説明

カーテンウォール

【課題】屋内側と屋外側とで分割されている枠体を用いつつ雷の電流を地中に放電することが可能なカーテンウォールを提供する。
【解決手段】鉄骨躯体に取り付けられるカーテンウォールであって、屋外側に配置される金属製の屋外側枠部材と、屋内側に配置され前記鉄骨躯体に取付金具を介して取り付けられる金属製の屋内側枠部材と、前記屋外側枠部材と前記屋内側枠部材との間に介在されて前記屋外側枠部材と前記屋内側枠部材とを接合するとともに熱的に絶縁する絶縁接合部材と、前記屋外側枠部材と前記屋内側枠部材とを電気的に連結しかつ火災時にも前記屋外側枠部材と前記屋内側枠部材とを連結する金属製の連結部材と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内外を仕切るカーテンウォールに関する。
【背景技術】
【0002】
屋内外を仕切るカーテンウォールとしては、例えば、アルミフレーム(枠)で組んだ骨組にガラス等のパネルを固定してビルの外壁等を構成するカーテンウォールが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような金属製のカーテンウォールを用いた高層建築物は、カーテンウォールの金属枠部を受雷部とし、金属枠部に落ちた雷による電流を躯体との取り付けファスナーなどを介して鉄骨に流して地中に放電しているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003―253795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カーテンウォールの金属枠部のなかには、アルミニウム合金の押出形材でなる屋外側枠部材と屋内側枠部材とを断熱性を有する樹脂製の接続部材によって連結して屋外側枠部材と屋内側枠部材との間にて熱の伝達を抑制しているものがある。屋外側枠部材と屋内側枠部材とが断熱性を有する樹脂は電気的に絶縁物なので、電気的に絶縁物でなる接続部材にて連結されているカーテンウォールは屋外側枠部材に雷が落ちたとしても、雷の電流が流れる経路が接続部材に遮られているため、鉄骨を介して地中に放電することができないという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、屋内側と屋外側とで分割されている枠体を用いつつ雷の電流を地中に放電することが可能なカーテンウォールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明のカーテンウォールは、鉄骨躯体に取り付けられるカーテンウォールであって、屋外側に配置される金属製の屋外側枠部材と、屋内側に配置され前記鉄骨躯体に取付金具を介して取り付けられる金属製の屋内側枠部材と、前記屋外側枠部材と前記屋内側枠部材との間に介在されて前記屋外側枠部材と前記屋内側枠部材とを接合するとともに熱的に絶縁する絶縁接合部材と、前記屋外側枠部材と前記屋内側枠部材とを電気的に連結する金属製の連結部材と、を有することを特徴とするカーテンウォールである。
このようなカーテンウォールによれば、鉄骨躯体に取付金具を介して取り付けられる金属製の屋内側枠部材と、この屋内側枠部材との間に絶縁接合部材が介在されて接合されている金属製の屋外側枠部材とが、金属製の連結部材にて連結されているので、屋外側枠部材から鉄骨躯体の間は導通している。このため、屋外側に配置された屋外側枠部材が受雷した際には、雷の電流を、前記金属製の連結部材を介して屋内側枠部材、取付金具を経由させて鉄骨躯体に流すことが可能である。このため、屋内側と屋外側とで分割されている枠体を用いつつ雷の電流を鉄骨躯体から地中に放電することが可能なカーテンウォールを提供することが可能である。
【0007】
かかるカーテンウォールであって、前記絶縁接合部材は、断熱材料にて形成されており、前記連結部材は、前記屋外側枠部材及び前記屋内側枠部材より熱伝導性が低い金属にて形成されていることが望ましい。
このようなカーテンウォールによれば、絶縁接合部材が断熱材料で形成されているので、屋外側枠部材と屋内側枠部材との間に断熱部材を介して、断熱性を備えたカーテンウォールを形成することが可能である。また、屋外側枠部材と屋内側枠部材とを連結する連結部材は、屋外側枠部材及び屋内側枠部材より熱伝導性が低い金属で形成されているので、屋外側枠部材と屋内側枠部材とが一つの部材にて形成されたカーテンウォールより高い断熱性を備えることが可能である。このため、断熱性を備えつつ屋外側枠部材及び屋内側枠部材との間にて導電性を確保することが可能である。
【0008】
かかるカーテンウォールであって、前記屋外側枠部材及び前記屋内側枠部材はアルミニウム合金製であり、前記連結部材は、ステンレス鋼製であることが望ましい。
アルミニウム合金はステンレス鋼より軽量で加工性に優れているが熱伝導性が高い。一方、ステンレス鋼はアルミニウム合金より熱伝導性が低い。このため、アルミニウム合金製の屋外側枠部材と屋内側枠部材とをステンレス鋼製の連結部材にて連結した上記カーテンウォールによれば、カーテンウォールの断熱性を維持し、かつ、軽量で加工性が高いカーテンウォールを提供することが可能である。
【0009】
かかるカーテンウォールであって、前記連結部材は、耐食性を有していることが望ましい。
このようなカーテンウォールによれば、連結部材は、耐食性を有しているので、金属腐食が生じ難い。このため、金属腐食により導電性が低下することを防止することが可能である。
【0010】
かかるカーテンウォールであって、屋内外を仕切る面材を有し、前記屋外側枠部材と前記屋内側枠部材とは前記絶縁接合部材にて接合されて、前記面材の周縁部が収容されるとともに当該面材が保持される面材収容部を形成し、前記面材が保持されて閉塞される前記面材収容部内にて前記連結部材により前記屋外側枠部材と前記屋内側枠部材とが連結されていることが望ましい。
このようなカーテンウォールによれば、屋外側枠部材と屋内側枠部材とが絶縁接合部材にて接合され、面材が保持されて閉塞される面材収容部内にて連結部材が屋外側枠部材と屋内側枠部材とを連結しているので、連結部材、及び、連結部材と屋外側枠部材及び屋内側枠部材との接合部が、結露水や雨水等に晒されない。このため、連結部材、及び、連結部材と屋外側枠部材及び屋内側枠部材との接合部が錆びて導電性が低下することを防止し、金属腐食を防止することが可能である。
【0011】
かかるカーテンウォールであって、前記面材として光透過性を有する面材が設けられて窓部を形成する部位と、前記面材として光透過性を有しない面材が設けられて壁部を形成する部位と、を備え、前記連結部材は、前記壁部を形成する前記面材を収容する前記面材収容部内に配置されていることが望ましい。
このようなカーテンウォールによれば、連結部材は、光透過性を有しない面材が設けられて壁部を形成する部位を収容する面材収容部を形成する屋外側枠部材と屋内側枠部材とを連結しているので、連結部材が外部から視認しにくい。このため、意匠性に優れたカーテンウォールを提供することが可能である。
【0012】
かかるカーテンウォールであって、前記連結部材は、前記絶縁接合部材より融点が高い金属にて形成されていることが望ましい。
このようなカーテンウォールによれば、屋外側枠部材と屋内側枠部材とが、絶縁部材より融点が高い金属でなる連結部材にて連結されているので、たとえカーテンウォールが火炎等に晒されて絶縁接合部材が溶融したとしても、屋外側枠部材と屋内側枠部材とが連結された状態を保つことが可能である。このため、火災時などに屋外側枠部材や面材等が脱落することを防止することが可能である。
【0013】
かかるカーテンウォールであって、前記連結部材は、建物の各階の当該カーテンウォールにそれぞれ設けられていることが望ましい。
このようなカーテンウォールによれば、建物の各階のカーテンウォールに連結部材がそれぞれ設けられているので、建物のいずれの階に落雷しても、雷の電流を、金属製の連結部材を介して屋内側枠部材、取付金具を経由させて鉄骨躯体に流すことが可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、屋内側と屋外側とで分割されている枠体を用いつつ雷の電流を地中に放電することが可能なカーテンウォールを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るカーテンウォールを備えた建物のイメージ図である。
【図2】本発明に係るカーテンウォールの方立周辺の横断面図である。
【図3】本発明に係るカーテンウォールの連結部材を説明するための斜視図である。
【図4】本実施形態にかかるカーテンウォールの納まりを示す縦断面図である。
【図5】本発明に係るカーテンウォールが有する連結部材の変形例を示す横断面図である。
【図6】図5におけるA矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明に係るカーテンウォールを備えた建物のイメージ図である。
図1に示すように、複数の矩形状をなすカーテンウォール10が縦横に並べて配置されて建物1の外壁が構成されている。カーテンウォール10は、屋内外を仕切る面材11と、面材11の周縁部を全周に亘って保持する金属製の枠体12と、を有している。
【0018】
面材11は、光透過性を有し一対の板ガラスを有する2枚の複層ガラス11aと光透過性を有しない2枚の外装パネル11bとが上下方向に並べて配置されている。面材11は、上側に2枚の外装パネル11bが設けられ、下側に2枚の複層ガラス11aが設けられ、各外装パネル11bと各複層ガラス11aとの間にはアルミニウム合金製の桟11cが設けられている。ここで、本カーテンウォール10は、上下方向の高さが、取り付けられる建物の階床間の高さと一致しており、下の2枚の複層ガラス11aが窓を形成し、複層ガラス11aの直上に配置された外装パネル11bが垂れ壁を構成し、最も上の外装パネル11bが上階の腰壁をなすように構成されている。
【0019】
図2は、本発明に係るカーテンウォールの方立周辺の横断面図である。図3は、本発明に係るカーテンウォールの連結部材を説明するための斜視図である。
【0020】
枠体12の左右の縦枠部分と上下の横枠部分とは、カーテンウォール10として形成された際に、縦枠部分が方立となり、横枠部分が無目となる。
【0021】
枠体12は、2枚の複層ガラス11aと2枚の外装パネル11bとが一体となった面材11の周縁部を囲むように矩形状に枠組みされており、屋内側に配置される屋内側枠部材13と、屋外側に配置される屋外側枠部材14とを有している。屋内側枠部材13と屋外側枠部材14とは、それらの間に、断熱材料にて形成され屋内側枠部材13と屋外側枠部材14とを接合するとともに絶縁する絶縁接合部材15が介在されて一体をなしている。
【0022】
屋内側枠部材13は、絶縁接合部材15を介して屋外側枠部材14と連結されて一体をなす屋内側枠部本体13aと、屋内側枠部本体13aに嵌合されて屋外側枠部材14とともに面材11を狭持する押縁材13bとを有している。屋内側枠部本体13aと押縁材13bと屋外側枠部材14は、アルミニウム合金製の押出成形部材である。絶縁接合部材15としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ガラス繊維補強ポリアミド樹脂、EPDM(エチレンプロピレンゴム)などが用いられる。以下の枠体12の説明においては、縦枠部分を例に挙げて説明する。また、以下の説明では、矩形状をなす枠体12の内側となる面材11が設けられる側を内周側とし、枠体12の外側となる面材11の反対側を外周側として説明する。
【0023】
枠体12を構成する屋外側枠部材14の縦枠部分は、上下方向、すなわち縦枠部分の長手方向に貫通された中空部材であり、水平断面が、見付け方向(面材の表裏面に沿う方向)が長辺側をなすほぼ長方形状の屋外本体部14aと屋外本体部14aから屋内側に突出する屋内突出部14bとを有している。屋内突出部14bの見付け方向の幅は、屋外本体部14aの見付け方向の幅より狭く、屋外本体部14aの見付け方向の中央より枠体12の外周側に偏らせて設けられている。また、屋内突出部14bの両側、すなわち、枠体12の内周側と外周側に、屋外本体部14aの屋内側に臨む面を形成する本体外周部14c及び本体内周部14dを有しており、本体外周部14cの幅より本体内周部14dの幅の方が広く形成されている。本体外周部14cと本体内周部14dには、屋外本体部14aにおける、枠体12の内周側と外周側とに、ガスケット18が嵌合されるガスケット嵌合部14eがそれぞれ設けられている。
【0024】
枠体12を構成する屋内側枠部材13は、見付け方向において外周側に屋内側枠部本体13aが配置され、屋内側枠部本体13aの内周側に押縁材13bが配置されて嵌合されている。押縁材13bが屋内側枠部本体13aに嵌合された状態で、屋内側枠部材13は屋外側枠部材14と、見付け方向に沿う線を軸としてほぼ線対称な形状をなしている。そして、屋内側枠部本体13aには、屋内側枠部材13と屋外側枠部材14とが対向するように配置された際に、屋内突出部14bと対向する位置に、屋外側に突出させて屋外突出部13cが設けられている。屋内側枠部材13においても、屋外突出部13cに対し枠体12の内周側に位置して屋外側に臨む面を形成する押縁材13bの押縁屋外部13dが、内周側にて屋外側に臨む面を形成する屋内側枠部本体13aの本体側屋外部13eより広く形成されている。押縁屋外部13dと本体側屋外部13eには、屋内側枠部材13における、枠体12の内周側と外周側とに、ガスケット18が嵌合されるガスケット嵌合部13fがそれぞれ設けられている。
【0025】
屋内側枠部本体13aにおける、枠体12の内周側の面には、押縁材13bが嵌合される嵌合片13gが設けられている。押縁材13bが屋内側枠部本体13aに嵌合された状態では、屋内側枠部本体13aと押縁材13bとの屋内に臨む面が平坦になるように構成されている。
【0026】
屋内側枠部本体13aと屋外側枠部材14とは、屋外突出部13cの屋外側の端部と屋内突出部14bの屋内側の端部とのが絶縁接合部材15にて接合されている。絶縁接合部材15は、見込み方向(面材11の表裏面に対して直交する方向)に沿う2枚の板状の部位が、見付け方向に互いに間隔を隔てて並べて形成されている。
【0027】
屋内側枠部本体13aと屋外側枠部材14とが一体となった枠体12の縦枠部分と横枠部分との端部が、各々45度に切断され、端部同士が溶接にて接合されて矩形状に枠組みされている。枠組みされた枠体12には、全周における1カ所、例えば、外装パネル11bが設けられた腰壁又は垂れ壁等の所謂スパンドレル部分に、屋外突出部13cと屋内突出部14bとの内周側の面に架け渡して連結部材16が溶着されている。本実施形態のカーテンウォール10は、前述したように、上下方向の高さが、取り付けられる建物の階床間の高さと一致しているので、建物の各階のカーテンウォール10にそれぞれ連結部材16が設けられている。
【0028】
連結部材16は、屋外側枠部材14が受雷した際に、雷の電流を屋外側枠部材14から屋内側枠部材13に流すための経路をなしている。一方、本カーテンウォール10は、屋外側枠部材14と屋内側枠部材13との間に断熱材料でなる絶縁接合部材15が介在された断熱性を有するカーテンウォール10なので、屋外側枠部材14と屋内側枠部材13とを連結する連結部材16は、屋外側枠部材14と屋内側枠部材13より熱伝導率が低いことが望ましい。
【0029】
表1は、一部の金属の熱伝導率示す表である。表2は、JISに定められた雷保護システムの材料の最小寸法を示す表である。

(「住宅の次世代省エネルギー基準と指針」第1版 平成11年11月1日
P73 表6.1.2 材料の熱伝導率表 その1 抜粋
発 行 : 財団法人 住宅・建築省エネルギー機構
編 集 : 次世代省エネルギー基準解説書編集委員会)

( 「JIS 建築物等の雷保護 JISA4201:2003
平成15年7月8日改訂 日本工業標準調査会 審議
2.5.2寸法 表5 雷保護システムの材料の最小寸法
発 行 : 日本規格協会)
【0030】
本実施形態の連結部材16として、表1により熱伝導率が低いステンレス鋼を選択し、引下げ導線として機能するステンレス鋼製(鉄製と同等)の連結部材16にて断面積50mmを確保すべく、例えば、縦30mm、横40mm、厚み2mmのステンレス鋼製の板材にて連結部材16を構成している。このため、屋内側枠部本体13aと連結部材16との溶接部、及び、屋外側枠部材14と連結部材16との溶接部の断面積も50mm以上確保できるように溶接されている。
【0031】
枠組みされた枠体12は、全周に亘って屋外側の開口部が屋内側より狭く形成されている。そして、枠体12の外周側に位置する、屋内側枠部本体13aの屋内側に臨む面より、内周側に位置する本体内周部14dの屋内側に臨む面が屋外側に位置して段状をなしている。
【0032】
開口を囲むように位置する本体内周部14dの内周側に位置し矩形状をなしているガスケット嵌合部14eにガスケット18が嵌合され、ガスケット18に周縁部が当接されて面材11が配置されている。面材11の屋内側には、ガスケット嵌合部13fにガスケット18が嵌合された押縁材13bが、屋内側枠部本体13aに嵌合されることにより配置されている。すなわち、屋外本体部14aの本体内周部14d、屋内突出部14bの内周側の面、絶縁接合部材15の内周側の面、屋外突出部13cの内周側の面、押縁材13b押縁屋外部13dが、面材11の周縁部を収容する面材収容部12aをなしている。そして、面材11は周縁部がガスケット18により屋内側と屋外側とから狭持されて面材収容部12aに収容されている。このとき、屋内側枠部本体13aと屋外側枠部材14とを連結している連結部材16は、面材11がガスケット18を介して収容されることにより閉塞された面材収容部12a内に配置される。
【0033】
図4は、カーテンウォールの納まりを示す側面図である。
図4に示すように、カーテンウォール10が有する屋内側枠部本体13a屋内側の面には、山形鋼でなるカーテンウォール側取付金具20がボルト28とナット29で固定されている。一方、カーテンウォール10が設けられる鉄骨躯体30は、H型鋼でなる複数の柱31のうちの隣接する各柱31間に、H型鋼でなる梁32が掛け渡されるとともに溶接されて構成され、梁32の上部側にはブラケット33が溶接されている。
【0034】
ブラケット33は、断面形状が、柱31や梁32をなすH型鋼のほぼ半分の大きさをなすH型鋼である。ブラケット33は、梁32の長手方向とほぼ直交する方向、すなわち見込み方向に沿って設けられ、梁32の上側のフランジ32aとブラケット33の上側のフランジ33aとが平坦になるように、ブラケット33の一部が切除されて溶接されている。ブラケット33の上部には、山形鋼でなる躯体側取付金具22が溶接されている。
【0035】
そして、カーテンウォール側取付金具20と躯体側取付金具22とは、山形鋼でなるファスナー24を介して、それぞれボルト28とナット29とで固定されている。このとき、屋内側枠部本体13aとカーテンウォール側取付金具20、カーテンウォール側取付金具20とファスナー24、ファスナー24と躯体側取付金具22、躯体側取付金具22とブラケット33、ブラケット33と梁32、梁32と柱31の何れの接合部も接合部分の断面積も50mm以上確保されている。このため、カーテンウォール10の屋外側枠部材14が受雷した場合には、電流は連結部材16を経由して屋内側枠部本体13aから柱31まで流れ、地中に放電されるように構成されている。ここで、カーテンウォール側取付金具20、躯体側取付金具22、ファスナー24、ブラケット33が、屋内側枠部材13を鉄骨躯体30に取り付ける取付金具に相当する。
【0036】
上記実施形態のカーテンウォール10によれば、柱31に溶接された梁32に、カーテンウォール側取付金具20、ファスナー24、躯体側取付金具22、ブラケット33、を介して取り付けられるアルミニウム合金製の屋内側枠部本体13aと、この屋内側枠部本体13aとの間に絶縁接合部材15が介在されたアルミニウム合金製の屋外側枠部材14とが、ステンレス鋼製の連結部材16にて連結されているので、屋外側枠部材14から柱31までの間は導通している。このため、屋外側に配置された屋外側枠部材14が受雷した際には、雷の電流を、連結部材16、屋内側枠部本体13a、カーテンウォール側取付金具20、ファスナー24、躯体側取付金具22、及び、ブラケット33を経由させて柱31に流すことが可能である。
【0037】
また、絶縁接合部材15が樹脂などの断熱材料で形成されているので、屋外側枠部材14と屋内側枠部材13との間に断熱材料が介在されることにより、断熱性を備えたカーテンウォール10を形成することが可能である。また、屋外側枠部材14と屋内側枠部本体13aとを連結する連結部材16は、屋外側枠部材14及び屋内側枠部材13より熱伝導性が低いステンレス鋼にて形成されているので、枠体が一部材にて形成されたカーテンウォールより高い断熱性を有している。このため、屋外側枠部材14及び屋内側枠部材13との間にて導電性を確保しつつ、断熱性を備えることが可能である。
【0038】
また、アルミニウム合金はステンレス鋼より軽量で加工性に優れているが熱伝導性が高いため、カーテンウォール10の枠部分をなす屋外側枠部材14と屋内側枠部材13とをアルミニウム合金製とすることにより、軽量で加工性高いカーテンウォール10を形成することが可能である。そして、熱伝導性がアルミニウム合金より低いステンレス鋼製の連結部材16にて屋外側枠部材14と屋内側枠部材13とを連結することにより、カーテンウォール10の断熱性も維持することが可能である。
【0039】
また、連結部材16は、耐食性を有するステンレス鋼製なので、金属腐食が生じ難い。このため、金属腐食により導電性が低下することを防止することが可能である。
【0040】
また、屋外側枠部材14と屋内側枠部材13とが絶縁接合部材15にて接合され、面材11が保持されて閉塞される面材収容部12a内にて連結部材16が屋外側枠部材14と屋内側枠部材13とを連結しているので、連結部材16、及び、連結部材16と屋外側枠部材14及び屋内側枠部材13との接合部が、結露水や雨水等に晒されない。このため、連結部材16、及び、連結部材16と屋外側枠部材14及び屋内側枠部材13との接合部が錆びて導電性が低下することを防止し、金属腐食を防止することが可能である。
【0041】
また、連結部材16は、光透過性を有しない外装パネル11bが設けられて壁を形成する部位を収容する面材収容部12aを形成する屋外側枠部材14と屋内側枠部材13とを連結しているので、連結部材16が外部から視認しにくい。このため、意匠性に優れたカーテンウォール10を提供することが可能である。
【0042】
また、屋外側枠部材14と屋内側枠部材13とが、樹脂でなる絶縁接合部材15より融点が高いステンレス鋼でなる連結部材16にて連結されているので、例えば、カーテンウォール10が火炎等に晒されて絶縁接合部材15が溶融したとしても、屋外側枠部材14と屋内側枠部材13とが連結された状態を保つことが可能である。このため、火災時などに屋外側枠部材14や面材11等が脱落することを防止することが可能である。
【0043】
また、連結部材16と屋外側枠部材14及び屋内側枠部材13とが連結されている接合部の断面積は何れも50mm以上なので、屋外側枠部材14が受雷した際には、雷の電流を確実に屋内側枠部材13側に流すことが可能である。
【0044】
また、連結部材16は、建物の各階のカーテンウォール10にそれぞれ設けられているので、建物のいずれの階に落雷しても、雷の電流を、金属製の連結部材16を介して屋内側枠部本体13a、カーテンウォール側取付金具20、ファスナー24、躯体側取付金具22、及び、ブラケット33を経由させて柱31に流すことが可能である。
【0045】
図5は、本発明に係るカーテンウォールが有する連結部材の変形例を示す横断面図である。図6は、図5におけるA矢視図である。
【0046】
上記実施形態においては、屋外突出部13cと屋内突出部14bとの内周側の面に架け渡されて連結部材16が溶着されている例について説明したが、図5、図6に示すように屋外突出部13cと屋内突出部14bとの内周側の面にステンレス鋼製のビス35を用いて固定しても良い。このとき、屋外突出部13cと連結部材16及び屋内突出部14bと連結部材16とのビス35による接合部の断面積の合計は何れも50mm以上である。また、連結部材16と屋内側枠部材13及び屋外側枠部材14との連結は、溶接、ビス止めに限らず、電気的に繋がって必要断面積が確保されていれば構わない。
【0047】
上記実施形態において、連結部材16を屋外突出部13c及び屋内突出部14bに溶接して屋内側枠部材13と屋外側枠部材14とを連結した例について説明したが、屋内側枠部材13と屋外側枠部材14とを連結する位置は、屋外突出部13c及び屋内突出部14bに限らない。
【0048】
また、上記実施形態においては連結部材16をステンレス鋼製としたが、これに限らず、例えば、銅、溶融亜鉛メッキ鋼、鉛など、アルミニウム合金、これらの金属と同等の導電性・耐食性を有していればいずれの金属を用いても構わない。
【0049】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良さ
【符号の説明】
【0050】
1 建物、10 カーテンウォール、11 面材、11a 複層ガラス、
11b 外装パネル、11c 桟、12 枠体、12a 面材収容部、
13 屋内側枠部材、13a 屋内側枠部本体、13b 押縁材、
13c 屋外突出部、13d 押縁屋外部、13e 本体側屋外部、
13f ガスケット嵌合部、13g 嵌合片、14 屋外側枠部材、
14a 屋外本体部、14b 屋内突出部、14c 本体外周部、
14d 本体内周部、14e ガスケット嵌合部、
15 絶縁接合部材、16 連結部材、18 ガスケット、
20 カーテンウォール側取付金具、22 躯体側取付金具、24 ファスナー、
28 ボルト、29 ナット、30 鉄骨躯体、31 柱、32 梁、
32a フランジ、33 ブラケット、33a フランジ、35 ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄骨躯体に取り付けられるカーテンウォールであって、
屋外側に配置される金属製の屋外側枠部材と、
屋内側に配置され前記鉄骨躯体に取付金具を介して取り付けられる金属製の屋内側枠部材と、
前記屋外側枠部材と前記屋内側枠部材との間に介在されて前記屋外側枠部材と前記屋内側枠部材とを接合するとともに熱的に絶縁する絶縁接合部材と、
前記屋外側枠部材と前記屋内側枠部材とを電気的に連結する金属製の連結部材と、
を有することを特徴とするカーテンウォール。
【請求項2】
請求項1に記載のカーテンウォールであって、
前記絶縁接合部材は、断熱材料にて形成されており、
前記連結部材は、前記屋外側枠部材及び前記屋内側枠部材より熱伝導性が低い金属にて形成されていることを特徴とするカーテンウォール。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のカーテンウォールであって、
前記屋外側枠部材及び前記屋内側枠部材はアルミニウム合金製であり、
前記連結部材は、ステンレス鋼製であることを特徴とするカーテンウォール。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のカーテンウォールであって、
前記連結部材は、耐食性を有していることを特徴とするカーテンウォール。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のカーテンウォールであって、
屋内外を仕切る面材を有し、
前記屋外側枠部材と前記屋内側枠部材とは前記絶縁接合部材にて接合されて、前記面材の周縁部が収容されるとともに当該面材が保持される面材収容部を形成し、
前記面材が保持されて閉塞される前記面材収容部内にて前記連結部材により前記屋外側枠部材と前記屋内側枠部材とが連結されていることを特徴とするカーテンウォール。
【請求項6】
請求項5に記載のカーテンウォールであって、
前記面材として光透過性を有する面材が設けられて窓部を形成する部位と、
前記面材として光透過性を有しない面材が設けられて壁部を形成する部位と、
を備え、
前記連結部材は、前記壁部を形成する前記面材を収容する前記面材収容部内に配置されていることを特徴とするカーテンウォール。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のカーテンウォールであって、
前記連結部材は、前記絶縁接合部材より融点が高い金属にて形成されていることを特徴とするカーテンウォール。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のカーテンウォールであって、
前記連結部材は、建物の各階の当該カーテンウォールにそれぞれ設けられていることを特徴とするカーテンウォール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−236628(P2011−236628A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108535(P2010−108535)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(510128018)パルマスティーリザ・ジャパン株式会社 (1)
【Fターム(参考)】