説明

オレフィン重合用の新しい触媒構造

架橋が2個のシクロペンタジエニルあるいは芳香族基に懸けられた架橋触媒成分。このCpあるいは芳香族基はこの架橋の同一あるいは、異なるヘテロ原子に結合し、このヘテロ原子は金属にも結合する。この架橋された成分を共触媒と接触させることにより、触媒系を製造することができる。この系によりオレフィンの重合に触媒作用を及ぼすことができる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は2002年11月21日出願の米国特許出願番号10/301,884および2003年10月23日出願の特許出願番号10/692,068からの優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は触媒成分、触媒系、オレフィン重合、ポリマー組成物と、そしてこのようなポリマー組成物から製造される物品とに関する。特に本発明はC、CあるいはC対称性を有する触媒に関する。
【背景技術】
【0003】
よく知られているように、ポリオレフィンを製造するのに種々の方法および触媒が存在する。伝統的なチーグラー・ナッタ触媒系はアルミニウムアルキルを共触媒とする遷移金属化合物を使用する。
【0004】
1980年代には、メタロセンおよびアルミニウムアルキル成分を含み、遷移金属化合物が2個以上のシクロペンタジエニル(Cp)環の配位子を有するオレフィン重合用のメタロセン触媒が商業化された。従って、チタノセン、ジルコノセンおよびハフノセンはすべてポリオレフィンの製造用にメタロセン含有触媒系において遷移金属成分として使用されてきた。メタロセン触媒はアルミニウムアルキルよりもむしろアルモキサンを共触媒として、ポリオレフィンの製造用の高活性のメタロセン触媒系を提供することができる。
【0005】
チーグラー・ナッタ触媒およびメタロセン触媒に加えて、多数の「非メタロセン」型の触媒がオレフィンの重合に示唆された。具体的には、例えば(非特許文献1)において、Britovsekらは、3族金属触媒、例えばスカンジウムおよびイットリウム錯体;希土類金属触媒、例えば置換シクロペンタジエニル配位子により安定化されたランタニドおよびアクチニドベースの触媒;炭素ベースの配位子(アルキル配位子、アリル配位子、Cp類似体などの)を含むカチオン性4族金属錯体、窒素ベースの配位子(単独の、あるいは他の配位子と組み合わせたアミド配位子、単独の、あるいは他の配位子と組み合わせたアミジネート配位子、およびβ−ジケチメート配位子などの)を含むもの、および酸素ベースの配位子(単独の、あるいは他の配位子と組み合わせたアルコキシド配位子、更なる供与体と共のビス−アルコキシドなどの)を含むもの;中性の4族金属錯体;5族金属触媒;6族金属触媒;8族金属触媒;9族金属触媒;10族金属触媒;13族金属触媒を含む多数のオレフィン触媒系を概観している。
【0006】
加えて、(非特許文献2)において、Britovsekらはエチレンの重合用の特定の鉄およびコバルト触媒を開示している。
【0007】
(特許文献1)は、2,6−ピリジンカルボキサアルデヒドビス(イミン)および2,6−ジアシルピリジンビス(イミン)の選択された鉄錯体をプロピレン重合用の触媒として開示している。(特許文献2)はヘテロ原子の架橋性R基RおよびRを含んでなる架橋を有する触媒錯体を開示し、これらの錯体が「特にエチレン単独の重合に、あるいはエチレンと高級1−オレフィンとの共重合に」有用であると教示している(2頁、28−29行)。この架橋されたR基RおよびRは水素、ハロゲン、およびヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビルまたは置換ヘテロヒドロカルビルから独立に選択される。キラル錯体を高タクティシティ、結晶性ポリプロピレンの製造に好適なものとするための教示または示唆はない。
【0008】
次の特許は架橋メタロセン触媒系を開示する:(特許文献3);(特許文献4);(特許文献5);(特許文献6);(特許文献7);(特許文献8);(特許文献9);(特許文献10);および、(特許文献11)。
【特許文献1】WO98/30612(1998年7月16日公開)
【特許文献2】WO99/12981(1999年3月18日公開)
【特許文献3】米国特許第5,145,819号明細書(1992年9月8日Winterらに発行)
【特許文献4】米国特許第5,158,920号明細書(1992年10月27日Razaviらに発行)
【特許文献5】米国特許第5,243,001号明細書(1993年9月7日Winterらに発行)
【特許文献6】米国特許第6,002,033号明細書(1999年12月14日Razaviらに発行)
【特許文献7】米国特許第6,066,588号明細書(2000年5月23日Razaviらに発行)
【特許文献8】米国特許第6,177,529B1号明細書(2001年1月23日Razaviらに発行)
【特許文献9】米国特許第6,194,343B1号明細書(2001年2月27日Collinsらに発行)
【特許文献10】米国特許第6,211,110B1号明細書(2001年4月3日Santiらに発行)
【特許文献11】米国特許第6,268,518B1号明細書(2001年7月31日Resconiらに発行)
【非特許文献1】The Search for New−Generation Olefin Polymerization Catalysts:Life Beyond Metallocenes,Angew.Chem.Int.Ed.1999,38,428−447
【非特許文献2】Iron and Cobalt Ethylene Polymerization Catalysts Bearing 2,6−Bis(Imino)Pyridyl Ligands;Synthesis,Structures,and Polymerization Studies,J.Am.Chem.Soc.1999,121,8728−8740
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の進歩にも拘わらず、触媒組成物、このような組成物の製造方法、このような組成物を用いる重合方法、ポリマー組成物、およびこのようなポリマー組成物から製造される物品に対する必要性が当業界には存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一つの態様によれば、式
【0011】
【化1】

【0012】
(ここで、Mは金属であり;各XはMに共有結合またはイオン結合により結合した原子または基であり、そして同一であるかあるいは異なってもよく;RおよびRは同一であってもよく、あるいは各々は異なってもよく、そして置換あるいは非置換のシクロペンタジエニルあるいは芳香族環であり;Rはシクロペンタジエニルあるいは芳香族環RおよびRの間の構造的架橋であり、そして前記環に立体的剛性を付与し、そしてMに結合する少なくとも1つのヘテロ原子を含んでなり、RおよびRの各々はRの同一の、あるいは異なるヘテロ原子に結合し、このヘテロ原子はMにも結合し;ZはMの配位数であり、そして4よりも大きいか、あるいは4に等しく;mはMとRのヘテロ原子の間の結合数であり、そして立体的剛性を付与するには2に等しいか2より大きく;そしてR、RおよびRは触媒成分にC、CあるいはC対称性を付与するように選択される)
を有する架橋化合物が提供される。この触媒成分はキラルあるいは非キラルであることができる。ある態様においては、キラルである触媒成分を有することが望ましい可能性がある。
【0013】
本発明のもう一つの態様によれば、式M(X)の金属化合物を式
【0014】
【化2】

【0015】
(ここで、R、RおよびRは上記で定義した通りである)
の架橋化合物と接触させることを含んでなる架橋メタロセン化合物を製造する方法が提供される。
【0016】
本発明のもう一つの態様によれば、式
【0017】
【化3】

【0018】
(ここで、M、X、R、R、mおよびZは上記で定義した通りである)
を有する活性化された架橋メタロセン化合物を含んでなる触媒系が提供される。
【0019】
本発明の更なるもう一つの態様によれば、賦活剤を式
【0020】
【化4】

【0021】
(ここで、M、X、R、R、mおよびZは上記で定義した通りである)
を有する架橋メタロセン化合物と接触することを含んでなる触媒系を製造する方法が提供される。
【0022】
本発明の更なるもう一つの態様によれば、オレフィンモノマーまたはモノマーの混合物を式
【0023】
【化5】

【0024】
(ここで、M、X、R、R、mおよびZは上記で定義した通りである)
を有する活性化された架橋メタロセン化合物の存在下で接触させることを含んでなるポリオレフィンを形成する方法が提供される。
【0025】
上記の態様のすべてに対して、詳細な説明で述べるようにM、X、R、R、mおよびZを変えることにより、種々の更なる態様が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の一つの態様においては、本発明の架橋メタロセン触媒成分は式
【0027】
【化6】

【0028】
(ここで、Mは金属であり;各XはMに共有結合またはイオン結合により結合した原子または基であり、そして同一であるかあるいは異なってもよく;RおよびRは同一であってもよく、あるいは各々は異なってもよく、そして置換あるいは非置換のシクロペンタジエニルあるいは芳香族環であり;Rはシクロペンタジエニルあるいは芳香族環RおよびRの間の構造的架橋であり、そして前記環に立体的剛性を付与し、そしてMに結合する少なくとも1つのヘテロ原子を含んでなり、RおよびRの各々はRの同一の、あるいは異なるヘテロ原子に結合し、このヘテロ原子はMにも結合し;ZはMの配位数であり、そして4よりも大きいか、あるいは4に等しく;mはMとRのヘテロ原子の間の結合数であり、そしてMの周りの結合数はその配位数Zを超えることができないためにm立体的剛性を付与するには≧2であり;R、RおよびRは触媒成分にC、CあるいはC対称性を付与するように選択される)
により表され得る。この触媒成分はキラルあるいは非キラルであることができる。ある態様においては、キラルである触媒成分を有することが望ましい可能性がある。
【0029】
本発明の金属Mはメタロセン触媒中で金属成分として有用ないかなる好適な金属であることもできる。非限定的な例として、Mはメタロセン触媒中で金属成分として有用であると先行技術で既知であるいかなる金属からも選択され得る。MはMに結合する置換基の数に少なくとも等しい配位数Z、すなわちRヘテロ原子−金属結合のm数プラス2(両方のXに対して)を有するように選択される。Mは遷移金属、ランタニドおよびアクチニドの中から選択され得る。Mは3d、4dあるいは5d族の遷移金属、例えばFe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、IrおよびPtの中から選択され得る。ある態様においては、MはFe、CoおよびNiの中から望ましくは選択され得る。RおよびRは同一であってもよく、あるいは異なってもよく、そして置換あるいは非置換のシクロペンタジエニルあるいは芳香族環であると一般に記述され得る。
【0030】
非限定的な例として、RおよびRはメタロセン触媒中で有用であると当業界で既知であるいかなる置換あるいは非置換のシクロペンタジエニルまたは芳香族環の中から選択され得る。RおよびRとしての使用に好適な炭化水素基の非限定的な例を下記の例に示す。非限定的な例として、RおよびRは(C(R’))(ここで、各R’は同一であってもよく、あるいは各々は異なってもよく、そしてR’は水素または1−20個の炭素原子を有する置換あるいは非置換のヒドロカルビル基である)の形のシクロペンタジエニルあるいは芳香族環として記述され得る。
【0031】
R’としての使用に好適なヒドロカルビル基の非限定的な例は、非置換および置換のアルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリールあるいはアリールアルキル基を含む。好適なヒドロカルビル基の更に特定の非限定的な例は、非置換および置換のメチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、イソアミル、ヘキシル、イソブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、セチル、フェニル、メチレン、エチレン、プロピレン、および他の類似の基を含む。
【0032】
はシクロペンタジエニルあるいは芳香族環RとRの間の構造的架橋として作用し、そしてこの環に立体的剛性を付与し、Mに結合するn個のヘテロ原子(「HA」)を含んでなる。Mに結合するヘテロ原子の数はn≧1、n≧2であることができ、そしてある態様においてはn≧3を有することが望ましい可能性がある。好適な構造的架橋Rの例は実施例に示される。
【0033】
構造的架橋R中で有用なヘテロ原子は、「配位」結合、すなわち、このヘテロ原子から孤立電子対の供与により形成される結合により金属Mに配位可能であるいかなるものも含む。RがMに結合する1個以上のヘテロ原子を含んでなる場合には、これらは同一のヘテロ原子または異なるヘテロ原子であることができる。好適なヘテロ原子の非限定的な例はO、N、S、およびPを含む。ある態様においてはこのヘテロ原子は望ましくはNである。
【0034】
はRのヘテロ原子に結合し、このヘテロ原子は直接にあるいは異なるヘテロ原子を通し間接的にMにも結合する。同様に、RはRのヘテロ原子にも結合し、このヘテロ原子は直接にあるいは異なるヘテロ原子を通し間接的にMにも結合する。RおよびRは同一のヘテロ原子に結合し、これはMにも結合してもよく、あるいは異なるヘテロ原子に結合し、この異なるヘテロ原子はMにも結合してもよい。このR−R−R部分の構造はこの触媒の対称性を妨害しないいかなるものであることができる。例えば、このR−R−R部分は次の立体配置を有することができ、そしてなお本発明の請求の範囲内である。
【0035】
【化7】

【0036】
ある態様においては、4個のヘテロ原子を有する架橋基は本発明の範囲内である。本発明の一つの態様によれば、R、RおよびRはC、CあるいはC対称性を有する触媒成分を提供するように選択される。触媒製造業者に有用であることが既知のC、CあるいはC対称性を損なわないR、RおよびRのいかなる立体配置も本発明により使用され得る。この触媒成分はキラルあるいは非キラルであることができる。ある態様においては、キラルである触媒成分を有することが望ましい可能性がある。
【0037】
各Xは触媒での使用が知られている原子または基であってもよく、そして一般にMに共有結合またはイオン結合により結合している。普通各Xは同一であるが、同一であるかあるいは異なってもよい。非限定的な例として、Xはハライド、サルフェート、ナイトレート、チオレート、チオカルボキシレート、BF、PF、ハイドライド、ヒドロカルビルオキシド、カルボキシレート、置換あるいは非置換のヒドロカルビル、およびヘテロヒドロカルビルの中から選択され得る。このような原子または基の非限定的な例は、クロリド、ブロミド、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、デシル、フェニル、ベンジル、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、トキシレート、トリフレート、ホルメート、アセテート、フェノキシドおよびベンゾエートである。XがハライドまたはC〜C20ヒドロカルビルである場合には、これは望ましい可能性がある。ある態様においては、Xはクロリドであることが望ましい。この架橋された触媒成分は架橋中間体をM(X)の形の化合物と接触させることにより一般に製造される。更なる詳細を実施例に示す。
【0038】
本発明は、1つ以上の上述の架橋された触媒成分および1つ以上の賦活剤および/または共触媒(下記に更に詳細に述べるような)または賦活剤および/または共触媒の反応生成物、例えばメチルアルミノキサン(MAO)および場合によってはアルキル化剤/掃去剤、例えばトリアルキルアルミニウム化合物、例えばトリエチルアルミニウム(TEAL)を含んでなる触媒系を更に含む。上述のメタロセン触媒成分はメタロセン技術で既知のように担持されてもよい。典型的な担体は、タルク、無機酸化物、粘土、および粘土鉱物、イオン交換された層状化合物、珪藻土、ケイ酸塩、ゼオライトまたはポリオレフィンなどの樹脂状担体材料などの担体であり得る。特定の無機酸化物は、単独で、あるいは他の無機酸化物、例えばマグネシア、チタニア、ジルコニアなどと組み合わせて使用されるシリカおよびアルミナを含む。四塩化チタンなどの非メタロセン遷移金属化合物は担持された触媒成分にも組み込まれ得る。担体として使用される無機酸化物は、30−600ミクロンの、望ましくは30−100ミクロンの範囲の平均粒子サイズ、グラム当り50−1,000平方メートルの、望ましくはグラム当り100−400平方メートルの表面積、および0.5−3.5cc/gの、望ましくは約0.5−2cc/gの細孔容積を有するものとして特徴づけ得る。
【0039】
本発明の架橋された触媒は活性な触媒系を生み出すために、ある形の賦活剤と組み合わせて使用され得る。用語「賦活剤」は、1つ以上の触媒のオレフィンのポリオレフィンへの重合能を増強する能力のある任意の化合物または成分、または化合物もしくは成分の組み合わせ物であると本明細書では定義される。メチルアルモキサン(MAO)などのアルキルアルモキサンはメタロセン賦活剤として普通使用される。一般に、アルキルアルモキサンは約5〜40個の繰り返し単位を含む。
【0040】
アルモキサン溶液、特にメチルアルモキサン溶液は種々の濃度を有する溶液として商業的供給元から入手可能である。アルモキサンを製造する種々の方法が存在し、その非限定的な例は各々が引用により本明細書に全体で組み込まれている、米国特許第4,665,208号、第4,952,540号、第5,091,352号、第5,206,199号、第5,204,419号、第4,874,734号、第4,924,018号、第4,908,463号、第4,968,827号、第5,308,815号、第5,329,032号、第5,248,801号、第5,235,081号、第5,103,031号およびEP−A−0 561 476、EP0 279 586、EP−A−0 594 218およびWO94/10180に述べられている(本明細書で使用するように、特記しない限り「溶液」はサスペンジョンを含むいかなる混合物も指す)。
【0041】
この架橋された触媒を活性化するためにイオン化賦活剤も使用され得る。これらの賦活剤は中性あるいはイオン性であり、あるいはこの中性触媒化合物をイオン化するトリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどの化合物である。このようなイオン化化合物は活性プロトンを含有するか、あるいはこのイオン化化合物の残りのイオンと会合しているが、非配位の、あるいは単にゆるく配位した一部の他のカチオンを含有し得る。賦活剤の組み合わせ物、例えばアルモキサンおよびイオン化賦活剤の組み合わせも使用し得る。例えばWO94/07928を参照のこと。
【0042】
非配位性アニオンにより活性化されるメタロセンカチオンからなる配位重合用イオン性触媒の記述が初期の研究でEP−A−0 277 003、EP−A−0 277 004および米国特許第5,198,401号およびWO−A−92/00333(引用により本明細書に組み込まれている)に見られる。これらは、アニオン前駆体によりメタロセン(ビスCpおよびモノCp)をプロトン化し、遷移金属からアルキル/ハイドライド基を引き抜き、それによってカチオン性とし、そして非配位性アニオンにより電荷バランスのとれたものにするという望ましい製造方法を教示している。好適なイオン性塩は、限定ではないが、フッ化アリール構成成分、例えばフェニル、ビフェニルおよびナフチルを有するテトラキス置換ボレートまたはアルミニウム塩を含む。
【0043】
用語非配位性アニオン(NCA)は、カチオンに配位しないかあるいはカチオンに弱く配位するのみで、中性ルイス塩基による置換に充分不安定なアニオンを意味する。適合する非配位性アニオンは初期に形成される錯体が分解する場合、分解して中性にならないものである。更には、このアニオンはアニオン性の置換基またはフラグメントをカチオンに移動し、アニオンから中性の四配位メタロセン化合物および中性の副生成物を形成させることはない。
【0044】
活性プロトンを含有しないが、活性メタロセンカチオンおよび非配位性アニオンの両方を生成させる能力のあるイオン化イオン性化合物の使用も既知である。例えばEP−A−0 426 637およびEP−A−0 573 403(引用により本明細書に組み込まれている)を参照のこと。このイオン性触媒を製造する更なる方法は、初期には中性ルイス酸であるが、メタロセン化合物とのイオン化反応時にカチオンおよびアニオンを形成するイオン化アニオン前駆体を使用するものである。例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランの使用であり、EP−A−0520732(引用により本明細書に組み込まれている)を参照のこと。アニオン基と共に金属性酸化性基を含有するアニオン前駆体により遷移金属化合物の金属中心を酸化することにより、付加重合用のイオン性触媒も製造可能である。EP−A−0 495 375(引用により本明細書に組み込まれている)を参照のこと。
【0045】
この金属配位子が標準条件下でイオン化引き抜き能力のないハロゲン部分を含む場合(例えば、ビス−シクロペンタジエニル二塩化ジルコニウム)には、これらを有機金属化合物、例えばリチウムあるいはアルミニウムハイドライドあるいはアルキル、アルキルアルモキサン、グリニャール試薬などによる既知のアルキル化反応によって転化することができる。活性化アニオン性化合物の添加の前または添加と共にアルキルアルミニウム化合物とジハロ置換メタロセン化合物とを反応させることを記述する系内の方法については、EP−A−0 500 944およびEP−A1−0 570 982(引用により本明細書に組み込まれている)を参照のこと。
【0046】
メタロセンカチオンおよびNCAを含んでなるイオン性触媒を担持するための望ましい方法が米国特許第5,643,847号;第6,143,686号;および第6,228,795号(すべて引用により本明細書に全体で組み込まれている)に述べられている。これらのNCA担持方法は、シリカ表面上に存在するヒドロキシル反応性官能基と反応し、このルイス酸が共有結合するようになるような充分に強いルイス酸である中性アニオン前駆体を使用することを一般に含んでなる。
【0047】
加えて、メタロセン担持触媒組成物に対する賦活剤がNCAである場合には、望ましくは最初にNCAを担体組成物に添加し、続いて架橋メタロセン触媒を添加する。賦活剤がMAOである場合には、望ましくはMAOおよび架橋メタロセン触媒を一緒に溶液中に溶解する。次に、この担体をMAO/メタロセン触媒溶液と接触させる。他の方法および添加順序は当業者には明白であろう。
【0048】
本発明の触媒は、少なくとも2個の炭素原子を有するα−オレフィンの重合またはα−オレフィンの混合物の共重合に使用可能である。例えば、本発明の触媒は、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン、4−メチルペンテンおよびこれらの混合物の触媒に有用であることができる。本発明の触媒をプロピレンの重合に使用して、例えば高結晶性ポリプロピレンなどのポリプロピレンを製造することができる。
【0049】
この重合条件および、適用可能である場合には、予備重合の条件は当業界で既知であり、そして本明細書で詳細に述べる必要はない。一般に、α−オレフィンモノマーまたはα−オレフィンの混合物のいずれかを上述の触媒系の存在下重合条件下で一緒に接触させることにより、重合が行われる。本発明の特定の態様として、そしてこれらの実施および利点を実証するために次の実施例を示す。
[実施例]
これらの実施例は本発明のいくつかの態様を単に例示するために提供されるものであり、またこの明細書またはこの特許請求の範囲を制限する意図はなく、制限するものでない。これらの実施例においては、空気/水分敏感性材料のすべての取り扱いを標準のシュレンクライン技術を用いる慣用の真空/不活性雰囲気ラインで行った。
【実施例1】
【0050】
下記に示すような式の配位子中間体Aの合成にはWO99/12981に述べられている手順を使用した。
【0051】
【化8】

【0052】
2,6−ジイソプロピルアニリン(3.46ml、18.4ミリモル)を2,6−ジアセチルピリジン(1.5g、9.2ミリモル)の無水エタノール(25ml)溶液に滴加して加えた。数滴の氷酢酸を添加し、そしてこの溶液を48時間還流した。この溶液を半分の容積に濃縮し、そして78℃まで冷却することによって、中間体Aを淡黄色結晶(80%)として得た。中間体C33H43N3に対する計算値はC82.3%;H8.9%;N8.7%である。生成した中間体の測定された結果はC81.9%;H8.5%;N8.7%であった。高速原子衝撃質量分析(FABMS)の結果はM+(481)である。NMR分析の結果は、HNMR(CDCl):8.6B7.9[m,3H,C5H3N]、7.2B6.9[m,6H,C6(CHMe2)H3]、2.73[sept,4H,CHMe2]、2.26[s,6H,C5H3N(CMeNAr)2]および1.16[m,24H,CHMe2]である。
【実施例2】
【0053】
250mg、1.09等量の中間体A、および95mgのFeCl2・4H2Oを攪拌棒を収めた10mlのシュレンクフラスコの中に秤取した。このフラスコをシュレンクマニホルド上に配置し、アルゴンにより3回置換し、そして攪拌しながら10mlのテトラヒドロフラン(THF)を添加した。2時間後、THFを真空下で除去した。得られた深青色の固体(下記の式)をエーテルにより2回洗浄し、そして真空下で乾燥した。
【0054】
【化9】

【実施例3】
【0055】
この実施例はC/クラスA対称性を有する配位子の創製を示す。2,6−ジイソプロピルアニリンをインデンにより置き換えたことを除き、同一の一般的な合成は実施例1に従う。
【0056】
1−アミノ−インデン(18.4ミリモル)を2,6−ジアセチルピリジン(9.2ミリモル)の無水エタノール(50ml)溶液に添加した。数滴の氷酢酸を添加し、そしてこの溶液を48時間還流した。この溶液を半分の容積に濃縮し、そしてこの溶液を室温まで冷却し、濾過することによって、下記に示す中間体を得た。
【0057】
【化10】

【実施例4】
【0058】
実施例2と同一の一般的な合成を使用することにより、実施例3の配位子からの触媒(対称性C/クラスAを有する中間体)を合成して、下記に示す触媒成分を与える。
【0059】
【化11】

【実施例5】
【0060】
この実施例はC/クラスB対称性を有する配位子の創製を示す。この配位子に対する合成の最初の部分は上記の実施例1のそれと異なる。この合成の最初の部分は、Leuckart−Wallach反応を使用することによりこのジアセチルピリジンをジアミンに還元することから出発する。下記のスキーム1においては、カルボニルのアミンへの還元についての一般的な反応を示す。
【0061】
【化12】

【実施例6】
【0062】
この実施例はカルボニルのアミンへの還元、特に1−フェニルエチルアミンの合成を例示する(定性有機分析を含むVogel’s Practical Organic Chemistry,4th Ed,Furniss,B.S.ら,School of Chemistry Thames Polytechnic Longman Scientific and Technical,1978)。126g(2.0モル)のギ酸アンモニウム、72g(0.6モル)のアセトフェノンおよび数片の多孔質磁器を短い分留カラムを取り付けたクライゼン蒸留器頭部を設けた250mlのフラスコに添加し;このフラスコのほぼ底まで延びた温度計を挿入し、そして側腕に下降蒸留するために短い凝縮器を配置した。このフラスコを加熱した(加熱マントルによるか、あるいは空気バッチ中で);この混合物は最初2層に融解し、そして蒸留が起こった。この混合物は150−155℃で均一になり、そして若干の発泡を伴って反応が起こった。温度が185℃に達するまで加熱を継続した(約2時間);アセトフェノン、水および炭酸アンモニウムが留出する。加熱を185℃で中止し、アセトフェノンの上層を留出物から分離し、そして乾燥せずにフラスコに戻した。この混合物を180−185℃で3時間加熱し、そして冷却した;20ml量のトルエンによる抽出によりアセトフェノンを留出物から回収してもよい。この反応混合物を250mlの分液漏斗に移し、2つの75ml量の水と振って、ホルムアミドとギ酸アンモニウムを除去した。この粗(1−フェニルエチル)ホルムアミドを元の反応フラスコに移し、そしてこの水層を2つの20ml量のトルエンにより抽出した。このトルエン抽出物をこのフラスコに移し、75mlの濃塩酸および数片の多孔質磁器を添加した。約40mlのトルエンを捕集するまでこの混合物を慎重に加熱し、そして更に40分間還流下で穏やかに沸騰させた;未変化のアセトフェノンの僅かな層を除いて、加水分解が1−フェニルエチルアミン塩酸塩に迅速に進行した。この反応混合物を冷却し、そして4回の20ml量のトルエンによる抽出によって、アセトフェノンを除去した。この酸水溶液を水蒸気蒸留の装置を取り付けた500mlの丸底フラスコに移し、62.5gの水酸化ナトリウムの溶液を125mlの水に慎重に添加し、そして水蒸気蒸留した:容積がほぼ一定に留まるようにこの蒸留フラスコを加熱した。このアミンの大部分は最初の500mlの留出物中に含まれた;留出物が僅かに微アルカリ性となったならば、この操作を中止する。この留出物を5つの25ml量のトルエンにより抽出し、この抽出物を水酸化ナトリウムペレットにより乾燥し、分留した。トルエンを111℃で蒸留し、続いてフェニルエチルアミンを蒸留する。後者を沸点180−190℃の留分として捕集した(この生成物の大部分は184−186℃で蒸留した(3));収量は43g(59%)であった。
【実施例7】
【0063】
この実施例は2,6−(1,1’−ジエチルヒドロキシイミノ)−ピリジン(ジオキシム)の合成を例示する(スキーム2)。ヒドロキシルアミン塩酸塩(0.98g;14.1ミリモル)およびピリジン(5mL)をアルゴン下でフラスコ中に入れ、マグネチックスターラーを設けた。2,6−ジアセチルピリジン(1、0g;6.1ミリモル)を添加し、そしてこの混合物を8時間還流し、室温で2日間攪拌した。ピリジンを真空下で除去した。水(20mL)をこの残渣に添加した。この白色固体を少量の水により洗浄した。このジオキシムを真空下で一夜乾燥して、白色粉末(1.08g;5.6ミリモル;92%)を得、これを更に精製せずに使用した。NMR分析の結果は、HNMR(CDCl)、δ:7.81(d,2H,Hmeta,J=7.8Hz)、7.70(t,1H,Hpara,J=7.8Hz)、2.79(s,2H,OH)、2.33(s,6H,Me)である。
【0064】
【化13】

【実施例8】
【0065】
次の合成手順(スキーム3)を使用することにより、実施例7において得られたようなジオキシムのジアミンへの還元を行う。
【0066】
2,6−(1,1’−ジエチルアミノ)−ピリジン(ジアミン)の合成。この2,6−(1,1’−ジエチルヒドロキシイミノ)−ピリジン(500mg;2.6ミリモル)をアルゴン下に設置し、そしてマグネチックスターラーを備えたフラスコに加え、そしてエタノール(10mL)および酢酸(6mL)中に溶解した。亜鉛粉末(6g;94ミリモル)を10分間かけて滴加して加えた。1時間の攪拌後白色沈澱が現れた。この混合物を室温で24時間攪拌した。非溶解の亜鉛を濾過により除去し、そして少量のエタノールにより洗浄した。この濾液を真空下で濃縮した。少量の水を添加し、蒸発し、いかなる残存酢酸も除去した。すべてのZn(OH)が再溶解するまで飽和水酸化カリウム水溶液(ほぼ56mL)を添加することにより、この混合物を強塩基性(pH>12)とした。この水層を分液漏斗に移し、そして4回の20mL量のジエチルエーテルにより抽出した。この合体した有機留分をMgSO上で乾燥し、そしてこの溶媒を真空下で除去して、無色のオイル(310mg;1.87ミリモル;72%)を得た。NMR分析の結果は、HNMR(CDCl)、δ:7.59(t,1H,Hpara,J=7.8Hz)、7.14(d,2H,Hmeta,J=7.8Hz)、4.07(q,2H,CH,J=6.6Hz)、1.79(s,4H,NH)、1.38(d,6H,Me,J=6.6Hz)である。
【0067】
【化14】

【実施例9】
【0068】
この実施例は実施例7で得られたジアミンとケトンとを反応(スキーム4)させることにより、対称性C/クラスBを有する触媒用の配位子を与える。
【0069】
【化15】

【実施例10】
【0070】
この実施例はジアミンとβ−テトラロンとの反応に基づくC/クラスB対称性の触媒用のビス−イミンの合成(スキーム5)を例示する。
【0071】
攪拌棒を備えた100mLの丸底フラスコ中で、このジアミン(0.50g、3.03ミリモル)およびこのβ−テトラロン(0.85mL、6.43ミリモル)を25℃でフラスコに添加し、そして混合物は透明な暗黄色液体を生じた。次に、このフラスコを真空下に置き、3回アルゴンにより置換し、次にアルゴン下で放置した。10分間攪拌後、この混合物は淡黄色固体タールを生成し、攪拌が極めて困難になった。25mLのエタノールを添加して、混合物の攪拌を助けた。透明な黄橙色溶液を得た。25℃で2時間攪拌した後、溶媒を真空下で除去し、淡黄色の起泡性固体を得た。1H−NMR分析は、この生成物が大部分所望のビス−イミン配位子であることを示した(78%収量)。NMR分析の結果は、HNMR(300MHz,CDC1,35℃)、δ:7.63(t,1H)、7.21(d,4H)、6.96(t,4H)、6.80(t,2H)、6.77(m,2H)、5.14(d,2H)、4.64(d,2H)、2.80(t,4H)、2.36(t,4H)、1.55(d,6H,Me)である。
【0072】
【化16】

【実施例11】
【0073】
この実施例はジアミンとシクロヘキサノンとの反応(スキーム6)に基づくC/クラスB対称性の触媒用のビス−イミンの合成を例示する。実施例9に述べた手順をビス−イミンの合成に使用した。
【0074】
【化17】

【実施例12】
【0075】
この実施例はジアミンとメシチルアルデヒドとの反応(スキーム7)に基づくC2/クラスB対称性の触媒用のビス−イミンの合成を例示する。実施例9で述べた手順をビス−イミンの合成に使用した。ビス−イミン:NMR分析の結果は、HNMR(300MHz,CDCl,35℃)、δ:8.7(s,2H,HCN)、7.66(t,J=7.8Hz,1H,Hpara)、(d,J=7.8Hz,2H,Hmeta)、6.88(s,4Hmeta,Mes)、4.63(q,J=6.6Hz,2H,HCH,)2.42(s,12H,CHortho,Mes)、2.28(s,6H,CHpara,Mes)、1.63(d,J=6.6Hz,6H,Me)である。
【0076】
【化18】

【実施例13】
【0077】
対称性C/クラスBの触媒を製造するもう一つの触媒合成手順は、WO98/30612に述べられているものと同一の手順(この構造中でR基および二重結合の位置が異なることを除き)であり、そして次の反応式に示すものである。
【0078】
【化19】

【0079】
実施例9の配位子(1.05等量)および水和あるいは無水の形の金属塩を不活性雰囲気下でシュレンクフラスコ中に一緒に添加し、次にTHFを装填した。この混合物を数時間あるいは検出可能な未反応塩が観察されなくなるまで攪拌する。この混合物を空気中で濾過し、この固体をEtOにより洗浄し、そして真空下で乾燥する。
【実施例14】
【0080】
/クラスB対称性またはC/クラスB対称性の触媒用の配位子を合成するために、C/クラスB対称性に使用したものと類似の手順を使用する。違いは2つの異なるケトンのみをジアミンと反応させることである。この合成に対する一般的な手順を下記の式(スキーム8)に示す。
【0081】
【化20】

【実施例15】
【0082】
/クラスC対称性の触媒用の配位子を合成するために、C/クラスB対称性に使用したものと類似の手順を使用する。違いは1つのアセチル基のみを2,6−ジアセチルアニリン上で還元することである。この合成に対する一般的な手順をアセチルの1つのみがアミンに還元される下記の式に示す。
【0083】
【化21】

【実施例16】
【0084】
この実施例においては、実施例14のアミンをケトンと反応させて、この窒素にR基二重結合を付与する。
【0085】
【化22】

【実施例17】
【0086】
この実施例においては、アミンを実施例15のモノ−アセチル中間体と反応させて、下記の式に示すような窒素に単結合を有するR基を付与する。
【0087】
【化23】

【実施例18】
【0088】
次に、実施例13の述べた手順により触媒を合成する。
【0089】
単結合、二重結合の、あるいは1つの単結合と1つの二重結合を有する窒素原子に結合する異なるR基を単純に使用することにより、C1およびCに対する対称性も得てもよい。表1に示す構造について異なる対称性に対するいくつかの例を表1に要約する。
【0090】
本明細書に引用されているいかなる特許、特許出願、物品、書籍、論文、およびいかなる他の出版物はこれらの教示または示唆のすべてについて引用によりここに組み込まれる。
【0091】
【表1】

【0092】
対称の鉄錯体のX線データ
鉄錯体の固体状態の構造は単結晶のX線回折法により決定したものである。この選択された結晶学的データを表2に要約し、そして構造を実施例4の式で記述し、下記の表に示す。
【0093】
【表2】

【0094】
【表3】

【0095】
【表4】

【0096】
本発明の例示的な態様を特殊な例をもって述べてきたが、当業者には本発明の範囲を逸脱せずに種々の他の改変が明白であり、そして容易に行われ得ることは理解されるであろう。従って、添付の特許請求の範囲は本明細書に説明した実施例および説明に限定されることを意図するものでなく、特許請求の範囲は本発明が関連する当業者によりこれらの均等物として取り扱われるすべての特徴を含んで本発明に存する特許性のある新規性のすべての特徴を包含するものと解釈されることを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

(ここで、Mは金属であり;各XはMに共有結合またはイオン結合により結合した原子または基であり、そして同一であるかあるいは異なってもよく;RおよびRは同一であってもよく、あるいは各々は異なってもよく、そして置換あるいは非置換のシクロペンタジエニルあるいは芳香族環であり;Rはシクロペンタジエニルあるいは芳香族環RおよびRの間の構造的架橋であり、そして前記環に立体的剛性を付与し、そしてMに結合する少なくとも1つのヘテロ原子を含んでなり、RおよびRの各々がRの同一の、あるいは異なるヘテロ原子に結合し;ZはMの配位数であり、そして4よりも大きいかあるいは等しく;mはMとRのヘテロ原子の間の結合数であり、そして立体的剛性を付与するにはm≧2であり;そしてR、RおよびRが触媒成分にC、CあるいはC対称性を付与するように選択される)
を有する架橋化合物。
【請求項2】
Mが遷移金属およびランタニド金属からなる群から選択され、前記ヘテロ原子がO、N、S、およびPからなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が少なくとも3個のヘテロ原子を含んでなり、そしてRが前記ヘテロ原子の1つに結合し、そしてRが前記ヘテロ原子の異なる1つに結合する請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
MがFe、CoおよびNiの中から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
MがFeであり、RがMに結合する3個のヘテロ原子を含んでなり、そしてRが前記3個のヘテロ原子の1つに結合し、そしてRがRが結合するヘテロ原子と異なるヘテロ原子に結合し;MがFe、CoおよびNiの中から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
各Xがハライドおよび置換あるいは非置換の炭化水素の中から独立に選択される請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
式M(X)の金属化合物を式
【化2】

(ここで、Mは金属であり;各XはMに共有結合またはイオン結合により結合した原子または基であり、そして同一であるかあるいは異なってもよく;RおよびRは同一であってもよく、あるいは各々は異なってもよく、そして置換あるいは非置換のシクロペンタジエニルあるいは芳香族環であり;Rはシクロペンタジエニルあるいは芳香族環RおよびRの間の構造的架橋であり、そして前記環に立体的剛性を付与し、そしてMに結合するのに好適な少なくとも1つのヘテロ原子を含んでなり、RおよびRの各々がRの同一のあるいは異なるヘテロ原子に結合し;そしてR、RおよびRが架橋メタロセン化合物にC、CあるいはC対称性を付与するように選択される)
の架橋化合物Rと接触させることを含んでなる架橋化合物を製造する方法。
【請求項8】
Mが遷移金属およびランタニド金属からなる群から選択され、前記ヘテロ原子がO、N、S、およびPからなる群から選択される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
が3個のヘテロ原子を含んでなり、そしてRが前記3個のヘテロ原子の1つに結合し、そしてRが前記3個のヘテロ原子の異なる1つに結合する請求項7に記載の方法。
【請求項10】
MがFe、CoおよびNiの中から選択される請求項7に記載の方法。
【請求項11】
MがFeであり、Rが少なくとも3個のヘテロ原子を含んでなり、そしてRが前記3個のヘテロ原子の1つに結合し、そしてRがRが結合するヘテロ原子と異なるヘテロ原子に結合し;MがFe、CoおよびNiの中から選択される請求項7に記載の方法。
【請求項12】
各Xがハライドおよび置換あるいは非置換の炭化水素の中から独立に選択される請求項11に記載の方法。
【請求項13】

【化3】

(ここで、Mは金属であり;各XはMに共有結合またはイオン結合により結合した原子または基であり、そして同一であるかあるいは異なってもよく;RおよびRは同一であってもよく、あるいは各々は異なってもよく、そして置換あるいは非置換のシクロペンタジエニルあるいは芳香族環であり;Rはシクロペンタジエニルあるいは芳香族環RおよびRの間の構造的架橋であり、そして前記環に立体的剛性を付与し、そしてMに結合する少なくとも1つのヘテロ原子を含んでなり、RおよびRの各々はRの同一の、あるいは異なるヘテロ原子に結合し、ヘテロ原子は又Mにも結合し;ZはMの配位数であり、そして4よりも大きいか、あるいは4に等しく;mはMとRBのヘテロ原子の間の結合数であり、そして立体的剛性を付与するにはm≧2であり;そしてR、RおよびRは触媒成分にC、CあるいはC対称性を付与するように選択される)
を有する活性化された架橋化合物を含んでなる触媒系。
【請求項14】
Mが遷移金属およびランタニド金属からなる群から選択され、前記ヘテロ原子がO、N、S、およびPからなる群から選択される請求項13に記載の系。
【請求項15】
がMに結合する少なくとも3個のヘテロ原子を含んでなり、そしてRが前記ヘテロ原子の1つに結合し、そしてRが前記ヘテロ原子の異なる1つに結合する請求項13に記載の系。
【請求項16】
MがFe、CoおよびNiの中から選択される請求項13に記載の系。
【請求項17】
MがFeであり、RがMに結合する3個のヘテロ原子を含んでなり、そしてRが前記3個のヘテロ原子の1つに結合し、そしてRがRが結合するヘテロ原子と異なるヘテロ原子に結合し;
MがFe、CoおよびNiの中から選択される請求項13に記載の系。
【請求項18】
各Xがハライドおよび置換あるいは非置換の炭化水素の中から独立に選択される請求項17に記載の系。
【請求項19】
賦活剤を式
【化4】

(ここで、Mは金属であり;各XはMに共有結合またはイオン結合により結合した原子または基であり、そして同一であるかあるいは異なってもよく;RおよびRは同一であってもよく、あるいは各々は異なってもよく、そして置換あるいは非置換のシクロペンタジエニルあるいは芳香族環であり;Rはシクロペンタジエニルあるいは芳香族環RおよびRの間の構造的架橋であり、そして前記環に立体的剛性を付与し、そしてMに結合する少なくとも1つのヘテロ原子を含んでなり、RおよびRの各々がRの同一の、あるいは異なるヘテロ原子に結合し、ヘテロ原子はMにも結合し;ZはMの配位数であり、そして4よりも大きいか、あるいは4に等しく;mはMとRのヘテロ原子の間の結合数であり、そして立体的剛性を付与するにはm≧2であり;そしてR、RおよびRが触媒成分にC、CあるいはC対称性を付与するように選択される)
を有する架橋化合物と接触させることを含んでなる触媒系を製造する方法。
【請求項20】
オレフィンモノマーまたはモノマーの混合物を式
【化5】

(ここで、Mは金属であり;各XはMに共有結合またはイオン結合により結合した原子または基であり、そして同一であるかあるいは異なってもよく;RおよびRは同一であってもよく、あるいは各々は異なってもよく、そして置換あるいは非置換のシクロペンタジエニルあるいは芳香族環であり;Rはシクロペンタジエニルあるいは芳香族環RおよびRの間の構造的架橋であり、そして前記環に立体的剛性を付与し、そしてMに結合する少なくとも1つのヘテロ原子を含んでなり、RおよびRの各々はRの同一の、あるいは異なるヘテロ原子に結合し、ヘテロ原子はMにも結合し;ZはMの配位数であり、そして4よりも大きいか、あるいは4に等しく;mはMとRのヘテロ原子の間の結合数であり、そして立体的剛性を付与するにはm≧2であり;そして
、RおよびRが触媒成分にC、CあるいはC対称性を付与するように選択される)
を有する活性化された架橋化合物の存在下で接触させることを含んでなるポリオレフィンを形成する方法。

【公表番号】特表2006−507345(P2006−507345A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−555427(P2004−555427)
【出願日】平成15年11月12日(2003.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2003/036049
【国際公開番号】WO2004/047972
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(505046112)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (9)
【Fターム(参考)】