し、有機層をsat. NaCl aq.で洗浄、無水Na2SOで乾燥した。溶媒を減圧留去し、目的中間体化合物をmixtureで得た。
【0061】
1-fluoromethyl-3-(4,4’-dimethoxytrityloxy)methyl-5-(CPG-longchain-alkylamino-succinyloxymethyl)benzene(14)の合成
一晩真空乾燥した中間体(mixture; スクシニル化が100%進行したと仮定。0.33mmol, CPG:4eq)をAr雰囲気下、dryDMF(8.3mL, CPG:0.01Msolution)に溶解させ、CPG樹脂(77μmol/g,1.07g, 0.083mmol)を加えて溶液となじませた。その後WSC(250mg,CPG:4eq)を加え、室温で一晩振とうした。この反応液をpyridineで洗浄し、樹脂を回収した後、これに0.1M DMAP in(pyridine:無水酢酸=9:1)を30mL加え、室温で一晩振とうした。次の日さらにこの反応液をpyridine、EtOH、acetonitrileで洗浄し、回収した樹脂を一晩真空乾燥した。得られたCPG樹脂14の活性を測定した。活性値は45.2 μmol/gであった。
【0062】
<実施例のsiRNAの合成>
以上のようにして得られた、アミダイト体である化合物13及び化学修飾されたCPG樹脂14を用いて、下記表1に示した配列(この配列はRenilla Luciferaseをターゲットにするものである)のオリゴヌクレオチドを核酸自動合成により合成した。そして、得られたオリゴヌクレオチドを水溶液とし、波長260での吸光度(Abs260)を計測した。光路長(l)を考慮し、濃度C (mol/L) の算出は次式を用いた。

C = Abs260 ・ε260-1・l
-1
antisense(as)鎖とsense(s)鎖をそれぞれ等モル量ずつ合わせ、アニーリングすることにより実施例の2本鎖siRNAとした。2本鎖のTm値(50%解離温度)をそれぞれ計測した。結果を表1に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
(比較例)
<メチルベンゼンユニットの合成>
比較例では、実施例で用いた上記式(1)に示すフルオロメチルベンゼンユニットに替えて、メチルベンゼンユニットを用い、実施例と同様な合成を行なった。すなわち、下記合成経路に示すように、5-メチルイソフタル酸(化合物1)を出発原料とし、イオン交換樹脂のDOWEX(登録商標)(H+型)を用いエステル化反応を行い化合物2を得た。次にこのエステル体をLiBH4によって還元し、ジオール体である化合物3を得た。さらに化合物3の一方の水酸基をDMTr化し、トリチル体である化合物4を得た後、これを亜リン酸化することでアミダイト体である化合物5を得た。また化合物4からスクシニル化を経てCPG担体である化合物6を得た。各工程の詳細を以下に示す。
【0065】
【化12】

【0066】
3,5-
dimethylcarboxytoluene(2)の合成
一晩真空乾燥した原料、5-メチルイソフタル酸(560mg, 3.35mmol)をCH3OH(100mL)に溶かし、そこへH+ 条件に活性化したDOWEX(登録商標)を50mLを加え、14時間撹拌した。反応の経過をTLC(EtOAc: MeOH=3:1)で確認したが変化が見られなかったので、WSC(1.92g, 3eq)を加えた。90分後、原料の消失を確認した。綿栓ろ過でDOWEXの除去を行った後、シリカゲルクロマトグラフィー(Hex:EtOAc=1:1)にて単離し、目的化合物2(520mg,
2.68mmol, 80%)を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ[ppm]:8.49(1H,s,Ph-4)、8.05(2H,s,Ph-2,4,6)、3.95(6H,s,-OCH3)、2.46(3H,s, CH3 -Ph)
【0067】
1-methyl- 3,5- dihydroxymethylbenzene(3)の合成
一晩真空乾燥した化合物2(1.35g,6.95mmol)をdry THF(34.8mL,0.2 M solution)に溶解させ、そこにLiBH4(0.76g,5eq)を加え、60℃で16時間撹させた。反応の進行をTLC(Hex:EtOAc=1:1)にて確認し、反応液に氷浴中でsat NaHCO3 aqを加えLiBH4を失活させた後、溶媒を減圧留去した。その後、セライトろ過を行い無機物の除去を行った。最後にシリカゲルクロマトグラフィー(Hex:EtOAc=2:1)にて単離し、目的化合物3(0.75g,4.92mmol, 71%)を得た。
1H NMR (400MHz,DMSO-d) δ[ppm]:7.11(3H,s, Ph-2,4,6)、5.13(3H, s, -CH2-3’,5’)、3.80(6H,s, -OCH3)、2.11(3H,s, CH3 -Ph)
【0068】
1-methyl- 3- (dimethoxytrityloxy) methyl- 5- hydroxymethylbenzene(4)の合成
一晩真空乾燥させた化合物3(0.75g,4.9mmol)をdry pyridine(35mL,0.15M solution)に溶解し、氷浴下で4,4’-dimethoxytrityl chloride(1.83g,1.1eq)を加え、Ar雰囲気下で24時間攪拌した。TLC(Hex:EtOAc=1:1)にて反応の進行を確認した。その後、EtOAcと水及びsat.NaHCO3 aq.で抽出し、有機層をsat. NaCl aq.で洗浄の後、無水Na2SOを加え乾燥させた。溶媒を減圧留去後、中性シリカゲルクロマトグラフィー(Hex:EtOAc=2:1)で単離し、化合物4(0.97g,2.14mmol, 44%)を得た。
1H NMR (400MHz,CDCl3) δ[ppm]:7.52〜6.82(16H,m, Tr and Ph-2,4,6)、4.66 and 4.13(4H,s, -CH2-3’,5’)、3.80(6H,s, -OCH3)、2.11(3H,s, CH3 -Ph)
【0069】
1-methyl-3-(4,4’-dimethoxytrityloxy) methyl- 5- {(2- cyanoethoxy)- (N,N- diisopropylamino)}- phosphinyloxymethylbenzene(5)の合成
グローブバック中、完全無水条件下で操作を行った。一晩真空乾燥させた化合物4(150mg,0.31mmol)をdry THF(3.2mL,0.1M solution)に溶解させ、Hunig’s Base(0.16mL,3eq)と亜リン酸化試薬(0.11mL, 1.5eq)を加えた。その後グローブバックから取り出し、Ar雰囲気下で0.5時間攪拌した。TLC(Hex: EtOAc=1:1)により原料の消失を確認した。その後CHCl3とsat.NaHCO3 aq.で抽出し、有機層をsat. NaCl aq.で洗浄し、無水Na2SO4を加え乾燥した。溶媒を減圧留去後、中性シリカゲルクロマトグラフィー(Hex:EtOAc=1:1)にて単離精製し、目的化合物5(0.19g,0.27mmol, 87%)を得た。
31P NMR (160MHz, CDCl3)
δ[ppm]:149.04
【0070】
1-methyl-3-(dimethoxytrityloxy) methyl- 5- succinyl- hydroxymethylbenzene(4´)の合成
一晩真空乾燥した化合物4(0.97g,2.14mmol)をdry DMF(21.4mL,0.1Msolution)に溶解し、そこにDMAP(26mg,0.1eq)と無水コハク酸(0.64g, 3eq)を加えAr雰囲気下、室温で43時間攪拌した。TLC(Hex:EtOAc=1:1)で原料の消失を確認した。その後、EtOAcとsat.NaHCO3 aq.で抽出し、有機層をsat. NaCl aq.で洗浄、無水Na2SOで乾燥した。溶媒を減圧留去し、目的中間体化合物4´(1.47g, 2.71mmol)をmixtureで得た。
【0071】
1-methyl-3-(dimethoxytrityloxy)methyl-5-(CPG-longchain-alkylamino-succinyl-hydroxymethyl)benzene(6)の合成
一晩真空乾燥した中間体(0.62mmol, CPG:4eq)をAr雰囲気下、dryDMF(14.5mL, CPG:0.02Msolution)に溶解させ、CPG樹脂(77μmol/g,3.73g, 0.29mmol)を加えて溶液となじませた。その後WSC(220mg,CPG:4eq)を加え、室温で一晩振とうした。この反応液をpyridineで洗浄し、0.1M DMAP溶液(pyridine:無水酢酸=9:1)
を30mL加え、室温で一晩振とうした。次の日さらにこの反応液をpyridine、EtOH、acetonitrileで洗浄し、一晩真空乾燥した。得られたCPG樹脂6の活性を測定した。活性値は33.2 μmol/gであった。
【0072】
<比較例のsiRNAの合成>
以上のようにして得られた、アミダイト体である化合物5及び化学修飾されたCPG樹脂6を用いて、実施例と同じ配列のオリゴヌクレオチドを核酸自動合成により合成した。そして、得られたオリゴヌクレオチドを水溶液とし、波長260での吸光度(Abs260)を計測した。計測方法は実施例のsiRNAの測定と同様に行った。さらに、こうして得られたantisense(as)鎖とsense(s)鎖をそれぞれ等モル量ずつ合わせ、アニーリングすることにより比較例の2本鎖siRNAとした。2本鎖のTm値(50%解離温度)をそれぞれ計測した。結果を表2に示す。
【0073】
【表2】

【0074】
−評 価−
上記のようにして得られた実施例及び比較例のsiRNA2本鎖及び天然型のsiRNA2本鎖を用い、HeLa細胞を用いたDual Luciferase repoter assayを行い、ノックダウン効果を評価した。合成したsiRNAはRenilla Luciferaseをターゲットにしており、この遺伝子とコントロール遺伝子(firefly Luciferase)を発現するベクターとsiRNAを同時にHeLa細胞にトランスフェクションすることで、そのノックダウン効果を測定した。なお、天然型のsiRNA2本鎖のダングリングエンドはチミン塩基が2つ並んだヌクレオチドからなる。
【0075】
その結果、図2に示すように、フルオロメチルベンゼンを導入した実施例のsiRNAは、天然型とほぼ同等のノックダウン効果を有することが分かった。これに対し、メチルベンゼンを導入した比較例のsiRNAは、ノックダウン効果を有しているが、天然型のノックダウン効果と比較して劣ることが分かった。
【0076】
また、実施例のsiRNAは、核酸オリゴマーの末端にフルオロメチルベンゼンを導入することにより得られるが、この操作は化学修飾されたCPG担体である化合物6のカラムに通すだけで得ることができる。このため、18Fを標識元素とした化合物6を合成しておけば、極めて短時間のうちに、18Fでラベル化されたsiRNAとすることができる。すなわち、PET法に適用できる核酸オリゴマーのPETプローブ化が可能であり、これを用いれば、短時間で様々な配列を有する18Fを標識元素とした核酸オリゴマーの合成をすることが可能となることが分かった。
【0077】
この発明は上記発明の実施の態様及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】ユニット3を3’末端に有するsiRNAの−例を示す図である。
【図2】天然型、実施例及び比較例のsiRNA2本鎖についてノックダウン効果を示すグラフである。
【図3】siRNAの化学修飾の例を示す図である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、個別化医療への展開が期待されているRNA創薬等、核酸オリゴマーを用いた医療分野において有用な手段を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の以下の式(1)で示されるユニット(ただし下記式(1)のベンゼン環に直接結合する水素に替えて、水素以外の置換基が結合しているものも含む)を有することを特徴とするオリゴヌクレオチド誘導体。
【化1】

【請求項2】
少なくとも1個の以下の式(2)で示されるユニットを有する請求項1記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
【化2】

【請求項3】
以下に示す式(3)で表される、請求項1又は2に記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
【化3】

式中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素又はヒドロキシル保護基を表し、a、b及びcは独立して0以上の整数であって少なくとも1つが1以上であり、A及びBは独立して改変されてもよいオリゴヌクレオチドであってAとBとを合わせた鎖長が3以上のオリゴヌクレオチドを表す。ただし、A及びBにおいてオリゴヌクレオチドの3’末端と5’末端の水酸基を含まない。
【請求項4】
及びRはHであることを特徴とする請求項3に記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
【請求項5】
bは0であることを特徴とする請求項3又は4記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
【請求項6】
a及びbはともに0であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
【請求項7】
cは1以上5以下であることを特徴とする請求項6記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
【請求項8】
A及びBは、所定の遺伝子mRNAの部分配列又はその相補配列を有する請求項3乃至7のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
【請求項9】
A及びBを合わせた鎖長は、10以上35以下である請求項3乃至8のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
【請求項10】
A及びBはオリゴリボヌクレオチドであることを特徴とする請求項3乃至9のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
【請求項11】
遺伝子発現調節用オリゴヌクレオチド構築物であって、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド誘導体を有する構築物。
【請求項12】
1本鎖及び2本鎖DNA、1本鎖及び2本鎖RNA、DNA/RNAキメラ並びにDNA/RNAハイブリッドから選択される遺伝子発現調節用オリゴヌクレオチド構築物であって請求項11に記載の構築物。
【請求項13】
アンチジーン、アンチセンス、アプタマー、siRNA、miRNA、shRNA及びリポザイムから選択される請求項11又は12に記載の構築物。
【請求項14】
ダングリングエンド部分に以下の式(4)で表されるユニットを有する請求項11乃至13のいずれか1項記載の構築物。
【化4】

【請求項15】
siRNAであって、前記オリゴヌクレオチド誘導体において、a及びbは0であり、cは1又は2であり、3’末端ダングリングエンド部分に以下の式(4)で表されるユニットを含む請求項14記載の構築物。
【化5】

【請求項16】
遺伝子診断用オリゴヌクレオチド構築物であって、請求項1乃至10のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体を有する構築物。
【請求項17】
プローブ又はプライマーであることを特徴とする請求項16に記載の構築物。
【請求項18】
以下の式(5)で表される化合物(ただし式(5)のベンゼン環に直接結合する水素に替えて、水素以外の置換基が結合しているものも含む)。
【化6】

式中Wはヒドロキシル保護基を表し、WはH、ホスホロアミダイト基又は固相担体に結合される若しくは結合された連結基を表す。
【請求項19】
siRNAのダングリングエンドユニット用である請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
請求項18に記載の化合物から選択される1種又は2種以上を用いることを特徴とするオリゴヌクレオチドの修飾方法。
【請求項21】
オリゴヌクレオチドに、少なくとも1個の以下の式(1)で表されるユニット(ただし下記式(1)のベンゼン環に直接結合する水素に替えて、水素以外の置換基が結合しているものも含む)を付加、置換及び挿入のいずれか又はこれらを組み合わせて導入することを特徴とするオリゴヌクレオチドの修飾方法。
【化7】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−189276(P2010−189276A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32022(P2009−32022)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(304019399)国立大学法人岐阜大学 (289)
【Fターム(参考)】