説明

カードデバイス及び移動通信端末

【課題】アンテナ感度の悪化を軽減するカードデバイス及び移動通信端末を提供することを目的とする。
【解決手段】移動通信端末に装着される無線通信用のカードデバイスであって、送受信用の第1アンテナ23と、カードデバイス外部の第2アンテナ13に接続されるアンテナ端子22bと、前記第1アンテナ23と前記アンテナ端子22bとを切り替えてカードデバイス内蔵の送受信回路に接続する第1スイッチ24と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信端末に装着される無線通信用のカードデバイス及びそれを装着する移動通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の移動通信端末では、近距離のデータ転送用として赤外線送受信、Bluetooth(登録商標)等の無線機能を搭載することが一般化している。更に、中距離のデータ転送用として無線LANの機能を移動通信端末に追加搭載することが要望されている。
【0003】
無線LANの機能を追加搭載する場合、例えばマイクロSDカード等のカードデバイスにアンテナを含む無線LANの回路ブロックを搭載して無線LANカードとし、この無線LANカードを移動通信端末に装着することで実現される。
【0004】
なお、移動通信端末にカードデバイス用アンテナを設け、カードデバイスが移動通信端末に装着された場合にカードデバイス用アンテナをカードデバイスに接続する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−60160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
携帯電話機における無線LANカードの装着位置は機種によって異なっている。無線LANカードにアンテナを含む無線LANの回路ブロックを搭載しているとすると、無線LANカードのアンテナ部分が携帯電話機を保持するユーザの手で覆われる場合や、無線LANカードのアンテナ部分が携帯電話機の電池パックや基板等で覆われる場合がある。このような場合には無線LANカードのアンテナ感度が悪化し、無線LAN機能を有効に使用できないという問題があった。
【0007】
また、一般的に、携帯電話機等の移動体通信ではマルチパスの影響を受けることがあり、特に、無線LANで使用する周波数2.4GHzの帯域ではマルチパスの影響が顕著になるという問題があった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、アンテナ感度の悪化を軽減するカードデバイス及び移動通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施態様によるカードデバイスは、
移動通信端末に装着される無線通信用のカードデバイスであって、
送受信用の第1アンテナ(23)と、
カードデバイス外部の第2アンテナ(13)に接続されるアンテナ端子(22b)と、
前記第1アンテナ(23)と前記アンテナ端子(22b)とを切り替えてカードデバイス内蔵の送受信回路に接続する第1スイッチ(24)と、を有する。
【0010】
また、本発明の一実施態様による移動通信端末は、
請求項1記載のカードデバイスを装着される移動通信端末であって、
前記カードデバイスが送受信する信号と同一周波数帯の信号を送受信する第2アンテナ(13)と、
前記第2アンテナ(13)を前記カードデバイスの前記アンテナ端子(22b)と移動通信端末内蔵の送受信回路(15)のいずれかに切り替えて接続する第2スイッチ(14)と、を有する。
【0011】
好ましくは、前記カードデバイスは、前記第1アンテナ(23)で受信した信号の受信信号強度と前記第2アンテナ(13)で受信した信号の受信信号強度とを比較して、受信信号強度が大なる方の第1又は第2アンテナを選択して前記カードデバイス内蔵の送受信回路に接続させる制御手段(16)を有する。
【0012】
好ましくは、前記第2スイッチ(14)は、ユーザの選択に応じて切り替え接続する。
【0013】
なお、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アンテナ感度の悪化を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の移動通信端末と無線LANカードの平面図である。
【図2】移動通信端末と無線LANカードの概略構成図である。
【図3】無線LANカードのブロック構成図である。
【図4】RFスイッチの切り替え制御処理の一実施形態のフローチャートである。
【図5】アンテナの相対位置関係の各実施形態を示す図である。
【図6】アンテナの相対位置関係の各実施形態を示す図である。号スペクトラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
【0017】
<移動通信端末と無線LANカードの平面図>
図1は、本発明の移動通信端末と無線LANカードの平面図を示す。図1(A)は移動通信端末の一実施形態の平面図を示す。ここでは、移動通信端末10の裏面カバーを外した状態を示している。移動通信端末10内の例えば電池パック11の近傍にカードデバイス用コネクタ12が配設されている。このカードデバイス用コネクタ12にはカードデバイスとしての無線LANカード(図1(B))が矢印方向に挿入されて装着される。無線LANカードは着脱自在である。
【0018】
また、移動通信端末10内にはBluetooth(登録商標)用として周波数2.4GHz帯のアンテナ13が配設されている。なお、移動通信端末10内にはアンテナ13の他にも、移動通信用のアンテナや地上デジタル放送のワンセグ用アンテナ等が配設されている。
【0019】
図1(A)はカードデバイスとしての無線LANカードの一実施形態の平面図を示す。ここでは、無線LANカード20としてマイクロSDカードを使用している。無線LANカード20には、マイクロSDカード標準の8個の端子21の他に、2個の端子22a,22bが設けられている。端子21は1個の電源端子と、1個の接地端子と、4個のデータ端子と、1個のクロック端子と、1個のコマンド端子であり、端子22aは接地端子、22bはアンテナ端子である。また、無線LANカード20内には無線LAN用として周波数2.4GHz帯のアンテナ23が配設されている。
【0020】
なお、無線LAN規格であるIEEE802.11b/gで規定される無線LANは周波数2.4GHz帯を使用し、Bluetooth(登録商標)においても無線LANと同一の周波数2.4GHz帯を使用している。
【0021】
図2は、移動通信端末と無線LANカードの概略構成図を示す。図2において、無線LANカード20内において、アンテナ23とアンテナ端子22bはRFスイッチ24に接続され、また、RFスイッチ24は無線LAN処理部25に接続されている。RFスイッチ24は無線LAN処理部25からの制御により、アンテナ23とアンテナ端子22bのいずれか一方を無線LAN処理部25に接続する。
【0022】
無線LANカード20のアンテナ端子22bは移動通信端末10のRFスイッチ14の端子aに接続されている。RFスイッチ14の端子bにはブルートゥース処理部15が接続され、RFスイッチ14の端子cにはアンテナ13が接続されている。
【0023】
移動通信端末10全体を制御する制御部16は、ユーザがブルートゥース使用モードを選択するとRFスイッチ14の端子b,c間を接続してアンテナ13をブルートゥース処理部15に接続する。また、制御部16はユーザが無線LAN使用モードを選択するとRFスイッチ14の端子a,c間を接続してアンテナ13を無線LANカード20のアンテナ端子22bを介してRFスイッチ24に接続する。
【0024】
なお、無線LAN処理部25は端子21を介して移動通信端末10の制御部16と接続されている。
【0025】
<無線LANカードの構成>
図3は、無線LANカードのブロック構成図を示す。図3において、無線LAN処理部25はマイクロプロセッサを含んでおり、このマイクロプロセッサがメモリとして使用するEEPROM31が接続されている。また、無線LAN処理部25には発振回路32からクロックが供給される。無線LAN処理部25は端子21を介して移動通信端末10の制御部16から無線LAN使用モードを指示されると、送受信信号のRF(高周波)信号処理、ベースバンド処理、MAC処理等を実行する。また、無線LAN処理部25はRFスイッチ24の切り替え制御を行う。
【0026】
端子21を介して移動通信端末10の制御部16等から供給される送信データは無線LAN処理部25においてMAC処理、ベースバンド処理、RF信号処理を行われて送信信号とされ、帯域フィルタ(BPF)33で帯域制限されて増幅回路34に供給される。増幅回路34で増幅された送信信号は低域フィルタ(LPF)35で不要周波数成分を除去されてRFスイッチ24に供給され、RFスイッチ24が選択するアンテナ23又はアンテナ13のいずれか一方から送信される。
【0027】
なお、移動通信端末10のアンテナ13が接続される端子22bとRFスイッチ24との間にはマッチング回路36が設けられている。マッチング回路36は、例えば端子22bとRFスイッチ24との間に直列接続された2つのキャパシタと、2つのキャパシタの接続点と接地間に接続されたインダクタを有し、RFスイッチ14とRFスイッチ24間のインピーダンスマッチングを行う。
【0028】
また、アンテナ13又はアンテナ23のいずれか一方で受信された信号がRFスイッチ24で選択され、帯域フィルタ37で帯域制限されて無線LAN処理部25に供給される。受信信号は無線LAN処理部25においてRF信号処理、ベースバンド処理、MAC処理を行われ、端子21から移動通信端末10の制御部16等に供給される。
【0029】
<RFスイッチの切り替え制御>
図4は無線LAN処理部25が実行するRFスイッチ24の切り替え制御処理の一実施形態のフローチャートを示す。なお、無線LANフレームは、プリアンブル領域とヘッダ領域とデータ領域を有し構成される。
【0030】
図4において、ステップS1で無線LANフレームのプリアンブル期間において無線LANカード20のアンテナ23(メインアンテナと表記)を選択するようRFスイッチ24を制御し、アンテナ23で受信した信号の受信信号強度を保持する。また、ステップS2で無線LANフレームのプリアンブル期間において移動通信端末10のアンテナ13(サブアンテナと表記)を選択するようRFスイッチ24を制御し、アンテナ13で受信した信号の受信信号強度を保持する。
【0031】
次に、ステップS3でアンテナ23の受信信号強度とアンテナ13の受信信号強度を比較する。ここで、アンテナ23(メインアンテナ)の受信信号強度が大なるときはステップS4に進んでアンテナ23(メインアンテナ)を選択するようRFスイッチ24を制御し、無線LANフレームのヘッダ領域及びデータ領域(メインフレーム)をアンテナ23で受信する。更に、ステップS5で送信フレームの有無を判別し、送信フレームがあればステップS6で送信フレームをアンテナ23で送信してステップS1に進む。
【0032】
一方、アンテナ13(サブアンテナ)の受信信号強度が大なるときはステップS7に進んで、アンテナ13(サブアンテナ)を選択するようRFスイッチ24を制御し、無線LANフレームのヘッダ領域及びデータ領域(メインフレーム)をアンテナ13で受信する。更に、ステップS8で送信フレームの有無を判別し、送信フレームがあればステップS9で送信フレームをアンテナ13で送信してステップS1に進む。
【0033】
このように、アンテナ13とアンテナ23のうち受信信号強度が大なる方のアンテナを選択して無線LANフレームのヘッダ領域及びデータ領域を受信するため、無線LANカード20のアンテナ23部分がユーザの手や携帯電話機の電池パックや基板等で覆われてアンテナ23の感度が悪化した場合には、アンテナ感度の良好な移動通信端末10のアンテナ13を用いて無線LANフレームの送受信を行うことができる。すなわち、アンテナ感度の悪化を軽減することができる。
【0034】
<ダイバーシチ>
無線LANカード20は、移動通信端末10のコネクタ12に装着されるため、移動通信端末10におけるコネクタ12の配設位置の違いによって無線LANカード20のアンテナ23と移動通信端末10のアンテナ13との相対位置関係が異なる。
【0035】
図5及び図6に、アンテナ13,23の相対位置関係の各実施形態を示す。図5においては、アンテナ13とアンテナ23の長手方向は共にX方向であり、アンテナ13とアンテナ23は距離L1だけ離間している。この場合は図4の切り替え制御処理を実行することにより、アンテナ13とアンテナ23との間で空間ダイバーシチを実現できる。
【0036】
図6においては、アンテナ13の長手方向がX方向であるのに対しアンテナ23の長手方向はY方向であり互いに直交している。つまり、アンテナ13が水平偏波であるとすれば、アンテナ13は垂直偏波である。この場合は図4の切り替え制御処理を実行することにより、アンテナ13とアンテナ23との間で偏波ダイバーシチを実現できる。
【0037】
上記の空間ダイバーシチ又は偏波ダイバーシチを行うことによって、マルチパスの影響を軽減することができる。
【符号の説明】
【0038】
10 移動通信端末
11 電池パック
12 カードデバイス用コネクタ
13,23 アンテナ
14,24 RFスイッチ
20 無線LANカード
21,22a,22b 端子
25 無線LAN処理部
31 EEPROM
32 発振回路
33,37 帯域フィルタ
34 増幅回路
35 低域フィルタ
36 マッチング回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信端末に装着される無線通信用のカードデバイスであって、
送受信用の第1アンテナと、
カードデバイス外部の第2アンテナに接続されるアンテナ端子と、
前記第1アンテナと前記アンテナ端子とを切り替えてカードデバイス内蔵の送受信回路に接続する第1スイッチと、
を有することを特徴とするカードデバイス。
【請求項2】
請求項1記載のカードデバイスを装着される移動通信端末であって、
前記カードデバイスが送受信する信号と同一周波数帯の信号を送受信する第2アンテナと、
前記第2アンテナを前記カードデバイスの前記アンテナ端子と移動通信端末内蔵の送受信回路のいずれかに切り替えて接続する第2スイッチと、
を有することを特徴とする移動通信端末。
【請求項3】
請求項1記載のカードデバイスにおいて、
前記第1アンテナで受信した信号の受信信号強度と前記第2アンテナで受信した信号の受信信号強度とを比較して、受信信号強度が大なる方の第1又は第2アンテナを選択して前記カードデバイス内蔵の送受信回路に接続させる制御手段を
有することを特徴とするカードデバイス。
【請求項4】
請求項2記載の移動通信端末において、
前記第2スイッチは、ユーザの選択に応じて切り替え接続することを特徴とする移動通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−23919(P2011−23919A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166409(P2009−166409)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】