説明

カメラ用フォーカルプレンシャッタ

【課題】塵埃の付着等に起因する誤動作を生じさせることのない係止解除手段を備えたカメラ用フォーカルプレンシャッタを提供すること。
【解決手段】先羽根用係止部材15と後羽根用係止部材16は、図示していない各々のばねによって反時計方向へ回転するように付勢されていて、係止部15a,16aによって、先羽根用駆動部材11と後羽根用駆動部材12をセット状態に係止する。電磁プランジャ17,18は、撮影時においてそれらのソレノイドに順に通電されると、それらの可動子17a,18aを、図示していないばねの付勢力に抗して直進させ、先羽根用係止部材15と後羽根用係止部材16の被押動部15b,16bを押して上記の係止を解除させ、上記の駆動部材11,12によって、先羽根と後羽根を順に走行させ得るように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀塩フィルムカメラやデジタルカメラに用いられるカメラ用フォーカルプレンシャッタに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ用フォーカルプレンシャッタの中には、シャッタ地板,中間板,補助地板と称されている3枚の板部材の間に二つの羽根室を構成し、それらの羽根室内に、先羽根,後羽根と称されている二つのシャッタ羽根を個別に配置すると共に、羽根室外においては、シャッタ地板に、先羽根用駆動部材と後羽根用駆動部材を取り付け、それらによって先羽根と後羽根を作動させるようにしたものが知られている。そして、この種のフォーカルプレンシャッタは、銀塩フィルムカメラにもデジタルカメラにも採用されている。また、一つのシャッタ羽根が、シャッタ地板と補助地板との間に構成された羽根室内に配置されており、シャッタ地板に取り付けられている一つの駆動部材が、撮影終了時に、シャッタ羽根に露光開口を覆わせるようにしたものも知られているが、この種のフォーカルプレンシャッタは、デジタルカメラにだけ採用されている。
【0003】
また、これらのフォーカルプレンシャッタにおいては、上記の各駆動部材が、撮影時には、駆動ばねの付勢力によって回転させられ、セット時には、セット部材によって、その駆動ばねの付勢力に抗して回転させられるように構成されているため、少なくとも撮影開始の直前には、駆動部材は、露光作動開始位置で、何らかの手段によって、駆動ばねの付勢力に抗して保持されているようにし、その保持力が解除されることによって、作動を開始し得るようにしている。そして、その保持方法には、係止タイプと称されている構成のものと、ダイレクトタイプと称されている構成のものとが知られているが、本発明のフォーカルプレンシャッタは、下記の特許文献1や特許文献2に開示されているような、係止タイプに属するものである。
【0004】
本発明で対象にしている係止タイプのフォーカルプレンシャッタは、通常、露光開口を開閉する少なくとも一つのシャッタ羽根と、そのシャッタ羽根に連結されていて撮影時には駆動ばねの付勢力によってシャッタ羽根を伴ってセット位置から作動させられる少なくとも一つの駆動部材と、撮影終了後にシャッタ羽根を伴って駆動部材を駆動ばねの付勢力に抗してセット位置へ作動させるセット部材と、駆動部材をセット位置で駆動ばねの付勢力に抗して係止する少なくとも一つの係止部材と、撮影に際して係止部材による駆動部材の係止を解除する少なくとも一つの係止解除手段と、を備えたものである。
【0005】
そして、特許文献1には、それらのシャッタ羽根,駆動部材,係止部材を、各々二つずつ備えたフォーカルプレンシャッタが記載されている。また、特許文献2には、そのような二つの係止部材による二つの駆動部材の係止を順に解除するようにした二つの係止解除手段の構成が記載されている。また、周知のように、フォーカルプレンシャッタの中には、撮影時に、シャッタ羽根を露光開口の上方から下方へ作動させるものと、下方から上方へ作動させるものとがある。そして、特許文献1に記載のフォーカルプレンシャッタは下方から上方へ作動させるものであるのに対して、特許文献2に記載の具体的な構成の係止解除手段は、上方から下方へ作動させるものを前提にして説明されているが、このような特許文献2に記載の係止解除手段は、撮影時において二つの電磁石コイルへの通電を断つ順序を逆にすれば、特許文献1に記載のフォーカルプレンシャッタにも採用できるものである。
【特許文献1】特開2002−139769号公報
【特許文献2】実公平4−3301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献2に記載されている従来の係止解除手段は、二つの鉄片レバー(4,7)の鉄片(4a,7a)を、予めホールド板(15)で各々の電磁石コイル(2,3)に接触させておき、撮影時にレリーズボタンを押すと、先ず、電磁石コイル(2,3)に通電し、鉄片(4a,7a)を磁気的に吸引保持させた後、ホールドレバー(10,12)を介して、ホールド板(15)を鉄片レバー(4,7)から離し、その後、電磁石コイル(2,3)に対する通電を所定の時間間隔で順に断つことによって、鉄片レバー(4,7)が二つの係止部材による各々の駆動部材の係止を解除するようにしている。
【0007】
ところが、このような構成の係止解除手段は、電磁石コイル(2,3)と鉄片(4a,7a)との間に塵埃が付着すると、電磁石コイル(2,3)による保持力が十分に得られず、鉄片レバー(4,7)が所期のタイミングよりも早く作動して、係止部材による駆動部材の係止を解除してしまうことがあるという問題点がある。また、カメラを長期間使用していないと、湿気等によって電磁石コイル(2,3)の鉄心と鉄片レバー(4,7)の鉄片(4a,7a)との間に接着作用が働いて、電磁石コイル(2,3)に対する通電を断っても、鉄片レバー(4,7)が直ちに作動せず、係止部材による駆動部材の係止を、所定のタイミングで解除できないことがあるという問題点がある。
【0008】
また、特許文献2に記載の係止解除手段の構成は、電磁石コイルと鉄片レバーとが二組のほかに、二つのホールドレバー(10,12),一つのレリーズレバー(16),並びにそれらに付設するばね(13,14,17)などを必要としている。そして、仮に、シャッタ羽根を一つしか備えていないフォーカルプレンシャッタ用の係止解除手段として構成した場合でも、電磁石と鉄片レバーが一組になるだけであって、その他の構成部材は依然として全て必要である。そのため、このような構成の係止解除手段は、構成部材が多すぎて、シャッタの仕様ごとに異なる配置設計をしなければならないという問題点がある。しかも、部材点数が多いことから、部材の製作費が高くなるのに加え、組立工数も大きくなって、コスト面で不利であるという問題点もある。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、吸着面を有する電磁石を用いた従来の構成のように、塵埃の付着等に起因する誤動作を生じさせることのない係止解除手段を備えたカメラ用フォーカルプレンシャッタを提供することであり、その上に、従来より構成を簡単にすることも可能であって、そのようにした場合には、コスト面でも極めて有利となる係止解除手段を備えたカメラ用フォーカルプレンシャッタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明のカメラ用フォーカルプレンシャッタは、露光開口を開閉する少なくとも一つのシャッタ羽根と、前記シャッタ羽根に連結されていて撮影時には駆動ばねの付勢力によって前記シャッタ羽根を伴ってセット位置から作動させられる少なくとも一つの駆動部材と、撮影終了後に前記シャッタ羽根を伴って前記駆動部材を前記駆動ばねの付勢力に抗してセット位置へ作動させるセット部材と、前記駆動部材をセット位置で前記駆動ばねの付勢力に抗して係止する少なくとも一つの係止部材と、コイルと往復作動可能な軸状の可動子とを有していて撮影に際して該コイルに通電されたとき該可動子が往動して前記係止部材による前記駆動部材の係止を解除させる少なくとも一つの係止解除手段と、を備えているようにする。
【0011】
そして、その場合、前記コイルと前記可動子とは、前記コイルがソレノイドであり、前記可動子は、該ソレノイドの中空部内において、該ソレノイドに通電されるとばねの付勢力に抗して往動され、通電を断つと該ばねの付勢力によって復動する電磁プランジャユニットとして構成されていると、市販されている汎用の電磁プランジャをしようすることができ、コスト的に極めて好ましいものになる。
【0012】
また、前記係止解除手段が、さらに、前記可動子に連動して作動する仲介部材を有していて、前記コイルに通電されたとき、前記可動子が前記仲介部材を介して前記係止部材による前記駆動部材の係止を解除させるように構成してもよい。また、それに代わる構成としては、前記係止解除手段が、さらに、初期位置から自己の習性で作動したとき前記係止部材による前記駆動部材の係止を解除させる解除部材と、セット時に自己の習性に抗して作動させられ前記解除部材を初期位置に作動させた後は次の撮影までホールド係止部材に係止されて前記解除部材を初期位置に維持させるホールド部材と、を有していて、撮影に際して前記コイルに通電され前記可動子が往動して前記解除部材を初期位置に維持させると、前記ホールド部材は前記レリーズ部材による係止を解かれ、その直後に前記可動子が復動すると、前記解除部材が自己の習性で初期位置から作動するようにしてもよい。
【0013】
更に、本発明のカメラ用羽根駆動装置は、前記少なくとも一つのシャッタ羽根が、二つのシャッタ羽根であり、前記少なくとも一つの駆動部材が、前記二つのシャッタ羽根に個々に連結した二つの駆動部材であり、前記少なくとも一つの係止部材が、前記二つの駆動部材をセット位置で個々に係止する二つの係止部材であり、前記少なくとも一つの係止解除手段が、前記二つの係止部材による前記二つの駆動部材の係止を個々に解除させる二つの係止解除手段であって、撮影に際しては前記二つの係止解除手段のコイルに対して所定の時間間隔で通電するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、係止タイプのカメラ用フォーカルプレンシャッタにおいて、係止解除手段が、コイルと、往復作動可能な軸状の可動子とを有していて、撮影に際しては、その可動子の作動によって、係止部材による駆動部材の係止を解除させるようにしたから、従来のように、吸着面を有する電磁石への通電を断つことによって、係止部材による駆動部材の係止を解除させるようにした構成のように、その吸着面に塵埃が付着して誤動作をしてしまうということが全くなく、しかも、市販されている汎用の電磁プランジャを使用することが可能であるほか、係止解除手段の構成を従来より簡単にすることも可能であるため、そのようにした場合には、コスト面でも極めて有利なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態を、三つの実施例によって説明する。これらの実施例のフォーカルプレンシャッタは、いずれも、二つのシャッタ羽根を備えていて、銀塩フィルムカメラにもデジタルカメラにも採用することができるものであるが、説明の便宜上、デジタルカメラに採用されている場合を前提にして説明することにする。尚、図1〜図12は、実施例1を説明するためのものであり、図13〜図15は、実施例2を説明するためのものであり、図16〜図18は、実施例3を説明するためのものである。
【実施例1】
【0016】
先ず、図1〜図12を用いて実施例1を説明する。尚、図1及び図2は、本実施例のセット状態(撮影待機状態)を被写体側から見て示した平面図であるが、図1は、主にシャッタ羽根の開閉駆動機構を示したものであり、図2は、主に開閉駆動機構の係止解除機構を示したものである。そして、本来であれば、図2に示されている各構成部材は、図1に示された開閉駆動機構に被写体側から重ねて取り付けられているものであるが、そのようにして図示すると図面が見にくくなるため、二つに分けて示したものである。従って、両者の関係を分かり易くするために、一部の構成部材を両方に示してある。
【0017】
そこで、先ず、本実施例の構成を、このようにして示した図1及び図2を用いて説明する。図1において、シャッタ地板1は、その略中央部に開口部1aを形成している。また、周知であるためシャッタ地板1を切り欠いて一部分だけしか図示していないが、シャッタ地板1の背面側には、所定の間隔を空けて、中間板2と補助地板3が順に取り付けられ、シャッタ地板1と中間板2との間に後述の後羽根の羽根室を構成し、中間板2と補助地板3との間に後述の先羽根の羽根室を構成している。そして、それらの中間板2と補助地板3にも、開口部1aと重なるところに類似の形状の開口部が形成されているが、露光開口は、開口部1aによって規制されるようになっている。また、開口部1aの左側には、円弧状の二つの長孔1b,1cが形成されている。そして、それらの長孔1b,1cの上端部には、平面形状が略C字状をしたゴム製の緩衝部材4,5が取り付けられている。
【0018】
シャッタ地板1の被写体側は2階建てになっていて、1階と2階の間には一部に中2階が設けられている。即ち、シャッタ地板1の被写体側の面に立設された軸1d,1e,1fには、シャッタ地板1との間に所定の間隔を空けて上地板6が取り付けられている。そして、その上地板6は、図1においては外形だけが二点鎖線で示されており、図2においては実際の形状が実線で示されている。また、図2に示されているように、上地板6の被写体側の面に立設された軸6a,6bには、上地板6との間に所定の間隔を空けてカバー板7が平行に取り付けられており、そのカバー板7は、図2において、二点鎖線で示されている。更に、シャッタ地板1の被写体側の面には、明示されていない二つの軸が立設されていて、それらの軸の先端面には、シャッタ地板1との間にも、上地板6との間にも所定の間隔を空けるようにして、面積の小さな棚板8が、図1に示すように、二つのビス9,10によって取り付けられている。そして、この棚板8には、上地板6側に、折曲部8aが設けられているほか、軸8bが立設されている。
【0019】
シャッタ地板1の被写体側の面には、図1に示されているように、上記の軸1d,1e,1fのほかに、さらに、軸1g,1i,1jが立設されているが、それらのうち軸1g,1iは、シャッタ地板1を貫通していて、背面側にも立設された構成をしている。また、シャッタ地板1の背面側、即ち固体撮像素子側の面には、それらの軸1g,1iのほかに、軸1k,1mも立設されている。
【0020】
そして、シャッタ地板1の被写体側において、上記の軸1gには、先羽根用駆動部材11が回転可能に取り付けられていて、図示していない先羽根用駆動ばねによって、反時計方向へ回転するように付勢されており、その回転によって、一部が、シャッタ地板1と棚板8との間に入り込む配置構成になっている。また、この先羽根用駆動部材11は、被係止部11aを有しており、被写体側の面にはローラ11bを回転可能に取り付け、背面側には駆動ピン11cを設けている。そして、その駆動ピン11cは、シャッタ地板1の長孔1bを貫通して、羽根室内で先羽根に連結されているが、その先羽根の構成については後述する。
【0021】
また、シャッタ地板1の被写体側において、上記の軸1hには、後羽根用駆動部材12が回転可能に取り付けられており、図示していない後羽根用駆動ばねによって、反時計方向へ回転するように付勢されている。この後羽根用駆動部材12は、被係止部12aを有しており、被写体側の面にはローラ12bを回転可能に取り付け、背面側には駆動ピン12cを設けている。そして、その駆動ピン12cは、シャッタ地板1の長孔1cを貫通して、羽根室内で後羽根に連結されているが、その後羽根の構成については後述する。
【0022】
シャッタ地板1の軸1jには、セット部材13が回転可能に取り付けられており、図示していないばねによって、時計方向へ回転するように付勢されている。そして、このセット部材13は、被押動部13aを有しており、シャッタ地板1側の面には、上記の先羽根用駆動部材11のローラ11bに接触し得るローラ13bと、上記の後羽根用駆動部材12のローラ12bに接触し得るローラ13cとが取り付けられている。
【0023】
また、棚板8の軸8bには、セット操作部材14が回転可能に取り付けられている。このセット操作部材14は、シャッタ地板1側の面に二つのローラ14a,14bを取り付けていて、上地板6側の面には押動部14cが設けられている。そして、このセット操作部材14自体は、ばねによって回転力を付与されていない。そのため、図1においては、このセット操作部材14は、セット部材13を付勢しているばねの力によって、ローラ14bが被押動部13aに押されて反時計方向へ回転するのを、棚板8の折曲部8aによって阻止されている状態となっている。
【0024】
シャッタ地板1の軸1iには、先羽根用係止部材15が回転可能に取り付けられていて、図示していないばねによって、反時計方向へ回転するように付勢されている。この先羽根用係止部材15は、シャッタ地板1側に折り曲げた係止部15aを有しているが、図1においては、この係止部15aが、先羽根用駆動部材11の被係止部11aを係止し、先羽根用駆動部材11の反時計方向への回転を阻止している。また、この先羽根用係止部材15は、折り曲げ形状をした長い腕部の先端に、上地板6の四角い孔6cに挿入され且つその孔6cの縁に接し得るように形成された突状部を有しているが、図1に示されているように、その突状部の右半分をさらに高くして形成した被押動部15bを、上地板6とカバー板7の間に配置させるようにしている。
【0025】
上地板6を取り付けている上記の軸1fには、後羽根用係止部材16が回転可能に取り付けられていて、図示していないばねによって、反時計方向へ回転するように付勢されている。この後羽根用係止部材16は、シャッタ地板1側に折り曲げた係止部16aと、長い腕部の先端において上地板6側に折り曲げた形状の被押動部16bを有している。そして、係止部16aは、図1において、後羽根用駆動部材12の被係止部12aを係止し、後羽根用駆動部材12の反時計方向への回転を阻止している。また、被押動部16bは、図2に示すように、上地板6に形成されている糸巻き形状の孔6dに挿入され、上地板6とカバー板7の間に突き出ている。
【0026】
図2に示すように、上地板6には略中央部に比較的大きな四角い孔6eが形成されており、その縁にはカバー板7側に折り曲げた二つの折曲部6f,6gが設けられていて、折曲部6gには、二つの電磁プランジャ17,18が取り付けられている。これらの電磁プランジャ17,18は、市販されている一般の電磁プランジャユニットであって、内部にはソレノイドが取り付けられていて、それらに通電されると、ソレノイドの中空部に配置されている可動子17a,18aが、図示していないばねの付勢力に抗して図2の左側に移動し、通電を断たれると、ばねの付勢力によって初期位置へ復帰するようになっている。
【0027】
上地板6に立設されていてカバー板を取り付けている上記の軸6a,6bには、先羽根用解除部材19と後羽根用解除部材20が回転可能に取り付けられており、各々図示していないばねによって、先羽根用解除部材19は反時計方向へ、後羽根用解除部材20は時計方向へ付勢されている。そして、先羽根用解除部材19は、先羽根用係止部材15の被押動部15bを押す押動部19aを有しているほか、折曲部には当接板19bを固定しており、その固定軸の先端を被押動部19cとしている。また、後羽根用解除部材20は、後羽根用係止部材16の被押動部16bを押す押動部20aを有しているほか、折曲部には当接板20bを固定していて、その固定軸の先端を被押動部19cとしている。
【0028】
上地板6に立設されている軸6hには、上地板6側からホールド部材21とホールド補助部材22とが回転可能に取り付けられていて、ホールド部材21は、図示していないばねによって反時計方向へ回転するように付勢されている。また、ホールド部材21とホールド補助部材22との間には、図示していないばねが掛けられていて、ホールド部材21を時計方向へ回転させ、ホールド補助部材22を反時計方向へ回転させるように付勢しているが、ホールド部材21とホールド補助部材22を相対的に回転させる付勢力は、ホールド部材21のピン21aにホールド補助部材22の当接部22aが当接することによって失われるようになっている。
【0029】
そして、ホールド部材21は、上記のピン21aのほかに、先端部に押圧部材23を回転可能に取り付けており、その押圧部材23の二つの折曲部によって、上記の先羽根用解除部材19と後羽根用解除部材20の被押動部19c,20cを押し、当接板19b,20bを上地板6の折曲部6fに押圧し得るようにしている。他方、ホールド補助部材22は、折曲部22bより先端側が、上地板6の背面側に配置されており、上地板6の左側に位置した先端には折曲部が設けられていて、その一部が上地板6よりもカバー板7側に延伸して被係止部22cとなっている。
【0030】
上地板6に立設されている軸6iには、先羽根用解除部材19やホールド部材21よりもカバー板7側で、ホールド係止部材24が回転可能に取り付けられており、図示していないばねによって反時計方向へ回転するように付勢されているが、図2に示された状態においては、図示していないストッパによって、その回転が阻止されている。そして、このホールド係止部材24には、上記のホールド補助部材22の被係止部22cを係止するための係止部24aと、折り曲げ形状をしていて上地板6の右側に突き出している操作部24bとが設けられている。
【0031】
最後に、各々の羽根室内に配置されている先羽根と後羽根の構成を説明する。先ず、先羽根は、図1に示されているように、シャッタ地板1に立設された二つの軸1g,1kに枢着されている二つのアーム25,26と、それらの先端に向けて順に枢支された3枚の羽根27,28,29とで構成されていて、羽根29をスリット形成羽根としている。また、アーム25に形成された周知の孔に、先羽根用駆動部材11の駆動ピン11cを嵌合させている。
【0032】
他方、後羽根は、先羽根を裏返したようにして配置されており、シャッタ地板1に立設されている二つの軸1h,1mに枢着された二つのアーム30,31と、それらの先端に向けて順に枢支された3枚の羽根32,33,34とで構成されていて、羽根34をスリット形成羽根としている。また、アーム30に形成された周知の孔に、後羽根用駆動部材12の駆動ピン12cを嵌合させている。尚、作動説明に用いる図6,図8,図11,図12においては、図面を見易くするために、スリット形成羽根29,34以外の羽根27,28,32,33の一部を省略して示してある。
【0033】
次に、本実施例の作動を説明する。図1及び図2は、本実施例のセット状態を示している。このとき、セット部材13は、図示していないばねの付勢力によって時計方向へ回転し、上記したようにローラ14bを押すことによってセット操作部材14を反時計方向へ回転させ、セット操作部材14が棚板8の折曲部8aに当接することによって、図1の状態に保たれている。セット部材13とセット操作部材14にとっては、この状態の位置が初期位置である。そして、このセット状態においては、セット部材13のローラ13b,13cは、先羽根用駆動部材11と後羽根用駆動部材12の各ローラ11b,12bの作動範囲外に位置している。
【0034】
また、このセット状態において、先羽根用駆動部材11は、図示していない先羽根用駆動ばねの付勢力に抗して、被係止部11aを先羽根用係止部材15の係止部15aに係止され、後羽根用駆動部材12は、図示していない後羽根用駆動ばねの付勢力に抗して、被係止部12aを後羽根用係止部材16の係止部16aによって係止されている。それにより、先羽根用駆動部材11の駆動ピン11cに連結されている先羽根は、3枚の羽根27,28,29を展開状態にして開口部1aを覆った状態を維持され、後羽根用駆動部材12の駆動ピン12cに連結されている後羽根は、3枚の羽根32,33,34を重畳状態にして開口部1aの下方位置に格納された状態を維持されている。
【0035】
更に、このとき、図2に示すように、ホールド補助部材22は、その被係止部22cをホールド係止部材24の係止部24aに係止されていて、ホールド部材21に取り付けられた押圧部材23は、先羽根用解除部材19と後羽根用解除部材20の被押動部19c,20cを押し、当接板19b,20bを上地板6の折曲部6fに押し付けている。そのことは、図2において、ホールド部材21のピン21aとホールド補助部材22の当接部22aとが離れていることからも分かるように、この状態では、ホールド部材21とホールド補助部材22との間に掛けられたばねが緊張されていて、ホールド部材21を反時計方向へ付勢しているばねの付勢力に抗し、ホールド部材21を時計方向へ回転させるように付勢しているからである。そして、このような状態において、先羽根用解除部材19と後羽根用解除部材20の押動部19a,20aは、先羽根用係止部材15と後羽根用係止部材16の被押動部15b,16bから離れた状態を維持させられている。
【0036】
尚、後述の説明からも分かるように、このとき、二つの解除部材19,20の当接板19b,20bは、二つの解除部材19,20の押動部19a,20aが、二つの係止部材15,16の被押動部15b,16bから離れてさえいれば、上地板6の折曲部6fに必ずしも接触していることを要しない。従って、押圧部材23をホールド部材21とは別部材にせず、両者を一つの部材としても差し支えない。
【0037】
このようなセット状態において、カメラのレリーズボタンが押されると、最初に先羽根が開口部1aの開き作動を開始し、所定時間後に後羽根が閉じ作動を開始して、通常の昼光撮影の場合には、先羽根のスリット形成羽根29と後羽根のスリット形成羽根34によってスリットを形成し、固体撮像素子の撮像面を連続的に露光していくことになるが、以下においては、説明の便宜上、先羽根が開口部1aを全開にしてから後羽根が開口部1aを閉じ始める場合で説明することにする。
【0038】
先ず、カメラのレリーズボタンが押されると、図2に示されている二つの電磁プランジャ17,18のソレノイドに通電される。そのため、それらの可動子17a,18aは、図示していないばねの付勢力に抗して左方向へ移動させられ、先羽根用解除部材19と後羽根用解除部材20の折曲部を押し、当接板19b,20bを上地板6の折曲部6fに押し付ける。そのときの状態が、図3に示された状態である。尚、本実施例の場合には、この工程があるために、セット状態においては、上記したように、当接板19b,20bを上地板6の折曲部6fに必ずしも接触させておく必要がないわけである。
【0039】
その後、ホールド係止部材24は、カメラ本体側の部材によって操作部24bを押され、図示していないばねの付勢力に抗して時計方向へ回転させられる。それによって、係止部24aによる被係止部22cの係止が解除され、先ず、ホールド補助部材22が、ホールド部材21との間に掛けられている図示していないばねの付勢力によって反時計方向へ回転させられ、その後、ホールド補助部材22の当接部22aがホールド部材21のピン21aに当接してからは、ホールド部材21とホールド補助部材22の両方が、ホールド部材21にだけに掛けられている図示していないばねの付勢力によって反時計方向へ回転させられる。
【0040】
そして、押圧部材23が上地板6の折曲部6gに当接することによって、その回転を停止させられた状態が、図4に示された状態である。このとき、二つの解除部材19,20は、二つの電磁プランジャ17,18の可動子17a,18aによって、依然として図3の状態と同じ状態を維持させられている。そして、その後、ホールド係止部材24の操作部24に対するカメラ本体側の部材の押圧力が解かれると、ホールド係止部材24は図示していないばねの付勢力によって反時計方向へ回転するが、その回転は、係止部24aがホールド補助部材22の被係止部22cに当接することによって停止させられる。
【0041】
その後、露光制御回路からの信号によって電磁プランジャ17のソレノイドに対する通電が断たれると、図示していないばねの付勢力によって、可動子17aが急速に初期位置へ復帰する。そのため、先羽根用解除部材19も図示していないばねの付勢力によって反時計方向へ回転させられ、押動部19aが先羽根用係止部材15の被押動部15bを押し、先羽根用係止部材15を図示していないばねの付勢力に抗して時計方向へ回転させ、先羽根用係止部材15の係止部15aによる先羽根用駆動部材11の被係止部11aの係止を解く。その状態が、図5に示された状態である。
【0042】
このようにして、先羽根用係止部材15による係止を解かれると、先羽根用駆動部材11は、図示していない先羽根用駆動ばねの付勢力によって、図1の状態から急速に反時計方向へ回転させられる。そのため、先羽根の3枚の羽根27,28,29は、隣接する羽根同士の重なりを大きくしつつ開口部1aの上方へ作動し、開口部1aの下方から開口部1aを開放していく。そして、開口部1aが全開になると、その直後に、先羽根用駆動部材11は、その駆動ピン11cが、長孔1bの上端に取り付けられた緩衝部材4に当接して停止させられ、先羽根の3枚の羽根27,28,29は、重畳されて開口部1aの上方位置で格納状態になる。図6は、その状態を示したものである。
【0043】
先羽根が開口部1aを全開にすると、続いて、もう一方の電磁プランジャ18のソレノイドに対する通電が断たれる。それによって、可動子18aが、図示していないばねの付勢力によって急速に初期位置へ復帰するため、後羽根用解除部材20も図示していないばねの付勢力によって時計方向へ回転させられる。そのため、後羽根用解除部材20の押動部20aが後羽根用係止部材16の被押動部16bを押し、後羽根用係止部材16を図示していないばねの付勢力に抗して時計方向へ回転させ、後羽根用係止部材16の係止部16aによる後羽根用駆動部材12の被係止部12aの係止を解く。その状態が、図7に示された状態である。
【0044】
このようにして、後羽根用係止部材16による係止を解かれると、後羽根用駆動部材12は、図示していない後羽根用駆動ばねの付勢力によって、図6の状態から急速に反時計方向へ回転させられる。そのため、後羽根の3枚の羽根32,33,34は、隣接する羽根同士の重なりを小さくしつつ開口部1a内へ作動し、開口部1aの下方から開口部1aを閉鎖していく。そして、開口部1aが完全に閉鎖すると、その直後に、後羽根用駆動部材12は、その駆動ピン12cが、長孔1cの上端に取り付けられた緩衝部材5に当接して停止させられる。図8は、このようにして、先羽根と後羽根による露光作動が終了し、後羽根の3枚の羽根32,33,34が展開状態となって開口部1aを閉鎖している状態を示したものである。
【0045】
このようにして撮影が終了すると、次にセット作動が行われる。その場合、本実施例においては、セット操作部材14が、図示していないカメラ本体側の部材によってローラ14aを押され、時計方向へ回転させられる。そのため、一方では、セット操作部材14の押動ピン14cによって、ホールド補助部材22が図7において時計方向へ回転させられ、他方では、セット操作部材14のローラ14bによって、セット部材13が図8において反時計方向へ回転させられる。このようなホールド補助部材22とセット部材13の回転は、略同時に並行して行われるが、説明の都合上、ホールド補助部材22の方から説明することにする。
【0046】
上記のように、図8に示された状態において、セット操作部材14が時計方向へ回転させられると、押動ピン14cがホールド補助部材22を時計方向へ回転させるが、このときには、ホールド部材21のみに掛けられているばねの付勢力よりも、ホールド部材21とホールド補助部材22との間に掛けられているばねの付勢力の方が大きいため、ホールド部材21とホールド補助部材22の両方が、ピン21aと当接部22aを接触させたまま、ホールド部材21のみに掛けられているばねの付勢力に抗して、図7に示された状態から、同時に時計方向へ回転することになる。
【0047】
このような時計方向の回転中、ホールド補助部材22は、その被係止部22cが、ホールド係止部材24の係止部24aの左端面を摺動してゆくことになるが、ホールド部材21の方は、押圧部材23によって、先羽根用解除部材19と後羽根用解除部材20の被押動部19c,20cを押し、先羽根用解除部材19を、図示していないばねの付勢力に抗して時計方向へ回転させ、後羽根用解除部材20を、図示していないばねの付勢力に抗して反時計方向へ回転させていく。また、それに伴い、それらの解除部材19,20の押動部19a,20aによって押されていた力が解かれていくため、先羽根用係止部材15と後羽根用係止部材16も、夫々の図示していないばねの付勢力によって反時計方向へ回転させられていく。そして、先羽根用解除部材19と後羽根用解除部材20の当接板19b,20bが上地板6の折曲部6fに接した瞬間の状態が、図9に示された状態である。
【0048】
このとき、既に、それらの解除部材19,20の押動部19a,20aと二つの係止部材15,16の被押動部15b,16bとの接触は解かれており、二つの係止部材15,16の回転は、係止部材15の被押動部15bを形成している突状部が上地板6の孔6cの左縁に当接し、係止部材16の被押動部16bが上地板6dの左縁に当接して、それ以前に停止させられている。このような図9の状態からホールド補助部材22がさらに時計方向へ回転させられると、ホールド部材21の方はそれ以上回転することができないので、ホールド補助部材22の当接部22aがホールド部材21のピン21aから離れ、ホールド部材21との間に掛けられたばねを緊張させていく。
【0049】
そして、その直後には、ホールド補助部材22の被係止部22cとホールド係止部材24の係止部24aとの摺接関係が解かれるので、ホールド係止部材24が図示していないばねの付勢力によって反時計方向へ僅かに回転し、図示していないストッパに当接することによって、ホールド補助部材22の係止可能状態になる。その係止可能状態になった瞬間が図10に示されているが、実際には、ホールド補助部材22はさらに回転させられるので、ホールド係止部材24は、後述するように、セット操作部材14がセット操作を終了して反時計方向へ復動するとき、その係止部24aによってホールド補助部材22の被係止部22cを係止することになる。
【0050】
他方、図8の状態から、カメラ本体側の部材によって、セット操作部材14が時計方向へ回転させられると、セット操作部材14のローラ14bが、セット部材13の被押動部13aを押し、セット部材13を、図示していないばねの付勢力に抗して反時計方向へ回転させる。それによって、セット部材13は、ローラ13b,13cによって、先羽根用駆動部材11と後羽根用駆動部材12のローラ11b,12bを順に押し、それらの駆動部材11,12を、図示していない各々の駆動ばねの付勢力に抗して、時計方向へ回転させることになる。
【0051】
そこで、先ず、先羽根用駆動部材11が時計方向へ回転を開始させられると、開口部1aの上方位置に格納されていた先羽根の3枚の羽根27,28,29が、隣接する羽根同士の重なり量を小さくしつつ下方へ作動させられていく。そして、先羽根のスリット形成羽根29と後羽根のスリット形成羽根34の重なりが所定量に達すると、後羽根用駆動部材12も時計方向へ回転を開始させられるようになる。そのため、後羽根の3枚の羽根32,33,34は、その時点から隣接する羽根同士の重なり量を小さくしつつ下方へ作動させられるようになる。そして、それ以後は、先羽根と後羽根は、スリット形成羽根同士の重なり量を好適に保ちながら作動を続けていくことになる。
【0052】
このようにして、セット作動が行われてゆき、先羽根の3枚の羽根27,28,29が展開状態となって開口部1aを覆い、後羽根の3枚の羽根32,33,34が重畳状態となって開口部1aの下方位置に達した段階になると、先羽根用駆動部材11の被係止部11aが先羽根用係止部材15の係止部15aに接触して、先羽根用係止部材15を、図示していないばねの付勢力に抗して僅かに時計方向へ回転させ始める。そして、先羽根用駆動部材11がなおも回転を続けることによってそれらの接触が解かれると、先羽根用係止部材15は、図示していないばねの付勢力によって反時計方向へ回転させられ、係止部15aによる被係止部11aの係止可能状態になる。図11は、その状態を示したものである。
【0053】
しかも、図11の状態になる直前には、既に、後羽根用駆動部材12の被係止部12aも後羽根用係止部材16の係止部16aに接触していて、図11の状態になったときには、後羽根用係止部材16を、図示していないばねの付勢力に抗して僅かに時計方向へ回転させた状態になっている。そのため、この状態から後羽根用駆動部材12がなおも反時計方向へ回転させられると、被係止部12aと係止部16aとの接触が解かれることになって、後羽根用係止部材16は、図示していないばねの付勢力によって反時計方向へ回転させられ、係止部16aによる被係止部12aの係止可能状態になる。図12は、その状態を示したものである。
【0054】
図示していないカメラ本体側の部材によるセット操作部材14の時計方向への回転力は、セット操作部材14が図12の状態になった直後に失われる。そのため、セット部材13は、図示していないばねの付勢力によって時計方向へ回転し得るようになり、その被押動部13aがセット操作部材14のローラ14bを押して、セット操作部材14を反時計方向へ回転させていく。そして、後羽根用駆動部材12が、図示していない後羽根用駆動ばねの付勢力によって追従し、その被係止部12aが後羽根用係止部材16の係止部16aによって係止されると、セット部材13のローラ13cが後羽根用駆動部材12のローラ12bから離れてゆき、続いて、先羽根用駆動部材11が、図示していない先羽根用駆動ばねの付勢力によって追従し、その被係止部11aが先羽根用係止部材15の係止部15aによって係止されると、セット部材13のローラ13bも先羽根用駆動部材11のローラ11bから離れてゆく。
【0055】
他方、セット操作部材14が反時計方向へ回転させられていくと、その押動ピン14cがホールド補助部材22の押圧力を解いていく。そのため、ホールド補助部材22は、ホールド部材21との間に掛けられたばねの付勢力によって追従し、その被係止部22cがホールド係止部材24の係止部24aによって係止される。しかしながら、その係止状態においては、ホールド補助部材22の当接部22aは、未だホールド部材21のピン21aに接触していない。その後、セット部材13は、なおもセット操作部材14を反時計方向へ回転させ、セット操作部材14が棚板8の折曲部8aに当接すると停止する。図1及び図2は、そのようにしてセット作動が完了した状態を示したものであり、この状態が次の撮影の待機状態である。
【0056】
このように、本実施例の場合は、シャッタ羽根の作動開始時機を、電磁プランジャを用いて制御している。そのため、従来のような電磁石を用いた構成に比較して、吸着面を必要としないので、塵埃や湿気の影響を受けて誤動作するようなことがなく、所定のタイミングで、係止部材による駆動部材の係止を解除することが可能になる。また、本実施例のように構成すれば、市販されている汎用で廉価な電磁プランジャを採用することができるので、コスト上でも有利である。更に、本実施例の場合には、電磁プランジャの通電を断ち、可動子がばねの付勢力によって安定な作動をするのに連動して、解除部材が、係止部材による駆動部材の係止を解除させるので、従来の電磁石を用いたものと同等な性能が得られる。
【0057】
尚、本実施例の場合には、本発明を、銀塩フィルムカメラにもデジタルカメラにも採用することのできる二つのシャッタ羽根(先羽根と後羽根)を備えたフォーカルプレンシャッタとして構成したものである。しかしながら、本実施例の構成部材のうち、アーム25,26と羽根27,28,29とからなる先羽根と、先羽根用駆動部材11と、先羽根用係止部材15と、先羽根用解除部材19と、電磁プランジャ17とを取り外した構成にすれば、デジタルカメラにだけ採用することの可能な一つのシャッタ羽根を備えたフォーカルプレンシャッタとすることができる。また、本実施例の場合には、一つのシャッタ羽根が3枚の羽根を備えているが、羽根の枚数は、1枚だけであってもよいし、3枚以外の複数枚であっても構わない。そして、これらのことは、以下の各実施例の場合にも同じことが言える。
【実施例2】
【0058】
次に、実施例2を説明する。本実施例におけるシャッタ羽根の開閉駆動機構は、図1に示された実施例1におけるシャッタ羽根の開閉駆動機構と殆ど同じであって、その異なる点は、セット操作部材14に、押動ピン14cを設けていないだけである。そのため、本実施例の説明には、実施例1の説明に用いた図1,図6,図8,図11,図12を準用し、それらの図面に記載されている構成の説明を省略する。このことから、本実施例の構成説明は、図13〜図15に示されている係止解除機構についてだけとするが、その係止解除機構についても、実施例1の場合と実質的に同じ部材や部位には同じ符号を用いている。
【0059】
図13では、上記の図2と同様にして、シャッタ地板1に立設された三つの軸1d,1e,1fに取り付けられている上地板6を実線で示し、その上地板6に立設された二つの軸6a,6bに取り付けられているカバー板7を二点鎖線で示している。しかしながら、上地板6の外形形状は、実施例1の場合よりもシンプルな形状になっている。また、本実施例の上地板6には、実施例1の場合と同じ形状をした三つの孔6c,6d,6eが形成されているが、孔6eの縁には一つの折曲部6gが設けられているだけである。そして、その折曲部6gには、実施例1と全く同じ二つの電磁プランジャ17,18が、同じ配置で取り付けられている。
【0060】
また、本実施例の場合には、上地板6に、さらに二つの軸6j,6kが立設されていて、それらに、仲介部材35,36が回転可能に取り付けられている。そして、それらの仲介部材35,36は、両端に押動ピン35a,36aと被押動ピン35b,36bを有していて、図示していない各々のばねによって、仲介部材35は反時計方向へ、仲介部材36は時計方向へ回転するように付勢されており、図13においては、それらの被押動ピン35b,36bを、電磁プランジャ17,18の可動子17a,18aの先端に接触させている。
【0061】
次に、図13〜図15のほかに、実施例1の説明でも用いた図1,図6,図8,図11,図12を用いて本実施例の作動を説明するが、実施例1の説明と重複する事項については、出来るだけ簡潔に説明することにする。図1及び図13は、本実施例のセット状態を示したものである。このとき、セット部材13は初期位置にある。また、先羽根用駆動部材11と後羽根用駆動部材12は、それらの被係止部11a,12aを、先羽根用係止部材15と後羽根用係止部材16の係止部15a,16aに係止され、先羽根の3枚の羽根27,28,29で開口部1aを覆わせ、後羽根の3枚の羽根32,33,34を開口部1aの下方位置に格納している。他方、仲介部材35,36は、図示していないばねの付勢力によって、被押動ピン35b,36bを、電磁プランジャ17,18の可動子17a,18aに接触させられ、押動ピン35a,36aを、先羽根用係止部材15と後羽根用係止部材16の被押動部15b,16bから離されている。
【0062】
このセット状態において、カメラのレリーズボタンが押されると、露光制御回路からの信号によって、先ず、電磁プランジャ17のソレノイドにだけ通電される。それによって、電磁プランジャ17の可動子17aは、図13において、図示していないばねの付勢力に抗して左方向へ移動させられ、仲介部材35の被押動ピン35bを押し、仲介部材35を、図示していないばねの付勢力に抗して時計方向へ回転させる。そのため、仲介部材35の押動部35aが先羽根用係止部材15の被押動部15bを押し、先羽根用係止部材15を図示していないばねの付勢力に抗して時計方向へ回転させ、先羽根用係止部材15の係止部15aによる先羽根用駆動部材11の被係止部11aの係止を解く。その状態が、図14に示された状態である。
【0063】
先羽根用駆動部材11は、先羽根用係止部材15による係止を解かれると、図示していない先羽根用駆動ばねの付勢力によって、図1の状態から急速に反時計方向へ回転させられ、先羽根の3枚の羽根27,28,29に、開口部1aの開き作動を行わせ、開口部1aの全開直後に、その駆動ピン11cが緩衝部材4に当接することによって停止させられる。図6が、そのときの状態を示したものである。
【0064】
上記のような電磁プランジャ17のソレノイドに対する通電に引き続き、他方の電磁プランジャ18のソレノイドに対しても通電が開始されると、電磁プランジャ18の可動子18aは、図14において、図示していないばねの付勢力に抗して左方向へ移動させられ、仲介部材36の被押動ピン36bを押し、図示していないばねの付勢力に抗して、仲介部材36を時計方向へ回転させる。そのため、仲介部材36の押動部36aが後羽根用係止部材16の被押動部16bを押し、図示していないばねの付勢力に抗して、後羽根用係止部材16を時計方向へ回転させ、後羽根用係止部材16の係止部16aによる後羽根用駆動部材12の被係止部12aの係止を解く。その状態が、図15に示された状態である。
【0065】
このようにして、後羽根用係止部材16による係止が解かれると、図示していない後羽根用駆動ばねの付勢力によって、後羽根用駆動部材12は、図6の状態から急速に反時計方向へ回転させられ、後羽根の3枚の羽根32,33,34に、開口部1aの閉じ作動を行わせ、開口部1aの閉鎖直後に、その駆動ピン12cが緩衝部材5に当接することによって停止させられる。図8が、そのときの状態を示したものである。
【0066】
他方、この状態になると、二つの電磁プランジャ17,18のソレノイドに対する通電が断たれる。それによって、電磁プランジャ17,18の可動子17a,18aは、図示していないばねの付勢力によって、図15の状態から右方向へ復帰作動を行うが、その作動に追従して、一方の仲介部材35は、図示していないばねの付勢力によって反時計方向へ回転し、他方の仲介部材36は、図示していないばねの付勢力によって時計方向へ回転する。更に、仲介部材35,36の作動に追従して、先羽根用係止部材15と後羽根用係止部材16も、図示していない各々のばねの付勢力によって反時計方向へ回転する。
【0067】
そして、その後、先羽根用係止部材15の回転が、被押動部15bを形成している突状部が孔6cの左縁に当接することによって停止し、後羽根用係止部材16の回転が、被押動部16bが孔6dの左縁に当接することによって停止すると、その直後には、上記の可動子17a,18aが原位置に復帰し、仲介部材35,36の回転も停止する。従って、その停止状態は、先羽根用係止部材15と後羽根用係止部材16が、先羽根用駆動部材11と後羽根用駆動部材12を係止した状態になっていないとはいえ、図13に示された状態と同じ状態になる。
【0068】
次に、このような状態からセット作動が行われる。図示していないカメラ本体側の部材によって、セット操作部材14が時計方向へ回転させられると、セット操作部材14のローラ14bが、セット部材13を、図示していないばねの付勢力に抗して反時計方向へ回転させる。それにより、セット部材13は、ローラ13b,13cによって、先羽根用駆動部材11と後羽根用駆動部材12のローラ11b,12bを順に押し、それらの駆動部材11,12を、図示していない各々の駆動ばねの付勢力に抗して、時計方向へ回転させる。
【0069】
そこで、先ず、先羽根用駆動部材11が時計方向へ回転を開始し、先羽根のスリット形成羽根29と後羽根のスリット形成羽根34の重なりが所定量に達すると、後羽根用駆動部材12も時計方向へ回転を開始する。そして、先羽根の3枚の羽根27,28,29が展開状態となって開口部1aを覆う段階になると、先羽根用駆動部材11の被係止部11aが先羽根用係止部材15の係止部15aを押して、先羽根用係止部材15を、図示していないばねの付勢力に抗して僅かに時計方向へ回転させるが、その直後にはその押す力が解除され、先羽根用係止部材15は、図示していないばねの付勢力によって反時計方向へ復帰して、係止部15aが被係止部11aの係止可能状態になる。図11は、その状態を示したものである。
【0070】
他方、図11の状態になる直前には、既に後羽根用駆動部材12の被係止部12aも後羽根用係止部材16の係止部16aを、図示していないばねの付勢力に抗して接触しており、図11の状態になったときには、後羽根用係止部材16を、図示していないばねの付勢力に抗して僅かに時計方向へ回転させ始めている。そのため、その状態から後羽根用駆動部材12がなおも反時計方向へ回転させられると、被係止部12aと係止部16aとの接触が解かれて、後羽根用係止部材16は、図示していないばねの付勢力によって反時計方向へ回転させられ、係止部16aによる被係止部12aの係止可能状態になる。図12は、その状態を示している。
【0071】
図示していないカメラ本体側の部材によるセット操作部材14の時計方向への回転力は、セット操作部材14が図12の状態になった直後に失われる。そのため、セット部材13は、図示していないばねの付勢力によって初期位置への復帰作動を開始する。それによって、後羽根用駆動部材12と先羽根用駆動部材11は、図示していない各々の駆動ばねの付勢力によって僅かに追従し、後羽根用駆動部材12は、その被係止部12aが後羽根用係止部材16の係止部16aに係止され、続いて、先羽根用駆動部材11は、その被係止部11aが先羽根用係止部材15の係止部15aによって係止される。その後、セット部材13は、なおもセット操作部材14を反時計方向へ回転させてゆき、セット操作部材14が棚板8の折曲部8aに当接することによって、図1の状態に復帰する。
【0072】
このように、本実施例の場合にも、シャッタ羽根の作動開始時機を、電磁プランジャを用いて制御している。そのため、従来のような電磁石を用いた構成に比較して、吸着面を必要としないので、塵埃や湿気の影響を受けて誤動作するようなことがなく、所定のタイミングで、係止部材による駆動部材の係止を解除することが可能になる。また、本実施例のように構成すれば、市販されている汎用で廉価な電磁プランジャを採用することができるので、コスト上でも有利である。
【0073】
更に、本実施例は、図13と図2を比較すれば明らかなように、係止解除機構の構成部材が、実施例1に比較して極端に少ない。そのため、コストの面では、実施例1よりも圧倒的に有利である。また、本実施例の場合には、電磁プランジャ17に通電を開始するのは、先羽根用駆動部材11の係止を解除するときであり、電磁プランジャ18に通電を開始するのは、後羽根用駆動部材12の係止を解除するときである。そのため、1回の撮影で、電磁プランジャ17,18に通電している時間は、実施例1の場合よりも短くて済み、消費電力の点からも有利である。そして、このことは、後述する実施例3の場合も同様である。それに対し、実施例1の方には、プランジャ17,18の可動子17a,18aが各々のばねの付勢力によって作動するとき、解除部材19,20が各々のばねの付勢力によって駆動部材11,12の係止を解除させているので、係止解除のタイミングが、電磁プランジャ17,18に対する電流,電圧値によって左右されにくいという利点がある。
【実施例3】
【0074】
次に、実施例3を説明する。本実施例におけるシャッタ羽根の開閉駆動機構は、図1に示された実施例1におけるシャッタ羽根の開閉駆動機構と殆ど同じである。即ち、本実施例の場合には、図16から分かるように、被押動部15bを設けている先羽根用係止部材15の腕部と、被押動部16bを設けている後羽根用係止部材16の腕部とが、実施例1の場合より短くなっていて、先羽根用係止部材15の被押動部15bは、後羽根用係止部材16の被押動部16bと同様に、腕部の最先端に設けられている点が異なるだけである。そのため、実施例1の説明に用いた図1,図6,図8,図11,図12を本実施例の説明にも準用し、それらの図面に記載されている構成の説明を省略する。
【0075】
そこで、図16を用いて、本実施例における係止解除機構の構成を説明するが、その係止解除機構についても、実施例1の場合と実質的に同じ部材や部位には同じ符号を用いている。図16においては、本実施例のシャッタ地板1に立設された三つの軸1d,1e,1fに取り付けられている上地板6を実線で示し、その上地板6に立設された二つの軸6a,6bに取り付けられているカバー板7を二点鎖線で示しているが、その上地板6の外形形状は、実施例2の場合と全く同じである。
【0076】
しかしながら、そこに形成されている孔6c,6dは、上記のように、二つの係止部材15,16の腕部が短くなったため、それらの配置位置が異なっている。また、本実施例の上地板6には、実施例1,2における孔6eが形成されていないが、その代わりとして二つの孔6m,6nが形成されていて、それらの縁に設けられている折曲部6p,6qには、実施例1,2の場合と全く同じ構成の電磁プランジャ17,18が、実施例1,2の場合とは逆向きにして取り付けられている。
【0077】
次に、図16〜図18のほかに、実施例1の説明でも用いた図1,図6,図8,図11,図12を用いて本実施例の作動を説明するが、実施例1の説明と重複する事項については、極力簡潔に説明することにする。図1及び図16は、本実施例のセット状態を示したものである。このとき、セット部材13は初期位置にあり、先羽根用駆動部材11と後羽根用駆動部材12は、先羽根用係止部材15と後羽根用係止部材16の係止部15a,16aに係止され、先羽根の3枚の羽根27,28,29で開口部1aを覆わせ、後羽根の3枚の羽根32,33,34を開口部1aの下方位置に格納している。他方、電磁プランジャ17,18の可動子17a,18aは、先羽根用係止部材15と後羽根用係止部材16の被押動部15b,16bから離れている。
【0078】
このセット状態において、カメラのレリーズボタンが押されると、露光制御回路からの信号によって、先ず、電磁プランジャ17のソレノイドにだけ通電される。それによって、電磁プランジャ17の可動子17aは、図示していないばねの付勢力に抗して、図16において右方向へ移動させられ、先羽根用係止部材15の被押動部15bを、図示していないばねの付勢力に抗して押し、係止部15aによる先羽根用駆動部材11の係止を解く。その状態が、図17に示された状態である。先羽根用駆動部材11は、先羽根用係止部材15による係止を解かれると、図示していない先羽根用駆動ばねの付勢力によって急速に反時計方向へ回転させられ、先羽根が開口部1aを全開にした直後に、その駆動ピン11cが緩衝部材4に当接することによって停止させられる。図6は、そのときの状態を示したものである。
【0079】
上記のような電磁プランジャ17のソレノイドに対する通電に引き続き、他方の電磁プランジャ18のソレノイドに対しても通電されると、電磁プランジャ18の可動子18aは、図17の状態から、図示していないばねの付勢力に抗して右方向へ移動させられ、後羽根用係止部材16の被押動部16bを、図示していないばねの付勢力に抗して押し、係止部16aによる後羽根用駆動部材12の係止を解く。その状態が、図18に示された状態である。後羽根用駆動部材12は、後羽根用係止部材16による係止を解かれると、図示していない後羽根用駆動ばねの付勢力によって急速に反時計方向へ回転させられ、後羽根が開口部1aを閉鎖した直後に、その駆動ピン12cが緩衝部材5に当接することによって停止させられる。図8は、そのときの状態を示したものである。
【0080】
他方、この状態になると、二つの電磁プランジャ17,18のソレノイドに対する通電が断たれるため、可動子17a,18aは、図示していないばねの付勢力によって、図18の状態から左方向へ復帰作動を行うが、その作動に追従して、先羽根用係止部材15と後羽根用係止部材16も、図示していない各々のばねの付勢力によって反時計方向へ回転する。そして、その後、二つの係止部材15,16の回転が、被押動部15b,16bを孔6c,6dの左縁に当接させて停止すると、その直後には、上記の可動子17a,18aが図16に示されている原位置に復帰する。
【0081】
次に、このような状態からセット作動が行われるが、本実施例の場合も、実施例2の場合と同様にして、係止解除機構とは全く関係なく、シャッタ羽根の駆動機構だけが、そのセット作動を行わされる。従って、セット操作部材14によってセット部材13を反時計方向へ回転させると、先羽根用駆動部材11と後羽根用駆動部材12は、図示していない各々の駆動ばねの付勢力に抗して時計方向へ回転させられ、先羽根が開口部1aを覆う段階になると、先羽根用駆動部材11は、その被係止部11aが先羽根用係止部材15の係止部15aを押すことによって、その直後には図11に示されているよな係止され得る状態になり、続いて、後羽根用駆動部材12は、その被係止部12aが後羽根用係止部材16の係止部16aを押すことによって、その直後には図12に示されているような係止され得る状態になる。
【0082】
そして、その後、セット部材13が、図示していないばねの付勢力によって初期位置への復帰作動を開始すると、後羽根用駆動部材12と先羽根用駆動部材11は、図示していない各々の駆動ばねの付勢力によって僅かに追従し、後羽根用駆動部材12は後羽根用係止部材16に係止され、続いて、先羽根用駆動部材11は先羽根用係止部材15によって係止される。その後、セット部材13は、セット操作部材14が棚板8の折曲部8aに当接することによって停止し、図1の状態に復帰する。
【0083】
このように、本実施例の場合にも、シャッタ羽根の作動開始時機を、電磁プランジャを用いて制御している。そのため、従来のような電磁石を用いた構成に比較して、吸着面を必要としないので、塵埃や湿気の影響を受けて誤動作するようなことがなく、所定のタイミングで、係止部材による駆動部材の係止を解除することが可能になる。また、本実施例のように構成すれば、市販されている汎用で廉価な電磁プランジャを採用することができるので、コスト上でも有利である。更に、本実施例は、実施例2における二つの仲介部材35,36と、それらを付勢している二つのばねが不要になるので、実施例2の場合よりもコストの面で一層有利である。
【0084】
尚、上記の各実施例の場合には、電磁プランジャ17,18の可動子17a,18aを直線的に往復作動させているが、ソレノイドと可動子を円弧状に製作し、可動子を円弧上で往復作動させるようにしても構わない。更に、上記の各実施例においては、電磁プランジャ17,18の可動子17a,18aが、一方へは電磁力によって作動し、他方へはばね力によって作動するようにしているが、両方向とも電磁力で作動させるようにしても差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】セット状態におけるシャッタ羽根の開閉駆動機構を被写体側から見て示した実施例1の平面図である。
【図2】セット状態における係止解除機構を被写体側から見て示した実施例1の平面図である。
【図3】図2と同様に見て示した実施例1の平面図であって、カメラのレリーズ直後に、二つの電磁プランジャに通電された状態を示したものである。
【図4】図2と同様に見て示した実施例1の平面図であって、図3の状態からホールド部材による二つの解除部材の保持力を解いた状態を示したものである。
【図5】図2と同様に見て示した実施例1の平面図であって、図4の状態から先羽根用駆動部材の係止を解除した状態を示したものである。
【図6】図1と同様に見て示した実施例1の平面図であって、先羽根の開き作動が完了した状態を示したものである。
【図7】図2と同様に見て示した実施例1の平面図であって、図5の状態から後羽根用駆動部材の係止を解除した状態を示したものである。
【図8】図1と同様に見て示した実施例1の平面図であって、後羽根の閉じ作動が完了した状態を示したものである。
【図9】図2と同様に見て示した実施例1の平面図であって、図8の状態のあとセット作動が開始された直後の状態を示したものである。
【図10】図2と同様に見て示した実施例1の平面図であって、図9の状態のあとホールド部材が二つの解除部材の保持状態に係止された状態を示したものである。
【図11】図1と同様に見て示した実施例1の平面図であって、先羽根と後羽根が図8の状態からセット作動させられ、先羽根が先羽根用係止部材によって係止され得るようになった状態を示したものである。
【図12】図1と同様に見て示した実施例1の平面図であって、図11の状態のあと、後羽根が後羽根用係止部材によって係止され得るようになった状態を示したものである。
【図13】セット状態における係止解除機構を被写体側から見て示した実施例2の平面図である。
【図14】図13と同様に見て示した実施例2の平面図であって、先羽根用係止部材が先羽根用駆動部材の係止を解除した状態を示したものである。
【図15】図13と同様に見て示した実施例2の平面図であって、図14に示された状態の後、後羽根用係止部材が後羽根用駆動部材の係止を解除した状態を示したものである。
【図16】セット状態における係止解除機構を被写体側から見て示した実施例3の平面図である。
【図17】図16と同様に見て示した実施例3の平面図であって、先羽根用係止部材が先羽根用駆動部材の係止を解除した状態を示したものである。
【図18】図16と同様に見て示した実施例3の平面図であって、図17に示された状態の後、後羽根用係止部材が後羽根用駆動部材の係止を解除した状態を示したものである。
【符号の説明】
【0086】
1 シャッタ地板
1a 開口部
1b,1c 長孔
1d,1e,1f,1g,1h,1i,1j,1k,1m,6a,6b,6h,6i,6j,6k,8b 軸
2 中間板
3 補助地板
4,5 緩衝部材
6 上地板
6c,6d,6e,6m,6n 孔
7 カバー板
8 棚板
6f,6g,8a,22b,6p,6q 折曲部
9,10 ビス
11 先羽根用駆動部材
11a,12a,22c 被係止部
11b,12b,13b,13c,14a,14b ローラ
11c,12c 駆動ピン
12 後羽根用駆動部材
13 セット部材
13a,15b,16b,19c,20c 被押動部
14 セット操作部材
14c,35a,36a 押動ピン
15 先羽根用係止部材
15a,16a,24a 係止部
16 後羽根用係止部材
17,18 電磁プランジャ
17a,18a 可動子
19 先羽根用解除部材
19a,20a 押動部
19b,20b 当接板
20 後羽根用解除部材
21 ホールド部材
21a ピン
22 ホールド補助部材
22a 当接部
23 押圧部材
24 ホールド係止部材
24b 操作部
25,26,30,31 アーム
27,28,29,32,33,34 羽根
35,36 仲介部材
35b,36b 被押動ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光開口を開閉する少なくとも一つのシャッタ羽根と、前記シャッタ羽根に連結されていて撮影時には駆動ばねの付勢力によって前記シャッタ羽根を伴ってセット位置から作動させられる少なくとも一つの駆動部材と、撮影終了後に前記シャッタ羽根を伴って前記駆動部材を前記駆動ばねの付勢力に抗してセット位置へ作動させるセット部材と、前記駆動部材をセット位置で前記駆動ばねの付勢力に抗して係止する少なくとも一つの係止部材と、コイルと往復作動可能な軸状の可動子とを有していて撮影に際して該コイルに通電されたとき該可動子が往動して前記係止部材による前記駆動部材の係止を解除させる少なくとも一つの係止解除手段と、を備えていることを特徴とするカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
【請求項2】
前記コイルと前記可動子とは、前記コイルがソレノイドであり、前記可動子は、該ソレノイドの中空部内において、該ソレノイドに通電されるとばねの付勢力に抗して往動され、通電を断つと該ばねの付勢力によって復動する電磁プランジャユニットとして構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
【請求項3】
前記係止解除手段が、さらに、前記可動子に連動して作動する仲介部材を有していて、前記コイルに通電されたとき、前記可動子が前記仲介部材を介して前記係止部材による前記駆動部材の係止を解除させるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
【請求項4】
前記係止解除手段が、さらに、初期位置から自己の習性で作動したとき前記係止部材による前記駆動部材の係止を解除させる解除部材と、セット時に自己の習性に抗して作動させられ前記解除部材を初期位置に作動させた後は次の撮影までホールド係止部材に係止されて前記解除部材を初期位置に維持させるホールド部材と、を有していて、撮影に際して前記コイルに通電され前記可動子が往動して前記解除部材を初期位置に維持させると、前記ホールド部材は前記レリーズ部材による係止を解かれ、その直後に前記可動子が復動すると、前記解除部材が自己の習性で初期位置から作動するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
【請求項5】
前記少なくとも一つのシャッタ羽根が、二つのシャッタ羽根であり、前記少なくとも一つの駆動部材が、前記二つのシャッタ羽根に個々に連結した二つの駆動部材であり、前記少なくとも一つの係止部材が、前記二つの駆動部材をセット位置で個々に係止する二つの係止部材であり、前記少なくとも一つの係止解除手段が、前記二つの係止部材による前記二つの駆動部材の係止を個々に解除させる二つの係止解除手段であって、撮影に際しては前記二つの係止解除手段のコイルに対して所定の時間間隔で通電するようにしたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のカメラ用フォーカルプレンシャッタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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