説明

カップ状容器

【課題】主容器に小容器を添付したカップ状容器において、製造が容易で、小容器を簡易に主容器に組み付けられ、しかも使い勝手が良好で、デザイン性に優れたカップ状容器を提供すること。
【解決手段】主容器の口部に設けて主容器内部を密封する蓋材の裏面に、小容器を取り付けた。主容器はカップ状に成形された樹脂性容器であり、有底で、上部に口部を有し、主内容物を収納している。
蓋材は、主容器の口部の上面に取り付けられ、主容器内部を密封している。また蓋材は適度の力で主容器から剥離され、主容器の口部周縁から取り除かれる。
小容器は内容物を収納した状態で、小容器の口部上面を蓋材に貼り付けて、内部を密封した状態で取り付けられている。
これにより、カップ状容器は、小容器を主容器の内部に組み付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主容器の内部に小容器を具えたカップ状容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器入りコーヒーゼリーなどでは、コーヒーゼリーにかけるクリームを小容器に収納して容器に組み付けることがある。このような場合小容器を、コーヒーゼリーが収納された主容器の例えば脚部に取り外し可能に取り付け、食べる際に主容器から取り外し、小容器を開封してクリームをコーヒーゼリーにかけていた。
【0003】
【特許文献1】特開2001−335038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら小容器を組み付けた容器では、次のような課題を有していた。
【0005】
主容器と小容器とは個別にそれぞれの内容物を収納し、小容器を主容器の脚部などに組み付けるため、主容器と小容器のそれぞれに他方を組み付ける構造と他方に組み付けられる構造が必要となる。しかも小容器は主容器から容易に取り外すことができ、かつ容器を運搬、保管しているときには誤って外れることがないように適度な強さで固定する必要があり、容器を製造する上において、またその組み付けにおいても手間がかかっていた。
【0006】
また主容器から小容器を取り外す前に主容器から蓋体を取り外してしまうと、主容器が傾けられなくなり、小容器が主容器から取り外しにくくなるという問題があった。
【0007】
更に主容器の脚部などに小容器を収納する空間が必要とされ、一方小容器はその空間に組み付ける形状となるため、容器をデザインする上での制約が大きくなるという面があった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決し、小容器を組み合わせたカップ状容器において、小容器を簡易に主容器に組み付けられ、しかも使い勝手が良好で、デザイン性に優れたカップ状容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を解決するため、主容器に小容器を組み付けたカップ状容器を次のように構成した。
【0010】
主容器の口部に設けて主容器内を密封する蓋材の裏面に、小容器を取り付けた。主容器はカップ状に成形された樹脂性容器であり、有底で、上部に口部を有している。主容器の横断面形状は、円形に限らず角形、その他の形状でもよい。主容器の口部上縁にはフランジを形成し、口部上面を側方に若干突出させることが好ましい。
【0011】
蓋材は、薄片状で、材質はアルミ製、樹脂製、紙製、樹脂と紙、樹脂とアルミの積層構造など特に限定しない。
【0012】
蓋材は、主容器の口部の上面に取り付けられ、主容器内部を密封する。また蓋材は、蓋材を引き上げると適度の力で主容器の口部周縁から剥離される。蓋材を主容器に取り付ける方法は、熱溶着、接着剤による貼り付け、超音波溶着等があり、取り付け方法は特に限定しない。蓋材につまみ片を設けると、主容器に貼り付けられた状態でつまみ片をつまみ、剥離し易くなる。
【0013】
小容器は有底カップ状の樹脂製容器で、上部に口部を具えている。小容器には主容器内に収納された主内容物に添加するもの、例えばシロップ、クリーム、ソースなどを収納する。尚、小容器に収納するものは液体に限らず、固体、粉体等でもよい。
【0014】
小容器は、小容器に内容物を収納した状態で、蓋材の裏面に取り付けられている。すなわち、主容器の口部に蓋材を貼着すると、小容器は主容器の内部に設けられる。小容器は、小容器の口部上面を貼り付けた蓋材により、内部が密封されている。小容器を蓋材に取り付ける方法は、蓋材と主容器との取り付け方法と同様、特に限定しない。また小容器に対して蓋材を引き上げると適度の力で蓋材が剥離し、小容器の口部が開口される。
【0015】
また小容器は、その底部が、主容器の内部において、主容器に収納される主内容物の上面位置より下方に位置するように形成してもよい。更に、小容器の底部で、主内容物の内部に浸漬される箇所を適宜な形状に形成してもよい。例えば小容器の底部を、ハート型、星型、動物の形などに形成し、主内容物が固形化したとき、かかる底部の形状の窪みが主内容物の上面に形成されるようにする。
【0016】
尚、小容器は、蓋材の中央に取り付けなくともよく、また小容器は一つに限らず複数蓋材に取り付けてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかるカップ状容器は、次のような効果を有する。
【0018】
小容器を主容器の内部に蓋材とともに確実に組み付けることができる。
【0019】
容器の外観が主容器のみとなり、デザイン性が向上する。
【0020】
主容器内に収納する主内容物の上面位置より、小容器の底部を下方にした場合には、主内容物が固形化してから小容器を取り外すと、小容器の底部の形状に沿った窪みが主内容物の上面に形成される。例えば主内容物の上面に形成された窪みの内部に、小容器からのクリームを注入させることができる。
【0021】
小容器の側壁に形成した注ぎ口を用いて、小容器から容易に内容物を注ぎ出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図5に、カップ状容器2の全体を示す。カップ状容器2は図4に示すように、主容器4と、主容器4を密閉する蓋材6と、小容器8からなり、主容器4にはゼリー状の主内容物20が、また小容器8にはクリームなどの液状の内容物22が収納してある。
【0023】
主容器4は、樹脂製のカップ状容器であり、上部に口部5が設けてあり、口部5の周縁には側方に延出したフランジ10が形成してある。
【0024】
蓋材6は、アルミなどからなる薄片で、側方につまみ片12を具え、熱溶着等を用いてフランジ10に貼り付けてある。蓋材6とフランジ10は、主内容物20が主容器4の外に漏洩せず、しかも適度な引っ張り力で剥離されるように接着してある。蓋材6の裏面には、図5において点線で示すように小容器8が取り付けてある。
【0025】
小容器8は、樹脂製のカップ状容器で、上部に口部9が形成してある。小容器8は、熱溶着などを用いて口部9の周縁を蓋材6のほぼ中央に貼り付けて蓋材6の裏面に取り付けてある。口部9と蓋材6とは、小容器8内の内容物が漏洩せず、しかも適度な引っ張り力で剥離されるように接着してある。
【0026】
次に、カップ状容器2を製品に用いた場合の手順、及び使用方法などについて説明する。
【0027】
主容器4、蓋材6、小容器8は、それぞれに適した材質とその加工方法により成形する。成形された小容器8の内部にクリームなどの内容物22を収納し、小容器8を蓋材6の裏面中央に取り付け、内容物22を小容器8内に密封する。また主容器4には、ゼリーなどの主内容物20を充填し、小容器8を具えた蓋材6を口部5に貼り付け、主容器4内部を密封する。この状態を図5に示す。
【0028】
主容器4に充填した直後の主内容物20は液状であり、蓋材6を口部5に取り付けると小容器8の底部が主内容物20上面から主内容物20の内部に浸漬される。主内容物20は、時間の経過ととともに、あるいは冷却することなどにより主容器4の内部で固形化する。
【0029】
カップ状容器2は、まずつまみ片12を用いて蓋材6を主容器4の口部5から取り除く。主容器4は口部5が開放され、小容器8は、蓋材6の裏面に取り付けられた状態で主容器4の内部から取り出される。
【0030】
小容器8から蓋材6を取り除き、小容器8に収納されている内容物22を主内容物20の上にかける。主内容物20の上面には、小容器8が取り除かれたあとに窪み14が形成してあるので、内容物22は、窪み14の内部に溜められる。
【0031】
更に小容器8を、図6に示すようにその断面をハート型に形成することにより、窪み14がハート型に形成され、窪み14に注いだクリームなどの内容物22がハート型に満たされる。またハート型の突出した部分により、小容器8の側壁に注ぎ口11が形成されるので、注ぎ口11により内容物22が注ぎ易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明にかかるカップ状容器を示した断面図である。
【図2】蓋材を外したときのカップ状容器を示した断面図である。
【図3】小容器から内容物を注ぎ入れている状態を示した断面図である。
【図4】カップ状容器の分解斜視図である。
【図5】本発明にかかるカップ状容器を示した斜視図である。
【図6】小容器の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
2 カップ状容器
4 主容器
5 口部
6 蓋材
8 小容器
9 口部
10 フランジ
11 注ぎ口
12 つまみ片
14 窪み
20 主内容物
22 内容物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主容器は、上部に口部を有するカップ状で、前記口部を密閉する蓋材を剥離可能に具え、
前記蓋材の裏面側に、上部に口部を有する小容器の該口部上面を剥離可能に貼り付け、該小容器を前記主容器内部に組み付けたカップ状容器。
【請求項2】
小容器の底部を、主容器内に収納する主内容物の上面位置より下方に位置させ、固形化した前記主内容物の上面に該底部による窪みを形成させる請求項1に記載のカップ状容器。
【請求項3】
小容器の底部で、少なくとも主内容物内に浸漬される部分の形状を所定の横断面に形成した請求項2に記載のカップ状容器。
【請求項4】
小容器の側壁を一部外方に突出させ、該突出部を該小容器の注ぎ口とした請求項3に記載のカップ状容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−8546(P2007−8546A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−193157(P2005−193157)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】