説明

カバー開閉機構及びこれを備えた画像形成装置

【課題】カバーを左右何れからでも開閉することができるカバー開閉機構とこれを備えた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】装置本体2側に設けられたヒンジ軸受11にカバー8側に設けられたヒンジ軸9を嵌合させて構成されるヒンジ構造を備え、該ヒンジ構造を中心として前記カバー8を開閉させるカバー開閉機構において、前記ヒンジ構造を前記カバー8の左右両端にそれぞれ設け、各ヒンジ構造を構成する前記ヒンジ軸受11に切欠き11aを形成し、前記ヒンジ軸9に面取り部9aを形成し、該面取り部9aが前記切欠き11aに沿う位置においてのみ前記ヒンジ軸9が前記ヒンジ軸受11に対して着脱可能とすることによって前記カバー8を左右何れからでも開閉することができるよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに嵌合するヒンジ軸受とヒンジ軸によって構成されるヒンジ構造を中心としてカバーを開閉させるカバー開閉機構とこれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子写真方式によって用紙に画像を形成する複写機やプリンター等の画像形成装置の本体には、ジャムした用紙の除去、部品の修理や交換等のメンテナンスを行うための開口部が形成されており、この開口部はカバーによって開閉される。
【0003】
ところで、カバーの開閉機構に関して、特許文献1には、回転部材に切欠きを設けることなく、デザイン性を向上させたヒンジ装置が提案されている。又、特許文献2には、カバーを開放位置から更に外側に押圧した場合のように荷重が開放位置から更に開放方向に掛かった場合には、カバーのヒンジ部の軸部が軸受穴から外れるよう構成することによってヒンジ部の破損を防ぐようにしたカバー開閉機構が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−118613号公報
【特許文献2】特開2010−238851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、カバーを備える画像形成装置にあっては、これが設置される場所によってはカバーを左又は右から開閉する方が便利な場合があり、場合によってはカバーを左右の何れかからしか開けることができないこともある。
【0006】
しかしながら、特許文献1,2において提案されたカバー開閉機構においては、カバーを左右何れからでも開閉することはできない。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、カバーを左右何れからでも開閉することができるカバー開閉機構とこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、装置本体側に設けられたヒンジ軸受にカバー側に設けられたヒンジ軸を嵌合させて構成されるヒンジ構造を備え、該ヒンジ構造を中心として前記カバーを開閉させるカバー開閉機構において、前記ヒンジ構造を前記カバーの左右両端にそれぞれ設け、各ヒンジ構造を構成する前記ヒンジ軸受に切欠きを形成し、前記ヒンジ軸に面取り部を形成し、該面取り部が前記切欠きに沿う位置においてのみ前記ヒンジ軸が前記ヒンジ軸受に対して着脱可能とすることによって前記カバーを左右何れからでも開閉することができるよう構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記カバーはその開閉平面視でL字状に屈曲しており、その左右両端に設けられた各ヒンジ構造の前記ヒンジ軸に形成された面取り部は、当該カバーの全閉時に前記ヒンジ軸受の切欠きに沿っていることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の画像形成装置は、請求項1又は2記載のカバー開閉機構を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、ヒンジ構造をカバーの左右両端にそれぞれ設け、各ヒンジ構造を構成するヒンジ軸に形成された面取り部がヒンジ軸受に形成された切欠きに沿う位置においてのみヒンジ軸がヒンジ軸受に対して着脱可能とするよう構成したため、カバーを左右何れからでも開閉することができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、カバーは開閉平面視でL字状に屈曲しているため、該カバーの全閉時にその左右両端の両ヒンジ構造においてヒンジ軸の面取り部がヒンジ軸受の切欠きに沿っていても、ヒンジ軸のヒンジ軸受からの抜け方向が互いに直交するため、全閉時におけるカバーの装置本体からの脱落が防がれる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、カバーを左右何れからでも開閉することができるため、装置本体の設置場所が制限を受けることがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る画像形成装置の斜視図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置のカバーを取り外した状態の部分斜視図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置のカバーを左側から開けた状態を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る画像形成装置のカバーを右側から開けた状態を示す斜視図である。
【図5】カバーの内面を斜め下方から見た斜視図である。
【図6】本発明に係るカバー開閉機構を構成する装置本体側のヒンジ軸受を示す部分平面図である。
【図7】本発明に係るカバー開閉機構を構成するカバー側のヒンジ軸を示す部分斜視図である。
【図8】本発明に係るカバー開閉機構のカバーが全閉されているときの状態を示す部分平断面図である。
【図9】本発明に係るカバー開閉機構のカバーが左側から開けられた状態を示す部分平断面図である。
【図10】本発明に係るカバー開閉機構のカバーが右側から開けられた状態を示す部分平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明に係る画像形成装置の斜視図、図2は同画像形成装置のカバーを取り外した状態の部分斜視図、図3は同画像形成装置のカバーを左側から開けた状態を示す斜視図、図4は同画像形成装置のカバーを右側から開けた状態を示す斜視図である。
【0017】
本実施の形態に係る画像形成装置1は、複写機能とプリンター機能及びファクシミリ機能を兼備した複合機(MFP)であって、その装置本体2の上部には原稿を光学的に読み取るための原稿読取装置3が設けられており、この原稿読取装置3には原稿を読取位置に自動的に搬送する自動原稿搬送装置(ADF)4が設けられている。
【0018】
又、装置本体2の前記原稿読取装置3の下方には排紙トレイ5が設けられており、図示しないが、装置本体2には、感光ドラム、帯電器、露光装置、現像装置、転写装置、定着装置等の各種プロセス機器が内蔵されている。
【0019】
ところで、図2に示すように、装置本体2の背面側の角部には2面(側面と背面)に亘って凹部6が形成されており、この凹部6にはコントロールボックス7が配置されている。そして、装置本体2の凹部6はカバー8によって開閉されるが、図1に示すように全閉状態にあるカバー8は、本発明に係るカバー開閉機構によって図3及び図4に示すように左右何れからでも開閉することができる。
【0020】
ここで、カバー8とその開閉機構の構成及び作用を図5〜図10に基づいて以下に説明する。
【0021】
図5はカバーの内面を斜め下方から見た斜視図、図6は本発明に係るカバー開閉機構を構成する装置本体側のヒンジ軸受を示す部分平面図、図7は同カバー開閉機構を構成するカバー側のヒンジ軸を示す部分斜視図、図8はカバーが全閉されているときの状態を示す部分平断面図、図9はカバーが左側から開けられた状態を示す部分平断面図、図10はカバーが右側から開けられた状態を示す部分平断面図である。
【0022】
カバー8は、図5に示すように、互いに直角を成す背面部8Aと側面部8Bとで開閉平面視でL字状に屈曲した形状に一体成形されており、その内面の左右両端(背面部8Aの端部と側面部8Bの端部)の上下にはヒンジ軸9がそれぞれ一体に形成されている。ここで、各ヒンジ軸9には、図7に示すように、その両面が面取りされた矩形リブ状の面取り部9aが設けられている。尚、カバー8の背面部8Aの内面の上下左右の4箇所には装置本体2側に向かって突出する係合爪10がそれぞれ一体に形成されている。
【0023】
他方、装置本体2の前記凹部6には、カバー8側の計4つのヒンジ軸9に対応する箇所に図6に示すような円孔状のヒンジ軸受11がそれぞれ形成されており、このヒンジ軸受11の一部には、カバー8側に形成された前記ヒンジ軸9の面取り部9aの通過を許容する切欠き11aが形成されている。ここで、カバー8側に形成されたヒンジ軸9の面取り部9aは、図8に示すように装置本体2側のヒンジ軸受11に嵌合しており、これらのヒンジ軸9とヒンジ軸受11とはヒンジ構造を構成している。従って、本実施の形態では、カバー8は、その左右両端の上下に設けられた計4つのヒンジ構造によって装置本体2に回動可能に支持されている。
【0024】
而して、カバー8が図1に示すように全閉状態にあるときには、図8に示すようにカバー8の左右両端に設けられたヒンジ構造の何れにおいてもヒンジ軸9の面取り部9aはヒンジ軸受11の切欠き11aに沿って(合致)している。ここで、カバー8は前述のように開閉平面視でL字状に屈曲しているため、該カバー8の全閉時にその左右両端の両ヒンジ構造においてヒンジ軸9の面取り部9aがヒンジ軸受11の切欠き11aに沿っていても、ヒンジ軸9のヒンジ軸受11からの抜け方向が互いに直交するため、全閉時におけるカバー8の装置本体2からの脱落が防がれる。
【0025】
図1に示すように全閉状態にあるカバー8を図3に示すように左側から開ける場合には、該カバー8の左端を持ってこれを左方向に回動させれば、図9に示すように、左端のヒンジ構造においてはカバー8側のヒンジ軸9の面取り部9aが装置本体2側のヒンジ軸受11の切欠き11aを通過し、右側のヒンジ構造においてはヒンジ軸9が回動してその面取り部9aがヒンジ軸受11の切欠き11aに沿わない(合致しない)ため、カバー8は右端のヒンジ構造を中心として回動し、これによってカバー8が左側から開けられる。
【0026】
他方、図1に示すように全閉状態にあるカバー8を図4に示すように右側から開ける場合には、該カバー8の右端を持ってこれを右方向に回動させれば、図10に示すように、右端のヒンジ構造においてはカバー8側のヒンジ軸9の面取り部9aが装置本体2側のヒンジ軸受の切欠きを通過し、左側のヒンジ構造においてはヒンジ軸が回動してその面取り部がヒンジ軸受11の切欠き11aに沿わない(合致しない)ため、カバー8は左端のヒンジ構造を中心として回動し、これによってカバー8が右側から開けられる。
【0027】
以上のように、本実施の形態によれば、ヒンジ構造をカバー8の左右両端にそれぞれ設け、各ヒンジ構造を構成するヒンジ軸9に形成された面取り部9aがヒンジ軸受11に形成された切欠き11aに沿う位置においてのみヒンジ軸9がヒンジ軸受11に対して着脱可能とするよう構成したため、カバー8を左右何れからでも開閉することができる。
【0028】
従って、本発明に係るカバー開閉機構を備える画像形成装置1においては、カバー8を左右何れからでも開閉することができるため、装置本体2の設置場所が制限を受けることがなく、その設置の自由度が高められる。
【符号の説明】
【0029】
1 画像形成装置
2 装置本体
3 原稿読取装置
4 自動原稿搬送装置
5 排紙トレイ
6 装置本体の凹部
7 コントロールボックス
8 カバー
8A カバーの背面部
8B カバーの側面部
9 ヒンジ軸
9a ヒンジ軸の面取り部
10 係合爪
11 ヒンジ軸受
11a ヒンジ軸受の切欠き


【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体側に設けられたヒンジ軸受にカバー側に設けられたヒンジ軸を嵌合させて構成されるヒンジ構造を備え、該ヒンジ構造を中心として前記カバーを開閉させるカバー開閉機構において、
前記ヒンジ構造を前記カバーの左右両端にそれぞれ設け、各ヒンジ構造を構成する前記ヒンジ軸受に切欠きを形成し、前記ヒンジ軸に面取り部を形成し、該面取り部が前記切欠きに沿う位置においてのみ前記ヒンジ軸が前記ヒンジ軸受に対して着脱可能とすることによって前記カバーを左右何れからでも開閉することができるよう構成したことを特徴とするカバー開閉機構。
【請求項2】
前記カバーはその開閉平面視でL字状に屈曲しており、その左右両端に設けられた各ヒンジ構造の前記ヒンジ軸に形成された面取り部は、当該カバーの全閉時に前記ヒンジ軸受の切欠きに沿っていることを特徴とする請求項1記載のカバー開閉機構。
【請求項3】
請求項1又は2記載のカバー開閉機構を備えることを特徴とする画像形成装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−28086(P2013−28086A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166245(P2011−166245)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】