説明

カラーフィルタ用顔料分散液、カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物及びその製造方法、カラーフィルタ、並びに、液晶表示装置及び有機発光表示装置

【課題】高温加熱工程時に顔料凝集体の析出が抑制され、現像性に優れたカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を提供する。
【解決手段】C.I.ピグメントイエロー138と、C.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体と、顔料分散剤と、溶媒とを含有し、前記顔料分散剤が、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体であり、C.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体が、C.I.ピグメントイエロー138の100質量部に対して、0.1〜20質量部含有されたカラーフィルタ用顔料分散液である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ用顔料分散液、カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物及びその製造方法、当該ネガ型レジスト組成物を用いて形成されたカラーフィルタ、並びにこのカラーフィルタを有する液晶表示装置及び有機発光表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶パネルの価格下落や地上デジタル放送開始の影響などに伴い、フラットパネルディスプレイの普及が急速に進んでいる。現在、実用化されているフラットパネルディスプレイの中でも、液晶ディスプレイは、テレビやパソコン用モニターの他、携帯電話、携帯ゲーム機、タブレットPC等の携帯端末にも広く利用されており、液晶ディスプレイの市場は益々拡大する状況にある。
このような状況において、液晶ディスプレイをカラー表示化させる機能を有するカラーフィルタにおいても、高輝度化や高コントラスト化、色再現性の向上といった要望が高まっている。特に最近は、バックライトの消費電力低減やLEDバックライトの特性に起因して、カラーフィルタの高輝度化の要望が高まっている。
また上述した課題は、今後普及されていくことが予想される有機ELディスプレイにおいても同様であり、高輝度化や色再現性の向上については当該ディスプレイにおいても解決すべき問題であった。
【0003】
ここで、一般的なカラーフィルタの製造方法としては、遮光部がパターン状に形成された基板上に、各色の顔料を分散させた光硬化性ネガ型レジスト組成物からなる塗膜を形成し、所望のパターン形状のフォトマスクを介して露光・アルカリ現像することにより、各色の着色層をパターン状に形成する方法が用いられる。
【0004】
カラーフィルタは、ガラス等の透明基板上に赤色、緑色、青色の3色のパターンが形成されたものである。赤色や緑色の着色パターンを形成するためには、赤色又は緑色顔料のみでは所望の分光スペクトルが得にくいため、黄色顔料を混合して分光スペクトルを調整している。
【0005】
一般に顔料を分散したカラーフィルタは、顔料による光の散乱等により、液晶が制御した偏光度合いを乱してしまうという問題がある。すなわち、光を遮断しなければならないとき(OFF状態)に光が漏れたり、光を透過しなければならないとき(ON状態)に透過光が減衰したりするため、ON状態とOFF状態における表示装置上の輝度の比(コントラスト比)が低いという問題がある。そのため従来、コントラストを高くするのに適したC.I.ピグメントイエロー150が、上記赤色や緑色を調整するための黄色顔料として用いられてきた。しかしながら、C.I.ピグメントイエロー150を用いた場合、輝度が十分に高くならないという問題があった。
【0006】
染料と比較して顔料を用いた場合に透過率が低いという課題を解決するために、特許文献1では、C.I.ピグメントイエロー138を用いた緑色樹脂組成物が開示されている。しかしながら従来、C.I.ピグメントイエロー138を用いると、コントラストが低くなり、特にテレビ用途では使用し難いという問題があった。
C.I.ピグメントイエロー138を用いてコントラストを大きくする試みとして、特許文献2では、C.I.ピグメントイエロー138とC.I.ピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体を用いたカラーペーストが記載されている。しかし、特許文献2の方法では、最近の液晶ディスプレイに要求される高いコントラストが得られるほど十分なレベルに達していなかった。
【0007】
一方、特許文献3では、キノフタロン粗顔料を微細な顔料形に変換する方法として、キノフタロン粗顔料を粉砕し、当該粉砕物をキノフタロン顔料誘導体の存在下の溶媒中で再結晶させる方法、又はキノフタロン粗顔料をキノフタロン顔料誘導体の存在下で粉砕し、当該粉砕物を溶媒中で再結晶する方法を開示しており、前記キノフタロン顔料誘導体としてスルホン化キノフタロン顔料やフタルイミドメチルキノフタロン顔料を開示している。特許文献3では、キノフタロン顔料を製造する際に、粉砕された粗顔料の結晶成長を止める結晶化改質剤として、上記キノフタロン顔料誘導体が用いられているにすぎず、スルホン化キノフタロン顔料とフタルイミドメチルキノフタロン顔料のいずれも機能すると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−256053号公報
【特許文献2】特開2002−179979号公報
【特許文献3】特表2004−501911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、従来より分散を強化することでC.I.ピグメントイエロー138の微細化を進め、このような微細化C.I.ピグメントイエロー138を用いることにより、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成可能な着色層(塗膜)が得られることをつきとめた。しかしながら、C.I.ピグメントイエロー138の微細化に伴い、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温(230℃以上)加熱工程後、塗膜表面に顔料の凝集体が異物のように析出するという新たな問題が発生することがわかった。C.I.ピグメントイエロー138のこのような問題は、従来知られていなかった。顔料の凝集体が塗膜表面に異物のように析出した場合には、カラーフィルタは不良品として用いることができなくなってしまう。また、C.I.ピグメントイエロー138の微細化により高コントラスト化を達成しても、高温加熱工程後のコントラストの保持率が低下してしまう。
【0010】
本発明は、このような状況下になされたものであり、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成しながら、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程後においても顔料凝集体が析出しない塗膜を作製可能な、カラーフィルタ用顔料分散液、高温加熱工程時に顔料凝集体の析出が抑制され、高輝度及び高コントラストな着色層を形成可能であると共に、現像性に優れたカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物及びその製造方法、当該ネガ型レジスト組成物を用いて形成されたカラーフィルタ及びこのカラーフィルタを有する液晶表示装置及び有機発光表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、C.I.ピグメントイエロー138に、C.I.ピグメントイエロー138の特定のイミドアルキル化誘導体を特定量組み合わせて、重合体の構成単位が有するアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成した特定のグラフト共重合体の存在下で分散させた顔料分散液を用いると、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成しながら、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程後においても顔料凝集体が析出しない塗膜を作製可能であると共に、現像性に優れたネガ型レジスト組成物が得られることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0012】
本発明は、C.I.ピグメントイエロー138と、下記化学式(1)で表されるC.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体と、顔料分散剤と、溶媒とを含有し、前記顔料分散剤が、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらにエチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体であり、且つ、前記C.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体が、前記C.I.ピグメントイエロー138の100質量部に対して、0.1〜20質量部含有されたカラーフィルタ用顔料分散液を提供する。
【0013】
【化1】

(化学式(1)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Xは、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。nはイミドアルキル基の置換数を示し、1〜5の整数を表す。)
【0014】
また、本発明は、C.I.ピグメントイエロー138と、前記化学式(1)で表されるC.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体と、顔料分散剤と、アルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤と、溶媒とを含有し、前記顔料分散剤が、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらにエチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体であり、且つ、前記C.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体が、前記C.I.ピグメントイエロー138の100質量部に対して、0.1〜20質量部含有された、カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を提供する。
【0015】
また、本発明は、顔料分散剤として、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらにエチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体を準備する工程と、
溶剤中、前記顔料分散剤の存在下で、C.I.ピグメントイエロー138と、前記化学式(1)で表されるC.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体とを分散させて顔料分散液を調製する工程と、
前記顔料分散液と、アルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤とを混合する工程とを有する、カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物の製造方法を提供する。
【0016】
更に、本発明は、顔料分散剤として、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらにエチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体を準備する工程と、
溶剤中、前記顔料分散剤の存在下で、C.I.ピグメントイエロー138を分散させて顔料分散液を調製する工程と、
前記顔料分散液と、前記化学式(1)で表されるC.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体と、アルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤とを混合する工程とを有する、カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物の製造方法を提供する。
【0017】
本発明に係るカラーフィルタ用顔料分散液、及び本発明に係るカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物及びその製造方法においては、更に、C.I.ピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体が、前記C.I.ピグメントイエロー138の100質量部に対して0.1〜20質量部含有されることが、高コントラストを達成しやすい点から好ましい。
【0018】
本発明に係るカラーフィルタ用顔料分散液、及び本発明に係るカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物及びその製造方法においては、前記顔料分散剤において、前記エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーが、下記一般式(I)で表されるモノマーであることが、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成し、顔料分散性、アルカリ現像性に優れる点から好ましい。
【0019】
【化2】

(式(I)中、Rは水素原子又はメチル基、R及びRは、各々独立に、水素原子、又は置換されていてもよい環状若しくは鎖状の炭化水素基を表すか、R及びRが互いに結合して環状構造を形成する。Qは2価の連結基を表す。)
【0020】
本発明に係る顔料分散液、及び本発明に係るカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物及びその製造方法においては、前記有機酸化合物が、下記一般式(II)及び/又は下記一般式(III)で表されることが、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成し、顔料分散性、アルカリ現像性に優れる点から好ましい。
【0021】
【化3】

(式(II)及び式(III)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra”で示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含む。Ra”は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。R、Ra’、R、R及びRにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
【0022】
本発明に係る顔料分散液、及び本発明に係るカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物及びその製造方法においては、前記マクロモノマーの前記ポリマー鎖が、下記一般式(IV)又は一般式(V)で表される構成単位を少なくとも1種有するものであることが、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成し、顔料分散性、アルカリ現像性に優れる点から好ましい。
【0023】
【化4】

(式(IV)及び、式(V)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−[CO−(CH−O]−R、−CO−O−R又は−O−CO−R10で示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
は、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−[CO−(CH−O]−Rで示される1価の基である。R10は、炭素数1〜18のアルキル基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
mは1〜5の整数、l及びl’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
【0024】
本発明は、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが前記本発明に係るカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物又は前記本発明に係るカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物の製造方法により製造されたカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を硬化させて形成されてなる着色層を有することを特徴とするカラーフィルタを提供する。
【0025】
また、本発明は、前記本発明に係るカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする液晶表示装置を提供する。
更に、本発明は、前記本発明に係るカラーフィルタと、有機発光体とを有することを特徴とする有機発光表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成しながら、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程後においても顔料凝集体が析出しない塗膜を作製可能な、カラーフィルタ用顔料分散液、高温加熱工程時に顔料凝集体の析出が抑制され、高輝度及び高コントラストな着色層を形成可能であると共に、現像性に優れたカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物及びその製造方法、当該ネガ型レジスト組成物を用いて形成されたカラーフィルタ及びこのカラーフィルタを有する液晶表示装置及び有機発光表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のカラーフィルタの一例を示す概略図である。
【図2】本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の有機発光表示装置の一例を示す概略図である。
【図4】本発明に用いられるグラフト共重合体の好ましい構造の一例を示す模式図である。
【図5】本発明の実施例1の塗膜の260℃での耐熱性評価結果の写真を示す。
【図6】本発明の実施例2の塗膜の260℃での耐熱性評価結果の写真を示す。
【図7】比較例1の塗膜の260℃での耐熱性評価結果の写真を示す。
【図8】比較例2の塗膜の260℃での耐熱性評価結果の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明のカラーフィルタ用顔料分散液、カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物、カラーフィルタ、並びに、液晶表示装置及び有機発光表示装置について順に説明する。
なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことを言う。また本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味する。
【0029】
1.カラーフィルタ用顔料分散液
本発明に係るカラーフィルタ用顔料分散液は、C.I.ピグメントイエロー138と、下記化学式(1)で表されるC.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体と、顔料分散剤と、溶媒とを含有し、前記顔料分散剤が、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらにエチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体(以下、単に塩型グラフト共重合体と称することがある。)であり、且つ、前記C.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体が、前記C.I.ピグメントイエロー138の100質量部に対して、0.1〜20質量部含有された顔料分散剤であることを特徴とする。
【0030】
【化5】

(化学式(1)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Xは、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。nはイミドアルキル基の置換数を示し、1〜5の整数を表す。)
【0031】
本発明によれば、C.I.ピグメントイエロー138(以下、PY138と称することがある)と、上記特定のC.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体と、上記特定の塩型グラフト共重合体を組み合わせて用いることにより、顔料分散性及び分散安定性に優れ、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成しながら、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程後においても顔料凝集体が析出しない塗膜を作製可能な顔料分散液を得ることができる。
【0032】
上記特定の組み合わせにより、上記のような効果を発揮する作用としては、未解明であるが以下のように推測される。
溶媒中で分散時間を長くすることにより、PY138を微細化しつつ、1次粒子径以下まで微細化されて露出された顔料表面に上記特定の顔料分散剤が適切に吸着して溶媒中での顔料の安定化を図ることができ、PY138をより均一に微細化することができると推定される。その結果、コントラストが向上した塗膜を得ることができる。
しかしながら、均一に微細化されていたPY138が塗膜にされた後、カラーフィルタ製造工程の高温加熱工程で230℃もの高温が塗膜にかけられると、顔料に吸着されていた顔料分散剤の熱運動により顔料分散剤の吸着が弱まり、微細化されて露出された顔料表面同士の凝集力が強まって、顔料の凝集体が析出してしまうのではないかと推定される。
高温加熱時の塗膜表面に顔料凝集体が析出する現象は、PY138に、PY138のスルホン酸誘導体を添加し、上記特定の塩型顔料分散剤を組み合わせて、顔料を微細化して顔料分散液を調製した場合も、顕著にみられた。
【0033】
それに対し、本願では、PY138に、PY138の特定のイミドアルキル化誘導体を特定量と、顔料分散剤として用いられる特定の塩型グラフト共重合体とを組み合わせることにより、PY138の分散工程において、微細化されて露出された顔料表面に、塩型グラフト共重合体だけでなくPY138のイミドアルキル化誘導体も吸着していると推定される。そして、カラーフィルタ製造工程の高温加熱工程で230℃もの高温が塗膜にかけられても、PY138のイミドアルキル化誘導体は、PY138の類似骨格部分により、PY138の表面に吸着したまま顔料表面を安定化させるため、微細化された顔料同士が凝集することなく、安定した塗膜を形成できるのではないかと推定される。
PY138のスルホン酸誘導体を用いた場合には、同様に、微細化されて露出された顔料表面に、顔料分散剤だけでなくPY138のスルホン酸誘導体も吸着し、溶媒中での顔料の安定化を図ることができ、PY138をより均一に微細化することができる。しかしながら、加熱工程で230℃もの高温が塗膜にかけられると、PY138のスルホン酸誘導体は、PY138の類似骨格部分のPY138への吸着力よりも、スルホ基と顔料分散剤との相互作用の力が勝り、顔料分散剤が熱運動する際に顔料表面から離れてしまうのではないかと推定される。その結果、微細化されて露出された顔料表面同士の凝集力が強まって、顔料の凝集体が析出してしまうのではないかと推定される。
一方、上記のようなPY138のイミドアルキル化誘導体は、イミド部分の極性が弱いため、230℃もの高温が塗膜にかけられても、スルホ基のように顔料分散剤との強い相互作用を受け難く、むしろ相対的に顔料表面との吸着力の方が強く、顔料表面を安定化させるため、微細化された顔料同士が凝集することなく、安定した塗膜を形成できるのではないかと推定される。なお、特許文献3の粗顔料を再結晶化させる目的では、スルホン酸誘導体とイミドアルキル化誘導体は同様に用いられている。
【0034】
本願では、輝度を高くすることができるPY138に対して、特定の塩型グラフト共重合体、当該塩型グラフト共重合体と相互作用はあるが、相互作用が強すぎない、弱い極性基のイミド部分を有するPY138の誘導体を組み合わせて分散させることにより、PY138を微細化しながら露出された顔料表面を安定化させ、高温時もPY138のイミドアルキル化誘導体が微細に分散された顔料表面を安定化させたまま維持可能であるため、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成しながら、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程後においても顔料凝集体が析出しない塗膜を作製可能であると推定される。
【0035】
本発明のカラーフィルタ用顔料分散液は、少なくともC.I.ピグメントイエロー138と、上記特定量のC.I.ピグメントイエロー138の特定のイミドアルキル化誘導体と、上記特定の顔料分散剤と溶媒とを必須成分として含有するものであり、必要に応じて他の成分を含有しても良いものである。
本発明のカラーフィルタ用顔料分散液は、典型的には、黄色顔料分散液であるが、更に赤色顔料や緑色顔料等の他の顔料を含み、赤色顔料分散液や、緑色顔料分散液であっても良い。
以下、このような本発明の顔料分散液の各成分について順に詳細に説明する。
【0036】
(C.I.ピグメントイエロー138)
C.I.ピグメントイエロー138は、下記化学式で示される構造を有する。
【0037】
【化6】

【0038】
本発明に用いられるC.I.ピグメントイエロー138等の顔料の平均一次粒径としては、カラーフィルタの着色層とした場合に、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、用いる顔料の種類によっても異なるが、コントラストを向上させる点から、10〜70nmの範囲内であることが好ましく、10〜50nmの範囲内であることがより好ましい。顔料の平均一次粒径が上記範囲であることにより、本発明のカラーフィルタ用顔料分散液、ネガ型レジスト組成物を用いて製造された液晶表示装置及び有機発光表示装置を高コントラストで、かつ高品質なものとすることができる。
なお、上記顔料の平均粒径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、その平均をその粒子の粒径とした。次に、100個以上の粒子について、それぞれの粒子の体積(質量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径を求めそれを平均粒径とした。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)または走査型(SEM)のいずれを用いても同じ結果を得ることができる。
【0039】
本発明に用いられるC.I.ピグメントイエロー138は、再結晶法、ソルベントソルトミリング法等の公知の方法にて製造することができる。また、市販のC.I.ピグメントイエロー138(例えば、BASF製、パリオトールイエローK0961HD)を用いても良い。
【0040】
本発明のカラーフィルタ用顔料分散液において、C.I.ピグメントイエロー138の含有量は、特に限定されない。通常、C.I.ピグメントイエロー138を含む顔料の含有量は、カラーフィルタ用顔料分散液の全量に対して5〜40質量%、更に8〜20質量%範囲内であることが好ましい。
また、本発明のカラーフィルタ用顔料分散液において、顔料(顔料誘導体を除く)中のC.I.ピグメントイエロー138の含有量は、通常100質量%として用いられるが、更に他の顔料を含んでいても良い。顔料中のC.I.ピグメントイエロー138の含有量は、5〜100質量%、更に30〜100質量%であることが好ましい。
【0041】
(C.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体)
本発明において用いられるC.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体は、下記化学式(1)で表されるC.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体である。
【0042】
【化7】

(化学式(1)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Xは、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。nはイミドアルキル基の置換数を示し、1〜5の整数を表す。)
【0043】
このような顔料誘導体は、顔料骨格に官能基を付与し、様々な機能を顔料に付加する役割を持つ化合物である。当該顔料誘導体を顔料に添加すると、顔料誘導体の顔料類似骨格が顔料表面に吸着もしくは結合し、それにより顔料の表面がイミドアルキル基を有するようになる。これによって、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程後においても顔料同士の凝集を抑制することができると考えられる。
【0044】
化学式(1)中、Rの炭素数1〜6のアルキレン基としては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキレン基が挙げられ、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、各種ブチレン基等が挙げられる。中でも、製造が容易な点から、アルキレン基としては、メチレン基であることが好ましい。
【0045】
化学式(1)中、Xは、アリーレンを表し、1,2−フェニレン、1,2−ナフチレン、2,3−ナフチレン、1,8−ナフチレン、及び2,2’−ビフェニレン等が挙げられる。化学式(1)中のXとしては、フタルイミドとなる1,2−フェニレン、及び、ナフタルイミドとなる1,8−ナフチレンが好ましい。
【0046】
化学式(1)中、Xのアリーレン基に置換されていても良いハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子が好ましい。
化学式(1)中、Xのアリーレン基に置換されていても良いアリールスルホニル基としては、フェニルスルホニル基、及び、置換されたフェニルスルホニル基、例えば、p−トリルスルホニル基、p−クロロフェニルスルホニル基、p−ブロモフェニルスルホニル基等を挙げることができる。
化学式(1)中、Xのアリーレン基に置換されていても良いアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンジル基等を挙げることができる。
【0047】
本発明において用いられるC.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体は、中でも、下記化学式(1’)で表されるフタルイミドアルキル化誘導体であることが、効率的に顔料凝集体を抑制できる点から好ましい。
【0048】
【化8】

(式中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を示し、nはフタルイミドアルキル基の置換数を示し、1〜5の整数を表す。)
【0049】
化学式(1’)で表されるフタルイミドアルキル化誘導体において、アルキレン基Rは、上記化学式(1)と同様であってよく、中でも、メチレン基が、効率的に顔料凝集体を抑制できる点から好ましい。
【0050】
また、上記特定のイミドアルキル基の置換数nは、1〜2であることが好ましく、中でも1であることが、効率的に顔料凝集体を抑制できる点から好ましい。
C.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体の分子量が小さい方が、質量あたりの有効成分の割合が増えるため、効率的に顔料凝集体を抑制できる。
【0051】
C.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体は、例えば、C.I.ピグメントイエロー138を、パラホルムアルデヒドとフタルイミド等の特定のイミドとを、三酸化硫黄や硫酸中で、反応させることにより製造することができる。なお、合成方法については、特表2004−501911号公報に詳細に記載され、これを参照することができる。また、濃硫酸中で、C.I.ピグメントイエロー138と、例えばヒドロキシアルキルフタルイミド等のヒドロキシアルキル環状イミドとを反応させることにより、Rが任意のC.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体を製造することができる。なお、当該合成方法については、特願2011−101554号に記載され、これを参照することができる。
【0052】
C.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体としては、1種単独で又は2種類以上混合して用いることができる。例えば、アルキレン基の種類、イミドアルキル基の種類、各種イミドアルキル基の置換位置又は置換数が異なるイミドアルキル化誘導体を2種以上混合して用いても良い。
【0053】
本発明において、C.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体は、前記C.I.ピグメントイエロー138の100質量部に対して、0.5〜20質量部含有される。中でも、C.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体は、前記C.I.ピグメントイエロー138の100質量部に対して、0.1〜10質量部、更に1〜5質量部含有されることが好ましい。このような含有量で用いられることにより、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成しながら、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程後においても顔料凝集体が析出しない塗膜を作製可能になる。
【0054】
(顔料分散剤)
本発明に用いられる顔料分散剤は、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらにエチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体である。
【0055】
本発明によれば、用いられる顔料分散剤が、上記塩型グラフト共重合体であることにより、塩形成部位が顔料に対する吸着性が強く、一方でグラフトされているポリマー鎖が溶媒に対して溶解性を有する。上記顔料分散剤を用いると、従来顔料分散性、及び顔料分散安定性が悪かった顔料に対しても溶媒中での安定化を図ることができ、顔料の分散性及び分散安定性を優れたものとすることができる。
【0056】
また、有機酸化合物を有することにより、上記モノマーに含まれるアミノ基と有機酸化合物とが形成する塩形成部位が、アルカリ現像時のアルカリ水溶液に対して高い溶解性を有することから、アルカリ現像性に優れたものとすることができる。したがって、本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を用いて、カラーフィルタを製造した場合には、アルカリ現像時間を短縮することができ、生産性に優れたものとすることができる。また、アルカリ現像性に優れることにより、未露光箇所におけるカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物の残渣が少ない高品質なカラーフィルタを得ることができる。
【0057】
<グラフト共重合体>
上記グラフト共重合体は、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するものである。
【0058】
上記エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーとしては、特に限定されない。中でも、下記一般式(I)で表されるものであることが、顔料分散性の点から好ましい。
【0059】
【化9】

(式(I)中、Rは水素原子又はメチル基、R及びRは、各々独立に、水素原子、又は置換されていてもよい環状若しくは鎖状の炭化水素基を表すか、R及びRが互いに結合して環状構造を形成する。Qは2価の連結基を表す。)
【0060】
及びRにおける、環状若しくは鎖状の炭化水素基としては、特に限定されない。中でも炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などを挙げることができる。これらの中で、メチル基及びエチル基が好ましい。
及びRは、互いに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0061】
また、R及びRが互いに結合して形成する環状構造としては、例えば5〜7員環の含窒素複素環単環又はこれらが2個縮合してなる縮合環が挙げられる。該含窒素複素環は芳香性を有さないものが好ましく、飽和環であればより好ましい。具体的には、例えば下記式の構造が挙げられる。
【0062】
【化10】

【0063】
また、2価の連結基Qとしては、例えば、炭素数1〜8のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−A−基、−COO−A−基(但し、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R12)−CH(R13)−O]−CH(R12)−CH(R13)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基である。R12及びR13は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)等が挙げられ、好ましくは−COO−A−基である。
【0064】
ここで、上記炭素数1〜8のアルキレン基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種ヘキシレン基、各種オクチレン基などである。アリーレン基としては、フェニレン基等が挙げられる。
12及びR13は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
xは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、yは1〜5の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。zは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。本発明においては、x、y及びzが、上記の範囲にあれば、本発明の顔料分散液及びカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物は、顔料の分散性に優れたものになる。
このAとしては、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、メチレン基及びエチレン基がより好ましい。炭素数が1〜8の範囲内であれば、顔料の分散性を良好に保つことができる。
【0065】
上記一般式(I)で表されるモノマーとしては、中でも下記一般式(I’)で表されるモノマーが好適に用いられる。
【0066】
【化11】

(一般式(I’)中、Rは水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、それぞれ独立に炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R12)−CH(R13)−O]−CH(R12)−CH(R13)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基である。R12及びR13は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
【0067】
一般式(I’)中、R〜R及びAは、前記一般式(I)において説明したものと同様のものとすることができる。
【0068】
本発明に用いられるマクロモノマーは、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなるものである。このエチレン性不飽和二重結合を有する基は、ポリマー鎖の一方の末端(以下、「片末端」と称することがある。)のみに有することが好ましい。また、マクロモノマーは、グラフト共重合体の分散性能等を妨げない範囲で、置換基で置換されていてもよく、置換基としては、例えばハロゲン原子などが挙げられる。
エチレン性不飽和二重結合を有する基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などが好ましく挙げられ、なかでも(メタ)アクリロイル基、ビニル基が好ましく、特に(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0069】
前記マクロモノマーのポリマー鎖は、下記一般式一般式(IV)又は一般式(V)で表される構成単位を少なくとも1種有するものであることが好ましい。
【0070】
【化12】

(式(IV)及び、式(V)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−[CO−(CH−O]−R、−CO−O−R又は−O−CO−R10で示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
は、水素原子、あるいは1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−[CO−(CH−O]−Rで示される1価の基である。R10は、炭素数1〜18のアルキル基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
mは1〜5の整数、l及びl’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
【0071】
における、炭素数1〜18のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基、低級アルキル基置換アダマンチル基などが挙げられる。
【0072】
における、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アリール基の炭素数は、6〜24が好ましく、更に6〜12が好ましい。
における、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられる。アラルキル基の炭素数は、7〜20が好ましく、更に7〜14が好ましい。
が芳香環を有する場合は、当該芳香環上に、更に置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、炭素数1〜4の直鎖状、分枝状のアルキル基の他、アルケニル基、ニトロ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
【0073】
は、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−[CO−(CH−O]−Rで示される1価の基である。上記炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基は、前記のRで示したとおりである。
【0074】
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは置換基を有してもよい、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR11で示される1価の基である。R11は水素原子又は炭素数1〜5の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基であり、R10は、炭素数1〜18のアルキル基である。
上記Rで示される1価の基において、有してもよい置換基としては、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子などを挙げることができる。
上記R10及びRのうちの炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基は、前記のRで示したとおりである。
上記R及びRおいて、x、y及びzは、前記式(I)で説明したとおりである。
【0075】
本発明において、上記R及びRとしては、なかでも、後述する溶媒との溶解性に優れたものを用いることが好ましく、具体的には、上記グラフト共重合体を構成する構成単位等によっても異なるが、上記溶媒が、カラーフィルタ用の溶媒として一般的に使用されているエーテルアルコールアセテート系、エーテル系、エステル系などの溶媒を用いる場合には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基等が好ましい。
ここで、上記R及びRをこのように設定する理由は、上記R及びRを含む構成単位が、上記溶媒に対して溶解性を有し、上記モノマーのアミノ基と後述する有機酸化合物とが形成する塩形成部位が顔料に対して高い吸着性を有するものであることにより、顔料の分散性、及び安定性を特に優れたものとすることができるからである。
【0076】
さらに、上記RびRは、上記グラフト共重合体の分散性能等を妨げない範囲で、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、水素結合形成基等の置換基によって置換されたものとしてもよい。また、これらの置換基を有するグラフト共重合体を合成した後に、当該置換基と反応する官能基と重合性基とを有する化合物を反応させて、重合性基を付加したものとしてもよい。例えば、カルボキシル基を有するグラフト共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させたり、イソシアネート基を有するグラフト共重合体にヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させたりして、重合性基を付加することができる。
【0077】
また、本発明のレジスト組成物において用いられるマクロモノマーのポリマー鎖は、ガラス転移温度が30℃以上であることが好ましく、更に、50℃以上であることがより好ましい。本発明で用いられるマクロモノマーのポリマー鎖のガラス転移温度が30℃以上である場合には、本発明の顔料分散液又はレジスト組成物を用いて形成された着色層の耐熱性や耐溶剤性が向上する。耐熱性が向上すると、カラーフィルタの製造工程における例えば230℃で30分加熱するようなポストベーク工程後に、着色層が変色したり、輝度やコントラストが低下することを抑制することが可能になる。また、耐溶剤性が向上すると、カラーフィルタの製造工程において、例えば液晶配向膜としてポリイミド膜を形成する際に使用されるN−メチルピロリドンによって、着色層表面が荒れるといった不具合を抑制することが可能になる。
【0078】
本発明におけるマクロモノマーのポリマー鎖のガラス転移温度(Tg)は下記式で計算することができる。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。なお、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は、Polymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用することができる。
【0079】
以上のような点を考慮すると、本発明で用いられるマクロモノマーのポリマー鎖は、上記した構成単位のなかでもメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、及びビニルシクロヘキサンよりなる群から選択される1種以上のモノマー由来の構成単位の総量がマクロモノマーのポリマー鎖全体の30質量%以上で含まれるものが好ましく、更に50質量%以上で含まれるものが好ましく、また、メチルメタクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及び/又はイソボルニル(メタ)アクリレート由来の構成単位が含まれるものがより好ましい。しかしながら、これらに限定されるものではない。
【0080】
マクロモノマーのポリマー鎖は、単独重合体でもよく、共重合体であってもよい。
例えば、単独重合体ではガラス転移温度が30℃未満となるような構成単位であっても、ポリマー鎖の共重合成分として含まれ、上記計算式で表されるポリマー鎖全体の計算Tgが30℃以上となる場合には、本発明のレジスト組成物のマクロモノマーとして、好適に用いることができる。
【0081】
更に、グラフト共重合体に用いられるマクロモノマーは、1種単独で用いられても良いが、2種以上混合して用いても良い。
マクロモノマーを2種以上混合して用いる場合には、ガラス転移温度が30℃以上であるポリマー鎖を有するマクロモノマーが、マクロモノマー全体の30質量%以上、更に50質量%以上となるように用いることが好ましい。
【0082】
mは1〜5の整数、好ましくは2〜5の整数、より好ましくは4又は5の整数である。また、マクロモノマーの構成単位のユニット数l及びl’は、5〜200の整数であればよく、特に限定されないが、5〜100の範囲内であることが好ましい。
【0083】
マクロモノマーの質量平均分子量Mwは、500〜20000の範囲内であることが好ましく、1000〜10000の範囲内であることがより好ましい。上記範囲であることにより、顔料分散剤としての十分な立体反発効果を保持できるとともに、立体効果による顔料への吸着時間の増大を抑制することもできる。
【0084】
このようなマクロモノマーは、適宜合成したものでもよいし、市販品であってもよく、市販品としては、例えば片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー(質量平均分子量:6000,「AA−6(商品名)」:東亞合成化学(株)製)、片末端メタクリロイル化ポリ−n−ブチルアクリレートオリゴマー(質量平均分子量:6000,「AB−6(商品名)」:東亞合成化学(株)製)、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー(質量平均分子量:6000,「AS−6(商品名)」:東亞合成化学(株)製)、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルメタクリレート(「プラクセルFM5(商品名)」:ダイセル化学(株)製)、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(「プラクセルFA10L(商品名)」:ダイセル化学(株)製)などが挙げられる。
【0085】
このようなマクロモノマーを合成するには、リビング重合法や、連鎖移動剤を用いるラジカル重合法がよく知られている。ラジカル重合法の方が、モノマーの選択の自由度が大きい点で利用しやすい。例えば、メルカプトプロピオン酸のような、カルボキシル基を有する連鎖移動剤の存在下でモノマーをラジカル重合することにより、片末端にカルボキシル基を有するオリゴマーが得られる。このオリゴマーにグリシジルメタクリレートを付加すると、片末端にメタクリロイル基を有するオリゴマー、すなわちマクロモノマーが得られる。
【0086】
本発明に用いられるグラフト共重合体において、前記エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーに由来する繰り返し単位は、3〜80質量%の割合で含まれていることが好ましく、5〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%がさらに好ましい。グラフト共重合体中のモノマーに由来する繰り返し単位の含有量が上記範囲内にあれば、グラフト共重合体中のアミノ基が形成する塩形成部位の割合が適切となり、かつマクロモノマー側鎖によって溶媒に対する溶解性の低下を抑制できるので、顔料に対する吸着性が良好となり、顔料の分散性、及び安定性が得られる。
【0087】
また、上記グラフト共重合体の質量平均分子量Mwは、1000〜100000の範囲内であることが好ましく、3000〜50000の範囲内であることがより好ましく、5000〜30000の範囲内であることがさらに好ましい。上記範囲であることにより、顔料を均一に分散させることができる。
【0088】
なお、上記質量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値である。測定は、東ソー(株)製のHLC−8120GPCを用い、溶出溶媒を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN−メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、206500、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS−2シリーズ)及びMw1090000(東ソー(株)製)とし、測定カラムをTSK−GEL ALPHA−M×2本(東ソー(株)製)として行われたものである。
【0089】
本発明に用いられるグラフト共重合体は、上記したアミノ基を有するモノマーとマクロモノマーとを共重合体成分として有し、さらに前記モノマーが有するアミノ基と有機酸化合物とが塩を形成したものであり、その構造は、例えば図4のように表される。図4において、グラフト共重合体は、アミノ基を有するモノマー単位51が重合反応により主鎖を形成し、該重合反応においてマクロモノマーの重合性基部位(エチレン性不飽和二重結合を有する基部位)52が同時に窒素含有モノマーと重合し、マクロモノマーは当該エチレン性不飽和二重結合を有する基部位に接続しつつポリマー鎖53として側鎖を形成しており、有機酸化合物54は、アミノ基を有するモノマー単位51のアミノ基と塩を形成したものである。
【0090】
<有機酸化合物>
本発明において用いられる有機酸化合物は、前述したアミノ基を有するモノマーのアミノ基と塩形成をするものであれば、特に限定されない。
本発明においては、上記有機酸化合物を用いることにより、顔料分散剤を、顔料の分散性及び安定性に優れたものとすることができ、さらに塩形成部位が、アルカリ現像時のアルカリ水溶液に対して高い溶解性を有することから、アルカリ現像性に優れたものとすることができる。
【0091】
有機酸化合物としては、中でも、下記一般式(II)及び/又は下記一般式(III)で表される化合物であることが好ましい。
【0092】
【化13】

(式(II)及び式(III)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra”で示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含む。Ra”は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。R、Ra’、R、R及びRにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
【0093】
上記一般式(II)において、R及びRa’は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]c−R又は−O−Ra”を示し、R及びRa’のうちいずれかは炭素原子を含む。尚、R及びRa’が芳香環を有する場合、該芳香環上に適当な置換基、例えば、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基などを有していてもよい。
上記炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基は、前記Rで示したとおりである。
【0094】
上記炭素数2〜18のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基、各種ブテニル基、各種ヘキセニル基、各種オクテニル基、各種デセニル基、各種ドデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種オクタデセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基などを挙げることができる。アルケニル基の二重結合の位置には限定はないが、得られたポリマーの反応性の点からは、アルケニル基の末端に二重結合があることが好ましい。
【0095】
及び/又はRa’が、−O−Ra”の場合、酸性リン酸エステルとなる。上記Ra”は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
上記炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基は、前記のRで示したとおりであり、炭素数2〜18のアルケニル基は、前記のR及びRa’で示したとおりである。尚、Ra”が芳香環を有する場合、該芳香環上に適当な置換基、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基などを有していてもよい。
【0096】
上記R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。Rは水素原子、あるいは置換基を有してもよい、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基である。
上記Rで示される1価の基において、有してもよい置換基としては、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子などを挙げることができる。
上記Rのうちの炭素数1〜18のアルキル基は前記のRで示したとおりであり、炭素数2〜18のアルケニル基は、前記のR及びRa’で示したとおりである。
、Ra’及びRa”において、sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数である。sは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、tは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。uは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。
【0097】
上記一般式(III)において、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R又は−O−Rb’を示す。尚、Rが芳香環を有する場合、該芳香環上に適当な置換基、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基などを有していてもよい。
上記炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基は、前記のRで示したとおりであり、炭素数2〜18のアルケニル基は、前記のR及びRa’で示したとおりである。
が、−O−R’の場合、酸性硫酸エステルとなる。上記R’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
上記炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基は、前記のRで示したとおりであり、炭素数2〜18のアルケニル基は、前記のR及びRa’で示したとおりである。尚、R’が芳香環を有する場合、該芳香環上に適当な置換基、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基などを有していてもよい。
上記R、R及びRは、前記と同じである。
上記R及びR’において、sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数である。好ましいs、t、uは、上記R、Ra’及びRa”と同様である。
【0098】
上記一般式(II)で表される有機酸化合物としては、前記一般式(II)におけるR及びRa’が、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−R、あるいは、−O−Ra’’で示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含み、且つ、Ra’’が、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rであり、R及びRが、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rが−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであるものが顔料分散性に優れたものとすることができる点から好ましい。
【0099】
また、一般式(III)で表される有機酸化合物としては、一般式(III)におけるRが、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−R、あるいは、−O−Rb’で示される1価の基であり、Rb’が、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rであり、R及びRが、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rが−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであるものが顔料分散性に優れたものとすることができる点から好ましい。
【0100】
中でも、上記一般式(II)及び一般式(III)で表される有機酸化合物は、R、Ra’及び/又はRa’’、並びに/或いは、R及び/又はRb’として、芳香環を有することが顔料分散性の点から好ましい。R、Ra’及びRa’’の少なくとも1つ、或いは、R又はRb’が、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、より具体的には、ベンジル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基であることが、顔料分散性の点から好ましい。前記一般式(II)においては、R及びRa’の一方が芳香環を有する場合には、R及びRa’の他方は、水素原子や水酸基であるものも好適に用いられる。
【0101】
また、耐熱性や耐薬品性、特に耐アルカリ性の点からは、上記一般式(II)及び一般式(III)で表される有機酸化合物としては、リン(P)や硫黄(S)に炭素原子が直接結合した化合物であることが好ましく、R及びRa’が、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含むことが好ましい。また、Rが、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基であることが好ましい。
顔料分散性、耐熱性、耐薬品性、及び耐アルカリ性の点からは、中でも特に、リン(P)や硫黄(S)にアリール基が直接結合した化合物であることが好ましく、R及びRa’のいずれか、或いは、Rが、置換基を有していても良いアリール基であることが好ましい。
【0102】
また、上記一般式(II)及び一般式(III)で表される有機酸化合物は、R、Ra’及び/又はRa’’、並びに/或いは、R及び/又はRb’としては、重合性基を有するもの、すなわち、ビニル基、アリル基あるいは−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rであり、且つ、Rが−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであるものが好ましく、特に、R、Ra’及び/又はRa’’、並びに/或いは、R及び/又はRb’が、ビニル基、アリル基、2−メタクリロイルオキシエチル基、2−アクリロイルオキシエチル基であるものが好ましい。
このような場合には、本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を用いて着色層を形成する際の露光時に、上記重合性基同士及び/又は上記重合性基と、本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物に含まれるアルカリ可溶性樹脂及び多官能性モノマー等とを容易に重合することができ、カラーフィルタの着色層中において、上記顔料分散剤が、安定に存在することを可能とする。このようなカラーフィルタを用いて液晶表示装置を製造した際には、液晶層等へ上記顔料分散剤がブリードアウトすることを防止することができる。
【0103】
また、当該有機酸化合物が、重合性基を含むことにより、着色層形成に用いる前に、当該有機酸化合物が有する重合性基同士を重合させることができ、その結果顔料分散剤が高分子量化されるため、着色層形成の現像時において、未露光箇所のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を、アルカリ現像性に特に優れるものとすることができる。
【0104】
本発明で用いられる塩型グラフト共重合体における該有機酸化合物の含有量は、良好な分散安定性が発揮されるのであればよく、特に制限はないが、一般にモノマー由来の構成単位に含まれるアミノ基に対して、0.1〜2.0モル当量程度であり、好ましくは0.2〜1.5モル当量、より好ましくは0.3〜1.0モル当量である。このような場合、顔料分散性及び顔料分散安定性が優れたものになる。尚、上記有機酸化合物を2種以上併用する場合、これらを合計した含有量が上記範囲内にあればよい。
【0105】
本発明の顔料分散液、及びカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物においては、顔料分散剤として、前述したように、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなるマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であり、さらに前記窒素含有モノマーが有するアミノ基と、有機酸化合物とが塩を形成してなる塩型グラフト共重合体が用いられる。
このような塩型グラフト共重合体を顔料分散剤として用いることにより、本発明のカラーフィルタ用顔料分散液、及びカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を、顔料の分散安定性に優れたものとすることができる。
【0106】
<塩型グラフト共重合体の製造>
本発明において、顔料分散剤として用いる塩型グラフト共重合体の製造方法としては、前記のアミノ基を有するモノマーと、ポリマー鎖とその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基とからなるマクロモノマーとを共重合体成分として含有し、かつ窒素含有モノマーが有するアミノ基と、有機酸化合物とが塩を形成したものを製造することができる方法であればよく特に限定されない。本発明においては、例えば、前記モノマーと前記マクロモノマーと、必要に応じてその他のモノマーとを公知の重合手段を用いてグラフト重合させることが可能である。次いで、該溶媒中に上記有機酸化合物を添加し、攪拌することにより塩型グラフト共重合体を製造することができる。なお、上記重合においては、重合に一般的に用いられる添加剤、例えば重合開始剤、連鎖移動剤などを用いてもよい。
【0107】
本発明のカラーフィルタ用顔料分散液、及びカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物において、顔料分散剤としては、上記塩型グラフト共重合体を1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよく、その含有量は、用いる顔料の種類、更にネガ型レジスト組成物中の固形分濃度等に応じて適宜選定される。本発明のカラーフィルタ用顔料分散液、及びカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物において、顔料分散剤としては、顔料100質量部に対して、通常、5〜200質量部の範囲であり、10〜100質量部であることが好ましく、20〜80質量部であることがより好ましい。塩型グラフト共重合体の含有量が上記範囲内にあれば、顔料を均一に分散させることができる。また、レジスト組成物において、相対的にアルカリ可溶性樹脂、多官能性モノマーの配合比率が低下することがなく、十分な硬度を持った着色層が形成できる。
なお本発明において、顔料誘導体以外の含有量を規定する際の、顔料には、顔料の他、顔料誘導体が含まれ、例えば、C.I.ピグメントイエロー138のフタルイミドアルキル化誘導体も含まれる。
【0108】
(溶媒)
本発明に係るカラーフィルタ用顔料分散液には、顔料を分散させるために溶媒が含まれる。顔料分散液に用いる溶媒としては、該顔料分散液中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶媒であればよく、特に限定されない。
本発明の顔料分散液に用いる溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、i−プロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;メトキシアルコール、エトキシアルコールなどのセロソルブ系溶媒;メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノールなどのカルビトール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶媒;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶媒;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド溶媒;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系溶媒;N−ヘプタン、N−ヘキサン、N−オクタンなどの飽和炭化水素系溶媒などの有機溶媒が挙げられる。これらの溶媒の中では、メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶媒;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶媒;メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒;シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒が好適に用いられる。中でも、本発明に用いる溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(CHOCHCH(CH)OCOCH)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート及びシクロヘキサノンよりなる群から選択される1種以上であることが、他の成分の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
【0109】
これらの溶媒は単独もしくは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の顔料分散液は、以上のような溶媒を、当該溶媒を含む顔料分散液の全量に対して、通常は50〜85質量%の割合で用いて調製する。更に60〜85質量%の割合で用いて調製することが好ましい。溶媒が少なすぎると、粘度が上昇し、顔料分散性が低下しやすい。また、溶媒が多すぎると、顔料濃度が低下し、樹脂組成物を調製後目標とする色度座標に達成することが困難な場合がある。
【0110】
(他の顔料誘導体)
本発明の効果が損なわれない限り、他の顔料誘導体を含んでいても良い。本発明の顔料分散液において好適に用いられる他の顔料誘導体としては、下記のC.I.ピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体が挙げられる。
<C.I.ピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体>
本発明の顔料分散液においては、C.I.ピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体を、更に併用することが好ましい。この場合には、C.I.ピグメントイエロー138をより微細化して分散することが可能になり、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成しやすくなる。特に、顔料分散剤として、上記塩型ブロック共重合体からなる顔料分散剤と、C.I.ピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体と組み合わせると、特に高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成しやすくなる。
【0111】
C.I.ピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体は、少なくとも1つのスルホ基が、上記構造を有するC.I.ピグメントイエロー138に結合した構造を有し、以下のように表される。
【0112】
【化14】

(式中、n’はスルホ基の置換数を示し、1〜5の整数を表す。)
【0113】
スルホ基の置換数は、1〜2であることが好ましく、中でも1であることが、効率的に顔料分散性を向上できる点から好ましい。
【0114】
C.I.ピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体は、例えば、C.I.ピグメントイエロー138を、濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸又はこれらの混合液などに投入してスルホン化反応を行うことにより製造することができる。C.I.ピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体としては、1種単独で又は2種類以上混合して用いることができる。例えば、スルホ基の置換位置又は置換数が異なるスルホン酸誘導体を2種以上混合して用いても良い。
【0115】
本発明において、C.I.ピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体は、前記C.I.ピグメントイエロー138の100質量部に対して、0.1〜20質量部含有されることが好ましい。中でも、C.I.ピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体は、前記C.I.ピグメントイエロー138の100質量部に対して、0.5〜15質量部、更に1〜10質量部含有されることが好ましい。このような含有量で用いられることにより、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成しながら、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程後においても顔料凝集体の析出が抑制された塗膜を作製可能になる。
【0116】
他の顔料誘導体としては、スルホン酸の金属塩やアミン塩、スルホンアミド基を有する、C.I.ピグメントイエロー138のスルホン化誘導体が、更に含まれていても良い。スルホン酸のアミン塩であるスルホンアミド基としては、−SONHR(ここで、Rは1価の有機基)で表されるものが好ましく、上記Rとしては、例えば、ジメチルアミノプロピル基、ジエチルアミノプロピル基、ジブチルアミノプロピル基、ベンジル基、フェニル基等を挙げることができる。
【0117】
(その他の成分)
本発明の顔料分散液には、さらに必要に応じて、顔料分散補助樹脂やその他の成分を配合しても良い。
顔料分散補助樹脂としては、例えば後述するレジスト組成物で例示されるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂の立体障害によって顔料粒子同士が接触しにくくなり、分散安定化することやその分散安定化効果によって分散剤を減らす効果がある場合がある。
また、本発明の顔料分散液には、本発明の効果が損なわれない限り、他の顔料を含んでいても良い。他の顔料としては、後述する赤色又は緑色レジスト組成物を調製する際に必要な赤色顔料又は緑色顔料や、他の黄色顔料等が挙げられる。このような顔料については、後述するレジスト組成物で例示される顔料と同様のものを用いることができる。
また、本発明の効果が損なわれない限り、他の顔料分散剤を含んでいても良い。
また、その他の成分としては、例えば、濡れ性向上のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0118】
<顔料分散液の製造方法>
本発明の顔料分散液は、上記のC.I.ピグメントイエロー138と、C.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体と、顔料分散剤を溶媒に混合し、公知の分散機を用いて分散させることによって顔料分散液を調製する。分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントコンディショナー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミルが挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03〜2.00mmが好ましく、より好ましくは0.05〜1.0mmである。
【0119】
具体的には、ビーズ径が比較的大きめな1.0〜2.0mmジルコニアビーズで予備分散を行い、更にビーズ径が比較的小さめな0.03〜0.1mmジルコニアビーズで本分散することが挙げられる。また、分散後、0.1〜5.0μmのメンブランフィルターで濾過することが好ましい。
【0120】
本発明においては、公知の分散機を用いて分散させる分散時間は、適宜調整され特に限定されない。
このようにして、顔料粒子の分散性に優れた顔料分散液が得られる。該顔料分散液は、顔料分散性に優れたカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を調製するための予備調製物として用いられる。
【0121】
2.カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物
本発明に係るカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物は、C.I.ピグメントイエロー138と、上記化学式(1)で表されるC.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体と、顔料分散剤と、アルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤と、溶媒とを含有し、前記顔料分散剤が、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらにエチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体であり、且つ、前記C.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体が、前記C.I.ピグメントイエロー138の100質量部に対して、0.1〜20質量部含有されることを特徴とする。
【0122】
本発明に係るカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物は、顔料としてPY138を用い、更にPY138の特定のイミドアルキル化誘導体を特定量組み合わせて、更に上記特定の顔料分散剤を用いることにより、高温加熱工程時に顔料凝集体の析出が抑制され、高輝度及び高コントラストな着色層を形成可能であると共に、現像性に優れたものになる。
本発明に係るカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物は、黄色レジスト組成物であっても良いし、赤色又は緑色レジスト組成物であっても良い。
【0123】
以下、このような本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物に用いられる成分を説明する。
なお、上記本発明に係るカラーフィルタ用顔料分散液に含まれ得る成分のうち、C.I.ピグメントイエロー138、上記化学式(1)で表されるC.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体、顔料分散剤、溶媒については、上記顔料分散液の箇所において説明したものと同様のものを用いることができるので、ここでの説明は省略する。
【0124】
(アルカリ可溶性樹脂)
本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物において用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、ネガ型レジストに一般的に用いられるものを用いることができ、アルカリ水溶液に可溶性を有するものであればよい。アルカリ可溶性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2,2’−オキシビス(メチレン)ビス−2−プロペノエート、スチレン、γ−メチルスチレン、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどの中から選ばれる1種以上と、(メタ)アクリル酸、アクリル酸の二量体(例えば、東亞合成化学(株)製M−5600)、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの無水物の中から選ばれる1種以上とからなるコポリマーを例示できる。また、上記のコポリマーに、例えばグリシジル基、水酸基等の反応性官能基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させるなどして、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等も例示できるが、これらに限定されるものではない。
これらの中で、コポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加等することにより、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等は、露光時に、後述する多官能性モノマーと重合することが可能となり、着色層がより安定なものとなる点で、特に好適である。
【0125】
本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物において用いられるアルカリ可溶性樹脂は、1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、その含有量としては、カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物に含まれる顔料100質量部に対して、通常、10〜1000質量部の範囲内、好ましくは20〜500質量部の範囲内である。アルカリ可溶性樹脂の含有量が少な過ぎると、充分なアルカリ現像性が得られない場合があり、また、アルカリ可溶性樹脂の含有量が多すぎると顔料の割合が相対的に低くなって、充分な着色濃度が得られない場合がある。
【0126】
(多官能性モノマー)
本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物において用いられる多官能性モノマーは、後述する光開始剤によって重合可能なものであればよく、特に限定されず、通常、エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物が用いられ、特にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0127】
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、長鎖脂肪族ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、アクリル化イソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、リン酸ジ(メタ)アクリレート、亜鉛ジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0128】
また、三官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、無水コハク酸変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、無水コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エステルヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0129】
これらの多官能(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物に優れた光硬化性(高感度)が要求される場合には、多官能性モノマーが、重合可能な二重結合を3つ(三官能)以上有するものであるものが好ましく、例えばペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのこはく酸変性物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートのこはく酸変性物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが好適に用いられる。
本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物において用いられる上記多官能性モノマーの含有量は、特に制限はないが、上記アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、通常5〜500質量部程度、好ましくは20〜300質量部の範囲である。多官能性モノマーの含有量が上記範囲より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が溶出する場合があり、また、多官能性モノマーの含有量が上記範囲より多いとアルカリ現像性が低下するおそれがある。
【0130】
(光開始剤)
本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物において用いられる光開始剤としては、特に制限はなく、従来知られている各種光開始剤の中から、適宜選択して用いることができる。例えばベンゾフェノン、ミヒラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メチルフェニル)イミダゾール2量体、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルオキサジアゾール化合物、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−S−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン等のハロメチル−S−トリアジン系化合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン、1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ベンジル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4´−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)、4−ベンゾイル−メチルジフェニルサルファイド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパノンなどが挙げられる。これらの光開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0131】
本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物において用いられる光開始剤の含有量は、上記多官能性モノマー100質量部に対して、通常0.01〜100質量部程度、好ましくは5〜60質量部である。この含有量が上記範囲より少ないと十分に重合反応を生じさせることができないため、着色層の硬度を十分なものとすることができない場合があり、一方上記範囲より多いと、カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物の固形分中の顔料等の含有量が相対的に少なくなり、十分な着色濃度が得られない場合がある。
【0132】
(他の顔料)
本発明においては、C.I.ピグメントイエロー138が必須成分として用いられるが、カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物には、赤色又は緑色レジスト組成物とするために、更に、赤色顔料又は緑色顔料が用いられても良い。また、カラーフィルタにおける用途や仕様に必要とされる色度を達成でき、本発明の効果を損なわない限り、他の黄色顔料や更に橙色等の他の顔料を含有していても良い。
【0133】
<赤色顔料>
赤色顔料は、カラーフィルタにおける用途や仕様により適宜選択され、必要な色度を達成するために、公知の無機顔料および有機顔料の中から1種または2種以上を混合して用いられる。
有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
【0134】
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド4、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド8、C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド10、C.I.ピグメントレッド11、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド14、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド18、C.I.ピグメントレッド19、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド30、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド37、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド40、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド42、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド50:1、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド57:2、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド90:1、C.I.ピグメントレッド97、C.I.ピグメントレッド101、C.I.ピグメントレッド102、C.I.ピグメントレッド104、C.I.ピグメントレッド105、C.I.ピグメントレッド106、C.I.ピグメントレッド108、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド113、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド151、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド172、C.I.ピグメントレッド174、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド188、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド193、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド226、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド265等が挙げられる。
【0135】
中でも、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド177、及びC.I.ピグメントレッド242からなる群から選択される1種以上であることが、カラーフィルタの赤色着色層に必要な特定の色味を達成しながら、コントラストを向上する点から好ましい。
【0136】
<緑色顔料>
緑色顔料も、カラーフィルタにおける用途や仕様により適宜選択され、必要な色度を達成するために、公知の無機顔料および有機顔料の中から1種または2種以上を混合して用いられる。
緑色顔料としては、ピグメントグリーン7、ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58が挙げられる。中でも、高輝度化の点から、ピグメントグリーン58を用いることが好ましい。
【0137】
<黄色顔料>
C.I.ピグメントイエロー138とは異なる他の黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー150及びその誘導体顔料、並びに、C.I.ピグメントイエロー139等が挙げられる。
ここで、C.I.ピグメントイエロー150の誘導体顔料としては、具体的には、少なくとも1種のゲスト化合物のホストとして働く下記化学式またはそれの互変異性構造の1つに従うアゾ化合物のモノ、ジ、トリおよびテトラアニオンと金属Li,Cs,Mg,Cd,Co,Al,Cr,Sn,Pb、特に好適にはNa,K,Ca,Sr,Ba,Zn,Fe,Ni,Cu,MnおよびLaに相当する金属錯体を挙げることができる。
【0138】
【化15】

(上記化学式中、RおよびR’は、独立して、OH、NH、NH−CN、アシルアミノまたはアリールアミノであり、そしてRおよびR’は、独立して、−OHまたは−NHである)
【0139】
これらの誘導体顔料は、特開2001−354869号公報、特開2005−325350号公報、特開2007−25687号公報、特開2007−23287号公報、特開2007−23288号公報、及び特開2008−24927号公報を参照することにより入手可能である。
【0140】
<その他の顔料>
本発明においては、さらに必要に応じて、上記顔料以外のその他の顔料を配合しても良い。
その他の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー81等のブルー系ピグメント;C.I.ピグメントバイオレット23等のバイオレット系ピグメントなどが挙げられる。
【0141】
(任意添加成分)
本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じ各種添加剤を含むものであってもよい。該添加剤としては、例えば重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などが挙げられる。
これらの中で、用いることができる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類等を挙げることができる。また、その他にもフッ素系界面活性剤も用いることができる。
さらに、可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジル等が挙げられる。消泡剤、レベリング剤としては、例えばシリコン系、フッ素系、アクリル系の化合物等が挙げられる。
【0142】
<ネガ型レジスト組成物における各成分の配合割合>
顔料誘導体を含む顔料の合計の含有量は、ネガ型レジスト組成物の固形分全量に対して、10〜50質量%、より好ましくは20〜40質量%の割合で配合することが好ましい。顔料が少なすぎると、ネガ型レジスト組成物を所定の膜厚(通常は1.0〜3.0μm)に塗布した際の透過濃度が十分でないおそれがあり、また顔料が多すぎると、ネガ型レジスト組成物を基板上へ塗布し硬化させた際の基板への密着性、硬化膜の表面荒れ、塗膜硬さ等の塗膜としての特性が不十分となるおそれがあり、またそのネガ型レジスト組成物中の顔料分散に使われる分散剤の量の比率も多くなるために現像性、耐熱性等の特性も不十分になるおそれがある。尚、本発明において固形分は、上述した溶媒以外のもの全てであり、溶媒中に溶解している多官能性モノマー等も含まれる。
また、顔料分散剤の合計の含有量は、ネガ型レジスト組成物の固形分全量に対して、1〜40質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも5〜30質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が、ネガ型レジスト組成物の固形分全量に対して、1質量%未満の場合には、顔料を均一に分散することが困難になる恐れがあり、40質量%を超える場合には、硬化性、現像性の低下を招く恐れがある。
アルカリ可溶性樹脂、多官能モノマー、及び光開始剤は、これらの合計量が、ネガ型レジスト組成物の固形分全量に対して15〜89質量%、好ましくは25〜80質量%の割合で配合するのが好ましい。
また、溶媒の含有量としては、着色層を精度良く形成することができるものであれば特に限定されるものではない。該溶媒を含む上記ネガ型レジスト組成物の全量に対して、通常、65〜95質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも75〜88質量%の範囲内であることが好ましい。上記溶媒の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
【0143】
(カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物の製造)
本発明のネガ型レジスト組成物の第一の製造方法は、顔料分散剤として、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらにエチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体を準備する工程と、
溶剤中、前記顔料分散剤の存在下で、C.I.ピグメントイエロー138と、上記化学式(1)で表されるC.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体とを分散させて顔料分散液を調製する工程と、
前記顔料分散液と、アルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤とを混合する工程とを有する。
また、本発明のネガ型レジスト組成物の第二の製造方法は、顔料分散剤として、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらにエチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体を準備する工程と、
溶剤中、前記顔料分散剤の存在下で、C.I.ピグメントイエロー138を分散させて顔料分散液を調製する工程と、
前記顔料分散液と、上記化学式(1)で表されるC.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体と、アルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤とを混合する工程とを有する。
【0144】
本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物の製造方法によれば、予め顔料分散液を製造して用いるので、顔料の凝集を効果的に防ぎ、均一に分散させることができる点から好ましい。
上記本発明に係る顔料分散液が黄色顔料分散液である場合に、赤色又は緑色レジスト組成物を調製する際には、別途、上記本発明に係る顔料分散液の製造方法と同様にして、予め赤色顔料分散液又は緑色顔料分散液を調製し、用いることが好ましい。
【0145】
また、上記第二の製造方法によれば、顔料凝集体の析出を抑制可能な特定の顔料のイミドアルキル化誘導体を、顔料の処理時や顔料を分散する時には添加せず、顔料分散液とは独立にカラーフィルタ用樹脂組成物に添加することにより、カラーフィルタ製造工程の高温加熱工程後における顔料凝集体の析出を抑制しながら、顔料の分散性及び分散安定性を従来より向上して高コントラスト化の要求を達成する樹脂組成物が得られる。
この場合には、顔料分散液を調製するまでの工程、すなわち、顔料組成物を調製する顔料処理時や、顔料を分散する時までには、顔料のイミドアルキル化誘導体を添加しないので、顔料分散時に顔料表面の極性が弱まることなく、適宜顔料分散剤や顔料誘導体を選択することにより顔料の分散性や安定性を従来より向上することができる。
次いで、微細化した顔料分散液を調製後に、顔料のイミドアルキル化誘導体を添加することにより、高温加熱工程において熱運動により顔料分散剤の吸着が弱まった際には、相対的に顔料表面との吸着力が強い顔料のイミドアルキル化誘導体が、代わりに顔料表面を安定化させるのではないかと推定される。その結果、高温時も、顔料のイミドアルキル化誘導体が微細に分散された顔料表面を安定化させたまま維持可能であるため、従来よりも高コントラスト化の要求を達成しながら、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程後においても顔料凝集体が析出しない塗膜を作製可能であると推定される。
【0146】
なお、上記製造方法において、顔料分散剤として上記特定のグラフト共重合体を準備する工程と、顔料分散液を調製する工程については、上述と同様で良いので、ここでの説明は省略する。
【0147】
第二の製造方法において、顔料分散液と、上記化学式(1)で表されるC.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体とを混合する方法は特に限定されない。例えばバインダー成分と上記イミドアルキル化誘導体とを予め混合して配合されても良い。中でも、上記イミドアルキル化誘導体を、溶媒に溶解乃至分散させた顔料誘導体溶液を調製する工程を有し、当該工程で調製された顔料誘導体溶液を、顔料分散液やバインダー成分と混合することが好ましい。
【0148】
顔料誘導体溶液を調製するための溶媒としては、顔料のイミドアルキル化誘導体の溶解度(25℃)が 1g/L以上であることが好ましく、更に3g/L以上であることが好ましい。
一方、顔料誘導体溶液を調製するための溶媒は、顔料分散液を調製するために用いられる溶媒と相溶性があることが好ましく、顔料誘導体溶液を調製するための溶媒は、顔料分散液を調製するために用いられる溶媒の溶解度(25℃)が100g/L以上であることが好ましく、更に500g/L以上であることが好ましい。
【0149】
顔料のイミドアルキル化誘導体を、溶媒中に溶解乃至分散させる方法としては、特に限定されない。溶媒に対して溶解度が高い場合には、混合や加熱処理により溶解する場合もある。一方、溶媒に対して溶解度が低めの場合には、上記顔料分散液を調製する工程で述べたような顔料分散剤、その他の顔料誘導体、顔料分散補助樹脂などを用いた
顔料分散方法によって、顔料のイミドアルキル化誘導体を、溶媒中に溶解乃至分散させることが好ましい。
【0150】
前記顔料分散液と、場合により上記化学式(1)で表されるC.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体と、アルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤とを混合する工程においては、少なくとも前記調製された顔料分散液と、場合により前記調製された顔料誘導体溶液と、バインダー成分とを混合するが、更に溶媒、必要に応じてその他の成分を更に添加して、混合しても良い。
混合する方法としては特に限定されない。
【0151】
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
[カラーフィルタ]
本発明のカラーフィルタは、前述した本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を硬化させて形成されてなる着色層を有することを特徴とする。
このような本発明のカラーフィルタについて、図を参照しながら説明する。図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。図1によれば、本発明のカラーフィルタ10は、透明基板1と、遮光部2と、着色層3とを有している。
【0152】
(着色層)
本発明のカラーフィルタに用いられる着色層は、前述した本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を硬化させて形成されたものであればよく、特に限定されないが、通常、後述する透明基板上の遮光部の開口部に形成され、該カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物に含まれる顔料の種類によって、3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1〜5μmの範囲であることが好ましい。
【0153】
当該着色層は、例えば下記の方法により形成することができる。
まず、前述した本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、コールコート法、スピンコート法などの塗布手段を用いて後述する透明基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。
次いで、ホットプレートやオーブンなどを用いて、該ウェット塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂及び多官能性モノマー等を光重合反応させて、カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物の塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用するカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
【0154】
次に、現像液を用いて現像処理し、未露光部分を溶解、除去することにより、所望のパターンで塗膜が形成される。現像液としては、通常、水や水溶性溶媒にアルカリを溶解させた溶液が用いられる。このアルカリ溶液には、界面活性剤などを適量添加してもよい。また、現像方法は一般的な方法を採用することができる。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、ネガ型レジスト組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択される。
【0155】
(遮光部)
本発明のカラーフィルタにおける遮光部は、後述する透明基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルタに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
当該遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。この遮光部としては、例えば、黒色顔料をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたものや、クロム、酸化クロム等の金属薄膜等が挙げられる。この金属薄膜は、CrO膜(xは任意の数)及びCr膜が2層積層されたものであってもよく、また、より反射率を低減させたCrO膜(xは任意の数)、CrN膜(yは任意の数)及びCr膜が3層積層されたものであってもよい。
当該遮光部が黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたものである場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、遮光部用ネガ型レジスト組成物を用いたフォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
【0156】
上記の場合であって、遮光部の形成方法として印刷法やインクジェット法を用いる場合、バインダ樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0157】
また、上記の場合であって、遮光部の形成方法としてフォトリソグラフィー法を用いる場合、バインダ樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。この場合、黒色着色剤及び感光性樹脂を含有する遮光部用ネガ型レジスト組成物には、光重合開始剤を添加してもよく、さらには必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。本発明においては、上記遮光部用ネガ型レジスト組成物として、顔料としてカーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料を有した上記カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を用いてもよい。
【0158】
一方、遮光部が金属薄膜である場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、フォトリソグラフィー法、マスクを用いた蒸着法、印刷法等を挙げることができる。
【0159】
遮光部の膜厚としては、金属薄膜の場合は0.2〜0.4μm程度で設定され、黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたものである場合は0.5〜3.0μm程度で設定される。
【0160】
(透明基板)
本発明のカラーフィルタにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルタの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、上記透明基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
【0161】
次に、本発明の液晶表示装置について説明する。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、前述した本発明のカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルタ10と、TFTアレイ基板等を有する対向基板20と、上記カラーフィルタ10と上記対向基板20との間に形成された液晶層30とを有している。
なお、本発明の液晶表示装置は、この図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
【0162】
本発明の液晶表示装置の駆動方式としては、特に限定はなく一般的に液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、及びMVA方式等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
また、対向基板としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
さらに、液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
【0163】
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば、真空注入方式や液晶滴下方式等が挙げられる。
真空注入方式では、例えば、あらかじめカラーフィルタ及び対向基板を用いて液晶セルを作製し、液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して液晶セルに液晶を等方性液体の状態で注入し、接着剤で封鎖することにより液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また液晶滴下方式では、例えば、カラーフィルタの周縁にシール剤を塗布し、このカラーフィルタを液晶が等方相になる温度まで加熱し、ディスペンサー等を用いて液晶を等方性液体の状態で滴下し、カラーフィルタ及び対向基板を減圧下で重ね合わせ、シール剤を介して接着させることにより、液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
【0164】
次に、本発明の有機発光表示装置について説明する。
[有機発光表示装置]
本発明の有機発光表示装置は、前述した本発明のカラーフィルタと、有機発光体とを有することを特徴とする。
このような本発明の有機発光表示装置について、図を参照しながら説明する。図7は、本発明の有機発光表示装置の一例を示す概略図である。図7に例示するように本発明の有機発光表示装置100は、カラーフィルタ10と、有機発光体80とを有している。
カラーフィルタ10と、有機発光体80との間に、有機保護層50や無機酸化膜60を有していても良い。
【0165】
有機発光体80の積層方法としては、例えば、カラーフィルタ上面へ透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体80を無機酸化膜60上に貼り合わせる方法などが挙げられる。有機発光体80における、透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76、その他の構成は、公知のものを適宜用いることができる。このようにして作製された有機発光表示装置100は、例えば、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
なお、本発明の有機発光表示装置は、この図7に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた有機発光表示装置として公知の構成とすることができる。
【実施例】
【0166】
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0167】
(製造例1 黄色顔料イミドアルキル化誘導体A(PY138フタルイミドメチル誘導体)の合成)
パラホルムアルデヒド5.14質量部とフタルイミド17.71質量部を3.6質量%の発煙硫酸338.67質量部に25℃で加えた後、50℃で30分撹拌した。次いでC.I.ピグメントイエロー138 69.40質量部を加え、100℃で3時間撹拌した。反応液を氷水2400質量部に加え、60℃で30分間攪拌した後、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを温水で3回洗浄し、真空乾燥、粉砕することでピグメントイエロー138にフタルイミドメチル基が1個置換した、下記式(n=1)で表される黄色顔料イミドアルキル化誘導体Aを得た。TOF−MSにより、目的物の分子量を確認した。
【0168】
【化16】

【0169】
(製造例2 黄色顔料イミドアルキル化誘導体B(PY138テトラクロロフタルイミドメチル誘導体)の合成)
パラホルムアルデヒド5.14質量部と3,4,5,6−テトラクロロフタルイミド34.27質量部を3.6質量%の発煙硫酸338.67質量部に25℃で加えた後、50℃で30分撹拌した。次いでピグメントイエロー138 69.40質量部を加え、100℃で3時間撹拌した。反応液を氷水2400質量部に加え、60℃で30分間攪拌した後、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを60℃の温水1Lで3回洗浄し真空乾燥、粉砕することでピグメントイエロー138にテトラクロロナフタルイミドメチル基が1個置換した、下記式(n=1)で表される黄色顔料イミドアルキル化誘導体Bを得た。TOF−MSにより、目的物の分子量を確認した。
【0170】
【化17】

【0171】
(製造例3 黄色顔料イミドアルキル化誘導体C(PY138ナフタルイミドメチル誘導体)の合成)
パラホルムアルデヒド5.14質量部とナフタルイミド23.72質量部を3.6質量%の発煙硫酸338.67質量部に25℃で加えた後、50℃で30分撹拌した。次いでピグメントイエロー138 69.40質量部を加え、100℃で3時間撹拌した。反応液を氷水2400質量部に加え、60℃で30分間攪拌した後、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを60℃の温水1Lで3回洗浄し、真空乾燥、粉砕することでピグメントイエロー138にナフタルイミドメチル基が1個置換した、下記式(n=1)で表される黄色顔料イミドアルキル化誘導体Cを得た。TOF−MSにより、目的物の分子量を確認した。
【0172】
【化18】

【0173】
(製造例4 黄色顔料スルホン酸誘導体A(PY138スルホン酸誘導体)の合成)
11質量%発煙硫酸374.76質量部を10℃に冷却しながら攪拌し、ピグメントイエロー138 74.96質量部を加えた。次いで、90℃で6時間攪拌した。反応液を氷水1600質量部に加え、15分間攪拌した後、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを800mlの水で3回洗浄した。ウェットケーキを80℃で真空乾燥し、粉砕することでピグメントイエロー138にスルホン酸基が1個置換した、下記式(n=1)で表される黄色顔料スルホン酸誘導体Aを得た。TOF−MSにより、目的物の分子量を確認した。
【0174】
【化19】

【0175】
(製造例5 バインダー樹脂Aの合成)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、溶媒としてジエチレングリコールエチルメチルエーテル(EMDG)130質量部を仕込み、窒素雰囲気下で110℃に昇温した後、メタクリル酸メチル(MMA)32質量部、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)22質量部、メタクリル酸(MAA)24質量部、開始剤としてα,α’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2質量部および連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン4.5質量部を含む混合物を、それぞれ1.5時間かけて連続的に滴下した。
その後、合成温度を保持して反応を続け、滴下終了から2時間後に重合禁止剤として、p−メトキシフェノール0.05質量部を添加した。
次に、空気を吹き込みながら、メタクリル酸グリシジル(GMA)22質量部を添加して、110℃に昇温した後、トリエチルアミン0.2質量部を添加して110℃で15時間付加反応させ、バインダー樹脂A(固形分44質量%)を得た。
得られたバインダー樹脂Aの質量平均分子量は8500、酸価は85mgKOH/gであった。なお、質量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質とし、THFを溶離液としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて算出し、酸価はJIS−K0070に従い測定した。
【0176】
(製造例6 マクロモノマーMM−1の合成)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(略称PGMEA)80.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度90℃に加温した。メタクリル酸メチル50.0質量部、メタクリル酸−n−ブチル30.0質量部、メタクリル酸ベンジル20.0質量部、メルカプトエタノール4.0質量部、PGMEA30質量部、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル(略称AIBN)1.0質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、さらに3時間反応した。次に、窒素気流を止めて、この反応溶液を80℃に冷却し、カレンズMOI(昭和電工(株)社製)8.74質量部、ジラウリン酸ジブチルすず0.125g、p−メトキシフェノール0.125質量部、及びPGMEA10質量部、を加えて3時間攪拌することで、マクロモノマーMM−1の49.5質量%溶液を得た。得られたマクロモノマーMM−1を、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて、N−メチルピロリドン、0.01mol/L臭化リチウム添加/ポリスチレン標準の条件で確認したところ、質量平均分子量(Mw)4010、数平均分子量(Mn)1910、分子量分布(Mw/Mn)は2.10であった。マクロモノマーMM−1の計算により算出されるTgは、64℃である。
【0177】
(製造例7 マクロモノマーMM−2の合成)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA80.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度90℃に加温した。メタクリル酸メチル100.0質量部、メルカプトエタノール4.0質量部、PGMEA30質量部、AIBN1.0質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、さらに3時間反応した。次に、窒素気流を止めて、この反応溶液を80℃に冷却し、カレンズMOI8.74質量部、ジラウリン酸ジブチルすず0.125g、p−メトキシフェノール0.125質量部、及びPGMEA10質量部、を加えて3時間攪拌することで、マクロモノマーMM−2の49.8質量%溶液を得た。得られたマクロモノマーMM−2を、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて、N−メチルピロリドン、0.01mol/L臭化リチウム添加/ポリスチレン標準の条件で確認したところ、質量平均分子量(Mw)4130、数平均分子量(Mn)1940、分子量分布(Mw/Mn)は2.13であった。マクロモノマーMM−2の計算により算出されるTgは、105℃である。
【0178】
(製造例8 グラフト共重合体GP−1の合成)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA85.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度85℃に加温した。製造例6のマクロモノマーMM−1溶液67.34質量部(有効固形分33.33質量部)、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(略称DMA)16.67質量部、n−ドデシルメルカプタン1.24質量部、PGMEA20.0質量部、AIBN0.5質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、3時間加熱攪拌したのち、AIBN0.10質量部 、PGMEA10.0質量部 の混合液を10分かけて滴下し、さらに同温で1時間熟成することで、グラフト共重合体GP−1の26.0質量%溶液を得た。得られたグラフト共重合体GP−1は、GPC測定の結果、質量平均分子量(Mw)12420、数平均分子量(Mn)4980、分子量分布(Mw/Mn)は2.49であった。なおアミン価は118mgKOH/gであった。
【0179】
(製造例9 グラフト共重合体GP−2の合成)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA85.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度85℃に加温した。製造例7のマクロモノマーMM−2溶液66.93質量部(有効固形分33.33質量部)、DMA16.67質量部、n−ドデシルメルカプタン1.24質量部、PGMEA20.0質量部、AIBN0.5質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、3時間加熱攪拌したのち、AIBN0.10質量部 、PGMEA10.0質量部 の混合液を10分かけて滴下し、さらに同温で1時間熟成することで、グラフト共重合体GP−2の26.2質量%溶液を得た。得られたグラフト共重合体GP−2は、GPC測定の結果、質量平均分子量(Mw)11320、数平均分子量(Mn)4460、分子量分布(Mw/Mn)は2.54であった。なおアミン価は120mgKOH/gであった。
【0180】
(製造例10 グラフト共重合体GP−3の合成)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA85.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度85℃に加温した。製造例6のマクロモノマーMM−1溶液44.89質量部(有効固形分22.22質量部)、プラクセルFA−10L(Tg=−60℃)を15.87質量部(ダイセル化学社製 ヒドロキシエチルアクリレートにカプロラクトン10mol付加品 70%溶液 有効固形分11.11質量部)、DMA16.67質量部、n−ドデシルメルカプタン1.24質量部、PGMEA30.0質量部、AIBN0.5質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、3時間加熱攪拌したのち、AIBN0.10質量部 、PGMEA10.0質量部 の混合液を10分かけて滴下し、さらに同温で1時間熟成することで、グラフト共重合体GP−3の26.8質量%溶液を得た。得られたグラフト共重合体GP−3は、GPC測定の結果、質量平均分子量(Mw)12810、数平均分子量(Mn)4980、分子量分布(Mw/Mn)は2.57であった。なおアミン価は121mgKOH/gであった。
【0181】
(製造例11 分散剤溶液Aの調製)
225mLマヨネーズ瓶中に、PGMEA31.25質量部、製造例8のグラフト共重合体GP−1溶液65.88質量部(有効固形分17.13質量部)をそれぞれ溶解させ、フェニルホスホン酸(商品名:PPA、日産化学社製)2.87質量部(グラフト共重合体GP−1の3級アミノ基に対して0.5モル当量)を加え、室温で30分攪拌することで分散剤溶液A(固形分20%)を調製した。得られた分散剤溶液Aの酸価は101mgKOH/gであった。
このとき、グラフト共重合体GP−1のアミノ基は、PPAのホスホン酸基との酸・塩基反応により塩形成されている。
【0182】
(製造例12 分散剤溶液Bの調製)
225mLマヨネーズ瓶中に、PGMEA30.53質量部、製造例8のグラフト共重合体GP−1溶液66.85質量部(有効固形分17.38質量部)をそれぞれ溶解させ、フェニルホスフィン酸(東京化成社製)2.62質量部(グラフト共重合体GP−1の3級アミノ基に対して0.5モル当量)を加え、室温で30分攪拌することで分散剤溶液B(固形分20%)を調製した。得られた分散剤溶液Bの酸価は52mgKOH/gであった。
このとき、グラフト共重合体GP−1のアミノ基は、フェニルホスフィン酸のホスフィン酸基との酸・塩基反応により塩形成されている。
【0183】
(製造例13 分散剤溶液Cの調製)
225mLマヨネーズ瓶中に、PGMEA31.75質量部、製造例9のグラフト共重合体GP−2溶液65.38質量部(有効固形分17.13質量部)をそれぞれ溶解させ、フェニルホスホン酸(商品名:PPA、日産化学社製)2.87質量部(グラフト共重合体GP−2の3級アミノ基に対して0.5モル当量)を加え、室温で30分攪拌することで分散剤溶液C(固形分20%)を調製した。得られた分散剤溶液Cの酸価は99mgKOH/gであった。
このとき、グラフト共重合体GP−2のアミノ基は、PPAのホスホン酸基との酸・塩基反応により塩形成されている。
【0184】
(製造例14 分散剤溶液Dの調製)
225mLマヨネーズ瓶中に、PGMEA33.21質量部、製造例10のグラフト共重合体GP−3溶液63.92質量部(有効固形分17.13質量部)をそれぞれ溶解させ、PPA2.87質量部(グラフト共重合体GP−3の3級アミノ基に対して0.5モル当量)を加え、室温で30分攪拌することで分散剤溶液D(固形分20%)を調製した。得られた分散剤溶液Dの酸価は100mgKOH/gであった。
このとき、グラフト共重合体GP−3のアミノ基は、PPAのホスホン酸基との酸・塩基反応により塩形成されている。
【0185】
(製造例15 分散剤溶液Eの調製)
冷却管を備えた200mLフラスコ中に、PGMEA29.82質量部、製造例8のグラフト共重合体GP−1溶液67.81質量部(有効固形分17.63質量部)をそれぞれ溶解させ、塩化ベンジル(関東化学社製)2.37質量部(グラフト共重合体の3級アミノ基に対して0.5モル当量)を加え、80℃で6時間反応させることで分散剤溶液E(固形分20%)を調製した。得られた分散剤溶液Eの酸価は0mgKOH/gであった。
このとき、グラフト共重合体GP−1のアミノ基は、塩化ベンジルとの4級化反応により塩形成されている。
【0186】
(実施例1)
(1)PY138顔料分散液Aの調製
製造例11で調製した分散剤溶液A25.0質量部、製造例5のバインダー樹脂A6.82質量部、PGMEA58.18質量部、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー138(PY138:平均一次粒径10〜40nm)9.2質量部、製造例1の黄色顔料イミドアルキル化誘導体A(PY138フタルイミドメチル誘導体)0.3質量部、製造例4の黄色顔料スルホン酸誘導体A(PY138スルホン酸誘導体)0.5質量部を混合し、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて予備分散として2mmジルコニアビーズで1時間、さらに本分散として0.1mmジルコニアビーズで18時間分散し、PY138顔料分散液Aを得た。
【0187】
(2)カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Aの調製
上記(1)で得られたPY138顔料分散液A53.33質量部と下記バインダー組成物A42.67質量部、PGMEA4.00質量部、界面活性剤R08MH(DIC製)0.04質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン製)0.4質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Aを得た。
<バインダー組成物A(固形分15%)>
・アルカリ可溶性樹脂(製造例5のバインダー樹脂A、固形分44質量%):8.18質量部
・3〜4官能アクリレートモノマー(商品名:アロニックスM305、東亞合成社製):8.4質量部
・光重合開始剤:2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(商品名:イルガキュア907、BASF社製)):0.82質量部
・光重合開始剤:2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(商品名:ビイミダゾール、黒金化成社製)):1.64質量部
・光重合開始剤:2−メルカプトベンゾチアゾール(東京化成社製):0.26質量部
・光増感剤:2,4ジエチルチオキサントン(商品名:カヤキュアーDETX-S、日本化薬社
製):0.28質量部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA):80.42質量部
【0188】
(実施例2)
(1)PY138顔料分散液Bの調製
実施例1(1)において、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー138 9.7質量部、製造例1の黄色顔料イミドアルキル化誘導体A(PY138フタルイミドメチル誘導体)0.3質量部として、製造例4の黄色顔料スルホン酸誘導体Aを用いなかった以外は、実施例1(1)と同様にして、PY138顔料分散液Bを調製した。
【0189】
(2)カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Bの調製
実施例1(2)において、PY138顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られたPY138顔料分散液Bを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Bを得た。
【0190】
(実施例3)
(1)PY138顔料分散液Cの調製
実施例1(1)において、製造例11の分散剤溶液Aの代わりに製造例12で調製した分散剤溶液B25.0質量部とした以外は、実施例1(1)と同様にして、PY138顔料分散液Cを調製した。
【0191】
(2)カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Cの調製
実施例1(2)において、PY138顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られたPY138顔料分散液Cを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Cを得た。
【0192】
(実施例4)
(1)PY138顔料分散液Dの調製
実施例1(1)において、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー138 9.2質量部、製造例2の黄色顔料イミドアルキル化誘導体B(PY138テトラクロロフタルイミドメチル誘導体)0.3質量部、製造例4の黄色顔料スルホン酸誘導体A(PY138スルホン酸誘導体)0.5質量部とした以外は、実施例1(1)と同様にして、PY138顔料分散液Dを調製した。
【0193】
(2)カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Dの調製
実施例1(2)において、PY138顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られたPY138顔料分散液Dを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Dを得た。
【0194】
(実施例5)
(1)PY138顔料分散液Eの調製
実施例1(1)において、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー138 9.2質量部、製造例3の黄色顔料イミドアルキル化誘導体C(PY138ナフタルイミドメチル誘導体)0.3質量部、製造例4の黄色顔料スルホン酸誘導体A(PY138スルホン酸誘導体)0.5質量部とした以外は、実施例1(1)と同様にして、PY138顔料分散液Eを調製した。
【0195】
(2)カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Eの調製
実施例1(2)において、PY138顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られたPY138顔料分散液Eを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Eを得た。
【0196】
(実施例6)
(1)PY138顔料分散液Fの調製
実施例1(1)において、製造例11の分散剤溶液Aの代わりに製造例13で調製した分散剤溶液C25.0質量部とした以外は、実施例1(1)と同様にして、PY138顔料分散液Fを調製した。
【0197】
(2)カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Fの調製
実施例1(2)において、PY138顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られたPY138顔料分散液Fを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Fを得た。
【0198】
(実施例7)
(1)PY138顔料分散液Gの調製
実施例1(1)において、製造例11の分散剤溶液Aの代わりに製造例14で調製した分散剤溶液D25.0質量部とした以外は、実施例1(1)と同様にして、PY138顔料分散液Gを調製した。
【0199】
(2)カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Gの調製
実施例1(2)において、PY138顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られたPY138顔料分散液Gを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Gを得た。
【0200】
(比較例1)
(1)PY138顔料分散液Hの調製
実施例1(1)において、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー138 9.5質量部、製造例4の黄色顔料スルホン酸誘導体A(PY138スルホン酸誘導体)0.5質量部として、黄色顔料イミドアルキル化誘導体を用いなかった以外は、実施例1(1)と同様にして、PY138顔料分散液Hを調製した。
【0201】
(2)カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Hの調製
実施例1(2)において、PY138顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られたPY138顔料分散液Hを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Hを得た。
【0202】
(比較例2)
(1)PY138顔料分散液Iの調製
実施例1(1)において、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー138 10.0質量部として、黄色顔料イミドアルキル化誘導体及び黄色顔料スルホン酸誘導体を用いなかった以外は、実施例1(1)と同様にして、PY138顔料分散液Iを調製した。
【0203】
(2)カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Iの調製
実施例1(2)において、PY138顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られたPY138顔料分散液Iを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Iを得た。
【0204】
(比較例3)
(1)PY138顔料分散液Jの調製
実施例1(1)において、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー138 10.0質量部とし、黄色顔料イミドアルキル化誘導体及び黄色顔料スルホン酸誘導体を用いず、本分散時間を4時間とした以外は、実施例1(1)と同様にして、PY138顔料分散液Jを調製した。
【0205】
(2)カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Jの調製
実施例1(2)において、PY138顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られたPY138顔料分散液Jを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Jを得た。
【0206】
(比較例4)
(1)PY138顔料分散液Kの調製
実施例1(1)において、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー138 9.5質量部、製造例4の黄色顔料スルホン酸誘導体A(PY138スルホン酸誘導体)0.5質量部とし、製造例11の分散剤溶液Aの代わりに製造例8で調製したグラフト共重合体GP−1 19.23質量部、PGMEA 63.95質量部とした以外は、実施例1(1)と同様にして、PY138顔料分散液Kを調製した。
【0207】
(2)カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Kの調製
実施例1(2)において、PY138顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られたPY138顔料分散液Kを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Kを得た。
【0208】
(比較例5)
(1)PY138顔料分散液Lの調製
実施例1(1)において、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー138 9.5質量部、製造例4の黄色顔料スルホン酸誘導体A(PY138スルホン酸誘導体)0.5質量部とし、製造例11の分散剤溶液Aの代わりに製造例15で調製した分散剤溶液E25質量部とした以外は、実施例1(1)と同様にして、PY138顔料分散液Lを調製した。
【0209】
(2)カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Lの調製
実施例1(2)において、PY138顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られたPY138顔料分散液Lを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Lを得た。
【0210】
(比較例6)
(1)PY138顔料分散液Mの調製
実施例1(1)において、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー138 9.5質量部、製造例4の黄色顔料スルホン酸誘導体A(PY138スルホン酸誘導体)0.5質量部とし、製造例11の分散剤溶液Aの代わりに市販分散剤「アジスパーPB821」(味の素ファインテクノ社製,固形分濃度100質量%)5.00質量部、PGMEA 78.18質量部とした以外は、実施例1(1)と同様にして、PY138顔料分散液Mを調製した。
【0211】
(2)カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Mの調製
実施例1(2)において、PY138顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られたPY138顔料分散液Mを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Mを得た。
【0212】
(比較例7)
(1)PY138顔料分散液Nの調製
実施例1(1)において、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー138 9.5質量部、製造例4の黄色顔料スルホン酸誘導体A(PY138スルホン酸誘導体)0.5質量部とし、分散剤溶液Aを市販分散剤の「BYK−LPN6919」(ビックケミー社製,固形分濃度60質量%)8.33質量部、PGMEAを74.85質量部とした以外は、実施例1(1)と同様にして、PY138顔料分散液Nを調製した。
【0213】
(2)カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Nの調製
実施例1(2)において、PY138顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られたPY138顔料分散液Nを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Nを得た。
【0214】
(実施例8)
(1)PY138フタルイミドメチル誘導体分散液Aの調製
製造例1の黄色顔料イミドアルキル化誘導体A(PY138フタルイミドメチル誘導体)3.00質量部、市販分散剤の「Disperbyk2000」(ビックケミー社製,固形分濃度40質量%)6.00質量部、PGMEAを72.08質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル18.92質量部を混合し、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて予備分散として2mmジルコニアビーズで1時間、さらに本分散として0.1mmジルコニアビーズで3時間分散し、PY138フタルイミドメチル誘導体分散液Aを得た。
【0215】
(2)カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Oの調製
比較例1(1)で得られたPY138顔料分散液H 97質量部に、上記(1)で得られたPY138フタルイミドメチル誘導体分散液A 10質量部を添加混合することで、PY138顔料分散液Oを調製した。
上記で得られたPY138顔料分散液O 57.07質量部とバインダー組成物A 42.67質量部、PGMEA 0.26質量部とを混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Oを得た。
【0216】
(評価)
<顔料分散安定性>
顔料分散安定性の評価として、各実施例及び比較例で得られたPY138顔料分散液を、40℃で1週間静置し、静置前後の上記顔料分散液中の顔料粒子の平均粒径とせん断粘度の測定を行った。平均粒径の測定には、日機装社製「ナノトラック粒度分布計UPA−EX150」を用い、粘度測定には、Anton Paar製「レオメータMCR301」を用いて、せん断速度が60rpmのときのせん断粘度を測定した。
結果を表1に示す。
【0217】
<光学性能(色度・輝度・コントラスト)>
各実施例及び比較例で得られたカラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物を、厚み0.7mmのガラス基板(日本電気硝子社製、「OA−10G」)上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。超高圧水銀灯を用いて30mJ/cmの紫外線を照射することによって硬化膜(黄色着色層)を得た。乾燥硬化後の膜厚は目標色度x=0.420になるように調整した。着色層が形成されたガラス板を230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークし、得られた着色基板のポストベーク前後のコントラスト、色度(x、y)及び輝度(Y)を測定した。コントラストは壺坂電気(株)社製「コントラスト測定装置CT−1B」を用い、色度及び輝度はオリンパス(株)社製「顕微分光測定装置OSP−SP200」を用いて測定した。
結果を表2に示す。
【0218】
<耐溶剤性>
上記(光学性能)評価で得られた黄色着色基板を、N−メチルピロリドン(NMP)中に室温で30分間浸漬させ、純水で洗浄後、NMP浸漬前後の色差(ΔEab)を測定した。結果を表2に示す。
【0219】
<アルカリ現像性>
各実施例及び比較例で得られたカラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物を、厚み0.7mmのガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。この着色層にフォトマスクを介し、超高圧水銀灯を用いて30mJ/cmの紫外線を照射した。その後、上記着色層が形成されたガラス板を、アルカリ現像液として0.05質量%水酸化カリウム水溶液を用いてシャワー現像し、上記着色層を形成した箇所のガラス面が現れるまでの時間を現像時間として測定した。結果を表2に示す。
【0220】
<耐熱性>
上記(アルカリ現像性)評価で得られた黄色着色基板を240℃及び260℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークし、パターン塗膜上に顔料凝集体の析出の有無がないか確認した。結果を表2に示す。例として、実施例1、実施例2、比較例1、及び比較例2の260℃での耐熱性評価結果の写真を、図5〜図8にそれぞれ示す。
(評価基準)
○:析出無し
×:塗膜面に析出有り
××:塗膜全面に析出有り
【0221】
<耐アルカリ性>
各実施例及び比較例で得られたカラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物を、厚み0.7mmのガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。この着色層にライン&スペースが80μmのストライプパターンの描かれたフォトマスクを介して超高圧水銀灯を用いて30mJ/cmの紫外線を照射した。その後、上記着色層が形成されたガラス板を、アルカリ現像液として0.05質量%水酸化カリウム水溶液を用いて60秒間シャワー現像したのち、さらに60秒間超純水で洗浄し、さらに230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークした。なお、60秒で現像できない場合は現像できるまでシャワー現像を行った。
得られた着色パターンが形成されたガラス基板を40℃に保持した5.0質量%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬させ、着色パターンがガラス基板から剥離するまでの時間を測定した。
結果を表2に示す。
【0222】
【表1】

【0223】
【表2】

【0224】
(製造例16 PY150顔料分散液の調製)
製造例11で調製した分散剤溶液A26.00質量部、製造例5のバインダー樹脂A11.82質量部、PGMEA49.18質量部、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー150(PY150:平均一次粒径10〜50nm)13.0質量部を混合し、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて予備分散として2mmジルコニアビーズで1時間、さらに本分散として0.1mmジルコニアビーズで4時間分散し、PY150顔料分散液を得た。
【0225】
(製造例17 PG58顔料分散液の調製)
製造例11で調製した分散剤溶液A22.75質量部、製造例5のバインダー樹脂A10.34質量部、PGMEA53.91質量部、色材成分としてC.I.ピグメントグリーン58(PG58:平均一次粒径10〜50nm)13.0質量部を混合し、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて予備分散として2mmジルコニアビーズで1時間、さらに本分散として0.1mmジルコニアビーズで4時間分散し、PG58顔料分散液を得た。
【0226】
(製造例18 PR254顔料分散液の調製)
製造例11で調製した分散剤溶液A20.00質量部、製造例5のバインダー樹脂A9.09質量部、PGMEA60.91質量部、色材成分としてC.I.ピグメントレッド254(PR254:平均一次粒径10〜50nm)10.0質量部を混合し、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて予備分散として2mmジルコニアビーズで1時間、さらに本分散として0.1mmジルコニアビーズで4時間分散し、PR254顔料分散液を得た。
【0227】
(製造例19 PY139顔料分散液の調製)
製造例11で調製した分散剤溶液A20.00質量部、製造例5のバインダー樹脂A5.45質量部、PGMEA66.55質量部、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー139(PY139:平均一次粒径10〜50nm)8.0質量部を混合し、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて予備分散として2mmジルコニアビーズで1時間、さらに本分散として0.1mmジルコニアビーズで16時間分散し、PY139顔料分散液を得た。
【0228】
(実施例9 カラーフィルタ用緑色ネガ型レジスト組成物Aの調製)
実施例1で得られたPY138顔料分散液A28.69質量部、製造例17で得られたPG58顔料分散液26.97質量部、上記バインダー組成物A39.17質量部、PGMEA5.17質量部、界面活性剤R08MH(DIC製)0.04質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン製)0.4質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用緑色ネガ型レジスト組成物Aを得た。
【0229】
(実施例10 カラーフィルタ用緑色ネガ型レジスト組成物Bの調製)
実施例9において、PY138顔料分散液Aの代わりに、実施例2で得られたPY138顔料分散液Bを用いた以外は、実施例9と同様にして、カラーフィルタ用緑色ネガ型レジスト組成物Bを得た。
【0230】
(比較例8〜10 カラーフィルタ用緑色ネガ型レジスト組成物C〜Eの調製)
実施例9において、PY138顔料分散液Aの代わりに、比較例1〜3で得られたPY138顔料分散液H〜Jを用いた以外は、実施例9と同様にして、カラーフィルタ用緑色ネガ型レジスト組成物C〜Eを得た。
【0231】
(比較例11 カラーフィルタ用緑色ネガ型レジスト組成物Fの調製)
製造例16で得られたPY150顔料分散液15.69質量部、製造例17で得られたPG58顔料分散液33.35質量部、上記バインダー組成物A39.72質量部、PGMEA11.24質量部、界面活性剤R08MH(DIC製)0.04質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン製)0.4質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用緑色ネガ型レジスト組成物Fを得た。
【0232】
(評価結果)
<光学性能(色度・輝度・コントラスト)>
実施例9〜10及び比較例8〜11で得られたカラーフィルタ用緑色ネガ型レジスト組成物を用い、乾燥硬化後の膜厚を目標色度y=0.590になるように調整した以外は、上記実施例1〜8及び比較例1〜7と同様にして、色度・輝度・コントラストの評価を行った。
結果を表3に示す。
【0233】
<耐熱性>
実施例9〜10及び比較例8〜11で得られたカラーフィルタ用緑色ネガ型レジスト組成物を用い、上記実施例1〜8及び比較例1〜7と同様にして、耐熱性の評価を行った。
結果を表3に示す。
【0234】
【表3】

【0235】
(実施例11 カラーフィルタ用赤色ネガ型レジスト組成物Aの調製)
実施例1で得られたPY138顔料分散液A10.55質量部、製造例18で得られたPR254顔料分散液42.21質量部、下記バインダー組成物B18.76質量部、PGMEA28.48質量部、界面活性剤R08MH(DIC製)0.04質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン製)0.4質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用赤色ネガ型レジスト組成物Aを得た。
【0236】
<バインダー組成物B(固形分40%)>
・アルカリ可溶性樹脂(製造例5のバインダー樹脂A、固形分44質量%):23.18質量部
・3〜4官能アクリレートモノマー(商品名:アロニックスM305、東亞合成(株)製):23.80質量部
・光重合開始剤(2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(商品名:イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)):1.80質量部
・光重合開始剤(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)):4.2質量部
・溶剤(PGMEA):47.02質量部
【0237】
(比較例12 カラーフィルタ用赤色ネガ型レジスト組成物Bの調製)
実施例11において、PY138顔料分散液Aの代わりに、比較例1で得られたPY138顔料分散液Hを用いた以外は、実施例11と同様にして、カラーフィルタ用赤色ネガ型レジスト組成物Bを得た。
【0238】
(比較例13 カラーフィルタ用赤色ネガ型レジスト組成物Cの調製)
製造例16で得られたPY150顔料分散液6.09質量部、製造例18で得られたPR254顔料分散液44.84質量部、下記バインダー組成物B18.76質量部、PGMEA30.31質量部、界面活性剤R08MH(DIC製)0.04質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン製)0.4質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用赤色ネガ型レジスト組成物Cを得た。
【0239】
(実施例12 カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Pの調製)
実施例1で得られたPY138顔料分散液A37.46質量部、製造例19で得られたPY139顔料分散液8.26質量部、上記バインダー組成物B22.67質量部、PGMEA31.61質量部、界面活性剤R08MH(DIC製)0.04質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン製)0.4質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Pを得た。
【0240】
(比較例14 カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Qの調製)
実施例12において、PY138顔料分散液Aの代わりに、比較例1で得られたPY138顔料分散液Hを用いた以外は、実施例12と同様にして、カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Qを得た。
【0241】
(比較例15 カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Rの調製)
製造例16で得られたPY150顔料分散液30.51質量部、製造例19で得られたPY139顔料分散液5.51質量部、下記バインダー組成物B22.67質量部、PGMEA41.31質量部、界面活性剤R08MH(DIC製)0.04質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン製)0.4質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用黄色ネガ型レジスト組成物Rを得た。
【0242】
<光学性能(色度・輝度・コントラスト)>
実施例11〜12及び比較例12〜15で得られたカラーフィルタ用赤色及び黄色ネガ型レジスト組成物を用い、乾燥硬化後の膜厚を、目標色度が赤色:x=0.650、黄色:x=0.445になるようにそれぞれ調整した以外は、上記実施例1〜8及び比較例1〜7と同様にして、色度・輝度・コントラストの評価を行った。結果を表4〜5に示す。
【0243】
<耐熱性>
実施例11〜12及び比較例12〜15で得られたカラーフィルタ用赤色及び黄色ネガ型レジスト組成物を用い、上記実施例1〜8及び比較例1〜7と同様にして、耐熱性の評価を行った。結果を表4〜5に示す。
【0244】
【表4】

【0245】
【表5】

【0246】
[結果のまとめ]
C.I.ピグメントイエロー138と、C.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体と、前記特定の塩型グラフト共重合体とを組み合わせて用いた実施例1〜8の黄色顔料分散液は、分散性、分散安定性ともに良好であった。また、当該顔料分散液を用いた、実施例1〜8のネガ型レジスト組成物は、高温加熱工程時に顔料凝集体の析出が抑制され、高温加熱工程後のコントラスト保持率が高く、高輝度及び高コントラストな着色層を形成可能であると共に、現像性に優れた着色層を形成することができた。当該着色層は、更に耐溶剤性及び耐アルカリ性にも優れていた。
更に、C.I.ピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体を組み合わせて用いた、実施例1及び3〜7のネガ型レジスト組成物は、C.I.ピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体を用いない実施例2と比較して、更にコントラストが高かった。
また、実施例の中でも、C.I.ピグメントイエロー138の顔料分散時に、C.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体と共存させず、C.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体を後から添加した実施例8は、コントラストがより向上することが明らかにされた。
【0247】
C.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体を用いない比較例1及び2、並びに、比較例4〜7のネガ型レジスト組成物は、顔料の凝集体が析出し、ポストベーク後のコントラストが悪化した。中でも、市販の分散剤を用いた場合では、ポストベーク後にコントラストがより悪化することがわかった。比較例3のように、分散時間が従来のように短い場合には、C.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体を用いなくても、顔料の凝集体は析出しなかったが、分散時間が短いため、コントラストが低いものとなった。
有機酸化合物と塩形成していないグラフト共重合体を分散剤として用いた比較例4の顔料分散液は、分散性及び分散安定性が悪かった。また、当該顔料分散液を用いた比較例4のネガ型レジスト組成物は、現像性及びアルカリ耐性が悪く、また、コントラストも低かった。
塩化ベンジルを用いて4級アンモニウム塩化したグラフト共重合体を分散剤として用いた比較例5のネガ型レジスト組成物は、現像性が悪かった。
また、有機酸化合物と塩形成していない市販の分散剤を用いた比較例6及び7のネガ型レジスト組成物は、特に耐アルカリ性が悪かった。
C.I.ピグメントイエロー138と、C.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体と、前記特定の塩型グラフト共重合体とを組み合わせて用いた黄色顔料分散液は、実施例9〜12のように、更に他の顔料を用いた場合であっても、輝度及びコントラストが高く、耐熱性に優れていることがわかった。
【符号の説明】
【0248】
1 透明基板
2 遮光部
3 着色層
10 カラーフィルタ
20 対向基板
30 液晶層
40 液晶表示装置
51 アミノ基を有するモノマー単位
52 マクロモノマーの重合性部位
53 マクロモノマーによるポリマー鎖
54 有機酸化合物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
C.I.ピグメントイエロー138と、下記化学式(1)で表されるC.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体と、顔料分散剤と、溶媒とを含有し、前記顔料分散剤が、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらにエチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体であり、且つ、前記C.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体が、前記C.I.ピグメントイエロー138の100質量部に対して、0.1〜20質量部含有されたカラーフィルタ用顔料分散液。
【化1】

(化学式(1)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Xは、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。nはイミドアルキル基の置換数を示し、1〜5の整数を表す。)
【請求項2】
更に、C.I.ピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体が、前記C.I.ピグメントイエロー138の100質量部に対して0.1〜20質量部含有される、請求項1に記載のカラーフィルタ用顔料分散液。
【請求項3】
前記顔料分散剤において、前記エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーが、下記一般式(I)で表される、請求項1又は2に記載のカラーフィルタ用顔料分散液。
【化2】

(式(I)中、Rは水素原子又はメチル基、R及びRは、各々独立に、水素原子、又は置換されていてもよい環状若しくは鎖状の炭化水素基を表すか、R及びRが互いに結合して環状構造を形成する。Qは2価の連結基を表す。)
【請求項4】
前記顔料分散剤において、前記有機酸化合物が、下記一般式(II)及び/又は下記一般式(III)で表される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用顔料分散液。
【化3】

(式(II)及び式(III)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含む。Ra’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
、Ra’、及びRにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
【請求項5】
前記顔料分散剤において、前記マクロモノマーの前記ポリマー鎖が、下記一般式(IV)又は一般式(V)で表される構成単位を少なくとも1種有するものである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用顔料分散液。
【化4】

(式(IV)及び、式(V)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−[CO−(CH−O]−R、−CO−O−R又は−O−CO−R10で示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
は、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−[CO−(CH−O]−Rで示される1価の基である。R10は、炭素数1〜18のアルキル基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
mは1〜5の整数、l及びl’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
【請求項6】
C.I.ピグメントイエロー138と、下記化学式(1)で表されるC.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体と、顔料分散剤と、アルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤と、溶媒とを含有し、前記顔料分散剤が、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらにエチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体であり、且つ、前記C.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体が、前記C.I.ピグメントイエロー138の100質量部に対して、0.1〜20質量部含有された、カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物。
【化5】

(化学式(1)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Xは、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。nはイミドアルキル基の置換数を示し、1〜5の整数を表す。)
【請求項7】
赤色又は緑色顔料を含む、請求項6に記載のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物。
【請求項8】
更に、C.I.ピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体が、前記C.I.ピグメントイエロー138の100質量部に対して0.1〜20質量部含有される、請求項6又は7に記載のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物。
【請求項9】
前記顔料分散剤において、前記エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーが、下記一般式(I)で表される、請求項6乃至8のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物。
【化6】

(式(I)中、Rは水素原子又はメチル基、R及びRは、各々独立に、水素原子、又は置換されていてもよい環状若しくは鎖状の炭化水素基を表すか、R及びRが互いに結合して環状構造を形成する。Qは2価の連結基を表す。)
【請求項10】
前記顔料分散剤において、前記有機酸化合物が、下記一般式(II)及び/又は下記一般式(III)で表される、請求項6乃至9のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物。
【化7】

(式(II)及び式(III)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含む。Ra’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
、Ra’、及びRにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
【請求項11】
前記顔料分散剤において、前記マクロモノマーの前記ポリマー鎖が、下記一般式(IV)又は一般式(V)で表される構成単位を少なくとも1種有するものである、請求項6乃至10のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物。
【化8】

(式(IV)及び、式(V)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−[CO−(CH−O]−R、−CO−O−R又は−O−CO−R10で示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
は、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−[CO−(CH−O]−Rで示される1価の基である。R10は、炭素数1〜18のアルキル基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
mは1〜5の整数、l及びl’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
【請求項12】
顔料分散剤として、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらにエチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体を準備する工程と、
溶剤中、前記顔料分散剤の存在下で、C.I.ピグメントイエロー138と、下記化学式(1)で表されるC.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体とを分散させて顔料分散液を調製する工程と、
前記顔料分散液と、アルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤とを混合する工程とを有する、カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物の製造方法。
【化9】

(化学式(1)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Xは、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。nはイミドアルキル基の置換数を示し、1〜5の整数を表す。)
【請求項13】
顔料分散剤として、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらにエチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体を準備する工程と、
溶剤中、前記顔料分散剤の存在下で、C.I.ピグメントイエロー138を分散させて顔料分散液を調製する工程と、
前記顔料分散液と、下記化学式(1)で表されるC.I.ピグメントイエロー138のイミドアルキル化誘導体と、アルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤とを混合する工程とを有する、カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物の製造方法。
【化10】

(化学式(1)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Xは、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。nはイミドアルキル基の置換数を示し、1〜5の整数を表す。)
【請求項14】
透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが請求項6乃至11のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物又は請求項12又は13に記載のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物の製造方法により製造されたカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を硬化させて形成されてなる着色層を有することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項15】
前記請求項14に記載のカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項16】
前記請求項14に記載のカラーフィルタと、有機発光体とを有することを特徴とする有機発光表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−54200(P2013−54200A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192071(P2011−192071)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】