説明

カメラシステム、カメラ本体、交換レンズユニット、フォーカス制御方法、およびプログラム。

【課題】変倍動作時に変倍動作の速度によらず良好に合焦状態を保つことができるカメラシステムを提供する。
【解決手段】カメラシステム1において、制御部(140,240)は、焦点距離の変化速度および焦点距離に基づいて、所定時間後に被写体距離が所定量だけ大きくなる、または、小さくなるフォーカスレンズ(230)の光軸方向の位置をフォーカスレンズ(230)の移動目標位置として算出する。制御部(140,240)が所定時間後にフォーカスレンズ(230)を移動目標位置に移動可能と判断した場合、フォーカスレンズ駆動部(233)は、移動目標位置にフォーカスレンズ(230)を駆動させる。制御部(140,240)が所定時間後にフォーカスレンズ(230)を移動目標位置に移動不可能と判断した場合、制御部(140,240)は、トラッキングテーブルに基づいてフォーカスレンズ駆動部(233)を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静止画撮影を主に行うデジタルスチルカメラ、動画撮影を主に行うムービー等のカメラシステムに関する。特に、変倍動作が可能な光学系を有するカメラシステムに関する。また、カメラシステムに用いられる、カメラ本体、交換レンズユニット、フォーカス制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、インナーフォーカス式ズームレンズを有するカメラを開示している。インナーフォーカス式ズームレンズでは、変倍動作により焦点距離が変化すると合焦状態が変化する。特許文献1は、変倍動作時に被写体の光学像の合焦状態を保つために、コントラスト方式のオートフォーカス動作を行うことを開示している。特許文献1では、コントラスト方式のオートフォーカス動作では変倍時に精度のよい合焦を行うことは、困難であるとしている。また、特許文献1は、被写体までの距離を判定し、その判定結果に基づいて記憶部に記憶されている複数のフォーカスレンズ群の移動軌跡の1つを選択して、フォーカスレンズ群をその移動軌跡に基づいて移動させることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−42108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のように、特許文献1は、カメラシステムの変倍動作時の合焦精度の向上について開示している。しかしながら、特許文献1に記載のカメラシステムは、フォーカスレンズ群を移動軌跡に基づいて移動させている。従って、変倍動作時に合焦状態を良好に保ちたい被写体が動いた等の場合に、合焦状態を良好に保つことができない。また、早い変倍動作が行われた際に、フォーカスレンズ群を駆動する手段の制限によりコントラスト方式のオートフォーカス動作ができない場合がある。そして、このような場合に、合焦状態を良好に保つことができない場合がある。すなわち、特許文献1は、変倍動作時に変倍動作の速度によらず良好に合焦状態を保つことについては開示していない。
【0005】
本発明は、変倍動作時に変倍動作の速度によらず良好に合焦状態を保つことができるカメラシステム、カメラ本体、交換レンズユニット、フォーカス制御方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、フォーカスレンズと、フォーカスレンズ駆動部と、フォーカスレンズ位置検出部と、ズームレンズ位置検出部と、ズームレンズと、ズームレンズ駆動部と、ズームレンズ位置検出部と、ズーム操作部と、撮像部と、評価値算出部と、トラッキングテーブル記憶部と、制御部と、を備えるカメラシステムである。
【0007】
フォーカスレンズは、光軸方向に進退することにより、被写体の光学像のフォーカス状態を変化させるレンズまたはレンズ群である。フォーカスレンズ駆動部は、フォーカスレンズを駆動する。フォーカスレンズ位置検出部は、フォーカスレンズ又はフォーカスレンズに連動する機構部材の位置を検出する。ズームレンズは、光軸方向に進退することにより、被写体の光学像の焦点距離を変化させるレンズまたはレンズ群である。ズームレンズ駆動部は、ズームレンズを駆動する。ズームレンズ位置検出部は、ズームレンズ又はズームレンズに連動する機構部材の位置を検出する。ズーム操作部は、ズームレンズの駆動を操作するための操作部である。撮像部は、光学像を受光して画像データを生成する。評価値算出部は、撮像部により生成された画像データに基づいて、オートフォーカス用の評価値を算出する。トラッキングテーブル記憶部は、被写体距離ごとに定められた焦点距離と、フォーカスレンズの光軸方向の位置との関係をテーブルにしたトラッキングテーブルを格納する。制御部は、焦点距離の変化速度に関する情報に基づいて、第1制御モードと第2制御モードのいずれかの制御モードでフォーカスレンズ駆動部を制御するかを決定し、決定した制御モードによりフォーカスレンズ駆動部を制御する。
【0008】
そして、制御部が第1制御モードで制御すると決定した場合、フォーカスレンズ駆動部は、駆動部からの指令に従い、被写体距離が変化するように、光軸方向の前後にフォーカスレンズを駆動させ、評価値算出部は、フォーカスレンズが、光軸方向の前後に駆動されているときに位置した複数の位置におけるオートフォーカス用の評価値を算出する。そして、制御部は、評価算出部により算出された複数の位置におけるオートフォーカス用の評価値に基づいて、被写体に焦点が合う方向にフォーカスレンズを駆動するようフォーカスレンズ駆動部を制御する。
【0009】
制御部が第2制御モードで制御すると決定した場合、制御部は、トラッキングテーブルに基づいてフォーカスレンズ駆動部を制御する。
【0010】
このカメラシステムでは、第1制御モードまたは第2の制御モードを切り替えて制御を行うことができる。第1制御モードは、例えば、ウォブリング動作によりフォーカス制御を行うモードであるので、このカメラシステムにおいて、制御部によりウォブリング可能であると判断された場合は、ウォブリング動作により適切にフォーカス制御を実行させることができる。一方、制御部によりウォブリング不可能であると判断された場合は、トラッキングテーブルに基づいたフォーカス制御を実行させることができる。
【0011】
これにより、このカメラシステムでは、ズーム操作部(例えば、ズームリング)をどのように操作された場合であっても(例えば、ズームリングの回転速度がどのような速度であっても)、適切なAF制御を行うことができる。したがって、このカメラシステムでは、変倍動作時に変倍動作の速度によらず良好に合焦状態を保つことができる。
【0012】
なお、焦点距離が、ズーム操作部の操作後の位置に応じて決定されるカメラシステムに、このカメラシステムを採用するとさらに効果的である。使用者がズーム操作部を自由に操作することにより変倍動作の速度が自由に変化しうるからである。言い換えれば、このカメラシステムでは、使用者がどのような変倍動作(ズーム動作)を行っても、適切にフォーカス制御が実行される。
【0013】
なお、「被写体距離」とは、CCDイメージセンサー上に焦点を結んでいる物体からカメラまでの距離をいい、物点距離と、共役距離(物像間距離)を含む概念である。共役距離(物像間距離)とは、レンズを中心に、物体とその像との間の距離をいう。
【0014】
第2の発明は、第1の発明であって、制御部は、ズームレンズが光軸上を進退することにより発生する焦点距離の変化速度が所定値以下の場合、第1制御モードで制御すると決定し、ズームレンズが光軸上を進退することにより発生する焦点距離の変化速度が所定値より大きい場合、第2制御モードで制御すると決定する。
【0015】
第3の発明は、第2の発明であって、所定値は、トラッキングテーブルの各部のうち、焦点距離の変化に伴い被写体距離を一定に保つために、フォーカスレンズの位置を変化させる量が最も大きくなる部分において、焦点距離が変化しても、第1制御モードでフォーカスレンズ駆動部が動作可能な焦点距離の変化速度の上限値と実質的に等しい値である。
【0016】
これにより、カメラシステムでは、焦点距離の変化速度の上限値に相当する状況まで、第1制御モードによるフォーカス制御を実行することができる。
【0017】
第4の発明は、第2の発明であって、所定値は、トラッキングテーブルにより決定されるトラッキングテーブル特性曲線において、
(傾きK)=(フォーカスレンズの光軸方向の位置の変化量)/(被写体距離ごとに定められた焦点距離の変化量)。
としたとき、傾きKが最大となる場合において、ズームレンズが光軸上を進退することで焦点距離が変化したとしても、第1制御モードにより、フォーカスレンズ駆動部がフォーカスレンズを駆動することで、制御部が、被写体に焦点が合う光軸上の方向を決定することができる、焦点距離の変化速度と等しい値である。
【0018】
これにより、カメラシステムでは、焦点距離の変化速度の上限値に相当する状況まで、第1制御モードによるフォーカス制御を実行することができる。
【0019】
なお、「傾きK」は、「被写体距離ごとに定められた焦点距離」に対する「フォーカスレンズの光軸方向の位置」の変化率(微分値)により求められるものであってもよく、トラッキングテーブルにより決定されるトラッキングテーブル特性曲線を構成するデータ(離散値をとるデータであってもよい。)から微分(差分を含む)により求められるものであってもよい。
【0020】
第5の発明は、第1の発明であって、制御部は、焦点距離の変化速度、焦点距離、および、トラッキングテーブルに基づいて、第1制御モードと第2制御モードのいずれの制御モードでフォーカスレンズ駆動部を制御するかを決定する。
【0021】
第6の発明は、第5の発明であって、制御部は、第1所定時間後に被写体距離が所定量だけ大きくなるフォーカスレンズの光軸方向の位置を第1移動目標位置として算出し、第2所定時間後に被写体距離が所定量だけ小さくなるフォーカスレンズの光軸方向の位置を第2移動目標位置として算出する。そして、制御部は、第1所定時間後にフォーカスレンズを第1移動目標位置に移動不可能と判断した場合、または、第2所定時間後にフォーカスレンズを第2移動目標位置に移動不可能と判断した場合、第2制御モードで制御すると決定する。
【0022】
第7の発明は、第6の発明であって、制御部は、第1所定時間後にフォーカスレンズを第1移動目標位置に移動するために必要な速度と、ズームレンズが移動可能な速度の上限値と、を比較して、第1所定時間後に、フォーカスレンズを第1移動目標位置に移動可能か否かを判断する。
【0023】
第8の発明は、第6または第7の発明であって、制御部は、第2所定時間後にフォーカスレンズを第2移動目標位置に移動するために必要な速度と、ズームレンズが移動可能な速度の上限値と、を比較して、第2所定時間後に、フォーカスレンズを第2移動目標位置に移動可能か否かを判断する。
【0024】
第9の発明は、第1から第8のいずれかの発明であって、焦点距離の変化速度に関する情報は、ズームレンズの移動速度、または、ズームレンズに連動する機構部材の移動速度である。
【0025】
第10の発明は、第1から第8のいずれかの発明であって、焦点距離は、ズーム操作部の操作後の位置に応じて決定される。
【0026】
第11の発明は、第10の発明であって、焦点距離の変化速度に関する情報は、ズーム操作部の移動速度である。
【0027】
なお、「ズーム操作部の移動速度」としては、例えば、ズーム操作部が回転リングである場合の回転リングの回転速度が挙げられる。
【0028】
また、「焦点距離の変化速度に関する情報」は、ズーム操作部の移動速度から算出される情報(データ)を含む概念である。
【0029】
第12の発明は、第1から第11のいずれかの発明であって、フォーカスレンズ駆動部は、ズームレンズ駆動部によるズームレンズの駆動から独立して、フォーカスレンズを駆動することができる。
【0030】
第13の発明は、第1から第12のいずれかの発明であって、所定のデータを記憶する記憶部をさらに備え、制御部は、撮像部により生成された複数の画像データをもとに動画データを生成し、生成した動画データを、カメラシステム自身に固定された記憶部、または、カメラシステム自身に着脱可能な記憶部に記憶するように制御する。
【0031】
制御部が、撮像部からの複数の画像データをもとに動画データを生成し、カメラシステム自身に固定された記憶部、または、カメラシステム自身に着脱可能な記憶部に当該動画データを記憶するように制御するカメラシステムに、このカメラシステムを採用すると、さらに効果的である。記憶部に記憶するような動画データは、常時、良好な合焦状態を保つことが望まれているからである。
【0032】
第14の発明は、カメラ本体と、カメラ本体に脱着可能な交換レンズユニットと、を備えるカメラシステムである。
【0033】
交換レンズユニットは、フォーカスレンズと、フォーカスレンズ駆動部と、フォーカスレンズ位置検出部と、ズームレンズと、ズームレンズ駆動部と、ズームレンズ位置検出部と、のズーム操作部と、トラッキングテーブル記憶部と、制御部と、を備える。
【0034】
カメラ本体は、撮像部と、評価値算出部と、を備える。
【0035】
フォーカスレンズは、光軸方向に進退することにより、被写体の光学像のフォーカス状態を変化させるレンズまたはレンズ群である。フォーカスレンズ駆動部は、フォーカスレンズを駆動する。フォーカスレンズ位置検出部は、フォーカスレンズ又はフォーカスレンズに連動する機構部材の位置を検出する。ズームレンズは、光軸方向に進退することにより、被写体の光学像の焦点距離を変化させる。ズームレンズ駆動部は、ズームレンズを駆動する。ズームレンズ位置検出部は、ズームレンズ又はズームレンズに連動する機構部材の位置を検出する。ズーム操作部は、ズームレンズの駆動を操作するためのものである。トラッキングテーブル記憶部は、被写体距離ごとに定められた焦点距離と、フォーカスレンズの光軸方向の位置との関係をテーブルにしたトラッキングテーブルを格納する。制御部は、焦点距離の変化速度に関する情報に基づいて、第1制御モードと第2制御モードのいずれかの制御モードでフォーカスレンズ駆動部を制御するかを決定し、決定した制御モードによりフォーカスレンズ駆動部を制御する。
【0036】
そして、撮像部は、光学像を受光して画像データを生成する。評価値算出部は、撮像部により生成された画像データに基づいて、オートフォーカス用の評価値を算出する。
【0037】
そして、制御部が第1制御モードで制御すると決定した場合、フォーカスレンズ駆動部は、駆動部からの指令に従い、被写体距離が変化するように、光軸方向の前後にフォーカスレンズを駆動させる。評価値算出部は、フォーカスレンズが、光軸方向の前後に駆動されているときに位置した複数の位置におけるオートフォーカス用の評価値を算出する。そして、制御部は、評価算出部により算出された複数の位置におけるオートフォーカス用の評価値に基づいて、被写体に焦点が合う方向にフォーカスレンズを駆動するようフォーカスレンズ駆動部を制御する。制御部が第2制御モードで制御すると決定した場合、制御部は、トラッキングテーブルに基づいてフォーカスレンズ駆動部を制御する。
【0038】
これにより、第1の発明と同様の効果を奏するカメラシステムを、カメラ本体と、カメラ本体に脱着可能な交換レンズユニットと、により実現することができる。
【0039】
第15の発明は、カメラ本体と、カメラ本体に脱着可能な交換レンズユニットと、を備えるカメラシステムである。
【0040】
交換レンズユニットは、フォーカスレンズと、フォーカスレンズ駆動部と、フォーカスレンズ位置検出部と、ズームレンズと、ズームレンズ駆動部と、ズームレンズ位置検出部と、のズーム操作部と、トラッキングテーブル記憶部と、を備える。
【0041】
カメラ本体は、撮像部と、評価値算出部と、制御部と、を備える。
【0042】
フォーカスレンズは、光軸方向に進退することにより、被写体の光学像のフォーカス状態を変化させるレンズまたはレンズ群である。フォーカスレンズ駆動部は、フォーカスレンズを駆動する。フォーカスレンズ位置検出部は、フォーカスレンズ又はフォーカスレンズに連動する機構部材の位置を検出する。ズームレンズは、光軸方向に進退することにより、被写体の光学像の焦点距離を変化させる。ズームレンズ駆動部は、ズームレンズを駆動する。ズームレンズ位置検出部は、ズームレンズ又はズームレンズに連動する機構部材の位置を検出する。ズーム操作部は、ズームレンズの駆動を操作するためのものである。トラッキングテーブル記憶部は、被写体距離ごとに定められた焦点距離と、フォーカスレンズの光軸方向の位置との関係をテーブルにしたトラッキングテーブルを格納する。制御部は、焦点距離の変化速度に関する情報に基づいて、第1制御モードと第2制御モードのいずれかの制御モードでフォーカスレンズ駆動部を制御するかを決定し、決定した制御モードによりフォーカスレンズ駆動部を制御する。
【0043】
そして、撮像部は、光学像を受光して画像データを生成する。評価値算出部は、撮像部により生成された画像データに基づいて、オートフォーカス用の評価値を算出する。
【0044】
そして、制御部が第1制御モードで制御すると決定した場合、フォーカスレンズ駆動部は、駆動部からの指令に従い、被写体距離が変化するように、光軸方向の前後にフォーカスレンズを駆動させる。評価値算出部は、フォーカスレンズが、光軸方向の前後に駆動されているときに位置した複数の位置におけるオートフォーカス用の評価値を算出する。そして、制御部は、評価算出部により算出された複数の位置におけるオートフォーカス用の評価値に基づいて、被写体に焦点が合う方向にフォーカスレンズを駆動するようフォーカスレンズ駆動部を制御する。制御部が第2制御モードで制御すると決定した場合、制御部は、トラッキングテーブルに基づいてフォーカスレンズ駆動部を制御する。
【0045】
これにより、第1の発明と同様の効果を奏するカメラシステムを、カメラ本体と、カメラ本体に脱着可能な交換レンズユニットと、により実現することができる。
【0046】
第16の発明は、撮像部と、評価値算出部と、を備えるカメラ本体とともにカメラシステムを構成する、カメラ本体に脱着可能な交換レンズユニットである。
【0047】
交換レンズユニットは、フォーカスレンズと、フォーカスレンズ駆動部と、フォーカスレンズ位置検出部と、ズームレンズと、ズームレンズ駆動部と、ズームレンズ位置検出部と、のズーム操作部と、トラッキングテーブル記憶部と、制御部と、を備える。
【0048】
フォーカスレンズは、光軸方向に進退することにより、被写体の光学像のフォーカス状態を変化させるレンズまたはレンズ群である。フォーカスレンズ駆動部は、フォーカスレンズを駆動する。フォーカスレンズ位置検出部は、フォーカスレンズ又はフォーカスレンズに連動する機構部材の位置を検出する。ズームレンズは、光軸方向に進退することにより、被写体の光学像の焦点距離を変化させる。ズームレンズ駆動部は、ズームレンズを駆動する。ズームレンズ位置検出部は、ズームレンズ又はズームレンズに連動する機構部材の位置を検出する。ズーム操作部は、ズームレンズの駆動を操作するためのものである。トラッキングテーブル記憶部は、被写体距離ごとに定められた焦点距離と、フォーカスレンズの光軸方向の位置との関係をテーブルにしたトラッキングテーブルを格納する。制御部は、焦点距離の変化速度に関する情報に基づいて、第1制御モードと第2制御モードのいずれかの制御モードでフォーカスレンズ駆動部を制御するかを決定し、決定した制御モードによりフォーカスレンズ駆動部を制御する。
【0049】
そして、撮像部は、光学像を受光して画像データを生成する。評価値算出部は、撮像部により生成された画像データに基づいて、オートフォーカス用の評価値を算出する。
【0050】
そして、制御部が第1制御モードで制御すると決定した場合、フォーカスレンズ駆動部は、駆動部からの指令に従い、被写体距離が変化するように、光軸方向の前後にフォーカスレンズを駆動させる。評価値算出部は、フォーカスレンズが、光軸方向の前後に駆動されているときに位置した複数の位置におけるオートフォーカス用の評価値を算出する。そして、制御部は、評価算出部により算出された複数の位置におけるオートフォーカス用の評価値に基づいて、被写体に焦点が合う方向にフォーカスレンズを駆動するようフォーカスレンズ駆動部を制御する。制御部が第2制御モードで制御すると決定した場合、制御部は、トラッキングテーブルに基づいてフォーカスレンズ駆動部を制御する。
【0051】
これにより、第1の発明と同様の効果を奏するカメラシステムを、カメラ本体とともに構成する、カメラ本体に脱着可能な交換レンズユニットを実現することができる。
【0052】
第17の発明は、第15の発明であるカメラシステムを構成する交換レンズユニットである。
【0053】
これにより、第1の発明と同様の効果を奏するカメラシステムを、カメラ本体とともに構成する、カメラ本体に脱着可能な交換レンズユニットを実現することができる。
【0054】
第18の発明は、フォーカスレンズと、のフォーカスレンズ駆動部と、フォーカスレンズ位置検出部と、ズームレンズと、のズームレンズ駆動部と、ズームレンズ位置検出部と、のズーム操作部と、撮像部と、トラッキングテーブル記憶部と、を備えるカメラシステムに用いられるフォーカス制御方法である。このフォーカス制御方法は、評価値算出ステップと、制御ステップと、を備える。
【0055】
フォーカスレンズは、光軸方向に進退することにより、被写体の光学像のフォーカス状態を変化させる。フォーカスレンズ駆動部は、フォーカスレンズを駆動するためのレンズまたはレンズ群である。フォーカスレンズ位置検出部は、フォーカスレンズ又はフォーカスレンズに連動する機構部材の位置を検出する。ズームレンズは、光軸方向に進退することにより、被写体の光学像の焦点距離を変化させるレンズまたはレンズ群である。ズームレンズ駆動部は、ズームレンズを駆動する。ズームレンズ位置検出部は、ズームレンズ又はズームレンズに連動する機構部材の位置を検出する。ズーム操作部は、ズームレンズの駆動を操作するためのものである。撮像部は、光学像を受光して画像データを生成する。トラッキングテーブル記憶部は、被写体距離ごとに定められた焦点距離と、フォーカスレンズの光軸方向の位置との関係をテーブルにしたトラッキングテーブルを格納する。
【0056】
評価値算出ステップでは、撮像部により生成された画像データに基づいて、オートフォーカス用の評価値を算出する。
【0057】
制御ステップでは、焦点距離の変化速度に関する情報に基づいて、第1制御モードと第2制御モードのいずれかの制御モードでフォーカスレンズ駆動部を制御するかを決定し、決定した制御モードによりフォーカスレンズ駆動部を制御する。
【0058】
そして、制御ステップにより第1制御モードで制御すると決定された場合であって、フォーカスレンズ駆動部が、駆動部からの指令に従い、被写体距離が変化するように、光軸方向の前後にフォーカスレンズを駆動させた場合、評価値算出ステップでは、フォーカスレンズが、光軸方向の前後に駆動されているときに位置した複数の位置におけるオートフォーカス用の評価値を算出する。そして、制御ステップでは、評価算出ステップにより算出された複数の位置におけるオートフォーカス用の評価値に基づいて、被写体に焦点が合う方向にフォーカスレンズを駆動するようフォーカスレンズ駆動部を制御し、制御ステップにより第2制御モードで制御すると決定された場合、制御ステップでは、トラッキングテーブルに基づいてフォーカスレンズ駆動部を制御する。
【0059】
第19の発明は、フォーカスレンズと、のフォーカスレンズ駆動部と、フォーカスレンズ位置検出部と、ズームレンズと、のズームレンズ駆動部と、ズームレンズ位置検出部と、のズーム操作部と、撮像部と、トラッキングテーブル記憶部と、を備えるカメラシステムに用いられるフォーカス制御方法をコンピュータに実行させるプログラムである。フォーカス制御方法は、評価値算出ステップと、制御ステップと、を備える。
【0060】
フォーカスレンズは、光軸方向に進退することにより、被写体の光学像のフォーカス状態を変化させる。フォーカスレンズ駆動部は、フォーカスレンズを駆動するためのレンズまたはレンズ群である。フォーカスレンズ位置検出部は、フォーカスレンズ又はフォーカスレンズに連動する機構部材の位置を検出する。ズームレンズは、光軸方向に進退することにより、被写体の光学像の焦点距離を変化させるレンズまたはレンズ群である。ズームレンズ駆動部は、ズームレンズを駆動する。ズームレンズ位置検出部は、ズームレンズ又はズームレンズに連動する機構部材の位置を検出する。ズーム操作部は、ズームレンズの駆動を操作するためのものである。撮像部は、光学像を受光して画像データを生成する。トラッキングテーブル記憶部は、被写体距離ごとに定められた焦点距離と、フォーカスレンズの光軸方向の位置との関係をテーブルにしたトラッキングテーブルを格納する。
【0061】
評価値算出ステップでは、撮像部により生成された画像データに基づいて、オートフォーカス用の評価値を算出する。
【0062】
制御ステップでは、焦点距離の変化速度に関する情報に基づいて、第1制御モードと第2制御モードのいずれかの制御モードでフォーカスレンズ駆動部を制御するかを決定し、決定した制御モードによりフォーカスレンズ駆動部を制御する。
【0063】
そして、制御ステップにより第1制御モードで制御すると決定された場合であって、フォーカスレンズ駆動部が、駆動部からの指令に従い、被写体距離が変化するように、光軸方向の前後にフォーカスレンズを駆動させた場合、評価値算出ステップでは、フォーカスレンズが、光軸方向の前後に駆動されているときに位置した複数の位置におけるオートフォーカス用の評価値を算出する。そして、制御ステップでは、評価算出ステップにより算出された複数の位置におけるオートフォーカス用の評価値に基づいて、被写体に焦点が合う方向にフォーカスレンズを駆動するようフォーカスレンズ駆動部を制御し、制御ステップにより第2制御モードで制御すると決定された場合、制御ステップでは、トラッキングテーブルに基づいてフォーカスレンズ駆動部を制御する。
【発明の効果】
【0064】
本発明によれば、変倍動作時に変倍動作の速度によらず良好に合焦状態を保つことができる、カメラ本体、交換レンズユニット、フォーカス制御方法、およびプログラムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1実施形態に係るカメラシステム1の構成を示すブロック図
【図2】第2レンズ群とフォーカスレンズ230とを含む交換レンズ200の一部の構成図
【図3】第2レンズ群とフォーカスレンズ230とを含む交換レンズ200の一部の構成の展開図
【図4】カメラシステム1の撮像準備動作を説明するための信号送受信を示す図
【図5】本実施形態における交換レンズのトラッキングテーブルをグラフで表した図
【図6】電子トラッキングを説明するためのフローチャート
【図7】電子トラッキング時のズームリングの回転位置とフォーカスレンズの位置の動きの一例を説明するための図
【図8】常時AFモードの動作を説明するためのフローチャート
【図9】常時AF時にステップS45でウォブリングすると判断される場合のズームリングの回転位置とフォーカスレンズの位置の動きの一例を説明するための図
【図10】常時AF時にステップS45でウォブリングすると判断される場合のズームリングの回転位置とフォーカスレンズの位置の動きの一例を説明するための図
【図11】常時AF時にステップS45でウォブリングすると判断される場合のズームリングの回転位置とフォーカスレンズの位置の動きの別の一例を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0066】
[第1実施形態]
<1:カメラシステムの構成>
(1.1:カメラシステムの構成の概要)
図1は、第1実施形態に係るカメラシステム1の構成を示すブロック図である。
【0067】
カメラシステム1は、カメラボディ100とそれに着脱可能な交換レンズ200とから構成される。
【0068】
カメラシステム1は、動画像の撮影動作、記録動作が可能である。本実施形態は、レンズ交換式のカメラシステムにおいて、画質のよい動画像の撮影動作、記録動作を行うことが可能である。
【0069】
(1.2:カメラボディの構成)
カメラボディ100は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー110と、液晶モニタ120と、カメラコントローラー140と、ボディマウント150と、電源160と、カードスロット170と、を備える。
【0070】
カメラコントローラー140は、レリーズ釦130等の操作部材からの指示に応じて、CCDイメージセンサー110等のカメラシステム1全体を制御する。カメラコントローラー140は、垂直同期信号をタイミング発生器112に送信する。これと並行して、カメラコントローラー140は、垂直同期信号に基づいて、露光同期信号を生成する。カメラコントローラー140は、生成した露光同期信号を、ボディマウント150及びレンズマウント250を介して、レンズコントローラー240に周期的に繰り返して送信する。カメラコントローラー140は、制御動作や画像処理動作の際に、DRAM141をワークメモリとして使用する。なお、カメラコントローラー140は、ボディ制御部の一例である。
【0071】
CCDイメージセンサー110は、交換レンズ200を介して入射される被写体像を撮像して画像データを生成する。生成された画像データは、ADコンバーター111でデジタル化される。ADコンバーター111でデジタル化された画像データは、カメラコントローラー140で様々な画像処理が施される。ここで言う「様々な画像処理」とは、例えば、ガンマ補正処理、ホワイトバランス補正処理、キズ補正処理、YC変換処理、電子ズーム処理、JPEG圧縮処理等である。
【0072】
CCDイメージセンサー110は、タイミング発生器112で制御されるタイミングで動作する。CCDイメージセンサー110は、静止画像の撮像動作、及び、動画像の撮像動作等を行う。動画像の撮影動作には、スルー画像の撮影動作が含まれる。ここで、「スルー画像」とは、動画像の撮像後、メモリーカード171にデータを記録しない画像である。「スルー画像」は、主に動画像であり、動画像または静止画像の撮像のための構図を決めるために液晶モニタ120および/または電子ビューファインダー180(以下、「EVF」とも言う)に表示されるものである。また、動画像の撮影動作には、動画像の記録動作も含まれる。「動画像の記録動作」とは、動画像の撮影動作およびメモリーカード171に動画データを記録する動作を含む動作である。なお、CCDイメージセンサー110は、撮像部の一例である。撮像部は、CMOSイメージセンサー等を含む概念である。
【0073】
液晶モニタ120は、カメラコントローラー140で画像処理された表示用画像データが示す画像等を表示する。液晶モニタ120は、動画像も静止画像も選択的に表示可能である。なお、液晶モニタ120は、表示部の一例である。表示部としては、他にも、有機EL、無機EL、プラズマディスプレイパネル等、画像を表示できるものを用いることができる。
【0074】
電子ビューファインダー180(以下、「EVF180」ということがある。)は、カメラコントローラー140で画像処理された表示用画像データが示す画像等を表示する。EVF180は、動画像も静止画像も選択的に表示可能である。また、EVF180と液晶モニタ120とは、同じ内容を表示する場合と、異なる内容を表示する場合とがある。これらは、カメラコントローラー140によって制御される。EVF180は、画像等を表示するEVF用液晶モニタと、EVF用液晶モニタの表示を拡大するEVF用光学系と、使用者が目を近づける接眼窓とを有する。
【0075】
カードスロット170は、メモリーカード171を装着可能である。カードスロット170は、カメラコントローラー140からの制御に基づいて、メモリーカード171を制御する。具体的には、カードスロット170は、メモリーカード171に画像データを格納する。カードスロット170は、メモリーカード171から画像データを出力する。また、メモリーカード171に動画データを格納する。カードスロット170は、メモリーカード171から動画データを出力する。
【0076】
メモリーカード171は、カメラコントローラー140が画像処理により生成した画像データを格納可能である。例えば、メモリーカード171は、JPEG画像ファイルを格納できる。また、メモリーカード171は、内部に格納する画像データ又は画像ファイルを出力できる。メモリーカード171から出力された画像データ又は画像ファイルは、カメラコントローラー140で画像処理される。例えば、カメラコントローラー140は、メモリーカード171から取得した画像データ又は画像ファイルを伸張して表示用画像データを生成する。
【0077】
メモリーカード171は、さらに、カメラコントローラー140が画像処理により生成した動画データを格納可能である。例えば、メモリーカード171は、動画圧縮規格であるH.264/AVCに従って圧縮された動画ファイルを格納できる。また、メモリーカード171は、内部に格納する動画データ又は動画ファイルを出力できる。メモリーカード171から出力された動画データ又は動画ファイルは、カメラコントローラー140で画像処理される。例えば、カメラコントローラー140は、メモリーカード171から取得した動画データ又は動画ファイルを伸張して表示用動画データを生成する。なお、メモリーカード171は、記憶部の一例である。記憶部は、メモリーカード171のようにカメラシステムに着脱可能なものでもよく、カメラシステムに固定もしくは内蔵されているものでもよい。
【0078】
電源160は、カメラシステム1で消費するための電力を供給する。電源160は、例えば、乾電池であってもよいし、充電池であってもよい。また、電源コード等により外部から供給される電力をカメラシステム1に供給するものであってもよい。
【0079】
ボディマウント150は、交換レンズ200のレンズマウント250と機械的及び電気的に接続可能である。ボディマウント150とレンズマウント250とを介して、カメラボディ100と交換レンズ200との間で、データを送受信可能である。具体的には、ボディマウント150とレンズマウント250とは、機械的及び電気的に接続されることにより、カメラコントローラー140とレンズコントローラー240との間でのデータ送受信(データ通信)の経路を確立させる。ボディマウント150は、カメラコントローラー140から受信した露光同期信号を、レンズマウント250を介してレンズコントローラー240に送信する。また、カメラコントローラー140から受信したその他の制御信号を、レンズマウント250を介してレンズコントローラー240に送信する。また、ボディマウント150は、レンズマウント250を介してレンズコントローラー240から受信した信号をカメラコントローラー140に送信する。また、ボディマウント150は、電源160から受けた電力を、レンズマウント250を介して交換レンズ200全体に供給する。
【0080】
(1.3:交換レンズの構成)
交換レンズ200は、光学系とレンズコントローラー240と、レンズマウント250と、絞りユニット260とを備える。
【0081】
交換レンズ200の光学系は、ズームレンズ210、ズームリング213、OISレンズ220、および、フォーカスレンズ230を含む。
【0082】
ズームレンズ210は、交換レンズ200の光学系で形成される被写体の光学像(以下、「被写体像」ともいう。)の倍率、すなわち、光学系の焦点距離を変化させるためのレンズである。ズームレンズ210は、1枚又は複数枚のレンズで構成される。ズームレンズ210は、光学系の第1レンズ群L1と第2レンズ群L2とを含む。ズームレンズ210は、光学系の光軸AXと平行な方向に移動することにより焦点距離を変化させる。
【0083】
ズームリング213は、筒状の部材であり、交換レンズ200の外周面で回転可能である。ズームリング213は、焦点距離を操作するズーム操作部の一例であり、操作後の位置に応じて焦点距離が決定されるズーム操作部の一例である。
【0084】
駆動機構211は、使用者によりズームリング213が操作されると、当該操作をズームレンズ210に伝え、ズームレンズ210を光学系の光軸AX方向に沿って移動させる。一例として、駆動機構211は、カム機構を有し、ズームリング213の回転動作をズームレンズ210の直進動作に変換する。駆動機構211は、ズームレンズ駆動部の一例である。
【0085】
検出器212は、駆動機構211における駆動量を検出する。レンズコントローラー240および/またはカメラコントローラー140は、この検出器212における検出結果を取得することにより、光学系における焦点距離を把握することができる。また、レンズコントローラー240および/またはカメラコントローラー140は、この検出器212における検出結果を取得することにより、ズームレンズ(L1,L2等)の交換レンズ200内での光軸AX方向の位置を把握することができる。なお、駆動機構211は、ズームレンズ210を光軸AX方向に沿って移動できればよい。例えば、駆動機構211は、ズームリング213等の操作部材の回転位置に従ってモータ等の駆動力発生部からの駆動力をズームレンズ210に伝え、ズームレンズ210をズームリング213の回転位置に対応する光軸AX方向の位置に移動するものであってもよい。
【0086】
OISレンズ220は、交換レンズ200の光学系で形成される被写体像のぶれを補正するためのレンズである。具体的には、OISレンズ220は、カメラシステム1のぶれによって生じる被写体像のぶれを補正する。OISレンズ220は、カメラシステム1のぶれを相殺する方向に移動することにより、CCDイメージセンサー110と被写体像との相対的なぶれを小さくする。具体的には、OISレンズ220は、カメラシステム1のぶれを相殺する方向に移動することにより、CCDイメージセンサー110上の被写体像のぶれを小さくする。OISレンズ220は、1枚又は複数枚のレンズで構成される。アクチュエータ221は、OIS用IC223からの制御を受けて、光学系の光軸AXに垂直な面内でOISレンズ220を駆動する。
【0087】
アクチュエータ221は、例えば、マグネットと平板コイルとを用いて実現することができる。
【0088】
位置検出センサー222は、光学系の光軸AXに垂直な面内におけるOISレンズ220の位置を検出するセンサーである。位置検出センサー222は、例えば、マグネットとホール素子とを用いて実現することができる。
【0089】
OIS用IC223は、位置検出センサー222の検出結果及びジャイロセンサーなどのぶれ検出器の検出結果に基づいて、アクチュエータ221を制御する。OIS用IC223は、レンズコントローラー240からぶれ検出器の検出結果を得る。また、OIS用IC223は、レンズコントローラー240に対して、光学的像ぶれ補正処理の状態を示す信号を送信する。
【0090】
なお、OISレンズ220は、ぶれ補正部の一例である。カメラシステム1のぶれによって生じる被写体像のぶれを補正する手段として、CCDからの画像データに基づいて補正した画像データを生成する電子式ぶれ補正を適用してもよい。また、カメラシステム1のぶれによって生じるCCDイメージセンサー110と被写体像との相対的なぶれを小さくする手段として、CCDイメージセンサー110を光学系の光軸AXと平行な垂直な面内で駆動する構成としてもよい。
【0091】
フォーカスレンズ230は、光学系がCCDイメージセンサー110上に形成する被写体像のフォーカス状態を変化させるためのレンズである。フォーカスレンズ230は、1枚又は複数枚のレンズで構成される。ズームレンズ210は、光学系の光軸AXと平行な方向に移動することにより被写体像のフォーカス状態を変化させる。
【0092】
フォーカスモータ233は、レンズコントローラー240の制御に基づいて、フォーカスレンズ230が光学系の光軸AXに沿って進退するようにフォーカスレンズ230を駆動する。これにより、光学系でCCDイメージセンサー110上に形成される被写体像のフォーカス状態を変化させることができる。フォーカスモータ233は、ズームレンズ210の駆動から独立してフォーカスレンズ230を駆動することができる。具体的には、フォーカスモータ233は、第2レンズ群L2を基準に、フォーカスレンズ230を光軸AX方向に駆動する。言い換えると、フォーカスモータ233は、第2レンズ群L2とフォーカスレンズ230との光軸AX方向の相対距離を変更可能である。フォーカスレンズ230とフォーカスモータ233とは、第2レンズ群L2とともに光軸AX方向に移動する。従って、ズーム動作により第2レンズ群L2が光軸AX方向に移動すると、フォーカスレンズ230およびフォーカスモータ233も光軸AX方向に移動する。また、第2レンズ群L2が光軸AX方向に静止している状態でも、フォーカスモータ233は、第2レンズ群L2を基準に、フォーカスレンズ230を光軸AX方向に駆動することができる。
【0093】
さらに具体的にフォーカスモータ233について説明する。
【0094】
図2は、第2レンズ群とフォーカスレンズ230とを含む交換レンズ200の一部の構成図である。図3は、第2レンズ群とフォーカスレンズ230とを含む交換レンズ200の一部の構成の展開図である。
【0095】
フォーカスレンズ230は、フォーカスレンズ保持枠235によって保持されている。第2レンズ群L2は、2群保持枠214によって保持されている。ズームリング213の回転操作により、駆動機構211は、2群保持枠214を光軸AX方向に移動する。第2保持枠214には、光軸AX方向と平行に2本のガイドポール216の一端が固定されている。ガイドポール216の他端は、ガイドポール保持枠215に固定されている。ガイドポール保持枠215は、第2保持枠214に固定されている。第2保持枠214は、ガイドポール保持枠215よりも被写体側に配置されている。ガイドポール216は、フォーカスレンズ保持枠235を貫通している。フォーカスレンズ保持枠235は、ガイドポール216に対して摺動自在に設けられている。
【0096】
フォーカスモータ233は、可動部233aと固定部233bとにより構成されている。可動部233aは、フォーカスレンズ保持枠235の側面235aにネジ止め等により固定されている。固定部233bは、ガイドポール216の1つに固定されている。フォーカスモータ233が光軸AZと平行な方向の駆動力を発生することにより、可動部233aが固定部233bに対して光軸AZと平行な方向移動する。これに伴い、フォーカスレンズ230が第2レンズ群L2に対して光軸AZと平行な方向に移動する。ガイドポール216とフォーカスレンズ保持枠235とフォーカスモータとにより、フォーカスレンズ230は、光学系の光軸AXと平行な方向に移動可能であり、光軸AXと直交する方向に移動不可能であるように規制されている。
【0097】
本実施形態では、フォーカスモータ233は、超音波モータである。超音波モータは、圧電体層と電極層とが積層されたものである。電極層に周波数が同一、振幅が同一、かつ、位相が約90度異なる2系統の交流電圧を印加すると、超音波モータは縦振動と横振動を調和的に発生する。そして、超音波モータは、横振動の腹近傍に固定された駆動子を楕円運動させ、直線方向の駆動力を発生する。駆動子は、固定部233bに押圧されており、駆動子と固定部233bとの摩擦力により駆動力を発生する。2系統の交流電圧の位相を反対方向に約90度異なるものにすると、駆動子は、反対方向に楕円運動し、反対方向の駆動力を発生する。なお、超音波モータは、直線駆動を行うリニアアクチュエータの一例である。また、超音波モータは、フォーカスモータ233の一例である。フォーカスモータ233は、これに限定されず、DCモータやステッピングモータ、サーボモータなどによっても実現できる。フォーカスモータ233は、フォーカスレンズ駆動部の一例である。
【0098】
相対位置検出器231及び絶対位置検出器232は、フォーカスレンズ230の駆動状態を示す信号を生成するエンコーダである。
【0099】
相対位置検出器231は、磁気スケール231aと磁気センサー231bとを有する。磁気スケール231aは、フォーカスレンズ保持枠235と一体に構成され、光軸AZと平行な方向に等間隔にて着磁されている。磁気センサー231bは、磁気スケール231aの上を移動することにより磁気の変化を検出し磁気の変化に応じた信号を出力する。磁気センサー231bは、例えば、MRセンサーである。磁気センサー231bは、ガイドポール保持枠215に固定され、磁気スケール231aと所定間隔を保つよう配置されている。
【0100】
絶対位置検出器232は、2群保持枠214に対するフォーカスレンズ保持枠235の原点位置を検出する。言い換えれば、絶対位置検出器232は、第2レンズ群L2に対するフォーカスレンズ230の原点位置を検出する原点検出器である。絶対位置検出器232は、例えば、フォトセンサである。レンズコントローラー240は、フォーカスレンズ230を原点位置に駆動し、絶対位置検出器232からの信号によりフォーカスレンズ230が原点にあることを認識する。原点は、絶対位置(カメラシステム1内において一義的に決まる位置)である。
【0101】
レンズコントローラー240は、内部にカウンタ243を設けており、このカウンタ243は、相対位置検出器231から出力される信号により磁気変化の極値をカウントする。そして、フォーカスレンズ230を光軸AXと平行な第1の方向に移動するときに磁気変化の極値が検出されると、カウントを「+1」(インクリメント)する。また、フォーカスレンズ230を光軸AXと平行な第1の方向と反対の第2の方向に移動するときに磁気変化の極値が検出されると、カウントを「−1」(デクリメント)する。
【0102】
このようにして、レンズコントローラー240は、絶対位置である原点位置からの相対位置を検出することにより、第2レンズ群L2に対するフォーカスレンズ230の光軸AX方向の位置を把握可能である。また、上述のとおり、レンズコントローラー240は、第2レンズ群L2の交換レンズ200内での光軸AX方向の位置を把握可能である。従って、レンズコントローラー240は、フォーカスレンズ230の交換レンズ200内での光軸AX方向の位置を把握可能である。相対位置検出器231及び絶対位置検出器232は、フォーカスレンズ位置検出部の一例である。フォーカスレンズ位置検出部は、フォーカスレンズの位置を直接検出するものでもよく、フォーカスレンズに連動する機構部材の位置を検出するものでもよい。
【0103】
絞りユニット260は、光学系を透過する光の量を調整する光量調整部材である。絞りユニット260は、光学系を透過する光の光線の一部を遮蔽可能な絞り羽根と、絞り羽根を駆動しその遮蔽量を変更して光量を調整する絞り駆動部とを有する。また、絞りユニット260は、入射した光の一部を透過させることで入射した光の量を減じて出射するNDフィルターと、NDフィルターを駆動し光学系を透過する光の光線のNDフィルターへの入射量を変更して光量を調整するND駆動部とを有する。カメラコントローラー140は、CCDイメージセンサー110が受けた光の量、静止画撮影を行うのか動画撮影を行うのか、絞り値が優先的に設定される操作がされているか等に基づいて、絞りユニット260に動作を指示する。
【0104】
レンズコントローラー240は、カメラコントローラー140からの制御信号に基づいて、OIS用IC223やフォーカスモータ233などの交換レンズ200全体を制御する。また、レンズコントローラー240は、検出器212、OIS用IC223、相対位置検出器231、絶対位置検出器232などから信号を受信して、カメラコントローラー140に送信する。レンズコントローラー240は、カメラコントローラー140との送受信の際には、レンズマウント250及びボディマウント150を介して、カメラコントローラー140との通信(データの送受信)を行う。レンズコントローラー240は、制御の際、DRAM241をワークメモリとして使用する。また、フラッシュメモリ242は、レンズコントローラー240の制御の際に使用するプログラムやパラメータを保存する。
【0105】
<2:カメラシステムの動作>
(2.1:撮像準備動作)
まず、撮像準備のためのカメラシステム1の動作を説明する。
【0106】
図4は、カメラシステム1の撮像準備動作を説明するための信号送受信を示す図である。
【0107】
カメラボディ100に交換レンズ200を装着した状態で、使用者が、カメラボディ100の電源をONすると、電源160は、ボディマウント150及びレンズマウント250を介して、交換レンズ200への電力供給を開始する(S11)。
【0108】
次に、カメラコントローラー140は、レンズコントローラー240に対して、交換レンズ200の認証情報を要求する(S12)。ここで、「交換レンズ200の認証情報」には、交換レンズ200が装着されているか否かに関する情報及びアクセサリーが装着されているか否かに関する情報が含まれる。レンズコントローラー240は、カメラコントローラー140からのレンズ認証要求に応答し認証情報をカメラコントローラー140に送信する(S13)。
【0109】
次に、カメラコントローラー140は、レンズコントローラー240に対して、初期化動作をするよう要求する(S14)。これを受けて、レンズコントローラー240は、絞りのリセット、OISレンズ220のリセット等の初期化動作を行う。そして、レンズコントローラー240は、カメラコントローラー140に対して、レンズ初期化動作が完了した旨を返信する(S15)。
【0110】
次に、カメラコントローラー140は、レンズコントローラー240に対して、レンズデータを要求する(S16)。レンズデータは、フラッシュメモリ242に格納されている。そこで、レンズコントローラー240は、フラッシュメモリ242からレンズデータを読み出して、カメラコントローラー140に返信する(S17)。ここで、「レンズデータ」とは、レンズ名称、Fナンバー、焦点距離等の交換レンズ200特有の特性値である。
【0111】
カメラコントローラー140が、カメラボディ100に装着されている交換レンズ200のレンズデータを把握すると、撮像可能な状態になる。この状態では、カメラコントローラー140は、レンズコントローラー240に対して、交換レンズ200の状態を示すレンズ状態データを定期的に要求する(S18)。「レンズ状態データ」には、例えば、ズームレンズ210によるズーム倍率情報、フォーカスレンズ230の位置情報、絞り値情報などが含まれる。この要求に応えて、レンズコントローラー240は、カメラコントローラー140に対して、要求されたレンズ状態データを返信する(S19)。
【0112】
また、この状態では、カメラシステム1は、CCDイメージセンサー110で生成した画像データが示す画像をスルー画像として液晶モニタ120に表示する制御モードで動作し得る。この制御モードを「ライブビューモード」という。ライブビューモードでは、スルー画像が動画で液晶モニタ120に表示されるので、使用者は、液晶モニタ120を見ながら静止画像を撮像するための構図を決めることができる。ライブビューモードとするかどうかは使用者が選択可能である。ライブビューモードの他に、使用者が選択できる制御モードとしては、交換レンズ200からの被写体像を光学ビューファインダー(図示省略)に導く制御モードもある。この制御モードを実現するためには、被写体像を光学ビューファインダー(図示省略)に導くための可動ミラー等が必要である。ライブビューモードにおけるオートフォーカス動作の方式としては、コントラスト方式が適している。ライブビューモードでは、定常的に、CCDイメージセンサー110で画像データを生成しているので、その画像データを用いたコントラスト方式のオートフォーカス動作(以下、「コントラストAF」ともいう。)を行うのが容易だからである。
【0113】
コントラスト方式のオートフォーカス動作を行う際には、カメラコントローラー140は、レンズコントローラー240に対して、コントラストAF用データを要求する(S20)。コントラストAF用データは、コントラスト方式のオートフォーカス動作の際に必要なデータであり、例えば、フォーカス駆動速度、フォーカスシフト量、像倍率、コントラストAF可否情報などが含まれる。また、カメラコントローラー140は、生成された画像データに基づいて、オートフォーカス用の評価値を算出する。本実施形態では、評価値として、画像の鮮鋭度を算出する。鮮鋭度の算出方法は、コントラストAFに一般的に用いられているため、説明を省略する。カメラコントローラー140は、評価値算出部の一例である。
【0114】
(2.2:ズーム動作)
次に、カメラシステム1におけるズーム動作について、説明する。以下では、「電子トラッキングモード」によるズーム動作と、「常時AFモード」によるズーム動作と、に分けて、カメラシステム1のズーム動作について説明する。
【0115】
(2.2.1:電子トラッキングモード)
上述のように、カメラシステム1において、使用者によりズームリング213が操作されると、駆動機構211は、当該操作をズームレンズ210に伝え、ズームレンズ210を光学系の光軸AX方向に沿って移動させる。これにより、光学系は被写体像の倍率を変化させる(以下、「変倍動作」ともいう。)。このとき、第2レンズ群L2も光軸AX方向に移動する。そして、フォーカスモータ233を駆動してフォーカスレンズ230の位置を移動させていない場合、フォーカスレンズ230は、第2レンズ群L2からの距離を一定としたまま光軸AX方向に移動する。その結果、カメラシステム1の光学系によりCCDイメージセンサー110上に形成される被写体像のフォーカス状態が変化する。言い換えると、CCDイメージセンサー110上に焦点を結んでいる物体から光学系までの物点距離(物点距離)が変化する。そして、変倍動作前にある被写体に対して合焦していたのが、変倍動作後にその被写体に対して合焦しなくなる。以下、CCDイメージセンサー110上に焦点を結んでいる物体からカメラまでの距離を「被写体距離」という。「被写体距離」とは、物点距離と、共役距離(物像間距離)を含む概念である。共役距離(物像間距離)とは、レンズを中心に、物体とその像との間の距離をいう。すなわち、共役距離(物像間距離)とは、CCDイメージセンサー110上に焦点を結んでいる物体からCCDイメージセンサー110上の被写体像までの光軸AX方向の距離のことである。
【0116】
そこで、レンズコントローラー240は、変倍動作に伴ってフォーカスモータ233を駆動する。具体的には、フォーカスモータ233は、変倍動作に伴って被写体距離が実質的に一定となるように、フォーカスレンズ230を光軸AX方向に移動させる。なお、「被写体距離が実質的に一定」とは、被写体距離が所定の被写界深度内に納まる程度のものを含む概念である。
【0117】
カメラシステム1において、変倍動作を伴っても被写体距離と、当該変倍動作を伴っても被写体距離が実質的に一定となるフォーカスレンズ230の光軸AX方向の位置と、の関係をテーブルにしたものを「トラッキングテーブル」という。言い換えると、「トラッキングテーブル」とは、被写体距離ごとに定められた「焦点距離」と「フォーカスレンズ230の光軸AX方向の位置」との関係を示すものである。
【0118】
なお、「焦点距離」は、ズームリング213の回転位置と言い換えることもでき、ズームレンズ210の光軸AX方向の位置と言い換えることもでき、検出器212の検出結果と言い換えることもできる。つまり、「焦点距離」は、ズームリング213の回転位置、または、ズームレンズ210の光軸AX方向の位置が決定されれば、一義的に決定される。
【0119】
また、「フォーカスレンズ230の光軸AX方向の位置」とは、第2レンズ群L2に対するフォーカスレンズ230の光軸AX方向の位置と言い換えることができ、交換レンズ200内におけるフォーカスレンズ230の光軸AX方向の位置と言い換えることができる。つまり、「フォーカスレンズ230の光軸AX方向の位置」は、第2レンズ群L2に対するフォーカスレンズ230の光軸AX方向の位置、または、交換レンズ200内におけるフォーカスレンズ230の光軸AX方向の位置が決定されれば、一義的に決定される。
【0120】
本実施形態で用いるトラッキングテーブルは、上記で言い換えて表されるいずれの関係をも用いることが可能である。
【0121】
図5は、本実施形態における交換レンズのトラッキングテーブル(トラッキングテーブル・データ)をグラフで表した図である。トラッキングテーブルは、交換レンズ200内のフラッシュメモリ242に格納されている。具体的には、ズームリング213の回転位置情報とフォーカスレンズ230の交換レンズ200内における光軸AX方向の位置情報との関係が、被写体距離ごとにテーブル情報としてフラッシュメモリ242に格納されている。例えば、被写体距離が「0.5m」、「1.0m」、「2.0m」、「∞」等のトラッキングテーブルが格納されている。ズームリング213の回転位置情報は、例えば、検出器212からの出力から取得(算出)することができる。図5に示す「Wide端」は、カメラシステム1の光学系の広角端を表し、「Tele端」は、カメラシステム1の光学系の望遠端を表す。なお、トラッキングテーブルは、ズームリング回転位置およびフォーカスレンズ位置を、それぞれ、いくつかに分割した離散的な情報(データ)として持ち、その分割数は、被写体距離が一定であればズームリング213を回転させても所定の被写界深度内に納まる程度に決めるのが一般的である。また、トラッキングテーブルは、いくつかに分割した離散的な情報(データ)ではなく、多項式で表してもよい(演算により算出されるものであってもよい)。なお、フラッシュメモリ242は、トラッキングテーブル記憶部の一例である。
【0122】
レンズコントローラー240は、モードによりフォーカスレンズの制御を変更することができ、トラッキングテーブルに基づいてフォーカスモータ233を制御し、フォーカスレンズ230を光軸AX方向に駆動することができる。以下では、レンズコントローラー240がトラッキングテーブルに基づいてフォーカスモータ233を制御し、フォーカスレンズ230を光軸AX方向に駆動する制御モードのことを「電子トラッキングモード」といい、この制御モードによる動作を、「電子トラッキング」ともいう。なお、カメラシステム1において、カメラコントローラー140が、当該制御モード(電子トラッキングモード)を有し、レンズコントローラー240に指示を送って電子トラッキングを行うようにしてもよい。
【0123】
≪電子トラッキングのフローチャート説明≫
図6は、カメラシステム1における電子トラッキングモードによる動作を説明するためのフローチャートである。
【0124】
図7は、電子トラッキング時(電子トラッキングモードによる制御時)のズームリングの回転位置とフォーカスレンズの位置との関係(一例)を説明するための図である。図7において、点線での曲線は、トラッキングテーブル(によるデータ曲線)を示す。
【0125】
電子トラッキングは、カメラコントローラー140からの指示により開始される。例えば、ライブビューモードにおいて、オートフォーカスを機能させていない状態になると、カメラコントローラー140は、レンズコントローラー240に電子トラッキングの開始の指令を送る。そして、レンズコントローラー240は、電子トラッキングを開始する。
【0126】
以下、図6および図7を参照しながら、カメラシステム1における「電子トラッキングモード」時の動作について説明する。なお、以下では、図6のフローチャートの手順に従って、説明する。
(ステップS31):
レンズコントローラー240は、まず、被写体距離に対応するフォーカスレンズ230の位置に関する情報を取得する。本実施形態では、当該情報は、フォーカスレンズ230の交換レンズ200内における光軸AX方向の位置である。
【0127】
レンズコントローラー240は、相対位置検出器231、絶対位置検出器232、カウンタ243を使用して、第2レンズ群L2に対するフォーカスレンズ230の光軸AX方向の位置を算出し、検出器212を使用して第2レンズ群L2の交換レンズ200内の光軸AX方向の位置を算出し、これらからフォーカスレンズ230の交換レンズ200内における光軸AX方向の位置を算出する。
【0128】
また、レンズコントローラー240は、焦点距離に対応するフォーカスレンズ230の位置に関する情報を取得する。本実施形態では、当該情報は、検出器212の出力であり、言い換えると、ズームリング213の回転位置である。
【0129】
図7の例では、B0の位置にあることがレンズコントローラー240に把握される。
【0130】
次に、ステップS32に移行する。
(ステップS32):
レンズコントローラー240は、当該被写体距離に対応するトラッキングテーブルを選択する。以下、電子トラッキングの終了までこのトラッキングテーブルを使用する。
【0131】
図7の例では、被写体距離「1.0m」のトラッキングテーブルが選択される。
【0132】
次に、ステップS33に移行する。
(ステップS33):
レンズコントローラー240は、焦点距離に対応するフォーカスレンズ230の位置に関する情報を取得する。本実施形態では、当該情報は、検出器212の出力であり、言い換えると、ズームリング213の回転位置である。
【0133】
図7の例では、B1の位置にあることが把握される。
【0134】
次に、ステップS34に移行する。
(ステップS34):
レンズコントローラー240は、焦点距離の変化速度に関する情報を取得する。本実施形態では、当該情報は、検出器212の出力値の変化率であり、言い換えると、ズームリング213の回転速度である。具体的には、レンズコントローラー240は、所定のタイミング(時間間隔)で検出器212の出力値を取得しており、前回取得した検出器212の出力値と、前回検出器212の出力値を取得した時(この時刻をt1とする。)から今回検出器212の出力値を取得した時(この時刻をt2とする。)までの時間と、を用いて、検出器212の出力値の変化率を算出する。この値は、ズームリング213の回転速度の算出直前(時刻t2の直前)の実測値とほぼ等価であるとみなすことができる。焦点距離の変化速度は、焦点距離が増加する方向であるか、それとも減少する方向であるかに関する情報も含んでいる。本実施形態では、焦点距離の変化速度、すなわち、ズームリング213の回転速度は、広角端から望遠端に焦点距離が増加する方向を「正」、広角端から望遠端に焦点距離が減少する方向を「負」としている。なお、検出器212の出力値の取得は、ステップS33でのみ行うものとせず、さらに短い周期で周期的に取得するようにしてもよい。
【0135】
図7の例では、ズームリング213を一定速度で回転させ、焦点距離を一定量で変化させている。図7の縦の点線は、所定時間T1ごとのズームリング213の位置を表している。
【0136】
次に、ステップS35に移行する。
(ステップS35):
レンズコントローラー240は、ステップS33で取得した焦点距離に関する情報と、ステップS34で取得した焦点距離の変化速度に関する情報とに基づき、所定時間T1後の焦点距離を予測する。そして、トラッキングテーブルを参照し、予測した焦点距離に対応するフォーカスレンズ230の位置を取得する。具体的には、レンズコントローラー240は、ステップS33で取得したズームリング213の回転位置と回転速度とに基づき、所定時間T1後のズームリング213の回転位置を予測する。そして、トラッキングテーブルを参照し、予測したズームリング213の回転位置に対応するフォーカスレンズ230の光軸AX方向の位置を取得する。そして、レンズコントローラー240は、当該位置をフォーカスレンズ230の移動目標位置として、当該位置にフォーカスレンズ230を移動するようにフォーカスモータ233に指令を送る。
【0137】
図7の例では、B2の横軸の値がズームリング213の回転位置として予測され、その値でのトラッキングテーブル上のB2が求められ、B2の縦軸の値が移動目標位置として取得される。
【0138】
次に、ステップS36に移行する。
(ステップS36):
フォーカスモータ233は、移動目標位置にフォーカスレンズ230を移動させる。
【0139】
図7の例では、B2の位置にフォーカスレンズ230を移動させる。
【0140】
次に、ステップS37に移行する。
(ステップS37):
レンズコントローラー240は、電子トラッキングの終了指令を受けたかどうかを判断する。終了指令を受けたときは、レンズコントローラー240は、電子トラッキングを終了させる。一方、終了指令を受けていないときは、ステップS33に戻る。そして、電子トラッキングが終了するまで、ステップS33からステップS36の動作を繰り返す。
【0141】
以上により、カメラシステム1では、ズームリング213が回転操作され、カメラシステム1の光学系の焦点距離が変化しても、トラッキングテーブルに基づきフォーカスレンズ230を移動し、被写体距離が実質的に一定に保たれる。
【0142】
図7の例では、フォーカスレンズ230は、B3,B4,B5,B6,B7の位置に順次移動する。
【0143】
電子トラッキングは、カメラコントローラー140からの指示により終了する。例えば、ライブビューモードが終了したとき、または、後述する常時AFモードが選択されたときに、電子トラッキングは終了する。
【0144】
なお、ステップS35における所定時間T1は、例えば、ステップS33からステップS36の繰り返しを行う際の1周期(ステップS33からステップS36までの処理時間)と実質的に等しい値(略同一値)である。
【0145】
カメラシステム1において、ズームリング213が回転操作されず、カメラシステム1の光学系の焦点距離が変化していない場合には、ズームリング213の回転速度は「0」と算出される(ステップS34)。そして、所定時間T1後のズームリング213の回転位置は、現在位置と同じ位置と予測され、トラッキングテーブルに基づきフォーカスレンズ230の移動目標位置は、フォーカスレンズ230の現在位置と等しくなる(ステップS35)。そして、フォーカスレンズ230が静止し(フォーカスレンズ230を移動させることなく)(ステップS36)、被写体距離が実質的に一定に保たれる。
【0146】
(2.2.2:常時AFモード)
次に、「常時AFモード」による、カメラシステム1のズーム動作について、説明する。
【0147】
カメラシステム1において、動画像の撮影時には、定常的に、CCDイメージセンサー110で画像データを生成している。カメラコントローラー140は、モードによりフォーカスレンズの制御を変更することができ、動画像の撮影時に、カメラシステム1により取得された画像データに基づいてフォーカスモータ233を制御し、フォーカスレンズ230を光軸AX方向に駆動して、コントラストAFを行うことができる。以下では、カメラコントローラー140が動画像の撮影時に、カメラシステム1により取得された画像データに基づいてフォーカスモータ233を制御し、フォーカスレンズ230を光軸AX方向に駆動する制御モードのことを「常時AFモード」といい、この制御モードによる動作を、「常時AF」ともいう。
【0148】
図8は、カメラシステム1における常時AFモードによる動作を説明するためのフローチャートである。
【0149】
カメラシステム1において、常時AFモードによる制御は、カメラコントローラー140からの指示により開始される。例えば、ライブビューモードにおいて、オートフォーカスを機能させる設定になると、カメラコントローラー140は、レンズコントローラー240に常時AFモードの開始の指令を送る。そして、カメラコントローラー140およびレンズコントローラー240は、常時AFモードによる制御を開始する。
【0150】
また、カメラシステム1において、動画像を撮影しメモリーカード171に記録する「動画撮影モード」が設定されると、カメラコントローラー140は、レンズコントローラー240に常時AFモードの開始の指令を送る。そして、カメラコントローラー140およびレンズコントローラー240は、常時AFモードによる制御を開始する。
【0151】
以下、図8〜図11を参照しながら、カメラシステム1における「常時AFモード」時の動作について説明する。なお、以下では、図8のフローチャートの手順に従って、説明する。
(ステップS41):
上述のステップS31と同様の動作が行われ、ステップS42に移行する。
(ステップS42):
上述のステップS32と同様の動作が行われ、ステップS43に移行する。
(ステップS43):
上述のステップS33と同様の動作が行われ、ステップS44に移行する。
(ステップS44):
上述のステップS34と同様の動作が行われ、ステップS45に移行する。
(ステップS45):
レンズコントローラー240は、ウォブリングを行う「第1制御モード」とウォブリングを行わない「第2制御モード」のいずれの制御モードでフォーカスモータ233制御するかを決定する。判断の詳細については後述する。ウォブリングを行うと判断した場合、ステップS46に移行する。ウォブリングを行わないと判断した場合、ステップS50に移行する。
(ステップS46):
ウォブリングが行われる。具体的には、レンズコントローラー240は、被写体距離が変化するように、フォーカスレンズ230を光軸AX方向の前後に移動させる。CCDイメージセンサー110は、それぞれの位置での画像データを取得する。カメラコントローラー140は、それぞれの画像データから画像の鮮鋭度を算出する。カメラコントローラー140は、算出した各フォーカスレンズ位置における画像の鮮鋭度に基づいて、フォーカスレンズ230を光軸AX方向の前後いずれの方向に移動すれば、所定の被写体に焦点が合うか(被写体距離において合焦状態になるか)を求める(決定する)。そして、カメラコントローラー140は、当該情報(カメラコントローラー140により求められたフォーカスレンズ230の移動方向に関する情報)をレンズコントローラー240に送信する。レンズコントローラー240は、フォーカスモータ233に指令を送り、フォーカスモータ233は、被写体距離が変化するように、カメラコントローラー140で求められた方向にフォーカスレンズ230を移動する。
【0152】
図9は、カメラシステム1において、常時AF時にステップS45でウォブリングすると判断される場合のズームリングの回転位置とフォーカスレンズの位置との関係(一例)を説明するための図である。カメラシステム1における常時AF時の動作について、さらに具体的に、図9を用いて説明する。
【0153】
図9の例では、ステップS41からステップS44の処理において、図9のC1点に相当するフォーカスレンズ230の位置が取得され、被写体距離「2.0m」のトラッキングテーブルが選択され、焦点距離に関する情報としてC1点に相当するズームリング213の回転位置が取得されている。また、焦点距離の変化速度に関する情報として、ズームリング213の回転速度が取得されている。図9の例では、ズームリング213を一定速度で回転させ、焦点距離を一定量で変化させている。図9の縦の点線は、所定時間T4ごとのズームリング213の位置を表している。
【0154】
ステップS46において、レンズコントローラー240は、ステップS43で取得した焦点距離に関する情報と、ステップS44で取得した焦点距離の変化速度に関する情報とに基づき、所定時間T2後の焦点距離(第1焦点距離)と所定時間T3後の焦点距離(第2焦点距離)と所定時間T4後の焦点距離(第3焦点距離)とを予測する。
【0155】
そして、レンズコントローラー240は、トラッキングテーブルを参照し、予測した第1焦点距離および第2焦点距離に、それぞれ対応するフォーカスレンズ230の位置を取得する。具体的には、レンズコントローラー240は、ステップS43で取得したズームリング213の回転位置と回転速度とに基づき、所定時間T2後のズームリング213の回転位置(第1回転位置)と所定時間T3後のズームリング213の回転位置(第2回転位置)と所定時間T4後のズームリング213の回転位置(第3回転位置)とを予測する。そして、レンズコントローラー240は、トラッキングテーブルを参照し、予測したズームリング213の各回転位置(第1回転位置および第2回転位置)に対応するフォーカスレンズ230の光軸AX方向の位置を取得する。
【0156】
そして、レンズコントローラー240は、第1回転位置に対応するフォーカスレンズ230の光軸AX方向の位置よりも被写体距離が所定量だけ大きくなるフォーカスレンズ230の位置を、フォーカスレンズ230の第1移動目標位置として算出する。
【0157】
また、レンズコントローラー240は、第2回転位置に対応するフォーカスレンズ230の光軸AX方向の位置よりも被写体距離が所定量だけ小さくなるフォーカスレンズ230の位置をフォーカスレンズ230の第2移動目標位置として算出する。
【0158】
なお、「所定量」(被写体距離の変化量)とは、どの被写体距離のトラッキングテーブルを選択すればよいかを判断するのに十分な量であればよい。例えば、被写体距離「1.0m」が正しい被写体距離である場合、カメラシステム1において、被写体距離「1.0m」のトラッキングテーブルを選択することができるように、被写体距離「1.0m」に相当するフォーカスレンズ位置の光軸上の前後の位置にフォーカスレンズ230を移動させることができればよい。被写体距離の変化量である「所定量」は、このときのフォーカスレンズ230の移動量に対応する値であればよい。
【0159】
レンズコントローラー240は、所定時間T2後に第1移動目標位置に、所定時間T3後に第2移動目標位置にフォーカスレンズ230を移動するようにフォーカスモータ233に指令を送る。フォーカスモータ233は、指令に基づいて所定時間T2後に第1移動目標位置に、所定時間T3後に第2移動目標位置に、フォーカスレンズ230を移動する。
【0160】
図9の例では、レンズコントローラー240は、C1A点の横軸の値を所定時間T2後のズームリング213の第1回転位置として予測し、C1B点の横軸の値を所定時間T3後のズームリング213の第2回転位置として予測する。
【0161】
レンズコントローラー240は、被写体距離「2.0m」のトラッキングテーブル上の第1回転位置でのフォーカスレンズ230の位置を求め、当該位置よりも被写体距離が所定量だけ大きくなるフォーカスレンズ230の位置を第1移動目標位置として算出する。
【0162】
また、カメラコントローラー140は、被写体距離「2.0m」のトラッキングテーブル上の第2回転位置でのフォーカスレンズ230の位置を求め、当該位置よりも被写体距離が所定量だけ小さくなるフォーカスレンズ230の位置を第2移動目標位置として算出する。
【0163】
図9のC1A点の縦軸の位置が「第1移動目標位置」であり、図9のC1B点の縦軸の位置が「第2移動目標位置」である。
【0164】
フォーカスモータ233は、所定時間T2後にフォーカスレンズ230がC1A点の縦軸の位置になるように移動する。また、フォーカスモータ233は、所定時間T3後にフォーカスレンズ230がC1B点の縦軸の位置になるように移動する。
【0165】
CCDイメージセンサー110は、フォーカスレンズ230が第1移動目標位置(C1A点)にあるときを含む所定の期間に受光した被写体像に基づいて画像データを出力し、カメラコントローラー140は、当該画像データに基づいて画像の鮮鋭度(第1鮮鋭度)を算出する。
【0166】
また、CCDイメージセンサー110は、フォーカスレンズ230が第2移動目標位置(C1B点)にあるときを含む所定の期間に受光した被写体像に基づいて画像データを出力し、カメラコントローラー140は、当該画像データに基づいて画像の鮮鋭度(第2鮮鋭度)を算出する。
【0167】
なお、「所定の期間」は、第1鮮鋭度と第2鮮鋭度との差を比較することができるのに十分な画像データを取得することができる期間であればよい。
【0168】
カメラコントローラー140は、第1鮮鋭度と第2鮮鋭度とをレンズコントローラー240に送信する。
【0169】
次に、ステップS47に移行する。
【0170】
なお、最初にステップS43,S44で得られた回転位置、回転速度に基づいて所定時間T2後の焦点距離(第1焦点距離)と所定時間T3後の焦点距離(第2焦点距離)と所定時間T4後の焦点距離(第3焦点距離)とをすべて予測せずに、ステップS46の処理中にステップS43,S44と同様の動作を行い、得られた回転位置と回転速度とに基づいて、それぞれ、所定時間後の焦点距離(第2焦点距離、第3焦点距離)を求めるようにしてもよい。
【0171】
また、CCDイメージセンサー110は、選択されたトラッキングテーブルに対応する被写体距離にあるとき(フォーカスレンズ230が、当該被写体距離に対応するフォーカスレンズ230の位置に、位置しているとき)を含む期間に受光した被写体像に基づいて画像データを出力し、カメラコントローラー140は、当該画像データに基づいて画像の鮮鋭度(第3鮮鋭度)を算出するようにしてもよい。
【0172】
図9の例では、例えば、第3鮮鋭度はC1点の位置、および/または、C1C点の位置で取得される。
(ステップS47):
第1鮮鋭度および第2鮮鋭度を含む情報に基づき、画像の鮮鋭度がより大きくなる被写体距離を算出する。具体的には、現在設定されているトラッキングテーブルに対応する被写体距離よりも大きい被写体距離で得られた「第1鮮鋭度」と、現在設定されているトラッキングテーブルに対応する被写体距離よりも小さい被写体距離で得られた「第2鮮鋭度」と、を比較する。
【0173】
第1鮮鋭度が第2鮮鋭度よりも大きければ、現在設定されているトラッキングテーブルに対応する被写体距離よりも大きい被写体距離を、画像の鮮鋭度がより大きくなる被写体距離と予測する。
【0174】
一方、第1鮮鋭度が第2鮮鋭度よりも小さければ、現在設定されているトラッキングテーブルに対応する被写体距離よりも小さい被写体距離を画像の鮮鋭度がより大きくなる被写体距離と予測する。
【0175】
画像の鮮鋭度がより大きくなる被写体距離の予測方法としては、例えば、第1鮮鋭度および第2鮮鋭度を取得した際の、第1鮮鋭度に対応する被写体距離と、第2鮮鋭度に対応する被写体距離と、の間に、画像の鮮鋭度が極大値をとる被写体距離があると仮定して、第1鮮鋭度および第2鮮鋭度を取得した際の被写体距離と、第1鮮鋭度および第2鮮鋭度と、に基づいて、画像の鮮鋭度がより大きくなる被写体距離を算出し、その算出した被写体距離により、画像の鮮鋭度がより大きくなる被写体距離を予測すればよい。
【0176】
そして、カメラコントローラー140は、算出(予測)した被写体距離に対応するトラッキングテーブルを選択する。
【0177】
図9の例では、
(C1B点での鮮鋭度)>(C1A点での鮮鋭度)
であるので、画像の鮮鋭度がより大きくなる被写体距離は、C1点において選択されているトラッキングテーブルの被写体距離「2.0m」より短い距離であると予測できる。図9の例では、被写体距離「2.0m」より短い距離である、被写体距離「1.0m」のトラッキングテーブルが選択されている。
【0178】
次に、ステップS48に移行する。
【0179】
なお、第1鮮鋭度および第2鮮鋭度に加え、上述の第3鮮鋭度をさらに含む情報に基づき、画像の鮮鋭度がより大きくなる被写体距離を算出し、その算出した被写体距離に基づいて、トラッキングテーブルを設定するようにしてもよい。
【0180】
また、レンズコントローラー240は、画像の鮮鋭度がより大きくなる被写体距離が、現在設定されているトラッキングテーブルに対応する被写体距離よりも大きい値であるか、小さい値であるかのみを第1鮮鋭度および第2鮮鋭度に基づいて判断するようにし、判断結果に基づいて、現在設定されているトラッキングテーブルに対応する被写体距離よりも所定量だけ大きい、又は、小さい被写体距離に対応するトラッキングテーブルを選択するようにしてもよい。
(ステップS48):
レンズコントローラー240は、トラッキングテーブルを参照し、ステップS46で予測した第3焦点距離(所定時間T4後の焦点距離)に対応するフォーカスレンズ230の位置を取得する。具体的には、レンズコントローラー240は、トラッキングテーブルを参照し、ステップS46で取得したズームリング213の第3回転位置(所定時間T4後のズームリング213の回転位置)に対応するフォーカスレンズ230の光軸AX方向の位置を取得する。そして、レンズコントローラー240は、当該位置をフォーカスレンズ230の移動目標位置として、当該位置にフォーカスレンズ230を移動するようにフォーカスモータ233に指令を送る。
【0181】
図9の例では、C2点の縦軸の値が移動目標位置として取得される。
【0182】
次に、ステップS49に移行する。
(ステップS49):
フォーカスモータ233は、移動目標位置にフォーカスレンズ230を移動する。
【0183】
図9の例では、C2点に相当する位置に移動する。
【0184】
次に、ステップS52に移行する。
【0185】
なお、カメラシステム1において、上記で説明したステップS46からステップS49までの処理を行う制御モードは、「第1制御モード」の一例である。
(ステップS52):
レンズコントローラー240は、常時AFの終了指令を受けたかどうかを判断する。終了指令を受けていないときは、ステップS43に戻る。終了指令を受けたときは、レンズコントローラー240は、常時AF(常時AFモードにより制御)を終了させる。
【0186】
図9の例では、ステップS45で、常に「Yes」の判断がなされており、カメラシステム1では、常時AFが終了するまで、ステップS43からステップS49の動作を繰り返し実行している。
【0187】
これにより、カメラシステム1において、ズームリング213が回転操作され、光学系の焦点距離が変化しても、トラッキングテーブルに基づきフォーカスレンズ230が移動し、被写体距離が実質的に一定に保たれる(常に適切な被写体距離での合焦状態を維持できる(一定時間内に合焦状態にできる)。)。
【0188】
さらに、カメラシステム1では、トラッキングテーブルが適切に選択されていなかった場合でも、鮮鋭度に基づいてトラッキングテーブルが新たに選択されるため、良好な合焦状態を保つことが可能となる。
【0189】
また、カメラシステム1では、被写体とカメラシステムとの光軸AX方向の距離が変化した場合でも、鮮鋭度に基づいてトラッキングテーブルが新たに選択されるため、良好な合焦状態を保つことが可能となる。
【0190】
図9の例では、フォーカスレンズ230は、C3点、C4点、C5、C6点、C7点に相当する位置にウォブリングを行いながら順次移動する。
【0191】
常時AFは、カメラコントローラー140からの指示により終了する。例えば、ライブビューモードにおいて、オートフォーカスを機能させない設定になると、カメラコントローラー140は、レンズコントローラー240に常時AFモードの終了の指令を送る。また、動画像を撮影しメモリーカード171に記録する「動画撮影モード」が終了すると、カメラコントローラー140は、レンズコントローラー240に常時AFモードの終了の指令を送る。
【0192】
ズームリング213が回転操作されず、光学系の焦点距離が変化していない場合には、ズームリング213の回転速度は「0」と算出される(ステップS44)。そして、所定時間T2、T3、T4後のズームリング213の回転位置は、現在位置と同じ位置と予測され、トラッキングテーブルに基づきフォーカスレンズ230の第1移動目標位置および第2移動目標位置は、フォーカスレンズ230の現在位置から所定量光軸AX方向に前後した位置となる(ステップS46)。そして、鮮鋭度に基づき、適切な被写体距離でのAF動作が保たれる。フォーカスレンズ230の移動目標位置が決定され(ステップS48)、レンズコントローラー240は、フォーカスレンズ230を移動目標位置に移動させる(ステップS49)。そして、カメラシステム1において、合焦状態は良好に保たれる。
【0193】
≪ウォブリングするか否かの判断処理≫
(ステップS45の詳細):
以上のように、カメラシステム1において、ステップS46からステップS49を、常に行うことが、合焦状態を良好に保つ上で好ましい。
【0194】
ステップS46のウォブリング動作では、トラッキングテーブルに基づくフォーカスレンズ230の光軸方向の位置よりもさらに光軸方向に前後させることが必要である。
【0195】
しかし、フォーカスレンズ230の移動速度、すなわち、フォーカスモータ233の駆動能力には限界があり、トラッキングテーブルに基づくフォーカスレンズ230の光軸方向の位置よりもさらに光軸方向に前後させることが困難な場合がある。
【0196】
例えば、ズームリング213のように、使用者による操作後の位置に応じて焦点距離が決定される操作部材をカメラシステム1に用いた場合、使用者が操作部材を自在に操作することにより焦点距離が急激に変化することがある。このような場合、カメラシステム1において、焦点距離の変化によるフォーカスレンズ230の移動量、すなわち、トラッキングテーブルに基づくフォーカスレンズ230の移動量が大きくなり、所定のタイミングT2、T3で、第1移動目標位置、第2移動目標位置までフォーカスレンズ230を移動できない場合がある。
【0197】
そこで、ステップS45において、レンズコントローラー240は、ズームリング213の操作状態に基づいて、ウォブリングを行う「第1制御モード」とウォブリングを行わない「第2制御モード」のいずれの制御モードでフォーカスモータ233制御するかを決定する。これについて、以下、説明する。
【0198】
≪第1の判断基準≫
例えば、レンズコントローラー240は、ステップS44で得られた焦点距離の変化速度に関する情報、具体的には、ズームリング213の回転速度に基づいて、ウォブリングを行う「第1制御モード」とウォブリングを行わない「第2制御モード」のいずれの制御モードでフォーカスモータ233制御するかを決定する。
【0199】
さらに具体的には、レンズコントローラー240は、ズームリング213の回転速度が所定値以下の場合にウォブリングを行うと決定し、ズームリング213の回転速度が所定値より大きい場合にウォブリングを行わないと決定する。
【0200】
「所定値」は、例えば、複数のトラッキングテーブルの焦点距離の変化に伴うフォーカスレンズ230の位置の変化が最も大きくなる部分(図9では、図9に示したトラッキングテーブル曲線の傾きが最大となる部分に相当)において、ズームリング213を回転させたとき、ウォブリングすることができるズームリング213の回転速度の最大値(上限値)と実質的に等しい値とする。「所定値」をこのようにして設定するのは、この最大値(上限値)以上の回転速度で、ズームリング213を回転されると、カメラシステム1では、ウォブリングすることができないからである(ウォブリングにより焦点距離が合う方向を決定することができないからである)。
【0201】
以下、このような判断基準を「第1の判断基準」ともいう。
【0202】
≪第2の判断基準≫
また、例えば、レンズコントローラー240は、ステップS44で得られた、
(1)焦点距離の変化速度、
(2)焦点距離、および、
(3)トラッキングテーブル
に基づいてウォブリングを行うか否かを決定する。
【0203】
具体的には、
(1)ステップS44で得られた回転速度、
(2)ステップS43で得られた回転位置、および、
(3)トラッキングテーブル
に基づいてウォブリングを行うか否かを決定する。
【0204】
さらに具体的には、レンズコントローラー240は、上述のステップS46で説明した第1移動目標位置および第2移動目標位置の算出を行い、
(A)所定時間T2後に第1移動目標位置にフォーカスレンズ230を「移動可能」であり、かつ、所定の時間T3後に第2移動目標位置にフォーカスレンズ230を「移動可能」であると判断した場合、ウォブリングを行うと決定し、
(B)所定時間T2後に第1移動目標位置にフォーカスレンズ230を「移動不可能」である、または、所定の時間T3後に第2移動目標位置にフォーカスレンズ230を「移動不可能」であると判断した場合、ウォブリングを行わないと決定する。
【0205】
所定時間T1,T2後に、それぞれ、第1移動目標位置、第2移動目標位置に、フォーカスレンズ230を移動可能か否かの判断は、所定時間T1,T2後に、それぞれ、第1移動目標位置、第2移動目標位置に、フォーカスレンズ230を移動するために必要な速度と、フォーカスモータ233によりフォーカスレンズ230が移動可能な速度の上限値と、を比較して行う。
【0206】
フォーカスレンズ230を移動するために必要な速度が、フォーカスモータ233によりフォーカスレンズ230の移動可能な速度の上限値以上の場合は、ウォブリングを行わないと決定する。
【0207】
一方、フォーカスレンズ230を移動するために必要な速度が、フォーカスモータ233によりフォーカスレンズ230の移動可能な速度の上限値よりも小さい場合は、ウォブリングを行うと決定する。
【0208】
なお、カメラシステム1において、交換レンズ200は、フォーカスレンズ230が移動可能な速度の上限値に関する情報をフラッシュメモリ242に格納している。フォーカスレンズ230が移動可能な速度の上限値に関する情報は、レンズデータの一種である。
【0209】
以下、このような判断基準を「第2の判断基準」ともいう。
【0210】
≪ウォブリングを行わないと判断された場合の処理≫
以下、ステップS45において、レンズコントローラー240がウォブリングを行わないと判断し、ステップS50に移行する場合の動作について説明する。
【0211】
図10は、常時AF時にステップS45でウォブリングしないと判断される場合のズームリングの回転位置とフォーカスレンズの位置の動きの一例を説明するための図である。
【0212】
図10の例では、ステップS41からステップS44において、D1点に相当するフォーカスレンズ230の位置が取得され、被写体距離「1.0m」のトラッキングテーブルが選択され、焦点距離に関する情報としてD1点に相当するズームリング213の回転位置が取得されている。また、焦点距離の変化速度に関する情報として、ズームリング213の回転速度が取得されている。
【0213】
図10の例では、ズームリング213を一定速度で回転させ、焦点距離を一定量で変化させている。
【0214】
図10の縦の点線は、所定時間T4ごとのズームリング213の位置を表している。図10の例では、ステップS45において、ステップS44で得られたズームリング213の回転速度に基づいて判断する「第1の判断基準」に基づき、ウォブリングをしないと判断している。
【0215】
そして、ステップS50に移行する。
【0216】
なお、カメラシステム1において、ウォブリングが可能か否かの判断は、交換レンズ200側のみで(レンズコントローラー240により)行うものであってもよいし、カメラボディ100のカメラコントローラー140から、交換レンズ200のレンズコントローラー240に対して、周期的に(例えば、フレーム周期で)ウォブリング指令を送信し(ポーリングし)、それに対する応答を、レンズコントローラー240がカメラコントローラー140に送信することで行うようにしてもよい。この場合、ウォブリング可能であるときは、レンズコントローラー240は、カメラコントローラー140に「ウォブリング可能」を示すステータスを返すとともに、ウォブリング動作を開始させる。一方、ウォブリング不可であるときは、レンズコントローラー240は、カメラコントローラー140に「ウォブリング不可」を示すステータスを返し、ウォブリング動作を行わない。
(ステップS50):
ステップS50は、ステップS35と実質的に同じ動作である。本実施形態では、ステップS50を経由する周期と、ステップS46を経由する周期とは、同じT4である。
【0217】
レンズコントローラー240は、ステップS43で取得した焦点距離に関する情報と、ステップS44で取得した焦点距離の変化速度に関する情報とに基づき、所定時間T4後の焦点距離を予測する。そして、レンズコントローラー240は、トラッキングテーブルを参照し、予測した焦点距離に対応するフォーカスレンズ230の位置を取得する。
【0218】
具体的には、レンズコントローラー240は、ステップS43で取得したズームリング213の回転位置と回転速度とに基づき、所定時間T4後のズームリング213の回転位置を予測する。そして、トラッキングテーブルを参照し、予測したズームリング213の回転位置に対応するフォーカスレンズ230の光軸AX方向の位置を取得する。
【0219】
そして、レンズコントローラー240は、当該位置をフォーカスレンズ230の移動目標位置として、当該位置にフォーカスレンズ230を移動するようにフォーカスモータ233に指令を送る。
【0220】
図10の例では、D2点の横軸の値がズームリング213の回転位置として予測され、その値でのトラッキングテーブル上のD2点が求められ、D2点の縦軸の値が移動目標位置として取得される。
【0221】
次に、ステップS51に移行する。
(ステップS51):
ステップS51は、ステップS36と実質的に同じ動作である。フォーカスモータ233は、移動目標位置にフォーカスレンズ230を移動させる。
【0222】
図10の例では、D2点の位置に移動させる。
【0223】
次に、ステップS52に移行する。
【0224】
そして、カメラシステム1では、ステップS52で常時AFが終了と判断されるまで、ステップS43に戻るループを繰り返す。ステップS50およびステップS51の処理は、制御モードが「第2制御モード」である場合の処理の一例である。
【0225】
図10の例では、D2点、D3点の位置で、ズームリング213の回転速度に基づいて判断する「第1の判断基準」に基づきウォブリングしないと判断されており、フォーカスレンズ230は、トラッキングテーブル上のD2点,D3点,D4点の各位置に、ウォブリングをせずに順次移動される(図10の実線矢印)。
【0226】
そして、カメラシステム1では、少なくとも選択したトラッキングテーブルに対応する被写体距離が保たれ、良好な合焦状態を保つことができる。
【0227】
なお、ステップS45において、第1移動目標位置、第2移動目標位置等に基づく「第2の判断基準」に基づいて判断を行う場合、図10の例では、図10のD3点の位置でウォブリングすると判断され、フォーカスレンズ230は、D3点の位置からD4点の位置まで、ウォブリングを行いながら移動する(図10のD3−D4区間の点線曲線)。
【0228】
そして、カメラシステム1では、鮮鋭度に応じた良好な合焦状態が得られる。
【0229】
このように、本実施形態のカメラシステム1では、使用者によって焦点距離が急激に変更された場合でも、合焦状態を良好に保つことが可能である。
【0230】
なお、ステップS41からステップS52において、カメラコントローラー140およびレンズコントローラー240で行われる処理は、上記で説明した場合に限定されず、カメラコントローラー140およびレンズコントローラー240のいずれで行われるようにしてもよい。この場合、各処理に必要な情報は、カメラコントローラー140とレンズコントローラー240との間で送受信される。例えば、フォーカスレンズ230が移動可能な速度の上限値に関する情報をステップS45で使用する場合、当該情報がレンズコントローラー240からカメラコントローラー140に送信される。カメラコントローラー140および/またはレンズコントローラー240は、制御部の一例である。
【0231】
また、カメラシステム1において、ウォブリング動作の周期T4は、1/30[s]〜1/5[s]の範囲が一般的である。本実施形態では、T4=1/15[s]、T2=1/60[s]、T3=3/60[s]である。なお、これは一例であり、上記数値に限定されないのは、言うまでもない。
【0232】
また、カメラシステム1において、ステップS50を経由する周期は、ステップS46を経由する周期よりも短くてもよい。例えば、ステップS50を経由する周期をT2としてもよい。この場合の例を、図10の例と同じ速度で焦点距離を変化させた図11の例において説明する。
【0233】
図11の例では、周期T2ごとにステップS45において、「第1の判断基準」に基づいてウォブリングを行わないと判断され、ステップS50,S51を行う。そして、フォーカスレンズ230は、図11のE1点からE10点に相当する位置に、ウォブリングをせずに順次移動される。
【0234】
[他の実施形態]
以上の通り、本発明の実施形態を説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されない。そこで、本発明の他の実施形態を本欄にまとめて説明する。
【0235】
第1実施形態では、OISレンズ220を有する構成を例示したが、これは、本発明に必須の構成ではない。すなわち、手振れ補正機能を有することのない交換レンズを装着したカメラシステムにも本発明は適用可能である。
【0236】
第1実施形態では、可動ミラーを備えないカメラボディを例示したが、本発明はこれには限定されない。例えば、カメラボディ内に可動ミラーを備えてもよいし、被写体像を分けるためのプリズムを備えてもよい。また、カメラボディ内ではなく、アダプター内に可動ミラーを備える構成でもよい。
【0237】
第1実施形態では、フォーカスレンズ230の位置を直接検出した。しかし、フォーカスモータ233の回転軸の回転角を検出すること等により、間接的に検出してもよい。このように、本発明においては、フォーカスレンズ230の位置を直接的に検出してもよいし、フォーカスレンズ230に連動する機構部材の位置を検出することによって間接的に検出してもよい。要するに、結果として、フォーカスレンズの位置を特定できればよい。
【0238】
第1実施形態では、レンズ交換式のカメラシステムを例示したが、本発明はこれには限定されない。例えば、光学系がカメラボディに固定されたカメラとしてもよい。
【0239】
なお、上記実施形態で説明したカメラシステムにおいて、各ブロックは、LSIなどの半導体装置により個別に1チップ化されても良いし、一部又は全部を含むように1チップ化されても良い。
【0240】
なお、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0241】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用しても良い。
【0242】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてあり得る。
【0243】
また、上記実施形態の各処理をハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアにより実現してもよい。さらに、ソフトウェアおよびハードウェアの混在処理により実現しても良い。
【0244】
なお、本発明の具体的な構成は、前述の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。
【0245】
また、第1実施形態では、駆動機構211は、ズーム操作を機械的にズームレンズ210に伝えてズームレンズ210を駆動する。しかし、駆動機構211は、ズーム操作に基づいてズームレンズ210を電力によってアクチュエータ等が発生した駆動力をズームレンズ210に伝えてズームレンズ210を駆動するものでもよい。
【0246】
(実施形態のまとめ)
上記実施形態において特徴的な部分を以下に列記する。
【0247】
(1)
実施形態に係るカメラシステムは、
光軸方向に進退することにより、被写体の光学像のフォーカス状態を変化させるフォーカスレンズと、
前記フォーカスレンズを駆動するためのフォーカスレンズ駆動部と、
前記フォーカスレンズ又は前記フォーカスレンズに連動する機構部材の位置を検出するフォーカスレンズ位置検出部と、
光軸方向に進退することにより、被写体の光学像の焦点距離を変化させるズームレンズと、
前記ズームレンズを駆動するためのズームレンズ駆動部と、
前記ズームレンズ又は前記ズームレンズに連動する機構部材の位置を検出するズームレンズ位置検出部と、
前記ズームレンズの駆動を操作するためのズーム操作部と、
前記光学像を受光して画像データを生成する撮像部と、
前記生成された画像データに基づいて、オートフォーカス用の評価値を算出する評価値算出部と、
被写体距離ごとに定められた焦点距離とフォーカスレンズの光軸方向の位置の関係であるトラッキングテーブルを格納するトラッキングテーブル記憶部と、
前記焦点距離の変化速度に関する情報に基づいて、第1制御モードと第2制御モードのいずれの制御モードで前記フォーカスレンズ駆動部を制御するかを決定する制御部と、を備える。そして、
前記制御部は、第1制御モードで制御すると決定した場合、前記被写体距離が光軸方向に前後するようにフォーカスレンズ駆動部を制御し、それぞれの位置での画像データから算出されたオートフォーカス用の評価値に基づいて、所定の被写体に焦点が合う方向にフォーカスレンズを駆動するようフォーカスレンズ駆動部を制御し、
前記制御部は、第2制御モードで制御すると決定した場合、トラッキングテーブルに基づいてフォーカスレンズ駆動部を制御する。
【0248】
これにより、変倍動作時に変倍動作の速度によらず良好に合焦状態を保つことができる。
【0249】
(2)
前記制御部は、前記焦点距離の変化速度が所定値以下の場合に前記第1制御モードで制御すると決定し、前記焦点距離の変化速度が所定値より大きい場合に前記第2制御モードで制御すると決定する。
【0250】
これにより、上記効果をより顕著に得ることができる。
【0251】
(3)
前記所定値は、前記トラッキングテーブルの各部のうち、焦点距離の変化に伴い被写体距離を一定に保つために前記フォーカスレンズの位置を変化させる量が最も大きくなる部分において、前記焦点距離が変化しても前記第1制御モードで前記フォーカスレンズ駆動部が動作可能な前記焦点距離の変化速度の上限値と実質的に等しい値である。これにより、前記第1制御モードで制御する際にフォーカスレンズ駆動部が動作できないという不具合をより確実に防止することが可能となる。
【0252】
(4)
前記制御部は、前記焦点距離の変化速度、前記焦点距離、および、前記トラッキングテーブルに基づいて、第1制御モードと第2制御モードのいずれの制御モードで前記フォーカスレンズ駆動部を制御するかを決定する。これにより、(1)の効果をより顕著に得ることができる。
【0253】
(5)
前記制御部は、第1所定時間後に被写体距離が所定量だけ大きくなるフォーカスレンズの位置を第1移動目標位置として算出し、第2所定時間後に被写体距離が所定量だけ小さくなるフォーカスレンズの位置を第2移動目標位置として算出し、第1所定時間後にフォーカスレンズを第1移動目標位置に移動不可能と判断した場合、または、第2所定時間後にフォーカスレンズを第2移動目標位置に移動不可能と判断した場合、第2制御モードで制御すると決定する。これにより、前記第1制御モードで制御する際にフォーカスレンズ駆動部が動作できないという不具合をより確実に防止することが可能となる。
【0254】
(6)
第1所定時間後にフォーカスレンズを第1移動目標位置に移動するために必要な速度とズームレンズが移動可能な速度の上限値とを比較して第1所定時間後にフォーカスレンズを第1移動目標位置に移動可能か否かを判断する。
【0255】
(7)
第2所定時間後にフォーカスレンズを第2移動目標位置に移動するために必要な速度とズームレンズが移動可能な速度の上限値とを比較して第2所定時間後にフォーカスレンズを第2移動目標位置に移動可能か否かを判断する。
【0256】
(8)
前記焦点距離の変化速度に関する情報は、前記ズームレンズの移動速度、または、前記ズームレンズに連動する機構部材の移動速度である。
【0257】
(9)
前記焦点距離は、前記ズーム操作部の操作後の位置に応じて決定される。このようなカメラシステムにおいて、上述の効果はより顕著なものとなる。使用者がズーム操作部を自由に操作することにより変倍動作の速度が自由に変化しうるからである。
【0258】
(10)
前記焦点距離の変化速度に関する情報は、前記ズーム操作部の移動速度である。
【0259】
(11)
フォーカスレンズ駆動部は、ズームレンズの駆動から独立してフォーカスレンズを駆動することができる。
【0260】
(12)
前記制御部は、前記撮像部からの複数の画像データをもとに動画データを生成し、カメラシステム自身に固定された記憶部、または、カメラシステム自身に着脱可能な記憶部に当該動画データを記憶するように制御する。このようなカメラシステムにおいて、上述の効果はより顕著なものとなる。記憶部に記憶するような動画データは、常時、良好な合焦状態を保つことが望まれているからである。
【産業上の利用可能性】
【0261】
本発明に係るカメラシステム、カメラ本体、交換レンズユニット、フォーカス制御方法、およびプログラムは、変倍速度によらず適切なフォーカス制御を行うことができるので、映像関連機器に適用できる。具体的には、デジタルスチルカメラやムービーなどに適用可能であり、映像関連機器分野において有用であり、当該分野において実施することができる。
【符号の説明】
【0262】
1 カメラシステム
100 カメラボディ
110 CCDイメージセンサー
111 ADコンバーター
112 タイミング発生器
120 液晶モニタ
140 カメラコントローラー
141、241 DRAM
150 ボディマウント
160 電源
170 カードスロット
171 メモリーカード
180 電子ビューファインダー
180 EVF
200 交換レンズ
210 ズームレンズ
211 駆動機構
212 検出器
213 ズームリング
214 2群保持枠
215 ガイドポール保持枠
216 ガイドポール
220 OISレンズ
221 アクチュエータ
222 位置検出センサー
223 OIS用IC
230 フォーカスレンズ
231 相対位置検出器
231a 磁気スケール
231b 磁気センサー
232 絶対位置検出器
233 フォーカスモータ
235 フォーカスレンズ保持枠
240 レンズコントローラー
242 フラッシュメモリ
243 カウンタ
250 レンズマウント
260 絞りユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸方向に進退することにより、被写体の光学像のフォーカス状態を変化させるフォーカスレンズと、
前記フォーカスレンズを駆動するフォーカスレンズ駆動部と、
光軸方向に進退することにより、被写体の光学像の焦点距離を変化させるズームレンズと、
前記光学像を受光して画像データを生成する撮像部と、
被写体距離ごとに定められた焦点距離と、前記フォーカスレンズの光軸方向の位置との関係を規定したトラッキングテーブルを格納するトラッキングテーブル記憶部と、
前記フォーカスレンズ駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、焦点距離の変化速度および焦点距離に基づいて、所定時間後に前記被写体距離が所定量だけ大きくなる、または、小さくなる前記フォーカスレンズの光軸方向の位置を前記フォーカスレンズの移動目標位置として算出し、
前記制御部が前記所定時間後に前記フォーカスレンズを前記移動目標位置に移動可能と判断した場合、前記フォーカスレンズ駆動部は、前記移動目標位置に前記フォーカスレンズを駆動させ、
前記制御部が前記所定時間後に前記フォーカスレンズを前記移動目標位置に移動不可能と判断した場合、前記制御部は、前記トラッキングテーブルに基づいて前記フォーカスレンズ駆動部を制御する、
カメラシステム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記所定時間後に前記フォーカスレンズを前記移動目標位置に移動するために必要な速度と、前記ズームレンズが移動可能な速度の上限値と、を比較して、前記所定時間後に、前記フォーカスレンズを前記移動目標位置に移動可能か否かを判断する、
請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項3】
前記焦点距離の変化速度に関する情報は、前記ズームレンズの移動速度、または、前記ズームレンズに連動する機構部材の移動速度である、
請求項1または2に記載のカメラシステム。
【請求項4】
前記焦点距離の変化速度に関する情報は、前記ズームレンズの駆動を操作するためのズーム操作部の移動速度である、
請求項1または2に記載のカメラシステム。
【請求項5】
前記フォーカスレンズ駆動部は、前記ズームレンズ駆動部による前記ズームレンズの駆動から独立して、前記フォーカスレンズを駆動することができる、
請求項1から4のいずれかに記載のカメラシステム。
【請求項6】
カメラ本体と、前記カメラ本体に脱着可能な交換レンズユニットと、を備えるカメラシステムであって、
前記交換レンズユニットは、
光軸方向に進退することにより、被写体の光学像のフォーカス状態を変化させるフォーカスレンズと、
前記フォーカスレンズを駆動するためのフォーカスレンズ駆動部と、
光軸方向に進退することにより、被写体の光学像の焦点距離を変化させるズームレンズと、
被写体距離ごとに定められた焦点距離と、前記フォーカスレンズの光軸方向の位置との関係を規定したトラッキングテーブルを格納するトラッキングテーブル記憶部と、
前記フォーカスレンズ駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記カメラ本体は、
前記光学像を受光して画像データを生成する撮像部
を備え、
前記制御部は、焦点距離の変化速度および焦点距離に基づいて、所定時間後に前記被写体距離が所定量だけ大きくなる、または、小さくなる前記フォーカスレンズの光軸方向の位置を前記フォーカスレンズの移動目標位置として算出し、
前記制御部が前記所定時間後に前記フォーカスレンズを前記移動目標位置に移動可能と判断した場合、前記フォーカスレンズ駆動部は、前記移動目標位置に前記フォーカスレンズを駆動させ、
前記制御部が前記所定時間後に前記フォーカスレンズを前記移動目標位置に移動不可能と判断した場合、前記制御部は、前記トラッキングテーブルに基づいて前記フォーカスレンズ駆動部を制御する、
カメラシステム。
【請求項7】
カメラ本体と、前記カメラ本体に脱着可能な交換レンズユニットと、を備えるカメラシステムであって、
前記交換レンズユニットは、
光軸方向に進退することにより、被写体の光学像のフォーカス状態を変化させるフォーカスレンズと、
前記フォーカスレンズを駆動するためのフォーカスレンズ駆動部と、
光軸方向に進退することにより、被写体の光学像の焦点距離を変化させるズームレンズと、
被写体距離ごとに定められた焦点距離と、前記フォーカスレンズの光軸方向の位置との関係を規定したトラッキングテーブルを格納するトラッキングテーブル記憶部と、
を備え、
前記カメラ本体は、
前記光学像を受光して画像データを生成する撮像部と、
前記フォーカスレンズ駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、焦点距離の変化速度および焦点距離に基づいて、所定時間後に前記被写体距離が所定量だけ大きくなる、または、小さくなる前記フォーカスレンズの光軸方向の位置を前記フォーカスレンズの移動目標位置として算出し、
前記制御部が前記所定時間後に前記フォーカスレンズを前記移動目標位置に移動可能と判断した場合、前記フォーカスレンズ駆動部は、前記移動目標位置に前記フォーカスレンズを駆動させ、
前記制御部が前記所定時間後に前記フォーカスレンズを前記移動目標位置に移動不可能と判断した場合、前記制御部は、前記トラッキングテーブルに基づいて前記フォーカスレンズ駆動部を制御する、
カメラシステム。
【請求項8】
光学像を受光して画像データを生成する撮像部
を備えるカメラ本体とともにカメラシステムを構成する、前記カメラ本体に脱着可能な交換レンズユニットであって、
光軸方向に進退することにより、被写体の光学像のフォーカス状態を変化させるフォーカスレンズと、
前記フォーカスレンズを駆動するためのフォーカスレンズ駆動部と、
光軸方向に進退することにより、被写体の光学像の焦点距離を変化させるズームレンズと、
被写体距離ごとに定められた焦点距離と、前記フォーカスレンズの光軸方向の位置との関係を規定したトラッキングテーブルを格納するトラッキングテーブル記憶部と、
前記フォーカスレンズ駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、焦点距離の変化速度および焦点距離に基づいて、所定時間後に前記被写体距離が所定量だけ大きくなる、または、小さくなる前記フォーカスレンズの光軸方向の位置を前記フォーカスレンズの移動目標位置として算出し、
前記制御部が前記所定時間後に前記フォーカスレンズを前記移動目標位置に移動可能と判断した場合、前記フォーカスレンズ駆動部は、前記移動目標位置に前記フォーカスレンズを駆動させ、
前記制御部が前記所定時間後に前記フォーカスレンズを前記移動目標位置に移動不可能と判断した場合、前記制御部は、前記トラッキングテーブルに基づいて前記フォーカスレンズ駆動部を制御する、
交換レンズユニット。
【請求項9】
請求項8に記載のカメラシステムを構成する交換レンズユニット。
【請求項10】
光軸方向に進退することにより、被写体の光学像のフォーカス状態を変化させるフォーカスレンズと、
前記フォーカスレンズを駆動するためのフォーカスレンズ駆動部と、
光軸方向に進退することにより、被写体の光学像の焦点距離を変化させるズームレンズと、
前記光学像を受光して画像データを生成する撮像部と、
被写体距離ごとに定められた焦点距離と、前記フォーカスレンズの光軸方向の位置との関係を規定したトラッキングテーブルを格納するトラッキングテーブル記憶部と、
を備えるカメラシステムに用いられるフォーカス制御方法であって、
前記フォーカスレンズ駆動部を制御する制御ステップ
を含み、前記制御ステップにより、
焦点距離の変化速度および焦点距離に基づいて、所定時間後に前記被写体距離が所定量だけ大きくなる、または、小さくなる前記フォーカスレンズの光軸方向の位置を前記フォーカスレンズの移動目標位置として算出し、
前記所定時間後に前記フォーカスレンズを前記移動目標位置に移動可能と判断した場合、前記フォーカスレンズ駆動部は、前記移動目標位置に前記フォーカスレンズを駆動し、
前記所定時間後に前記フォーカスレンズを前記移動目標位置に移動不可能と判断した場合、前記トラッキングテーブルに基づいて前記フォーカスレンズ駆動部を制御する、
フォーカス制御方法。
【請求項11】
光軸方向に進退することにより、被写体の光学像のフォーカス状態を変化させるフォーカスレンズと、
前記フォーカスレンズを駆動するためのフォーカスレンズ駆動部と、
光軸方向に進退することにより、被写体の光学像の焦点距離を変化させるズームレンズと、
前記光学像を受光して画像データを生成する撮像部と、
被写体距離ごとに定められた焦点距離と、前記フォーカスレンズの光軸方向の位置との関係を規定したトラッキングテーブルを格納するトラッキングテーブル記憶部と、
を備えるカメラシステムに用いられるフォーカス制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記フォーカスレンズ駆動部を制御する制御ステップ
を含み、前記制御ステップにより、
焦点距離の変化速度および焦点距離に基づいて、所定時間後に前記被写体距離が所定量だけ大きくなる、または、小さくなる前記フォーカスレンズの光軸方向の位置を前記フォーカスレンズの移動目標位置として算出し、
前記所定時間後に前記フォーカスレンズを前記移動目標位置に移動可能と判断した場合、前記フォーカスレンズ駆動部は、前記移動目標位置に前記フォーカスレンズを駆動し、
前記所定時間後に前記フォーカスレンズを前記移動目標位置に移動不可能と判断した場合、前記トラッキングテーブルに基づいて前記フォーカスレンズ駆動部を制御する、
フォーカス制御方法をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−50730(P2013−50730A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−234552(P2012−234552)
【出願日】平成24年10月24日(2012.10.24)
【分割の表示】特願2009−57471(P2009−57471)の分割
【原出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】