説明

オンオフスイッチ

【課題】全周方向において任意の方向に傾けることができる操作性に優れたレバースイッチを備えた、非接触型のオンオフスイッチを提供する。
【解決手段】可撓性を有し常態へ復元自在に伸展する筒材の一端を基材に固定し、可撓性を有する棒材を該筒体に挿通するとともに、該棒材の軸線の該筒体に対する状態を該筒材の状態によらず維持するガイドで支持する。更に、該棒材の一端を該筒材の該基材に固定されていない端部に固定し他端を該筒材から突出させ、該基材に、該棒材の該筒材から突出した端部を非接触で囲う包囲部を設ける。そして、該包囲部に、該棒材の該筒体から突出した該端部の該包囲部に対する動きを電気的信号2値に変換して出力する変換手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯消灯、動作機器の開始停止等、決められた二つの動作の切り替え操作を行うオンオフスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
点灯消灯、動作機器の開始停止等、予め決められた二つの動作の切り替え操作を行うものとして、オンオフスイッチが広く利用されている。このオンオフスイッチとしては、導電性部材が接触する状態と離れる状態とを利用し、回路に通電させ或いは回路を断線させるもの(以下「接触スイッチ」という)が広く使用されており、使用状況に適した様々な工夫が試みられている。
【0003】
例えば、特開2006−294574号には、簡単な構造で、スイッチレバーに高い操作性を持たせることのできる簡易接点スイッチが提案されている。この簡易接点スイッチは、スイッチレバーの支点部分にコイルスプリングを用いることにより、先端を全周(360度)方向において任意の方向に傾けることのできる操作性に優れたレバースイッチの構造を簡素化することができる。
【0004】
一方、接触スイッチには、接触不良や、多機能化した場合における配線引き回しの複雑化等の問題がある。そこで、これらの問題を解決するために、この接触スイッチにおける導電性部材が機械的に接触する構造を、非接触とする試みもなされており、そのような非接触型のスイッチとしては、例えば、特開平11−306925号に開示されている光信号手段を利用した車両用コンビネーションスイッチがある。この車両用コンビネーションスイッチは、発光素子から導光板を経て受光素子に到達する光を、レバースイッチの動きに応じて摺動するスライダーで遮り、受光素子に到達する光量を変えることで、動作の切り替えを行うものである。すなわち、機械的に接触する構造に代えて、光路を遮るスライダーを摺動させる構造が採用されているため、接触スイッチの持つ問題点の解決を図ることができる。
【特許文献1】特開2006−29457号
【特許文献2】特開平11−306925号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記車両用コンビネーションスイッチは、二つの動作の複数組を一つのレバーで切り替えることを目的としているため、その構造は、未だ複雑なものであった。そのため、切り替え対象となる動作が一組のみの、より簡単で低コストの構造が求められるような場合には不適であった。また、個々のレバースイッチの可動範囲は、一平面上に限定され、一つのレバーを全周方向において任意の方向に傾けることはできなかった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、全周方向において任意の方向に傾けることができる操作性に優れたレバースイッチを備えた、非接触型のオンオフスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る第一のオンオフスイッチでは、可撓性を有し常態へ復元自在に伸展する筒材の一端を基材に固定し、可撓性を有する棒材を該筒体に挿通するとともに、該棒材の軸線の該筒体に対する状態を該筒材の状態によらず維持するガイドで支持し、該棒材の一端を該筒材の該基材に固定されていない端部に固定し他端を該筒材から突出させ、該基材に、該棒材の該筒材から突出した端部を非接触で囲う包囲部を設けている。そして、該包囲部に、該棒材の該筒体から突出した該端部の該包囲部に対する動きを電気的信号2値に変換して出力する変換手段を設けている。
【0008】
本発明において、電気的信号2値とは、いわゆる‘1’‘0’信号をいい、出力端子において所定電圧が得られるかどうかによる信号等をいうものとする。なお、所定電圧が得られるかどうかによる信号であれば、その所定電圧は、使用状況により最適な値を設定すればよく、例えば、5V±1V或いは24V±2Vとしてもよい。
【0009】
本発明における、棒材の軸線の筒体に対する状態とは、筒体の軸線との相対的な位置関係と考えてもよい。そして、棒材の軸線の筒体に対する状態を維持することとは、例えば、棒材を筒体に同心に挿通させた場合、筒体の軸線位置に一致させることを、また、棒材の軸線と筒体の軸線が平行になるように挿通させた場合、両軸線の平行を保つことをいう。
【0010】
更に、本発明において棒材の端部が包囲部によって囲まれた状態とは、包囲部が棒材外周方向の長さに対し半分以上の領域で配置された状態をいうものとし、棒材軸線方向の長さに制限はないものとする。例えば、全長が10cm程度の棒材の端部に、厚さ1mm程度の平面視U字型の板材を包囲部とし、その厚さ方向を棒材の軸線方向と平行にし、棒材が凹部を挿通するような状態で配置した場合であっても、棒材の端部は包囲部に囲まれているものとする。
【0011】
また、包囲部は、全周方向に連続する周壁を有していてもよい。この場合、包囲部は、棒材外周方向の全域に配置されることになるが、この場合も、当然、棒材の端部は包囲部に囲まれていることになる。更に、包囲部は、該棒材の軸線方向に、棒材の筒材から突出した端部の移動領域よりも長くてもよい。この場合、棒材の先端部は、ある程度の長さに亘る部位が包囲部内に収容された状態となり、やはり、棒材の端部は包囲部に囲まれていることになる。なお、包囲部が全周方向に連続するものである場合、包囲部は筒体となる。
【0012】
該変換手段は、発光素子と受光素子を備え、該発光素子から該受光素子に到達する光の有無を利用して該電気的信号2値に変換するものであってもよい。そして、この場合、該発光素子と該受光素子は、該発光素子から該受光素子に至る光路が、該棒材の該筒体から突出した該端部の移動経路と交差する位置関係で配置されていてもよく、或いは、該発光素子からの光が、所定位置における該棒材の該筒体から突出した該端部の端面で反射し、該受光素子に到達する位置関係で配置されていてもよい。
【0013】
該棒材の該筒体から突出した該端部は該棒材に取り付けられた透磁性部材を含み、該変換手段は、該透磁性部材を常態において包囲するコイルと、該コイルに接続された発振回路を備え、誘導起電力の有無を利用して該電気的信号2値に変換するものであってもよい。
【0014】
該棒材の該筒体から突出した該端部は該棒材に取り付けられた磁性体を含み、該変換手段は、磁力センサを備え、該磁力センサの検知する磁力の強弱を利用して該電気的信号2値に変換するものであってもよい。
【0015】
本発明に係る第二のオンオフスイッチは、可撓性を有し常態へ復元自在に伸展する筒材の一端を基材に固定し、可撓性を有する棒材を、該筒体に挿通させ、該棒材の一端を該筒材の該基材に固定されていない端部に固定し他端を該筒材から突出させている。そして、該基材に、発光素子と受光素子を、該発光素子からの光が、所定位置における該棒材の該筒体から突出した該端部の端面で反射し、該受光素子に到達する位置関係で配置し、該棒材の該筒体から突出した該端部の傾斜を、該発光素子から該受光素子に到達する光の有無を利用して電気的信号2値に変換して出力する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る第一のオンオフスイッチによれば、棒材の一端が固定されている筒材の端部(以下、「自由端」という。棒材についても同じ。)に、筒材を曲げる方向に働く力(以下、「曲げ力」という。棒材についても同じ。)が加わると、筒材の基材に固定されている端部(以下、「基端」という)の近傍において引っ張り力の働く部位が伸び、筒体が曲がった状態となり、筒体に挿通された棒材も同様に曲がる。この際、棒材の軸線の筒体に対する状態はガイドによって、筒材の状態によらず維持され、更に、筒材の端部の基材に対する姿勢も変わらないことから、棒材の軸線の基材に対する姿勢が曲げ力の加わる前後で同じとなる。すなわち、棒材の筒材から突出した端部(以下、「移動端部」という)は、曲げ力が加わる前の棒材の軸線(以下、「原軸線」という。)に沿って自由端方向に移動することになる。そして、この棒材の移動端部の動きは、自由端に加わる曲げ力がどのような方向となっても同じとなる。従って、自由端をどの方向に曲げても、その動きは、棒材の移動端部の原軸線に沿った移動に変換されることになり、移動端部を非接触で包囲する包囲部に対し特定の動きをすることになる。そこで、この包囲部に対する移動端部の動きを電気的信号2値に変換して出力し、それら2つの値を予め決められた二つの動作のそれぞれに対応させることとすれば、それら動作の切り替え操作を行うことができる。
【0017】
移動端部の動きを電気的信号2値に変換するには、光、磁力、誘導起電力等を利用することができる。例えば、変換手段に発光素子と受光素子を備えることで、発光素子から受光素子に到達する光の有無を利用して電気的信号2値に変換してもよい。この際、発光素子と受光素子を、発光素子から受光素子に至る光路が、棒材の移動端部の移動経路と交差する位置関係で配置した場合、光路が棒材に遮られると発光素子からの光が受光素子に到達しないため、発光素子から受光素子に到達する光の有無を利用して電気的信号2値に変換することができる。一方、受光素子と発光素子を、発光素子からの光が、所定位置における移動端部の端面で反射し、受光素子に到達する位置関係で配置した場合、棒材が移動し受光素子及び発光素子との相対位置が変化すると発光素子からの光が受光素子に到達しないため、発光素子から受光素子に到達する光の有無を利用して電気的信号2値に変換することができる。
【0018】
また、変換手段は、棒材に透磁性部材が取り付けられていれば、その透磁性部材を常態において包囲するコイルと、コイルに接続された発振回路を備えたものであってもよい。この場合、棒材が移動し透磁性部材がコイルから外れる位置まで移動すると誘導起電力が弱くなるため、この誘導起電力の強弱を利用して電気的信号2値に変換することができる。
【0019】
更に、変換手段は、棒材に磁性体が取り付けられていれば、磁力センサを備えたものであってもよい。この場合、棒材が移動し磁性体と磁力センサとの相対距離が変化すると磁力センサの検知する磁力が変化するため、この磁力の強弱を利用して電気的信号2値に変換することができる。
【0020】
本発明に係る第二のオンオフスイッチによれば、筒材の自由端に曲げ力が加わると、筒材の基端の近傍において引っ張り力の働く部位が伸び、筒体が曲がった状態となり、筒体に挿通された棒材は、その固定のされていない自由端が棒材の原軸線から離れて、その軸線が原軸線に対し角度をなす傾斜した状態となる。この際、自由端の端面も、曲げ力が加わる前の状態に対し傾斜する。従って、自由端をどの方向に曲げても、その動きは、棒材の移動端部の端面を傾ける動きに変換されることになる。そこで、この棒材の移動端部端面の傾斜を電気的信号2値に変換して出力し、それら2つの値を予め決められた二つの動作のそれぞれに対応させることとすれば、それら動作の切り替え操作を行うことができる。また、基材には、発光素子と受光素子が、発光素子からの光が所定位置における棒材の移動端部端面で反射し受光素子に到達する位置関係で配置されている。そして、発光素子からの光は、棒材が移動し移動端部端面の傾斜状態が変わると受光素子に到達しなくなる。従って、発光素子から受光素子に到達する光の有無を利用して電気的信号2値に変換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施例を図1、図2及び図3によって説明する。図1は同実施例であるオンオフスイッチの主要な構成部分の概観を示す斜視図である。図2は同オンオフスイッチの作動原理を説明する縦断面図で、(a)は常態を、(b)は自由端に曲げ力が加えられた状態を示す。図3は同オンオフスイッチの変換手段の作動原理を説明する縦断面図で、(a)は常態を、(b)は自由端に曲げ力が加えられた状態を示す。
【0022】
このオンオフスイッチの主要な構成要素は、筒体1、棒材2、基材3、ガイド4、包囲部5及び変換手段6となっている。
【0023】
筒体1は、公知のコイルばねを採用したものであり、その一端1a(基端)は、その外周に嵌め込み固定された固定用部材11を介して基材3固定され、内部に棒材2が挿通されている。なお、筒体1は可撓性を有し常態へ復元自在に伸展するものであれば、特に材質等に制限はない。使用状況等に応じ、好適な素材を選択すればよい。
【0024】
棒材2は、筒体1に挿通されるとともに、ガイド4で支持されている。また、棒材2の一端2bは、筒材1の基材3に固定されていない端部1b(自由端)に固定され、他端2aは筒材1から突出した状態とされている。そして、棒材2の筒材1から突出した端部2c(移動端部)は、基材3に設けられた包囲部5により非接触で囲まれている。なお、この棒材2は、合成樹脂を成形して、このオンオフスイッチに好適な形状としたものであるが、可撓性を有し必要な強度を有するものであれば、特に制限はない。使用状況等に応じ、好適な素材を選択すればよい。
【0025】
ガイド4は、円盤状の部材で、その中心に棒材2の挿通孔4aが設けられ、筒体1の基端1aの開口に嵌め込まれている。挿通孔4aは、棒材2の摺動を許容する程度に、棒材2の軸径よりもやや大きい程度の口径を有し、棒材2の軸線と直交する方向の移動を制限している。そのため、棒材2の軸線の筒体1に対する状態を、筒材1の状態によらず維持するものとなっている。
【0026】
包囲部5には、棒材2の移動端部2cの、包囲部5に対する動きを電気的信号2値に変換して出力する変換手段6が設けられている。
【0027】
変換手段6は、発光素子61と受光素子62を備える。そして、これら発光素子61と受光素子62は、包囲部5に形成された棒材2の受入穴51を挟んで、対向配置されている。受入穴51は、導光用通路52を介して発光素子62と受光素子61に対して開口しており、これら導光用通路52と受入穴51が、発光素子62から受光素子61に至る光路を形成している。すなわち、発光素子61と受光素子62は、発光素子61から受光素子62に至る光路が、棒材2の移動端部2cの移動経路と交差する位置関係で配置されている。なお、図1及び図3において、変換手段6を構成する他の要素は、この具体例の説明の便宜上、図示を省略するものとする。
【0028】
図2に示すように、このオンオフスイッチによれば、筒材1の自由端1bに曲げ力が加わると、筒材1の基端1aの近傍において引っ張り力の働く部位が伸び、筒体1が曲がった状態となり、筒体1に挿通された棒材2も同様に曲がった状態(図2(b)に示す状態)となる。この際、棒材2の軸線の筒体1に対する状態はガイド4によって、筒材1の状態によらず維持され、更に、筒材1の基端1aの基材3に対する姿勢も変わらないことから、棒材2の軸線の基材3に対する姿勢が曲げ力の加わる前後で同じとなる。すなわち、棒材2の移動端部2cは、曲げ力が加わる前の棒材2の原軸線Xに沿って自由端2b方向に移動することになる。そして、この棒材2の移動端部2cの動きは、自由端2bに加わる曲げ力がどのような方向となっても同じとなる。従って、自由端2bをどの方向に曲げても、その動きは、棒材2の移動端部2cの原軸線Xに沿った移動に変換されることになり、移動端部2cを非接触で包囲する包囲部5に対し特定の動きをすることになる。
【0029】
一方、発光素子61及び受光素子62についてみると、図3に示すように、曲げ力が加わる前の常態では光路が棒材2に遮られた状態(図3(a)に示す状態)にあり、曲げ力が作用すると、棒材2が撓み移動端部2cが自由端2b側に移動し光路が開けた状態(図3(b)に示す状態)となる。光路が棒材2に遮られると発光素子61からの光が受光素子62に到達しないため、発光素子61から受光素子62に到達する光の有無を利用して電気的信号2値に変換することができる。より具体的には、受光素子62の両極は発光素子61からの光を受けているときに電圧差が生じ、受光素子61からの光が遮られたときに電圧差が0となるので、電圧有りの信号‘1’と電圧無しの信号‘0’の2値からなる電気的信号に変換することができる。従って、それら2つの値、すなわち‘1’と‘0’とを予め決められた二つの動作のそれぞれに対応させることとすれば、それら動作の切り替え操作を行うことができる。なお、電圧有りと判定する場合の電圧は、使用状況により最適な値を設定すればよく、例えば、5V±1V或いは24V±2Vとしてもよい。
【0030】
このオンオフスイッチにおける受光素子62は、常態において受光無し、曲げ力が加えられた状態において受光有りとなるが、棒材2の状態と受光の有無は逆の関係にあってもよい。棒材2の状態と受光の有無の関係が、図1〜3に示す上記実施例と逆になる他の実施例を図4に示す。図4は、本発明の他の実施例における変換手段の作動原理を説明する縦断面図で、(a)は常態を、(b)は自由端に曲げ力が加えられた状態を示す。なお、図1〜3に示す実施例と実質的に同じ部分には同符号を付し、その説明は簡略化または省略するものとする。
【0031】
この実施例では、棒材2に、導光用通路21が貫設されている。そして、曲げ力が加わる前の常態では、光路が開けた状態(図4(a)に示す状態)にあり、曲げ力が作用すると、棒材2が撓み移動端部2cが自由端2b側に移動し光路が棒材2に遮られた状態(図4(b)に示す状態)となる。すなわち、常態において受光有り、曲げ力が加えられた状態において受光無しとなる。光路が棒材2に遮られると発光素子61からの光が受光素子62に到達しないことは、図1〜3に示す実施例と同様であり、従って、発光素子61から受光素子62に到達する光の有無を利用して電気的信号2値に変換し、それら2つの値を予め決められた二つの動作のそれぞれに対応させることとすれば、それら動作の切り替え操作を行うことができる。
【0032】
発光素子61と受光素子62は、更に異なる配置とすることもできる。発光素子61と受光素子62の配置を変えた更に他の実施例を図5に示す。図5は、本発明の更に他の実施例における変換手段の作動原理を説明する縦断面図で、(a)は常態を、(b)は自由端に曲げ力が加えられた状態を示す。なお、図5においても、図1〜3に示す実施例と実質的に同じ部分には同符号を付し、その説明は簡略化または省略するものとする。
【0033】
この実施例では、包囲部5は棒材2の移動端部2cを端面2dも含めて囲むものとなっている。移動端部端面2dは、移動端部2cに形成された拡径部22によりその面積が広げられている。一方、発光素子61と受光素子62は、移動端部端面2dと向かい合い、発光素子61からの光が、常態における移動端部端面2dで反射し受光素子62に到達する位置関係で配置されている。なお、発光素子61と受光素子62の間には、発光素子61からの光が移動端部端面2dを経由することなく直接受光素子62に入射しないよう、邪魔板63が設けられている。また、拡径部22には発光素子61からの光を良好に反射させるための反射板23が取り付けられており、この反射板23の反射面が移動端部端面2dとなっている。
【0034】
この実施例によれば、曲げ力が加わる前の常態では、発光素子61からの光が移動端部端面2dを経て受光素子62に到達する状態(図5(a)に示す状態)にあり、曲げ力が作用すると棒材2が撓み、その移動端部2cが自由端2b側に移動し、発光素子61及び受光素子62と移動端部端面2dとの距離が長くなり、発光素子61からの光が受光素子62まで到達しない状態(図5(b)に示す状態)となる。従って、図1〜3或いは図4に示す実施例と同様に、発光素子61から受光素子62に到達する光の有無を利用して電気的信号2値に変換し、それら2つの値を予め決められた二つの動作のそれぞれに対応させることとすれば、それら動作の切り替え操作を行うことができる。
【0035】
移動端部の動きを電気的信号2値に変換する変換手段6は、光以外の方法を利用するものであってもよい。光以外の方法を利用して移動端部2cの動きを電気的信号2値に変換する変換手段6を備えた更に他の実施例を、図6及び図7にそれぞれ示す。図6は、本発明の更に他の実施例における、誘電起電力を利用した変換手段の作動原理を説明する縦断面図で、(a)は常態を、(b)は自由端に曲げ力が加えられた状態を示す。図7は、本発明の更に他の実施例における、磁力を利用した変換手段の作動原理を説明する縦断面図で、(a)は常態を、(b)は自由端に曲げ力が加えられた状態を示す。なお、図6及び図7においても、図1〜3に示す実施例と実質的に同じ部分には同符号を付し、その説明は簡略化または省略するものとする。
【0036】
図6に示す実施例では、棒材2に透磁性部材24が取り付けられ、この透磁性部材24は移動端部2cの一部となっている。変換手段6は、この透磁性部材24を常態において包囲するコイル64と、コイル64に接続された発振回路65を備えている。なお、透磁性部材24には、通常のコイル鉄心用部材が用いられている。
【0037】
この実施例によれば、曲げ力が加わる前の常態では、透磁性部材24がコイル64の内部に配置された状態(図6(a)に示す状態)となっており、発振回路65により交流電流がコイル64に流れると強い誘導起電力が発生する。一方、曲げ力が作用すると棒材2が撓み、その移動端部2cが自由端2b側に移動し透磁性部材24がコイル64から外れた状態(図6(b)に示す状態)となり、発振回路65により交流電流がコイル64に流れても弱い誘導起電力しか発生しない。そこで、この誘導起電力の強弱を利用して電気的信号2値に変換し、その2つの値を予め決められた二つの動作のそれぞれに対応させることとすれば、それら動作の切り替え操作を行うことができる。
【0038】
図7に示す実施例では、棒材2に磁性体25が取り付けられ、この磁性体25は移動端部2cの一部となっている。一方、変換手段6は、磁力センサ66を備えている。なお、磁性体25には通常の永久磁石が用いられている。また、磁力センサ66には、ホール素子を使用した公知のものを用いられている。
【0039】
この実施例によれば、曲げ力が加わる前の常態では、磁性体が磁力センサに接近したた状態(図7(a)に示す状態)となっており、磁力センサにより強い磁力が検知される。一方、曲げ力が作用すると棒材2が撓み、その移動端部が固定端側に移動し磁性体が磁力センサから離れた状態(図7(b)に示す状態)となり、磁力センサにより弱い磁力が検知される。そこで、この磁力センサで検知される磁力の強弱を利用して電気的信号2値に変換し、その2つの値を予め決められた二つの動作のそれぞれに対応させることとすれば、それら動作の切り替え操作を行うことができる。
【0040】
本発明の更に他の実施例を図8、図9及び図10によって説明する。図8は同実施例であるオンオフスイッチの主要な構成部分の概観を示す斜視図である。図9は同オンオフスイッチの作動原理を説明する縦断面図で、(a)は常態を、(b)は自由端に曲げ力が加えられた状態を示す。図10は同オンオフスイッチにおいて移動端部端面の傾斜を電気的信号2値に変換する原理を説明する縦断面図で、(a)は常態を、(b)は自由端に曲げ力が加えられた状態を示す。なお、図8〜10において、図1〜7に示す実施例と実質的に同じ部分には同符号を付し、その説明は簡略化または省略するものとする。
【0041】
この実施例は、図1〜3に示す実施例におけるガイド4の挿通孔の直径を大きくしたもので、棒材2の軸線と直交する方向の移動に対する制限が緩やかになっている。そのため、図9に示すように、筒材1の自由端1bに曲げ力が加わり筒体1が曲がった状態となったときの棒材2は、移動端部2cが棒材2の原軸線Xから離れて、その軸線が原軸線Xに対し角度をなす傾斜した状態(図9(b)に示す状態)となる。この際、移動端部2cの端面2dも、曲げ力が加わる前の状態に対し傾斜する。従って、自由端2bをどの方向に曲げても、その動きは、棒材2の移動端部2cの端面2dを傾ける動きに変換されることになる。そこで、この棒材2の移動端部端面2cの傾斜を電気的信号2値に変換して出力し、それら2つの値を予め決められた二つの動作のそれぞれに対応させることとすれば、それら動作の切り替え操作を行うことができる。
【0042】
包囲部5は棒材2の移動端部2cを端面2dも含めて囲むものとなっており、変換手段6として、図5に示す実施例と同じものが採用されている。なお、移動端部端面2dも、図5に示す実施例と同様に、移動端部2cに形成された拡径部22によりその面積が広げられ、拡径部22には発光素子61からの光を良好に反射させるための反射板23が取り付けられ、この反射板23の反射面が移動端部端面2dとなっている。
【0043】
この実施例によれば、曲げ力が加わる前の常態では、発光素子61からの光が移動端部端面2dを経て受光素子62に到達する状態(図10(a)に示す状態)にあり、曲げ力が作用すると棒材2が撓み、移動端部端面2dが傾斜することによって、発光素子61からの光の入射角度が変わり、発光素子61からの光が受光素子62まで到達しない状態(図10(b)に示す状態)となる。従って、発光素子61から受光素子62に到達する光の有無を利用して電気的信号2値に変換し、それら2つの値を予め決められた二つの動作のそれぞれに対応させることとすれば、それら動作の切り替え操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例であるオンオフスイッチの主要な構成部分の概観を示す斜視図である。
【図2】同オンオフスイッチの作動原理を説明する縦断面図で、(a)は常態を、(b)は自由端に曲げ力が加えられた状態を示す。
【図3】同オンオフスイッチの変換手段の作動原理を説明する縦断面図で、(a)は常態を、(b)は自由端に曲げ力が加えられた状態を示す。
【図4】本発明の他の実施例における変換手段の作動原理を説明する縦断面図で、(a)は常態を、(b)は自由端に曲げ力が加えられた状態を示す。
【図5】本発明の更に他の実施例における変換手段の作動原理を説明する縦断面図で、(a)は常態を、(b)は自由端に曲げ力が加えられた状態を示す。
【図6】本発明の更に他の実施例における、誘電起電力を利用した変換手段の作動原理を説明する縦断面図で、(a)は常態を、(b)は自由端に曲げ力が加えられた状態を示す。
【図7】本発明の更に他の実施例における、磁力を利用した変換手段の作動原理を説明する縦断面図で、(a)は常態を、(b)は自由端に曲げ力が加えられた状態を示す。
【図8】本発明の更に他の実施例であるオンオフスイッチの主要な構成部分の概観を示す斜視図である。
【図9】同オンオフスイッチの作動原理を説明する縦断面図で、(a)は常態を、(b)は自由端に曲げ力が加えられた状態を示す。
【図10】同オンオフスイッチにおいて移動端部端面の傾斜を電気的信号2値に変換する原理を説明する縦断面図で、(a)は常態を、(b)は自由端に曲げ力が加えられた状態を示す。
【符号の説明】
【0045】
1 筒体
1a 基端
1b 自由端
2 棒材
2a 他端
2b 自由端
2c 移動端部
2d 移動端部端面
3 基材
4 ガイド
4a 挿通孔
5 包囲部
6 変換手段
11 固定用部材
21 導光用通路
22 拡径部
23 反射板
24 透磁性部材
51 受入穴
52 導光用通路
61 発光素子
62 受光素子
63 邪魔板
64 コイル
65 発振回路
66 磁力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有し常態へ復元自在に伸展する筒材の一端を基材に固定し、可撓性を有する棒材を、該筒体に挿通するとともに、該棒材の軸線の該筒体に対する状態を該筒材の状態によらず維持するガイドで支持し、該棒材の一端を該筒材の該基材に固定されていない端部に固定し他端を該筒材から突出させ、該基材に、該棒材の該筒材から突出した端部を非接触で囲う包囲部を設け、該包囲部に、該棒材の該筒体から突出した該端部の該包囲部に対する動きを電気的信号2値に変換して出力する変換手段を設けたことを特徴とするオンオフスイッチ。
【請求項2】
該変換手段は、発光素子と受光素子を備え、該発光素子から該受光素子に到達する光の有無を利用して該電気的信号2値に変換する請求項1に記載のオンオフスイッチ。
【請求項3】
該発光素子と該受光素子は、該発光素子から該受光素子に至る光路が、該棒材の該筒体から突出した該端部の移動経路と交差する位置関係で配置されている請求項2に記載のオンオフスイッチ。
【請求項4】
該発光素子と該受光素子は、該発光素子からの光が、所定位置における該棒材の該筒体から突出した該端部の端面で反射し、該受光素子に到達する位置関係で配置されている請求項2に記載のオンオフスイッチ。
【請求項5】
該棒材の該筒体から突出した該端部は該棒材に取り付けられた透磁性部材を含み、該変換手段は、該透磁性部材を常態において包囲するコイルと、該コイルに接続された発振回路を備え、誘導起電力の強弱を利用して該電気的信号2値に変換する請求項1に記載のオンオフスイッチ。
【請求項6】
該棒材の該筒体から突出した該端部は該棒材に取り付けられた磁性体を含み、該変換手段は、磁力センサを備え、該磁力センサの検知する磁力の強弱を利用して該電気的信号2値に変換する請求項1に記載のオンオフスイッチ。
【請求項7】
可撓性を有し常態へ復元自在に伸展する筒材の一端を基材に固定し、可撓性を有する棒材を、該筒体に挿通させ、該棒材の一端を該筒材の該基材に固定されていない端部に固定し他端を該筒材から突出させ、該基材に、発光素子と受光素子を、該発光素子からの光が、所定位置における該棒材の該筒体から突出した該端部の端面で反射し、該受光素子に到達する位置関係で配置し、該棒材の該筒体から突出した該端部の傾斜を、該発光素子から該受光素子に到達する光の有無を利用して電気的信号2値に変換して出力することを特徴とするオンオフスイッチ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−26509(P2009−26509A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−186483(P2007−186483)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(501194514)株式会社 エニイワイヤ (37)
【Fターム(参考)】