説明

オーディオ装置、プログラム、及び区切り情報付与方法

【課題】録音データに対する区切り情報の付与を効率的に行うことができる技術を提供する。
【解決手段】オーディオ装置において、各スケジュール項目がその開始時刻とともに登録してあるスケジュールデータを参照するスケジュール参照手段(ステップ42)と、録音により生成される録音データに対し、スケジュール参照手段により参照するスケジュールデータに基づき、該録音データに係る録音期間中に開始する各スケジュール項目の開始時刻に対応する箇所において所定の区切り情報を付与する区切り情報付与手段(ステップ46、47)とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、録音データに対して区切り情報を付与する機能を有するオーディオ装置、該オーディオ装置における各手段としてコンピュータを機能させるプログラム、及び該オーディオ装置に適した区切り情報付与方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルポータブルプレーヤなどの機種として、デジタル録音可能なものが普及している。また、ボイスレコーダなどの場合においても、デジタル録音データをパソコンへ移動した後、パソコンのアプリケーションで編集する場合もある。このような編集においては、録音ファイルを実際に再生してその再生音を聞きながら、トラックマークを付与したり、不要部分を削除したりすることが行われる。また、上述のようなデジタルポータブルプレーヤやボイスレコーダにおいては、デジタル録音データについての所定の圧縮形式へのエンコードや、内蔵メモリの大容量化などによって、長時間の録音が可能となっている。
【0003】
なお、トラックマークを付与する技術としては、たとえば、録音開始時におけるデータの欠落を防止するようにトラックマークを付与するようにした技術が知られている(たとえば特許文献1参照)。この技術においては、外部から入力されるオーディオデータをMD(ミニディスク)へ記録する際に、実際に記録開始の要求が与えられる前に未使用領を用いて常時サイクリックに記録を行い、記録開始要求を受けた時点で仮トラックマークを付与し、それまでに記録したオーディオデータを第1のトラックとし、仮トラックマーク付与以後に記録したオーディオデータを第2のトラックとするとともに、その後、仮トラックマークの位置を調整し、第2のトラックを正規のトラックとし、第1のトラックを正規のトラックとするか否か選択することができるようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−071497号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のように長時間の録音が可能となってきている現状において、長時間の録音ファイルについて、再生音を聞きながらトラックマークを付与するような動作は非常に時間を費やし、非効率的である。
【0006】
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点に鑑み、録音データに対するトラックマーク等の区切り情報の付与を効率的に行うことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため、第1の発明に係るオーディオ装置は、各スケジュール項目がその前記スケジュール項目に関連する関連時刻とともに登録してあるスケジュールデータを参照するスケジュール参照手段と、録音により生成される録音データに対し、前記スケジュール参照手段により参照するスケジュールデータに基づき、該録音データに係る録音期間中に開始する各スケジュール項目の関連時刻に対応する箇所において所定の区切り情報を付与する区切り情報付与手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
第2の発明に係るオーディオ装置は、第1発明において、前記スケジュール情報参照手段により参照するスケジュールデータは他の装置に記録されており、前記スケジュール参照手段は、前記他の装置が接続された場合に、前記スケジュールデータの参照を行うものであることを特徴とする。
【0009】
第3の発明に係るオーディオ装置は、第1又は第2発明において、前記録音データは、他の装置から取得し且つ録音開始時刻の情報が付随しているものであることを特徴とする。
【0010】
第4の発明に係るオーディオ装置は、第1〜第3のいずれかの発明において、前記区切り情報付与手段により付与された区切り情報は編集可能であることを特徴とする。
【0011】
第5の発明に係るオーディオ装置は、第1〜第4のいずれかの発明において、前記区切り情報付与手段は、前記録音データに対する区切り情報の付与を行う際に、該録音データに関連付けて、付与する各区切り情報に対応するスケジュール項目及びその関連時刻を録音付随情報として記録することを特徴とする。
【0012】
第6の発明に係るオーディオ装置は、第5発明において、前記録音付随情報中の各スケジュール項目を選択項目として表示し、その選択を受け入れる選択手段と、前記録音付随情報及び各録音データの録音開始時刻に基づき、前記選択手段により選択されたスケジュール項目に対応する部分から対応する録音データの再生を行う再生手段とを有することを特徴とする。
【0013】
第7の発明に係るプログラムは、第1〜第6のいずれかの発明に係るオーディオ装置における各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0014】
第8の発明に係る区切り情報付与方法は、各スケジュール項目がその開始時刻とともに登録してあるスケジュールデータを参照するスケジュール参照工程と、録音により生成される録音データに対し、前記スケジュール参照工程により参照するスケジュールデータに基づき、該録音データに係る録音期間中に開始する各スケジュール項目に関する関連時刻に対応する箇所において所定の区切り情報を付与する区切り情報付与工程とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、録音データに対する区切り情報の付与を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係るオーディオ装置の構成を示すブロック図である。同図に示すように、この装置は、装置の各部を制御するCPU11、CPU11からのデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換するDAコンバータ12、CDに記録されたデータを読み出してアナログ音声信号を出力するCD部13、放送電波を受信してアナログ音声信号を出力するチューナ部14、DAコンバータ12、CD部13、及びチューナ部14からの入力のうちの1つを選択して出力するセレクタ15、セレクタ15からのアナログ音声信号を増幅する増幅部16、増幅部16により増幅された音声信号又は該音声信号に基づく音声を出力する出力部17、CPU11に対して操作指示を与えるための操作部18、CPU11からの画像データに基づき画像表示を行う表示部19、CPU11がアクセスする記憶部20及びフラッシュメモリ21、CPU11が外部装置にアクセスするためのインタフェース部22、マイクを接続するためのマイク端子23、並びにマイク端子23に接続されたマイクからのアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換してCPU11に供給するADコンバータ24を備える。
【0017】
オーディオ装置としては、たとえば、所定形式のスケジュールデータを生成、編集し、閲覧等を行うことを可能とするスケジュール管理機能を備えたミニコンポ、PDA(パーソナルデジタルアシスタント)、ポータブルレコーダ、ボイスレコーダが該当する。記憶部20は大容量のハードディスクや内臓メモリ、さらにはメモリカード、USBメモリ等の外部記憶媒体メモリにより構成され、楽曲ファイル、録音ファイル、画像データ、スケジュールデータ等を記憶する。インタフェース部22は、たとえばUSBコントローラ及びUSB端子により構成され、ポータブルレコーダ等を接続するために用いられる。出力部17はヘッドフォン端子、スピーカ若しくはスピーカ端子、又は外部出力端子により構成される。操作部18はユーザがオーディオ装置を操作するために用いられ、ボタン、光学操作デバイス、タッチスクリーン、キーボード等で構成される。表示部19はオーディオ装置の操作状態やファイル名等を視覚的に表示する。また、画像データや動画データに基づいて再生される画像や動画を表示する。
【0018】
操作部18及び表示部19はユーザインタフェースを構成しており、ユーザは表示部19の表示を見ながら操作部18を介してCPU11に対し必要な指示を与えることができる。CPU11は与えられる指示に応じ、CD部13、チューナ部14、又はDAC12からの音声信号をセレクタ15により選択的に切り替えて増幅部16へ供給し、出力させることができる。CPU11はまた、記憶部20やフラッシュメモリ21から楽曲データや録音データを読み出し、必要な信号処理を施して、デジタル音声信号をDAコンバータ12に供給することができる。CPU11はさらに、マイクを用いた録音を行う旨の指示が与えられると、マイク端子23及びADコンバータ24を介して入力されるデジタル音声信号を、エンコード等の処理を施して所定形式のデータとし、記憶部20やフラッシュメモリ21へ書き込むことにより、マイクからの録音を行う。
【0019】
図2は表示部19において表示されるスケジュール閲覧画面の一例を示す。図中の25は表示中のスケジュールの日付けが表示される日付け表示欄、26はスケジュールの時間帯を1時間毎に表示する時間帯表示欄、27は各スケジュール項目の内容を開始時刻とともに表示する項目表示欄、28は閲覧可能な全スケジュールにおける表示中のスケジュールの位置を視覚的に表すバー図形である。同図においては、13時00分〜15時00分程度の時間帯のスケジュールが表示されている。表示させるスケジュールは、画面をスクロールさせることにより変更することができるようになっている。表示部19の表面をタッチパネルとし、バー図形28を操作することにより画面をスクロールさせることができるようにしてもよい。
【0020】
このスケジュール閲覧画面は、記憶部20に格納されているスケジュールデータに基づいて表示される。スケジュールデータには、日付け毎に、各スケジュール項目の内容及び開始時刻が登録されている。
【0021】
オーディオ装置は、ユーザの指示に応じてマイクからの録音を行う際、記憶部20のスケジュールデータを参照し、内蔵の計時手段により示される時刻が各スケジュール項目の開始時刻と一致する毎に、録音中のデータに対してトラックマークを付与する。たとえばスケジュールデータが図2に示すような内容のものであり、12時58分に録音を開始して14時55分まで録音を行う場合には、その録音期間中に、スケジュール項目として、13時00分からの「企画会議」、13時20分からの「企画調整会議」、14時00分からの「商品化会議」、及び14時30分からの「製品AA仕様決定会議」が存在するので、図3に示すように、録音データにおける13時00分、13時20分、14時00分及び14時30分に対応する箇所にトラックマークが付与されることになる。トラックマークとしては、無音信号部分として付与するもののように音声信号中に記録するものであってもよいが、録音開始点からの経過時間やアドレスとして付与するもののように、編集自在であるものが好ましい。また、MD(ミニディスク)の場合におけるUTOC情報中のトラック番号とそのスタートアドレスのようなものであってもよい。
【0022】
図4はこのようなトラックマークの付与を実現する処理を示すフローチャートである。この処理は、所定のプログラムに従い、CPU11により実施される。すなわち、処理を開始すると、CPU11は、まず、ステップ41において、ユーザにより録音開始の指示があたえられるのを待機する。録音開始の指示が与えられると、ステップ42へ進み、スケジュールデータが参照可能であるかどうかを判定する。つまり、参照可能なスケジュールデータが記憶部20やフラッシュメモリ21に存在すれば、参照可能であると判定される。
【0023】
参照可能であると判定した場合には、ステップ43において該スケジュールデータをメインメモリ上に読み出す。次に、ステップ44において録音ファイルの生成を開始する。つまり、録音ファイルへの録音データの記録を開始する。録音ファイルのファイル名としては、たとえば、録音開始時刻を示すものが用いられる。
【0024】
次に、ステップ45〜47において、録音が終了するまで、トラックマークを付与する処理を行う。すなわち、スケジュールデータ中の各スケジュール項目の開始時刻と一致する時刻が到来するのを監視し(ステップ46)、一致する時刻が到来した時点で、記録中の録音データに対してトラックマークを付与する(ステップ47)処理を、録音を終了する旨の指示が与えられるまで(ステップ45)行う。
【0025】
一方、ステップ42において、スケジュールデータが参照可能ではないと判定した場合には、ステップ48において録音ファイルの生成を開始し、ステップ49において、録音を終了する旨の指示が与えられるのを待機する。
【0026】
ステップ45又は49において、録音終了の指示が与えられたと判定した場合には、ステップ50へ進み、録音ファイルの生成を終了する。すなわち、録音データの記録を停止し、録音ファイルを閉じる。これにより、図4の処理が終了する。
【0027】
このようにして生成された録音ファイルによれば、長時間にわたる連続的な録音に係るものであっても、スケジュールデータに基づいて自動的にトラックマークが付与されているので、ユーザは早送りによる区切り位置検索を行う必要なく、該トラックマークに基づき、録音ファイルの分割や頭出しを行うことができる。
【0028】
また、トラックマークはユーザにより編集可能であるため、たとえば14時00分からの「商品化会議」が実際には14時06分から開始された場合であっても、長時間の録音ファイルを最初から早送りして「商品化会議」に係る部分の頭出しを行う必要はなく、14時00分のトラックマーク位置から早送りして頭出しを行い、14時00分のトラックマークを消去して14時06分にトラックマークを再付与すればよいので、容易に録音ファイルの管理を行うことができる。
【0029】
さらに、生成した録音ファイルについて、専用のプレイリストを生成するようにしてもよい。たとえば、生成した録音ファイルであって、上述のトラックマークの自動付与、さらにはユーザによる修正がなされたものをプレイリストとして表示し、リスト中からユーザがいずれかの録音ファイルを選択したとき、その録音ファイルに関する情報として、各トラックマークに対応する時刻及びスケジュール項目の内容を一覧表示し、この一覧表示におけるいずれかのスケジュール項目が選択された場合には、該スケジュール項目に対応する録音ファイル部分から再生を行うようにしてもよい。
【0030】
これを達成するためには、録音ファイルをプレイリスト用のフォルダ「record」に格納するとともに、録音ファイル毎に、スケジュール項目及びその開始時刻(つまりその録音ファイルに付された各トラックマーク位置に対応する時刻)を録音付随情報として録音ファイルに関連付けて記録しておく必要がある。また、録音ファイルのトラックマークが変更、削除、追加された場合には、その結果を該録音ファイルの録音付随情報に反映しておく必要がある。CPU11はかかる録音付随情報の記録を、トラックマークを付与する際に(ステップ46、47)、行うことができる。録音付随情報はたとえば対応する録音ファイルのメタデータとして記録することができる。録音付随情報を記録するためのテーブルを別途設けるようにしてもよい。
【0031】
なお、録音付随情報に含まれる各スケジュール項目の開始時刻は、対応する録音ファイルのファイル名として記録されている録音開始時刻を差し引くことにより、該録音ファイルにおける先頭からの位置を示すものとなる。つまり、それ自身がトラックマークとしての役割を果たすことができる。したがって、録音付随情報の記録を行う場合には、その処理自体をトラックマークの付与として捉え、別途トラックマークを付与する処理を省略するようにしてもよい。すなわち、上述の一覧表示から選択されたスケジュール項目に基づいて再生を行う場合には、録音付随情報中の対応する開始時刻及び関連付けられている録音ファイルのファイル名(録音開始時刻)に基づいて、該録音ファイルにおける該スケジュール項目部分からの再生を開始することができる。
【0032】
図5は上述のスケジュール項目の一覧表からの選択に基づいて再生を行う場合の画面遷移の一例を示す。同図(a)の画面は選択可能なフォルダの一覧を表示してフォルダの選択を受け入れるためのフォルダ選択画面である。同図(b)の画面はフォルダ選択面において「record」が選択された場合に表示される画面であって、フォルダ「record」中の録音ファイルのファイル名の一覧を表示して録音ファイルの選択を受け入れるための録音ファイル選択画面である。同図(c)の画面は録音ファイル選択画面において録音ファイルが選択された場合に表示される画面であって、該録音ファイルに対応するスケジュール項目の一覧を表示し、スケジュール項目の選択を受け入れるためのスケジュール項目選択画面である。図中の51は、各画面において選択項目を選択するためのカーソルの図形である。ユーザがカーソル51を所定の操作子により所望の選択項目上に移動させ、所定の確定ボタンを押下することによりその選択項目を選択することができるようになっている。
【0033】
表示部19に表示した所定のメニュー画面において「Folder」が選択されると、CPU11は該メニュー画面を同図(a)のフォルダ選択画面に切り替える。フォルダ選択画面において、「record」が選択されると、フォルダ選択画面を同図(b)の録音ファイル選択画面に切り替える。録音ファイル選択画面の表示は、「record」中に存在する録音ファイルのファイル名を一覧表示することにより行う。フォルダ録音ファイル選択画面において録音ファイル「20081217125836.wav」が選択されると、録音ファイル選択画面を同図(c)のスケジュール項目選択画面に切り替える。スケジュール項目選択画面の表示は、録音ファイル「20081217125836.wav」に関連付けられている録音付随情報に基づいて行う。スケジュール項目選択画面において、いずれかのスケジュール項目が選択されると、該録音付随情報に基づき、該録音ファイルにおける選択されたスケジュール項目の開始時刻に対応する部分から、再生を開始する。選択された録音ファイル「20081217125836.wav」が、上述図3により説明したトラックマークが付与された録音ファイルであるとすれば、スケジュール項目選択画面において「商品化会議」が選択されると、該録音ファイルにおける14時00分に対応する箇所(上述のようにトラックマークが14時06分に対応する箇所に付け替えられた後においては当該箇所)から再生が開始されることになる。なお、録音ファイル選択画面において表示されるファイル名は対応する録音ファイルの録音開始時刻を示している。たとえば、ファイル名「20081217125836.wav」はこれに対応する録音ファイルの録音開始時刻が2008年12月17日の12時58分36秒であることを示す。
【0034】
図6は、録音ファイルにトラックマークを付与する別の処理を示すフローチャートである。この場合も処理はCPU11により、所定のプログラムに従って行われる。ただし、インタフェース部22を介して接続されたポータブルレコーダやDAP(デジタルオーディオプレーヤ)等により録音され、該ポータブルプレーヤ等から転送を受けて記憶部20に蓄積する録音ファイルを対象として、トラックマークの付与が行われる。
【0035】
すなわち、処理を開始すると、CPU11は、まず、ステップ61において、DAP等がインタフェース部22を介して接続されるのを待機する。DAP等が接続されたことを検出すると、ステップ62へ進み、DAP等のメモリ中における「record」の名称を有するフォルダ中に録音ファイルが存在するか否かを判定する。存在しないと判定した場合にはそのまま図6の処理を終了する。存在すると判定した場合には、ステップ63へ進み、該フォルダ中の録音ファイルを記憶部20に転送する。
【0036】
次に、ステップ64において、所定のケジュールデータが参照可能であるかどうかを判定する。つまり、参照可能なスケジュールデータが記憶部20やフラッシュメモリ21に存在すれば、参照可能であると判定される。参照可能ではないと判定した場合には、ただちに図6の処理を終了する。参照可能であると判定した場合には、ステップ65へ進み、該スケジュールデータをメインメモリ上に読み出す。
【0037】
次に、ステップ66において、スケジュールデータ中に、転送した録音ファイルに係る録音開始時刻から終了時刻までの時間帯に開始時刻が含まれるスケジュール項目が存在するか否かを判定する。この判定は、たとえば、録音ファイルのファイル名として記録された録音開始時刻、該録音開始時刻及び該録音ファイルの容量等により得られる録音終了時刻、並びにスケジュールデータ中の各スケジュール項目の開始時刻を比較することにより行うことができる。このファイル名の具体例としては、たとえば録音ファイルが、DAP等により2008年12月17日の12時58分36秒に開始され、同日の14時55分に終了した録音に係るものであるとすれば、「20081217125836.wav」が該当する。ただし、「.wav」はファイル形式がWAVフォーマットであることを示す拡張子である。
【0038】
ステップ66において該当するスケジュール項目が存在しないと判定した場合には、ただちに図6の処理を終了する。該当するスケジュール項目が存在すると判定した場合にはステップ67へ進み、転送した録音ファイルに対し、スケジュールデータに基づき、該当する各スケジュール項目の開始時刻に対応する位置にトラックマークを付与する。トラックマークの付与が完了すると、図6の処理を終了する。
【0039】
なお、この場合においても、トラックマークの付与に際し、録音ファイル毎に、付与された各トラックマークに対応するスケジュール項目の内容及びその開始時刻を付随情報として録音ファイルに関連付けて記憶するとともに、その後のトラックマークの変更、追加又は削除を付随情報に反映しておくことによって、図5を用いて説明した方法により、任意のスケジュール項目に対応する録音ファイル部分から再生を行うようにすることができる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、録音ファイルに対し、スケジュールデータに基づいてトラックマークを付与するようにしたため、録音ファイルを、関係する任意のスケジュール項目の開始時刻に対応する位置から容易に再生することができる。また、他の装置から録音データを取得する場合も、後付でトラックマークを付与するようにしたため、同様に、任意のスケジュール項目の開始時刻に対応する位置から再生を行うことができる。
【0041】
さらに、トラックマークの付与を行う際に、録音データに対応付けて、対応するスケジュール項目及びその開始時刻を録音付随情報として記録するようにしたため、各スケジュール項目を選択項目として表示し、その選択を受け入れることにより、録音付随情報及び各録音ファイルに付随する録音開始時刻に基づき、選択されたスケジュール項目に対応する部分から対応する録音データの再生を行うことができる。
【0042】
なお、本発明は上述実施形態に限定されることなく、適宜変形して実施することができる。たとえば、上述においては、録音データに区切り情報を付与する手段として、録音ファイルにトラックマークを付与する方法を用いているが、この代わりに、録音データを異なるファイルに分割することにより、区切り情報を付与するようにしてもよい。たとえば録音期間中に含まれる各スケジュール項目の開始時刻が到来する毎に、順次その開始時刻やスケジュール項目の内容を含むファイル名を付した新たなファイルを生成し、ファイル分けしながら、録音データを記録してゆくようにしてもよい。この場合、1回分の録音データを構成する各ファイルのファイル名に、対応するスケジュール項目及びその開始時刻を記録することにより、上述の録音付随情報の記録を行うことができる。
【0043】
また、上述においてはスケジュールデータはオーディオ装置が保有しているが、この代わりに、スケジュールデータは他の装置に記録されていてもよい。この場合、他の装置がオーディオ装置に接続されたときに、オーディオ装置はスケジュールデータの参照を行うことができる。
【0044】
また、上述図6のステップ52において、DAPからオーディオ装置に転送される録音ファイルについての録音開始時刻の情報はその録音ファイルのファイル名として記録するようにしているが、この代わりにその録音ファイルのメタデータとして記録するようにしてもよい。
【0045】
また、上述においては、録音ファイルについてのトラックマーク、録音開始時刻、対応するスケジュール項目やその開始時刻等の情報の記録は、ファイル名やメタデータその他の領域において行うようにしているが、これらの情報は一括して1つのデータベースとして管理するようにしてもよい。たとえば、各録音ファイル毎に、ファイル名、録音開始時刻、録音終了時刻、及び対応する各スケジュール項目とその開始時刻等の項目を設けたテーブルのファイルを、録音ファイルを格納するためのフォルダ「record」内に格納しておき、録音を行い、又は他の機器から録音ファイルの転送を受ける毎に、得られる各項目のデータを追加的に登録してゆくようにしてもよい。このようなデータベースを用いて、登録されているファイル名の一覧を表示し、選択されたファイル名に対応する各スケジュール項目を表示し、選択されたスケジュール項目に対応する部分の再生を行うようにしてもよい。また、トラックマークの編集は、このようなデータベースを用いて、登録されているファイル名の一覧を表示し、選択されたファイル名について、図3のような各トラックマークの位置を示す図形を表示し、この図形を用いたユーザインタフェースによりトラックマーク位置の変更、削除、追加を受け入れ、その結果をデータベースに反映するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態に係るオーディオ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1のオーディオ装置において表示されるスケジュール閲覧画面の一例を示す図である。
【図3】録音ファイルに対するトラックマーク付与の一例を示す図である。
【図4】図1のオーディオ装置におけるトラックマークの付与処理を示すフローチャートである。
【図5】図1のオーディオ装置において、スケジュール項目の一覧表からの選択に基づいて再生を行う場合の画面遷移の一例を示す図である。
【図6】図1のオーディオ装置におけるトラックマークの付与処理の別の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
11:CPU、12:DAコンバータ、13:CD部、14:チューナ部、15:セレクタ、16:増幅部、17:出力部、18:操作部、19:表示部、20:記憶部、21:フラッシュメモリ、22:インタフェース部、23:マイク端子、24:ADコンバータ、25:日付け表示欄、26:時間帯表示欄、27:項目表示欄、28:バー図形、51:カーソル。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
各スケジュール項目がその前記スケジュール項目に関連する関連時刻とともに登録してあるスケジュールデータを参照するスケジュール参照手段と、
録音により生成される録音データに対し、前記スケジュール参照手段により参照するスケジュールデータに基づき、該録音データに係る録音期間中に開始する各スケジュール項目の関連時刻に対応する箇所において所定の区切り情報を付与する区切り情報付与手段とを具備することを特徴とするオーディオ装置。
【請求項2】
前記スケジュール情報参照手段により参照するスケジュールデータは他の装置に記録されており、
前記スケジュール参照手段は、前記他の装置が接続された場合に、前記スケジュールデータの参照を行うものであることを特徴とする請求項1に記載のオーディオ装置。
【請求項3】
前記録音データは、他の装置から取得し且つ録音開始時刻の情報が付随しているものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のオーディオ装置。
【請求項4】
前記区切り情報付与手段により付与された区切り情報は編集可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のオーディオ装置。
【請求項5】
前記区切り情報付与手段は、前記録音データに対する区切り情報の付与を行う際に、該録音データに関連付けて、付与する各区切り情報に対応するスケジュール項目及びその関連時刻を録音付随情報として記録することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のオーディオ装置。
【請求項6】
前記録音付随情報中の各スケジュール項目を選択項目として表示し、その選択を受け入れる選択手段と、
前記録音付随情報及び各録音データの録音開始時刻に基づき、前記選択手段により選択されたスケジュール項目に対応する部分から対応する録音データの再生を行う再生手段とを有することを特徴とする請求項5に記載のオーディオ装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかのオーディオ装置における各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
各スケジュール項目がその開始時刻とともに登録してあるスケジュールデータを参照するスケジュール参照工程と、
録音により生成される録音データに対し、前記スケジュール参照工程により参照するスケジュールデータに基づき、該録音データに係る録音期間中に開始する各スケジュール項目に関する関連時刻に対応する箇所において所定の区切り情報を付与する区切り情報付与工程とを具備することを特徴とする区切り情報付与方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−152966(P2010−152966A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329045(P2008−329045)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】