説明

カートリッジピストン

【課題】ピストンの不浸透性を保証したままで、固形物を含む材料をピストンを使用して送出することができるようになることが課題である。
【解決手段】ピストン(1)は、送り出し側(3)と反対側に配置された駆動側(4)、及び、周辺側の、ピストンジャケット(5)を有するピストン本体(2)を含む。該ピストンジャケット(5)は、送り出し側(3)と駆動側(4)との間に接続を形成し、ピストンジャケット(5)は、ピストン軸(9)周りに配置され、ピストンジャケット(5)は、カートリッジのピストンを案内するための案内部材(7)を有する送り出し側(3)上で突起(6)と一体となり、前記案内部材は、カートリッジの壁と密閉接触を確立するために適している。突起(6)は、案内部材(7)よりも送り出し側(3)に対して短い間隔であるスクレーパー部材(8)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジのためのピストンに関し、特に固形物を含んだ充填物の送出のためのものに関する。充填物は多成分混合物を含有したものであってもよい。
【背景技術】
【0002】
そのようなピストンとしては、例えば、特許文献1のものが知られている。ピストンは密閉リップを備えた第1ピストン部分を有している。密閉リップは、カートリッジ壁と接触する。
【0003】
さらに既に知られているピストンが、特許文献2で開示されている。このピストンは、カートリッジ壁に対して要求される密閉効果を達成するために、ソフトプラスチック、例えばLDPE(低密度ポリエチレン)で製造される。そのようなピストンは、カートリッジの充填物を形成する材料の制限に適合しうるのみである。送り出し側に沿ったそのような材料とピストンが接することを避けるために、充填物に対する耐性を有するプラスチックから製造されたカバープレートが使用される。カバープレートは、カートリッジ壁に近接した縁領域を除いて、送り出し側の断面の大部分をカバーする。縁領域は、カバープレートの外側に延在するリムによって、ピストンの送り出し側方向の外周に沿って、形成されている。リムはV形状の溝によりカバープレートから分離している。この実施形態のリムは、明らかに充填物と接しているが、ピストンの他の領域はカバープレートによって遮蔽されている。大部分の充填物にとって、ピストン材料と接触することは、ピストン材料の膨張につながる。これにより、リムの領域に膨張が発生する。このため、密閉効果が全ての場合に拡大され、有利である。この代わりに、例えば、特許文献3で知られているように、複数の密閉リップをピストン周辺に配置することもできる。
【0004】
しかしながら、これらの既知のピストンは、固形物を含む充填物を送出するためには不適合であることが判明している。固形物は、リムの端部と密閉リップの間の中間の空間に入っていくことができてしまうため、その中間の空間に捕らえられたままになる。送出手続が継続されたなら、密閉リップは、カートリッジ壁に接している固形物粒(grain)を引きずる。カートリッジ壁への密閉リップの接触がなくなれば、密閉効果はそれに伴い生じなくなる。。
【0005】
この問題に対する解決策は、リムの最も外側の縁に置かれる密閉リップを備えることである。しかしながら、そのような密閉リップは、カートリッジにピストンを導入する際、容易に損傷するので実際の応用には適さない。この問題は、例えば、特許文献3のピストンのように、ピストンそれ自体を変形可能に作ることで改善することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献3のピストンは、このピストンを使用して粘性又は糊状の媒体をカートリッジから送出する際に、該ピストンの形状に適合したピストンの排出プランジャとのみ使用可能なものである。これは、このピストンが市販の排出装置に適合しないことを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国出願公開実用新案第20010417U1号明細書
【特許文献2】欧州特許第1165400号明細書
【特許文献3】スイス特許出願公開第610994号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述のピストンに改善をもたらし、ピストンの不浸透性を保証したままで、固形物を含む材料をピストンを使用して送出することができるようにすることである。さらに、本ピストンは、市販の排除装置によってカートリッジ内で交換可能であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、ピストンの壁から固形物粒子をスクレーピングするために用いられるスクレーパー部材を含むピストンにより満たされる。そのピストンは、送り出し側、反対側に位置するドライブ側、及びその周辺側上にピストンジャケットを有するピストン本体を含む。ピストンジャケットは送り出し側及びドライブ側の間の接続を形成し、ピストンジャケットはピストン軸周りに位置し、ピストンジャケットは送り出し側上でカートリッジのピストンを案内するための案内部材を有する突起と合体し、前記案内部材は、カートリッジの壁に密閉接触を確立するのに適している。突起は、送り出し側からの間隔が案内部材よりも短いスクレーパー部材を含む。送り出し側からの間隔は、ピストン軸の方向から測られる。その送り出し側とは、充填物と接触しているピストンの面である。その充填物はピストンが配置可能なカートリッジに置かれる。そのピストンの面は通常ピストン軸に垂直な平面の一部である。そのピストンの面はこの面と一致する必要はないが、もしそのピストンが曲面を有していたり、強化部材、防護部材、通気部材等の受容のための切り欠き及び突起を有していたなら、それとは異なることができる。基準面が、送り出し部材及びスクレーパー部材からの相対距離を測定するために仮定される。該基準面は、ピストン軸に垂直に延び且つ充填物に最も遠く突き出しているピストンの点または点群を含む平面内にある。すなわち、言い換えると、もしピストンが、その送り出し側が平坦な面上に位置し、且つ、そのピストン軸がこの面に垂直であるように配置されていたなら、この平坦な面は基準面を形成する。
【0010】
この定義に従えば、スクレーパー部材は案内部材よりも基準表面からの距離が短い。これらの固形物は、この結果としてカートリッジから充填物が送出される際にスクレーパー部材により取り上げられ、それによって追い出されるか、又は、ピストン軸の方向に曲げられる。それにより固形物粒子が完全に充填物と共に送出される。
【0011】
スクレーパー部材は縁を有し、縁は半径方向のピストン軸から最も離れているスクレーパー部材の先端を含んでいる。案内部材は、半径方向のピストン軸とは間隔を有しており、ピストン軸と縁の間隔よりも大きい。これは、案内部材は縁よりも大きな直径を有することを意味する。ピストンがカートリッジに位置している場合に、案内部材はカートリッジの壁に接触する。案内部材は、カートリッジの内側直径よりも大きな直径を有することすらでき、すなわち、案内部材はカートリッジの内側直径に対してより大きなサイズを有することができる。このように、その駆動側から間隔を有する送り出し側のピストンの密閉は、案内部材により行われる。
【0012】
スクレーパー部材の縁は、ピストン軸から半径方向間隔R1を有しており、案内部材はピストン軸から間隔R2を有しており、最大0.5mm、好ましくは0.3mm、特に好ましくは0.2mmに達する差がある。このようにスクレーパー部材は案内部材よりも半径方向に少しの余分な長さがあるので、カートリッジを備えたピストンの組立に損傷を与えることがない。スクレーパー部材がカートリッジに導入されるとすぐに、ピストンはスクレーパー部材によって中心に置かれ、傾きが生じることが避けられる。もし、ピストンがさらにカートリッジの内側空間に動いた場合には、案内部材は、周辺側のカートリッジの壁に接触するようになる。スクレーパー部材の中心傾向のためにピストンの傾き位置をより小さなものにすることが可能であるので、壁により案内部材にかけられる接触圧力は、案内部材の周辺にわたって公平に分配される。この結果、案内部材の損傷を避けることができる。案内部材は、このようにカートリッジの壁に接触するとすぐにその密閉機能を発揮することができる。
【0013】
縁は、ピストン軸に対して80°〜110°の間、特に実質的に垂直に配置される支持面の境界となる。スクレーパー部材の支持面は、このように縁に接合している。この支持面は、充填物の送出中に、充填物をカートリッジから送出すべき場合に充填物によりピストンにかけられる圧縮力を比例的に取る。支持面に作用する圧縮力は、ピストン軸の方向に伸びる合力を有する。もし支持面がピストン軸に対して80°〜110°の角度で配置されたなら、圧縮力は、スクレーパー部材に属する突起が変形するような効果を有する。これにより、スクレーパー部材の縁がカートリッジの壁と接触するようになる。
【0014】
突起は、特許文献2のような従来技術により知られており、この突起は縁部の代わりに傾斜面を有している。そこでの傾きは、突起とカートリッジ壁の間の間隔が送り出し側方向に増大するように設計されている。この傾斜面により、ピストンをカートリッジにうまく導入できるという利点を有する。特に、突起が関連するカートリッジの内側の直径よりも大きい直径を有する場合、ピストンはもっと簡単にカートリッジの穴に配置させることができる。カートリッジ中のピストンの組立工程の最初に、突起の端部がカートリッジの壁と接触する。カートリッジがさらに穴に入ると、突起とカートリッジの壁との間の接触線は突起の端部からさらに離れる。同時に、突起はさらに大きな偏りを受ける。突起の直径は、傾斜面に沿ってますます増大する。しかしながら、カートリッジ壁の内側の直径は、予め定められているので、カートリッジの内側の空間に係合できるように突起は変形する。これにより、突起は壁に向けて押されて、接触圧力が増大し、さらに組立工程が進行する。これは、端部位置で、ピストンがさらにカートリッジの内側空間に、密閉リップが内側壁に存在するように、押されるときに、突起の端部はカートリッジ壁から離れて存在するようになると結論付けられる。傾いた表面は残ったままである。ピストンが、充填物の送出のための送出装置、例えばプランジャ、により動かされる場合に、充填物の内側圧力は、傾いた表面上のピストン軸方向に力をかける。この力は、傾いた表面に垂直な方向の力成分と、傾いた表面の方向に向いた力成分とに分けることができる。力ダイアグラムから、傾いた表面に垂直な方向の力が、突起をカートリッジ壁から離すように動かすという結論になる。
【0015】
もし固形物粒子が、傾いた表面とカートリッジ壁の間に入ったら、固形物粒子はこの傾向を強める。固形物粒子は、充填物の圧力により、傾いた表面及びカートリッジ壁の間の隙間に、さらに押しやられる。ピストン及び密閉リップは柔らかい材料で製造されるので、ピストン材料は折れ曲がって、固形物粒子は密閉リップを通ることができる。密閉リップとカートリッジの壁との間の接触は、この結果邪魔されて、固形物粒子とさらなる充填物材料が出る。この密閉の欠乏は、しばしば従来技術の解決策の、特に、固形物粒子を含む充填物の工程で中で発生する問題である。
【0016】
支持面は、有利に、支持面と80°以下、好ましくは60°以下、特に好ましくは45°以下の角度を有するセクションを含む。角度は、以下のように測定される。ピストン軸に垂直な平面が、ピストン軸に対向する支持面の縁によって置かれる。この垂直面は、ピストン軸の方向に延在し且つ縁を含む面と交差して、交差線が得られる。角度は、交差線とピストン軸の方向に延びる平面を備えたセクションのセクション線との間で測る。
【0017】
セクションは、ピストン軸に並べられた突起の側面上に位置し、突起の内側にある。充填物により引き起こされた圧縮力は同じくセクションに作用する。この力は、代わりに2つの力成分、セクションに垂直に並べられた垂直成分と同様に、セクションの方向に伸びる成分に分けることができる。セクションと、そして縁を含む突起とは、垂直成分により、カートリッジの壁に向かって押される。固形物粒子の経路はこのようにブロックされるので、固形物粒子がカートリッジの壁と突起との間に存在するようになることを避けることができる。これにより、突起によって任意の固形物粒子の向きをピストンの内側空間に変えることが起きる。
【0018】
リング形状のピストンでも同じ利点が得られる。そのようなリング形状のピストンは追加的に内側ピストンジャケットを含み、内側ピストンジャケットはピストン軸に対向する内側にあるピストン本体に結合し、ピストン軸に沿ったピストンの案内のための内側案内部材を含む内側突起を含み、内側案内部材は内側管の壁に密閉接触を確立するのに適している。内側突起は、案内部材よりも送り出し側から短い間隔をあけている内側スクレーパー部材を含む。
【0019】
内側スクレーパー部材は内側縁を有し、内側縁は、ピストン軸から半径方向に僅かに離れるよう構成された、内側スクレーパー部材の先端を含んでいる
【0020】
内側案内部材は半径方向にピストン軸と間隔を有しており、その間隔はピストン軸と内側縁との間隔よりも短いか、等しい。
【0021】
内側縁はピストン軸からR3の半径方向間隔があり、案内部材はピストン軸からR4の半径方向間隔があり、R3とR4との差は、最大で0.5mm、好ましくは0.3mm、特に好ましくは0.2mmに達する。
【0022】
ピストンは、保護部材がピストン本体の送り出し側 (conveying side) に取り付けられるように構成することができる。そのような保護部材は、充填物に関してピストン材料よりも高い耐性を有している材料から製造することができる。保護部材はこのようにピストン材料に対して保護機能を高めることができる。
【0023】
ピストン本体又は保護部材は通気部材を含めることができる。この通気部材は、例えば、カートリッジ壁へのピストンの挿入で生じた含有ガスが含まれる内側ピストン空間からガスを除去するのに役立つ。ガスは特に空気とすることができる。
【0024】
剛性リブをピストンの駆動側に配置することができる。剛性リブを備えることにより、たとえ、充填物を送出する送出装置によりピストンが圧力を受けた場合でも、ピストンを本質的に安定したままにすることが確実になる。
【0025】
傾斜した固定部材をピストンの駆動側に配置することができ、カートリッジのピストンの案内を改善する役割を果たす。ピストンは、カートリッジの壁に接触する傾斜した固定部材により、傾かないようしっかりと案内されることにより、ピストン本体の軸は、ピストン軸と一致する。傾斜した固定部材により、送り出し側は、ピストン軸と垂直な平面に配置されるか、もし送り出し側が平坦でなければ、特定の半径及び特定の高さで特徴づけられる送り出し側におけるピストン面の先端は、その周囲に沿って実質的に同じ垂直な平面に配置される。もしピストンが傾いていたなら、そのような先端の条件を満たせない。そのような傾斜した固定部材による送出手続の間中全て、周辺側でカートリッジの壁との接触を維持することができ、ピストンが傾くことを、前述された案内部材とともに防止することができる。
【0026】
環状のピストンが有する特別の特徴の利点は、例えば、据えつけられていない円柱状の内側空間のため又は異なるデザインの内側空間のピストンに関係して、前に挙げられている利点と対応する。
【0027】
送出装置は、先行の実施形態の一つと一致するピストンを含んでいる。送出装置は、複数の構成成分の送出のためのカートリッジを含む。それらの構成成分は、お互いに隣り合って、又は同軸的に配置されたカートリッジの空洞に配置されている。さらに、送出設備は、駆動側にピストンが接続される送出装置を含めることができる。
【0028】
先行する実施形態の一つに一致するピストンは、特に有利に、固形物及び糊状又は粘性を有する化合物を含む充填物の送出に使用される。
【0029】
本発明は以下の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】従来技術によるピストンを示す図である。
【図2】図1の一部を示す図である。
【図3】図1の従来技術のピストンを使用して、固形物を含む充填物の送出の開始を示す図である。
【図4】図1の従来技術のピストンを使用して、固形物を含む充填物の送出を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態によるピストンを示す図である。
【図6】図5の詳細図である。
【図7】図5のピストンを使用して固形物を含む充填物の送出の開始を示す図である。
【図8】図5のピストンを使用して固形物を含む充填物の送出を示す図である。
【図9】本発明のさらなる実施形態による円形ピストンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、従来技術で知られているようなピストンを示す。ピストン101は、通常、プラスチックの射出成形工程により製造されるピストン本体102を含む。ピストン101は、充填物、特に流体又は糊状媒体のもの、をカートリッジから送出するために好ましく使用される。カートリッジ117の壁116が示されている。ピストン101は壁116に沿って滑り、この動作の間、示されていない送出開口を通じて充填物を押す。媒体側にあるピストン101の側面は以下で送り出し側 (conveying side) と呼ばれるべきものである。ピストンを動かし、動作し続けさせるために、圧縮力が送出装置によりかけられる。送出装置であるプランジャー部材118が示されており、送出装置はピストンの送り出し側103の反対側に配置されている。この側は、以下で駆動側104と呼ばれる。
【0032】
ピストン本体102はこのように駆動側104、送り出し側103及びピストンジャケット105とにより境界づけられている。ピストンジャケット105は駆動側104と送り出し側103との間に接続を形成する。多くの場合で、ピストン本体は複数の切り欠きを有しているか、又は中空の本体として作られている。そのようなピストンは既に、材料の節約と、薄型壁構成物の射出成形で生ずる困難性によって、数センチの直径から成る薄型壁構成物として作られている。ピストンは、剛性リブ115を通じて、必要な形状安定性がもたされている。ピストンは追加的に防護部材113を含めることができる。防護部材113は、ピストン本体を充填物から保護する機能があるカバープレートとして製造することができる。カバープレートは、充填物材料がピストン材料を攻撃する傾向がある場合に使われる。これは特にLDPEのようなソフトプラスチッチのピストンに適用される。LDPEは、例えば、ポリエステル樹脂により攻撃されて、膨張する。
【0033】
ピストンは通気部材を含めることもできる。そのような通気部材114が図1で示されている。充填物及びピストン101の間のカートリッジ117の内側空間に位置するガスは、通気部材から外側に、すなわち駆動側104に、充填物の流出なしに逃げることができる。通気部材114は、カートリッジが詰められた状態で蓄えられている場合に限り閉まっている。充填物を送出すべきときは、送出装置118がその駆動側104のピストンと接触する。これに関し、送出装置も通気部材114の栓119と接触する。栓は、駆動側の送出装置と接触に入る表面を越えて突出している。これにより、送出装置118が駆動側104と接触する際に、栓がそのシート120から離れる。ガスのための流動経路はこの点で開かれている。ガスは、カバープレートとして形成されるバルブ本体122のフランク121を経由してバルブ本体122とピストン本体102の間の中間空間に入る。そして、ガスは、栓119及びシート120の間の開口を通じて、開いた流動経路を経由してピストンを離れる。
【0034】
フランク121は、ラッチ接続によりピストン本体102と係合する。この目的のために、フランク121は、例えば、送り出し側103のピストン本体102の周辺溝123で係合する。これは、図2で詳細に示される。フランクは、ピストン101の突起106の切り欠き125に係合する密閉リップ124を有することもできる。通常、フランクには、ガスのための複数の小さな切抜きが設けられる。これらの切り欠きに隣接する迷宮のような接続経路は、ピストン本体102及びカバープレート113の間に備えられる。切り欠きを通る充填物材料はこの迷宮のような接続経路に沿って堆積される。この接続経路は、図面にはこれ以上詳細に示されることはない。
【0035】
ピストン101は、その他、駆動側上の充填物の送出に対する手段を有しなければならない。この目的のために、少なくとも1つの密閉リップが通常、カートリッジの壁のスライド面に沿って備えられている。本実施形態において、この密閉リップは、特に図2でも見られるように、案内部材107として示されている。案内部材107は、溝123とカートリッジの壁との間に延在する突起106に位置している。突起106はピストン本体102と接続するアームとして製造されている。断面図で見えないものとしては、アームが、ピストン本体102の全周辺に沿って延びているリング形状のビーズに属し、カートリッジ117の壁116と液密接続を形成していることが挙げられる。
【0036】
図2は図1の一部であって、特に突起106を拡大した形状で示している。突起はカートリッジ117の壁116に接触するための案内部材107を含む。縁110と支持面111は、送り出し側103の方向の案内部材と隣接している。充填物に突き出るさらなる縁又はセクション112を支持面に隣接させることができる。支持面は、カートリッジの壁に対して傾いており、さらに言えば案内部材からの間隔が増大するにつれて、壁からの支持面の距離は増大する。縁110は、支持面の縁であり、カートリッジの壁と最も間隔が狭く、セクション112は、カートリッジの壁から最も間隔が広く、反対側に配置されている支持面の縁を含む。支持面の傾きは、ピストンが簡単にカートリッジの内側空間に導入されることができるように選択されている。ピストンは傾いていなくてもよく、密閉リップはこの場合損傷されることになりうるので、カートリッジの導入の間、傾いた位置を採用しなくてもよい。このため、支持面111には傾きが設けられて、ピストンはカートリッジの壁116に関して正しい位置に留まる。ピストン軸109は、正しい位置では、カートリッジの壁116に平行である。
【0037】
図3は、図1の従来技術のピストンを使用した、固形物を含む充填物の送出の開始を示し、図4は、どのように送出が続いて起こりうるかを示している。図3において、突起106は既にカートリッジの内側空間に導入されている。ピストンはカートリッジの壁116上に案内部材107を備えて配置されている。充填物124は、ピストンの送り出し側103上に位置している。細部をよりよく認識できるように、ピストン101の一部のみが、示されている。突起は図1又は図2に記載されてるのと同じように作られている。ここで、もしピストン本体102が、示されていない送出装置によって、ピストン軸109の方向の充填物に向かって動かされると、充填物からの圧縮力がピストンに作用する。この圧縮力は、突起及び特に支持面111にも作用する。矢125により示されている圧縮力の合力は、送出方向に対抗して作用する。圧縮力の合力は、ベクトルのパラメーターとして、接線成分126及び垂直成分127に分割することができる。その力の垂直成分は突起106を曲げることにより変形を生じかねない。図3から直接的に、突起106は垂直成分127によりカートリッジの壁から離れて動かされる傾向が結論される。
送出が進んだ突起の位置が図4に示される。支持面111と壁116の間の隙間は、内側圧力により、何れにしても大きくなっている。ここでもし充填物が、図3又は図4の粒子128として示される固形物を含んでいたら、個々の粒子は、支持面と壁の間の隙間に入り込むおそれがある 。もし送出がさらに進めば、粒子はさらに隙間に侵入する 。特に粒子がピストンのプラスチックより強い堅さであれば、粒子はプラスチック、特に密閉リップを損傷し、あるいは、プラスチックによって、すなわち密閉リップの曲がり具合によりそのことが回避できたとしても、壁との接触が失われ、図4に示すように、粒子は充填物化合物と一緒にカートリッジの内側空間から送出される可能性がある。
【0038】
図5は、本発明によるピストンの第1実施形態を示す。ピストン1は、送り出し側3、駆動側4とピストンジャケット5を有するピストン本体2を含む。送り出し側3は充填物に向かうピストンの境界であり、駆動側4は、送出装置の方向の境界である。ピストンジャケットは、送り出し側3と駆動側4とを接続し、カートリッジの壁16に向けた境界を表わす。
【0039】
防護部材13、通気部材14、剛性リブ15の機能は、従来技術とは異ならないので、これらの部材に関する従来技術の記載への参照をもって示される。
【0040】
送り出し側3、反対側に配置された駆動側4、及び周辺側のピストンジャケット5を有するピストン本体2からなるピストン1は好ましくはプラスチックの構成部品であり、射出成形工程で製造するのが有利である。ピストンジャケット5は送り出し側3と駆動側4の間の接続を形成し、ピストンジャケット5はピストン軸9に配置される。ピストンジャケットは、ピストンが円柱状カートリッジに受容される場合に、特に回転対称的に製造される。ピストンジャケット5は送り出し側3上で突起6と一体となっている。実施形態の突起6は、ピストン本体2の腕として、局所的に表わされる薄い壁の回転対称体である。突起6は、カートリッジ17のピストンの案内のための案内部材7を有しており、この案内部材はカートリッジ17の壁16に密閉接触を確立するのに適している。案内部材は、特に密閉リップとして製造されることができる。もし必要であれば、複数の密閉リップが備えられることができる。突起6は、送り出し側3の間隔が案内部材7よりも狭いスクレーパー部材8を含む。充填物に最も近いあるいは充填物内部にも至るピストンの寸法は、間隔を決定するために測定される。単純なピストンでは、この形状 はピストン面又はピストン面を覆う防護部材13、例えばカバープレート、とすることができる。
【0041】
傾斜した固定部材18はピストンの駆動側4に配置されることができ、カートリッジのピストンの案内を改善するのに役立つ。ピストンは、傾斜した固定部材18により傾きに対してしっかりと案内され、カートリッジ17の壁16に接触しており、すなわちピストン本体2の軸とピストン軸9が一致している。送り出し側3がピストン軸9に垂直な平面に配置されるか、又はもし送り出し側3が平坦な表面を含んでいないか若しくは一平面にない部分を含んでいる場合には、特定の半径及び特定の高さにより特徴付けられる送り出し側にあるピストン面の先端が、周辺に沿って実質的に同じ垂直な平面に配置されることが、傾斜した固定部材18により確実になる。もし、ピストン1が傾いていれば、そのような先端のための条件は決して満たされないものである。周辺側にあるカートリッジの壁16との接触は、このように、そのような傾斜した固定部材18により全体送出手続の間中維持される。これにより、ピストンの歪みを、前述した案内部材7と相まって防ぐことができる。
【0042】
図5によれば、それは、突起6として製造されている送り出し側にあるピストンジャケット5の端部である。ピストン軸9に対して垂直な平面は、ピストンジャケットの端部の近く又は随意的に上述の基準を満たす別の点に置かれる。スクレーパー部材8とこの垂直な平面との間の垂直な間隔は、案内部材7とこの垂直な平面との垂直な間隔と比べられる。案内部材7の先端は特に、カートリッジ17の壁16と接触するよう選択される。この先端は、ピストンの回転対象性により案内部材7の壁16への全ての接触点を表わす。案内部材の接触点と、送り出し側を特徴付ける平面との間隔は、スクレーパー部材8の任意の所望の点と上述の平面との間隔よりも広い。
【0043】
従って、圧縮力が送出中のピストンにかかるとすぐに、充填物は、壁に接触するスクレーパー部材8を「見る」のみである。そこでスクレーパー部材8は充填物からピストンを見る方向において案内部材7の前面に存在する。送出に関して充填物がピストン軸の方向の支持面11に沿って方向付けられるというこの特徴により既に利点が得られている。充填物に含まれた固形物粒子は、スクレーパー部材と壁との近接性により、スクレーパー部材8を通ることができない。スクレーパー部材8は特に縁を有している。縁10は、半径方向のピストン軸9から遠く離れたスクレーパー部材8の先端群を含む。壁との近接性という用語は、スクレーパ部材の縁10の接触が壁にあるか又は、予想される平均的な粒子直径よりも狭い間隔で、そこが壁から狭い間隔であるかとして理解される。
【0044】
案内部材7は、ピストン軸9と縁10の間隔と等しいかそれ以上に、半径方向のピストン軸9と間隔が空いている。案内部材はカートリッジの壁に存在し、外部に対して、充填物を含んだカートリッジの内側空間を密閉する。これにより駆動側への充填物の送出が防止される。縁10はピストン軸からR1の半径間隔を有し、案内部材7はピストン軸からR2の半径間隔を有し、R1とR2の間の差は、最大0.5mm、好ましくは0.3mm、特に好ましくは0.2mmに達する。この間隔は、圧縮力がピストンにかかっていない限り、すなわち送出がまだ開始されていない状態においては、カートリッジの壁16からの縁10の間隔に対応する。
【0045】
縁10は、ピストン軸9に、80°〜110°の間に、特に実質的に垂直に、配置される支持面11に結合する。支持面はこのように配置され、スクレーパー部材8により取り上げられた固形物粒子の全てが、充填物と一緒に送出される。もし支持面が実質的にピストン軸と垂直に配置されたなら、固形物粒子はピストン軸の方向に移動することができる。このように、壁に近接する領域で、固形物粒子の集中を防ぐことができる。
【0046】
もし支持面11がセクション12を有していれば、支持面と80°まで、好ましくは60°まで、特に好ましいのは45°までの角度19を含めば、特に有利であることが発見された。角度19は以下のように決定することができる。すなわち、ピストン軸9に対向する支持面12の縁30の近くにピストン軸9に垂直な平面が置かれるようにである。この垂直な平面は、ピストン軸の方向に延びる平面と真っ直ぐな区切り線が得られるように縁30を含む平面により交差される。角度19はその交差と、ピストン軸の方向に延在する平面を備えたセクション11の区切り線との間で測られる。セクションの傾きは、駆動側の方向にあり、それはセクション11の各点であり、その各点は、縁30から離れるほど、縁が図面の区切り平面と交差する点よりも駆動側に対して短くなる間隔を有する。セクション12の傾きは、このように駆動側の方向になされる。
【0047】
図6は、図5のピストンの一部であり、突起6に関する詳細がさらによく示されているものである。腕がピストン本体2からカートリッジ17の腕16の方向に突出し、突起6を形成する。図5で同じ参照番号が振られているその部分の機能は、図5とは異なならないので、さらに詳しく考察することはない。さらなる密閉リップ31が図5に 示した構成に加えて備えられている。このさらなる密閉リップ31は、ピストンが、ピストン軸に対して傾いた位置が選ばれる傾向を有するときに特に利点を有する。この傾いた位置からもたらされる漏出の可能性は、さらなる密閉リップか又は複数の密閉リップの用意により防がれる。さらなる密閉リップの適用は、また、案内部材7への損傷、又はそこに取り付けられた第1密閉部材への損傷について、さらなる密閉リップがまだ存在するという利点を有する。これにより充填物が駆動側4に絶対に送出されないことが確実になる。
【0048】
さらには、スクレーパー部材8は図6に示されており、カートリッジ17の壁16から少し間隔がある。このスクレーパー部材8は、突起6の前部の幅殆どにわたって延在する支持面11を含んでいる。支持面11は縁10から、断面表示の縁30までに及んでいる。回転対称的なピストンのため、この支持面11はリング形状で製造されることが適用される。セクション12は支持面11に隣接する。このセクション12は、縁30を通って延びるピストン軸に垂直な平面と60°〜90°の大きな角度をなす。
【0049】
どのくらいスクレーパー部材8が送出の間に壁16に押されるかというのは、セクションの傾きの選択に影響される。
【0050】
図7及び図8は2つの異なる位置のピストン1を示し、休止位置が図7に示されている。ピストンは、送出の開始前には、この休止位置を採用し、それは充填されたカートリッジが移され、貯蔵されることができる位置に対応する。
【0051】
図8は、空にすることが行われるときの位置でのピストンを示し、カートリッジから充填物を送出している。
【0052】
支持面11上、及び、セクション12上の力が描かれて、ピストンに作用し、そして送出の間にスクレーパ部材8にも作用する力が図示されている。圧縮力32は、ピストン軸9に実質的に垂直に位置する支持面11に作用する。圧縮力は、突起6の内部に圧縮ストレスを発生させる。加えて、圧縮力32が支持点に作用しないで、それに対してずれている場合には、曲げモーメントが突起に導入されうる。この観点から、支持点は、肩34の点として定義され、それは肩を通って延びる区切り面の焦点に一致する。区切り面は、前記肩を、最も小さな断面で測って2つの実質的に等しい部分に分割するように置かれる。
【0053】
柔らかく、曲がりやすいプラスチックがピストン材料として好ましく使用されるので、突起は圧縮力の作用の下で歪んで、圧縮及び曲がりは支持点近辺で起こる。突起及びスクレーパー部材の歪みは、このように既に起きているか、又は歪みが起こる傾向が曲がりモーメントをかけることにより、突起6の壁の厚さに応じて、増大する。
【0054】
加えて、圧縮力がセクション12に沿って加わる。既に図3及び図4に関連して示されているように、この圧縮力は接線成分35と垂直成分36に分けることができる。垂直成分36は、代わりに、壁16の方向に向く半径成分と、ピストン軸9と平行に配置された軸成分とに分けることができる。これから、スクレーパー部材は、この半径成分によって壁16に向かって、縁10が壁と接触するまで移動する。
【0055】
図9は、同軸カートリッジのために使用されるような環状ピストン51を示す。互いに同軸上に配置される2以上の円柱状の中空空間が、同軸カートリッジに配置される。これらの中空空間はそれぞれ、構成要素 で満たされている。その内側の中空空間又は複数の空間は、完全に、円柱状のカートリッジとして作られている外側の中空空間により囲まれている。
【0056】
環状のピストン51は、通常プラスチックから射出成形工程により製造されるピストン本体52を含んでいる。環状のピストン51は、カートリッジから、充填物を、特に流体又は糊状の媒体を、送出するために使用されるのが好ましい。充填物は特に固形物粒子を含むこともできる。カートリッジ17の壁16が示されている。環状のピストン51は壁16に沿って滑動し、この動きにおいて、図示されない送出開口を通じて充填物を押し出す。媒体側のピストン51の側は、以下で送り出し側53と呼ばれるべきものである。ピストンを動作状態にセットし、且つ動作を維持しつづけるために、圧縮力が送出装置によりかけられる。(ここで示されていない)送出装置は、送り出し側53の反対側に位置するピストンの側に位置している。この側は、以下で駆動側54と呼ばれる。
【0057】
このようにピストン本体52は、駆動側54と、送り出し側53と、外側ピストンジャケット5及び内側ピストンジャケット55とにより、境界付けられる。外側ピストンジャケット5は、図5〜図8の下で記載されているのと同じ構造を有することができる。内側ピストンジャケット55は、駆動側54と送り出し側53との間に内側接続を形成する。内側ピストンジャケット55は、ピストン軸9と対向する内側側59でピストン本体52を境界付ける。
【0058】
内側ピストンジャケット55は、送り出し側53上で突起56と一体となっている。実施形態中の突起56は、ピストン本体52の腕として一部図示されて見える薄壁の回転対称体である。突起56は、ピストン軸9に沿った、すなわちピストン軸方向の案内、例えば内側管67に沿った案内のための内側案内部材57を有する。案内部材57は、内側管67の壁66に密閉接触を確立するのに好適である。案内部材57は、特に密閉リップとして作られることができる。もし必要なら、複数の密閉リップをが提供されてもよい。突起56は、案内部材57よりも送り出し側53から狭い間隔を有するスクレーパー部材58を含む。充填物に最も近いか、又は充填物に到達すらしているピストンの形状が、間隔を決定するために測定される。簡単なピストンでは、この形状は、ピストン表面又はピストンを覆う防護部材63、例えばカバープレートであることができる。ピストン軸に垂直な平面が、送り出し側に防護部材63の表面の近くに置かれる。この垂直な平面とスクレーパー部材58の間の垂直な間隔は、案内部材57とその垂直な平面との間の垂直な間隔と比較される。案内部材57の先端は特に、案内部材57が内側管57の壁66と接触するところで選択される。この先端は、ピストンの回転対象性により壁66を備えた案内部材57の全ての接触点を代表する。案内部材57の接触点と送り出し側を特徴付ける平面との間隔は、よって、スクレーパー部材58の任意の所望の点と前に指定された平面との間隔よりも広い。そこで充填物は、送出の間に圧縮力がピストンにかけられればすぐに壁66に接触するスクレーパー部材58を「見る」のみである。スクレーパー部材58はこのようにして充填物からピストンに向けて見る方向にある案内部材57の前にある。充填物が送出に関しピストン軸の方向にある支持面61に沿って方向付けられるというこの特徴にによって既に利点が得られている。充填物に含まれる固形物粒子は、スクレーパー部材の壁66への近接性によって、スクレーパー部材58を通ることができない。スクレーパー部材58は特に縁60を有している。縁60は、半径方向にあるピストン軸9に最も近いスクレーパー部材58の先端を含んでいる。壁への近接性という用語は、スクレーパ部材58の縁60の接触が壁にあるか又は、予想される平均的な粒子直径よりも狭い間隔で、壁からのそこの間隔が狭い間隔であるかとして理解される。
【0059】
案内部材57は、ピストン軸9と縁60の間隔以上に、半径方向のピストン軸9と間隔が空いている。案内部材57はカートリッジの壁66にあって、充填物を含んだカートリッジの内側空間をその外部に対して密閉する。これにより駆動側への充填物の送出が防止される。縁60はピストン軸9からR3の半径間隔を有し、案内部材57はピストン軸からR4の半径間隔を有し、R3とR4の間の差は、最大0.5mm、好ましくは0.3mm、特に好ましくは0.2mmに達する。この半径間隔は、圧縮力がピストンにかかっていない限り、すなわち送出がまだ開始されていない状態においては、内側チューブの壁66からの縁60の間隔に対応する。
【0060】
縁60は、ピストン軸9に、80°〜110°の間に、特に実質的に垂直に、配置される支持面61に結合する。支持面はこのように配置され、スクレーパー部材58により取り上げられる任意の固形物粒子が、充填物と一緒に送出される。もし支持面が実質的にピストン軸と垂直に配置されたなら、固形物粒子はピストン軸の方向に移動することができる。このように、壁に近い領域に、固形物粒子が集中することを防ぐことができる。
【0061】
もし支持面61が、該支持面と80°までの、好ましくは60°までの、特に好ましくは45°までの角度69をなすセクション62を有していれば、特に有利であることが発見された。角度69は支持面61から又は垂直な平面からピストン軸までを測り、ピストン軸に垂直な平面は、支持面61とセクション62との間に形成された縁を含む。セクションの傾きは、駆動側の方向にあり、それはセクション61の各点であり、その各点は、縁80から離れるほど、縁が図面の区切り平面と交差する点よりも駆動側54に対して短くなる間隔を有する。セクション62の傾きは、このように駆動側54の方向になされる。
【0062】
環状のピストンは、同様に通気部材を含むことができるが、通気部材はここでは図示されていない。ピストン本体はまた剛性リブ65又は傾斜した固定部材(18,64)をも含むことができる。
【符号の説明】
【0063】
1 ピストン
2 ピストン本体
3 送り出し側
4 駆動側
5 ピストンジャケット
6 突起
7 案内部材
8 スクレーパー部材
9 ピストン軸
10 縁
11 支持面
12 セクション
13 防護部材
14 通気部材
15 剛性リブ
16 カートリッジの壁、腕
17 カートリッジ
18 傾斜した固定部材
19 角度
30 縁
31 密閉リップ
32 圧縮力
34 肩
35 接線成分
36 垂直成分
51 環状ピストン
52 ピストン本体
53 送り出し側
54 駆動側
55 内側ピストンジャケット
56 突起
57 内側案内部材
58 スクレーパー部材
59 内側側
60 縁
61 支持面
62 セクション
63 防護部材
64 傾斜した固定部材
65 剛性リブ
66 壁
67 内側管
69 角度
80 縁
101 ピストン
102 ピストン本体
103 送り出し側
104 駆動側
105 ピストンジャケット
106 突起
107 案内部材
109 ピストン軸
110 縁
111 支持面
112 セクション
113 防護部材、カバープレート
114 通気部材
115 剛性リブ
116 壁
117 カートリッジ
118 プランジャー部材、送出装置
119 栓
120 シート
121 フランク
122 バルブ本体
123 周辺溝
124 密閉リップ、充填物
125 切り欠き
126 接線成分
127 垂直成分
128 粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送り出し側(3、53)と、その反対側に配された駆動側(4、54)と、周辺側に設けられたピストンジャケット(5、55)とを有するピストン本体(2、52)を含むピストン(1、51)であって、
前記ピストンジャケット(5、55)は、送り出し側(3、53)と駆動側(4、54)との間に接続を形成し、
前記ピストンジャケット(5、55)は、ピストン軸(9)周りに配置され、
送り出し側(3、53)上のピストンジャケット(5、55)は、カートリッジ内のピストンを案内するための案内部材(7)を有する突起(6)と一体となり、
前記案内部材は、カートリッジの壁と密閉接触を確立するよう適合しており、
前記突起(6)がスクレーパー部材(8)を有し、該スクレーパー部材の送り出し側(3)からの間隔が案内部材(7)よりも短いことを特徴とするピストン。
【請求項2】
スクレーパー部材(8)が縁(10)を有し、該縁(10)は半径方向のピストン軸(9)から最も離れたところにあるスクレーパー部材(8)の先端を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のピストン。
【請求項3】
案内部材(7)が半径方向のピストン軸(9)から間隔があり、ピストン軸(9)からの縁(10)の間隔よりも長いことを特徴とする請求項2に記載のピストン。
【請求項4】
縁(10)はピストン軸から半径方向に間隔R1があり、且つ案内部材(7)はピストン軸から間隔R2があり、R1とR2との差が最大0.5mm、好ましくは0.3mm、特に好ましくは0.2mmに達することを特徴とする請求項3に記載のピストン。
【請求項5】
縁(10)がピストン軸(9)に対して80°〜110°の間に、特に実質的に垂直に配置される支持面(11)を境界付けることを特徴とする請求項2〜4に記載のピストン。
【請求項6】
支持面(11)が、支持面(11)と80°以下、好ましくは60°以下、特に好ましくは45°以下の角度(19)を有するセクション(12)を含むことを特徴とする請求項5に記載のピストン。
【請求項7】
内側ピストンジャケット(55)を含み、内側ピストンジャケット(55)はピストン軸(9)に対向する内側側(59)でピストン本体(52)の境界をなし、ピストン軸(9)に沿ってピストンの案内をするための内側案内部材(57)を含む内側突起(56)を含み、内側案内部材(57)が内側管の壁との密閉接触の確立に適しており、前記内側突起(56)が、内側案内部材(57)よりも送り出し側からの間隔が短い内側スクレーパー部材(58)を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のピストン(51)。
【請求項8】
内側スクレーパー部材(58)が内側縁(60)を有し、該縁(60)は半径方向に少なくともピストン軸(9)から離れたところにある内側スクレーパー部材(58)の先端を含んでいることを特徴とする請求項7に記載のピストン。
【請求項9】
案内部材(7)は、ピストン軸(9)から半径方向に間隔があり、その間隔は、ピストン軸からの内側縁(60)の間隔と等しいか又は短いことを特徴とする請求項8に記載のピストン。
【請求項10】
内側縁(60)はピストン軸(9)から半径方向に間隔R3があり、且つ案内部材(57)がピストン軸(9)から間隔R4があり、R3とR4との差が最大0.5mm、好ましくは0.3mm、特に好ましくは0.2mmに達することを特徴とする請求項9に記載のピストン。
【請求項11】
防護部材(13、63)が送り出し側(3、53)に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のピストン。
【請求項12】
ピストンが通気部材(14)を含むことを特徴とする請求項1〜1のいずれか1項に記載のピストン。
【請求項13】
剛性リブ(15、65)が配設され、及び/又は、傾斜した固定部材(18,64)が駆動側(4,54)に設けられていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のピストン。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のピストンを含む送出装置。
【請求項15】
複数の要素の送出のためのカートリッジ(17)を含み、複数の要素がお互いに隣に又は同軸的に並べられたカートリッジの空洞に並べられている請求項14に記載の送出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−164196(P2010−164196A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278550(P2009−278550)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(509287946)ズルツァー ミックスパック アーゲー (14)
【Fターム(参考)】