説明

カラーフィルタ用紫色顔料分散液、カラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物及びその製造方法、カラーフィルタ、及び液晶表示装置

【課題】塗膜形成後、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温(230℃以上)加熱工程後のコントラストの低減が抑制される、カラーフィルタ用紫色顔料分散液、及びカラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】C.I.ピグメントバイオレット23と、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体と、特定の3級アンモニウム塩又は4級アンモニウム塩を含むブロック共重合体である顔料分散剤と、溶媒とを含有し、C.I.ピグメントバイオレット23の誘導体を含まない、カラーフィルタ用紫色顔料分散液及び当該紫色顔料分散液を含むカラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ用紫色顔料分散液、当該顔料分散液を用いたカラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物及びその製造方法、当該感光性樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルタ、並びにこのカラーフィルタを有する液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピューターの発達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴って、液晶ディスプレイの需要が増加している。また、最近においては家庭用の液晶テレビの普及率も高まっており、益々液晶ディスプレイの市場は拡大する状況にある。さらに液晶ディスプレイの性能においても、コントラストや色再現性の向上といったさらなる高画質化や消費電力の低減が強く望まれている。
このような状況において、液晶ディスプレイをカラー表示化させる機能を有するカラーフィルタにおいても、高輝度化や高コントラスト化、色再現性の向上といった要望が高まっている。特に最近、テレビ用途に対しても、バックライトの消費電力低減やLEDバックライトの特性に起因して、高輝度化の要望が高くなっている。
【0003】
ここで、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタは、一般的に、透明基板と、透明基板上に形成され、赤、緑、青の三原色の着色パターンからなる着色層と、各着色パターンを区画するように透明基板上に形成された遮光部とを有している。
このような着色層の形成方法としては、顔料分散法、染色法、電着法、印刷法などが知られている。中でも、分光特性、耐久性、パターン形状及び精度等の観点から、平均的に優れた特性を有する顔料分散法が最も広範に採用されている。
【0004】
一般に顔料を分散したカラーフィルタは、顔料による光の散乱等により、液晶が制御した偏光度合いを乱してしまうという問題がある。すなわち、光を遮断しなければならないとき(OFF状態)に光が漏れたり、光を透過しなければならないとき(ON状態)に透過光が減衰したりするため、ON状態とOFF状態における表示装置上の輝度の比(コントラスト比)が低いという問題がある。
【0005】
中でも、ジオキサジンバイオレット顔料は、顔料分散性や顔料分散安定性が悪く、このような紫色顔料を添加した従来のカラーフィルタでは、特に、カラーフィルタの製造工程における塗膜形成後、露光後の高温(230℃以上)加熱工程後にコントラストを大幅に低下させてしてしまうという問題があった。
ジオキサジン系顔料の分散安定性を良好にするための試みとしては、例えば、特許文献1には、C.I.ピグメントバイオレット23に−SOH基、−SONH(CHNR1R2(ここで、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素数1〜20の置換されても良い飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表すか、または隣接する窒素原子とともに、更に窒素、酸素、硫黄原子を含んでも良い複素環を形成し、Lは1〜6の整数)、フタルイミドメチル基を導入したバイオレット顔料誘導体とを含有するカラーフィルタ用着色組成物が開示されている。しかしながら、C.I.ピグメントバイオレット23に、上述のバイオレット顔料誘導体を組み合わせると、顔料分散液中での顔料分散性は向上するものの、むしろ塗膜形成後に測定するコントラストは悪化してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−173459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような状況下になされたものであり、塗膜形成後、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温(230℃以上)加熱工程後のコントラストの低減が抑制されるカラーフィルタ用紫色顔料分散液、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温(230℃以上)加熱工程後のコントラストの低減が抑制された着色層を形成可能なカラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物及びその製造方法、該感光性樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルタ及びこのカラーフィルタを有する液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、C.I.ピグメントバイオレット23の紫色顔料を、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体と特定の顔料分散剤との存在下で、溶媒中で分散させると、塗膜形成後、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温(230℃以上)加熱工程後のコントラストの低減が抑制される紫色顔料分散液、及び青色感光性樹脂組成物が得られることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0009】
本発明に係るカラーフィルタ用紫色顔料分散液は、C.I.ピグメントバイオレット23と、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体と、顔料分散剤と、溶媒とを含有し、
C.I.ピグメントバイオレット23の誘導体を含まず、
前記顔料分散剤が下記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、下記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有し、さらに前記繰り返し単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素とが塩を形成したブロック共重合体であることを特徴とする。
【0010】
【化1】

[式(I)及び式(II)中、Rは、水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。上記アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ置換基を有していても良い。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。mは3〜200の整数、nは10〜200の整数を示す。]
【0011】
また、本発明に係るカラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物は、上記本発明に係るカラーフィルタ用紫色顔料分散液と、青色顔料と、感光性バインダ成分とを含有することを特徴とする。
更に、本発明に係るカラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物の製造方法は、溶媒中、C.I.ピグメントバイオレット23の誘導体を含まずに、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体と、塩を形成したブロック共重合体からなる顔料分散剤との存在下で、C.I.ピグメントバイオレット23を分散させて紫色顔料分散液を調製する工程と、
前記紫色顔料分散液と、青色顔料分散液と、感光性バインダ成分とを混合する工程を有し、
前記顔料分散剤が、前記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、前記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有し、さらに前記繰り返し単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素とが塩を形成したブロック共重合体であることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るカラーフィルター用紫色顔料分散液、並びに、本発明に係るカラーフィルター用青色感光性樹脂組成物及びその製造方法においては、前記銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体が、下記化学式(1)よりなる群から選択される1種以上の置換基を青色顔料1分子に対して1個〜3個有する誘導体又はそれらの塩であることが、塗膜形成後、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温(230℃以上)加熱工程後のコントラストの低減が抑制される点から好ましい。
化学式(1): −X−Y
(式中、Xは、直接結合、−SONH−(CH−、−CONH−(CH−、−Ph−SONH−(CH−、−Ph−CONH−(CH−、−CHNH−(CH−、又は−CHNHCOCHNH−(CH−であり、Phはフェニレン基、Yは、−NR’R”、−SOH、−COOH、水素原子、又は下記化学式(2)で表される置換基を表す。R’及びR”はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の置換されていても良い飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基若しくは芳香族炭化水素基、又は、隣接する窒素原子と共に更に窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含んでいても良い複素環を形成したものを表す。mはそれぞれ独立に、0〜6の整数である。)
【0013】
【化2】

(化学式(2)において、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Arは、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、ニトロ基、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。)
【0014】
本発明に係るカラーフィルター用紫色顔料分散液、並びに、本発明に係るカラーフィルター用青色感光性樹脂組成物及びその製造方法においては、前記銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料が、下記構造式を有するものであることが、塗膜形成後、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温(230℃以上)加熱工程後のコントラストの低減が抑制される点から好ましい。
【0015】
【化3】

【0016】
本発明に係るカラーフィルター用紫色顔料分散液、並びに、本発明に係るカラーフィルター用青色感光性樹脂組成物及びその製造方法においては、前記銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体の含有量が、100重量部のC.I.ピグメントバイオレット23に対して、1〜20重量部であることが、塗膜形成後、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温(230℃以上)加熱工程後のコントラストの低減が抑制される点から好ましい。
【0017】
また本発明は、上記カラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物を用いて形成された着色層を有することを特徴とする、カラーフィルタを提供する。
更に、本発明は、上記カラーフィルタを有することを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、塗膜形成後、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温(230℃以上)加熱工程後のコントラストの低減が抑制されるカラーフィルタ用紫色顔料分散液を提供することができる。
本発明によれば、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温(230℃以上)加熱工程後のコントラストの低減が抑制された着色層を形成可能な、カラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物を提供することができる。
本発明によれば、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温(230℃以上)加熱工程後のコントラストの低減が抑制された青色画素部を有する、高コントラストなカラーフィルタを実現することが可能である。
更に、本発明によれば、上記カラーフィルタを用いることで、高コントラストな液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のカラーフィルタの一例を示す概略図である。
【図2】本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のカラーフィルタ用紫色顔料分散液、カラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物、カラーフィルタ、及び液晶表示装置について順に説明する。
なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことを言う。また本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味する。
【0021】
1.カラーフィルタ用紫色顔料分散液
本発明に係るカラーフィルタ用紫色顔料分散液は、C.I.ピグメントバイオレット23と、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体と、顔料分散剤と、溶媒とを含有し、
C.I.ピグメントバイオレット23の誘導体を含まず、
前記顔料分散剤が下記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、下記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有し、さらに前記繰り返し単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素とが塩を形成したブロック共重合体であることを特徴とする。
【0022】
【化4】

[式(I)及び式(II)中、Rは、水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。上記アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ置換基を有していても良い。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。mは3〜200の整数、nは10〜200の整数を示す。]
【0023】
本発明のカラーフィルタ用紫色顔料分散液は、前記溶媒中、C.I.ピグメントバイオレット23の誘導体を含まずに、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体と、上記特定の塩を形成したブロック共重合体との存在下で、C.I.ピグメントバイオレット23を分散させて得られたものであることが好ましい。
紫色顔料であるC.I.ピグメントバイオレット23を溶媒中で分散する際に、C.I.ピグメントバイオレット23の誘導体を含まずに、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体と、上記特定の塩を形成したブロック共重合体である顔料分散剤とを組み合わせた顔料分散剤の存在下で分散を行うことにより、塗膜形成後、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温(230℃以上)加熱工程後のコントラストの低減が抑制されるカラーフィルタ用紫色顔料分散液、感光性樹脂組成物が得られる。
【0024】
上記特定の組み合わせにより、上記のような効果を発揮する作用としては、未解明であるが以下のように推測される。
C.I.ピグメントバイオレット23顔料は、一般に非常に大きな比表面積の値を示す特徴があり、表面の活性が非常に高い。そのため、顔料分散剤との親和性が不十分であり、分散剤が吸着しにくく、また吸着しても脱離しやすい。そのため、表面が顔料分散剤で覆われているだけの状態だと、塗膜を形成後や、露光後の高温(230℃以上)加熱時に、顔料分散剤が熱運動して顔料表面から離れてしまいやすく、分散剤が離れてしまった顔料は、その高い表面活性により凝集作用が強く働き、コントラスト低下を招く結果になると考えられる。
【0025】
それに対し、本発明によれば、C.I.ピグメントバイオレット23顔料を溶媒中で分散する際に、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体と、特定の塩型ブロック共重合体である顔料分散剤とを組み合わせて用いる。
本発明によれば、用いられる顔料分散剤が、特定の塩型ブロック共重合体であることにより、塩形成部位を形成する上記構成単位(1)は、塩形成によって溶媒に対する溶解性が低下することで、溶媒に不溶な成分である顔料や顔料誘導体に対して高い吸着性を有することとなり、一方で構成単位(2)は溶媒に対して溶解性を有する。
そして、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体は、含窒素芳香環を有し、C.I.ピグメントバイオレット23顔料と親和性が高く、C.I.ピグメントバイオレット23顔料の表面に吸着する。一方、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体は顔料分散剤との親和性を高めるように設計可能な官能基を有するため、C.I.ピグメントバイオレット23顔料そのものよりも、顔料分散剤のアミノ基又はアンモニウム塩部分と強く相互作用することが可能になる。そのため、顔料の微細化をより進行すると共に、高温加熱時に分散剤が表面から離れにくくなり、顔料の凝集作用が働くのを抑制する効果が得られるため、コントラスト低下が抑制されると考えられる。
また、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体は、C.I.ピグメントバイオレット23の誘導体と異なり、分散剤との親和性を高めるだけでなく、表面活性を下げる効果も得られるため、C.I.ピグメントバイオレット23顔料の表面活性を抑えることができる。そのため、露光後の高温(230℃以上)加熱後に顔料分散剤が熱運動して顔料表面から離れてしまっても、C.I.ピグメントバイオレット23顔料の凝集は抑制され、加熱工程後のコントラストの低減が抑制されると推定される。
【0026】
本発明のカラーフィルタ用紫色顔料分散液は、少なくともC.I.ピグメントバイオレット23と、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体と、上記特定の塩型ブロック共重合体である顔料分散剤と、溶媒とを必須成分として含有し、C.I.ピグメントバイオレット23の誘導体を含まないものであり、必要に応じて他の成分を含有しても良いものである。
以下、このような本発明の紫色顔料分散液の各成分について順に詳細に説明する。
【0027】
(C.I.ピグメントバイオレット23)
C.I.ピグメントバイオレット23は、下記化学式で示される構造を有する。
【0028】
【化5】

【0029】
本発明に用いられるC.I.ピグメントバイオレット23顔料の平均一次粒径としては、カラーフィルタの着色層とした場合に、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、用いる顔料の種類によっても異なるが、10〜100nmの範囲内であることが好ましく、10〜60nmの範囲内であることがより好ましい。顔料の平均一次粒径が上記範囲であることにより、本発明のカラーフィルタ用紫色顔料分散液、感光性樹脂組成物を用いて製造された液晶表示装置を高コントラストで、かつ高品質なものとすることができる。また従来の顔料分散剤であれば、顔料の粒径の微小化に伴い、顔料分散剤が多量に必要になり、アルカリ現像性の低下や残渣の増加といった問題が生じるおそれがあるが、本発明のカラーフィルタ用紫色顔料分散液及び感光性樹脂組成物に用いられる顔料分散剤は、有機酸化合物を用いて塩を形成すればアルカリ現像性に優れるため、そのような問題を生じるおそれが少ない。したがって、該顔料の平均粒径が上記範囲に示すように、従来に比べ微小であるほど、本発明のカラーフィルタ用感光性樹脂組成物が有する特徴を発揮することができる。
なお、上記顔料の平均粒径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、その平均をその粒子の粒径とした。次に、100個以上の粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径を求めそれを平均粒径とした。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)または走査型(SEM)のいずれを用いても同じ結果を得ることができる。
【0030】
本発明に用いられるC.I.ピグメントバイオレット23は、再結晶法、ソルベントソルトミリング法等の公知の方法にて製造することができる。また、市販のC.I.ピグメントバイオレット23(例えば、Hosterperm Violet RL−NF等)を用いても良い。
【0031】
本発明のカラーフィルタ用紫色顔料分散液において、C.I.ピグメントバイオレット23の含有量は、適宜調整されれば良く、特に限定されない。通常、C.I.ピグメントバイオレット23の含有量は、カラーフィルタ用紫色顔料分散液の全量に対して1〜40重量%、更に5〜20重量%の範囲内であることが好ましい。
【0032】
(銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体)
本発明の顔料分散液において用いられる、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体を誘導する青色顔料としては、下記構造式を有する化合物が挙げられる。銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー15:6等を用いることができる。
【0033】
【化6】

銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体は、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料に、適宜官能基を有するものである。官能基としては、顔料分散剤と親和性を有するような、親水性の置換基を有するものであることが好ましい。
【0034】
銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体としては、中でも、下記化学式(1)よりなる群から選択される1種以上の置換基を青色顔料1分子に対して1個〜3個有する誘導体又はそれらの塩であることが、塗膜形成後、露光後の高温(230℃以上)加熱工程後のコントラストの低減が抑制される点から好ましい。
【0035】
化学式(1): −X−Y
(式中、Xは、直接結合、−SONH−(CH−、−CONH−(CH−、−Ph−SONH−(CH−、−Ph−CONH−(CH−、−CHNH−(CH−、又は−CHNHCOCHNH−(CH−であり、Phはフェニレン基、Yは、−NR’R”、−SOH、−COOH、水素原子、又は下記化学式(2)で表される置換基を表す。R’及びR”はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の置換されていても良い飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基若しくは芳香族炭化水素基、又は、隣接する窒素原子と共に更に窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含んでいても良い複素環を形成したものを表す。mはそれぞれ独立に、0〜6の整数である。)
【0036】
【化7】

(化学式(2)において、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Arは、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、ニトロ基、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。)
【0037】
化学式(2)において、Rの炭素数1〜6のアルキレン基としては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキレン基が挙げられ、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、各種ブチレン基等が挙げられる。中でも、製造が容易な点から、アルキレン基としては、メチレン基であることが好ましい。
【0038】
また、化学式(2)において、Arのアリーレン基に置換されていても良いハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子が好ましい。
化学式(2)中、Arのアリーレン基に置換されていても良いアリールスルホニル基としては、フェニルスルホニル基、及び、置換されたフェニルスルホニル基、例えば、p−トリルスルホニル基、p−クロロフェニルスルホニル基、p−ブロモフェニルスルホニル基等を挙げることができる。
化学式(2)中、Arのアリーレン基に置換されていても良いアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンジル基等を挙げることができる。
【0039】
化学式(2)の置換基としては、中でも、フタルイミドアルキル基であることが好ましく、更に、フタルイミドメチル基であることが好ましい。
【0040】
また、−(CH−NR’R”を含む置換基に導入されるアミン成分(−(CH−NR’R”)の代表的なものとしては、ピペリジノメチル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、ジエチルアミノプロピル、ジブチルアミノプロピル、ピペリジノエチル、ピペコリノエチル、モルホリノエチル、ピペリジノプロピル、ピペコリノプロピル、ジエチルアミノヘキシル、ジエチルアミノエトキシプロピル、ジエチルアミノブチル、ジメチルアミノアミル、N−N−メチル−ラウリル−アミノプロピル、2−エチルヘキシルアミノエチル、ステアリルアミノエチル、オレイルアミノエチル等が挙げられる。
【0041】
化学式(1)において、mはそれぞれ独立に、0〜6の整数であるが、カルバモイル基、スルファモイル基以外では、中でも好ましくは、mは1〜3である。
【0042】
一般式(1)で示される置換基の具体例としては、フタルイミドメチル基、4−ニトロフタルイミドメチル基、4−クロロフタルイミドメチル基、テトラクロロフタルイミドメチル基、ナフタルイミドメチル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アミノメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジブチルアミノメチル基、ピペリジノメチル基、ジメチルアミノプロピルスルファモイル基、ジエチルアミノプロピルスルファモイル基、ジブチルアミノプロピルスルファモイル基、モルホリノエチルスルファモイル基、ピペリジノメチルスルファモイル基、ジメチルアミノエチルスルファモイル基、ジエチルアミノエチルスルファモイル基、ピペリジノエチルスルファモイル基、ピペコリノエチルスルファモイル基、ピペリジノプロピルスルファモイル基、ピペコリノプロピルスルファモイル基、ジエチルアミノヘキシルスルファモイル基、ジエチルアミノブチルスルファモイル基、ジメチルアミノアミルスルファモイル基、N−N−メチル−ラウリル−アミノプロピルスルファモイル基、2−エチルヘキシルアミノエチルスルファモイル基、ステアリルアミノエチルスルファモイル基、オレイルアミノエチルスルファモイル基、ジメチルアミノプロピルカルバモイル基、4−(ジエチルアミノプロピルカルバモイル)フェニルカルバモイル、ジメチルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、ジエチルアミノプロピルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、ジブチルアミノプロピルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、p−ジメチルアミノエチルスルファモイルフェニル基、p−ジエチルアミノエチルスルファモイルフェニル、p−ジメチルアミノプロピルスルファモイルフェニル基、p−ジエチルアミノエチルカルバモイルフェニル基、スルホン酸基、カルボン酸基などが挙げられる。
【0043】
銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体における置換基は、1種単独でもよいが、2種以上の置換基が含まれていても良い。
【0044】
銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体における、導入された官能基の数は、1個〜3個であることが好ましく、更に1〜2個であることが好ましい。
【0045】
銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体における置換基としては、中でも、下記化学式(2)〜化学式(10)よりなる群から選択される1種以上の置換基を青色顔料1分子に対して1個〜3個、更に1個〜2個有する誘導体又はそれらの塩であることが、塗膜形成後、露光後の高温(230℃以上)加熱工程後のコントラストの低減が抑制される点から好ましい。
【0046】
【化8】

化学式(3): −SO
化学式(4): −SONH−(CH−NR’R”
化学式(5): −SONH−(CH−SO
化学式(6): −SONH−(CH−COOH
化学式(7): −CONH−(CH−NR’R”
化学式(8): −CONH−(CH−SO
化学式(9): −CONH−(CH−COOH
化学式(10): −COOH
(化学式(2)において、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Arは、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、ニトロ基、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。
化学式(4)及び(7)において、R’及びR”はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の置換されていても良い飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基若しくは芳香族炭化水素基、又は、隣接する窒素原子と共に更に窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含んでいても良い複素環を形成したものを表す。化学式(4)〜(9)において、mはそれぞれ独立に、1〜6の整数である。)
【0047】
その中でも、上記化学式(2)〜化学式(6)よりなる群から選択される1種以上の置換基及びそれらの塩が、更に、上記化学式(3)〜化学式(6)よりなる群から選択される1種以上の置換基及びそれらの塩が、分散性、分散安定性、露光後の高温(230℃以上)加熱工程後のコントラストの低減の点から好ましい。
【0048】
また、化学式(1)の置換基を有する誘導体は、例えば、特公昭39−28884号公報、57−15620、58−28303、64−5070に記載の方法で製造できる。より具体的には、化学式(3)の置換基を有する誘導体は、例えば、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料を、濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸又はこれらの混合液などに投入してスルホン化反応を行うことにより製造することができる。スルホン化反応後、反応液を大量の水で希釈するか、あるいはアミン水溶液で中和することが好ましく、得られた懸濁液を濾過した後に水系の洗浄液で洗浄し、乾燥する。用いられるアミン水溶液のアミンを適宜選択することにより、化学式(4)〜(6)のスルホンアミド基を適宜設計通りに導入できる。
【0049】
上記の方法でスルホン化を行う場合、反応液濃度、反応温度、反応時間などを調整することにより1分子当たりのスルホン酸基やスルホンアミド基の導入量を制御することができる。
【0050】
また、化学式(2)の置換基を有する誘導体は、例えば、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料を、パラホルムアルデヒドとフタルイミド等の特定のイミドとを、三酸化硫黄や硫酸中で、反応させることにより製造することができる。なお、化学式(2)の置換基を導入する方法については、特表2004−501911号公報に詳細に記載され、これを参照することができる。
【0051】
また、前記銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体が、塩である場合としては、例えば、当該青色顔料がスルホン酸基やカルボン酸基のような酸の置換基を末端に含み、当該酸の置換基が金属塩やアミン塩となっている場合が挙げられる。前記銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体が、塩である場合としては、例えば下記化学式(P-3’)、(P-5’)、(P-6’)、(P-8’)、(P-9’)及び(P-10’)が挙げられる。
【0052】
化学式(P-3’):[CuPC−SO・Dn+
化学式(P-5’):[CuPC−SONH−(CH−SO・Dn+
化学式(P-6’):[CuPC−SONH−(CH−COO・Dn+
化学式(P-8’):[CuPC−CONH−(CH−SO・Dn+
化学式(P-9’):[CuPC−CONH−(CH−COO・Dn+
化学式(P-10’):[CuPC−COO・Dn+
(化学式(P-3’)、(P-5’)、(P-6’)、(P-8’)、(P-9’)及び(P-10’)において、CuPCは、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料を表す。nはそれぞれ独立に1〜3の整数である。mはそれぞれ独立に、1〜6の整数である。Dn+は、n価の陽イオンである。)
【0053】
銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体が塩である場合の具体例としては、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料に、ナトリウムスルホナト基が結合した誘導体([CuPC−SO]・Na)、カルシウムスルホナト基が結合した誘導体([CuPC−SO・Ca2+)、アルミニウムスルホナト基が結合した誘導体([CuPC−SO・Al3+)、その他、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料にドデシルアンモニオスルホナト基、オクタデシルアンモニオスルホナト基、トリメチルオクタデシルアンモニオスルホナト基、ジメチルジデシルアンモニオスルホナト基、又は、2−アルミニウムカルボキシラト−5−ニトロベンズアミドメチル基が結合している誘導体を例示できる。
【0054】
銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体としては、本発明に係る紫色顔料分散液において、1種単独で又は2種類以上混合して用いることができる。例えば、置換基の種類、置換位置又は置換数が異なる誘導体を2種以上混合して用いても良い。
【0055】
本発明において、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体は、前記C.I.ピグメントバイオレット23の100重量部に対して、1〜20重量部含有されることが好ましい。中でも、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体は、前記C.I.ピグメントバイオレット23の100重量部に対して、3〜15重量部、更に3〜10重量部含有されることが好ましい。このような含有量で用いられることにより、露光後の高温(230℃以上)加熱工程後のコントラストの低減が抑制される塗膜を作製可能になる。
【0056】
(顔料分散剤)
本発明に用いられる顔料分散剤は、上記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、上記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有し、さらに前記繰り返し単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素とが塩を形成したブロック共重合体である。
このようなブロック共重合体においては、塩を含むブロック部分が、顔料及び銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体に吸着し、塩を含まないブロック部分が、溶媒に対して溶解性を有するため、顔料の分散性を向上することができる。特に、本発明においては、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体と塩型のブロック共重合体からなる顔料分散剤を組み合わせて用いるため、C.I.ピグメントバイオレット23の微細化を実現することが可能になり、コントラストを向上することができる。
【0057】
<ブロック共重合体>
上記ブロック共重合体は、上記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、上記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有するものである。
上記一般式(I)において、Rは、水素原子又はメチル基を示し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。ここで、炭素数1〜8のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などを挙げることができる。これらの中で、メチル基及びエチル基が好ましい。
本発明においては、上記R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0058】
Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、*−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−**、又は、*−[(CH−O]−(CH−**で示される2価の基である。ここで、*は、エステル結合側の連結部位を表し、**は、アミノ基側の連結部位を表す。また、上記炭素数1〜8のアルキレン基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種へキシレン基、各種オクチレン基などである。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
xは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、yは1〜5の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。zは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。本発明においては、x、y、及びzが、上記の範囲内にあれば、本発明のカラーフィルタ用紫色顔料分散液は、顔料の分散性に優れたものになる。
上記Aとしては、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、メチレン基及びエチレン基がより好ましい。炭素数が1〜8の範囲内であれば、顔料の分散性を良好に保つことができる。
【0059】
上記一般式(II)において、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R又は−[(CH−O]−Rを示す。
上記炭素数1〜18のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基、低級アルキル基置換アダマンチル基などを挙げることができる。
上記炭素数2〜18のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基、各種ブテニル基、各種ヘキセニル基、各種オクテニル基、各種デセニル基、各種ドデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種オクタデセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基などを挙げることができる。アルケニル基の二重結合の位置には限定はないが、得られたポリマーの反応性の点からは、アルケニル基の末端に二重結合があることが好ましい。
【0060】
置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アリール基の炭素数は、6〜24が好ましく、更に6〜12が好ましい。
置換基を有していてもよいアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられる。アラルキル基の炭素数は、7〜20が好ましく、更に7〜14が好ましい。
アリール基やアラルキル基等の芳香環の置換基としては、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基の他、アルケニル基、ニトロ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
なお、上記好ましい炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
【0061】
上記R及びRは、前記と同じであり、Rは水素原子、あるいは置換基を有してもよい、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基である。
上記Rで示される1価の基において、有してもよい置換基としては、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子などを挙げることができる。
上記Rのうちの炭素数1〜18のアルキル基、及び炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基は、前記Rで示したとおりである。
上記Rにおいて、x、y及びzは、前記Aで説明したとおりである。
また、上記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)中のRは、互いに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0062】
本発明において、上記Rとしては、なかでも、後述する溶媒との溶解性に優れたものを用いることが好ましく、具体的には、上記ブロック共重合体を構成する繰り返し単位等によっても異なるが、カラーフィルタ用の溶媒として一般的に使用されているエーテルアルコールアセテート系、エーテル系、エステル系などの溶媒を用いる場合には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基等が好ましく、上記溶媒が、ペンタン、ヘキサン等のより極性の低いものである場合には、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等を用いることが好ましい。
ここで、上記Rをこのように設定する理由は、上記Rを含む繰り返し単位(2)が、上記溶媒に対する良好な溶解性を有し、上記繰り返し単位(1)のアミノ基と、後述する有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素とが形成する塩形成部位が顔料に対して高い吸着性を有するものであることにより、顔料の分散性及び安定性を特に優れたものとすることができるからである。
【0063】
さらに、上記Rは、上記ブロック共重合体の分散性能等を妨げない範囲で、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、水素結合形成基等の置換基によって置換されたものとしてもよく、また、上記ブロック共重合体の合成後に、上記置換基を有する化合物と反応させて、上記置換基を付加させてもよい。また、これらの置換基を有するブロック共重合体を合成した後に、当該置換基と反応する官能基と重合性基とを有する化合物を反応させて、重合性基を付加したものとしてもよい。例えば、カルボキシル基を有するブロック共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させたり、イソシアネート基を有するブロック共重合体にヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させたりして、重合性基を付加することができる。
【0064】
本発明に用いられる構成単位(1)のユニット数m及び構成単位(2)のユニット数nの比率m/nとしては、0.01〜1の範囲内であることが好ましく、0.05〜0.5の範囲内であることがより好ましい。比率m/nが上記範囲内にあれば、顔料に対する吸着性が良好となり、上記構成単位(2)による上記溶媒との溶解性が低くなることがなく、顔料の分散性、及び安定性が低下することがない。
【0065】
本発明に用いられる上記ブロック共重合体の分子サイズに関しては、上記繰り返し単位(1)の数mは、1〜200の整数、好ましくは1〜50の整数である。上記繰り返し単位(2)の数nは、10〜200の整数、好ましくは20〜100の整数、より好ましくは20〜70の整数である。本発明においては、m及びnが、それぞれ上記の範囲内にあることにより、溶媒可溶性部位と溶媒不溶性部位が効果的に作用し、本発明のカラーフィルタ用紫色顔料分散液を顔料の分散性に優れたものとすることができる。
さらに、上記ブロック共重合体の重量平均分子量Mwは、500〜20000の範囲内であることが好ましく、1000〜15000の範囲内であることがより好ましく、3000〜12000の範囲内であることがさらに好ましい。上記範囲内であることにより、顔料を均一に分散させる分散初期の顔料に対する濡れ性と分散安定性を両立することが可能となる。
【0066】
なお、上記重量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値である。測定は、東ソー(株)製のHLC−8120GPCを用い、溶出溶媒を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN−メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、206500、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS−2シリーズ)及びMw1090000(東ソー(株)製)とし、測定カラムをTSK−GEL ALPHA−M×2本(東ソー(株)製)として行われたものである。
【0067】
本発明に用いられるブロック共重合体の結合順としては、上記繰り返し単位(1)及び上記繰り返し単位(2)を有し、顔料を安定に分散することができるものであればよく、特に限定されないが、上記繰り返し単位(1)が上記ブロック共重合体の一端のみに結合したものであることが好ましい。すなわち、上記繰り返し単位(1)と、上記繰り返し単位(2)とが、繰り返し単位(1)−繰り返し単位(2)の順で結合したものであってもよく、繰り返し単位(1)−繰り返し単位(2)−繰り返し単位(1)の順で結合したものであってもよく、繰り返し単位(1)−繰り返し単位(2)が繰り返し結合したものであってもよいが、本発明においては、なかでも繰り返し単位(1)−繰り返し単位(2)の順で結合したものが好ましい。その理由は、顔料に対する吸着性に優れ、さらにこのようなブロック共重合体を用いた顔料分散剤同士の凝集を効果的に抑えることができるからである。
【0068】
構成単位(1)や構成単位(2)が2種以上含まれる場合において、構成単位(1)−構成単位(2’)−構成単位(2”)の順で結合したブロック共重合体や、構成単位(1’)−構成単位(1”)−構成単位(2)の順で結合したブロック共重合体や、構成単位(1’)−構成単位(1”)−構成単位(2’)−構成単位(2”)の順で結合したブロック共重合体などであっても良い。
【0069】
<有機酸化合物>
前述した一般式(I)で表される構成単位(1)と、一般式(II)で表される構成単位(2)とを有するブロック共重合体の構成単位(1)が有するアミノ基と、塩を形成する有機酸化合物としては、下記一般式(III)で表される構造を有する有機リン酸化合物及び/又は上記一般式(IV)で表される構造を有する有機スルホン酸化合物が挙げられる。
【0070】
【化9】

[式(III)及び式(IV)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含む。Ra’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
、Ra’、及びRにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。]
【0071】
本発明においては、上記有機酸化合物及び/又は後述するハロゲン化炭化水素を用いることにより、当該顔料分散剤を、顔料の分散性及び安定性に優れたものとすることができる。さらに、有機酸化合物が用いられる場合には、塩形成部位が、アルカリ現像時のアルカリ水溶液に対して高い溶解性を有することから、アルカリ現像性に優れた感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0072】
上記一般式(III)において、R及びRa’は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’を示し、R及びRa’のうちいずれかは炭素原子を含む。
【0073】
上記炭素数1〜18のアルキル基、上記炭素数2〜18のアルケニル基、アリール基、及びアラルキル基は、前記Rで示したとおりである。アルケニル基の二重結合の位置には限定はないが、反応性の点からは、アルケニル基の末端に二重結合があることが好ましい。
上記アルキル基やアルケニル基は置換基を有していても良く、当該置換基としては、F、Cl、Brなどのハロゲン原子、ニトロ基等が挙げられる。
また、上記アリール基やアラルキル基等の芳香環の置換基としては、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基の他、アルケニル基、ニトロ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
【0074】
上記R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基である。
【0075】
上記Rで示される1価の基において、有してもよい置換基としては、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子などを挙げることができる。
上記Rのうちの炭素数1〜18のアルキル基は前記のRで示したとおりであり、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基は、前記のR及びRa’で示したとおりである。
【0076】
及び/又はRa’が、−O−Ra’’の場合、酸性リン酸エステルとなる。上記R’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
上記炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基は、前記のR及びRa’で示したとおりである。尚、Ra’’が芳香環を有する場合、該芳香環上に適当な置換基、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基などを有していてもよい。
【0077】
、Ra’及びRa’’において、sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数である。sは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、tは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。uは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。
【0078】
上記一般式(IV)において、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’を示す。
上記炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基は、前記のR及びRa’で示したとおりである。
【0079】
が、−O−R’の場合、酸性硫酸エステルとなる。上記R’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
、R’において、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していても良い。
上記炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rは、前記R、R及びRa’’で示したとおりである。
また上記R、R及びRは、前記R、Ra’及びRa’’で示したとおりである。
上記R及びR’において、sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数である。好ましいs、t、uは、上記R、Ra’及びRa’’と同様である。
【0080】
上記一般式(III)で表される有機酸化合物としては、前記一般式(III)におけるR及びRa’が、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−R、あるいは、−O−Ra’’で示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含み、且つ、Ra’’が、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rであり、R及びRが、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rが−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであるものが顔料分散性に優れたものとすることができる点から好ましい。
【0081】
また、一般式(IV)で表される有機酸化合物としては、一般式(IV)におけるRが、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−R、あるいは、−O−Rb’で示される1価の基であり、Rb’が、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rであり、R及びRが、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rが−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであるものが顔料分散性に優れたものとすることができる点から好ましい。
【0082】
中でも、上記一般式(III)及び一般式(IV)で表される有機酸化合物は、R、Ra’及び/又はRa’’、並びに/或いは、R及び/又はRb’として、芳香環を有することが顔料分散性の点から好ましい。R、Ra’及びRa’’の少なくとも1つ、或いは、R又はRb’が、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、より具体的には、ベンジル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基であることが、顔料分散性の点から好ましい。前記一般式(III)においては、R及びRa’の一方が芳香環を有する場合には、R及びRa’の他方は、水素原子や水酸基であるものも好適に用いられる。
【0083】
また、耐熱性や耐薬品性の点からは、上記一般式(III)及び一般式(IV)で表される有機酸化合物としては、リン(P)や硫黄(S)に炭素原子が直接結合した化合物であることが好ましく、R及びRa’が、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含むことが好ましい。また、Rが、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基であることが好ましい。
【0084】
また、上記一般式(III)及び一般式(IV)で表される有機酸化合物は、R、Ra’及び/又はRa’’、並びに/或いは、R及び/又はRb’としては、重合性基を有するもの、すなわち、ビニル基、アリル基あるいは−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rであり、且つ、Rが−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであるものが好ましく、特に、R、Ra’及び/又はRa’’、並びに/或いは、R及び/又はRb’が、ビニル基、アリル基、2−メタクリロイルオキシエチル基、2−アクリロイルオキシエチル基であるものが好ましい。
このような場合には、本発明のカラーフィルタ用感光性樹脂組成物を用いて着色層を形成する際の露光時に、上記重合性基同士及び/又は上記重合性基と、本発明のカラーフィルタ用感光性樹脂組成物に含まれるアルカリ可溶性樹脂及び多官能性モノマー等とを容易に重合することができ、カラーフィルタの着色層中において、上記顔料分散剤が、安定に存在することを可能とする。このようなカラーフィルタを用いて液晶表示装置を製造した際には、液晶層等へ上記顔料分散剤がブリードアウトすることを防止することができる。
【0085】
また、当該有機酸化合物が、重合性基を含むことにより、着色層形成に用いる前に、当該有機酸化合物が有する重合性基同士を重合させることができ、その結果顔料分散剤が高分子量化されるため、着色層形成の現像時において、未露光箇所のカラーフィルタ用感光性樹脂組成物を、アルカリ現像性に特に優れるものとすることができる。
【0086】
尚、上記一般式(III)及び一般式(IV)で表される有機酸化合物は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0087】
<ハロゲン化炭化水素>
本発明で用いられるハロゲン化炭化水素は、前述した一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有するブロック共重合体の繰り返し単位(1)が有するアミノ基と塩を形成する。
本発明においては、上記ハロゲン化炭化水素を用いることにより、顔料分散剤の生成した塩形成部位が顔料への吸着性に優れているために高い分散性を発現することができると同時に、分散剤の耐熱性や耐アルカリ性を高くすることができる。
【0088】
上記ハロゲン化炭化水素としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のいずれかのハロゲン原子が、飽和又は不飽和の直鎖、分岐又は環状の炭化水素の水素原子と置換されているものが挙げられる。中でも、炭化水素の水素原子の1つがハロゲン原子に置換されたハロゲン化炭化水素であることが、顔料分散剤と塩を形成して、顔料分散性を高める点から好ましい。
また、上記ハロゲン化炭化水素としては、直鎖、分岐鎖又は環状であっても良い。また、炭素数は、1〜18であることが好ましく、更に1〜7であることが好ましい。
【0089】
上記ハロゲン化炭化水素のうち、ハロゲン化アルキルとしては、炭素数1〜18のものが挙げられるが特に限定されない。具体的には、例えば、塩化メチル、臭化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、塩化n−ブチル、塩化ヘキシル、塩化オクチル、塩化ドデシル、塩化テトラデシル、塩化ヘキサデシル等が挙げられる。また、ハロゲン化アリルとしては、例えば、塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリルが挙げられる。また、上記ハロゲン化アラルキルのアラルキル基としては、炭素数7〜18のものが挙げられるが特に限定されない。具体的には、例えば、塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル、塩化ナフチルメチル、塩化ピリジルメチル、臭化ナフチルメチル、臭化ピリジルメチル等が挙げられる。
【0090】
中でも、ハロゲン化ベンジル、ハロゲン化アリル、及びハロゲン化メチルよりなる群から選択される少なくとも1種であることが、塩形成反応のしやすさと、生成した塩形成部位が顔料への吸着性に優れている点から好ましい。
【0091】
本発明で用いられるブロック共重合体における該有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素の含有量は、良好な分散安定性が発揮されるのであればよく、特に制限はないが、一般に前記一般式(I)で表される3級アミノ基に対して、0.01〜2.0モル当量程度であり、より好ましくは0.1〜1.0モル当量である。このような場合、顔料分散性及び顔料分散安定性が優れたものになる。
中でも特に、上記ハロゲン化炭化水素を用い、且つ、ハロゲン化炭化水素の含有量を前記一般式(I)で表される3級アミノ基に対して、0.1〜0.5モル当量とすることにより、顔料分散性及び顔料分散安定性が優れると共に、溶剤再溶解性にも優れたものになる。溶剤再溶解性に優れる場合、カラーフィルター用基板上にダイコート法により塗布しカラーフィルターの着色層を形成する際に、乾燥物がダイリップに発生しにくく、かつダイリップに発生した場合にも次の塗布時に吐出される感光性樹脂組成物中の溶剤に容易に溶解する。また、溶剤再溶解性に優れる場合、長時間の乾燥によって強固な乾燥物がダイリップに発生した場合であっても、溶剤を用いた洗浄により該乾燥物を容易に除去することが可能である。
尚、上記該有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素を2種以上併用する場合、これらを合計した含有量が上記範囲内にあればよい。
【0092】
<顔料分散剤の製造>
本発明において、顔料分散剤として用いるブロック共重合体の製造方法としては、上記の繰り返し単位(1)と、繰り返し単位(2)とを有し、かつ上記繰り返し単位(1)が有するアミノ基と、上記の有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素とが塩を形成したものを製造することができる方法であればよく特に限定されない。本発明においては、例えば、上記の繰り返し単位(1)及び繰り返し単位(2)を公知の重合手段を用いて重合した後、後述する溶媒中に溶解又は分散し、次いで該溶媒中に上記有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素を添加し、攪拌することにより顔料分散剤を製造することができる。
【0093】
上記重合手段としては、上記の繰り返し単位(1)及び繰り返し単位(2)を所望の数で重合し、所望の分子量とすることができる手段であればよく、特に限定されず、ビニル基を有する化合物の重合に一般的に用いられる方法を採用することができ、例えばアニオン重合やリビングラジカル重合等を用いることができる。本発明においては、なかでも、「J.Am.Chem.Soc.」105、5706(1983)に開示されているグループトランスファー重合(GTP)のようにリビング的に重合が進行する方法を用いることが好ましい。この方法によると、分子量、分子量分布等を所望の範囲とすることが容易であるので、該顔料分散剤の分散性を均一にすることができる。
【0094】
本発明のカラーフィルタ用紫色顔料分散液において、顔料分散剤としては、上記ブロック共重合体を1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その含有量としては、顔料を均一に分散することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、顔料100重量部に対して10〜150重量部用いることができる。更に、顔料100重量部に対して15〜45重量部の割合で配合するのが好ましく、特に15〜40重量部の割合で配合するのが好ましい。塩型グラフト共重合体の含有量が上記範囲内にあれば、顔料を均一に分散させることができる。なお本発明において、顔料誘導体以外の含有量を規定する際の、顔料には、顔料の他、顔料誘導体が含まれ、例えば、C.I.ピグメントバイオレット23の他、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体も含まれる。
【0095】
(溶媒)
本発明に係るカラーフィルタ用紫色顔料分散液には、顔料を分散させるために溶媒が含まれる。顔料分散液に用いる溶媒としては、該顔料分散液中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶媒であればよく、特に限定されない。
本発明の顔料分散液に用いる溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、i−プロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;メトキシアルコール、エトキシアルコールなどのセロソルブ系溶媒;メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノールなどのカルビトール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶媒;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶媒;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド溶媒;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系溶媒;N−ヘプタン、N−ヘキサン、N−オクタンなどの飽和炭化水素系溶媒などの有機溶媒が挙げられる。これらの溶媒の中では、メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶媒;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶媒;メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒;シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒が好適に用いられる。中でも、本発明に用いる溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(CHOCHCH(CH)OCOCH)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート及びシクロヘキサノンよりなる群から選択される1種以上であることが、他の成分の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
【0096】
これらの溶媒は単独もしくは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の顔料分散液は、以上のような溶媒を、当該溶媒を含む顔料分散液の全量に対して、通常は60〜85重量%の割合で用いて調製する。溶媒が少なすぎると、粘度が上昇し、顔料分散性が低下しやすい。また、溶媒が多すぎると、顔料濃度が低下し、樹脂組成物を調製後目標とする色度座標に達成することが困難な場合がある。
【0097】
(C.I.ピグメントバイオレット23の誘導体)
本発明の紫色顔料分散液においては、C.I.ピグメントバイオレット23の誘導体を含まないことを特徴とする。
塗膜形成後のコントラストを悪化させるC.I.ピグメントバイオレット23の誘導体を含まず、代わりに、銅フタロシアニンの誘導体を用いるために、本発明の紫色顔料分散液においては、塗膜形成後のコントラストが向上する。
【0098】
C.I.ピグメントバイオレット23の誘導体としては、上述のC.I.ピグメントバイオレット23の構造式に、各種置換基を有するものが挙げられる。各種置換基の具体例としては、前記銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体が有する置換基と同様のものが挙げられる。
【0099】
(その他の成分)
本発明の紫色顔料分散液においては、実質的に、顔料としてはC.I.ピグメントバイオレット23のみを含み、顔料誘導体としては、前記銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体のみを含むことが好ましいが、本発明の効果が損なわれない限り、他の顔料や、C.I.ピグメントバイオレット23の誘導体以外の他の顔料誘導体を含んでいても良い。このような顔料誘導体は、顔料骨格に官能基を付与し、様々な機能を顔料に付加する役割を持つ化合物である。
【0100】
他の顔料としては、例えば、後述の青色感光性樹脂組成物において述べるような、他の紫色顔料や、カラーフィルタの青色着色層に必要な特定の色味を達成する点から青色顔料が挙げられる。
【0101】
本発明の顔料分散液には、さらに必要に応じて、顔料分散補助樹脂やその他の成分を配合しても良い。
顔料分散補助樹脂としては、例えば後述する感光性樹脂組成物で例示されるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂の立体障害によって顔料粒子同士が接触しにくくなり、分散安定化することやその分散安定化効果によって分散剤を減らす効果がある場合がある。
また、本発明の効果が損なわれない限り、他の顔料分散剤を含んでいても良い。
また、その他の成分としては、例えば、濡れ性向上のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0102】
<顔料分散液の製造方法>
本発明の顔料分散液は、上記溶媒中、上記銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体と、上記3級アンモニウム塩又は4級アンモニウム塩を含むブロック共重合体である顔料分散剤との存在下で、上記C.I.ピグメントバイオレット23を分散させる工程を有する。
分散工程において、分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントコンディショナー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミルが挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03〜2.00mmが好ましく、より好ましくは0.10〜1.0mmである。
【0103】
具体的には、ビーズ径が比較的大きめな2mmジルコニアビーズで予備分散を行い、更にビーズ径が比較的小さめな0.1mmジルコニアビーズで本分散することが挙げられる。また、分散後、0.5〜0.1μmのメンブランフィルターで濾過することが好ましい。
【0104】
このようにして得られる本発明に係る紫色顔料分散液は、青色感光性樹脂組成物を調製する際に、別途青色顔料分散液と混合される紫色顔料分散液として好適に用いられる。
【0105】
2.カラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物
本発明に係るカラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物は、少なくとも前記本発明に係るカラーフィルタ用紫色顔料分散液と、青色顔料と、感光性バインダ成分とを含有することを特徴とする。
【0106】
本発明に係るカラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物は、上記本発明に係る紫色顔料分散液を含むため、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温(230℃以上)加熱工程後のコントラストの低減が抑制された青色着色層を形成可能になる。
以下、このような本発明のカラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物に用いられる成分を説明する。
なお、上記本発明に係るカラーフィルタ用紫色顔料分散液に含まれ得る成分については、上記顔料分散液の箇所において説明したものと同様のものを用いることができるので、ここでの説明は省略する。
【0107】
(青色顔料)
本発明のカラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物には、カラーフィルタにおける用途や仕様に必要とされる色度を達成するために、青色顔料を含む。
青色顔料は、カラーフィルタにおける用途や仕様により適宜選択され、必要な色度を達成するために、公知の無機顔料および有機顔料の中から1種または2種以上を混合して用いられる。また、カラーフィルタにおける用途や仕様に必要とされる色度を達成でき、本発明の効果を損なわない限り、他の顔料を更に含有していても良い。
【0108】
有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー80等が挙げられる。
【0109】
中でも、C.I.ピグメントブルー15:6であることが、カラーフィルタの青色着色層に必要な特定の色味を達成しながら、輝度及びコントラストを向上する点から好ましい。
【0110】
青色顔料は、紫色顔料分散液中の紫色顔料1重量部に対して、2〜200重量部となるように用いることが好ましく、更に、2〜20重量部となるように用いることが好ましい。上記範囲内とすることで、カラーフィルタの仕様に必要とされる青色の色度を達成しながら、コントラストを向上させることができる。
【0111】
(他の顔料)
本発明のカラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物には、カラーフィルタにおける用途や仕様に必要とされる色度を達成するために、更に他の顔料を用いても良い。他の顔料としては、例えば、本発明の効果が損なわれない限り他の紫色顔料として、C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントバイオレット38等が挙げられる。
【0112】
(感光性バインダ成分)
本発明においては、塗膜に充分な強度、耐久性、密着性を付与する点から、基板上に塗工又は転写などによりパターンを形成後、該塗膜を重合反応により硬化させることができる、バインダ成分を用いる。以下に説明する感光性バインダ成分の他に、エポキシ樹脂のような加熱により重合硬化させることができる熱硬化性のバインダ成分を更に用いてもよい。優れた顔料分散性を有する上記本発明に係る顔料分散液を用いて本発明に係る樹脂組成物を調製するにあたり、その優れた顔料分散性を阻害しないように、適宜バインダ成分を選択する必要がある。
【0113】
感光性バインダ成分には、紫外線、電子線等の光により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含み、露光部を硬化させて未露光部を溶解除去することにより露光部のみの塗膜パターンの作成が可能となるネガ型の感光性バインダ成分が挙げられる。
本発明に係るカラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物においては、ネガ型感光性バインダ成分であることが、フォトリソグラフィー法によって既存のプロセスを用いて簡便にパターンを形成できる点から好ましい。
【0114】
紫外線、電子線等の光により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含むネガ型感光性バインダ成分は、(i)アルカリ可溶性樹脂、(ii)多官能性モノマー、(iii)光重合開始剤、及び増感剤等を配合して構成される。
【0115】
(i)アルカリ可溶性樹脂
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂は側鎖にカルボキシル基を有するものであり、バインダ樹脂として作用し、かつパターン形成する際に用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に可溶性である限り、適宜選択して使用することができる。
本発明における好ましいアルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を有する樹脂であり、具体的には、カルボキシル基を有するアクリル系共重合体、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、側鎖にカルボキシル基を有するとともに、さらに側鎖にエチレン性不飽和基等の光重合性官能基を有するものである。光重合性官能基を含有することにより形成される硬化膜の膜強度が向上するからである。また、これらアクリル系共重合体、及びエポキシアクリレート樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
【0116】
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとエチレン性不飽和モノマーを共重合して得られる。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更に芳香族炭素環を有する構成単位を含有していてもよい。芳香族炭素環は感光性樹脂組成物に塗膜性を付与する成分として機能する。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更にエステル基を有する構成単位を含有していてもよい。エステル基を有する構成単位は、感光性樹脂組成物のアルカリ可溶性を抑制する成分として機能するだけでなく、溶剤に対する溶解性、さらには溶剤再溶解性を向上させる成分としても機能する。
【0117】
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2,2’−オキシビス(メチレン)ビス−2−プロペノエート、スチレン、γ−メチルスチレン、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどの中から選ばれる1種以上と、(メタ)アクリル酸、アクリル酸の二量体(例えば、東亞合成化学(株)製M−5600)、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの無水物の中から選ばれる1種以上とからなるコポリマーを例示できる。また、上記のコポリマーに、例えばグリシジル基、水酸基等の反応性官能基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させるなどして、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等も例示できるが、これらに限定されるものではない。
これらの中で、コポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加等することにより、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等は、露光時に、後述する多官能性モノマーと重合することが可能となり、着色層がより安定なものとなる点で、特に好適である。
【0118】
カルボキシル基含有共重合体におけるカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合は、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%である。この場合、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合が5重量%未満では、得られる塗膜のアルカリ現像液に対する溶解性が低下し、パターン形成が困難になる。また、共重合割合が50重量%を超えると、アルカリ現像液による現像時に、形成されたパターンの基板からの脱落やパターン表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。
【0119】
カルボキシル基含有共重合体の好ましい分子量は、好ましくは1,000〜500,000の範囲であり、さらに好ましくは3,000〜200,000である。1,000未満では硬化後のバインダ機能が著しく低下し、500,000を超えるとアルカリ現像液による現像時に、パターン形成が困難となる場合がある。
【0120】
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ化合物と不飽和基含有モノカルボン酸との反応物を酸無水物と反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート化合物が適している。
エポキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、またはビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物などのエポキシ化合物が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0121】
不飽和基含有モノカルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、β−フルフリルアクリル酸、β−スチリルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸等が挙げられる。これら不飽和基含有モノカルボン酸は、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0122】
酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の二塩基性酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、エンドビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物のような多価カルボン酸無水物誘導体等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
このようにして得られるカルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物の分子量は特に制限されないが、好ましくは1000〜40000、より好ましくは2000〜5000である。
【0123】
(ii)多官能性モノマー
本発明における多官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物;ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、スピラン樹脂等のオリゴ(メタ)アクリレート類;両末端ヒドロキシポリ−1,3−ブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトン等の両末端ヒドロキシル化重合体のジ(メタ)アクリレート類;トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)フォスフェート等を挙げることができる。
【0124】
これらの多官能性モノマーのうち、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物が好ましく、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのこはく酸変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましい。前記多官能性モノマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0125】
本発明における多官能性モノマーの使用量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して、通常、5〜500重量部、好ましくは20〜300重量部である。多官能性モノマーの含有量が上記範囲より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が溶出する場合があり、また、多官能性モノマーの含有量が上記範囲より多いとアルカリ現像性が低下する可能性がある。
【0126】
(iii)光重合開始剤、及び増感剤
ネガ型感光性バインダ成分には、通常、使用する光源の波長に対して活性を有する光重合開始剤が配合される。光重合開始剤は、光重合成を有する重合体や光重合成モノマーの反応形式の違い(例えばラジカル重合やカチオン重合等)や、各材料の種類を考慮して適宜選択され、特に限定されない。
【0127】
光重合開始剤としては、例えば、紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、ビイミダゾール系化合物、ベンゾイン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、チオキサントン系化合物、トリアジン系化合物、ケタール系化合物、アゾ系化合物、過酸化物、2,3−ジアルキルジオン系化合物、ジスルフィド系化合物、チウラム化合物類、フルオロアミン系化合物、オキシムエステル系化合物などが挙げられる。これらは1種又は2種以上混合して用いることができる。
【0128】
本発明のカラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物において用いられる光開始剤の含有量は、上記多官能性モノマー100重量部に対して、通常0.01〜100重量部程度、好ましくは5〜60重量部である。この含有量が上記範囲より少ないと十分に重合反応を生じさせることができないため、着色層の硬度を十分なものとすることができない場合があり、一方上記範囲より多いと、カラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物の固形分中の顔料等の含有量が相対的に少なくなり、十分な着色濃度が得られない場合がある。
【0129】
また、本発明においては、必要に応じて、前記光重合開始剤と共に、増感剤および硬化促進剤の群から選ばれる1種以上をさらに併用することもできる。前記増感剤の具体例としては、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。また、前記硬化促進剤の具体例としては、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−4,6−ジメチルアミノピリジン、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、3−メルカプト−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール等の連鎖移動剤を挙げることができる。
【0130】
(その他の顔料分散剤)
感光性樹脂組成物においては、着色層の色度調整の点から、顔料として、少なくとも青色顔料等他の顔料が更に用いられる。当該他の顔料を分散させるために、上記本発明に係る顔料分散液に用いられた顔料分散剤を用いても良いが、他の顔料分散剤を用いて分散させても良く、感光性樹脂組成物に他の顔料分散剤が含まれていても良い。
他の顔料分散剤としては、特に限定されず、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。また、溶媒に少量溶解するような顔料誘導体を顔料分散剤として用いてもよい。
【0131】
顔料分散剤は、使用される顔料を良好に分散させるために適宜選択して用いられる。具体例には、ノナンアミド、デカンアミド、ドデカンアミド、N−ドデシルヘキサデカンアミド、N−オクタデシルプロピオアミド、N,N−ジメチルドデカンアミド及びN,N−ジヘキシルアセトアミド等のアミド化合物、ジエチルアミン、ジヘプチルアミン、ジブチルヘキサデシルアミン、N,N,N',N'−テトラメチルメタンアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン及びトリオクチルアミン等のアミン化合物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N,N',N'−(テトラヒドロキシエチル)−1,2−ジアミノエタン、N,N,N'−トリ(ヒドロキシエチル)−1,2−ジアミノエタン、N,N,N',N'−テトラ(ヒドロキシエチルポリオキシエチレン)−1、2−ジアミノエタン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン及び1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のヒドロキシ基を有するアミン等を例示することができ、その他にニペコタミド、イソニペコタミド、ニコチン酸アミド等の化合物を挙げることができる。
【0132】
さらに、ポリアクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体類;ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類;水酸基含有ポリアクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体やそれらの変性物;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリシロキサン類;長鎖ポリアミノアミドリン酸塩類;ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基含有ポリエステルとの反応により得られるアミドやそれらの塩類等を挙げることができる。
【0133】
(任意添加成分)
本発明のカラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じ各種添加剤を含むものであってもよい。該添加剤としては、例えば重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などが挙げられる。
これらの中で、用いることができる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類等を挙げることができる。また、その他にもフッ素系界面活性剤も用いることができる。
さらに、可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジル等が挙げられる。消泡剤、レベリング剤としては、例えばシリコン系、フッ素系、アクリル系の化合物等が挙げられる。
【0134】
<感光性樹脂組成物における各成分の配合割合>
顔料の合計の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量に対して、10〜40重量%、より好ましくは15〜35重量%の割合で配合することが好ましい。顔料が少なすぎると、感光性樹脂組成物を所定の膜厚(通常は1.0〜4.0μm)に塗布した際の透過濃度が十分でないおそれがあり、また顔料が多すぎると、感光性樹脂組成物を基板上へ塗布し硬化させた際の基板への密着性、硬化膜の表面荒れ、塗膜硬さ等の塗膜としての特性が不十分となるおそれがあり、またその感光性樹脂組成物中の顔料分散に使われる分散剤の量の比率も多くなるために現像性、耐熱性等の特性も不十分になるおそれがある。尚、本発明において固形分は、上述した溶媒以外のもの全てであり、溶媒中に溶解している多官能性モノマー等も含まれる。
また、顔料分散剤の合計の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量に対して、1〜60重量%の範囲内であることが好ましく、なかでも5〜50重量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が、感光性樹脂組成物の固形分全量に対して、1重量%未満の場合には、顔料を均一に分散することが困難になる恐れがあり、60重量%を超える場合には、硬化性、現像性の低下を招く恐れがある。
アルカリ可溶性樹脂、多官能モノマー、及び光開始剤は、これらの合計量が、感光性樹脂組成物の固形分全量に対して15〜89重量%、好ましくは25〜80重量%の割合で配合するのが好ましい。
また、溶媒の含有量としては、着色層を精度良く形成することができるものであれば特に限定されるものではない。該溶媒を含む上記感光性樹脂組成物の全量に対して、通常、65〜95重量%の範囲内であることが好ましく、なかでも75〜88重量%の範囲内であることが好ましい。上記溶媒の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
【0135】
(カラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物の製造)
本発明のカラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物の製造方法は、溶媒中、C.I.ピグメントバイオレット23の誘導体を含まずに、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体と、塩を形成したブロック共重合体からなる顔料分散剤との存在下で、C.I.ピグメントバイオレット23を分散させて紫色顔料分散液を調製する工程と、
前記紫色顔料分散液と、青色顔料分散液と、感光性バインダ成分とを混合する工程を有し、
前記顔料分散剤が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、下記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有し、さらに前記繰り返し単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素とが塩を形成したブロック共重合体である。
【0136】
カラーフィルタの青色着色層に必要な特定の色味を達成するために用いられる、青色顔料分散液は、C.I.ピグメントバイオレット23の代わりに青色顔料を用い、上記本発明に係る紫色顔料分散液の製造方法と同様にして、予め調製することが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物の製造方法としては、本発明に係る前記紫色顔料分散液と、青色顔料分散液と、感光性バインダ成分、必要に応じて更に、溶媒、各種添加成分とを添加し混合する方法を挙げることができる。
本発明のカラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物の製造方法は、予め顔料分散液を製造して用いるので、顔料の凝集を効果的に防ぎ、均一に分散させ得る点から好ましい。
【0137】
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
[カラーフィルタ]
本発明のカラーフィルタは、前述した本発明のカラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物を用いて形成されてなる着色層を有することを特徴とする。
このような本発明のカラーフィルタについて、図を参照しながら説明する。図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。図1によれば、本発明のカラーフィルタ10は、透明基板1と、遮光部2と、着色層3とを有している。
【0138】
(着色層)
本発明のカラーフィルタに用いられる着色層は、前述した本発明のカラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物を用いて形成されたものであればよく、特に限定されないが、通常、後述する透明基板上の遮光部の開口部に形成され、該カラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物に含まれる顔料の種類によって、3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、カラーフィルタ用感光性樹脂組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1〜5μmの範囲であることが好ましい。
【0139】
当該着色層は、例えば下記の方法により形成することができる。
まず、前述した本発明のカラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、コールコート法、スピンコート法などの塗布手段を用いて後述する透明基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。
次いで、ホットプレートやオーブンなどを用いて、該ウェット塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂及び多官能性モノマー等を光重合反応させて、カラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物の塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用するカラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
【0140】
次に、現像液を用いて現像処理し、未露光部分を溶解、除去することにより、所望のパターンで塗膜が形成される。現像液としては、通常、水や水溶性溶媒にアルカリを溶解させた溶液が用いられる。このアルカリ溶液には、界面活性剤などを適量添加してもよい。また、現像方法は一般的な方法を採用することができる。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、感光性樹脂組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択される。
【0141】
(遮光部)
本発明のカラーフィルタにおける遮光部は、後述する透明基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルタに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
当該遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。この遮光部としては、例えば、黒色顔料をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたものや、クロム、酸化クロム等の金属薄膜等が挙げられる。この金属薄膜は、CrO膜(xは任意の数)及びCr膜が2層積層されたものであってもよく、また、より反射率を低減させたCrO膜(xは任意の数)、CrN膜(yは任意の数)及びCr膜が3層積層されたものであってもよい。
当該遮光部が黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたものである場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、遮光部用感光性樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
【0142】
上記の場合であって、遮光部の形成方法として印刷法やインクジェット法を用いる場合、バインダ樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0143】
また、上記の場合であって、遮光部の形成方法としてフォトリソグラフィー法を用いる場合、バインダ樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。この場合、黒色着色剤及び感光性樹脂を含有する遮光部用感光性樹脂組成物には、光重合開始剤を添加してもよく、さらには必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。本発明においては、上記遮光部用感光性樹脂組成物として、青色顔料や紫色顔料の代わりに、顔料としてカーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料を用いて、上記本発明に係るカラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物と同様にして製造された組成物を用いてもよい。
【0144】
一方、遮光部が金属薄膜である場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、フォトリソグラフィー法、マスクを用いた蒸着法、印刷法等を挙げることができる。
【0145】
遮光部の膜厚としては、金属薄膜の場合は0.2〜0.4μm程度で設定され、黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたものである場合は0.5〜2μm程度で設定される。
【0146】
(透明基板)
本発明のカラーフィルタにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルタの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、上記透明基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
【0147】
次に、本発明の液晶表示装置について説明する。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、前述した本発明のカラーフィルタを有することを特徴とする。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルタ10と、TFTアレイ基板等を有する対向基板20と、上記カラーフィルタ10と上記対向基板20との間に形成された液晶層30とを有している。
なお、本発明の液晶表示装置は、この図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
【0148】
本発明の液晶表示装置の駆動方式としては、特に限定はなく一般的に液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、及びMVA方式等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
また、対向基板としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
さらに、液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
【0149】
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば、真空注入方式や液晶滴下方式等が挙げられる。
真空注入方式では、例えば、あらかじめカラーフィルタ及び対向基板を用いて液晶セルを作製し、液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して液晶セルに液晶を等方性液体の状態で注入し、接着剤で封鎖することにより液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また液晶滴下方式では、例えば、カラーフィルタの周縁にシール剤を塗布し、このカラーフィルタを液晶が等方相になる温度まで加熱し、ディスペンサー等を用いて液晶を等方性液体の状態で滴下し、カラーフィルタ及び対向基板を減圧下で重ね合わせ、シール剤を介して接着させることにより、液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
【実施例】
【0150】
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0151】
(合成例1:顔料誘導体の合成)
96%硫酸122重量部に20%発煙硫酸118重量部をとり、下記構造式を有する銅フタロシアニン30.0重量部を加えた。次いで、100℃で2時間攪拌した。
【0152】
【化10】

【0153】
反応液を氷水1600重量部に加え、15分間攪拌した後、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを800重量部の水で3回洗浄した。80℃で真空乾燥し、青色生成物を得た。青色生成物の構造は下記構造式で表されることが、TOF−MSによる分子量測定により確認された。
CuPc−SO
【0154】
(合成例2:顔料誘導体の合成)
クロロ硫酸545重量部を取り、氷水冷下で上記構造式を有する銅フタロシアニン 84.1重量部を加えた。90℃で4時間撹拌後、塩化チオニル79.1重量部を滴下した。85℃で2時間撹拌後、放冷した。氷水 2180重量部に反応液をあけ、ろ過した後、沈殿を氷冷しながら冷水578重量部で洗浄・ろ過した。
水酸化ナトリウム36.8重量部、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン 110重量部、水825重量部、氷 749重量部を加え、5℃以下を保ちながら1時間撹拌後、50℃で30分、更に70℃で30分撹拌した。懸濁液をろ過して沈殿を取り出し、水 700重量部で2回洗浄・ろ過した。ウェットケーキを80℃で真空乾燥した後、粉砕して青色生成物を得た。青色生成物の構造は下記構造式で表されることが、TOF−MSによる分子量測定により確認された。
CuPc−SONH(CH−N(C
【0155】
(合成例3:顔料誘導体の合成)
クロロ硫酸545重量部を取り、氷水冷下で上記構造式を有する銅フタロシアニン 84.1重量部を加えた。90℃で4時間撹拌後、塩化チオニル79.1重量部を滴下した。85℃で2時間撹拌後、放冷した。氷水 2180重量部に反応液をあけ、ろ過した後、沈殿を氷冷しながら冷水578重量部で洗浄・ろ過した。
水酸化ナトリウム36.8重量部、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン 158重量部、水825重量部、氷 749重量部を加え、5℃以下を保ちながら1時間撹拌後、50℃で30分、更に70℃で30分撹拌した。懸濁液をろ過して沈殿を取り出し、水 700重量部で2回洗浄・ろ過した。ウェットケーキを80℃で真空乾燥した後、粉砕して青色生成物を得た。青色生成物の構造は下記構造式で表されることが、TOF−MSによる分子量測定により確認された。
CuPc−SONH(CH−N(C
【0156】
(合成例4:顔料誘導体の合成)
クロロ硫酸545重量部を取り、氷水冷下で上記構造式を有する銅フタロシアニン 84.1重量部を加えた。90℃で4時間撹拌後、塩化チオニル79.1重量部を滴下した。85℃で2時間撹拌後、放冷した。氷水 2180重量部に反応液をあけ、ろ過した後、沈殿を氷冷しながら冷水578重量部で洗浄・ろ過した。
水酸化ナトリウム36.8重量部、βアラニン76.1重量部、水825重量部、氷749重量部を加え、5℃以下を保ちながら1時間撹拌後、50℃で30分、更に70℃で30分撹拌した。懸濁液をろ過して沈殿を取り出し、水700重量部で2回洗浄・ろ過した。ウェットケーキを80℃で真空乾燥した後、粉砕して青色生成物を得た。青色生成物の構造は下記構造式で表されることが、TOF−MSによる分子量測定により確認された。
CuPc−SONH−(CH−COOH
【0157】
(合成例5:顔料誘導体の合成)
クロロ硫酸 544重量部に氷水冷下で銅フタロシアニン 84.1重量部を加えた。90℃で4時間撹拌後、塩化チオニル78.2重量部滴下した。85℃で2時間攪拌した後、氷水2400重量部に反応液をあけ、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを水400重量部で洗浄・ろ過した。
33%水酸化ナトリウム 112重量部、タウリン 107重量部、水750重量部、氷750重量部を加え、5℃以下を保ちながら1時間撹拌した後、50℃で30分、さらに70℃で30分撹拌した。懸濁液をろ過して沈殿を取り出し、得られたウェットケーキを水1400重量部で2回洗浄してろ過した。その後80℃で真空乾燥し、粉砕して青色生成物を得た。青色生成物の構造は下記構造式で表されることが、TOF−MSによる分子量測定により確認された。
CuPc−SONH−(CH−SO
【0158】
(合成例6:顔料誘導体の合成)
96%硫酸 130重量部に20%発煙硫酸 126重量部とり、銅フタロシアニン 16.0重量部を加えた。パラホルムアルデヒド5.2重量部とフタルイミド14.0重量部を加えた後、50℃で30分撹拌した。次いで80℃で3時間撹拌した。
反応液を水2400重量部に加えた後、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを水1000重量部で3回洗浄した。ウェットケーキを80℃で真空乾燥し、青色生成物を得た。青色生成物の構造は、銅フタロシアニンにフタルイミドメチル基が1個結合した構造(CuPC−PIM)であることが、TOF−MSによる分子量測定により確認された。
【0159】
(合成例7:顔料誘導体の合成)
96%硫酸 500重量部にピグメントバイオレット23 50.0重量部を加え、5〜6℃で6時間攪拌した。
反応液を氷水4000重量部に加えた後、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを水500重量部で3回洗浄した。ウェットケーキを80℃で真空乾燥し、紫色生成物を得た。紫色生成物の構造は、ピグメントバイオレット23にスルホン酸基が1個結合した構造(PV23−SOH)であることが、TOF−MSによる分子量測定により確認された。
【0160】
(製造例1:分散剤溶液の製造)
100mL丸底フラスコ中で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)51.2重量%に、顔料分散剤(商品名:BYK−LPN6919、ビックケミー社製)(1分子中の平均アミノ基数20モル%、固形分60重量%)47.0重量%、塩化ベンジル1.8重量%を加え、温度80℃で15時間反応させることにより、固形分(不揮発成分)濃度が30重量%、上記分散剤が有するアミノ基のうち塩化ベンジルと塩形成したアミノ基の割合が20%となる分散剤溶液aを調製した。なお、ガスクロマトグラフィーによって、塩化ベンジルのピークは確認されず、反応に添加した塩化ベンジルは全て消費されたと判断した。
【0161】
(実施例1:紫色顔料分散液の調製)
微細化顔料(C.I.ピグメントバイオレット23(PV23:平均一次粒径15〜40nm))10重量部に対して、合成例1で得られた銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体(CuPc−SOH)0.5重量部、製造例1で調製した分散剤溶液a(固形分30重量%)13.3重量部とアルカリ可溶性樹脂(スチレン/シクロヘキシルメタクリレート/アクリル酸/2−ヒドロキシメチルアクリレート共重合体(モル比30/40/10/20、酸価:70mgKOH/g、分子量6000)4重量部と、溶剤PGMEA72.2重量部とを混合し、ペイントシェーカーにて2mmジルコニアビーズで1時間、さらに0.1mmジルコニアビーズで6時間分散し、実施例1のカラーフィルタ用紫色顔料分散液Aを得た。なお、分散時のベッセル内のビーズ充填率は50%とした。
【0162】
(実施例2)
実施例1において、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体を、CuPc−SONH−(CH−N−(C(合成例2)に代えた以外は、実施例1と同様にして、紫色顔料分散液Bを得た。
【0163】
(実施例3)
実施例1において、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体を、CuPc−SONH−(CH−N−(C(合成例3)に代えた以外は、実施例1と同様にして、紫色顔料分散液Cを得た。
【0164】
(実施例4)
実施例1において、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体を、CuPc−SONH−(CH−COOH(合成例4)に代えた以外は、実施例1と同様にして、紫色顔料分散液Dを得た。
【0165】
(実施例5)
実施例1において、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体を、CuPc−SONH−(CH−SOH(合成例5)に代えた以外は、実施例1と同様にして、紫色顔料分散液Eを得た。
【0166】
(実施例6)
実施例1において、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体を、CuPc−PIM(合成例6)に代えた以外は、実施例1と同様にして、紫色顔料分散液Fを得た。
【0167】
(実施例7)
実施例1において、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体を、Solsperse12000(銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料誘導体の混合物(置換基:フタルイミドメチル基 等)ルーブリゾール製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、紫色顔料分散液Gを得た。
【0168】
(実施例8)
実施例1において、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体を、EFKA−6745(銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料誘導体の混合物(置換基:−SO・N(CH((CH 等、CiBa製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、紫色顔料分散液Hを得た。
【0169】
(比較例1)
実施例1において、顔料の誘導体を、紫色顔料の誘導体であるPV23−SOH(C.I.ピグメントバイオレット23のスルホン酸誘導体)(合成例7)に代えた以外は、実施例1と同様にして、紫色比較顔料分散液CAを得た。
【0170】
(比較例2)
実施例1において、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体を含まない点以外は、実施例1と同様にして、紫色比較顔料分散液CBを得た。
【0171】
[コントラストの評価]
(1)紫色感光性樹脂組成物の調製
上記で得られた各紫色顔料分散液15重量部に、下記バインダ組成物20重量部と溶剤PGMEA30重量部を添加し、加圧濾過を行って、評価用の紫色感光性樹脂組成物A〜H、及びCA、CBを得た。
<バインダ組成物>
・アルカリ可溶性樹脂(スチレン/シクロヘキシルメタクリレート/アクリル酸/2−ヒドロキシメチルアクリレート共重合体(モル比30/40/10/20、酸価:70mgKOH/g、分子量6000)):10重量部
・4官能アクリレートモノマー(商品名:アロニックスM450、東亞合成(株)製):15重量部
・光重合開始剤(2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(商品名:イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)):4重量部
・光増感剤(2,4−ジエチルチオキサントン(商品名:カヤキュアDETX−S、日本化薬社製)):2重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート):50重量部
【0172】
(2)コントラストの測定
上記で得られた紫色感光性樹脂組成物を、厚み0.7mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。小型アライナーを用いて露光(60mJ)することによって硬化膜を得た。乾燥硬化後の膜厚は、目標色度が紫色感光性樹脂組成物ではy=0.090になるように調整した。
壷坂電機製コントラスト測定装置CT−1、光源:冷陰極間F10ランプ、輝度計:コニカミノルタ製LS−100、分光輝度計:コニカミノルタ製CS−1000Tを用いて、輝度の測定を行った。コントラストは輝度の測定値を用い、以下の式により導き出せる。
コントラスト=平行輝度(cd/m)/直交輝度(cd/m
結果を表1に示す。
【0173】
【表1】

【0174】
表1から以下のことが分かる。
C.I.ピグメントバイオレット23の誘導体を含まず、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体を用いて、C.I.ピグメントバイオレット23を分散させた本発明の顔料分散液である実施例1〜8は、塗膜形成後、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温(230℃以上)加熱工程後のコントラストの低減が抑制された。実施例1〜6は合成した銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体を用い、実施例7及び8は市販の銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体を用いたが、市販の銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体でも効果が得られることが明らかにされた。
これに対し、C.I.ピグメントバイオレット23の誘導体を用いて、C.I.ピグメントバイオレット23を分散させた比較例1は、塗膜形成後コントラストが低下し、更に露光後の高温(230℃以上)加熱工程後のコントラストも低かった。また、顔料誘導体を用いずにC.I.ピグメントバイオレット23を分散させた比較例2は、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温(230℃以上)加熱工程後のコントラストが大きく低減した。
【0175】
(製造例2:青色顔料分散液の調製)
微細化顔料(C.I.ピグメントブルー15:6(PB15:6:平均一次粒径15〜40nm))10重量部、製造例1で調製した分散剤溶液a(固形分30質量%)13.3重量部とアルカリ可溶性樹脂(スチレン/シクロヘキシルメタクリレート/アクリル酸/2−ヒドロキシメチルアクリレート共重合体(モル比30/40/10/20、酸価:70mgKOH/g、分子量6000)4重量部と、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート58.2重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル16.8重量部とを混合し、実施例1と同様にして、青色顔料分散液を調製した。
【0176】
(実施例9:青色感光性樹脂組成物Aの調製)
製造例2で得られた青色顔料分散液30.6質量部に、紫色顔料分散液として実施例1の顔料分散液A 6.75質量部、アルカリ可溶性樹脂としてメタクリル酸/メタクリル酸メチル/メタクリル酸ベンジル共重合体(モル比:10/30/50,重量平均分子量:9000,酸価:70mgKOH/g,有効成分含量40質量%)12.1質量部、多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)社製、「KAYARAD DPHA」)4.85質量部、光開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャリティーケミカルズ(株)社製、「IRGACURE907」)1.75質量部、2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬(株)社製「KAYACURE DETX−S」)0.25質量部及び溶媒としてPGMEA43.66質量部、フッ素系界面活性剤(DIC(株)製「メガファックR−08MH」)0.04質量部を添加したのち、均一になるまで混合し、さらにメッシュサイズ0.2μmである加圧ろ過装置によりろ過することにより、青色感光性樹脂組成物A〔顔料濃度3.4%(銅フタロシアニンブルー顔料/ジオキサジンバイオレット顔料比率85/15)、固形分18質量%〕を調製した。
【0177】
(実施例10〜16:青色感光性樹脂組成物B〜Hの調製)
実施例9において、実施例1で得られた紫色顔料分散液Aを、実施例2〜8で得られた紫色顔料分散液B〜Hに代えた以外は、実施例9と同様にして、青色感光性樹脂組成物B〜Hを得た。
【0178】
(比較例3〜4:青色感光性樹脂組成物CA、CBの調製)
実施例9において、実施例1で得られた紫色顔料分散液Aを、比較例1〜2で得られた紫色顔料分散液CA及びCBに代えた以外は、実施例9と同様にして、青色感光性樹脂組成物CA、CBを得た。
【0179】
(評価)
<コントラスト>
各実施例及び比較例で得られた青色感光性樹脂組成物を、厚み0.7mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。小型アライナーを用いて露光(60mJ)することによって硬化膜(青色着色層)を得た。乾燥硬化後の膜厚は、目標色度が青色感光性樹脂組成物ではy=0.138になるように調整した。
壷坂電機製コントラスト測定装置CT−1、光源:冷陰極間F10ランプ、輝度計:コニカミノルタ製LS−100、分光輝度計:コニカミノルタ製CS−1000Tを用いて、輝度の測定を行った。コントラストは輝度の測定値を用い、以下の式により導き出せる。
コントラスト=平行輝度(cd/m)/直交輝度(cd/m
結果を表2に示す。
【0180】
【表2】

【0181】
表2から以下のことが分かる。
C.I.ピグメントバイオレット23の誘導体を含まず、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体を用いて、C.I.ピグメントバイオレット23を分散させた本発明の顔料分散液である実施例9〜16は、塗膜形成後、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温(230℃以上)加熱工程後のコントラストの低減が抑制された。
これに対し、C.I.ピグメントバイオレット23の誘導体を用いて、C.I.ピグメントバイオレット23を分散させた比較例1は、塗膜形成後コントラストが低下し、更に露光後の高温(230℃以上)加熱工程後のコントラストも低かった。また、顔料誘導体を用いずにC.I.ピグメントバイオレット23を分散させた比較例2は、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温(230℃以上)加熱工程後のコントラストが大きく低減した。
【符号の説明】
【0182】
1 透明基板
2 遮光部
3 着色層
10 カラーフィルタ
20 対向基板
30 液晶層
40 液晶表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
C.I.ピグメントバイオレット23と、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体と、顔料分散剤と、溶媒とを含有し、
C.I.ピグメントバイオレット23の誘導体を含まず、
前記顔料分散剤が下記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、下記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有し、さらに前記繰り返し単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素とが塩を形成したブロック共重合体である、カラーフィルタ用紫色顔料分散液。
【化1】

[式(I)及び式(II)中、Rは、水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。上記アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ置換基を有していても良い。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。mは3〜200の整数、nは10〜200の整数を示す。]
【請求項2】
前記銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体が、下記化学式(1)よりなる群から選択される1種以上の置換基を青色顔料1分子に対して1個〜3個有する誘導体又はそれらの塩である、請求項1に記載のカラーフィルタ用紫色顔料分散液。
化学式(1): −X−Y
(式中、Xは、直接結合、−SONH−(CH−、−CONH−(CH−、−Ph−SONH−(CH−、−Ph−CONH−(CH−、−CHNH−(CH−、又は−CHNHCOCHNH−(CH−であり、Phはフェニレン基、Yは、−NR’R”、−SOH、−COOH、水素原子、又は下記化学式(2)で表される置換基を表す。R’及びR”はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の置換されていても良い飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基若しくは芳香族炭化水素基、又は、隣接する窒素原子と共に更に窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含んでいても良い複素環を形成したものを表す。mはそれぞれ独立に、0〜6の整数である。)
【化2】

(化学式(2)において、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Arは、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、ニトロ基、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。)
【請求項3】
前記銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料が、下記構造式を有するものである、請求項1又は2に記載のカラーフィルタ用紫色顔料分散液。
【化3】

【請求項4】
前記銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体の含有量が、100重量部のC.I.ピグメントバイオレット23に対して、1〜20重量部である、請求項1乃至3のいずれかに記載のカラーフィルタ用紫色顔料分散液。
【請求項5】
前記請求項1乃至4のいずれかに記載のカラーフィルタ用紫色顔料分散液と、青色顔料と感光性バインダ成分とを含有する、カラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物。
【請求項6】
溶媒中、C.I.ピグメントバイオレット23の誘導体を含まずに、銅フタロシアニン骨格を有する青色顔料の誘導体と、塩を形成したブロック共重合体からなる顔料分散剤との存在下で、C.I.ピグメントバイオレット23を分散させて紫色顔料分散液を調製する工程と、
前記紫色顔料分散液と、青色顔料分散液と、感光性バインダ成分とを混合する工程を有し、
前記顔料分散剤が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位(1)と、下記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)とを有し、さらに前記繰り返し単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物及び/又はハロゲン化炭化水素とが塩を形成したブロック共重合体である、カラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物の製造方法。
【化4】

[式(I)及び式(II)中、Rは、水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。上記アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ置換基を有していても良い。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。mは3〜200の整数、nは10〜200の整数を示す。]
【請求項7】
前記請求項5に記載のカラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物、又は前記請求項6に記載のカラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物の製造方法で得られた感光性樹脂組成物を用いて形成された着色層を有することを特徴とする、カラーフィルタ。
【請求項8】
前記請求項7に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする、液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−215186(P2011−215186A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80396(P2010−80396)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】