説明

カプセル化ツールおよび方法

有機電子デバイスのカプセル化プロセスを改善するための方法およびデバイスが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に有機電子デバイスの製造に関する。
【0002】
(関連出題の相互参照)
本願は、2004年12月30日出願の米国特許公報(特許文献1)に利益を要求する。この特許の開示は、本明細書において全体として援用される。
【背景技術】
【0003】
有機電子デバイスは電気エネルギーを放射線に変換し、電子プロセスを通して信号を検出し、放射線を電気エネルギーに変換し、または1つまたは複数の有機半導体層を含む。認識され得るように、酸素および湿分のような環境要因から有機電子デバイスを密閉することは重要である。従って、バリヤを形成するために有機電子デバイスをフィルムまたは複数のフィルムでカプセル化することが多い。
【0004】
現在のカプセル化プロセスは、非常に変動する性能パラメータおよび低いプロセス収率のデバイスを製造する。首尾よいデバイスのカプセル化は、制御された環境においてシーラント材料(エポキシ等)の正確な配置を必要とする。温度、圧力および他の周囲条件における変動は、シーラント材料の分配特性およびそれらを正確に付着させる能力、ならびに再現性のある様式での実施する能力に影響を及ぼす。デバイスを首尾よくカプセル化することの最大の難題の1つは、カプセル化後およびシーラントの硬化前にデバイス内の圧力を制御する能力である。この圧力が高すぎる場合、デバイス内部の気体が未硬化シールの弱い結合部分を見つけ出し、そしてそれを開放させてシール中に欠損を形成する。成績として欠陥のあるデバイスが生じる。
【0005】
従って、カプセル化プロセスの改善が必要とされる。
【0006】
【特許文献1】米国仮特許出願第60/640,781号明細書
【特許文献2】国際公開第02/02714号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2001/0019782号明細書
【特許文献4】欧州特許第1191612号明細書
【特許文献5】国際公開第02/15645号パンフレット
【特許文献6】欧州特許第1191614号明細書
【特許文献7】米国特許第6,303,238号明細書
【特許文献8】国際公開第00/70655号パンフレット
【特許文献9】国際公開第01/41512号パンフレット
【非特許文献1】「フレキシブル ライト−エミッティング ダイオード メイド フローム ソルブル コンダクティング ポリマー(Flexible Light−Emitting Diodes Made From Soluble Conducting Polymer)」、ネーチャー(Nature)、1992年、357、477頁−479頁
【非特許文献2】カーク オスマー(Kirk Othmer)、「エンサイクロペディア オブ ケミカル テクノロジー(Encyclopedia of Chemical Technology)」、第18巻、837頁〜860頁(第4版、1996年)
【非特許文献3】ブラッドレイ(Bradley)ら、「シンテティック メタルズ(Synth.Met.)」、2001年、116(1−3)、379頁−383頁
【非特許文献4】キャンプベル(Campbell)ら、「フィジカル レビュー B(Phys.Rev.B)」、第65 085210巻
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ハウジングと、係合時に蓋およびハウジングがその間に密封空間を画定するようにハウジングを係合する蓋と、密封空間における条件を変更するための制御装置とを含んでなるデバイスが提供される。
【0008】
カプセル化後、有機電子デバイスの内圧を制御する工程を含んでなる有機電子デバイスのカプセル化方法が提供される。
【0009】
上記デバイスにおいて有機電子デバイスを配置する工程を含んでなる有機電子デバイスのカプセル化蓋の位置合わせ方法が提供される。
【0010】
前記の一般的な記載および以下の詳細な記載は例示であり、あくまでも説明のためのものであり、添付の特許請求の範囲で定義されるように本発明を限定するものではない。
【0011】
実施形態は、本明細書において提示される概念の理解を向上するため、添付の図面に例示される。
【0012】
図面は例示として提供され、本発明を限定する意図はない。当業者は、図面中の物体が簡単におよび明瞭にするために例示されており、そして必ずしも一定の比率で描写されているわけではないことを認識する。例えば、実施形態の理解を向上するのを助けるために、図面中の物体のいくつかの寸法は他の物体に対して誇張されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
一実施形態において、有機電子デバイスをカプセル化するためのデバイス(図1)が提供される。
【0014】
一実施形態において、ハウジングと、係合時に蓋およびハウジングがその間に密封空間を画定するように、ハウジングを係合する蓋と、密封空間における条件を変更するための制御装置とを含んでなるデバイスが提供される。
【0015】
一実施形態において、密封空間は、図1に関連して記載されるような有機電子デバイスを受け取るために適応される。
【0016】
一実施形態において、制御装置は密封空間における圧力を制御する。一実施形態において、制御装置は密封空間における温度を制御する。一実施形態において、制御装置は密封空間におけるガス同一性を制御する。一実施形態において、制御装置は圧力、温度およびガス同一性を制御する。
【0017】
一実施形態において、デバイスは少なくとも1つのアラインメントカメラをさらに含んでなる。
【0018】
一実施形態において、デバイスは少なくとも1つのUV光源をさらに含んでなる。
【0019】
実例となるカプセル化デバイスが図2に示される。これは、カプセル化の間に温度、圧力およびガス環境の正確な制御を提供するように設計される。精密に温度、圧力およびガス環境を調整することに加えて、ツールは、カプセル化蓋の正確な配置のためのアラインメントカメラおよび密封プロセスを仕上げるためのUV硬化ステーションを提供する。制御された環境を提供する結果として、このツールの使用はプロセス収率を大いに改善する。このツールは大規模な製造環境における自動化のためにも有用である。
【0020】
図2を参照すると、一実施形態において、カプセル化デバイス10は蓋12およびハウジング14を有する。ハウジング14は、固定部分14Bおよび固定部分に関してスライド可能に配置されるスライド可能部分14Aを有するものとして概念化され得る。他の実施形態において、上部は固定され得、そして下部は固定部分にスライド可能に配置される。
【0021】
真空チャック16は、サブアセンブリ、基材または蓋のような有機電子デバイスの一部を受け取るために蓋12上に配置される。一実施形態において、チャック16は基材を受け取る。
【0022】
真空チャック18は、サブアセンブリ、基材または蓋のような有機電子デバイスの一部を受け取るためにハウジング14上に配置される。一実施形態において、チャック18は蓋を受け取る。
【0023】
制御された条件で有機電子デバイスの部分が一緒に付着される時に有機電子デバイスが保持される密封空間を画定するように、蓋12およびハウジング14を一緒にすることができる。一実施形態において、蓋12の重量ならびにチャック16および18の間の耐性は、有機電子デバイスの部分を一緒に圧縮するために適切な力を適用するように選択される。有機電子デバイスの部分が圧縮される時に有機電子デバイス内部圧力の増加を防止することが望ましい場合、密封空間における圧力は、しばしば気圧より低い。また、有機電子デバイスは水蒸気および特定のガスによって損傷され、そして製造間の制御されたガス環境は非常に望ましい。
【0024】
UV光を通過させるウインドウ20、制御可能に部分を一緒にするドロップシリンダー22、ならびに真空およびガス抜きのための固定具24もハウジング14上に配置される。
【0025】
光学系28との有機電子デバイスの部分の基準を整列するために、アラインメントマイクロメーター26がハウジング14上に配置される。一実施形態において、光学系28は整列用カメラおよび計量器を含んでなる。
【0026】
スライド30は、ハウジングの固定部分14Bに対して、ハウジングのスライド可能な部分14Aの移動を可能にするために配置される。
【0027】
UV光32は硬化のためにハウジング14に配置される。ハウジングのスライド可能な部分14Aの移動時に、有機電子デバイスをUV光に暴露し、有機電子デバイスの部分を一緒に付着することができる。
【0028】
操作時に、製造される有機電子デバイスの少なくとも一部分を受け取るように、デバイスは適応される。一実施形態において、有機電子デバイスはカプセル化蓋を受け取る。従って、例えば、カプセル化蓋をデバイスのハウジングまたは蓋において保持することができ、そして有機電子デバイスの残り部分をデバイスの蓋またはハウジングにおいて保持することができる。次いで、制御された条件でカプセル化蓋が有機電子デバイスの残り部分に付着される時に有機電子デバイスが保持される密封空間を画定するように、蓋およびハウジングを一緒にすることができる。特定のカプセル化蓋形状または有機電子デバイス形状に適合するように、デバイスの蓋および/またはハウジングをカスタマイズすることができると考えられる。あるいは、蓋およびハウジングは、多くの有機電子デバイス(すなわち、デバイスの蓋またはハウジングにおけるカプセル化蓋およびデバイスの相補的な部分における有機電子デバイスの残り部分)を保持するために十分な大きさであり得る。
【0029】
もう1つの実施形態において、カプセル化後、有機電子デバイスの内圧を制御する工程を含んでなる有機電子デバイスをカプセル化する方法が提供される。
【0030】
なおもう1つの実施形態において、上記デバイスにおいて有機電子デバイスを配置する工程を含んでなる有機電子デバイスのカプセル化蓋を整列する方法が提供される。
【0031】
(有機電子デバイス)
図1を参照すると、例示的な有機電子デバイス100が示される。デバイス100は基材105を含む。基材105は、剛性であっても、屈曲性でもよく、例えば、ガラス、セラミック、金属、プラスチックであってよい。電圧が印加される時、放射された光は基材105を通して可視である。
【0032】
第1の電気接触層110は、基材105上に付着される。実例の目的のため、層110はアノード層である。アノード層は線として付着されてもよい。アノードは、例えば、金属、混合金属、合金、金属オキシドまたは混合金属オキシドを含有するか、または含んでなる材料から製造可能である。アノードは、導電性ポリマー、ポリマーブレンドまたはポリマー混合物を含んでなってよい。適切な金属には第11族金属、第4族、第5族および第6族金属、ならびに第8族、第10族遷移金属が含まれる。アノードが光伝送性であるべき場合、第12族、第13族および第14族金属の混合金属オキシド、例えばインジウム−スズオキシドが一般的に使用される。アノードは、有機材料、特にポリアニリンのような導電性ポリマーを含んでもよく、これらとしては、(非特許文献1)に記載されるような例示的な材料が挙げられる。発生した光が観測されるように、アノードおよびカソードの少なくとも一方は少なくとも部分的に透明でなければならない。
【0033】
正孔輸送材料のような任意のバッファー層120がアノード層110上に付着されてもよく、これは「正孔注入接触層」と呼ばれることがある。層120としての使用に適切な正孔輸送材料の例は、例えば、(非特許文献2)にまとめられている。正孔輸送「小」分子ならびにオリゴマーおよびポリマーの両方が使用されてよい。正孔輸送分子としては、限定されないが:N,N’ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、1,1ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N,N’ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD)、テトラキス(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA)、a−フェニル4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS)、p(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH)、トリフェニルアミン(TPA)、ビス[4(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP)、1フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP)、1,2トランス−ビス(9H−カルバゾル−9−イル)シクロブタン(DCZB)、N,N,N’,N’テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB)および銅フタロシアニンのようなポルフィリン化合物が挙げられる。有用な正孔輸送ポリマーとしては、限定されないが、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシランおよびポリアニリンが挙げられる。導電性ポリマーは1種として有用である。上記のような正孔輸送部分をポリスチレンおよびポリカーボネートのようなポリマーへとドーピングすることによって正孔輸送ポリマーを得ることも可能である。
【0034】
有機層130は、存在する場合、バッファー層120上または第1の電気接触層110上に付着されてもよい。いくつかの実施形態において、有機層130は様々な構成要素を含んでなる多くの不連続層であってもよい。デバイスの適用次第で、有機層130は、印加電圧によって活性化される発光層(例えば、発光ダイオードまたは発光電気化学的電池において)、あるいは放射エネルギーに応答し、そして印加されたバイアス電圧の有無にかかわらず信号を発生する材料の層(例えば、光検出器において)であり得る。
【0035】
デバイスの他の層は、かかる層によって機能する機能の考慮において、かかる層において有用であることが既知であるいずれかの材料によって製造可能である。
【0036】
いずれの有機エレクトロルミネセンス(EL)材料も光活性材料として(例えば層130において)使用可能である。かかる材料としては、限定されないが、蛍光染料、小分子有機蛍光性化合物、蛍光性およびリン光性金属錯体、共役ポリマーおよびそれらの混合物が挙げられる。蛍光染料の例としては、限定されないが、ピレン、ペリレン、ルブレン、それらの誘導体およびそれらの混合物が挙げられる。金属錯体の例としては、限定されないが、金属キレート化オキシノイド化合物、例えばトリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3);シクロメタル化イリジウムおよび白金エレクトロルミネセンス化合物、例えば、ペトロフ(Petrov)ら、(特許文献2)に開示されるようなフェニルピリジン、フェニルキノリンまたはフェニルピリミジン配位子を有するイリジウムの錯体、ならびに、例えば、米国特許公報(特許文献3)、(特許文献4)、(特許文献5)および(特許文献6)に記載される他の有機金属錯体;ならびにそれらの混合物が挙げられる。電荷保有ホスト材料および金属錯体を含んでなるエレクトロルミネセンス放射層は、トンプソン(Thompson)らによって米国特許公報(特許文献7)、ならびにボローズ(Burrows)およびトンプソン(Thompson)によって(特許文献8)および(特許文献9)に記載されている。共役ポリマーの例としては、限定されないが、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリ(スピロビフルオレン)、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレン)、それらのコポリマーおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0037】
一実施形態において、光活性材料は有機金属錯体であり得る。もう1つの実施形態において、光活性材料はイリジウムまたは白金のシクロメタル化錯体である。他の有用な光活性材料が同様に利用されてもよい。フェニルピリジン、フェニルキノリンまたはフェニルピリミジン配位子を有するイリジウムの錯体は、エレクトロルミネセンス化合物として、ペトロフ(Petrov)ら、(特許文献2)に開示されている。他の有機金属錯体は、例えば、米国特許公報(特許文献3)、(特許文献4)、(特許文献5)および(特許文献6)に記載されている。イリジウムの金属錯体でドープされたポリビニルカルバゾール(PVK)の活性層を有するエレクトロルミネセンスデバイスは、ボローズ(Burrows)およびトンプソン(Thompson)によって(特許文献8)および(特許文献9)に記載されている。電荷保有ホスト材料およびリン光性白金錯体を含んでなるエレクトロルミネセンス放射層は、トンプソン(Thompson)らによって米国特許公報(特許文献7)、(非特許文献3)および(非特許文献4)に記載されている。
【0038】
第2の電気接触層160は、有機層130上に付着される。実例の目的のため、層16
【0039】
カソード層は、線として、またはフィルムとして付着されてよい。カソードは、アノードよりも低い仕事関数を有するいずれかの金属または非金属であり得る。カソードの例示的な材料としては、アルカリ金属、特にリチウム、第2族(アルカリ土類)金属、希土類元素およびランタニドを含む第12族金属、ならびにアクチニドが挙げられる。アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、サマリウムおよびマグネシウム、ならびに組み合わせのような材料を使用することができる。システムの動作電圧を低下させるために、有機層とカソード層との間にLiFおよびLi2Oのようなリチウム含有および他の化合物が付着されてもよい。
【0040】
電子輸送層140または電子注入層150が任意にカソードに隣接して配置され、ここで、カソードは「電子注入接触層」と呼ばれることがある。
【0041】
デバイス100中への水および酸素のような望ましくない成分の侵入を防止するため、カプセル化層170を接触層160上に付着させる。かかる成分は有機層130に対して悪影響を有し得る。一実施形態において、カプセル化層170はバリア層またはフィルムである。
【0042】
描写されていないが、デバイス100が追加的な層を含んでなり得ることは理解される。例えば、層の正電荷輸送および/またはバンドギャップ整合を促進するために、あるいは保護層として機能するため、アノード110と正孔輸送層120との間に層(図示せず)が存在し得る。当該分野等において既知の他の層が使用されてもよい。加えて、いずれかの上記の層が2層以上の副層を含んでもよく、または薄層構造を形成してもよい。あるいは、電荷キャリア輸送効率またはデバイスの他の物理的な特性を増加させるために、アノード層110、正孔輸送層120、電子輸送層140および150、カソード層160および他の層のいくつかまたは全てが処理、特に表面処理されてもよい。各構成層の材料の選択は、好ましくは、高いデバイス効率を有するデバイス提供の目的と、デバイス操作寿命の考慮、製造時間および複雑さの要因ならび当業者に認識される他の考慮を釣り合わせることによって決定される。最適の部品、部品配置および構成同一性を決定することは、当業者にとって日常業務であることは認識されるであろう。
【0043】
一実施形態において、様々な層は、以下の厚さ範囲を有する:アノード110、500〜5000A、一実施形態において1000〜2000A;正孔輸送層120、50〜2000A、一実施形態において200〜1000A;光活性層130、10〜2000A、一実施形態において100〜1000A;層140および150、50〜2000A、一実施形態において100〜1000A;カソード160、200〜10000A、一実施形態において300〜5000A。デバイスの電子正孔組換え領域、従ってデバイスの発光スペクトルの位置は、各層の相対的な厚さに影響を受け得る。従って、電子輸送層の厚さは、電子正孔組換え領域が発光層にあるように選択されなければならない。層の厚さの所望の比率は、使用される材料の正確な本質に依存する。
【0044】
操作中、適切な電力供給(描写されず)からの電圧がデバイス100に印加される。従って、電流はデバイスの層100を横切って通過する。電子は有機ポリマー層に入り、光子を放出する。アクティブマトリックスOLEDディスプレイと呼ばれるいくつかのOLEDにおいて、個々の光活性有機フィルムの付着物は、独立して電流の通過によって励起され得、光放射の個々のピクセルへと導かれる。パッシブマトリックスOLEDディスプレイと呼ばれるいくつかのOLEDにおいて、光活性有機フィルムの付着物は、電気接触層の横列および縦列によって励起され得る。
【0045】
様々な技術を利用することによって、デバイスを調製することができる。これらとしては、非限定的な例示として、蒸着技術および液体付着が挙げられる。デバイスは別々の製造物品へと半組み立てされてもよく、これは次いで組み合わせられてデバイスを形成し得る。
【0046】
(定義)
「1つ(aまたはan)」の使用は、本発明の要素および部品を記載するために利用される。これは単に便宜上のため、そして本発明の一般的な意味を与えるためである。この記載は1つまたは少なくとも1つを含むように読解されなければならない。そして他に意味があることが明白でない限り、単数には複数も含まれる。
【0047】
層または材料を指す場合、用語「活性」は、電子または電子放射性特性を示す層または材料を意味するように意図される。放射線を受けた時に活性層材料は放射線を放出するか、または電子正孔対の濃度の変化を示し得る。従って、用語「活性材料」は、デバイスの操作を電子的に促進する材料を指す。活性材料の例としては、限定されないが、電荷を伝導、注入、輸送またはブロックする材料が挙げられ、ここでは電荷は電子または正孔であり得る。不活性材料の例としては、限定されないが、平坦化材料、絶縁材料および環境バリア材料が挙げられる。
【0048】
本明細書で使用される場合、用語「を含んでなる(comprises)」「を含んでなっている(comprising)」「を含む(includes)」「を含んでいる(including)」「を有する(has)」「を有している(having)」またはそれらのいずれかの他の変形は、排他的でない包含に及ぶように意図される。例えば、要素のリストを含んでなるプロセス、方法、物品または装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるわけではなく、明白に記載されない他の要素または固有のかかるプロセス、方法、物品または装置を含んでもよい。さらに、明白に逆であることが定義されなければ、「または」は包含的論理和を指し、そして排他論理和を指さない。例えば、条件AまたはBは次のいずれかによって満たされる:Aは真(または存在する)であり、そしてBは偽(または存在しない)である。Aは偽(または存在しない)であり、そしてBは真(または存在する)である。ならびにAおよびBは真(または存在する)である。
【0049】
用語「層」は用語「フィルム」と交換可能に使用され、そして所望の領域を被覆するコーティングを指す。この領域は、全デバイスまたは実際の視覚ディスプレイのような特定の機能領域と同じぐらい大きくてもよく、または単一サブピクセルと同じぐらい小さくてもよい。蒸着および液体付着を含むいずれかの従来の付着技術によってフィルムを形成することができる。液体付着技術としては、限定されないが、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、ディップコーティング、スロット−ダイコーティング、スプレーコーティングおよび連続ノズルコーティングのような連続付着技術ならびにインクジェット印刷、グラビア印刷およびスクリーン印刷のような不連続付着技術が挙げられる。
【0050】
用語「有機電子デバイス」は、1つまたは複数の半導体層または材料を含むデバイスを意味するように意図される。有機電子デバイスとしては、限定されないが、(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(例えば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、ダイオードレーザーまたは照明パネル)、(2)電子プロセスによって信号を検出するデバイス(例えば、光検出器、光伝導セル、フォトレジスター、フォトスイッチ、フォトトランジスター、光電管、赤外線(「IR」)検出器またはバイオセンサー)、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(例えば、光電池デバイスまたは太陽光電池)、および(4)1つまたは複数の有機半導体層を含む1つまたは複数の電子部品を含むデバイス(例えば、トランジスタまたはダイオード)が挙げられる。デバイスという用語は、記憶デバイスのためのコーティング材料、帯電防止フィルム、バイオセンサー、エレクトロクロミックデバイス、固体電解質コンデンサー、エネルギー貯蔵デバイス、例えば充電式バッテリーおよび電磁ブロック適用も含む。
【0051】
用語「基材」は、剛性または屈曲性のワークピースを意味するように意図され、1つまたは複数の材料の1つまたは複数の層を含んでよい。基材としては、限定されないが、ガラス、ポリマー、金属またはセラミックの材料またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0052】
特記されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的な用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料を本発明の実施形態の実施または試験において使用することが可能であるが、適切な方法および材料を以下に記載する。本明細書において言及された全ての出版物、特許出願、特許および他の参照文献は、特定の一節が引用されない限り、全体として援用される。抵触する場合、本明細書は、定義を含め、調節される。加えて、材料、方法および実施例は単なる実例であり、限定するように意図されない。
【0053】
本明細書に記載されない範囲まで、特定の材料、プロセス実施および回路に関する多くの詳細は従来通りであり、そして有機発光ダイオードディスプレイ、光検出器、光電池および半導体部材の分野における教本および他の情報源に見出され得る。
【0054】
前記明細書において、具体的な実施形態に関して概念が記載された。しかしながら、当業者は、請求の範囲で明かにされる本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行うことができることを認識する。従って、明細書および図面は限定的な意味というよりも、実例として考えられ、そして全てのかかる修正は本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0055】
多くの態様および実施形態が上記されるが、あくまでも例示であって、限定するものではない。本明細書を読んだ後、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく他の態様および実施形態が可能であることを認識する。
【0056】
利益、他の利点および問題への解決策が、具体的な実施形態に関して上記されている。しかしながら、利益、利点、問題への解決策、ならびにいずれの利益、利点または解決策を生じさせるか、またはより明白にさせるいずれの特徴が、いずれかのまたは全ての特許請求の範囲の重大な、必要とされる、または本質的な特徴として解釈されるべきではない。
【0057】
特定の特徴は、明瞭さのため、本明細書で別々の実施形態の文脈において記載されるが、単一の実施形態において組み合せで提供されてもよいことは認識されるべきである。逆に、様々な特徴は、簡潔さのため、単一の実施形態の文脈において記載されるが、別々に、またはいずれかの部分的組み合わせで提供されてもよい。さらに、範囲に定められた値の言及は、範囲内の各全値を含む。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】有機電子デバイスの概略図。
【図2】有機電子デバイスをカプセル化するためのデバイスの斜視図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
係合時に蓋およびハウジングがその間に密封空間を画定するように、ハウジングを係合する蓋と、
密封空間における条件を変更するための制御装置と、
を含んでなることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
密封空間が有機電子デバイスを受け取るために適応されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
制御装置が密封空間における圧力を制御することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
制御装置が密封空間における温度を制御することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
制御装置が密封空間におけるガス同一性を制御することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
少なくとも1つのアラインメントカメラをさらに含んでなることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
少なくとも1つのUV光源をさらに含んでなることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
請求項6に記載のデバイスにおいて有機電子デバイスを配置する工程を含んでなることを特徴とする有機電子デバイスのカプセル化蓋の位置合わせ方法。
【請求項9】
ハウジングと、ハウジングに適合する蓋とを含んでなり、ハウジングまたは蓋の少なくとも一方が、製造のため、有機電子デバイスの一部を受け取るように適応されることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−527422(P2008−527422A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549639(P2007−549639)
【出願日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/047412
【国際公開番号】WO2006/074062
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】