説明

カバー付き処理装置

【課題】処理ラインの横幅のコンパクト化が図れると共にカバーにより覆われて良好な外観品質と、良好なメンテナンス性を図れるカバー付き処理装置を提供する。
【解決手段】ワークWを搬送する搬送機構80とワークWを処理するワーク下部熱処理部50、ワーク上部熱処理部60、アフタークール処理部70等とを含む熱処理ライン2をフレーム3のベース部4上に配設し、搬送機構80とワーク下部熱処理部50、ワーク上部熱処理部60、アフタークール処理部70等とをベース部4の正面側端部からの距離が異なるように前後に重なる位置に配設し、フレーム3の正面側を正面カバー100で覆い、この正面カバー100はベース部4上を覆う上部開閉戸112を備え、上部開閉戸112はベース部4の正面側端部近傍に配置した下縁部と、下縁部より上方にベース部4の正面側端部より外側に膨出したオーバーハング部126とを有し、オーバーハング部126により熱処理ライン2の最も正面側へ突出した突出部位21,22を覆っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを搬送する搬送機構とワークを処理する処理部とを含む処理ラインがフレームに設けられると共に、フレームの正面側が正面カバーで覆われた処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークを搬送する搬送機構とワークを処理する処理部とを備えた処理ラインを、フレームのベース部上に配設した処理装置が多数使用されている。
例えば下記特許文献1には、カップ部とステム軸部とが同軸上に隣接して一体に設けられた等速ジョイントの焼入装置が記載されている。
【0003】
この焼入装置では、ステム軸部の外周面を焼入れする第1の焼入ステーションと、カップ部の内面を焼入れする第2の焼入ステーションと、ワーク内のスプライン穴を焼入れする第3の焼入ステーションとが設けられると共に、各ステーション間にワークを搬送するための搬送機構が設けられている。これらの第1〜第3の焼入ステーション及び搬送機構により熱処理ラインが構成されており、この熱処理ラインがフレームのベース部上に配設され、フレーム内で動作するようになっている。
【0004】
この等速ジョイント用焼入装置により等速ジョイントを焼入処理するには、入口からワークを搬入して搬送機構で順次第1〜第3の焼入ステーションに移送し、各焼入ステーションにおいてワークの各部を順次加熱及び冷却して熱処理し、熱処理後のワークを出口から搬出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−168133
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような熱処理装置では、フレーム内に配置されている各種の機器が露出しており、外観上見栄えが悪いことに加え、装置周囲の空間との境界が明確でなく、装置周囲をカバーで覆うことが望まれる。
【0007】
ところで、各種の処理装置では、搬送機構と処理部とが一方向に配列して設けられているものが多く、上記特許文献1でも第1〜第3の焼入ステーションの各加熱コイル及び冷却部と搬送機構とが一方向に配置されている。このような装置では、正面側の横幅、即ち、入口から出口までの距離が長くなり易い。
【0008】
装置の横幅を出来るだけ短くしてコンパクト化を図るには、例えば各熱処理部と搬送機構とを正面側から前後方向に重なるように配置することが考えられる。その場合にはベース部上の奥行きを深くすることで、ベース部上に各処理部を配設すればよい。
【0009】
ところが、ベース部の奥行きを深くして各処理部と搬送機構とを前後に重なるように配置すると、各処理部や搬送機構のメンテナンスを行う際、後方の機器のメンテナンスが容易でない。ここでは前方に他の機器が配置されて作業し難いというだけでなく、ベース部の奥まった位置に配置された機器をメンテナンスするために、ベース部の正面側端部側に立った作業者がベース部上に身を乗り出して奥まった位置のメンテナンス部位を操作しなければならず、メンテナンス性が悪い。
【0010】
そこで、本発明は、処理ラインの横幅のコンパクト化が図れると共に、カバーにより覆われて外観品質を良好にでき、しかもメンテナンス性が良好なカバー付き処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する本発明のカバー付き処理装置は、ワークを搬送する搬送機構とワークを処理する処理部とを含む処理ラインがフレームのベース部上に配設され、搬送機構と処理部とはベース部の正面側端部からの距離が異なるように前後に重なる位置に配設され、フレームの正面側が正面カバーで覆われた処理装置であって、正面カバーはベース部上を覆う上部開閉戸を備え、上部開閉戸は、ベース部の正面側端部近傍に配置された下縁部と、下縁部より上方の位置にベース部の正面側端部より外側に膨出するように設けられたオーバーハング部とを有し、オーバーハング部により処理ラインの最も正面側へ突出した突出部位が覆われている。
【0012】
このようなカバー付き処理装置によれば、搬送機構と処理部とがベース部の正面側端部から前後に重なる位置に配設されているので、処理ラインの横幅を狭くして装置のコンパクト化を図れる。
正面カバーの上部開閉戸がベース部の正面側端部近傍に配置された下縁部と、この下縁部より外側に膨出したオーバーハング部とを有し、オーバーハング部により処理ラインの突出部位を覆うので、突出部位がベース部の正面側端部より外側へ突出していても、上部開閉戸を閉じることで正面カバーによりフレームの正面側を外観品質よく確実に覆うことができる。
【0013】
そして、処理ラインの突出部位をベース部の正面側端部より外側へ突出させることで、正面側端部からの奥行きが狭くなるようにベース部を形成して、オーバーハング部を有する上部開閉戸でベース部の上部を覆うので、上部開閉戸を開くことで作業者がベース部の正面側端部まで近づくことができる。そのため、搬送機構と処理部とが前後に重なる位置に配置されてメンテナンス部位がベース部の正面側端部から奥側の位置に配置されていても、メンテナンス時には作業者がメンテナンス部位に容易に近づいて作業を行うことができ、メンテナンス性を良好にできる。
【0014】
カバー部は引き戸からなる上部開閉戸を複数有し、各上部開閉戸は全幅にわたり略同形状の縦断面を有するオーバーハング部が設けられているのがよい。
【0015】
このようにすれば、各上部開閉戸をスライドさせて複数の上部開閉戸を互いに内外に重ねて配置できるので、その分フレームの正面側を広く開口させることができる。そのため、処理ラインの種々の位置で上部開閉戸を広く開口させることが可能であり、メンテナンス作業の作業性を良好に確保することが可能である。
【0016】
このカバー付き処理装置では、フレームの正面側に開閉戸用上レール及び開閉戸用下レールが上向きに配設されると共に、上部開閉戸の上下にそれぞれ開閉戸用上レール又は開閉戸用下レール上を転動可能な回転体を備え、回転体により上部開閉戸が開閉戸用上レール及び開閉戸用下レールにスライド自在に支持されているのがよい。
【0017】
このような構成であれば、フレームに上向きに配設された開閉戸用上レール及び開閉戸用下レール上で回転体が転動して上部開閉戸をスライドさせるため、上部開閉戸がオーバーハング部を有することで開閉戸用上レール及び開閉戸用下レールに対して重心が偏心していても、開閉時の抵抗を小さく抑えて滑らかに開閉させることができる。
【0018】
オーバーハング部の下方位置には、上部開閉戸を開閉するための取手が突設され、この取手がオーバーハング部より外側に突出しないように配置されているのがよい。
このようにすれば、上部開閉戸の表面に取手を大きく突設して操作性を向上させても邪魔になり難い。
【0019】
このカバー付き処理装置では、好ましくは、正面カバーはベース部内部を正面側から覆う開閉可能な下部カバーを備え、下部カバーにより覆われたベース部内部には所定液体を処理ラインの複数箇所へそれぞれ供給するための複数の液体供給路を備え、複数の液体供給路のそれぞれに所定液体の流動状態を調整するための流動調整部を備え、複数の流動調整部が、下部カバーで覆われたベース部の正面側端部近傍に配置される。
【0020】
この構成にすれば、複数の流動調整部がベース部の正面側端部近傍に配置されているので、正面カバーの下部カバーを開放すれば、正面側から複数の液体供給路の流動状態を容易に調整することができ、メンテナンス性をより向上できる。
【0021】
複数の液体供給路は、一次側導入部からベース部の底部に沿って正面側まで配設され、ベース部の正面側で立ち上がった位置に流動調整部が配設され、ベース部の頂部に沿って各処理ラインへ配設されているのがよい。
【0022】
このようにすれば、多数の液体供給路において、各流動調整部をベース部の正面側に配置していても、ベース部の正面側やベース部の頂部に沿って配置するため、ベース部内の空間を広く確保して、ベース部内を有効活用できる。
【0023】
各流動調整部は、流動調整部を有する各液体供給路により所定液体が供給される部位の正面位置付近に配置されているのが好適である。
このようにすれば、各流動調整部により調整する部位を作業者が認識し易く、各部に供給される所定液体の各流動状態の調整作業を行い易い。
【発明の効果】
【0024】
本発明のカバー付き処理装置によれば、搬送機構と処理部とがベース部の正面側端部から前後に重なる位置に配設され、正面カバーの上部開閉戸がベース部の正面側端部近傍に配置された下縁部と、この下縁部より外側に膨出したオーバーハング部とを有し、オーバーハング部により処理ラインの突出部位が覆われている。そのため、処理ラインの横幅のコンパクト化が図れると共に、カバーにより覆われて外観品質を良好にでき、しかもメンテナンス性が良好になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る熱処理装置のカバーを外した状態の概略正面図である。
【図2】実施形態に係る熱処理装置のカバーを外した状態の概略平面図である。
【図3】実施形態に係る熱処理装置の正面図である。
【図4】実施形態に係る熱処理装置の背面図である。
【図5】実施形態に係る熱処理装置のワーク搬入側を示す左側面図である。
【図6】実施形態に係る熱処理装置のワーク搬出側を示す右側面図である。
【図7】(a)は実施形態の熱処理装置に係る上部カバーの正面図、(b)はその平面図である。
【図8】実施形態の熱処理装置に係る上部カバーの側面図である。
【図9】(a)は実施形態の熱処理装置に係る外側の上部開閉戸の側面図、(b)はその上スライド支持部の背面図である。
【図10】実施形態の熱処理装置に係る内側の上部開閉戸の側面図である。
【図11】図10の上部開閉戸における下スライド支持部の背面図である。
【図12】実施形態の熱処理装置に係る液体供給路を説明するための部分側面図である。
【図13】実施形態の熱処理装置に係る液体供給路を説明するための部分正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図1乃至図13を参照して本発明の実施形態について説明する。
この実施形態に係る処理装置は、処理対象であるワークWの熱処理を行うための熱処理装置である。この実施形態のワークWは、例えば車両用の等速ジョイントを作製するための等速ジョイント中間体であり、カップ部Wcと中空又は中実のステム軸部Wsとが同軸に隣接して設けられたものである。なお、カップ部Wcをワーク下部と称し、ステム軸部Wsをワーク上部と称する場合がある。
【0027】
[全体構成]
熱処理装置1は、図1及び図2に示すように、カップ部Wcとステム軸部Wsとを順次高周波焼入れ処理する熱処理ライン2が、フレーム3のベース部4上に配設されている。ベース部4の内部には熱処理ライン2を稼働するために必要な各種の駆動部、配線、配管などが配設されている。そしてベース部4及びその上部を含むフレーム3の正面側全体が図3に示すような正面カバー100により覆われ、背面側全体及び両側面全体がそれぞれ図4乃至図6に示すような背面カバー101及び側面カバー102,103により覆われている。
【0028】
熱処理ライン2には、図1及び図2に示すように、熱処理装置1の幅方向一端側に設けられた搬入位置から他端側に設けられた搬出位置までの間に、仮位相決め部30及び本位相決め部40からなる位相決め処理部、ワーク下部熱処理部50、ワーク上部熱処理部60、及びアフタークール処理部70が順に設けられ、各処理部間でワークWを搬送するための搬送機構80が設けられている。
【0029】
[搬送機構]
搬送機構80は、搬入位置から搬出位置までの間に第1ステーションAから第6ステーションFまでのワーク停止位置を有し、全体を通してベース部4に設けられた中段プレート5の正面側端部に沿って直線状に搬送軸線Lが設定され、搬送軸線Lに沿ってワークWを各ステーションA〜Fに間欠的に搬送可能に構成されている。ここでは搬送軸線Lが搬送されるワークWの中心軸の移動軌跡となっている。
【0030】
この搬送機構80は、搬入位置である第1ステーションAから中間受け渡し位置である第4ステーションDまでワークWを搬送するテーブル式搬送機構10と、第4ステーションDから搬出位置である第6ステーションFまでワークWを搬送するガントリ式搬送機構20とを備える。
【0031】
テーブル式搬送機構10は、搬送軸線Lに沿ってベース部4の中段プレート5の上面に固定された搬送下レール15と、この搬送下レール15にスライド可能に支持され、ステム軸部Wsを上向きにしたワークWのカップ部Wcを支持する3個のテーブル11,12,13と、各テーブル11,12,13を往復動させる第1及び第2のエアシリンダ16,17とを備える。
ガントリ式搬送機構20は、フレーム3の上部枠3aに搬送軸線Lに沿って固定された天井レール24と、この天井レール24にスライド可能に支持されると共に、ワークWのステム軸部Wsを保持して上下動可能な第1及び第2ガントリ21,22と、第1及び第2ガントリ21,22をそれぞれ往復動させる第3及び第4エアシリンダ25,26とを備える。
【0032】
[位相決め処理部]
仮位相決め部30は第1ステーションAに設けられ、ステム軸部Wsを上向きにしてワークWを仮位相決めテーブル11上に載置して周方向の仮位相決めを行う。仮位相決め部30ではワークWに応じて仮位相決めテーブル11の交換や位置調整などのメンテナンスが可能である。
【0033】
本位相決め部40は第2ステーションBに設けられ、仮位相決めテーブル11に載置されたワークWを昇降チャック機構44により本位相決めテーブル12に載せ換えてワークWの正確な周方向の位相決めを行う。本位相決め部40では、ワークWに応じて本位相決めテーブル12の交換や位置調整、昇降チャック機構44の位置調整などのメンテナンスが可能である。
【0034】
[ワーク下部熱処理部]
ワーク下部熱処理部50は、ベース部4の中段プレート5上に立設されたワーク下部用回転軸53aと、ワーク下部用回転軸53a周りの180°対称位置に、間欠的に半回転可能且つ昇降可能に装着された2つの回転チャック機構52と、中段プレート5上に設けられて回転チャック機構52に保持されたワークWのカップ部Wcを熱処理可能なワーク下部用熱処理ヘッド56とを備える。ワーク下部用熱処理ヘッド56には加熱コイル部や冷却液噴射部等が設けられている。
【0035】
このワーク下部熱処理部50では、搬送機構80の第3ステーションCとワーク下部用熱処理ヘッド56が設けられたワーク下部加熱位置Gとに対向する位置が、2つの回転チャック機構52の回動停止位置となっている。第3ステーションCとワーク下部加熱位置Gとは搬送軸線Lに対して斜めに配置されており、熱処理装置1の正面視でワーク下部用回転軸53aとワーク下部用熱処理ヘッド56とが熱処理装置1の幅方向にずれた位置となっている。
【0036】
ワーク下部熱処理部50では、本位相決めテーブル12により第3ステーションCに移送されたワークWのステム軸部Wsを回転チャック機構52により保持してワークWを持ち上げ、回転させてワーク下部用熱処理ヘッド56上に配置し、ワークWを回転しつつ下降及び上昇させてカップ部Wcを熱処理し、再度回転チャック機構52を回転させて第3ステーションCへ戻し、第3ステーションCで移送用テーブル13に載せる動作を行う。
【0037】
このワーク下部熱処理部50では、ワークWに応じて回転チャック機構52の下降位置やチャックの開閉量の調整、ワーク下部用熱処理ヘッド56の加熱コイル部や冷却液噴射部の交換、移送用テーブル13の交換や位置調整などのメンテナンスが可能である。
【0038】
[中間受け渡し位置]
第4ステーションDが中間受け渡し位置となっており、第3ステーションCで移送用テーブル13に載置された状態でワークWが第4ステーションDまで移送される。
第4ステーションDでは、天井レール24にスライド可能に支持されると共に、上下動可能な第1ガントリ21によりワークWを保持上昇させ、ワーク上部熱処理部60の第5ステーションEへ移送する。この中間受け渡し位置では、第1ガントリ21の位置調整などのメンテナンスが可能となっている。
【0039】
[ワーク上部熱処理部]
ワーク上部熱処理部60は、ベース部4の中段プレート5に突出したワーク上部用回転軸61cと、ワーク上部用回転軸61cに支持されて1/3回転づつ間欠回転可能な間欠回転テーブル61と、間欠回転テーブル61に中心から等しい距離で均等に設けられた3箇所のワーク上部用受承具61hと、ワーク上部用受承具61h毎にワークWを囲んで冷却液を吹き付け可能に設けられた環状冷却ジャケット62とを備える。ここではワーク上部用受承具61hの回動が停止する3つの位置が、第5ステーションE、ワーク上部加熱位置H及びワーク上部冷却位置Iとなっている。
【0040】
第5ステーションEは、熱処理装置1の正面視で間欠回転テーブル61のワーク上部用回転軸61cと重なる手前側の位置に設けられ、ワーク上部用加熱ユニット65は間欠回転テーブル61のワーク上部用回転軸61cと重ならない位置に設けられている。
【0041】
ワーク上部加熱位置Hには、中段プレート5上にワーク上部用加熱ユニット65が配設されている。ワーク上部用加熱ユニット65では、間欠回転テーブル61の上方に中実のステム軸部Wsを加熱処理するための加熱コイル部と、中空のステム軸部Wsを加熱処理するための加熱コイル部とがワークWに応じて異なる高さに択一的に装着可能となっている。
なお、第5ステーションE及びワーク上部加熱位置Hには、ワークWを上下動させるためのワーク上部用リフター63,64がそれぞれベース部4に設けられている。
【0042】
ワーク上部熱処理部60では、第1ガントリ21によりワークWが第5ステーションEに移送されると、第1ガントリ21の下降及びワーク上部用リフター63の上下動によりワークWがワーク上部用受承具61hに載置される。間欠回転テーブル61によりワーク上部加熱位置Hに移送され、ワーク上部用リフター部64によりステム軸Wsに応じた加熱コイル部までワークWを上昇させて加熱処理を行う。ワーク上部加熱位置Hで下降してワーク上部用受承具61hに載置すると、環状冷却ジャケット62から冷却液を噴射して冷却を開始する。冷却を継続したまま、間欠回転テーブル61によりワーク上部冷却位置Iまで移送し、この位置で所定時間冷却を継続して冷却を終了する。その後、間欠回転テーブル61によりワークWを再び第5ステーションEへ戻す。
【0043】
このワーク上部熱処理部60では、ワークWに応じて間欠回転テーブル61の各ワーク上部用受承具61h、ステム軸Wsに応じた加熱コイル部、ワーク上部用リフター63,64などを交換したり、位置調整したりするメンテナンスが可能となっている。
【0044】
[アフタークール処理部]
アフタークール処理部70は、間欠的に半回転駆動される反転テーブル71を備え、反転テーブル71の回動が停止する位置が第6ステーションFとアフタークール位置Jとなっている。
第2ガントリ22により移送されたワークWを第6ステーションで反転テーブル71に載置し、反転テーブル71によりアフタークール位置Jに移送し、アフタークール位置JでワークWに冷却液や気体を吹き付けることで、ワークWに残留する熱を放出させ、再度第6ステーションFまで移動させる。
第6ステーションFから熱処理が完了したワークWを外部へ取り出すことが可能となっている。
【0045】
[カバー構造]
本実施形態の熱処理装置1では、図3乃至図6に示すように、正面側全体が正面カバー100により覆われ、背面側全体が背面カバー101により覆われ、両側面側全体が側面カバー102,103により覆われることで、側周位全周が各種のカバーにより覆われている。
【0046】
[正面カバー]
正面カバー100は、図3に示すように、ベース部4より上部を正面側から覆う上部カバー111と、ベース部4の中段プレート5より下を覆う下部カバー113を備える。
上部カバー111は、図7(a)(b)及び図8に示すように、複数の上部開閉戸112からなり、各上部開閉戸112は搬送軸線Lに沿ってフレーム3に直線状に配設された開閉戸用上レール115及び開閉戸用下レール116によりスライド可能に支持された引き戸からなる。
【0047】
開閉戸用上レール115は、図9乃至図11に示すように、上向きに突出する山形形状を呈し、フレーム3の頂部の正面側に配設された上部枠3aに固定されている。ここでは2本の開閉戸用上レール115が互いに平行に配設されており、熱処理ライン2に近い内側の開閉戸用上レール115が、外側の開閉戸用上レール115より高い位置となっている。
この実施形態では、各開閉戸用上レール115の斜め下方に平板部材からなる上補助レール119が固定して設けられており、開閉戸用上レール115の頂部と上補助レール119の下面との相対位置が全長にわたり略一定となっている。
【0048】
開閉戸用下レール116は平板状に形成されており、ベース部4の正面側端部近傍に固設された開閉戸用下レール基部121の両側面に側縁を上方に向けて立てた状態で装着されている。ここでは2本の開閉戸用下レール116が互いに平行に同じ高さで配設されている。また、2本の開閉戸用下レール116間の中間位置に、上方に突出して下補助プレート123が開閉戸用下レール116と平行に配設され、ベース部4に2本の開閉戸用下レール116及び下補助プレート123より上方に突出して外枠プレート124がこれらに沿って配設されている。
この実施形態では、各開閉戸用上レール115と各開閉戸用下レール116との水平方向の位置は同一の位置で、即ち鉛直方向に重なる位置となっているが、一方が他方よりも正面側に配置されていてもよい。
【0049】
各上部開閉戸112は、略同じ幅を有して略同じ縦断面形状に形成されると共に、全幅にわたり縦断面外形形状が略一定に形成されており、ベース部4の正面側端部近傍に配置された上部開閉戸下縁部125と、上部開閉戸下縁部125より上方にベース部4の正面側端部より外側に膨出したオーバーハング部126とを有した立体形状を呈する。
各上部開閉戸112にはオーバーハング部126の中央位置に耐熱性を有する透明材料からなる窓部112aが設けられており、窓部112aを通して熱処理ラインが視認可能となっている。
【0050】
各上部開閉戸112の上端側には、開閉戸用上レール115に各上部開閉戸112をスライド可能に支持する上スライド支持部131が幅方向の2カ所に設けられている。
上スライド支持部131には、開閉戸用上レール115上を転動可能な上戸車132と、上調整ブラケット133に装着されて上補助レール119の下面に下側から当接して転動する上カムフォロア134とが設けられている。上戸車132と上カムフォロア134とにより開閉戸用上レール115及び上補助レール119とを上下から略挟持した状態で装着することで、各上部開閉戸112がスライド中に開閉戸用上レール115から外れることを防止している。
【0051】
各上部開閉戸112の下端側には、開閉戸用下レール116にスライド可能に支持するための下スライド支持部136が幅方向の2カ所に設けられている。
下スライド支持部136には、高さ調整部137を介して装着されて上部開閉戸112から下方への突出量を調整可能な下ブラケット135と、開閉戸用下レール116上を転動可能に下ブラケット135に装着された下戸車138と、開閉戸用下レール116の側面に側方側方から当接して転動する下カムフォロア139が設けられている。ここでは下カムフォロア139が開閉戸用下レール116の側面に当接して回動することで、各上部開閉戸112のスライド中に開閉戸用下レール116から一方側に外れることが防止されている。なお、各上部開閉戸112の下端側の側面が下補助プレート123に摺動可能に接していてもよい。
【0052】
上部開閉戸112には、さらに上部開閉戸112を開閉するための取手141がオーバーハング部126の下方の傾斜面に上部開閉戸112毎に突設されている。取手141はパイプ状材料から略L字状に形成されており、平面視においてオーバーハング部126の外形より外側に突出しないように配置されている。具体的には、上部開閉戸の下縁部125の外側表面から取手141の先端までの距離が、上部開閉戸下縁部125の外側表面とオーバーハング部126の最も外側に膨出した表面との間の水平距離以下となっている。
【0053】
このような上部カバー111では、図2に示すように、4枚の上部開閉戸112により熱処理ライン1の前面側の全体が覆われており、正面視において左端から右端までの各上部開閉戸112により、第1及び第2セクションA,Bと、第3セクションC及びワーク下部加熱位置Gと、第4セクションD及びワーク上部加熱位置Hと、ワーク上部冷却位置I及び第6セクションFとが別の上部開閉戸112により覆われている。
【0054】
熱処理ライン1には、常時或いは作動時にベース部4の前端縁付近や前端縁より手前側に突出する部位が存在するが、そのような突出部位は上部開閉戸112が閉じた状態ではオーバーハング部126により覆われる。例えば、図2に示すように、ワーク下部熱処理部50の回転チャック機構52の一部が作動時にベース部4の前端縁付近を通過し、図10に示すように、搬送機構10,20の第1ガントリ21及び第2ガントリ22が常時ベース部4の前端縁より手前側に突出しているが、これらの動作を阻害することなく、オーバーハング部126により覆われている。
【0055】
[下部カバー]
本実施形態の熱処理装置1においては、図3に示すように、ベース部4の中段プレート5より下方の位置に、ベース部4の内部を正面側から覆う下部カバー113が設けられている。下部カバー113は、4枚の倹飩(けんどん)式戸145からなり、ベース部4の複数の縦支柱間の開口に着脱可能に装着されている。倹飩式戸145がベース部4から取り外されることで、ベース部4の内部が露出されるようになっている。
【0056】
[背面カバー及び側面カバー]
熱処理装置1の背面側には、図2に示すように、例えば冷却液用の水の一次側導入部201と熱処理ライン2で使用された冷却液を回収するための帰還水集液部161とが配置された冷却液供給回収部160、トランス等が配置された電源部170、配電盤180などが設けられている。そして、図4に示すように、これらの背面側が背面カバー101により覆われており、各部毎に開閉可能な背面開閉戸105が設けられている。
【0057】
一方、熱処理装置1の両側面側は、図5及び図6に示すように、側面カバー102,103により覆われている。各側面カバー102,103の熱処理ライン2の側方、その下部のベース部4の側方、冷却液供給回収部160の側方には、開閉可能な側面開閉戸106が設けられている。また側面カバー102には第1ステーションAに対応する位置に、ワークWの搬入口102aが開設され、側面カバー103には第6ステーションFに対応する位置に、ワークWの搬出口103aが開設されている。
【0058】
[ベース部内部]
ベース部4内には熱処理ライン2を稼働するための種々の部材が配設されている。図1に示すように、例えばワーク下部熱処理部50に対応する位置及びその近傍には、2つの回転チャック機構52を間欠的に半周回動させる動作を往復させる往復回動手段53が配設されて、ワーク上部熱処理部60に対応する位置及びその近傍には、間欠回転テーブル61を間欠的に回転駆動するための間欠回動手段61eが配設されると共に、ワーク上部用リフター63,64を上下駆動するためのリフター駆動手段が配設されている。
【0059】
そして、このベース部4内には配線や配管が多数設けられており、図12に示すように、ワーク下部熱処理部50やワーク上部熱処理部60等に冷却液を供給したり、流下する冷却液を回収したりするための液体供給路200が硬質の配管部材により所定位置に配設されている。
【0060】
液体供給路200は、図12、図13に示すように、フレーム3の背面側の下部に冷却液源からの冷却液が供給される一次側導入部201と、一次側導入部201からワーク下部熱処理部50、ワーク上部熱処理部60、アフタークール処理部70等へ冷却液を分流するように適宜分岐し、ベース部4の底部に沿ってベース部4の正面側端部近傍まで配設された複数の底部液体供給路202と、ベース部4の正面側で底部液体供給路202と連続して立ち上がるように設けられた複数の立上り配管203と、ベース部4の正面側で立上り配管203と連続して設けられ、ベース部4の頂部裏面側に沿って各処理部50,60,70等の近傍位置まで配設された複数の頂部液体供給路204とを備えている。
なお、ベース部4は、C形、L形、H形等の形鋼からなるベース枠4a上に中段プレート5が配設された構造を有する。そのため底部液体供給路202や頂部液体供給路204の配置高さは、略水平方向に配置されたベース枠4aの形鋼の高さ範囲内に配置され、適宜ベース枠4aの形鋼を貫通して配設されるのが好適である。
【0061】
複数の立上り配管203のそれぞれには、冷却液の流動状態を調整するためのバルブ等の流動調整部205が同じ高さに設けられている。ここで流動状態は、例えば冷却液の流量や流体圧などで、流動調整部205はそれらを手動で調整するためのレバーやハンドルなどである。この流動調整部205の近傍には流量計が配設されているのがよい。
この実施形態では、複数の流動調整部205が、各流動調整部205を備えた液体供給路200により冷却液が供給される各処理部50,60,70等の正面位置付近に配置されている。
【0062】
[メンテナンス]
この熱処理装置1ではベース部4上の熱処理ライン2やベース部4内の各部において、種々のメンテナンスが適宜必要であり、ワークWを変更する際には、各部においてワークWの大きさ、カップ部Wcや中空又は中実のステム軸部Wの形状などに応じたメンテナンスが行われる。例えばワーク下部熱処理部50の加熱位置Gでは、回転チャック機構52の下降位置やチャックの開閉量の調整、ワーク下部用熱処理ヘッド56の加熱コイル部や冷却液噴射部の交換や位置調整を行う。またワーク上部熱処理部60の加熱位置Hでは、ステム軸Wsに応じた加熱コイル部の交換や位置調整或いはワーク上部用リフター63,64の位置調整を行う。
【0063】
このような各種のメンテナンス作業を正面側から行う場合、それぞれのメンテナンス部位に対応する上部開閉戸112や下部カバー113の倹飩式戸145を開放し、作業者がベース部上やベース部内に手や工具を挿入してそれぞれのメンテナンス作業を行う。
そしてメンテナンス作業後には開放した上部開閉戸112や倹飩式戸145を閉じて、熱処理ライン2を稼働させ、ワークWの熱処理を行うことができる。
【0064】
[実施形態の効果]
以上のような熱処理装置1によれば、ワーク下部熱処理部50の加熱位置G、ワーク上部熱処理部60の加熱位置H、アフタークール処理部70のアフタークール位置J等と搬送機構80とをベース部4の正面側端部から異なる距離に配設するようにして熱処理ライン2が設けられているので、これらの各位置G,H,J等と搬送機構80とを正面側から前後に重ねて配置することができる。そのため熱処理装置1の横幅を狭くしてコンパクト化を図ることができる。
【0065】
その反面、このような配置の熱処理装置1では、正面側端部からの奥行きが深くなり易いため、ワーク下部熱処理部50の加熱位置G、ワーク上部熱処理部60の加熱位置H、アフタークール処理部70のアフタークール位置J等の各メンテナンス部位が、正面側端部から遠くなり易い。
【0066】
ところが、この熱処理装置1では、正面カバー100の上部開閉戸112がベース部4の正面側端部近傍に配置された上部開閉戸下縁部125と、この上部開閉戸下縁部125より外側に膨出したオーバーハング部126とを有し、オーバーハング部126により熱処理ライン2の各部位が覆われているので、上部開閉戸112を開くことで、作業者がベース部4の正面側端部まで容易に近づくことができ、ワーク下部熱処理部50の加熱位置G、ワーク上部熱処理部60の加熱位置H、アフタークール処理部70のアフタークール位置J等の各メンテナンス部位に作業者が容易に近づいて作業を行うことができる。そのためメンテナンス作業が容易である。
【0067】
この熱処理装置1では、各上部開閉戸112がそれぞれ略同じ縦断面形状を呈しており、各上部開閉戸112の全幅にわたり所定のオーバーハング部126が設けられているので、複数の上部開閉戸112のいずれもが処理ライン2の正面側へ突出した部位の正面位置を容易にスライドして通過させることが可能である。しかも、複数の上部開閉戸112を互いに内外に重ねて配置できるため、熱処理ライン2の種々の位置で上部開閉戸112を広く開口させることが可能で、メンテナンス作業を良好に確保し易い。
【0068】
この熱処理装置1では、開閉戸用上レール115及び開閉戸用下レール116が上向きに配設され、上部開閉戸112が開閉戸用上レール115及び開閉戸用下レール116上を転動可能な上戸車132及び下戸車138を有してレール115,116にスライド自在に支持されているので、開閉時の抵抗を小さく抑えて滑らかに開閉させることができ、上部開閉戸112の操作性がよい。特に、上戸車132と上カムフォロア134とで開閉戸用上レール115及び上補助レール119を上下から略挟持し、且つ、下カムフォロア139が開閉戸用下レール116の側面に当接して転動するため、上部開閉戸112がオーバーハング部126を有することで開閉戸用上レール115及び開閉戸用下レール116に対して重心が偏心していても、開閉時の抵抗を小さく抑えて滑らかに開閉させることができる。
【0069】
この熱処理装置1では、上部開閉戸112に上部開閉戸112を開閉するための取手141がオーバーハング部126の下方に突設され、この取手141がオーバーハング部126より外側に突出しないように配置されているので、上部開閉戸112の表面に取手141を大きく突出して設けて操作性を向上していても、オーバーハング部126より突出して邪魔になるようなことがない。
【0070】
この熱処理装置1では、下部カバー113により覆われたベース部4の内部に冷却液を熱処理ライン2の複数箇所へそれぞれ供給するための複数の液体供給路200を備え、複数の液体供給路200がそれぞれ流動調整部205を有し、各流動調整部205が下部カバー113で覆われたベース部4内部の正面側端部近傍に配置されているので、下部カバー113を開放すれば、正面側から複数の液体供給路200の流動状態を容易に調整することができ、メンテナンス性が良好である。
【0071】
この熱処理装置1では、複数の液体供給路200が一次側導入部201からベース部4の底部に沿って正面側まで配設され、ベース部4の正面側で立ち上がった位置に流動調整部205が配設され、ベース部4の頂部裏面側に沿って各熱処理ライン2まで配設されているので、各流動調整部205をベース部4の正面側に配置していても、ベース部4の正面側やベース部4の頂部裏面側に沿って配置できて、ベース部4内の空間を広く確保でき、ベース部4内を有効活用して小型化を図ることができる。
【0072】
この熱処理装置1では、各流動調整部205が各液体供給路200により冷却液が供給されるワーク下部熱処理部50、ワーク上部熱処理部60、アフタークール処理部70等の正面位置付近に配置されているので、各流動調整部205により調整される部位を作業者が認識し易く、各部に供給される冷却液の調整作業を行い易い。
【0073】
上記実施形態は本発明の範囲内において適宜変更可能である。例えば上記では、等速ジョイントの熱処理装置ついて説明したが、他の部材の熱処理装置であってもよく、さらに熱処理以外の処理を行う装置であっても本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 熱処理装置
2 熱処理ライン
3 フレーム
3a 上部枠
4 ベース部
5 中段プレート
10 テーブル式搬送機構
11 仮位相決めテーブル
12 本位相決めテーブル
13 移送用テーブル
15 搬送下レール
16,17 第1及び第2エアシリンダ
20 ガントリ式搬送機構
21,22 第1及び第2ガントリ
24 天井レール
25,26 第3及び第4エアシリンダ
30 仮位相決め部
40 本位相決め部
44 昇降チャック機構
50 ワーク下部熱処理部
52 回転チャック機構
53 往復回動手段
53a ワーク下部用回転軸
56 ワーク下部用熱処理ヘッド
60 ワーク上部熱処理部
61 間欠回転テーブル
61c ワーク上部用回転軸
61g 間欠回動手段
61h ワーク上部用受承具
62 環状冷却ジャケット
63,64 ワーク上部用リフター
65 ワーク上部用加熱ユニット
70 アフタークール処理部
71 反転テーブル
80 搬送機構
100 正面カバー
101 背面カバー
102,103 側面カバー
102a 搬入口
103a 搬出口
105 背面開閉戸
106 側面開閉戸
111 上部カバー
112 上部開閉戸
112a 窓部
113 下部カバー
115 開閉戸用上レール
115a 凸部
116 開閉戸用下レール
119 上補助レール
121 開閉戸用下レール基部
123 下補助プレート
124 外枠プレート
125 上部開閉戸下縁部
126 オーバーハング部
131 上スライド支持部
132 上戸車
133 上調整ブラケット
134 上カムフォロア
136 下スライド支持部
137 高さ調整部
138 下戸車
139 下カムフォロア
141 取手
145 慳貪式戸
160 冷却液供給回収部
161 帰還水集液部
170 電源部
180 配電盤
200 液体供給路
201 一次側導入部
202 底部液体供給路
203 立上り配管
204 頂部液体供給路
205 流動調整部
A 第1ステーション
B 第2ステーション
C 第3ステーション
D 第4ステーション
E 第5ステーション
F 第6ステーション
G ワーク下部加熱位置
H ワーク上部加熱位置
I ワーク上部冷却位置
L 搬送軸線
W ワーク
Wc カップ部
Ws ステム軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送する搬送機構と該ワークを処理する処理部とを含む処理ラインがフレームのベース部上に配設され、上記搬送機構と上記処理部とは上記ベース部の正面側端部からの距離が異なるように前後に重なる位置に配設され、上記フレームの正面側が正面カバーで覆われた処理装置であり、
上記正面カバーは上記ベース部上を覆う上部開閉戸を備え、
該上部開閉戸は、上記ベース部の正面側端部近傍に配置された下縁部と、該下縁部より上方の位置に上記ベース部の正面側端部より外側に膨出するように設けられたオーバーハング部とを有し、該オーバーハング部により上記処理ラインの最も正面側へ突出した突出部位が覆われている、カバー付き処理装置。
【請求項2】
前記カバー部は引き戸からなる前記上部開閉戸を複数有し、各上部開閉戸は全幅にわたり略同形状の縦断面を有する前記オーバーハング部が設けられている、請求項1に記載のカバー付き処理装置。
【請求項3】
前記フレームの正面側に開閉戸用上レール及び開閉戸用下レールが上向きに配設されると共に、上記上部開閉戸の上下にそれぞれ上記開閉戸用上レール又は開閉戸用下レール上で転動可能な回転体を備え、該回転体により上記上部開閉戸が上記開閉戸用上レール及び開閉戸用下レールにスライド自在に支持された、請求項2に記載のカバー付き処理装置。
【請求項4】
前記オーバーハング部の下方位置に前記上部開閉戸を開閉するための取手が突設され、該取手が上記オーバーハング部より外側に突出しないように配置されている、請求項1乃至3の何れかに記載のカバー付き処理装置。
【請求項5】
前記処理ラインは複数の熱処理部を有した熱処理ラインである、請求項1乃至4の何れかに記載のカバー付き処理装置。
【請求項6】
前記正面カバーは前記ベース部内部を正面側から覆う開閉可能な下部カバーを備え、該下部カバーにより覆われた上記ベース部内部には所定液体を前記処理ラインの複数箇所へそれぞれ供給するための複数の液体供給路を備え、
上記複数の液体供給路のそれぞれに上記所定液体の流動状態を調整するための流動調整部を備え、上記複数の流動調整部が前記下部カバーで覆われた上記ベース部の正面側端部近傍に配置されている、請求項1乃至5の何れかに記載のカバー付き処理装置。
【請求項7】
前記各流動調整部は、該流動調整部を備えた各前記液体供給路により前記所定液体が供給される部位の正面位置付近に配置されている、請求項6に記載のカバー付き処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−26003(P2012−26003A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166563(P2010−166563)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(390029089)高周波熱錬株式会社 (288)
【Fターム(参考)】