説明

オーバーラミネート用フィルム及び被覆された印刷構造物

【課題】インクジェットプリンターによりフルカラー印刷されたもの等の水性インク吸収層を設けた合成樹脂フィルムのような印刷構造物をラミネートすることによって表面保護するフィルムを提供する。
【解決手段】基材フィルム層及び粘着剤層を有してなるオーバーラミネート用フィルムであって、上記基材フィルム層は、ポリオレフィン樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー、紫外線安定剤及び光安定剤を含有するものであり、上記オレフィン系熱可塑性エラストマーの含有量は、上記ポリオレフィン樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、5〜100質量部であり、上記紫外線吸収剤の含有量は、上記ポリオレフィン樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、0.05〜0.4質量部であり、上記光安定剤の含有量は、上記ポリオレフィン樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、0.1〜0.5質量部であるオーバーラミネート用フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバーラミネート用フィルム及び被覆された印刷構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷構造物を被覆保護するオーバーラミネート用フィルムには、塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂フィルムが使用されている。しかし、印刷構造物の表面層とオーバーラミネート用フィルムに使用されている熱可塑性樹脂フィルムの素材とが異なる場合、熱可塑性樹脂フィルム単体を印刷構造物の表面に熱圧着法によるラミネートによって接着させることは容易なことではない。
【0003】
特に、印刷構造物として表面に水性インク吸収層を設けた合成樹脂フィルムを用いる場合において、水性インク吸収層としては多様化された素材が用いられているため、上述したような熱可塑性樹脂フィルムを任意の水性インク吸収層に単独で接着させることは困難である。
【0004】
そこで、熱可塑性樹脂フィルムに粘着剤を積層したオーバーラミネート用フィルムが一般的に用いられており、このような熱可塑性樹脂フィルムに粘着剤を積層したオーバーラミネート用フィルムと水性インク吸収層を設けた合成樹脂フィルムとを接着させることによってオーバーラミネート用フィルムで被覆された印刷構造物が製造されている。
【0005】
しかし、このようにして製造されたものは、水性インク吸収層と粘着剤層との間の接着強度及び密着性が低く、水性インク吸収層と粘着剤層との間に空気が入り込んでしまう場合があり、このような場合、オーバーラミネート用フィルムで被覆された印刷構造物の意匠が全体的に白っぽく見え、外観が大きく損なわれてしまうことになる。
【0006】
従って、熱可塑性樹脂フィルムに粘着剤を積層したオーバーラミネート用フィルムを、インクジェットプリンターによりフルカラー印刷された水性インク吸収層を設けた合成樹脂フィルムにラミネートして接着させて得られる製品は、水性インク吸収層と粘着剤層との間の密着性が悪く、鮮明な画像が得られないことがある。また、水性インク吸収層と粘着剤層との間の接着力が低いため、フィルムが剥がれやすく、特に水にぬれた際には、これらの層間に水が侵入し、浮きが発生することもある。
【0007】
このような熱可塑性樹脂フィルムに粘着剤を積層したオーバーラミネート用フィルムは、価格や性能等の観点から、基材フィルム層として塩化ビニル樹脂が広く使用されている。しかし、塩化ビニル樹脂は、塩素を含有する樹脂であるため、廃棄処分する際に、有害な塩酸ガスやダイオキシンを発生する問題がある。このため、近年の環境問題への対応から、塩化ビニル樹脂の代替材料として、ポリオレフィン系フィルムが使用される傾向になっている。
【0008】
しかし、このようなポリオレフィン系フィルムを基材フィルム層として用いたオーバーラミネート用フィルムは、塩化ビニル樹脂を使用した場合に比べて、風合いに劣るという問題がある。また、耐侯性の点でも劣るため、ポリオレフィン系フィルムに粘着剤を積層したオーバーラミネート用フィルムと水性インク吸収層を設けた合成樹脂フィルムとを接着させることによって得られたものを屋外で曝露すると、吹き出しが発生したり、変色したりするという問題もある。
【0009】
特許文献1〜5に、種々のオーバーラミネート用フィルムが開示されているが、ここで開示されているフィルムと、インクジェットプリンターによりフルカラー印刷された水性インク吸収層を設けた合成樹脂フィルムとをラミネートしたものは、充分満足できるような鮮明な画像を得ることが困難である。また、風合いや耐侯性も充分とはいえないものである。
【0010】
従って、水性インク吸収層を設けた合成樹脂フィルムとラミネートした場合に、鮮明な画像を得ることができ、充分な接着力を有し、風合いや耐侯性にも優れた製品を得ることができるようなオーバーラミネート用フィルムを開発することが望まれていた。
【0011】
【特許文献1】特開2001−31777号公報
【特許文献2】特開2001−129932号公報
【特許文献3】特開2001−158059号公報
【特許文献4】特開2002−326314号公報
【特許文献5】特開2002−356050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記現状に鑑み、インクジェットプリンターによりフルカラー印刷されたもの等の水性インク吸収層を設けた合成樹脂フィルムのような印刷構造物をラミネートすることによって表面保護するフィルムであって、ラミネートすることにより得られるものが、鮮明な画像を得ることができるものであり、充分な接着力を有し、優れた耐侯性、風合いを有するものであるポリオレフィン系のオーバーラミネート用フィルムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、基材フィルム層及び粘着剤層を有してなるオーバーラミネート用フィルムであって、上記基材フィルム層は、ポリオレフィン樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー、紫外線安定剤及び光安定剤を含有するものであり、上記オレフィン系熱可塑性エラストマーの含有量は、上記ポリオレフィン樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、5〜100質量部であり、上記紫外線吸収剤の含有量は、上記ポリオレフィン樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、0.05〜0.4質量部であり、上記光安定剤の含有量は、上記ポリオレフィン樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、0.1〜0.5質量部であることを特徴とするオーバーラミネート用フィルムである。
【0014】
上記オレフィン系熱可塑性エラストマーは、エチレン−プロピレン共重合体成分及び/又はポリブチレン成分と、ポリプロピレン成分とを有する共重合体であることが好ましい。
上記紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であることが好ましい。
上記粘着剤層は、アクリル系粘着剤を含有するものであることが好ましい。
【0015】
上記粘着剤層は、アクリル系粘着剤中の樹脂固形分100質量部に対して、イソシアネート系硬化剤を0.1〜5質量部含有するものであることが好ましい。
上記粘着剤層は、厚さが20〜50μmであることが好ましい。
【0016】
本発明はまた、上記オーバーラミネート用フィルムと、印刷構造物とが粘着剤層を介して積層してなることを特徴とする被覆された印刷構造物でもある。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明のオーバーラミネート用フィルムは、インクジェットプリンターによりフルカラー印刷されたもの等の水性インク吸収層を設けた合成樹脂フィルムのような印刷構造物をラミネートして表面保護するフィルムである。
【0018】
上記オーバーラミネート用フィルムを適用することができる印刷構造物としては、いわゆるシート状の印刷物、屋内外に設置される看板等の表示物等、特に限定されるものではなく、表面にインク印刷された構造物のすべてが含まれる。
【0019】
本発明のオーバーラミネート用フィルムは、ポリオレフィン樹脂、特定量のオレフィン系熱可塑性エラストマー、特定量の紫外線安定剤及び特定量の光安定剤を含有する基材フィルム層、並びに、粘着剤層を有してなるものである。このため、上記オーバーラミネート用フィルムと水性インク吸収層を設けた合成樹脂フィルムとを積層してなる被覆された印刷構造物の製造時のラミネートする際に、水性インク吸収層と粘着剤層との間に空気が入りこむことを充分に防止することができる。このため、これらの層間に優れた密着性を付与することができ、その結果、鮮明な画像を得ることができる。
【0020】
また、ラミネートすることによって得られる被覆された印刷構造物は、水性インク吸収層と粘着剤層との間の接着力が強いため、オーバーラミネート用フィルムが水性インク吸収層を設けた合成樹脂フィルムから剥がれることを充分に防止することができる。更に、被覆された印刷構造物が水分によって濡れた場合において、水性インク吸収層と粘着剤層との間に水分が侵入して、オーバーラミネート用フィルムの浮きが発生することも充分に防止することができる。
【0021】
上記オーバーラミネート用フィルムが上述した構成であるため、このフィルムをラミネートすることによって得られる被覆された印刷構造物に、優れた耐侯性を付与することができる。例えば、被覆された印刷構造物を屋外曝露した場合、優れた耐侯性を有するものであるため、オーバーラミネート用フィルムの劣化に起因する変色を充分に防止することができる。また、オーバーラミネート用フィルム上に粉体が吹き出すことも充分に防止することができる。このため、屋外曝露後であっても、このような変色、吹き出しに起因する外観の低下を防止することができる。また、優れた耐侯性を有するものであるため、屋外曝露後であっても、基材フィルム層の割れを充分に防止することができ、更に、印刷部、水性インク吸収層、粘着剤層、基材フィルム層等の各層間において、浮き、剥がれの発生を充分に防止することができる。
【0022】
上記オーバーラミネート用フィルムが上述した構成であるため、このフィルムをラミネートすることによって得られる被覆された印刷構造物において、インクジェットプリンターによりフルカラー印刷されたもの等の意匠性を損なうことなく、表面意匠を充分に維持することができ、従来のポリオレフィン系基材を用いる場合に比べて、風合いを向上させることができる。また、上記オーバーラミネート用フィルムは、優れた柔軟性を有するものであり、作業性にも優れるものである。
【0023】
上記基材フィルム層は、オーバーラミネート用フィルムの基材フィルムとして用いられるもので、ポリオレフィン樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー、紫外線安定剤及び光安定剤を含有するものである。上記構成の基材フィルム層に、粘着剤層を積層してなるオーバーラミネート用フィルムを用いることにより、基材フィルム層と水性インク吸収層との間で高い密着力を得ることができる。このため、水性インク吸収層と粘着剤層との間に空隙ができて空気が入り込み、光の屈折の影響で表面から観察される画像が全体に白っぽく見えて鮮明さが損なわれるということを充分に防止することができる。また、基材フィルム層が剥がれたり、脱落したりすることも充分に防止することができ、水性インク吸収層と粘着剤層との間に空隙が生じて水等が侵入することも充分に防止することができる。
【0024】
上記ポリオレフィン樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体等を挙げることができる。なかでも、風合い、透明性の点から、ポリプロピレンであることが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
上記基材フィルム層中にオレフィン系熱可塑性エラストマーを含有させることにより、従来から使用されている塩化ビニル樹脂製粘着テープと同様に、優れた柔軟性と伸縮性を得ることができる。
【0026】
上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(以下、TPOともいう)としては特に限定されず、従来公知のものを使用することができるが、エチレン−プロピレン共重合体成分及び/又はポリブチレン成分と、ポリプロピレン成分とを有する共重合体であることが好ましい。このような共重合体は、ハードセグメントとなる結晶性のポリプロピレン樹脂とソフトセグメントとなるエチレン−プロピレンゴム成分やブチルゴム成分とからなるものであり、ハードセグメントとソフトセグメントとの割合を調節することによって、種々の物性のものを得ることができる。上記オレフィン系熱可塑性エラストマーは、本発明の効果を阻害しない範囲内で、他のモノマーを含むモノマー組成物により得られる共重合体であってもよい。
【0027】
上記オレフィン系熱可塑性エラストマーの製造方法としては、上記ハードセグメントとソフトセグメントに必要に応じて架橋剤や可塑化オイル等を混合し、押出機を用いて溶融混練し、架橋させるような従来から用いられている方法の他、近年、上記ハードセグメントとソフトセグメントとを重合反応によって直接に製造する方法も知られており、特に、後者の方法によるオレフィン系熱可塑性エラストマーは、反応器中で製造するオレフィン系熱可塑性エラストマーという趣旨から、リアクターTPOと呼ばれている。本発明においては、上記オレフィン系熱可塑性エラストマーは、フィルムの硬度を柔軟にすること、風合いを向上させること、作業性を向上させることから、リアクターTPOであることが好ましい。
【0028】
上記リアクターTPOは、JIS K 7210で規定されるメルトフローレート(リアクターTPOのメルトフローレートの測定は、JIS K 7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgfの条件下で行うものとする。以下、同じ。)が下限0.5g/10分、上限3.0g/10分の範囲内にあるものが好ましい。0.5g/10分未満であると、得られるフィルムの表面の平滑性が劣るおそれがある。3.0g/10分を超えると、粘度が低すぎて、カレンダー加工する際に、ロールへのべたつきを生じて、フィルム加工が困難となるおそれがある。上記下限は、1g/10分であることがより好ましく、上記上限は、2.5g/10分であることがより好ましい。
【0029】
上記リアクターTPOとしては、市販品を好適に用いることができる。このようなリアクターTPOの市販品の具体例として、例えば、トクヤマ社製のP.E.R R210E、P.E.R T310J、P.E.R R110E(いずれもメルトフローレートは1.5g/10分)や、Montell−JPO社製のキャタロイ KS−353P(メルトフローレート0.45g/10分)等を挙げることができる。
【0030】
上記基材フィルム層中において、上記オレフィン系熱可塑性エラストマーは、基材フィルム層中のポリオレフィン樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、下限5質量部、上限100質量部である。5質量部未満であると、添加することによる効果が得られないおそれがある。100質量部を超えると、オーバーラミネート用フィルムが柔らかくなりすぎて、製品のロール状態において、表面の意匠性の安定性が低下するおそれがある。上記下限は、20質量部であることがより好ましく、上記上限は、50質量部であることがより好ましい。
【0031】
上記紫外線吸収剤及び光安定剤を特定量の範囲で含有することにより、耐侯性を向上させることができる。その結果、上記オーバーラミネート用フィルムにラミネートすることによって得られる被覆された印刷構造物を屋外で曝露した場合において、オーバーラミネート用フィルム上に粉体が吹き出すことやフィルムが変色することを充分に防止することができる。
【0032】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等を挙げることができる。
【0033】
上記紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2′−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール)]、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、4−t−ブチルフェニルサリチレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等を挙げることができる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0034】
上記紫外線吸収剤のなかでも、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を使用することが好ましい。これにより、より耐侯性を向上させることができ、被覆された印刷構造物を屋外で曝露した場合、変色、吹き出しを充分に防止することができ、その結果、外観の低下をより防止することができる。
【0035】
上記基材フィルム層において、上記紫外線吸収剤の含有量は、上記基材フィルム層中のポリオレフィン樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、下限0.05質量部、上限0.4質量部である。0.05質量部未満であると、耐侯性を向上させる効果を得ることができないおそれがある。0.4質量部を超えると、紫外線吸収剤がフィルム表面に吹き出す問題が発生するおそれがある。上記下限は、0.1質量部であることが好ましく、0.15質量部であることがより好ましい。上記上限は、0.35質量部であることが好ましく、0.3質量部であることがより好ましい。
【0036】
上記光安定剤としては、従来公知のものを使用することができるが、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。これにより、より耐侯性を向上させることができ、被覆された印刷構造物を屋外で曝露した場合、変色、吹き出しを充分に防止することができ、その結果、外観の低下をより防止することができる。
【0037】
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、例えば、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、[コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン]縮合物、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−トリデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5,5]ウンデカンとブタンテトラカルボン酸とのエステル等を挙げることができる。これらの光安定剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
上記基材フィルム層において、上記光安定剤の含有量は、上記基材フィルム層中のポリオレフィン樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、下限0.1質量部、上限0.5質量部である。0.1質量部未満であると、耐侯性を向上させる効果を得ることができないおそれがある。0.5質量部を超えると、光安定剤がフィルム表面に吹き出す問題が発生するおそれがある。上記下限は、0.15質量部であることが好ましく、0.2質量部であることがより好ましい。上記上限は、0.45質量部であることが好ましく、0.4質量部であることがより好ましい。
【0039】
上記基材フィルム層は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、滑剤、熱安定剤、顔料、改質剤、難燃剤、帯電防止剤、補強剤、粘着付与剤、充填剤、防カビ剤等、一般に樹脂に添加される公知の添加剤を適量添加してもよい。
【0040】
上記基材フィルム層は、従来公知の方法により製造することができ、例えば、押し出し成型、カレンダー成型等により製造することができる。
上記基材フィルム層がカレンダー成型により得られるものである場合、上記ポリオレフィン樹脂及びオレフィン系熱可塑性エラストマーを含有してなる樹脂組成物は、メルトフローレイト(230℃、37.3N)が15g/10分以下であることが好ましい。これにより、150〜200℃の範囲内における溶融状態の樹脂組成物の粘度を、混練効率が良くかつバンクの回転を良好なものにすることができる。従って、ポリ塩化ビニル樹脂用のカレンダー加工設備を用いて、上記樹脂組成物等の組成物をカレンダー加工することにより、均質な薄いフィルムを得ることができる。
【0041】
上記樹脂組成物は、メルトフローレイト(230℃、37.3N)が1〜15g/10分の範囲内であることがより好ましい。メルトフローレイトを1g/10分以上とすることにより、ポリ塩化ビニル樹脂用のカレンダー加工設備を用いてカレンダー加工をする際に、樹脂組成物の粘度が高すぎることによるカレンダー加工性の低下を防止することができる。上記カレンダー加工に用いられるカレンダー形式は、特に限定されないが、例えば、逆L型、Z型、直立2本型、L型、傾斜3本型等を挙げることができる。
【0042】
上記基材フィルム層は、厚さが下限30μm、上限200μmであることが好ましい。30μm未満であると、印刷面の凹凸の影響を受けやすい。200μmを超えると、風合いが硬く、コストも高い。上記下限は、60μmであることがより好ましく、上記上限は、120μmであることがより好ましい。
【0043】
上記粘着剤層は、基材フィルム層と水性インク吸収層とを接着させることができる層であり、従来公知の粘着剤を用いることによって形成することができる。
上記粘着剤としては、貼りあわせる素材と密着させることができるものであれば特に限定されず、例えば、アクリル系、ゴム系、酢酸ビニル系、合成ゴム系、天然ゴム系、EVA系、エポキシ系、ウレタン系、シリコーン系等のものを挙げることができる。なかでも、インクジェットプリンターによりフルカラー印刷された水性インク吸収層を設けた合成樹脂フィルムとラミネートした場合に、接着力が高い点から、アクリル系粘着剤であることが好ましい。
【0044】
上記アクリル系粘着剤は、アクリル系重合体を含む粘着剤である。
上記アクリル系重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体又はこれらの共重合体等を挙げることができる。
【0045】
上記アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを40質量%以上の割合で重合した重合体が好ましい。特に、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル50〜98質量%と、1種又は2種以上の共重合性単量体2〜50質量%を共重合して得られる共重合体が好ましい。
【0046】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アルキル基の炭素数が2〜18、好ましくは4〜12の一級〜三級アルコールと、アクリル酸又はメタクリル酸とから得られるエステル等を挙げることができる。
【0047】
上記共重合性単量体としては、共重合反応に関与する不飽和二重結合を分子内に少なくとも1個有すると共に、カルボキシル基〔例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等〕やヒドロキシル基〔例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル等〕、スルホキシル基〔例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸スルホプロピルエステル、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸等〕、アミノ基〔例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸tert−ブチルアミノエチルエステル等〕、アミド基〔例えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等〕、アルコキシル基〔例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシジエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル等〕等の官能基を側鎖に有する単量体を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】
これら以外に共重合できる単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニル−2−ピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクタム、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0049】
上記共重合性単量体は、1種又は2種以上を共重合することができるが、粘着特性としての接着性や凝集性の点から、カルボキシル基含有単量体やヒドロキシル基含有単量体の少なくとも1種を必須成分として1〜50質量%、好ましくは3〜20質量%の範囲で共重合し、必要に応じて上記に例示の他の単量体、例えば、酢酸ビニルやN−ビニル−2−ピロリドン等のビニル系単量体を40質量%以下、好ましくは30質量%以下の範囲で共重合することが好ましい。
【0050】
上記粘着剤層がアクリル系粘着剤及びイソシアネート系硬化剤を含有する場合、上記イソシアネート系硬化剤の含有量は、上記アクリル系粘着剤中の樹脂固形分100質量部に対して、下限0.1質量部、上限5質量部であることが好ましい。0.1質量部未満であると、基材フィルム層と粘着剤層との接着強度の向上が見られないおそれがある。5質量部を超えると、接着強度の向上が止まり、平衡状態となるばかりでなく、接着力、密着性が低下し、経済性も悪くなるおそれがある。上記下限は、0.3質量部であることがより好ましく、上記上限は、2質量部であることがより好ましい。
【0051】
上記粘着剤層の形成方法としては特に限定されず、従来公知の塗工方法によって形成することができる。
上記粘着剤層は、厚さが下限20μm、上限50μmであることが好ましい。これにより、粘着剤層と水性インク吸収層との密着性及び接着力を向上させることができる。20μm未満であると、充分な密着性及び接着力を得ることができないおそれがある。50μmを超えても、効果の向上は望みめず、経済的に不利となるおそれがある。上記下限は、30μmであることがより好ましく、上記上限は、40μmであることがより好ましい。
【0052】
上記オーバーラミネート用フィルムは、上記基材フィルム層及び上記粘着剤層に加えて、更に、上記粘着剤層側の表面にセパレーター層が積層されてなるものであってもよい。上記セパレーター層は、印刷構造物にオーバーラミネート用フィルムを貼り付ける際に、剥離する層である。
【0053】
上記セパレータ層としては、例えば、粘着剤層に貼着される面に、離型処理が施されたフィルムを用いることができる。
上記離型処理が施されたフィルムの材質としては、ポリオレフィン系樹脂フィルムであることが好ましい。これにより、平滑性に優れたセパレータ層を形成することができ、上記セパレータ層の剥離後の粘着剤層表面をより平滑にすることができる。また、基材フィルム層がポリオレフィン系フィルムである場合、セパレータ層としてPETや紙を用いると、雰囲気温度の変化によりカールが発生すること、作業性を損なうこと、外観状態も悪くなること等の不具合が生じるおそれがあるが、ポリオレフィン系樹脂フィルムを用いることにより、このような不具合を充分に防止することができる。
【0054】
上記ポリオレフィン系樹脂フィルムのなかでも、ポリプロピレン系樹脂フィルムであることがより好ましく、無延伸のポリプロピレン系樹脂フィルムであることが更に好ましい。無延伸のポリプロピレン系樹脂フィルムを用いる場合には、製品の状態でカールが発生することをより防止することができる。
【0055】
上記離型処理を施す際に使用する離型剤としては、シリコーン系のものが好適に用いられる。上記セパレータの厚さは、粘着剤層との組み合わせ、又は、目的や用途等に応じて設定すればよい。
【0056】
上記粘着剤層と上記セパレーター層との剥離力(セパレータ層を剥離する際に要する剥離力)は、下限0.04N/25mm、上限0.50N/25mmであることが好ましい。これにより、ラミネート作業時において、優れた作業性を発揮させることができ、保管時のトンネリングも防止することができる。0.04N/25mm未満であると、粘着剤層面とセパレーター層面との剥離が簡単に生じてしまうため、例えば、ロールの状態でオーバーラミネート用フィルムを保管した後、巻き戻して(展開して)使用する際に、剥がれや浮きが発生するおそれがある。0.50N/25mmを超えると、粘着剤層からセパレーター層を剥がしにくくなり、オーバーラミネート用フィルムにしわが発生したりして、作業性が低下するおそれがある。上記下限は、0.1N/25mmであることがより好ましく、上記上限は、0.3N/25mmであることがより好ましい。
【0057】
なお、上記剥離力は、セパレーター層を有するオーバーラミネート用フィルムにおいて、粘着剤層表面と剥がしたセパレーター層とが180°の角度をなすように、セパレーター層を折り曲げて剥離した際の、25mm当たりの剥離力である。
【0058】
上記オーバーラミネート用フィルムの製造方法は、基材フィルム層に、粘着剤層と、必要に応じて、セパレータ層とを積層することができる方法であれば特に限定されず、例えば、セパレータ層に粘着剤を塗布して粘着剤層を形成した後、粘着剤層を基材フィルム層に貼着(積層)する方法が好適である。
【0059】
上記オーバーラミネート用フィルムは、例えば、インクジェットプリンターによりフルカラー印刷されたもの等の水性インク吸収層を設けた合成樹脂フィルムのような印刷構造物とラミネートすることによって、被覆された印刷構造物を得ることができる。このような被覆された印刷構造物は、屋内、屋外の広告表示、看板等に好適に使用することができる。このような被覆された印刷構造物も本発明の1つである。
【0060】
以下、本発明のオーバーラミネート用フィルム、被覆された印刷構造物を図を用いて説明する。
図1は、基材フィルム層1と粘着剤層2とが積層されてなるオーバーラミネート用フィルムの概略図である。また、図2は、基材フィルム層1と粘着剤層2とセパレーター層3とがこの順に積層されてなるオーバーラミネート用フィルムの概略図である。更に、図3は、基材フィルム層1と粘着剤層2とインク吸収層4とベース材5とがこの順に積層されてなる被覆された印刷構造物の概略図である。図1、図2で示されるオーバーラミネート用フィルムの基材フィルム層が上述した構成であるため、図3で示される被覆された印刷構造物は、優れた耐侯性、風合い、表面意匠維持性、鮮明性、明度、接着力を有するものである。
【0061】
本発明のオーバーラミネート用フィルムは、ポリオレフィン樹脂、特定量のオレフィン系熱可塑性エラストマー、特定量の紫外線安定剤及び特定量の光安定剤を含有する基材フィルム層、並びに、粘着剤層を有してなるものである。このため、インクジェットプリンターによりフルカラー印刷された水性インク吸収層を設けた合成樹脂フィルムとラミネートする際に、空気が入りこまないように密着させることができ、充分な接着力、鮮明な画像を得ることができる。また、耐侯性を向上させることができ、例えば、屋外での曝露時において、吹き出しや変色が発生することを防止することができる。更に、表面意匠の維持性を損なわずに、風合いを向上させることができ、作業性も向上させることができる。
【発明の効果】
【0062】
本発明のオーバーラミネート用フィルムは、上述した構成よりなるので、水性インク吸収層を設けた合成樹脂フィルムとラミネートする際に、鮮明な画像が得ることができ、また、充分な接着力を得ることができる。また、耐侯性にも優れたものであるため、基材フィルム層の変色・割れを防止することができ、インクジェットメディアの印刷部、水性インク吸収層に変化が生じること、各層間で剥がれや浮きが発生することを充分に防止することができる。更に、離型処理が施されたポリオレフィン系樹脂フィルムをセパレーター層として有するものは、製品の状態でカールや剥がれや浮きの発生を充分に防止することができる。また、使用の際には容易にセパレーター層を剥がすことができ、しわ等の発生も防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」、「%」は特に断りのない限り「質量部」、「質量%」を意味する。
【0064】
実施例1
ポリプロピレン樹脂(WT2002、日本ポリプロピレン社製)100質量部、オレフィン系熱可塑性エラストマー(KS 359P、サンアロマー社製)30質量部、紫外線吸収剤(バイオソープ583、共同薬品社製)0.2質量部、光安定剤(LA52、旭電化工業社製)0.3質量部を混合し、バンバリーミキサーを用いて150〜180℃の温度で溶融混練し、得られた樹脂組成物を4本逆L字ロール型24インチカレンダーに供給し、ロール温度160〜190℃で100μmの厚みに圧延して、基材フィルムを得た。
【0065】
セパレーターとしてポリプロピレン系多層フィルム(RS#02、サン・トックス社製、厚み60μm、シリコン系の離型剤で表面処理)を用い、離型剤処理面に乾燥後30μm厚みとなるように、アクリル系粘着剤(SKダイン1604N、綜研化学社製)100質量部)に対して、硬化剤(L45、綜研化学社製)1.0質量部を配合した粘着剤組成物を塗工して粘着剤層を形成し、乾燥したものを上記で得られた基材フィルムと貼り合わせることによって、オーバーラミネート用フィルムを得た。
【0066】
得られたオーバーラミネート用フィルムのセパレータ層の剥離力は、0.25N/25mmであった。なお、剥離力は、JIS Z 0237 180°引き剥がし法(セパレータ面を両面テープ等でSUS板に貼り付け、フィルムを剥がす。)で測定した。
【0067】
実施例2〜10、比較例1〜6
基材フィルムの配合、粘着剤層の厚さを表1、2に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして、オーバーラミネート用フィルムを作成した。得られたオーバーラミネート用フィルムのそれぞれのセパレータ層の剥離力(N/25mm)は、0.25N/25mmであった。
【0068】
一方、表面にインク吸収層が積層されたポリ塩化ビニルからなる合成樹脂フィルムを用意し、上記インク吸収層に黒インクで一面に印刷を行った(黒く印刷した)。そして、実施例、比較例で得られたオーバーラミネート用フィルムからセパレーターを徐々に剥離しながら、オーバーラミネート用フィルム本体を、上記インク吸収層(以下、黒印刷インク吸収層ともいう)上に貼着し、合成樹脂フィルムをラミネートし、試験片を得た。
【0069】
サンシャイン・ウエザオメーターによる促進試験
上記で得られたそれぞれの試験片に対して、サンシャイン・ウエザオメーターで1000時間照射し、耐侯性、風合いと表面意匠維持性、鮮明性、明度(L値)、接着力、経済性、総合評価を以下のようにして評価した。結果を表1、2に示した。
【0070】
〔耐侯性〕
照射後の試験片における基材フィルム層の耐侯性(変色・割れ、吹き出し)を目視によって評価した。評価は5段階で行い、最も良好な場合を「5」、最も不良な場合を「1」とした。
【0071】
〔風合いと表面意匠維持性〕
照射後の試験片における基材フィルム層の風合いと表面意匠維持性を目視によって評価した。評価は5段階で行い、最も良好な場合を「5」、最も不良な場合を「1」とした。
【0072】
〔鮮明性、明度〕
照射後の試験片において、オーバーラミネート用フィルム本体を介した黒印刷インク吸収層の色の鮮明性を、目視にて観察して評価した。評価は5段階で行い、最も良好な場合を「5」、最も不良な場合を「1」とした。また、黒印刷インク吸収層の色の明度Lを、色差計Σ90(日本電色株式会社製)を用いて測定した。
【0073】
〔接着力〕
上記黒印刷インク吸収層に対する粘着剤層の接着力(粘着力)を、JIS Z 0237に記載の試験方法に準拠した方法(180°剥離)で測定した。同様にして、印刷を行っていないインク吸収層(以下、無印刷インク吸収層ともいう)に対する粘着剤層の接着力、及び、アルミ板に対する粘着剤層の接着力を測定した。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
表1、2から、実施例で得られたものは、耐侯性、風合いと表面意匠維持性、鮮明性、明度、接着力、経済性に優れるものであった。比較例で得られたものは、これらのすべてを満たすものは得られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明のオーバーラミネート用フィルムは、インクジェットプリンター等を用いて印刷された表面に、表面保護及び表面に意匠(艶)を付与することができるものであり、例えば、屋内、屋外の広告表示、看板等に対して好適に適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明のオーバーラミネート用フィルムの概略図の一例である。
【図2】本発明のオーバーラミネート用フィルムの概略図の一例である。
【図3】本発明の被覆された印刷構造物の概略図の一例である。
【符号の説明】
【0079】
1 基材フィルム層
2 粘着剤層
3 セパレーター層
4 インク吸収層
5 ベース材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルム層及び粘着剤層を有してなるオーバーラミネート用フィルムであって、
前記基材フィルム層は、ポリオレフィン樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー、紫外線安定剤及び光安定剤を含有するものであり、
前記オレフィン系熱可塑性エラストマーの含有量は、前記ポリオレフィン樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、5〜100質量部であり、
前記紫外線吸収剤の含有量は、前記ポリオレフィン樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、0.05〜0.4質量部であり、
前記光安定剤の含有量は、前記ポリオレフィン樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、0.1〜0.5質量部である
ことを特徴とするオーバーラミネート用フィルム。
【請求項2】
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、エチレン−プロピレン共重合体成分及び/又はポリブチレン成分と、ポリプロピレン成分とを有する共重合体である請求項1記載のオーバーラミネート用フィルム。
【請求項3】
紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である請求項1又は2記載のオーバーラミネート用フィルム。
【請求項4】
粘着剤層は、アクリル系粘着剤を含有するものである請求項1、2又は3記載のオーバーラミネート用フィルム。
【請求項5】
粘着剤層は、アクリル系粘着剤中の樹脂固形分100質量部に対して、イソシアネート系硬化剤を0.1〜5質量部含有するものである請求項4記載のオーバーラミネート用フィルム。
【請求項6】
粘着剤層は、厚さが20〜50μmである請求項1、2、3、4又は5記載のオーバーラミネート用フィルム。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5又は6記載のオーバーラミネート用フィルムと、印刷構造物とが粘着剤層を介して積層してなることを特徴とする被覆された印刷構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−15660(P2006−15660A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197229(P2004−197229)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】