説明

カーテン装置

【課題】 一つの駆動装置を介して左右一対のカーテンを自動開閉すると共に、カーテンの装着と位相合わせを容易とするカーテン装置を提供する。
【解決手段】 回転駆動軸4と、該回転駆動軸に当接して摺動する摺動支持部材8を備え、前記回転駆動軸の中央部にボールねじ部が形成されていない中央停止部を設け、該中央停止部から片方の軸部分に右ねじ方向のボールねじ部4Aを形成し、他方の軸部分に左ねじ方向のボールねじ部4Bを形成し、前記摺動支持部材に、前記ボールねじ部に係合するボールを収容保持する本体軸部31とカーテン支持部を有するキャップ部材32とを設け、それぞれのボールねじ部に、それぞれ前記摺動支持部材を配設し、左右一対のそれぞれのカーテンの先端側上部にぞれぞれの前記摺動支持部材を装着し、前記回転駆動軸4を正転逆転して左右一対のカーテンを一体に開閉する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテン装置に係り、特にカーテンの自動開閉が可能なカーテン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カーテンは、カーテンレールにカーテンランナーをスライド可能に装着して、カーテンを吊り下げるカーテンフックをカーテンランナーに引っ掛け、カーテンの端を摘んで開閉する構成とされている。
【0003】
また、一本のカーテンレールに二枚のカーテンを左右対称に備えた構成であれば、それぞれのカーテンを人が手動で移動して開いたり閉じたりしていて、離れた位置からカーテンの開閉を行うことはできない。
【0004】
そのために、電動モータを用いて遠隔操作にてカーテンの開閉を可能とすることが望まれており、送りボールねじ部材を正転・逆転して往復移動するナット部材にカーテンフックを装着して自動開閉する電動カーテン装置がすでに出願されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】 特開平10−192130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、カーテンの開閉は自動開閉するだけでなく、人が手動で開閉することも多々あるので、容易に手動開閉できることが好ましい。また、一般の住宅用のカーテンは両開きのカーテンであって、一対二枚のカーテンがその中間部から開口し閉止する構成である。特許文献1に記載された電動カーテン装置は片開き用の自動開閉装置であるので、この装置を用いて両開きのカーテンに対応するためには、一対二枚のカーテンそれぞれに電動カーテン装置を設置する必要があり、コスト高となるので好ましくない。
【0006】
また、一対二枚のカーテンを一個の電動装置で開閉する構成であれば、その中間の突合せ部にて正確に開閉する構成とすることが肝要である。
【0007】
そのために、左右一対のカーテンを自動開閉する際にも、それぞれのカーテンの手動による移動を容易とし、左右のそれぞれのカーテンの位相合わせと開閉操作を容易とすることも大事である。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、一つの駆動装置を介して左右一対のカーテンを自動開閉すると共に、カーテンの装着と位相合わせを容易とするカーテン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、カーテンレールを構成する開口溝部を有する外筒と、該外筒の内部の軸方向に沿って収納され回転自在に軸支される回転駆動軸と、該回転駆動軸に当接して前記開口溝部に添って摺動する摺動支持部材を備え、前記回転駆動軸の中央部にボールねじ部が形成されていない中央停止部を設け、該中央停止部から片方の軸部分に右ねじ方向のボールねじ部を形成し、他方の軸部分に左ねじ方向のボールねじ部を形成し、前記摺動支持部材に、前記ボールねじ部に係合するボールを収容保持する本体軸部とカーテン支持部を有するキャップ部材とを設け、それぞれのボールねじ部に、それぞれ前記摺動支持部材を配設し、左右一対のそれぞれのカーテンの先端側上部にぞれぞれの前記摺動支持部材を装着し、前記回転駆動軸を正方向に回転して左右一対のカーテンを閉止する方向に同時に移動してカーテンを閉め、前記回転駆動軸を逆方向に回転して左右一対のカーテンを開放する方向に同時に移動してカーテンを開いて、左右一対のカーテンを一体に開閉することを特徴とする。
【0010】
この構成によると、回転駆動軸の正転逆転に伴って摺動支持部材が往復移動するので、摺動支持部材のカーテン支持部にそれぞれのカーテンフックを装着して、一つの駆動装置を介して左右一対の二枚のカーテンを自動開閉することができる。
【0011】
また本発明は、上記構成のカーテン装置において、前記摺動支持部材が、前記本体軸部にボールを前記ボールねじ部に押し付ける付勢ばねと、該付勢ばねを前記ボールに付勢力を付与する位置に収納するキャップ部材を備えていることを特徴としている。この構成によると、回転駆動軸の回転に応じて摺動支持部材が容易にまた確実に摺動移動する付勢力をボールに付与することができる。
【0012】
また本発明は、上記構成のカーテン装置において、前記キャップ部材にカーテン支持部となるカーテンフック装着孔を設けたことを特徴としている。この構成によると、カーテンフックをキャップ部材のカーテンフック装着孔に掛止してカーテンを摺動支持部材に容易に装着することができる。
【0013】
また本発明は、上記構成のカーテン装置において、前記ボールねじ部とボールとの係合高さと前記付勢ばねの長さおよびばね力を、前記摺動支持部材を人力で摺動可能とする程度としたことを特徴としている。この構成によると、人が手作業で容易にカーテンを摺動させることができるので、カーテンの手動操作を簡単に行うことができる。
【0014】
また本発明は、上記構成のカーテン装置において、前記回転駆動軸の回転中に前記摺動支持部材の摺動移動を停止すると、収容されたボールが前記ボールねじ部を空回りする構成としたことを特徴としている。この構成によると、カーテンの自動開閉操作中に、一方のカーテンが移動端に到達しても、ボールが空回りしてその位置で停止することができる。
【0015】
また本発明は、上記構成のカーテン装置において、前記駆動装置が、正逆転可能な駆動モータを備え、該モータの負荷トルクを予め定めた安全トルク閾値と比較して、安全トルク閾値を上回ったときに前記モータの回転駆動を停止することを特徴としている。この構成によると、閾値を超える異常なトルクが負荷されると駆動装置が停止するので、駆動装置の破損を抑制することができる。
【0016】
また本発明は、上記構成のカーテン装置において、左右一対の前記摺動支持部材が共に停止して空回りするときに生じるトルクを前記安全トルク閾値としたことを特徴としている。この構成によると、左右のカーテンが移動端に到達したときに、駆動装置の駆動が自動的に停止して、カーテンの全閉状態と全開状態を容易に達成することができる。また、そのために、左右のカーテンの位相を容易に合致させることができる。
【0017】
また本発明は、上記構成のカーテン装置において、前記本体軸部に摺動ローラを配設して、前記外筒の内壁部に沿って、もしくは、該内部に装着するレール部材に沿って前記摺動支持部材が摺動することを特徴としている。この構成によると、カーテンを支持する摺動支持部材が、外筒の軸方向に摺動容易となるので、駆動力の小さい駆動装置を用いて、カーテンの自動開閉を行うことができる。
【0018】
また本発明は、上記構成のカーテン装置において、前記外筒を円筒とし、両端に前記回転駆動軸を回転自在に支持する支持板を設け、一方の端部の支持板に駆動装置を取り付けたことを特徴としている。この構成によると、すっきりした外観の円筒形のカーテンレールにカーテンを装着して自動開閉するカーテン装置を得ることができる。
【0019】
また本発明は、上記構成のカーテン装置において、前記外筒を角筒とし、両端に前記回転駆動軸を回転自在に支持する支持板を設け、一方の端部の支持板に駆動装置を取り付けたことを特徴としている。この構成によると、角形が好まれるインテリアに好適な自動開閉式のカーテン装置を得ることができる。
【0020】
また本発明は、上記構成のカーテン装置において、前記駆動装置に通信機能手段を設け、遠隔操作でカーテンを自動開閉する構成としたことを特徴としている。この構成によると、室内に居る人だけでなく、室外に居る人でも、遠隔操作によってカーテンを自動開閉することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、カーテンレールを構成する開口溝部を有する外筒と、該外筒の内部の軸方向に沿って収納され回転自在に軸支される回転駆動軸と、該回転駆動軸に当接して前記開口溝部に添って摺動する摺動支持部材を備え、回転駆動軸の中央部にボールねじ部が形成されていない中央停止部を設け、該中央停止部から片方の軸部分に右ねじ方向のボールねじ部を形成し、他方の軸部分に左ねじ方向のボールねじ部を形成し、左右一対のそれぞれのカーテンの先端側上部にぞれぞれの前記摺動支持部材を装着して、回転駆動軸を正方向に回転して左右一対のカーテンを閉止する方向に同時に移動してカーテンを閉め、前記回転駆動軸を逆方向に回転して左右一対のカーテンを開放する方向に同時に移動してカーテンを開いて、左右一対のカーテンを一体に開閉する構成としているので、一つの駆動装置を介して回転駆動軸を正転逆転して、左右一対のカーテンを自動開閉することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明に係るカーテン装置の全体構成を示す概略説明図である。図2は摺動支持部材の装着状態を示す概略説明図である。図3は回転駆動軸の中央停止部を示す拡大説明図である。また、同一構成部材については同一の符号を用い、詳細な説明は適宜省略する。
【0023】
本発明に係るカーテン装置1は、図1に示すように、カーテンレールを構成する外筒2の内部に回転駆動軸4(4A、4B)を回転自在に設け、この回転駆動軸4の回転に応じて摺動移動する摺動支持部材8を設けている。また、摺動移動可能な摺動支持部材8にカーテン3(3A、3B)の移動側端部のカーテンフック9を掛止して、カーテン3を開閉する構成としている。
【0024】
外筒2には、カーテンレールを構成する開口溝部21(図2参照)が形成されており、両端に回転駆動軸4を回転自在に支持する支持板7A、7Bが装着されている。また、一方の端部の支持板7Aに駆動装置5を取り付けている。
【0025】
駆動装置5は正転逆転可能な駆動モータであって、減速カップリング6を介して適当な回転数に減速することができる。
【0026】
回転駆動軸4には後述するようにボールねじ部が形成されており、摺動支持部材8が前記ボールねじ部に係合するボールBを備える構成としている。そのために、回転駆動軸4を回転すると、ボールねじ部の回転に伴ってボールBが移動し、所定の周り止めが工夫された摺動支持部材8が往復移動する。
【0027】
カーテン3が一枚のカーテンで、片開き状の場合には、同一形状のボールねじ部を形成した回転駆動軸4を正転逆転して、カーテン3を開閉操作できる。しかし、カーテン3が二枚のカーテン3A、3Bからなり、両開き状の場合には、回転駆動軸4の中央部から一方側に例えば右ねじ方向のボールねじ部4Aを形成し、他方側に左ねじ方向のボールねじ部4Bを形成することで、同様に回転駆動軸4を正転逆転してカーテン3(3A、3B)を開閉操作することができる。
【0028】
次に図2を用いて、摺動支持部材8について、また摺動支持部材8の取付構成について詳細に説明する。
【0029】
摺動支持部材8はボールBを収容保持する本体軸部31とカーテン支持部を有するキャップ部材32とを備えている。例えば、本体軸部31の一端(図面の上側)にはボールBの上端部を露出する開口部が形成されており、他端(図面の下側)にはキャップ部材32が装着されている。また、中空状内部に前記ボールBをボールねじ部に押し付ける付勢ばねSPを収納している。付勢ばねSPはキャップ部材32を介して落下しないように構成されている。つまり、キャップ部材32は、付勢ばねSPを前記ボールに付勢力を付与する位置に収納する機能を有する。
【0030】
また、本体軸部31に摺動ローラ34を配設して、前記外筒2の内壁部に沿って、もしくは、該内部に装着するレール部材22に沿って前記摺動支持部材が摺動する構成としている。この構成であれば、カーテンを支持する摺動支持部材8が、外筒の軸方向に摺動容易となるので、駆動力の小さい駆動装置を用いて、カーテンの自動開閉を行うことができる。
【0031】
また、キャップ部材32にカーテン支持部となるカーテンフック装着孔33を設けているので、カーテンに装着するカーテンフックをこのカーテンフック装着孔33に掛止してカーテンを容易に装着することができる。
【0032】
外筒2は、例えば円筒形であって、下部の軸方向に沿って、摺動支持部材8のキャップ部材32が挿通可能な開口溝部21を有する。摺動支持部材8は、外筒2の端部開口部から挿入することも、開口溝部21から挿入することも可能としている。これは、本体軸部31の両側に摺動ローラ34を備える構成であっても、摺動ローラ34の径を開口溝部21の幅よりも小さな径とすることで、この幅広な方向を前記開口溝部21の長さ方向に合致させるように90度回転して、前記開口溝部21から挿入可能となる。
【0033】
開口溝部21から摺動支持部材8を挿入すると、ボールBが回転駆動軸4(4A、4B)のボールねじ部に係合した位置が停止部となる。この状態から90度回転すると、摺動ローラ34が、外筒2の内周面、もしくは、外筒内部に装着するレール部材22に嵌まり込んで、所定の姿勢に配置される。
【0034】
上記したように、摺動支持部材8はボールねじ部に係合するボールBを介して、回転駆動軸4の回転に応じて摺動自在となるので、回転駆動軸の正転逆転に応じて往復移動する。そのために、カーテン3の移動側端部のカーテンフック9を掛止することで、カーテン3を一体に開閉することができる。
【0035】
その他のカーテンのカーテンフック9は、ボールBを装着しない形状の摺動支持部材8Aを介して取り付けることができる。摺動支持部材8AはボールBは有さないが摺動ローラ34を有するので、外筒2の内周面、もしくは、レール部材22に沿って摺動自在となって、カーテン3の移動に追従する。
【0036】
また、外筒2は、円筒形以外の形状でもよく、例えば、図中の想像線に示すような角筒形とすることができる。そのために、カーテン装置1を配設する室内インテリアに適した外形形状の外筒2を用いることで、好ましい外観の自動開閉式のカーテン装置を得ることができる。
【0037】
前記回転駆動軸4は正転逆転可能な駆動装置5、および減速カップリング6を介して過移転駆動され、所定の速度でのカーテンの開閉が可能となるように構成されている。
【0038】
付勢ばねSPは、例えばコイルバネを用いることができる。また、ボールねじ部とボールBとの係合高さと付勢ばねSPの長さおよびばね力を、摺動支持部材8を人力で摺動可能とする程度としている。この構成であれば、人が手作業で容易にカーテンを摺動させることができ、カーテンの手動による開閉操作が簡単となる。
【0039】
また、上記の構成であれば、小さな力で、摺動支持部材8に装着しているボールBが容易にボールねじ部を乗り越えるので、回転駆動軸4が回転しても容易に空回りさせることができる。そのために、回転駆動軸4の回転中に摺動支持部材8の摺動移動を停止しても、収容されたボールBがボールねじ部を乗り越えて空回りして、そのまま容易に停止することができる。つまり、カーテン3A、3Bの自動開閉操作中に、一方のカーテン(3Aもしくは3B)が移動端に到達しても、ボールBが空回りしてその位置で停止する。
【0040】
ボールBが空回り容易となるためには、ボールBのボールねじ部との係合深さが所定量の浅い深さになるように規定されている。つまりこの係合深さは、ボールBが回転駆動軸4の回転に伴い回転するボールねじ部に当接して従動可能な程度に小さな量に抑えられている。また、付勢ばねSPの長さは、ボールBがボールねじ部を乗り越える程度以上に伸縮する長さとし、そのばね力も十分弱いばね力としている。
【0041】
そのために、ボールBを弱い力でボールねじ部に押し付ける構成としているので、外力や負荷が掛かると、ボールBとボールねじ部との係合関係が即座に解除される。そのために、回転駆動軸4が回転駆動されても、摺動支持部材8は空回りして、回転も移動もしない構成となって、安全といえる。また、カーテン3の開閉操作には、弱い力でも十分であって、余分な外力や負荷が掛かったときに、摺動支持部材8が空回りする本実施形態によれば、左右一対二枚のカーテン3A、3Bを安全に開閉操作することができる。
【0042】
摺動支持部材8を、回転駆動軸4の正逆回転に伴い往復移動させるためには、回転駆動軸4が回転しても、摺動支持部材8は回転しないようにしておく必要がある。本実施形態では、摺動支持部材8の両側部に摺動ローラ34を設け、これらの摺動ローラ34をレール部材22で支持する構成として、回転を防止している。
【0043】
回転駆動軸4は、軸の一方側に例えば右ネジ方向のボールねじ部4Aが形成され、軸の他方側に左ネジ方向のボールねじ部4Bが形成されている。また、それらの中間部には左右どちらのボールねじ部も形成していない中央停止部が設けられている。この様子を図3を用いて説明する。
【0044】
図3に示すように、ボールねじ部4Aとボールねじ部4Bとの間に中央停止部4Cを設けている。この中央停止部4Cはボールねじが形成されておらず、ボールねじ部4A、4Bよりも太径とされている。また、回転駆動軸4が長尺であれば、その中間部を支持するための支持ブロックを装着することもできる。特に、長いカーテンに対応するカーテン装置の場合には、長い回転駆動軸4の中央部を支持ブロックで支持して壁に固定することが好ましい。短いカーテンであれば、その必要はないので、単に太径部を設けるだけで十分である。
【0045】
一方の摺動支持部材8がこの中央停止部4Cに到達すると、負荷が増大してボールBがボールねじ部を乗り越えて摺動支持部材8が空回りを開始する。また、他方の摺動支持部材8がこの中央停止部4Cに到達すると、同様に負荷が増大してボールBがボールねじ部を乗り越えて両方の摺動支持部材8が空回りを開始する。
【0046】
そのために、このときの負荷の増加を利用して駆動装置5の駆動状態を制御し、回転駆動軸4の回転・停止を制御することができる。
【0047】
つまり、中央停止部4Cに、両方の摺動支持部材8が到達するまでは、回転駆動軸4の回転を続行し、両方の摺動支持部材8が到達したときに初めて、その両方の負荷の和に応じた高負荷を検出して回転駆動軸4の回転を停止することができる。
【0048】
上記したように、左右一対の摺動支持部材8が共に中央停止部4Cに到達して空回りするときに生じるトルクをトルク閾値とすることで、中央停止部4Cに左右の摺動支持部材が到達したときに駆動装置5を停止することができ、左右一対のカーテン3A、3Bが共に中央停止部4Cに到達してカーテンが閉止すると同時にカーテンの駆動を停止することができる。つまり、両方の摺動支持部材8が受ける負荷の合算負荷をトルク閾値として設定し、駆動装置5の負荷トルクを予め定めたトルク閾値と比較して、所定のトルク閾値を上回ったときに前記駆動装置5の回転駆動を停止する構成としている。
【0049】
この場合の駆動装置5は、正逆転可能なブラシレスモータであることが好ましい。この構成であれば、低騒音で長寿命のモータとなり、減速カップリング6を介して低速回転も可能であり、カーテンの開閉操作を静かに行うことができる。
【0050】
上記のような構成であれば、駆動装置5を介してカーテン3A、3Bを閉止する際には、一方のカーテンに装着された摺動支持部材8が先に中央停止部に到達しても、回転駆動軸4の回転が続行され、もう一方のカーテンに装着された摺動支持部材8が中央停止部に到達して、ようやく予め定めるトルク閾値に達し、カーテン3A、3Bの閉止操作を停止する。その後で、前記駆動装置5を再起動し回転駆動軸4を逆回転すると、それぞれの摺動支持部材8が、それぞれのカーテン3A、3Bを開く方向に移動する。
【0051】
このように、摺動支持部材8の当初の装着位置に拘らずに、一旦、左右一対のカーテン3A、3Bを全閉、もしくは全開すると、それぞれの摺動支持部材8が、所定の対応した位置に設定される。その後は、駆動装置5の正転逆転に応じて、左右一対のカーテン3A、3Bが同時に開閉することになる。
【0052】
そのために、カーテンの交換や洗濯時にカーテンを取り外した後で、再度装着する際には、装着する位置を考慮する必要はなく、ただ、カーテンフック9をカーテンフック装着孔33に嵌め込むだけの取付な操作でよく、カーテンの交換を容易に行うことができる。
【0053】
また、前記駆動装置5に通信機能手段10を設け、遠隔操作でカーテン3(3A、3B)を自動開閉する構成とすることができる。例えば、赤外線通信を介して制御可能としておくことで、赤外線通信可能な携帯電話や操作機器を用いて、室内に居る人だけでなく、室外に居る人でも、遠隔操作によってカーテンを自動開閉することができる。
【0054】
上記したように、本発明によれば、カーテンレールを構成する開口溝部を有する外筒と、該外筒の内部の軸方向に沿って収納され回転自在に軸支される回転駆動軸と、該回転駆動軸に当接して前記開口溝部に添って摺動する摺動支持部材を備え、回転駆動軸の中央部にボールねじ部が形成されていない中央停止部を設け、該中央停止部から片方の軸部分に右ねじ方向のボールねじ部を形成し、他方の軸部分に左ねじ方向のボールねじ部を形成し、左右一対のそれぞれのカーテンの先端側上部にぞれぞれの前記摺動支持部材を装着して、回転駆動軸を正方向に回転して左右一対のカーテンを閉止する方向に同時に移動してカーテンを閉め、前記回転駆動軸を逆方向に回転して左右一対のカーテンを開放する方向に同時に移動してカーテンを開いて、左右一対のカーテンを一体に開閉する構成としているので、一つの駆動装置を介して回転駆動軸を正転逆転して、左右一対のカーテンを自動開閉することができる。
【0055】
また、ボールねじ部とボールとの係合高さと前記付勢ばねの長さおよびばね力を、前記摺動支持部材を人力で摺動可能とする程度としたので、回転駆動軸の任意の位置に摺動支持部材を装着することができ、左右のカーテンの相対的な位置を考慮せずにする必要もなく、カーテンの装着作業を容易に行うことができる。
【0056】
そのために本発明は、左右一対二枚のカーテンを安全に自動開閉するカーテン装置として好適に利用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係るカーテン装置の全体構成を示す概略説明図である。
【図2】摺動支持部材の装着状態を示す概略説明図である。
【図3】回転駆動軸の中央停止部を示す拡大説明図である。
【符号の説明】
【0058】
1 カーテン装置
2 外筒
3、3A、3B カーテン
4 回転駆動軸
4A 右ネジ方向のボールねじ部
4B 左ネジ方向のボールねじ部
4C 中央停止部
5 駆動装置
8 摺動支持部材
9 カーテンフック
10 通信機能手段
21 開口溝部
22 レール部材
31 本体軸部31とカーテン支持部を有する32
32 キャップ部材
33 カーテンフック装着孔(カーテン支持部)
34 摺動ローラ
SP 付勢ばね
B ボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテンレールを構成する開口溝部を有する外筒と、該外筒の内部の軸方向に沿って収納され回転自在に軸支される回転駆動軸と、該回転駆動軸に当接して前記開口溝部に添って摺動する摺動支持部材を備え、
前記回転駆動軸の中央部にボールねじ部が形成されていない中央停止部を設け、該中央停止部から片方の軸部分に右ねじ方向のボールねじ部を形成し、他方の軸部分に左ねじ方向のボールねじ部を形成し、
前記摺動支持部材に、前記ボールねじ部に係合するボールを収容保持する本体軸部とカーテン支持部を有するキャップ部材とを設け、
それぞれのボールねじ部に、それぞれ前記摺動支持部材を配設し、左右一対のそれぞれのカーテンの先端側上部にぞれぞれの前記摺動支持部材を装着し、前記回転駆動軸を正方向に回転して左右一対のカーテンを閉止する方向に同時に移動してカーテンを閉め、前記回転駆動軸を逆方向に回転して左右一対のカーテンを開放する方向に同時に移動してカーテンを開いて、左右一対のカーテンを一体に開閉することを特徴とするカーテン装置。
【請求項2】
前記摺動支持部材が、前記本体軸部にボールを前記ボールねじ部に押し付ける付勢ばねを備え、前記キャップ部材が前記付勢ばねを前記ボールに付勢力を付与する位置に収納することを特徴とする請求項1に記載のカーテン装置。
【請求項3】
前記キャップ部材にカーテン支持部となるカーテンフック装着孔を設けたことを特徴とする請求項2に記載のカーテン装置。
【請求項4】
前記ボールねじ部とボールとの係合高さと前記付勢ばねの長さおよびばね力を、前記摺動支持部材を人力で摺動可能とする程度としたことを特徴とする請求項2または3に記載のカーテン装置。
【請求項5】
前記回転駆動軸の回転中に前記摺動支持部材の摺動移動を停止すると、収容されたボールが前記ボールねじ部を空回りする構成としたことを特徴とする請求項4に記載のカーテン装置。
【請求項6】
前記駆動装置が、正逆転可能な駆動モータを備え、該モータの負荷トルクを予め定めた安全トルク閾値と比較して、安全トルク閾値を上回ったときに前記モータの回転駆動を停止することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のカーテン装置。
【請求項7】
左右一対の前記摺動支持部材が共に停止して空回りするときに生じるトルクを前記安全トルク閾値としたことを特徴とする請求項6に記載のカーテン装置。
【請求項8】
前記本体軸部に摺動ローラを配設して、前記外筒の内壁部に沿って、もしくは、該内部に装着するレール部材に沿って前記摺動支持部材が摺動することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のカーテン装置。
【請求項9】
前記外筒を円筒とし、両端に前記回転駆動軸を回転自在に支持する支持板を設け、一方の端部の支持板に駆動装置を取り付けたことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のカーテン装置。
【請求項10】
前記外筒を角筒とし、両端に前記回転駆動軸を回転自在に支持する支持板を設け、一方の端部の支持板に駆動装置を取り付けたことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のカーテン装置。
【請求項11】
前記駆動装置に通信機能手段を設け、遠隔操作でカーテンを自動開閉する構成としたことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のカーテン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−119805(P2010−119805A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317681(P2008−317681)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(398024686)山越株式会社 (6)
【Fターム(参考)】