説明

カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物

【課題】 現像時のマージンが長く、さらに残渣の発生が少ないといった現像性に優れたカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を提供する。
【解決手段】 顔料、顔料分散剤、有機溶剤、皮膜形成樹脂、光重合性化合物および光重合開始剤を主成分とするカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物において、さらに上記有機溶剤に溶解可能なケトン樹脂を含有することを特徴とするカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散安定性及び現像特性に優れたカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポストCRTとして期待されているフラットパネルディスプレイの中にあって、現在、最も重要な位置を占めているのがカラー液晶表示装置である。もともと、携帯電話やポータブルテレビ、あるいはパソコン用モニター等の小画面から中画面のサイズでは、カラー液晶表示装置の独壇場といった状況であったが、最近では、不向きと考えられていた大画面テレビにも採用され、サイズ的にプラズマディスプレイと肩を並べるようになっている。
カラー液晶表示装置は、構造上、軽量で消費電力を抑えることができる等の優れた特徴を有しており、それに高い技術開発力が加わって、高輝度で高精細、高コントラストといった画質面での向上も継続して図られてきた。その結果、小画面から大画面までのいろいろな分野で常に安定した性能を発揮できるという、性能のトータルバランスの高さが用途拡大につながっている。
【0003】
しかし、今後、プラズマディスプレイパネル(PDP)や有機EL等を用いた新規の画像表示装置の開発も進む中、カラー液晶表示装置がそれらの技術と競合して現在の位置を維持し、また、発展させていくためには、克服しなければならない技術的課題も数多く存在する。とりわけ、鮮明性のより一層の向上は最も重要な課題の一つである。
【0004】
カラー液晶表示装置は、PDPや有機ELのような画素自体が発光・発色する方式ではなく、ガラス等の透明基板に、赤、緑、青の三原色画素と、これらの画素間に設けられた遮光層であるブラックマトリックスにて形成したカラーフィルターを用いて、光を透過または反射させた時に、それぞれの色の光が得られる仕組みである。従って、画像の鮮明性を損なう色のにじみやくすみを極力少なくするためには、これらの画素やブラックマトリックスのパターンの形成不良をなくす技術が非常に重要である。
【0005】
これらの画素及びブラックマトリックスは、まず、感光性のレジスト組成物を基板上に塗布し、プレベークと呼ばれる加熱乾燥により溶剤などを蒸発させて塗膜を形成した後、現像工程では所望のパターンを有するマスクを通して紫外線で塗膜を露光し、未露光部分をアルカリ現像液で洗浄・除去して現像し、さらにポストベークと呼ばれる加熱により、残った露光部の塗膜を完全に硬化する方法により主として形成される。ここで、着色剤として染料を用いた方法は、色彩が鮮明で均一な濃度の塗膜が得られること、またその色濃度が高いことといった利点を有し、色の再現性や鮮明性の面では非常に有利である。しかし、その反面、耐光性、耐熱性が低いといった欠点を有し、今日、要求される性能を満足することは困難となっている。
【0006】
それに対して、顔料を用いる顔料分散法は、耐光性及び耐熱性が優れるという利点を有し、ほとんどがこのタイプに移行しているが、より鮮明になるまで顔料を均一に分散することは一般には困難であり、顔料分散組成物ならびにレジスト組成物とした段階で保存安定性や流動性の低下が起こりやすく、塗工適性が低いなどの問題があった。そこで、顔料の分散安定性を向上させるために、種々の界面活性剤や高分子系分散剤の利用が試みられているが、それらの多くは現像工程で要求される現像特性を低下させる結果となる。
【0007】
カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物において要求される現像特性とは、例えば、露光・現像により、十分な細線再現性を有すること、シャープなエッジのパターンが形成できること、現像液で未露光部分が除去されてから、露光部分が除去されるまでの時間(現像マージン)が長いこと、さらに、未露光部分については現像残渣がない事などがある。しかし、界面活性剤を利用した系では現像マージンが短く、短時間のうちに露光部まで現像液に溶解して消失する傾向が高くなる。また、高分子系分散剤では、現像液に容易に溶解するタイプのものを利用すると、やはり現像マージンが短くなり、一方、溶解性の低いものを利用すると現像残渣が多く発生するなどの問題がある。
【0008】
この様な問題を解決するために、さらに現像性を向上させる手法として、例えば、有機カルボン酸をレジスト組成物に添加する方法(特許文献1参照)、バインダー樹脂の合成材料に特定のモノマーを使用する方法(特許文献2参照)、または特定の有機化合物を添加する方法(特許文献3参照)も提案されている。しかしながら、いずれの方法においても、現像時間のマージンを長く維持できて、残渣の発生を減少させることができないというのが現状である。
【特許文献1】特開平5−343631号公報
【特許文献2】特開2000−227655号公報
【特許文献3】特開2004−46047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、このような従来の問題点を解決して、現像時のマージンが長く、さらに残渣の発生が少ないといった現像性に優れたカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記の課題に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物中にケトン樹脂を含有させることにより、特に現像時のマージンを長くできることを見出して本発明に到達したものである。
【0011】
これまでにも、カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物の現像性を向上させるために、数多くの検討が行われている。しかしながら、従来の技術においては、例えば高酸価の樹脂を利用する等、アルカリ性の現像液に容易に溶解するレジスト組成物の塗膜にすると、残渣の発生は抑えられるが、現像マージンが非常に短くなり、その逆に、溶解性の低い塗膜にすると、現像マージンは長くなるが、残渣の発生量が多くなるといった傾向がある。そこで、両方の材料を併用して、それぞれの長所を合わせる方法も試みられているが、結局、中間的な性能になり、現像マージンが長くて残渣の発生が少ない塗膜を得るに至っていないというのが現状である。
【0012】
今回、本発明者らは、得られる塗膜が現像液に良好な溶解性を有するものであって、塗膜の溶解速度をコントロールするという観点から、上記の問題の解決に取り組んだ結果、系中に添加されたケトン樹脂がその機能を果たすことを見出し、本発明を完成させたものである。
【0013】
すなわち、本発明は、(1)顔料、顔料分散剤、有機溶剤、皮膜形成樹脂、光重合性化合物および光重合開始剤を主成分とするカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物において、さらに上記有機溶剤に溶解可能なケトン樹脂を含有することを特徴とするカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物に関する。
また、本発明は、(2)上記ケトン樹脂が、芳香族系ケトン化合物および脂環族系ケトン化合物の群から選択される少なくとも1種のケト基含有化合物と、アルデヒド化合物とを反応させて得られるケトン樹脂である(1)項に記載のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物に関する。
また、本発明は、(3)上記ケトン樹脂が、ウレタン変性されたケトン樹脂であることを特徴とする(1)または(2)項に記載のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物に関する。
また、本発明は、(4)上記ケトン樹脂を、上記顔料に対して1〜30質量%となる量で含有させてなる(1)〜(3)いずれか1項に記載のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物に関する。
【0014】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を構成する顔料(赤色、緑色、青色、黒色等の着色画像に適した顔料)としては、鮮明な色相と高い堅牢度を有する、C.I.Pigment Red 19、38、43、88、122、123、144、149、166、168、177、178、179、188、190、207、208、209、216、224、226、242、254、264等の赤色系顔料;C.I. Pigment Blue 15:1、15:3、15:4、15:6、16、22、29、60、64等の青色系顔料;C.I.Pigment Green 7、10、36等の緑色系顔料;C.I.Pigment Yellow 24、81、83、93、95、97、108、109、110、117、123、128、137、138、139、150、153、154、166、168、180、185等の黄色系顔料;C.I.Pigment Violet 19、23、29、30、31、37、88等の紫色系顔料;C.I.Pigment Orange31、38、40、43、61、71等の橙色系顔料;カーボンブラック等の黒色系顔料等が使用できる。
【0015】
本発明において、赤色系着色画像、緑色系着色顔料、青色系着色顔料を得るには、単一の顔料を用いてもよいし、他の顔料を混合して用いてもよい。例えば、赤色系着色画像を得るには、単一の赤色顔料を用いてもよいし、赤色顔料に黄色顔料、橙色顔料等を混合して調色したものを用いてもよく、緑色系着色画像を得るには、単一の緑色顔料を用いてもよいし、緑色顔料に黄色顔料等を混合して調色したものを用いてもよく、青色系着色画像を得るには、単一の青色顔料を用いてもよいし、青色顔料に紫色顔料等を混合して調色したものを用いてもよい。
尚、より鮮明な色相を得るには、従来公知の方法で、前記顔料をプレミックス処理、ソルトミリング処理することが好ましく、本発明において、前記顔料の使用量は、本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物中に好ましくは1〜40質量%である。
【0016】
本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物で使用するケトン樹脂としては、後述する有機溶剤に溶解するものであれば特に限定はない。例えば、(1)アセトフェノン等の芳香族系ケトン化合物、(2)シクロヘキサノンやトリメチルシクロヘキサノン等の脂環族系ケトン化合物、(3)メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の脂肪族系ケトン化合物といったケト基含有化合物と、ホルムアルデヒド等のアルデヒド化合物とを反応させて得られたケトン樹脂、またはその派生物が挙げられ、ケト基含有化合物として(1)の芳香族系ケトン化合物や(2)の脂環族系ケトン化合物を利用したものがより効果的である。そして、イソシアネート化合物と反応可能な置換基を有するケトン樹脂にイソホロンジイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタン変性ケトン樹脂がさらに好ましい。具体的に本発明で使用できるケトン樹脂としては、例えばデグザ社製のAP、SK、1201、CA、TC、EP−DS50などが挙げられる。これらのケトン樹脂は、単独で用いてもよく、また、2種類以上組み合わせて用いても良い。
【0017】
本発明において、ケトン樹脂を使用すると、その使用量に応じて現像マージンが長くなるといった性能が得られるが、後記する皮膜形成樹脂の現像液に対する溶解性が異なれば、良好な効果が得られる使用量も異なる可能性がある。そこで、本発明において、より良好な効果が得られるように、他の使用材料とのバランスに応じて、ケトン樹脂の使用量を適宜決定することが望ましいが、一般的な組成において、概ね、良好な効果の得られるケトン樹脂の使用量は、前記顔料に対して好ましくは1〜30質量%、さらに好ましい範囲は2〜20質量%である。
【0018】
本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物で使用する顔料分散剤は、有機溶剤中で上記顔料を分散させるために利用するもので、顔料を分散させるために使用することができる顔料分散剤のうち、感光性を妨げないものが使用できる。
【0019】
具体的には、ポリエステル系高分子顔料分散剤、アクリル系高分子顔料分散剤、ポリウレタン系高分子顔料分散剤、カルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物(分子内にポリエステル側鎖を有するカルボジイミド化合物、分子内にポリエーテル側鎖を有するカルボジイミド化合物、分子内にアクリル側鎖を有するカルボジイミド化合物等)、顔料誘導体、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等が挙げられる。中でも、良好な顔料分散性、高い絶縁性が得られる点から、顔料分散剤としては、カルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物が好適である。これらの顔料分散剤は、単独で用いてもよく、また、2種類以上組み合わせて用いてもよい。本発明において、顔料分散剤を使用する場合、その使用量は、前記顔料に対して、好ましくは1〜200質量%、より好ましくは1〜60質量%である。
【0020】
本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物で使用する有機溶剤としては、好ましくは、常圧(1.013×10kPa)における沸点が100〜220℃のエステル系有機溶剤、エーテル系有機溶剤、エーテルエステル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、芳香族炭化水素系有機溶剤、含窒素系有機溶剤等である。沸点が220℃を超える有機溶剤を多量に含有していると、塗布形成された塗膜をプレベークする際に有機溶剤が充分に蒸発せずに乾燥塗膜内に残存し、乾燥塗膜の耐熱性が低下するおそれがある。また、沸点100℃未満の有機溶剤を多量に含有していると、ムラなく均一に塗布することが困難になり、表面平滑性に優れた塗膜が得られなくなるおそれがある。
好ましい溶剤としては、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系有機溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル系有機溶剤;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、δ−ブチロラクトン等のケトン系有機溶剤;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、蟻酸n−アミル等のエステル系有機溶剤;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の含窒素系有機溶剤等を例示でき、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0021】
これらの有機溶剤の中でも、溶解性、分散性、塗布性等の点で、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、蟻酸n−アミル等が好ましく、より好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。
更に、これらの有機溶剤は、上記アルカリ可溶性樹脂の溶解性、顔料分散性、塗布性等の点から、本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物中、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上含有させることがより好ましい。
【0022】
本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を構成する皮膜形成樹脂としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸、無水シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル等のカルボキシル基含有不飽和単量体と、スチレン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールメタクリレート、N−フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマー及びポリメチルメタクリレートマクロモノマーからなる群より選択される少なくとも1種とを反応させて得られる共重合体であるカルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂が例示でき、これらは単独又は2種以上を併用して用いることができ、本発明において、上記皮膜形成樹脂の使用量は、前記顔料に対して好ましくは25質量%以上である。
【0023】
本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を構成する光重合性化合物としては、光重合性不飽和結合を有するモノマー、オリゴマー等が挙げられる。
光重合性不飽和結合を分子内に1個有するモノマーとしては、例えば、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルメタクリレート又はアクリレート;ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート等のアラルキルメタクリレート又はアクリレート;ブトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート等のアルコキシアルキルメタクリレート又はアクリレート;N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート等のアミノアルキルメタクリレート又はアクリレート;ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルのメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル;ヘキサエチレングリコールモノフェニルエーテル等のポリアルキレングリコールモノアリールエーテルのメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル;イソボニルメタクリレート又はアクリレート;グリセロールメタクリレート又はアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート又はアクリレート等が例示できる。
【0024】
光重合性不飽和結合を分子内に2個以上有するモノマーとしては、例えば、ビスフェノールAジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が例示でき、上記光重合性不飽和結合を有するオリゴマーとしては、上記モノマーの1種又は2種以上を適宜重合させて得られたものを用いることができる。
また、これらの光重合性化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、本発明において、前記光重合性化合物の使用量は、前記顔料に対して好ましくは20質量%以上である。
【0025】
本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を構成する光重合開始剤としては特に限定されないが、例えば、ベンゾフェノン、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、ベンジル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、トリアジン系光重合開始剤等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を併用して用いることができ、本発明において、上記光重合開始剤の使用量は、前記顔料に対して好ましくは0.5質量%以上である。
【0026】
上記顔料分散レジスト組成物としてはまた、必要に応じて、上述したもの以外のその他の光重合性化合物、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜使用することができる。
【0027】
次に、以上の材料を用いてカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を製造する方法を説明する。
本発明のカラーフィルター用顔料分散レジストの製造には、まず、超音波分散機、高圧乳化機、ビーズミル、3本ロール、サンドミル、ニーダーなどの各種分散機を用いて、顔料を分散させカラーフィルター用顔料分散組成物を得た後、残余の材料を添加混合する方法が利用できる。
ここで、ケトン樹脂は顔料分散組成物を得る工程と残余の材料を添加混合する工程のどちらの時点で加えても良い。その他の材料のうち、顔料、顔料分散剤及び有機溶剤は顔料分散組成物を得る工程で用いられ、皮膜形成樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、有機溶剤、および必要に応じてその他添加剤等が残余の材料として添加混合される。なお、上記の製造方法は、本発明の好ましい製造の実施形態の一例であり、その他の顔料の分散機や材料の添加順序などによる製造方法ももちろん本発明に含まれるものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物は、十分な顔料分散安定性を有し、短時間のうちに未露光部分が除去されて残渣が発生せず、さらに現像マージンも長いものとなっている。
すなわち、本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物は、良好な流動性と分散安定性を有し、従来の技術では得られない、優れた現像特性を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1〜10、比較例1〜2
[顔料分散組成物]
表1の組成の材料を、ビーズミルで1昼夜、温度60度で混練して、顔料分散組成物を得た。但し、表1のケトン樹脂、顔料分散剤の配合量は、固形分のみを示す。
[カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物]
高速攪拌機を用いて、実施例1〜10、比較例1〜2の顔料分散組成物と他の材料とを表1の組成となるように均一混合した後、孔径3μmのフィルターで濾過し、カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を得た。
【0030】
なお、表1に記載の商品名及び略記は、以下の通りである。
PB−821(商品名、味の素社製顔料分散剤)
SK、1201(いずれも商品名、デグザ社製ケトン樹脂)
PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMAC))
BzMA/MAA共重合体(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体)
DPEHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
イルガキュア907(商品名、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン)
【0031】
[評価試験]
(分散安定性)
実施例1〜10、比較例1〜2の顔料分散組成物及び実施例1〜10、比較例1〜2のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物をそれぞれガラス瓶に採り、密栓して室温で7日保存した後の状態を下記評価基準に従って評価した。結果を表1に示す。
評価基準
A:増粘、沈降物が共に認められない
B:軽く振ると元に戻る程度の増粘や沈降物が認められる。
C:強く振っても元に戻らない程度の増粘や沈降物が認められる。
(レジストパターンの現像性)
実施例1〜10、比較例1〜2のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物をスピンコーターにて膜厚1μmになるようにガラス基板上に塗布し、100℃で3分間プレベークした。得られた塗膜を、pH12のKOH水溶液を使用して現像し、未硬化部分のレジスト組成物が完全に除去できる時間から下記評価時間に従って現像性を評価した。結果を表1に示す。
評価基準
A:30秒以内に完全に除去できるもの
B:30秒を越えて60秒以内に完全に除去できるもの
C:60秒を越えても完全に除去できないもの
【0032】
(レジストパターンの現像挙動)
実施例1〜10、比較例1〜2のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物をスピンコーターにて膜厚1μmになるようにガラス基板上に塗布し、100℃で3分間プレベークした。得られた塗膜を、pH12のKOH水溶液を使用して現像し、未硬化部分のレジスト組成物が完全に除去した際の現像挙動を目視にて評価した。結果を表1に示す。
(レジストパターンの現像マージン)
実施例1〜10、比較例1〜2のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物をスピンコーターにて膜厚1μmになるようにガラス基板上に塗布し、100℃で3分間プレベークした。得られた塗膜を、pH12のKOH水溶液を使用して現像し、未硬化部分のレジスト組成物を完全に除去できる時間から、硬化部分のレジスト組成物も除去されるまでの時間を測定し、下記評価基準に従って現像マージンを評価した。
評価基準
A:未硬化部分のレジスト組成物が完全に除去されてから、硬化部分のレジスト組成物の除去されるまでの時間が60秒以上
B:未硬化部分のレジスト組成物が完全に除去されてから、硬化部分のレジスト組成物の除去されるまでの時間が30秒以上、60秒以内
C:未硬化部分のレジスト組成物が完全に除去されてから、硬化部分のレジスト組成物の除去されるまでの時間が30秒以内
【0033】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0034】
以上の各試験評価の結果から、本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物は、十分な顔料分散安定性を有し、短時間のうちに未露光部分が除去されて残渣が発生せず、さらに現像マージンも長いものとなっている。
すなわち、本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物は、良好な流動性と分散安定性を有し、従来の技術では得られない、優れた現像特性を有するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料、顔料分散剤、有機溶剤、皮膜形成樹脂、光重合性化合物および光重合開始剤を主成分とするカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物において、さらに前記有機溶剤に溶解可能なケトン樹脂を含有することを特徴とするカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物。
【請求項2】
前記ケトン樹脂が、芳香族系ケトン化合物および脂環族系ケトン化合物の群から選択される少なくとも1種のケト基含有化合物と、アルデヒド化合物とを反応させて得られるケトン樹脂である請求項1記載のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物。
【請求項3】
前記ケトン樹脂が、ウレタン変性されたケトン樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物。
【請求項4】
前記ケトン樹脂を、前記顔料に対して1〜30質量%となる量で含有させてなる請求項1〜3いずれか1項に記載のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物。

【公開番号】特開2006−106278(P2006−106278A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−291706(P2004−291706)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(000105947)サカタインクス株式会社 (123)
【Fターム(参考)】