説明

カップ式自動販売機

【課題】カップ搬送装置を備えたカップ式自動販売機で、マイカップによる飲料の調製、販売を容易に行うことが可能なカップ式自動販売機を提供する。
【解決手段】飲料取出口14にカップが存在するか否かを検知するカップ検知手段92と、飲料取出口14に載置されたカップで飲料を調製する第1の原料吐出手段1と、カップ搬送装置20で搬送するカップ内で飲料を調製する第2の原料吐出手段2と、カップ検知手段92がカップを検知していないときは第1の原料吐出手段1および第2の原料吐出手段2による飲料の調製を許可し、カップ検知手段92がカップを検知しているときは第1の原料吐出手段1のみによる飲料の調製を許可する販売可能飲料判断手段91と、販売可能飲料判断手段91で調製が許可された飲料を表示する販売可能飲料表示手段93を備え、販売可能飲料表示手段93で表示された飲料を販売する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給された原料と湯水とからカップに飲料を調製して販売するカップ式自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
カップ供給装置、複数の粉末原料キャニスタ、湯タンク、飲料攪拌装置、カップ搬送装置などを備えたカップ式自動販売機が知られている。カップ搬送装置はカップ供給装置の下方位置にカップ把持機構を搬送し、カップ供給装置からカップ把持機構に供給されて把持されたカップを、複数の粉末原料キャニスタの下方位置に順次搬送して粉末原料の供給を受けた後、飲料攪拌装置の下方位置に搬送し、カップに供給されたこれら粉末原料と湯の混合体に攪拌羽根を降下挿入して攪拌混合し、このようにして調製した飲料入りカップを飲料販売口まで搬送して顧客(カップ式自動販売機の利用者)に販売する。
【0003】
カップ供給装置は、複数の同一形状のカップを縦方向に積層して内蔵するカップ内蔵部と、このカップ内蔵部の底部に設けられ、飲料販売時に内蔵カップを1個下方に払い出すカップ払い出し機構を備え、最下部の内蔵カップから順次払い出すものである。
【0004】
粉末原料キャニスタは、インスタントコーヒー、砂糖、クリームなどの粉末原料を収容し、収容しているこれら粉末原料を送り出す原料送出口が設けられ、原料送出口の下方には筒状の原料シュータが接続されている。そして、カップ搬送装置がカップ把持機構に把持されている内蔵カップを原料シュータの下端開口位置に搬送すると、原料送出口から送り出された粉末原料が原料シュータを介して内蔵カップに供給される。
【0005】
そして、顧客が所望する飲料を選択する商品選択ボタンが操作されると、選択された飲料、例えば、インスタントホットコーヒーを調製するための信号が制御部から出力される。
【0006】
カップ搬送装置は、カップ供給装置から供給されてカップ把持機構で把持している内蔵カップを、インスタントコーヒーの粉末が収容されている粉末原料キャニスタの原料シュータの下端開口位置に搬送し、インスタントコーヒー粉末の供給を受ける。
【0007】
次に、砂糖の粉末が収容されている粉末原料キャニスタの原料シュータの下端開口位置に搬送し、砂糖粉末の供給を受ける。さらに、クリームの粉末が収容されている粉末原料キャニスタの原料シュータの下端開口位置に搬送し、クリーム粉末の供給を受ける。
【0008】
このようにして、インスタントコーヒー、砂糖、クリームの粉末が供給された内蔵カップをカップ搬送装置が飲料攪拌装置の下方位置に搬送する。カップ把持機構で把持されている内蔵カップがカップ搬送装置で飲料攪拌装置の下方位置に搬送されてくると、湯タンクから湯が供給される。そして、これら粉末原料と湯が供給された内蔵カップに飲料攪拌装置の攪拌羽根が降下挿入され、粉末原料と湯の混合体が攪拌混合されると顧客の所望するインスタントホットコーヒー飲料が内蔵カップに調製され、飲料販売口に搬送されてカップ式自動販売機の顧客に引き渡される。
【0009】
また、省資源化の観点から使い捨ての内蔵カップの代わりに、顧客が所有しているカップ(以下、「マイカップ」と称す)を繰り返して用いることができるようにしたカップ式自動販売機が実現されている。しかしながら、マイカップは内蔵カップと違い、カップ容量がカップ毎にそれぞれ異なるため、販売方法を工夫する必要がある。
【0010】
例えば、特許文献1に記載されているカップ式自動販売機では、マイカップを用いて飲料を調製して販売を行う場合、内蔵カップによる販売か、マイカップによる販売かを検知し、調製して販売する飲料の容量を切り替えることで、それぞれのカップによって異なる容量の違いを許容する飲料の調製、販売方法を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−298769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、顧客が所有しているマイカップの形状はそれぞれ異なっており、カップ搬送装置のカップ把持機構に様々な形状のマイカップを対応させて把持させることは困難である。また、カップ搬送装置がカップを搬送している間に飲料調製異常などが発生した場合、内蔵カップであればカップ廃棄処理を行って次回販売に備えることが可能であるが、マイカップの場合には顧客所有のカップのため廃棄することができなく、次回販売に支障が生じることとなり、カップ式自動販売機が飲料の販売を行うことができなくなるという不都合があった。
【0013】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、カップ搬送装置を備えたカップ式自動販売機で、マイカップによる飲料の調製、販売を容易に行うことが可能なカップ式自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係るカップ式自動販売機は、カップ供給装置から供給されたカップをカップ搬送装置で原料供給位置および飲料攪拌位置に搬送して調製した飲料を飲料取出口から販売する方式を備えたカップ式自動販売機において、
前記飲料取出口にカップが存在するか否かを検知するカップ検知手段と、
前記飲料取出口に載置されたカップに調製した飲料を注ぎ入れる第1の原料吐出手段と、
前記カップ搬送装置で前記原料供給位置および前記飲料攪拌位置に搬送してカップ内で飲料を調製する第2の原料吐出手段と、
飲料の販売開始時に、前記カップ検知手段が前記飲料取出口にカップを検知していないときは、前記第1の原料吐出手段および前記第2の原料吐出手段による飲料の調製を許可し、前記カップ検知手段が前記飲料取出口にカップを検知しているときは、前記第1の原料吐出手段のみによる飲料の調製を許可する販売可能飲料判断手段と、
飲料の販売に要する貨幣が入金されると、前記販売可能飲料判断手段で調製が許可された飲料を表示する販売可能飲料表示手段と、
をさらに備え、前記販売可能飲料表示手段で表示された飲料を販売することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項2に係るカップ式自動販売機は、上述した請求項1において、前記カップ検知手段が前記飲料取出口にカップを検知していないときに前記第1の原料吐出手段による飲料の調製を行う場合、前記カップ搬送装置が前記カップ供給装置から供給されたカップを前記飲料取出口に直接搬送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、カップ供給装置から供給されたカップをカップ搬送装置で原料供給位置および飲料攪拌位置に搬送して調製した飲料を飲料取出口から販売する方式を備えたカップ式自動販売機において、前記飲料取出口にカップが存在するか否かを検知するカップ検知手段と、前記飲料取出口に載置されたカップに調製した飲料を注ぎ入れる第1の原料吐出手段と、前記カップ搬送装置で前記原料供給位置および前記飲料攪拌位置に搬送してカップ内で飲料を調製する第2の原料吐出手段と、飲料の販売開始時に、前記カップ検知手段が前記飲料取出口にカップを検知していないときは、前記第1の原料吐出手段および前記第2の原料吐出手段による飲料の調製を許可し、前記カップ検知手段が前記飲料取出口にカップを検知しているときは、前記第1の原料吐出手段のみによる飲料の調製を許可する販売可能飲料判断手段と、飲料の販売に要する貨幣が入金されると、前記販売可能飲料判断手段で調製が許可された飲料を表示する販売可能飲料表示手段と、をさらに備え、前記販売可能飲料表示手段で表示された飲料を販売することにより、顧客がカップ式自動販売機を利用するとき、飲料取出口にマイカップを載置した場合にはカップ搬送装置を運転させることなく、飲料取出口に載置された顧客所有のマイカップで飲料の調製および販売を完了させることができ、内蔵カップの省資源化を図ることができる。
【0017】
また、飲料取出口にカップが載置されていない場合にはカップ搬送装置を運転させ、内蔵カップを飲料取出口に直接搬送して飲料の調製および販売を完了させることができる。このように、カップ供給装置から供給されたカップをカップ搬送装置で原料供給位置および飲料攪拌位置に搬送して調製した飲料を飲料取出口から販売する方式を備えたカップ式自動販売機においてマイカップによる飲料の販売を行う場合、マイカップをカップ搬送装置で搬送する必要がなくなるので、顧客所有の様々な形状のマイカップに対応させて飲料の調製および販売ができるようになる。
【0018】
さらに、カップ搬送装置で顧客所有のマイカップを搬送することがないので、カップを搬送している間に飲料調製異常などが発生した場合、カップ廃棄処理を行って次回販売に備えることができるので、カップ搬送装置を備えたカップ式自動販売機で、マイカップによる飲料の調製、販売を容易に行うことが可能なカップ式自動販売機を提供することが可能となる。
【0019】
また、請求項2の発明によれば、前記カップ検知手段が前記飲料取出口にカップを検知していないときに前記第1の原料吐出手段による飲料の調製を行う場合、前記カップ搬送装置が前記カップ供給装置から供給されたカップを前記飲料取出口に直接搬送することにより、内蔵カップに第1の原料吐出手段および第2の原料吐出手段によるすべての飲料を調製して販売することができるカップ式自動販売機を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係るカップ式自動販売機の正面外観概要図
【図2】図1に示したカップ式自動販売機の前扉を開いた正面概要図
【図3】図2に示したカップ式自動販売機からカップ供給装置を除いた図
【図4】図1に示したカップ式自動販売機の飲料取出口に載置されたカップに飲料を調製する第1の原料吐出手段1を示す構成図
【図5】図1に示したカップ式自動販売機のカップ搬送装置で搬送する内蔵カップに飲料を調製する第2の原料吐出手段2を示す構成図
【図6】図1に示したカップ式自動販売機の制御ブロック図
【図7】図1に示したカップ式自動販売機の制御を示すフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るカップ式自動販売機の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態に係るカップ式自動販売機の正面外観概要図、図2は図1に示したカップ式自動販売機の前扉を開いた正面概要図、図3は図2に示したカップ式自動販売機からカップ供給装置を除いた図である。
【0023】
カップ式自動販売機は、顧客(カップ式自動販売機の利用者)が商品選択ボタンを操作して選択した飲料をカップに調製して販売に供する自動販売機である。機器筐体3(図2、図3参照)に開閉可能に取り付けられた前扉4の外表面上部には、複数の商品見本表示部5、商品見本表示部5毎に設けられた商品選択ボタン6(ホットコーヒーなどのホット飲料、コーラなどのアイス飲料を選択するボタン)、ポスターパネル7が配設されている。
【0024】
また、前扉4の外表面中央部には、砂糖やクリーム、コーヒー原料の増減ボタン8、硬貨投入口9、硬貨返却レバー10、紙幣挿入口11、入金額、湯温度、冷却水温度などを表示する表示部12、扉ロック13、飲料取出口14、飲料取出口14の開口を開閉する扉板15、その右下には釣銭返却口16が配設されている。
【0025】
機器筐体3の内部には、複数の同一形状の内蔵カップC(図5参照)を縦方向に積層して内蔵するカップ内蔵部19aと、このカップ内蔵部19aの底部に設けられ、飲料販売時に内蔵カップCを1個下方に払い出すカップ払い出し機構19bとを有し、最下部の内蔵カップCから順次払い出して供給するカップ供給装置19が備えられている。このカップ供給装置19から供給された内蔵カップCをカップ把持機構36が把持し、カップ搬送装置20が内蔵カップCを把持したカップ把持機構36を搬送する。
【0026】
さらに、飲料原料のコーヒー豆を収容しているコーヒー豆キャニスタ41、砂糖、クリーム、ココアなどの粉末原料を収容している粉末原料キャニスタ42、飲料の調製に使用する湯を貯留している湯タンク43、コーヒー豆キャニスタ41から供給されたコーヒー豆をミル46で挽いた挽き豆に湯タンク43から供給される湯でコーヒー液を抽出するコーヒーブリュア(コーヒー液抽出器)47、アイス飲料を調製するときに使用するチップ氷を製造して貯蔵しているオーガ式製氷機(チップ氷供給装置)49、内蔵カップCに供給された砂糖、クリーム、ココアなどの粉末原料と湯の混合体に降下挿入させた攪拌羽根51(図5参照)を回転させて攪拌混合する飲料攪拌装置50、冷却装置(図示せず)で冷却されている冷却水52(図4参照)が貯留されている冷却水槽53などが備えられている。
【0027】
図4は、本発明のカップ式自動販売機における実施の形態として、カップ式自動販売機の飲料取出口14に載置されたカップ(マイカップM、または内蔵カップC)に調製された飲料を注いで顧客にカップ飲料を提供する調製部としての第1の原料吐出手段1を示す構成図である。第1の原料吐出手段1は、コーヒーブリュア47で抽出したレギュラーコーヒー飲料やコーラなどのシロップ原料と希釈水(炭酸水や冷水)を飲料取出口14に載置されているマイカップMや内蔵カップCに注ぐことができるようにした手段である。
【0028】
コーヒー豆を収容しているコーヒー豆キャニスタ41、コーヒー豆キャニスタ41から供給されたコーヒー豆を挽いて挽き豆にするミル46、ミル46で挽いた挽き豆に湯タンク43から供給される湯でコーヒー液を抽出するコーヒーブリュア47が備えられ、コーヒーブリュア47で抽出されたコーヒー液はミキシングボウル(図示せず)で砂糖やクリームと混合され、コーヒー液ノズル48から、飲料取出口14に載置されたマイカップM、または、カップ供給装置19から供給されてカップ把持機構36に把持されてカップ搬送装置20で飲料取出口14に直接搬送された内蔵カップCに注がれる。
【0029】
冷却水槽53には冷却装置(図示せず)で略0℃に冷却されている冷却水52が貯留され、水入口弁55、冷水弁58が解放され、水ポンプ56が運転されると、水道から供給された飲用水が冷却水52に浸漬されている水冷却コイル57を通流して冷やされて冷水(希釈水)となり、希釈水ノズル59から、飲料取出口14に載置されたマイカップM、または、カップ供給装置19から供給されてカップ把持機構36に把持されてカップ搬送装置20で飲料取出口14に直接搬送された内蔵カップCに注がれる。
【0030】
また、冷却水52にはカーボネータ61が浸漬されている。カーボネータ61は炭酸ガスボンベ63から供給される炭酸ガスが所定の圧力で充満している。そして、水入口弁55、カーボネータ給水弁60が解放され、水ポンプ56が運転されると、水道から供給された飲用水が水冷却コイル57を通流して冷やされてカーボネータ61に噴出され、噴出した冷水は炭酸ガスを溶かし込んで炭酸水となり、カーボネータ61に貯留される。
【0031】
カーボネータ61に貯留されている炭酸水は、炭酸水弁62が解放されると炭酸ガスボンベ63から供給されている炭酸ガスの圧力でカーボネータ61から押し出され、希釈水ノズル59から、飲料取出口14に載置されたマイカップM、または、カップ供給装置19から供給されてカップ把持機構36に把持されてカップ搬送装置20で飲料取出口14に直接搬送された内蔵カップCに注がれる。
【0032】
さらに、シロップタンク64に貯留されているシロップ原料は、シロップ弁66が解放されると、炭酸ガスボンベ63から供給されている炭酸ガスの圧力でシロップタンク64から押し出されてシロップ冷却コイル65を通流して冷やされ、シロップノズル67から、飲料取出口14に載置されたマイカップM、または、カップ供給装置19から供給されてカップ把持機構36に把持されてカップ搬送装置20で飲料取出口14に直接搬送された内蔵カップCに注がれる。なお、図4において、シロップタンク64、シロップ冷却コイル65、シロップ弁66、シロップノズル67を1組のみ記載しているが、必要に応じて複数組を備えられるものとする。
【0033】
また、飲料取出口14には、飲料取出口14にカップが載置されたことを検知するカップ検知手段92が配設されている。
【0034】
図5は、本発明のカップ式自動販売機における実施の形態として、カップ式自動販売機のカップ搬送装置20で搬送する内蔵カップCで飲料を調製して顧客にカップ飲料を提供する調製部としての第2の原料吐出手段2を示す構成図である。第2の原料吐出手段2は、カップ供給装置19から供給され、カップ把持機構36に把持されてカップ搬送装置20で搬送される内蔵カップCに供給された粉末原料と湯の混合体を攪拌羽根51で攪拌混合して調製した飲料を飲料取出口14に搬送して顧客に販売するようにした手段である。
【0035】
内蔵カップCを供給するカップ供給装置19、カップ供給装置19から供給された内蔵カップCを把持したカップ把持機構36を搬送するカップ搬送装置20、砂糖、クリーム、ココアなどの粉末原料を収容している粉末原料キャニスタ42、飲料の調製に使用する高温の湯を貯留している湯タンク43、内蔵カップCに供給された砂糖、クリーム、ココアなどの粉末原料と湯の混合体に攪拌羽根51を降下挿入して回転させて攪拌混合する飲料攪拌装置50、飲料取出口14、飲料取出口14の開口を開閉する扉板15などから構成されている。なお、扉板15は、カップ搬送装置20が運転されている間は強制的に閉じられるように制御部90で制御される。
【0036】
カップ搬送装置20は、左右方向(図5に対し)水平に直線的に延びる支持フレーム22、支持フレーム22の両端部にそれぞれ回転自在に軸支された駆動プーリ23および従動プーリ24、両プーリ間に掛け渡した無端の搬送ベルト25、駆動プーリ23を回転させる搬送モータ26、支持フレーム22と平行して設けたサブフレーム27、で構成する主搬送部21と、一端を搬送ベルト25に固定し、他端をサブフレーム27上に載置した、同じく、両端部にそれぞれ回転自在に軸支された駆動プーリ29および従動プーリ30を設けた支持フレーム31、両プーリ間に掛け渡した無端の搬送ベルト32、駆動プーリ29を回転させる搬送モータ33、搬送ベルト25の作動に伴って支持フレーム31が支持フレーム22面上を転動するように設けたローラ34、サブフレーム27面上を転動するように設けたローラ35、で構成するカップ把持機構搬送部28と、カップ把持機構搬送部28の搬送ベルト32に固定されたカップ把持機構36と、で構成されている。
【0037】
カップ把持機構搬送部28は、搬送ベルト25が回転すると、ローラ34が支持フレーム22、ローラ35がサブフレーム27それぞれの面上を転動して、カップ把持機構搬送部28は左右方向に円滑に移動される。カップ把持機構36は、搬送ベルト32の所定の部位に固定され、この固定部位にはローラ37が取り付けられている。搬送ベルト32が回転すると、ローラ37が支持フレーム31面上を転動して、カップ把持機構36は前後方向(図5に対し)に円滑に移動される。カップ把持機構搬送部28は、制御部90(図6参照)が出力する信号で動作する搬送モータ26の回転により左右方向に移動することができ、また、カップ把持機構搬送部28の搬送ベルト32に固定されたカップ把持機構36も制御部90が出力する信号で動作する搬送モータ33の回転により前後方向に移動することができる。その結果、カップ把持機構36は、制御部90が出力する信号で、前後左右方向へと自在に移動することができる。
【0038】
また、カップ把持機構36には、カップ供給装置19から供給された内蔵カップCを受けるカップ受台38と、内蔵カップCの胴部を把持するカップ把持アーム39と、が突設されており、カップ受台38で受けた内蔵カップCをカップ把持アーム39が把持するように構成されている。
【0039】
粉末原料キャニスタ42は、それぞれ粉末原料としての砂糖、クリーム、ココアなどを収容し、カップ供給装置19から供給されてカップ把持機構36が把持して搬送されてきた内蔵カップCに所定量の各粉末原料を排出口42aから原料シュータ42bを介して供給する。
【0040】
湯タンク43は、その内部に電気ヒータを備え、供給された飲用水を加熱した高温の湯にして貯留し、その側壁面に配設された給湯弁44と、給湯弁44に連通する給湯管45との組み合わせを複数組備えている。そして、制御部90が解放指示した給湯弁44により、給湯管45を介して所定量の湯が内蔵カップC、コーヒーブリュア47やマイカップM(図4参照)に供給される。給湯管45を介して内蔵カップCに供給された湯は、降下挿入された攪拌羽根51が回転することにより内蔵カップCに供給された砂糖、クリーム、ココアなどの粉末原料と攪拌混合されて飲料が調製される。
【0041】
図6は、カップ式自動販売機の制御ブロック図を示し、カップ式自動販売機での飲料の調製などを制御する制御部90は、販売可能飲料判断手段91としての機能を有している。この制御部90には、顧客が所望する飲料を選択する商品選択ボタン6、飲料取出口14にカップが載置されたことを検知するカップ検知手段92、カップ払い出し機構19b、第1の原料吐出手段1、第2の原料吐出手段2、販売可能飲料表示手段93、カップ搬送装置20などが接続されている。
【0042】
販売可能飲料判断手段91は、カップ検知手段92の検知結果に基づいて、第1の原料吐出手段1が販売可能か、または、第1の原料吐出手段1と第2の原料吐出手段2の何れもが販売可能かを判断する。そして、その判断結果を販売可能飲料表示手段93で販売可能な飲料を顧客へ表示する(例えば、販売可能な飲料の商品選択ボタン6を点灯して表示する)。
【0043】
カップ検知手段92でカップが検知されていない場合、カップ払い出し機構19bを運転して内蔵カップCを払い出し、第1の原料吐出手段1または第2の原料吐出手段2で飲料を調製して販売を行う。また、カップ検知手段92でカップが検知されている場合、顧客が飲料取出口14にマイカップMを載置したとして第1の原料吐出手段1による飲料の調製を行い販売する。
【0044】
上述したように、第1の原料吐出手段1は、飲料取出口14に載置されているカップに直接飲料を注ぐようにしているので、顧客により飲料取出口14にマイカップMが載置された場合にはマイカップMに飲料を注ぎ入れる。また、飲料取出口14にマイカップMが載置されていない場合、カップ供給装置19から供給されてカップ把持機構36に把持されてカップ搬送装置20で飲料取出口14に直接搬送された内蔵カップCに飲料を注ぎ入れる。
【0045】
次に、販売可能飲料判断手段91による販売可能飲料判断手順を図7のフローチャート図を用いて説明する。顧客がマイカップを使用する飲料の購入を希望して飲料取出口14にマイカップMを載置しているか否かを判断するため、販売可能飲料判断手段91は、飲料販売開始時、カップ検知手段92により飲料取出口14のカップの有無を検知し(ステップS11)、カップ有と検知された場合(ステップS11:Yes)、第1の原料吐出手段1のみによる飲料を調製しての販売が可能と判断する(ステップS12)。カップ無と検知された場合(ステップS11:No)、第1の原料吐出手段1と第2の原料吐出手段2による飲料を調製しての販売が可能と判断する(ステップS13)。
【0046】
その後、入金が行われた場合(ステップS14:Yes)、販売可能飲料判断手段91の判断結果に基づいた販売可能な第1の原料吐出手段1、第2の原料吐出手段2に対応させて販売可能飲料表示手段93で販売可能な飲料を顧客へ表示する(例えば、販売可能な飲料の商品選択ボタン6を点灯して表示する)(ステップS15)。
【0047】
顧客は販売可能飲料表示手段93で販売可能と表示された飲料を示す商品選択ボタン6を操作して所望の飲料を選択する(ステップS16:Yes)。
【0048】
例えば、顧客がマイカップMを使用して飲料を購入する場合(ステップS11でカップ検知手段92により飲料取出口14にマイカップMが検知されている場合を示す)、販売可能飲料表示手段93で第1の原料吐出手段1による販売が可能な飲料が表示され、顧客により、販売可能と表示された飲料を示す商品選択ボタン6が操作されてマイカップによる顧客所望の飲料の販売が選択されると(ステップS17:Yes)、制御部90は、カップ搬送装置20を動作させることなく、図4に示す第1の原料吐出手段1による飲料の調製が行われ、飲料取出口14に載置されているマイカップMに顧客所望の飲料が注がれ、マイカップMによる飲料の販売が行われ(ステップS18)、カップ式自動販売機による飲料の販売が終了する。
【0049】
また、顧客がマイカップを用いない飲料の購入をする場合、第1の原料吐出手段1と第2の原料吐出手段2によるすべての飲料の販売が可能であり(ステップS11でカップ検知手段92が飲料取出口14にマイカップMを検知していない場合を示す)、販売可能飲料表示手段93で第1の原料吐出手段1および第2の原料吐出手段2による販売が可能な飲料が表示され、顧客はすべての飲料を選択することができ、販売可能と表示された飲料を示す商品選択ボタン6が操作されて顧客所望の飲料の販売が選択されると(ステップS17:No)、制御部90は、カップ払い出し機構19bを運転して内蔵カップCを払い出し、カップ搬送装置20を運転させてカップ供給装置19から供給された内蔵カップCをカップ把持機構36で把持させる(ステップS19)。
【0050】
そして、第1の原料吐出手段1により調製される飲料の商品選択ボタン6が操作された場合(ステップS20:Yes)、制御部90は、カップ搬送装置20を運転させ、カップ把持機構36で把持している内蔵カップCを飲料取出口14まで直接搬送して停止させる(ステップS21)。
【0051】
内蔵カップCが飲料取出口14に搬送されて停止すると、図4に示す第1の原料吐出手段1による飲料の調製が行われ、内蔵カップCに顧客所望の飲料が注がれ、内蔵カップCによる飲料の販売が行われ(ステップS22)、カップ式自動販売機による飲料の販売が終了する。
【0052】
さらに、第2の原料吐出手段2により調製される飲料の商品選択ボタン6が操作された場合(ステップS20:No)、制御部90は、カップ搬送装置20を運転して、カップ把持機構36で把持している内蔵カップCを顧客所望の飲料を調製するための粉末原料や湯が供給される位置に搬送、停止させる(ステップS23)。
【0053】
このようにしてカップ搬送装置20で搬送される内蔵カップCに、図5に示す第2の原料吐出手段2による飲料の調製が行われ、粉末原料キャニスタ42から粉末原料を供給し、湯タンク43から湯を供給し、飲料攪拌装置50は攪拌羽根51を降下挿入して粉末原料と湯の混合体を攪拌混合し、内蔵カップCに顧客所望の飲料を調製した後、内蔵カップCを飲料取出口14に搬送して飲料の販売が行われ(ステップS24)、カップ式自動販売機による飲料の販売が終了する。
【0054】
以上のように、本実施形態によれば、カップ供給装置19から供給された内蔵カップCをカップ搬送装置20で原料供給位置および飲料攪拌位置に搬送して調製した飲料を飲料取出口14から販売する方式を備えたカップ式自動販売機において、飲料取出口14にマイカップMが存在するか否かを検知するカップ検知手段92と、飲料取出口14に載置されたマイカップMまたは内蔵カップCに調製した飲料を注ぎ入れる第1の原料吐出手段1と、カップ搬送装置20で原料供給位置および飲料攪拌位置に搬送して内蔵カップC内で飲料を調製する第2の原料吐出手段2と、飲料の販売開始時に、カップ検知手段92が飲料取出口14にマイカップMを検知していないときは、第1の原料吐出手段1および第2の原料吐出手段2による飲料の調製を許可し、カップ検知手段92が飲料取出口14にマイカップMを検知しているときは、第1の原料吐出手段1のみによる飲料の調製を許可する販売可能飲料判断手段91と、飲料の販売に要する貨幣が入金されると、販売可能飲料判断手段91で調製が許可された飲料を表示する販売可能飲料表示手段93と、をさらに備え、販売可能飲料表示手段93で表示された飲料を販売することにより、顧客がカップ式自動販売機を利用するとき、飲料取出口14にマイカップMを載置した場合にはカップ搬送装置20を運転させることなく、飲料取出口14に載置された顧客所有のマイカップMで飲料の調製および販売を完了させることができ、内蔵カップCの省資源化を図ることができる。
【0055】
また、飲料取出口14にマイカップMが載置されていない場合にはカップ搬送装置20を運転させ、内蔵カップCを飲料取出口14に搬送して飲料の調製および販売を完了させることができる。このように、カップ供給装置20から供給された内蔵カップCをカップ搬送装置20で原料供給位置および飲料攪拌位置に搬送して調製した飲料を飲料取出口14から販売する方式を備えたカップ式自動販売機においてマイカップMによる飲料の販売を行う場合に、マイカップMをカップ搬送装置20で搬送する必要がなくなるので、顧客所有の様々な形状のマイカップMに対応させて飲料の調製および販売ができるようになる。
【0056】
さらに、カップ搬送装置20で顧客所有のマイカップMを搬送しないので、内蔵カップCを搬送している間に飲料調製異常などが発生した場合、カップ廃棄処理を行って次回販売に備えることができるので、カップ搬送装置20を備えたカップ式自動販売機で、マイカップMによる飲料の調製、販売を容易に行うことが可能なカップ式自動販売機を提供することが可能となる。
【0057】
さらに、カップ検知手段92が飲料取出口14にカップを検知していないときに第1の原料吐出手段1による飲料の調製を行う場合、カップ搬送装置20がカップ供給装置19から供給された内蔵カップCを飲料取出口14に直接搬送することにより、内蔵カップCに第1の原料吐出手段1および第2の原料吐出手段2によるすべての飲料を調製して販売することができるカップ式自動販売機を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0058】
1 第1の原料吐出手段
2 第2の原料吐出手段
6 商品選択ボタン
19 カップ供給装置
19b カップ払い出し機構
20 カップ搬送装置
36 カップ把持機構
42 粉末原料キャニスタ
43 湯タンク
50 飲料攪拌装置
51 攪拌羽根
90 制御部
91 販売可能飲料判断手段
92 カップ検知手段
93 販売可能飲料表示手段
C 内蔵カップ
M マイカップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ供給装置から供給されたカップをカップ搬送装置で原料供給位置および飲料攪拌位置に搬送して調製した飲料を飲料取出口から販売する方式を備えたカップ式自動販売機において、
前記飲料取出口にカップが存在するか否かを検知するカップ検知手段と、
前記飲料取出口に載置されたカップに調製した飲料を注ぎ入れる第1の原料吐出手段と、
前記カップ搬送装置で前記原料供給位置および前記飲料攪拌位置に搬送してカップ内で飲料を調製する第2の原料吐出手段と、
飲料の販売開始時に、前記カップ検知手段が前記飲料取出口にカップを検知していないときは、前記第1の原料吐出手段および前記第2の原料吐出手段による飲料の調製を許可し、前記カップ検知手段が前記飲料取出口にカップを検知しているときは、前記第1の原料吐出手段のみによる飲料の調製を許可する販売可能飲料判断手段と、
飲料の販売に要する貨幣が入金されると、前記販売可能飲料判断手段で調製が許可された飲料を表示する販売可能飲料表示手段と、
をさらに備え、前記販売可能飲料表示手段で表示された飲料を販売することを特徴とするカップ式自動販売機。
【請求項2】
前記カップ検知手段が前記飲料取出口にカップを検知していないときに前記第1の原料吐出手段による飲料の調製を行う場合、前記カップ搬送装置が前記カップ供給装置から供給されたカップを前記飲料取出口に直接搬送することを特徴とする請求項1に記載のカップ式自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−25573(P2013−25573A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159899(P2011−159899)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】