説明

オレガン酸の調製方法

本発明の目的は、オレガン酸およびその誘導体を得る方法、この合成の中間体化合物ならびにオレガン酸およびその誘導体の調製におけるこれらの化合物の使用を提供することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレガン酸およびその誘導体を合成するための新規な方法、この合成の中間体化合物ならびにオレガン酸およびその誘導体の調製におけるこれらの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
オレガン酸としても知られている、式1−Zの化合物(Z)−3,4−ジカルボキシ−20−スルホオキシ−3−エイコセン酸
【化1】

は、クエン酸アルキルに属し、Rasファルネシルトランスフェラーゼ(FTase)阻害活性を有する天然物である。Rasタンパク質のファルネシル化の阻害は、突然変異Rasタンパク質により促進される腫瘍の成長を抑制するのに効果的な機構であると考えられる。これは、前記阻害が、突然変異Rasタンパク質の細胞膜への導入および活性化を防止し、それらの生物学的活性の実行ができないようにするからである。オレガン酸の生物学的活性の研究については、Silverman、K.C.;Jayasuriya、H.;Cascales、C.;Vilella、D.;Bills、G.F.;Jenkins、R.G.;Singh、S.B.;Lingham、R.B.Biochem.Biophis.Res.Commun.1997、232、478−481を参照されたい。
【0003】
オレガン酸は、米国、カリフォルニア州、Lord Ellis SummitにあるHumboldt社において、ベリベリスオレガナ(Berberidaceae)葉の生葉から単離された未確認内生菌(MF6046)から、1996年にJayasuriya博士のグループにより単離された。オレガン酸の構造を解明する目的で、トリメチル化エステル誘導体およびそれらの対応する脱硫酸化誘導体が調製された:
【化2】

【0004】
しかしながら、これらの構造を解明するとき、E異性が誤って指定された(Jayasuriya、H.;Bills、G.F.;Cascales、C.;Zink、D.L.;Goetz、M.A.;Jenkins、R.G.;Silverman、K.C.;Lingham、R.B.;Singh、S.B.Bioorg.Med.Chem.Lett.1996、6、2081−2084参照)。
【化3】

【0005】
続いて、Gibbs博士のグループが、C3位置とC4位置の間の四置換二重結合にZ(正しい)幾何学的配置を有するオレガン酸を提示した(Gibbs、R.A.;Zahn、T.J.;Sebolt−Leopold、J.S Curr.Med.Chem.2001、8、1437−1465)。それにもかかわらず、立体配置の帰属が正しいことを証明するデータは提供されなかった。
【0006】
これまでオレガン酸の全合成は報告されていない。したがって、好ましくは以下の特性を満たすオレガン酸を得る方法を提供することが望まれる:
−使用する保護基の数が少ないこと;
−実行可能且つ安価な市販の原料物質;
−妥当な工程数;
−高度でない実験プロセス;または
−良好な最終収率。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、初めて、オレガン酸およびその誘導体の全合成法を確立した。この合成法では、単純な原料を使用し、工程数が妥当であり、保護基をほとんど必要とせず、そして複雑な転換を含まない。したがって、良好な収率でオレガン酸を得ることができ、そして大規模且つ短時間での合成を可能とする条件で実施することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明の第一の態様は、すでに分子の最終骨格を含んでおり、式(VI)または式(VII)の化合物を水素化反応に附するか;または式(XVI)の化合物のトリアルキルシリル基を脱保護化することを含んでなる、式(VIII)の化合物、オレガン酸およびそれらの誘導体の中間体を得る方法に関する。
【0009】
本発明のさらなる態様は、前記(VI)、式(VII)および式(XVI)の化合物、それらの立体異性体またはそれらの混合物、それらの合成の中間体およびそれらを得る方法に関する。
【0010】
本発明のさらなる態様は、式(VI)、式(VII)または式(XVI)の化合物、それらの立体異性体またはそれらの混合物から、式(VIII)の化合物、それらの立体異性体またはそれらの混合物を介して、式(I)の化合物、それらの立体異性体またはそれらの混合物を得る方法に関する。
【0011】
本発明のさらなる態様は、本明細書で定義されている式(I)、式(IV)、式(V)、式(VI)、式(VII)、式(VIII)、式(IX)、式(XV)、式(XVI)および式(XVIII)の化合物に関する。
【0012】
本発明の別の態様は、式(II)、式(III)、式(IV)、式(V)、式(VI)、式(VII)、式(VIII)、式(X)、式(XI)、式(XII)、式(XIII)、式(XIV)、式(XV)、式(XVI)、式(XVIII)および式(XXIV)の化合物、それらの立体異性体またはそれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物の、式(I)の化合物、それらの立体異性体またはそれらの混合物を合成するための使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
本発明の理解を容易にするために、本明細書において使用されるいくつかの用語および表現の意味を、以下に示す。
【0014】
「アルキル」は、炭素および水素原子からなり、未飽和を含まず、そして単結合により分子の他の部分に結合した炭化水素鎖を有するラジカルを指す。アルキル基の炭素原子数は、各々の場合で特定される。例えば、「C〜Cアルキル」は、炭素原子が1個、2個、3個または4個であるアルキル基、すなわち、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチルまたはt−ブチルを指す。
【0015】
「アリール」は、単純な芳香環または複数の縮合環(それらのうちの少なくとも一つが芳香族である)を含む、芳香族置換基、好ましくはC〜C18、より好ましくはC−C14、より好ましくはC−C10の基を指す。好ましいアリール基はフェニルまたはナフチル、好ましくはフェニルである。
【0016】
「ハロゲン」は、−F、−Cl、−Brまたは−Iを意味する。
【0017】
「トリアルキルシリル」は、式−Si(R’)(R’’)R’’’(式中、R’、R’’およびR’’’の各々は、独立して、フェニル基およびC〜Cアルキル基から選択されるものである)のラジカルとして理解されている。トリアルキルシリル基としては、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリ−イソ−プロピルシリル;ジメチルイソプロピルシリル、ジエチルイソプロピルシリル、ジメチルテキシルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリルがあるが、これらには限定されない。
【0018】
「Bn」は、ベンジル(−(CH)−フェニル)を意味する。
【0019】
「脱離基」は、求核試薬に結合している炭素を活性化する原子または原子群であり、前記求核試薬または前記求核試薬の一部分が分子に結合し、脱離基がそこから取り外されるようなものである。脱離基は、当業者には公知であり、例えば、OTs(トシル)、OMs(メシル)またはハロゲンがあげられる。
【0020】
本明細書が本発明の化合物における置換された基に言及するときは、1つ、2つまたは3つの有効な位置が、独立してシアノ;アルカノイル、例えば、C〜Cアルカノイル基、例えば、アシル等;カルボキサミド(−(C=O)NH);トリアルキルシリルからなる群から選択される1つ、2つ、3つの好適な基で置換されることができる特定の部分を指す。「置換されたアルキル」としては、例えば、シアノエチル、アセチルメチル、カルボキサミドメチル(−CHCONH)、2−トリメチルシリルエチルなどがあげられるが、これらには限定されない。
【0021】
本発明全体を通じて、種々の化合物の位置について述べるときは、番号は以下の通りである:
【化4】

【0022】
位置4の炭素に結合した鎖は、「側鎖」と称される。以下で述べるように、C3とC4の位置の間の二重結合を含む本発明の全ての化合物において、Z配置を有する二重結合、E配置を有する二重結合を有することができ、あるいはZ/E異性体の混合物であることができる。本発明は、前記の立体異性体またはそれらの混合物を含み、これらの全ては式(I)の化合物の合成に有用である。「波状」結合(〜〜〜)により結合されている前記二重結合の置換基の一つがこの可能性があることが明らかである。
【0023】
特に断らない限り、本発明の化合物は、1つ以上の同位体濃縮された原子が存在することだけが異なる化合物を含むものも指す。例えば、水素がデューテリウムまたはトリチウムで置換されているか、または炭素が13Cまたは14C濃縮炭素で置換されていることを除いて、本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内のものである。
【0024】
得られる反応生成物は、必要に応じて、通常の方法、例えば、結晶化、クロマトグラフィーおよび粉砕により精製できる。
【0025】
合成
第一の態様によれば、本発明は、式(VIII)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物を得る方法であって、
【化5】

[式中、
、RおよびRは、独立して、置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものであり;そして
nは2〜20の整数である]
以下の工程(a)、(b)または(c)の少なくとも1つを含んでなることを特徴とする、方法が提供される:
(a) 式(VI)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物
【化6】

[式中、R、RおよびRは前記定義の通りであり;
m1は1、2、3、4および5から選択される整数であり;そして
m2は0〜13の整数である]
を水素化反応に附する工程;
(b) 式(VII)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物
【化7】

[式中、
n、R、RおよびRは前記定義の通りである]
を水素化反応に附する工程;または
(c) 式(XVI)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物
【化8】

[式中、
n、R、RおよびRは前記定義の通りであり;
はトリアルキルシリル基である]
のトリアルキルシリル基を除去する工程。
【0026】
好ましい実施態様によれば、金属触媒を、好適な溶媒、例えば、1,4−ジオキサン中で、式(VI)または式(VII)のトリエステルの溶液に添加する。好ましくは、溶媒を、不活性ガス流を通過させることにより脱気する。このように調製した懸濁液を、水素雰囲気下、10〜210分間、好ましくは20〜150分間、より好ましくは25〜80分間攪拌する。
【0027】
不均一水素化反応をおこなう条件は、当業者に公知である。不均一水素化反応については、例えば、Nishimura,S.、有機合成のための不均一接触水素化(Heterogenous Catalytic Hydrogenation for Organic Synthesis);John Wiley&Sons,2001を参照されたい。金属が白金、パラジウム、ロジウムまたはレテニウムから選択される種々の金属触媒が使用される。本発明の目的に有用な水素化反応触媒で市販されているものの一部として、例えば、Ni(Ra)、Pd/C、Rh(Al)がある。それらのうち、好ましい触媒は、Pd/Cである。
【0028】
明らかなように、式(VI)の化合物の場合には、したがって、C3〜C4炭素間に存在する共役二重結合ではなく、側鎖の二重結合を還元し、側鎖の末端ヒドロキシル基を切り離すことができる。式(VII)の化合物の場合、側鎖の末端ヒドロキシルを十分に切り離すことができる。別法として、側鎖の二重結合だけを式(VI)の化合物に還元して、式(VII)の化合物を得て、それを同じ反応媒体中または単離後、式(VIII)の化合物に還元できる。換言すれば、式(VI)の化合物を式(VIII)の化合物に還元することは、単一工程でおこなってもよく、または式(VII)の化合物を介した2工程でおこなってもよい。
【0029】
例えば、式(VI)の化合物を反応媒体に相対的に希釈する条件は、0.02〜1.5M、好ましくは0.07〜1.5Mであり、Pd/C濃度は3〜7%、好ましくは5%であり、好ましくは式(VIII)のアルコールを単一生成物として直接得る。また、式(VIII)の化合物を直接得る好ましい実施態様では、0.01〜0.1当量、好ましくは0.04〜0.06当量のPd/Cを添加する。別の好ましい実施態様によれば、溶媒は、1,4−ジオキサンである。反応時間は、好ましくは50〜70分である。
【0030】
式(VI)の化合物から式(VII)の化合物を得る好ましい条件は、反応媒体における式(VI)の化合物の濃度およびPd/Cの濃度は、わずかにより高い。したがって、例えば、好ましい実施態様によれば、反応媒体における式(VI)の化合物の濃度は、0.15M超、好ましくは0.16〜0.25M、より好ましくは約0.2Mであり、Pd/C濃度は8〜12%、好ましくは10%である。また、式(VII)の化合物を得るのに好ましい実施態様では、Pd/Cを0.01〜0.1当量、好ましくは0.04〜0.06当量を添加する。別の好ましい実施態様によれば、溶媒は、1,4−ジオキサンである。反応時間は、好ましくは10〜50分間、好ましくは20〜40分間、より好ましくは約30分間である。
【0031】
明らかなように、選択肢工程(c)は、トリアルキルシリル基を除去すること、すなわち、式(XVI)の化合物のRを水素に転換することを含んでなる。前記転換は、通常脱保護として理解され、種々の条件下でおこなうことができる(例えば、Kocienski,P.J.Protecting Groups;Thieme:Stuttgart,2000.pp.:187−230参照)。好ましい実施態様によれば、例えば、1%HClなどの希釈酸性媒体中で、トリアルキルシリル基を式(XVI)の化合物から除去して式(VIII)の化合物を得る。
【0032】
別の態様によれば、本発明は、式(VIII)の化合物の直接前駆体である、前記で定義されている式(VI)、式(VII)または式(XVI)の化合物に関する。好ましい実施態様によれば、式(VII)または式(XVI)の化合物において、nは8〜20の整数、好ましくは12〜17の整数、より好ましくは13〜16、より好ましくは15である。好ましい実施態様によれば、式(VI)の化合物において、m1は2、3または4から選択される整数であり、好ましくはm1は3である。好ましい実施態様によれば、m2は5〜12の整数、好ましくは8〜12の整数であり、より好ましくはm2は10である。
【0033】
前記基R、RおよびRは、式(I)の化合物の酸基の保護基としての役割を果たし、下記から明らかなように、これらは合成の最後の工程において除去される。したがって、合成において使用される保護基の残りに対して直交した置換または未置換C〜C20アルキル保護基(例えば、ベンジルおよびトリアルキルシリル)は、本発明の目的に有用である。好ましくは、各R、RおよびRは、独立して、C〜Cアルキル基、好ましくはC〜Cアルキル基から選択され、より好ましくはR、RおよびRはメチル基である。
【0034】
本発明の別の態様は、式(VI)の化合物の合成方法に関する。前記式(VI)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物は、式(V)の化合物を、塩基の存在下で式(XIII)
【化9】

[式中、
は置換または未置換C〜C20アルキルから選択され;そして
Rは1つ以上のハロゲン原子、ベンジル、フェニルおよびトリルで置換されているかされていないC〜Cアルキルから選択されるものである]
のホスホン酸エステルと反応させることにより調製できる。
【0035】
この種の反応は、当該技術分野において公知であり、条件はある程度変更できる(例えば、Wittig:Maryanoff,B.E.;Reizt,A.B.Chem.Rev.1989,89,863−927参照)。ホスホン酸エステルは、好ましくは式(V)の化合物に対して過剰量であり、より好ましくは1.5〜3当量の割合、より好ましくは2.2当量の割合である。前記したように、この転換では、さらに塩基、例えば、リチウム塩基、例えば、n−BuLi、t−BuLi、s−BuLi、LDA、LiHMDS;ナトリウム塩基、例えば、NaH、NaHMDS;またはカリウム塩基、例えば、KHMDS、t−BuOKの存在が必要である。塩基は、好ましくはNaHである。塩基の量は、使用されるホスホン酸エステルの量により決まる。したがって、塩基は、好ましくは式(V)の化合物に対して過剰量であり、より好ましくは1.5〜3の割合である。好ましい実施態様によれば、反応は、室温でTHFを溶媒として使用しておこなう。
【0036】
反応条件および特定の置換基に応じて、反応により、化合物(VI)のC3〜C4幾何異性体の混合物を種々の比で生成する。両方の異性体は、本発明の範囲内であり、以下で説明するように、オレガン酸およびその誘導体の合成を可能にする。
【0037】
式(V)の化合物は、式(IV)の化合物を、塩基の存在下で式(XII)のシュウ酸エステルと反応させることにより調製できる:
【化10】

[式中、
およびRは、独立して、置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものであり;
m1は0、1、2、3、4および5から選択される整数であり;そして
m2は0〜13の整数である]。
【0038】
前記したように、この転換では、さらに塩基、例えば、リチウム塩基、例えば、n−BuLi、t−BuLi、s−BuLi、LDA、LiHMDS;ナトリウム塩基、例えば、NaH、NaHMDS;またはカリウム塩基、例えば、KHMDS、t−BuOKの存在が必要である。塩基は、好ましくはNaHである。
【0039】
好ましい実施態様によれば、反応は、約70℃の温度で、MeOH/THF混合物中でおこなうのが好適である。
【0040】
式(IV)の化合物は、化合物(III)と式(XI)の化合物とを反応させることにより調製できる:
【化11】

[式中、
は置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものであり;
m1は0、1、2、3、4および5から選択される整数であり;
m2は0〜13の整数であり;
Xはハロゲンであり;そして
Ar基の各々は、独立して、C〜C10アリール基から選択されるものである]。
【0041】
実験的には、式(XI)の化合物を塩基で処理すると、対応イリドが形成され、このイリドが式(III)の化合物と反応して式(IV)の化合物が得られる。
【0042】
好ましくは、使用される塩基はn−BuLiであり、アリールはフェニルであり、そしてハロゲンはBrである。
【0043】
したがって、以下の合成手順により式(VI)の化合物を調製することができる:
(i) 式(III)の化合物を式(XI)の化合物と反応させて、式(IV)の化合物を生成すること;
(ii) 前記式(IV)の化合物を、塩基の存在下で、式(XII)のシュウ酸エステルと反応させて、式(V)の化合物を生成させること;そして
(iii) 前記式(V)の化合物と式(XIII)のホスホン酸エステルとを反応させること。
【0044】
式(XI)の化合物の合成方法は、Garcia、J.;Lopez、M.;Romeo、J.Tetrahedron:Asymmetry1999、10、2617−2626(引用することによりその全体が本明細書の一部とされる)に記載の方法に準じて実施できる。この方法は、以下の工程を含んでなる:
(i)ベンジル化剤を、塩基の存在下で、式(XXI)の化合物
【化12】

[式中、
m2は0〜13の整数である]
と反応させて、式(XXII)の化合物
【化13】

を得ること;
(ii)前記式(XXII)の化合物をハロゲン化剤と反応させて、式(XXV)の化合物
【化14】

[式中、
m2は0〜13の整数であり;そして
Xはハロゲン原子である]
の化合物を得ること;そして
(iii)前記式(XXV)の化合物を式PArのトリアリールリンの存在下で反応させて、前記式(XI)の化合物を得ること。
【0045】
特定の実施態様によれば、式(XXI)の化合物は、1,12−ドデカンジオールである。好ましくは、後者を塩基、例えば、NaHで脱保護した後、ベンジル化剤、例えば、BnBrで処理することにより、12−ベンジルオキシ−1−ドデカノール(6)が得られる。化合物(6)において、アルコールがハロゲンで置換される。ハロゲンは、好ましくは臭素である。この臭素化反応は、PPhおよびCBrの存在下で実施できる。
【0046】
式(X)のハロゲン化化合物を、好ましくはトリフェニルホスフィンでの処理により、式(XI)の化合物に転換する。
【0047】
式(III)の化合物は、式(IIa)のアルコール類を酸化することにより調製できる:
【化15】

[式中、
は置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものであり;
m1は0、1、2、3、4および5から選択される整数である]。
【0048】
アルコール類をアルデヒド類に転換するための酸化剤は、当業者には公知である(Larock、R.C.Comprehensive Organic transformations;John Wiley&Sons:New York、1999、pp.:1234−1249)。好ましい実施態様によれば、前記酸化剤は、PCC(クロロクロム酸ピリジニウム)、MnOおよびDMSO/(COCl)/EtNからなる群から選択されるものであり、好ましくはPCCである。
【0049】
前記式(IIa)の化合物は、式(XXIVa)の化合物
【化16】

[式中、
m1は0、1、2、3、4および5から選択される整数である]
から、式ROH(式中、Rは上記した通りである)のアルコールの存在下で、Bosone、E.;Farina、P.;Guazzi、G.;Innocenti、S.;Marotta、V.Synthesis 1983、942−944に記載の方法に従って調製することができる。
【0050】
特定の実施態様によれば、溶媒として式ROH(好ましくはRがC〜Cアルキルである)のアルコール、より好ましくはメタノール、を用いて、式(XXIVa)(式中、m1は3である)の化合物のε−カプロラクトンを、酸性媒体中で処理することにより、対応する式(IIa)(但し、置換基Rは溶媒として使用されるアルコールの残部に相当する)の化合物が形成される。この式(IIa)のアルコールは、酸化反応により、対応する式(III)の化合物を生じる。酸化剤は、好ましくはPCCである。
【0051】
別法として、式(VIII)の化合物の側鎖を伸長して、より長い鎖を有する式(VIII)の化合物を提供できる。好ましい実施態様によれば、本発明の方法において、式(VIII)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物は、式(VIIIa)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物
【化17】

[式中、
、RおよびRは、独立して、置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものであり;そして
m3は2〜18の整数である]
であり、その方法は以下の工程をさらに含んでなる:
(i) 脱離基として式(VIIIa)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物のヒドロキシル基を活性化して、式(XVIII)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物
【化18】

[式中、
m3、R、RおよびRは前記定義の通りであり;そして
Yは−OSOH、−OMs、−OTs、IおよびBrから選択されるものである]
を形成する工程;
(ii) 前記式(XVIII)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物と、式(X)の化合物
【化19】

[式中、
Mは金属であり;そして
m4は0〜18の整数であり;そして
m3+m4+2=nを満たす]
とを反応させて、式(VII)の化合物、その立体異性体またはそれらの化合物
【化20】

[式中、
n、R、RおよびRは前記定義の通りである]
を得る工程;そして
(iii) 前記式(VII)の化合物、その立体異性体またはそれらの化合物を水素化反応に附する工程。
【0052】
本発明において、好ましい脱離基は、炭素−炭素結合の形成に使用される有機金属試薬(求核基)、好ましくはZn、AlまたはCuで金属交換されているかされていないグリニヤール試薬に対して活性であるものである。好ましい脱離基は、−OTs、−I、−Br、Cl、−SOHである。好ましい実施態様によれば、脱離基は、BrおよびOTsから選択される。
【0053】
好ましい実施態様によれば、ヒドロキシル基は、塩基、例えば、ピリジンの存在下で、対応のトシレート(OTs)として活性化される。
【0054】
別の好ましい実施態様によれば、式(VIII)の化合物をCBrおよびPPhで処理して、式(XVIII)(但し、YはBrである)の化合物を得る。
【0055】
式(XVI)の化合物は、式(XV)の化合物と式(XIII)のホスホン酸エステルとを塩基の存在下で反応させることにより調製できる:
【化21】

[式中、
Rは1つ以上のハロゲン原子、ベンジル、フェニルおよびトリルで置換されているかいないC〜Cアルキルから選択されるものであり;
は置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものであり;そして
n、R、RおよびRは前記定義の通りである]。
【0056】
式(V)または式(XV)の化合物と式(XIII)のホスホン酸エステルとを反応させることにより、Z(シス)/E(トランス)異性体の混合物を得て、それらを以下の工程に附して、以下で述べる方法に従って混合物またはZ(シス)異性体が濃縮されたものとして分離できる。
【0057】
次に、式(XII)のシュウ酸エステルを式(XIV)の化合物と反応させることにより、式(XV)の化合物を得ることができる:
【化22】

[式中、
は置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものであり;そして
n、RおよびRは前記定義の通りである]。
【0058】
明らかなように、式(XIV)および式(XV)の化合物を合成するための方法は、式(V)および式(VI)の化合物を合成するのに使用される方法に類似しており、条件は同じであるか、あるいは類似している。
【0059】
特定の実施態様によれば、式(XIV)の化合物は、式(II)のアルコールを塩基およびシリル化剤で処理することにより調製される:
【化23】

[式中、
およびnは前記定義の通りである]。
【0060】
ヒドロキシル基を保護するためのこの転換を実施することができる条件が、例えば、Dalla、V.;Catteau、J.P.Tetrahedron1999、55、6497−6510に記載されているが、これらには限定されない。この反応に使用することができるトリアルキルシリル基、およびそれらの導入および除去に好適な試薬は、当業者に公知である(例えば、Greene、T.W.;Wuts、P.G.M.Greene、有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis);John Wiley&Sons:Hoboken、2007参照)。
【0061】
特定の実施態様によれば、使用される塩基はイミダゾールであり、シリル化剤はTBDMSClである。
【0062】
別の特定の実施態様によれば、式(II)の化合物は、式ROH(式中、Rおよびnは前記定義の通りである)のアルコールの存在下で、式(XXIV)の化合物を反応させることにより調製できる。
【化24】

【0063】
明らかなように、式(II)の化合物を合成するための方法は式(IIa)の化合物を合成するのに使用される方法と類似しており、条件は同じであるか、あるいは類似している。
【0064】
本発明のさらなる態様は、式(I)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物
【化25】

[式中、
nは2〜20の整数である]
の合成方法であって、
以下の工程(ai)、(aii)または(aiii):
(ai) 式(VI)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物
【化26】

を水素化に附する工程;または
(aii) 式(VII)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物
【化27】

を水素化に附する工程;または
(aiii) 式(XVI)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物
【化28】

[式中、
nは2〜20の整数であり;
、RおよびRは、独立して、置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものであり;
m1は0、1、2、3、4および5から選択される整数であり;
m2は0〜13の整数であり;そして
はトリアルキルシリル基である]
のトリアルキルシリル基を除去して、式(VIII)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物
【化29】

[式中、
n、R、RおよびRは前記定義の通りである]
を得る工程
の少なくとも1つを含んでなり、
そしてさらに
(b) 前記式(VIII)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物と硫化剤とを反応させて、式(IX)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物
【化30】

[式中、
n、R、RおよびRが前記定義の通りである]
を生成すること;そして
(c) 前記式(IX)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物のエステル基を加水分解して、対応する酸基を得ること、
を含んでなることを特徴とする方法に関する。
【0065】
当業者には、種々の硫化剤が公知である。最も一般的なものは、SOおよびHSOClである。硫化剤は、好ましくはSO・ピリジン複合体である。
【0066】
エステル基を加水分解して対応する酸基を提供することは、当業者には公知である(例えば、Kocienski、P.J.Protecting Groups;Thieme:Stuttgart、2000.pp.:393−425参照)。この場合、式(IX)の化合物に存在するC3−C4二重結合およびスルフェート基に対して不活性である条件でおこなわれる。本発明の目的に合う条件は、好ましくは式(IX)の化合物の加水分解がアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類水酸化物の存在下、例えば、LiOH、NaOH、Ba(OH)の存在下またはNaSの存在下でおこなうが、これらには限定されない。
【0067】
上記で示したように、本発明に記載の化合物のC3−C4立体異性体の両方およびそれらの混合物は、本発明の範囲に含まれる:
【化31】

【0068】
例えば、式(VI)−Zの化合物を還元するとZ配置の生成物が得られ、式(VI)−Eの化合物を還元するとZ配置の生成物が得られる。
【0069】
しかしながら、E(トランス)異性体を、塩基性媒体に暴露することにより、Z(シス)異性体(対応するZ(シス)異性体)に転換すること、またはZ(シス)/E(トランス)異性体混合物のZ(シス)異性体濃縮物を得ることができる。したがって、好ましい実施態様によれば、本発明の方法は、塩基性媒体に、式トランス−(I)、式トランス−(VI)、式トランス−(VII)、式トランス−(VIII)、式トランス−(VIIIa)、式トランス−(IX)、式トランス−(XVI)、式トランス−(XVIa)もしくは式トランス−(XVIII)の化合物、または式(I)、式(VI)、式(VII)、式(VIII)、式(VIIIa)、式(IX)、式(XVI)、式(XVIa)もしくは式(XVIII)の化合物のシス異性体とトランス異性体との混合物を暴露させることにより、式シス−(I)、式シス−(VI)、式シス−(VII)、式シス−(VIII)、式シス−(VIIIa)、式シス−(IX)、式シス−(XVI)、式シス−(XVIa)または式シス−(XVIII)の化合物または式(I)、式(VI)、式(VII)、式(VIII)、式(VIIIa)、式(IX)、式(XVI)、式(XVIa)または式(XVIII)の化合物のシス異性体とトランス異性体との混合物のシス異性体濃縮物を得ることを含んでなる。好ましい実施態様によれば、本発明の方法は、式トランス−(VI)、式トランス−(VII)、式トランス−(IX)および/または式トランス−(XVI)を、対応する式トランス−(VI)、式トランス−(VII)、式トランス−(IX)および/または式トランス−(XVI)の化合物、または対応するシス/トランス異性体の混合物に転換することを含んでなる。前記塩基性媒体は、好ましくはSO・ピリジンを含んでいる。
【0070】
化合物
すでに示したように、本発明のさらなる態様によれば、前記で定義したような、式(IV)、式(V)、式(VI)、式(VII)、式(XV)、式(XVI)および式(XVIII)の化合物、それらの立体異性体またはそれらの混合物が提供される。
【0071】
さらに別の態様によれば、前記で定義した式(VIII)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物が提供されるが、但し下記式の化合物は除かれる。
【化32】

【0072】
さらに別の態様によれば、前記で定義した式(I)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物が提供されるが、但し下記式の化合物は除かれる。
【化33】

【0073】
さらに別の態様によれば、前記で定義した式(IX)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物が提供されるが、但し下記式の化合物は除かれる。
【化34】

【0074】
式(VIIIb)の化合物
本発明のさらなる態様によれば、式(XXX)の化合物と水素化物、好ましくはNaBH(Burke、S.D.;Danheiser、R.L.、有機合成試薬ハンドブック(Handbook of Reagents for Organic Synthesis):酸化剤および還元剤(Oxidizing and Reducing Agents);John Wiley&Sons:Chichester、1999.pp.:394−400参照)とを反応させることを含んでなる式(VIIIb)の化合物の調製方法が提供される:
【化35】

[式中、
、RおよびRは、独立して、置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものであり;そして
n1は1〜16の整数、好ましくは3〜12の整数、より好ましくは5〜10の整数、より好ましくは8である]。
【0075】
好ましい実施態様によれば、前記式(XXX)の化合物は、式(XXXI)の化合物と式(XXXII)の化合物とを、式PArの化合物、好ましくはトリフェニルホスフィン(式中、Ar基の各々は、独立して、C〜C10アリール基から選択されものであり、n、R、RおよびRは前記定義の通りである)の存在下で反応するこのにより調製される。式(XXX)の化合物を調製するための条件が、例えば、Yavari、I.;Samzadeh−Kermani、A.R.Tetrahedron Lett.1998、39、6343−6344に記載されているが、これらには限定されない:
【化36】

【0076】
別の好ましい実施態様によれば、前記式(XXXI)の化合物は、式(XXXIII)の化合物と式(XII)のシュウ酸エステルとを塩基の存在下で反応させることにより調製される(式中、n1とRは前記定義の通りである):
【化37】

【0077】
式(XXXI)の化合物は、Seki、K.;Isegawa、J.;Fukuda、M.;Ohki、M.Chem.Pharm.Bull.1984、32、1568−1577;またはAshton、W.T.;Doss、G.A.J.Heterocycl.Chem.1993、30、307−311(引用することによりその全体が本明細書の一部とされる)に記載の条件下で得ることができる。
【0078】
要するに、この方法によれば、市販の出発原料(式(XXXIII)および式(XII)の化合物)から式(VIIIb)のオレガン酸の誘導体を、数工程、高収率で得ることができる。
【実施例】
【0079】
材料および方法
全ての反応を、各場合で特に断らない限り、アルゴン雰囲気下でおこなった。使用した試薬および溶媒を、Aldrich、Fluka、Merck、Sigma、Acros、Lancaster、SDSまたはScharlauから入手し、必要なときに、通常のプロセス[Armarego,W.L.;Perrin,D.D.実験用薬品の精製(Purification of Laboratory Chemicals);Butterworth−Heinemann:Oxford,1996]で精製した。
【0080】
使用溶媒は、アルゴン雰囲気下で蒸留し、乾燥した。ジオキサンは、使用前にアルゴン流を通過させることにより脱気した。
【0081】
反応生成物は、固定相として60Merckシリカゲル(粒度:230〜400メッシュ)を用い、予め蒸留した溶媒を移動相として用いて、加圧下でカラムクロマトグラフィー(フラッシュクロマトグラフィー)により精製した。使用した溶離剤は場合ごとに示し、使用溶媒の混合物の比は常に容積/容積である。
【0082】
反応は、Merck製60F254シリカゲルクロマトグラフィープレートを用いて、薄層クロマトグラフィー(TLC)によりモニターした。プレートを、ヨウ素蒸気、2,4−ジニトロフェニルヒドラジンをEtOHに2%溶解(97%HSOを0.04%用いて)した溶液、リンモリブデン酸をEtOHに10%溶解した溶液およびUV光ビューア(254nmおよび366nm)を用いて展開した。
【0083】
水素化反応を実施するのに必要なH雰囲気は、反応フラスコを真空にした後、H流を接続することによる、一般的なプロセスで得た。真空/Hプロセスを2回反復し、そして最後にHを満たした2つのバルーンを接続した。
【0084】
高圧条件下の反応を、キンブル(Kimble)(商品名)ガラス瓶で実施した。
【0085】
(完全デカップリング)Hおよび13C核磁気共鳴スペクトルを、以下の装置を用いて、各場合において示した溶媒(CDClおよびCDOD)中、室温でおこなった:Varian Gemini−200(200MHz),Varian INOVA−300(300MHz),Bruker Avance−300(300MHz)およびVarian INOVA−400(400MHz)。化学シフトの値を、内部標準として溶媒の残留信号を用いて百万分の一(δ,ppm)で示す:CDCl,7.26ppm(H−NMR)および77.0ppm(13C−NMR);CDOD,3.31ppm(H−NMR)および49.0ppm(13C−NMR)。
【0086】
融点(m.p.)は、Reichert(商品名)Kofler顕微鏡で測定した。
【0087】
赤外線(IR)スペクトルは、Perkin−Elmer分光光度計(モデル681およびFT−IRスペクトル分光光度計)で記録した。最大吸収の頻度(ν)を、単位cm−1で表す。試料を、NaCl結晶間の膜、またはKBrディスクで分析した。
【0088】
低解像度質量スペクトル(LRMS)を、(1)イオン化エネルギー70eVの電子衝撃(EI)イオン化法を用いて、Hewlett Packard 5973 MSD分光光度計に試料を直接注入することによるか、または(2)エレクトロスプレー化学イオン化法(API−ES)をポジティブまたはネガティブモードで用い、毛細管電圧4000V、乾燥温度330℃を適用し、キャリアとして1%AcOHでHO/MeOH[1:1]混合物を用いて、Hewlett Packard LCMS 1100 MSD分光光度計(HPLC結合四重極解析器)で記録した。得られたデータを質量単位(m/z)で表し、括弧内の値はベースピーク(100%)に対する相対強度に対応する。分子ピークは、Mとして特定する。
【0089】
元素分析(E.A.)を、Perkin−Elmer 240CおよびHeraus CHN−O−Rapid分析器を用いておこなった。計算データおよび実測データを、百分率(%)で示す。
【0090】
実施例1:6−ヒドロキヘキサン酸メチル(4)の調製
【化38】

【0091】
MeOH(25ml)にε−カプロラクトン(25g、220mmol)を添加して調製した溶液を、MeOH(25ml)に97%HSO(2.5ml)を添加して調製した溶液に添加した。得られた混合物を30分間、加熱還流した。その後、混合物を10%NaOH(17.5ml)水溶液で中和し、そしてAcOEt(3×25ml)で中和した。有機相を無水NaSOで乾燥し、濾過し、そして溶媒を減圧下で除去して6−ヒドロキシヘキサン酸メチル(4)(32g、定量収率)を得た。それを精製することなく以下の工程に使用した。
【0092】
H−NMR(200MHz,CDCl):δ3.55(3H,s,−OCH),3.53(2H,t,J=6.2Hz,H−6),2.22(2H,t,J=7.2Hz,H−2),1.62−1.23(6H,m,−CH−)
【0093】
実施例2:5−ホルミルペンタン酸メチル(5)の調製
【化39】

【0094】
CHCl(50ml)に6−ヒドロキシヘキサン酸メチル(4)(1.2g、8.19mmol)を添加して調製した溶液に、PCC(2.65g、12.3mmol)を添加した。混合物を、室温で2.5時間攪拌した。その後、溶媒を、減圧下で除去した。残留物をヘキサン/AcOEt1:1混合物(30ml)に懸濁し、シリカゲルで濾過して残留試薬を除去することにより、5−ホルミルペンタン酸メチル(5)(1.16g、定量収率)を得た。これを、精製することなく以下の工程に使用した。
【0095】
H−NMR(200MHz,CDCl):δ9.71(1H,m,H−6),3.61(3H,s,−OCH),2.39(4H,m,H−2,H−5),1.65(4H,m,H−3,H−4)
【0096】
実施例3:12−ベンジルオキシ−1−ドデカノール(6)の調製
【化40】

【0097】
THF/DMF2:1混合物(36ml)に1,12−ドデカンジオール(5.0g、24.7mmol)を添加して調製した溶液を、DMF(18ml)にNaH(0.595g、24.83mmol)を添加して調製した懸濁液に、0℃で添加した。得られた混合物を、0℃で2時間攪拌した。その後、BnBr(4.42g、25.8mmol)を、0℃で添加した。得られた混合物を、室温で4時間攪拌した。その後、混合物を0℃で冷却し、HO(75ml)を添加した。相分離し、水相をEtO(5×20ml)で抽出した。有機相を、飽和NaCl(30ml)で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、そして溶媒を減圧下で除去した。生成物を、クロマトグラフィーカラム(ヘキサン/AcOEt、10:1)で精製して12−ベンジルオキシ−1−ドデカノール(6)(3.59g、収率50%)を透明油状物として得た。
【0098】
H−NMR(200MHz,CDCl):δ7.36−7.27(5H,m,Ar−H),4.51(2H,s,−OCHPh),3.60(2H,t,J=6.5Hz),3.45(2H,t,J=6.4Hz),1.60(4H,m),1.40(16H,m).
【0099】
実施例4:12−ベンジルオキシ−1−ブロモドデカン(7)の調製
【化41】

【0100】
CBr(3.34g、10.08mmol)を、CHCl(40ml)に12−ベンジルオキシ−1−ドデカノール(6)(2.36g、8.06mmol)およびPPh(2.64g、10.08mmol)を添加して調製した溶液に、0℃で添加した。得られた混合物を、室温で30分間攪拌した。その後、溶媒を、減圧下で除去した。残留物を、ヘキサン(115ml)に懸濁し、室温で30分間攪拌した。その後、混合物を真空下で濾過し、溶媒を減圧下で除去した。生成物をクロマトグラフィーカラム(ヘキサン/CHCl、2:1)により精製して、12−ベンジルオキシ−1−ブロモドデカン(7)(2.45g、収率86%)を透明油状物として得た。
【0101】
H−NMR(200MHz,CDCl):δ7.35(5H,m,Ar−H),4.48(2H,s,−OCHPh),3.45(2H,t,J=6.5Hz),3.35(2H,t,J=6.5Hz),1.85(2H,m,−CH−),1.58(2H,m,−CH−),1.36−1.15(16H,m,−CH−)
【0102】
実施例5:臭化[12−ベンジルオキシドデシ−1−イル]トリフェニルホスホニウム(8)の調製
【化42】

【0103】
12−ベンジルオキシ−1−ブロモドデカン(7)(1.58g、4.44mmol)とPPh(1.28g、4.89mmol)との混合物を、キンブル中、120℃で3時間加熱した。その後、生成物をクロマトグラフィーカラム(CHCl/MeOH、9:1)により精製して、臭化[12−ベンジルオキシドデシ−1−イル]トリフェニルホスホニウム(8)(2.5g、収率91%)を透明油状物として得た。
【0104】
H−NMR(200MHz,CDCl):δ7.70(15H,m),7.22(5H,m,Ar−H),4.52(2H,s,−OCHPh),3.80(2H,m,H−1),3.38(2H,t,J=6.5Hz,H−12),1.55(4H,m,−CH−),1.36−1.15(16H,m,−CH−)
【0105】
実施例6:6−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)ヘキサン酸メチル(24)の調製
【化43】

【0106】
DMF(10ml)にTBDMSCl(7.16g、46.08mmol)を添加して調製した溶液を、DMF(50ml)に6−ヒドロキシヘキサン酸メチル(4)(5.613g、38.40mmol)およびイミダゾール(3.13g、46.08mmol)を添加して調製した溶液に0℃で添加した。得られた混合物を、室温で24時間攪拌した。その後、HO(80ml)およびAcOEt(40ml)を、添加した。相分離し、水相をAcOEt(3×20ml)で抽出した。有機相を飽和CuSO(2×30ml)および飽和NaCl(2×30ml)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、そして溶媒を減圧下で除去した。生成物をクロマトグラフィーカラム(ヘキサン/AcOEt、25:1)により精製して、6−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)ヘキサン酸メチル(24)(6.46g、収率73%)を無色油状物として得た。
【0107】
H−NMR(200MHz,CDCl):δ3.56(3H,s,−OCH),3.49(3H,t,J=6.2Hz,H−6),2.21(2H,t,J=7.6Hz,H−2),1.61−1.20(6H,m,−CH−),0.78(9H,s,t−BuSi),−0.06(6H,s,(Me)Si)
【0108】
実施例7:rac−(R)−7−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−3−(メトキシカルボニル)−2−オキソヘプタン酸メチル(25)の調製
【化44】

【0109】
MeOH(0.23ml)を、THF(9.2ml)にNaH(0.507g、21.11mmol)を添加して調製した懸濁液に0℃で添加した。得られた混合物を、室温になるまで攪拌した。その後、シュウ酸ジメチル(2.29g、19.19mmol)および6−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)ヘキサン酸メチル(24)(5.0g、19.19mmol)を添加した。得られた混合物を、3時間加熱還流した。その後、HO(10ml)および10%HCl水溶液を、pHが中性となるまで添加した。相分離し、水相をAcOEt(3×10ml)で抽出した。有機相を無水NaSOで乾燥し、濾過し、そして溶媒を減圧下で除去した。生成物をクロマトグラフィーカラム(ヘキサン/AcOEt、25:1)により精製して、rac−(R)−7−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−3−(メトキシカルボニル)−2−オキソヘプタン酸メチル(25)(4.41g、収率67%)を透明油状物として得た。
【0110】
H−NMR(200MHz,CDCl):δ3.92(1H,t,J=6.8Hz,H−3),3.78(3H,s,−OCH),3.62(3H,s,−OCH),3.49(2H,t,J=5.9Hz,H−7),1.87−1.41(6H,m,−CH−),0.77(9H,s,t−BuSi),−0.07(6H,s,(Me)Si)
【0111】
実施例8:rac−(R)−7−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−3−(メトキシカルボニル)−2−オキソヘプタン酸メチル(25)と(ジメトキシホスホリル)酢酸メチルとの反応
【化45】

【0112】
THF(0.3ml)に(ジメトキシホスホリル)酢酸メチル(0.105g、0.57mmol)を添加して調製した溶液を、THF(2.3ml)にNaH(0.013g、0.57mmol)を添加して調製した懸濁液に添加した。得られた混合物を、Hがもはや発生しなくなるまで室温で攪拌した。その後、THF(0.3ml)にrac−(R)−7−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−3−(メトキシカルボニル)−2−オキソヘプタン酸メチル(25)(0.100g、0.29mmol)を添加して調製した溶液を添加した。得られた混合物を、室温で24時間攪拌した。その後、セライトを添加し、そして溶媒を減圧下で除去した。生成物をクロマトグラフィーカラム(ヘキサン/AcOEt、15:1)により精製して、(Z)−8−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−3−オクテン酸メチル(26−Z)(0.063g、収率54%)と(E)−8−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−3−オクテン酸メチル(26−E)(0.024g、収率21%)とを両方とも透明油状物として得た。
【0113】
(Z)−8−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−3−オクテン酸メチル(26−Z)
【化46】

【0114】
H−NMR(200MHz,CDCl):δ3.67(3H,s,−OCH),3.62(3H,s,−OCH),3.57(3H,s,−OCH),3.48(2H,m,H−8),3.29(2H,s,H−2),2.26(2H,m,H−5),1.40(4H,m,−CH−),0.76(9H,s,t−BuSi),−0.08(6H,s,(Me)Si)
【0115】
(E)−8−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−3−オクテン酸メチル(26−E)
【化47】

【0116】
H−NMR(200MHz,CDCl):δ3.67(6H,s,−OCH),3.57(3H,s,−OCH),3.49(2H,m,H−8),3.41(2H,s,H−2),2.53(2H,m,H−5),1.41(4H,m,−CH−),0.77(9H,s,t−BuSi),−0.07(6H,s,(Me)Si)
【0117】
実施例9:(Z)−8−ヒドロキシ−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−3−オクテン酸メチル(27−Z)の調製
【化48】

【0118】
HCl(MeOH中1%、1ml)に(Z)−8−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−3−オクテン酸メチル(26−Z)(0.100g、0.24mmol)を添加して調製した溶液を、室温で2時間攪拌した。その後、得られた混合物を10%NaHCO(1ml)水溶液で中和し、CHCl(2ml)を添加した。相分離し、そして水相をCHCl(3×2ml)で抽出した。有機相を、飽和NaCl(2ml)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、そして溶媒を減圧下で除去して、(Z)−8−ヒドロキシ−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−3−オクテン酸メチル(27−Z)(0.065g、収率95%)を無色油状物として得た。
【0119】
H−NMR(200MHz,CDCl):δ3.79(3H,s,−OCH),3.73(3H,s,−OCH),3.69(3H,s,−OCH),3.63(2H,t,J=6.0Hz,H−8),3.42(2H,s,H−2),2.40(2H,t,J=7.4Hz,H−5),1.58(4H,m,−CH−)
【0120】
実施例10:(Z)−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−8−スルホオキシ−3−オクテン酸メチル(31−Z)の調製
【化49】

【0121】
SO・pyr(0.276g、1.73mmol)の少量を、ピリジン(6.5ml)に(Z)−8−ヒドロキシ−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−3−オクテン酸メチル(27−Z)(0.100g、0.34mmol)を添加して調製した溶液に添加した。得られた混合物を、室温で24時間攪拌した。その後、溶媒を減圧下で除去した。残留物をHO/MeOH1:1混合物(2ml)に懸濁し、0.5M KOH水溶液で中和し、そして溶媒を減圧下で除去した。生成物をMeOHで粉砕することにより精製して、(Z)−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−8−スルホオキシ−3−オクテン酸メチル(31−Z)(0.126g、定量収率)を白色固体として得た。
【0122】
IR(BrK):ν3457,3075,2955,1726,1638,1489,1437,1261,1201,1008,756,683cm−1
H−NMR(200MHz,CDCl):δ4.11(2H,t,J=6.0Hz,H−8),3.78(3H,s,−OCH),3.73(3H,s,−OCH),3.69(3H,s,−OCH),3.42(2H,s,H−2),2.40(2H,t,J=7.4Hz,H−5),1.60(4H,m,−CH−)
【0123】
実施例11:(Z)−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−8−(p−トルエンスルホニル)−3−オクテン酸メチル(32−Z)の調製
【化50】

【0124】
ピリジン(1ml)に(Z)−8−ヒドロキシ−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−3−オクテン酸メチル(27−Z)(0.100g、0.347mmol)を添加して調製した溶液を、ピリジン(1ml)にTsCl(0.099g、0.52mmol)を添加して調製した溶液に0℃で添加した。得られた混合物を、0℃で2時間攪拌した。その後、HO(4ml)を添加した。相分離し、そして水相をEtO(3×4ml)で抽出した。有機相を、10%HCl(×2、pHが酸性となるまで)水溶液、HO(4ml)、飽和NaHCO(4ml)および飽和NaCl(4ml)で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、そして溶媒を減圧下で除去して、(Z)−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−8−(p−トルエンスルホニル)−3−オクテン酸メチル(32−Z)(0.110g、収率72%)を無色油状物として得た。
【0125】
H−NMR(200MHz,CDCl):δ7.79(2H,d,J=8.3Hz,Ar−H),7.36(2H,d,J=8.3Hz,Ar−H),4.02(2H,t,J=6.1Hz,H−8),3.79(3H,s,−OCH),3.75(3H,s,−OCH),3.71(3H,s,−OCH),3.39(2H,s,H−2),2.47(3H,s,−CH),2.36(2H,t,J=7.6Hz,H−5),1.80−1.45(4H,m,−CH−)
【0126】
実施例12:(Z)−8−bromo−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−3−オクテン酸メチル(29−Z)の調製
【化51】

【0127】
CHCl(2ml)にPPh(0.341g、1.30mmol)を添加して調製した溶液を、CHCl(6.5ml)に(Z)−8−ヒドロキシ−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−3−オクテン酸メチル(27−Z)(0.300g、1.04mmol)およびCBr(0.431g、1.30mmol)を添加して調製した溶液に0℃で添加した。得られた混合物を、室温で2時間攪拌した。その後、セライトを添加し、溶媒を減圧下で除去した。生成物をクロマトグラフィーカラム(ヘキサン/AcOEt、4:1)により精製して、(Z)−8−bromo−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−3−オクテン酸メチル(29−Z)(0.218g、収率60%)を無色油状物として得た。
【0128】
H−NMR(200MHz,CDCl):δ3.80(3H,s,−OCH),3.74(3H,s,−OCH),3.70(3H,s,−OCH),3.42(2H,s,H−2),3.39(2H,t,J=6.6Hz,H−8),2.39(2H,t,J=7.9Hz,H−5),1.88(2H,m,−CH−),1.62(2H,m,−CH−)
【0129】
実施例13:(Z)−18−ベンジルオキシ−6−オクタデセン酸メチル(13)の調製
【化52】

【0130】
n−BuLi(0.545g、8.52mmol)を、THF(85ml)に臭化[12−ベンジルオキシドデシ−1−イル]トリフェニルホスホニウム(8)(3.71g、6.0mmol)を添加して調製した溶液に0℃で添加した。得られた混合物を、0℃で45分間攪拌した。その後、THF(2ml)に5−ホルミルペンタン酸メチル(5)(0.952g、8.34mmol)を添加して調製した溶液を0℃で添加した。得られた混合物を、室温で1時間攪拌した。その後、反応混合物を0℃で冷却し、飽和NHClを添加した(30ml)。相分離し、そして水相をEtO(4×15ml)で抽出した。有機相を、無水MgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。生成物を、クロマトグラフィーカラム(ヘキサン/AcOEt、20:1)により精製して、(Z)−18−ベンジルオキシ−6−オクタデセン酸メチル(13)(2.61g、収率53%)を透明油状物として得た。
【0131】
IR(NaCl):ν3004,2926,2854,1741,1496,1454,1435,1362,1204,1170,1102,1028,734,697cm−1
H−NMR(300MHz,CDCl):δ7.30(5H,m,Ar−H),5.39(1H,dt,J=7.0,10.9Hz,H−6orH−7),5.30(1H,dt,J=8.3,10.9Hz,H−7orH−6),4.50(2H,s,CHPh),3.66(3H,s,−OCH),3.46(2H,t,J=6.5Hz,H−18),2.31(2H,t,J=7.5Hz,H−2),1.96(4H,m,H−5,H−8),1.63(4H,m,−CH−),1.34(18H,m,−CH−)
13C−NMR(50MHz,CDCl):δ174.1,138.6,130.9,130.4,129.0,128.2,127.5,127.3,72.7,70.4,51.3,33.9,29.7,29.6,29.5,29.5,29.4,29.2,29.1,29.0,27.1,26.7,26.1,24.5,24.3
LRMS(EI):m/z 402(M,2),371(1),342(0),311(14),279(37),261(16),195(3),91(100).
元素分析(C2642):実測値:C,77.50,H,10.45;計算値:C,77.56,H,10.51
【0132】
実施例14:rac−(Z,R)−19−ベンジルオキシ−3−(メトキシカルボニル)−2−オキソ−7−ノナデセン酸メチル(22)の調製
【化53】

【0133】
MeOH(0.022ml)を、THF(1ml)にNaH(0.044g、1.87mmol)を添加して調製した溶液に0℃で添加した。得られた混合物を、室温になるまで攪拌した。その後、シュウ酸ジメチル(0.221g、1.87mmol)および(Z)−18−ベンジルオキシ−6−オクタデセン酸メチル(13)(0.685g、1.70mmol)を添加した。得られた混合物を、4時間加熱還流した。その後、HO(10ml)および10%HCl水溶液を、pHが中性となるまで添加した。相分離し、そして水相をAcOEt(3×7ml)で抽出した。有機相を無水NaSOで乾燥し、濾過し、そして溶媒を減圧下で除去した。生成物をクロマトグラフィーカラム(ヘキサン/AcOEt、15:1)により精製して、rac−(Z,R)−19−ベンジルオキシ−3−(メトキシカルボニル)−2−オキソ−7−ノナデセン酸メチル(22)(0.70g、収率85%)を透明油状物として得た。
【0134】
IR(NaCl):ν3454,3005,2926,2853,1735,1657,1495,1454,1436,1361,1249,1100,815,735,697cm−1
H−NMR(300MHz,CDCl):δ7.29(5H,m,Ar−H),5.37(1H,dt,J=6.1,10.7Hz,H−7orH−8),5.31(1H,dt,J=6.8,10.7Hz,H−8orH−7),4.50(2H,s,−CHPh),4.03(1H,t,J=6.8Hz,H−3),3.88(3H,s,−OCH),3.72(3H,s,−OCH),3.46(2H,t,J=6.5Hz,H−19),1.97(6H,m,−CH−),1.65−1.23(20H,m,−CH−)
13C−NMR(75MHz,CDCl):δ188.5,169.3,160.7,138.6,130.8,130.3,128.2,127.4,127.3,72.7,70.4,53.7,53.1,52.4,29.6,29.5,29.4,29.4,29.3,29.2,29.0,27.1,27.0,26.9,26.7,26.6,26.1
LRMS(EI):m/z 488(M,0),457(0),397(2),347(8),287(30),237(9),91(100)
元素分析(C2944):実測値:C,71.20,H,9.00;計算値:C,71.28,H,9.08
【0135】
実施例15:rac−(Z,R)−19−ベンジルオキシ−3−(メトキシカルボニル)−2−オキソ−7−ノナデセン酸メチル(22)と(ジメトキシホスホリル)酢酸メチルとの反応
【化54】

【0136】
THF(3.2ml)に(ジメトキシホスホリル)酢酸メチル(1.11g、6.12mmol)を添加して調製した溶液を、THF(10.6ml)にNaH(0.147g、6.12mmol)を添加して調製した懸濁液に添加した。得られた混合物を、Hがもはや発生しなくなるまで室温で攪拌した。その後、THF(3.2ml)にrac−(Z,R)−19−ベンジルオキシ−3−(メトキシカルボニル)−2−オキソ−7−ノナデセン酸メチル(22)(1.36g、2.78mmol)を添加して調製した溶液を添加した。得られた混合物を、室温で24時間攪拌した。その後、セライトを添加し、そして溶媒を減圧下で除去した。生成物をクロマトグラフィーカラム(ヘキサン/AcOEt、10:1)により精製して、(3Z,8Z)−20−ベンジルオキシ−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−3,8−エイコサジエノン酸メチル(23−Z)(0.754g、収率50%)と(3E,8Z)−20−ベンジルオキシ−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−3,8−エイコサジエノン酸メチル(23−E)(0.261g、収率18%)とを両方とも透明油状物として得た。
【0137】
(3Z,8Z)−20−ベンジルオキシ−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−3,8−エイコサジエノン酸メチル(23−Z)
【化55】

【0138】
IR(NaCl):ν3448,3003,2926,2853,1735,1645,1495,1454,1435,1314,1268,1198,1169,1099,1027,797,736,698cm−1
H−NMR(300MHz,CDCl).δ7.29(5H,m,Ar−H),5.39(1H,dt,J=6.6,10.5Hz,H−8orH−9),5.35(1H,dt,J=6.8,10.5Hz,H−9orH−8),4.50(2H,s,−OCHPh),3.79(3H,s,−OCH),3.73(3H,s,−OCH),3.69(3H,s,−OCH),3.46(2H,t,J=6.5Hz,H−20),3.40(2H,s,H−2),2.34(2H,m,−CH−),2.02(4H,m,−CH−),1.65−1.23(20H,m,−CH−)
13C−NMR(75MHz,CDCl).δ169.7,169.3,166.2,145.6,138.4,130.9,128.5,127.9,127.9,127.2,125.4,72.5,70.1,52.0,51.8,51.8,33.4,30.5,29.5,29.4,29.3,29.2,29.2,29.0,27.2,27.0,26.4,25.9
LRMS(EI):m/z 544(M,0),512(2),485(2),453(2),389(23),329(8),198(45),166(50),91(100)
元素分析(C3248):実測値:C,70.45,H,9.00;計算値:C,70.56,H,8.88
【0139】
(3E,8Z)−20−ベンジルオキシ−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−3,8−エイコサジエノン酸メチル(23−E)
【化56】

【0140】
IR(NaCl):ν3436,3000,2926,2853,1741,1435,1251,1201,1169,1101,1014,735,697cm−1
H−NMR(300MHz,CDCl).δ7.31(5H,m,Ar−H),5.37(1H,dt,J=7.0,10.9Hz,H−8orH−9),5.33(1H,dt,J=8.3,10.9Hz,H−9orH−8),4.50(2H,s,−OCHPh),3.78(6H,s,−OCH),3.68(3H,s,−OCH),3.51(2H,s,H−2),3.46(2H,t,J=6.5Hz,H−20),2.58(2H,m,−CH−),2.07(4H,m,−CH−),1.65−1.23(20H,m,−CH−)
13C−NMR(75MHz,CDCl).δ170.4,168.6,167.4,146.5,143.7,138.6,131.0,130.6,128.7,128.5,128.1,127.4,127.2,72.7,70.3,51.9,51.8,51.6,36.4,29.6,29.5,29.4,29.4,29.3,29.2,29.0,28.5,27.1,26.8,26.0
LRMS(EI):m/z 544(M,0),512(1),453(3),421(8),389(26),357(13),198(21),91(100)
元素分析(C3248):実測値:C,70.50,H,9.05;計算値:C,70.56,H,8.88
【0141】
実施例16:(Z)−20−ヒドロキシ−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−3−エイコサジエノン酸メチル(33−Z)の調製
【化57】

【0142】
Pd/C(0.042g、5重量%、0.02mmol)を、1,4−ジオキサン(4.33ml)に(3Z,8Z)−20−ベンジルオキシ−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−3,8−エイコサジエノン酸メチル(23−Z)(0.217g、0.398mmol)を添加して調製した溶液に添加した。得られた混合物を、アルゴン雰囲気下において、室温で1時間攪拌した。その後、混合物を、AcOEtを用いてセライト濾過し、溶媒を減圧下で除去した。生成物をクロマトグラフィーカラム(ヘキサン/AcOEt、3:1)により精製して、(Z)−20−ヒドロキシ−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−3−エイコセン酸メチル(33−Z)(0.149g、収率82%)を白色固体として得た。
【0143】
実施例17:(Z)−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−20−スルホオキシ−3−エイコセン酸メチル(37−Z)の調製
【化58】

【0144】
SO・pyr(0.181g、1.11mmol)の少量を、ピリジン(4.2ml)に(Z)−20−ヒドロキシ−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−3−エイコセン酸メチル(33−Z)(0.102g、0.22mmol)を添加して調製した溶液に添加した。得られた混合物を、室温で2時間攪拌した。その後、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、HO/MeOH1:1混合物(2ml)に懸濁し、0.5M KOH水溶液で中和し、そして溶媒を減圧下で除去した。生成物をMeOHで粉砕することにより精製して、(Z)−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−20−スルホオキシ−3−エイコセン酸メチル(37−Z)(0.119g、定量収率)を白色固体として得た。
【0145】
融点:129−130℃
IR(BrK):ν3452,2923,2852,1733,1643,1436,1255,1217,1065,1008,773,619,577cm−1
H−NMR(300MHz,CDCl).δ4.10(2H,m,H−20),3.79(3H,s,−OCH),3.73(3H,s,−OCH),3.69(3H,s,−OCH),3.41(2H,s,H−2),2.33(4H,m,−CH−),1.60−1.24(26H,m,−CH−)
13C−NMR(75MHz,CDCl).δ170.2,169.7,166.7,146.1,125.4,69.8,52.3,52.1,33.7,31.3,29.9,29.5,29.3,27.5,25.8
LRMS(EI):m/z 536(M,0),518(13),486(6),458(10),426(5),346(7),287(6),198(44),166(88),55(100)
元素分析(C254410S):実測値:C,56.00,H,8.30;計算値:C,55.95,H,8.26
【0146】
実施例18:(E)−20−ヒドロキシ−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−3−エイコセン酸メチル(33−E)とSO・pyrとの反応
【化59】

【0147】
SO・pyr(0.181g、1.11mmol)の少量を、ピリジン(4.2ml)に(E)−20−ヒドロキシ−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−3−エイコセン酸メチル(33−E)(0.102g、0.22mmol)を添加して調製した溶液に添加した。得られた混合物を、室温で2時間攪拌した。その後、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、HO/MeOH1:1混合物(2ml)に懸濁し、0.5M KOH水溶液で中和し、溶媒を減圧下で除去した。生成物を、MeOHで粉砕することにより精製して、(E)−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−20−スルホオキシ−3−エイコセン酸メチル(37−E)と(Z)−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−20−スルホオキシ−3−エイコセン酸メチル(37−Z)との2:3の比の混合物(0.119g、定量収率)を白色固体として得た。
【0148】
H−NMR(300MHz,CDCl):δ4.10(2H,m,H−20 37−Z),3.97(2H,m,H−20 37−E),3.79(3H,s,−OCH37−Z),3.78(6H,s,−OCH37−E),3.73(3H,s,−OCH37−Z),3.69(3H,s,−OCH37−Z),3.68(3H,s,−OCH37−E),3.50(2H,s,H−2 37−E),3.41(2H,s,H−2 37−Z),2.60(4H,m,−CH−37−E),2.33(4H,m,−CH−37−Z),1.60−1.24(26H,m,−CH−37−Z,37−E)
LRMS(EI):m/z 536(M,0),518(13),486(6),458(10),426(5),346(7),287(6),198(44),166(88),55(100)
【0149】
実施例19:(Z)−3,4−ジカルボキシ−20−スルホオキシ−3−エイコセン酸(1−Z)の調製
【化60】

【0150】
1MLiOH(3.3ml)水溶液を、THF(4.7ml)に(Z)−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−20−スルホオキシ−3−エイコセン酸メチル(37−Z)(0.059g、0.11mmol)を添加して調製した溶液に添加した。得られた混合物を、室温で1時間攪拌した。その後、HO(5ml)を添加した。相分離し、そして水相を、10%HCl水溶液で酸性としたAcOEt(2×5ml)で洗浄し、AcOEt(3×5ml)で抽出した。抽出有機相を無水NaSOで乾燥し、濾過し、そして溶媒を減圧下で除去して、(Z)−3,4−ジカルボキシ−20−スルホオキシ−3−エイコセン酸(1−Z)(0.048g、収率88%)を白色固体として得た。
【0151】
融点:63−65℃
IR(NaCl):ν3436,2919,2849,1771,1732,1644,1464,1190,1052cm−1
H−NMR(300MHz,CDOD).δ3.88(2H,t,J=6.5Hz,H−20),3.61(2H,s,H−2),2.23(2H,m,−CH−),1.55−1.18(28H,m,−CH−)
【0152】
実施例20:(Z)−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−トリデセン酸メチル(84)の調製
【化61】

【0153】
MeOH(0.5ml)を、THF(5ml)にNaH(0.253g、10.57mmol)を添加して調製した懸濁液に0℃で添加した。得られた混合物を、室温になるまで攪拌した。その後、シュウ酸ジメチル(1.14g、9.69mmol)およびTHF(3ml)に2−ウンデカノン(1.5g、8.8mmol)を添加して調製した溶液を添加した。32得られた混合物を60℃で5時間加熱した。その後、AcOEt(10ml)および10%HCl(10ml)水溶液を添加した。相分離し、そして水相をAcOEt(3×10ml)で抽出した。有機相を無水NaSOで乾燥し、濾過し、そして溶媒を減圧下で除去した。生成物を、クロマトグラフィーカラム(ヘキサン/AcOEt、100:1)により精製して、(Z)−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−トリデセン酸メチル(84)(1.18g、収率52%)を無色油状物として得た。
【0154】
IR(NaCl):ν2922,2853,1739,1720,1648,1543,1437,1018cm−1
H−NMR(300MHz,CDCl).δ6.35(1H,s,H−3),3.88(3H,s,−OCH),2.46(2H,t,J=7.1Hz,H−5),1.63(2H,m,H−6),1.25(12H,broads,−CH−),0.86(3H,m,−CH
13C−NMR(75MHz,CDCl).δ203.3,166.3,162.6,101.6,53.0,48.8,31.7,29.3,29.1,29.0,24.8,23.3,20.9,14.0
LRMS(EI):m/z 256(M,0),197(100),168(1),155(12),144(12)
元素分析(Cl24):実測値:C,65.50,H,9.50;計算値:C,65.60,H,9.44
【0155】
実施例21:(2Z,4Z)−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−6−オキソ−2,4−ペンタデカジエン酸メチル(86)の調製
【化62】

【0156】
CHCl(4ml)にDMAD(0.138g、0.97mmol)を添加して調製した溶液を、CHCl(8ml)に(Z)−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−トリデセン酸メチル(84)(0.250g、0.97mmol)およびPPh(0.255g、0.97mmol)を添加して調製した溶液に0℃で添加した。得られた混合物を、室温で24時間攪拌した。その後、溶媒を減圧下で除去した。粗反応生成物をトルエン(10ml)に溶解し、得られた混合物を6時間加熱還流した。その後、溶媒を減圧下で除去した。生成物クロマトグラフィーカラム(ヘキサン/AcOEt、6:1)により精製して、(2Z,4Z)−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−6−オキソ−2,4−ペンタデカジエン酸メチル(86)(0.240g、収率64%)を無色油状物として得た。
【0157】
IR(NaCl):ν3428,2952,2928,2851,1727,1695,1436,1254,1029cm−1
H−NMR(300MHz,CDCl).δ6.32(1H,s,H−5),6.11(1H,s,H−2),3.91(3H,s,−OCH),3.88(3H,s,−OCH),3.75(3H,s,−OCH),2.54(2H,t,J=7.3Hz,H−7),1.62(2H,m,H−8),1.24(12H,broads,−CH−),0.86(3H,t,J=6.1Hz,−CH
13C−NMR(75MHz,CDCl).δ198.3,166.2,165.9,164.4,142.8,138.9,129.9,124.5,53.1,53.0,52.4,38.6,31.8,29.3,29.2,29.0,28.8,23.5,22.6,14.0
LRMS(EI):m/z 382(M,1),351(4),323(90),291(11),265(3),255(10),227(32),196(100)
元素分析(C2030):実測値:C,62.90,H,8.00;計算値:C,62.81,H,7.91
【0158】
実施例22:(2Z,4Z)−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−6−オキソ−2,4−ペンタデカジエン酸メチル(86)とNaBHとの反応
【化63】

【0159】
NaBH(0.009g、0.244mmol)を、CHCl/MeOH5:2混合物(21ml)に(2Z,4Z)−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−6−オキソ−2,4−ペンタデカジエン酸メチル(86)(0.360g、0.941mmol)を添加して調製した溶液に0℃で添加した。得られた混合物を、0℃で1時間攪拌した。その後、飽和NHCl(10ml)を添加した。相分離し、そして水相をCHCl(2×10ml)で抽出した。有機相を、無水NaSOで乾燥し、濾過し、そして溶媒を減圧下で除去した。生成物をクロマトグラフィーカラム(ヘキサン/AcOEt、4:1)により精製して、rac−(Z,R)−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−6−ヒドロキシ−3−ペンタデセン酸メチル(93)(0.020g、収率6%)を無色油状物として得た。
【0160】
H−NMR(300MHz,CDCl).δ3.80(3H,s,−OCH),3.74(3H,s,−OCH),3.70(3H,s,−OCH),3.66(1H,m,H−6),3.46(2H,s,H−2),2.48(2H,d,J=6.0Hz,H−5),1.64−1.43(4H,m,−CH−),1.25(16H,broads,−CH−),0.86(3H,m,−CH
LRMS(EI):m/z 386(M+,0),353(0),320(2),295(1),265(0),235(1),198(91),166(100),139(28),111(10)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(VIII)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物を得る方法であって:
【化1】

[式中、
、RおよびRは、独立して、置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものであり;そして
nは2〜20の整数である]
以下の工程(a)、(b)または(c)の少なくとも1つを含んでなることを特徴とする、方法:
(a) 式(VI)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物を、水素化反応に附する工程;
【化2】

[式中、R、RおよびRは前記定義の通りであり;
m1は1、2、3、4および5から選択される整数であり;そして
m2は0〜13の整数である]、
(b) 式(VII)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物を、水素化反応に附する工程;
【化3】

[式中、
n、R、RおよびRは前記定義の通りである]または
(c) 式(XVI)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物のトリアルキルシリル基を除去する工程;
【化4】

[式中、
n、R、RおよびRは前記定義の通りであり;
はトリアルキルシリル基である]。
【請求項2】
前記水素化において、Pd/Cを触媒として使用し、1,4−ジオキサンを溶媒として使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(VIII)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物が、式(VIIIa)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物
【化5】

[式中、
、RおよびRは、独立して、置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものであり;そして
m3は2〜18の整数である]
であり、以下の工程をさらに含んでなる、請求項1または2のいずれかに記載の方法:
(i) 式(VIIIa)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物のヒドロキシル基を脱離基として活性化して、式(XVIII)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物を形成する工程;
【化6】

[式中、
m3、R、RおよびRは前記定義の通りであり;そして
Yは−OSOH、−OMs、−OTs、IおよびBrから選択されるものである]
(ii)前記式(XVIII)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物と、式(X)の化合物
【化7】

[式中、
Mは金属、好ましくはZn、AlまたはCuで金属交換されているか、されていないグリニヤール試薬から選択されるものであり;
m4は0〜18の整数であり;そして
m3+m4+2=nを満たす]
とを反応させて、式(VII)の化合物、その立体異性体またはそれらの化合物
【化8】

[式中、
n、R、RおよびRは前記定義の通りである]
を得る工程;そして
(iii)前記式(VII)の化合物、その立体異性体またはそれらの化合物を水素化反応に附する工程。
【請求項4】
式(VII)の化合物
【化9】

[式中
n、R、RおよびRは請求項1で定義されている通りである]、
その立体異性体またはそれらの混合物。
【請求項5】
請求項4で定義されている式(VII)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物の合成方法であって、請求項1で定義されている式(VI)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物の二重結合を選択的に水素化することを含んでなることを特徴とする、方法。
【請求項6】
式(VI)の化合物
【化10】

[式中、
m1、m2、R、RおよびRは請求項1で定義されている通りである]、
その立体異性体またはそれらの混合物。
【請求項7】
請求項6で定義されている式(VI)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物を得る方法であって、
以下の工程を含んでなることを特徴とする、方法:
(i) 式(III)の化合物を式(XI)の化合物と反応させて、式(IV)の化合物を生成する工程;
【化11】

[式中、
は置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものであり;
m1は1、2、3、4および5の整数から選択されるものであり;
m2は0〜13の整数であり;
Xはハロゲンであり;そして
Ar基の各々は、独立して、C〜C10アリール基から選択されるものである]、
(ii) 前記式(IV)の化合物を式(XII)のシュウ酸エステルと塩基の存在下で反応させて、式(V)の化合物を生成する工程;
【化12】

[式中、
m1、m2、RおよびRは前記定義の通りである]、
そして
(iii) 前記式(V)の化合物を式(XIII)のホスホン酸エステルと反応させる工程;
【化13】

[式中、
は置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものであり;そして
Rは、一つ以上のハロゲン原子、ベンジル、フェニルおよびトリルで置換されているかされていないC〜Cアルキルから選択されるものである]。
【請求項8】
前記式(III)の化合物の調製が、
(i) 式(XXIVa)の化合物を式ROHのアルコールの存在下で反応させて式(IIa)の化合物
【化14】

[式中、
は置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものであり;そして
m1は0、1、2、3、4および5から選択される整数である]
を生成する工程と;
(ii) 式(IIa)の化合物の1級水酸基を酸化してアルデヒドとする工程と
を含んでなる方法により行われることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
式(XVI)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物;
【化15】

[式中、
nは2〜20の整数であり;
、RおよびRは、独立して、置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものであり;そして
はトリアルキルシリル基である]。
【請求項10】
請求項9で定義されている式(XVI)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物の合成方法であって、
(i) 式(XXIV)の化合物を式ROHのアルコールの存在下で反応させて、式(II)の化合物
【化16】

[式中、
は置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものであり;
nは2〜20の整数である]
を生成する工程と;
(ii) 前記式(II)の化合物の遊離ヒドロキシル基をトリアルキルシリルで保護して、式(XIV)の化合物
【化17】

[式中、
およびnは前記定義の通りであり;そして
はトリアルキルシリル基である]
を得る工程と;
(iii) 前記式(XIV)の化合物と式(XII)のシュウ酸エステルとを塩基の存在下で反応させて、式(XV)の化合物
【化18】

[式中、
は置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものであり;そして
n、RおよびRは前記定義の通りである]
を得る工程と;
(iv) 前記式(XV)の化合物と式(XIII)のホスホン酸エステル
【化19】

[式中、
Rは、一つ以上のハロゲン原子、ベンジル、フェニルおよびトリルで置換されているかされていないC〜Cアルキルから選択されるものであり;そして
は置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものである]
とを塩基の存在下で反応させる工程と
を含んでなることを特徴とする、方法。
【請求項11】
式(I)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物の合成方法であって;
【化20】

[式中、
nは2〜20の整数である]、
以下の工程(ai)、(aii)または(aiii):
(ai) 式(VI)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物
【化21】

を水素化に附する工程;または
(aii) 式(VII)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物
【化22】

を水素化に附する工程;または
(aiii) 式(XVI)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物
【化23】

[式中、
nは2〜20の整数であり;
、RおよびRは、独立して、置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものであり;
m1は0、1、2、3、4および5から選択される整数であり;
m2は0〜13の整数であり;そして
R4はトリアルキルシリル基である]
のトリアルキルシリル基を除去して、式(VIII)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物
【化24】

[式中、
n、R、RおよびRは前記定義の通りである]
を得る工程、
の少なくとも1つを含んでなり、
そしてさらに
(b) 前記式(VIII)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物と硫化剤とを反応させて、式(IX)、その立体異性体またはそれらの混合物
【化25】

[式中、
n、R、RおよびRが前記定義の通りである]
を生成すること;そして
(c) 前記式(IX)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物のエステル基を加水分解して、対応する酸基を得ること、
を含んでなることを特徴とする、方法。
【請求項12】
塩基性媒体に、式トランス−(I)、式トランス−(VI)、式トランス−(VII)、式トランス−(VIII)、式トランス−(VIIIa)、式トランス−(IX)、式トランス−(XVI)、式トランス−(XVIa)もしくは式トランス−(XVIII)の化合物、または式(I)、式(VI)、式(VII)、式(VIII)、式(VIIIa)、式(IX)、式(XVI)、式(XVIa)もしくは式(XVIII)の化合物のシス異性体とトランス異性体との混合物を暴露させることにより、式シス−(I)、式シス−(VI)、式シス−(VII)、式シス−(VIII)、式シス−(VIIIa)、式シス−(IX)、式シス−(XVI)、式シス−(XVIa)または式シス−(XVIII)の化合物または式(I)、式(VI)、式(VII)、式(VIII)、式(VIIIa)、式(IX)、式(XVI)、式(XVIa)または式(XVIII)の化合物のシス異性体とトランス異性体との混合物のシス異性体濃縮物を得ることを含んでなる、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
式(VIII)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物;
【化26】

[式中、
、RおよびRは、独立して、置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものであり;そして
nは0〜20の整数である]、但し、下記式の化合物を除く。
【化27】

【請求項14】
式(I)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物;
【化28】

[式中、nは2〜20の整数である]、但し、下記式の化合物を除く。
【化29】

【請求項15】
式(IX)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物;
【化30】

[式中、
nは2〜20の整数であり;そして
、RおよびRは、独立して、置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものである]、但し、下記式の化合物を除く。
【化31】

【請求項16】
式(IV)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物;
【化32】

[式中、
は置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものであり;
m1は0、1、2、3、4および5から選択される整数であり;そして
m2は0〜13の整数である]。
【請求項17】
式(V)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物;
【化33】

[式中、
およびRは置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものであり;
m1は0、1、2、3、4および5から選択される整数であり;そして
m2は0〜13の整数である]。
【請求項18】
式(XV)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物;
【化34】

[式中、
nは2〜20の整数であり;
およびRは、独立して、置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものであり;そして
はトリアルキルシリル基である]。
【請求項19】
式(XVIII)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物
【化35】

[式中、
、RおよびRは、独立して、置換または未置換C〜C20アルキルから選択されるものであり;
m3は2〜18の整数であり;そして
Yは−OSOH、OTsおよびBrから選択されるものである]。
【請求項20】
前記請求項で定義されている式(II)、式(III)、式(IV)、式(V)、式(VI)、式(VII)、式(VIII)、式(X)、式(XI)、式(XII)、式(XIII)、式(XIV)、式(XV)、式(XVI)、式(XVIII)および式(XXIV)の化合物から選択される少なくとも1種の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物の、式(I)の化合物、その立体異性体またはそれらの混合物を合成するための使用。

【公表番号】特表2011−519903(P2011−519903A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507949(P2011−507949)
【出願日】平成21年5月5日(2009.5.5)
【国際出願番号】PCT/ES2009/070138
【国際公開番号】WO2009/135977
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(508157886)コンセジョ スペリオール デ インベスティガショネス シエンティフィカス (21)
【Fターム(参考)】