説明

オーバーキャップを有する包装システム

焙煎され挽いて粉末にされたコーヒー用の包装システムが開示されている。該包装システムは、容器(11)及びオーバーキャップ(30)を備えている。オーバーキャップは、最終使用者により閉じられたときクリック音を保持する、オーバーキャップ(30)と容器(11)との間の気密シールとしてのガスケット(43)及び最終使用者に視覚的且つ接触可能な刺激を与える外側部分を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略、食品を包装するのに有用な包装システムに関し、より詳細には、最終使用者により閉じられたときにクリック音を維持する、オーバーキャップ(an over cap)と容器との間における気密シールとしてのガスケット(a gasket)及び使用者に視覚的且つ接触可能な刺激を与える外側部分を有する焙煎され挽いて粉末にされたコーヒーの包装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
消費者は、一般的に、食品、特に、焙煎され挽いて粉末にされたコーヒーが消費時に新鮮であるという状況を望んでいる。コーヒー容器、より具体的には、P&G社(The Procter & Gamble Company)に譲渡された特許文献1に記載されるプラスチック製のコーヒー容器のような包装システムがますます使用され、コーヒーを消費者に届けている。プラスチック容器で消費者に販売されるコーヒーの増加につれて、容器内のコーヒーが新鮮さを保っているという表示に対する消費者の要求が存在する。消費者は、酸素を含む空気のような環境要因が、新鮮さにひいては焙煎され挽いて粉末にされたコーヒーの味に影響を与えることを承知している。最近の容器は、これらの視覚的指示器を消費者に提示するのではなく、容器が焙煎され挽いて粉末にされたコーヒーを輸送する方法ばかりでなく焙煎され挽いて粉末にされたコーヒーがこれらの環境要因から保護されているという表示を提供していることを消費者に知らせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,169,418号明細書
【特許文献2】米国特許第7,169,419号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さらに、新鮮さは、コーヒー市場における重大な消費者ニーズであるということが消費者調査から知られている。言い換えると、新鮮なコーヒーは、非常によい味の一杯のコーヒーと同じである。現在、消費者が商店でコーヒーを購入するときまでコーヒーが依然として新鮮であることを保証するための方法が、製造中及び包装中のコーヒーに対して使用される。コーヒーが購入され、保管場所や消費の場所、典型的には消費者の家に運ばれると、消費者は、コーヒーを全部消費するのにかかる時間の長さ以上に容器内で新鮮さを保つことをコーヒーに対して望む。残念ながら、オーバーキャップと容器との間の嵌め合い(the fit)は、気密シールにより新鮮さを効果的に「閉じ込める」には十分にしっかりとしていない。あるいは、その嵌め合いは、わずかな真空状態が時間をかけて維持され、空気が容器内に全く入ってこないことを示すように、包装に「吐き出させる(burp)」、すなわち、オーバーキャップの上面を押し、容器から空気を押し出し、次に、オーバーキャップを容器にシールしてさえも十分にはしっかりとしていない。例え、嵌め合いが十分にしっかりと閉められていたとしても、(圧力差、すなわち真空状態により)押圧されているオーバーキャップを認識することは消費者にとって難しかったであろう。なぜならば、圧力差は小さく、キャップの表面積は大きく、したがって、結果的に、オーバーキャップの撓みが小さかったからである。
【0005】
気密な容器が、柔軟な、通常は熱可塑性のシール、または、シール用ガスケットから成っているとなおさらである。このような柔軟なシールを有することは、一般的には気密なシールを提供する。しかしながら、シールに対し柔軟な熱可塑性物質を使用することは、最終使用者が容器に「吐き出させる」ときに発生するクリック音(a clicking sound)の損失を招く。容器に「吐き出させている」間、蓋が硬質合成樹脂製である場合、該蓋は、容器にパチンと閉じられ、容器に完全に取り付けられた状態になると、「カチッと音をたてる」。しかしながら、容器に柔軟な熱可塑性シールを使用すると、クリック音が失われ、それが本当にしっかりと閉じられ、容器をシールしたかどうかについて最終使用者を不安にさせる結果を招く。したがって、気密シールを有するが容器に「吐き出させる」ことを最終使用者が望む場合、クリック音を維持する容器に対する必要性が存在する。
【0006】
この問題を強調するには、真空指示ボタンまたは気泡の形での視覚的指示器を使用することである。このような気泡は、一般的に、容器の内側と容器の外側との間に圧力差が存在する時作動し、結果的に、最終使用者が容器に「吐き出させる」ときに生じる。気泡は、外側に向って凹んだ凹面から内側に向って凹んだ凹面へ変形し、部分的な真空が容器の内側に存在することを示す。気泡が所望の圧力で正しく作動するために、柔軟な熱可塑性材料が、蓋と容器との間に気密シールを形成するために必要とされる。しかしながら、上述したように、クリック音は、維持され、最終使用者に容器が完全にシールされたことを保障し、彼等に容器が完全にシールされたという確信を与えるために必要である。
【0007】
したがって、最終使用者により閉じられたときクリック音を維持する気密シールを有する包装システムに対する必要性が存在する。さらに、最終使用者に外側部分により視覚的且つ接触可能な刺激を与えることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この要望に対応するために、本発明は、焙煎され挽いて粉末にされたコーヒーのための包装システムを考えている。
【0009】
1つの実施態様において、容器、該容器に取り付けるための可撓性のオーバーキャップを備える包装システムが開示されている。可撓性のオーバーキャップは、オーバーキャップと容器をシールするガスケットを含み得る。該ガスケットは、容器に対しシールする第1表面及びオーバーキャップに対し接着する第2表面を備え得る。包装システムは、オーバーキャップの周囲に接着される外側部分をさらに備え得る。外側部分は、オーバーキャップに対し接着する第1部分及び最終使用者への視覚且つ接触刺激用の第2部分を備え得る。可撓性オーバーキャップは、ガスケットと外側部分が互いに接触しないようにガスケットと外側部分とを隔てるために配置される中間部分を備え得る。該中間部分は、オーバーキャップが容器に取り付けられると、容器に物理的に接触する。可聴音は、中間部分と容器との物理的接触により生じ、オーバーキャップが容器に適用される(applied to)と、人により感知されることが可能である。多数の色配合が、また、想定される。
【0010】
別の実施態様では、容器をシールするオーバーキャップが開示されている。該オーバーキャップは、カラー(a collar)、該カラーと容器との間をシールするガスケットであって、容器に対しシールする第1表面及びカラーに対し接着する第2表面を備えるガスケット、及びカラーに接着される外側部分であって、カラーに対し接着する第1部分及び最終使用者への視覚且つ接触刺激用の第2部分を備える外側部分を備え得る。オーバーキャップは、中間部分を有するカラーをさらに備え得る。該中間部分は、ガスケットと外側部分が互いに物理的に接触しないように、ガスケットと外側部分とを隔てるために配置されており、該中間部分は、オーバーキャップが容器に取り付けられると、該容器に物理的に接触する。
【0011】
さらに別の実施態様は、開放している上部、閉じられている底部及び本体部分を備える容器、該容器に取り付ける可撓性オーバーキャプであって、該オーバーキャップを容器にシールするガスケットを含み、ガスケットと外側部分が互いに接触しないように、ガスケットと外側部分を隔てるために配置される中間部分を含み、オーバーキャップが容器に取り付けられたとき、中間部分が容器に物理的に接触する可撓性オーバーキャップ、該オーバーキャップの周囲に接着される外側部分であって、最終使用者により視認可能且つ接触可能な第2部分を備えている外側部分を備える包装システムを含み、可聴音が中間部分と容器との物理的接触により生じ、該可聴音は、オーバーキャップが容器に適用されると、人により感知されることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】包装システムの分解組立斜視図である。
【図2】外側部分を有するオーバーキャップを含む包装システムの斜視図である。
【図3】ガスケットを含むオーバーキャップの斜視図である。
【図3A】オーバーキャップの下面の斜視図である。
【図4】適用されたオーバーキャップを有する容器の拡大図である。
【図5】本発明の少なくとも1つの実施態様に関連する製造工程の第1ステップのための金型配列である。
【図6】本発明の少なくとも1つの実施態様に関連する製造工程の次のステップのための金型配列である。
【図7】本発明の少なくとも1つの実施態様に関連する製造工程の次のステップのための金型配列である。
【図8】本発明の少なくとも1つの実施態様に関連する製造工程の次のステップのための金型配列である。
【図9】本発明の少なくとも1つの実施態様に関連する製造工程の次のステップのための金型配列である。
【図10】本発明の少なくとも1つの実施態様に関連する製造工程の次のステップのための金型配列である。
【図11】本発明の少なくとも1つの実施態様に関連する製造工程の次のステップのための金型配列である。
【図12】本発明の少なくとも1つの実施態様に関連する製造工程の次のステップのための金型配列である。
【図13】本発明の少なくとも1つの実施態様に関連する製造工程の次のステップのための金型配列である。
【図14】本発明の少なくとも1つの実施態様に関連する製造工程の次のステップのための金型配列である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る非常にたくさんの利点及びさらなる形態が以下の好ましい実施態様の説明及び図面から明白となるであろう。
【0014】
本明細書は、本発明の説明を含み、発明を画定するクレームで完結しているけれども、本発明の説明及びクレーム両方とも図面を参照することにより、良く理解されることを信ずる。
【0015】
本発明の原理の理解を促すために、図面に例示されている実施態様に先ず言及がなされ、特定の言語が同じものを説明するために使用されるだろう。それにもかかわらず、それによって発明の範囲が限定されるものでは全くないことが理解されるだろう。本発明が関係する当業者にとって普通に思い当たる、本明細書に例示された装置の変更やさらなる修正及び本発明の原理のさらなる応用は、本発明の範囲内にあるものとして考えられる。
【0016】
本明細書における発明は、食品用の包装の観点から一般的に説明されているけれども、食品用の適切な包装システムが本発明の範囲内にあることが理解されるべきである。本明細書で使用され、説明されるような熱可塑性エラストマーの二段成形(a double shot molding)は、最終使用者により閉じられるとクリック音を維持する気密シールを有することが包装システムにとって有益であり、または、少なくとも望ましいいかなる製品にとっても有用であり、有益である。
【0017】
本明細書において使用されるように、クレームまたは明細書において使用される場合の「the」、「a」及び「an」を含んでいる物品は、1以上のクレームされたものまたは記載されたものを意味すると考えられている。
【0018】
本明細書に使用されるように、用語「include」、「includes」及び「including」は、限定されないことを意図されている。
【0019】
本明細書に使用されるように、包装システムの用語「吐き出させる(burp)」または「吐き出させること(burping)」は、最終使用者すなわち消費者が、包装システム内においてわずかな真空状態が作り出されるように、本発明の1つの実施態様に係る包装システムのオーバーキャップの上面を押し、空気を容器から押し出し、それに続いて、オーバーキャップを容器にシールするかまたは取り付ける場合として定義される。したがって、「吐き出させること」は、過剰な大気ガスが容器から放出され、それにより、容器の内部に存在する空気、したがって酸素の量を減少させることになる。
【0020】
本明細書に使用されるように、用語「カチッと音がすること(clicking)」または「パチンと閉まること(snapping)」は、オーバーキャップを容器に普通に且ついつもの通りに適用している間、消費者により感知されることが可能であり、また消費者により感知され得る可聴音を作り出すことを意味する。
【0021】
本発明は、焙煎され挽いて粉末にされたコーヒー用の包装システムに関する。包装システムは、容器、オーバーキャップ、該オーバーキャップと容器との間をシールするガスケット、及びオーバーキャップの周囲に接着される外側部分を備えている。オーバーキャップは、通常、最終使用者により包装システムに「吐き出させている」間、オーバーキャップがスナップ音(a snapping sound)またはクリック音を伴って所定の位置にパチンと閉まるように、ポリオレフィン材料から作られ得る。ポリオレフィンは、鎖状低密度ポリエチレンまたはポリプロピレン、あるいはオーバーキャップのスナップ音を維持するのに用いられることができる機能的にそれらと同等のものを含んでいる。このようなスナップ音は、気密シールが作り出されたことを最終使用者に実証する。ガスケットは、通常、オーバーキャップと容器との間に100%の効率的シールが発生するように、熱可塑性エラストマーから作られ得る。外側部分は、通常、同様に熱可塑性エラストマーから作られ得る。外側部分は、該外側部分が少なくとも部分的に消費者に対して目に見えることができるように、オーバーキャップの周囲に接着される。外側部分が消費者に対して目に見えるので、消費者は、該外側部分に接触することができる。消費者にとって目に見えるばかりでなく接触可能であることは、消費者が、この熱可塑性エラストマーを視覚的に認識でき、且つ、この熱可塑性エラストマーに触ることができる。このことは、消費者にシールの確実性、したがって包装システムの内部にある焙煎され挽いて粉末にされたコーヒーの新鮮さを伝達し、知らせる。したがって、外側部分は、容器が気密シールを呈しているものであるという、簡単で、強い可視信号を消費者に提供することができる。
【0022】
オーバーキャップと容器との間に気密シールを作り出し、したがって、包装システム10が「吐き出す」と真空状態を形成することを可能とするために、少なくとも1つの実施態様においては、熱可塑性エラストマー(TPE)がガスケットすなわちシールとして用いられる。柔軟な接触材料として当業者に普通に知られている熱可塑性エラストマーは、容器とオーバーキャップとの間に100%またはほぼ100%の気密シールを作り出すのに用いられる。オーバーキャップに取り付けられると、熱可塑性エラストマーは、変形し、オーバーキャップが容器上内に置かれると、容器に適合する。また、このような装置がシールを形成し、空気が包装システムに入ることを阻止する。
【0023】
熱可塑性エラストマーは、本発明のたくさんの実施態様に従って使用される。正しい且つ最もよい熱可塑性エラストマーの選択は、たくさんの要因に基づいている。これらの要因の中には、オーバーキャップと容器との間を効率的にシールし、適切な摩擦や構造特性を有し、容器を閉じるために容器にオーバーキャップを適用している間、容器に重なり合う能力、及び焙煎され挽いて粉末にされたコーヒーのかすの吸引不足や保留がある。従って、本発明の実施態様は、これらの要因を考慮して以下に説明される。
【0024】
図1は、本発明の1つの実施態様に係る包装システム10を詳述している。包装システム10は、通常、プラスチック、例えば、ポリオレフィンから作られている容器11を備えている。包装システム10は、上記特許文献1及び2に概ね準拠している。この結果として、上記特許文献1及び2は、全体として本明細書に参照により組み入れられている。容器11は、丸い形、四角形、平行六面体を含むとともに、ハンドル(handles)、グリップ(grips)、または開口部の付いたハンドルを持つものあるいはもたないものを含む様々な形状、限定されない例をとり得る。また、容器11は、様々な適切な材料から作られ得る。容器11は、一般的に、開口している上部12、閉じられている底部13、及び本体部分14を備えている。開口している上部12、閉じられている底部13及び本体部分14は、焙煎され挽いて粉末にされたコーヒーのような製品が収容される容積を画定している。
【0025】
図1をさらに参照すると、容器11は、実質的に滑らかな側壁を有する円筒形をしている。別の実施態様では、容器は、平行六面体の形をしている。ハンドル部分15が容器の本体部分14の弧状の位置にそれぞれ形成されていてもよい。さらに、容器11は、容器11の開口端に配置される縁状の構造をした隆起部17を有し得る。隆起部17は、閉鎖体18を取り外し可能に取り付けるための表面を提供するとともに、オーバーキャップ30のスカート部分(a skirt portion)32のための固定面を提供する。
【0026】
再度図1を参照すると、容器11の開口端に配置される縁状の構造をした隆起部17は、該隆起部17の上に配置されるざらつきのある表面を有し得る。隆起部17の上に配置されるざらつきのある表面は、突起形状をした浮き彫り表面、環状の外観及び/又はクロスハッチング模様(cross-hatching)を備え、取り外し可能な閉鎖体19の望ましいシールを容易にする。環状の外観は、隆起部17のシール表面から突出する同心のリングとしての単一のビード(a single bead)または一続きのビードを含み得る。理論により結合されることを望まないとはいえ、隆起部17上のざらつきのある表面は、シール工程の間、より均一な及び/又は集中した圧力が加えられることを可能にさせ得る。ざらつきのある表面は、成形、トリミング(trimming)、輸送工程中に及び容器11の製造中に導入される不規則性に起因して、隆起部17と取り外し可能な閉鎖体19との間のさらなるシール能力を提供し得る。図1及びその他の実施態様は、隆起部17を開示しているのに対して、隆起部のない包装システムも考えられ、それも本発明の範囲内にあることが理解されるべきである。
【0027】
さらに図1において、包装システム10は、閉鎖体18を備え得る。閉鎖体18は、容器11に取り外し可能に取り付けられ、シールされ得る、剥がしてまた貼り直せる薄板状のシール19であり得る。剥がしてまた貼り直せるシール19は、参照番号20で孔として示される、その真下にガス抜き弁を適用され得る孔を有し得る。一方向弁20は、剥がしてまた貼り直せるシール19に加熱溶着される(heat welded)かまたはぴったりと接着され得る。
【0028】
閉鎖体18は、容器11の縁すなわち隆起部17に沿って容器11にシールされ得る。シール方法は、閉鎖体の材料及び容器の縁を介して圧力と熱を加える熱い金属板を含み、溶融接着を引き起こす加熱シール方法を含んでいる。達成される剥離強度は、一般的に、加えられる圧力、温度、及びシール工程の滞留時間の結果である。しかしながら、その他のタイプのシール及びシール方法が、十分且つ効率的なシール強度を有する接着を達成するために使用され、これに限定されるものではないが、縁17に配置される複数の環状シール・ビードを含み得ることが、当業者にとって知られている
図1を再度参照すると、包装システム10は、オーバーキャップ30を備え得る。オーバーキャップ30は、ドーム状部分(a dome portion)31、スカート部分32、及びリブ(a rib)33を備え得る。オーバーキャップ30は、容器11に取り外し可能に取り付けられるように構成されている。限定されない例として、オーバーキャップ30は、一般的に、低曲げ弾性率を有するプラスチック、例えば、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LPDE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリカーボネート、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、それらの共重合体、及びそれらの組み合わせから製造される。これは、高度の可撓性を有するが、一連の容器を積み重ねることを可能とするのに十分な剛性を提供し得るオーバーキャップ30を考慮している。可撓性のオーバーキャップ30を用いることにより、包装中の機械的適用ばかりでなく消費者により開けられた後のオーバーキャップ30の容器11への再適用が容易になる。可撓性のオーバーキャップ30、特に、上述の材料から選択されたプラスチックから作られた可撓性のオーバーキャップ30の特徴は、最終使用者が容器11から過剰の大気ガスを「吐き出させ」、それにより、容器11内に存在する酸素の量を低下させることができることにある。さらに、オーバーキャップ30により示される可撓性及び剛性の望ましい釣り合いは、オーバーキャップ30の厚さ形状を変えることにある。例えば、ドーム状部分31は、スカート部分32及びリブ33より薄く製造される。
【0029】
ドーム状部分31は、一般的に、湾曲、したがって、高さを有して設計され、焙煎され挽いて粉末にされたコーヒーのような包装される製品のオフガス(off gases)として、容器11から閉鎖体18の外側に向かう変位を受け入れることができる。ドーム状部分31に必要とされる湾曲量は、閉鎖体18の変位の予測として数学的に決定される。限定されない例として、ドーム状部分31の規準高さは、閉鎖体18の内部圧力が15ミリバール(1500Pa)で、規準直径が6インチ(15.25cm)のオーバーキャップに対し、0.242インチ(0.61cm)であり得る。さらに、ドーム状部分31は、また、一般的に、容器11内で内部圧力が上昇し、一方向弁20によるオフガスの開放の前に、閉鎖体18を上昇させるとき、その当初の高さを越えて変位可能であり得る。ドーム状部分31は、湾曲を有するように設計されているとして説明されたが、湾曲を有しないその他の実施態様が想定される。単なる平坦な設計もまた適切であり得る。
【0030】
図2は、本発明の1つの実施態様に係る包装システム10の斜視図を示す。この実施態様においては、包装システム10は、閉じられた底部13、本体部分14、及びハンドル部分15を備える容器11を含んでいる。図2は、容器11に適用されているオーバーキャップ30、オーバーキャップのカラー41、及びオーバーキャップの外側部分42をさらに詳細に示している。この特定の実施態様におけるオーバーキャップ42は、カラー41においてオーバーキャップ30の周囲に接着され、後述するように、オーバーキャップに接着する第1の部分(この図には示されていないが図4に示されている)及び最終使用者に対する視覚且つ接触刺激用の第2の部分を有している。
【0031】
図3は、本発明の1つの実施態様に係るオーバーキャップ30aの側部及び下部の斜視図を詳細に示している。この実施態様においては、オーバーキャップ30aは、カラー41を有する。さらに、ガスケット43がオーバーキャップ30aの下側に示されている。ガスケット43は、オーバーキャップ30aの内側に位置している。ガスケット43は、オーバーキャップ30aと容器11との間をシールするためのものである。ガスケット43は、空気が容器内に入ることができないように、オーバーキャップ30aと容器11との間に100%の気密シールまたはそれに近い気密シールを形成することができる。前に述べたように、ガスケットは、熱可塑性エラストマー(TPE)から作られ得る。柔軟な接触材料として当業者に良く知られている熱可塑性エラストマーは、容器とオーバーキャップとの間に100%または略100%の気密シールを作り出すために使用される。オーバーキャップに取り付けられると、熱可塑性エラストマーは、変形し、オーバーキャップが容器上に置かれると、容器に適合する。そして、このような装置がシールを形成し、空気が包装システムに入ることを阻止する。
【0032】
図3Aは、オーバーキャップ30bの1つの実施態様の下側から見た図を詳細に示している。この実施態様において、オーバーキャップ30bは、真空が包装システムの内側に存在するかどうかにより、容器の内側から離れて外側が凹面であるかまたは容器の内側に向って内側が凹面である気泡の形をした視覚的指示器39を含んでいる。指示器39は、容器が消費者により「吐き出された」後、容器の内側と容器の外側の間の圧力差を示す。包装システムが真空下にあると、視覚的指示器39は、内側が凹面となる。包装システムが真空下にないと、視覚的指示器39は、外側が凹面になる。ガスケット43cの1つの実施態様がまた示されている。この実施態様においては、ガスケット43cは、4つのランナー・スポーク(runner spokes)35、36、37、及び38から形成されている。これらのランナー・スポーク35、36、37、及び38は、射出成形コアが熱可塑性材料を挿入し、ガスケット43cを形成する領域を表している。したがって、先端35a、36a、37a、及び38aのような、ランナー・スポークがオーバーキャップの周囲に接触するポイント(the points)において、以下に説明される中間部分が全く存在しない。このように、4つのランナー・スポークが、ポイント35a、36a、37a、及び38aにおいてオーバーキャップ30bの周囲に接触するので、この実施態様において、中間部分は、オーバーキャップの周囲を囲んで連続して配置されていない。
【0033】
図4は、容器11に取り付けられているオーバーキャップ30cの1つの実施態様の拡大図を詳細に示している。この実施態様において、オーバーキャップ30cは、カラー41を含んでいる。カラー41は、中間部分44を含んでいる。この実施態様において、ガスケット43は、オーバーキャップ30cの下側に囲われ、そこに接着されている。ガスケット43は、第1表面43a及び第2表面43bを含んでいる。また、この実施態様においては、外側部分42は、オーバーキャップ30cに囲われ、それに接着されている。外側の視覚部分43は、第1部分42a及び第2部分42bを含んでいる。
【0034】
図4の中間部分44は、カラー41の一部であり、ガスケット43と外側部分42との間の物理的接触が起きないように、ガスケット43と外側部分42を隔てるために配置されている。しかしながら、本発明の範囲内にある別の実施態様においては物理的接触が起きてもよい。さらに、中間部分44は、オーバーキャップ30cの容器11への適用時に該中間部分が容器11と物理的接触するように位置している。オーバーキャップ30cの容器11への適用時、クリック音またはスナップ音が生じる。このことは、中間部分44が容器11と物理的に接触することにある。そのような可聴クリック音又はスナップ音は、気密シールまたはそれに近い気密シールを作り出すほどにしっかりとオーバーキャップ30cが容器に適用されシールされるように実際にオーバーキャップ30cが容器に正しく適用されたという確信をその音が最終使用者に与えるように、該最終使用者により感知される。
【0035】
図4において、ガスケット43は、第1表面43a及び第2表面43bを備える。第1表面43aは、空気が容器に入ることを阻止すべく容器をシールするための表面であり得る。第2表面43bは、ガスケット43をオーバーキャップに接着するための表面であり得る。図4に示されるように、第1表面43a及び第2表面43bは、3つ全てが一つであるように、ガスケット43と一体となり得る。
【0036】
外側の視覚的部分42がまた含まれ得る。該部分42は、第1部分42aと第2部分42bを備え得る。第1部分42aは、オーバーキャップに接着されるための部分であり得る。第2部分42bは、最終使用者に対して視覚且つ接触刺激用の部分であり得る。図4に示されるように、第1部分42a及び第2部分42bは、それらが外側部分42として一つに形成されるように、一体化し得る。
【0037】
本発明のその他の実施態様は、また、本発明の範囲内に含まれる。例えば、ガスケット、外側部分、カラー、及び中間部分の着色が考えられる。そのような着色は、外側部分とガスケットが同じ色を有するが、カラー及び中間部分と異なる色を有するように色を異ならせることを含むだろう。さらに、外側部分とガスケットは、異なる色を有していてもよいし、外側部分、カラー、及び中間部分が同様に異なる色を有していてもよい。カラーと外側部分との間で色を異ならせることは、最終使用者が際立った特徴が存在すること、外側部分の形でオーバーキャップに接着される異なった材料のカラーに視覚的に注目することを可能とする。
【0038】
上述したように、外側部分とガスケットは、通常、ゴムや熱可塑性エラストマーを含む弾力性のあるポリマーから作られる。外側部分及びガスケットに対し、熱可塑性エラストマーが使用されることが好ましい。熱可塑性エラストマーは、気密シールも可能にさせる柔軟な接触材料を提供する。さらに、カラー及び中間部分を含んでいるオーバーキャップは、通常、ポリオレフィンのような剛性のプラスチック材料から作られる。オーバーキャップは、ポリプロピレンから作られ得る。その他の同様のタイプのプラスチックが本発明の範囲内にあり、包装システムの構成部品を作るのに使用され得る。
【0039】
その他の実施態様において、熱可塑性エラストマー(TPE)材料は、該材料が色変更シールを作り出すのに使用され得るように、少なくとも部分的にまたは完全に透明であり得る。このような実施態様において、容器とオーバーキャップとの間の密接な接触が存在する場合、容器とオーバーキャップとの間の接触面におけるシールは、色を変化させ得る。1つの実施態様において、例えば、熱可塑性エラストマー材料が青であり、該熱可塑性エラストマー材料に接触する容器側の部分が黄色である場合、シールは、結果としての緑色に変化し得る。任意の結果としての色が形成され得るように熱可塑性エラストマー材料及び容器に対して任意の色を使って、別の色の配合が想定され得る。
【0040】
包装システム10に「吐き出させる」間におけるオーバーキャップの取り扱いにおいて、最終使用者すなわち消費者は、わずかな真空が長い時間をかけて包装システム10内で維持されるように、包装システム10のオーバーキャップ30の上面を押し、容器11から空気を押し出し、次に、オーバーキャップ30を容器11に対してシールまたは押し付ける。消費者により「吐き出させる」ことが実行されると、彼または彼女は、この時、少なくともかなりの空気、したがって酸素が容器から取り除かれ、コーヒーにとって心地よい環境が用意されたことを知る。かなりの酸素が容器から取り除かれ、また、酸素が気密ガスケットにより容器内に入ることを阻止されているので、コーヒーの酸化がほとんど発生することがなく、したがって、より新鮮なコーヒーが保持され得る。ガスケット43は、気密シールまたはそれに近い気密シールが作られたことを知るという利点を消費者に与える。
【0041】
製造に関して、図1に示されるように、容器11は、ポリオレフィン・コンパウンド(apolyolefinic compound)をブロー成形することにより製造され得る。例えば、ポリエチレンやポリプロピレンは、食品との接触に対して比較的低コストの樹脂であり、優れた水蒸気バリア性を提供する。しかしながら、これらの材料が長期保存期間を必要とする酸素感受性の食品を包装するのにあまり適していないことが技術的に知られている。限定されない例として、エチレンビニルアルコール(EVOH)がそのような優れたバリア性を提供し得る。したがって、エチレンビニルアルコールの薄い層が2以上のポリオレフィンの層の間に挟まれることがこの問題を解決し得る。したがって、ブロー成形工程では、使用される樹脂それぞれに対して追加の押出機を組み入れることによる多層構造が用いられる。さらに、容器は、射出成形や延伸ブロー成形を含むその他の方法を用いて製造され得る。
【0042】
ガスケット43及び外側部分42を有するオーバーキャップ30は。射出成形を用いて製造され得る。製造に関する少なくとも1つの実施態様において、金型の設計は、回転チューブスタック金型構造(a rotating tube stack mold configuration)を用いる。図5〜14は、本発明の少なくとも1つの実施態様に係るオーバーキャップを製造するのに用いられ得る成形工程を詳細に示している。
【0043】
本明細書で開示される寸法や数値は、記載される正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、他に特定されない場合、そのような寸法は、それぞれ、記載された数値及びその値を取り囲む機能的に等価の範囲の両方を意味するよう意図されている。例えば、「40mm」として明示されている寸法は、「約40mm」を意味するように意図されている。
【0044】
発明の詳細な説明において引用された全ての文献は、要部において、参照により本明細書に組み込まれている。文献の引用は、該文献が本発明に対する従来技術であることを自白するものとして解釈されるべきではない。本明細書における用語の意味または定義が参照により組み入れられた文献における同じ用語の意味または定義と衝突する限りにおいて、本明細書の当該用語に割り当てられている意味または定義が支配するだろう。
【0045】
本発明の特定の実施態様が例示され説明されてきたけれども、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、いろいろなその他の変更や改良がなされ得ることが当業者にとって明白である。したがって、本発明の範囲内にあるような変更や改良全てを添付されたクレーム内に包含することが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器、
容器に取り付けるための可撓性のオーバーキャップ、
を備え、
可撓性のオーバーキャップは、該オーバーキャップと容器をシールするガスケットを含み、
該ガスケットは、容器に対しシールする第1表面とオーバーキャップに対し接着する第2表面を備えている、包装システム。
【請求項2】
オーバーキャップの周囲に接着される外側部分をさらに備え、該外側部分は、オーバーキャップに対し接着する第1部分と最終使用者に対する視覚且つ接触刺激用の第2部分を備えている、請求項1に記載の包装システム。
【請求項3】
可撓性オーバーキャップは、ガスケットと外側部分とが互いに接触しないように、ガスケットと外側部分を隔てるために配置されている中間部分を備え、該中間部分は、オーバーキャップが容器に取り付けられると、容器に物理的に接触する、請求項1に記載の包装システム。
【請求項4】
中間部分と容器とのの物理的接触により可聴音が生じ、該可聴音は、オーバーキャップが容器に適用されると、人により感知されることが可能である、請求項3に記載の包装システム。
【請求項5】
ガスケットは、熱可塑性エラストマーから作られる、請求項1に記載の包装システム。
【請求項6】
外側部分は、熱可塑性エラストマーから作られる、請求項1に記載の包装システム。
【請求項7】
容器内に入れられる焙煎され挽いて粉末にされたコーヒーをさらに備えている、請求項1に記載の包装システム。
【請求項8】
カラー、
カラーと容器との間をシールするガスケットであって、容器に対しシールする第1表面とカラーに対し接着する第2表面を備えているガスケット、
カラーに接着される外側部分であって、カラーに対し接着する第1部分と最終使用者に対し視覚且つ接触刺激用の第2部分を備えている外側部分、
を備えている容器をシールするためのオーバーキャップ。
【請求項9】
中間部分を有するカラーをさらに備え、該中間部分は、ガスケットと外側部分が互いに物理的に接触しないように、ガスケットと外側部分とを隔てるために配置され、中間部分は、オーバーキャップが容器に取り付けられると、容器に物理的に接触する、請求項8に記載のオーバーキャップ。
【請求項10】
ガスケットは、オーバーキャップに接着される、請求項8に記載のオーバーキャップ。
【請求項11】
ガスケットは、容器に接着される、請求項8に記載のオーバーキャップ。
【請求項12】
ガスケットは、熱可塑性エラストマーから作られる、請求項8に記載の包装システム。
【請求項13】
外側部分は、熱可塑性エラストマーから作られる、請求項8に記載の包装システム。
【請求項14】
開放している上部、閉じられている底部、及び本体部分を備えている容器、
容器に取り付ける可撓性オーバーキャップであって、オーバーキャップを容器にシールするガスケットを含み、ガスケットと外側部分とが互いに接触しないように、ガスケットと外側部分を隔てるために配置される中間部分を含み、オーバーキャップが容器に取り付けられると、中間部分が容器に物理的に接触する可撓性オーバーキャップ、
オーバーキャップの周囲に接着される外側部分であって、最終使用者により視認可能且つ接触可能な第2部分を備えている外側部分、
を備え、
可聴音が中間部分と容器との物理的接触により生じ、該可聴音は、オーバーキャップが容器に適用されると、人により感知されることが可能である、包装システム。
【請求項15】
容器内に入れられる焙煎され挽いて粉末にされたコーヒーをさらに備えている、請求項14に記載の包装システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2011−500459(P2011−500459A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528516(P2010−528516)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際出願番号】PCT/IB2008/054142
【国際公開番号】WO2009/047724
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(508332265)ザ フォルジャーズ コーヒー カンパニー (4)
【Fターム(参考)】