説明

オレフィン重合用触媒の製造方法

【課題】マクロマーを生成する触媒成分とそれを共重合する触媒成分とを用いて、長鎖分岐を含有するプロピレン系重合体を製造できる高活性な二元触媒を製造する方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも下記成分[A−1]、[A−2]、[B]及び[C]からなるオレフィン重合用触媒の製造方法であって、下記工程[I]〜[III]を順次行うこと特徴とするオレフィン重合用触媒の製造方法など。
工程[I]:成分[A−1]と成分[B]及び[C]とを接触させて、接触生成物(1)を製造する工程。
工程[II]:接触生成物(1)を、不活性炭化水素溶媒を用いて洗浄して、洗浄物を生成する工程。
工程[III]:洗浄物に、成分[A−2]を接触させて、接触生成物(2)を製造する工程。
[A−1]一般式(a1)で表される(ビスインデニル構造の)化合物
[A−2]一般式(a2)で表される(例えばビスシクロペンタジエニル構造の)化合物
[B]:イオン交換性層状珪酸塩[B−4]など。
[C]:有機アルミニウム化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、プロピレン系重合体の重合の際に用いられるオレフィン重合用触媒の製造方法に関し、さらに詳しくは、マクロマーを生成する触媒成分とそれを共重合する触媒成分を用いて、長鎖分岐を含有するプロピレン系重合体を製造できる高活性な二元触媒の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリプロピレンは、剛性などの機械的強度が高く、かつ物性バランスに優れ、化学的に安定で耐候性に優れ、化学薬品などに侵され難く、さらに融点が高く、耐熱性に優れ、軽量で安価である、等の特徴を有するため、多くの分野において広範囲に用いられている。しかしながら、通常のポリプロピレンは、溶融張力、溶融粘弾性が低く、熱成型、発泡成形、ブロー成形などへの使用に制限が出る等の課題があった。
それらを解決するためにポリプロピレン自体の架橋や長鎖分岐を導入することにより、溶融張力を上げられる方法が提案され、様々な試みがなされている。
その様な方法として、最近になって主としてメタロセン触媒を利用したマクロマー共重合法が提案されている。
【0003】
メタロセン触媒とは、広義には共役五員環配位子を少なくとも一個有する遷移金属化合物であり、プロピレン重合用としては、架橋構造を有する配位子が一般に使用される。当初、アイソタクチックポリオレフィンが製造可能な錯体として見出されたエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドやエチレンビス(4,5,6,7‐テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド(例えば、特許文献1参照。)、シリレン基を架橋基として持つジメチルシリレンビス置換シクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド(例えば、特許文献2参照。)、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド(例えば、特許文献3参照。)、シクロペンタジエニル化合物の架橋基の隣(2位−)に置換基をつけることにより立体規則性及び分子量をある程度改良したジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド(例えば、特許文献4参照。)、さらに4位の位置にアリール基を導入して活性、立体規則性及び分子量をさらに改良したジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド(例えば、特許文献5参照。)やジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド(例えば、特許文献6参照。)、さらに最近になって、4位アリール基の特定部位に特定の置換基を導入したジクロロ(1,1’−ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(3−クロロ4−t−ブチルフェニル)−4H−アズレニル))ハフニウム(例えば、特許文献7参照。)、2位の位置に嵩高いヘテロ置換基を導入したもの(例えば、特許文献8〜11参照。)等が開示されている。
これらは、主として触媒活性や得られるポリプロピレンの融点及び分子量の改良を目的としており、マクロマーや長鎖分岐を持つポリプロピレンの製造適性については、示唆されていない。
【0004】
一方、メタロセン触媒を利用したマクロマー共重合法としては、例えば、重合の第一段階(以下、マクロマー合成工程ともいう。)で特定の触媒と特定の重合条件により、末端にビニル構造をもつプロピレンマクロマーを製造し、その後、重合の第二段階(以下、マクロマー共重合工程ともいう。)で特定の触媒と特定の重合条件によりプロピレンと共重合を行うことにより、高次の架橋がなく、ポリプロピレンとしての本来の化学的安定性が損なわれることなく、リサイクル性にも優れ、溶融張力改良に対してゲルの発生の懸念がない方法(以下、マクロマー共重合法ともいう。)が提案されている(特許文献12、13参照。)。
また、前述の多段階重合法に対して、単一の錯体を用いてマクロマー合成工程とマクロマー共重合工程を同時に行う単独重合法が提案されている(例えば、特許文献14参照。)。
しかしながら、この公知の技術では、マクロマーの生成量とマクロマー共重合量が必ずしも充分ではなく、溶融物性改善の効果は、不十分なレベルであった。
【0005】
上記のような状況を鑑み、本発明者らは、特定の構造を有するマクロマー製造用錯体と特定の構造を有するマクロマー共重合錯体の二種類の錯体を同一担体上に担持することにより、長鎖分岐が導入された溶融物性を改良したプロピレン系重合体を製造する方法を見出した(特許文献15〜17参照。)。
そこで、そのような溶融物性の改良されたプロピレン系重合体を製造するにあたって、そのような重合体を工業的、経済的に効率よく製造することが望まれており、その為の重合用触媒、およびその重合用触媒の製造方法を見出すことが強く望まれている。
そのような、高活性な触媒を得る方法として、二種類の錯体を担体と接触させる順番に着目した方法、最初に一種類の錯体を担体と接触させて予備重合を行った後に、もう一種類の錯体と担体とを接触させる方法が見出されている(特許文献18、19参照。)。
しかしながら、活性の向上効果は、まだ十分なものとは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61−130314号公報
【特許文献2】特開平1−301704号公報
【特許文献3】特開平1−275609号公報
【特許文献4】特開平4−268307号公報
【特許文献5】特開平6−100579号公報
【特許文献6】特開平10−226712号公報
【特許文献7】特開2003−292518号公報
【特許文献8】特開2002−194016号公報
【特許文献9】特表2002−535339号公報
【特許文献10】特開2004−2259号公報
【特許文献11】特開2004−352707号公報
【特許文献12】特表2001−525460号公報
【特許文献13】特開平10−338717号公報
【特許文献14】特表2002−523575号公報
【特許文献15】特開2009−108247号公報
【特許文献16】特開2009−057542号公報
【特許文献17】特開2009−040959号公報
【特許文献18】特開2010−196036号公報
【特許文献19】特開2010−196037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点に鑑み、マクロマーを生成する触媒成分とそれを共重合する触媒成分とを用いて、長鎖分岐を含有するプロピレン系重合体を製造できる高活性な二元触媒を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、特定の2種類のメタロセン触媒成分を使用する二元触媒の製造方法において、それぞれの錯体で最適な有機アルミニウムとの接触条件になるように、最初に錯体、有機アルミニウムと担体とを接触させた後に、不活性炭化水素溶媒を用いて洗浄を行い、その後に二番目の錯体、有機アルミニウムと担体を接触させることにより、プロピレンの重合を行った場合に、高活性な触媒になることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明の第1の発明によれば、少なくとも下記成分[A−1]、[A−2]、[B]及び[C]からなるオレフィン重合用触媒の製造方法であって、下記工程[I]〜[III]を順次行うこと特徴とするオレフィン重合用触媒の製造方法が提供される。
工程[I]:成分[A−1]と成分[B]及び[C]とを接触させて、接触生成物(1)を製造する工程。
工程[II]:工程[I]で得られた接触生成物(1)を、不活性炭化水素溶媒を用いて洗浄して、洗浄物を生成する工程。
工程[III]:工程[II]で得られた洗浄物に、成分[A−2]を接触させて、接触生成物(2)を製造する工程。
但し、成分[A−2]に対する[A−1]のモル比率[A−1]/[A−2]は、1.0〜99.0である。
成分[A−1]:一般式(a1)で表される化合物。
【0010】
【化1】

【0011】
[一般式(a1)中、R11およびR12は、各々独立して、窒素、酸素または硫黄を含有する炭素数4〜16の複素環基を示す。また、R13およびR14は、各々独立して、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン若しくはこれらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい炭素数6〜16のアリール基、または窒素、酸素若しくは硫黄を含有する炭素数6〜16の複素環基を表す。さらに、M11は、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、X11及びY11は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表し、Q11は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基を表す。]
成分[A−2]:一般式(a2)で表される化合物。
【0012】
【化2】

【0013】
[一般式(a2)中、E21およびE22は、それぞれ独立して、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはアズレニル基であり、それぞれ置換基を有していてもよい(但し、置換基が窒素、酸素または硫黄を含有する炭素数4〜16の複素環基であることはない。)。Q21は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基を表し、M21は、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、X21およびY21は、それぞれ独立して、上記X11およびY11と同様の置換基を示す。]
成分[B]:アルミニウムオキシ化合物[B−1]、上記遷移金属化合物[A−1]、[A−2]と反応してカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸[B−2]、固体酸微粒子[B−3]、およびイオン交換性層状珪酸塩[B−4]からなる化合物群から選ばれる少なくとも一種。
成分[C]:有機アルミニウム化合物。
【0014】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、成分[B]がイオン交換性層状珪酸塩[B−4]であることを特徴とするオレフィン重合用触媒の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、イオン交換性層状珪酸塩[B−4]がスメクタイト族であることを特徴とするオレフィン重合用触媒の製造方法が提供される。
【0015】
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、成分[A−2]のM21がハフニウムであることを特徴とするオレフィン重合用触媒の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、オレフィンを、成分[B]に対し、重量比で0.01〜100の範囲で予備重合を行うことを特徴とするオレフィン重合用触媒の製造方法が提供される。
【0016】
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、分子量(M)が100万(logM=6)における分岐指数(g’)が0.95以下である重合体の製造に用いられることを特徴とするオレフィン重合用触媒の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明のオレフィン重合用触媒の製造方法によれば、マクロマーを生成する触媒成分とそれを共重合する触媒成分を用いて、特定の工程を順次行うことにより、長鎖分岐を含有するプロピレン系重合体を効率的に製造できる、高活性な二元触媒の製造方法を提供できる。また、本発明のオレフィン重合用触媒の製造方法により得られた高活性な二元触媒は、長鎖分岐量の多いプロピレン系重合体を簡便な手法(例えば、単段重合法)で効率よく製造することができる。このため、本発明の工業的な意義は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るオレフィン重合用触媒の活性を比較例に対比して説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るオレフィン重合用触媒、例えばプロピレン重合用触媒は、少なくとも後述する[A−1]、[A−2]、[B]および[C]の成分を含むことを必須とし、本発明のオレフィン重合用触媒、例えばプロピレン重合用触媒の製造方法は、下記の工程[I]〜[III]を順次行うこと特徴とする。
工程[I]:成分[A−1]と成分[B]及び[C]とを接触させて、接触生成物(1)を製造する工程。
工程[II]:工程[I]で得られた接触生成物(1)を、不活性炭化水素溶媒を用いて洗浄して、洗浄物を生成する工程。
工程[III]:工程[II]で得られた洗浄物に、成分[A−2]を接触させて、接触生成物(2)を製造する工程。
そして、この得られたプロピレン重合用触媒の存在下に、単段重合によりプロピレン重合を行なうことにより、長鎖分岐型のプロピレン重合体を高活性で効率よく製造することができる。
以下、オレフィン重合用触媒、例えばプロピレン重合用触媒およびその製造方法などについて、項目毎に詳細に説明する。
【0020】
1.プロピレン重合用触媒の触媒成分
本発明に係るプロピレン重合用触媒は、少なくとも[A−1]、[A−2]、[B]および[C]の成分を含むことを必須とする。
【0021】
(1)成分[A−1]
成分[A−1]は、次の一般式(a1)で表されるメタロセン化合物である。
【0022】
【化3】

【0023】
[一般式(a1)中、R11およびR12は、各々独立して、窒素、酸素または硫黄を含有する炭素数4〜16の複素環基を示す。また、R13およびR14は、各々独立して、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン若しくはこれらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい炭素数6〜16のアリール基、または窒素、酸素若しくは硫黄を含有する炭素数6〜16の複素環基を表す。さらに、M11は、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、X11及びY11は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表し、Q11は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基を表す。]
【0024】
上記のR11およびR12は、それぞれ独立して、窒素、酸素または硫黄を含有する炭素数4〜16の複素環基であり、好ましくは2−フリル基、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基または置換された2−フルフリル基であり、さらに好ましくは置換された2−フリル基である。
また、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、トリアルキルシリル基、が挙げられる。これらのうち、メチル基、トリメチルシリル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
さらに、R11およびR12として、特に好ましくは2−(5−メチル)−フリル基である。また、R11およびR12は、互いに同一である場合が好ましい。
【0025】
上記のR13およびR14は、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン、あるいは、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい、炭素数6〜16のアリール基であり、また、アリール基としては、炭素数6〜16になる範囲で、アリール環状骨格上に、1つ以上の、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数1〜6のハロゲン含有炭化水素基を置換基として有していてもよい。
また、R13およびR14は、窒素、酸素または硫黄を含有する炭素数6〜16の複素環基であってもよい。このような複素環基としては、好ましくは2−フリル基、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基であり、さらに好ましくは置換された2−フリル基である。これらの置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、トリアルキルシリル基が挙げられる。これらのうち、メチル基、トリメチルシリル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
13およびR14としては、好ましくは少なくとも1つが、フェニル基、4−i−プロピル基、4−トリメチルシリル基、4−t−ブチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、3,5−ジt−ブチルフェニル基、4−フェニル−フェニル基、クロロフェニル基、ナフチル基、又はフェナンスリル基であり、更に好ましくはフェニル基、4−i−プロピル基、4−トリメチルシリル基、4−t−ブチルフェニル基、4−クロロフェニル基である。また、R13およびR14は、互いに同一である場合が好ましい。
【0026】
さらに、X11およびY11は、補助配位子であり、成分[B]と反応して、オレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限り、XとYは、配位子の種類が制限されるものではなく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表す。
ここで炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基とは、炭素数1〜20のトリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基である。
【0027】
11は、二つの五員環を結合する、炭素数1または2の炭素を介して二つの共役五員環配位子を架橋する炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基の何れかを示す。上述のシリレン基またはゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記のQ11の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることができる。
これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
【0028】
上記一般式(a1)で表される化合物のうち、好ましい化合物として、以下に具体的に例示する。
(1)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(2)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(3)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(4)ジクロロ[1,1’−ジフェニルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(5)ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(6)ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(7)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(8)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−トリメチルシリル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(9)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−フェニル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(10)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウムジクロライド、
(11)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−ベンゾフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(12)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フルフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(13)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(14)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−フルオロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(15)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(16)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(17)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(18)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(19)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、
(20)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、
(21)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、
(22)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、
(23)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、
(24)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、
(25)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、
(26)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、
(27)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、
(28)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、
(29)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、
(30)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、などである。
【0029】
これらのうち、更に好ましいのは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−ビフェニリル−インデニル}]ハフニウムである。
【0030】
また、特に好ましいのは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウムである。
【0031】
(2)成分[A−2]
成分[A−2]は、次の一般式(a2)で表されるメタロセン化合物である。
【0032】
【化4】

【0033】
[一般式(a2)中、E21およびE22は、それぞれ独立して、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはアズレニル基であり、それぞれ置換基を有していてもよい(但し、置換基が窒素、酸素または硫黄を含有する炭素数4〜16の複素環基であることはない。)。Q21は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基を表し、M21は、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、X21およびY21は、それぞれ独立して、上記X11およびY11と同様の置換基を示す。]
【0034】
上記E21およびE22は、それぞれ独立して、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基、アズレニル基であり、それぞれ置換基を有していてもよい。その置換基は、窒素、酸素または硫黄を含有する炭素数4〜16の複素環基であることはない。
なかでも、置換シクロペンタジエニル基、置換インデニル基、置換アズレニル基が好ましい。
21およびE22が置換シクロペンタジエニル基の場合には、下記の構造を例示できる。
【0035】
【化5】

【0036】
[一般式(a3)中、R31及びR34は、それぞれ独立して、または炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であり、R32、R33、R35及びR36は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の炭化水素基である。X31及びY31は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表し、Q31は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基を表し、M31は、ジルコニウムまたはハフニウムを表す。]
【0037】
上記R31、R34は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。
具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、n−プロピルであり、特に好ましくはメチル基である。
上記R32、R33、R35及びR36は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の炭化水素基であり、好ましくはアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。
具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、フェニル等が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、t−ブチル、フェニルである。
一般式(a3)中、X31およびY31は、補助配位子であり、助触媒としての成分[B]と反応して、オレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。この目的が達成するものとして、X31とY31は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表す。
ここで炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基とは、炭素数1〜20のトリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基である。
【0038】
一般式(a3)中、Q31は、二つの五員環を結合する、炭素数1または2の炭素を介して二つの共役五員環配位子を架橋する炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基の何れかを示す。上述のシリレン基またはゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記のQ31の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることができる。
これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
【0039】
これらの一般式(a3)で表わされる化合物の中で好ましくは、
(1)ジクロロ{ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、
(2)ジクロロ{ジフェニルシリレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、
(3)ジクロロ{ジメチルゲルミレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、
(4)ジクロロ{ジメチルシリレンビス(2,5−ジメチル−3−フェニルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、
(5)ジクロロ{ジメチルシリレンビス(2−エチル−3−フェニル−5−メチルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、
(6)ジクロロ{ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリエチルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、
(7)ジクロロ{ジメチルシリレンビス(2,5−ジメチル−3−エチルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、
(8)ジクロロ{ジメチルシリレンビス(2,3−ジメチル−5−エチルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、
(9)ジクロロ{ジメチルシリレンビス(2,5−ジメチル−3−i−プロピルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、であり、
さらに好ましくは、ジクロロ{ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、ジクロロ{ジフェニルシリレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、ジクロロ{ジメチルゲルミレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、ジクロロ{ジメチルシリレンビス(2,5−ジメチル−3−フェニルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、である。
【0040】
また、E21およびE22が置換インデニル基の場合には、下記の構造を例示できる。
【0041】
【化6】

【0042】
[一般式(a4)中、R41及びR43は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であり、R42及びR44は、それぞれ独立して、ハロゲン、ケイ素、あるいは、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい炭素数6〜30のアリール基である。。X41及びY41は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表し、Q41は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基を表し、M41は、ジルコニウムまたはハフニウムを表す。]
【0043】
上記のR41およびR43は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。
具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピルである。
また、上記のR42およびR44は、ハロゲン、ケイ素、あるいは、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい炭素数6〜30のアリール基であり、また、アリール基としては、炭素数6〜16になる範囲で、アリール環状骨格上に、1つ以上の、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数1〜6のハロゲン含有炭化水素基を置換基として有していてもよい。
42およびR44としては、好ましくは少なくとも1つが、フェニル基、4−i−プロピル基、4−トリメチルシリル基、4−t−ブチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、3,5−ジt−ブチルフェニル基、4−フェニル−フェニル基、クロロフェニル基、ナフチル基、又はフェナンスリル基であり、更に好ましくはフェニル基、4−i−プロピル基、4−トリメチルシリル基、4−t−ブチルフェニル基、4−クロロフェニル基である。また、R42およびR44は、互いに同一である場合が好ましい。
【0044】
さらに、X41およびY41は、補助配位子であり、成分[B]と反応して、オレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。この目的が達成するものとしてXとYは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表す。
ここで炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基とは、炭素数1〜20のトリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基である。
また、Q41は、二つの五員環を結合する、炭素数1または2の炭素を介して二つの共役五員環配位子を架橋する炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基の何れかを示す。上述のシリレン基またはゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記のQ41の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることができる。
これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
【0045】
これらの一般式(a4)で表わされる化合物の中で好ましくは、
(1)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ハフニウム、
(2)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(3)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(4)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(5)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(6)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−t−ブチルフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(7)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(8)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(9)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル}]ハフニウム、
(10)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−ナフチル)インデニル}]ハフニウム、
(11)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(12)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−クロロ−4−ビフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(13)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(9−フェナントリル)インデニル}]ハフニウム、
(14)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)インデニル}]ハフニウム、
(15)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(16)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−n−プロピル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(17)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(18)ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(19)ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(20)ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)インデニル}]ハフニウム、である。
【0046】
また、E21およびE22が置換アズレニル基の場合には、下記の構造を例示できる。
【0047】
【化7】

【0048】
[一般式(a5)中、R51およびR52は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の炭化水素基である。R53およびR54は、それぞれ独立して、ハロゲン、ケイ素、あるいは、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい炭素数6〜30のアリール基である。Q51は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基を表し、M51は、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、X51およびY51は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表す。]
【0049】
上記R51およびR52は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の炭化水素基であり、好ましくはアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、n−プロピルである。
【0050】
また、上記R53およびR54は、それぞれ独立して、ハロゲン、ケイ素、あるいは、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい炭素数6〜30の、好ましくは炭素数6〜24のアリール基である。好ましい例としては、フェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、4−メチルフェニル、4−i−プロピルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリメチルシリルフェニル、4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)、4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)、1−ナフチル、2−ナフチル、4−クロロ−2−ナフチル、3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル、3,5−ジメチル−4−t−ブチルフェニル、3,5−ジメチル−4−トリメチルシリルフェニル、3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル等が挙げられる。
【0051】
上記X51及びY51は、補助配位子であり、助触媒としての成分[B]と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限りX51及びY51は、配位子の種類が制限されるものではなく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン基、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、トリフルオロメタンスルホン酸基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基または炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基などを示す。
【0052】
51は、二つの五員環を結合する、炭素数1または2の炭素を介して二つの共役五員環配位子を架橋する炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基の何れかを示す。上述のシリレン基またはゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記のQ51の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることができる。
これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
さらに、上記M51は、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはハフニウムである。
【0053】
上記一般式(a5)で表されるメタロセン化合物の非限定的な例として、下記のものを挙げることができる。
ただし、煩雑な多数の例示を避けて代表的例示化合物のみ記載した。また、中心金属がハフニウムの化合物を記載したが、同様のジルコニウム化合物も使用可能であり、種々の配位子や架橋結合基あるいは補助配位子を任意に使用しうることは自明である。
(1)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ハフニウム、
(2)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(3)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(4)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(5)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(6)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(7)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(8)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(9)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(10)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(11)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(12)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(13)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(14)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(9−フェナントリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(15)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(16)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−n−プロピル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(17)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(18)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(19)ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(20)ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(21)ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(22)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(23)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(24)ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、などである。
【0054】
これらの中で好ましくは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、である。
【0055】
また、特に好ましくは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、である。
【0056】
また、E21およびE22が、シクロペンタジエニル基とアズレニル基である場合には、下記の構造を例示できる。
【0057】
【化8】

【0058】
上記一般式(a6)中、R61は、炭素数1〜6の炭化水素基であり、好ましくはアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、n−プロピルである。
また、上記R62は、ハロゲン、ケイ素、あるいは、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい炭素数6〜30の、好ましくは炭素数6〜24のアリール基である。
好ましい例としては、フェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、4−メチルフェニル、4−i−プロピルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリメチルシリルフェニル、4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)、4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)、1−ナフチル、2−ナフチル、4−クロロ−2−ナフチル、3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル、3,5−ジメチル−4−t−ブチルフェニル、3,5−ジメチル−4−トリメチルシリルフェニル、3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル等が挙げられる。
上記R63、R64、R65およびR66は、それぞれ独立して、水素原子、または炭素数1〜6の炭化水素基であり、具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、フェニル等が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、t−ブチル、フェニルである。
但し、R63、R64、R65及びR66のいずれか2以上は、水素原子以外の置換基であり、かつ、R63、R64、R65及びR66のいずれか1以上は、水素原子である。
【0059】
上記X61及びY61は、補助配位子であり、助触媒としての成分[B]と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。この目的が達成するものとして、XとYは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン基、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、トリフルオロメタンスルホン酸基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基または炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基などを示す。
また、Q61は、二つの五員環を結合する、炭素数1または2の炭素を介して二つの共役五員環配位子を架橋する炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基の何れかを示す。上述のシリレン基またはゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記のQ61の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることができる。
これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
さらに、上記M61は、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはハフニウムである。
【0060】
これらの一般式(a6)で表わされる化合物の中で好ましくは、
(1)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(2)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(3)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(4)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,3−ジt−ブチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(5)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(3,4−ジt−ブチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(6)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,5−ジt−ブチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(7)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,3−ジフェニルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(8)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(3,4−ジフェニルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(9)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,5−ジフェニルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(10)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−エチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(11)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2−エチル−4−メチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(12)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(13)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(14)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,3,4−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(15)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(16)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,3−ジメチル−4−フェニルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(17)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,3−ジメチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(18)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニルシクロペンタジエニル)(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(19)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(20)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニルシクロペンタジエニル)(4−フェニル−2−i−プロピル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
【0061】
(21)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−i−プロピル−4−t−フェニル−2−i−プロピル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(22)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−2−メチル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(23)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−2−メチル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(24)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−(3−メチルフェニル)−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(25)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−(3−メチルフェニル)−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(26)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−2−メチル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(27)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−2−メチル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(28)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−(2−ナフチル)−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(29)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−(2−ナフチル)−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(30)ジクロロ{1,1’−メチルフェニルシリレン(2−メチル−4−フェニルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(31)ジクロロ{1,1’−シラシクロブテニル(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(32)ジクロロ{1,1’−シラシクロプロペニル(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(33)ジクロロ{1,1’−シラフルオレニル(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(34)ジクロロ{1,1’−メチルフェニルゲルミレン(2−メチル−4−フェニルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(35)ジクロロ{1,1’−ゲルマシクロブテニル(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(36)ジクロロ{1,1’−ゲルマシクロプロペニル(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(37)ジクロロ{1,1’−ゲルマフルオレニル(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム、
(38)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−メチル−4−(2−メチルプロピル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(39)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−メチル−4−(シクロプロピルメチル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(40)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(2−メチルブチル)−5−メチルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
【0062】
(41)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−メチル−4−(2,2−ジメチルプロピル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(42)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−メチル−4−(シクロヘキシルメチル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(43)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−メチル−4−(1,2−ジメチルプロピル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(44)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1−シクロプロピルエチル)−5−メチルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(45)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1,2−ジメチルブチル)−5−メチルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(46)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−メチル−4−(1,2,2−トリメチルプロピル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(47)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1−シクロヘキシルエチル)−5−メチルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(48)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−メチル−4−(1−i−プロピルプロピル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(49)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−メチル−4−(1−シクロプロピルプロピル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(50)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1−エチル−2−メチルブチル)−5−メチルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(51)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−メチル−4−(1−t−ブチルプロピル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(52)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−メチル−4−(1−シクロヘキシルプロピル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(53)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1−i−プロピルブチル)−5−メチルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(54)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1−シクロプロピルブチル)−5−メチルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(55)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1−s−ブチルブチル)−5−メチルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレル)]ハフニウム、
(56)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1−t−ブチルブチル)−5−メチルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレル)]ハフニウム、
(57)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1−シクロヘキシルブチル)−5−メチルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(58)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−エチル−4−(2−メチルプロピル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(59)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−エチル−4−(シクロプロピルメチル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(60)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(2−メチルブチル)−5−エチルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
【0063】
(61)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−エチル−4−(2,2−ジメチルプロピル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(62)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−エチル−4−(シクロヘキシルメチル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(63)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−エチル−4−(1,2−ジメチルプロピル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(64)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−エチル−4−(1−シクロプロピルエチル)−メチル)−シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(65)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1,2−ジメチルブチル)−5−エチルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(66)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−エチル−4−(1,2,2−トリメチルプロピル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(67)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−エチル−4−(1−シクロヘキシルエチル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(68)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−エチル−4−(1−i−プロピルプロピル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(69)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−エチル−4−(1−シクロプロピルプロピル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(70)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1−エチル−2−メチルブチル)−5−エチルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(71)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−エチル−4−(1−t−ブチルプロピル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(72)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−エチル−4−(1−シクロヘキシルプロピル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(73)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1−i−プロピルブチル)−5−エチルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(74)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1−シクロプロピルブチル)−5−エチルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(75)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1−s−ブチルブチル)−5−エチルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(76)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1−t−ブチルブチル)−5−エチルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(77)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1−シクロヘキシルブチル)−5−エチルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(78)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−n−プロピル−4−(2−メチルプロピル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(79)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(シクロプロピルメチル)−5−n−プロピルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(80)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(2−メチルブチル)−5−n−プロピルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
【0064】
(81)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−n−プロピル−4−(2,2−ジメチルプロピル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(82)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(シクロヘキシルメチル)−5−n−プロピルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(83)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−n−プロピル−4−(1,2−ジメチルプロピル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(84)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1−シクロプロピルエチル)−5−n−プロピルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(85)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1,2−ジメチルブチル)−5−n−プロピルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(86)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−n−プロピル−4−(1,2,2−トリメチルプロピル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(87)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1−シクロヘキシルエチル)−5−n−プロピルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(88)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−n−プロピル−4−(1−i−プロピルプロピル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(89)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−n−プロピル−4−(1−シクロプロピルプロピル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(90)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1−エチル−2−メチルブチル)−5−n−プロピルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(91)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−n−プロピル−4−(1−t−ブチルプロピル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(92)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−n−プロピル−4−(1−シクロヘキシルプロピル)シクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(93)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1−i−プロピルブチル)−5−n−プロピルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(94)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1−シクロプロピルブチル)−5−n−プロピルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(95)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1−s−ブチルブチル)−5−n−プロピルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(96)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1−t−ブチルブチル)−5−n−プロピルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、
(97)ジクロロ[ジメチルシリレン{3−(1−シクロヘキシルブチル)−5−n−プロピルシクロペンタジエニル}(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ハフニウム、などである。
【0065】
また、E21およびE22が、シクロペンタジエニル基とフルオレニル基の場合には、下記の構造を例示できる。
【0066】
【化9】

【0067】
一般式(a7)中、R72は、炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基から選ばれ、R71、R73、R74、R75、R76、R77及びR78は、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R75〜R78までの隣接した置換基は、互いに結合して環を形成してもよい。
また、上記X71及びY71は、補助配位子であり、助触媒としての成分[B]と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。この目的が達成するものとして、X71及びY71は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン基、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、トリフルオロメタンスルホン酸基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基または炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基などを示す。
【0068】
また、上記Q71は、二つの五員環を結合する、炭素数1または2の炭素を介して二つの共役五員環配位子を架橋する炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基の何れかを示す。上述のシリレン基またはゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記Q71の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることができる。
これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
さらに、上記M71は、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはハフニウムである。
【0069】
これらの一般式(a7)で表わされる化合物の中で好ましくは、
(1)ジクロロジメチルメチレン(3−i−プロピルシクロペンタジエニル)フルオレニル)ジルコニウム、
(2)ジクロロジメチルメチレン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)フルオレニル)ジルコニウム、
(3)ジクロロジメチルメチレン(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)フルオレニル)ジルコニウム、
(4)ジクロロジメチルメチレン(3−(t−ブチルジメチルシリル)シクロペンタジエニル)フルオレニル)ジルコニウム、
(5)ジクロロジメチルメチレン(3−i−プロピル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニル)ジルコニウム、
(6)ジクロロジメチルメチレン(3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニル)ジルコニウム、
(7)ジクロロジメチルメチレン(3−トリメチルシリル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニル)ジルコニウム、
(8)ジクロロジメチルメチレン(3−(t−ブチルジメチルシリル)−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニル)ジルコニウム、
(9)ジクロロジメチルメチレン(3−i−プロピル−5−エチルシクロペンタジエニル)フルオレニル)ジルコニウム、
(10)ジクロロジメチルメチレン(3−t−ブチル−5−エチルシクロペンタジエニル)フルオレニル)ジルコニウム、
(11)ジクロロジメチルメチレン(3−トリメチルシリル−5−エチルシクロペンタジエニル)フルオレニル)ジルコニウム、
(12)ジクロロジメチルメチレン(3−(t−ブチルジメチルシリル)−5−エチルシクロペンタジエニル)フルオレニル)ジルコニウム、
(13)ジクロロジメチルメチレン(3−i−プロピル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(14)ジクロロジメチルメチレン(3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(15)ジクロロジメチルメチレン(3−トリメチルシリル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(16)ジクロロジメチルメチレン(3−(t−ブチルジメチルシリル)−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(17)ジクロロジメチルメチレン(3−i−プロピル−5−メチルシクロペンタジエニル)(2,7−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(18)ジクロロジメチルメチレン(3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(2,7−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(19)ジクロロジメチルメチレン(3−トリメチルシリル−5−メチルシクロペンタジエニル)(2,7−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(20)ジクロロジメチルメチレン(3−(t−ブチルジメチルシリル)−5−メチルシクロペンタジエニル)(2,7−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
【0070】
(21)ジクロロジメチルメチレン(3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(ジベンゾ[b,h]フルオレニル)ジルコニウム、
(22)ジクロロジメチルメチレン(3−トリメチルシリル−5−メチルシクロペンタジエニル)(ジベンゾ[b,h]フルオレニル)ジルコニウム、
(23)ジクロロジメチルメチレン(3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(1,1,4,4,7,7,10,10−オクタメチル−1,2,3,4,7,8,9,10−オクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウム、
(24)ジクロロジメチルメチレン(3−トリメチルシリル−5−メチルシクロペンタジエニル)(1,1,4,4,7,7,10,10−オクタメチル−1,2,3,4,7,8,9,10−オクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)ジルコニウム、
(25)ジクロロジフェニルメチレン(3−i−プロピル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(26)ジクロロジフェニルメチレン(3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(27)ジクロロジフェニルメチレン(3−トリメチルシリル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(28)ジクロロジフェニルメチレン(3−(t−ブチルジメチルシリル)−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(29)ジクロロジメチルシリレン(3−i−プロピル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(30)ジクロロジメチルシリレン(3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(31)ジクロロジメチルシリレン(3−トリメチルシリル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(32)ジクロロジメチルシリレン(3−(t−ブチルジメチルシリル)−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(33)ジクロロジフェニルシリレン(3−i−プロピル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(34)ジクロロジフェニルシリレン(3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(35)ジクロロジフェニルシリレン(3−トリメチルシリル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(36)ジクロロジフェニルシリレン(3−(t−ブチルジメチルシリル)−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、などである。
【0071】
また、E21およびE22が、インデニル基とアズレニル基の場合には、下記の構造を例示できる。
【0072】
【化10】

【0073】
上記一般式(a8)中、R81およびR82は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の炭化水素基であり、好ましくはアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、n−プロピルである。
また、上記R83およびR84は、それぞれ独立して、ハロゲン、ケイ素、あるいは、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい炭素数6〜30の、好ましくは炭素数6〜24のアリール基である。好ましい例としては、フェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、4−メチルフェニル、4−i−プロピルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリメチルシリルフェニル、4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)、4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)、1−ナフチル、2−ナフチル、4−クロロ−2−ナフチル、3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル、3,5−ジメチル−4−t−ブチルフェニル、3,5−ジメチル−4−トリメチルシリルフェニル、3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル等が挙げられる。
【0074】
また、上記X81及びY81は、補助配位子であり、助触媒としての成分[B]と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限りX51及びY51は、配位子の種類が制限されるものではなく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン基、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、トリフルオロメタンスルホン酸基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基または炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基などを示す。
また、Q81は、二つの五員環を結合する、炭素数1または2の炭素を介して二つの共役五員環配位子を架橋する炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基の何れかを示す。上述のシリレン基またはゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記のQ81の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることができる。
これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
さらに、上記M81は、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはハフニウムである。
【0075】
これらの一般式(a8)で表わされる化合物の中で好ましくは、
(1)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(2)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(3)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(4)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(5)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(6)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(7)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(8)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(9)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(10)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(11)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−(1−ナフチル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(12)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−(1−ナフチル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(13)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−(2−ナフチル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(14)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−(2−ナフチル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(15)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−エチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(16)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−エチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(17)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(18)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(19)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(20)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
【0076】
(21)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(22)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(23)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(24)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−メチル−4−(1−ナフチル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(25)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−メチル−4−(2−ナフチル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(26)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−エチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(27)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(28)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−エチル−4−(4−フルオロフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(29)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−エチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(30)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−エチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(31)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−エチル−4−(1−ナフチル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、
(32)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−5,6,7,8−テトラヒドロ−1−アズレニル)]ハフニウム、
(33)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−エチル−1−インデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−5,6,7,8−テトラヒドロ−1−アズレニル)]ハフニウム、などである。
【0077】
(3)成分[B]
成分[B]としては、アルミニウムオキシ化合物[B−1]、上記遷移金属化合物[A‐1]、[A‐2]と反応してカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸[B−2]、固体酸微粒子[B−3]、およびイオン交換性層状珪酸塩[B−4]からなる化合物群から選ばれる少なくとも一種が用いられる。
【0078】
(3−1)成分[B−1]
アルミニウムオキシ化合物[B−1]としては、具体的には次の一般式(9)、(10)又は(11)で表される化合物が挙げられる。
【0079】
【化11】

【0080】
【化12】

【0081】
【化13】

【0082】
上記の各一般式中、R91、R101及びR111は、水素原子または炭化水素残基、好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基を示す。また、複数の、R91、R101及びR111は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、pは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。
一般式(9)及び(10)で表される化合物は、アルモキサンとも呼ばれる化合物であって、これらの中では、メチルアルモキサン又はメチルイソブチルアルモキサンが好ましい。
上記のアルモキサンは、各群内および各群間で複数種併用することも可能である。そして、上記のアルモキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。
また、一般式(11)で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと次の一般式(12)で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。
一般式(11)、(12)中、R112及びR121は、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基またはハロゲン化炭化水素基を示す。
【0083】
【化14】

【0084】
成分[B−1]は、微粒子状担体に担持して使用することも可能である。微粒子状担体については後述する。
【0085】
(3−2)成分[B−2]
成分[B−2]は、前述した遷移金属化合物[A]と反応してカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸である。
具体的には、イオン性化合物としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどの陽イオンと、トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等の有機ホウ素化合物のカチオンとの錯化物等が挙げられる。
また、ルイス酸、特に成分[A]をカチオンに変換可能なルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などが例示される。あるいは、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム等の金属ハロゲン化合物などが例示される。
なお、上記のルイス酸のある種のものは、成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできる。従って、上記のルイス酸およびイオン性化合物の両者に属する化合物は、何れか一方に属するものとする。微粒子状担体については後述する。
【0086】
(3−3)成分[B−3]
固体酸微粒子[B−3]としては、アルミナ、シリカ−アルミナ等の固体酸が挙げられる。
ここで、前述した[B−1]および[B−2]における微粒子状担体について説明する。
本発明においては、微粒子状担体は、その元素組成、化合物組成については、とくに限定されない。例えば、無機または有機の化合物から成る微粒子状担体が例示できる。無機担体としては、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ塩化マグネシウム、活性炭、無機珪酸塩等が挙げられる。あるいは、これらの混合物であってもよい。
また、有機担体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜14のα−オレフィンの重合体、スチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族不飽和炭化水素の重合体などから成る多孔質ポリマーの微粒子担体が挙げられる。あるいはこれらの混合物であってもよい。
これらの微粒子担体は、通常1μm〜5mm、好ましくは5μm〜1mm、更に好ましくは10μm〜200μmの平均粒径を有する。
【0087】
(3−4)成分[B−4]
成分[B−4]は、イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に珪酸塩と略記する)である。
本発明において、原料として使用する珪酸塩は、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、かつ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)が含まれることが多いが、それらを含んでもよい。珪酸塩の具体例としては、例えば、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
すなわち、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群等である。
【0088】
本発明で原料として使用する珪酸塩は、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることが更に好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。層間カチオンの種類は、特に限定されないが、工業原料として比較的容易に且つ安価に入手し得る観点から、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属を層間カチオンの主成分とする珪酸塩が好ましい。
本発明で使用する珪酸塩は、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すことが好ましい。ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と粘土の構造に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。本発明における化学処理としては、具体的には、次に述べる(a)酸処理、(b)塩類処理、(c)アルカリ処理、(d)有機物処理、等が挙げられる。
【0089】
(a)酸処理
酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造のAl、Fe、Mg、等の陽イオンの一部または全部を溶出させることができる。
酸処理で用いられる酸は、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸から選択される。処理に用いる塩類および酸は、2種以上であってもよい。塩類および酸による処理条件は、特には制限されないが、通常、塩類および酸濃度は、0.1〜50重量%、処理温度は室温〜沸点、処理時間は、5分〜24時間の条件を選択して、イオン交換性層状珪酸塩から成る群より選ばれた少なくとも一種の化合物を構成している物質の少なくとも一部を溶出する条件で行うことが好ましい。また、塩類および酸は、一般的には水溶液で用いられる。
【0090】
(b)塩類処理
本発明においては、塩類で処理される前の、イオン交換性層状珪酸塩の含有する交換可能な1族金属の陽イオンの40%以上、好ましくは60%以上を、下記に示す塩類より解離した陽イオンと、イオン交換することが好ましい。
【0091】
このようなイオン交換を目的とした塩類処理で用いられる塩類は、1〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸および有機酸から成る群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物であり、更に好ましくは、2〜14族原子から成る群から選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンとCl、Br、I、F、PO、SO、NO、CO、C、ClO、OOCCH、CHCOCHCOCH、OCl、O(NO、O(ClO、O(SO)、OH、OCl、OCl、OOCH、OOCCHCH、CおよびCから成る群から選ばれる少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物である。
【0092】
具体的には、LiF、LiCl、LiBr、LiI、LiSO、Li(CHCOO)、LiCO、Li(C)、LiCHO、LiC、LiClO、LiPO、CaCl、CaSO、CaC、Ca(NO、Ca(C、MgCl、MgBr、MgSO、Mg(PO、Mg(ClO、MgC、Mg(NO、Mg(OOCCH、MgC等や、Ti(OOCCH、Ti(CO、Ti(NO、Ti(SO、TiF、TiCl、Zr(OOCCH、Zr(CO、Zr(NO、Zr(SO、ZrF、ZrCl、ZrOCl、ZrO(NO、ZrO(ClO、ZrO(SO)、HF(OOCCH、HF(CO、HF(NO、HF(SO、HFOCl、HFF、HFCl、V(CHCOCHCOCH、VOSO、VOCl、VCl、VCl、VBr等や、Cr(CHCOCHCOCH、Cr(OOCCHOH、Cr(NO、Cr(ClO、CrPO、Cr(SO、CrOCl、CrF、CrCl、CrBr、CrI、Mn(OOCCH、Mn(CHCOCHCOCH、MnCO、Mn(NO、MnO、Mn(ClO、MnF、MnCl、Fe(OOCCH、Fe(CHCOCHCOCH、FeCO、Fe(NO、Fe(ClO、FePO、FeSO、Fe(SO、FeF、FeCl、FeC等や、Co(OOCCH、Co(CHCOCHCOCH、CoCO、Co(NO、CoC、Co(ClO、Co(PO、CoSO、CoF、CoCl、NiCO、Ni(NO、NiC、Ni(ClO、NiSO、NiCl、NiBr等や、Zn(OOCCH、Zn(CHCOCHCOCH、ZnCO、Zn(NO、Zn(ClO、Zn(PO、ZnSO、ZnF、ZnCl、AlF、AlCl、AlBr、AlI、Al(SO、Al(C、Al(CHCOCHCOCH、Al(NO、AlPO、GeCl、GeBr、GeI等が挙げられる。
【0093】
(c)アルカリ処理
アルカリ処理で用いられる処理剤としては、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)、Ca(OH)、Sr(OH)、Ba(OH)などが例示される。
【0094】
(d)有機物処理
また、有機物処理に用いられる有機物は、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、トリフェニルホスホニウム、等が挙げられる。
さらに、有機物処理剤を構成する陰イオンとしては、塩類処理剤を構成する陰イオンとして例示した陰イオン以外にも、例えば、ヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレートなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0095】
これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常、吸着水および層間水が含まれる。本発明においては、これらの吸着水および層間水を除去して、成分[B]として使用するのが好ましい。
イオン交換性層状珪酸塩の吸着水および層間水の加熱処理方法は、特に制限されないが、層間水が残存しないように、また、構造破壊を生じないよう条件を選ぶことが望ましい。加熱時間は0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。その際、除去した後の成分bの水分含有率が、温度200℃、圧力1mmHgの条件下で2時間脱水した場合の水分含有率を0重量%とした時、3重量%以下、好ましくは1重量%以下、であることが好ましい。
【0096】
以上のように、本発明において、成分[B]として、特に好ましいものは、塩類処理および/または酸処理を行って得られた、水分含有率が3重量%以下の、イオン交換性層状珪酸塩である。
イオン交換性層状珪酸塩は、触媒形成または触媒として使用する前に、後述する成分[C]で処理を行うことが可能で、好ましい。イオン交換性層状珪酸塩1gに対する成分[C]の使用量に制限は無いが、通常20mmol以下、好ましくは0.5mmol以上、10mmol以下で行う。処理温度や時間の制限は無く、処理温度は、通常0℃以上、70℃以下、処理時間は10分以上、3時間以下で行う。処理後に洗浄することも可能で、好ましい。溶媒は後述する予備重合やスラリー重合で使用する溶媒と同様の炭化水素溶媒を使用する。
【0097】
また、成分[B]は、平均粒径が5μm以上の球状粒子を用いるのが好ましい。粒子の形状が球状であれば天然物あるいは市販品をそのまま使用してもよいし、造粒、分粒、分別等により粒子の形状および粒径を制御したものを用いてもよい。
ここで用いられる造粒法は、例えば攪拌造粒法、噴霧造粒法が挙げられるが、市販品を利用することもできる。
また、造粒の際に、有機物、無機溶媒、無機塩、各種バインダ−を用いてもよい。
【0098】
上記のようにして得られた球状粒子は、重合工程での破砕や微粉の生成を抑制するためには、0.2MPa以上、特に好ましくは0.5MPa以上の圧縮破壊強度を有することが望ましい。このような粒子強度の場合には、特に予備重合を行う場合に、粒子性状改良効果が有効に発揮される。
【0099】
上述の成分[B]の中で、特に好ましいものは、[B−4]イオン交換性層状珪酸塩である。
本発明に係るプロピレン重合用触媒において、[B−1]アルミニウムオキシ化合物、[B−2]成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸、[B−3]固体酸微粒子、あるいは、[B−4]イオン交換性層状珪酸塩微粒子は、それぞれ単独に成分[B]として使用される他、これらの4成分を適宜組み合わせても、使用することができる。
【0100】
(4)成分[C]
成分[C]としては、有機アルミニウム化合物が用いられる。本発明においては、次の一般式:
AlR713−q ・・・・(13)
で示される有機アルミニウム化合物が好適である。
本発明では、この式で表される化合物を単独で、または複数種混合してあるいは併用して使用することができることは言うまでもない。この式中、R71は、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Zは、ハロゲン、水素、アルコキシ基、アミノ基を示す。qは0より大きくかつ3までの数である。R71としては、アルキル基が好ましく、また、Zは、それがハロゲンの場合には塩素が、アルコキシ基の場合には炭素数1〜8のアルコキシ基が、アミノ基の場合には炭素数1〜8のアミノ基が、好ましい。
【0101】
好ましい有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。
これらのうち、好ましくは、q=3のトリアルキルアルミニウムおよびジアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、R71が炭素数1〜8であるトリアルキルアルミニウムである。
【0102】
2.オレフィン重合用触媒の製造方法
本発明のオレフィン重合用触媒の製造方法は、下記工程[I]〜[III]を順次行うこと特徴とする。
工程[I]:成分[A−1]と成分[B]及び[C]とを接触させて、接触生成物(1)を製造する工程。
工程[II]:工程[I]で得られた接触生成物(1)を、不活性炭化水素溶媒を用いて洗浄して、洗浄物を生成する工程。
工程[III]:工程[II]で得られた洗浄物に、成分[A−2]を接触させて、接触生成物(2)を製造する工程。
但し、成分[A−2]に対する[A−1]のモル比率[A−1]/[A−2]は、1.0〜99.0である。
【0103】
(1)工程[I]
工程[I]は、成分[A−1]と成分[B]及び[C]とを接触させて、接触生成物(1)を製造する工程である。
上記の成分[A−1]と成分[B]を、同時にもしくは連続的に、あるいは一度にもしくは複数回にわたって、接触させることによって、形成させることができる。
また、成分[A−1]と成分[B]を接触させる場合に、成分[C]を同時にもしくは連続的に、あるいは一度にもしくは複数回にわたって、接触させることができる。
これらの接触順序としては、合目的な任意の組み合わせが可能であるが、特に好ましいものを各成分について示せば、次の通りである。
(i)成分[A−1]と成分[B]を接触させる前に、成分[A−1]と、あるいは成分[B]と、または成分[A−1]及び成分[B]の両方に、成分[C]を接触させること、または、(ii)成分[A−1]と成分[B]を接触させるのと同時に、成分[C]を接触させること、または、(iii)成分[A−1]と成分[B]を接触させた後に、成分[C]を接触させることが可能であるが、好ましくは、(i)成分[A−1]と成分[B]を接触させる前に、成分[C]といずれかに接触させる方法である。
この時、成分[C]の使用量としては、成分[A−1]に対して、[C]/[A−1]=0.3〜100(モル比)の範囲で接触させることが好ましい。
【0104】
成分[C]は、成分[B]の存在下、成分[A−1]と反応して、活性種を形成する。具体的には、成分[C]としてアルキルアルミニウムを用いた場合、成分[A−1]の補助配位子をアルキル基で置換することにより、活性種が生成する。
したがって、使用する成分[C]の量が少なすぎると、この置換反応が不十分となり、活性が低下するおそれがある。そこで成分[C]の使用量としては、成分[A−1]に対して、モル比で0.3以上が好ましく、より好ましくは0.6以上であり、さらに好ましくは1.0以上である。
また、成分[A−1]には、インデニル環の2位にヘテロ原子を含有する置換基を有しており、このヘテロ原子近傍に成分[C]を存在させることにより、後に成分[A−2]と接触させた場合に、このヘテロ原子が成分[A−2]に作用して、活性を低下してしまうことを防止できると、本発明者らは考えている。そこで成分[C]の使用量としては、成分[A−1]に対して、モル比で2.0以上が好ましく、より好ましくは3.0以上であり、さらに好ましくは4.0以上である。
一方、機構またはメカニズムは必ずしも明確ではないが、成分[C]は、成分[A−1]と反応して、分解もしくは被毒するという副反応を起こすと、本発明者らは考えている。そこで成分[C]の使用量としては、成分[A−1]に対して、モル比で100以下が好ましく、より好ましくは50以下であり、さらに好ましくは10以下である。
【0105】
各成分の接触は、脂肪族炭化水素あるいは芳香族炭化水素溶媒中で、行うのが普通である。接触温度は、特に限定されないが、−20℃〜150℃の間で行うが、先程の副反応を抑えるという観点では、0℃〜60℃の間で行うのが好ましく、更に好ましくは10℃〜30℃の間が好ましい。
【0106】
(2)工程[II]
工程[II]は、工程[I]で得られた接触生成物(1)を、不活性炭化水素溶媒を用いて洗浄して、洗浄物を生成する工程である。
すなわち、工程[I]で各成分を接触させた後、脂肪族炭化水素あるいは芳香族炭化水素溶媒にて、洗浄を行うことにより、工程[I]で成分[B]に担持されないで溶媒中に残った成分[A−1]を、系中から除く工程である。
成分[A−1]には、インデニル環の2位にヘテロ原子を含有する置換基を有する。この成分[A−1]が溶媒中に多量に残ったまま、次の成分[A−2]との接触工程をおこなうと、成分[A−1]上のヘテロ原子が成分[A−2]に作用して、成分[A−2]の一部を被毒もしくは活性を低下させてしまうと、本発明者らは考えている。
したがって、洗浄によって溶媒中に遊離した成分[A−1]の量を十分に低下させることが望ましく、そのためには、洗浄率として、1/10〜1/1000の範囲で洗浄を行うことがよい。
ここで洗浄率とは、洗浄を行う際の洗浄の程度を表すものであって、残液率のことであり、すなわち洗浄後に残存した液量を、洗浄溶媒を添加したときの合計液量で除した値であり、洗浄を複数回行った場合には、それぞれの洗浄率をかけ合わせた値となる。例えば、デカンテーションによる場合には、上澄み中に含まれる各成分量をトータル量1として、洗浄後にトータル量に対し、元来上澄み中に存在していた成分がどれだけ含まれるかを、下記の計算式により求めたものである。
=(V−d)/(V+P
=(V−d)/(V+P
=(Vn−1−d)/Vn−1
洗浄率=W×W・・×W
但し、記号は下記の意味を有する。
:n回目の洗浄率(0回目は洗浄前を示す)
n−1:(n−1)回目の洗浄後の溶液量
:n回目洗浄時の抜き出し量
:n回目洗浄時の追加溶媒量
【0107】
また、工程で洗浄に使用する溶媒は、不活性炭化水素溶媒であり、好ましくはヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物を用いることができる。
また、洗浄時の温度は、0℃以上100℃以下、好ましくは10℃以上80℃以下で行うことができる。
さらに、洗浄工程における攪拌を行う時間は、5分以上30分以下で行うことができる。また、洗浄を行った後には、静沈時間を5分以上1時間以下、好ましくは10分以上30分以下でとることが好ましい。
【0108】
(3)工程[III]
工程[III]は、工程[II]で得られた洗浄物に、成分[A−2]を接触させて、接触生成物(2)を製造する工程である。
すなわち、工程[II]で生成した洗浄物に、成分[A−2]を加えることにより、成分[B]に、成分[A−2]を活性化させて担持させる工程である。
この場合にも、成分[C]は、成分[B]の存在下、成分[A−2]と反応して、活性種を形成する。具体的には、成分[C]としてアルキルアルミニウムを用いた場合、成分[A−2]の補助配位子をアルキル基で置換することにより、活性種が生成する。
したがって、使用する成分[C]の量が少なすぎると、この活性化が不十分となり活性が低下してしまう。そこで、成分[C]の使用量としては、成分[A−2]に対して、モル比で0.3以上が好ましく、より好ましくは0.6以上であり、さらに好ましくは1.0以上である。
一方、成分[C]は、機構またはメカニズムは必ずしも明確ではないが、成分[A−2]と反応して、分解もしくは被毒するという副反応を起こすと、本発明者らは考えている。そこで、この成分[C]の使用量は、成分[A−2]に対して、モル比で10以下が好ましく、更に好ましくは5以下である。
ここで、工程[III]における成分[C]の量とは、工程[I]で加えた成分[C]の量に洗浄率を掛け合わせた量と、工程[III]で新たに加えた成分[C]の量とを、合わせた量となる。
したがって、工程[III]で、成分[A−2]に対する成分[C]の量が上記の範囲に入るように、余分な成分[C]を除くために、工程[II]で好適な洗浄率を選択することが好ましい。
【0109】
本発明で使用する成分[A−1]、成分[A−2]、[B]の使用量は、任意である。例えば、成分[B]に対する成分[A−1]の使用量は、成分[B]1gに対し、好ましくは1.0μmol〜50μmol、特に好ましくは2.0μmol〜30μmolの範囲である。
また、成分[A−2]の使用量は、成分[B]1gに対し、好ましくは0.5μmol〜25μmol、特に好ましくは1.0μmol〜15μmolの範囲である。
【0110】
本発明で使用する成分[A−1]と成分[A−2]は、成分[A−1]/成分[A−2]のモル比率が1.0以上、99.0以下である。この割合を変化させることで、溶融物性と触媒活性のバランスを調整することが可能である。
つまり、成分[A−1]からは、低分子量の末端ビニルマクロマーを生成し、成分[A−2]からは、一部マクロマーを共重合した高分子量体を生成する。
したがって、成分[A−2]に対する成分[A−1]の割合を変化させることで、マクロマー濃度を変化させるこができ、それにより重合体の分岐量を変えることができる。
より分岐量の多い重合体を製造するためには、成分[A−1]/成分[A−2]のモル比率は、1.0以上が必要であり、好ましくは1.5以上であり、更に好ましくは2.0以上である。また、上限に関しては99.0以下であり、好ましくは40.0以下であり、更に好ましくは10.0以下であり、さらに、高い触媒活性で効率的に本発明の重合体を得るためには、好ましくは5.0以下であり、更に好ましくは3.0以下の範囲である。ここで、成分[A−1]は、工程[I]における成分[A−1]の使用量を示し、一方、成分[A−2]は、工程[III]における成分[A−2]の使用量を示す。
また、上記範囲で成分[A−1]を使用することにより、水素量に対する、平均分子量と触媒活性のバランスを調整することが可能である。
【0111】
また、本発明に係る触媒は、これにオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合を実施することが可能であり、好ましい。予備重合を行うことにより、本重合を行った際に、溶融物性を向上することができる。
その理由としては、本重合を行った際に重合体粒子間で分岐成分を均一に分布させることができるためと、本発明者らは考えている。反対に、予備重合を行わない場合には、条件によっては不均一性が顕著になることでゲルが生成してしまい、品質を損なうという懸念がある。
そこで予備重合するポリマー量は、成分[B]に対し重量比で、好ましくは0.01以上、さらに好ましくは0.1以上であり、上限は、経済性や取り扱いのためには100以下、さらに好ましくは50以下である。ここで成分[B]に対するポリマーの重量比のことを予備重合倍率と表現することもある。
【0112】
また、予備重合に使用するオレフィンは、特に限定はないが、プロピレン、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等を例示することができ、好ましくはプロピレンである。
オレフィンのフィード方法は、オレフィンを反応槽に定速的にあるいは定圧状態になるように維持するフィード方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせる等、任意の方法が可能である。予備重合温度、時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合時に成分[C]を添加、又は追加することもできる。また、予備重合終了後に洗浄することも可能である。
なお、本発明で使用する触媒には、成分[A−1]、成分[A−2]、[B]、[C]の成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、通常用いられるポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、チタニア等の無機酸化物の固体等を添加してもよい。
【0113】
3.触媒の使用/プロピレン重合
重合様式は、前記成分[A−1]、成分[A−2]、成分[B]及び成分[C]を含むオレフィン重合用触媒とモノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用し得る。
具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いる、所謂バルク法、溶液重合法あるいは実質的に液体溶媒を用いず各モノマーをガス状に保つ気相法などが採用できる。また、連続重合、回分式重合を行う方法も適用される。また、単段重合以外に、2段以上の多段重合することも可能である。
【0114】
スラリー重合の場合は、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。
また、重合温度は、0℃以上150℃以下である。特に、バルク重合を用いる場合には、40℃以上が好ましく、更に好ましくは50℃以上である。また上限は、80℃以下が好ましく、更に好ましくは75℃以下である。
さらに、気相重合を用いる場合には、40℃以上が好ましく、更に好ましくは50℃以上である。また上限は100℃以下が好ましく、更に好ましくは90℃以下である。
【0115】
重合圧力は、1.0MPa以上5.0MPa以下である。特に、バルク重合を用いる場合には、1.5MPa以上が好ましく、更に好ましくは2.0MPa以上である。また上限は、4.0MPa以下が好ましく、更に好ましくは3.5MPa以下である。
さらに、気相重合を用いる場合には、1.0MPa以上が好ましく、更に好ましくは1.5MPa以上である。また上限は3.0MPa以下が好ましく、更に好ましくは2.5MPa以下である。
【0116】
さらに、分子量調節剤として、また、活性向上効果のために、補助的に水素をプロピレンに対して、モル比で1.0×10−6以上、1.0×10−2以下の範囲で用いることができる。
また、使用する水素の量を変化させることで、生成する重合体の平均分子量の他に、分子量分布、分子量分布の高分子量側への偏り、非常に高い分子量成分、分岐(量、長さ、分布)を制御することができ、そのことにより、歪硬化度、溶融張力、溶融延展性といった溶融物性を制御することができる。
【0117】
また、プロピレンモノマー以外に、炭素数2〜20(モノマーとして使用するものを除く)程度のα−オレフィンをコモノマーとして使用する共重合を行ってもよい。プロピレン系重合体中の(総)コモノマー含量は、0モル%以上、20モル%以下の範囲であり、上記コモノマーを複数種使用することも可能である。具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンである。
この中では、本発明に係るプロピレン系重合体を溶融物性と触媒活性をバランスよく得るためには、エチレンを5モル%以下で用いるのが好ましい。特に、剛性の高い重合体を得るためには、重合体中に含まれるエチレンを1モル%以下になるように、エチレンを用いるのがよく、更に好ましくはプロピレン単独重合である。
【0118】
4.プロピレン系重合体の分析および物性
本発明では、特定の構造をもつ成分[A−1]からβ−メチル脱離反応により末端がビニル構造をもつマクロマーが生成し、更に、特定の構造をもつ成分[A−2]によりそのマクロマーが共重合されることにより、長鎖分岐構造をもつポリマーが生成するという特徴を有する。
したがって、本発明で製造できるプロピレン系重合体は、長鎖分岐が多く導入された重合体であることを特徴とする。また、長鎖分岐が多く導入されることにより、溶融物性が更に向上して、各種成形に有利となることが推察できる。
長鎖分岐量の定量化方法としては、13C−NMRや下記に示す3D−GPCによる測定方法が挙げられる。
本発明においては、下記に示す3D−GPC測定から算出する分岐指数(g’)を用いて、長鎖分岐量の評価を行った。
【0119】
[3D−GPCによる分岐構造解析]
本明細書において、3D−GPCとは、3つの検出器が接続されたGPC装置をいう。かかる3つの検出器は、示差屈折計(RI)、粘度検出器(Viscometer)及び多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)である。
示差屈折計(RI)および粘度検出器(Viscometer)を装備したGPC装置として、Waters社のAlliance GPCV2000を用いた。
また、光散乱検出器として、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)Wyatt Technology社のDAWN−Eを用いた。
検出器は、MALLS、RI、Viscometerの順で接続した。移動相溶媒は、1,2,4−trichlorobenzene(酸化防止剤のIrganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)である。流量は1mL/分である。カラムは、東ソー社 GMHHR−H(S) HTを2本連結して用いた。カラム、試料注入部および各検出器の温度は、140℃である。試料濃度は1mg/mLとした。注入量(サンプルループ容量)は0.2175mLである。
MALLSから得られる絶対分子量(M)、慣性二乗半径(Rg)およびViscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行った。
【0120】
参考文献:
1.Developments in polymer characterization, vol.4. Essex: Applied Science; 1984. Chapter1.
2.Polymer, 45, 6495−6505(2004)
3.Macromolecules, 33, 2424−2436(2000)
4.Macromolecules, 33, 6945−6952(2000)
【0121】
[分岐指数(g’)の算出]
分岐指数(g’)は、サンプルを上記Viscometerで測定して得られる極限粘度(ηbranch)と、別途、線状ポリマーを測定して得られる極限粘度(ηlin)との比(ηbranch/ηlin)として、算出する。
ポリマー分子に長鎖分岐が導入されると、同じ分子量の線状のポリマー分子と比較して、慣性半径が小さくなる。慣性半径が小さくなると、極限粘度が小さくなることから、長鎖分岐が導入されるに従い、同じ分子量の線形ポリマーの極限粘度(ηlin)に対する分岐ポリマーの極限粘度(ηbranch)の比(ηbranch/ηlin)は小さくなっていく。
したがって、分岐指数(g’=ηbranch/ηlin)が1より小さい値になる場合には、分岐が導入されていることを意味し、その値が小さくなるに従い、導入されている長鎖分岐が増大していくことを意味する。
【0122】
本発明により製造できるプロピレン系重合体は、長鎖分岐が多く導入されることに特徴があり、それにより溶融物性が向上する効果を有する。
したがって、本発明によるプロピレン系重合体では、分岐指数(g’)は、分子量(M)が100万のところで、0.95以下であることを特徴とし、さらには0.90以下であることを特徴とする。
【実施例】
【0123】
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性測定、分析等は、下記の方法に従ったものである。
【0124】
(1)メルトフローレート(MFR)
JIS K6758のポリプロピレン試験方法のメルトフローレート(試験条件:230℃、荷重2.16kgf)に従って、測定した。単位はg/10分である。
(2)3D−GPCによる分岐構造解析
上記本明細書記載の方法で行った。
【0125】
[触媒成分[A−1]の合成例1]
(1)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウムの合成:(成分[A−1](錯体1)の合成):
(1−1)4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの合成:
500mlのガラス製反応容器に、4−i−プロピルフェニルボロン酸15g(91mmol)、ジメトキシエタン(DME)200mlを加え、炭酸セシウム90g(0.28mol)と水100mlの溶液を加え、4−ブロモインデン13g(67mmol)、テトラキストリフェニルホスフィノパラジウム5g(4mmol)を順に加え、80℃で6時間加熱した。
放冷後、反応液を蒸留水500ml中に注ぎ、分液ロートに移しジイソプロピルエーテルで抽出した。エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの無色液体15.4g(収率99%)を得た。
【0126】
(1−2)2−ブロモ−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの合成:
500mlのガラス製反応容器に4−(4−i−プロピルフェニル)インデン15.4g(67mmol)、蒸留水7.2ml、DMSO200mlを加え、ここにN−ブロモスクシンイミド17g(93mmol)を徐々に加えた。そのまま室温で2時間撹拌し、反応液を氷水500ml中に注ぎ入れ、トルエン100mlで3回抽出した。トルエン層を飽和食塩水で洗浄し、p−トルエンスルホン酸2g(11mmol)を加え、水分を除去しながら3時間加熱還流した。反応液を放冷後、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−ブロモ−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの黄色液体19.8g(収率96%)を得た。
【0127】
(1−3)2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの合成:
500mlのガラス製反応容器に、2−メチルフラン6.7g(82m1mol)、DME100mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.59mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液51ml(81mmol)を滴下し、そのまま3時間撹拌した。−70℃に冷却し、そこにトリイソプロピルボレート20ml(87mmol)とDME50mlの溶液を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
反応液に蒸留水50mlを加え加水分解した後、炭酸カリウム223gと水100mlの溶液、2−ブロモ−4−(4−i−プロピルフェニル)インデン19.8gg(63mmol)を順に加え、80℃で加熱し、低沸分を除去しながら3時間反応させた。放冷後、反応液を蒸留水300ml中に注ぎ、分液ロートに移しジイソプロピルエーテルで3回抽出した、エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの無色液体19.6g(収率99%)を得た。
【0128】
(1−4)ジメチルビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)シランの合成:
500mlのガラス製反応容器に、2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデン9.1g(29mmol)、THF200mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.66mol/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液17ml(28mmol)を滴下し、そのまま3時間撹拌した。−70℃に冷却し、1−メチルイミダゾール0.1ml(2mmol)、ジメチルジクロロシラン1.8g(14mmol)を順に加え、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
反応液に蒸留水を加え、分液ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄し、硫酸ナトリウムを加え反応液を乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、ジメチルビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)シランの淡黄色固体8.6g(収率88%)を得た。
【0129】
(1−5)ジメチルシリレンビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)ハフニウムジクロライドの合成:
500mlのガラス製反応容器に、ジメチルビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)シラン8.6g(13mmol)、ジエチルエーテル300mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.66mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液15ml(25mmol)を滴下し、3時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧で留去し、トルエン400ml、ジエチルエーテル40mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ハフニウム4.0g(13mmol)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン−ヘキサンで再結晶を行い、ジメチルシリレンビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)ハフニウムジクロライドのラセミ体を黄色結晶として7.6g(収率65%)得た。
得られたラセミ体についてのH−NMRによる同定値を以下に記す。
H−NMR(C6D6)同定結果
ラセミ体:δ0.95(s,6H),δ1.10(d,12H),δ2.08(s,6H),δ2.67(m,2H),δ5.80(d,2H),δ6.37(d,2H),δ6.74(dd,2H),δ7.07(d,2H),δ7.13(d,4H),δ7.28(s,2H),δ7.30(d,2H),δ7.83(d,4H)。
【0130】
[触媒成分[A−2]の合成例2]:
(1)rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウムの合成:(成分[A−1](錯体2)の合成):
rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウムの合成は、特開平11―240909号公報の実施例1に記載の方法と同様に、実施した。
【0131】
[触媒成分(B)の合成例]
イオン交換性層状珪酸塩の化学処理:
セパラブルフラスコ中で蒸留水2264gに96%硫酸(668g)を加えその後、層状珪酸塩としてモンモリロナイト(水沢化学社製ベンクレイSL:平均粒径19μm)4Lを加えた。このスラリーを90℃で210分加熱した。この反応スラリーを蒸留水4000g加えた後にろ過したところケーキ状固体810gを得た。
次に、セパラブルフラスコ中に、硫酸リチウム432g、蒸留水1924gを加え硫酸リチウム水溶液としたところへ、上記ケーキ上固体を全量投入した。このスラリーを室温で120分反応させた。このスラリーに蒸留水4L加えた後にろ過し、更に蒸留水でpH5〜6まで洗浄し、ろ過を行ったところ、ケーキ状固体760gを得た。
得られた固体を窒素気流下100℃で一昼夜予備乾燥後、53μm以上の粗大粒子を除去し、更に200℃、2時間、減圧乾燥することにより、化学処理スメクタイト220gを得た。
この化学処理スメクタイトの組成は、Al:6.45重量%、Si:38.30重量%、Mg:0.98重量%、Fe:1.88重量%、Li:0.16重量%であり、Al/Si=0.175[mol/mol]であった。
【0132】
[実施例1]
触媒調製及び予備重合:
3つ口フラスコ(容積1L)中に、上で得られた化学処理スメクタイト10gを入れ、ヘプタン(66mL)を加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を34.0mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液率が1/100になるまで洗浄し、全容量を30mLとした。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分[A−1]の合成例1で作製したrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウム(105μmol)をトルエン(21mL)に溶解し(溶液1)、更に、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分[A−2]の合成例2で作製したrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム(45μmol)をトルエン(9mL)に溶解した(溶液2)。
【0133】
先ほどの化学処理スメクタイトが入った1Lフラスコにトリイソブチルアルミニウム(0.42mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を0.6mL)を加えた後、上記溶液1(21mL)を加えて20分間室温で撹拌した。
その後、ヘプタンを250ml加えて撹拌後静沈し、上澄みを270ml抜き出した(洗浄率が1/10、残存アルミニウム量が0.042mmolである。)。引き続き、トルエン19ml、へプタン5.0ml加えた。
その後、更にトリイソブチルアルミニウム(0.18mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を0.25mL)を加えた後、上記溶液2加えて、1時間室温で攪拌した(残存アルミニウム量が0.222mmol、成分[C]/成分[A−2]=4.9である。)。
その後、ヘプタンを190mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にしたのちプロピレンを5g/時の速度でフィードし、4時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(6mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を8.5mL)を加えて5分攪拌した。
この固体を1時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒30.1gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.01であった(触媒A)。
【0134】
[実施例2]
触媒調製及び予備重合:
3つ口フラスコ(容積1L)中に、上で得られた化学処理スメクタイト10gを入れ、ヘプタン(66mL)を加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を34.0mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液率が1/100になるまで洗浄し、全容量を50mLとした。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分[A−1]の合成例1で作製したrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウム(105μmol)をトルエン(21mL)に溶解し(溶液1)、更に、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分[A−2]の合成例2で作製したrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム(45μmol)をトルエン(9mL)に溶解した(溶液2)。
【0135】
先ほどの化学処理スメクタイトが入った1Lフラスコにトリイソブチルアルミニウム(4.2mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を5.9mL)を加えた後、上記溶液1(21mL)を加えて20分間室温で撹拌した。
その後、ヘプタンを230ml加えて撹拌後静沈し、上澄みを270ml抜き出し、再びヘプタンを270ml加えて撹拌後静沈し、上澄みを270ml抜き出した(洗浄率が1/100、残存アルミニウム量が0.042mmolである。)。引き続き、トルエン26ml、へプタン21ml加えた。
その後、更にトリイソブチルアルミニウム(0.18mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を0.25mL)を加えた後上記溶液2加えて、1時間室温で攪拌した(残存アルミニウム量が0.222mmol、成分[C]/成分[A−2]=4.9である。)。
その後、ヘプタンを170mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にしたのちプロピレンを5g/時の速度でフィードし、4時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(6mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を8.5mL)を加えて5分攪拌した。
この固体を1時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒30.3gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.03であった(触媒B)。
【0136】
[比較例1]
触媒調製及び予備重合:
3つ口フラスコ(容積1L)中に、上で得られた化学処理スメクタイト10gを入れ、ヘプタン(66mL)を加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を34.0mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液率が1/100になるまで洗浄し、全容量を50mLとした。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分[A−1]の合成例1で作製したrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウム(105μmol)をトルエン(21mL)に溶解し(溶液1)、更に、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分[A−2]の合成例2で作製したrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム(45μmol)をトルエン(9mL)に溶解した(溶液2)。
【0137】
先ほどの化学処理スメクタイトが入った1Lフラスコにトリイソブチルアルミニウム(0.42mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を0.6mL)を加えた後、上記溶液1(21mL)を加えて20分間室温で撹拌した。
その後、更にトリイソブチルアルミニウム(0.18mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を0.25mL)を加えた後上記溶液2加えて、1時間室温で攪拌した(残存アルミニウム量が0.60mmol、成分[C]/成分[A−2]=13.3である。)。
その後、ヘプタンを170mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にしたのちプロピレンを5g/時の速度でフィードし、4時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(6mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を8.5mL)を加えて5分攪拌した。
この固体を1時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒26.1gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.61であった(触媒C)。
【0138】
[比較例2]
触媒調製及び予備重合:
3つ口フラスコ(容積1L)中に、上で得られた化学処理スメクタイト10gを入れ、ヘプタン(66mL)を加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を34.0mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液率が1/100になるまで洗浄し、全容量を50mLとした。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分(A−1)の合成例1で作製したrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウム(105μmol)をトルエン(21mL)に溶解し(溶液1)、更に、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分(A−2)の合成例2で作製したrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム(45μmol)をトルエン(9mL)に溶解した(溶液2)。
【0139】
先ほどの化学処理スメクタイトが入った1Lフラスコにトリイソブチルアルミニウム(0.60mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を0.84mL)を加えた後、上記溶液1(21mL)を加えて5分間室温で撹拌した。
その後、上記溶液2加えて、1時間室温で攪拌した(残存アルミニウム量が0.60mmol、成分[C]/成分[A−2]=13.3である。)。
その後、ヘプタンを170mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にしたのちプロピレンを5g/時の速度でフィードし、4時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(6mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を8.5mL)を加えて5分攪拌した。
この固体を1時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒25.0gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.50であった(触媒D)。
【0140】
上記の実施例1、2及び比較例1、2の概要を表1に纏めた。
【0141】
【表1】

【0142】
[重合例1]
プロピレンの重合:
3Lオートクレーブに加熱下窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(144mg/mL)2.86mLを加え、水素を76Nml導入し、液体プロピレン750gを導入した後、70℃まで昇温した。
その後、実施例1で合成した触媒Aを、予備重合ポリマーを除いた重量で80mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。70℃で1時間保持した後、エタノールを加えて重合を停止した。
その結果、310gの重合体が得られた。MFRは1.4g/10minで、活性は3900gPP/g触媒・時間であった。結果を表2、図1に纏めた。
【0143】
[重合例2]
重合例1において、導入する水素の量を57Nml、触媒Aを90mg使用する以外は、同様の重合をおこなった。
その結果、306gの重合体が得られた。MFRは、0.6g/10minで、活性は、3400gPP/g触媒・時間であった。結果を表2、図1に纏めた。
【0144】
[重合例3]
重合例1において、触媒Aのかわりに、実施例2で合成した触媒Bを80mg使用する以外は同様の重合をおこなった。
その結果、280gの重合体が得られた。MFRは1.1g/10minで、活性は3500gPP/g触媒・時間であった。結果を表2、図1に纏めた。
【0145】
[重合例4]
プロピレンの重合:
3Lオートクレーブに加熱下窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(144mg/mL)2.86mLを加え、水素を76Nml導入し、液体プロピレン750gを導入した後、70℃まで昇温した。
その後、比較例1で合成した触媒Cを、予備重合ポリマーを除いた重量で100mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。70℃で1時間保持した後、エタノールを加えて重合を停止した。
その結果、200gの重合体が得られた。MFRは0.8g/10minで、活性は2000gPP/g触媒・時間であった。結果を表2、図1に纏めた。
【0146】
[重合例5]
重合例4において、導入する水素の量を95Nmlにする以外は、同様の重合をおこなった。
その結果、260gの重合体が得られた。MFRは2.0g/10minで、活性は2600gPP/g触媒・時間であった。結果を表2、図1に纏めた。
【0147】
[重合例6]
重合例4において、触媒Cのかわりに、比較例2で合成した触媒Dを100mg使用する以外は、同様の重合をおこなった。
その結果、200gの重合体が得られた。MFRは1.0g/10minで、活性は2000gPP/g触媒・時間であった。結果を表2、図1に纏めた。
【0148】
【表2】

【0149】
表2および図1から明らかなように、本発明のオレフィン重合用触媒の製造方法から得られた触媒(A、B)は、従来の方法の触媒(比較例1、2)に比べて、活性が高く、長鎖分岐を含有するプロピレン系重合体を効率的に製造できることが分かる。
【0150】
[触媒成分[A−1]の合成例3]
rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウムの合成:
rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウムの合成は、特開2009−57542号公報に記載の方法にしたがって、実施した。
【0151】
[触媒成分[A−2]の合成例4]
rac−ジクロロ{ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)}ハフニウムの合成:
rac−ジクロロ{ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)}ハフニウムの合成は、特開平1−319589号公報に記載の方法にしたがって、実施した。
【0152】
[実施例3]
触媒調製及び予備重合:
3つ口フラスコ(容積1L)中に、上記で化学処理したイオン交換性層状珪酸塩10gを入れ、ヘプタンを66mL加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度144mg/mLのヘプタン溶液を34mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで洗浄(残液率1/100まで)し、全容量を50mLとした。
その後、トリイソブチルアルミニウム(0.42mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を0.60mL)を加え、次に、別のフラスコ(容積200mL)に調整していた、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム(0.105mmol)のトルエン溶液(21mL)を加えた。
その後、ヘプタンを250ml加えて撹拌後静沈し、上澄みを270ml抜き出した(洗浄率が1/10、残存アルミニウム量が0.042mmolである。)。引き続き、トルエン19ml、へプタン5.0ml加えた。
更に5分後にトリイソブチルアルミニウム(0.18mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を0.26mL)を加えた後、別のフラスコ(容積200mL)に調整していた、rac−ジクロロ{ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)}ハフニウム(0.045mmol)のトルエン(9.0mL)溶液を加えてスラリーとしたものを加え、60分室温で攪拌し反応させた。その後ヘプタンを170mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃に安定させた後にプロピレンを5g/時の速度でフィードし2時間、40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、40℃で1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、上記デカンテーションにより残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(12mmol:濃度144mg/mLのヘプタン溶液を8.5mL)を加えて10分攪拌した。
この固体を2時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒22.0gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.20であった(触媒E)。
【0153】
[比較例3]
触媒調製及び予備重合:
3つ口フラスコ(容積1L)中に、上記で化学処理したイオン交換性層状珪酸塩10gを入れ、ヘプタンを66mL加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度144mg/mLのヘプタン溶液を34mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで洗浄(残液率1/100まで)し、全容量を50mLとした。
その後、トリイソブチルアルミニウム(0.42mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を0.60mL)を加え、次に、別のフラスコ(容積200mL)に調整していた、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム(0.105mmol)のトルエン溶液(21mL)を加え、更に5分後にトリイソブチルアルミニウム(0.18mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を0.26mL)を加えた後、別のフラスコ(容積200mL)に調整していた、rac−ジクロロ{ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)}ハフニウム(0.045mmol)のトルエン(9.0mL)溶液を加えてスラリーとしたものを加え、60分室温で攪拌し反応させた。その後ヘプタンを170mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃に安定させた後にプロピレンを5g/時の速度でフィードし2時間、40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、40℃で1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、上記デカンテーションにより残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(12mmol:濃度144mg/mLのヘプタン溶液を8.5mL)を加えて10分攪拌した。
この固体を2時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒17.2gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は0.72であった(触媒F)。
【0154】
[触媒成分[A−2]の合成例5]
rac−ジクロロ(1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル))ハフニウムの合成:
rac−ジクロロ(1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル))ハフニウムの合成は、特開2001−253913号公報の実施例1に準じて合成を実施した。
【0155】
[実施例4]
触媒調製及び予備重合:
3つ口フラスコ(容積1L)中に、上記で化学処理したイオン交換性層状珪酸塩10gを入れ、ヘプタンを66mL加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度144mg/mLのヘプタン溶液を34mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで洗浄(残液率1/100まで)し、全容量を50mLとした。
その後、トリイソブチルアルミニウム(0.42mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を0.60mL)を加え、次に、別のフラスコ(容積200mL)に調整していた、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム(0.105mmol)のトルエン溶液(21mL)を加えた。
その後、ヘプタンを250ml加えて撹拌後静沈し、上澄みを270ml抜き出した(洗浄率が1/10、残存アルミニウム量が0.042mmolである。)。引き続き、トルエン19ml、へプタン5.0ml加えた。
更に5分後にトリイソブチルアルミニウム(0.18mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を0.26mL)を加えた後、別のフラスコ(容積200mL)に調整していた、rac−ジクロロ(1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル))ハフニウム(0.045mmol)のトルエン(9.0mL)溶液を加えてスラリーとしたものを加え、60分室温で攪拌し反応させた。その後ヘプタンを170mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃に安定させた後にプロピレンを5g/時の速度でフィードし2時間、40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、40℃で1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、上記デカンテーションにより残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(12mmol:濃度144mg/mLのヘプタン溶液を8.5mL)を加えて10分攪拌した。
この固体を2時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒1.82gを得た。予備重倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は0.82であった(触媒G)。
【0156】
[比較例4]
触媒調製及び予備重合:
3つ口フラスコ(容積1L)中に、上記で化学処理したイオン交換性層状珪酸塩10gを入れ、ヘプタンを66mL加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度144mg/mLのヘプタン溶液を34mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで洗浄(残液率1/100まで)し、全容量を50mLとした。
その後、トリイソブチルアルミニウム(0.42mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を0.60mL)を加え、次に、別のフラスコ(容積200mL)に調整していた、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム(0.105mmol)のトルエン溶液(21mL)を加えた。
更に5分後にトリイソブチルアルミニウム(0.18mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を0.26mL)を加えた後、別のフラスコ(容積200mL)に調整していた、rac−ジクロロ(1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル))ハフニウム(0.045mmol)のトルエン(9.0mL)溶液を加えてスラリーとしたものを加え、60分室温で攪拌し反応させた。その後ヘプタンを170mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃に安定させた後にプロピレンを5g/時の速度でフィードし2時間、40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、40℃で1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、上記デカンテーションにより残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(12mmol:濃度144mg/mLのヘプタン溶液を8.5mL)を加えて10分攪拌した。
この固体を2時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒13.2gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は0.32であった(触媒H)。
【0157】
[触媒成分[A−1]の合成例6]
rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウムの合成:
ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウムの合成は、特開2009−299046号公報に記載の方法にしたがって、実施した。
【0158】
[触媒成分[A−2]の合成例7]
rac−ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウムの合成:
ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウムの合成は、特開2007−308486号公報に記載の方法にしたがって、実施した。
【0159】
[実施例5]
触媒調製及び予備重合:
3つ口フラスコ(容積1L)中に、上記で化学処理したイオン交換性層状珪酸塩10gを入れ、ヘプタンを66mL加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度144mg/mLのヘプタン溶液を34mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで洗浄(残液率1/100まで)し、全容量を50mLとした。
その後、トリイソブチルアルミニウム(0.42mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を0.60mL)を加え、次に、別のフラスコ(容積200mL)に調製した、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム(0.105mmol)のトルエン溶液(21mL)を加えた。
その後、ヘプタンを250ml加えて撹拌後静沈し、上澄みを270ml抜き出した(洗浄率が1/10、残存アルミニウム量が0.042mmolである。)。引き続き、トルエン19ml、へプタン5.0ml加えた。
更に5分後にトリイソブチルアルミニウム(0.18mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を0.26mL)を加えた後、別のフラスコ(容積200mL)に調製した、ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム(0.045mmol)のトルエン(9.0mL)溶液を加えてスラリーとしたものを加え、60分室温で攪拌し反応させた。その後ヘプタンを220mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃に安定させた後にプロピレンを5g/時の速度でフィードし4時間、40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、40℃で1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、上記デカンテーションにより残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(12mmol:濃度144mg/mLのヘプタン溶液を8.5mL)を加えて10分攪拌した。
この固体を2時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒を得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.95であった(触媒I)。
【0160】
[比較例5]
触媒調製及び予備重合:
3つ口フラスコ(容積1L)中に、上記で化学処理したイオン交換性層状珪酸塩10gを入れ、ヘプタンを66mL加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度144mg/mLのヘプタン溶液を34mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで洗浄(残液率1/100まで)し、全容量を50mLとした。
その後、トリイソブチルアルミニウム(0.42mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を0.60mL)を加え、次に、別のフラスコ(容積200mL)に調製した、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム(0.105mmol)のトルエン溶液(21mL)を加え、更に5分後にトリイソブチルアルミニウム(0.18mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を0.26mL)を加えた後、別のフラスコ(容積200mL)に調製した、ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム(0.045mmol)のトルエン(9.0mL)溶液を加えてスラリーとしたものを加え、60分室温で攪拌し反応させた。その後ヘプタンを220mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃に安定させた後にプロピレンを5g/時の速度でフィードし4時間、40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、40℃で1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、上記デカンテーションにより残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(12mmol:濃度144mg/mLのヘプタン溶液を8.5mL)を加えて10分攪拌した。
この固体を2時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒を得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.45であった(触媒J)。
【0161】
上記の実施例3〜5及び比較例3〜5の概要を表3に纏めた。
【0162】
【表3】

【0163】
[重合例7]
3Lオートクレーブに加熱下窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(144mg/mL)2.86mLを加え、水素を19Nml加えて、プロピレン750gを導入した後、70℃まで昇温した。
その後、上記実施例3で合成した予備重合触媒Eを、予備重合ポリマーを除いた重量で100mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。70℃で1時間保持した後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止した。
その結果、250gの重合体が得られた。評価結果を表4に示す。
【0164】
[重合例8]
3Lオートクレーブに加熱下窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(144mg/mL)2.86mLを加え、液体プロピレン750gを導入した後、70℃まで昇温した。
その後、上記比較例3で合成した予備重合触媒Fを、予備重合ポリマーを除いた重量で200mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。70℃で1時間保持した後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止した。
その結果、304gの重合体が得られた。評価結果を表4に示す。
【0165】
[重合例9]
3Lオートクレーブに加熱下窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(144mg/mL)2.86mLを加え、水素を19Nml加えて、プロピレン750gを導入した後、70℃まで昇温した。
その後、上記実施例4で合成した予備重合触媒Gを、予備重合ポリマーを除いた重量で100mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。70℃で1時間保持した後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止した。
その結果、230gの重合体が得られた。評価結果を表4に示す。
【0166】
[重合例10]
3Lオートクレーブに加熱下窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(144mg/mL)2.86mLを加え、液体プロピレン750gを導入した後、70℃まで昇温した。
その後、上記比較例4で合成した予備重合触媒Hを、予備重合ポリマーを除いた重量で250mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。70℃で1時間保持した後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止した。
その結果、313gの重合体が得られた。評価結果を表4に示す。
【0167】
[重合例11]
3Lオートクレーブに加熱下窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(144mg/mL)2.86mLを加え、液化プロピレン750gを導入した後、70℃まで昇温した。
その後、上記実施例5で合成した予備重合触媒Iを、予備重合ポリマーを除いた重量で200mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。70℃で1時間保持した後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止した。
その結果、300gの重合体が得られた。評価結果を表4に示す。
【0168】
[重合例12]
3Lオートクレーブに加熱下窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(144mg/mL)2.86mLを加え、液化プロピレン750gを導入した後、70℃まで昇温した。
その後、上記比較例5で合成した予備重合触媒Jを、予備重合ポリマーを除いた重量で200mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。70℃で1時間保持した後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止した。
その結果、214gの重合体が得られた。評価結果を表4に示す。
【0169】
【表4】

【0170】
表4から明らかなように、本発明のオレフィン重合用触媒の製造方法から得られた触媒(E、G、I)は、触媒A、Bと同様に、従来の方法の触媒(比較例3、4、5)に比べて、活性が高く、長鎖分岐を含有するプロピレン系重合体を効率的に製造できることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本発明のオレフィン重合用触媒の製造方法では、マクロマーを生成する触媒成分とそれを共重合する触媒成分を用いて、特定の工程を順次行うことにより、長鎖分岐を含有するプロピレン系重合体を効率的に製造できる高活性な二元触媒を提供することができ、産業上、利用可能性が高いものである。また、得られた高活性な二元触媒を用いて重合されたプロピレン系重合体は、長鎖分岐が多く導入されて、溶融物性が改良されているため、これまた、利用可能性が高いものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも下記成分[A−1]、[A−2]、[B]及び[C]からなるオレフィン重合用触媒の製造方法であって、
下記工程[I]〜[III]を順次行うこと特徴とするオレフィン重合用触媒の製造方法。
工程[I]:成分[A−1]と成分[B]及び[C]とを接触させて、接触生成物(1)を製造する工程。
工程[II]:工程[I]で得られた接触生成物(1)を、不活性炭化水素溶媒を用いて洗浄して、洗浄物を生成する工程。
工程[III]:工程[II]で得られた洗浄物に、成分[A−2]を接触させて、接触生成物(2)を製造する工程。
但し、成分[A−2]に対する[A−1]のモル比率[A−1]/[A−2]は、1.0〜99.0である。
成分[A−1]:一般式(a1)で表される化合物。
【化1】

[一般式(a1)中、R11およびR12は、各々独立して、窒素、酸素または硫黄を含有する炭素数4〜16の複素環基を示す。また、R13およびR14は、各々独立して、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン若しくはこれらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい炭素数6〜16のアリール基、または窒素、酸素若しくは硫黄を含有する炭素数6〜16の複素環基を表す。さらに、M11は、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、X11及びY11は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表し、Q11は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基を表す。]
成分[A−2]:一般式(a2)で表される化合物。
【化2】

[一般式(a2)中、E21およびE22は、それぞれ独立して、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはアズレニル基であり、それぞれ置換基を有していてもよい(但し、置換基が窒素、酸素または硫黄を含有する炭素数4〜16の複素環基であることはない。)。Q21は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基を表し、M21は、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、X21およびY21は、それぞれ独立して、上記X11およびY11と同様の置換基を示す。]
成分[B]:アルミニウムオキシ化合物[B−1]、上記遷移金属化合物[A−1]、[A−2]と反応してカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸[B−2]、固体酸微粒子[B−3]、およびイオン交換性層状珪酸塩[B−4]からなる化合物群から選ばれる少なくとも一種。
成分[C]:有機アルミニウム化合物。
【請求項2】
成分[B]がイオン交換性層状珪酸塩[B−4]であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン重合用触媒の製造方法。
【請求項3】
イオン交換性層状珪酸塩[B−4]がスメクタイト族であることを特徴とする請求項1又は2に記載のオレフィン重合用触媒の製造方法。
【請求項4】
成分[A−2]のM21がハフニウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒の製造方法。
【請求項5】
オレフィンを、成分[B]に対し、重量比で0.01〜100の範囲で予備重合を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒の製造方法。
【請求項6】
分子量(M)が100万(logM=6)における分岐指数(g’)が0.95以下である重合体の製造に用いられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒の製造方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−149160(P2012−149160A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8562(P2011−8562)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(596133485)日本ポリプロ株式会社 (577)
【Fターム(参考)】