説明

カルシウムチャネルブロッカーとしてのジベンゼン誘導体

本発明は、式(I)の、VDCCブロッキング活性を有する化合物に関する。これらの化合物は、一連の人の病気および症状、特に認知性または神経変性性病気または症状、の処置に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な合成化合物群、および、認知性または神経変性性の疾患、障害または状態の処置におけるそれら化合物群の使用に関する。
【発明の背景】
【0002】
カルシウムCa2+濃度、とりわけ様々な細胞亜小室におけるCa2+濃度の変動は、全体的な情報伝達系統であり、従って、ほとんどの細胞機能である、細胞死による収縮から遺伝子発現までを調整すると思われる。
【0003】
カルシウムイオンは、細胞の生理学的平衡における最も重要な元素の一つであり、神経伝達物質としてのみならず、第二メッセンジャーとしても作用する。細胞の内側および外側におけるカルシウムレベルを制御するために、様々な種類のカルシウムチャネルがある。これらのチャネルは、それらが位置する所で、メンブランを通るカルシウム流入を制御し、電圧変化により、またはリガンドにより、変調され得る。電圧に依存するCa2+チャネル(VDCC)は、重要な種類のカルシウムチャネルであり、電気生理学的作用のある細胞、例えば神経細胞や筋肉繊維細胞に非常に多い。これらのチャネルは、異なる群の遺伝子によりコードされた5つの小単位からなり、α1(チャネル形成小単位)、α2、δ、β、γと呼ばれている。このコンプレックスは、N-グリコシル化およびAMP-依存タンパク質キナーゼホスホリル化のためのいくつかの箇所を備えている。カルシウムが細胞形質に入ると、異なった変調タンパク質を結合して様々な段階系列を引き起こし、それらの段階が、異なった生理学的変化につながる。カルシウム情報伝達経路には、いくつかの非常に重要な機能、例えば神経インパルス伝達、筋肉収縮、ホルモン分泌および血管の狭窄/弛緩がある。
【0004】
しかし、カルシウムのレベルが制御されない場合、種々の好ましくない影響、例えば、神経細胞興奮毒性(neuronal excitotoxicity)および他の細胞死形態を引き起こすことがある(カルシウムに関連する細胞死のメカニズム(Mechanisms of calcium-related cell death)、Orrenius et al., Adv Neurol. 1996; 71:137-49)。興奮毒性は、神経伝達物質の過剰放出であり、CNSの細胞を損傷し(中枢神経細胞間の刺激性興奮毒性細胞破壊薬(Inciting excitotoxic cytocide among central neutons)、Olney J.W., Adv Exp Med Biol. 1986; 203:631-45)、グルタメートに起因することが多い。グルタメートの過剰シナプス放出は、Ca2+ホメオスタシスの制御不能を引き起こすことがある。グルタメートは、シナプス後イオノトロピー性レセプタ、例えばNMDAまたはAMPAを活性化させ、これが関連するイオンチャネルを開き、Ca2+および他のイオンを流入させる。Ca2+が興奮毒性を仲介する正確なメカニズムは完全には解明されていないが、シナプスにおけるCa2+流入の重要な地点から下流にある特別な情報伝達カスケードの活性化に続いて起こると仮定する研究者がいる(興奮毒性におけるカルシウムに依存する神経変性の分子メカニズム(Molecular mechanism of calcium-dependent neurodegeneration in excitotoxicity)、Arundine MおよびTymianski M., Cell Calcium; 2003; 34(4-5):325-327)。
【0005】
興奮毒性が、特定の神経病理学的事象、例えば、発作および虚血における神経細胞死、ならびに神経変性疾患(例えばハンチントン病(HD)、パーキンソン病(PD)またはアルツハイマー病(AD))において、ある役割を果たすことがあるという多くの証拠がある(神経変性疾患における興奮毒性の役割:治療のための示唆(The role of excitotoxicity in neurodegenerative disease: implications for therapy)、Doble A., Pharmacol. Ther. 1999;81(3):163-221、アルツハイマー病におけるグルタメートが仲介する興奮毒性および神経変性(Glutamate-mediated excitotoxicity and neurodegeneration)、Hynd MR, Scott HL., Dodd PR., Neurochem. Int. 2004; 45(5):583-95) 。VDCCの数および構造における変化は、加齢過程中に脳の中で起こり、これらの変化は、細胞のいくつかの発達機能と密接に関連している。従って、VDCCは、年齢に伴うCNS細胞の興奮毒性に対する脆弱性の増加に関与している可能性がある(海馬培養で年齢と共に減少したG-タンパク質が仲介するカルシウムチャネルタイプにおける制御およびシフト(Decreased G-Protein-Mediated Regulation and Shift in Calcium Channel Types with Age in Hippocampal Caltures)、Landfield et al., J. Neurosci., 1999; 19(19):8674-8684)。
【0006】
さらに、脳におけるアミロイド-β-タンパク質(Aβ)の蓄積は、アルツハイマー病の病理学における特徴的な事象である。アミロイドタンパク質前駆物質(APP)の処理により、それらの鎖中に様々な数のアミノ酸とのAβペプチドが生成する。これらのペプチドは、人の中枢神経細胞におけるカルシウムホメオスタシスを混乱させるので、培養中の細胞に対して毒性であることが分かっており(βアミロイドペプチドは、カルシウムホメオスタシスを不安定にし、人の中枢神経細胞が興奮毒性の攻撃を受け易くなり(β-Amyloid peptides destabilize calcium homeostasis and render human cortical neurons vulnerable to excitotoxicity)、Mattson MPら, J Neuroaci. 1992; 12(2):376-89)、この過程は、部分的に、特定VDCCが開くことにより、仲介されるのであろう(アミロイドベータタンパク質は、Lタイプ電圧感受性Ca2+チャネルを通るCa2+流入を強化する:フリーラジカルの可能な関与(Amyloid beta protein potentiates Ca2+ influx through L-type voltage-sensitive Ca2+ channels: a possible involvement of free radicals)、Ueda Kら, J Neurochem. 1997; 68(1):265-71)。ADにおけるもう一つの生理学的変化は、アミロイド蓄積の周りにおけるアセチルコリンエステラーゼ(AchE)活性の増加であり、これが、脳におけるコリン作用および非コリン作用神経細胞の両方の効率低下につながる。特定のVDCCを通るカルシウムの流入は、これらのCa2+チャネルのブロッカーとして作用する薬物、例えばニフエジピンが、培養細胞におけるAChE発現の低下を引き起こすことにより、AChE発現に対してある効果を有すると考えられる(アルツハイマー病のアミロイドベータタンパク質は、胎児性癌P19細胞における細胞内カルシウムを増加することにより、アセチルコリンエステラーゼ発現が増加する(The amyloid beta-protein of Alzheimer's disease increases acetylcholineaterase expression by increasing intracellular calcium in embryonal carcinoma P19 cells)、Sberna G.ら, J Neurochem. 1997; 69(3):1177-84)。
【0007】
神経細胞中のCa2+のレベルにおける障害を、他の病気および障害、とりわけ、認知性および神経変性性の病気ならびに障害と関連させた他の文献もある。例えば、国際公開WO2005/097779の場合であり、細胞におけるCa2+濃度の制御が病気、例えば発作、不安(例えばパニック障害、強迫障害、外傷後ストレス症候群)、てんかん、頭部外傷、偏頭痛、慢性痛(例えば癌痛、変形性関節症に関連する炎症性痛症状、慢性関節リウマチおよび線維筋痛症)、ニューロパシー痛(例えば糖尿病性末梢ニューロパシー、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、癌痛およびAIDS関連ニューロパシー)および、急性痛(例えば侵害痛(nocicceptive pain)および術後痛、精神分裂病、鬱病、精神病、薬物およびアルコール嗜癖、および神経変性障害(例えばパーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、ニューロパシー、ハンチントン病および筋萎縮性側索硬化症(ALS))に関連している。
【0008】
従って、Ca2+が、重要な一連の人の病気および障害、とりわけ認知症および神経変性疾患に直接的な関係を有することを考慮し、神経細胞中のCa2+のレベルを制御し、そのような病気および障害を処置する有効な薬剤を得るために、効果的なVDCCブロッカーを見出すことが求められている。
【発明の概要】
【0009】
VDCCブロッキング活性を有する化合物の新規な群が発見された。第一の態様において、本発明は、式(I)で表される化合物、前記化合物の鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体およびそれらの薬学的に許容され得る溶媒和化合物ならびに塩に関する:
【化1】

(式中、RおよびR10は、独立して、水素、置換または未置換のアルキル、置換または未置換のアルケニル、−(CH−(CO)−R、−(CH−(CO)−O−R、または−(CH−O−R(ここで、mは1または2から選択された整数であり、Rは、水素、置換または未置換のアルキル、置換または未置換のシクロアルキル、置換または未置換のアルケニル、置換または未置換のアリール、置換または未置換のアラルキル、もしくは置換または未置換のヘテロシクリルから選択される。)から選択されるものであり、
およびRは、それぞれ独立して、水素、置換または未置換のアルキル、置換または未置換のシクロアルキル、置換または未置換のアルケニル、置換または未置換のアリール、置換または未置換のアラルキル、置換または未置換のヘテロシクリル、置換または未置換のアルコキシ、置換または未置換のアリールオキシ、もしくはハロゲンから選択されるものであり、
11およびR12は、それぞれ独立して、水素、置換または未置換のアルキル、置換または未置換のシクロアルキル、置換または未置換のアルケニル、置換または未置換のアリール、置換または未置換のアラルキル、置換または未置換のヘテロシクリル、置換または未置換のアルコキシ、置換または未置換のアリールオキシ、もしくはハロゲンから選択されるものであり、
およびRは、それぞれ独立して、水素、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルまたはハロゲン、好ましくはBrから選択されるものであり、
およびRは、それぞれ独立して、水素、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルまたはハロゲン、好ましくはBrから選択されるものであり、
およびRは、それぞれ独立して、水素、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルまたはハロゲン、好ましくはBrから選択されるものであり、
Lは、−(CH−、−CO−、−O−、−S−、置換または未置換のアリーレン、シクロアルキレン、ヘテロシクリレン、もしくは−NH−から選択される1〜20単位の直線配列からなるリンカーであり、
n=1〜10であるが、
但し、
Lにおいて、2個の−NH−単位が隣接することはなく、
Lが−(CH−基からなる場合、nは5〜10である。)。
【0010】
これらの化合物は、それらのVDCCブロッキング活性により、一連の人の病気および症状、とりわけ認知性もしくは神経変性性の病気または症状の処置に有用であり、従って、別の態様において、本発明は、上記に規定する式(I)の化合物の、認知性もしくは神経変性性の病気または症状の処置に使用する薬剤の製造における使用に関する。
【0011】
本発明の範囲内において、用語「認知性もしくは神経変性性の病気または症状」とは、発作、虚血、不安、てんかん、頭部外傷、慢性痛、ニューロパシー痛および急性痛、精神分裂病、鬱病、精神病、薬物およびアルコール嗜癖、ならびに神経変性障害、例えばパーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、ニューロパシー、ハンチントン病および筋萎縮性側索硬化症(ALS)を包含すると解釈すべきであるが、これらに限定されるものではない。
【0012】
本発明の第三の態様においては、少なくとも一種の上記に規定する式(I)の化合物、またはそれらの薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和化合物、および薬学的に許容され得るキャリヤー、アジュバントまたはビヒクルを含んでなる薬学的組成物である。
【0013】
本発明の式(I)の化合物は、生物学的検定でVDCCをブロックするための反応物としても使用できる。従って、本発明の別の態様においては、式(I)の化合物の、生物学的検定用反応物として、好ましくはVDCCをブロックするための反応物としての使用に関する。
【0014】
本発明のもう一つの態様においては、Ca2+ホメオスタシスの変化が関与する病気もしくは症状を処置または予防する方法であって、そのような処置を必要とする患者に、治療的に有効な量の、少なくとも一種の上記に規定する式(I)の化合物、またはそれらの薬学的組成物を投与することを含んでなる、方法である。
【発明の詳細な説明】
【0015】
式(I)の化合物の上記定義において、下記の用語は、そこに記載する意味を有する。
【0016】
用語「アルケニル」とは、2〜約20個の炭素原子を有し、少なくとも一個の二重結合を含む、直鎖状、分岐鎖状または環状の炭化水素基、例えば、エテニル、n-プロペニル、イソプロペニル、n-ブテニル、イソブテニル、オクテニル、デセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、エイコセニル、テトラコセニル等を意味する。用語「置換されたアルケニル」とは、一個以上の置換基で置換されたアルケニルを意味する。用語「アルケニル」は、直鎖状、分岐鎖状、環状、未置換の、置換された、および/または異原子を含むアルケニルを包含する。
【0017】
「アルコキシ」とは、式−ORの、Rが上記で定義したアルキル基である基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ等を意味する。
【0018】
「アルキル」とは、炭素および水素原子からなり、飽和を含まず、1〜8個の炭素原子を有し、分子の残りの部分に単結合により付加している直鎖状または分岐鎖状の炭化水素鎖基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル等を意味する。アルキル基は、所望により一個以上の置換基により置換されていてよい。
【0019】
「アラルキル」とは、アリール置換基を含むアルキル基を意味し、その際、「アルキル」および「アリール」は上記で規定した通りである。一般的に、アラルキル基は、6〜24個の炭素原子を含み、好ましいアラルキルおよびアルカリール基は、6〜16個の炭素原子を含み、特に好ましくは、6〜12個の炭素原子を含む。アラルキル基の例としては、ベンジル、2-フェニル-エチル、3-フェニル-プロピル、4-フェニル-ブチル、5-フェニル-ペンチル、4-フェニルシクロヘキシル、4-ベンジルシクロヘキシル、4-フェニルシクロヘキシルメチル、4-ベンジルシクロヘキシルメチル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。アルカリール基としては、例えば、p-メチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、p-シクロへキシルフェニル、2,7-ジメチルナフチル、7-シクロオクチルナフチル、3-エチル-シクロペンタ-1,4-ジエニル等、好ましくはベンジルおよびフェネチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
「アリール」とは、一般的に5〜30個の炭素原子を含み、単一の芳香族環または複数の一つに縮合した芳香族環を含み、直接結合した、または(異なった芳香族環が共通の基、例えばメチレンまたはエチレン部分に結合するように)間接的に結合した、芳香族置換基を意味する。好ましいアリール基は、5〜24個の炭素原子を含み、特に好ましいアリール基としては、5〜14個の炭素原子を含む。代表的なアリール基は、1個の芳香族環または2個の縮合した、もしくは結合した芳香族環を含み、例えばフェニル、ナフチル、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルアミン、ベンゾフェノン、インデニル、フェナントリルまたはアントラシル等である。「置換されたアリール」とは、一個以上の置換基で置換されたアリール部分を意味する。他に指示が無い場合、用語「アリール」は、置換されていない、置換された、および/または異原子を含む芳香族置換基を包含する。
【0021】
用語「アリーレン」とは、上記に規定するアリールまたは置換されたアリールから誘導されるジラジカルを意味し、代表的には、1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、1,4-フェニレン、1,2-ナフチレン等である。
【0022】
用語「アリールオキシ」とは、アリール基−O−を表し、アリール基は上記に規定されるアリール基、所望により上記に規定される置換されたアリール基を包含する。
【0023】
「シクロアルキル」とは、飽和した、または部分的に飽和した、炭素と水素原子のみからなる、安定した3〜10員の単環または二環式基を意味する。明細書中に他に指示が無い限り、用語「シクロアルキル」とは、所望により一個以上の置換基により置換されたシクロアルキル基を包含することを意味する。
【0024】
「シクロアルキレン」は、上記に規定されるシクロアルキルから誘導される、所望により置換されたジラジカルを意味する。
【0025】
用語「ハロ」、「ハロゲン化物」および「ハロゲン」とは、クロロ、ブロモ、フルオロまたはヨード置換基を意味する。
【0026】
用語「複素環」、「ヘテロシクリル」、または「複素環式」は、炭素原子、および窒素、酸素、および硫黄からなる群から選択される1〜5個の異原子からなる、安定した3〜15員環、好ましくは一個以上の異原子を含む4〜8員環、より好ましくは一個以上の異原子を含む5または6員環を意味する。本発明の目的には、複素環は、単環、二環または三環系でよく、縮合環系を包含することができ、複素環式基中の窒素、炭素または硫黄原子は、所望により酸化されていてよく、窒素原子は、所望により4級化されていてよく、複素環式基は、部分的または完全に飽和しているか、または芳香族であってよい。そのような複素環の例としては、アゼピン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、フラン、イソチアゾール、イミダゾール、インドール、ピペリジン、ピペラジン、プリン、キノリン、チアジアゾール、テトラヒドロフランが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
用語「ヘテロシクリレン」は、上記に規定されるヘテロシクリルから誘導されるジラジカルを意味し、所望により一個以上の置換基により置換されていてよい。
【0028】
本発明の化合物における置換された基は、本明細書では、一つ以上の可能な位置で、一個以上の好適な基により置換されていてよい特定の部分を意味し、それらの好適な基は、例えばフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードのようなハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、アジド、アルカノイル、例えばアシル等のC〜Cアルカノイル基、カルボキサミド、1〜約12個の炭素原子、または1〜約6個の炭素原子、より好ましくは1〜3個の炭素原子を有する基を包含するアルキル基、一個以上の不飽和結合および2〜約12個の炭素原子または2〜約6個の炭素原子を有する基を包含するアルケニルおよびアルキニル基、一個以上の酸素結合および1〜約12個の炭素原子または1〜約6個の炭素原子を有するアルコキシ基、アリールオキシ、例えばフェノキシ、一個以上のチオエーテル結合および1〜約12個の炭素原子または1〜約6個の炭素原子を有する部分を包含するアルキルチオ基、一個以上のスルフィニル結合および1〜約12個の炭素原子または1〜約6個の炭素原子を有する部分を包含するアルキルスルフィニル基、一個以上のスルホニル結合および1〜約12個の炭素原子または1〜約6個の炭素原子を有する部分を包含するアルキルスルホニル、アミノアルキル基、例えば一個以上のN原子および1〜約12個の炭素原子または1〜約6個の炭素原子を有する基、6個以上の炭素を有する炭素環式アリール、とりわけフェニルまたはナフチル、およびアラルキル、例えばベンジルである。他に指示が無い限り、所望により置換された基は、その基の置換可能な位置のそれぞれに置換基を有することができ、各置換基は互いに独立している。
【0029】
上記の式(I)において、RおよびRは、好ましくは同一の、または異なったC〜Cアルキルである。さらに好ましくは、RおよびRの両方がメチルである。
【0030】
好ましい実施態様では、リンカーLは、基−(CH5〜10−からなる。
【0031】
別の好ましい実施態様では、リンカーLは、置換または未置換のアリーレン単位に続くエーテル単位(−O−)を含んでなる。好ましくは、アリーレン単位は、置換または未置換のベンジレン単位である。
【0032】
好ましい群の化合物は、リンカーLが式(II):
【化2】

(式中、R13は水素またはハロゲンであり、rが1、2および3から選択される整数であり、pおよびqは、それぞれ独立して1、2、3、4および5から選択される整数である。)を有する。
【0033】
式(I)の、RおよびRは共に水素である化合物も好ましい。
【0034】
別の好ましい実施態様では、R11およびR12が共に水素である。
【0035】
もう一つの好ましい化合物の群は、R、R、RおよびRの少なくとも一つがハロゲン、好ましくはBrである化合物である。
【0036】
別の好ましい化合物の群は、RがR10に等しく、RがRに等しく、RがRに等しく、RがRに等しく、RがRに等しい化合物である。
【0037】
好ましくは、リンカーLは、対称的であり、化合物が対称面を有する。
【0038】
好ましい実施態様では、R4がC1〜C6アルコキシである。
【0039】
下記の化合物が、本発明の好ましい式(I)の化合物である。
【化3−1】

【化3−2】

【0040】
他に指示が無い限り、本発明の化合物は、一個以上の同位体濃度が高い原子が存在することだけが異なっている化合物を包含するものとする。例えば、水素をジュウテリウムまたはトリチウムで置き換えた、または炭素を13Cまたは14C濃度が高い炭素もしくは15N濃度が高い窒素で置き換えた以外は、本構造を有する化合物も、本発明の範囲内に入る。
【0041】
用語「薬学的に許容され得る塩または溶媒和化合物」とは、患者に投与した時に、(直接的または関節的に)本明細書で記載する化合物を与えることができる、全ての薬学的に許容され得る塩、エステル、溶媒和化合物、または他の全ての化合物を意味する。しかし、無論、薬学的に許容されない塩も、薬学的に許容され得る塩の調製に有用である場合もあるので、これらの塩も本発明の範囲内に入る。塩および誘導体の調製は、この分野で公知の方法により行うことができる。
【0042】
例えば、本明細書で提供する化合物の薬学的に許容され得る塩は、塩基性または酸性部分を含む親化合物から、従来の化学的方法により合成される。一般的に、そのような塩は、例えばこれらの化合物の遊離酸または塩基形態を化学量論的量の適切な塩基または酸と、水中または有機溶剤中もしくは両者の混合物中で反応させることにより調製される。一般的に、非水性媒体、例えばエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルが好ましい。酸付加塩の例としては、鉱酸付加塩(例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩)および有機酸付加塩(例えば酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩およびp-トルエンスルホン酸塩)がある。アルカリ付加塩の例としては、無機塩(例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、マグネシウム、アルミニウムおよびリチウム塩)および有機アルカリ塩(例えばエチレンジアミン、エタノールアミン、N,N-ジアルキレンエタノールアミン、トリエタノールアミン、グルカミンおよび塩基性アミノ酸塩)がある。
【0043】
特に好ましい誘導体は、本発明の化合物を患者に投与した時に、(例えば経口投与された化合物が血液中により容易に吸収されるようにすることにより)そのような化合物の生物学的利用能を増加するか、または親化合物を、親化学種よりもより強力に生物学的区画(例えば脳またはリンパ系)に送達する物質である。
【0044】
本発明の化合物は、遊離化合物として、または溶媒和化合物(例えば水和物)としての結晶形態であってよく、どちらの形態も本発明の範囲内に入る。溶媒和の方法は、この分野で一般的に公知である。好適な溶媒和化合物は、薬学的に許容され得る溶媒和化合物である。特別な実施態様では、溶媒和化合物は水和物である。
【0045】
式(I)の化合物またはそれらの塩もしくは溶媒和化合物は、好ましくは薬学的に許容され得るか、または実質的に純粋な形態である。薬学的に許容され得る形態とは、とりわけ、薬学的に許容され得るレベルの純度を有し、通常の薬学的添加剤、例えば希釈剤およびキャリヤー、を排除し、通常の投与量レベルで毒性と考えられる材料を含まない。薬物物質に対する純度レベルは、好ましくは50%を超え、より好ましくは70%を超え、最も好ましくは90%を超える。好ましい実施態様においては、このレベルは、式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和化合物もしくはプロドラッグが95%を超える。
【0046】
上記の式(I)により表される本発明の化合物は、キラル中心の存在に応じた鏡像異性体または多重結合の存在に応じた異性体(例えばZ、E)を包含することができる。単一異性体、鏡像異性体またはジアステレオ異性体およびそれらの混合物が本発明の範囲内に入る。
【0047】
別の態様において、本発明は、薬剤として使用する、上記の式(I)の化合物である。
【0048】
本発明の別の態様は、上記の式(I)の化合物の、認知性もしくは神経変性性の病気、障害または症状の処置に使用する薬剤の製造における使用である。
【0049】
本発明の範囲内において、用語「認知性または神経変性性の病気または症状」とは、発作、虚血、不安、てんかん、頭部外傷、偏頭痛、慢性痛、ニューロパシー痛および急性痛、精神分裂病、鬱病、精神病、薬物およびアルコール嗜癖、および神経変性障害、例えばパーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、ニューロパシー、ハンチントン病および筋萎縮性側索硬化症(ALS)を包含すると解釈すべきであるが、これらに限定されるものではない。不安は、パニック障害、強迫障害および外傷後ストレス症候群を包含するが、これらに限定されるものではなく、慢性痛は、癌痛、変形性関節症に関連する炎症性痛症状、慢性関節リウマチおよび線維筋痛症、ニューロパシー痛は、糖尿病性末梢ニューロパシー、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、癌痛およびAIDS関連ニューロパシーを包含するが、これらに限定されるものではなく、急性痛は、侵害痛および術後痛を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0050】
より好ましくは、認知性もしくは神経変性性の病気、障害または症状は、アルツハイマー病である。別の実施態様においては、この病気または症状はてんかんである。
【0051】
別の態様により、本発明は、少なくとも一種の、上記式(I)の化合物またはそれらの、薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和化合物および薬学的に許容され得るキャリヤー、アジュバントまたはビヒクルを含んでなる薬学的組成物に関する。
【0052】
薬学的組成物の例としては、経口、局所または非経口投与するための全ての固体(錠剤、ピル、カプセル、顆粒等)または液体(溶液、懸濁液またはエマルション)組成物がある。
【0053】
好ましい実施態様においては、薬学的組成物は経口形態にある。経口投与するための好適な投与形態は、錠剤およびカプセルであり、この分野で公知の通常の添加剤、例えば結合剤、例えばシロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、またはポリビニルピロリドン、充填材、例えばラクトース、砂糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトールまたはグリシン、錠剤形成用潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、崩壊剤、例えばデンプン、ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸エステルナトリウムまたはミクロクリスタリンセルロース、または薬学的に許容され得る濡れ剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムを含むことができる。
【0054】
固体経口組成物は、混合、充填または錠剤形成の従来方法により製造することができる。活性試剤を、大量の充填材を使用するこれらの組成物全体にわたって配分するために、反復混合操作を行うことができる。そのような操作は、この分野では一般的である。錠剤は、例えば湿式または乾式造粒により製造し、所望により通常の製薬作業で良く知られている方法により、特に腸溶コーティングで被覆することができる。
【0055】
この薬学的組成物は、例えば適切な単位投与量形態の無菌溶液、懸濁液または凍結乾燥製品として、非経口投与にも適用できる。適切な添加剤、例えば増量(bulking)剤、緩衝剤または界面活性剤を使用することができる。
【0056】
上記の処方物は、標準的な方法、例えばスペインおよび米国薬局方および類似の参考書に記載されている方法、により調製する。
【0057】
本発明の化合物または組成物の投与は、いずれかの好適な方法、例えば静脈内注入、経口製剤、および腹腔内および静脈内投与により行うことができる。経口投与は、患者および処置すべき多くの病気の慢性的性格に好都合であるので、好ましい。
【0058】
一般的に、本発明の化合物の有効投与量は、選択する化合物の相対的な効能、処置している障害の重度および患者の体重によって異なる。しかし、活性化合物は、典型的には1日1回以上、例えば毎日1、2、3または4回、毎日の典型的な総投与量は0.1〜1000mg/kg/日である。
【0059】
本発明の化合物および組成物は、他の薬物と併用し、組合せた治療を行うことができる。他の薬物は、同じ組成物の一部を構成するか、または別の組成物として、同時にまたは異なった時点で投与することができる。
【0060】
式(I)の化合物がVDCCに対して抑制効果を示すことを考慮し、これらの化合物を、生物学的検定用の反応物、特にVDCCをブロックするための反応物として使用することができる。従って、本発明の別の態様は、式(I)の化合物、またはそれらの塩もしくは溶媒和化合物の、生物学的検定用の反応物、好ましくはVDCCをブロックするための反応物としての使用である。
【0061】
本発明のもう一つの態様においては、Ca2+ホメオスタシスの変化が関与する病気、障害もしくは症状を処置または予防する方法であって、そのような処置を必要とする患者に、治療的に有効な量の、上記に規定する式(I)の化合物、またはそれらの塩もしくは溶媒和化合物、あるいは薬学的組成物を投与することを含んでなる、方法である。
【0062】
本発明の式(I)の最終的な化合物は、Padwa, Aら, Synthesis, 1994, 9, 993-1004により以前に開示されている方法論を使用し、適切に置換された安息香酸中間体を対応するアルキル系またはアリール系アミンにカップリングさせることからなる、集中的な経路により得ることができる。安息香酸中間体は、文献に広く報告されている標準的な合成手順に従って得た。アルキル系ジアミンはSigma-Aldrichから市販されているのに対し、アリール系アミンは、類似の報告されている文献手順(Schoenfeld, R. C.; Conova, S.; Rittschof, D. およびGanem, B. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 2002, 12, 823-825)に従って得た。
【0063】
下記の例により本発明をさらに説明するが、これらの例は、本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0064】
化合物の調製
本発明の式(I)の化合物は、上記で詳細に説明した一般的な製造方法に従って調製した。具体的には、本発明で化合物1〜22と呼ぶ、構造を表1に示す22種類の化合物を合成した。
【0065】
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

例1〜4
化合物1、2、3、4の調製
化合物1〜4は、下記の一般的な方法により調製した。
THF中の2-(メトキシメトキシ)-4-(メトキシ)安息香酸溶液に、1,1'-カルボニルジイミダゾールをN雰囲気下で加え、得られた混合物を室温で4時間攪拌した。その後、対応するジアミンの無水THF溶液(対応するジアミンがTHF中に不溶である場合、DMFも加えた)、およびTEA(2 eq、ジアミンをそのトリフルオロ酢酸塩として使用した場合のみ)を加え、反応混合物をさらに20時間攪拌した。溶剤を減圧下で蒸発させた後、水を加え、得られた混合物をDCMで抽出した。有機抽出液を一つに合わせ、飽和NaCl溶液で洗浄し、NaSOで除湿した。溶剤を減圧下で蒸発させて得た残留物を、以下にそれぞれの場合に示すように、シリカゲルフラッシュ-カラムクロマトグラフィーで精製し、化合物1〜4を得た。
【化4】

【0066】
この一般的な手順に必要な中間体は、下記のように調製することができる。
【0067】
中間体2-(メトキシメトキシ)-4-(メトキシ)安息香酸の合成
2-ヒドロキシ-4-メトキシ-安息香酸(5.0 g、29.3 mmol)をMeOH(150 mL)およびHSO(2 mL)に入れた混合物を48時間還流させた。溶剤を減圧下で蒸発させた後、DCM(100 mL)を加え、この溶液を水(100 mL)、10%KCO溶液、飽和NaCl溶液で洗浄し、続いて除湿(NaSO)し、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-安息香酸メチルエステル誘導体4.8 g(89%)を白色固体として得た。
【0068】
この化合物(4.8 g、26.2 mmol)の無水THF(24 mL)溶液を、0℃で、DIPEA(5.76 mL、32.9 mmol)で、続いて塩化メトキシメチル(2.47 mL、32.9 mmol)で10分間処理した。反応混合物を室温でさらに24時間攪拌した。ジエチルエーテル(200 mL)を加え、得られた溶液を水(2×100 mL)、0.1 M HCl溶液(2×100 mL)で洗浄し、続いて除湿(NaSO)して得た残留物をカラムクロマトグラフィー(使用した溶離剤、ヘキサン:酢酸エチル10:1〜5:1)により精製し、2-(メトキシメトキシ)-4-(メトキシ)安息香酸メチルエステル5.9 g(88%)を得た。
【0069】
この化合物(4.4 g、19.6 mmol)を、水酸化リチウム一水和物(4.1 g、97.9 mmol)で、水/THF=1:3(150 mL)中で3日間処理することにより、加水分解した。THFを蒸発させ、水相を氷浴中で冷却し、0.1 M HCl溶液でpH3〜4に中和し、DCM(4×50 mL)で抽出した。抽出液を一つに合わせ、除湿し(NaSO)し、溶剤を蒸発させ、2-(メトキシメトキシ)-4-(メトキシ)安息香酸3.5 g(85%)を白色固体として得た。
【0070】
アリール系ジアミン中間体の合成
3-[4-(2-アミノエチル)-フェノキシ]-プロピルアミン二酢酸塩の合成
チラミン(4-(2-アミノエチル)-フェノール)(2.0 g、14.6 mmol)の無水DCM(30 mL)溶液に、TEA(4.06 mL、29.2 mmol)を室温で加えた。BOC無水物(1.9 g、8.76 mmol)を0℃で徐々に加え、得られた混合物を室温で2日間攪拌した。DCM(50 mL)を加え、有機相を0.1 M HCl(50 mL)、水(3×100 mL)、飽和NaCl溶液で洗浄し、続いて除湿(NaSO)し、溶剤を減圧下で蒸発させ、[2-(4-ヒドロキシ-フェニル)-エチル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル2.15 g(61%)を得た。
【0071】
上記のtert-ブチルエステル誘導体(15.6 g、66.0 mmol)、N-(3-ブロモプロピル)-フタルイミド(12.7 g、66.0 mmol)、KCO(22.8 g、132 mmol)およびKI(3.29 g、19.8 mmol)をアセトニトリルに入れた混合物を24時間還流させた。溶剤を蒸発乾固させ、水(300 mL)を加え、得られた混合物をDCM(2×300 mL)で抽出した。抽出液を一つに合わせ、飽和NaClで洗浄し、除湿(NaSO)し、溶剤を除去した。得られた生成物をアセトニトリル中で粉末化し、濾過して(2-{4-[3-(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソインドール-2-イル)プロポキシ]-フェニル-エチル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル20.2 g(72%)を得た。
【0072】
上記の化合物(20.2 g、48 mmol)と、MeOH(400)中ヒドラジン一水和物(6.8 mL、140 mmol)の混合物を4時間還流させた。溶剤を蒸発させた後、得られた白色固体をDCM中に分散させ、その混合物を氷浴中で冷却した。白色沈殿物を濾過することにより、3-[4-(2-アミノ-プロポキシ)-フェニルアミノ]-プロピオン酸tert-ブチルエステル11.53 g(86%)が得られた。
【0073】
この化合物(1.9 g、7.0 mmol)を、THF(75 mL)中、室温で、24時間、TFA(25 mL)で処理することにより、3-[4-(2-アミノエチル)-フェノキシ]-プロピルアミン2.80 g(93%)を二酢酸塩として得た。
【0074】
3-[4-(2-アミノエチル)-2,6-ジブロモ-フェノキシ]-プロピルアミン二酢酸塩の合成
この物質は、上記と同じ方法を使用し、4-(2,6-ジブロモ-2-アミノエチル)-フェノールから合成した。4-(2,6-ジブロモ-2-アミノエチル)-フェノールは、4-(2-アミノエチル)-フェノールの臭素化により得た。4-(2-アミノエチル)-フェノール(2 g、14.6 mmol)のCHCl(80 mL)溶液を、ピリジン(21 mL)中のピリジニウムトリブロミド(9.3 g、29.19 mmol)で24時間処理し、溶剤を蒸発乾固させた。得られた褐色固体を水中に分散させ、氷浴中で冷却した。沈殿物を濾過し、乾燥させ、4-(2,6-ジブロモ-2-アミノエチル)-フェノール4.14 g(98%)を得た。構造解析データは、文献(Scheuer, P.J.およびHamann, M.T., J. Org. Chem. 1993, 58, 6565-6569中のデータに従う。
【0075】
例1
化合物1の調製
試薬:無水THF(5 mL)中の2-(メトキシメトキシ)-4-(メトキシ)安息香酸(150 mg、0.71 mmol)、1,1'-カルボニルジイミダゾール(120 mg、0.74 mmol)、THF(5 mL)中の1,5-ジアミノペンタン(50μl、0.42 mmol)。
精製:シリカゲルフラッシュ-クロマトグラフィー、EtOAc:MeOH(20:1)使用。
収量:28 mg(16%)、白色固体。
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) (8.10, d, 2H, J=8.6 Hz)、(7.71, brs, 2H, NH)、(6.60, d, 2H, J=2.3Hz)、(6.64, dd, 2H, J=2.3Hz, J=8.6Hz)、(5.24, s, 4H)、(3.79, s, 6H)、(3.46, s, 6H)、(3.43, m, 4H)、(1.64, m, 4H)、(1.47, m, 2H)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 165.1、163.1、156.5、133.7、115.3、107.0、101.3、95.2、56.8、55.6、39.6、29.5、24.6。
ESI-MS[M+H]+491.01。
【0076】
例2
化合物2の調製
試薬:2-(メトキシメトキシ)-4-(メトキシ)安息香酸(3.4 g、15.8 mmol)、無水THF(20 mL)、1,1'-カルボニルジイミダゾール(2.7 g、16.6 mmol)、THF/DMF(12 mL、1:1)中の3-[4-(2-アミノエチル)-フェノキシ]-プロピルアミン二酢酸塩(2.7 g、16.6 mmol)およびTEA(4.6 mL、5.17 mmol)。
精製:必要としなかった。
収量:4.6 g(84%)、白色固体。
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) (8.14, t, 2H, J=5.4Hz)、(8.00, t, 2H, J=5.4Hz)、(7.79, d, 1H, J=8.8Hz)、(7.73, d, 1H, J=8.8Hz)、(7.17, d, 2H, J=8.0Hz)、(6.88, d, 2H, J=8.0Hz)、(6.69, t, 2H, J=5.2Hz)、(6.65, s, 2H)、(5.29, s, 2H)、(5.25, s, 2H)、(4.01, d, 2H, J=5.6Hz)、(3.77, s, 6H)、(3.50-3.46, m, 4H)、(3.35, s, 3H)、(3.30, s, 3H)、(2.76, t, 2H, J=6.8Hz)、(1.94, m, 2H)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 164.56、164.2、162.2、162.1、157.08、155.9、155.8、132.2、131.9、131.3、129.5、116.6、115.9、114.4、106.9、106.8、101.3、101.2、94.6、94.4、65.5、56.0、55.4、40.6、36.2、34.1、30.6、28.9。ESI-MS[M]+582.9。
【0077】
例3
化合物3の調製
試薬:無水THF(10 mL)中の2-(メトキシメトキシ)-4-(メトキシ)安息香酸(500 mg、2.3 mmol)、1,1'-カルボニルジイミダゾール(400 mg、2.5 mmol)、THF(4 mL)中の1,6-ジアミノヘキサン(164 mg、1.41 mmol)。
精製:シリカゲルフラッシュ-クロマトグラフィー、EtOAc:MeOH(100:1)使用。
収量:426 mg(72%)、白色固体。
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) (8.12, d, 2H, J=9.0Hz)、(7.69, brs, 2H, NH)、(6.65, d, 2H, J=2.3Hz)、(6.61, dd, 2H, J=9.0Hz)、(5.27, s, 4H)、(3.80, s, 6H)、(3.49, s, 6H)、(3.42, m, 4H)、(1.68-1.58, m, 4H)、(1.44-1.41, m, 4H)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 165.1、163.1、156.5、133.7、115.6、107.2、101.5、95.4、56.8、55.6、39.7、29.8、26.9。
ESI-MS[M]+505.05。
【0078】
例4
化合物4の調製
試薬:2-(メトキシメトキシ)-4-(メトキシ)安息香酸(500 mg、2.3 mmol)、無水THF(10 mL)、1,1'-カルボニルジイミダゾール(400 mg、2.5 mmol)、THF/DMF(11 mL、10:1)中の3-[4-(2-アミノエチル)-2,6-ジブロモ-フェノキシ]-プロピルアミン二酢酸塩(817 mg、1.4 mmol)およびTEA(0.7 mL、5.17 mmol)。
精製:EtOAc:ヘキサン(4:1)。
収量:547 mg(63%)、白色固体。
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) (8.15, d, 1H, J=6.3Hz)、(8.14, brs, 1H)、(8.13, d, 1H, J=6.3Hz)、(7.73, brs, 1H)、(7.40, s, 2H)、(6.69, d, 1H, J=2.4Hz)、(6.66, d, 1H, J=2.4Hz)、(6.64-6.60, m, 2H)、(5.17, s, 2H)、(5.16, s, 2H)、(4.12-4.07, m, 2H)、(3.81, s, 6H)、(3.78, q, 2H, J=6.2Hz)、(3.67, q, 2H, J=5.8Hz)、(3.38, s, 3H)、(3.35, s, 3H)、(2.84, t, 2H, J=6.8Hz)、(2.15, m, 2H)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 171.1、165.1、165.0、163.3、163.0、156.7、156.5、151.5、138.5、133.6、133.0、118.2、115.3、114.8、107.1、107.0、101.4、95.2、95.0、60.3、56.5、56.3、55.5、55.5、40.5、37.5、34.6、29.9、14.2。
ESI-MS[M]+740.9。
【0079】
化合物5〜7は、化合物1から出発して、下記の手順により調製した。
DCM(5 mL)中の化合物1(176 mg、0.4 mmol)を、ピリジン(2 mL)中のピリジニウムトリブロミド溶液に0℃で滴下しながら加え、次いでその反応混合物を室温で20時間攪拌した。得られた反応混合物をDCM(50 mL)で希釈し、水(50 mL)、3 M HCl溶液(50 mL)および飽和NaCl溶液(50 mL)で洗浄した。有機抽出液を除湿(NaSO)し、溶剤を減圧下で蒸発させ、白色固体を得たが、この固体は、フラッシュ-カラムクロマトグラフィー(溶離剤DCM:MeOH、200:1)により精製した後、化合物5〜7の混合物を含む残留物を与えた。化合物5、6および7を、調製用HPLCにより効果的に分離し、それぞれ13 mg(7%)、23 mg(10%)および2 mg(0.7%)を得た。
【化5】

【0080】
例5
化合物5
1H-NMR (アセトン-d6、400 MHz、δppm) (8.12, brs, 2H, NH)、(7.94, s, 2H)、(6.54, s, 2H)、(3.91, s, 6H)、(3.41, m, 4H)、(1.69-1.66, m, 4H)、(1.49-1.47, m, 2H)、
13C-NMR (アセトン- d6、100 MHz、δppm) 169.2、160.0、130.6、108.7、101.2、99.9、56.1、39.3、29.9、24.2。
ESI-MS[M]+561。
【0081】
例6
化合物6
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) (7.59, s, 1H)、(7.50, s, 1H)、(6.54, s, 2H)、(6.20, brs, 2H, NH)、(3.91, s, 3H)、(3.88, s, 3H)、(3.44, m, 4H)、(1.69-1.66, m, 4H)、(1.49-1.47, m, 2H)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 169.0、168.2、162.9、160.1、159.2、158.5、129.4、128.4、112.6、108.7、108.2、106.1、101.4、100.6、60.7、56.4、39.8、39.4、29.1、28.9、24.1。
ESI-MS[M]+640。
【0082】
例7
化合物7
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) (7.49, s, 2H)、(6.27, brs, 2H, NH)、(3.85, s, 6H)、(3.40, m, 4H)、(1.69-1.66, m, 4H)、(1.49-1.47, m, 2H)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 168.23、1590.30、158.7、128、112.6、101.85、106.2、60.7、39.7、29.0、24.0。
ESI-MS[M]+719。
【0083】
例8〜11
化合物8、9、10、11の調製
化合物8、9、10および11は、化合物2から出発し、下記の一般的なスキームに従って合成した。
【化6】

【0084】
MeOH(35 mL)中の化合物2の白色懸濁液に、p-TsOHO(226 mg)を加え、この懸濁液を室温で20時間攪拌した。溶剤を減圧下で蒸発させ、水(25 mL)を加え、白色沈殿物を濾過し、水で数回すすぎ、0.99 g(84%)の脱保護された化合物2を白色固体として得た。この化合物をDMF中のKCOで処理し、得られた混合物を45分間攪拌した。次いで、対応するアルキル化剤を加え、反応混合物を室温で1日間攪拌した。溶剤を減圧下で蒸発させた後、水(100 mL)を加え、得られた混合物をDCM(2×50 mL)で抽出した。抽出液を一つに合わせ、飽和NaCl溶液(100 mL)で洗浄し、除湿(NaSO)し、溶剤を減圧下で蒸発させ、得られた残留物を、以下にそれぞれの場合に詳細に説明するように、さらに精製した。
【0085】
例8
化合物8の調製
試薬:脱保護された化合物2(100 mg、0.2 mmol)、炭酸カリウム(110 mg、0.8 mmol)、無水DMF(3 mL)およびブロモ酢酸エチル(0.07 mL、 0.6 mmol)。
精製:必要としなかった。
収量:130 mg(93%)、白色固体。
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) 8.51(t, 1H, J=5.4Hz)、8.38(t, 1H, J=5.5Hz)、8.22(1H, s)、8.20(1H, s)、7.15(d, 2H, J=8.6Hz)、6.82(d, 2H, J=8.6Hz)、6.63(dd, 2H, J=2.2Hz、J=8.8Hz)、6.32(dd, 1H, J=2.3Hz、J=3.6Hz)、4.61(s, 2H)、4.60(s, 2H)、4.28(q, 2H, J=7.2Hz)、4.24(q, 2H, J=7.2Hz)、4.05(t, 2H, J=6.3Hz)、3.84(s, 3H)、3.83(s, 3H)、3.68(m, 4H)、2.90(m, 2H)、2.15(m, 2H, J=6.5Hz)、1.30(q, 2H, J=7.2Hz)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 168.1、168.0、689.2、165.0、164.8、163.3、163.2、157.8、156.9、156.9、134.4、134.4、131.8、129.9、115.5、115.5、114.6、106.3、99.7、66.0、65.8、62.1、62.0、55.8、41.7、37.2、35.1、29.5、14.4。
ESI-MS[M]+667。
【0086】
例9
化合物9の調製
試薬:脱保護された化合物2(150 mg、0.3 mmol)、炭酸カリウム(166 mg、1.2 mmol)、無水DMF(4 mL)およびヨードプロパン(0.09 mL、 0.9 mmol)。
精製:必要としなかった。
収量:165 mg(94%)、透明黄色固体。
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) 8.19(d, 1H, J=6.2Hz)、8.17(d, 1H, J=6.2Hz)、8.04(t, 1H, J=5.3Hz)、7.93(t, 1H, J=5.4Hz)、7.13(d, 2H, J=8.5Hz)、6.83(d, 2H, J=8.5Hz)、6.59(t, 1H, J=2.5Hz)、6.57(t, 1H, J=2.5Hz)、6.44(d, 1H, J=2.3Hz)、6.41(d, 1H, J=2.3Hz)、4.03(t, 2H, J=6.1Hz)、3.99(t, 2H, J=6.5Hz)、3.92(t, 3H, J=6.6Hz)、3.83(s, 3H)、3.82(s, 3H)、3.69(dd, 2H, J=7.1Hz、J=12.9Hz)、3.64(dd, 2H, J=7.2Hz、J=13.2)、2.84(t, 3H, J=7.0Hz)、2.09(p, 2H, J=6.4Hz)、1.79(m, 2H)、1.63(m, 2H)、0.99(t, 3H, J=7.4Hz)、0.91(t, 3H, J=7.4Hz)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 165.3、165.1、163.2、163.1、158.2、157.5、133.8、133.7、131.4、129.6、114.6、114.5、105.2、105.1、99.3、70.5、70.4、65.6、55.4、40.9、36.6、34.9、29.3、22.4、22.2、10.5、10.4。
ESI-MS[M]+579。
【0087】
例10
化合物10の調製
試薬:脱保護された化合物2(150 mg、0.3 mmol)、炭酸カリウム(165 mg、1.2 mmol)、無水DMF(4 mL)およびブロモエチルメチルエーテル(0.12 mL、 1.3 mmol)。
精製:シリカゲルフラッシュ-カラムクロマトグラフィー、EtOAc:MeOH(200:1)使用。
収量:116 mg(63%)、白色固体。
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) 8.16(m, 4H)、7.14(d, 2H, J=8.0Hz)、6.83(d, 2H, J=8.1Hz)、6.61(d, 2H, J=8.8Hz)、6.44(m, 2H)、4.17(m, 1H)、4.13(m, 4H)、4.04(t, 2H, J=6.2Hz)、3.83(s, 6H)、3.69(m, 2H)、3.62(m, 4H)、3.36(s, 2H)、3.34(s, 2H)、2.85(t, 2H, J=7.3Hz)、2.09(t, 2H, J=9.8Hz)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 165.2、165.0、163.0、158.0、157.9、157.4、1133.7、131.7、129.7、115.2、114.5、105.8、105.8、99.9、99.90、70.3、70.2、67.9、58.9、58.84、55.5、41.4、36.8、34.9、29.3。
ESI-MS[M]+611。
【0088】
例11
化合物11の調製
試薬:脱保護された化合物2(150 mg、0.3 mmol)、炭酸カリウム(103 mg、0.7 mmol)、無水DMF(4 mL)およびクロロアセトン(0.07 mL、 0.9 mmol)。
精製:シリカゲルフラッシュ-カラムクロマトグラフィー、EtOAc:MeOH(200:1)使用。
収量:98 mg(53%)、白色固体。
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) 8.63(brs, 1H)、8.43(brs, 1H)、8.21(s, 1H)、8.19(s, 1H)、7.15(d, 2H, J=7.9Hz)、6.80(d, 2H, J=8.0Hz)、6.62(d, 2H, J=8.7Hz)、6.29(s, 1H)、6.27(s, 1H)、4.66(s, 2H)、4.63(s, 2H)、4.06(t, 2H, J=6.1Hz)、3.83(s, 3H)、3.82(s, 3H)、3.70(m, 4H)、2.92(t, 2H, J=7.2Hz)、2.19(m, 8H, J=6.9Hz)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 201.2、200.9、164.8、164.6、163.0、157.5、156.7、156.6、134.2、131.6、129.7、115.3、114.4、106.0、105.9、99.6、72.9、72.9、65.9、55.5、41.4、37.0、34.7、29.0、26.0。
ESI-MS[M]+607。
【0089】
例12
化合物12の調製
無水THF(4 mL)中の2,4-(ジメトキシ)-3-(メチル)安息香酸(392 mg、2.0 mmol)の溶液に、1,1'-カルボニルジイミダゾール(340 mg、2.1 mmol)をN雰囲気下で加え、得られた混合物を室温で4時間攪拌した。その後、DMF:THF(1:1、6 mL)中の1,5-ジアミノペンタン(122 mg、1.2 mmol)およびトリエチルアミン(242 mg、2.4 mmol)の溶液を加え、この反応混合物をさらに20時間攪拌した。溶剤を減圧下で蒸発させた後、水を加え、得られた混合物をDCMで抽出した。有機抽出液を一つに合わせ、飽和NaCl溶液で洗浄し、NaSOで除湿した。溶剤を減圧下で蒸発させ、得られた残留物をシリカゲルフラッシュ-カラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物12を得た。
精製:シリカゲルフラッシュ-クロマトグラフィー、EtOAc:ヘキサン(1:4〜1:1)使用。
収量:102 mg(18%)、白色固体。
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) (7.91, d, 2H, J=8.8Hz)、(7.84, brt, 2H, NH, J=5.2Hz)、(6.69, d, 2H, J=8.8Hz)、(3.84, s, 6H)、(3.70, s, 6H)、(3.45, q, 4H, J=5.2Hz)、(2.12, s, 6H)、(1.67, m, 4H)、(1.50, m, 2H)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 165.4、161.0、157.2、129.8、119.4、118.8、106.3、61.3、55.6、39.3、29.4、24.5、8.8。
ESI-MS[M]+458.7。
【0090】
例13
化合物13の調製
化合物13は、2連続工程で調製した。
工程1:中間体[5-(2,4,5-トリメトキシ-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-カルバミン酸tert-ブチルエステルの調製
無水THF(4 mL)中の2,4,5-(トリメトキシ)安息香酸(414 mg、2.0 mmol)の溶液に、1,1'-カルボニルジイミダゾール(340 mg、2.1 mmol)を加え、混合物をN2雰囲気下、室温で一晩攪拌した。次いで、無水THF(3 mL)中の5-(アミノペンチル)カルバミン酸tert-ブチルエステル(405 mg、2.0 mmol)およびトリエチルアミン(202 mg、2.0 mmol)の溶液を加え、この反応混合物を室温で20時間攪拌した。溶剤を除去した後、得られた残留物をDCM中に入れ、続いて1N HCl、10%KCO、水および飽和NaCl溶液で洗浄し、NaSOで除湿し、蒸発させ、純粋な生成物550 mg(69%収率)を無色オイルとして得た。
【0091】
工程2:化合物13の調製
[5-(2,4,5-トリメトキシ-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(530 mg、1.3 mmol)を、TFA:DCM(1:1、20 mL)の混合物で、室温で2時間処理し、減圧下で蒸発させ、KOH上、高真空下でさらに4時間乾燥させた。別のフラスコ中で、無水THF(3 mL)中の2,4-(ジメトキシ)-3-(メチル)安息香酸(284 mg、1.4 mmol)の溶液に、1,1'-カルボニルジイミダゾール(246 mg、1.5 mmol)を加え、混合物をN2雰囲気下、室温で6時間攪拌した。次いで、無水THF(4 mL)中の脱保護したアミンおよびトリエチルアミン(307 mg、3 mmol)の溶液を加え、この反応混合物を室温で48時間攪拌した。溶剤を除去し、残留物をDCM中に再溶解させ、1N HCl、10%KCO、水および飽和NaCl溶液で順次洗浄し、NaSOで除湿し、蒸発させた。EtOAc/DCM(1:4〜1:1)を使用するシリカゲル上のフラッシュ-クロマトグラフィーにより、純粋な生成物252 mg(40%収率)を無色オイルとして得た。
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) (7.84, d, 1H, J=8.8Hz)、(7.83, brt, 1H, NH, J=5.2Hz)、(7.79, brt, 2H, NH, J=5.6Hz)、(7.65, s, 1H)、(6.61, d, 2H, J=8.8Hz)、(7.65, s, 1H)、(3.84, s, 3H)、(3.83, s, 3H)、(3.80, s, 3H)、(3.76, s, 3H)、(3.62, s, 3H)、(3.39, m, 4H)、(2.04, s, 3H)、(1.59, m, 4H)、(1.42, m, 2H)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 165.2、164.8、160.8、157.0、152.2、151.8、143.0、129.5、119.2、118.5、113.8、113.0、106.1、96.4、61.1、56.4、56.0、55.8、55.4、39.2、39.1、29.2、29.1、24.3、8.6。
ESI-MS[M-CH3O]+444.8。
【0092】
例14〜15
化合物14、15の調製
無水THF中の2,4-ジメトキシ安息香酸の溶液に、1,1'-カルボニルジイミダゾールをN雰囲気下で加え、得られた混合物を室温で4時間攪拌した。その後、無水THF中の対応するジアミン(対応するジアミンがTHF中に不溶である場合には、DMFも加えた)の溶液、およびTEA(2 eq、ジアミンをそのトリフルオロ酢酸塩としてのみ使用した場合)を加え、この反応混合物をさらに20時間攪拌した。溶剤を減圧下で蒸発させた後、水を加え、得られた混合物をDCMで抽出した。有機抽出液を一つに合わせ、飽和NaCl溶液で洗浄し、NaSOで除湿した。溶剤を減圧下で蒸発させ、化合物14および15を得た。
【化7】

【0093】
例14
化合物14の調製
試薬:無水THF(10 mL)中の2,4-ジメトキシ安息香酸(1000 mg、5.5 mmol)、1,1'-カルボニルジイミダゾール(940.5 mg、5.8 mmol)、THF(10 mL)中の1,6-ジアミノヘキサン(383.5 mg、3.3 mmol)
収量:943 mg(67%)、黄色固体として。
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) (8.17, d, 2H, J=8.4Hz)、(7.75, brs, 2H, NH)、(6.58, dd, 2H, J=2.4、J=8.4Hz)、(6.46, dd, 2H, J=2.4Hz)、(3.92, s, 6H)、(3.84, s, 6H)、(3.46-3.41, m, 4H)、(1.64-1.69, m, 4H)、(1.46-1.42, m, 4H)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 165.1、163.2、158.7.5、133.8、114.7、105.2、98.5、55.9、55.4、39.5、29.5、26.7。
ESI-MS[M+H]+445。
【0094】
例15
化合物15の調製
試薬:無水THF(10 mL)中の2,4-ジメトキシ安息香酸(1000 mg、5.5 mmol)、1,1'-カルボニルジイミダゾール(940.5 mg、5.8 mmol)、3-[4-(2-アミノエチル)-フェノキシ]-プロピルアミン二酢酸塩(1392.6 mg、3.3 mmol)[下記の合成参照]、THF(10 mL)中のTEA(1.22 g、12.1 mmol)およびDMF1.6 mL。
収量:1140 mg(67%)、黄色固体として。
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) (8.11-8.10, brs, 1H, NH)、(7.98-7.95, brs, 1H, NH)、(7.83-7.76, m, 2H)、(7.17, d, 2H, J=8.8Hz)、(6.89, d, 2H, J=8.8Hz)、(6.61-6.60, m, 4H)、(4.02-3.98, m, 2H)、(3.83, s, 3H)、(3.81, s, 3H)、(3.80, s, 6H)、(3.49-3.40, m, 4H)、(2.76-2.73, m, 2H)、(2.00-1.88, m, 2H)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 166.0、165.0、164.0、159.7、158.0、133.7、132.0、130.0、116.0、115.0、106.0、98.5、66.0、56.5、56.0、36.5、34.0、29.8。
ESI-MS[M+H]+523。
【0095】
3-[4-(2-アミノエチル)-フェノキシ]-プロピルアミン二酢酸塩の合成
チラミン(4-(2-アミノエチル)-フェノール)(2.0 g、14.6 mmol)の無水DCM(30 mL)溶液に、TEA(4.06 mL、29.2 mmol)を室温で加えた。BOC無水物(1.9 g、8.76 mmol)を0℃で徐々に加え、得られた混合物を室温で2日間攪拌した。DCM(50 mL)を加え、有機相を0.1 M HCl(50 mL)、水(3×100 mL)、飽和NaCl溶液で洗浄し、続いて除湿(NaSO)し、溶剤を減圧下で蒸発させ、[2-(4-ヒドロキシ-フェニル)-エチル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル2.15 g(61%)を得た。
【0096】
上記のtert-ブチルエステル誘導体(15.6 g、66.0 mmol)、N-(3-ブロモプロピル)-フタルイミド(12.7 g、66.0 mmol)、KCO(22.8 g、132 mmol)およびKI(3.29 g、19.8 mmol)をアセトニトリルに入れた混合物を24時間還流させた。溶剤を蒸発乾固させ、水(300 mL)を加え、得られた混合物をDCM(2×300 mL)で抽出した。抽出液を一つに合わせ、飽和NaClで洗浄し、除湿(NaSO)し、溶剤を除去した。得られた生成物をアセトニトリル中で粉末化し、濾過して(2-{4-[3-(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソインドール-2-イル)プロポキシ]-フェニル-エチル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル20.2 g(72%)を得た。
【0097】
上記の化合物(20.2 g、48 mmol)と、MeOH(400)中ヒドラジン一水和物(6.8 mL、140 mmol)の混合物を4時間還流させた。溶剤を蒸発させた後、得られた白色固体をDCM中に分散させ、その混合物を氷浴中で冷却した。白色沈殿物を濾過することにより、3-[4-(2-アミノ-プロポキシ)-フェニルアミノ]-プロピオン酸tert-ブチルエステル11.53 g(86%)が得られた。
【0098】
この化合物(1.9 g、7.0 mmol)を、THF(75 mL)中、室温で、24時間、TFA(25 mL)で処理することにより、3-[4-(2-アミノエチル)-フェノキシ]-プロピルアミン2.80 g(93%)を二酢酸塩として得た。
【0099】
例16〜19
化合物16、17、18、19の調製
化合物16、17、18、19は、化合物2から出発し、下記の一般的なスキームに従って合成した。
【化8】

【0100】
MeOH(35 mL)中化合物2(1.38 g、2.37 mmol)の白色懸濁液に、p-TsOHO(226 mg)を加え、この懸濁液を室温で20時間攪拌した。溶剤を減圧下で蒸発させ、水(25 mL)を加え、白色沈殿物を濾過し、水で数回すすぎ、脱保護された化合物2誘導体0.99 g(84%)を白色固体として得た。この化合物をDMF中KCOで処理し、得られた混合物を45分間攪拌した。次いで、対応するアルキル化剤を加え、反応混合物を、化合物17および18の場合は室温で1日間、化合物16および19の場合は70℃で3時間攪拌した。溶剤を減圧下で蒸発させた後、水(100 mL)を加え、得られた混合物をDCM(2×50 mL)で抽出した。抽出液を一つに合わせ、飽和NaCl溶液(100 mL)で洗浄し、除湿(NaSO)し、溶剤を減圧下で蒸発させ、得られた残留物を、以下にそれぞれの場合に詳細に説明するように、さらに精製した。
【0101】
例16
化合物16の調製
試薬:脱保護された化合物2(150 mg、0.3 mmol)、炭酸カリウム(165 mg、1.2 mmol)、無水DMF(4 mL)および1-ヨードメチルプロパン(0.3 mL、 2.7 mmol)。精製 EtOAc:MeOH(200:1)を使用するシリカゲルフラッシュ-カラムクロマトグラフィー。
収量:132 mg(72%)、白色固体。
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) 8.20(d, 1H, J=6.5Hz)、8.17(d, 1H, J=6.4Hz)、8.04(t, 1H, J=5.4Hz)、7.94(t, 1H, J=5.5Hz)、7.13(d, 2H, J=8.6Hz)、6.82(d, 2H, J=8.6Hz)、6.58(d, 1H, J=9.8Hz)、6.44(d, 2H, J=2.3Hz)、6.41(d, 2H, J=2.3Hz)、4.02(t, 2H, J=6.2Hz)、3.84(s, 3H)、3.83(s, 3H)、3.82(d, 2H, J=6.5Hz)、3.75(d, 2H, J=6.5Hz)、3.66(m, 4H)、2.85(t, 2H, J=7.2Hz)、2.08(m, 3H)、1.90(td, 1H, J=6.7Hz, J=13.3Hz)、1.00(m, 3H)、0.98(s, 3H)、0.93(s, 3H)、0.92(s, 3H)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 165.4、165.2、163.2、163.1、158.3、157.5、133.8、131.4、129.6、114.5、114.5、105.2、105.1、99.3、75.3、65.5、55.5、41.1、36.6、35.0、29.3、28.2、28.0、19.3、19.2。
ESI-MS[M]+607。
【0102】
例17
化合物17の調製
試薬:脱保護された化合物2(150 mg、0.3 mmol)、炭酸カリウム(165 mg、1.2 mmol)、無水DMF(4 mL)および3,3-ジメチルアリルブロミド(0.18 mL、 1.8 mmol)。
精製:ヘキサン:EtOAc(1:1)を使用するシリカゲルフラッシュ-カラムクロマトグラフィー
収量:140 mg(73%)、白色固体。
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) 8.19(d, 1H, J=3.5Hz)、8.17(d, 1H, J=3.5Hz)、8.08(t, 1H, J=5.3Hz)、7.98(t, 1H, J=5.2Hz)、7.13(d, 2H, J=8.6Hz)、6.83(d, 2H, J=8.6Hz)、6.59(dd, 1H, J=2.4Hz, J=3.3Hz)、6.57(dd, 1H, J=2.5Hz, J=3.4Hz)、6.47(d, 1H, J=2.3Hz)、6.43(d, 1H, J=2.4Hz)、5.43(m, 1H)、5.29(dt, 1H, J=2.0Hz, J=6.7Hz)、
4.56(d, 2H, J=6.9Hz)、4.51(d, 2H, J=6.8Hz)、4.02(t, 2H, J=6.2Hz)、3.84(s, 3H)、3.83(s, 3H)、3.66(dd, 2H, J=5.9Hz, J=11.6Hz)、3.61(dd, 2H, J=5.6Hz, J=11.3Hz)、2.82(t, 2H, J=7.1Hz)、2.06(p, 2H, J=6.5Hz)、1.76(s, 3H)、1.71(s, 3H)、1.69(s, 3H)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 165.3、165.1、163.1、163.0、158.2、158.1、157.4、140.0、139.4、133.7、131.6、129.7、118.4、118.2、114.8、114.5、105.3、105.2、99.7、65.8、65.7、65.6、55.5、41.1、36.6、34.9、29.2、25.7、25.6、18.22。
ESI-MS[M]+631。
【0103】
例18
化合物18の調製
試薬:脱保護された化合物2(150 mg、0.3 mmol)、炭酸カリウム(165 mg、1.2 mmol)、無水DMF(4 mL)および1-ヨードブタン(0.1 mL、 0.9 mmol)。
精製:シリカゲルフラッシュ-カラムクロマトグラフィー、ヘキサン:EtOAc(1:1)使用。
収量:70 mg(38%)、白色固体。
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) 8.18(t, 2H, J=7.8Hz)、8.04(m, 1H)、7.94(t, 1H, J=5.1Hz)、7.13(d, 2H, J=8.1Hz)、6.83(d, 2H, J=7.9Hz)、6.53(d, 2H, J=8.6Hz)、6.44(d, 2H, J=13.2Hz)、4.04(dd, 4H, J=5.5Hz, J=9.8Hz)、3.97(t, 2H, J=6.5Hz)、3.84(m, 6H)、3.66(m, 4H)、2.84(t, 2H, J=6.9Hz)、2.09(m, 2H)、1.76(m, 2H)、1.60(m, 2H)、1.44(dd, 2H, J=7.3Hz, J=14.9Hz)、1.35(dd, 2H, J=7.9Hz, J=14.3Hz)、0.92(t, 6H, J=7.3Hz)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm)
ESI-MS[M]+607。
【0104】
例19
化合物19の調製
試薬:脱保護された化合物2(100 mg、0.2 mmol)、炭酸カリウム(110 mg、0.8 mmol)、無水DMF(3 mL)および2-ブロモブタン(0.09 mL、 0.9 mmol)。
精製:シリカゲルフラッシュ-カラムクロマトグラフィー、ヘキサン:EtOAc(1:1)使用。
収量:95 mg(78%)、白色固体。
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) 8.19(d, 1H, J=5.5Hz)、8.17(d, 1H, J=5.5Hz)、8.12(t, 1H, J=5.5Hz)、8.01(t, 1H, J=5.4Hz)、7.13(d, 2H, J=8.6Hz)、6.83(d, 2H, J=6.7Hz)、6.56(m, 2H)、6.44(d, 1H, J=2.3Hz)、6.40(d, 1H, J=2.3Hz)、4.42(dd, 1H, J=6.0Hz, J=12.1Hz)、4.35(dd, 1H, J=6.1Hz, J=12.1Hz)、4.02(t, 2H, J=6.2Hz)、3.82(s, 3H)、3.81(s, 3H)、3.70(dd, 2H, J=6.5Hz, J=13.4Hz)、3.62(m, 2H)、2.84(t, 2H, J=7.0Hz)、2.08(p, 2H, J=6.5Hz)、1.61(m, 4H)、1.29(d, 3H, J=6.1Hz)、1.19(d, 3H, J=6.1Hz)、0.93(t, 3H, J=7.5Hz)、0.86(t, 3H, J=7.5Hz)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 165.7、165.5、163.3、163.2、157.7、157.5、134.1、131.7、129.8、115.6、114.8、105.5、105.4、100.9、100.7、65.7、55.7、41.0、36.7、35.1、29.5、29.33、29.10、19.40、19.22、9.88。
ESI-MS[M]+607。
【0105】
例20
化合物20の調製
化合物20は、3つの連続工程で調製した。
【化9】

【0106】
工程1:2-sec-ブトキシ-4-メトキシ-安息香酸メチルエステル(B)の合成
無水DMF(17 mL)中の2-ヒドロキシ-4-メトキシ-安息香酸メチルエステル(A)(0.461 g、2.53 mmol)およびKCO(0.7 g、5.07 mmol)の混合物をN雰囲気下、室温で1時間攪拌した。その後、2-ブロモプロパン(0.41 mL、3.80 mmol)を加え、混合物を70℃で20時間攪拌した。
【0107】
溶剤を減圧下で蒸発させた後、酢酸エチル(100 mL)を加え、溶液を水(100 mL)で洗浄した。有機抽出液を一つに合わせ、飽和NaClで洗浄し、NaSOで除湿した。溶剤を減圧下で蒸発させることにより、2-sec-ブトキシ-4-メトキシ-安息香酸メチルエステル(B)0.30 g(50%)が白色固体として得られた。
精製:必要としなかった。
収量:0.30 g(50%)、液体として
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) 7.82(dd, J=7.78, 1.26Hz, 1H)、6.49(d, J=7.79Hz, 1H)、6.47(d, J=1.13Hz, 1H)、4.33(sext., J=6.02Hz, 1H)、3.84(s, 3H)、3.83(s, 3H)、1.94-1.59(m, 2H)、1.33(d, J=6.09Hz, 3H)、1.00(t, J=7.45Hz, 3H)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 166.46、163.86、159.99、133.73、113.80、104.71、101.60、76.59、55.41、51.50、29.18、19.03、9.59。
ESI-MS[M+-CH3] 223.81。
【0108】
工程2:中間体2-sec-ブトキシ-4-メトキシ-安息香酸(C)の合成
2-sec-ブトキシ-4-メトキシ-安息香酸メチルエステル(B)(0.11 g、0.42 mmol)の混合物を、水酸化リチウム一水和物(0.18 g、4.20 mmol)で、水/MeOH1:1(10 mL)中で24時間処理することにより、加水分解した。水相を氷浴中で冷却し、0.1 M HCl溶液でpH3〜4に中和し、酢酸エチル(4×25 mL)で抽出した。抽出液を一つに合わせ、除湿し(NaSO)し、溶剤を蒸発させ、2-sec-ブトキシ-4-メトキシ-安息香酸(C)0.09 g(92%)を白色固体として得た。
精製:必要としなかった。
収量:0.09 g(92%)、白色固体として
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) 10.97(s, 1H)、8.15(d, J=8.84Hz, 1H)、6.64(dd, J=8.84, 2.31Hz, 1H)、6.51(d, J=2.29Hz, 1H)、4.60(sext., J=6.03Hz, 1H)、3.87(s, 3H)、1.96-1.70(m, 12H)、1.43(d, J=6.14Hz, 3H)、1.03(t, J=7.48Hz, 3H)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 165.37、164.86、157.97、135.56、111.40、106.62、100.68、78.83、55.69、28.99、19.16、9.58。
ESI-MS[M]+225。
【0109】
工程3:化合物20の合成
無水THF(10 mL)中の2-sec-ブトキシ-4-メトキシ-安息香酸(C)(81 mg、0.391 mmol)の溶液に、1,1'-カルボニルジイミダゾール(66.4 mg、0.410 mmol)をN雰囲気下で加え、得られた混合物を室温で4時間攪拌した。その後、無水THF中の1,6-ジアミノヘキサン(27.14 mg、0.234 mmol)を加え、この反応混合物をさらに20時間攪拌した。溶剤を減圧下で蒸発させた後、水を加え、得られた混合物をDCMで抽出した。有機抽出液を一つに合わせ、飽和NaCl溶液で洗浄し、NaSOで除湿した。溶剤を減圧下で蒸発させ、得られた残留物をシリカゲルフラッシュ-カラムクロマトグラフィーで精製した。
精製:シリカゲルフラッシュ-クロマトグラフィー、EtOAc:Hex(1:1)使用。
収量:39 mg(19%)、白色固体。
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) (8.16, d, 2H, J=8.8Hz)、(7.98, brs, 2H, NH)、(6.55, d, 2H, J=8.8Hz)、(6.43, brs, 2H)、(4.46, sex, 4H, J=6.0Hz)、(3.81, s, 6H)、(3.42, m, 4H)、(1.79-1.70, m, 4H)、(1.59, brs, 4H,)、(1.43, brs, 4H,)、(1.34, d, 6H, J=6.0Hz)、(0.99, t, 6H, J=7.4Hz)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 165.2、162.9、157.2、133.8、115.5、105.1、100.5、100.5、76.6、55.4、39.4、29.6、29.1、27.0、19.2、9.7。
ESI-MS[M]+529。
【0110】
例21
化合物21の調製
化合物21は、3つの連続工程で調製した。
【化10】

【0111】
工程1:4-メトキシ-2-ペンチルオキシ-安息香酸メチルエステル(D)の合成
無水DMF(25 mL)中の2-ヒドロキシ-4-メトキシ-安息香酸メチルエステル(A)(1.5 g、8.23 mmol)およびKCO(2.2 g、16.5 mmol)の混合物をN雰囲気下、室温で1時間攪拌した。その後、ヨードペンタン(2.44 g、12.3 mmol)を加え、混合物を20時間攪拌した。
【0112】
溶剤を減圧下で蒸発させた後、酢酸エチル(100 mL)を加え、溶液を水(100 mL)で洗浄した。有機抽出液を一つに合わせ、飽和NaClで洗浄し、NaSOで除湿した。溶剤を減圧下で蒸発させることにより、4-メトキシ-2-ペンチルオキシ-安息香酸メチルエステル(D)1.62 g(78%)が黄色がかった固体として得られた。
精製:必要としなかった。
収量:1.62 g(78%)、黄色がかった固体
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) 7.81(d, 1H, J=8.4Hz)、6.46(m, 1H)、6.43(s, 1H)、3.97(t, 2H, J=6.5Hz)、3.83(s, 3H)、3.80(s, 3H)、1.82(m, 2H)、1.46(m, 2H)、1.38(m, 2H)、0.92(t, 3H, J=7.2Hz)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 166.5、164.3、161.0、133.9、112.8、104.7、100.0、69.1、55.6、51.7、29、28.3、22.6、14.2。
ESI-MS[M+H]+252.9。
【0113】
工程2:4-メトキシ-2-ペンチルオキシ-安息香酸(E)の合成
4-メトキシ-2-ペンチルオキシ-安息香酸メチルエステル(D)(1.5 g、6.0 mmol)の混合物を、水酸化リチウム一水和物(2.5 g、60.0 mmol)で、水/MeOH/THF1:1:1(30 mL)中で15時間処理することにより、加水分解した。THFを蒸発させ、水相を氷浴中で冷却し、0.1 M HCl溶液でpH3〜4に中和し、酢酸エチル(4×50 mL)で抽出した。抽出液を一つに合わせ、除湿し(NaSO)し、溶剤を蒸発させ、4-メトキシ-2-ペンチルオキシ-安息香酸(E)1.24 g(88%)を白色固体として得た。
精製:必要としなかった。
収量:1.24 g(88%)、白色固体として
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) 8.02(d, 1H, J=8.8Hz)、6.54(d, 1H, J=8.9Hz)、6.44(s, 1H)、4.05(t, 2H, J=6.5Hz)、3.80(s, 3H)、1.82(m, 2H)、1.40(m, 4H)、0.92(t, 3H, J=7.2Hz)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 166.0、165.2、159.4、135.5、110.6、106.7、99.5、70.3、55.9、28.7、28.1、22.4、14.0。
ESI-MS[M]+238.8。
【0114】
工程3:化合物21の合成
無水THF(20 mL)中の4-メトキシ-2-ペンチルオキシ-安息香酸(E)(0.5 g、2.0 mmol)の溶液に、1,1'-カルボニルジイミダゾール(0.38 g、2.20 mmol)をN雰囲気下で加え、得られた混合物を室温で4時間攪拌した。その後、無水THF(5 mL)中の対応する1,6-ジアミノヘキサン(0.15 g、1.26 mmol)を加え、この反応混合物をさらに20時間攪拌した。溶剤を減圧下で蒸発させた後、水を加え、得られた混合物をDCMで抽出した。有機抽出液を一つに合わせ、飽和NaCl溶液で洗浄し、NaSOで除湿した。溶剤を減圧下で蒸発させ、得られた残留物をシリカゲルフラッシュ-カラムクロマトグラフィーMeOH/酢酸エチル(1:100)で精製し、化合物21 0.241 g(22%)を白色固体として得た。
精製:シリカゲルフラッシュ-クロマトグラフィー、EtOAc:MeOH(100:1)使用。
収量:241 mg(22%)、白色固体。
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) 8.11(d, 2H, J=8.8Hz)、7.84-7.82(m, 2H, br)、6.51(dd, 2H, J=2.3Hz, J=8.8Hz)、6.38(d, 2H, J=2.3Hz)、4.00(t, 2H, J=6.5Hz)、3.76(s, 6H, CH3)、3.37(dd, 2H, J=7.0Hz, J=12.6Hz)、1.86-1.77(m, 4H)、1.55(m, 4H)、1.42-1.30(m, 4H)、0.86(t, 3H, J=7.1Hz)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 165.3、163.3、158.8、134.0、114.9、105.3、99.4、69.1、55.6、39.7、29.8、29.1、28.5、27.1、22.46。
ESI-MS[M]+557.08。
【0115】
例22
化合物22の調製
化合物22は、3つの連続工程で調製した。
【化11】

【0116】
工程1:2-ブトキシ-4-メトキシ-安息香酸メチルエステル(F)の合成
無水DMF(17 mL)中の2-ヒドロキシ-4-メトキシ-安息香酸メチルエステル(A)(0.461 g、2.53 mmol)およびKCO(0.7 g、5.07 mmol)の混合物をN雰囲気下、室温で1時間攪拌した。その後、1-ヨードブタン(0.43 mL、3.80 mmol)を加え、混合物を20時間攪拌した。
【0117】
溶剤を減圧下で蒸発させた後、酢酸エチル(100 mL)を加え、溶液を水(100 mL)で洗浄した。有機抽出液を一つに合わせ、飽和NaClで洗浄し、NaSOで除湿した。溶剤を減圧下で蒸発させることにより、2-ブトキシ-4-メトキシ-安息香酸メチルエステル(F)0.47 g(78%)が白色固体として得られた。
精製:必要としなかった。
収量:0.47 g(78%)、白色固体
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) 7.84(dd, J=8.34, 0.58Hz, 1H)、6.50-6.45(m, 2H, H2)、4.01(t, J=6.49, 6.49Hz, 2H)、3.85(s, 3H)、3.84(s, 3H)、1.87-1.77(m, 2H)、1.54(qd, J=14.75, 7.37Hz, 2H)、0.98(t, J=7.40Hz, 3H)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 166.33、164.07、160.84、133.76、112.62、104.54、99.86、68.59、55.42、51.56、31.15、19.18、13.81。
ESI-MS[M+H]+239。
【0118】
工程2:2-ブトキシ-4-メトキシ-安息香酸(G)の合成
2-ブトキシ-4-メトキシ-安息香酸メチルエステル(F)(0.39 g、1.64 mmol)の混合物を、水酸化リチウム一水和物(069 g、10.0 mmol)で、水/MeOH1:1(14 mL)中で24時間処理することにより、加水分解した。水相を氷浴中で冷却し、0.1 M HCl溶液でpH3〜4に中和し、酢酸エチル(4×25 mL)で抽出した。抽出液を一つに合わせ、除湿し(NaSO)し、溶剤を蒸発させ、2-ブトキシ-4-メトキシ-安息香酸(G)0.33 g(90%)を液体として得た。
精製:必要としなかった。
収量:0.33 g(90%)、液体として
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) 8.12(d, J=8.81, 1H)、6.63(dd, J=8.82, 2.30Hz, 1H)、6.51(d, J=2.30Hz, 1H)、4.21(t, J=6.55Hz, 2H)、3.86(s, 3H)、1.94-1.84(m, 2H)、1.52(ddt, J=14.78, 8.43, 6.63Hz, 2H)、1.00(t, J=7.39Hz, 3H)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 165.2、164.98、158.91、135.45、110.46、106.56、99.38、69.88、55.70、30.79、19.10、13.63。
ESI-MS[M]+225。
【0119】
工程3:化合物22の合成
無水THF(7 mL)中の2-ブトキシ-4-メトキシ-安息香酸(G)(0.15 g、0.7 mmol)の溶液に、1,1'-カルボニルジイミダゾール(0.11 g、0.70 mmol)をN雰囲気下で加え、得られた混合物を室温で16時間攪拌した。その後、無水THF(2 mL)中の対応する1,6-ジアミノヘキサン(0.047 g、0.40 mmol)を加え、この反応混合物をさらに20時間攪拌した。溶剤を減圧下で蒸発させた後、水を加え、得られた混合物をDCMで抽出した。有機抽出液を一つに合わせ、飽和NaCl溶液で洗浄し、NaSOで除湿した。溶剤を減圧下で蒸発させ、得られた残留物をシリカゲルフラッシュ-カラムクロマトグラフィーMeOH/酢酸エチル(1:100)で精製し、化合物22 0.20 g(54%)を白色固体として得た。
精製:シリカゲルフラッシュ-クロマトグラフィー、EtOAc:MeOH(100:1)使用。
収量:200 mg(54%)、白色固体。
1H-NMR(CDCl3、400 MHz、δppm) 7.91(d, J=8.66, 1H、H5)、6.62(dd, J=8.67, 2.34Hz, 1H)、6.59(d, J=2.27Hz, 1H)、4.13(t, J=6.36Hz, 2H)、3.84(s, 3H)、3.42(t, J=6.86Hz, 2H)、1.90-1.80(m, 2H)、1.65(p, J=6.69Hz, 2H)、1.58-1.45(m, 4H、H2)、1.00(t, J=7.40Hz, 3H)。
13C-NMR(CDCl3、100 MHz、δppm) 167.90、165.25、160.08、133.89、115.31、106.80、100.27、70.08、56.08、40.63、32.42、30.55、28.02、20.58、14.22。
ESI-MS[M]+528.6。
【0120】
式(I)の化合物の生物学的活性
例23 化合物のVDCC抑制
この検定は、化合物のVDCCブロッカー活性を確認することを目的としており、SH-SY5Y神経芽細胞腫細胞を使用して行う。処理の48時間前に、SH-SY5Y細胞を、Black/Clear Bottom 96-ウェル培養プレートに、1ウェルあたり5×10細胞で被覆した。細胞は、Fluo-4、5μMおよびプルロニック酸(pluronic acid)、0.1%を37℃、5%COで30分間加え、続いてKrebs-HEPES溶液中、室温で15分間培養した。細胞を直ちに試料に、力価に応じて異なった濃度で10分間露出した。処理の後、カルシウムの進入を、Fluostar Optimaプレートリーダー(BGM)における、60 mMKClによる減極に応答する蛍光として測定する。励起波長は485 nmであり、放射波長は520 nmであった。
【0121】
本発明の式(I)の化合物は、VDCCブロッキング活性を示した。結果を表2に示す。
【0122】
【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【表2−4】

【0123】
例24 毒性測定
分子の細胞毒性を、ヒト神経芽細胞腫細胞系統SH-SY5Yで試験した。これらの細胞を、96-ウェルプレート中で、10%胎児ウシ血清、1%グルタミンおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補足した最少必須媒体、Ham's F12媒体、で培養し、5%CO加湿培養器中、37℃で成長させた。細胞は、処理の48時間前に、各ウェルに少なくとも10細胞被覆した。細胞を化合物に様々な濃度で24時間露出し、細胞死の定量的査定を、細胞内酵素ラクテートデヒドロゲナーゼ(LDH)の測定により、行った(細胞毒性検出キット、Roche)。LDHの量は、マイクロプレートリーダーDygiscan(Asys Hitech GmbH)で、492および620 nmで測定した。化合物1〜22の全てを毒性に関して、濃度10−5および10−6Mで試験し、非毒性であることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物、前記化合物の鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体およびそれらの薬学的に許容され得る溶媒和化合物ならびに塩:
【化1】

(式中、RおよびR10は、独立して、水素、置換または未置換のアルキル、置換または未置換のアルケニル、−(CH−(CO)−R、−(CH−(CO)−O−R、または−(CH−O−R(ここで、mは1または2から選択された整数であり、Rは、水素、置換または未置換のアルキル、置換または未置換のシクロアルキル、置換または未置換のアルケニル、置換または未置換のアリール、置換または未置換のアラルキル、もしくは置換または未置換のヘテロシクリルから選択される。)から選択されるものであり、
およびRは、それぞれ独立して、水素、置換または未置換のアルキル、置換または未置換のシクロアルキル、置換または未置換のアルケニル、置換または未置換のアリール、置換または未置換のアラルキル、置換または未置換のヘテロシクリル、置換または未置換のアルコキシ、置換または未置換のアリールオキシ、もしくはハロゲンから選択されるものであり、
11およびR12は、それぞれ独立して、水素、置換または未置換のアルキル、置換または未置換のシクロアルキル、置換または未置換のアルケニル、置換または未置換のアリール、置換または未置換のアラルキル、置換または未置換のヘテロシクリル、置換または未置換のアルコキシ、置換または未置換のアリールオキシ、もしくはハロゲンから選択されるものであり、
およびRは、それぞれ独立して、水素、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルまたはハロゲン、好ましくはBrから選択されるものであり、
およびRは、それぞれ独立して、水素、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルまたはハロゲン、好ましくはBrから選択されるものであり、
およびRは、それぞれ独立して、水素、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルまたはハロゲン、好ましくはBrから選択されるものであり、
Lは、−(CH−、−CO−、−O−、−S−、置換または未置換のアリーレン、シクロアルキレン、ヘテロシクリレン、もしくは−NH−から選択される1〜20単位の直線配列からなるリンカーであり、
n=1〜10であるが、
但し、
Lにおいて、2個の−NH−単位が隣接することはなく、
Lが−(CH−基からなる場合、nは5〜10である。)。
【請求項2】
およびRが、独立して、C〜Cアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
およびRの両方がメチルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記リンカーLが、−(CH5〜10−の基からなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
前記リンカーLが、置換または未置換のアリーレン単位に続く−O−単位を含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
前記アリーレン単位が、置換または未置換のベンジレン単位である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
前記リンカーLが、式(II):
【化2】

(式中、R13は水素またはハロゲンであり、rは1、2および3から選択される整数であり、pおよびqは、それぞれ独立して、1、2、3、4および5から選択される整数である。)を有する、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
およびRが共に水素である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
11およびR12が共に水素である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
、R、RおよびRの少なくとも一つが、ハロゲン、好ましくはBrである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
とR10とが同じであり、RとRとが同じであり、RとRとが同じであり、RとRとが同じであり、RとRとが同じである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
前記リンカーLが、対称的であり、前記化合物が対称面を有する、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
がC〜Cアルコキシである、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
【化3−1】

【化3−2】

から選択される化合物、または前記化合物の鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体およびそれらの薬学的に許容され得る溶媒和化合物ならびに塩。
【請求項15】
薬剤としての使用する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物の、認知症または神経変性疾患の処置に使用する薬剤の製造における使用。
【請求項17】
前記認知症または神経変性疾患が、発作、虚血、不安、てんかん、頭部外傷、偏頭痛、慢性痛、ニューロパシー痛および急性痛、精神分裂病、鬱病、精神病、薬物およびアルコール嗜癖、ならびに、神経変性障害、例えばパーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、ニューロパシー、ハンチントン病および筋萎縮性側索硬化症(ALS)から選択される、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記神経変性疾患がアルツハイマー病である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記病気または症状がてんかんである、請求項17に記載の使用。
【請求項20】
少なくとも一種の、請求項1〜14のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、または前記化合物の、薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和化合物および薬学的に許容され得るキャリヤー、アジュバントまたはビヒクルを含んでなる薬学的組成物。
【請求項21】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の、生物学的検定用の反応物としての、好ましくはVDCCブロッキング用反応物としての、使用。
【請求項22】
Ca2+ホメオスタシスの変化が関与する病気もしくは症状を処置または予防する方法であって、そのような処置を必要とする患者に、治療的に有効な量の、請求項1〜14のいずれか一項に記載の式(I)の化合物またはそれらの薬学的組成物を投与することを含んでなる、方法。

【公表番号】特表2009−519300(P2009−519300A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545010(P2008−545010)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069760
【国際公開番号】WO2007/068754
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(505132389)ノスシラ、ソシエダッド、アノニマ (12)
【氏名又は名称原語表記】NOSCIRA S.A.
【Fターム(参考)】