説明

カップ式自動販売機

【課題】原料シュータ内壁やシャッタ上に粉末原料が固着することを防止し、さらに、速やかに飲料を製造して提供することができるカップ式自動販売機を提供する。
【解決手段】粉末原料を収容した複数の原料キャニスタ25と、これら原料キャニスタ25に接続され、原料キャニスタ25から粉末原料が送り出される筒状の原料シュータ26と、原料シュータ26の下端開口を閉塞し、原料シュータ26に粉末原料を保留するシャッタ装置27と、原料シュータ26下端開口位置にカップ保持装置23に保持されたカップCを搬送するカップ搬送装置22と、カップ式自動販売機1の庫内温度を検知する庫内温度センサ97を備え、制御装置90は、第1粉末原料払出制御と第2粉末原料払出制御を、庫内温度センサ97が検知している庫内温度に基づいて粉末原料毎に設定可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料キャニスタから送り出された粉末原料を原料シュータを介してカップに払い出して製造した飲料を販売するカップ式自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
カップ供給装置、複数の原料キャニスタ(原料搬出装置)、湯タンク、攪拌装置、カップ搬送装置(カップ移送装置)などを備えたカップ式自動販売機が知られている。カップ搬送装置は、カップ供給装置の下方位置に搬送したカップ保持装置に供給されて保持されているカップを、これら複数の原料キャニスタ位置に順次搬送して粉末原料の供給を受けた後、攪拌装置の位置に搬送し、カップに供給されたこれら粉末原料と湯を攪拌羽根で攪拌混合して製造された飲料を販売口まで搬送して利用者に販売する。
【0003】
カップ供給装置は、複数の同一形状のカップを縦方向に積層して収容し、最下部のカップから順次払い出すもので、カップを縦方向に複数積層して収容するカップ収容部と、このカップ収容部の底部に設けられ、飲料販売時にカップを1個ずつ下方に払い出すカップ払い出し部とを備えている。
【0004】
原料キャニスタは、収容している粉末原料を送り出す原料送出口が設けられ、原料送出口の下方には筒状の原料シュータが接続されている。そして、原料シュータの下端開口位置にカップが搬送されると、原料シュータからカップに粉末原料が払い出される。
【0005】
この原料シュータは駆動機構を介して上下動可能に支持され、また筒内部の途中にシャッタが設けられている。筒状の原料シュータは、その上端開口が原料キャニスタの原料送出口に接続され、また原料シュータ内開口がシャッタにより閉塞されている。
【0006】
そして、利用者が飲料選択ボタンを操作して飲料が選択されると、選択された飲料、例えば、ホットコーヒーを製造するための製造信号が出力される。砂糖の粉末が収容されている原料キャニスタの原料送出口からは砂糖の粉末が原料シュータ内に送り出され、シャッタの上に砂糖の粉末が保留される。
【0007】
また、クリームの粉末が収容されている原料キャニスタの原料送出口からはクリームの粉末が原料シュータ内に送り出され、シャッタの上にクリームの粉末が保留される。
そして、砂糖の粉末が保留されている原料シュータの下端開口位置にカップが搬送されて停止すると、原料シュータが駆動機構で駆動されて降下し、シャッタが開放されて原料シュータ内に一時的に保留されている砂糖の粉末がカップに払い出される。
【0008】
この後、カップ保持装置に保持されているカップがクリームの粉末が保留されている原料シュータの下端開口位置に搬送されて停止すると、原料シュータが駆動機構で駆動されて降下し、シャッタが開放されて原料シュータ内に一時的に保留されているクリームの粉末がカップに払い出される。
【0009】
このように、利用者が飲料選択ボタンを操作して飲料が選択されると、選択された飲料を速やかに製造するため、先ず、収容している粉末原料を原料キャニスタの原料送出口から原料シュータ内に送り出してシャッタの上に一時的に保留しておく。
【0010】
そして、カップ保持装置に保持されているカップがカップ搬送装置で搬送されてきて原料シュータ下端開口位置に停止するとシャッタを開放して原料シュータ内のシャッタ上に一時的に保留している粉末原料をカップに払い出す。このようにして、飲料選択ボタンが操作されて飲料が選択され、飲料の製造が開始されてからカップ内に粉末原料が払い出されるまでの時間を短縮し、カップ式自動販売機の利用者に対して速やかに飲料を製造して提供することができるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平6−251236号公報(第1図および第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、カップ式自動販売機の利用者が飲料選択ボタンを操作して飲料が選択されると、選択された飲料の粉末原料を予め原料シュータ内に送り出してシャッタ上に一時的に保留しておき、カップが搬送されてきて停止してからシャッタを開放して粉末原料をカップに払い出すため、粉末原料によっては庫内の温度や湿度(湿気)の影響を受け、原料シュータ内壁やシャッタ上に固着することがあった。
【0013】
特に、カップ式自動販売機の庫内温度が高くなるに伴って庫内湿度が上昇すると、このような粉末原料が原料シュータ内壁やシャッタ上に固着する傾向が強まるという問題があった(例えば、脂肪分が含まれている微細粉末のココアパウダーは、収容されているカップ式自動販売機の庫内温度が高くなり庫内湿度が上昇すると湿気を帯びて原料シュータ内壁やシャッタ上に固着しやすくなる)。
【0014】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、原料シュータ内壁やシャッタ上に粉末原料が固着することを防止し、さらに、速やかに飲料を製造して提供することができるカップ式自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係るカップ式自動販売機は、粉末原料を収容した複数の原料キャニスタと、これら原料キャニスタに接続され、原料キャニスタから粉末原料が送り出される筒状の原料シュータと、原料シュータの下端開口を閉塞し、原料シュータに粉末原料を保留するシャッタ装置と、原料シュータ下端開口位置にカップ保持装置に保持されたカップを搬送するカップ搬送装置と、これらの原料キャニスタ、シャッタ装置、カップ搬送装置を制御する制御装置とを具備して成り、該制御装置は、
下端開口を閉塞された前記原料シュータに前記原料キャニスタから送り出された粉末原料を保留し、前記カップ保持装置が保持しているカップを前記カップ搬送装置が前記原料シュータ下端開口位置に搬送すると前記シャッタ装置が前記下端開口を開放して粉末原料をカップに払い出す第1粉末原料払出制御と、
前記原料シュータ下端開口位置に前記カップ保持装置が保持しているカップを前記カップ搬送装置が搬送すると、前記シャッタ装置が開放している前記原料シュータを介して前記原料キャニスタから粉末原料を送り出してカップに払い出す第2粉末原料払出制御と、
を粉末原料毎に設定可能としたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項2に係るカップ式自動販売機は、上述した請求項1において、前記カップ式自動販売機の庫内温度を検知する庫内温度センサを備え、前記制御装置は、前記第1粉末原料払出制御と前記第2粉末原料払出制御を、前記庫内温度センサが検知している庫内温度に基づいて粉末原料毎に設定可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、粉末原料を収容した複数の原料キャニスタと、これら原料キャニスタに接続され、原料キャニスタから粉末原料が送り出される筒状の原料シュータと、原料シュータの下端開口を閉塞し、原料シュータに粉末原料を保留するシャッタ装置と、原料シュータ下端開口位置にカップ保持装置に保持されたカップを搬送するカップ搬送装置と、これらの原料キャニスタ、シャッタ装置、カップ搬送装置を制御する制御装置とを具備して成り、該制御装置は、下端開口を閉塞された前記原料シュータに前記原料キャニスタから送り出された粉末原料を保留し、前記カップ保持装置が保持しているカップを前記カップ搬送装置が前記原料シュータ下端開口位置に搬送すると前記シャッタ装置が前記下端開口を開放して粉末原料をカップに払い出す第1粉末原料払出制御と、前記原料シュータ下端開口位置に前記カップ保持装置が保持しているカップを前記カップ搬送装置が搬送すると、前記シャッタ装置が開放している前記原料シュータを介して前記原料キャニスタから粉末原料を送り出してカップに払い出す第2粉末原料払出制御と、を粉末原料毎に設定可能としたことにより、固着することが少ない砂糖、クリームなどの粉末を原料として使用する飲料を製造するときは、第1粉末原料払出制御を制御装置に設定し、飲料の製造を制御することにより、粉末原料をカップに払い出すためのカップ搬送停止時間を短くして速やかに飲料を製造して提供することができるカップ式自動販売機を提供することが可能となる。
【0018】
また、脂肪分が含まれている微細粉末のため、原料シュータ内壁やシャッタ上に固着しやすいココアパウダーなどの粉末を原料として使用する飲料を製造するときは、第2粉末原料払出制御を制御装置に設定し、飲料の製造を制御することにより、ココアパウダーなどの固着しやすい粉末原料がシャッタ上に保留されることがなくなるので、保留されているココアパウダーなどの粉末原料が湿気を帯びて原料シュータ内壁やシャッタ上に固着することを防止することができるカップ式自動販売機を提供することが可能となる。
【0019】
また、請求項2の発明によれば、前記カップ式自動販売機の庫内温度を検知する庫内温度センサを備え、前記制御装置は、前記第1粉末原料払出制御と前記第2粉末原料払出制御を、前記庫内温度センサが検知している庫内温度に基づいて粉末原料毎に設定可能としたことにより、原料シュータ内壁やシャッタ上に粉末原料が固着することを防止し、さらに、速やかに飲料を製造して提供することができるカップ式自動販売機を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係るカップ式自動販売機の正面概要図
【図2】図1に示したカップ式自動販売機の前扉を開いた正面概要図
【図3】図2に示した原料キャニスタおよび原料シュータを示す斜視図
【図4】図2に示した原料シュータに粉末原料を保留するシャッタ装置を示す側面図で、(a)はシャッタの閉塞状態を示す側面図、(b)はシャッタの開放状態を示す側面図
【図5】図1に示したカップ式自動販売機の制御ブロック図
【図6】図1に示したカップ式自動販売機のタイミングチャート図で、(a)は原料シュータ下端開口を閉塞したシャッタ上に粉末原料を保留するタイミングチャート図、(b)はシャッタを開いて原料シュータ下端開口を開放して粉末原料を送り出すタイミングチャート図
【図7】図1に示したカップ式自動販売機の制御を示すフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るカップ式自動販売機の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の実施の形態に係るカップ式自動販売機の正面概要図、図2は図1に示したカップ式自動販売機の前扉を開いた正面概要図である。
【0022】
カップ式自動販売機1は、利用者が飲料選択ボタンを操作して選択した飲料を製造してカップで販売に供する装置である。機器筐体2(図2参照)に開閉可能に取り付けられた前扉3の外表面上部には、複数の飲料見本表示部4、飲料見本表示部4毎に設けられたホット飲料選択ボタン5、アイス飲料選択ボタン6、ポスターパネル7が配設されている。また、前扉3の外表面中央部には、砂糖やクリーム、コーヒー原料の増減ボタン8、硬貨投入口9、硬貨返却レバー10、紙幣挿入口11、入金額、湯温度、冷却水温度などを表示する表示部12、扉ロック13、扉板15で開閉される販売口14、その右下に釣銭返却口16が配設されている。
【0023】
機器筐体2の内部には、複数の同一形状のカップCを縦方向に積層して収容し、最下部のカップCから順次払い出して供給するカップ供給装置21(図5参照)、カップ供給装置21から供給されたカップCを保持するカップ保持装置23、カップCを保持したカップ保持装置23を搬送するカップ搬送装置22、アイス飲料を販売するときに使用するチップ氷を製造して貯蔵しているオーガ式製氷機24、砂糖、クリーム、ココアパウダーなどの粉末原料を収容している原料キャニスタ25、原料キャニスタ25に接続され、原料キャニスタ25から粉末原料が送り出される筒状の原料シュータ26、飲料の製造に使用する湯を貯留している湯タンク28、焙煎されたコーヒー豆を収容している豆キャニスタ29、豆キャニスタ29から供給されるコーヒー豆をミル31に導く豆シュータ30、豆シュータ30を介して豆キャニスタ29から供給されるコーヒー豆を粉砕刃で所定の粒度の挽き豆に粉砕するミル31、ミル31で粉砕された挽き豆に湯タンク28から供給された湯でレギュラーコーヒー飲料を抽出するコーヒーブリュア32、カップCに供給された飲料原料である砂糖、クリームとレギュラーコーヒー飲料、またはココアパウダーと湯などに攪拌羽根を挿入させて攪拌、混合して飲料を製造する飲料攪拌装置33、カップ式自動販売機1の庫内温度を検知する庫内温度センサ97などが備えられている。
【0024】
図3は、複数の原料キャニスタ25および原料シュータ26を示す斜視図である。原料キャニスタ25は、砂糖、クリーム、ココアパウダーなどの粉末原料を原料毎に収容し、必要に応じて送り出すもので、図2に示すように、機器筐体2の上方中央に取り付けてあり、上面が前下がりとなるように傾斜した原料投入口(図示せず)が形成され、常時は開閉可能な蓋25aによって閉塞してある。
【0025】
また、原料キャニスタ25の底部には、螺旋状に形成された螺旋刃(図示せず)が回転可能に設けられ、原料モータ(図示せず)を運転すると、螺旋刃が回転し、原料キャニスタ25の底部前面に形成された原料送出口25bから原料シュータ26に粉末原料が送り出されるようになっている。
【0026】
原料シュータ26の上端開口は、これら原料キャニスタ25の原料送出口25bに接続され、原料送出口25bから送り出された粉末原料を受け取り、一時的に保留するもので、上下方向に延びる筒状に形成されている。この筒状に延びる原料シュータ26の下端開口には、原料シュータ26の下端開口を閉塞し、原料送出口25bから送り出された粉末原料を一時的に保留するシャッタ装置27が備えられている。
【0027】
シャッタ装置27は、図4に示しているように、一対となるシャッタ27a、27bがそれぞれシャッタ軸27c、27dによって原料シュータ26の下端開口に支承されている。シャッタ軸27c、27dの一端には、扇形に形成されたセクター歯車27e、27fがそれぞれ取り付けてあり、前側(図中、左側)のシャッタ27aのシャッタ軸27cに取り付けたセクター歯車27eと、後側(図中、右側)のシャッタ27bのシャッタ軸27dに取り付けたセクター歯車27fとは、相互に噛み合っている。
【0028】
そして、シャッタ軸27dに取り付けられたアーム27gを図4において反時計方向に回転させることで、後側(図中、右側)のセクター歯車27fが反時計方向に回転して後側のシャッタ27bを開放させると、相互に噛み合っている前側(図中、左側)のセクター歯車27eは時計方向に回転して前側のシャッタ27aを開放することになる(図4(b)参照)。
【0029】
また、原料シュータ26の側面とセクター歯車27fとの間には、引っ張りコイルバネ27h(図4(a)参照)が張架してあり、引っ張りコイルバネ27hの弾性復元力によって、後側のセクター歯車27fは時計方向に付勢され、前側のセクター歯車27eは反時計方向に付勢される。この結果、前側のシャッタ27aが反時計方向に回転し、後側のシャッタ27bが時計方向に回転することにより、原料シュータ26の下端開口がシャッタ27a、27bで閉塞される(図4(a)参照)。
【0030】
図5は、カップ式自動販売機1の制御ブロック図を示し、カップ式自動販売機1での飲料の製造などを制御する制御装置90は、中央処理装置としてのCPU91、CPU91の制御プログラムを格納するROM(リード・オンリー・メモリ)92、CPU91の制御に必要な各種のプログラムやデータを随時記憶するRAM(ランダム・アクセス・メモリ)93、基準クロック発生部(図示せず)で発生するクロックをカウントして各種時刻(例えば、カップ搬送装置22を停止させてからシャッタ装置27でシャッタ27a、27bを開放するまでのカップ搬送停止確認待機時間)を計時するタイマー94、カップ式自動販売機1に備えられている各機器に通電する電力回路を有する通電部95から構成されている。
【0031】
また、制御装置90には、カップ式自動販売機1の各種設定データを入力するキーボード96、カップ式自動販売機1の庫内温度を検知する庫内温度センサ97、砂糖、クリーム、ココアパウダーなどの粉末原料を収容している複数の原料キャニスタ25、シャッタ27a、27bを時計方向、反時計方向に回転させることで原料シュータ26の下端開口を閉塞、開放し、原料送出口25bから送り出された粉末原料を一時的に保留して払い出すシャッタ装置27、カップCを保持したカップ保持装置23を搬送するカップ搬送装置22、複数の同一形状のカップCを縦方向に積層して収容し、最下部のカップCから順次払い出して供給するカップ供給装置21などが接続されている。
【0032】
係る構成で、制御装置90によるカップ式自動販売機1の飲料製造に関する制御を図6のタイミングチャート図を用いて説明する。先ず、カップ式自動販売機1の利用者により硬貨投入口9に硬貨が投入され、投入された硬貨で購入可能なホット飲料選択ボタン5またはアイス飲料選択ボタン6が操作されると、制御装置90が飲料製造指示を出力し、通電部95がカップ供給装置21にカップ供給を行わせる通電をする。カップ供給装置21は積層して収容している最下部のカップCを払い出す。カップ供給装置21から払い出されたカップCはカップ供給位置直下に待機しているカップ保持装置23に保持され、カップ搬送装置22で飲料製造に必要とする粉末原料を収容している原料キャニスタ25に接続されている原料シュータ26の下端開口位置まで搬送されて停止する。
【0033】
カップ式自動販売機1の利用者が砂糖、クリーム入りホットレギュラーコーヒーを選択するホット飲料選択ボタン5を操作した場合、制御装置90は予めキーボード96で設定されている制御内容(この場合、砂糖、クリームの粉末原料は固着することが少ないことから、図6(a)に示す第1粉末原料払出制御)に基づいて各機器を制御する。
【0034】
制御装置90が出力した第1粉末原料払出制御の飲料製造指示に基づき、通電部95は砂糖粉末が収容されている原料キャニスタ25に通電して原料モータを運転してシャッタ装置27で下端開口が閉塞されている原料シュータ26に砂糖を送り出し、シャッタ27a、27b上に一時的に保留する。同時にカップ搬送装置22に通電して搬送モータを運転してカップ供給装置21から供給されたカップCを保持しているカップ保持装置23を搬送し、砂糖粉末が一時的に保留されている原料シュータ26の下端開口位置までカップCを搬送して停止させる。
【0035】
カップCが、砂糖粉末が一時的に保留されている原料シュータ26の下端開口位置まで搬送されて停止後、T1(カップ搬送停止確認待機時間)経過すると、通電部95はシャッタ装置27に通電してシャッタ27a、27bを開放して一時的に保留している砂糖粉末をカップCに払い出す。そして、シャッタ27a、27bが原料シュータ26の下端開口を閉塞した後、カップ搬送装置22に通電して搬送モータを運転し、クリーム粉末が収容されている原料キャニスタ25から送り出されたクリーム粉末が一時的に保留されている原料シュータ26の下端開口位置までカップCを搬送して停止する。クリーム粉末が一時的に保留されている原料シュータ26の下端開口位置までカップCが搬送されて停止すると、シャッタ27a、27bを開放して一時的に保留しているクリーム粉末を払い出す。
【0036】
このようにして、砂糖、クリームの粉末が投入されたカップCは飲料攪拌装置33の位置に搬送され、コーヒーブリュア32で抽出されたレギュラーコーヒー飲料が注ぎ込まれて攪拌羽根で攪拌、混合された砂糖、クリーム入りホットレギュラーコーヒーが製造されて販売口14まで搬送されて利用者に引き渡される。
【0037】
また、カップ式自動販売機1の利用者がホットココアを選択するホット飲料選択ボタン5を操作した場合、制御装置90は予めキーボード96で設定されている制御内容(この場合、ホットココアの原料であるココアパウダーは脂肪分が含まれている微細粉末のため、原料シュータ26内壁やシャッタ27a、27b上に固着しやすいので、図6(b)に示す第2粉末原料払出制御)に基づいて各機器を制御する。
【0038】
制御装置90が出力した第2粉末原料払出制御の飲料製造指示に基づき、通電部95はカップ搬送装置22に通電して搬送モータを運転してカップ供給装置21から供給されたカップCを保持しているカップ保持装置23を搬送し、ココアパウダーが収容されている原料キャニスタ25の原料送出口25bに接続されている原料シュータ26の下端開口位置までカップCを搬送して停止させる。
【0039】
カップCが、ココアパウダーが収容されている原料キャニスタ25の原料送出口25bに接続されている原料シュータ26の下端開口位置まで搬送されて停止後、T1経過すると、通電部95はシャッタ装置27に通電してシャッタ27a、27bを開放する。原料シュータ26の下端開口が開放されてT3(シャッタ開放確認待機時間)経過すると、ココアパウダーが収容されている原料キャニスタ25に通電して原料モータを運転してシャッタ装置27で下端開口が開放されている原料シュータ26にココアパウダーを送り出す。原料キャニスタ25から送り出されたココアパウダーは原料シュータ26の下端開口に備えられて開口しているシャッタ装置27のシャッタ27a、27bに保留されることなく降下してカップCに払い出される。
【0040】
そして、原料キャニスタ25から設定量のココアパウダーの送り出しが終了すると原料モータの運転を停止し、シャッタ27a、27bが原料シュータ26の下端開口を閉塞した後、カップ搬送装置22に通電してココアパウダーが投入されたカップCを飲料攪拌装置33の位置に搬送すると、湯タンク28から供給される湯が注入され、攪拌羽根で攪拌、混合されたホットココアが製造されて販売口14まで搬送されて利用者に引き渡される。
【0041】
このように、固着することが少ない砂糖、クリームなどの粉末を原料として使用する飲料を製造するときは、予め、図6(a)に示すタイミングチャート(第1粉末原料払出制御)をキーボード96で制御装置90に設定し、飲料の製造を制御することにより、図6(b)のタイミングチャート(第2粉末原料払出制御)に示すカップ搬送停止時間T4より短いカップ搬送停止時間T2で速やかに飲料を製造して提供することができるカップ式自動販売機1を提供することができる。
【0042】
また、脂肪分が含まれている微細粉末のため、原料シュータ26内壁やシャッタ27a、27b上に固着しやすいココアパウダーなどの粉末を原料として使用する飲料を製造するときは、予め、図6(b)に示すタイミングチャート(第2粉末原料払出制御)をキーボード96で制御装置90に設定し、飲料の製造を制御することにより、ココアパウダーなどの固着しやすい粉末原料がシャッタ27a、27b上に保留されることがなくなるので、保留されているココアパウダーなどの粉末原料が湿気を帯びて原料シュータ26内壁やシャッタ27a、27b上に固着することを防止することができるカップ式自動販売機1を提供することができる。
【0043】
次に、カップ式自動販売機1の庫内温度を検知する庫内温度センサ97を備え、制御装置90が、庫内温度センサ97が検知している庫内温度に基づいて行う粉末原料払出制御を図7のフローチャート図を用いて説明する。脂肪分が含まれている微細粉末のココアパウダーの場合、収容されている庫内温度が40℃より高くなると湿度も上昇してココアパウダーが湿気を帯び、原料シュータ26内壁やシャッタ27a、27b上に固着しやすくなるが、庫内温度が40℃以下になると湿度も下がってココアパウダーの湿気も下がり、原料シュータ26内壁やシャッタ27a、27b上に固着することが少なくなる。
【0044】
先ず、キーボード96で制御装置90が行う粉末原料払出制御の閾値温度(例えば、ココアパウダーの場合、40℃)を設定する。制御装置90は、庫内温度センサ97が検知している庫内温度とキーボード96で設定された粉末原料払出制御の設定閾値温度を比較する(ステップS11)。
【0045】
庫内温度センサ97が検知している庫内温度が設定閾値温度(例えば、ココアパウダーの場合、40℃)より高い場合(ステップS12:Yes)、通電部95がカップ搬送装置22に通電して搬送モータを運転してカップ供給装置21から供給されたカップCを保持しているカップ保持装置23の搬送を開始する(ステップS13)。そして、カップCがココアパウダーを収容している原料キャニスタ25の原料送出口25bに接続されている原料シュータ26の下端開口位置まで搬送されて到着したら(ステップS14:Yes)、カップ搬送装置22によるカップCの搬送を停止させる(ステップS15)。
【0046】
カップCが、ココアパウダーが収容されている原料キャニスタ25の原料送出口25bに接続されている原料シュータ26の下端開口位置まで搬送されて停止後、T1経過すると、通電部95はシャッタ装置27に通電してシャッタ27a、27bを開放する(ステップS16)。シャッタ27a、27bが原料シュータ26の下端開口を開放してT3経過すると、ココアパウダーが収容されている原料キャニスタ25に通電して原料モータを運転してシャッタ装置27で下端開口が開放されている原料シュータ26にココアパウダーを送り出す(ステップS17)。原料キャニスタ25から送り出されたココアパウダーは原料シュータ26の下端開口に備えられて開口しているシャッタ装置27のシャッタ27a、27bに保留されることなく降下してカップCに払い出される。
【0047】
そして、原料キャニスタ25から設定量のココアパウダーの送り出しが終了すると(ステップS18:Yes)、原料キャニスタ25の原料モータの運転を停止し(ステップS19)、シャッタ27a、27bで原料シュータ26の下端開口を閉塞し(ステップS20)、カップ搬送装置22が、ココアパウダーが投入されたカップCを飲料攪拌装置33の位置に搬送すると、湯タンク28から供給される湯が注入され、攪拌羽根で攪拌、混合されたホットココアが製造されて販売口14まで搬送されて利用者に引き渡される。
【0048】
また、庫内温度センサ97が検知している庫内温度が設定閾値温度(例えば、ココアパウダーの場合、40℃)より低い場合(ステップS12:No)、通電部95はココアパウダーが収容されている原料キャニスタ25に通電して原料モータを運転してシャッタ装置27で下端開口が閉塞されている原料シュータ26にココアパウダーを送り出し、シャッタ27a、27b上に一時的に保留する(ステップS21)。同時にカップ搬送装置22に通電して搬送モータを運転してカップ供給装置21から供給されたカップCを保持しているカップ保持装置23の搬送を開始する(ステップS24)。
【0049】
そして、原料キャニスタ25から設定量のココアパウダーの送り出しが終了すると(ステップS22:Yes)、原料キャニスタ25の原料モータの運転を停止する(ステップS23)。また、カップCがココアパウダーを収容している原料キャニスタ25の原料送出口25bに接続されている原料シュータ26の下端開口位置まで搬送されて到着したら(ステップS25:Yes)、カップ搬送装置22によるカップCの搬送を停止させる(ステップS26)。
【0050】
カップCが、ココアパウダーが一時的に保留されている原料シュータ26の下端開口位置まで搬送されて停止後、T1経過すると、通電部95はシャッタ装置27に通電してシャッタ27a、27bを開放して一時的に保留しているココアパウダーを払い出す(ステップS27)。そして、シャッタ装置27に通電してシャッタ27a、27bで原料シュータ26の下端開口を閉塞し(ステップS28)、カップ搬送装置22が、ココアパウダーが投入されたカップCを飲料攪拌装置33の位置に搬送すると、湯タンク28から供給される湯が注入され、攪拌羽根で攪拌、混合されたホットココアが製造されて販売口14まで搬送されて利用者に引き渡される。
【0051】
このように、脂肪分が含まれている微細粉末のため、原料シュータ26内壁やシャッタ27a、27b上に固着しやすいココアパウダーなどの粉末原料を原料として使用する飲料を製造するときにも、カップ式自動販売機1の庫内温度を検知する庫内温度センサ97を備え、予め、キーボード96で制御装置90が行う粉末原料払出制御の閾値温度を設定し、制御装置90が、庫内温度センサ97が検知している庫内温度と設定閾値温度に基づいて、飲料の製造を制御することで、原料シュータ26内壁やシャッタ27a、27b上にココアパウダーなどの粉末原料が固着することを防止し、さらに、速やかに飲料を製造して提供することができるカップ式自動販売機1を提供することができる。
【0052】
以上のように、本実施形態によれば、粉末原料を収容した複数の原料キャニスタ25と、これら原料キャニスタ25に接続され、原料キャニスタ25から粉末原料が送り出される筒状の原料シュータ26と、原料シュータ26の下端開口を閉塞し、原料シュータ26に粉末原料を保留するシャッタ装置27と、原料シュータ26下端開口位置にカップ保持装置23に保持されたカップCを搬送するカップ搬送装置22と、これらの原料キャニスタ25、シャッタ装置27、カップ搬送装置22を制御する制御装置90とを具備して成り、制御装置90は、下端開口を閉塞された原料シュータ26に原料キャニスタ25から送り出された粉末原料を保留し、カップ保持装置23が保持しているカップCをカップ搬送装置22が原料シュータ26下端開口位置に搬送するとシャッタ装置27が下端開口を開放して粉末原料をカップCに払い出す第1粉末原料払出制御と、原料シュータ26下端開口位置にカップ保持装置23が保持しているカップCをカップ搬送装置22が搬送すると、シャッタ装置27が開放している原料シュータ26を介して原料キャニスタ25から粉末原料を送り出してカップCに払い出す第2粉末原料払出制御と、を粉末原料毎に設定可能としたことにより、固着することが少ない砂糖、クリームなどの粉末を原料として使用する飲料を製造するときは、予め、図6(a)に示すタイミングチャート(第1粉末原料払出制御)をキーボード96で制御装置90に設定し、飲料の製造を制御することにより、図6(b)のタイミングチャート(第2粉末原料払出制御)に示すカップ搬送停止時間T4より短いカップ搬送停止時間T2で速やかに飲料を製造して提供することができるカップ式自動販売機1を提供することができる。
【0053】
また、脂肪分が含まれている微細粉末のため、原料シュータ26内壁やシャッタ27a、27b上に固着しやすいココアパウダーなどの粉末を原料として使用する飲料を製造するときは、予め、図6(b)に示すタイミングチャート(第2粉末原料払出制御)をキーボード96で制御装置90に設定し、飲料の製造を制御することにより、ココアパウダーなどの固着しやすい粉末原料がシャッタ27a、27b上に保留されることがなくなるので、保留されているココアパウダーなどの粉末原料が湿気を帯びて原料シュータ26内壁やシャッタ27a、27b上に固着することを防止することができるカップ式自動販売機1を提供することができる。
【0054】
さらに、カップ式自動販売機1の庫内温度を検知する庫内温度センサ97を備え、制御装置90は、第1粉末原料払出制御と第2粉末原料払出制御を、庫内温度センサ97が検知している庫内温度に基づいて粉末原料毎に設定可能としたことにより、原料シュータ26内壁やシャッタ27a、27b上にココアパウダーなどの粉末原料が固着することを防止し、さらに、速やかに飲料を製造して提供することができるカップ式自動販売機1を提供することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 カップ式自動販売機
21 カップ供給装置
22 カップ搬送装置
23 カップ保持装置
25 原料キャニスタ
25b 原料送出口
26 原料シュータ
27 シャッタ装置
27a シャッタ
27b シャッタ
28 湯タンク
32 コーヒーブリュア
90 制御装置
96 キーボード
97 庫内温度センサ
C カップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末原料を収容した複数の原料キャニスタと、これら原料キャニスタに接続され、原料キャニスタから粉末原料が送り出される筒状の原料シュータと、原料シュータの下端開口を閉塞し、原料シュータに粉末原料を保留するシャッタ装置と、原料シュータ下端開口位置にカップ保持装置に保持されたカップを搬送するカップ搬送装置と、これらの原料キャニスタ、シャッタ装置、カップ搬送装置を制御する制御装置とを具備して成り、該制御装置は、
下端開口を閉塞された前記原料シュータに前記原料キャニスタから送り出された粉末原料を保留し、前記カップ保持装置が保持しているカップを前記カップ搬送装置が前記原料シュータ下端開口位置に搬送すると前記シャッタ装置が前記下端開口を開放して粉末原料をカップに払い出す第1粉末原料払出制御と、
前記原料シュータ下端開口位置に前記カップ保持装置が保持しているカップを前記カップ搬送装置が搬送すると、前記シャッタ装置が開放している前記原料シュータを介して前記原料キャニスタから粉末原料を送り出してカップに払い出す第2粉末原料払出制御と、
を粉末原料毎に設定可能としたことを特徴とするカップ式自動販売機。
【請求項2】
前記カップ式自動販売機の庫内温度を検知する庫内温度センサを備え、前記制御装置は、前記第1粉末原料払出制御と前記第2粉末原料払出制御を、前記庫内温度センサが検知している庫内温度に基づいて粉末原料毎に設定可能としたことを特徴とする請求項1に記載のカップ式自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−146255(P2012−146255A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6005(P2011−6005)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】