説明

カチオン性ジアミノピラゾール類、その製造方法及びこれら化合物を含有する染色剤

下記の一般式(I)の新規なカチオン性4,5‐ジアミノピラゾール誘導体:



、当該化合物を含有したケラチン繊維用染色剤、並びに前記式(I)の化合物の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、新規なカチオン性4,5‐ジアミノピラゾール類、その製造方法並びにこれら化合物を含有した染色剤である。
【背景技術】
【0002】
従来からの毛髪染色の分野においては、酸化染料は化粧品的に非常に重要なものになっている。この場合、発色は、酸化剤の存在下で、特定の顕色物質が特定のカップラー物質と反応することによって生じる。人間の毛髪を処理するために意図された酸化染料には、染色効果を生じさせる他に更なる多くの必要条件が求められている。即ち、これら染料は、毒物学的および皮膚科学的な観点において危険性がない一方で、感作性がない必要がある。その上、適当な顕色物質とカップラー物質の組み合わせによって、多彩な色彩の種々の染色色合いを生じさせることができることも必要である。さらに、生じた毛髪染色は、優れた耐洗浄性、耐光性、耐汗性、耐パーマネント性、耐酸性、耐塩基性および耐摩擦性を示すことが必要である。今日の通常の毎日の条件下で、このような毛髪染色は、どんな場合でも少なくとも4〜6週間の期間は安定な状態を維持することが必要である。
【0003】
重要性が増している赤色領域をカバーするために、これまでは主に4‐アミノフェノールが顕色物質として使用されてきた。この物質の生理学的な温和性を考慮すると、ピリジン誘導体およびピリミジン誘導体も添加されるが、染色的観点からすると、むろん満足できるものではない。同様に、4‐アミノフェノールの代わりに4,5‐ジアミノピラゾール類並びに3位が置換された4,5‐ジアミノピラゾール類が添加された。さらに、WO00/43367から、幅広い一般式のカチオン性ピラゾール誘導体が毛髪染色剤中に添加されることが知られている。しかしながら、ここに述べられている化合物の大部分は、WO00/43367に挙げられている方法によって製造可能なものではなく、従って、自由に使うことができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大抵の酸化染料は、未損傷の毛髪に対してほとんど弱点を示さないが、損傷を受けた毛髪に対して重大な差異を生じ得る。それゆえに調髪師は日常的な業務から、染色する毛髪上に染料が均一に載らないという問題に気づいている。普通、生え際の髪は無傷であるのに対し、毛先は天候の影響、度重なる洗髪および櫛通し時間に起因して損傷を受け、この損傷は生え際から毛先にかけて次第に重症になる。このような毛髪を染色する場合には、生え際と毛先の間の不均一な毛髪性質に起因して、不均一な染色結果を生じ得ることとなる。これに関するさらなる問題は、染色された毛髪を洗髪する際に、未損傷の毛髪部分よりも、損傷の激しい毛髪部分から、毛髪の損傷度合いの重症さに応じて、多くの染料が洗い落とされてしまい、このことは数回の洗髪後に、常に明白に目に見えるほどになる。
【0005】
それゆえさらに、良好で均質な塗布挙動をもたらし、異なる毛髪特性、特にウエーブ処理またはブロンド化処理により損傷を受けた毛髪、に対するシャンプーの実施に対して大幅に改善された染色安定性に関する優れた発色性質を有する、赤色領域をカバーするために適した染料が特に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
今ここに、前述の課題が、特定のカチオン性ピラゾール類によって非常にうまく解決されることが見い出された。
【0007】
それゆえ、本発明の対象は、下記の一般式(I)で表される新規なカチオン性4,5‐ジアミノピラゾール誘導体であり、
【0008】
【化1】

【0009】
上式において、
R1は、水素、直鎖又は分枝した(C1‐C6)‐アルキル基、(C1‐C4)‐ヒドロキシアルキル基、(C1‐C4)‐アミノアルキル基、(C1‐C8)‐アルキルアミノ基、ジ(C1‐C8)‐アルキルアミノ基、(C1‐C4)‐アルキルアミノ‐(C1‐C4)‐アルキル基、又はジ(C1‐C4)‐アルキルアミノ‐(C1‐C4)‐アルキル基、ベンジル基、アリール基又はヘテロアリール基を示し、
R2は、水素、C1‐C6‐アルキル基、(C2‐C4)‐ヒドロキシアルキル基、(C3‐C6)‐ポリヒドロキシアルキル基、2〜6個の炭素原子を有するアルコキシアルキル基又はベンジル基を示し、
Lは、ピラゾール環と第四級基との間の架橋基を示し、フェニレン‐ジラジカル又は(C1‐C2)‐アルキレン‐ジラジカルから成り、
は、下記式(II)の飽和カチオン性基又は、下記式(III)〜(V)の不飽和カチオン性基並びに、下記式(VI)〜(VIII)のこれらのベンゾ芳香族性類似体を示し、
【0010】
【化2】

【0011】
この際、R3〜R5は、同一であっても異なっても良く、独立して互いに直鎖又は分枝した(C1‐C6)‐アルキル基、(C2‐C4)‐ヒドロキシアルキル基、(C3‐C6)‐ジヒドロキシアルキル基、(C3‐C6)‐ポリヒドロキシアルキル基又は(C1‐C6)‐アルコキシ‐(C1‐C4)‐アルキル基を示す、もしくは、基R3〜R5のうちの2つが窒素原子と一緒に結合して5員環〜6員環のヘテロ環を形成し、当該環は場合によっては1以上の更に別のヘテロ原子(例えばO,N,S)及び更に別の置換基(例えばF,Cl,Br,I,OH,NH、直鎖又は分枝した(C1‐C6)‐アルキル基、直鎖又は分枝した(C1‐C6)‐アルコキシ基、(C1‐C6)‐アルコキシ‐(C1‐C4)‐アルキル基又はヒドロキシエチル基)を有していても良く、
R6は、直鎖又は分枝した(C1‐C8)‐アルキル基、アリル基、ビニル基、ヒドロキシエチル基又はベンジル基を示し、
R7は、水素、直鎖又は分枝した(C1‐C9)‐アルキル基、アミノ基、モノ(C1‐C6)‐アルキルアミノ基、ジ‐(C1‐C6)‐アルキルアミノ基又はピロリジノ基を示し、
R8は、直鎖又は分枝した(C1‐C8)‐アルキル基、アリル基、ビニル基、ヒドロキシエチル基、ジヒドロキシプロピル基又はベンジル基を示し、
は、一価又は多価のアニオン、特にクロリド‐、ブロミド‐、ヨージド‐、アルキルスルフェート‐、アリールスルホネート‐、ハイドロゲンスルフェート‐、スルフェート‐、ホスフェート‐、アセテート‐又はタートレート(Tartrat)‐イオンを示し、
HYは、無機酸又は有機酸を示し、
mは、0又は1であり、しかも、
nは、0と2の間の数値である。
【0012】
前記一般式(I)の化合物で好ましいものは、上式において、
R1が、水素、メチル基又はフェニル基であり、
R2が、水素又はメチル基であり、
R3〜R5が、同一であっても異なっても良く、独立して互いにメチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基を示す、もしくは、前記の基R3〜R5のうちの2つが窒素原子と一緒に結合してピロリジノ基、モルフォリノ基又はN‐メチル‐ピペラジノ基を形成し、
R6が、メチル基又はヒドロキシエチル基であり、
R7が、水素、メチル基、p‐ジメチルアミノ基又はp‐ピロリジノ基であり、
R8が、メチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基であり、
が、クロリド‐、ブロミド‐、メチルスルフェート‐、トルエンスルホネート‐、スルフェー‐ト、ホスフェート‐、アセテート‐又はタートレート‐アニオンであり、
Lが、(C1‐C2)‐アルキレン‐ジラジカルであり、mが1であり、
HYが、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸又は酒石酸であり、しかも
nが、0と2の間の数値である。
【0013】
前記式(I)の化合物の高い酸化感度のために、フリーな塩基としてではなく、主として酸付加物として分離されるという理由で、より良好な使用条件であって有利である。このようにして得られた塩は、空気酸化に対して大いに敏感でない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
前記式(I) の化合物で特に好ましいものとしては、下記の化合物が挙げられる。
【0015】
【化3】

【0016】
3‐〔(4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)メチル〕‐1‐メチルピリジニウム‐メチルスルフェート‐二塩酸塩
【0017】
【化4】

【0018】
4‐〔(4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)メチル〕‐1‐メチルピリジニウム‐メチルスルフェート‐二塩酸塩
【0019】
【化5】

【0020】
2‐〔(4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)メチル〕‐1‐メチルピリジニウム‐メチルスルフェート‐二塩酸塩
【0021】
【化6】

【0022】
4‐〔(4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)メチル〕‐1‐メチルキノリニウム‐メチルスルフェート‐二塩酸塩
【0023】
【化7】

【0024】
3‐〔(4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)メチル〕‐1‐メチルキノリニウム‐メチルスルフェート‐二塩酸塩
【0025】
【化8】

【0026】
4‐〔2‐(4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)エチル〕‐1‐メチルピリジニウム‐メチルスルフェート‐二塩酸塩
【0027】
【化9】

【0028】
2‐(4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)‐N,N,N‐トリメチルエタンアミニウム‐クロリド‐二塩酸塩
【0029】
【化10】

【0030】
1‐〔2‐(4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)エチル〕‐1‐メチルピロリジニウム‐クロリド‐二塩酸塩
【0031】
【化11】

【0032】
4‐〔2‐(4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)エチル〕‐4‐メチルモルフォリン‐4‐イウム‐クロリド‐二塩酸塩
【0033】
【化12】

【0034】
3‐〔2‐(4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)エチル〕‐1‐メチル‐1H‐イミダゾール‐3‐イウム‐クロリド‐二塩酸塩
【0035】
前記式(I)の化合物は、ケラチン繊維の染色のための酸化システムにおける染料前駆体として特に好適である。前記式(I)の化合物は、ケラチン繊維(例えば羊毛、絹又は毛髪、特に人間の頭髪)を染色するための使用に特に適しているが、原理的にはこれらの化合物を用いて、他の天然繊維又は合成繊維(例えば綿又はナイロン66)を染色することも可能である。
【0036】
それゆえ、本発明のもう一つの対象は、ケラチン繊維、特に毛髪を酸化染色するための薬剤であり、この薬剤は、有機酸又は無機酸と共に、前記一般式(I)のカチオン性4,5‐ジアミノピラゾール又はその塩の少なくとも1種を含有することを特徴とする。
【0037】
前記式(I)の4,5‐ジアミノピラゾールは、本発明の染色剤中に約0.005〜20重量%の量で含有され、この際、約0.01〜10重量%の量が好ましく、0.1〜6重量%の量が特に好ましい。
【0038】
前記式(I)の化合物は、単独で使用されてもよいし、繊維材料の染色のための酸化染色システムにおいて通常使用することが見い出されている別の顕色物質及び/又はカップラー物質の組み合わせで使用されてもよい。
【0039】
適したカップラー物質としては、特に以下のものが挙げられる。
N‐(3‐ジメチルアミノ‐フェニル)尿素、2,6‐ジアミノピリジン、2‐アミノ‐4‐〔(2‐ヒドロキシエチル)アミノ〕‐アニソール、2,4‐ジアミノ‐1‐フルオロ‐5‐メチルベンゼン、2,4‐ジアミノ‐1‐メトキシ‐5‐メチルベンゼン、2,4‐ジアミノ‐1‐エトキシ‐5‐メチルベンゼン、2,4‐ジアミノ‐1‐(2‐ヒドロキシエトキシ)‐5‐メチルベンゼン、2,4‐ジ〔(2‐ヒドロキシエチル)アミノ〕‐1,5‐ジメトキシベンゼン、2,3‐ジアミノ‐6‐メトキシピリジン、3‐アミノ‐6‐メトキシ‐2‐(メチルアミノ)‐ピリジン、2,6‐ジアミノ‐3,5‐ジメトキシ‐ピリジン、3,5‐ジアミノ‐2,6‐ジメトキシ‐ピリジン、1,3‐ジアミノベンゼン、2,4‐ジアミノ‐1‐(2‐ヒドロキシエトキシ)‐ベンゼン、2,4‐ジアミノ‐1‐(3‐ヒドロキシプロポキシ)‐ベンゼン、2,4‐ジアミノ‐1‐(3‐メトキシプロポキシ)‐ベンゼン、1‐(2‐アミノエトキシ)‐2,4‐ジアミノベンゼン、2‐アミノ‐1‐(2‐ヒドロキシエトキシ)‐4‐メチルアミノベンゼン、2,4‐ジアミノフェノキシ酢酸、3‐〔ジ(2‐ヒドロキシエチル)アミノ〕‐アニリン、4‐アミノ‐2‐ジ〔(2‐ヒドロキシエチル)アミノ〕‐1‐エトキシベンゼン、5‐メチル‐2‐(1‐メチルエチル)‐フェノール、3‐〔(2‐ヒドロキシエチル)アミノ〕‐アニリン、3‐〔(2‐アミノエチル)アミノ〕‐アニリン、1,3‐ジ〔(2,4‐ジアミノフェノキシ)‐プロパン、ジ(2,4‐ジアミノフェノキシ)‐メタン、1,3‐ジアミノ‐2,4‐ジメトキシベンゼン、2,6‐ビス(2‐ヒドロキシエチル)アミノトルエン、4‐ヒドロキシインドール、3‐ジメチルアミノフェノール、3‐ジエチルアミノフェノール、5‐アミノ‐2‐メチルフェノール、5‐アミノ‐4‐フルオロ‐2‐メチルフェノール、5‐アミノ‐4‐メトキシ‐2‐メチルフェノール、5‐アミノ‐4‐エトキシ‐2‐メチルフェノール、3‐アミノ‐2,4‐ジクロロフェノール、5‐アミノ‐2,4‐ジクロロフェノール、3‐アミノ‐2‐メチルフェノール、3‐アミノ‐2‐クロロ‐6‐メチルフェノール、3‐アミノフェノール、2‐〔(3‐ヒドロキシフェニル)アミノ〕‐アセトアミド、5‐〔(2‐ヒドロキシエチル)アミノ〕‐2‐メチルフェノール、3‐〔(2‐ヒドロキシエチル)アミノ〕‐フェノール、3‐〔(2‐メトキシエチル)アミノ〕‐フェノール、5‐アミノ‐2‐エチルフェノール、2‐(4‐アミノ‐2‐ヒドロキシフェノキシ)‐エタノール、5‐〔(3‐ヒドロキシプロピル)アミノ〕‐2‐メチルフェノール、3‐〔(2,3‐ジヒドロキシプロピル)アミノ〕‐2‐メチルフェノール、3‐〔(2‐ヒドロキシエチル)アミノ〕‐2‐メチルフェノール、2‐アミノ‐3‐ヒドロキシピリジン、5‐アミノ‐4‐クロロ‐2‐メチルフェノール、1‐ナフトール、1,5‐ジヒドロキシナフタレン、1,7‐ジヒドロキシナフタレン、2,3‐ジヒドロキシナフタレン、2,7‐ジヒドロキシナフタレン、2‐メチル‐1‐ナフトールアセテート、1,3‐ジヒドロキシベンゼン、1‐クロロ‐2,4‐ジヒドロキシベンゼン、2‐クロロ‐1,3‐ジヒドロキシベンゼン、1,2‐ジクロロ‐3,5‐ジヒドロキシ‐4‐メチルベンゼン、1,5‐ジクロロ‐2,4‐ジヒドロキシベンゼン、1,3‐ジヒドロキシ‐2‐メチルベンゼン、1,3‐ジヒドロキシ‐2,4‐ジメチルベンゼン、3,4‐メチレンジオキシフェノール、3,4‐メチレンジオキシアニリン、5‐〔(2‐ヒドロキシエチル)アミノ〕‐1,3‐ベンゾジオクソール、6‐ブロモ‐1‐ヒドロキシ‐3,4‐メチレンジオキシベンゼン、3,4‐ジアミノ安息香酸、3,4‐ジヒドロ‐6‐ヒドロキシ‐1,4(2H)‐ベンゾキサジン、6‐アミノ‐3,4‐ジヒドロ‐1,4(2H)‐ベンゾキサジン、3‐メチル‐1‐フェニル‐5‐ピラゾロン、5,6‐ジヒドロキシインドール、5,6‐ジヒドロキシインドリン、4‐ヒドロキシインドール、5‐ヒドロキシインドール、6‐ヒドロキシインドール、7‐ヒドロキシインドール及び2,3‐インドリンジオン、又はこれらの塩類。
【0040】
自然な色調及びモダンな赤色の色調を作るには、前記式(I)の化合物を、追加の顕色物質と組み合わせて添加することが特に有利である。顕色物質としては、p‐フェニレンジアミン、p‐アミノフェノール並びに更に4,5‐ジアミノピラゾール類又はその塩類が挙げられる。
【0041】
特に、下記の顕色物質が挙げられる。
1,4‐ジアミノベンゼン(p‐フェニレンジアミン)、1,4‐ジアミノ‐2‐メチル‐ベンゼン(p‐トルエンジアミン)、1,4‐ジアミノ‐2,6‐ジメチル‐ベンゼン、1,4‐ジアミノ‐2,5‐ジメチル‐ベンゼン、1,4‐ジアミノ‐2,3‐ジメチル‐ベンゼン、2‐クロロ‐1,4‐ジアミノ‐ベンゼン、4‐フェニルアミノ‐アニリン、4‐ジメチルアミノ‐アニリン、4‐ジエチルアミノ‐アニリン、4‐〔ジ(2‐ヒドロキシエチル)アミノ〕‐アニリン、4‐〔(2‐メトキシエチル)アミノ〕‐アニリン、4‐〔(3‐ヒドロキシプロピル)アミノ〕‐アニリン、1,4‐ジアミノ‐2‐(2‐ヒドロキシエチル)‐ベンゼン、1,4‐ジアミノ‐2‐(1‐ヒドロキシエチル)‐ベンゼン、1,4‐ジアミノ‐2‐(1‐メチルエチル)‐ベンゼン、1,3‐ビス〔(4‐アミノフェニル)‐(2‐ヒドロキシエチル)アミノ〕‐2‐プロパノール、1,8‐ビス(2,5‐ジアミノフェノキシ)‐3,6‐ジオキサオクタン、4‐アミノ‐フェノール、4‐アミノ‐3‐メチル‐フェノール、4‐メチルアミノ‐フェノール、4‐アミノ‐2‐(アミノメチル)‐フェノール、4‐アミノ‐2‐〔(2‐ヒドロキシエチル)アミノ〕メチル‐フェノール、4‐アミノ‐2‐(メトキシメチル)‐フェノール、4‐アミノ‐2‐(2‐ヒドロキシエチル)‐フェノール、5‐アミノ‐サリチル酸、2,5‐ジアミノ‐ピリジン、2,4,5,6‐テトラアミノ‐ピリミジン、2,5,6‐トリアミノ‐4‐(1H)‐ピリミドン、4,5‐ジアミノ‐1‐(2‐ヒドロキシエチル)‐1H‐ピラゾール、4,5‐ジアミノ‐1‐(1‐メチルエチル)‐1H‐ピラゾール、4,5‐ジアミノ‐1‐〔(4‐メチル‐フェニル)メチル〕‐1H‐ピラゾール、1‐〔(4‐クロロフェニル)メチル〕‐4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール、4,5‐ジアミノ‐1‐メチル‐1H‐ピラゾール、4,5‐ジアミノ‐3‐メチル‐1‐フェニル‐1H‐ピラゾール、4,5‐ジアミノ‐1‐(2‐ヒドロキシエチル)‐3‐メチル‐1H‐ピラゾール、2‐アミノ‐フェノール、2‐アミノ‐6‐メチル‐フェノール及び2‐アミノ‐5‐メチル‐フェノール又はその塩類。
【0042】
本発明の薬剤においては、上記の公知である顕色物質及びカップラー物質がそれぞれ、総量で約0.01〜20重量%、好ましくは約0.02〜6重量%にて含有される。
【0043】
前記式(I)の化合物はもちろん、一般的なアニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性の直接染料との組み合わせで使用されてもよい。好ましいアニオン性染料としては、例えば以下のものが挙げられる。
6‐ヒドロキシ‐5‐[(4‐スルホニル)アゾ]‐2‐ナフタリンスルホン酸‐ジナトリウム塩(CI15985; Food Yellow No.3; FD&C Yellow No.6)、2,4‐ジニトロ‐1‐ナフトール‐7‐スルホン酸‐ジナトリウム塩(CI10316;Acid Yellow No.1;Food Yellow No.1)、2‐(インダン‐1,3‐ジオン‐2‐イル)キノリン‐x,x‐スルホン酸(モノスルホン酸とジスルホン酸の混合物)(CI47005;D&C Yellow No.10;Food Yellow No.13,Acid Yellow No.3)、5‐ヒドロキシ‐1‐(4‐スルホフェニル)‐4‐〔(4‐スルホフォニル)アゾ〕‐ピラゾール‐3‐カルボン酸‐トリナトリウム塩(CI19140;Food Yellow No.4; Acid Yellow No.23)、9‐(2‐カルボキシフェニル)‐6‐ヒドロキシ‐3H‐キサンテン‐3‐オン(CI45350;Acid Yellow No.73;D&C Yellow No.8)、5−[(2,4‐ジニトロ‐フェニル)アミノ〕‐2‐フェニルアミノ‐ベンゾールスルホン酸‐ナトリウム塩(CI10385;Acid Orange No.3)、4‐[(2,4‐ジヒドロキシフェニル)アゾ〕‐ベンゼンスルホン酸‐モノナトリウム塩(CI14270;Acid Orange No.6)、4‐[(2‐ヒドロキシナフト‐1‐イル)アゾ〕‐ベンゼンスルホン酸‐ナトリウム塩(CI15510;Acid Orange No.7)、4−[(2,4‐ジヒドロキシ‐3‐[(2,4‐ジメチルフェニル)アゾ〕フェニル)アゾ〕‐ベンゼンスルホン酸‐ナトリウム塩(CI20170;Acid Orange No.24)、4‐ヒドロキシ‐3‐[(4‐スルホナフト‐1‐イル)アゾ〕‐1‐ナフタリンスルホン酸‐ジナトリウム塩(CI 14720;Acid Red No.14)、6‐ヒドロキシ‐5‐[(4‐スルホナフト‐1‐イル)アゾ〕‐2,4‐ナフタリンジスルホン酸‐トリナトリウム塩(CI16255;Ponceau 4R; Acid Red No.18)、3‐ヒドロキシ‐4‐[(4‐スルホナフト‐1‐イル)アゾ〕‐2,7‐ナフタリン‐ジスルホン酸‐トリナトリウム塩(CI16185;Acid Red No.27)、8‐アミノ‐1‐ヒドロキシ‐2‐(フェニルアゾ)‐3,6‐ナフタリンジスルホン酸‐ジナトリウム塩(CI17200;Acid Red No.33)、5‐(アセチルアミノ)‐4‐ヒドロキシ‐3‐[(2‐メチルフェニル)−アゾ〕‐2,7‐ナフタリンジスルホン酸‐ジナトリウム塩(CI18065;Acid Red No.35)、2‐(3‐ヒドロキシ‐2,4,5,7‐テトラヨード‐ジベンゾピラン‐6‐オン‐9‐イル)‐安息香酸‐ジナトリウム塩(CI45430;Acid Red No.51)、N‐[6‐(ジエチルアミノ)‐9‐(2,4‐ジスルホフェニル)‐3H‐キサンテン‐3‐イリデン]‐N‐エチルエタンアミニウム‐ヒドロキシド,分子内塩,ナトリウム塩(CI45100;Acid Red No.52)、8‐[(4‐(フェニルアゾ)−フェニル)アゾ〕‐7‐ナフトール‐1,3‐ジスルホン酸‐ジナトリウム塩 (CI27290; Acid Red No.73)、2’,4’,5’,7’‐テトラブロム‐3’,6’‐ジヒドロキシスピロ〔イソベンゾフラン‐1(3H),9’‐〔9H〕キサンテン〕‐3‐オン‐ジナトリウム塩(CI45380;Acid Red No.87)、2’,4’,5’,7‐テトラブロム‐4,5,6,7‐テトラクロル‐3’,6’−ジヒドロキシスピロ〔イソベンゾフラン‐1(3H),9’‐〔9H〕キサンテン〕‐3‐オン‐ジナトリウム塩(CI45410;Acid Red No.92)、3’,6’‐ジヒドロキシ‐4’,5’‐ジイオドスピロ‐[イソベンゾフラン‐1(3H),9’‐(9H)キサンテン〕‐3‐オン‐ジナトリウム塩(CI45425;Acid Red No.95)、(2‐スルホフェニル)ジ〔4‐(エチル((4‐スルホフェニル)メチル)アミノ)‐フェニル]‐カルベニウム‐ジナトリウム塩,ベタイン(CI42090;Acid Blue No.9; FD&C Blue No.1)、1,4‐ビス[(2‐スルホ‐4‐メチルフェニル)アミノ)]‐9,10‐アントラキノン‐ジナトリウム塩(CI61570;Acid Green No.25)、ビス〔4‐(ジメチルアミノ)‐フェニル〕‐3,7‐ジスルホ‐2‐ヒドロキシ‐ナフト‐1‐イル)カルベニウム‐分子内塩,モノナトリウム塩(CI44090;Food Green No.4;Acid Green No.50)、ビス〔4‐(ジエチルアミノ)フェニル〕(2,4‐ジスルホフェニル)‐カルベニウム‐分子内塩,ナトリウム塩(2:1)(CI42045; Food Blue No.3; Acid Blue No.1)、ビス〔4‐(ジエチルアミノ)フェニル〕(5‐ヒドロキシ‐2,4‐ジスルホフェニル)‐カルベニウム‐分子内塩,カルシウム塩(2:1)(CI42051;Acid Blue No.3)、1‐アミノ‐4‐(シクロヘキシルアミノ)‐9,10‐アントラキノン‐2‐スルホン酸‐ナトリウム塩(CI62045;Acid Blue No.62)、2‐(1,3‐ジヒドロ‐3‐オクソ‐5‐スルホ‐2H‐インドール‐2‐イリデン)‐2,3‐ジヒドロ‐3‐オクソ‐1H‐インドール‐5‐スルホン酸‐ジナトリウム塩(CI73015;Acid Blue No.74)、9‐(2‐カルボキシフェニル)‐3‐[(2‐メチルフェニル)‐アミノ]‐6‐[( 2‐メチル‐4‐スルホフェニル)アミノ〕キサンチリウム‐分子内塩,モノナトリウム塩(CI45190;Acid Violet No.9)、1‐ヒドロキシ‐4‐[(4‐メチル‐2‐スルホフェニル)アミノ]‐9,10‐アントラキノン‐ナトリウム塩(CI60730;D&C Violett No.2;Acid Violet No.43)、ビス〔3‐ニトロ‐4‐[(4‐フェニルアミノ)‐3‐スルホフェニルアミノ]‐フェニル〕‐スルホン(CI10410;Acid Brown No.13)、5‐アミノ‐4‐ヒドロキシ‐6‐[(4‐ニトロフェニル)アゾ]‐3‐(フェニルアゾ)‐2,7‐ナフタリンジスルホン酸‐ジナトリウム塩(CI20470; Acid Black No.1)、3‐ヒドロキシ‐4‐[(2‐ヒドロキシナフト‐1‐イル)アゾ]‐7‐ニトロ‐1‐ナフタリンスルホン酸‐クロム錯体(3:2)(CI15711 ; Acid Black No.52)、3‐[(2,4‐ジメチル‐5‐スルホフェニル)アゾ]‐4‐ヒドロキシ‐1‐ナフタリン‐スルホン酸‐ジナトリウム塩(CI14700;Food Red No.1;Ponceau SX;FD&C Red No.4)、4‐(アセチルアミノ)‐5‐ヒドロキシ‐6‐[(7‐スルホ‐4‐[(4‐スルホフェニル)アゾ]ナフト‐1‐イル)アゾ]‐1,7‐ナフタリンスルホン酸‐テトラナトリウム塩(CI28440;Food Black No.1)、および3‐ヒドロキシ‐4‐(3‐メチル‐5‐オクソ‐1‐フェニル‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐ピラゾール‐4‐イルアゾ)‐ナフタリン‐1‐スルホン酸ナトリウム塩‐クロム錯体(Acid Red No.195)。
【0044】
好ましいカチオン性染料としては、例えば下記のものが挙げられる。
9‐(ジメチルアミノ)‐ベンゾ〔a〕フェノキサンジン‐7‐イウム‐クロリド(CI51175;Basic Blue No.6)、ジ〔4‐(ジエチルアミノ)フェニル][4‐(エチルアミノ)ナフト]カルベニウム‐クロリド(CI42595;Basic Blue No.7)、3,7‐ジ(ジメチルアミノ)フェノチアジン‐5‐イウム‐クロリド(CI52015;Basic Blue No.9)、ジ[4‐(ジメチルアミノ)フェニル][4‐(フェニルアミノ)ナフチル]カルベニウム‐クロリド(CI44045; Basic Blue No.26)、2‐[(4‐(エチル(2‐ヒドロキシエチル)アミノ)フェニル)アゾ]‐6‐メトキシ‐3‐メチル‐ベンゾチアゾリウム‐メチルスルフェート(CI11154;Basic Blue No.41)、8‐アミノ‐2‐ブロム‐5‐ヒドロキシ‐4‐イミノ‐6‐[(3‐(トリメチルアンモニオ)フェニル)アミノ]‐1(4H)‐ナフタリノン‐クロリド(CI56059;Basic Blue No.99)、ビス[4‐(ジメチルアミノ)‐フェニル][4‐(メチルアミノ)フェニル]カルベニウム‐クロリド(CI42535;Basic Violet No.1)、トリス(4‐アミノ‐3‐メチルフェニル)‐カルベニウム‐クロリド(CI42520;Basic Violet No.2)、トリス[4‐(ジメチルアミノ)フェニル]カルベニウム‐クロリド(CI42555;Basic Violet No.3)、2‐[3,6‐(ジエチルアミノ)ジベンゾピラニウム‐9‐イル]‐安息香酸‐クロリド(CI45170;Basic Violet No.10)、ジ(4‐アミノフェニル)(4‐アミノ‐3‐メチルフェニル)カルベニウム‐クロリド(CI42510;Basic Violet No.14)、1,3‐ビス[(2,4‐ジアミノ‐5‐メチルフェニル)アゾ]‐3‐メチルベンゾール(CI21010;Basic Brown No.4)、1‐[(4‐アミノフェニル)アゾ]‐7‐(トリメチルアンモニオ)‐2‐ナフトール‐クロリド(CI12250;Basic Brown No.16)、1‐[(4‐アミノ‐2‐ニトロフェニル)アゾ]‐7‐(トリメチルアンモニオ)‐2‐ナフトール‐クロリド(CI12251;Basic Brown No.17)、1‐[(4‐アミノ‐3‐ニトロフェニル)アゾ]‐7‐(トリメチルアンモニオ)‐2‐ナフトール‐クロリド(CI12251;Basic Brown No.17)、3,7‐ジアミノ‐2,8‐ジメチル‐5‐フェニル‐フェナジニウム‐クロリド(CI50240;Basic Red No.2)、1,4‐ジメチル‐5‐[(4‐(ジメチルアミノ)フェニル)アゾ]‐1,2,4‐トリアゾリウム‐クロリド(CI11055;Basic Red No.22)、2‐ヒドロキシ‐1‐[(2‐メトシキ‐フェニル)アゾ]‐7‐(トリメチルアンモニオ)‐ナフタリン‐クロリド(CI12245;Basic Red No.76)、2‐[2‐((2,4‐ジメトキシ‐フェニル)アミノ)エテニル]‐1,3,3‐トリメチル‐3H‐インドール‐1‐イウム‐クロリド(CI48055;Basic Yellow No.11)、3‐メチル‐1‐フェニル‐4−[( 3‐(トリメチルアンモニオ)フェニル)‐アゾ]‐ピラゾール‐5‐オン‐クロリド(CI12719;Basic Yellow No.57)、およびビス[4‐(ジエチル‐アミノ)フェニル]フェニルカルベニウム‐ヒドロゲンスルフェート(1:1)(CI42040;Basic Green No.1)。
【0045】
(特に良好な染色調整および特殊な色ニュアンスの発生のために)適した非イオン性染料としては、例えば下記のものが挙げられる。
1‐アミノ‐2‐[(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]‐5‐ニトロベンゼン(HC Yellow No.5)、1‐(2‐ヒドロキシエトキシ)‐2‐[(2‐ヒドロキシエチル)‐アミノ]‐5‐ニトロベンゼン(HC Yellow No.4)、1‐[(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]‐2‐ニトロベンゼン(HC Yellow No.2)、2‐[(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]‐1‐メトキシ‐5‐ニトロベンゼン、2‐アミノ‐3‐ニトロ‐フェノール、1‐(2‐ヒドロキシエトキシ)‐3‐メチルアミノ‐4‐ニトロベンゼン、2,3‐(ジヒドロキシ‐プロポキシ)‐3‐メチルアミノ‐4‐ニトロベンゼン、2‐[(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]‐5‐ニトロフェノール(HC Yellow No.11)、3‐[(2‐アミノ‐エチル)アミノ]‐1‐メトキシ‐4‐ニトロベンゼン‐ヒドロクロリド(HC Yellow No.9)、1‐[(2‐ウレイドエチル)アミノ]‐4‐ニトロベンゼン、4‐[(2,3‐ジヒドロキシプロピル)アミノ]‐3−ニトロ‐1‐トリフルオルメチル‐ベンゼン(HC Yellow No.6)、1‐クロル‐2,4‐ビス‐[(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]−5−ニトロベンゼン(HC Yellow No.10)、4−[(2‐ヒドロキシエチル)‐3‐ニトロ‐1‐メチルベンゼン、1−クロル‐4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]‐3‐ニトロベンゼン(HC Yellow No.12)、4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]‐3‐ニトロ‐1‐トリフルオルメチルベンゼン(HC Yellow No.13)、4‐[(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]−3−ニトロ‐ベンゾニトリル(HC Yellow No.14)、4‐[(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]‐3‐ニトロ‐ベンズアミド(HC Yellow No.15)、1‐アミノ‐4‐[(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン(HC Red No.7)、2‐アミノ‐4,6‐ジニトロフェノール、2−エチルアミノ‐4,6−ジニトロフェノール、4−アミノ‐2‐ニトロ‐ジフェニルアミン(HC Red No.1)、1−アミノ−4−[ジ(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン‐ヒドロクロリド(HC Red No.13)、1− アミノ‐5‐クロル‐4‐[(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]‐2‐ニトロベンゼン、4−アミノ‐1‐[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]‐2‐ニトロベンゼン(HC Red No.3)、4‐アミノ‐3‐ニトロフェノール、4‐[(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]‐3‐ニトロフェノール、1‐[(2‐アミノエチル)アミノ]‐4‐(2‐ヒドロキシエトキシ)−2−ニトロベンゼン(HC Orange No.2)、4‐(2,3‐ジヒドロキシプロピル)‐1‐[(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]‐2‐ニトロベンゼン(HC Orange No.3)、1−アミノ‐5‐クロル‐4−[(2,3‐ジヒドロキシプロピル)アミノ]‐2‐ニトロベンゼン(HC Red No.10)、5‐クロル‐1,4‐[ジ( 2,3−ジヒドロキシプロピル)アミノ]−2−ニトロベンゼン(HC Red No.11)、2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]‐4,6‐ジニトロフェノール、4‐エチルアミノ‐3‐ニトロ安息香酸、2‐[(4‐アミノ‐2‐ニトロフェニル)アミノ]‐安息香酸、2‐クロル‐6‐メチルアミノ‐4‐ニトロフェノール、2−クロル‐6‐[(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]−4−ニトロフェノール、2−クロル‐6‐エチルアミノ‐4‐ニトロフェノール、2−アミノ−6‐クロル−4‐ニトロフェノール、4−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]−3−ニトロフェノール、2,5‐ジアミノ‐6‐ニトロピリジン、1,2,3,4−テトラヒドロ‐6‐ニトロキノキサリン、7‐アミノ‐3,4‐ジヒドロ‐6‐ニトロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン(HC Red No.14)、1,4−ビス[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]‐2‐ニトロベンゼン、1‐(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロ‐4‐[ジ(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]‐ベンゼン(HC Blue No.2)、1‐アミノ‐3‐メチル‐4‐[(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]‐6‐ニトロベンゼン(HC Violet No.1)、4‐[エチル‐(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]‐1‐[(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン−ヒドロキシクロリド(HC Blue No.12)、4‐[ジ(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]−1‐[(2‐メトキシエチル)アミノ]‐2‐ニトロベンゼン(HC Blue No.11)、1‐[(2,3−ジヒドロキシ‐プロピル)アミノ]‐4‐[メチル‐(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]‐2‐ニトロベンゼン(HC Blue No.10)、1‐[(2,3‐ジヒドロキシプロピル)アミノ]‐4‐[エチル‐(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]‐2‐ニトロベンゼン‐ヒドロクロリド(HC Blue No.9)、1‐(3‐ヒドロキシプロピルアミノ)‐4‐[ジ(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]‐2‐ニトロベンゼン(HC Violet No.2)、1‐メチルアミノ‐4‐[メチル‐(2,3‐ジヒドロキシプロピル)アミノ]‐2‐ニトロベンゼン(HC Blue No.6)、2‐((4‐アミノ‐2‐ニトロフェニル)アミノ)‐5‐ジメチル‐アミノ‐安息香酸(HC Blue No.13)、1,4‐ジ[(2,3‐ジヒドロキシプロピル)アミノ]‐9,10‐アントラキノン、1‐[(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]‐4‐メチルアミノ‐9,10‐アントラキノン(CI61505,Disperse Blue No.3)、2‐[(2‐アミノエチル)アミノ]‐9,10‐アントラキノン(HC Orange No.5)、1‐ヒドロキシ‐4‐[( 4‐メチル‐2‐スルホフェニル)アミノ]‐9,10‐アントラキノン、1‐[(3‐アミノプロピル)アミノ]‐4‐メチル−アミノ‐9,10‐アントラキノン(HC Blue No.8)、1‐[(3‐アミノプロピル)アミノ]‐9,10‐アントラキノン(HC Red No.8)、1,4‐ジアミノ‐2‐メトキシ‐9,10‐アントラキノン(CI62015,Disperse Red No.11,Solvent Violet No.26)、1,4‐ジヒドロキシ‐5,8‐ビス[(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]‐9,10‐アントラキノン(CI62500,Disperse Blue No.7, Solvent Blue No.69)、1‐[ジ(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]‐3−メチル‐4‐[(4‐ニトロフェニル)アゾ]‐ベンゼン(CI11210,Disperse Red No.17)、4‐[(4‐アミノ‐フェニル)アゾ]‐1‐[ジ(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]‐3‐メチルベンゼン(HC Yellow No.7)、2,6‐ジアミノ‐3‐[(ピリジン‐3‐イル)アゾ]‐ピリジン、2‐((4‐(アセチルアミノ)フェニル)アゾ)‐4‐メチルフェノール(CI11855;Disperse Yellow No.3)。
【0046】
上記の直接染料のグループから特に選ばれるものは、2‐アミノ‐4,6‐ジニトロフェノール、2‐エチルアミノ‐4,6‐ジニトロフェノール、2‐[(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]‐4,6‐ジニトロフェノール並びに、下記の一般式(IX)の染料:
【0047】
【化13】

【0048】
式(IX)
上式にて、Rは、水素、メチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基である。
【0049】
直接染料の総濃度は、本発明の薬剤中に約0.1〜10重量%、好ましくは約0.1〜5重量%である。
【0050】
もちろん、上記の染料は、それが塩基である場合には、有機酸又は無機酸(例えば塩酸又は硫酸)との生理学的に温和な塩の形態で添加することもでき、或いは、それが芳香族性のOH‐基を有する場合には、例えばアルカリフェノレートのような塩基との塩の形態でも添加することもできる。
【0051】
前記式(I)で表される前述の本発明の化合物は、染色の際に、必要に応じて酸化毛髪染料前駆体及び/又は直接染料と組み合わせて適当な染色キャリア物質中に適用される。
【0052】
更に、この染色剤中には、更にこの他の一般的な添加剤、例えばアスコルビン酸、チオグリコール酸又は亜硫酸ナトリウムなどの酸化防止剤、並びに香料油、浸透剤、バッファー系、錯体成分、保存剤、湿潤剤、乳化剤、粘稠剤および整髪物質を含有してもよい。
【0053】
本発明の染色剤の調合形態は、例えば溶液、特に水性又は水‐アルコール性溶液でもよい。しかし、特に好ましい調合形態は、クリーム、ジェル又はエマルジョンである。これらの調合物は、前記の染料成分と、このような調合において一般的な添加物との混合により調製される。
【0054】
溶液、クリーム、エマルジョン又はジェルにおける一般的な添加物には、例えば、水、低級脂肪族アルコール(例えばエタノール、プロパノール又はイソプロパノール)、グリセリン又はグリコール(例えば1,2‐プロピレングリコール)等の溶剤、更には、例えば脂肪族アルコールサルフェート、オキシエチル化脂肪族アルコールサルフェート、アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルベタイン、オキシエチル化脂肪族アルコール、オキシエチル化ノニルフェノール、脂肪酸アルカノールアミド及びオキシエチル化脂肪酸エステルのような、アニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性の界面活性物質の属から選ばれた湿潤剤あるいは乳化剤、更に、高級脂肪族アルコール、澱粉、セルロース誘導体、ペトロラタム、パラフィン油及び脂肪酸のような粘稠剤、並びに、カチオン性樹脂、ラノリン誘導体、コレステリン、パントテン酸およびベタインのようなこの他の整髪物質が挙げられる。上記の成分は、このような目的において一般的な量で用いられ、例えば前記の湿潤剤および乳化剤は、約0.1〜30重量%の濃度、前記の粘稠剤は、約0.1〜30重量%の量で、そして前記の整髪物質は、約0.1〜5.0重量%の濃度で用いられる。
【0055】
使用の準備のできた本発明の毛髪染色剤は、使用する直前に上記の染色キャリア物質を酸化剤と混合することで調製される。
【0056】
酸化剤としては、主に過酸化水素または、これの、尿素、メラミン、ホウ酸ナトリウム又は炭酸ナトリウムへの付加化合物で、1〜12%、好ましくは3〜6%の水性溶液の形態のものが挙げられる。この場合、毛髪染色剤と酸化剤との重量比は、約5:1〜1:3、特に1:1〜1:2が好ましい。特に、毛髪染色剤中の染料濃度が高い場合や、同時に毛髪の強い漂白を意図する場合に、多量の酸化剤が用いられる。染料の酸化のために、前述の酸化剤に代わって、空気中の酸素を用いることも原則的に可能である。
【0057】
使用の準備のできた本発明の毛髪染色剤のpH値は、染色キャリア物質(そのpH値は約6〜11.5)と、大抵は酸性に調整された酸化剤(そのpH値は約2〜6.5)を混合することで調整され、これは染色キャリア物質中のアルカリ量と酸化剤中の酸性量と混合比率によって決定される。組成物に応じて、上記の本発明の染色剤は、弱酸性、中性またはアルカリ性で反応することができ、準備のできた状態においてpH値は約3〜11を示し、約5〜10を示すのが好ましい。この塩基性への調整はアンモニアで行われるのが好ましいが、更に、例えば2‐アミノ‐2‐メチル‐1‐プロパノール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノ‐メタン、モノエタノールアミン及びトリエタノールアミンなどの有機アミン、或いはさらに、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのような無機の塩基を用いて行われてもよい。酸性領域へのpHの調整のためには、無機又は有機の酸、例えばリン酸、酢酸、乳酸、アスコルビン酸、クエン酸又は酒石酸などが挙げられる。
【0058】
引き続き、毛髪量に応じて毛髪染色処理を行うための十分量(一般的に約60〜200グラム)の上記混合物を毛髪上に塗布し、混合物を約15〜50℃、好ましくは30〜40℃で、約10〜45分間、好ましくは30分間、毛髪上で作用させて、次いで毛髪を水で濯ぎ、乾燥させる。場合によっては、上記の濯ぎに続いてシャンプーで洗髪し、最終的に弱酸性の有機酸(例えばクエン酸または酒石酸)で後すすぎを行う。引き続いて毛髪を乾燥させる。
【0059】
前記式(I)のカチオン性4,5‐ジアミノピラゾール類を含有する本発明の染色剤は、良好な色安定性、特に光堅牢性、洗濯堅牢性及び摩擦堅牢性に関しての優れた染色堅牢性を有する毛髪染色を可能とする。この染色特性に関して、本発明の毛髪染色剤は、染色成分の性質および調合に応じて、様々な濃淡の幅広い色彩、特にモダンな赤色色調の範囲をもたらす。この場合において、この染色色調は、その高い染色濃度と明るさの点で優れている。更に、本願明細書に記載の毛髪染色剤の非常に良好な染色特性は、この薬剤が、異なった予め激しく損傷を受けた毛髪をも均一で、耐久性の良い染色を達成することを示している。
【0060】
前記式(I)の化合物は、以下の方法によって製造される。
まず最初に、後で使用されるアルキル化剤に対する保護基を導入することによって4,5‐ジアミノピラゾール誘導体を保護する。このために、上記ピラゾール類は、4位にあるアミノ基の位置が、後の時点で容易に脱離可能な保護基、特にt‐ブトキシカルボニル基によって置換されることが好ましい。緩衝性の水性‐有機性系、例えば水/テトラヒドロフラン/炭酸水素ナトリウム中で中性領域にて、ジ‐tert‐ブチル‐ジカーボネート(BOC‐無水物)を用いてピラゾール類を置換することは調合の利点である。一定の場合には、例えば有機性で、水と混合不可能であるか、あるいはわずかの部分しか混合できない相が積層されている緩衝性の水溶液中で、2つの相を作用させることが望ましい。保護基を導入した後、保護されたピラゾール誘導体を、水に混合可能でない溶剤を用いて均一な混合物から抽出するか、あるいは、二つの相の反応操作の場合には、有機相を分離し、当該有機相を一つにする。
【0061】
引き続いて適当な溶剤中で、側鎖にある第四級化可能な窒素のアルキル化を行う。アルキル化剤としては、特にジアルキルスルフェート、アリールスルホネート、アルキルハロゲン化物、メーヤワイン塩(Meerweinsalze)を使用することができ、ジメチルスルフェート、ジメチルオキソニウムテトラフルオロボレート及びジエチルオキソニウムテトラフルオロボレートが特に好適である。この際、反応温度は、使用するアルキル化剤の反応性に応じて調整され、0と160℃の間、好ましくは20と60℃の間である。特に好ましいのは、室温(20〜30℃)でジメチルスルフェートを用いたアルキル化である。上記のアルキル化を実施するのに適した溶剤は、特に酢酸エステル、ジオキサン、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ブチロニトリル又は3‐メトキシプロピオニトリル並びにこれら溶剤の混合物である。上記のアルキル化に続いて、このようにして得られた第四級アンモニウム塩を分離する。この場合において、上記のアンモニウム塩は、一般的には既に中間生成物として非常に純粋な形態で生成する。
【0062】
更なる乾燥を行わなくても、上記のBOC‐保護基は、引き続いて酸性媒体中で非常に容易に除去することができる。
上記保護基を脱離するために使用される酸、例えば塩酸、硫酸、リン酸、クエン酸又は酒石酸は、すぐに生成した前記式(I)のカチオン性4,5‐ジアミノピラゾール類を同時に安定化させる。この場合において、特に適したものとしては、塩酸とジオキサンとから成る混合物が示される。
【0063】
具体例(R1=R2=H,L=CH2,Q=N‐メチル‐ピリジニウム,X=メチルスルフェートである前記式(I)の化合物;式(Ia)に相当するもの)に基づいて、上記の方法手順を以下の図式1にてわかりやすく説明する。
【0064】
【化14】

【0065】
以下の実施例は、本発明の対象をさらに詳細に説明するためのものであって、これに制限されるものではない。
【実施例】
【0066】
実施例1:3‐〔(4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)メチル〕‐1‐メチルピリジニウム‐メチルスルフェート‐二塩酸塩の製造
工程1.1: 2‐ピリジン‐3‐イルメチル‐2H‐ピラゾール‐3‐イルアミン
ピリジン‐4‐カルバルデヒドの代わりにピリジン‐3‐カルバルデヒドを使用して、FR‐A983037もしくはH.Hoehn,Z.Chem.,10.Jg.(1970年)、第10号からの指示に従って、87%の収率にて上記の物質を製造する。
融点:111−112℃
H‐NMR(DMSO‐d):δ=8.46ppm(dd,1H);8.40ppm(d,1H);7.50ppm(m,1H);7.35ppm(dd,1H);7.11ppm(d,1H);5.34ppm(s,1H);5.31ppm(d,2H);5.17ppm(s,2H)
元素分析:
[C10;M=174.21] %C %H %N
計算値: 62.05 5.79 32.16
実測値: 62.01 5.88 32.46
【0067】
工程1.2: 4‐ニトロソ‐2‐ピリジン‐3‐イルメチル‐2H‐ピラゾール‐3‐イルアミン
前記工程1.1の化合物39.2g(225ミリモル)を、400mlのエタノール及び40.5gの32%塩酸中に溶解させ、0〜5℃にて20分間以内に29g(248ミリモル)の亜硝酸イソペンチルを混合する。氷浴中にて3時間撹拌を行った後には、黄色の懸濁液が得られる。吸引を行い、少量のエタノールを用いて後洗浄し、真空下で乾燥を行う。オレンジ色の中間生成物42gが得られ、この生成物は更に精製を行うことなく、後工程で使用できる。
【0068】
工程1.3: 2‐ピリジン‐3‐イルメチル‐2H‐ピラゾリル‐3,4‐ジアミン‐三塩酸塩
前記工程1.2の中間化合物8gを、120mlのエタノール中で0.8gのPd/C(10%品)の存在下で9バールの水素圧にて水素添加を行う。4時間後、上記の触媒を濾別し、濾液を20mlの32%塩酸と混合し、得られた溶液を減圧下にて濃縮すると、上記生成物が析出する。吸引を行い、30mlのエタノールから再結晶を行う。真空下で乾燥を行うと、無色の生成物8gが得られる。
H‐NMR(DMSO‐d):δ=10.1(幅広いs,6H+水);8.91ppm(d,1H);8.80ppm(s,1H);8.35ppm(m,1H);8.10ppm(m,1H);7.38ppm(s,2H);5.49ppm(s,2H)
元素分析:
[C11・3HCl;M=298.6]
%C %H %N %Cl
計算値: 36.20 4.73 23.45 35.62
実測値: 36.30 4.70 23.40 35.40
【0069】
工程1.4: tert‐ブチル‐5‐アミノ‐1‐(3‐ピリジニルメチル)‐1H‐ピラゾール‐4‐イルカルバメート
前記工程1.3の化合物4.51g(15ミリモル)を、50mlのテトラヒドロフランと25mlの飽和炭酸水素ナトリウム溶液とから成る混合物中で4g(18ミリモル)のジ‐tert‐ブチル‐ジカーボネートと混合し、室温で1時間撹拌し、この際、反応が終了するまで均一なガス発生が観察される。その後、この反応混合物を200mlの水に注ぎ入れ、それぞれ350mlの酢酸エステルを用いて3回抽出を行う。一つにまとめた有機相を硫酸マグネシウムと接触させて乾燥させた後、得られた溶液を約30mlになるまで濃縮すると、沈殿物が得られる。この沈殿物を吸引し、少量のエーテルを用いて後洗浄し、真空中で乾燥させる。これにより、無色の固体2.8g(理論値の69%)が得られる。
H‐NMR(DMSO‐d):δ=8.46ppm(d,1H);8.39ppm(s,1H);8.18ppm(s,1H);7.51ppm(d,1H);7.34ppm(m,1H);7.20ppm(s,1H);5.14ppm(s,2H);5.00ppm(s,2H);1.43ppm(s,9H)
Oを用いて測定試料を置換した場合には、8.18と5.00ppmのシグナルは消失する。
【0070】
工程1.5: tert‐ブチル‐5‐アミノ‐1‐〔(1‐メチル‐3‐ピリジニウミル)メチル〕‐1H‐ピラゾール‐4‐イルカルバメート‐メチルスルフェート
前記工程1.4の化合物1.45g(5ミリモル)を、酢酸エステルとアセトニトリルとの1:1‐混合物15ml中で0.63g(5ミリモル)のジメチルスルフェートと室温にて混合する。一晩中撹拌を行い、沈殿物を濾別し、少量のエーテルを用いて後洗浄する。141〜142℃の融点を有した淡い黄色の塩1.8g(理論値の87%)が得られる。
H‐NMR(DMSO‐d):δ=8.91ppm(d,1H);8.87ppm(s,1H);8.27ppm(s,1H);8.19ppm(d,1H);8.10ppm(t,1H);7.31ppm(s,1H);5.32ppm(s,2H);5.08ppm(幅広いs,2H);5.35ppm(s,3H);3.37ppm(s,3H);1.43ppm(s,9H)
【0071】
工程1.6: 3‐〔(4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)メチル〕‐1‐メチルピリジニウム‐メチルスルフェート‐二塩酸塩
前記工程1.5の化合物0.5g(1.2ミリモル)を、室温にてジオキサン中塩酸の4モル溶液10ml中に加え、15分間撹拌する。無色の懸濁液が得られる。沈殿物の吸引を行った後、少量のジオキサンを用いて後洗浄し、真空下で乾燥を行い、無色の生成物1.8g(理論値の93%)を単離する。この生成物は、空気にて非常に速く赤色に変色する。
H‐NMR(DMSO‐d):δ=10.02ppm(幅広いs,2H);8.99ppm(s,1H);8.96ppm(d,1H);8.27ppm(d,1H);8.13ppm(dd,1H);7.34ppm(s,1H);5.42ppm(s,2H);4.80ppm(幅広いs,2H);4.36ppm(s,3H);3.57ppm(s,9H)
【0072】
実施例2:4‐〔(4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)メチル〕‐1‐メチルピリジニウム‐メチルスルフェート‐二塩酸塩の製造
工程2.1: 2‐ピリジン‐4‐イルメチル‐2H‐ピラゾール‐3‐イルアミン
FR‐A983037もしくはH.Hoehn,Z.Chem.,10.Jg.(1970年)、第10号からの指示に従って、上記の物質を製造する。
H‐NMR(DMSO‐d):δ=8.49ppm(m,2H);7.14ppm(d,1H);7.02ppm(d,1H);5.34ppm(m,3H);5.18ppm(s,2H)
【0073】
工程2.2: 4‐ニトロソ‐2‐ピリジン‐4‐イルメチル‐2H‐ピラゾール‐3‐イルアミン‐塩酸塩
前記工程2.1の化合物30g(172ミリモル)を、300mlのエタノール及び1gの32%塩酸中に懸濁させ、22.1g(189ミリモル)の亜硝酸イソペンチルを氷浴中にて10分間以内に滴下して混合する。氷浴中にて更に3時間撹拌を行うと、茶色の懸濁液が得られる。引き続いて、濾過を行い、少量の冷エタノールを用いて後洗浄し、乾燥を行う。オレンジ色の固体38.1g(理論値の92%)が得られ、この固体は更に精製を行うことなく、後工程で使用できる。
【0074】
工程2.3: 2‐ピリジン‐4‐イルメチル‐2H‐ピラゾール‐3,4‐ジアミン‐三塩酸塩
オートクレーブ中にて、前記工程2.2の中間化合物38.1g(158ミリモル)を、800mlのエタノール中に懸濁させ、3.8gのPd/C(10%品)の存在下で9バールの水素圧にて2時間水素添加を行う。その後、上記の触媒を珪藻土上で濾別し、濾液を200mlの3Mエタノール性塩酸と混合し、この溶液を、結晶が生成するまで、ロータリーエバポレータを用いて40℃にて濃縮する。この結晶化を完全なものにするために、氷浴中で冷却し、引き続いて吸引を行う。少量の酢酸エステルを用いて後洗浄し、この生成物を真空中で40℃にて乾燥する。わずかにピンク色の粉末19.5g(理論値の41%)が得られる。
H‐NMR(DMSO‐d):δ=10.2ppm(幅広いs,3H);8.92ppm(d,2H);7.66ppm(d,2H);7.41ppm(s,1H);7.20ppm(幅広いs,3H+水);5.62ppm(s,2H)
元素分析:
[C11(2.86HCl)/(0.38HO)]
%C %H %N %Cl
計算値: 35.99 4.91 23.32 33.76
実測値: 35.80 4.80 23.30 33.80
【0075】
工程2.4: tert‐ブチル‐5‐アミノ‐1‐(4‐ピリジニルメチル)‐1H‐ピラゾール‐4‐イルカルバメート
前記工程2.3の化合物1.4g(4.7ミリモル)を、30mlのテトラヒドロフラン中に懸濁させ、その後、12mlの飽和炭酸水素ナトリウム溶液を添加すると、わずかにガスが発生しながら茶色の溶液が得られる。BOC‐無水物2.05g(9.4ミリモル)を添加し、室温で2時間撹拌する。この反応混合物を100mlの水に注ぎ入れ、それぞれ100mlの酢酸エステルを用いて2回抽出を行う。一つにまとめた相を硫酸マグネシウムと接触させて乾燥させた後、得られた溶液を結晶化が始まるまでロータリーエバポレータを用いて濃縮する。氷浴中で撹拌した後、濾過を行い、少量の冷たい酢酸エステルを用いて後洗浄し、この生成物を真空下で40℃にて乾燥させる。ベージュ色の生成物0.8g(理論値の59%)が得られる。
H‐NMR(DMSO‐d):δ=8.49ppm(d,2H);8.21ppm(s,1H);7.24ppm(s,1H);7.02ppm(d,2H);5.15ppm(s,2H);4.98ppm(s,2H);1.44ppm(s,9H)
【0076】
工程2.5: t‐ブチル‐5‐アミノ‐1‐〔(1‐メチル‐4‐ピリジニウミル)メチル〕‐1H‐ピラゾール‐4‐イルカルバメート‐メチルスルフェート
前記工程2.4の生成物0.69g(2.4ミリモル)を、10mlの酢酸エステル中で0.38g(3ミリモル)のジメチルスルフェートと混合し、室温で一晩中撹拌を行う。粘性のある油状物が析出する。このようにして残った溶液をデカンテーションし、上澄みを捨てる。この残渣は更に精製を行うことなく、後工程に使用される。
【0077】
工程2.6: 4‐〔(4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)メチル〕‐1‐メチルピリジニウム‐メチルスルフェート‐二塩酸塩
前記工程2.5の残渣を、ジオキサン中の4M塩酸10mlに加え、室温にて1時間撹拌する。このようにして生成した結晶性の沈殿物を吸引し、少量のジオキサンを用いて後洗浄し、真空下で40℃にて乾燥を行う。わずかにピンク色の生成物100mgが得られ、この生成物は非常に吸湿性である。
H‐NMR(DMSO‐d):δ=10.09ppm(幅広いs,2H);8.94ppm(d,1H);8.88ppm(d,1H);7.68ppm(d,1H);7.61ppm(d,1H);7.38ppm(s,1H);5.55ppm(s,2H);4.31ppm(s,3H);3.57ppm(s,3H)
【0078】
実施例3:酸化毛髪染色剤、塩基性
0.30g アスコルビン酸
0.40g 亜硫酸ナトリウム
2.00g デシルグルコシド
7.85g エタノール
0.97g 実施例1.6に記載される式(I) のピラゾール
Zg 表1に記載されるカップラー
9.10g アンモニア(25パーセント水溶液)
添加して100.00gとなる量の水、脱塩したもの
【0079】
上記の染色キャリヤー物質100gを、使用する直前に6%の過酸化水素水溶液100gと混合し、このようにして得られた調合済みの染色溶液を、白くなった毛髪上に必要量塗布する。40℃にて30分間の作用時間の後、この毛髪をシャンプーで洗浄し、水で濯ぎ落とし、乾燥させる。このようにして得られた色調及び染色濃度が、表1に要約されている。
【0080】
【表1】

【0081】
百分率はいずれも、特に示されていない限り、重量パーセントを意味している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(I)のカチオン性4,5‐ジアミノピラゾール誘導体。
【化1】


〔上式において、
R1は、水素、直鎖又は分枝した(C1‐C6)‐アルキル基、(C1‐C4)‐ヒドロキシアルキル基、(C1‐C4)‐アミノアルキル基、(C1‐C8)‐アルキルアミノ基、ジ(C1‐C8)‐アルキルアミノ基、(C1‐C4)‐アルキルアミノ‐(C1‐C4)‐アルキル基、又はジ(C1‐C4)‐アルキルアミノ‐(C1‐C4)‐アルキル基、ベンジル基、アリール基又はヘテロアリール基を示し、
R2は、水素、C1‐C6‐アルキル基、(C2‐C4)‐ヒドロキシアルキル基、(C3‐C6)‐ポリヒドロキシアルキル基、2〜6個の炭素原子を有するアルコキシアルキル基又はベンジル基を示し、
Lは、ピラゾール環と第四級基との間の架橋基を示し、フェニレン‐ジラジカル又は(C1‐C2)‐アルキレン‐ジラジカルから成り、
は、下記式(II)の飽和カチオン性基又は、下記式(III)〜(V)の不飽和カチオン性基並びに、下記式(VI)〜(VIII)のこれらのベンゾ芳香族性類似体を示し、
【化2】


この際、R3〜R5は、同一であっても異なっても良く、独立して互いに直鎖又は分枝した(C1‐C6)‐アルキル基、(C2‐C4)‐ヒドロキシアルキル基、(C3‐C6)‐ジヒドロキシアルキル基、(C3‐C6)‐ポリヒドロキシアルキル基又は、(C1‐C6)‐アルコキシ‐(C1‐C4)‐アルキル基を示す、もしくは、基R3〜R5のうちの2つが窒素原子と一緒に結合して5員環〜6員環のヘテロ環を形成し、当該環は場合によっては1以上の更に別のヘテロ原子及び更に別の置換基を有していても良く、
R6は、直鎖又は分枝した(C1‐C8)‐アルキル基、アリル基、ビニル基、ヒドロキシエチル基又はベンジル基を示し、
R7は、水素、直鎖又は分枝した(C1‐C9)‐アルキル基、アミノ基、モノ(C1‐C6)‐アルキルアミノ基、ジ‐(C1‐C6)‐アルキルアミノ基又はピロリジノ基を示し、
R8は、直鎖又は分枝した(C1‐C8)‐アルキル基、アリル基、ビニル基、ヒドロキシエチル基、ジヒドロキシプロピル基又はベンジル基を示し、
は、一価又は多価のアニオンを示し、
HYは、無機酸又は有機酸を示し、
mは、0又は1であり、しかも、
nは、0と2の間の数値である〕
【請求項2】
R1が、水素、メチル基又はフェニル基であり、
R2が、水素又はメチル基であり、
R3〜R5が、同一であっても異なっても良く、独立して互いにメチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基を示す、もしくは、前記の基R3〜R5のうちの2つが窒素原子と一緒に結合してピロリジノ基、モルフォリノ基又はN‐メチル‐ピペラジノ基を形成し、
R6が、メチル基又はヒドロキシエチル基であり、
R7が、水素、メチル基、p‐ジメチルアミノ基又はp‐ピロリジノ基であり、
R8が、メチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基であり、
が、クロリド‐、ブロミド‐、メチルスルフェート‐、トルエンスルホネート‐、スルフェート‐、ホスフェート‐、アセテート‐又はタートレート‐アニオンであり、
Lが、(C1‐C2)‐アルキレン‐ジラジカルであり、mが1であり、
HYが、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸又は酒石酸であり、しかも
nが、0と2の間の数値である
ことを特徴とする請求項1に記載のカチオン性4,5‐ジアミノピラゾール誘導体。
【請求項3】
3‐〔(4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)メチル〕‐1‐メチルピリジニウム‐メチルスルフェート‐二塩酸塩、4‐〔(4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)メチル〕‐1‐メチルピリジニウム‐メチルスルフェート‐二塩酸塩、2‐〔(4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)メチル〕‐1‐メチルピリジニウム‐メチルスルフェート‐二塩酸塩、4‐〔(4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)メチル〕‐1‐メチルキノリニウム‐メチルスルフェート‐二塩酸塩、3‐〔(4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)メチル〕‐1‐メチルキノリニウム‐メチルスルフェート‐二塩酸塩、4‐〔2‐(4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)エチル〕‐1‐メチルピリジニウム‐メチルスルフェート‐二塩酸塩、2‐(4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)‐N,N,N‐トリメチルエタンアミニウム‐クロリド‐二塩酸塩、1‐〔2‐(4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)エチル〕‐1‐メチルピロリジニウム‐クロリド‐二塩酸塩、及び4‐〔2‐(4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)エチル〕‐4‐メチルモルフォリン‐4‐イウム‐クロリド‐二塩酸塩、3‐〔2‐(4,5‐ジアミノ‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)エチル〕‐1‐メチル‐1H‐イミダゾール‐3‐イウム‐クロリド‐二塩酸塩から選ばれたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のカチオン性4,5‐ジアミノピラゾール誘導体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のカチオン性4,5‐ジアミノピラゾール誘導体の少なくとも1種を含有することを特徴とする、ケラチン繊維の酸化染色用薬剤。
【請求項5】
前記のカチオン性4,5‐ジアミノピラゾール誘導体を、0.005〜20重量%の量にて含有することを特徴とする請求項4に記載の薬剤。
【請求項6】
前記薬剤がさらに、少なくとも1種の別の顕色物質及び/又はカップラー物質及び/又は少なくとも1種のアニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性の直接染料を含有していることを特徴とする請求項4又は5に記載の薬剤。
【請求項7】
前記薬剤が、3〜11のpH値を有していることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の薬剤。
【請求項8】
前記薬剤が、使用する前に酸化剤と混合されることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の薬剤。
【請求項9】
前記薬剤が毛髪染色剤であることを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載の薬剤。
【請求項10】
請求項1に記載される前記式(I)のカチオン性4,5‐ジアミノピラゾール誘導体を製造するための方法であって、まず最初に、後で使用されるアルキル化剤に対する保護基を導入することによって4,5‐ジアミノピラゾール誘導体を保護し、その後、このようにして保護されたピラゾール誘導体を、水に混合可能でない溶剤を用いて均一な混合物から抽出するか、あるいは、二相の反応操作の場合には、有機相を分離し、当該有機相を一つにし、引き続いて適当な溶剤中にて、側鎖にある第四級化可能な窒素をアルキル化し、このようにして得られた第四級アンモニウム塩を分離し、引き続いて、前記保護基を酸性媒体中で脱離させることを特徴とするカチオン性4,5‐ジアミノピラゾール誘導体の製造方法。
【請求項11】
保護基として、前記ピラゾールとジ‐tert‐ブチル‐ジカーボネートとの置換によって得られたt‐ブトキシカルボニル基を使用することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
アルキル化剤として、ジメチルスルフェート、ジメチルオキソニウムテトラフルオロボレート又はジエチルオキソニウムテトラフルオロボレートを使用することを特徴とする請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記のアルキル化が、20〜60℃の温度にて行われることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記のアルキル化が、酢酸エステル、ジオキサン、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ブチロニトリル、3‐メトキシプロピオニトリル又はこれら溶剤の混合物中で行われることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記保護基の脱離が、塩酸とジオキサンとから成る混合物を用いて行われることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2007−511550(P2007−511550A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540192(P2006−540192)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009795
【国際公開番号】WO2005/051918
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(591011627)ウエラ アクチェンゲゼルシャフト (64)
【氏名又は名称原語表記】WELLA AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】