説明

カメラ

【課題】鞄等からカメラを取り出す動作を検出して省電力待機状態から即座に撮影可能状態に移行させることが可能なカメラを提供すること。
【解決手段】カメラ1が省電力待機状態である際に、接触検出部14によって撮影者の手がカメラ1の本体に接触していることが検出された場合に、加速度検出部12による加速度の検出が行われる。撮影者の手がカメラ1の本体に接触している状態でカメラ1の加速度が第1の所定値以上となったときに、カメラ1の撮影動作に必要な最低限のブロックのみを起動させる緊急モードでカメラ1を起動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮像する機能を有するカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラへの指等の接触を検出する技術がカメラの各種の処理に利用されている。例えば、特許文献1ではフラッシュの発光窓や撮影レンズ等への指掛かりを検出することで撮影時に画像上に指が写らないようにしている。特に、この特許文献1では、カメラの本体が金属製であっても正しく指掛かりを検出できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−306453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鳥等を被写体とするような場合において、カメラの電源がオフしている状態でカメラを鞄等に収納している際に不意に被写体が現れると、従来では、撮影者は、鞄からカメラを取り出してからカメラの電源をオンして撮影をする必要がある。この場合、カメラが起動した後には被写体が撮影範囲から移動してしまって、シャッタチャンスを逃すおそれがある。このような場合においてシャッタチャンスを逃さないためには、鞄等からカメラを取り出した直後にカメラが撮影可能となっていることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたもので、鞄等からカメラを取り出す動作を検出して省電力待機状態から即座に撮影可能状態に移行させることが可能なカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様のカメラは、被写体を撮像して該被写体の画像を得る撮像部と、上記被写体の画像を記録する第1の記録部と、当該カメラの電源がオフされている省電力待機状態において、当該カメラへの操作者の手の接触を検出する接触検出部と、上記省電力待機状態において、当該カメラの移動に伴う加速度を検出する加速度検出部と、上記省電力待機状態において、当該カメラへの操作者の手の接触があり、かつ上記加速度が第1の所定値以上となった場合に、上記撮像部と上記第1の記録部とを少なくとも起動させて即座に上記被写体の画像を上記第1の記録部に記録可能とする緊急モードで当該カメラを起動する制御部と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、鞄等からカメラを取り出す動作を検出して省電力待機状態から即座に撮影可能状態に移行させることが可能なカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係るカメラの構成を示す図である。
【図2】接触検出部の構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るカメラの使用時の様子を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るカメラの動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態における緊急モードでの起動条件について説明するための図である。
【図6】緊急モードと通常モードとを比較して示した図である。
【図7】撮影終了表示の一例を示す図である。
【図8】緊急撮影動作の終了条件の一例について示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るカメラの動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るカメラの構成を示す図である。図1に示すカメラ1は、制御マイクロコンピュータ2と、レンズ部3と、撮像部4と、メモリ部5と、表示部6と、画像記録部7と、内蔵メモリ部8と、音声処理部9と、操作部10と、フラッシュ発光部11と、加速度検出部12と、姿勢検出部13と、接触検出部14と、撮影者状態監視部15と、を有している。
【0010】
制御マイクロコンピュータ2は、レンズ部3、撮像部4、フラッシュ発光部11等のカメラ1の内部の各ブロックの動作を統括的に制御する。また、制御マイクロコンピュータ2は、撮像部4を介して得られる画像データに対して各種の画像処理や、画像記録部7に記録するための画像圧縮を施すことも行う。さらに、制御マイクロコンピュータ2は、制御部としての機能も有し、加速度検出部12によって検出される加速度に応じてカメラ1の起動モードの切り替えを行う。詳細は後述するが、本実施形態におけるカメラ1は、通常モードと緊急モードの2種の起動モードを有している。
【0011】
レンズ部3は、撮影レンズ31と、レンズ制御部32とを有している。撮影レンズ31は、被写体の光学像を撮像部4に集光させるための光学系である。この撮影レンズ31は、制御マイクロコンピュータ2からの指示に応じて動作するレンズ制御部32によりその光軸方向に移動される。ここで、撮影レンズ31は、画角を調整するためのズームレンズを含んでいる。レンズ制御部32によって撮影レンズ31のズームレンズを広角側又は望遠側に駆動することで、撮影時の撮影画角が変更される。ズームレンズを広角側に駆動した場合には撮影画角が広くなり広い範囲の撮影に適した状態となる。一方、ズームレンズを望遠側に駆動した場合には撮影画角は狭くなるが遠距離の被写体の撮影に適した状態となる。
【0012】
撮像部4は、撮像素子41と、撮像素子ドライバ42と、タイミングジェネレータ(TG)43と、アナログフロントエンド回路(AFE)44と、を有している。撮像素子41は、画素が2次元状に配列されてなる撮像面を有し、撮影レンズ31により集光された光を各画素で受光して光電変換することで、光の量を電気量に変換する。撮像素子ドライバ42は、TG43からの同期信号に従って撮像素子41を駆動させる。TG43は、制御マイクロコンピュータ2からのタイミング信号に従って撮像素子41を駆動するための同期信号を生成して撮像素子ドライバ42に出力する。撮像素子41はこの同期信号に同期して動作する。AFE44は、撮像素子41から出力されるアナログの電気信号(画像信号)に対して相関二重サンプリング(CDS)処理やゲイン制御処理(AGC)等の各種のアナログ処理を施した後、アナログ処理によって得られた画像信号をデジタルの画像信号(以降、画像データという)に変換する。
【0013】
メモリ部5は、撮像部4のAFE44において得られた画像データや、制御マイクロコンピュータ2における画像処理の結果として得られた画像データ等の各種データが一時的に記憶される記憶部である。このメモリ部5は、例えばDRAM(Dynamic RAM)から構成されている。なお、メモリ部5は、第1の記録部の一例としても機能する。
【0014】
表示部6は、例えばカメラ1の背面に設けられた液晶ディスプレイ等の表示部であり、制御マイクロコンピュータ2において画像処理された画像データに基づく画像等の各種の画像を表示する。第2の記録部として機能する画像記録部7は、例えばカメラ1に対して着脱可能な記録メディアあり、制御マイクロコンピュータ2において画像処理された画像データが記録される。第1の記録部として機能する内蔵メモリ部8は、カメラ1に内蔵の記録部である。この内蔵メモリ部8は、例えばフラッシュメモリによって構成される。
【0015】
音声処理部9は、制御マイクロコンピュータ2の制御に従って、各種の音声を発するための処理を行う。
操作部10は、電源スイッチ、レリーズボタン、ズームボタン、各種入力キー等の操作部材や表示部6に配置されたタッチパネル等の操作部材である。撮影者により操作部10の何れかの操作部材が操作されることにより、制御マイクロコンピュータ2は、撮影者の操作に応じた各種の処理を実行する。ここで、電源スイッチは、カメラ1の電源のオンオフ指示を行うための操作部材である。電源スイッチが押されたときに、制御マイクロコンピュータ2は、カメラ1の電源をオン又はオフする。レリーズボタンは、撮影実行の指示を行うための操作部材である。レリーズボタンが押されたときに、制御マイクロコンピュータ2は、撮影動作を実行する。ズームボタンは、ズーミングの実行を指示するための操作部材である。ズームボタンが押されたときに、制御マイクロコンピュータ2は、撮影レンズ31のズームレンズを広角側又は望遠側に駆動させるようにレンズ制御部32に指示を送る。入力キーは、例えば、表示部6において表示されるメニュー画面上で撮影時の撮影条件等を設定するための操作部材である。
【0016】
フラッシュ発光部11は、被写体が低輝度の場合や逆光シーンの場合等において、制御マイクロコンピュータ2からの発光指示を受けて発光する。このフラッシュ発光部11は、例えばキセノン(Xe)管等の発光管や反射傘を備えている。
加速度検出部12は、カメラ1の本体に発生する加速度を検出する。姿勢検出部13は、カメラ1の姿勢を検出する。より詳しくは、姿勢検出部13は、撮影レンズ31が地表に向いている状態を検出する。姿勢検出部13は、例えば角速度センサから構成することができる。
【0017】
接触検出部14は、カメラ1の撮影者のカメラ1の本体への手の接触を検出する。図2に接触検出部14の構成の一例を示す。図2(a)に示すように、接触検出部14は、電流検出部141と、電源部142と、抵抗部143とを有している。これら電流検出部141と、電源部142と、抵抗部143とは、等価的には直列に接続されて閉回路を形成している。電流検出部141は、回路内を流れる電流の大きさを検出する。電源部142は、カメラ1に内蔵の電源部である。接触検出部14に用いられる電源部142としては、カメラ1の省電力待機時の電源が利用される。抵抗部143は、カメラ1の本体の抵抗成分である。即ち、本実施形態においては、カメラ1の本体が金属製であり、これによってカメラ1が抵抗成分を持つ。図2(a)に示す構成において、撮影者の手がカメラ1の本体に接触すると、図2(b)に示すようにして、撮影者の手を介してカメラ1内に形成されている閉回路が地絡される。これにより、電流検出部141で検出される電流の大きさが変化する。図2(a)の状態と図2(b)の状態のそれぞれでの電流の違いを判定することにより、撮影者の手がカメラ1の本体に接触したか否かを判定することができる。
【0018】
ここで、図2の接触検出部14は、カメラ1の本体内のインピーダンス変化を電流変化として検出することで撮影者の手の接触を検出している。この他、カメラ1の本体内の磁束密度の変化を検出することで撮影者の手の接触を検出する等しても良い。
撮影者状態監視部15は、撮影者がカメラ1を構えている状態を検出する。この撮影者状態監視部15は、例えばカメラ1の背面に設けられた撮像部である。即ち、撮影者がカメラ1を構えている状態では、カメラ1を構えている撮影者の画像が撮影者状態監視部15を介して得られる。この撮影者の画像により、撮影者がカメラ1を構えていることを検出することが可能である。
【0019】
図3は、本実施形態に係るカメラ1の使用時の様子を示す図である。本実施形態に係るカメラ1は、鳥等の、比較的高速で移動する被写体の撮影に好適なものである。
本実施形態ではカメラ1の電源がオフされて省電力待機状態となっている状態を主に想定している。この状態でカメラ1は例えば撮影者の鞄20に収納されている。本実施形態ではカメラ1が省電力待機状態となっている際に加速度検出部12による加速度の検出と、接触検出部14による撮影者の手の接触の検出とが行われている。
【0020】
ここで、撮影者が、図3の参照符号101で示すような空を飛んでいる鳥を撮影しようとした場合に、撮影者は鞄20からカメラ1を取り出した後、カメラ1を構えて撮影を行うことが考えられる。このような場合において、カメラ1の電源の起動から撮影可能となるまでの時間が長くなると、シャッタチャンスを逃してしまう可能性が高い。
【0021】
このため、本実施形態では、撮影者が鞄20からカメラ1を取り出したことが判定された時点で直ちにカメラ1を起動して撮影を行えるようにする。以下、このような起動モードを緊急モードという。
以下、カメラ1の動作の詳細を説明する。図4は、本実施形態に係るカメラの動作を示すフローチャートである。図4の動作に先立って、カメラ1は電源がオフされて省電力待機状態となっている。省電力待機状態では、制御マイクロコンピュータ2と、加速度検出部12と、接触検出部14とが動作しており、その他のブロックには電源が供給されず待機状態となっている。
【0022】
省電力待機状態において、制御マイクロコンピュータ2は、操作部10の電源スイッチがオンされたか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1の判定において、操作部10の電源スイッチのオン操作がされたときに、制御マイクロコンピュータ2は、通常モードでカメラ1を起動する。通常モードにおいては、撮像部4、表示部6等のカメラ1の各ブロックを起動させる。その後は、撮影者の操作部10の操作に応じて画像の撮影動作を行ったり、画像の再生動作を行ったりする。
【0023】
ステップS1の判定において、操作部10の電源スイッチのオン操作がされていないとき、制御マイクロコンピュータ2は、接触検出部14で検出される電流の大きさから撮影者としての撮影者の手がカメラ1の本体に接触しているか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2の判定において、撮影者の手がカメラ1の本体に接触していないとき、制御マイクロコンピュータ2はステップS1の処理を再び実行する。
【0024】
一方、ステップS2の判定において、撮影者の手がカメラ1の本体に接触しているとき、制御マイクロコンピュータ2は、加速度検出部12の出力信号からカメラ1に発生している加速度が第1の所定値以上であるか否かを判定する(ステップS3)。ステップS3の判定において、カメラ1に発生している加速度が第1の所定値以上でないとき、制御マイクロコンピュータ2は、図示しないタイマーのカウントを開始させる。その後、制御マイクロコンピュータ2は、タイマーのカウントが所定カウントとなってタイマーがタイムアウトとなったか否かを判定する(ステップS4)。ステップS4の判定において、タイマーがタイムアウトとなっていないとき、制御マイクロコンピュータ2はステップS2の処理を再び実行する。一方、ステップS4の判定において、タイマーがタイムアウトとなったとき、制御マイクロコンピュータ2はステップS1の処理を再び実行する。
【0025】
このように、本実施形態では、カメラ1の本体に撮影者の手が接触していても加速度が一定以上となっていない場合には、省電力待機状態が継続される。さらに、本実施形態では、カメラ1の本体に撮影者の手が接触していないときには加速度の検出を行わない。これは、図5(a)に示すような撮影者がカメラ1から手を離している状態である。例えば図5(a)はカメラ1の本体が鞄20に収納されている状態を示している。この状態ではカメラ1に加速度が発生していても省電力待機状態が継続される。
【0026】
また、ステップS3の判定において、カメラ1に発生している加速度が第1の所定値以上になったとき、制御マイクロコンピュータ2は、カメラ1を緊急モードで起動する(ステップS5)。省電力待機状態において撮影者の手がカメラ1の本体に接触しており、かつ、加速度が一定以上である状態とは、例えば図5(b)に示すように、撮影者が鞄20から素早くカメラ1の本体を取り出そうとしている状態である。このような場合には撮影者に撮影の意図があるとしてカメラ1を緊急モードで起動させる。
【0027】
図6は、緊急モードと通常モードとの違いを示した図である。図6に示すように、緊急モードと通常モードとでは、(1)記録メディアのマウントを行うか否か、(2)撮影画像の記録先、(3)撮影後の後処理、(4)記録画像の種類、(5)起動させるブロック、の5項目が主に異なる。
【0028】
まず、緊急モードでは記録メディア(画像記録部7)のマウント動作を行わず、通常モードでは画像記録部7のマウント動作を行う。記録メディアのマウント動作は、比較的時間がかかる。このため、緊急モードでは起動の直後にはマウント動作を行わず、撮影が終了した後に行う。
【0029】
次に、緊急モードでは撮影画像の記録先は内蔵メモリ8(又はメモリ部5)であり、通常モードでは撮影画像の記録先は記録メディア(画像記録部7)である。上述したように、緊急モードでは画像記録部7のマウント動作は行わず、画像記録部7が使用できないので、緊急モードでは撮影画像の記録先を内蔵メモリ8(メモリ部5)とする。
【0030】
次に、撮影後の後処理として、緊急モードでは撮影時に省略する各種の処理を行う必要がある。この処理としては、撮影画像に対する画像処理と画像記録部7のマウント動作、その後の画像記録部7への撮影画像の記録処理とが含まれる。通常モードでは、これらの処理が撮影時に行われるので撮影後の後処理は不要である。
【0031】
次に、緊急モードでは撮影画像として記録される画像がRAW画像である。RAW画像とはAFE44から出力された画像処理が施されていない状態の画像である。一方、通常画像では撮影画像として記録される画像がJPEG処理等の各種の画像処理が施された画像である。緊急モードでは、画像処理を省略することで、特に複数枚の画像の撮影を可能とする。
【0032】
起動時に有効となる機能としては、緊急モードでは最低限の撮影動作に必要な機能のみが有効となる。図1に示す中では、制御マイクロコンピュータ2、撮像部4、メモリ部5、内蔵メモリ部8、加速度検出部12、接触検出部14が含まれる。これに対し、起動に時間のかかる表示部6等は起動しない。一方、通常モードでは図1で示した全てのブロックが有効となる。
【0033】
緊急モードでカメラ1を起動した後、制御マイクロコンピュータ2は、加速度検出部12の出力信号からカメラ1が略静止状態となったか否か、即ちカメラ1に発生している加速度が第1の所定値よりも十分小さい第2の所定値以下となったか否かを判定する(ステップS6)。そして、制御マイクロコンピュータ2は、加速度が第2の所定値以下となるまで待機する。ステップS6の判定において、カメラ1に発生している加速度が第2の所定値以下となった後、制御マイクロコンピュータ2は、緊急撮影動作を実行する(ステップS7)。緊急撮影動作においては、撮像部4を動作させて被写体の撮像を実行する。そして、撮像部4の動作によってAFE44から出力された画像データ(RAW画像データ)に対して画像処理を施すことなく内蔵メモリ部8(メモリ部5)に記録する。このように、必要最低限の処理のみを行うことでカメラ1から撮影動作がなされるまでの時間を短くすることが可能である。
【0034】
緊急撮影動作が終了した後、制御マイクロコンピュータ2は、表示部6を起動して撮影終了表示を行う(ステップS8)。撮影終了表示においては、図7に示すように、撮影により得られたRAW画像の代わりに、緊急撮影動作により緊急写真(RAW画像)が撮影された旨を告知するためのキャラクタ画像61を表示させる。このようなキャラクタ画像61を表示させるのは、RAW画像は画像処理をしなければ再生することができないためである。また、キャラクタ画像61を表示させるのに伴って、残りの撮影枚数を示す指標画像62を表示させることが望ましい。さらに、本実施形態においては、記録ボタン63を表示させる。この記録ボタン63は、撮影者がRAW画像を表示させるための指示を行うためのタッチ操作式のボタンである。勿論、記録ボタン63に対応した専用の操作部材を設けるようにしても良い。また、図7の例では、表示部6に撮影終了表示を行うようにしているが、単に緊急撮影動作の終了を告知するためであれば、例えばLEDを用いて告知を行うようにしても良い。この場合には、記録ボタン63に対応した専用の操作部材をカメラ1に設ける必要がある。
【0035】
撮影終了表示の後、制御マイクロコンピュータ2は、撮影者によってRAW画像に対する画像処理及び記録指示がなされたか否か、即ち撮影者によって記録ボタン63がオンされたか否かを判定する(ステップS9)。ステップS9の判定において、記録ボタン63がオンされていないとき、制御マイクロコンピュータ2は、操作部10のレリーズボタンが操作されたか否かを判定する(ステップS10)。ステップS10の判定において、レリーズボタンが操作されていないとき、制御マイクロコンピュータ2は、図示しないタイマーのカウントを開始させる。その後、制御マイクロコンピュータ2は、タイマーのカウントが所定カウントとなってタイマーがタイムアウトとなったか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11の判定において、タイマーがタイムアウトとなっていないとき、制御マイクロコンピュータ2はステップS9の処理を再び実行する。一方、ステップS11の判定において、タイマーがタイムアウトとなったとき、制御マイクロコンピュータ2はステップS1の処理を再び実行する。また、ステップS10の判定において、レリーズボタンが操作されたとき、制御マイクロコンピュータ2は、ステップS7の緊急撮影動作を実行する。
【0036】
また、ステップS9の判定において、記録ボタン63がオンされた場合に、制御マイクロコンピュータ2は、画像記録部7のマウント動作を行った後、内蔵メモリ部8(メモリ部5)に記録されている全てのRAW画像に対してガンマ補正処理やJPEG処理等の画像処理を施し、画像処理後に得られる圧縮画像を画像記録部7に記録させる(ステップS12)。
【0037】
画像記録部7に圧縮画像を記録した後、制御マイクロコンピュータ2は、緊急撮影動作の終了判定を行う(ステップS13)。この判定を行うための条件として、例えば、カメラ1の電源スイッチがオフされた場合、姿勢検出部13の出力から図8に示すようにして撮影レンズ31が地表に向いている状態が検出された場合、或いは撮影者状態監視部15によって撮影者がカメラ1を構えている状態が検出されなくなった場合に緊急撮影動作を終了するものとする。
【0038】
ステップS13の判定において、上述した条件の何れも満足していない場合には緊急撮影動作が継続される。この場合に、制御マイクロコンピュータ2は、ステップS10のレリーズボタンのオン操作の判定を行う。一方、ステップS13の判定において、上述した条件の何れかを満足した場合には、処理がステップS1に戻る。この場合にはカメラ1の電源がオフされてカメラ1は再び省電力待機状態となる。
【0039】
図9は、図4の動作を示すタイミングチャートである。図9に示すように、カメラ1が省電力待機状態において撮影者の手がカメラ1の本体に接触しているか否かが判定されている。非接触の場合には省電力待機状態が継続される。省電力待機状態において手の接触があると加速度が第1の所定値以上であるか否かが判定される。そして、加速度が第1の所定値となったときに緊急モードでカメラが記録される。その後、加速度が第2の所定値以下となったときに1回の緊急撮影動作が行われ、その後はレリーズボタンの操作毎に緊急撮影動作が行われる。緊急撮影動作の終了後は省電力待機状態に戻る。また、省電力待機モード中に電源スイッチがオンされた場合にはカメラ1が通常モードで起動される。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、鞄20等に収納されているカメラ1を撮影者が取り出すという動作を検出した場合に、直ちに撮影可能な緊急モードでカメラ1を起動するようにしている。これにより、急に撮影の必要が生じた場合であってもシャッタチャンスを逃すことがない。
【0041】
また、緊急撮影動作の後には、撮影者に対して撮影終了表示を行うようにしている。このため、撮影者は緊急撮影動作が正しく終了したことを認識することが可能である。
ここで、上述の例では、緊急撮影動作の際には主に撮像部4と内蔵メモリ部8(又はメモリ部5)を動作させるようにしている。これに対し、緊急モードでは撮影者は構図の確認等をする必要がないと考えられるので、起動に時間のかかる表示部6は起動しないようにしている。また、撮影レンズ31の焦点調整も比較的時間がかかるために行っていない。このため、緊急撮影動作で得られる画像はピンボケしている可能性がある。この可能性を低減するため、緊急モードでは撮影レンズ31を広角端に駆動させるようにしても良い。広角端であれば、画像がピンボケする可能性を低減できる。また、広い画角で撮影可能であるため、移動する被写体をカメラ1の撮影範囲内に捉えやすい。
【0042】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
さらに、上記した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、上述したような課題を解決でき、上述したような効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0043】
1…カメラ、2…制御マイクロコンピュータ、3…レンズ部、4…撮像部、5…メモリ部、6…表示部、7…画像記録部、8…内蔵メモリ部、9…音声処理部、10…操作部、11…フラッシュ発光部、12…加速度検出部、13…姿勢検出部、14…接触検出部、15…撮影者状態監視部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して該被写体の画像を得る撮像部と、
上記被写体の画像を記録する第1の記録部と、
当該カメラの電源がオフされている省電力待機状態において、当該カメラへの操作者の手の接触を検出する接触検出部と、
上記省電力待機状態において、当該カメラの移動に伴う加速度を検出する加速度検出部と、
上記省電力待機状態において、当該カメラへの操作者の手の接触があり、かつ上記加速度が第1の所定値以上となった場合に、上記撮像部と上記第1の記録部とを少なくとも起動させて即座に上記被写体の画像を上記第1の記録部に記録可能とする緊急モードで当該カメラを起動する制御部と、
を具備することを特徴とするカメラ。
【請求項2】
上記制御部は、当該カメラの起動の直後に上記加速度が上記第1の所定値よりも小さい第2の所定値以下となったときに上記撮像部による撮像を実行させて上記被写体の画像を上記第1の記録部に記録させることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
上記被写体の画像が上記第1の記録部に記録された後に、該第1の記録部に上記被写体の画像が記録された旨を告知する告知部をさらに具備することを特徴とする請求項2に記載のカメラ。
【請求項4】
上記告知部による告知の後、上記第1の記録部に記録された上記被写体の画像に対して画像処理を施す画像処理部と、
上記画像処理部によって画像処理された上記被写体の画像を表示する表示部と、
をさらに具備することを特徴とする請求項3に記載のカメラ。
【請求項5】
上記画像処理部によって画像処理された上記被写体の画像を記録する第2の記録部をさらに具備することを特徴とする請求項4に記載のカメラ。
【請求項6】
上記第1の記録部は、当該カメラに内蔵されており、上記第2の記録部は、当該カメラに対して着脱自在であることを特徴とする請求項5に記載のカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−204875(P2012−204875A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64880(P2011−64880)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】