説明

カラーフィルタ用着色組成物及びカラーフィルタ

【課題】
流動性に優れる安定なカラーフィルタ用着色組成物、並びに、明度、及びコントラスト比が高い赤色組成物を用いて形成された、色特性が良く、耐熱性に優れたカラーフィルタを提供することである。
【解決手段】
前記課題は、 着色剤(a)と、樹脂(b)と、樹脂型分散剤(c)と、有機顔料の酸性誘導体またはその金属塩(d)と、溶剤(e)とを含有する着色組成物において、該着色剤(a)がナフトールAS顔料を含み、該樹脂型分散剤(c)が側鎖に4級アンモニウム塩基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基を有さないBブロックとからなる、A−Bブロック共重合体またはB−A−Bブロック共重合体であることを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物によって解決することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示装置、及びカラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタの製造に使用されるカラーフィルタ用着色組成物、並びにこれを用いて形成されるカラーフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、2枚の偏光板に挟まれた液晶層が、1枚目の偏光板を通過した光の偏光度合いを制御して、2枚目の偏光板を通過する光量をコントロールすることにより表示を行う表示装置であり、ツイストネマチック(TN)型液晶を用いるタイプが主流となっている。その他の代表的な液晶表示装置の方式としては、一対の電極を片側の基板上に設けて基板に平行な方向に電解を印加するイン・プレーン・スイッチング(IPS)方式、負の誘電異方性をもつネマチック液晶を垂直配向させるヴァーティカリー・アライメント(VA)方式、また一軸性の位相差フィルムの光軸を互いに直交させ、光学補償を行なっているオプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)方式等があり、それぞれが実用化されている。
【0003】
液晶表示装置は、2枚の偏光板の間にカラーフィルタを設けることによりカラー表示が可能となり、近年、テレビやパソコンモニタ等に用いられるようになったことから、カラーフィルタに対して高コントラスト化、高明度化の要求が高まっている。
【0004】
カラーフィルタは、ガラス等の透明な基板の表面に2種以上の異なる色相の微細な帯(ストライプ)状のフィルタセグメントを平行又は交差して配置したもの、あるいは微細なフィルタセグメントを縦横一定の配列で配置したものからなっている。フィルタセグメントは、数ミクロン〜数100ミクロンと微細であり、しかも色相毎に所定の配列で整然と配置されている。
【0005】
一般的に、カラー液晶表示装置では、カラーフィルタの上に液晶を駆動させるための透明電極が蒸着あるいはスパッタリングにより形成され、さらにその上に液晶を一定方向に配向させるための配向膜が形成されている。これらの透明電極及び配向膜の性能を充分に得るには、その形成を一般に200℃以上、好ましくは230℃以上の高温で行う必要がある。このため、現在、カラーフィルタの製造方法としては、耐光性、耐熱性に優れる顔料を着色剤とする顔料分散法と呼ばれる方法が主流となっている。
【0006】
しかし、一般に顔料を分散したカラーフィルタは、顔料による光の散乱等により、液晶が制御した偏光度合いを乱してしまうという問題がある。すなわち、光を遮断しなければならないとき(OFF状態)に光が漏れたり、光を透過しなければならないとき(ON状態)に透過光が減衰したりするため、ON状態とOFF状態における表示装置上の輝度の比(コントラスト比)が低いという問題がある。
【0007】
カラーフィルタの高輝度化、高コントラスト化を実現させるため、フィルタセグメント中に含まれる顔料を微細化処理して用いられることが多い。しかし、単純に顔料(化学反応により製造された粒子径が10〜100μmのクルードと呼ばれるものを、顔料化処理により一次粒子とこれが凝集した二次粒子の混合物にまでしたものである)を様々な微細化処理方法により微細化しても、一次粒子あるいは二次粒子の微細化が進行した顔料は一般に凝集し易く、微細化が進行し過ぎた場合には巨大な塊状の顔料固形物を形成してしまう。さらに、微細化の進行した顔料は、樹脂等を含有する顔料担体中へ分散させ、再び顔料の二次粒子をなるべく一次粒子にまで近づけて安定化させようとしても、安定な着色組成物を得ることは非常に困難である。
【0008】
また微細化処理を施した顔料を、樹脂等を含有する顔料担体中へ分散させ形成されるカラーフィルタ用着色組成物は、顔料を安定に高濃度で分散することが難しく、製造工程や製品そのものに対して種々の問題を引き起こすことが知られている。
【0009】
例えば、微細な粒子からなる顔料を含む顔料組成物は往々にして高粘度を示し、製品の分散機からの取り出しや輸送が困難となるばかりではなく、悪い場合は保存中にゲル化を起こし、使用困難となることさえある。さらに、顔料組成物の展色物の表面に関しては光沢の低下、レベリング不良等の状態不良を生じる。また、異種の顔料を混合して使用する場合、凝集による色別れや、沈降等の現象により展色物に色むらや著しい着色力の低下が現れることがある。
【0010】
そこで、一般的には分散状態を良好に保つために樹脂型分散剤が利用されている。樹脂型分散剤は、顔料に吸着する部位と、分散媒である溶剤と親和性の高い部位との構造を併せ持ち、この2つの機能の部位のバランスで性能が決まる。樹脂型分散剤は、被分散物である顔料の表面状態に合わせて種々のものが使用されている。
【0011】
樹脂型分散剤は、ブロック型構造(特許文献1)や櫛形構造(特許文献2)を有する構造制御されたものが顔料分散性に優れたものとして知られている。ブロック型構造の場合は、近年顔料の微細化が進み、表面積の増加しているため、分散安定性を確保するため多量に添加する必要があり、このため、現像性や耐熱性の劣化を招いている。また、櫛形構造の場合は、1級または2級アミノ基を持つポリアミン化合物へカルボキシル基やアクリロイル基等の官能基を有する櫛の歯となる部分をグラフト化させ、残った1級または2級アミンが顔料表面に吸着する官能基とさせる方法があるが、1級または2級アミンは反応性の高い活性水素を有し好ましくない。
【0012】
カラーフィルタに関しては、前述のように高コントラスト化のみならず、高明度化も要求されている。一般に高い明度を得るためには、顔料を顔料担体中に分散する際に一次粒子にまで近づけ分散体の透明度を上げて、分散体の分光スペクトルに高透過率を持たせることにより、高い明度を得ている。
【0013】
カラーフィルタ基板の3原色(赤・緑・青;RGB)の一つであるレッドは、2種類以上の顔料を用いて調色するのが普通であり、赤色顔料についてはC.I.ピグメントレッド 254やC.I.ピグメントレッド 177が、また調色用として黄色顔料であるC.I.ピグメントイエロー 150、C.I.ピグメントイエロー 138、C.I.ピグメントイエロー 139を用いることが一般的である。しかし、これら赤色顔料と黄色顔料との組み合わせを用いうる限り、これ以上の高コントラスト比と高明度を両立して得ることは困難な状況となっている。そこで、鮮明な色調と広い色表示領域を発揮し高い着色力を持つ色材として、橙色顔料の使用が提案されている。(特許文献3)
【0014】
しかしながら、橙色顔料は顔料自体の溶剤への溶解性や、顔料表面の酸性度等がC.I.ピグメントレッド 254やC.I.ピグメントレッド 177などとは異なるため、従来一般的に用いられてきた樹脂型分散剤を用いて分散をおこなっても分散性、流動性、保存安定性に優れた着色組成物を得ることはできないという問題があった。
【0015】
また、カラーフィルタの製造工程では、カラーフィルタ上に液晶を駆動させるための透明電極が蒸着あるいはスパッタリングにより形成され、さらにその上に液晶を一定方向に配向させるための配向膜が形成されている。これらの透明電極および配向膜の性能を充分に得るには、その形成を一般に200℃以上、好ましくは230℃以上の高温で行う必要がある。しかし橙色顔料は、それ自身の耐熱性が悪いものが多いのに加えて、樹脂型分散剤を多く用いることで、高熱を伴う工程の前後でコントラスト比の低下や色相の変化といった耐熱性が問題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2002−31713号公報
【特許文献2】特開平11−1515号公報
【特許文献3】特開平9−308794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、明度、及びコントラスト比が高く、流動性に優れた安定なカラーフィルタ用着色組成物、並びに、該カラーフィルタ用着色組成物を用いて形成された、色特性が良く、耐熱性に優れたカラーフィルタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは前記諸問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、着色剤(a)と、樹脂(b)と、樹脂型分散剤(c)と、有機顔料の酸性誘導体またはその金属塩(d)と、溶剤(e)とを含有する着色組成物において、該着色剤(a)がナフトールAS顔料を含み、該樹脂型分散剤(c)が側鎖に4級アンモニウム塩基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基を有さないBブロックとからなる、A−Bブロック共重合体またはB−A−Bブロック共重合体であることを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物を使用することにより、上記課題が解決することを見出したものである。
【0019】
また本発明は、ナフトールAS顔料がC.I.ピグメントオレンジ 38を含む前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
また本発明は、有機顔料の酸性誘導体またはその金属塩(d)が、キノフタロンのスルホン酸誘導体またはそのアルミニウム塩を含むことを特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
また本発明は、着色剤(a)が、さらにC.I.ピグメントレッド 254またはC.I.ピグメントレッド 177を含むことを特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
また本発明は、光重合性単量体及び/または光重合開始剤を含有することを特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
また本発明は、基板上に、前記カラーフィルタ用着色組成物により形成されてなるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタに関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、明度、及びコントラスト比が高く、分散性、流動性、及び保存安定性に優れた安定なカラーフィルタ用着色組成物、並びにそれを用いた、コントラスト比及び明度が高く、耐熱性も優れたカラーフィルタを提供できる。
【0021】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、着色剤(a)としてナフトールAS顔料を含有し、樹脂型分散剤(c)として側鎖に4級アンモニウム塩基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基を有さないBブロックとからなる、A−Bブロック共重合体またはB−A−Bブロック共重合体と、酸性顔料誘導体またはその金属塩(d)とを含有していることで、高流動性かつ安定な着色組成物となり、これを使用することにより、高明度かつ高コントラスト比であるだけでなく、さらに耐熱性も向上するため、カラーフィルタの高熱がかかる製造工程を経ても、工程の前後でコントラスト比の低下や色相変化のおきないカラーフィルタを形成することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
まず、本発明のカラーフィルタ用着色組成物の各種構成成分について説明する。
<着色剤(a)>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物における着色剤(a)は、カラーインデックス(C.I.)ナンバーで示すと、C.I.ピグメントオレンジ 4、24、38や、C.I.ピグメントレッド 170、188等のナフトールAS顔料を含むことを特徴とする。これらの中でも、C.I.ピグメントオレンジ 38は、高コントラスト比であり、さらに高明度であることから好ましい。
【0023】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物における着色剤(a)は、ナフトールAS顔料単独または2種以上を混合して使用することができる。
また、赤色フィルタセグメント形成用の赤色着色組成物として用いる場合には、色調整が容易になるため、他の赤色顔料や黄色顔料などを併用して用いても良い。
【0024】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物を赤色フィルタセグメント用に用いる場合に併用することができる赤色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド 7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、122、146、168、176、177、178、184、185、187、200、202、208、210、242、246、254、255、264、270、272、及び279等の赤色顔料を併用することができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、C.I.ピグメントレッド 254またはC.I.ピグメントレッド 177を用いることが好ましく、これらを共に用いても良い。
【0025】
併用することができる黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、及び214等を挙げることができる。
これらの中でもC.I.ピグメントイエロー 138、139、150を併用することが、色度領域を広げることができる点で好ましい。
【0026】
上記赤色顔料や黄色顔料と併用する場合、ナフトールAS顔料の比率は、全着色剤(a)中10〜90重量%、好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは40〜60重量%である。このような顔料の構成比率により色度領域を広げることができる。
【0027】
本発明の着色組成物に用いているナフトールAS顔料は、C.I.ピグメントレッド 254、C.I.ピグメントレッド 177より黄味で、透過スペクトルの立ち上がり波長が530〜560nmの範囲にあるため、液晶表示装置に一般的に用いられているバックライトの輝線に効果的に作用し、高い明度が得られる。またナフトールAS顔料と側鎖に4級アンモニウム塩基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基を有さないBブロックとからなる、A−Bブロック共重合体またはB−A−Bブロック共重合体である樹脂型分散剤(c)と、酸性顔料誘導体またはその金属塩(d)とを併せて用いることで、顔料が一次粒子の状態で安定に存在することが可能となり、高いコントラスト比を同時に得ることが出来る。
【0028】
[顔料の微細化]
本発明に用いる顔料は、ソルトミリング処理を行い微細化することができる。顔料の一次粒子径は、着色剤担体中への分散が良好なことから、20nm以上であることが好ましい。また、コントラスト比が高いフィルタセグメントを形成できることから、100nm以下であることが好ましい。特に好ましい範囲は、25〜85nmの範囲である。
なお、顔料の一次粒子径は、顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)による電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で行った。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積を、求めた粒径の立方体と近似して平均体積を求め、この平均体積を有している立方体の一辺の長さを平均一次粒子径とする。
【0029】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0030】
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100重量部に対し、50〜2000重量部用いることが好ましく、300〜1000重量部用いることが最も好ましい。
【0031】
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料100重量部に対し、5〜1000重量部用いることが好ましく、50〜500重量部用いることが最も好ましい。
【0032】
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料100重量部に対し、5〜200重量部の範囲であることが好ましい。
【0033】
<樹脂(b)>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物に含まれる樹脂(b)は、着色剤(a)を分散するものであって、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。前述した樹脂(b)は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の透明樹脂であることが好ましい。また、アルカリ現像型感光性着色組成物の形態で用いる場合には、酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂を用いることが好ましい。また、さらに光感度を向上させるために、エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂を用いることもできる。
【0034】
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、およびポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0035】
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、およびフェノール樹脂等が挙げられる。
【0036】
酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したビニル系アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、およびスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
【0037】
エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂としては、たとえば以下に示す方法(i)や(ii)の方法によりエチレン性不飽和二重結合を導入した樹脂が挙げられる。
【0038】
[方法(i)]
方法(i)としては、例えば、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、エチレン性不飽和二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
【0039】
エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0040】
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
【0041】
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解したりすること等もできる。また、多塩基酸無水物として、エチレン性不飽和二重結合を有する、テトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更にエチレン性不飽和二重結合を増やすことができる。
【0042】
方法(i)の類似の方法として、例えば、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を付加反応させ、エチレン性不飽和二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
【0043】
[方法(ii)]
方法(ii)としては、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を使用し、他のカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
【0044】
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、2−若しくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−若しくは3
−若しくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキ
ル(メタ)アクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用し
て用いてもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ−バレロラクトン、(ポリ)ε−カプロラクトン、及び/又は(ポリ)12−ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又はグリセロール(メタ)アクリレートが好ましい。
【0045】
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2−(メタ)アクリロイ
ルオキシエチルイソシアネート、又は1,1−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチ
ルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用するこ
ともできる。
【0046】
着色剤(a)を好ましく分散させるためには、樹脂(b)の重量平均分子量(Mw)は10,000〜100,000の範囲が好ましく、より好ましくは10,000〜80,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は5,000〜50,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
【0047】
カラーフィルタ用着色組成物に使用する場合には、着色剤(a)の分散性、安定性、現像性、及び耐熱性の観点から、着色剤吸着基及び現像時のアルカリ可溶基として働くカルボキシル基、着色剤担体及び溶剤に対する親和性基として働く脂肪族基及び芳香族基のバランスが、顔料の分散性、浸透性、現像性、さらには耐久性にとって重要であり、酸価20〜300mgKOH/gの樹脂を用いることが好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が悪く、微細パターン形成するのが困難である。また300mgKOH/gを超えると、微細パターンが残らなくなる。
【0048】
樹脂(b)は、成膜性および諸耐性が良好なことから、着色剤(a)の全重量100重量部に対して、30重量部以上の量で用いることが好ましく、着色剤濃度が高く、良好な色特性を発現できることから、500重量部以下の量で用いることが好ましい。
【0049】
<樹脂型分散剤(c)>
本発明における樹脂型分散剤(c)は、側鎖に4級アンモニウム塩基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基を有さないBブロックとからなる、A−Bブロック共重合体またはB−A−Bブロック共重合体であることを特徴とする。A−Bブロック共重合体またはB−A−Bブロック共重合体の樹脂型分散剤を使用することにより、高い耐熱性と分散性を両立させ、かつ他成分との反応による着色を防ぐことができる。樹脂型分散剤は、着色剤に吸着する性質を有する着色剤親和性部位と、着色剤担体と相溶性のある部位とを有し、着色剤に吸着して着色剤の着色剤担体への分散を安定化する働きをするものであるが、ランダム型の分散剤は顔料吸着基がランダムに配置されているため、橋かけによって増粘しやすい。一方、ブロック共重合体は顔料吸着基が高密度に配列しているため、顔料への吸着が強く橋かけがない。このためブロック共重合体はより高い分散安定性を確保することができる。また、4級アンモニウム塩基を導入することで分散剤の極性が上がり、吸着能が増すためより一層分散安定性が向上する。
【0050】
本発明の樹脂型分散剤のブロック共重合体を構成するAブロックとしては、例えば、4級アンモニウム塩基、好ましくは−N+123・Y-(但し、R1、R2及びR3は、各々独立に、水素原子、又は置換されていてもよい環状若しくは鎖状の炭化水素基を表すか、R1、R2及びR3のうち2つ以上が互いに結合して環状構造を形成する。Y-は対アニオンを表す。)で表される4級アンモニウム塩基を有する。この4級アンモニウム塩基は、直接主鎖に結合していても良いが、2価の連結基を介して主鎖に結合していても良い。
【0051】
−N+123において、R1、R2及びR3のうち2つ以上が互いに結合して形成する環状構造としては、例えば5〜7員環の含窒素複素環単環又はこれらが2個縮合してなる縮合環が挙げられる。該含窒素複素環は芳香性を有さないものが好ましく、飽和環であればより好ましい。また、これらの環状構造は、さらに置換基を有していてもよい。
【0052】
−N+123におけるR1〜R3として、より好ましいのは、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基である。
【0053】
Aブロックは、特に下記一般式(1)で表される部分構造を含有するものが好ましい。
一般式(1)
【化1】

【0054】
(式中、R1、R2及びR3は、各々独立に、水素原子、又は置換されていてもよい環状若しくは鎖状の炭化水素基を表すか、R1、R2及びR3のうち2つ以上が互いに結合して環状構造を形成する。R4は水素原子又はメチル基を表す。Xは2価の連結基を表し、Y-は対アニオンを表す。)
【0055】
一般式(1)において、2価の連結基Xとしては、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R7−基、−COO−R8−基(但し、R7及びR8は直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数1〜10のエーテル基(−R’−O−R”−:R’及びR”は、各々独立にアルキレン基)である)等が挙げられ、好ましくは−COO−R8−基である。
【0056】
また、対アニオンのY-としては、Cl-、Br-、I-、ClO4-、BF4-、CH3COO-、PF6-等が挙げられる。
【0057】
上述の如き特定の4級アンモニウム塩基を含有する部分構造は、1つのAブロック中に2種以上含有されていてもよい。その場合、2種以上の4級アンモニウム塩基含有部分構造は、該Aブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合のいずれの態様で含有されていてもよい。また、該4級アンモニウム塩基を含有しない部分構造が、Aブロック中に含まれていてもよく、該部分構造の例としては、後述の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造等が挙げられる。かかる4級アンモニウム塩基を含まない部分構造の、Aブロック中の含有量は、樹脂型分散剤(c)中の全構成単位の重量を基準として、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜20重量%であるが、かかる4級アンモニウム塩基を含有しない部分構造はAブロック中に含まれないことが最も好ましい。
【0058】
本発明の樹脂型分散剤(c)のブロック共重合体を構成するBブロックとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチルアクリル酸グリシジル、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸クロライドなどの(メタ)アクリル酸塩系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド系モノマー;酢酸ビニル;アクリロニトリル;アリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル;N−メタクリロイルモルホリン、などのコモノマーを共重合させたポリマー構造が挙げられる。
また、例えば、特開2004−287298に開示されている構造のポリマーを挙げることができる。また、4級アンモニウム塩基を有するブロック型分散剤の市販品としては、BYK2001、2000、BYK-LPN-21324(ビックケミージャパン(株)社製)等を挙げることができる。本発明において、ブロック型分散剤は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0059】
顔料分散剤(c)の含有量は、ナフトールAS顔料100重量部に対し、10〜70重量部が好ましく、さらに好ましいのは20〜55重量部である。該樹脂型分散剤(c)の配合量が10重量部未満の場合は、顔料分散性の効果が得られ難い。また、70重量部を超えると、該顔料分散組成物を含有する顔料分散レジストを使用し、フォトリソグラフィー法によってカラーフィルタの画素パターンを作成する際に、アルカリ現像性が低下することがある。
【0060】
併用可能な樹脂型分散剤としては、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0061】
本発明に用いることのできる市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、167、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2025、2155、9076、9077、またはBYK−LPN6919、21324またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、13240、13650、13940、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32600、34750、36600、38500、41000、41090、53095、76500等、エフカケミカルズ社製のEFKA−46、47、48、452、LP4008、4009、LP4010、LP4050、LP4055、400、401、402、403、450、451、453、4540、4550、LP4560、120、150、1501、1502、1503、4300、4330等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
【0062】
<有機顔料の酸性誘導体またはその金属塩(d)>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、有機顔料の酸性誘導体またはその金属塩(d)を含むことを特徴とする。有機顔料の酸性誘導体またはその金属塩(d)は、顔料と樹脂型分散剤の顔料吸着をより促進し、顔料の分散性を向上させるため、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きい。そのため、有機顔料の酸性誘導体またはその金属塩(d)を用いて顔料を顔料担体中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、安定性に優れたカラーフィルタが得られる。さらに、側鎖に4級アンモニウム塩基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基を有さないBブロックとからなる、A−Bブロック共重合体またはB−A−Bブロック共重合体である樹脂型分散剤(c)と同時に使用することで高い耐熱性を有する。これは、酸性置換基と分散剤の塩基性置換基の酸塩基相互作用により、誘導体の酸性度が低下し、より密に互いの結晶構造を形成することができ、見かけ上の分子量が上がるためと考えられる。
【0063】
有機顔料の酸性誘導体またはその金属塩(d)の構造としては、下記一般式(2)で示される化合物である。
P−Lx 一般式(2)
(ただし、
P:有機顔料残基、アントラキノン残基、アクリドン残基またはトリアジン残基
L:酸性置換基、
x:水素または金属イオンである。)
【0064】
Pの有機顔料残基を構成する有機顔料としては、例えば、ジケトピロロピロール系顔料;アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料;銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系顔料;キナクリドン系顔料;ジオキサジン系顔料;ペリノン系顔料;ペリレン系顔料;チオインジゴ系顔料;イソインドリン系顔料;イソインドリノン系顔料;スレン系顔料;キノフタロン系顔料;ジオキサジン系顔料;金属錯体系顔料等が挙げられる。
なかでもキノフタロン系色素、特にキノフタロン系黄色顔料C.I.ピグメントイエロー 138が、着色組成物の生産性、分散安定性、耐熱性、耐光性、耐溶剤性等に優れているため好ましい。
【0065】
Lの酸性置換基を構成する置換基としては、たとえばスルホン酸、カルボン酸、リン酸等が挙げられる。
【0066】
xの金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属イオン、アルミニウム、亜鉛等の両性金属イオン、鉄、ニッケル等の遷移金属イオン等が挙げられる。
なかでもカルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属イオンやアルミニウム、亜鉛等の両性金属イオン、鉄、ニッケル等の遷移金属イオンが好ましい。中でもアルミニウムイオンが高い耐熱性と分散性を有し特に好ましい。
【0067】
[キノフタロンのスルホン酸誘導体またはそのアルミニウム塩]
有機顔料の酸性誘導体またはその金属塩(d)として特に好ましくは、キノフタロンのスルホン酸誘導体またはそのアルミニウム塩である。キノフタロンのスルホン酸誘導体またはそのアルミニウム塩は、着色剤(a)の分散に優れ、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果が大きい。そのため、キノフタロンのスルホン酸誘導体またはそのアルミニウム塩を用いて着色剤(a)を樹脂、有機溶剤などの着色剤担体中に分散してなる着色組成物は、安定性に優れる。
【0068】
キノフタロン系黄色顔料C.I.ピグメント イエロー 138から構成されるキノフタロンのスルホン酸誘導体は下記式(3)、そのアルミニウム塩は、下記式(4)で表される化合物である。
【0069】
式(3):
【化2】

【0070】
式(4):
【化3】

【0071】
キノフタロンのスルホン酸誘導体のアルミニウム塩は、常法により合成されるが、次の方法が工業的に有利である。すなわち、濃硫酸または発煙硫酸中に色素を添加し、加熱してスルホン化を行う。次いで、この反応溶液を大量の氷水中へ注入して析出するスルホン酸誘導体をフィルタープレス等で濾別、水洗する。得られたスルホン酸誘導体の水ペーストを多量の水へ再分散し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを弱アルカリに調整後、硫酸アルミニウム水溶液を徐々に添加してスルホン酸を造塩し、アルミニウム塩を形成させる方法である。この後、濾別、水洗、乾燥、粉砕の工程を経て、粉末状のキノフタロンのスルホン酸誘導体のアルミニウム塩を得ることができる。
【0072】
本発明において、酸性顔料誘導体またはその金属塩(d)の合計量は、ナフトールAS顔料の重量100重量部に対し、好ましくは0.5重量部以上、さらに好ましくは1重量部以上、最も好ましくは3重量部以上である。0.5重量部未満の場合、カラーフィルタ製造時の高熱を伴う工程により、コントラスト比の低下が起こる場合がある。また、好ましくは40重量部以下、最も好ましくは20重量部以下である。40重量部を超えると耐光性が悪化するため好ましくない。
【0073】
有機顔料の酸性誘導体またはその金属塩(d)は、単独でも、酸性誘導体および金属塩の両方含んでいてもよく、それぞれを2種類以上、もしくはその他の色素誘導体を混合して用いることもできる。
【0074】
混合して用いることができる色素誘導体は、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものが挙げられる。
【0075】
<溶剤(e)>
溶剤(e)は、着色剤を十分に樹脂中に分散させ、ガラス基板等の透明基板上に本発明の着色組成物を乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために用いられる。
溶剤(e)としては、1,2,3−トリクロロプロパン、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、N−メチルピロリドン、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、P−クロロトルエン、P−ジエチルベンゼン、seC−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、及び二塩基酸エステル等が挙げられ、これらを単独で若しくは混合して用いることができる。
【0076】
中でも、本発明の着色剤の分散性が良好なことから、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール等の芳香族アルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類を用いることが好ましい。
【0077】
溶剤(e)は、1種を単独で、若しくは2種以上を混合して用いることができる。また溶剤(e)は、着色組成物を適正な粘度に調節し、目的とする均一な膜厚のフィルタセグメントを形成できることから、着色剤(a)100重量部に対し、800〜4000重量部の量で用いることが好ましい。
【0078】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、さらに光重合性単量体及び/または光重合開始剤を添加し、カラーフィルタ用感光性着色組成物(レジスト材)として使用することが出来る。
【0079】
<光重合性単量体>
本発明に用いる光重合性単量体には、紫外線や熱などにより硬化して樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。光重合性単量体の配合量は、着色剤(a)100重量部に対し、5〜400重量部であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から10〜300重量部であることがより好ましい。
【0080】
光重合性単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0081】
<光重合開始剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化させ、フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成する場合は、光重合開始剤等を加えて溶剤現像型あるいはアルカリ現像型感光性着色組成物の形態で調製することができる。光重合開始剤を使用する際の配合量は、着色剤(a)100重量部に対し、5〜200重量部であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から10〜150重量部であることがより好ましい。
【0082】
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、又は2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、又は3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、又は2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、又はO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又は2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物; ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。
これらの光重合開始剤は1種または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0083】
<増感剤>
さらに、本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、増感剤を含有させることができる。
増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,又は4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
【0084】
さらに具体的には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
【0085】
増感剤は、必要に応じて任意の比率で二種以上用いてもかまわない。増感剤を使用する際の配合量は、着色組成物中に含まれる光重合開始剤100重量部に対し、3〜60重量部であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5〜50重量部であることがより好ましい。
【0086】
<界面活性剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0087】
<アミン系化合物>
また、本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物を含有させることができる。このようなアミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、及びN,N−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
【0088】
<レベリング剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性をよくするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、着色組成物の全重量100重量%中、0.003〜0.5重量%用いることが好ましい。
【0089】
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
【0090】
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0091】
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0092】
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
【0093】
<硬化剤、硬化促進剤>
また本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、熱硬化性樹脂の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤などを含んでいてもよい。硬化剤としては、フェノール系樹脂、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性樹脂と反応し得るものであれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。また、これらの中でも、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物、アミン系硬化剤が好ましく挙げられる。前記硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記硬化促進剤の含有量としては、熱硬化性樹脂の全重量を基準(100重量部)として、0.01〜15重量部が好ましい。
【0094】
<その他の添加剤成分>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
【0095】
貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸及びそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤(a)の全重量100重量部に対し、0.1〜10重量部の量で用いることができる。
【0096】
密着向上剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、着色剤(a)の全重量100重量部に対し、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の量で用いることができる。
【0097】
<着色組成物の製造方法>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、ナフトールAS顔料を含む着色剤(a)と、側鎖に4級アンモニウム塩基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基を有さないBブロックとからなる、A−Bブロック共重合体またはB−A−Bブロック共重合体を含む顔料分散剤(c)と、有機顔料の酸性誘導体またはその金属塩(d)と、必要に応じて樹脂(b)、溶剤(e)を一緒に、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、又はアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる(顔料分散体)。また、本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、ナフトールAS顔料と、併用する赤色顔料や黄色顔料等のその他の着色剤を一緒に分散してもよく、別々に分散したものを混合して製造することもできる
【0098】
また、カラーフィルタ用感光性着色組成物(レジスト材)として用いる場合には、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色組成物として調製することができる。溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色組成物は、前記顔料分散体と、光重合性単量体及び/または光重合開始剤と、必要に応じて、溶剤、その他の顔料分散剤、及び添加剤等を混合して調整することができる。
【0099】
光重合開始剤は、着色組成物を調製する段階で加えてもよく、調製した着色組成物に後から加えてもよい。
【0100】
<粗大粒子の除去>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。このようにカラーフィルタ用着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
【0101】
<カラーフィルタ>
本発明のカラーフィルタは、本発明のカラーフィルタ用着色組成物により形成されてなる少なくとも1つのフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタである。
カラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメントと、少なくとも1つの緑色フィルタセグメントと、および少なくとも1つの青色フィルタセグメントとを具備し、前記少なくとも1つの赤色フィルタセグメントが、本発明のカラーフィルタ用着色組成物を用いて形成されることが好ましい。
緑色フィルタセグメントは、通常の緑色着色組成物を用いて形成することができる。緑色着色組成物は、例えば、C.I.Pigment Green 7、10、36、37、58等の緑色顔料を用いて得られる組成物である。緑色着色組成物には、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214等の黄色顔料を併用することができる。
【0102】
また、青色フィルタセグメントは、通常の青色着色組成物を用いて形成することができる。青色着色組成物は、例えばC.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料を用いて得られる組成物である。青色着色組成物には、C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を併用することができる。
【0103】
<カラーフィルタの製造方法>
本発明のカラーフィルタは、印刷法またはフォトリソグラフィー法により、製造することができる。
[印刷法]
印刷法によるフィルタセグメントの形成は、印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
【0104】
[フォトリソグラフィー法]
フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色組成物として調製した感光性着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色組成物の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0105】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色組成物を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0106】
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法などにより製造することができるが、本発明のカラーフィルタ用着色組成物はいずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめフィルタセグメントを形成しておき、このフィルタセグメントを所望の基板に転写させる方法である。
【実施例】
【0107】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」および「%」は、「重量部」および「重量%」をそれぞれ表す。また、樹脂の酸価と重合平均分子量(Mw)、樹脂型分散剤のアミン価と4級アンモニウム塩価、顔料の微細化度、および塗膜のコントラスト比の測定方法は以下の通りである。
【0108】
<樹脂の酸価>
樹脂の酸価は、0.1Nの水酸化カリウム・エタノール溶液を用い、電位差滴定法によって求めた。樹脂の酸価は、固形分の酸価を示す。
【0109】
<樹脂の重合平均分子量(Mw)>
アクリル樹脂の重合平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
【0110】
<樹脂型分散剤のアミン価>
樹脂型分散剤のアミン価は、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法によって求めた後、水酸化カリウムの当量に換算した。樹脂型分散剤のアミン価は、固形分のアミン価を示す。
【0111】
<樹脂型分散剤の4級アンモニウム塩価>
樹脂型分散剤の4級アンモニウム塩価は、5%クロム酸カリウム水溶液を指示薬として、0.1Nの硝酸銀水溶液で滴定して求めた後、水酸化カリウムの当量に換算した。下記樹脂型分散剤の4級アンモニウム塩価は、固形分の4級アンモニウム塩価を示す。
【0112】
<顔料の微細化度>
顔料の微細化度は顔料粒子の比表面積で評価した。なお比表面積の測定は、窒素吸着のBET法による自動蒸気吸着量測定装置(日本ベル社製「BELSORP18」)により行なった。
【0113】
<塗膜のコントラスト比の測定方法>
液晶ディスプレー用バックライトユニットから出た光は、偏光板を通過して偏光され、ガラス基板上に塗布された着色組成物の乾燥塗膜を通過し、偏光板に到達する。偏光板と偏光板の偏光面が平行であれば、光は偏光板を透過するが、偏光面が直行している場合には光は偏光板により遮断される。しかし、偏光板によって偏光された光が着色組成物の乾燥塗膜を通過するときに、顔料粒子による散乱等が起こり、偏光面の一部にずれを生じると、偏光板が平行のときは偏光板を透過する光量が減り、偏光板が直行のときは偏光板を一部光が透過する。この透過光を偏光板上の輝度として測定し、偏光板が平行のときの輝度と、直行のときの輝度との比(コントラスト比)を算出した。
(コントラスト比)=(平行のときの輝度)/(直行のときの輝度)
なお、輝度計としては色彩輝度計(トプコン社製「BM−5A」)、偏光板としては偏光板(日東電工社製「NPF−G1220DUN」)を用いた。なお、測定に際しては、不要光を遮断するために、測定部分に1cm角の孔を開けた黒色のマスクを当てた。
【0114】
まず、実施例および比較例に用いたアクリル樹脂溶液、樹脂型分散剤、顔料誘導体、微細化顔料、ナフトールAS顔料以外の顔料分散体、およびカラーフィルタの製造に用いた緑色着色組成物、青色着色組成物、黄色着色組成物の製造方法について説明する。
【0115】
<アクリル樹脂溶液の製造方法>
(アクリル樹脂溶液1の調整)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn−ブチルメタクリレート13.3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)7.4部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、重量平均分子量(Mw)26000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートを添加してアクリル樹脂溶液1を調製した。
【0116】
(アクリル樹脂溶液2の調整)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン370部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)18部、ベンジルメタクリレート10部、グリシジルメタクリレート18.2部、メタクリル酸メチル25部、及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル2.0部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、更に100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、更に100℃で1時間反応を続けた。次に、容器内を空気置換に替え、アクリル酸9.3部(グリシジル基の100%)にトリスジメチルアミノフェノール0.5部及びハイドロキノン0.1部を上記容器内に投入し、120℃で6時間反応を続け固形分酸価0.5となったところで反応を終了し、アクリル樹脂の溶液を得た。更に、引き続きテトラヒドロ無水フタル酸19.5部(生成した水酸基の100%)、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で3.5時間反応させ、重量平均分子量(Mw)19000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して活性エネルギー線硬化性樹脂であるアクリル樹脂溶液2を調製した。
【0117】
<樹脂型分散剤の製造方法>
(樹脂型分散剤Aの調製)
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、メチルエチルケトン80部、ブチルアクリレート92.0部、スパルテイン2.8部、ブロモイソ酪酸エチル1.9部を仕込み窒素気流下で40℃に昇温した。塩化第一銅 1.1部を投入し、75℃まで昇温して重合を開始した。3時間重合後、重合溶液をサンプリングし、重合の固形分から重合収率が95%以上であり、重量平均分子量(Mw)が、6860である事を確認し、ジメチルアミノエチルメタクリレート8.0部、及びメチルエチルケトン20.0部を添加し、更に、重合を行った。2時間後重合溶液の固形分から重合収率が97%以上であるのを確認し、室温に冷却して重合を停止した。得られた樹脂溶液100部をメチルエチルケトン100部で希釈し、カチオン交換樹脂「ダイアイオン PK228LH(三菱化学社製)」60部を添加し室温で1時間攪拌し、更に、中和剤として「キョーワード500SN(協和化学工業社製)」を6部添加し30分攪拌を行った。濾過によりカチオン交換樹脂と吸着剤を取り除く事で重合触媒の残渣を取り除いた。更に、樹脂溶液を濃縮しエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートに置換して固形分率が50重量%の樹脂型分散剤Aの溶液を得た(アミン価29mgKOH/g、4級アンモニウム塩価0mgKOH/g)。
【0118】
(樹脂型分散剤Bの調製)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート50.0部、2−メトキシエチルアクリレート50.0部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール6.0部に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部をプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート45.4部に溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。このとき、重量平均分子量が4000であった。次に、ピロメリット酸二無水物(ダイセル化学工業株式会社製)を9.7部、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート31.7部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.2部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。反応終了後、不揮発分が50重量%になるようにプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートを添加して調製し、酸価75mgKOH/g、重量平均分子量9500の樹脂型分散剤Bの溶液を得た(アミン価0mgKOH/g、4級アンモニウム塩価0mgKOH/g)。
【0119】
(樹脂型分散剤Cの調製)
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、メチルエチルケトン62.4部を仕込み窒素気流下で75℃に昇温した。別途、滴下ロートへメチルメタクリレート19.5部、n−ブチルメタクリレート11.7部、2−エチルヘキシルメタクリレート11.7部、ジエチレングリコールモノメタクリレート(日油製、商品名:ブレンマーPE90」)を7.8部、ジメチルアミノエチルメタクリレート27.3部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を4.7部、及びメチルエチルケトン15.6部を仕込み、均一にした後、4つ口セパラブルフラスコに取り付け、2時間かけて滴下した。滴下終了2時間後、固形分から重合収率が98%以上であり、重量平均分子量(Mw)が、7130である事を確認し、50℃へ冷却した。ここへ、塩化ベンジル22.0部、エタノール22.0部を追加し、50℃で2時間反応させた後、1時間かけて80℃まで加温し、更に、2時間反応させた。その後、ジエチレングリコールを150部加え、100℃で減圧しながら、エタノール及びメチルエチルケトンを留去し、溶媒をプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートに置換した。このようにして固形分50重量%の樹脂型分散剤Cの溶液を得た(アミン価3mgKOH/g、4級アンモニウム塩価97mgKOH/g)。
【0120】
(樹脂型分散剤Dの調製)
フラスコに機械攪拌機、温度計、窒素導入孔、乾燥管出口、及び添加用漏斗を装着した。窒素雰囲気下で室温に保ち、テトラヒドロフラン(THF)3000重量部をフラスコに充填した。次いで開始剤の1−ピロリジノシクロヘキセン6重量部とメチルアルミニウムビス(2,6−ジーt−ブチルー4−メチルフェノキシド)92重量部をTHF溶液102重量部に溶かした溶液200重量部を添加した。フィードI[ジメチルアミノエチ
ルメタクリレート200重量部]をゆっくり滴下し40分攪拌した。フィードIの完了(
モノマーの99%以上が反応した)後、フィードII[ベンジルメタクリレート(BzMA)200重量部]をゆっくり滴下し30分間攪拌した。フィードIIの完了後、フィードIII[2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)100重量部]をゆっくり滴下し20分攪拌した。フィードIIIの完了後、フィードIV[ブチルメタクリレート(BMA)100重量部]をゆっくり滴下し20分攪拌した。フィードIVの完了後、フィードV[メチルメタクリレート(MMA)100重量部]をゆっくり滴下し20分攪拌した。フィードVの完了後、フィードVI[ω―カルボキシジカプロラクトンモノアクリレート(ω―カプロ)200重量部]をゆっくり滴下し30分攪拌した。フィードVIの完了後、フィードVII[メタクリル酸(MAA)100重量部]をゆっくり滴下し20分攪拌した。その後30分後にメタノール100重量部を加えポリマー溶液を得た。そのポリマー溶液を室温に戻し、ベンジルクロライド160重量部をTHF340重量部に溶かした溶液500重量部をゆっくり滴下し、次いで2時間80℃で加熱還流した。蒸留を開始し、濃縮液をヘキサンに添加して再沈精製を行った。得られた固形物1000重量部をブチルグリコール/プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートの1/1混合溶液1500重量部に溶かしこのようにして固形分50重量%の樹脂型分散剤Dの溶液を得た(アミン価4mgKOH/g、4級アンモニウム塩価90mgKOH/g)。
【0121】
合成した各樹脂型分散剤の樹脂構造と顔料吸着基を表1にまとめた。
【表1】

【0122】
<顔料誘導体の製造方法>
(誘導体Aの製造)
キノフタロン系黄色顔料(C.I.ピグメント イエロー138)30部を98%硫酸300部中に溶解し、70℃にて8時間攪拌し、スルホン化反応を行った。反応の終点は、硫酸溶液の分光スペクトルを測定し、スペクトルの変化が見られなくなる点とした。次いで、この反応溶液を氷水3000部中に注入し、析出するスルホン化色素誘導体を濾別、水洗、乾燥してC.I.ピグメント イエロー138のスルホン化誘導体である式(5)で示される構造を有する誘導体Aを得た。乾燥後の収量は334部、収率は99%であった
式(5)
【化4】

【0123】
(誘導体Bの製造)
誘導体Aのペーストを、水10000部に再分散した(pH2.5)。次いで、水酸化ナトリウム水溶液でpH11に調整して溶解し、赤い溶液とした。この溶液に、硫酸アルミニウム水溶液(液体硫酸バンド)278部を徐々に添加した。滴下した箇所から析出物が次々に現れ、添加と共にpHが低下、添加終了時にはpH3.6。ブリードは見られなかった。この析出物を含むスラリーを濾別、水洗して、C.I.ピグメント イエロー138のスルホン化誘導体のアルミニウム塩である式(6)で示される構造を有する誘導体Bを得た。乾燥後の収量は334部、収率は99%であった。
式(6)
【化5】

【0124】
(誘導体Cの製造)
96%硫酸300部に、ベンズイミダゾロン系顔料(C.I.ピグメント イエロー180)30部を10℃ 以下で溶解し、15℃で2時間攪拌した。氷水3000部に注入し、濾過、1%塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで、水でブリードが見られる程度まで洗浄し、ベンズイミダゾロン系色素のスルホン化物の水ペーストを得た。
得られたベンズイミダゾロン系色素のスルホン化物の水ペーストを水10000部にリスラリーし、水酸化ナトリウム水溶液でpH10に調整した後、硫酸アルミニウム水溶液( 液体硫酸バンド)20部を徐々に添加した。反応スラリーを90℃で2時間加熱処理した後、濾過、水洗、乾燥して、ベンズイミダゾロン系色素のスルホン化誘導体のアルミニウム塩である式(7)で示される構造を有する誘導体Cを25部得た。
式(7)
【化6】

【0125】
(誘導体Dの製造)
95%硫酸300部に、縮合アゾ系顔料(C.I.ピグメント レッド214)20部を20℃以下で加え、25℃で3時間攪拌して、スルホン化を行った。反応溶液を氷水2000部に注入し、濾過、希塩酸で洗浄し、縮合アゾ系色素のスルホン化物の水ペーストを得た。
得られた縮合アゾ系色素のスルホン化物の水ペーストを水2000部にリスラリーし、60℃ に加熱、pH9に調整した後、硫酸アルミニウム水溶液(液体硫酸バンド)50部を徐々に添加した。90℃で2時間攪拌した後、濾過、水洗、乾燥して、縮合アゾ系色素のスルホン化誘導体のアルミニウム塩である式(8)で示される構造を有する誘導体Dを25部得た。
式(8)
【化7】

【0126】
(誘導体Eの製造)
クロルスルホン酸240部に、ジアントラキノン系顔料(C.I.ピグメント レッド177)30部を加え、90℃ で3時間加熱し、2000部の氷水中に注いだ。得られた懸濁液を濾過、水洗し、ジアントラキノン系色素のクロルスルホン化物の水ペースト180部を得た。
得られたジアントラキノン系色素のクロルスルホン化物の水ペーストを水10000部にリスラリーし、水酸化ナトリウム水溶液でp H11に調整し、pH11を保つように適宜添加しながら、90℃で6時間攪拌した。塩酸を用いてpH10に合わせ、硫酸アルミニウム水溶液( 液体硫酸バンド)50gを添加し、90℃2時間攪拌した後、析出する沈殿を濾過、水洗、乾燥して、ジアントラキノン系色素のスルホン化誘導体のアルミニウム塩である式(9)で示される構造を有する誘導体Eを25部得た。
式(9)
【化8】

【0127】
(誘導体Fの製造)
クロルスルホン酸300部に、1,4−ジケト−3,6−ジフェニルピロロ−[3,4− c ]−ピロール(C.I.ピグメント レッド255)30部を20分かけて20℃ 以下で溶解し、50℃で2時間撹拌して、クロルスルホン化を行った。反応溶液を氷水5000部に加え、生じた沈殿を濾過、水洗し、ジケトピロロピロール系色素のクロルスルホン化物の水ペーストを得た。
得られたジケトピロロピロール系色素のクロルスルホン化物の水ペーストを水3000部にリスラリーし、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH11に調整、80℃に加熱したところ、赤い溶液が得られた。硫酸アルミニウム水溶液( 液体硫酸バンド)120部を徐々に添加し、90℃で2時間攪拌した後、濾過、水洗、乾燥して、ジケトピロロピロール系色素のスルホン化誘導体のアルミニウム塩である式(10)で示される構造を有する誘導体Fを25部得た。
式(10)
【化9】

【0128】
(誘導体Gの構造)
誘導体Gは式(11)で示される構造を有する誘導体を使用した。
式(11)
【化10】

【0129】
誘導体A〜Gを表2にまとめた。
【表2】

【0130】
<微細化顔料の製造方法>
(微細化顔料1(PC−1)の作製)
ジケトピロロピロール系赤色顔料C.I.ピグメント レッド 254(チバ・ジャパン社製「IRGAZIN RED 2030」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部のジケトピロロピロール系の微細化顔料1(PC−1)を得た。微細化顔料1の比表面積は70m2/gであった。
【0131】
(微細化顔料2(PC−2)の作製)
アントラキノン系赤色顔料C.I.ピグメント レッド 177(チバ・ジャパン社製「クロモフタルレッド A2B」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部のアントラキノン系の微細化顔料2(PC−2)を得た。微細化顔料2の比表面積は80m2/gであった。
【0132】
(微細化顔料3(PC−3)の作製)
アゾ系顔料C.I.ピグメント オレンジ 64(CSC社製「Cromophtal Orange GP」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部のアゾ系の微細化顔料3(PC−3)を得た。微細化顔料3の比表面積は75m2/gであった。
【0133】
(微細化顔料4(P−1)の作製)
ナフトールAS顔料C.I.ピグメント オレンジ 38(クラリアント社製「Novoperm Red HFG」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部のナフトールAS顔料の微細化顔料4(P−1)を得た。微細化顔料4の比表面積は65m2/gであった。
【0134】
(微細化顔料5(P−2)の作製)
ナフトールAS顔料C.I.ピグメント オレンジ 4(BASF社製「Helio Fast Orange G」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部のナフトールAS顔料の微細化顔料5(P−2)を得た。微細化顔料5の比表面積は75m2/gであった。
【0135】
(微細化顔料6(P−3)の作製)
ナフトールAS顔料C.I.ピグメント オレンジ 24(山水色素社製「SUIMEI Fast Orange MC」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部のナフトールAS顔料の微細化顔料6(P−3)を得た。微細化顔料6の比表面積は60m2/gであった。
【0136】
(微細化顔料7(P−4)の作製)
ナフトールAS顔料C.I.ピグメントレッド 170(クラリアント社製「Permanent Red FGR」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部のナフトールAS顔料の微細化顔料7(P−4)を得た。微細化顔料7の比表面積は80m2/gであった。
【0137】
(微細化顔料8(P−5)の作製)
ナフトールAS顔料C.I.ピグメント レッド 188(クラリアント社製「Novoperm Red HF3S」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部のナフトールAS顔料の微細化顔料8(P−5)を得た。微細化顔料8の比表面積は70m2/gであった。
【0138】
(緑色微細顔料1の作製)
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメント グリーン 36(東洋インキ製造株式会社製「リオノールグリーン 6YK」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の緑色微細顔料1を得た。緑色微細顔料1の比表面積は75m2/gであった。
【0139】
(黄色微細顔料1の作製)
ニッケル錯体系黄色顔料C.I.ピグメント イエロー 150(ランクセス社製「E−4GN」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の黄色微細顔料1を得た。黄色微細顔料1の比表面積は65m2/gであった。
【0140】
(青色微細顔料1の作製)
フタロシアニン系青色顔料C.I.ピグメント ブルー 15:6(東洋インキ製造株式会社製「LIONOL BLUE ES」、比表面積60m2/g)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の青色微細顔料1を得た。青色微細顔料1の比表面積は80m2/gであった。
【0141】
(紫色微細顔料1の作製)
ジオキサジン系紫色顔料C.I.ピグメント バイオレット 23(東洋インキ製造株式会社製「LIONOGEN VIOLET RL」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の紫色微細顔料1を得た。紫色微細顔料1の比表面積は95m2/gであった。
【0142】
<ナフトールAS顔料以外の顔料分散体の製造>
(顔料分散体(DC−1)の調整)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で3時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し顔料分散体(DC−1)を作製した。
微細化顔料1(PC−1) :10.0部
(C.I.ピグメントレッド 254)
アクリル樹脂溶液1 : 7.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC) :77.0部
樹脂型分散剤溶液(分散剤D) : 6.0部
【0143】
(顔料分散体(DC−2)の調整)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で3時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し顔料分散体(DC−2)を作製した。
微細化顔料2(PC−2) :10.0部
(C.I.ピグメントレッド 177)
アクリル樹脂溶液1 : 7.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC) :77.0部
樹脂型分散剤溶液(分散剤D) : 6.0部
【0144】
(顔料分散体(DC−3)の調整)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で3時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し顔料分散体(DC−3)を作製した。
微細化顔料3(PC−3) :10.0部
(C.I.ピグメント オレンジ 64)
アクリル樹脂溶液1 : 7.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC) :77.0部
樹脂型分散剤溶液(分散剤D) : 6.0部
【0145】
<緑色着色組成物、青色着色組成物、黄色着色組成物の製造>
[緑色顔料分散体]
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し顔料分散体(DP−1)を作製した。
緑色微細顔料1 (C.I.ピグメント グリーン 36) :11.0部
アクリル樹脂溶液1 :40.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC) :48.0部
樹脂型分散剤 (チバ・ジャパン社製「EFKA4300」) : 1.0部
【0146】
[黄色顔料分散体]
緑色微細顔料1 (C.I.ピグメント グリーン 36)を黄色微細顔料1(C.I.ピグメント イエロー 150)に変えた以外は、緑色顔料分散体と同様にして、黄色顔料分散体を得た。
【0147】
[青色顔料分散体]
緑色微細顔料1 (C.I.ピグメント グリーン 36)を青色微細顔料1(C.I.ピグメント ブルー 15:6)に変えた以外は、緑色顔料分散体と同様にして、青色顔料分散体を得た。
【0148】
[紫色顔料分散体]
緑色微細顔料1 (C.I.ピグメント グリーン 36)を紫色微細顔料1(C.I.ピグメント バイオレット 23)に変えた以外は、緑色顔料分散体と同様にして、紫色顔料分散体を得た。
【0149】
[緑色着色組成物1の製造]
下記に示す顔料分散体を含む下記組成の混合物を均一になるように撹拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、緑色着色組成物1を作製した。
緑色顔料分散体 :35.0部
黄色顔料分散体 :10.0部
アクリル樹脂溶液2 :15.0部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート : 9.0部
光重合開始剤(チバ・ジャパン社製「イルガキュア907」) : 2.0部
「2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン」
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) : 0.2部
「4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン」
シクロヘキサノン :28.8部
【0150】
[青色着色組成物1の製造]
緑色顔料分散体35.0部、黄色顔料分散体10.0部の合計45.0部を青色分散体36部、紫色分散体9部の合計45.0部に置き換えた以外は緑色着色組成物1と同様にして青色着色組成物1を得た。
【0151】
[黄色着色組成物1の製造]
緑色顔料分散体35.0部、黄色顔料分散体10.0部の合計45.0部を黄色分散体45.0部に置き換えた以外は緑色着色組成物1と同様にして黄色着色組成物1を得た。
【0152】
[実施例1]
(顔料分散体(D−1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で3時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し顔料分散体(D−1)を作製した。
微細化顔料4(P−1) : 9.0部
(C.I.ピグメントオレンジ 38)
アクリル樹脂溶液1 : 7.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC) :77.0部
樹脂型分散剤溶液(分散剤D) : 6.0部
酸性顔料誘導体(誘導体A) : 1.0部
【0153】
[実施例2〜10、比較例2〜5]
以下、顔料、樹脂型分散剤溶液、誘導体を表3に示す組成に変更した以外は顔料分散体(D−1)と同様にして、顔料分散体(D−2〜10、12〜15)を調整した。
【0154】
[比較例1]
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で3時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し顔料分散体(DP−11)を作製した。
微細化顔料4(P−1) :10.0部
(C.I.ピグメントオレンジ 38)
アクリル樹脂溶液1 : 7.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC) :77.0部
樹脂型分散剤溶液(分散剤D) : 6.0部
【0155】
【表3】

【0156】
[カラーフィルタ用着色組成物(顔料分散体)の評価]
実施例および比較例で得られた顔料分散体(D−1〜15)の粘度、およびコントラスト比の評価を下記の方法で行った。
【0157】
<粘度特性>
顔料分散体の粘度は、E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃における初期粘度を測定した。別途、当該顔料分散体25gを、ガラス容器中密閉状態で、40℃、24時間静置した後、上記と同様の方法で粘度を測定し、経時粘度とした。
【0158】
<コントラスト比(CR)>
得られた顔料分散体をスピンコーターを用いて、回転数を変えて乾燥膜厚が約1μm前後となるように3点の塗布基板を作製した。塗布後80℃で30分、熱風オーブンで乾燥したのち、それぞれ膜厚およびコントラスト比を測定し、3点のデータから膜厚が1μmにおけるコントラスト比(CR)を一次相関法で求めた。
以下、表4にその結果を示す。
【0159】
【表4】

【0160】
ナフトールAS顔料と、側鎖に4級アンモニウム塩基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基を有さないBブロックとからなる、A−Bブロック共重合体またはB−A−Bブロック共重合体である樹脂型分散剤、有機顔料の酸性誘導体またはその金属塩、溶剤、及び樹脂を含有してなるカラーフィルター用着色組成物の実施例1〜10は、比較例1〜5に対して粘度が低く、CRが高いという良好な結果を得た。
有機顔料の酸性誘導体またはその金属塩を含んでいる実施例1〜6は、含んでいない比較例1や塩基性の誘導体を含んでいる比較例2よりも粘度とCRが良好である。一方で、有機顔料の酸性誘導体またはその金属塩を含んでいるが、側鎖に4級アンモニウム塩基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基を有さないBブロックとからなる、A−Bブロック共重合体またはB−A−Bブロック共重合体である分散剤を含まない比較例3〜5は、粘度とCRにおいて実施例2に対して大きく劣る。
また、ナフトールAS顔料の中でもC.I.ピグメントオレンジ38を含んでいる実施例2は、他のナフトールAS顔料を含んでいる実施例7〜10に比べてCRが高く好ましい。また、キノフタロン骨格スルホン酸またはその金属塩を用いた実施例1と2は、その他の酸性誘導体またはその金属塩を含んでいる実施例3〜6よりもさらにCRと粘度が良好であるためより好ましい結果であった。
【0161】
[実施例11]
(感光性着色組成物(R−1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、感光性着色組成物(R−1)を得た。
着色剤分散体 (計60部)
顔料分散体(D−1) :24.0部
顔料分散体(DC−1) :26.0部
アクリル樹脂溶液2 :11.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート : 4.2部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤(チバ・ジャパン社製「イルガキュアー907」) : 1.2部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) : 0.4部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート :23.2部
【0162】
[実施例12〜22、比較例6〜12]
(感光性着色組成物(R−2〜19))
顔料分散体を表5に示す顔料分散体の種類および配合量に変えた以外は感光性着色組成物(R−1)と同様にして感光性着色組成物(R−2〜19)を得た。感光性着色組成物では顔料分散体を併用しているが着色剤分散体としての全量は全ての感光性着色組成物において50部である。
【0163】
【表5】

【0164】
[カラーフィルタ用着色組成物(感光性着色組成物)の評価]
実施例および比較例で得られた感光性着色組成物(R−1〜19)の色度コントラスト比、耐熱性の評価を下記の方法で行った。
【0165】
<色特性評価>
ガラス基板上にC光源においてx=0.581、y=0.335になるような膜厚に感光性着色組成物を塗布し、この基板を230℃で20分加熱した。その後、得られた基板の明度(Y)を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP200」)で測定した。
【0166】
<コントラスト比(CR)>
得られたレジストをスピンコーターを用いて、回転数を変えてCIE表色系におけるC光源での色度xが0.560、0.581、0.600となるように3点の塗布基板を作製した。塗布後80℃で30分、熱風オーブンで乾燥したのち、それぞれ色度およびコントラスト比を測定し、3点のデータから色度xが0.581におけるコントラスト比(CR)を一次相関法で求めた。
【0167】
<塗膜耐熱性>
透明基板上に乾燥塗膜が約2.0μmとなるようにレジスト材を塗布し、所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行った後、スプレーによりアルカリ現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成した。その後、オーブンで230℃1時間加熱、放冷後、得られた塗膜のC光源での色差1(L*(1),a*(1),b*(1))を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP200」)を用いて測定した。さらにその後、耐熱試験としてオーブンで250℃1時間加熱し、C光源での色差2(L*(2),a*(2),b*(2))を測定した。
【0168】
測定した色差値を用いて、下記計算式により、色差変化率ΔEab*を算出し、塗膜の耐熱性を下記の4段階で評価した。
ΔEab* = √((L*(2)- L*(1))2+ (a*(2)- a*(1)) 2+( b*(2)- b*(1)) 2)
◎:ΔEab*が1.5未満
○:ΔEab*が1.5以上、3.0未満
△:ΔEab*が3.0以上、5.0未満
×:ΔEab*が5.0以上
以下、表6にその結果を示す。
【0169】
【表6】

【0170】
ナフトールAS顔料と、側鎖に4級アンモニウム塩基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基を有さないBブロックとからなる、A−Bブロック共重合体またはB−A−Bブロック共重合体である分散剤、有機顔料の酸性誘導体またはその金属塩を含有してなるカラーフィルター用着色組成物の実施例11〜22は、ナフトールAS顔料を含まない比較例11、12に対して明度が良好であり、有機顔料の酸性誘導体またはその金属塩を含まない比較例6、7に対してCR、耐熱性が良好な結果を得た。
【0171】
また、キノフタロン骨格スルホン酸またはその金属塩を用いた実施例11と12は、その他の酸性誘導体またはその金属塩を含んでいる実施例13〜16よりもさらにCRと粘度、耐熱性が良好であった。
【0172】
[カラーフィルタの製造例1]
本発明の赤色着色組成物と、緑色着色組成物1および青色着色組成物1とを用いて、基板上にスピンコートにより、乾燥膜厚が1.7μmとなるように塗布し、この膜と非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行い、その後、スプレーによりアルカリ現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成したのち230℃にて1時間加熱した。同様の操作をRGB各色について繰り返してカラーフィルタを製造することにより、明度が高く、耐熱性に優れた、カラーフィルタを作成することができた。
【0173】
[カラーフィルタの製造例2]
本発明の赤色着色組成物と、緑色着色組成物1、黄色着色組成物1および青色着色組成物1とを用いて、基板上にスピンコートにより、乾燥膜厚が1.7μmとなるように塗布し、この膜と非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行い、その後、スプレーによりアルカリ現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成したのち230℃にて1時間加熱した。同様の操作をRGBY各色について繰り返してカラーフィルタを製造することにより、明度が高く、耐熱性に優れた、カラーフィルタを作成することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤(a)と、樹脂(b)と、樹脂型分散剤(c)と、有機顔料の酸性誘導体またはその金属塩(d)と、溶剤(e)とを含有する着色組成物において、
該着色剤(a)がナフトールAS顔料を含み、
該樹脂型分散剤(c)が側鎖に4級アンモニウム塩基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基を有さないBブロックとからなる、A−Bブロック共重合体またはB−A−Bブロック共重合体
であることを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項2】
ナフトールAS顔料が、C.I.ピグメントオレンジ 38であることを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項3】
有機顔料の酸性誘導体またはその金属塩(d)が、キノフタロンのスルホン酸誘導体またはそのアルミニウム塩であることを特徴とする請求項1または2記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項4】
着色剤(a)が、さらにC.I.ピグメントレッド 254またはC.I.ピグメントレッド 177を含むことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項5】
さらに光重合性単量体及び/または光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項6】
基板上に、請求項1〜5いずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物により形成されてなるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタ。

【公開番号】特開2012−68559(P2012−68559A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214868(P2010−214868)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】