説明

カスタマイズされた流路基体

燃料処理反応器の触媒層内に様々な材料および幾何形状のフィンを備える、カスタマイズされた流路基体を提供する。フィンは、好ましくは、コアに固定され、フィンをコアに巻回し、巻回したフィンおよびコアを管内に配置することにより組み付けて、燃料処理反応器内に配置される管組立体を形成する。1つまたは複数のフィンをそれぞれコアに固定する。その場合、流路をカスタマイズし、ガスの効率的な混合をもたらすように材料および幾何形状のどちらかまたは両方を変え、それによって大量のガス流と基体の間の境界層を破って物質移動速度を向上させる。さらに、本発明の一形態におけるように管に組み付ける前か、別の形態におけるように管に組み付けた後に、フィンを触媒材料で被覆する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に燃料電池システムに関し、より詳細には、流路をカスタマイズして反応ガスの効率的な混合をもたらし、大量のガス流と基体の間の境界層を破ってその内部の物質移動速度を向上させるために利用される、燃料処理反応器の触媒区画内の基体に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は様々な応用例における電力源としてこれまで使用され、現在もさらに研究されている。例えば、内燃機関に代わり、電気自動車の動力装置内で燃料電池を使用することが提案されてきた。特殊な種類の燃料電池、つまり、固体高分子形燃料電池(PEM燃料電池)では、水素(H)は、燃料電池のアノードへ供給され、酸素(O)は、酸化剤としてカソードへ供給される。一般に、PEM燃料電池は、片面にアノード触媒を有し、反対の面にカソード触媒を有する、陽子透過型で非導電性の薄い固体高分子電解質膜を含む膜/電極接合体(MEA)をさらに備えている。MEAは、(1)アノードおよびカソードの集電板として働き、(2)アノードおよびカソード触媒の各表面上に燃料電池のガス状の反応物質を供給するのに適したチャネルおよび/または開口をその中に含む、1対の導電性要素の間に配設されている。
【0003】
PEM燃料電池では、Hはアノード反応物質(つまり燃料)であり、Oはカソード反応物質(つまり酸化剤)である。H燃料は、改質物(約40〜50体積%)中に含まれるものでも、「純粋な」Hでもよい。Oは、純粋な形でも、空気(OとNの混合物)でも、他のガスと組み合わさったOでもよい。
【0004】
車両への応用例では、炭化水素(例えば、ガソリン)が燃料電池の水素源として大変望まれる。このような液体燃料は、容易に車両に搭載され、燃料供給のための全国的な産業基盤がある。代替の燃料としてはアルコール(例えば、メタノールまたはエタノール)および天然ガスがある。しかし、このような燃料は、そこに含有される水素を分離させて燃料電池に燃料を供給しなければならず、その場合、化学燃料処理装置で分離反応を行う必要がある。燃料処理装置は、燃料を水蒸気(水蒸気改質の場合のように)と、また多くの場合は空気とも反応させて、主にHおよび二酸化炭素(CO)を含む改質ガスを生じさせる、1つまたは複数の反応器を備える。例えば、ガソリンの併用改質処理では、水蒸気、空気およびガソリンを、2種類の反応を起こさせる第1または1次反応器内で反応させる。1次反応器の入口区画は、主に、空気と燃料の部分酸化反応(POX)を促進し、この反応により、出口区画で、水蒸気と炭化水素の反応である水蒸気改質(SR)を促進するための熱条件が提供される。1次改質生成物は、基本的にH、COおよび一酸化炭素(CO)である。1次反応器の下流側にある反応器には、水性ガス転化(WGS)反応器および優先酸化(PrOx)反応器が含まれ得る。WGS反応器は、COを水蒸気と反応させて、できるだけ多くのCOをCOに変える役割を果たす。反応CO+HO←→CO+Hによって生成される追加のHは、システムの効率には極めて重要である。PrOx反応器では、空気のOを酸化剤として使用してCOからCOが生成される。従って、空気供給の制御は、反応H+1/2O→HOによりHを酸化させて水(HO)にするよりもむしろ、反応CO+1/2O→COによりCOをCOに選択的に酸化させるのに重要である。
【0005】
燃料処理反応器内では、一般に、触媒層が設けられており、そこで反応を起こさせ、例えば、燃料、水、また、場合によっては空気を、水素に富んだ生成物に変える。触媒層は、一般に、その上に触媒を固定する1つまたは複数の基体を含む。触媒基体は、発泡体、ハニカム、または波形コアなど、全て触媒壁を持つ様々な形をとることができる。さらに、典型的な反応器は複数の反応管を含み、その中に担持された触媒が収容されている。通常、公知技術の基体は、一般に単一の材料から製作され、触媒層内の複数の管全体を通して均一の幾何形状を有する。その結果、触媒層を貫通するガス流路は、特定の型の反応器および特定の燃料電池システム用にカスタマイズされないことがある。さらに、反応器の重量は、公知技術の基体の単一材料および一貫した幾何形状に最適化されないことがある。
【0006】
従って、本技術分野では、燃料電池システムの様々な動作条件および種類に従って、燃料処理反応器の触媒層内に、流路をカスタマイズすることができる基体が依然として必要とされている。さらに、触媒層全体を通して効率的なガス混合をもたらす、小型で軽量の基体が必要とされている。要約すれば、触媒基体のカスタマイズされた設計によって、流体力学的変数を、反応変数と併せて改善することができる。
【0007】
炭化水素を処理して水素に富んだ改質物を生成し、PEM燃料電池で消費させる燃料電池システムは、公知であり、米国特許第6232005号、米国特許第6077620号および米国特許第6238815号に記載されている。これらの米国特許はそれぞれ本発明の譲受人であるゼネラルモーターズ社に譲渡されており、それらを本明細書に参照として組み込む。やはりゼネラルモーターズ社に譲渡されている、典型的なPEM燃料電池およびそのMEAは、本明細書に参照として組み込む米国特許第5272017号および米国特許第5316871号に記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
好ましい一形態では、本発明は、様々な材料および/または幾何形状の1つまたは複数のフィンを有するカスタマイズされた流路基体を燃料処理反応器の触媒層内に提供する。これらのフィンは、好ましくはコアに固定され、触媒層は、これらのフィンをコアに巻回し、巻回したフィンをコアと共に管内に配置することによって形成される。フィンは、反応器を貫通するガス流路をカスタマイズするように成形された鋼または数種類の金属合金のいずれかなど、様々な材料を含むことができる。さらに、フィンは、それだけに限定されないが、波頭形フィン(crest fin)、槍形フィン(lanced fin)、魚骨形フィン(herringbone fin)、穴あき形フィン(perforated fin)、よろい張り形フィン(lowered fin)、および/または、多形状フィン(variegated fin)、あるいはこれらの組合せなど、フィンの種類に応じて、反応器の個々の区画における流路をさらにカスタマイズし、反応器の区画の間または1つの区画内で効率的な混合を行えるような、様々な幾何形状をさらに含むことができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
フィンは、好ましくは、コアに固定され、そのコアに巻回され、管の中に配置されることによって組み付けられる。管内に組み付ける前か後に、フィンの少なくとも一部に触媒の薄め塗膜を施す。ある方法によれば、コアにフィンを固定し、次いでフィンの少なくとも一部に触媒薄め塗膜を塗布する。次いで、塗膜が施されたフィンをコアに巻回し、管に配置する。別の方法によれば、フィンをコアに固定、巻回し、管内に配置し、次いで、組み付け後の管内のフィンの少なくとも一部に触媒薄め塗膜を塗布する。さらに、流路の必要性に応じて、触媒薄め塗膜の厚さおよび表面積を変えることができる。
【0010】
本発明の更なる分野への利用可能性については、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。詳細な説明および個別の例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、説明のためのものにすぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0011】
本発明は、詳細な説明および添付の図面からより完全に理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下の好ましい実施形態の説明は、単に例示的な性質のものであり、本発明、その応用または使用を決して限定するものではない。
本発明は、一般に、燃料処理反応器の触媒層内で使用されるカスタマイズされた流路基体を提供する。流路は、図1に示す例示的燃料電池システムを参照すればさらに理解されるであろう。従って、以下の説明は、カスタマイズされた流路基体が使用されるシステムをより完全に理解するためのものである。
【0013】
図1を参照すると、推進のエネルギー源として車両(図示せず)内で使用することのできる、例示的燃料電池システムが示されている。このシステムでは、例えば、改質、水性ガス転化、および優先酸化処理によって炭化水素を燃料処理装置内で処理して、比較的水素分の高い改質ガスを生成する。
【0014】
本明細書では、改質物が生成される方法に関係なく、水素に富んだ改質物によって燃料が供給される燃料電池に関して本発明を説明する。本明細書で実施する原理は、メタノール、エタノール、ガソリン、他のアルケン炭化水素、脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素、天然ガスなど、改質可能な炭化水素燃料および水素含有燃料を含むあらゆる燃料源から得られる水素、あるいは水素などの搭載貯蔵燃料から得られる水素によって燃料が供給される燃料電池に応用可能であることは、当業者には理解されるであろう。
【0015】
図1に示すように、燃料電池装置は、改質可能な炭化水素燃料流6と水流8からの水蒸気としての水とに触媒的に反応を起こさせる燃料処理装置2を含む。燃料処理装置の中には、部分酸化/水蒸気改質反応の際に空気も使用するものがある。従って、本明細書で説明する燃料処理装置2は空気流9も受け取る。さらに、燃料処理装置2は、1つまたは複数の反応器12を有し、そこで、水/水蒸気8、また場合によっては(空気流9内の)空気の存在下で、燃料流6の改質可能な炭化水素燃料を分離させて水素に富んだ改質物を生成する。加えて、各反応器12は、1つまたは複数の触媒層を含むことができ、1つまたは複数の触媒層区画ならびに様々な設計が存在し得る。従って、反応器12の選択および構成は、応用例によって変わり得る。以下に、例示的燃料改質反応器14および下流側の反応器16について、より具体的に説明する。
【0016】
例示的水蒸気/メタノール改質処理では、先に述べたように、反応器14内でメタノールおよび(水蒸気としての)HOに理想的な反応を起こさせて、HおよびCOを生成する。改質処理の結果、HおよびCOに加え、COも生成される。例示的ガソリン改質処理では、2つの区画を有する反応器14を含む燃料処理装置内で、水蒸気、空気およびガソリンを反応させる。反応器14の一方の区画は、主に部分酸化反応器(POX)であり、他方の区画は主に水蒸気改質器(SR)である。メタノール改質の場合と同様に、ガソリンを改質することによってHおよびCOならびにCOが生成される。従って、各種の改質後、COによるPEMのアノード触媒の被毒を防止するために、生成物流のCO分を低減させることが好ましい。
【0017】
従って、典型的な燃料処理装置は、WGS反応器やPrOx反応器など、1つまたは複数の下流側反応器16をさらに含む。こうした反応器は、一段または多段式の反応器であり得る。WGS反応器は、先に述べたように、COおよびHOの反応からCOおよび追加のHを生成するために使用される。好ましくは、H、CO、COおよびHOを含むWGS反応器出口の改質ガス流をPrOx反応器16内でCOに酸化させることによりさらに処理して、その中のCOを許容水準に低減させる。運転中は、Hに富んだ改質物20は、燃料電池積層体22のアノード室内へ供給される。同時に、酸化剤流24からのO(例えば、空気)は、燃料電池22のカソード室内へ供給される。従って、改質物流20からのHおよび酸化剤流24からのOは、燃料電池22内で反応して電気およびHOを生成する。燃料電池22内での反応の更なる結果として、燃料電池22のアノード側からの排気または排出水26は、未反応のHをある量含んでいる。同様に、燃料電池22のカソード側からの排気または排出水28は、未反応のOをある量含んでいる。
【0018】
図に示すように、酸化剤流24用の空気は、空気源(好ましくは圧縮機30)によって供給される。始動時は、弁32を作動させ、空気を燃焼器34の入力部へ直接供給する。空気は、そこで管路46から供給される燃料と反応して燃焼熱を発生させ、それが燃料処理装置2の様々な部分を加熱するために使用される。
【0019】
燃料処理装置2内で起こる反応は、吸熱的で加熱を要するものもあれば、発熱的で除熱を要するものもある。通常、PrOx反応器16は除熱を要し、反応器14内の1つまたは複数の改質反応は、通常、吸熱的であるため加熱を要する。反応器14内での改質反応のための加熱は、反応物質、つまり、燃料6、水蒸気8、および空気9を予備加熱することによって、かつ/または選択された反応器を加熱することによって、ならびにPOX反応によって行われる。
【0020】
さらに図に示すように、始動時は、燃焼器34からの熱によって、燃料処理装置2内の選択された反応器および触媒層が加熱される。燃焼器34は、必要に応じて間接熱伝達により、燃焼処理装置内の選択された反応器14および16、ならびに触媒層を加熱する。その場合、間接的に加熱される反応器14および16は、入口および出口付きの反応室を含む。さらに、以下に詳細に述べるように、反応室内の触媒層は、担体部材基体(carrier member substrate)の形をとる。各担体部材基体は、所望の化学反応を達成するための触媒活性のある物質を保持している。さらに、燃焼器34は、反応物質として燃料処理装置2へ供給される燃料6、水8および空気9を予備加熱するために使用することができる。
【0021】
燃料処理装置2内の選択された反応器によって要求され、燃焼器34によって供給される熱量は、供給される燃料と水の量、最終的には燃料処理装置2内の所望の反応温度に応じて決まる。先に述べたように、燃焼器34は、全てのアノード排気または排出水26、また場合によっては、いくらかの炭化水素燃料46を利用して燃料処理装置2に熱を供給する。従って、燃焼器34の温度要件を満足させるために、エンタルピー方程式を使用して燃焼器34へ供給されるべきカソード排出水28の量を求める。
【0022】
図2を参照すると、本発明によるカスタマイズされた流路基体が示されており、全体が参照番号50で示されている。カスタマイズされた流路基体50は、図3Aおよび3Bに示すように、反応器14および16内に配設されている。図に示すように、カスタマイズされた流路基体50は、コア54に固定されたフィン52を備えている。フィン52は、鋼または金属合金など、個々の燃料処理反応器(図示せず)の要件に応じて、様々な材料を含むことができる。さらに、フィン52は、それだけに限定されないが、波頭形フィン、槍形フィン、魚骨形フィン、穴あき形フィン、よろい張り形フィン、および/または、多形状フィン、あるいはこれらの組合せなど、フィンの種類に応じて、反応器の特定の区画における流路をさらにカスタマイズし、反応器の区画の間または1つの区画内で効率的な混合を行えるような、様々な幾何形状(図示せず)を含むことができる。さらに、フィン52は、好ましくは、やはり金属材料からなるコア54に接合されている。従って、フィン52の材料および幾何形状のどちらか、または両方を変化させて流路をカスタマイズし、燃料処理反応器14および16内のガスを効率的に混合することができる。さらに、あるフィンの層が隣接する別の層上に「ネスティング」した結果、触媒層のどんな領域でも変形が起こることがないように幾何形状を設計する。
【0023】
図4に示すように、フィン52は、燃料処理反応器14および16の触媒層内に挿入される管56内に組み付ける前にコア54に巻回する。フィン52をコア54に巻回し、管56(図5Aおよび5B)内に配置後、管組立体60(図5B)が形成される。この管組立体60は、先に述べたように、互いに同じまたは異なる材料および幾何形状を有するフィン52を収容する他の管組立体と共に燃料処理反応器(図3Aに最もよく示されている)内に配置される。図6Aおよび6Bに示す代替の一実施形態によれば、管とフィンからなる単一の大きな組立体60を有する反応器62が提供される。さらに、フィン52および管組立体60は、個々の燃料処理反応器14および16の特定の要件を満足するように、相応に調整される。
【0024】
本発明の一形態では、フィン52を、コア54と共に管内に配置する前に、触媒薄め塗膜(図示せず)で被覆する。従って、フィン52をコア54に固定した後、フィン52の少なくとも一部に触媒薄め塗膜を施す。次いで、被覆されたフィン52をコア54に巻回し、巻回したフィン52およびコア54を管内に配置して管組立体60を形成する。触媒薄め塗膜は、フィン52に沿ってその厚さおよび表面積を変えることによって、個別の流路および混合要件に合うようにさらに調整することができる。
【0025】
本発明の別の形態では、フィン52およびコア54を管内に配置した後に触媒薄め塗膜を施す。従って、フィン52をコア54に巻回し、次いで、巻回したフィン52およびコア54を管内に配置して管組立体を形成する。次いで、触媒薄め塗膜を管組立体全体に施す。同様に、触媒薄め皮膜は、管組立体内でその厚さおよび表面積を変えることによって、個別の流路および混合要件に合うように調整することができる。その結果、本発明の教示によれば、触媒薄め塗膜は、管内にフィン52およびコア54を組み付ける前か後のどちらかに施すことができる。
【0026】
図7Aを参照すると、本発明のさらに別の形態では、図示するように、コア54に固定された複数のフィン53が使用されている。先に述べたように、フィン53をコア54に固定する。その際、燃料処理反応器の個別の要件に応じて、複数の互いに異なるフィン53a〜dを使用することができる。さらに、燃料処理反応器内の流路要件に応じて、フィン53a〜dは、図7Aに示すように、互いに間隔をあけてもよいし、図7Bに示すように、コア14に沿って互いに隣接させてもよい。
【0027】
フィン53は、反応器内の流路をカスタマイズし、さらにその中のガス流の効率的な混合をもたらすように成形することのできる鋼または他の金属合金など、様々な種類の材料を含むことができる。さらに、フィン53の幾何形状は、流路をさらにカスタマイズし、効率的な混合を容易に行えるように変えることができる。例えば、フィン53は、それだけに限定されないが、波頭形フィン、槍形フィン、魚骨形フィン、穴あき形フィン、よろい張り形フィン、および/または、多形状フィン、あるいはこれらの組合せの幾何形状を含むことができる。システムの要件に応じて、単一のコア54に沿って様々な種類の材料および幾何形状を使用することができ、かつ/または、材料の種類および幾何形状は、燃料処理反応器の異なる区画の間で変えることができる。
【0028】
先に述べたように、フィン53を、触媒薄め塗膜で同様に被覆する。その場合、触媒薄め塗膜は、フィン53およびコア54を管に組み付ける前か後のどちらかに施すことができる。従って、触媒薄め塗膜は、やはり組立体内で、かつ/またはフィン53に沿ってその厚さおよび表面積を変えることによって、個別の応用例の要件に合うように調整することができる。
【0029】
本発明は、燃料処理反応器内の流路をカスタマイズし、効率的なガスの混合を容易に行うために個々のフィンの材料および幾何形状が調整された、カスタマイズされた流路基体を提供するものである。その結果、燃料処理システムは、本発明の教示によって提供される調整された流路および混合により、より効率的に、しかも低価格と低重量で作動することができる。
【0030】
本発明の説明は単に例示的な性質のものであり、従って、本発明の趣旨から逸脱しない変更は、本発明の範囲内に含まれるものとする。このような変更は、本発明の精神および範囲から逸脱するものとはみなさない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による例示的燃料電池システムの概略流れ図である。
【図2】本発明のカスタマイズされた流路基体における、コアに固定されたフィンの側面図である。
【図3】図3Aは、本発明の原理による、複数のカスタマイズされた流路基体を有する反応器の概略斜視図である。図3Bは、図3Aに示す反応器の概略端面図である。
【図4】本発明のカスタマイズされた流路基体における、コアに巻回されたフィンの平面図である。
【図5】図5Aは、本発明の原理による、コアおよびフィンが管に挿入されるところを示す図である。図5Bは、本発明の原理による、管組立体を示す図である。
【図6】図6Aは、本発明の原理による、大きな組立体を有する反応器の概略斜視図である。図6Bは、図6Aに示す反応器の概略端面図である。
【図7】図7Aは、本発明の原理による、カスタマイズされた例示的流路基体における、コアに固定された複数のフィンを示す側面図である。図7Bは、本発明の原理による、熟考されカスタマイズされた例示的流路基体における、コアに固定された複数のフィンを示す側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア部材と、前記コア部材に固定され、前記コア部材にらせん状に巻回されたフィンと、前記フィンの少なくとも一部を被覆する触媒材料とを含む、触媒層内で使用される基体。
【請求項2】
前記フィンが、波頭形フィン、槍形フィン、魚骨形フィン、穴あき形フィン、よろい張り形フィン、および多形状フィンからなる群から選択される形状を有する、請求項1に記載の基体。
【請求項3】
幾何形状の設計または形状の類似が原因で、らせん状の、ある巻回の層が隣接する別の層に「ネスティング」、つまり陥没することを、選択された前記幾何形状によって防ぐ、請求項1に記載の基体。
【請求項4】
前記コア部材および前記フィンが挿入される管をさらに含む、請求項1に記載の基体。
【請求項5】
コア部材と、前記コア部材に固定され、それぞれ1種類の材料を含む複数のフィンと、各フィンの少なくとも一部を被覆する触媒材料とを含み、前記燃料処理反応器内で流路がカスタマイズされ、効率的なガスの混合がもたらされるように各フィンの材料を変える、触媒層内で使用される基体。
【請求項6】
前記流路がさらにカスタマイズされ、効率的な混合がもたらされるように前記複数のフィンのそれぞれの形状を変える、請求項5に記載の基体。
【請求項7】
前記複数のフィンの形状が、それだけに限らないが、波頭形フィン、槍形フィン、魚骨形フィン、穴あき形フィン、よろい張り形フィン、および多形状フィンからなる群から選択される、請求項5に記載の基体。
【請求項8】
前記複数のフィンが互いに間隔をあけて配置される、請求項5に記載の基体。
【請求項9】
前記複数のフィンが互いに隣接する、請求項5に記載の基体。
【請求項10】
前記複数のフィンが、前記コア部材にらせん状に巻回される、請求項5に記載の基体。
【請求項11】
前記コア部材および前記複数のフィンが挿入される管をさらに含む、請求項10に記載の基体。
【請求項12】
(a)少なくとも1つのフィンをコアに固定するステップと、
(b)前記フィンの少なくとも一部を触媒材料で被覆するステップと、
(c)前記フィンを前記コアに巻回するステップと、
(d)前記フィンおよび前記コアを管内に配置するステップと
を含む、燃料処理装置の反応器用基体を形成する方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのフィンが、それだけに限らないが、波頭形フィン、槍形フィン、魚骨形フィン、穴あき形フィン、よろい張り形フィン、および多形状フィンからなる群から選択される形状を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(a)少なくとも1つのフィンをコアに固定するステップと、
(b)前記フィンを前記コアに巻回するステップと、
(c)前記フィンおよび前記コアを管内に配置するステップと、
(d)前記フィンを触媒材料で被覆するステップと
を含む、燃料処理装置の反応器用基体を形成する方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのフィンが、それだけに限らないが、波頭形フィン、槍形フィン、魚骨形フィン、穴あき形フィン、よろい張り形フィン、および多形状フィンからなる群から選択される形状を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
(a)複数のフィンを1つのコアに固定するステップと、
(b)前記フィンの少なくとも一部を触媒材料で被覆するステップと、
(c)前記フィンを前記コアに巻回するステップと、
(d)前記フィンおよび前記コアを管に配置するステップと
を含む、燃料処理装置の反応器用のカスタマイズされた流路基体を形成する方法。
【請求項17】
前記フィンの形状を変える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記フィンの材料を変える、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のフィンが互いに間隔があけられている、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のフィンが互いに隣接している、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
(a)複数のフィンを1つのコアに固定するステップと、
(b)前記フィンを前記コアに巻回するステップと、
(c)前記フィンおよび前記コアを管に配置するステップと、
(d)前記フィンを触媒材料で被覆するステップと
を含む、燃料処理装置の反応器用のカスタマイズされた流路基体を形成する方法。
【請求項22】
前記フィンの形状を変える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記フィンの材料を変える、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記複数のフィンが互いに間隔があけられている、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記複数のフィンが互いに隣接している、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
入口および出口を有し、反応室を規定する筐体と、前記反応室に配設された複数の管組立体とを含み、前記管組立体が少なくとも1つのフィンを巻回したコア部材を含み、前記コア部材および前記少なくとも1つのフィンが管内に配設され、前記少なくとも1つのフィンが少なくとも部分的に触媒材料で被覆される、燃料処理装置内で使用される燃料処理反応器。
【請求項27】
前記少なくとも1つのフィンが前記コア部材に固定され巻回された複数のフィンを含む、請求項26に記載の燃料処理反応器。
【請求項28】
前記複数のフィンの形状を変える、請求項27に記載の燃料処理反応器。
【請求項29】
前記複数のフィンの材料を変える、請求項27に記載の燃料処理反応器。
【請求項30】
前記複数のフィンが互いに間隔があけられている、請求項27に記載の燃料処理反応器。
【請求項31】
前記複数のフィンが互いに隣接している、請求項27に記載の燃料処理反応器。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−502852(P2006−502852A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544847(P2004−544847)
【出願日】平成15年10月14日(2003.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2003/032249
【国際公開番号】WO2004/036665
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(590001407)ゼネラル・モーターズ・コーポレーション (118)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL MOTORS CORPORATION
【Fターム(参考)】