説明

カラーホイールユニットおよび投写型表示装置

【課題】カラーホイールの回転基準位置を良好に検出することができるカラーホイールユニットを提供する。
【解決手段】カラーホイールユニット300は、色の異なる複数のセグメントが回転方向に並べられたカラーホイール310と、カラーホイール310を回転させるためのモータ320と、カラーホイール310の回転軸と同軸に配置され、カラーホイール310とともに回転する円環状のマーカー用テープ324と、マーカー用テープ324に対向するように配置され、マーカー用テープ324にて反射された光の光量に基づきカラーホイール310の回転基準位置を検出する位置センサ330とを備える。ここで、マーカー用テープ324は、回転基準位置を決めるためのマーカー部324aと、当該マーカー部324aとは反射率が異なる非マーカー部324bとを一体的に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射した光を時分割にて複数の色光に分離するカラーホールユニットに関する。また、本発明は、光源からの光をカラーホイールユニットによって複数の色光に分離し、分離した色光を変調素子によって変調する投写型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被投写面(スクリーン等)上に画像を拡大投写する投写型表示装置(以下、「プロジェクタ」という)の1つのタイプとして、DMD(Digital Micro-mirror Device)等の変調素子を1つだけ用いる、いわゆる単板式のプロジェクタが知られている。
【0003】
この種のプロジェクタでは、光源と変調素子との間にカラーホイールユニットが配される。カラーホイールユニットは、カラーホイールと、カラーホイールを回転させるモータとを備える。カラーホイールには、たとえば、特定の波長領域の光(赤色、緑色、青色等の光)のみを透過する複数個のセグメント(透過領域)が回転方向に配される。光源から出射された光は、カラーホイールにより赤色、緑色、青色等の各色光に分離され、各色光が時分割で変調素子に照射される。変調素子では、各色光に応じた変調が行われ、変調された光(以下、「映像光」という)が順次、被投写面に映し出される。このとき、各色光の切り替えは高速で行われるため、ユーザの目には、被投写面上の各光による映像が合成されて1つの映像として映る。
【0004】
かかるプロジェクタでは、各色光が変調素子に照射されるタイミングで、その色光に対応する変調動作が行われる。このため、変調素子に変調動作を行わせるための駆動信号の出力タイミングと、カラーホイールの回転タイミングとを同期させる必要がある。かかる同期制御のために、カラーホイールユニットには、カラーホイールの回転位置を検出するための構成が配される。具体的には、マーカーと、マーカーが回転基準位置に位置付けられたことを検出するための位置センサが、カラーホイールユニットに設けられる。マーカーが位置センサに向き合うと、位置センサから、マーカーが回転基準位置に到来したことを示す位置検出信号が出力される。この位置検出信号に基づいて、上記同期制御が行われる。
【0005】
ここで、マーカーは、カラーホイールと共に回転する回転部材に設けられる。位置センサは、たとえば、発光素子と受光素子とを含み、これら発光素子および受光素子が、マーカーの移動経路上に、回転部材に近接して配される。マーカーと回転部材の表面とは、光の反射率が異なる。このため、回転部材の表面が受光素子の正面を通過するときとマーカーが受光素子の正面を通過するときとで、受光素子に向かう光の光量が異なる。位置センサは、この光量の差を受光素子からの信号をもとに検出し、これにより、マーカーの到来を検出する。
【0006】
たとえば、カラーホイールの外周にリムが形成される場合、マーカーは、そのリムの一部に形成された貫通孔により構成され得る(たとえば、特許文献1参照)。この場合、リムの表面で反射する光が、受光素子により受光される。マーカーとなる貫通孔の位置では、反射光が得られず(反射率=0)、受光素子に光が入射しない。よって、かかる構成の場合には、受光素子での受光量の低下を検出することにより、マーカーの到来が検出できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−60272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記構成では、マーカーの通過時に、受光素子で受光される光の光量が大きく変化する程、マーカーの検出精度が高められる。受光素子で受光される光の変化量は、回転部材(たとえば、リム)の材質や表面仕上げの状態に依存する。しかしながら、通常、回転部材の材質等を、受光素子の受光量の変化を大きくするためだけに改良するのは、コストの点から難しい。他方、受光素子で受光される光の変化量が小さいと、マーカーの検出精度が低下し、カラーホイールの同期制御が不安定になる惧れがある。その結果、投写画像の品質が劣化する虞がある。
【0009】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、カラーホイールの回転基準位置を良好に検出することができるカラーホイールユニットを提供することを目的とする。また、これにより、投写画像の品質劣化を抑制できる投写型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様に係るカラーホイールユニットは、色の異なる複数のセグメントが回転方向に並べられたカラーホイールと、前記カラーホイールを回転させるためのモータと、前記カラーホイールの回転軸と同軸に配置され前記カラーホイールとともに回転する円環状の光反射部材と、前記光反射部材に対向するように配置され前記光反射部材にて反射された光の光量に基づき前記カラーホイールの回転基準位置を検出する検出部と、を備える。ここで、前記光反射部材は、前記回転基準位置を決めるためのマーカー部と、当該マーカー部とは反射率が異なる非マーカー部とを一体的に有する。
【0011】
本発明の第1の態様に係るカラーホイールユニットによれば、光反射部材が、マーカー部と非マーカー部とを一体的に有する構成であるため、マーカー部および非マーカー部の材質等をそれぞれ選定することにより、マーカー部での反射率と非マーカー部での反射率の差を容易に大きくすることができる。よって、マーカー部の位置、即ちカラーホイールの回転基準位置の検出精度を向上させることができる。
【0012】
第1の態様に係るカラーホイールユニットにおいて、前記モータは、アウターロータ型のモータとされ得る。この場合、前記光反射部材は、前記モータのロータの外周面に配され得る。
【0013】
ロータは金属材料で形成されるが、通常、表面は梨地の状態とされるため、ロータでの反射率はあまり高くならない。よって、ロータの外周面での反射を利用した場合、マーカー部での反射率と非マーカー部となるロータの外周面での反射率の差を大きくすることが難しい。そこで、モータのロータの外周面に、マーカー部と非マーカー部とが一体的に形成された光反射部材を配する構成とすれば、ロータの外周面での反射を利用する場合に比べて、マーカー部での反射率と非マーカー部での反射率の差を容易に大きくすることができる。よって、カラーホイールの回転基準位置の検出精度を向上させることができる。
【0014】
第1の態様に係るカラーホイールユニットにおいて、前記光反射部材は、前記ロータの外周面に巻かれた帯状のテープとされ得る。
【0015】
このような構成とすれば、ロータに帯状のテープを巻くだけでよく、簡易な構成により、カラーホイールの回転基準位置の検出精度を向上させることができる。
【0016】
第1の態様に係るカラーホイールユニットにおいて、前記光反射部材は、前記マーカー部および前記非マーカー部のうち、一方の部位が黒色を有し、他方の部位がアルミニウムで形成されるような構成とされ得る。
【0017】
このような構成とすれば、マーカー部および非マーカー部のうち、一方の部位での反射率を十分に低くできるとともに、他の部位での反射率を十分に高くできる。よって、マーカー部での反射率と非マーカー部での反射率の差を十分に大きくすることができる。
【0018】
このような構成とした場合、さらに、前記光反射部材は、前記一方の部位の表面が梨地とされるような構成とされ得る。
【0019】
このような構成とすれば、一方の部位での反射率を一層低くできるので、マーカー部での反射率と非マーカー部での反射率の差を一層大きくすることができる。
【0020】
本発明の第2の態様に係る投写型表示装置は、請求項1ないし5の何れか一項に記載のカラーホイールユニットと、白色光を前記カラーホイールに入射される照明部と、前記カラーホイールユニットを通過した光を変調する変調素子とを備える。
【0021】
本発明の第2の態様に係る投写型表示装置によれば、第1の態様に係るカラーホイールユニットを備えることにより、カラーホイールの回転基準位置の検出精度を向上させることができる。よって、変調素子に変調動作を行わせるための駆動信号の出力タイミングとカラーホイールの回転タイミングとを適正に同期させることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のとおり、本発明によれば、カラーホイールの回転基準位置を良好に検出することができるカラーホイールユニットを提供することができる。また、投写される画像の品質劣化を抑制できる投写型表示装置を提供することができる。
【0023】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態に係るプロジェクタの構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係る光学エンジンの構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係るカラーホイールユニットの構成を示す図である。
【図4】実施の形態に係るカラーホイールユニットの構成を示す図である。
【図5】実施の形態に係るカラーホイールユニットとDMDの駆動タイミングを示す図である。
【図6】変更例に係るカラーホイールユニットの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、実施の形態に係るプロジェクタについて説明する。
【0026】
図1は、プロジェクタの構成を示す図である。同図を参照して、プロジェクタは、横長の略直方体形状を有するキャビネット10を備えている。キャビネット10には、前面左側に投写窓11が形成されており、前面右側および右側面にキャビネット10内部から排気を行うための排気口12、13がそれぞれ形成されている。また、キャビネット10の上面には、操作部14が設けられている。操作部14には、複数の操作キーが配されている
キャビネット10の内部には、光学エンジン20および投写レンズ30が配されている。光学エンジン20は、映像信号に基づいて変調された映像光を生成する。光学エンジン20には、投写レンズ30が装着されており、投写レンズ30の前端部が、投写窓11から前方に露出している。投写レンズ30は、光学エンジン20で生成された映像光を、プロジェクタの前方に配されたスクリーン面に拡大投写する。
【0027】
図2は、光学エンジン20の構成を示す図である。
【0028】
図2を参照して、光学エンジン20は、光源ランプ100と、UVフィルタ200と、カラーホイールユニット300と、ロッドインテグレータ400と、リレー光学系500と、TIR(Total Internal Reflection)プリズム600と、DMD700とを備えている。
【0029】
光源ランプ100は、発光管110と、リフレクタ120とを有する。発光管110には、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ等が用いられる。リフレクタ120は、発光管110から発せられた白色光を反射しつつ収束させて前方へ向かわせる。
【0030】
光源ランプ100から出射された白色光は、UVフィルタ200およびカラーホイールユニット300を透過して、ロッドインテグレータ400の入射面に集光する。UVフィルタ200では紫外線が除去される。
【0031】
カラーホイールユニット300は、カラーホイール310が光源ランプ100から出射された白色光の集光点付近に位置するように配されている。カラーホイールユニット300は、たとえば、図示しない保持部にはめ込み固定される等、ユーザ自身が交換できるように着脱容易に配されている。
【0032】
図3および図4は、カラーホイールユニット300の構成を示す図である。図3(a)は、カラーホイールユニット300を斜め後方から見た斜視図である。図3(b)は、カラーホイールユニット300の縦断面図である。図4(a)は、ロータ323の外周面に装着される前のマーカー用テープ324を示す図である。図4(b)は、マーカー用テープ324の他の構成を示す図である。
【0033】
カラーホイールユニット300は、カラーホイール310と、モータ320と、位置センサ330とを備えている。カラーホイール310は、リング形状を有し、赤、緑、青および白の各セグメント310R、310G、310B、310Wにより構成されている。
【0034】
赤セグメント310Rは、赤色波長帯の光(以下、「R光」という)のみを透過する光学特性を有する。緑セグメント310Gは、緑色波長帯の光(以下、「G光」という)のみを透過する光学特性を有する。青セグメント310Bは、青色波長帯の光(以下、「B光」という)のみを透過する光学特性を有する。白セグメント310Wは、可視光をそのまま透過する光学特性を有する。即ち、白セグメント310Wは、透明な領域であり、白色光(以下「W光」という)がそのまま透過する。
【0035】
モータ320は、アウターロータ型のモータである。モータ320は、固定板321と、ステータ322と、ロータ323と、マーカー用テープ324とを備えている。固定板321は円盤状を有している。固定板321には、複数の貫通孔321aが形成されている。モータ320は、固定板321を介して、光学エンジン20内の所定の取付部(図示せず)に固定される。この際、貫通孔321aにネジが通される。固定板321の前方にはステータ322が配されている。ステータ322の外周部にはコイル322aが配され
ている。ロータ323は、ステータ322に設けられた支軸322bに回転可能に取り付けられている。ロータ323は、後面が開放した円筒形状を有する。ロータ323の内周面には、コイル322aに対向するように、磁石323aが配置されている。ロータ323の前端部にカラーホイール310が固定されている。
【0036】
ロータ323の外周面には、全周に亘ってマーカー用テープ324が巻かれている。
これにより、マーカー用テープ324は、カラーホイール310の回転軸P(図3(b)参照)と同軸な円環状となっている。
【0037】
マーカー用テープ324は、マーカー部324aと非マーカー部324bとで構成されている。マーカー用テープ324は、図4(a)のように、ロータ323に装着される前は帯状であり、ロータ323の外周の長さと等しい長さを有する。マーカー部324aは、黒色有するとともに、表面が梨地となるように処理されている。非マーカー部324bはアルミニウムで形成されている。マーカー用テープ324は、たとえば、帯状のアルミテープをベースとし、その中央部に黒色かつ梨地である長方形状のテープを貼り付けることにより作られる。あるいは、黒色かつ梨地のテープを貼るのではなく、アルミテープの中央部に黒色かつ梨地の塗装を施しても良い。
【0038】
マーカー用テープ324の裏面には、接着剤が塗布されている。図3(a)に示すように、マーカー用テープ324は、マーカー部324aが2つのセグメント(たとえば、赤セグメント310Rと白セグメント310W)の境界に位置するように、ロータ323の外周面に貼り付けられる。マーカー部324aは、カラーホイール310の回転基準位置を決めるためのものである。
【0039】
位置センサ330は、マーカー用テープ324から反射された光の光量に基づいて、カラーホイール310の回転基準位置を検出する。位置センサ330は、発光素子331と、受光素子332と、これら発光素子331および受光素子332が実装される基板333とを備えている。位置センサ330は、発光素子331および受光素子332がロータ323の外周面、即ち外周面に装着されたマーカー用テープ324に近接対向するように、光学エンジン20内の所定の取付部(図示せず)に取り付けられる。
【0040】
発光素子331から発せられた光は、マーカー用テープ324に照射される。マーカー部324aは、黒色であるため光を吸収するとともに、梨地であるため吸収されない光が乱反射する。よって、マーカー部324aは、位置センサ330の方向への反射率が小さい。一方、非マーカー部324bは、アルミニウムによって形成されており、位置センサ330の方向への反射率が大きい。
【0041】
非マーカー部324bが受光素子332の正面を通過している間は、受光素子332の受光量が多くなるので、位置センサ330からは、マーカー部324aがカラーホイール310の回転基準位置に到来していないことを示す信号、たとえば、ハイレベルの電圧信号が出力される。マーカー部が324aが回転基準位置に到来したとき、マーカー部324aが受光素子332の正面を通過する。すると、受光素子332の受光量が少なくなるので、位置センサ330からは、マーカー部324aが回転基準位置に到来したことを示す位置検出信号、たとえば、ローレベルの電圧信号が出力される。こうして、カラーホイール310が1回転する度に、マーカー部324aが回転基準値に到来すると、位置センサ330から位置検出信号が出力される。
【0042】
なお、図4(b)に示すように、マーカー用テープ324は、マーカー部324aがアルミニウムにより形成され、非マーカー部324bが黒色かつ梨地とされても良い。この場合、非マーカー部324bが受光素子332の正面を通過している間は、受光素子33
2の受光量が少なくなるので、位置センサ330からは、マーカー部324aが回転基準位置に到来していないことを示す信号、たとえば、ローレベルの電圧信号が出力される。そして、マーカー部324aが受光素子332の正面を通過すると、受光素子332の受光量が多くなるので、位置センサ330からは、マーカー部324aが回転基準位置に到来したことを示す位置検出信号、たとえば、ハイレベルの電圧信号が出力される。
【0043】
図2に戻り、カラーホイール310が回転すると、光源ランプ100から出射された白色光が、各セグメント310R、310G、310B、310Wに順次入射される。そして、各セグメント310R、310G、310B、310Wを透過したR光、G光、B光およびW光が、カラーホイール310から時分割で出射される。
【0044】
カラーホイール310を透過した光は、ロッドインテグレータ400に入射する。ロッドインテグレータ400は、略直角に屈曲した形状を有する。ロッドインテグレータ400に入射した光は、反射面410により反射されて略垂直に向きを変え、ロッド内で照度が均一化されながら、出射面へと向かう。
【0045】
リレー光学系500は、3つのリレーレンズ510、520、530とミラー540とで構成される。ロッドインテグレータ400から出射された光は、リレー光学系500により導光されて、TIRプリズム600に入射する。そして、TIRプリズム600で反射されてDMD700に照射される。
【0046】
DMD700には、時分割でR光、G光、B光およびW光が順次照射される。DMD700は、マトリクス状に配されたマイクロミラーを備える。DMD700には、入射したR光、G光、B光およびW光に応じたDMD駆動信号が入力される。DMD駆動信号に基づいてマイクロミラーがオン・オフ駆動されることにより、各光が変調される。
【0047】
DMD700で変調された光は、TIRプリズム600を透過して投写レンズ30に入射され、投写レンズ30によってスクリーン上に投写される。
【0048】
光源ランプ100、カラーホイールユニット300およびDMD700は、制御部40により制御される。制御部40は、CPU、メモリ、映像処理回路等を備える。
【0049】
制御部40には、外部から映像信号が入力される。また、位置センサ330から、上述した位置検出信号が入力される。
【0050】
制御部40は、光源ランプ100にランプ駆動信号を出力し、光源ランプ100を点灯および消灯する。また、制御部40は、カラーホイールユニット300のモータ320にモータ駆動信号を出力し、モータ320を駆動する。さらに、制御部40は、入力された映像信号に基づいて、DMD700に入射するR光、G光、B光およびW光に応じた変調動作を行うためのDMD駆動信号を生成する。そして、生成したDMD駆動信号をDMD700に出力し、DMD700を駆動する。
【0051】
図5は、カラーホイールユニット300とDMD700の駆動タイミングを示す図である。図5には、位置検出信号に重ねて、カラーホイール310からのR光、G光、B光およびW光の出射タイミングが示されている。
【0052】
映像信号には、垂直同期信号が含まれる。図5に示すように、制御部40は、垂直同期信号に同期してカラーホイール310が回転するように、位置検出信号に基づいてモータ320を制御する。たとえば、カラーホイール310は、垂直同期信号の1周期の間に2回転する。カラーホイール310からは、一定間隔で、R光、G光、B光、W光が出射さ
れる。このとき、DMD700には、垂直同期信号および位置検出信号に同期して、各色光に対応するDMD駆動信号が出力される。これによって、所定の光(たとえば、R光)がDMD700に照射されているタイミングにおいて、その光(たとえば、R光)に対応するDMD700の変調動作が行われる。
【0053】
こうして、DMD700によって変調されたR光、G光、B光およびW光による映像が、順次、投写レンズ30によって投写され、スクリーン上には、カラー映像が映し出される。なお、スクリーンには、垂直同期信号の1周期の間に、1フレーム分の映像が2度繰り返して投写されることとなる。即ち、各色の光による映像の切り替わりがより短時間で行われることとなるので、合成された映像のちらつきが防止される。
【0054】
以上、本実施の形態では、カラーホイールユニット300が、マーカー部324aと非マーカー部324bとを一体的に有するマーカー用テープ324を備える構成とされている。このため、マーカー部324aおよび非マーカー部324bの材質等をそれぞれ選定することにより、マーカー部324aでの反射率と非マーカー部324bでの反射率の差を容易に大きくすることができる。よって、カラーホイール310の回転基準位置の検出精度を向上させることができる。
【0055】
特に、マーカー用テープ324は、マーカー部324aおよび非マーカー部324bのうち、一方の部位が黒色を有し、他方の部位がアルミニウムで形成されている。このため、一方の部位の反射率を十分に低くできるとともに、他の部位の反射率を十分に高くできる。よって、マーカー部324aでの反射率と非マーカー部324bでの反射率の差を十分に大きくすることができる。さらに、一方の部位は、黒色であるとともに表面が梨地とされているので、一方の部位での反射率を一層低くでき、マーカー部324aでの反射率と非マーカー部324bでの反射率の差を一層大きくすることができる。
【0056】
また、ロータ323は鉄などの金属材料で形成されるが、通常、表面は梨地の状態とされるため、ロータ323での反射率はあまり高くならない。よって、ロータ323の外周面での反射を利用した場合、マーカー部での反射率と非マーカー部となるロータ323の外周面での反射率の差を大きくすることが難しい。本実施の形態では、マーカー用テープ324をロータ323に装着する構成としているので、ロータ323の外周面での反射を利用する場合に比べて、マーカー部324aでの反射率と非マーカー部324bでの反射率の差を大きくできる。よって、カラーホイール310の回転基準位置の検出精度を向上させることができる。
【0057】
また、本実施の形態では、ロータ323に帯状のマーカー用テープ324を巻くだけでよく、簡易な構成により、カラーホイール310の回転基準位置の検出精度を向上させることができる。
【0058】
このように、本実施の形態では、カラーホイール310の回転基準位置の検出精度を向上させることができるので、DMD700へのDMD駆動信号の出力タイミングとカラーホイール310の回転タイミングとを適正に同期させることができる。よって、同期のずれによる画像品質の劣化を防止することができる。
【0059】
以上のとおり、本実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態および変更例に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も、上記実施の形態および変更例以外に、種々の変更が可能である。
【0060】
たとえば、本実施の形態では、モータ320が、アウターロータ型のモータとされ、ロータ323の外周面にマーカー用テープ324が配されている。しかしながら、これに限
らず、たとえば、図6(a)に示すように、モータ320がインナーロータ型のモータとされても良い。この場合、モータ320の回転軸320aが、カラーホイール310に形成した円筒状のボス311に連結される。そして、マーカー用テープ324が、ボス311の外周面に装着される。
【0061】
さらに、図6(b)に示すように、カラーホイール310において、セグメントの外周にリム312が設けられる場合には、マーカー用テープ324が、図6(c)に示すように、リム312と同様な形状とされ、リム312の裏側に装着されても良い。なお、この構成では、リム312に装着されたマーカー用テープ324に近接対応するように位置センサ330が配される。
【0062】
また、上記実施の形態では、図4(a)の構成の場合には、非マーカー部324bがアルミニウムにより形成され、図4(b)の構成の場合には、マーカー部324aがアルミニウムにより形成されている。しかしながら、これに限らず、アルミニウムに替えて、反射率が高い他の材料を用いることもできる。
【0063】
さらに、上記実施の形態では、RGBWの4個のセグメントからなるカラーホイールユニット300が用いられている。しかしながら、セグメントの個数や種類は、これに限定されない。たとえば、イエローおよびシアンのセグメントがさらに加えられた、RGBWYCの6個のセグメントからなるカラーホイールユニット300が用いられても良い。また、RGBの3個のセグメントからなるカラーホイールユニット300が用いられても良い。
【0064】
さらに、上記実施の形態では、変調素子としてDMD700が用いられているが、これに限らず、たとえば、反射型の液晶パネルが用いられてもよい。
【0065】
さらに、本発明は、1つの光源ランプおよびカラーホイールユニットを備えるプロジェクタ以外のプロジェクタにも適用することができる。たとえば、2つのカラーホイールユニットが、2つ光源ランプからの各光路中にそれぞれ配される構成のプロジェクタに適用することができる。また、2つのカラーホイールユニットが、光源ランプからの光路中に前後に並ぶように配される構成のプロジェクタに適用することもできる。
【0066】
この他、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
100 光源ランプ(照明部)
300 カラーホイールユニット
310 カラーホイール
310R Rセグメント
310G Gセグメント
310B Bセグメント
310W Wセグメント
320 モータ
323 ロータ
324 マーカー用テープ(光反射部材)
324a マーカー部
324b 非マーカー部
330 位置センサ(検出部)
700 DMD(変調素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色の異なる複数のセグメントが回転方向に並べられたカラーホイールと、
前記カラーホイールを回転させるためのモータと、
前記カラーホイールの回転軸と同軸に配置され前記カラーホイールとともに回転する円環状の光反射部材と、
前記光反射部材に対向するように配置され前記光反射部材にて反射された光の光量に基づき前記カラーホイールの回転基準位置を検出する検出部と、を備え、
前記光反射部材は、前記回転基準位置を決めるためのマーカー部と、当該マーカー部とは反射率が異なる非マーカー部とを一体的に有する、
ことを特徴とするカラーホイールユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のカラーホイールユニットにおいて、
前記モータは、アウターロータ型のモータとされ、
前記光反射部材は、前記モータのロータの外周面に配される、
ことを特徴とするカラーホイールユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のカラーホイールユニットにおいて、
前記光反射部材は、前記ロータの外周面に巻かれた帯状のテープである、
ことを特徴とするカラーホイールユニット。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載のカラーホイールユニットにおいて、
前記光反射部材は、前記マーカー部および前記非マーカー部のうち、一方の部位が黒色を有し、他方の部位がアルミニウムで形成される、
ことを特徴とするカラーホイールユニット。
【請求項5】
請求項4に記載のカラーホイールユニットにおいて、
前記光反射部材は、前記一方の部位の表面が梨地とされる、
ことを特徴とするカラーホイールユニット。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一項に記載のカラーホイールユニットと、
白色光を前記カラーホイールに入射される照明部と、
前記カラーホイールユニットを通過した光を変調する変調素子と、を備える、
ことを特徴とする投写型表示装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−137558(P2012−137558A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288752(P2010−288752)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】