説明

カードディスペンサ

【課題】カセット内カード枚数を増大させても繰出モータ負荷を増大させたり、装置の高さ増を招かず、カセットからスムーズにカードを繰出分離でき、カセットの着脱操作性を高め、横臥後のカードの搬送性を安定できるカードディスペンサを提供する。
【解決手段】複数枚のカード型記憶媒体Cを縦姿勢にて収容するカード収容手段2から取出し送出する装置本体10と、カード取出部から取り出し縦姿勢のままでカード収容手段の外へ送出すカード取出し機構11と、取出された縦姿勢のカード型記憶媒体を傾倒させて横姿勢とするカード傾倒機構15と、カード傾倒機構15によって横姿勢となったカード型記憶媒体を放出口35に向けて搬送するカード搬送機構30と備え、カード傾倒機構15は、起立姿勢と横臥姿勢との間を回動自在に支持され起立姿勢にあるときにカード取出し機構11によって送り込まれたカードを保持するホルダ16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はICカードを始めとした各種カードを発行、回収する機能を備えたカードディスペンサの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
電鉄の駅に入場して列車に乗車するためのICカードや、テーマパーク、遊園地等への入場・利用のためのICカードを発行するカードディスペンサとして、図5に示した如きものが知られている。
このカードディスペンサは、多枚数(例えば、500〜1000枚)のICカードCを水平な姿勢で縦方向に堆積させた状態で収容する縦長のカセット101と、カセット101の下部を着脱自在に支持する装置本体110と、から構成されている。装置本体110は、カセット101下部の取出し口から最下部のICカードを取出しつつ一枚に分離するフィードローラを有したカード分離部111と、カード分離部111により分離されたカードを横方向に搬送して放出口113から放出する搬送部112と、搬送部による搬送経路に配置されてICカードに必要な情報を書き込んだり記録データを読取るリーダライタ114と、書込みエラーと判定されてスイッチバック搬送されたICカードを落下させて回収する回収庫115と、を備えている。
しかし、ICカードを水平に堆積するカセット101はディスペンサの全高を大型化するばかりでなく、レイアウトの関係でカセットが最奥部に位置するためにカセットの着脱操作が困難化する。更に、回収庫115を設けた場合には装置高さが更に増大するという欠点を有する。
また、500枚〜1000枚のICカードを平積み状態で積層するとカード分離部111を構成するフィードローラに対して過負荷が加わり、繰出し分離時におけるモータの負荷が過大となり、消費電力の増大、耐久性低下という問題を惹起する。また、カセット101内に多枚数のICカードが収納されている状態では最下部のICカードに加わる荷重が増大するために繰出し分離に要するモータ出力を大きくする必要がある一方で、残枚数が減少した状態では繰出し分離に要するモータ出力を減少させる必要があるが、このような制御は非常に困難である。例えば仮に多枚数のICカードからの大きな荷重を前提としてモータ出力を強く設定した場合、カード枚数が大幅に減少してきた段階では重りによって加圧してカード分離部に加わる荷重を増大させる等の手法を採用する必要があり、構成が複雑化する。
【0003】
特許文献1には、カセット内に水平姿勢で積載されたICカード群の最下部から所定枚数上方に位置するICカード群をカセット内壁から突設した突起により係止して突起より下方に空間を形成することにより、多枚数のICカードが積載されている場合であってもフィードローラにICカードから加わる荷重を常に一定とする構成が開示されている。
しかし、カセット内部に大きな空間が形成されるため、カセット内のカード収納枚数を増大させようとすると、空間の分だけカセット高さが更に増大する虞がある。また、空間の下方に位置する少ない枚数のカードに対しては十分な荷重をかけることができないため、フィードローラによる繰出し分離力が不十分となる虞がある。
また、特許文献2には、複数枚のカードをカード発行機の前後奥行き方向に並べて収納するカードホッパーと、カードホッパーからカードを一枚ずつ繰出すカード繰出し機構と、繰り出されたカードを発行口へ搬送するカード搬送路と、を有し、繰出し機構はカードホッパーから繰り出されるカードの繰出し方向と、カード搬送路におけるカードの搬送方向とが直交するようにカードを案内する案内機構を備えたカード発行機が開示されている。特許文献2の図6にはカードホッパーから繰り出されたカードを2つのローラによってニップしてからこのローラ対を移動させることによりカード搬送路へ移載する構成が開示されているが、カードをニップするローラ対を長い経路を経て移動させる必要があるため、構成が複雑、大型化するという問題がある。また、図8にはカードホッパーから垂直に下降してきたカードの下端を水平なガイド面に設けた凹所内に着座させてから当該カードの一面をリンク機構により押圧してガイド面上に水平な姿勢に傾倒させるようにした構成が開示されているが、しかし、ガイド面上に傾倒したあとのカードの姿勢、方向が一定とならず、搬送路上での搬送が安定しないという問題がある。
【特許文献1】特開2001−52118公報
【特許文献2】特開2006−163767公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のように従来のカードディスペンサにあっては、水平姿勢(平積み状態)で上下方向に積層した多枚数のカードをカセット内に収容していたため、カード全体の大きな荷重がフィードローラにかかってモータに多大な負荷がかかっていた。また、カード枚数の減少に応じてフィードローラ出力を変更したり、重りによりカードを加圧する必要があったため、構成が複雑化する虞があった。また、特許文献1のようにカセット内壁に設けた突起によって所定高さ位置にあるカードを係止することにより突起より下側に空間を形成した場合には、カセット高さの増大や、フィードローラ上のカードに加わる荷重の低下による繰出し不良という問題が生じる。また、特許文献2のように構成した場合には構成の複雑化、傾倒した後のカードの姿勢がばらついて搬送が不安定化するという問題があった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、カセット内に収納するカード枚数を増大させたとしても繰出しモータの負荷を増大させたり、装置の高さ増を招くことがなく、しかもカセットから常にスムーズにカードを繰出し分離することができ、更にカセットの着脱操作性を高めることができるカードディスペンサを提供することを目的としている。
更に、構成の複雑化を招いたり、傾倒した後のカードの姿勢のバラツキにより搬送が不安定化するという問題を解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、積層した複数枚のカード型記憶媒体を主面が縦方向となるように収容するカード収容手段と、該カード収容手段よりカード型記憶媒体を取り出して排出口に送り出す装置本体と、を備えたカードディスペンサであって、前記装置本体は、前記カード収容手段のカード取り出し部から少なくとも一枚のカード型記憶媒体を取り出し縦姿勢のままでカード収容手段の外へ送り出すカード取り出し機構と、該カード取り出し機構により取り出された縦姿勢のカード型記憶媒体を傾倒させて横姿勢とするカード傾倒機構と、該カード傾倒機構によって横姿勢となったカード型記憶媒体を排出口に向けて一枚ずつ搬送するカード搬送機構と、を備え、前記カード傾倒機構は、起立姿勢と横臥姿勢との間を回動自在に支持され起立姿勢にあるときに前記カード取出し機構によって送り込まれたカードを保持するホルダと、該ホルダを常時起立姿勢に付勢する弾性部材と、前記弾性部材に抗して前記ホルダを横臥姿勢に移動させる駆動機構と、を備えていることを特徴とする。
カード収容手段内のカードは縦姿勢で横方向に積層されているため、カード取出し機構に対してカード群からの荷重がかかることがなく、耐久性が低下することがない。カード残量の変化に応じた加圧は任意のバックアップ部材を用いて行えばよい。また、カード収容手段から取り出されたカードは一旦ホルダ内に収容され、ホルダごと傾倒させることによりカード搬送機構に供給されるため、カードの姿勢にバラツキが発生することがなくなり、搬送姿勢が安定する。
【0006】
請求項2の発明は、前記カード搬送機構は、前記ホルダが横臥姿勢にあるときに前記ホルダにより保持されたカードの一面に接触しつつ回転することにより該カードを前記搬送経路に送出するフィードローラを備えていることを特徴とする。
請求項3の発明は、前記ホルダにはニップローラが回転自在に軸支されており、該ホルダが横臥姿勢にあるときに該ニップローラは前記フィードローラとの間で該ホルダにより保持されたカードをニップすることを特徴とする。
ホルダ内のカードはカード収容手段から落下してきた時の姿勢を維持しながらカード搬送機構側に供給されるので、横臥姿勢に移行した後の姿勢が一定となる。しかもニップローラとフィードローラにより挟圧保持されるため、横臥した際の勢いにより姿勢がばらつくこともない。
請求項4の発明は、前記ホルダを常時起立姿勢に付勢する弾性部材と、前記弾性部材に抗して前記ホルダを横臥姿勢に移動させる駆動機構と、を備えたことを特徴とする。
請求項5の発明は、前記カード収容手段は、装置本体に対して着脱自在なカセットであることを特徴とする。
【0007】
請求項6の発明は、カード型記憶媒体に対する書き込みを行うライタ手段が、前記カード搬送機構の搬送経路上に配置されていることを特徴とする。
請求項7の発明は、前記カード収容手段のカード型記憶媒体積層方向と、カード取り出し機構と、カード傾倒機構と、カード搬送機構と、によって形成されるカード移動軌跡が略コ字状をなしていることを特徴とする。
全体形状が略コ字状をなすため高さ寸法を低減できる。
請求項8の発明は、前記駆動機構は、前記ホルダに一端を止着されたワイヤと、該ワイヤを進退させる回転部材と、該回転部材を駆動するモータと、を備えたことを特徴とする。
請求項9の発明は、前記駆動機構は、前記ホルダを回転自在に軸支する回転軸に一体化された位置固定のピニオンと、該ピニオンと噛合して進退するラックと、から構成されていることを特徴とする。
請求項10の発明は、前記カード搬送機構の下方には、回収カセットが配置され、前記カード搬送機構は回収カードを前記回収カセット内に落下させるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明によれば、縦姿勢にて横方向に積層した複数枚のICカードを収容する横長のカセットと、該カセットを横倒し姿勢にて着脱自在に装着する装置本体と、を備えているため、カセット内に収納するカード枚数を増大させたとしても繰出しモータの負荷を増大させたり、装置の高さ増を招くことがなく、しかもカセットから常にスムーズにカードを繰出し分離することができ、更にカセットの着脱操作性を高めることができる。
また、カード収容手段から下方に取り出されてきたカードは縦姿勢のままホルダ内に一旦保持され、ホルダ内に保持されたまま横臥姿勢に移行するため、横臥姿勢に移行した後にカードの姿勢が変動してばらつくことがない。このため、その後の搬送姿勢が安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るカードディスペンサの概略構成を示す正面図、図2はその構成及び動作の原理図である。
カードディスペンサ1は、例えば電鉄の駅構内に入場して列車に乗車するために必要とされるICカード(カード型記憶媒体)を発行する装置であり、カード購入者が金銭を投入してから、操作パネルから金額を指定した場合に、指定した金額に相当する金額データをICカード上に書き込んだ上で発行する。
カードディスペンサ1は、縦姿勢にて横方向に積層した複数枚のICカードC(ICカード群C’)を収容する横長のカセット(カード収容手段)2と、カセット2を横向きの姿勢にて着脱自在に装着する装置本体10と、を備えている。
なお、本発明のカードディスペンサ1によって取り扱われるカードはICカードに限らず、あらゆるタイプのカード型記憶媒体を含むものである。
【0010】
カセット(カード収容手段)2は、先端部に設けたカード取出し部3からICカードCを一枚ずつカセットの外部に排出するように構成されており、内部に収容したICカード群C’(ICカード積層体)の他端部をバネ等のバックアップ部材5によって常時排出方向へ弾性付勢するように構成されている。カセット2は横向きの姿勢にて装置本体10に装着されており、カセットを取り外す際には装置前方に位置する利用者が矢印Aで示す横方向手前側へ引き出す。装着する場合には逆の操作を行う。このため、従来のカードディスペンサのように奥に手を伸ばす必要がなくなり、カセットの着脱操作性を高めることができる。また、ICカードは横方向に積層されているため、カセット内に500〜1000枚程度の多枚数のICカードを収納したとしてもその大きな荷重が装置本体10側に加わることがない。
なお、本実施形態ではカード収容手段として装置本体に対して着脱自在なカセットを例示したが、装置本体に着脱できないタイプのカード収容手段であってもよい。
【0011】
バックアップ部材5としてはコイルバネ等の弾性部材を用い、ICカードの残枚数が多い場合には圧縮された状態にある弾性部材の強い弾発力によってカード群を取出し分離ローラ12に押し付けると共に、ICカード残量が少なくなった場合には伸長することによって低下した弾性部材の弾発力によって軽い力でカード群を取出し分離ローラに押し付ける。
装置本体10は、カセット先端部のカード取出し部3から少なくとも一枚のICカードCを順次取り出し、縦姿勢のままでカセット外(下方)へ送り出すカード取出し機構11と、カード取出し機構11により取り出されたICカードを傾倒させて横姿勢とするカード傾倒機構15と、カード傾倒機構15によって横姿勢となったICカードをカセットと並行な排出方向へ一枚ずつ搬送するカード搬送機構30と、カード搬送機構30による搬送経路に配置されてカードに対する書込みを行うライタ40と、回収カード(エラーカード、中古カード)を回収する回収カセット45と、を備えている。
図示のようにカセット2と、カード傾倒機構15と、カード搬送機構30とは、略コ字状をなしているため、高さ寸法を大幅に減縮することができる。
カード取出し機構11は、図示しないモータによって回転駆動される取出し分離ローラ12を備え、カセット2のカード取出し部3に露出したICカード面に接触しつつ回転することにより一枚のICカードを縦姿勢のまま下方へスライドさせてカード傾倒機構15に送り込む。
カード傾倒機構15は、カード取出し機構11から送り込まれたICカードを受け入れる起立姿勢と、前方へ90度傾倒(回動)した横臥姿勢との間を回動自在に支持されている。カード傾倒機構15は、起立姿勢にあるときにカード取出し機構11から送り込まれたICカードを保持するホルダ16と、ホルダ16を常時起立姿勢に付勢する弾性部材17と、弾性部材17に抗してホルダを横臥姿勢に移動させる駆動機構21と、を備えている。
【0012】
ホルダ16は、起立姿勢にあるときにカード取出し機構11から送り込まれたICカードを内部空所に受け入れたり、横臥姿勢にあるときにICカードを搬送経路へ排出するために上端部に開放部16aを有すると共に、背面側にはニップローラ22を回転自在に軸支するローラ支持部材18を有している。ホルダ16は、送り込まれてきたカードをその内部でがたつかせることなく安定した縦姿勢にて保持し続けると共に、ホルダが傾倒した際にはカードの姿勢をばらつかせることなく横臥させ得るようにその内部においてカードを保持し得るように構成されている。ローラ支持部材18は、ニップローラ22を回転自在に軸支すると共に、ホルダ背面に設けた軸支部16bによって下端部を前後方向へ回動自在に軸支され、且つバネ19によって前方へ付勢されている。ニップローラ22はホルダ背面に設けた開口16cを介して内部空所と連通することにより、内部空所に保持されたICカードの背面と圧接する。また、開口16cと対面するホルダ前面には開口16dが形成されている。ホルダ16が起立した状態において装置本体側に設けたストッパ20がホルダ背面適所と当接することにより、ホルダを所定角度に維持することができる。
カード搬送機構30は、ホルダ16が横臥姿勢にあるときにホルダにより保持されたICカードの前面に接触しつつ回転することによりICカードを搬送経路32に送出するフィードローラ31を備えている。ホルダが横臥姿勢にある時に、フィードローラ31はホルダ前面の開口16dから露出したICカード前面と当接する。従って、ホルダ16が横臥姿勢にあるときにニップローラ22はフィードローラ31との間でホルダ16により保持されたICカードをニップすることができ、フィードローラ31の回転によってホルダ内のICカードを取り出す際の補助となる。
【0013】
また、カード搬送機構30は搬送経路32に沿って複数の搬送ローラ33を有しており、これらの搬送ローラ33を駆動することによりICカードCを放出口35から外部に放出する。
カード搬送機構30による搬送経路に配置されてICカードに対する書込みを行うライタ40は、カードディスペンサ利用者が所定金額の金銭を投入し、且つ操作パネルにより金額を指定する操作を行った場合に、当該金額をICカードのメモリに書き込む。また、ICカードの記録データを読取る読取機能を備えたライタ(リーダライタ)を用いる場合には、書込みエラーとなったエラーカードである等を判断するためのデータを読取る。図示しない制御部(CPU)は、リーダライタからの読取り結果を示す信号に基づいてカード搬送機構30を構成するモータ等を制御して回収カセット45に回収するために搬送ローラ33を逆転駆動する等の措置を講ずる。
【0014】
図3(a)及び(b)は駆動機構の正面図、及び側面図であり、この実施形態に係る駆動機構21は、ホルダ16に一端を止着されたワイヤ23と、ワイヤ23の中間部を巻掛ける固定ローラ24と、ワイヤ23の他端部に固定され回転することによりワイヤを進退させる回転部材25と、回転部材25を駆動する図示しないモータと、を備えている。回転部材25は、回転軸25aを中心として一方向に360度回転駆動される過程で、先端部に設けたワイヤ23を固定ローラ24を介して進退させることにより、ホルダ16を起立姿勢と横臥姿勢との間で進退させる。回転部材25が実線で示した停止位置1にある時にはホルダ16は弾性部材17の付勢力により起立した状態にあり、回転部材25が鎖線で示した停止位置2にあるときにはホルダ16は横臥した姿勢となる。
【0015】
次に図4は他の実施形態に係る駆動機構の構成を示す図であり、この駆動機構21は、ホルダ16を回転自在に軸支する回転軸26aに一体化された位置固定のピニオン26と、ピニオンと噛合して進退するラック27と、から構成されている。なお、ホルダ16を起立姿勢、又は傾倒姿勢に保持する弾性部材を設けても良い。
ラック27を矢印方向へ進退駆動することにより、ピニオン26が自転し、ピニオンと一体化されたホルダ16を矢印方向へ回動させる。
なお、上記実施形態ではカセット2からホルダ16に一枚ずつICカードを供給したが、複数枚ずつホルダに供給し、ホルダを横臥姿勢にした段階で一枚ずつ分離搬送するように構成してもよい。
また、カセット2からICカードを取り出す方向は下方に限らず、上方、横方向であってもよい。例えば、装置本体10をカセット2の上方に配置した場合にはカセットから取り出したICカードは上方にスライドさせる構成となる。また、カセットの横方向に装置本体を配置した場合にはICカードは横方向へスライドさせる構成となる。
【0016】
以上のように本発明のカードディスペンサ1は、積層した複数枚のカード型記憶媒体を主面が縦方向となるように収容するカード収容手段2と、カード収容手段よりカード型記憶媒体を取り出して排出口に送り出す装置本体10と、を備え、装置本体は、カード収容手段のカード取り出し部から少なくとも一枚のカード型記憶媒体を取り出し縦姿勢のままでカード収容手段の外へ送り出すカード取り出し機構11と、カード取り出し機構により取り出された縦姿勢のカード型記憶媒体を傾倒させて横姿勢とするカード傾倒機構15と、カード傾倒機構によって横姿勢となったカード型記憶媒体を排出口に向けて一枚ずつ搬送するカード搬送機構30と、を備えている。更に、カード傾倒機構15は、起立姿勢と横臥姿勢との間を回動自在に支持され起立姿勢にあるときにカード取出し機構によって送り込まれたカードを保持するホルダ16と、ホルダを常時起立姿勢に付勢する弾性部材17と、弾性部材に抗してホルダを横臥姿勢に移動させる駆動機構21と、を備えている。このため、カード収容手段2から取り出されたカード型記憶媒体の姿勢はホルダによって常に一定であり、そのままの姿勢を維持しながら横臥姿勢に移行する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るカードディスペンサの概略構成を示す正面図である。
【図2】図1の構成及び動作の原理図である。
【図3】(a)及び(b)は駆動機構の正面図、及び側面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る駆動機構の構成を示す図である。
【図5】従来例の説明図である。
【符号の説明】
【0018】
1…カードディスペンサ、2…カセット(カード収容手段)、5…バックアップ部材、10…装置本体、11…カード取出し機構、12…分離ローラ、15…カード傾倒機構、16…ホルダ、16a…開放部、16b…軸支部、16c…開口、16d…開口、17…弾性部材、18…ローラ支持部材、19…バネ、20…ストッパ、21…駆動機構、22…ニップローラ、23…ワイヤ、24…固定ローラ、25…回転部材、25a…回転軸、26…ピニオン、26a…回転軸、27…ラック、30…カード搬送機構、31…フィードローラ、32…搬送経路、33…搬送ローラ、35…放出口、40…ライタ、45…回収カセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層した複数枚のカード型記憶媒体を主面が縦方向となるように収容するカード収容手段と、該カード収容手段よりカード型記憶媒体を取り出して排出口に送り出す装置本体と、を備えたカードディスペンサであって、
前記装置本体は、前記カード収容手段のカード取り出し部から少なくとも一枚のカード型記憶媒体を取り出し縦姿勢のままでカード収容手段の外へ送り出すカード取り出し機構と、該カード取り出し機構により取り出された縦姿勢のカード型記憶媒体を傾倒させて横姿勢とするカード傾倒機構と、該カード傾倒機構によって横姿勢となったカード型記憶媒体を排出口に向けて一枚ずつ搬送するカード搬送機構と、を備え、
前記カード傾倒機構は、起立姿勢と横臥姿勢との間を回動自在に支持され起立姿勢にあるときに前記カード取出し機構によって送り込まれたカードを保持するホルダと、前記ホルダを横臥姿勢に移動させる駆動機構と、を備えたことを特徴とするカードディスペンサ。
【請求項2】
前記カード搬送機構は、前記ホルダが横臥姿勢にあるときに前記ホルダにより保持されたカードの一面に接触しつつ回転することにより該カードを前記搬送経路に送出するフィードローラを備えていることを特徴とする請求項1に記載のカードディスペンサ。
【請求項3】
前記ホルダにはニップローラが回転自在に軸支されており、該ホルダが横臥姿勢にあるときに該ニップローラは前記フィードローラとの間で該ホルダにより保持されたカードをニップすることを特徴とする請求項1、又は2に記載のカードディスペンサ。
【請求項4】
前記ホルダを常時起立姿勢に付勢する弾性部材と、前記弾性部材に抗して前記ホルダを横臥姿勢に移動させる駆動機構と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のカードディスペンサ。
【請求項5】
前記カード収容手段は、装置本体に対して着脱自在なカセットであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のカードディスペンサ。
【請求項6】
カード型記憶媒体に対する書き込みを行うライタ手段が、前記カード搬送機構の搬送経路上に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のカードディスペンサ。
【請求項7】
前記カード収容手段のカード型記憶媒体積層方向と、カード取り出し機構と、カード傾倒機構と、カード搬送機構と、によって形成されるカード移動軌跡が略コ字状をなしていることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載のカードディスペンサ。
【請求項8】
前記駆動機構は、前記ホルダに一端を止着されたワイヤと、該ワイヤを進退させる回転部材と、該回転部材を駆動するモータと、を備えたことを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載のカードディスペンサ。
【請求項9】
前記駆動機構は、前記ホルダを回転自在に軸支する回転軸に一体化された位置固定のピニオンと、該ピニオンと噛合して進退するラックと、から構成されていることを特徴とする請求項1、5、6、又は7の何れか一項に記載のカードディスペンサ。
【請求項10】
前記カード搬送機構の下方には、回収カセットが配置され、前記カード搬送機構は回収カードを前記回収カセット内に落下させるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載のカードディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−282674(P2009−282674A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133014(P2008−133014)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(305027456)ネッツエスアイ東洋株式会社 (200)
【Fターム(参考)】