説明

オーディオファイル処理方法、再生装置、再生方法、プログラム及び記録媒体

【課題】DJ等のユーザにとって利便性の高い、オーディオファイルの処理技術、及び、当該技術により処理されたオーディオファイルを再生する技術を提供する。
【解決手段】実施の形態に係るオーディオファイル処理方法は、オーディオファイルに含まれるオーディオデータの波形データを生成する波形データ生成ステップと、波形データを含むユーザインタフェース画像を生成する画像生成ステップと、生成されたユーザインタフェース画像を介して、ユーザが指定した波形データの区間又は位置を受け付けるユーザ指定処理ステップと、生成された波形データ、及び、受け付けられたユーザ指定情報を、オーディオファイルのタグ情報として格納するタグ情報処理ステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所謂DJ(Disc Jockey)等のためのオーディオファイルの処理技術に関し、また、当該技術により処理されたオーディオファイルを再生する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスコやクラブといった場所で曲をミキシングし音楽が途切れないようにつないでいくDJ等が使用するメディアは、アナログレコードからCD(Compact Disc)を経てハードディスクドライブ等に変わりつつある。これらのメディアに記録されたオーディオファイルについてデジタル信号処理にてピッチの可変やスクラッチと呼ばれるDJ独特の操作が行われる。
【0003】
アナログレコードはその特性上音楽信号の密度によりアナログレコード表面の色や質感が変化する。DJ等は変化する部分を目視にて確認し、目視で得られる情報を楽曲が持つ固有の特徴としてミキシング操作に活用する。
【0004】
しかし、前述したように扱われるメディアがCD等に移り変わり、DJ等は音楽信号の密度を目視にて確認できなくなり、目視で得られる情報がタイムカウンタ表示等の直感的にわかりにくいものになってしまった。そこで音楽信号の密度を波形データに置き換えて表示をする再生装置が存在する。この再生装置では、楽曲(オーディオファイル)を再生しながら波形データを作成し、表示する。ユーザは表示波形を見つつ、次の楽曲の挿入位置等を把握する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−352569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の再生装置では楽曲の再生時に、再生しながら波形データを作成していくので波形データの作成が完了するまでに多大な時間を必要とした。すなわち、DJ等は、波形を見て楽曲を再生する場合には、一度時間をかけて波形処理を行った後で再生しなければならない。
【0007】
また、DJ等は次の曲をかけるポイントや曲が間奏に入る位置をあらかじめ把握する必要がある。しかし、レベルが均一な音楽データの場合、DJ等は表示された波形を見ても有益な情報を取得できないため、結局DJ等は時間表示を見て間奏の位置等を把握するしかない。
【0008】
本発明は、上記従来技術における問題点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様におけるオーディオファイル処理方法は、
オーディオファイルに含まれるオーディオデータの波形データを生成する波形データ生成ステップと、
前記波形データを含むユーザインタフェース画像を生成する画像生成ステップと、
生成されたユーザインタフェース画像を介して、ユーザが指定した前記波形データの区間又は位置を受け付けるユーザ指定処理ステップと、
生成された前記波形データ、及び、受け付けられたユーザ指定情報を、前記オーディオファイルのタグ情報として格納するタグ情報処理ステップと、
を含む、ことを特徴とする。
【0010】
上記方法において、前記波形データ生成ステップは、
オーディオファイルに含まれるオーディオデータ全体についてレベルの絶対値を取得するステップと、
オーディオデータ全体を予め定められたブロック数で分割するステップと、
前記分割されたブロック毎に含まれるレベルデータの絶対値の平均値を取得するステップと、
予め定められたレベルに基づいて、前記ブロック毎に取得した平均値を補正して、前記波形データを生成するステップと、
を含む。
【0011】
本発明の第2の態様におけるプログラムは、
オーディオファイルに含まれるオーディオデータの波形データを生成する波形データ生成手順と、
前記波形データを含むユーザインタフェース画像を生成する画像生成手順と、
生成されたユーザインタフェース画像を介して、ユーザが指定した前記波形データの区間又は位置を受け付けるユーザ指定処理手順と、
生成された前記波形データ、及び、受け付けられたユーザ指定情報を、前記オーディオファイルのタグ情報として格納するタグ情報処理手順と、
をコンピュータに実行させる、ことを特徴とする。
【0012】
上記プログラムにおいて、前記波形データ生成手順は、
オーディオファイルに含まれるオーディオデータ全体についてレベルの絶対値を取得する手順と、
オーディオデータ全体を予め定められたブロック数で分割する手順と、
前記分割されたブロック毎に含まれるレベルデータの絶対値の平均値を取得する手順と、
予め定められたレベルに基づいて、前記ブロック毎に取得した平均値を補正して、前記波形データを生成する手順と、
を含む。
【0013】
上記プログラムは、一般にアクセス可能なサーバに保存されてユーザによりダウンロードされてもよく、また、上記プログラムはコンピュータ読み取り可能な記録媒体により、ユーザに提供され、汎用コンピュータにおいて用いられても良い。
【0014】
本発明の第3の態様における再生装置は、
オーディオファイルを再生する再生部と、
前記再生部が再生したオーディオデータを記憶するメモリと、
前記メモリが記憶したオーディオデータの読み出しに関する指示を操作者から受け付ける操作部と、
前記操作部が受け付けた指示に基づいて前記メモリに記憶されたデータの読出し制御を行う制御部と、を備える再生装置であって、
前記再生部が再生するオーディオファイルには、オーディオファイルに含まれるオーディオデータの波形データと、ユーザが指定した前記波形データの区間又は位置に関するユーザ指定情報が、タグ情報として格納され、
前記再生装置は、さらに、
前記タグ情報に含まれる前記波形データに基づいて波形画像を生成し、かつ、前記タグ情報に含まれる前記ユーザ指定情報によって指定される前記波形データの区間又は位置が現在再生位置に予め定められた時間よりも近づいたときに、その旨のアラーム表示を生成する、アラーム処理部と、
を備える、ことを特徴とする。
【0015】
本発明の第4の態様における再生方法は、
オーディオファイルを再生するステップと、
再生したオーディオデータをメモリに記憶するステップと、
記憶したオーディオデータの読み出しに関する指示を操作者から受け付けるステップと、
受け付けた指示に基づいて前記メモリに記憶されたデータの読出し制御を行うステップと、を備える再生方法であって、
再生するオーディオファイルには、オーディオファイルに含まれるオーディオデータの波形データと、ユーザが指定した前記波形データの区間又は位置に関するユーザ指定情報が、タグ情報として格納され、
前記再生方法は、さらに、
前記タグ情報に含まれる前記波形データに基づいて波形画像を生成するステップと、
前記タグ情報に含まれる前記ユーザ指定情報によって指定される前記波形データの区間又は位置が現在再生位置に予め定められた時間よりも近づいたときに、その旨のアラーム表示を生成するステップと、
を含む、ことを特徴とする。
【0016】
本発明の第5の態様におけるプログラムは、
オーディオファイルを再生する手順と、
再生したオーディオデータをメモリに記憶する手順と、
記憶したオーディオデータの読み出しに関する指示を操作者から受け付ける手順と、
受け付けた指示に基づいて前記メモリに記憶されたデータの読出し制御を行う手順と、をコンピュータに実行させるプログラムであって、
再生するオーディオファイルには、オーディオファイルに含まれるオーディオデータの波形データと、ユーザが指定した前記波形データの区間又は位置に関するユーザ指定情報が、タグ情報として格納され、
前記プログラムは、さらに、
前記タグ情報に含まれる前記波形データに基づいて波形画像を生成する手順と、
前記タグ情報に含まれる前記ユーザ指定情報によって指定される前記波形データの区間又は位置が現在再生位置に予め定められた時間よりも近づいたときに、その旨のアラーム表示を生成する手順と、
をコンピュータに実行させる、ことを特徴とする。
【0017】
上記プログラムは、一般にアクセス可能なサーバに保存されてユーザによりダウンロードされてもよく、また、上記プログラムはコンピュータ読み取り可能な記録媒体により、ユーザに提供され、汎用コンピュータにおいて用いられても良い。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、DJ等のユーザにとって利便性の高い、オーディオファイルの処理技術、及び、当該技術により処理されたオーディオファイルを再生する技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本実施の形態に係るオーディオファイル処理装置のブロック図を示す。
【図2】図2は、本実施の形態に係るオーディオファイル処理のフローを示す。
【図3】図3は、本実施の形態に係るオーディオファイルのファイル構成を示す。
【図4】図4は、本実施の形態に係るwaveファイルの構成例を示す。
【図5】図5は、本実施の形態に係る再生装置のブロック図を示す。
【図6】図6は、本実施の形態に係る表示処理部のブロック図を示す。
【図7】図7は、本実施の形態に係る再生処理のフローを示す。
【図8】図8は、本実施の形態に係る画像表示例を示す。
【図9】図9は、本実施の形態に係る画像表示例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る実施の形態について、以下、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は一例であり、これに限定されない。
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係るオーディオファイル処理装置について説明する。本実施の形態に係るオーディオファイル処理装置は、例えば、所謂DJ用の再生装置とバンドルしてユーザに提供されるオーディオファイル処理プログラムがインストールされた汎用コンピュータとして構成される。
【0022】
本実施の形態に係るオーディオファイル処理装置のブロック図を図1に示す。図1に示すように、オーディオファイル処理装置10は、波形データ生成部12と、画像生成部14と、ユーザ指定処理部16と、タグ情報処理部18と、を備え、これらの要素はいずれも図示しない汎用コンピュータに付随するCPU(Central Processing Unit)、入出力インタフェース等により動作する。
【0023】
波形データ生成部12は、オーディオファイルを構成するオーディオデータから、波形データを生成する。波形データ生成部12には、例えば、汎用コンピュータの内蔵又は外部記録媒体(ハードディスク、フラッシュメモリ等)に保存されたオーディオファイルを構成するオーディオデータが入力される。或いは、例えばDJ用の再生装置が内蔵する記録媒体に保存されたオーディオファイルについて、汎用コンピュータからUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを介してデータが取得されるようにしても良い。
【0024】
波形データ生成部12は、入力されるオーディオデータ全体についてレベルの絶対値を取得する。次いで、波形データ生成部12は、オーディオデータ全体を予め定められたブロック数で分割し、ブロック毎に含まれるレベルデータの絶対値の平均値を取得し、予め定められたレベルに基づいてレベルデータを補正する。
【0025】
より詳細には、波形データ生成部12は、オーディオファイルのデータを例えば320個のブロックに分割し、各ブロックに含まれるオーディオサンプルレベルの絶対値の平均値を算出する。さらに、波形データ生成部12は、例えば320個ある平均値のうちの最大値を取り出し、その最大値が予め定められた値と一致するよう全ての平均値を補正する。このようにして一定の容量の、すなわち、一定のサイズとして表示可能な波形データが生成される。
【0026】
波形データ生成部12が生成した波形データ情報は、後述するようにオーディオファイルのタグ情報に格納される。なお、本明細書中、「波形データ情報」とは、波形データ生成部12が生成した情報を言う。
【0027】
画像生成部14は、波形データ生成部12が生成した波形データ情報に基づく波形画像等を生成する。画像生成部14は、ユーザインタフェース画像とともに、例えば、再生ブロック順に順次波形データ画像を生成する。生成された画像は汎用コンピュータの画像処理ユニットに送られて処理される。波形は、ユーザインタフェース画面において、例えば、ブロック区間毎の連続したバーとして、例えば汎用コンピュータに接続されたディスプレイに画像表示される。
【0028】
ユーザ指定処理部16は、汎用コンピュータの入出力インタフェースを介して、ユーザが指定したオーディオファイルデータの一区間(ユーザ指定エリア)を、タイムコード情報として受け付ける。なお、一区間に限らず、一位置を受け付けても良い。本明細書中、「ユーザ指定情報」とは、ユーザ指定処理部16が受け付けた、ユーザが指定する区間又は位置の情報を言う。
【0029】
ユーザは、例えば、ディスプレイに表示されたオーディオファイルの一連の波形データ画像を見つつ、例えば、汎用コンピュータの入力インタフェース(マウス等)で区間或いは位置をユーザインタフェース画面上で指定する。このとき、画像生成部14は、例えば、ユーザが指定した区間等の波形においては、強調して表示する。
【0030】
タグ情報処理部18は、オーディオファイルのタグ情報を処理する。タグ情報は、オーディオファイルのタグに格納される情報であり、例えば、wave(RIFF waveform Audio Format)ファイルであればチャンクを作成して、mp3(Moving Picture Experts Group 1 audio layer-3)ファイルであればID3タグに格納される情報である。
【0031】
本実施の形態において、タグ情報処理部18は、一つのオーディオファイルについて波形データ生成部12が生成した波形データ情報及びユーザ指定処理部16が受け付けたユーザ指定情報をタグ情報として当該オーディオファイルのタグに格納する。タグ情報処理部18は、記録媒体に保存されているオーディオファイルのタグ情報を編集する。
【0032】
オーディオファイル処理装置10により処理されたオーディオファイルは、所謂DJ用の再生装置で再生可能である。オーディオファイルは、例えば、外部記録媒体において再生装置で再生され、或いは、再生装置に内蔵された記録媒体にコピー・移動されて再生される。波形表示機能を有する再生装置では、オーディオファイルの再生時にファイルのタグに格納された波形データが表示される。
【0033】
以下、波形データの生成方法について図面を参照して説明する。図2は、本実施の形態に係るオーディオファイル処理方法を示すフローチャートの一例である。
【0034】
ユーザが、ユーザインタフェース画面において波形データを生成するオーディオファイルを選択すると、波形データ生成部12は、当該オーディオファイルのオーディオデータを取得する。波形データ生成部12は、オーディオデータが入力されると(ステップS11)、オーディオデータのレベルを取得し、絶対値変換する(ステップS12)。
【0035】
波形データ生成部12は、絶対値変換したオーディオファイルを予め定められたブロック数N(Nは1以上の自然数。例えばN=320)に分解する(ステップS13)。次いで、波形データ生成部12は、分解したブロック毎に平均値を取得する(ステップS14)。
一方、波形データ生成部12は、オーディオファイルのヘッダデータから再生時間情報を取得し、全再生時間をブロック数で除する等して、ブロック毎の再生時間を対応付ける。
【0036】
波形データ生成部12は、求めたブロック毎の平均値データを再生時間順に並べ、基本的な波形データを作成する(ステップS15)。
さらに、波形データ生成部12は、平均値データの内の最大値を取り出し、最大値がレベル方向の分解能になるよう、平均値データを補正する(ステップS16)。すなわち、波形データ生成部12は、例えば、最大値を予め定められた値との比を算出し、当該比率を平均値データに乗じて補正する。これにより、レベル方向に一定のサイズを有する波形データ情報が生成される。レベル方向の分解能は、例えば4ビット(0〜15)で表現される。サンプル数が320、レベル方向の分解能が4ビットとした場合、1つのオーディオファイルについて作成される波形データの容量は160バイトである。
【0037】
タグ情報処理部18は、波形データ生成部12が生成した波形データ情報を、例えばmp3ファイルならばID3タグに、waveファイルなら例えばファイル終端にチャンクを作成し、オーディオフィルに保存する(ステップS17)。
【0038】
図3に、波形データ生成部12が処理したオーディオファイルのデータ構造の例を示す。図に示すように、オーディオファイルは、ヘッダデータ30と、オーディオデータ32と、タグ情報34と、を含む。ヘッダデータ30及びオーディオデータ32は、オリジナルのオーディオファイルに由来する。タグ情報34には、波形データ生成部12が生成した波形データ情報36及びユーザ指定情報38が格納される。タグ情報34には、アーティスト情報等の他の情報が格納されても良い。
【0039】
図4に、waveファイルに波形データ情報36及びユーザ指定情報38を保存する場合のファイル構成例を示す。図に示すように、タグ情報34を構成するチャンクの開始位置から4バイトは、例えば“WFRM”のようなアスキーコード文字列とされ、続いて4バイトのチャンクサイズ情報、さらに波形データの1サンプル分が例えば1バイトで予め定められた個数格納される。
【0040】
続いて当該チャンク内に、ユーザ指定情報38は例えばユーザ指定区間の開始位置並びに終了位置(又はユーザ指定区間の長さ)が、その楽曲の再生開始位置からのフレーム数や秒数、またはサンプル数で、例えば4バイトずつで保存される。
【0041】
このように波形データ情報36及びユーザ指定情報38をタグ情報34に格納しておくことにより、再生装置ですぐにこれらの情報を活用することができる。例えば、DJ等のユーザは、予めオーディオファイルの処理を自宅で行っておき、クラブ等においてすぐにオーディオファイルの所望の再生をすることができる。
【0042】
また、オーディオファイルを他の記録媒体にコピー・移動したり、ファイル名を変更した場合であってもこれらの情報を特別な処理をすることなく活用することができる。
【0043】
以下、本実施の形態に係るオーディオファイル処理装置10にて処理されたオーディオファイルを再生可能な再生装置の構成について、図面を参照して詳細に説明する。
【0044】
図5に、本発明の実施の形態にかかる再生装置100の構成を示す。図5に示す再生装置100は、制御部102と、再生部104と、信号処理部106と、メモリ制御部108と、RAM(Random Access Memory)110と、DAC(Digital to Analog Converter)112と、操作部114と、表示部116と、表示処理部118と、を備える。
【0045】
制御部102は、以下で詳述する再生装置100の動作を統括的に制御する。
【0046】
再生部104は、内蔵又は外部記録媒体に保存されたオーディオファイルのデジタルオーディオデータを再生する。本実施形態において、当該オーディオファイルは、上記オーディオファイル処理装置10により処理されたオーディオファイルである。再生部104は、記録媒体にトラック単位で記録されたオーディオデータを再生し、所定フォーマットに変換して出力する。
【0047】
再生部104が再生したオーディオデータは、信号処理部106に入力される。信号処理部106は、オーディオデータの復調、同期信号の抜き出し等の処理を行い、データをメモリ制御部108に出力する。
【0048】
メモリ制御部108は、入力されたデータをRAM110に書き込むよう制御する。RAM110は、入力されたオーディオデータを記憶する。また、メモリ制御部108は、RAM110が記録したオーディオデータをRAM110から読出すよう制御する。
【0049】
RAM110から読み出されたデータはDAC112に出力される。DAC112は、デジタルオーディオデータをアナログオーディオ信号に変換する。DAC112により変換されたアナログオーディオ信号は、出力端子113から出力される。デジタル入力可能な機器に出力する場合には、DAC112を設けず、所定のデジタルフォーマットで出力するようにしてもよい。
【0050】
操作部114は、再生ボタン、再生停止ボタン等が設けられた操作パネルを備え、再生・表示制御に関する指示を受け付ける。操作部114は、RAM110に記録されたオーディオデータの読み出しに関する指示を操作者から受け付けるターンテーブルやジョグダイヤル等を備え、所謂スクラッチ再生等の指示を受け付ける。
【0051】
表示部116は、液晶表示装置等から構成され、現在再生しているトラックの再生時間、トラックナンバー等を表示する。本実施の形態において、表示部116には、オーディオファイルの波形データが表示される。
【0052】
表示処理部118は、表示部116に表示する画像を生成する。表示処理部118は、制御部102の一要素として構成されていても良い。
本実施の形態において、表示処理部118は、オーディオファイルのタグ情報34に格納された波形データを随時画像表示する。また、表示処理部118は、現在再生位置が、オーディオファイル処理装置10によりユーザが指定した区間に近づいたときには、その旨のアラーム表示を出力する。
【0053】
図6に、本実施の形態に係る表示処理部118のブロック図を示す。図6に示す表示処理部118は、波形データ取得部120と、波形画像生成部122と、アラーム処理部124と、を備える。
【0054】
波形データ取得部120は、オーディオファイルのタグ情報34に格納されている波形データ情報36を取得する。制御部102は、波形データ情報36に含まれる波形データを再生部104におけるオーディオデータの再生と同期して後述する波形画像生成部122に送るよう波形データ取得部120を制御する。制御部102は、例えば、後述する再生位置情報取得部128が取得したタイムコードを参照してオーディオデータの再生と波形表示を同期させる。
【0055】
波形画像生成部122は、波形データ取得部120から送られる波形データに基づいて表示部116の解像度に合った表示画像を生成し、表示部116に送る。
【0056】
アラーム処理部124は、ユーザ指定情報取得部126と、再生位置取得部128と、判定部130と、アラーム表示部132と、を備える。
【0057】
ユーザ指定情報取得部126は、オーディオファイルのタグ情報34に格納されているユーザ指定情報38を構成する、ユーザが指定した区間、位置のタイムコードを取得する。
再生位置取得部128は、現在再生部104が再生しているオーディオファイルの現在位置情報(例えばタイムコード)を取得する。
【0058】
判定部130は、再生位置取得部128が取得した再生位置と、ユーザ指定情報取得部126が取得したユーザ指定情報38により指定される例えば指定区間の開始位置に近づいたか否かを判定する。
【0059】
アラーム表示部132は、再生位置取得部128が取得した再生位置が、ユーザ指定情報取得部126が取得したユーザ指定情報38により指定される例えば指定区間の開始位置に予め定められた時間以上近づいたと判定部130が判定したとき、アラーム表示を波形画像生成部122に出力する。波形画像生成部122は、アラーム表示と、波形表示とを含む画像を生成、出力する。
【0060】
図7に、アラーム処理のフローチャートの一例を示す。
まず、ユーザ指定情報取得部126は、オーディオファイルのタグ情報34に格納されたユーザ指定情報38にアクセスし、当該オーディオファイルについてユーザが指定した区間の始点或いは位置に関するタイムコード等を取得する(ステップS21)。
【0061】
再生位置取得部128は、再生部104が現在再生しているオーディオファイルの再生位置を例えばタイムコードとして随時取得する(ステップS22)。
判定部130は、ユーザが指定した位置と、再生位置取得部128が取得した再生位置と、の差分が予め定められた時間よりも短いか否かを判別する(ステップS23)。予め定められた時間とは、例えば、表示画面上で波形が一端から他端に移動するまでに要する時間である。
【0062】
差分が予め定められた時間よりも短かったとき、判定部130はユーザが指定した位置に近づいたと判定し(ステップS23、YES)、判別部はアラーム表示部132にアラーム表示命令を出す(ステップS24)。アラーム表示部132は、判定部130から命令を受けると波形画像生成部122にアラーム表示画像を生成させる。
【0063】
図8に、表示部116に表示される波形の例を示す。波形は、例えば、画面の左から右に向かって、オーディオデータの再生と同期して順次ドット表示される。ユーザは、このような波形表示を見て操作することができる。例えば、画面の右端が現在再生位置に該当する。
【0064】
図9に、波形とともにユーザが指定した区間の始点を表した例を示す。図に示す例で、ユーザ指定ポイントが近づいたことを示すアラームは、ユーザが予め指定した区間の始点を「BREAK」の表示をもって示すことによってなされる。ユーザはこのような表示を見て、楽曲のミックスの準備等を行うことができる。
【0065】
なお、アラーム表示方法は、これに限られず、ユーザが指定ポイントが近づいていることを知覚できるのであればいかなる態様であっても良い。例えば「BREAK」のような表示や画面表示全体が点滅するようにしてもよい。また、ユーザが指定した区間全体について他の部分とは異なる態様で表示するようにしても良い。
【0066】
このようにユーザ指定区間、位置について特定の態様でアラーム表示することにより、単調な楽曲で波形データが均一になってしまっても、ユーザはサビ部分や間奏部分を容易に把握することができる。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態では、ユーザは、オーディオファイル処理装置10により、オーディオデータの波形データを予め生成し、オーディオファイルのタグ情報34に格納しておく。このようにタグ情報34として格納されていることにより、オーディオファイルをコピー・移動したとしても、波形データが失われることはない。また、ユーザは、再生装置100でその場で波形データを作成する必要なく、いつでもどこでも即時に波形表示を見つつオーディオファイルの再生が可能となる。
【0068】
さらにまた、ユーザは、オーディオファイル編集装置を用いて、波形表示を見つつ、特定の区間、位置を指定し、これをユーザ指定情報38としてオーディオファイルのタグ情報34に格納しておくことができる。例えば、ユーザは、あるオーディオファイルの使用したい区間を予めオーディオファイル自体に記録しておくことができ、ファイルをコピー・移動させた場合であってもユーザ指定情報38が失われることはない。このことは、特に、多数のオーディオファイルを使用し、それぞれについてミックスポイントを覚えておくことが困難なDJ等に有用である。
【0069】
このようにオーディオファイル処理装置10により処理されたオーディオファイルは、波形表示機能を備えた再生装置100によって、波形表示とともに再生可能である。ユーザは、波形表示を見つつ再生を行うことができ、また、ユーザ指定区間や位置がある場合には波形表示とともにその位置がアラーム表示されるため、ユーザはミックス位置等の把握がより容易となる。
【0070】
例えば、単調な楽曲で波形データが均一になってしまっても、ユーザが好みのエリアを予め指定しておくことで、その部分の波形が強調して表示され、容易に把握することができる。また、指定位置が近づくとアラームを表示がユーザにどれだけ近づいたかを知らせるので、ユーザは再生位置がその範囲までの時間を目視で容易に判別することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、特にDJ等により用いられるオーディオファイルの再生に有用である。
【符号の説明】
【0072】
10:オーディオファイル処理装置、12:波形データ生成部、14:画像生成部、16:ユーザ指定処理部、18:タグ情報処理部
100:再生装置、118:表示処理部、120:波形データ取得部、122:波形画像生成部、124:アラーム処理部124

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオファイルに含まれるオーディオデータの波形データを生成する波形データ生成ステップと、
前記波形データを含むユーザインタフェース画像を生成する画像生成ステップと、
生成されたユーザインタフェース画像を介して、ユーザが指定した前記波形データの区間又は位置を受け付けるユーザ指定処理ステップと、
生成された前記波形データ、及び、受け付けられたユーザ指定情報を、前記オーディオファイルのタグ情報として格納するタグ情報処理ステップと、
を含む、ことを特徴とするオーディオファイル処理方法。
【請求項2】
前記波形データ生成ステップは、
オーディオファイルに含まれるオーディオデータ全体についてレベルの絶対値を取得するステップと、
オーディオデータ全体を予め定められたブロック数で分割するステップと、
前記分割されたブロック毎に含まれるレベルデータの絶対値の平均値を取得するステップと、
予め定められたレベルに基づいて、前記ブロック毎に取得した平均値を補正して、前記波形データを生成するステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のオーディオファイル処理方法。
【請求項3】
オーディオファイルに含まれるオーディオデータの波形データを生成する波形データ生成手順と、
前記波形データを含むユーザインタフェース画像を生成する画像生成手順と、
生成されたユーザインタフェース画像を介して、ユーザが指定した前記波形データの区間又は位置を受け付けるユーザ指定処理手順と、
生成された前記波形データ、及び、受け付けられたユーザ指定情報を、前記オーディオファイルのタグ情報として格納するタグ情報処理手順と、
をコンピュータに実行させる、ことを特徴とするプログラム。
【請求項4】
前記波形データ生成手順は、
オーディオファイルに含まれるオーディオデータ全体についてレベルの絶対値を取得する手順と、
オーディオデータ全体を予め定められたブロック数で分割する手順と、
前記分割されたブロック毎に含まれるレベルデータの絶対値の平均値を取得する手順と、
予め定められたレベルに基づいて、前記ブロック毎に取得した平均値を補正して、前記波形データを生成する手順と、
を含む、ことを特徴とする請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項6】
オーディオファイルを再生する再生部と、
前記再生部が再生したオーディオデータを記憶するメモリと、
前記メモリが記憶したオーディオデータの読み出しに関する指示を操作者から受け付ける操作部と、
前記操作部が受け付けた指示に基づいて前記メモリに記憶されたデータの読出し制御を行う制御部と、を備える再生装置であって、
前記再生部が再生するオーディオファイルには、オーディオファイルに含まれるオーディオデータの波形データと、ユーザが指定した前記波形データの区間又は位置に関するユーザ指定情報が、タグ情報として格納され、
前記再生装置は、さらに、
前記タグ情報に含まれる前記波形データに基づいて波形画像を生成し、かつ、前記タグ情報に含まれる前記ユーザ指定情報によって指定される前記波形データの区間又は位置が現在再生位置に予め定められた時間よりも近づいたときに、その旨のアラーム表示を生成する、アラーム処理部と、
を備える、ことを特徴とする再生装置。
【請求項7】
オーディオファイルを再生するステップと、
再生したオーディオデータをメモリに記憶するステップと、
記憶したオーディオデータの読み出しに関する指示を操作者から受け付けるステップと、
受け付けた指示に基づいて前記メモリに記憶されたデータの読出し制御を行うステップと、を備える再生方法であって、
再生するオーディオファイルには、オーディオファイルに含まれるオーディオデータの波形データと、ユーザが指定した前記波形データの区間又は位置に関するユーザ指定情報が、タグ情報として格納され、
前記再生方法は、さらに、
前記タグ情報に含まれる前記波形データに基づいて波形画像を生成するステップと、
前記タグ情報に含まれる前記ユーザ指定情報によって指定される前記波形データの区間又は位置が現在再生位置に予め定められた時間よりも近づいたときに、その旨のアラーム表示を生成するステップと、
を含む、ことを特徴とする再生方法。
【請求項8】
オーディオファイルを再生する手順と、
再生したオーディオデータをメモリに記憶する手順と、
記憶したオーディオデータの読み出しに関する指示を操作者から受け付ける手順と、
受け付けた指示に基づいて前記メモリに記憶されたデータの読出し制御を行う手順と、をコンピュータに実行させるプログラムであって、
再生するオーディオファイルには、オーディオファイルに含まれるオーディオデータの波形データと、ユーザが指定した前記波形データの区間又は位置に関するユーザ指定情報が、タグ情報として格納され、
前記プログラムは、さらに、
前記タグ情報に含まれる前記波形データに基づいて波形画像を生成する手順と、
前記タグ情報に含まれる前記ユーザ指定情報によって指定される前記波形データの区間又は位置が現在再生位置に予め定められた時間よりも近づいたときに、その旨のアラーム表示を生成する手順と、
をコンピュータに実行させる、ことを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−169854(P2010−169854A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11699(P2009−11699)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(309039716)株式会社ディーアンドエムホールディングス (37)
【Fターム(参考)】