説明

カウルルーバ装置

【課題】リップ部の意匠面とフロントガラスの意匠面との間の段差が低減されたカウルルーバ装置を提供する。
【解決手段】カウルルーバ装置4のリップ部10はリップ部10の端面10aがフロントガラス3の端面3aに対向するように、カウルルーバ装置4の本体部4aから後方側(フロントガラス側)に向って延設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカウルルーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車には、自動車のフード(ボンネット)とフロントガラスとの間に配設されたカウルルーバ装置を備えている。カウルルーバ装置はフード(ボンネット)に取着され、フロントガラスの意匠面に当接するリップ部とフードの非意匠面に当接するシール部とを有している。リップ部の先端にはシール部材が配設され、該シール部材によってフロントガラスとリップ部との隙間からの雨水などの浸入が妨げられる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−53287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したような構成によれば、リップ部の肉厚分がカウルルーバの意匠面とフロントガラスのガラス面との間の段差となるため、カウルルーバの意匠面とガラス面とが不連続となり見栄えが悪くなる。また、カウルルーバ装置は車両の前方側に配設されており、該段差によって走行時に風切音が発生したり車体周りの空気抵抗が増加したりするおそれがある。
【0004】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、リップ部の意匠面とフロントガラスの意匠面との間の段差が低減されたカウルルーバ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、フロントガラスとフードとの間に配設されるカウルルーバ装置であって、前記フードの非意匠面側に取着される本体部と、前記本体部から前記フロントガラスに向って延設され前記フロントガラスの下端部の端面に対向して配置される端面を有するリップ部と、を備える。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のカウルルーバ装置において、前記リップ部よりも非意匠面側に配設され車体に取着される車両側固定部材を有し、前記リップ部は、前記車両側固定部材に固定される。
【0007】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のカウルルーバ装置において、前記車両側固定部材は、前記リップ部の意匠面及び前記フロントガラスのガラス面よりも非意匠面側に浸入した水が流入し該水を外部へと案内する排水通路を有する。
【0008】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載のカウルルーバ装置において、前記車両側固定部材は、前記フロントガラスの下端部の非意匠面側が当接する非意匠面側当接部を有する。
【0009】
また、請求項5に記載の発明は、請求項2〜4の何れか1項に記載のカウルルーバ装置において、前記車両側固定部材は、前記フロントガラスの意匠面側に当接する意匠面側当接部を有する。
【0010】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のカウルルーバ装置において、前記フロントガラスは、該フロントガラスの板厚方向非意匠面側を前記フロントガラスの非意匠面に沿って延設されてなる延設部を有し、前記意匠面側当接部は、前記延設部の意匠面側に当接する。
【0011】
また、請求項7に記載の発明は、請求項2〜4の何れか1項に記載のカウルルーバ装置において、前記フロントガラスは、該フロントガラスの板厚方向非意匠面側を前記フロントガラスの非意匠面に沿って延設されてなる延設部を有し、前記リップ部は、板厚方向において前記延設部の意匠面側に配設され、前記リップ部の意匠面と前記フロントガラスのガラス面とが連続する。
【0012】
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のカウルルーバ装置において、板厚方向において前記リップ部と前記延設部との間に介在されるシール部材を有する。
また、請求項9に記載の発明は、請求項1〜8の何れか1項に記載のカウルルーバ装置において、軟質部材からなり前記リップ部の延設方向において前記リップ部と前記フロントガラスとの間に配設される軟質部材を有する。
【0013】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、リップ部の端面がフロントガラスの端面に対向するため、リップ部とフロントガラスとが板厚方向に重ならない。よって、フロントガラスの意匠面とカウルルーバ装置の意匠面との間でリップ部の肉厚分の段差が生じることが妨げられ、カウルルーバ装置の意匠面とフロントガラスの意匠面との間の段差を低減することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、リップ部よりも非意匠面側に配設される車両側固定部材に固定されることによりリップ部が車体に固定されるため、リップ部の意匠面側にリップ部を固定するための部材を露出させることなくリップ部を車体に固定することができる。よって、リップ部の意匠性を低下させることなくカウルルーバ装置をより確実に車体に固定することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、リップ部の意匠面及びフロントガラスの意匠面よりも非意匠面側に浸入した水は排水通路に案内され外部へと排出されるため、リップ部の意匠面やフロントガラスの意匠面よりも非意匠面側に浸入した雨水などが車両側固定部材よりも非意匠面側に浸入することが妨げられる。また、フロントガラスとリップ部との間の隙間を塞ぐためのシール部材等が不要となるため部品点数を少なくすることが可能となり、車体に対するカウルルーバ装置の組みつけが容易となる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、車両の走行にともなう空気抵抗などによりフロントガラスの前方(すなわち、意匠面側)から作用する外力は車両側固定部材を介して車体によって支持される。よって、意匠面側(すなわち、フロントガラスの板厚方向)から作用する外力に対するフロントガラスの強度が不要となり、例えばフロントガラスの下端部の厚さを薄くすることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、車両側固定部材の意匠面側当接部がフロントガラスの意匠面に当接することにより、車両側固定部材とフロントガラスとの接触面積が増加する。よって、車両側固定部材及びフロントガラスの間から雨水などが浸入するおそれが低減される。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、延設部と意匠面側当接部とが当接するため、意匠面側当接部の意匠面とフロントガラスの意匠面とを略面一にすることが可能となる。よって、カウルルーバ装置(リップ部)とフロントガラスとの連結部分の見栄えをよくすることができる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、延設部とリップ部とが当接するため、リップ部の意匠面とフロントガラスの意匠面とを略面一にすることが可能となる。よって、カウルルーバ装置(リップ部)とフロントガラスとの連結部の見栄えが良くなるとともに、リップ部の意匠面とフロントガラスの意匠面との間の段差によって走行時に風切音が発生したり車体周りの空気抵抗が増加したりするおそれが低減される。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、板厚方向においてリップ部と延設部との間に介在されるシール部材により、リップ部の意匠面とフロントガラスの意匠面とを面一にした状態でリップ部とフロントガラスとの隙間から雨水などが浸入するおそれをより低減することができる。
【0021】
請求項9に記載の発明によれば、軟質部材がシール部材となり、リップ部とフロントガラスとの間から雨水などが浸入することが妨げられる。また、軟質部材はリップ部の延設方向においてリップ部とフロントガラスとの間に配置されるため、リップ部の延設方向におけるカウルルーバ装置とフロントガラスと間の組付け誤差を吸収することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、リップ部の意匠面とフロントガラスの意匠面との間の段差が低減されたカウルルーバ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施形態を図1〜図7に従って説明する。なお、図2〜図7図示状態で左右方向を前後方向とし左側を前方側とし、右側を後方側とする。また、図2〜図7図示状態で上下方向を板厚方向とし上側を意匠面側とし、下側を非意匠面側とする。また、図2〜図7図示状態で紙面奥行き方向を幅方向とする。
【0024】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、自動車(車両)1には、フード2とフロントガラス3との間にカウルルーバ装置4が配設されている。
【0025】
図2に示すように、カウルルーバ装置4はフード2(図1参照)の非意匠面側に配設される本体部4aと、フロントガラス3の下端部に沿って自動車1の幅方向に延びるリップ部10と、を備えている。
【0026】
リップ部10はカウルルーバ装置4の本体部4aから後方側(フロントガラス側)に向って延設されており、リップ部10の端面10aとフロントガラス3の端面3aとがリップ部10の延設方向(図示状態で左斜め下側から右斜め上側へと向う方向)に沿った方向において対向して配置されている。
【0027】
また、リップ部10の非意匠面10b側には固定部11が設けられている。固定部11はリップ部10の非意匠面10bから略垂直に突出する態様で形成され、その先端には車体1aに固定するための固定用突起11aが形成されている。車体1aには意匠面側に開口するクリップリテーナ(車両側固定部材)12が固定されており、リップ部10は固定用突起11aがクリップリテーナ12に係合する態様で車体1aに固定されている。なお、本体部4aの前方はフード2(図1参照)の非意匠面側に固定されており、カウルルーバ装置4はその前方側と後方側とで車両1に固定されている。
【0028】
また、リップ部10の延設方向においてリップ部10とフロントガラス3との間にはシール部材13が配設されている。シール部材13は略中空状の断面を有し、フロントガラス3の下端部に沿って自動車1の幅方向に延びている。シール部材13は軟質部材(例えば、軟質塩化ビニル樹脂)からなりフロントガラス3とリップ部10とによって挟持されている。よって、フロントガラス3とリップ部10とが付き合わされる際、前後方向(リップ部10の延設方向に沿った方向)の寸法精度のばらつきはシール部材13によって吸収される。シール部材13の板厚方向意匠面側の端面13aはカウルルーバ装置4(リップ部10)の意匠面10c及びフロントガラス3の意匠面3b(以下、ガラス面3bとする)に連続的に形成されている。なお、カウルルーバ装置4及びシール部材13の組付け手順としては、例えば、カウルルーバ装置4が車体1aに固定された後にシール部材13がフロントガラス3とリップ部10との間に押し入れられる。
【0029】
上記したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)リップ部10の端面10aがフロントガラス3の端面3aに対向するため、リップ部10とフロントガラス3とが板厚方向に重ならない。よって、フロントガラス3のガラス面3bとカウルルーバ装置4の意匠面10cとの間でリップ部10の肉厚分の段差D1(図8参照)が生じることが妨げられ、カウルルーバ装置4の意匠面10cとフロントガラス3のガラス面3bとの間の段差を低減することができる。
【0030】
(2)リップ部10は固定部11がクリップリテーナ(車両側固定部材)12に係合することにより車体1aに固定される。よって、リップ部10の意匠面側にリップ部10を固定するための部材を露出させることなくリップ部10を車体1aに固定することが可能となり、カウルルーバ装置4をより確実に車体1aに固定することができる。
【0031】
(3)フロントガラス3とリップ部10との間に介在されるシール部材13によりフロントガラス3とリップ部10との間の隙間がふさがれ、該隙間を介して雨水などがカウルルーバ装置4の非意匠面側に浸入するおそれが低減される。また、リップ部10の延設方向におけるカウルルーバ装置4とフロントガラス3と間の組付け誤差を吸収することができる。
【0032】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、シール部材13の意匠面側の端面13aはカウルルーバ装置4の意匠面10c及びフロントガラス3のガラス面3bに連続的に形成されている。しかしながら、このような態様に限定されず、例えば、図3に示すようにシール部材14の端部に鍔部14a,14bが形成されていてもよい。また、図4に示すようにシール部材15の板厚方向両端部からフロントガラス側に延設されてなる鍔部15a,15bが形成されフロントガラス3の板厚方向両側にシール部材15(15a,15b)が配設されていてもよい。このような態様によれば、シール部材14,15とリップ部10及びフロントガラス3とが接する面積が増加し、シール部材14,15とリップ部10及びフロントガラス3との間から雨水などが浸入するおそれが低減される。なお、シール部材14,15の鍔部14a,14b,15aがリップ部10及びフロントガラス3の意匠面側に配設されるため鍔部14a,14b,15aの肉厚分D2,D3が端面14c,15cと意匠面10c及びガラス面3bとの間の段差となる。しかしながら、このような構成によっても、従来のフロントガラス3のガラス面(意匠面)3bに当接するリップ部101を用いた場合の段差D4と比較してリップ部の板厚分D1だけ段差を小さくすることができる(図8参照)。
【0033】
・上記実施形態では、カウルルーバ装置4が車体1aに固定された後にシール部材13がフロントガラス3とリップ部10との間に押し入れられるとしたがこのような態様に限定されない。カウルルーバ装置4及びシール部材13の組みつけ手順としては、例えば、シール部材13がフロントガラス3に圧接されるようシール部材13をクリップリテーナ12に固定した後にカウルルーバ装置4を車体1aに固定することもできる。
【0034】
・上記実施形態では、リップ部10の固定部11には固定用突起11aが形成され、該固定用突起11aがクリップリテーナ12に係合する態様で車体1aに固定されているが、このような態様に限定されない。例えば、図5に示すような構成を採用することもできる。リップ部40の後方側端部の非意匠面側にはリップ部40の固定部としてフロントガラス3に非意匠面側から当接するフック部41が設けられている。車体1aには固定部材42が固定されている。固定部材42は前後方向(リップ部40の延設方向に沿った方向)においてフロントガラス3の端面から離間して配設されており、リップ部40のフック部41は固定部材42とフロントガラス3との隙間からフロントガラス3の非意匠面側に挿入される。フック部41をフロントガラス3の非意匠面側に挿入した後、シール部材43をリップ部40とフロントガラス3との隙間に挿入する。このような構成によれば、リップ部40はフック部41がフロントガラス3に当接することにより板厚方向への移動が規制され、シール部材43と固定部材42とによって前後方向(リップ部40の延設方向に沿った方向)への移動が規制される。よって、リップ部40は車体1aに固定される。
【0035】
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の簡略化のため、第1の実施形態と同一の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0036】
図6は、カウルルーバ装置5の第2の実施形態を示すリップ部20の拡大図である。
図6に示すように本実施の形態に係るカウルルーバ装置5のリップ部20の端面20aはフロントガラス21の前方側の端面21aに面している。フロントガラス21の端部にはリップ部20の非意匠面側に配設される延設部21bが形成されている。延設部21bはフロントガラス21の端面21aの非意匠面側が突出する態様で形成されており板厚方向においてリップ部20の非意匠面側の面20bに対向する対向面21cを備えている。
【0037】
カウルルーバ装置5のリップ部20はフロントガラス21のガラス面21dとリップ部20の意匠面20cとが連続するようにフロントガラス21よりも薄く形成されている。また、カウルルーバ装置5のリップ部20の非意匠面側にはシール部材22が固定されている。シール部材22はリップ部20の延設部21bに対向する面20bに配設され延設部21bの対向面(延設部21bの意匠面側の面)21cに当接する。
【0038】
車両側固定部材23は、延設部21bの板厚方向非意匠面側に配設される非意匠面側当接部としての固定部延設部23aが一体的に形成されている。固定部延設部23aは車両側固定部材23の後方側(フロントガラス側)の端面から延設される態様で後方側(フロントガラス側)に延びておりフロントガラス21(延設部21b)の非意匠面21eに当接している。リップ部20は車両側固定部材23に対して意匠面側から係合する。よって、シール部材22は、リップ部20の固定部24と車両側固定部材23とが係合することにより、リップ部20の非意匠面側の面20bとフロントガラス21の対向面21cとに当接する。すなわち、シール部材22はリップ部20及びフロントガラス21によって挟持される。
【0039】
上記したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)リップ部20とフロントガラス21との間に配設されるシール部材22により、リップ部20とフロントガラス21との隙間から雨水などが浸入するおそれが低減される。また、シール部材22は固定部24と車両側固定部材23とが係合することにより挟持されるため、接着剤などによってリップ部20とフロントガラス21との間を固定することなく雨水などの浸入を妨げることが可能となる。また、本実施形態においては、リップ部20は固定部24によって板厚方向非意匠面側を車両側固定部材23に固定されているのみであるため板厚方向意匠面側に移動可能となる。よって、カウルルーバ装置5を容易に車体1aに着脱することができる。
【0040】
(2)シール部材22は板厚方向においてリップ部20とフロントガラス21との間に配設されるため、リップ部20の意匠面20cとフロントガラス21のガラス面21dとが連続する。よって、意匠面がリップ部20及びフロントガラス21によって構成されるため意匠性を向上させることができる。また、リップ部20とフロントガラス21とが面一になるため、リップ部の意匠面とフロントガラスの意匠面との間の段差によって走行時に風切音が発生したり車体周りの空気抵抗が増加したりするおそれが低減される。
【0041】
(3)フロントガラス21は固定部延設部23a(車両側固定部材23)を介して車体1aに支持されているため、フロントガラス21の意匠面側(すなわち、フロントガラス21の板厚方向)からフロントガラス21に作用する外力は車体1aによって支持される。よって、フロントガラス21の延設部21bの板厚を薄くすることが可能となり、リップ部20をフロントガラス21の板厚方向に配設してもリップ部20の意匠面20cとフロントガラス21のガラス面21dとの間の段差を低減することができる。
【0042】
・上記実施形態では、延設部21bの対向面21cにはシール部材22が配設されているがこのような態様に限定されない。例えば、延設部の意匠面側の面とリップ部の非意匠面側の面とを接着にて固定し、延設部とリップ部との隙間を塞ぐこともできる。なお、延設部21bの対向面21cとリップ部20の非意匠面側の面20bとを当接させる構成とすることもできる。この構成によれば、リップ部とフロントガラスとの接触面積が増し、リップ部とフロントガラスとの隙間から雨水などが浸入するおそれを低減することができる。
【0043】
・上記実施形態では、シール部材22はリップ部20に固定されているとしたがフロントガラス21に固定されていてもよい。また、リップ部20及びフロントガラス21に固定されていなくても良い。
【0044】
(第3の実施形態)
以下、本発明を具体化した第3の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の簡略化のため、第1及び第2の実施形態と同一の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
図7は、カウルルーバ装置6の第3の実施形態を示すリップ部30の拡大図である。
図7に示すように、本実施の形態に係るカウルルーバ装置6のリップ部30は車両側固定部材31に固定されている。車両側固定部材31は、フロントガラス32の意匠面側に配設されフロントガラス32の意匠面側に当接する意匠面側当接部33と、フロントガラス32の非意匠面側に配設されフロントガラス32の下端部の非意匠面側が当接する非意匠面側当接部34と、を備えている。フロントガラス32の下端部(延設部32a)は該当接部33,34によって形成される凹部31aに挿入されている。
【0046】
また、フロントガラス32の下端部には前方側の端面の意匠面側が凹設される態様で段差部32bが形成されている。車両側固定部材31の意匠面側当接部33の厚さD5は段差部32bの段差D6に等しく、意匠面側当接部33の意匠面側の面33aとリップ部30の意匠面30aとフロントガラス32のガラス面32cとにより連続的な面が形成される。なお、リップ部30の端面30bはフロントガラス32の段差部32bに車両側固定部材31の意匠面側当接部33を挟んで対向しており、本実施形態においては段差部32bの板厚方向に沿って延びる面32dがリップ部30の端面30bに対向する端面32dとなる。
【0047】
また、車両側固定部材31はリップ部30の非意匠面側に配設されており、意匠面側に開口しリップ部30の固定部35が挿入される凹部31bを備えている。凹部31bの開口側端部には互いに対向する方向へと延びる係合部31c,31dが形成されており、凹部31bに挿入された固定部35は固定用突起35aが係合部31c,31dに係合する態様で抜け止めされる。また、車両側固定部材31は自動車1の幅方向に延びており、車両側固定部材31はフロントガラス32の下端部に沿って配設される。なお、車両側固定部材31の凹部31bは外部に連通しており、リップ部30の非意匠面側に浸入した水は凹部31bに流入し外部へと案内される。すなわち、凹部31bはリップ部の非意匠面側に浸入した水を外部へと案内する排水通路となる。
【0048】
上記したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)フロントガラス32の下端部(延設部32a)は意匠面側当接部33と非意匠面側当接部34との間に配設される。よって、フロントガラス32と車両側固定部材31とが接触する面積が増加し車両側固定部材31とフロントガラス32との間から流体が浸入することを妨げることができる。なお、本実施形態においては、第2の実施形態と同様、リップ部30は固定部35によって板厚方向非意匠面側を車両側固定部材31に固定されているのみであるため板厚方向意匠面側に移動可能となり、カウルルーバ装置6を容易に着脱することができる。
【0049】
(2)車両側固定部材31に設けられた凹部(排水通路)31bにより、リップ部30の非意匠面側に浸入した流体は外部へと案内され排出される。よって、車両側固定部材31によってフロントガラス32のガラス面(フロントガラスの意匠面)32cを伝った雨水などが車両側固定部材31よりも非意匠面側に浸入することが妨げられるため、フロントガラス32とリップ部30との間の隙間を塞ぐためのシール部材などが不要となり車両に対するカウルルーバ装置の組みつけが容易となる。
【0050】
(3)車両側固定部材31の意匠面側当接部33は、リップ部30の意匠面30a及びフロントガラス32のガラス面32cに連続的な面(意匠面側の面33a)を有するため、フロントガラス32のガラス面32cとリップ部30の意匠面30aとを面一にすることができる。また、フロントガラス32のガラス面32cとリップ部30の意匠面30aとが面一になるため、リップ部30及びフロントガラス32よりも非意匠面側に浸入した流体を凹部31bに案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】カウルルーバ装置が搭載される自動車の概略図。
【図2】本発明の第1の実施形態を示す断面図。
【図3】第1の実施形態の別例を示す断面図。
【図4】第1の実施形態の別例を示す断面図。
【図5】第1の実施形態の別例を示す断面図。
【図6】本発明の第2の実施形態を示す断面図。
【図7】本発明の第3の実施形態を示す断面図。
【図8】従来のカウルルーバ装置を示す側面図。
【符号の説明】
【0052】
1…自動車、1a…車体、2…フード、3,21,32…フロントガラス、4,5,6…カウルルーバ装置、4a…本体部、3a,21a,32d…フロントガラスの端面、10a,20a,30b…リップ部の端面、3b,21d,32c…ガラス面(フロントガラスの意匠面)、10,20,30,40,101…リップ部、10b…リップ部の非意匠面、21e…フロントガラスの非意匠面、10c,20c,30a…意匠面、11,24,35…固定部、13,14,15,22,43…シール部材、21b,32a…延設部、12,23,31…車両側固定部材、31b…凹部(排水通路)、33…意匠面側当接部、33a…フロントガラスのガラス面に連続する面、34…非意匠面側当接部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントガラスとフードとの間に配設されるカウルルーバ装置であって、
前記フードの非意匠面側に取着される本体部と、
前記本体部から前記フロントガラスに向って延設され前記フロントガラスの下端部の端面に対向して配置される端面を有するリップ部と、を備える
ことを特徴とするカウルルーバ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカウルルーバ装置において、
前記リップ部よりも非意匠面側に配設され車体に取着される車両側固定部材を有し、
前記リップ部は、前記車両側固定部材に固定される
ことを特徴とするカウルルーバ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のカウルルーバ装置において、
前記車両側固定部材は、前記リップ部の意匠面及び前記フロントガラスのガラス面よりも非意匠面側に浸入した水が流入し該水を外部へと案内する排水通路を有する
ことを特徴とするカウルルーバ装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のカウルルーバ装置において、
前記車両側固定部材は、前記フロントガラスの下端部の非意匠面側が当接する非意匠面側当接部を有する
ことを特徴とするカウルルーバ装置。
【請求項5】
請求項2〜4の何れか1項に記載のカウルルーバ装置において、
前記車両側固定部材は、前記フロントガラスの意匠面側に当接する意匠面側当接部を有する
ことを特徴とするカウルルーバ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のカウルルーバ装置において、
前記フロントガラスは、該フロントガラスの板厚方向非意匠面側を前記フロントガラスの非意匠面に沿って延設されてなる延設部を有し、
前記意匠面側当接部は、前記延設部の意匠面側に当接する
ことを特徴とするカウルルーバ装置。
【請求項7】
請求項2〜4の何れか1項に記載のカウルルーバ装置において、
前記フロントガラスは、該フロントガラスの板厚方向非意匠面側を前記フロントガラスの非意匠面に沿って延設されてなる延設部を有し、
前記リップ部は、板厚方向において前記延設部の意匠面側に配設され、前記リップ部の意匠面と前記フロントガラスのガラス面とが連続する
ことを特徴とするカウルルーバ装置。
【請求項8】
請求項7に記載のカウルルーバ装置において、
板厚方向において前記リップ部と前記延設部との間に介在されるシール部材を有する
ことを特徴とするカウルルーバ装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載のカウルルーバ装置において、
軟質部材からなり前記リップ部の延設方向において前記リップ部と前記フロントガラスとの間に配設される軟質部材を有する
ことを特徴とするカウルルーバ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−55293(P2007−55293A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−239834(P2005−239834)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000100780)アイシン化工株式会社 (171)
【Fターム(参考)】