説明

オリーブ果実エキス、該エキスを配合してなるヒト白血球エラスターゼ阻害剤及びオリーブ果実エキスの製造方法

【課題】オリーブ果実エキス、該エキスを配合してなるヒト白血球エラスターゼ阻害剤及びオリーブ果実エキスの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、凍結後に粉砕されたオリーブ果実粕より抽出されたオリーブ果実抽出物と、1,3−ブチレングリコールと、水とを含むオリーブ果実エキスであって、
前記オリーブ果実抽出物は、ポリフェノールとして、チロソール及びヒドロキシチロソールを含有することを特徴とするオリーブ果実エキスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリーブ果実エキス、該エキスを配合してなるヒト白血球エラスターゼ阻害剤及びオリーブ果実エキスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オリーブは、地中海沿岸を原産地とするモクセイ科の植物で、古くから食用および搾油用として栽培されている植物である。オリーブの果実は、通常10月頃から大きくなって淡緑色となり、紫紅色の斑点を帯びてくるとグリーンピクルスへの加工に適した時期となる。その後、11月頃には全体が紫黒色を帯びた所謂ライブオリーブスとなり塩漬け加工に適したものとなる。12月頃の熟したオリーブ果実は15〜30%程度の油分を含み、この時期のオリーブ果実からオリーブ油が搾油される。こうして得られるオリーブ果実およびオリーブ油には、動脈硬化、胃潰瘍および便秘の軽減、骨の強化、老化の防止、美肌作用等、様々な優れた効果があることが知られている。
【0003】
なかんずくオリーブ油は、オレイン酸、プロビタミンA、ビタミンB、ビタミンK類、ポリフェノール類等の様々な有効成分を含有する植物油であって、健康状態の改善効果について最近注目されており、特に、ビタミンK類およびポリフェノール類に基く癌発生の抑制効果、プロビタミンA、ビタミンDおよびビタミンKに基く骨形成の促進効果が報告されている。また、オリーブ油には、肌荒れを軽減する、皮膚を健やかに保つ、皮膚に潤いを与える、皮膚を保護する、皮膚の乾燥を防ぐ等の美肌効果もあり、化粧品、外用薬等への配合がなされている。
【0004】
また、オリーブ果実から得られるオリーブ果実抽出物としては、オリーブ植物の実および/または種子を水および/または有機溶媒で抽出して得られるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)この抽出物は、活性酸素除去作用、メラニン生成抑制作用および腫瘍細胞増殖抑制・死滅作用を奏することが報告されており、また抽出に用いる溶媒は、得られる抽出物について人体への安全性を付与しかつその作用を増大する観点から、水とアルコールとの混合溶媒を用いることが望ましいとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−181197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したようにオリーブ果実や該果実の抽出物は、生体に有益な作用を奏する様々な有効成分を含有している。しかし、これらの作用は必ずしも十分なものとはいえなかった。
従って、本発明は、高い生理活性を有するオリーブ果実エキス、該エキスを配合してなるヒト白血球エラスターゼ阻害剤及びオリーブ果実エキスの製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は鋭意研究を行った結果、凍結後に粉砕されたオリーブ果実粕より抽出されたオリーブ果実抽出物と、1,3−ブチレングリコールと、水とを含むオリーブ果実エキスであって、特定のポリフェノールを含むオリーブ果実エキスが、優れたヒト白血球エラスターゼ阻害作用を示すことを見出した。また、オリーブ果実エキスが、凍結後に粉砕さ
れたオリーブ果実粕として、オリーブ果実を搾油し、続いて得られた果実粕を−10℃以下の温度にて凍結し、そして得られた凍結粕を、粉砕片の最大長さが1mm以下となるまで粉砕することにより作られたものを用いた場合に、優れたヒト白血球エラスターゼ阻害作用を示すことも見出して、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明は、
(1)凍結後に粉砕されたオリーブ果実粕より抽出されたオリーブ果実抽出物と、1,3−ブチレングリコールと、水とを含むオリーブ果実エキスであって、
前記オリーブ果実抽出物は、ポリフェノールとして、チロソール及びヒドロキシチロソールを含有することを特徴とするオリーブ果実エキス、
(2)前記オリーブ果実抽出物は、その他のポリフェノールをも含有し、ポリフェノールの総質量に基いて、それぞれ、チロソールの含有量は1.5ないし3.5質量%であり、ヒドロキシチロソールの含有量は0.1ないし1.0質量%であり、そして、オレウロペインの含有量は0.1質量%未満であることを特徴とする前記(1)記載のオリーブ果実エキス、
(3)凍結後に粉砕されたオリーブ果実粕は、オリーブ果実を搾油し、続いて得られた果実粕を−10℃以下の温度にて凍結し、そして得られた凍結粕を、粉砕片の最大長さが1mm以下となるまで粉砕することにより作られたものであることを特徴とする、前記(1)又は(2)記載のオリーブ果実エキス、
(4)オリーブ果実の品種がミッション(Misson)である前記(3)記載のオリーブ果実エキス、
(5)前記(1)ないし(4)の何れか1つに記載のオリーブ果実エキスを配合してなるヒト白血球エラスターゼ阻害剤、
(6)凍結後に粉砕されたオリーブ果実粕を1,3−ブチレングリコールと水との混合液にて抽出する段階を含む、オリーブ果実エキスの製造方法、
に関するものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
更に詳細に本発明を説明する。
本発明のオリーブ果実エキスは、凍結後に粉砕されたオリーブ果実粕より抽出されたオリーブ果実抽出物と、1,3−ブチレングリコールと、水とを含み、チロソールの含有量が前記抽出物中のポリフェノールの総質量に基づき、1.5ないし3.5質量%、ヒドロキシチロソールの含有量が前記抽出物中のポリフェノールの総質量に基づき、0.1ないし1.0質量%であり、オレウロペインの含有量が前記抽出物中のポリフェノールの総質量に基づき、0.1質量%未満であることを特徴とするものであるが、凍結後に粉砕されたオリーブ果実粕は、オリーブ果実を搾油し、続いて得られた果実粕を凍結し、そして得られた凍結粕を粉砕することにより作られる。
使用するオリーブ果実としては、例えばミッション(Misson)、マンザニロ(Manzanillo)、ネバディロ・ブランコ(Nevadilo Blanco)、ピ
クアル(Picual)、オヒブランカ(Hojiblanca)、アルベキナ(Arbequina)、コルニカブラ(Cornicabra)マンザニリャ(Manzanilla)、ゴルダル(Gordal)、フラントイオ(Frantoio)、モロイオロ(Moraiolo)、レッチーノ(Leccino)、コラティーナ(Coratina)、アスコラーナ・テレナ(Ascolana Terena)、オリヴェール(Ol
iviere)、FS17(フラントイストック17)、ルッカ(Lucca)等が挙げられる。
好ましいオリーブ果実の品種としては、例えば、ミッション(Misson)が挙げられる。
凍結は、−10℃以下の温度にて行うのが好ましい。
凍結粕は、粉砕片の最大長さが1mm以下となるまで粉砕するのが好ましい。
尚、凍結粕の粉砕は、食品分野で使用される通常の粉砕機を使用することができるが、粉砕中に熱がかからないものが好ましく、また、冷却しながら粉砕できる粉砕機を使用するのが好ましい。
【0010】
抽出操作は、まず、上記凍結後に粉砕されたオリーブ果実粕を、抽出溶媒である1,3−ブチレングリコールと水との混合液とを抽出容器中に仕込む。
粉砕されたオリーブ果実粕は、凍結状態或いは解凍した状態のいずれの状態でも抽出操作に使用することができる。
【0011】
抽出溶媒には、他の補助溶媒を全く含まない100%1,3−ブチレングリコール溶媒を用いることができる。しかしながら、抽出溶媒を水と1,3−ブチレングリコールからなる混合溶媒とすることもできる。混合溶媒を採用する場合には、その濃度は例えば30体積%である。
【0012】
オリーブ果実粕と抽出溶媒を抽出容器に仕込んだ後、次いで抽出を行う。抽出は、抽出作用を促進するために室温よりもやや昇温して行うことができる、例えば抽出温度を50〜60℃とした場合、抽出時間は5時間程度となる。
【0013】
抽出終了後、オリーブ果実粕と抽出液とを分離する。オリーブ果実粕の分離は濾過で行うことができる。得られた濾液は、その後の固形分分離に都合が良い場合には、全量を数倍程度に希釈してもよい。
【0014】
次いで再度濾過を行い、抽出液中に含まれる固形分をさらに分離する。固形分分離に先立ち、珪藻土等の吸着材を濾過対象の液に添加して微細な固形分を吸着して分離するのが好ましい。吸着材の添加量は特に制限されないが、例えば濾過対象の液に対して10体積%の量である。
【0015】
こうして固形分を分離した後、得られた濾液を殺菌する。殺菌は通常の加熱殺菌で行うことができ、例えば80〜90℃で1時間程度保持する低温殺菌が好ましい。100℃を超える温度を採用する高温殺菌は、殺菌時間を短くすることができるが、オリーブ果実粕が含有する有効成分の分解を引き起こすため好ましい方法でない。
【0016】
殺菌済みの液を再度濾過することにより、オリーブ抽出物が得られる。この最終の濾過は、例えば0.5μmカットオフの目が細かいフィルターを用いて行うのが好ましい。このような濾過により、オリーブ抽出物中に含まれる固形分の量を0.5%以下に低減することができる。
上記オリーブ抽出物は、ポリフェノールとして、チロソール及びヒドロキシチロソールを含有する。
また、上記オリーブ抽出物は、その他のポリフェノールをも含有し、ポリフェノールの総質量に基いて、それぞれ、チロソールの含有量は1.5ないし3.5質量%であり、ヒドロキシチロソールの含有量は0.1ないし1.0質量%であり、そして、オレウロペインの含有量は0.1質量%未満である。
上記で得られたオリーブ抽出物をそのまま或いは必要に応じて1,3−ブチレングリコールと水とで希釈することにより本発明のオリーブ果実エキスが製造される。
【0017】
こうして製造される本発明のオリーブ果実エキスは、優れたヒト白血球エラスターゼ阻害作用を奏する。これらの作用について、以下に簡単に説明する。
【0018】
・ヒト白血球エラスターゼ阻害作用
エラスチンは皮膚中に含まれる弾力組織であり、これが分解されると皮膚は次第に張り
と弾力性を失ってしまう。エラスチンの分解はエラスターゼにより行われ、またエラスターゼは加齢により、および紫外線等の外的、内的刺激により活性化する。従って、エラスチンの分解酵素であるエラスターゼの活性を阻害してエラスチンの分解を抑制することができれば、皮膚の弾力性をキープし張りと潤いのある肌を保つことができる。
また、ヒトにおけるエラスターゼによるエラスチン分解、コラーゲン繊維の分解および/またはプロテオグリカン分解の異常亢進に起因する疾患、例えば、肺気腫等の慢性閉塞性肺疾患、慢性関節リウマチ、アテローム性動脈硬化、成人呼吸窮迫症(ARDS)、糸球体腎炎、心筋梗塞、潰瘍性大腸炎、歯根膜病等の治療および/または予防にも有用である。
【0019】
本発明のオリーブ果実エキスは、様々な剤形とすることができる。例えば、経口で摂取される食品、飲料、医薬品等に配合することができる。なかんずく、優秀な美肌作用を奏するので、直接皮膚に適用する外用薬、例えば軟膏、クリーム、乳液、懸濁液、溶液等に配合することが好ましい。これらへの配合量は、例えば1〜50重量%である。
【実施例】
【0020】
以下の例で本発明をより詳細に説明するが、これらの例は本発明をある特定の態様に制限することを意図しない。
【0021】
実施例1ないし3:オリーブ果実エキスの製造
以下のようにして、オリーブ果実エキスを製造した。
仕込み:品種ミッション(Misson)のオリーブ果実を搾油した後のオリーブ果実粕100gを食品用の冷凍機(−15℃)にて凍結させた。得られたオリーブ凍結果実粕を食品用の粉砕機にて粉砕片の最大長さが1mm以下となるまで粉砕した。得られた粉砕品と、30%1,3−ブチレングリコール水溶液1000gを抽出容器に仕込んだ。
抽出:抽出容器を加熱して内部を50〜60℃に保った。この温度で5時間、攪拌しながら抽出を行った。
オリーブ果実粕分離:抽出終了後、オリーブ果実粕を除去し、30%1,3−ブチレングリコール水溶液1000g添加して、抽出液を2倍に希釈した。
固形分分離:希釈液に珪藻土(ラジオライト#200)200gを添加し、1時間攪拌して微細な固形物を吸着させた。その後、希釈液を濾過し、固形分および珪藻土を分離した。
殺菌:濾液を80〜90℃に加熱し、1時間、攪拌しながら加熱殺菌を行った。
最終濾過:殺菌後の濾液を、0.45μmカットオフのフィルターを用いて最終濾過した。
上記の手順により、固形分0.38%を含むオリーブ果実エキス1541.2gを得た。
上記と同様の操作を行い、計3ロットのオリーブ果実エキスを製造した。
以下に製造した3ロットの定量結果を纏めた表を記載した。
尚、ポリフェノール量(総量)の測定は、フォリン−チオカルト法を用い、オレウロペイン、ヒドロキシチロソール及びチロソール量はHPLC法により決定した。
【表1】

【0022】
試験例1:エラスターゼ活性阻害作用の評価
実施例1で得たオリーブ果実エキスの代わりに、抽出に30%1,3−ブチレングリコール水溶液でなく水を用いた以外は実施例1と全く同様な工程で得たオリーブ果実水抽出物について、そのエラスターゼ活性阻害作用を評価した。抽出に水を用いた理由は、試料がアルコールを含む場合、エラスターゼ活性の測定が不可能だからである。
オリーブ果実水抽出物50μL、12μg/mLのヒト白血球由来エラスターゼ(ELASTIN PRODUCT CO. INC製)25μL、および8mMに調製したメト
キシ−スクシニル−アラニル−アラニル−プロピルバリン−p−ニトロアニリド25μLを混和し、37℃で20分間反応させた。反応後の溶液について405nmの吸光度を測定し、生成したニトロアニリンを定量した。
結果として、37.9%のヒト白血球エラスターゼ活性阻害能を示した。
水抽出物について得られた結果はそれ自体良好なものである。しかしながら、エラスターゼ活性阻害能を有する物質はペプチン等の多糖類であることが従来技術で知られており、また多糖類は一般にエタノールよりも水および1,3−ブチレングリコールを用いた方が効率良く抽出し得ることも知られている。従って、実施例1のオリーブ果実エキスは、本試験例で試験した水抽出物と同程度またはむしろそれよりも高く、エタノール抽出物よりも格段に優れたエラスターゼ活性を奏するものと予測される。
【0023】
試験例2:オリーブ果実エキス配合ハンドクリームの製造
以下の基本成分に加え、実施例1のオリーブ果実エキスをその他の成分の合計に対して3重量%配合して、ハンドクリームを得た。
基本成分:水、ミネラルオイル、ワセリン、グリセリン、水添ポリイソブテン、マイクロクリスタリンワックス、シクロメチコン、ラノリンアルコール、パラフィン、スクワラン、ホホバ油、オレイン酸デシル、オクチルドデカノール、ジステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、クエン酸、安息香酸塩、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、香料。
比較として、搾油後のオリーブ果実粕100gを凍結後に粉砕した粉砕品の代わりに、凍結させたオリーブ果実100gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って、オリーブ果実エキスを得、上述と同様の配合のハンドクリームを製造した。
こうして製造したハンドクリームおよび比較のハンドクリームを被験者の皮膚に1日1回塗布し、10日後の塗布部の変化を潤い、張りおよび艶の3項目について観察した。
結果を表2に示す。表2の結果は、それぞれの項目について改善された被験者の数を示す。
【表2】

表2から解るように、本発明のオリーブ果実エキスを配合したハンドクリームは、比較のハンドクリームを越える著しい美肌作用を奏した。
【0024】
試験例3:オリーブ果実エキス配合ボディーソープの製造
以下の基本成分に加え、実施例1のオリーブ果実エキスをその他の成分の合計に対して2重量%配合して、ボディーソープを得た。
基本成分:
ラウリル硫酸アンモニウム 8%
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム 2%
椰子油脂肪酸アミドプロピルベタイン 7%
椰子油脂肪酸モノエタノールアミド 4%
エデト酸2ナトリウム 0.2%
安息香酸ナトリウム 0.2%
クエン酸 0.2%
水 残部
こうして製造したボディーソープおよび試験例2と同様にして得た比較のオリーブ果実エキスを用いた同一の組成を有する比較のボディーソープを被験者に1日1回使用させ、10日後の皮膚の変化を潤い、張りおよび艶の3項目について観察した。
結果を表3に示す。表3の結果は、それぞれの項目について改善された被験者の数を示す。
【表3】

表3から解るように、本発明のオリーブ果実エキスを配合したボディーソープは、比較のボディーソープを越える著しい美肌作用を奏した。
【0025】
試験例4:オリーブ果実エキス配合美容液の製造
(処方)
(A相)
エチルアルコール(95%) 10.0 質量%
ポリオキシエチレン(20モル)オクチルドデカノール 1.0
パントテニールエチルエーテル 0.1
本発明のオリーブ果実エキス 3.0
メチルパラベン 0.15
(B相)
水酸化カリウム 0.1
(C相)
グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 10.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
カルボキシビニルポリマー 0.2
精製水 残余
(製法)
A相、C相をそれぞれ均一に溶解し、C相にA相を加えて可溶化し、次いでB相を加えることにより美容液を得た。
こうして製造した美容液および試験例2と同様にして得た比較のオリーブ果実エキスを用いた同一の組成を有する比較の美容液を被験者の皮膚に1日1回塗布し、10日後の塗布部の変化を潤い、張りおよび艶の3項目について観察した。
結果を表4に示す。表4の結果は、それぞれの項目について改善された被験者の数を示す。
【表4】

表4から解るように、本発明のオリーブ果実エキスを配合した美容液は、比較の美容液を越える著しい美肌作用を奏した。
【0026】
試験例5:オリーブ果実エキス配合シャンプーの製造
− ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(28%A.M.) 60g
− ココイルベタイン 9g
− 本発明のオリーブ果実エキス2g
− 防腐剤、香料 適量
− HCl pHを6にする量
− 水 全体を100gにする量
上記の成分を配合することにより乳白色のシャンプーを得た。
こうして製造したシャンプーおよび試験例2と同様にして得た比較のオリーブ果実エキスを用いた同一の組成を有する比較のシャンプーを被験者に1日1回使用して洗髪させ、10日後の頭皮及び髪の総合的な変化を潤い、張りおよび艶の3項目について観察した。
結果を表5に示す。表5の結果は、それぞれの項目について改善された被験者の数を示す。
【表5】

表5から解るように、本発明のオリーブ果実エキスを配合したシャンプーは、比較のシャンプーを越える優れた効果を示した。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明によれば、凍結後に粉砕された搾油後のオリーブ果実粕を、1,3−ジブチルエーテル−水で抽出することにより、エラスターゼ活性阻害作用について、従来品と比較して格段に優れたオリーブ果実エキスを提供することができる。係るオリーブ果実エキスは、特に軟膏、クリーム、乳液、懸濁液、溶液等の外用薬に好ましく配合することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結後に粉砕されたオリーブ果実粕より抽出されたオリーブ果実抽出物と、1,3−ブチレングリコールと、水とを含むオリーブ果実エキスであって、
前記オリーブ果実抽出物は、ポリフェノールとして、チロソール及びヒドロキシチロソールを含有することを特徴とするオリーブ果実エキス。
【請求項2】
前記オリーブ果実抽出物は、その他のポリフェノールをも含有し、ポリフェノールの総質量に基いて、それぞれ、チロソールの含有量は1.5ないし3.5質量%であり、ヒドロキシチロソールの含有量は0.1ないし1.0質量%であり、そして、オレウロペインの含有量は0.1質量%未満であることを特徴とする請求項1記載のオリーブ果実エキス。
【請求項3】
凍結後に粉砕されたオリーブ果実粕は、オリーブ果実を搾油し、続いて得られた果実粕を−10℃以下の温度にて凍結し、そして得られた凍結粕を、粉砕片の最大長さが1mm以下となるまで粉砕することにより作られたものであることを特徴とする、請求項1又は2記載のオリーブ果実エキス。
【請求項4】
オリーブ果実の品種がミッション(Misson)である請求項3記載のオリーブ果実エキス。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか1項に記載のオリーブ果実エキスを配合してなるヒト白血球エラスターゼ阻害剤。
【請求項6】
凍結後に粉砕されたオリーブ果実粕を1,3−ブチレングリコールと水との混合液にて抽出する段階を含む、オリーブ果実エキスの製造方法。

【公開番号】特開2010−265183(P2010−265183A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115517(P2009−115517)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(502106462)小豆島ヘルシーランド株式会社 (4)
【Fターム(参考)】