カード処理装置、およびデータ処理装置
【課題】磁気カードに記録されている磁気データが窃取されるのを略確実に防止でき、セキュリティを大幅に向上させたカード処理装置を提供する。
【解決手段】カード処理装置1は、放射源31、および32により挿入口11の外側に妨害磁界を放射する。放射源31から放射される妨害磁界H1と,放射源32から放射される妨害磁界H2とは、とはその周波数や強度が異なっている。このため、この妨害磁界H1,H2の影響を受ける位置に差動ヘッド51を配置しても、これらの妨害磁界H1,H2の影響を除去するバランス調整が実質的にできない。
【解決手段】カード処理装置1は、放射源31、および32により挿入口11の外側に妨害磁界を放射する。放射源31から放射される妨害磁界H1と,放射源32から放射される妨害磁界H2とは、とはその周波数や強度が異なっている。このため、この妨害磁界H1,H2の影響を受ける位置に差動ヘッド51を配置しても、これらの妨害磁界H1,H2の影響を除去するバランス調整が実質的にできない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁気カードに記録されている磁気データを読み取るカード処理装置、およびこのカード処理装置を内蔵したデータ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気カードに記録されている磁気データを読み取るカード処理装置がATM、CD、CAT等の取引処理装置に利用されている。これらの取引処理装置は、カード処理装置が磁気カードから読み取ったデータを用いて入出金処理やクレジット取引処理等のデータ処理を行う。また、カード処理装置は、上述した取引処理装置だけでなく、管理エリアに入退室する利用者を制限する入退室管理システム等、様々な種類の装置やシステムで利用されている。
【0003】
ところで、最近、磁気カードに記録されている磁気データを窃取し、窃取した磁気データを記録した偽造カードを用いて取引等を行う犯罪が増加している。磁気データの窃取には、一般にスキミング装置と呼ばれるものが利用されている。ここでは、セキュリティの面から、スキミング装置についての詳細な説明はせず、簡単な説明にとどめておく。このスキミング装置は、磁気カードに記録されている磁気データを読み取る磁気ヘッドを有し、カード処理装置における磁気カードの挿入口の前面に不正に取り付けられるものである。スキミング装置は、カード処理装置のカード挿入口に繋がる開口部が形成されている。スキミング装置が取り付けられたカード処理装置では、利用者(磁気カードの正当な所有者)がスキミング装置の開口部にカードを挿入することになる。したがって、この磁気カードは、スキミング装置を通って、カード挿入口から本体内部に取り込まれる。スキミング装置は、このときに磁気カードに記録されている磁気データを不正に読み取る(窃取する。)。また、スキミング装置は、装置内部に取り込んだ磁気カードを利用者に返却するときにも、この磁気カードがスキミング装置を通ることから、このときにも磁気カードに記録されている磁気データを不正に読み取ることができる。
【0004】
なお、磁気カードをカード処理装置に挿入した利用者は、スキミング装置が取り付けられていることをしらないので、磁気データが不正に読み取られたこと、すなわち窃取されたこと、に気づかない。
【0005】
上述のスキミング装置による磁気データの窃取を防止する構成を備えたカード処理装置として、例えば特許文献1に示されたものがある。この特許文献1に示されているカード処理装置は、磁気カードの挿入口近くに、鉄心にコイルを巻いた妨害磁界発生器を設け、挿入口の外側に磁界(妨害磁界)を発生させる構成である。この妨害磁界は、挿入口から挿入される磁気カードの磁気ストライプが通過する領域を含む範囲に発生される。したがって、スキミング装置が挿入口の前面に取り付けられていても、スキミング装置が磁気カードから読み取った読取信号は、妨害磁界によるノイズが重畳された信号になる。これにより、スキミング装置による磁気データの窃取が防止できる。
【特許文献1】特開2001−67524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示されている構成では、スキミング装置による磁気データの窃取に対する対策が十分でなかった。具体的に言うと、スキミング装置の磁気ヘッドとして、一般に差動ヘッドと呼ばれている磁気ヘッドが用いられると、磁気カードの磁気データが窃取される危険性が高く、この点で磁気データの窃取に対する対策が不十分であった。ここで言う差動ヘッドとは、電気的特性が略同じである2つの磁気ヘッド(読取ヘッドと、ダミーヘッド)を1つの筐体に納めた磁気ヘッドである。ダミーヘッドは、読取ヘッドの近傍に配置されている。読取ヘッドは、磁気カードの磁気ストライプに当接させて磁気データを読み取るヘッドである。一方、ダミーヘッドは磁気カードの磁気ストライプに当接しない位置(磁気データの影響を受けない位置)に配置されている。この差動ヘッドで磁気カードの磁気データを読み取ると、読取ヘッドの出力である読取信号は、磁気データに応じた起電力と、周辺の磁界(外部磁界)に応じた起電力とが重畳された信号となり、ダミーヘッドの出力は周辺の磁界(外部磁界)に応じた起電力の信号となる。このため、理論的には、読取ヘッドの出力と、ダミーヘッドの出力との差分をとることで、外部磁界、すなわち妨害磁界、の影響を受けていない、磁気データの読取信号を得ることができる。
【0007】
なお、現実には、読取ヘッドと、ダミーヘッドは、使用部品等のバラツキにより、その電気的特性が完全に同じにならない。また、読取ヘッドと、ダミーヘッドと、を同じ位置に配置することも物理的に不可能である。このため、読取ヘッドと、ダミーヘッドとが受ける外部磁界が異なるので、単純に読取ヘッドの出力と、ダミーヘッドの出力との差分をとっても、外部磁界の影響を受けていない、磁気データの読取信号を得ることができない。そこで、一般に差動ヘッドを用いる場合、読取ヘッド、またはダミーヘッドの少なくとも一方に対して、その出力を増幅するアンプおよび、このアンプのゲインを調整するゲイン調整回路を含むバランス調整回路を設けている。そして、読取ヘッドが磁気データを読み取っていない状態において、読取ヘッドの出力と、ダミーヘッドの出力との差分出力が0になるように、バランス調整回路でアンプのゲインを調整する。これにより、外部磁界の影響を受けることなく磁気データを読み取ることができるようになる。
【0008】
したがって、特許文献1に記載されているカード処理装置の対策では、スキミング装置に上述の差動ヘッドが用いられると、磁気データが窃取されてしまうという問題があった。
【0009】
この発明の目的は、磁気カードに記録されている磁気データが窃取されるのを略確実に防止でき、セキュリティを大幅に向上させたカード処理装置、およびこのカード処理装置を内蔵したデータ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のカード処理装置は、上記課題を解決するために以下の構成を備えている。
【0011】
(1)カード搬送路に沿って搬送されている磁気カードに記録されている磁気データを、この搬送路の途中に設けた磁気ヘッドで読み取る磁気データ読取手段と、
前記搬送路の挿入口の外側に磁界を発生させる磁界発生手段と、を備え、
前記磁界発生手段は、磁界を前記搬送路の挿入口の外側に放射する複数の放射源と、放射源毎に設けられた複数の駆動源と、を有し、
前記複数の駆動源における特定の2つの駆動源は、前記放射源を駆動する駆動信号の周波数が異なっている。
【0012】
この構成では、複数の放射源から放射した磁界による合成磁界が挿入口の外側に発生させられる。また、少なくとも、複数の放射源における特定の2つの放射源から放射される磁界(妨害磁界)の周波数が異なっている。言い換えれば、複数の放射源から放射される妨害磁界の周波数は、2種類以上である。このため、挿入口の外側に差動ヘッドを用いたスキミング装置を不正に取り付けても、スキミング装置の差動ヘッドのバランス調整を行うことができない。その理由は、ある放射源から放射される磁界に対して適正なバランス調整であっても、別の放射源から放射される磁界に対して不適性なバランス調整になる。したがって、スキミング装置における磁気データの読取信号は、磁界発生手段により発生された磁界(妨害磁界)によるノイズが重畳された信号になる。これにより、差動ヘッドを用いたスキミング装置であっても、磁気カードから磁気データが窃取されるのを略確実に防止できる。
【0013】
(2)カード搬送路に沿って搬送されている磁気カードに記録されている磁気データを、この搬送路の途中に設けた磁気ヘッドで読み取る磁気データ読取手段と、
前記搬送路の挿入口の外側に磁界を発生させる磁界発生手段と、を備え、
前記磁界発生手段は、磁界を前記搬送路の挿入口の外側に放射する複数の放射源と、放射源毎に設けられた複数の駆動源と、を有し、
前記複数の駆動源における特定の2つの駆動源は、前記放射源を駆動する駆動信号の振幅比が時間的に異なっている。
【0014】
この構成では、上記(1)と同様に、複数の放射源から放射した磁界による合成磁界が挿入口の外側に発生させられる。また、少なくとも、複数の放射源における特定の2つの放射源から放射される磁界(妨害磁界)の強度比が時間的に異なる。このため、挿入口の外側に差動ヘッドを用いたスキミング装置を不正に取り付けても、スキミング装置の差動ヘッドのバランス調整を行うことができない。その理由は、上記(1)と同様に、ある放射源から放射される磁界に対して適正なバランス調整であっても、別の放射源から放射される磁界に対して不適性なバランス調整になる。したがって、スキミング装置における磁気データの読取信号は、磁界発生手段により発生された磁界(妨害磁界)によるノイズが重畳された信号になる。これにより、差動ヘッドを用いたスキミング装置であっても、磁気カードから磁気データが窃取されるのを略確実に防止できる。
【0015】
なお、駆動信号の振幅比が時間的に異なっているとは、2つの駆動信号の周波数が異なっている場合、2つの駆動信号の位相が異なっている場合、さらには、2つの駆動信号の位相が異なっていて、且つ振幅が異なっている場合等である。
【0016】
(3)前記磁界発生手段は、前記駆動源毎に、その駆動源に対して予め定められたタイミングで前記放射源の駆動、停止を切り換える手段である。
【0017】
この構成では、挿入口の外側に発生させている妨害磁界を時間的に変化させることができるので、磁気カードから磁気データが窃取されるのを一層確実に防止できる。
【0018】
放射源の駆動、停止を切り換える時間間隔は、磁気カードに記録されている磁気データの読取に要する時間の数十分の1〜数分の1程度の時間間隔で変化させるのが好ましい。また、この時間間隔を、数十ms〜数百ms程度の短い時間にすれば、スキミング装置の差動ヘッドのバランス調整が現実的に行えなくなる。
【0019】
(4)前記磁界発生手段は、前記駆動源毎に、その駆動源に対して予め定められたタイミングで前記放射源を駆動する駆動信号の振幅を変化させる手段である。
【0020】
この構成では、上記(3)と同様に、挿入口の外側に発生させている妨害磁界を時間的に変化させることができるので、磁気カードから磁気データが窃取されるのを一層確実に防止できる。
【0021】
(5)カード搬送路に沿って搬送されている磁気カードに記録されている磁気データを、この搬送路の途中に設けた磁気ヘッドで読み取る磁気データ読取手段と、
前記搬送路の挿入口の外側に磁界を発生させる磁界発生手段と、を備え、
前記磁界発生手段は、磁界を前記搬送路の挿入口の外側に放射する複数の放射源と、放射源毎に設けられた複数の駆動源と、を有し、
前記複数の駆動源における特定の駆動源は、対応する放射源が前記搬送路の挿入口の外側に放射する磁界を時間的に変化させる。
【0022】
この構成では、複数の放射源から放射した磁界による合成磁界が挿入口の外側に発生させられる。また、特定の放射源から放射される磁界を時間的に変化させる。言い換えれば、1つ以上の放射源から放射される磁界を時間的に変化させる。これにより、磁界発生手段により挿入口の外側に発生されている磁界(妨害磁界)が時間的に変化する。したがって、この場合も、この挿入口の外側に差動ヘッドを用いたスキミング装置を不正に取り付けても、スキミング装置の差動ヘッドのバランス調整を行うことができない。このため、磁気カードから磁気データが窃取されるのを略確実に防止できる。
【0023】
なお、特定の放射源から放射される磁界を変化させる時間は、磁気カードに記録されている磁気データの読取に要する時間の数十分の1〜数分の1程度の時間や、数十ms〜数百ms程度の短い時間とすればよい。
【0024】
(6)前記特定の駆動源は、前記放射源を駆動する駆動信号の周波数を掃引することにより、対応する放射源が前記搬送路の挿入口の外側に放射する磁界を時間的に変化させる。
【0025】
この構成では、放射源を駆動する駆動信号の周波数を掃引する、すなわちスイープする、ことにより、磁界発生手段により挿入口の外側に発生されている磁界(妨害磁界)を時間的に変化させる。
【0026】
(7)前記特定の駆動源は、時間的に連続、または断続的に前記放射源を駆動する駆動信号の周波数を切り換えることにより、対応する放射源が前記搬送路の挿入口の外側に放射する磁界を時間的に変化させる。
【0027】
この構成では、放射源を駆動する駆動信号の周波数を時間的に連続、または断続的に切り換えることにより、磁界発生手段により挿入口の外側に発生されている磁界(妨害磁界)を時間的に変化させる。
【0028】
(8)カード搬送路に沿って搬送されている磁気カードに記録されている磁気データを、この搬送路の途中に設けた磁気ヘッドで読み取る磁気データ読取手段と、
前記搬送路の挿入口の外側に磁界を発生させる磁界発生手段と、を備え、
前記磁界発生手段は、磁界を前記搬送路の挿入口の外側に放射する複数の放射源と、これら複数の放射源を駆動する駆動源と、前記駆動源により駆動される放射源を切り換える切換部と、を有する。
【0029】
この構成では、駆動源により駆動される放射源を時間的に切り換えるので、挿入口の外側に発生させている妨害磁界を時間的に変化させることができる。したがって、スキミング装置における磁気データの読取信号は、磁界発生手段により発生された妨害磁界によるノイズが重畳された信号になる。これにより、差動ヘッドを用いたスキミング装置であっても、磁気カードから磁気データが窃取されるのを略確実に防止できる。
【0030】
なお、切換部が駆動源が駆動する放射源を切り換えるタイミングは、上述したように、磁気カードに記録されている磁気データの読取に要する時間の数十分の1〜数分の1程度の時間や、数十ms〜数百ms程度の短い時間とすればよい。
【0031】
(9)前記駆動源は、所定のタイミングで前記放射源を駆動する駆動信号の周波数を切り換える。
【0032】
この構成では、駆動源の周波数も切り換えるので、磁気カードの磁気データが窃取されるのを一層確実に防止できる。
【0033】
(10)前記駆動源は、前記切換部が放射源を切り換えるタイミングで、前記放射源を駆動する駆動信号の周波数を切り換える。
【0034】
この構成では、駆動部が駆動する放射源を切り換えるタイミングに同期させて、放射源を駆動する駆動信号の周波数を切り換える。
【0035】
(11)前記磁気データ読取手段の前記磁気ヘッドに対する、前記磁界発生手段により発生された磁界による影響を抑制する抑制手段を備えている。
【0036】
この構成では、磁気ヘッドにおける、磁気カードからの磁気データの読み取りにおいて、磁界発生手段により発生された妨害磁界による影響を受けることなく、磁気データを読み取ることができる。
【0037】
また、この発明の実施形態であるデータ処理装置は、以下の構成である。
【0038】
(12)(1)〜(11)のいずれかに記載のカード処理装置を内蔵し、
前記カード処理装置の磁気データ読取手段が磁気カードから読み取った磁気データを用いてデータ処理を行う処理手段を備えている。
【0039】
この構成では、磁気カードから磁気データが詐取されるのを、略確実に防止することができる、ATM、CD、CAT等のデータ処理装置を提供することができる。
【0040】
(13)利用者の有無を検知する検知手段と、
前記検知手段により利用者の存在が検知されたときに、前記カード処理装置に対して前記磁界発生手段の動作開始を指示する指示手段と、を備えている。
【0041】
この構成では、利用者がいないときに、磁界発生手段を停止するので、装置本体の電力消費を抑え、ランニングコストを低減することができる。
【発明の効果】
【0042】
この発明によれば、磁気カードの磁気データが、窃取されるのを略確実に防止でき、磁気データのセキュリティを十分に向上させられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、この発明の実施形態であるカード処理装置について説明する。
【0044】
図1は、この発明の実施形態であるカード処理装置の主要部の構成を示すブロック図である。この実施形態のカード処理装置1は、本体の動作を制御する制御部2と、本体に挿入された磁気カードに記録されている磁気データを読み取る磁気データ読取部3と、本体に挿入されたカードの搬送を制御するカード搬送制御部4と、搬送路におけるカードの有無を検出するカード検出部5と、挿入口に設けられたシャッタの開閉を制御するシャッタ制御部6と、本体に挿入されたカードから読み取った磁気データを出力する出力部7と、挿入口の外側に妨害磁界を発生させる妨害磁界発生部8と、を備えている。磁気データ読取部3が、この発明で言う磁気データ読取手段に相当し、妨害磁界発生部8が、この発明で言う磁界発生手段に相当する。
【0045】
図2は、この発明の実施形態であるカード処理装置の内部構成を示す概略図である。図2において、10は磁気カード(以下、単にカード10と言う。)である。カード処理装置1本体の前面には、カード10を挿入する挿入口11が形成されている。挿入口11の近くには、挿入口11に挿入されたカード10を検出する挿入検知センサ12が設けられている。この挿入検知センサ12は、押圧センサであり、挿入口11から挿入されたカード10によって押圧される位置に配置されている。また、挿入検知センサ12よりも少し本体内側の位置にシャッタ13が配置されている。シャッタ13は、シャッタ制御部6により開閉される。図2は、シャッタ13が開している状態を示している。シャッタ13が閉している状態は、シャッタ13の一部が挿入口11に対向する状態(図2において、シャッタ13を下げた状態)である。カード処理装置1は、通常シャッタ13を開状態に保持し、カード10を本体内部に取り込んでいる間だけ、閉状態にする構成であってもよいし、カード10の挿入時、および排出時のみ開状態にする構成であってもよい。シャッタ制御部6は、制御部2からの指示にしたがってシャッタ13を開閉する。また、カード処理装置1は、シャッタ制御部6およびシャッタ13を設けていない構成であってもよい。
【0046】
なお、この実施形態では、通常シャッタ13を開状態に保持し、カード10を本体内部に取り込んでいる間だけ、閉状態にする構成である。
【0047】
また、カード10を挟持して搬送する一対の搬送ローラ14〜17がカード10の搬送方向に並べられている。カード処理装置1は、これらの搬送ローラ14〜17によりカード10の搬送路を形成している。一対の搬送ローラ14〜17は、それぞれ一方がモータの回転力が伝達される駆動ローラであり、他方がこの駆動ローラに従動して回転する従動ローラである。搬送ローラ14〜17を駆動するモータ(不図示)は、1つである。カード搬送制御部4は、このモータの回転(回転方向、回転速度を含む)、停止を制御することにより、カード10の取り込み、およびカードの排出(返却)を行う。磁気データ読取部3は、搬送ローラ14〜17により形成された搬送路を搬送されているカード10の磁気ストライプに記録されている磁気データを読み取る磁気ヘッド18を有している。また、カード10の有無を検出するセンサ21〜24がカード10の搬送路に沿って並べられている。センサ21〜24の配置間隔は、カード10の搬送方向の長さよりも短い。センサ21〜24は、発光部と受光部とからなる光センサであり、搬送路を挟んで発光部と受光部とを対向させて配置している。センサ21は、挿入口11に最も近い搬送ローラ14にカード10が挟持されたことを検出するためのものである。また、センサ24は、本体に挿入されたカード10が貯留部に達したことを検出するためのものである。センサ22、23は、カード搬送路を搬送されているカード10の位置を検出するためのものである。カード検出部5は、センサ12、および21〜24の検出結果により、本体にカード10が挿入されているかどうか、および搬送路におけるカード10の位置を検出する。また、磁気ヘッド18とセンサ24との配置間隔は、カード10の搬送方向の長さよりも少し長くしているので、カード10が貯留部に達したときには、すなわちカード10の先端がセンサ24に検出される位置に達したときには、磁気データ読取部3がカード10に記録されている磁気データの読み取りを完了している。
【0048】
さらに、妨害磁界発生部8は、挿入口11の近傍に配置され、妨害磁界を放射する放射源31、32を有している。放射源31、32は、カード10の搬送路を挟んで対向するように配置されている。また、放射源31、32は、挿入口11に挿入されたカード10の磁気ストライプを挟んで対向するように配置されている。すなわち、放射源31は、挿入口11に挿入されたカード10の磁気ストライプの真上に配置しており、放射源32は、挿入口11に挿入されたカード10の磁気ストライプの真下に配置している。これにより、放射源31、32から放射される妨害磁界を、挿入口11に挿入されたカード10の磁気ストライプが通過する位置に発生させることができる。放射源31、32は、鉄心にコイルを巻いた簡単な構成である。妨害磁界発生部8は、放射源31、32毎に、コイルに電流を流す駆動源33、34を有している(図3参照)。放射源31を駆動する駆動源33の駆動信号の周波数f1(放射源31のコイルに流す電流の周波数f1)と、放射源32を駆動する駆動源34の駆動信号の周波数f2(放射源32のコイルに流す電流の周波数f2)と、は異なる周波数である。したがって、放射源31から放射される妨害磁界H1と、放射源32から放射される妨害磁界H2とは、その強度や周波数が異なる磁界である。また、挿入口11と磁気ヘッド18との間には、フェライト等の透磁率の大きい磁気遮蔽部材35を配置している。この磁気遮蔽部材35は、当然のことながら、搬送路におけるカード10の搬送を邪魔しない形状および配置である。磁気遮蔽部材35は、放射源31、32から放射されている妨害磁界H1、H2を吸収するものである。したがって、磁気遮蔽部材35を設けたことで、放射源31、32から放射されている妨害磁界H1、H2がこの磁気遮蔽部材35より内側に及ぼす影響を抑えることができる。これにより、磁気遮蔽部材35よりも内側に配置されている磁気ヘッド18では、妨害磁界H1、H2の影響を受けることなく磁気データを読み取ることができる。この磁気遮蔽部材35が、この発明で言う抑制手段に相当する。
【0049】
ここで、カード10に記録されている磁気データを窃取するスキミング装置について簡単に説明しておく。このスキミング装置50は、図4に示すように、カード挿入口11の前面に取り付けられる。スキミング装置50が取り付けられている場合、カード10はスキミング装置50を通過して、挿入口11から本体に取り込まれる。このスキミング装置50には、カード10に記録されている磁気データを不正に読み取るための磁気ヘッドを有する読取部や、不正に読み取った磁気データを記憶するメモリ、さらにはメモリに記憶している磁気データを無線で出力する無線通信部等が設けられている。このスキミング装置50の読取部の磁気ヘッドが図5に示す差動ヘッド51である場合について説明する。差動ヘッド51は、図5に示すように、カード10の磁気ストライプに当接させて記録されている磁気データを読み取る読取ヘッド52と、この読取ヘッド52の近傍に配置されたダミーヘッド53と、を有している。また、読取ヘッド52の出力を増幅する第1のアンプ54、ダミーヘッド53の出力を増幅する第2のアンプ55、第2のアンプ55のゲインを調整するゲイン調整回路56、および第1のアンプ54と第2のアンプ55との差分を出力する差分回路57を備えている。読取ヘッド52とダミーヘッド53とは、電気的特性が略同じである。
【0050】
差動ヘッド51は、外部磁界の影響を受けることなく、磁気データを読み取る磁気ヘッドとして開発されたものである。この差動ヘッド51で磁気データを読み取っているとき、磁気ストライプに当接している読取ヘッド52の出力は、磁気データに応じた起電力と、外部磁界(周辺の磁界)に応じた起電力とが重畳された信号になる。一方、磁気ストライプに当接していないダミーヘッド53の出力は外部磁界(周辺の磁界)に応じた起電力の信号になる。したがって、理論的には、読取ヘッド53の出力と、ダミーヘッド54の出力との差分をとることで、外部磁界の影響を受けていない、磁気データの読取信号を得ることができる。しかし、現実には、読取ヘッド52と、ダミーヘッド53は、使用部品等のバラツキにより、その電気的特性が完全に同じではない。また、読取ヘッド52と、ダミーヘッド53と、を同じ位置に配置することは物理的に不可能であり、読取ヘッド52と、ダミーヘッド53とが受ける外部磁界も完全に同じにならない。そこで、単純に読取ヘッド52の出力と、ダミーヘッド53の出力との差分(差分回路57の出力)を読取信号として出力するのではなく、上述した第1のアンプ54、および第2のアンプ55を設け、さらにゲイン調整回路56で第2のアンプ55のゲインを調整する構成が採用されている。第2のアンプ55のゲインは、この差動ヘッド51で磁気データを読み取っていない状態で、読取ヘッド52の出力と、ダミーヘッド53の出力との差分が略0になるように調整される。
【0051】
次に、この実施形態のカード処理装置1の動作について説明する。この実施形態のカード処理装置1は、装置本体が稼動しているとき、妨害磁界発生部8が放射源31、32から常に妨害磁界を放射している。放射源31は、駆動源33によりコイルに流されている周波数f1の電流に応じた妨害磁界H1を発生しており、放射源32は、駆動源34によりコイルに流されている周波数f2の電流に応じた妨害磁界H2を発生している。
【0052】
まず、挿入口11から挿入されたカード10を本体に取り込むときの動作(取込動作)について説明する。図6は、この取込動作を示すフローチャートである。カード処理装置1は、カード検出部5においてカード10が検出されていない初期状態である。このとき、シャッタ13は開されている。また、上述したように、妨害磁界発生部8が放射源31、32から妨害磁界を放射している。カード処理装置1は、挿入検知センサ12によりカード10が検知されると、カード10が挿入されたと判定する(s1)。カード処理装置1は、s1でカード10が挿入されたと判定すると、搬送ローラ14〜17の回転を開始する(s2)。s2では、搬送ローラ14〜17は、挿入されたカード10を本体内部に取り込む方向(以下、正方向と言う。)に回転する。このとき、シャッタ13は開しているので、利用者によるカード10の挿入を妨げない。この後、カード処理装置1は、カード搬送部4により挿入されたカード10を貯留部まで一定速度で搬送する。
【0053】
カード処理装置1は、カード10を貯留部へ搬送しているときに、磁気ヘッド18がカード10の磁気ストライプに当接し、このカード10に記録されている磁気データを読み取る(s3)。磁気データ読取部3が、カード10に記録されている磁気データを読み取っているときも、妨害磁界発生部8は放射源31、32から妨害磁界を放射している。上述したように、放射源31、32と、磁気ヘッド18、との間には磁気遮蔽部材35が配置されている。このため、磁気データ読取部3は、放射源31、32から放射されている妨害磁界の影響を殆ど受けることなく、カード10に記録されている磁気データを読み取ることができる。
【0054】
また、カード処理装置1は、カード10を貯留部へ搬送しているとき、搬送ローラ14の隣(挿入口11と反対側)に配置したセンサ21によりカード10の後端が検出されると(s4)、シャッタ制御部6によりシャッタ6を閉する(s5)。s4では、センサ21がカード10を検出している状態からカード10を検出していない状態に変化したときに、カード10の後端を検出したと判定する。s5でシャッタ6を閉したことにより、挿入口11から別のカード10が挿入されるのを防止できる。
【0055】
カード処理装置1は、カード10が貯留部に達すると(s6)、カード搬送制御部4による搬送ローラ14〜17の回転を停止する(s7)。s6では、センサ24がカード10を検出したときに、カード10が貯留部に達したと判定する。磁気データ読取部3における磁気データの読取については、カード10が貯留部に達したときに、すでに完了している。
【0056】
次に、上述の取込処理で貯留部に貯留したカード10を利用者に返却するときの動作(返却動作)について説明する。図6は、この返却動作を示すフローチャートである。搬送ローラ14〜17の回転を開始する(s11)。s11では、搬送ローラ14〜17は、カード10を貯留部から挿入口11へ搬送する方向(以下、逆方向と言う。)に回転される。カード10は、一定速度で挿入口11へ搬送される。このときも、妨害磁界発生部8が放射源31、32から妨害磁界を放射している。カード処理装置1は、搬送ローラ14の隣(挿入口11と反対側)に配置されたセンサ21によりカード10の先端が検出されると(s12)、シャッタ13を開する(s13)。s12では、カード処理装置1は、センサ21がカードを検出していない状態から、カード10を検出している状態に変化したときに、カード10の先端がセンサ21により検出されたと判定する。
【0057】
なお、ここでは、カード10の先端、後端を、カード10の搬送方向に基づいて説明している。このため、上述の取込時におけるカード10の後端が、この返却時におけるカード10の先端である。
【0058】
その後、カード処理装置1は、センサ21によりカード10の後端が検出されると(s14)、カード搬送制御部4により逆方向に回転されている搬送ローラ14〜17の回転を停止する(s15)。s14では、カード処理装置1は、センサ21がカードを検出している状態から、カード10を検出していない状態に変化したときに、センサ21によりカード10の後端が検出されたと判定する。搬送ローラ14〜17の停止により、カード10の搬送も停止する。このとき、カード10は搬送ローラ14に挟持されており、またその先端部分が挿入口11から外側に突出している。したがって、利用者は、挿入口11から突出しているカード10の先端部分をつかんで、抜き取ることができる。カード処理装置1は、挿入検知センサ12によりカード10が検出されている状態から、検出されていない状態に変化すると(s16)、カード10が抜き取られたと判定し、本処理を終了する。
【0059】
ここで、挿入口の前面に図5に示した差動ヘッド51を用いたスキミング装置50が取り付けられていた場合について説明する。カード処理装置1は、上述したように、稼動時においては、妨害磁界発生部8が放射源31、32から妨害磁界を常に放射している。また、スキミング装置50は、挿入口11の前面に取り付けられるので、カード10に記録されている磁気データの読み取りにおいて、放射源31、32から放射されている妨害磁界(これらの合成磁界)の影響を受ける。このため、スキミング装置50に設けられている磁気ヘッドが差動ヘッドでない通常の磁気ヘッドであれば、その読取信号は妨害磁界による起電力が重畳された信号となり、カード10の磁気データを読み取ることができない。
【0060】
また、スキミング装置50に設けられている磁気ヘッドが、図5に示した差動ヘッド51である場合、読取ヘッド52およびダミーヘッド53の出力のバランスを予め調整しておく必要がある。すなわち、磁気データを読み取っていない状態で、差分回路57の出力が略0になるように、ゲイン調整回路56で第2のアンプ55のゲインを調整しておく必要がある。しかし、図8に示すように、スキミング装置50の差動ヘッド51が配置される位置は、放射源31から放射されている妨害磁界H1と、放射源32から放射されている妨害磁界H2とが異なる方向から照射されている環境である。また、妨害磁界H1と、妨害磁界H2とは、その周波数や強度が異なっている。
【0061】
ここで、放射源31から放射されている妨害磁界をH1が読取ヘッド52に対して与える影響をH1−1、ダミーヘッド53に対して与える影響をH1−2とするとともに、放射源32から放射されている妨害磁界をH2が読取ヘッド52に対して与える影響をH2−1、ダミーヘッド53に対して与える影響をH2−2とする。読取ヘッド52と、ダミーヘッド53とは、電気的特性や配置されている位置が完全に同じではないので、
H1−1≠H1−2、H2−1≠H2−2
である。また、上述したように、妨害磁界H1と、妨害磁界H2とはその周波数や強度が異なっているので、
H1−1:H1−2≠H2−1:H2−2
である。
【0062】
このため、磁気データを読み取っていない状態で、差分回路57の出力が略0になるように、ゲイン調整回路56で第2のアンプ55のゲインを調整することができない。簡単に言うと、ゲイン調整回路56で第2のアンプ55のゲインを、妨害磁界H1の影響を除去した磁気データの読取信号が得られる状態に調整しても、差分回路57の出力は妨害磁界H2の影響を受けた信号になる。反対に、ゲイン調整回路56で第2のアンプ55のゲインを、妨害磁界H2の影響を除去した磁気データの読取信号が得られる状態に調整しても、差分回路57の出力は妨害磁界H1の影響を受けた信号になる。したがって、差動ヘッド51を用いたスキミング装置50であっても、妨害磁界H1、および妨害磁界H2の影響を除去した磁気データの読取信号を得ることはできない。
【0063】
このように、この実施形態のカード処理装置1は、差動ヘッド51を用いたスキミング装置50であっても、カード10の磁気データが不正に読み取られるのを防止できる。したがって、スキミング装置50によるカード10に記録されている磁気データの窃取に対するセキュリティを十分に確保することができる。
【0064】
また、上記実施形態では、挿入口11付近に2つの放射源31、32を設ける場合を例にして説明したが、3つ以上の放射源を設けてもよい。この場合、放射源毎に設けられる駆動源の駆動信号の周波数については2種類以上であればよい。但し、駆動源毎に駆動信号の周波数を異ならせるのが、より望ましい。
【0065】
また、放射源31、32から放射される妨害磁界H1、H2の周波数については、磁気データの読取信号に干渉する周波数になるように、読取信号の周波数に近い周波数とするのが好ましい。読取信号の周波数は、磁気ストライプにおける磁気データの記録密度、およびカード10の搬送速度により決まる。
【0066】
また、上記実施形態では、駆動源33が放射源31を駆動する駆動信号の振幅と、駆動源34が放射源32を駆動する駆動信号の振幅とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、駆動源33が放射源31を駆動する駆動信号の周波数f1と、駆動源34が放射源32を駆動する駆動信号の周波数f2とは、異なっているとしたが、駆動源33が放射源31を駆動する駆動信号の振幅と、駆動源34が放射源32を駆動する駆動信号の振幅と、の比を時間的に変化させることで、これらの駆動信号の周波数を同じにしてもよい。具体的に言うと、駆動源33が放射源31を駆動する駆動信号と、駆動源34が放射源32を駆動する駆動信号と、の位相を異ならせればよい。また、このときに、駆動源33が放射源31を駆動する駆動信号の振幅と、駆動源34が放射源32を駆動する駆動信号の振幅と、を異ならせてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、妨害磁界発生部8が放射源31、32から常に妨害磁界H1、H2を放射するとしたが、図9に示すように、放射源31がら妨害磁界H1を放射しているときに、放射源32からの妨害磁界H2の放射を停止し、反対にし放射源32がら妨害磁界H2を放射しているときに、放射源31からの妨害磁界H1の放射を停止する構成としてもよい。放射源31が妨害磁界H1を放射している時間と、妨害磁界H1の放射を停止している時間と、は図9に示すように同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、放射源31、32を切り換える時間間隔は、カード10に記録されている磁気データの読取に要する時間の数十分の1〜数分の1程度の時間や、数十ms〜数百ms程度の短い時間である。この構成では、スキミング装置50に対する妨害磁界を時間的に変化させることができる。このため、スキミング装置50は、妨害磁界H1による影響を受けるときと、妨害磁界H2による影響を受けるときとが、交互に生じることから、結果的に差動ヘッド51を用いても、カード10の磁気データを不正に読み取ることができない。したがって、磁気データのセキュリティを十分に確保することができる。また、一方の放射源から妨害磁界を放射しているときに、他方の放射源からの妨害磁界の放射を停止する構成としたので、装置本体における消費電力を抑えることができ、結果的にランニングコストが抑えられる。
【0069】
さらに、駆動源33が放射源31のコイルに流す電流の周波数を、時間的に連続または断続的に変化させる構成としてもよい。例えば、駆動源33が放射源31のコイルに流す電流の周波数を、図10に示すように駆動源33の駆動信号の周波数をfa〜fbの範囲で掃引(所謂、スイープ)することにより、時間的に連続して変化させる構成としてもよい。この場合、放射源31から放射される妨害磁界H1は、時間的に連続して変化する。このため、挿入口11の前面にスキミング装置50が取り付けられたとしても、このスキミング装置50は、放射源31から放射されている、時間的に連続して変化している妨害磁界H1の影響を受ける。このため、スキミング装置50に差動ヘッド51を用いても、妨害磁界H1が時間的に連続して変化していることから、磁気データを読み取っていない状態で、差分回路57の出力が略0になるように、ゲイン調整回路56で第2のアンプ55のゲインを調整することはできない。
【0070】
このように、この実施形態のカード処理装置1であれば、差動ヘッドを用いたスキミング装置であっても、カード10に記録されている磁気データを不正に読み取ることができない。したがって、磁気データのセキュリティを十分に確保することができる。
【0071】
また、上記の説明においては、駆動源33の駆動信号の周波数をfa〜fbの範囲でスイープするとしたが、図11(A)に示すように、駆動信号の周波数をfa〜fbの範囲で段階的に変化させてもよいし、図11(B)にように駆動信号の周波数をfa〜fbの範囲でランダムに変化させてもよい。
【0072】
また、ここでは、駆動源33の駆動信号の周波数のみを変化させる場合を示したが、同時に駆動源34の駆動信号の周波数も変化させる構成としてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、装置本体にカード10が挿入されていないとき、シャッタ13を開しているとしたが、シャッタを閉している状態にすることもできる。この場合には、図6のs1でカード10が挿入されたと判定したときにシャッタ13を開する処理を追加すればよい。また、図7のs16で利用者がカード10を抜き取ったと判定したときに、シャッタ13を閉する処理を追加すればよい。このようにすれば、挿入口11から本体にゴミ等が挿入されるのを防止することができる。
【0074】
なお、ここではカード10は表面に形成された磁気ストライプに磁気データ(磁気データ)を記録した磁気カードを例にしているが、この磁気ストライプに加えて磁気データを記録したICチップを設けた複合カードであってもよい。この場合、貯留部に搬送したカード10のICチップに電気的に接続でき、ICチップに記録されている磁気データを読み取るための接点をカード処理装置1本体に設ければよい。
【0075】
また、上記実施形態では、磁気データ読取部3が放射源31、32から放射されている妨害磁界の影響を殆ど受けることなく、カード10に記録されている磁気データを読み取るために、放射源31、32と、磁気ヘッド18、との間に磁気遮蔽部材35を配置したが、放射源31、32を、図12(A)、(B)に示すポット型コイルで構成し、図12(C)に示すように配置してもよい。図12(A)は、このポット型コイルの斜視図であり、図12(B)は断面図である。このポット型コイルのコアの素材は、フェライト等の透磁率の大きい素材である。このコアの外形形状は、図12(A)、(B)に示すように、一方の面が開口し、他方の面が開口していない円筒状の形状であり、図12(C)に示すように、開口している面を挿入口11に向けて取り付ける。また、コアの略中心には、コイルを巻く心が設けられている。このポット型コイルは、開口面から放射した磁界が、開口していない面の後側に殆どを影響を及ぼさない。したがって、磁気データ読取部3が放射源31、32から放射されている妨害磁界の影響を殆ど受けることなく、カード10に記録されている磁気データを読み取ることができる。
【0076】
次に、この発明の別の実施形態について説明する。この実施形態のカード処理装置1も上記実施形態の装置と略同じ構成であるが、妨害磁界発生部8の構成が異なっている。この実施形態の妨害磁界発生部8は、図13に示す構成である。具体的に言うと、妨害磁界発生部8は、妨害磁界H1を放射する放射源31と、妨害磁界H2を放射する放射源32有している点で上記実施形態の構成と同じであるが、これらの放射源31、32を駆動する駆動源33が1つであるとともに、駆動源33により駆動される放射源31、32を選択的に切り換える切換部35を有している点で異なっている。切換部35は、予め定められているタイミングで、駆動源33により駆動される放射源31、32を切り換える。例えば、一定時間毎、例えば数十ms〜百数十ms毎、に駆動源33により駆動される放射源31、32を切り換える。駆動源31の駆動信号の周波数は、f1である。2つの放射源31、32は、上記実施形態と同様の位置に配置されている。
【0077】
この実施形態のカード処理装置1におけるカード10の取込動作および返却動作は、図6、および図7で説明した動作と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0078】
この実施形態のカード処理装置1は、装置本体が稼動しているとき、妨害磁界発生部8が放射源31、32を切り換えながら妨害磁界を放射している。このため、挿入口11の前面にスキミング装置50が取り付けられたとしても、このスキミング装置50は、放射源31から放射される妨害磁界H1と、放射源32から放射される妨害磁界H2の影響を交互に受ける。放射源31、32が異なる位置に配置されているので、妨害磁界H1、H2がスキミング装置50に与える影響も異なる。ここで、上記実施形態と同様に、放射源31から放射されている妨害磁界をH1が読取ヘッド52に対して与える影響をH1−1、ダミーヘッド53に対して与える影響をH1−2とするとともに、放射源32から放射されている妨害磁界をH2が読取ヘッド52に対して与える影響をH2−1、ダミーヘッド53に対して与える影響をH2−2とする。読取ヘッド52と、ダミーヘッド53とは、電気的特性や配置されている位置が全く同じではないので、
H1−1≠H1−2、H2−1≠H2−2
である。また、上述したように、2つの放射源31、32が異なる位置に配置されているので
H1−1:H1−2≠H2−1:H2−2
である。このため、上記実施形態と同様に、磁気データを読み取っていない状態で、差分回路57の出力が略0になるように、ゲイン調整回路56で第2のアンプ55のゲインを調整することができない。
【0079】
このように、この実施形態のカード処理装置1においては、スキミング装置50が、妨害磁界H1による影響を受けるときと、妨害磁界H2による影響を受けるときとが、交互に生じることから、結果的に差動ヘッド51を用いても、カード10に記録されている磁気データを不正に読み取ることができない。したがって、磁気データのセキュリティを十分に確保することができる。また、上記実施形態における駆動源32に代えて、この駆動部32に比べて簡単な回路で構成できる切換部35を設ける構成としたので、装置本体の製造コストを低減することができる。
【0080】
また、この実施形態では、駆動源33の駆動信号の周波数をf1としたが、切換部35における放射源31、32の切り換えに連動して、駆動源33の駆動信号の周波数を切り換える構成としてもよい。例えば、切換部35により放射源31が妨害磁界を放射する状態に切り換えられている場合、駆動源33の駆動信号の周波数をf1とし、放射源32が妨害磁界を放射する状態に切り換えられている場合、駆動源33の駆動信号の周波数をf2とするようにしてもよい。このようにすれば、妨害磁界H1、H2の差異をより大きくすることができ、磁気データのセキュリティを一層十分に確保することができる。
【0081】
また、切換部35における放射源31、32の切り換えに連動させずに、駆動源33の駆動信号の周波数を切り換える構成としてもよい。
【0082】
次に、上述したいずれかの実施形態のカード処理装置を内蔵したデータ処理装置100について説明する。このデータ処理装置100は、例えばATM、CD、CATである。図14は、このデータ処理装置の主要部の構成を示すブロック図である。この実施形態のデータ処理装置1は、上記したいずれかの実施形態のカード処理装置1と、カード処理装置1がカード10から読み取った磁気データを用いてデータ処理を行うデータ処理部102と、装置本体に対して入力操作を行う操作部103と、利用者を検知する利用者検知部104と、を備えている。また、図中に示す101は、このデータ処理装置全体の動作を制御する上位制御部である。カード処理装置1は、カード10から読み取った磁気データを出力部7から出力する。データ処理部102は、出力部7から出力された磁気データを取り込み、この磁気データを用いてデータ処理を行う。このデータ処理は、例えば口座取引や、クレジット取引にかかるデータ処理である。操作部103は、利用者に対して操作案内等を表示する表示器を有している。利用者検知部104は、赤外線センサ等で利用者を検知する構成である。
【0083】
この実施形態のデータ処理装置100に内蔵されているカード処理装置1は、データ処理装置100からの指示にしたがって、妨害磁界の放射、停止を切り換える。データ処理装置100は、利用者検知部104において利用者が検知されている間、カード処理装置1に対して妨害磁界の放射を指示し、利用者が検知されていない間、カード処理装置1に対して妨害磁界の放射を指示する。したがって、この実施形態のデータ処理装置100においては、利用者がいるとき、すなわちカード処理装置1にカード10が挿入されるとき、カード処理装置1が妨害磁界発生部8により妨害磁界を発生する。言い換えれば、カード処理装置1にカード10が挿入されないとき、カード処理装置1が妨害磁界発生部8により妨害磁界を発生しない。
【0084】
したがって、カード処理装置1が無駄に妨害磁界を発生することがなく、装置のランニングコストを十分に低減することができる。また、上述したように、カード処理装置1は、差動ヘッドを用いたスキミング装置であっても、カード10に記録されている磁気データを不正に読み取ることができないので、磁気データのセキュリティが十分に確保される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】この発明の実施形態であるカード処理装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施形態であるカード処理装置の内部構成を示す概略図である。
【図3】この発明の実施形態であるカード処理装置の妨害磁界発生部の構成を示す図である。
【図4】この発明の実施形態であるカード処理装置にスキミング装置が取り付けられた状態を示す図である。
【図5】差動ヘッドの構成を示す図である。
【図6】この発明の実施形態であるカード処理装置の取込動作を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施形態であるカード処理装置の返却動作を示すフローチャートである。
【図8】差動ヘッドに影響を与える妨害磁界を説明する図である。
【図9】この発明の別の実施形態であるカード処理装置の妨害磁界の発生タイミングを説明する図である。
【図10】この発明の別の実施形態であるカード処理装置の妨害磁界の変化を説明する図である。
【図11】この発明の別の実施形態であるカード処理装置の妨害磁界の変化を説明する図である。
【図12】この発明の別の実施形態であるカード処理装置にポット型コイルを用いた場合を示す図である。
【図13】この発明の別の実施形態であるカード処理装置の妨害磁界発生部の構成を示す図である。
【図14】この発明の別の実施形態であるカード処理装置を内臓したデータ処理装置の構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0086】
1−カード処理装置
2−制御部
3−磁気データ読取部
4−カード搬送制御部
5−カード検出部
6−シャッタ制御部
7−出力部
8−妨害磁界発生部
31、32−放射源
33、34−駆動源
35−切換部
50−スキミング装置
51−差動ヘッド
100−データ処理装置
101−上位制御部
102−データ処理部
103−操作部
104−利用者検知部
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁気カードに記録されている磁気データを読み取るカード処理装置、およびこのカード処理装置を内蔵したデータ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気カードに記録されている磁気データを読み取るカード処理装置がATM、CD、CAT等の取引処理装置に利用されている。これらの取引処理装置は、カード処理装置が磁気カードから読み取ったデータを用いて入出金処理やクレジット取引処理等のデータ処理を行う。また、カード処理装置は、上述した取引処理装置だけでなく、管理エリアに入退室する利用者を制限する入退室管理システム等、様々な種類の装置やシステムで利用されている。
【0003】
ところで、最近、磁気カードに記録されている磁気データを窃取し、窃取した磁気データを記録した偽造カードを用いて取引等を行う犯罪が増加している。磁気データの窃取には、一般にスキミング装置と呼ばれるものが利用されている。ここでは、セキュリティの面から、スキミング装置についての詳細な説明はせず、簡単な説明にとどめておく。このスキミング装置は、磁気カードに記録されている磁気データを読み取る磁気ヘッドを有し、カード処理装置における磁気カードの挿入口の前面に不正に取り付けられるものである。スキミング装置は、カード処理装置のカード挿入口に繋がる開口部が形成されている。スキミング装置が取り付けられたカード処理装置では、利用者(磁気カードの正当な所有者)がスキミング装置の開口部にカードを挿入することになる。したがって、この磁気カードは、スキミング装置を通って、カード挿入口から本体内部に取り込まれる。スキミング装置は、このときに磁気カードに記録されている磁気データを不正に読み取る(窃取する。)。また、スキミング装置は、装置内部に取り込んだ磁気カードを利用者に返却するときにも、この磁気カードがスキミング装置を通ることから、このときにも磁気カードに記録されている磁気データを不正に読み取ることができる。
【0004】
なお、磁気カードをカード処理装置に挿入した利用者は、スキミング装置が取り付けられていることをしらないので、磁気データが不正に読み取られたこと、すなわち窃取されたこと、に気づかない。
【0005】
上述のスキミング装置による磁気データの窃取を防止する構成を備えたカード処理装置として、例えば特許文献1に示されたものがある。この特許文献1に示されているカード処理装置は、磁気カードの挿入口近くに、鉄心にコイルを巻いた妨害磁界発生器を設け、挿入口の外側に磁界(妨害磁界)を発生させる構成である。この妨害磁界は、挿入口から挿入される磁気カードの磁気ストライプが通過する領域を含む範囲に発生される。したがって、スキミング装置が挿入口の前面に取り付けられていても、スキミング装置が磁気カードから読み取った読取信号は、妨害磁界によるノイズが重畳された信号になる。これにより、スキミング装置による磁気データの窃取が防止できる。
【特許文献1】特開2001−67524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示されている構成では、スキミング装置による磁気データの窃取に対する対策が十分でなかった。具体的に言うと、スキミング装置の磁気ヘッドとして、一般に差動ヘッドと呼ばれている磁気ヘッドが用いられると、磁気カードの磁気データが窃取される危険性が高く、この点で磁気データの窃取に対する対策が不十分であった。ここで言う差動ヘッドとは、電気的特性が略同じである2つの磁気ヘッド(読取ヘッドと、ダミーヘッド)を1つの筐体に納めた磁気ヘッドである。ダミーヘッドは、読取ヘッドの近傍に配置されている。読取ヘッドは、磁気カードの磁気ストライプに当接させて磁気データを読み取るヘッドである。一方、ダミーヘッドは磁気カードの磁気ストライプに当接しない位置(磁気データの影響を受けない位置)に配置されている。この差動ヘッドで磁気カードの磁気データを読み取ると、読取ヘッドの出力である読取信号は、磁気データに応じた起電力と、周辺の磁界(外部磁界)に応じた起電力とが重畳された信号となり、ダミーヘッドの出力は周辺の磁界(外部磁界)に応じた起電力の信号となる。このため、理論的には、読取ヘッドの出力と、ダミーヘッドの出力との差分をとることで、外部磁界、すなわち妨害磁界、の影響を受けていない、磁気データの読取信号を得ることができる。
【0007】
なお、現実には、読取ヘッドと、ダミーヘッドは、使用部品等のバラツキにより、その電気的特性が完全に同じにならない。また、読取ヘッドと、ダミーヘッドと、を同じ位置に配置することも物理的に不可能である。このため、読取ヘッドと、ダミーヘッドとが受ける外部磁界が異なるので、単純に読取ヘッドの出力と、ダミーヘッドの出力との差分をとっても、外部磁界の影響を受けていない、磁気データの読取信号を得ることができない。そこで、一般に差動ヘッドを用いる場合、読取ヘッド、またはダミーヘッドの少なくとも一方に対して、その出力を増幅するアンプおよび、このアンプのゲインを調整するゲイン調整回路を含むバランス調整回路を設けている。そして、読取ヘッドが磁気データを読み取っていない状態において、読取ヘッドの出力と、ダミーヘッドの出力との差分出力が0になるように、バランス調整回路でアンプのゲインを調整する。これにより、外部磁界の影響を受けることなく磁気データを読み取ることができるようになる。
【0008】
したがって、特許文献1に記載されているカード処理装置の対策では、スキミング装置に上述の差動ヘッドが用いられると、磁気データが窃取されてしまうという問題があった。
【0009】
この発明の目的は、磁気カードに記録されている磁気データが窃取されるのを略確実に防止でき、セキュリティを大幅に向上させたカード処理装置、およびこのカード処理装置を内蔵したデータ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のカード処理装置は、上記課題を解決するために以下の構成を備えている。
【0011】
(1)カード搬送路に沿って搬送されている磁気カードに記録されている磁気データを、この搬送路の途中に設けた磁気ヘッドで読み取る磁気データ読取手段と、
前記搬送路の挿入口の外側に磁界を発生させる磁界発生手段と、を備え、
前記磁界発生手段は、磁界を前記搬送路の挿入口の外側に放射する複数の放射源と、放射源毎に設けられた複数の駆動源と、を有し、
前記複数の駆動源における特定の2つの駆動源は、前記放射源を駆動する駆動信号の周波数が異なっている。
【0012】
この構成では、複数の放射源から放射した磁界による合成磁界が挿入口の外側に発生させられる。また、少なくとも、複数の放射源における特定の2つの放射源から放射される磁界(妨害磁界)の周波数が異なっている。言い換えれば、複数の放射源から放射される妨害磁界の周波数は、2種類以上である。このため、挿入口の外側に差動ヘッドを用いたスキミング装置を不正に取り付けても、スキミング装置の差動ヘッドのバランス調整を行うことができない。その理由は、ある放射源から放射される磁界に対して適正なバランス調整であっても、別の放射源から放射される磁界に対して不適性なバランス調整になる。したがって、スキミング装置における磁気データの読取信号は、磁界発生手段により発生された磁界(妨害磁界)によるノイズが重畳された信号になる。これにより、差動ヘッドを用いたスキミング装置であっても、磁気カードから磁気データが窃取されるのを略確実に防止できる。
【0013】
(2)カード搬送路に沿って搬送されている磁気カードに記録されている磁気データを、この搬送路の途中に設けた磁気ヘッドで読み取る磁気データ読取手段と、
前記搬送路の挿入口の外側に磁界を発生させる磁界発生手段と、を備え、
前記磁界発生手段は、磁界を前記搬送路の挿入口の外側に放射する複数の放射源と、放射源毎に設けられた複数の駆動源と、を有し、
前記複数の駆動源における特定の2つの駆動源は、前記放射源を駆動する駆動信号の振幅比が時間的に異なっている。
【0014】
この構成では、上記(1)と同様に、複数の放射源から放射した磁界による合成磁界が挿入口の外側に発生させられる。また、少なくとも、複数の放射源における特定の2つの放射源から放射される磁界(妨害磁界)の強度比が時間的に異なる。このため、挿入口の外側に差動ヘッドを用いたスキミング装置を不正に取り付けても、スキミング装置の差動ヘッドのバランス調整を行うことができない。その理由は、上記(1)と同様に、ある放射源から放射される磁界に対して適正なバランス調整であっても、別の放射源から放射される磁界に対して不適性なバランス調整になる。したがって、スキミング装置における磁気データの読取信号は、磁界発生手段により発生された磁界(妨害磁界)によるノイズが重畳された信号になる。これにより、差動ヘッドを用いたスキミング装置であっても、磁気カードから磁気データが窃取されるのを略確実に防止できる。
【0015】
なお、駆動信号の振幅比が時間的に異なっているとは、2つの駆動信号の周波数が異なっている場合、2つの駆動信号の位相が異なっている場合、さらには、2つの駆動信号の位相が異なっていて、且つ振幅が異なっている場合等である。
【0016】
(3)前記磁界発生手段は、前記駆動源毎に、その駆動源に対して予め定められたタイミングで前記放射源の駆動、停止を切り換える手段である。
【0017】
この構成では、挿入口の外側に発生させている妨害磁界を時間的に変化させることができるので、磁気カードから磁気データが窃取されるのを一層確実に防止できる。
【0018】
放射源の駆動、停止を切り換える時間間隔は、磁気カードに記録されている磁気データの読取に要する時間の数十分の1〜数分の1程度の時間間隔で変化させるのが好ましい。また、この時間間隔を、数十ms〜数百ms程度の短い時間にすれば、スキミング装置の差動ヘッドのバランス調整が現実的に行えなくなる。
【0019】
(4)前記磁界発生手段は、前記駆動源毎に、その駆動源に対して予め定められたタイミングで前記放射源を駆動する駆動信号の振幅を変化させる手段である。
【0020】
この構成では、上記(3)と同様に、挿入口の外側に発生させている妨害磁界を時間的に変化させることができるので、磁気カードから磁気データが窃取されるのを一層確実に防止できる。
【0021】
(5)カード搬送路に沿って搬送されている磁気カードに記録されている磁気データを、この搬送路の途中に設けた磁気ヘッドで読み取る磁気データ読取手段と、
前記搬送路の挿入口の外側に磁界を発生させる磁界発生手段と、を備え、
前記磁界発生手段は、磁界を前記搬送路の挿入口の外側に放射する複数の放射源と、放射源毎に設けられた複数の駆動源と、を有し、
前記複数の駆動源における特定の駆動源は、対応する放射源が前記搬送路の挿入口の外側に放射する磁界を時間的に変化させる。
【0022】
この構成では、複数の放射源から放射した磁界による合成磁界が挿入口の外側に発生させられる。また、特定の放射源から放射される磁界を時間的に変化させる。言い換えれば、1つ以上の放射源から放射される磁界を時間的に変化させる。これにより、磁界発生手段により挿入口の外側に発生されている磁界(妨害磁界)が時間的に変化する。したがって、この場合も、この挿入口の外側に差動ヘッドを用いたスキミング装置を不正に取り付けても、スキミング装置の差動ヘッドのバランス調整を行うことができない。このため、磁気カードから磁気データが窃取されるのを略確実に防止できる。
【0023】
なお、特定の放射源から放射される磁界を変化させる時間は、磁気カードに記録されている磁気データの読取に要する時間の数十分の1〜数分の1程度の時間や、数十ms〜数百ms程度の短い時間とすればよい。
【0024】
(6)前記特定の駆動源は、前記放射源を駆動する駆動信号の周波数を掃引することにより、対応する放射源が前記搬送路の挿入口の外側に放射する磁界を時間的に変化させる。
【0025】
この構成では、放射源を駆動する駆動信号の周波数を掃引する、すなわちスイープする、ことにより、磁界発生手段により挿入口の外側に発生されている磁界(妨害磁界)を時間的に変化させる。
【0026】
(7)前記特定の駆動源は、時間的に連続、または断続的に前記放射源を駆動する駆動信号の周波数を切り換えることにより、対応する放射源が前記搬送路の挿入口の外側に放射する磁界を時間的に変化させる。
【0027】
この構成では、放射源を駆動する駆動信号の周波数を時間的に連続、または断続的に切り換えることにより、磁界発生手段により挿入口の外側に発生されている磁界(妨害磁界)を時間的に変化させる。
【0028】
(8)カード搬送路に沿って搬送されている磁気カードに記録されている磁気データを、この搬送路の途中に設けた磁気ヘッドで読み取る磁気データ読取手段と、
前記搬送路の挿入口の外側に磁界を発生させる磁界発生手段と、を備え、
前記磁界発生手段は、磁界を前記搬送路の挿入口の外側に放射する複数の放射源と、これら複数の放射源を駆動する駆動源と、前記駆動源により駆動される放射源を切り換える切換部と、を有する。
【0029】
この構成では、駆動源により駆動される放射源を時間的に切り換えるので、挿入口の外側に発生させている妨害磁界を時間的に変化させることができる。したがって、スキミング装置における磁気データの読取信号は、磁界発生手段により発生された妨害磁界によるノイズが重畳された信号になる。これにより、差動ヘッドを用いたスキミング装置であっても、磁気カードから磁気データが窃取されるのを略確実に防止できる。
【0030】
なお、切換部が駆動源が駆動する放射源を切り換えるタイミングは、上述したように、磁気カードに記録されている磁気データの読取に要する時間の数十分の1〜数分の1程度の時間や、数十ms〜数百ms程度の短い時間とすればよい。
【0031】
(9)前記駆動源は、所定のタイミングで前記放射源を駆動する駆動信号の周波数を切り換える。
【0032】
この構成では、駆動源の周波数も切り換えるので、磁気カードの磁気データが窃取されるのを一層確実に防止できる。
【0033】
(10)前記駆動源は、前記切換部が放射源を切り換えるタイミングで、前記放射源を駆動する駆動信号の周波数を切り換える。
【0034】
この構成では、駆動部が駆動する放射源を切り換えるタイミングに同期させて、放射源を駆動する駆動信号の周波数を切り換える。
【0035】
(11)前記磁気データ読取手段の前記磁気ヘッドに対する、前記磁界発生手段により発生された磁界による影響を抑制する抑制手段を備えている。
【0036】
この構成では、磁気ヘッドにおける、磁気カードからの磁気データの読み取りにおいて、磁界発生手段により発生された妨害磁界による影響を受けることなく、磁気データを読み取ることができる。
【0037】
また、この発明の実施形態であるデータ処理装置は、以下の構成である。
【0038】
(12)(1)〜(11)のいずれかに記載のカード処理装置を内蔵し、
前記カード処理装置の磁気データ読取手段が磁気カードから読み取った磁気データを用いてデータ処理を行う処理手段を備えている。
【0039】
この構成では、磁気カードから磁気データが詐取されるのを、略確実に防止することができる、ATM、CD、CAT等のデータ処理装置を提供することができる。
【0040】
(13)利用者の有無を検知する検知手段と、
前記検知手段により利用者の存在が検知されたときに、前記カード処理装置に対して前記磁界発生手段の動作開始を指示する指示手段と、を備えている。
【0041】
この構成では、利用者がいないときに、磁界発生手段を停止するので、装置本体の電力消費を抑え、ランニングコストを低減することができる。
【発明の効果】
【0042】
この発明によれば、磁気カードの磁気データが、窃取されるのを略確実に防止でき、磁気データのセキュリティを十分に向上させられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、この発明の実施形態であるカード処理装置について説明する。
【0044】
図1は、この発明の実施形態であるカード処理装置の主要部の構成を示すブロック図である。この実施形態のカード処理装置1は、本体の動作を制御する制御部2と、本体に挿入された磁気カードに記録されている磁気データを読み取る磁気データ読取部3と、本体に挿入されたカードの搬送を制御するカード搬送制御部4と、搬送路におけるカードの有無を検出するカード検出部5と、挿入口に設けられたシャッタの開閉を制御するシャッタ制御部6と、本体に挿入されたカードから読み取った磁気データを出力する出力部7と、挿入口の外側に妨害磁界を発生させる妨害磁界発生部8と、を備えている。磁気データ読取部3が、この発明で言う磁気データ読取手段に相当し、妨害磁界発生部8が、この発明で言う磁界発生手段に相当する。
【0045】
図2は、この発明の実施形態であるカード処理装置の内部構成を示す概略図である。図2において、10は磁気カード(以下、単にカード10と言う。)である。カード処理装置1本体の前面には、カード10を挿入する挿入口11が形成されている。挿入口11の近くには、挿入口11に挿入されたカード10を検出する挿入検知センサ12が設けられている。この挿入検知センサ12は、押圧センサであり、挿入口11から挿入されたカード10によって押圧される位置に配置されている。また、挿入検知センサ12よりも少し本体内側の位置にシャッタ13が配置されている。シャッタ13は、シャッタ制御部6により開閉される。図2は、シャッタ13が開している状態を示している。シャッタ13が閉している状態は、シャッタ13の一部が挿入口11に対向する状態(図2において、シャッタ13を下げた状態)である。カード処理装置1は、通常シャッタ13を開状態に保持し、カード10を本体内部に取り込んでいる間だけ、閉状態にする構成であってもよいし、カード10の挿入時、および排出時のみ開状態にする構成であってもよい。シャッタ制御部6は、制御部2からの指示にしたがってシャッタ13を開閉する。また、カード処理装置1は、シャッタ制御部6およびシャッタ13を設けていない構成であってもよい。
【0046】
なお、この実施形態では、通常シャッタ13を開状態に保持し、カード10を本体内部に取り込んでいる間だけ、閉状態にする構成である。
【0047】
また、カード10を挟持して搬送する一対の搬送ローラ14〜17がカード10の搬送方向に並べられている。カード処理装置1は、これらの搬送ローラ14〜17によりカード10の搬送路を形成している。一対の搬送ローラ14〜17は、それぞれ一方がモータの回転力が伝達される駆動ローラであり、他方がこの駆動ローラに従動して回転する従動ローラである。搬送ローラ14〜17を駆動するモータ(不図示)は、1つである。カード搬送制御部4は、このモータの回転(回転方向、回転速度を含む)、停止を制御することにより、カード10の取り込み、およびカードの排出(返却)を行う。磁気データ読取部3は、搬送ローラ14〜17により形成された搬送路を搬送されているカード10の磁気ストライプに記録されている磁気データを読み取る磁気ヘッド18を有している。また、カード10の有無を検出するセンサ21〜24がカード10の搬送路に沿って並べられている。センサ21〜24の配置間隔は、カード10の搬送方向の長さよりも短い。センサ21〜24は、発光部と受光部とからなる光センサであり、搬送路を挟んで発光部と受光部とを対向させて配置している。センサ21は、挿入口11に最も近い搬送ローラ14にカード10が挟持されたことを検出するためのものである。また、センサ24は、本体に挿入されたカード10が貯留部に達したことを検出するためのものである。センサ22、23は、カード搬送路を搬送されているカード10の位置を検出するためのものである。カード検出部5は、センサ12、および21〜24の検出結果により、本体にカード10が挿入されているかどうか、および搬送路におけるカード10の位置を検出する。また、磁気ヘッド18とセンサ24との配置間隔は、カード10の搬送方向の長さよりも少し長くしているので、カード10が貯留部に達したときには、すなわちカード10の先端がセンサ24に検出される位置に達したときには、磁気データ読取部3がカード10に記録されている磁気データの読み取りを完了している。
【0048】
さらに、妨害磁界発生部8は、挿入口11の近傍に配置され、妨害磁界を放射する放射源31、32を有している。放射源31、32は、カード10の搬送路を挟んで対向するように配置されている。また、放射源31、32は、挿入口11に挿入されたカード10の磁気ストライプを挟んで対向するように配置されている。すなわち、放射源31は、挿入口11に挿入されたカード10の磁気ストライプの真上に配置しており、放射源32は、挿入口11に挿入されたカード10の磁気ストライプの真下に配置している。これにより、放射源31、32から放射される妨害磁界を、挿入口11に挿入されたカード10の磁気ストライプが通過する位置に発生させることができる。放射源31、32は、鉄心にコイルを巻いた簡単な構成である。妨害磁界発生部8は、放射源31、32毎に、コイルに電流を流す駆動源33、34を有している(図3参照)。放射源31を駆動する駆動源33の駆動信号の周波数f1(放射源31のコイルに流す電流の周波数f1)と、放射源32を駆動する駆動源34の駆動信号の周波数f2(放射源32のコイルに流す電流の周波数f2)と、は異なる周波数である。したがって、放射源31から放射される妨害磁界H1と、放射源32から放射される妨害磁界H2とは、その強度や周波数が異なる磁界である。また、挿入口11と磁気ヘッド18との間には、フェライト等の透磁率の大きい磁気遮蔽部材35を配置している。この磁気遮蔽部材35は、当然のことながら、搬送路におけるカード10の搬送を邪魔しない形状および配置である。磁気遮蔽部材35は、放射源31、32から放射されている妨害磁界H1、H2を吸収するものである。したがって、磁気遮蔽部材35を設けたことで、放射源31、32から放射されている妨害磁界H1、H2がこの磁気遮蔽部材35より内側に及ぼす影響を抑えることができる。これにより、磁気遮蔽部材35よりも内側に配置されている磁気ヘッド18では、妨害磁界H1、H2の影響を受けることなく磁気データを読み取ることができる。この磁気遮蔽部材35が、この発明で言う抑制手段に相当する。
【0049】
ここで、カード10に記録されている磁気データを窃取するスキミング装置について簡単に説明しておく。このスキミング装置50は、図4に示すように、カード挿入口11の前面に取り付けられる。スキミング装置50が取り付けられている場合、カード10はスキミング装置50を通過して、挿入口11から本体に取り込まれる。このスキミング装置50には、カード10に記録されている磁気データを不正に読み取るための磁気ヘッドを有する読取部や、不正に読み取った磁気データを記憶するメモリ、さらにはメモリに記憶している磁気データを無線で出力する無線通信部等が設けられている。このスキミング装置50の読取部の磁気ヘッドが図5に示す差動ヘッド51である場合について説明する。差動ヘッド51は、図5に示すように、カード10の磁気ストライプに当接させて記録されている磁気データを読み取る読取ヘッド52と、この読取ヘッド52の近傍に配置されたダミーヘッド53と、を有している。また、読取ヘッド52の出力を増幅する第1のアンプ54、ダミーヘッド53の出力を増幅する第2のアンプ55、第2のアンプ55のゲインを調整するゲイン調整回路56、および第1のアンプ54と第2のアンプ55との差分を出力する差分回路57を備えている。読取ヘッド52とダミーヘッド53とは、電気的特性が略同じである。
【0050】
差動ヘッド51は、外部磁界の影響を受けることなく、磁気データを読み取る磁気ヘッドとして開発されたものである。この差動ヘッド51で磁気データを読み取っているとき、磁気ストライプに当接している読取ヘッド52の出力は、磁気データに応じた起電力と、外部磁界(周辺の磁界)に応じた起電力とが重畳された信号になる。一方、磁気ストライプに当接していないダミーヘッド53の出力は外部磁界(周辺の磁界)に応じた起電力の信号になる。したがって、理論的には、読取ヘッド53の出力と、ダミーヘッド54の出力との差分をとることで、外部磁界の影響を受けていない、磁気データの読取信号を得ることができる。しかし、現実には、読取ヘッド52と、ダミーヘッド53は、使用部品等のバラツキにより、その電気的特性が完全に同じではない。また、読取ヘッド52と、ダミーヘッド53と、を同じ位置に配置することは物理的に不可能であり、読取ヘッド52と、ダミーヘッド53とが受ける外部磁界も完全に同じにならない。そこで、単純に読取ヘッド52の出力と、ダミーヘッド53の出力との差分(差分回路57の出力)を読取信号として出力するのではなく、上述した第1のアンプ54、および第2のアンプ55を設け、さらにゲイン調整回路56で第2のアンプ55のゲインを調整する構成が採用されている。第2のアンプ55のゲインは、この差動ヘッド51で磁気データを読み取っていない状態で、読取ヘッド52の出力と、ダミーヘッド53の出力との差分が略0になるように調整される。
【0051】
次に、この実施形態のカード処理装置1の動作について説明する。この実施形態のカード処理装置1は、装置本体が稼動しているとき、妨害磁界発生部8が放射源31、32から常に妨害磁界を放射している。放射源31は、駆動源33によりコイルに流されている周波数f1の電流に応じた妨害磁界H1を発生しており、放射源32は、駆動源34によりコイルに流されている周波数f2の電流に応じた妨害磁界H2を発生している。
【0052】
まず、挿入口11から挿入されたカード10を本体に取り込むときの動作(取込動作)について説明する。図6は、この取込動作を示すフローチャートである。カード処理装置1は、カード検出部5においてカード10が検出されていない初期状態である。このとき、シャッタ13は開されている。また、上述したように、妨害磁界発生部8が放射源31、32から妨害磁界を放射している。カード処理装置1は、挿入検知センサ12によりカード10が検知されると、カード10が挿入されたと判定する(s1)。カード処理装置1は、s1でカード10が挿入されたと判定すると、搬送ローラ14〜17の回転を開始する(s2)。s2では、搬送ローラ14〜17は、挿入されたカード10を本体内部に取り込む方向(以下、正方向と言う。)に回転する。このとき、シャッタ13は開しているので、利用者によるカード10の挿入を妨げない。この後、カード処理装置1は、カード搬送部4により挿入されたカード10を貯留部まで一定速度で搬送する。
【0053】
カード処理装置1は、カード10を貯留部へ搬送しているときに、磁気ヘッド18がカード10の磁気ストライプに当接し、このカード10に記録されている磁気データを読み取る(s3)。磁気データ読取部3が、カード10に記録されている磁気データを読み取っているときも、妨害磁界発生部8は放射源31、32から妨害磁界を放射している。上述したように、放射源31、32と、磁気ヘッド18、との間には磁気遮蔽部材35が配置されている。このため、磁気データ読取部3は、放射源31、32から放射されている妨害磁界の影響を殆ど受けることなく、カード10に記録されている磁気データを読み取ることができる。
【0054】
また、カード処理装置1は、カード10を貯留部へ搬送しているとき、搬送ローラ14の隣(挿入口11と反対側)に配置したセンサ21によりカード10の後端が検出されると(s4)、シャッタ制御部6によりシャッタ6を閉する(s5)。s4では、センサ21がカード10を検出している状態からカード10を検出していない状態に変化したときに、カード10の後端を検出したと判定する。s5でシャッタ6を閉したことにより、挿入口11から別のカード10が挿入されるのを防止できる。
【0055】
カード処理装置1は、カード10が貯留部に達すると(s6)、カード搬送制御部4による搬送ローラ14〜17の回転を停止する(s7)。s6では、センサ24がカード10を検出したときに、カード10が貯留部に達したと判定する。磁気データ読取部3における磁気データの読取については、カード10が貯留部に達したときに、すでに完了している。
【0056】
次に、上述の取込処理で貯留部に貯留したカード10を利用者に返却するときの動作(返却動作)について説明する。図6は、この返却動作を示すフローチャートである。搬送ローラ14〜17の回転を開始する(s11)。s11では、搬送ローラ14〜17は、カード10を貯留部から挿入口11へ搬送する方向(以下、逆方向と言う。)に回転される。カード10は、一定速度で挿入口11へ搬送される。このときも、妨害磁界発生部8が放射源31、32から妨害磁界を放射している。カード処理装置1は、搬送ローラ14の隣(挿入口11と反対側)に配置されたセンサ21によりカード10の先端が検出されると(s12)、シャッタ13を開する(s13)。s12では、カード処理装置1は、センサ21がカードを検出していない状態から、カード10を検出している状態に変化したときに、カード10の先端がセンサ21により検出されたと判定する。
【0057】
なお、ここでは、カード10の先端、後端を、カード10の搬送方向に基づいて説明している。このため、上述の取込時におけるカード10の後端が、この返却時におけるカード10の先端である。
【0058】
その後、カード処理装置1は、センサ21によりカード10の後端が検出されると(s14)、カード搬送制御部4により逆方向に回転されている搬送ローラ14〜17の回転を停止する(s15)。s14では、カード処理装置1は、センサ21がカードを検出している状態から、カード10を検出していない状態に変化したときに、センサ21によりカード10の後端が検出されたと判定する。搬送ローラ14〜17の停止により、カード10の搬送も停止する。このとき、カード10は搬送ローラ14に挟持されており、またその先端部分が挿入口11から外側に突出している。したがって、利用者は、挿入口11から突出しているカード10の先端部分をつかんで、抜き取ることができる。カード処理装置1は、挿入検知センサ12によりカード10が検出されている状態から、検出されていない状態に変化すると(s16)、カード10が抜き取られたと判定し、本処理を終了する。
【0059】
ここで、挿入口の前面に図5に示した差動ヘッド51を用いたスキミング装置50が取り付けられていた場合について説明する。カード処理装置1は、上述したように、稼動時においては、妨害磁界発生部8が放射源31、32から妨害磁界を常に放射している。また、スキミング装置50は、挿入口11の前面に取り付けられるので、カード10に記録されている磁気データの読み取りにおいて、放射源31、32から放射されている妨害磁界(これらの合成磁界)の影響を受ける。このため、スキミング装置50に設けられている磁気ヘッドが差動ヘッドでない通常の磁気ヘッドであれば、その読取信号は妨害磁界による起電力が重畳された信号となり、カード10の磁気データを読み取ることができない。
【0060】
また、スキミング装置50に設けられている磁気ヘッドが、図5に示した差動ヘッド51である場合、読取ヘッド52およびダミーヘッド53の出力のバランスを予め調整しておく必要がある。すなわち、磁気データを読み取っていない状態で、差分回路57の出力が略0になるように、ゲイン調整回路56で第2のアンプ55のゲインを調整しておく必要がある。しかし、図8に示すように、スキミング装置50の差動ヘッド51が配置される位置は、放射源31から放射されている妨害磁界H1と、放射源32から放射されている妨害磁界H2とが異なる方向から照射されている環境である。また、妨害磁界H1と、妨害磁界H2とは、その周波数や強度が異なっている。
【0061】
ここで、放射源31から放射されている妨害磁界をH1が読取ヘッド52に対して与える影響をH1−1、ダミーヘッド53に対して与える影響をH1−2とするとともに、放射源32から放射されている妨害磁界をH2が読取ヘッド52に対して与える影響をH2−1、ダミーヘッド53に対して与える影響をH2−2とする。読取ヘッド52と、ダミーヘッド53とは、電気的特性や配置されている位置が完全に同じではないので、
H1−1≠H1−2、H2−1≠H2−2
である。また、上述したように、妨害磁界H1と、妨害磁界H2とはその周波数や強度が異なっているので、
H1−1:H1−2≠H2−1:H2−2
である。
【0062】
このため、磁気データを読み取っていない状態で、差分回路57の出力が略0になるように、ゲイン調整回路56で第2のアンプ55のゲインを調整することができない。簡単に言うと、ゲイン調整回路56で第2のアンプ55のゲインを、妨害磁界H1の影響を除去した磁気データの読取信号が得られる状態に調整しても、差分回路57の出力は妨害磁界H2の影響を受けた信号になる。反対に、ゲイン調整回路56で第2のアンプ55のゲインを、妨害磁界H2の影響を除去した磁気データの読取信号が得られる状態に調整しても、差分回路57の出力は妨害磁界H1の影響を受けた信号になる。したがって、差動ヘッド51を用いたスキミング装置50であっても、妨害磁界H1、および妨害磁界H2の影響を除去した磁気データの読取信号を得ることはできない。
【0063】
このように、この実施形態のカード処理装置1は、差動ヘッド51を用いたスキミング装置50であっても、カード10の磁気データが不正に読み取られるのを防止できる。したがって、スキミング装置50によるカード10に記録されている磁気データの窃取に対するセキュリティを十分に確保することができる。
【0064】
また、上記実施形態では、挿入口11付近に2つの放射源31、32を設ける場合を例にして説明したが、3つ以上の放射源を設けてもよい。この場合、放射源毎に設けられる駆動源の駆動信号の周波数については2種類以上であればよい。但し、駆動源毎に駆動信号の周波数を異ならせるのが、より望ましい。
【0065】
また、放射源31、32から放射される妨害磁界H1、H2の周波数については、磁気データの読取信号に干渉する周波数になるように、読取信号の周波数に近い周波数とするのが好ましい。読取信号の周波数は、磁気ストライプにおける磁気データの記録密度、およびカード10の搬送速度により決まる。
【0066】
また、上記実施形態では、駆動源33が放射源31を駆動する駆動信号の振幅と、駆動源34が放射源32を駆動する駆動信号の振幅とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、駆動源33が放射源31を駆動する駆動信号の周波数f1と、駆動源34が放射源32を駆動する駆動信号の周波数f2とは、異なっているとしたが、駆動源33が放射源31を駆動する駆動信号の振幅と、駆動源34が放射源32を駆動する駆動信号の振幅と、の比を時間的に変化させることで、これらの駆動信号の周波数を同じにしてもよい。具体的に言うと、駆動源33が放射源31を駆動する駆動信号と、駆動源34が放射源32を駆動する駆動信号と、の位相を異ならせればよい。また、このときに、駆動源33が放射源31を駆動する駆動信号の振幅と、駆動源34が放射源32を駆動する駆動信号の振幅と、を異ならせてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、妨害磁界発生部8が放射源31、32から常に妨害磁界H1、H2を放射するとしたが、図9に示すように、放射源31がら妨害磁界H1を放射しているときに、放射源32からの妨害磁界H2の放射を停止し、反対にし放射源32がら妨害磁界H2を放射しているときに、放射源31からの妨害磁界H1の放射を停止する構成としてもよい。放射源31が妨害磁界H1を放射している時間と、妨害磁界H1の放射を停止している時間と、は図9に示すように同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、放射源31、32を切り換える時間間隔は、カード10に記録されている磁気データの読取に要する時間の数十分の1〜数分の1程度の時間や、数十ms〜数百ms程度の短い時間である。この構成では、スキミング装置50に対する妨害磁界を時間的に変化させることができる。このため、スキミング装置50は、妨害磁界H1による影響を受けるときと、妨害磁界H2による影響を受けるときとが、交互に生じることから、結果的に差動ヘッド51を用いても、カード10の磁気データを不正に読み取ることができない。したがって、磁気データのセキュリティを十分に確保することができる。また、一方の放射源から妨害磁界を放射しているときに、他方の放射源からの妨害磁界の放射を停止する構成としたので、装置本体における消費電力を抑えることができ、結果的にランニングコストが抑えられる。
【0069】
さらに、駆動源33が放射源31のコイルに流す電流の周波数を、時間的に連続または断続的に変化させる構成としてもよい。例えば、駆動源33が放射源31のコイルに流す電流の周波数を、図10に示すように駆動源33の駆動信号の周波数をfa〜fbの範囲で掃引(所謂、スイープ)することにより、時間的に連続して変化させる構成としてもよい。この場合、放射源31から放射される妨害磁界H1は、時間的に連続して変化する。このため、挿入口11の前面にスキミング装置50が取り付けられたとしても、このスキミング装置50は、放射源31から放射されている、時間的に連続して変化している妨害磁界H1の影響を受ける。このため、スキミング装置50に差動ヘッド51を用いても、妨害磁界H1が時間的に連続して変化していることから、磁気データを読み取っていない状態で、差分回路57の出力が略0になるように、ゲイン調整回路56で第2のアンプ55のゲインを調整することはできない。
【0070】
このように、この実施形態のカード処理装置1であれば、差動ヘッドを用いたスキミング装置であっても、カード10に記録されている磁気データを不正に読み取ることができない。したがって、磁気データのセキュリティを十分に確保することができる。
【0071】
また、上記の説明においては、駆動源33の駆動信号の周波数をfa〜fbの範囲でスイープするとしたが、図11(A)に示すように、駆動信号の周波数をfa〜fbの範囲で段階的に変化させてもよいし、図11(B)にように駆動信号の周波数をfa〜fbの範囲でランダムに変化させてもよい。
【0072】
また、ここでは、駆動源33の駆動信号の周波数のみを変化させる場合を示したが、同時に駆動源34の駆動信号の周波数も変化させる構成としてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、装置本体にカード10が挿入されていないとき、シャッタ13を開しているとしたが、シャッタを閉している状態にすることもできる。この場合には、図6のs1でカード10が挿入されたと判定したときにシャッタ13を開する処理を追加すればよい。また、図7のs16で利用者がカード10を抜き取ったと判定したときに、シャッタ13を閉する処理を追加すればよい。このようにすれば、挿入口11から本体にゴミ等が挿入されるのを防止することができる。
【0074】
なお、ここではカード10は表面に形成された磁気ストライプに磁気データ(磁気データ)を記録した磁気カードを例にしているが、この磁気ストライプに加えて磁気データを記録したICチップを設けた複合カードであってもよい。この場合、貯留部に搬送したカード10のICチップに電気的に接続でき、ICチップに記録されている磁気データを読み取るための接点をカード処理装置1本体に設ければよい。
【0075】
また、上記実施形態では、磁気データ読取部3が放射源31、32から放射されている妨害磁界の影響を殆ど受けることなく、カード10に記録されている磁気データを読み取るために、放射源31、32と、磁気ヘッド18、との間に磁気遮蔽部材35を配置したが、放射源31、32を、図12(A)、(B)に示すポット型コイルで構成し、図12(C)に示すように配置してもよい。図12(A)は、このポット型コイルの斜視図であり、図12(B)は断面図である。このポット型コイルのコアの素材は、フェライト等の透磁率の大きい素材である。このコアの外形形状は、図12(A)、(B)に示すように、一方の面が開口し、他方の面が開口していない円筒状の形状であり、図12(C)に示すように、開口している面を挿入口11に向けて取り付ける。また、コアの略中心には、コイルを巻く心が設けられている。このポット型コイルは、開口面から放射した磁界が、開口していない面の後側に殆どを影響を及ぼさない。したがって、磁気データ読取部3が放射源31、32から放射されている妨害磁界の影響を殆ど受けることなく、カード10に記録されている磁気データを読み取ることができる。
【0076】
次に、この発明の別の実施形態について説明する。この実施形態のカード処理装置1も上記実施形態の装置と略同じ構成であるが、妨害磁界発生部8の構成が異なっている。この実施形態の妨害磁界発生部8は、図13に示す構成である。具体的に言うと、妨害磁界発生部8は、妨害磁界H1を放射する放射源31と、妨害磁界H2を放射する放射源32有している点で上記実施形態の構成と同じであるが、これらの放射源31、32を駆動する駆動源33が1つであるとともに、駆動源33により駆動される放射源31、32を選択的に切り換える切換部35を有している点で異なっている。切換部35は、予め定められているタイミングで、駆動源33により駆動される放射源31、32を切り換える。例えば、一定時間毎、例えば数十ms〜百数十ms毎、に駆動源33により駆動される放射源31、32を切り換える。駆動源31の駆動信号の周波数は、f1である。2つの放射源31、32は、上記実施形態と同様の位置に配置されている。
【0077】
この実施形態のカード処理装置1におけるカード10の取込動作および返却動作は、図6、および図7で説明した動作と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0078】
この実施形態のカード処理装置1は、装置本体が稼動しているとき、妨害磁界発生部8が放射源31、32を切り換えながら妨害磁界を放射している。このため、挿入口11の前面にスキミング装置50が取り付けられたとしても、このスキミング装置50は、放射源31から放射される妨害磁界H1と、放射源32から放射される妨害磁界H2の影響を交互に受ける。放射源31、32が異なる位置に配置されているので、妨害磁界H1、H2がスキミング装置50に与える影響も異なる。ここで、上記実施形態と同様に、放射源31から放射されている妨害磁界をH1が読取ヘッド52に対して与える影響をH1−1、ダミーヘッド53に対して与える影響をH1−2とするとともに、放射源32から放射されている妨害磁界をH2が読取ヘッド52に対して与える影響をH2−1、ダミーヘッド53に対して与える影響をH2−2とする。読取ヘッド52と、ダミーヘッド53とは、電気的特性や配置されている位置が全く同じではないので、
H1−1≠H1−2、H2−1≠H2−2
である。また、上述したように、2つの放射源31、32が異なる位置に配置されているので
H1−1:H1−2≠H2−1:H2−2
である。このため、上記実施形態と同様に、磁気データを読み取っていない状態で、差分回路57の出力が略0になるように、ゲイン調整回路56で第2のアンプ55のゲインを調整することができない。
【0079】
このように、この実施形態のカード処理装置1においては、スキミング装置50が、妨害磁界H1による影響を受けるときと、妨害磁界H2による影響を受けるときとが、交互に生じることから、結果的に差動ヘッド51を用いても、カード10に記録されている磁気データを不正に読み取ることができない。したがって、磁気データのセキュリティを十分に確保することができる。また、上記実施形態における駆動源32に代えて、この駆動部32に比べて簡単な回路で構成できる切換部35を設ける構成としたので、装置本体の製造コストを低減することができる。
【0080】
また、この実施形態では、駆動源33の駆動信号の周波数をf1としたが、切換部35における放射源31、32の切り換えに連動して、駆動源33の駆動信号の周波数を切り換える構成としてもよい。例えば、切換部35により放射源31が妨害磁界を放射する状態に切り換えられている場合、駆動源33の駆動信号の周波数をf1とし、放射源32が妨害磁界を放射する状態に切り換えられている場合、駆動源33の駆動信号の周波数をf2とするようにしてもよい。このようにすれば、妨害磁界H1、H2の差異をより大きくすることができ、磁気データのセキュリティを一層十分に確保することができる。
【0081】
また、切換部35における放射源31、32の切り換えに連動させずに、駆動源33の駆動信号の周波数を切り換える構成としてもよい。
【0082】
次に、上述したいずれかの実施形態のカード処理装置を内蔵したデータ処理装置100について説明する。このデータ処理装置100は、例えばATM、CD、CATである。図14は、このデータ処理装置の主要部の構成を示すブロック図である。この実施形態のデータ処理装置1は、上記したいずれかの実施形態のカード処理装置1と、カード処理装置1がカード10から読み取った磁気データを用いてデータ処理を行うデータ処理部102と、装置本体に対して入力操作を行う操作部103と、利用者を検知する利用者検知部104と、を備えている。また、図中に示す101は、このデータ処理装置全体の動作を制御する上位制御部である。カード処理装置1は、カード10から読み取った磁気データを出力部7から出力する。データ処理部102は、出力部7から出力された磁気データを取り込み、この磁気データを用いてデータ処理を行う。このデータ処理は、例えば口座取引や、クレジット取引にかかるデータ処理である。操作部103は、利用者に対して操作案内等を表示する表示器を有している。利用者検知部104は、赤外線センサ等で利用者を検知する構成である。
【0083】
この実施形態のデータ処理装置100に内蔵されているカード処理装置1は、データ処理装置100からの指示にしたがって、妨害磁界の放射、停止を切り換える。データ処理装置100は、利用者検知部104において利用者が検知されている間、カード処理装置1に対して妨害磁界の放射を指示し、利用者が検知されていない間、カード処理装置1に対して妨害磁界の放射を指示する。したがって、この実施形態のデータ処理装置100においては、利用者がいるとき、すなわちカード処理装置1にカード10が挿入されるとき、カード処理装置1が妨害磁界発生部8により妨害磁界を発生する。言い換えれば、カード処理装置1にカード10が挿入されないとき、カード処理装置1が妨害磁界発生部8により妨害磁界を発生しない。
【0084】
したがって、カード処理装置1が無駄に妨害磁界を発生することがなく、装置のランニングコストを十分に低減することができる。また、上述したように、カード処理装置1は、差動ヘッドを用いたスキミング装置であっても、カード10に記録されている磁気データを不正に読み取ることができないので、磁気データのセキュリティが十分に確保される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】この発明の実施形態であるカード処理装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施形態であるカード処理装置の内部構成を示す概略図である。
【図3】この発明の実施形態であるカード処理装置の妨害磁界発生部の構成を示す図である。
【図4】この発明の実施形態であるカード処理装置にスキミング装置が取り付けられた状態を示す図である。
【図5】差動ヘッドの構成を示す図である。
【図6】この発明の実施形態であるカード処理装置の取込動作を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施形態であるカード処理装置の返却動作を示すフローチャートである。
【図8】差動ヘッドに影響を与える妨害磁界を説明する図である。
【図9】この発明の別の実施形態であるカード処理装置の妨害磁界の発生タイミングを説明する図である。
【図10】この発明の別の実施形態であるカード処理装置の妨害磁界の変化を説明する図である。
【図11】この発明の別の実施形態であるカード処理装置の妨害磁界の変化を説明する図である。
【図12】この発明の別の実施形態であるカード処理装置にポット型コイルを用いた場合を示す図である。
【図13】この発明の別の実施形態であるカード処理装置の妨害磁界発生部の構成を示す図である。
【図14】この発明の別の実施形態であるカード処理装置を内臓したデータ処理装置の構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0086】
1−カード処理装置
2−制御部
3−磁気データ読取部
4−カード搬送制御部
5−カード検出部
6−シャッタ制御部
7−出力部
8−妨害磁界発生部
31、32−放射源
33、34−駆動源
35−切換部
50−スキミング装置
51−差動ヘッド
100−データ処理装置
101−上位制御部
102−データ処理部
103−操作部
104−利用者検知部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード搬送路に沿って搬送されている磁気カードに記録されている磁気データを、この搬送路の途中に設けた磁気ヘッドで読み取る磁気データ読取手段と、
前記搬送路の挿入口の外側に磁界を発生させる磁界発生手段と、を備え、
前記磁界発生手段は、磁界を前記搬送路の挿入口の外側に放射する複数の放射源と、放射源毎に設けられた複数の駆動源と、を有し、
前記複数の駆動源における特定の2つの駆動源は、前記放射源を駆動する駆動信号の周波数が異なっているカード処理装置。
【請求項2】
カード搬送路に沿って搬送されている磁気カードに記録されている磁気データを、この搬送路の途中に設けた磁気ヘッドで読み取る磁気データ読取手段と、
前記搬送路の挿入口の外側に磁界を発生させる磁界発生手段と、を備え、
前記磁界発生手段は、磁界を前記搬送路の挿入口の外側に放射する複数の放射源と、放射源毎に設けられた複数の駆動源と、を有し、
前記複数の駆動源における特定の2つの駆動源は、前記放射源を駆動する駆動信号の振幅比が時間的に異なっているカード処理装置。
【請求項3】
前記磁界発生手段は、前記駆動源毎に、その駆動源に対して予め定められたタイミングで前記放射源の駆動、停止を切り換える手段である請求項1または2に記載のカード処理装置。
【請求項4】
前記磁界発生手段は、前記駆動源毎に、その駆動源に対して予め定められたタイミングで前記放射源を駆動する駆動信号の振幅を変化させる手段である請求項1〜3のいずれかに記載のカード処理装置。
【請求項5】
カード搬送路に沿って搬送されている磁気カードに記録されている磁気データを、この搬送路の途中に設けた磁気ヘッドで読み取る磁気データ読取手段と、
前記搬送路の挿入口の外側に磁界を発生させる磁界発生手段と、を備え、
前記磁界発生手段は、磁界を前記搬送路の挿入口の外側に放射する複数の放射源と、放射源毎に設けられた複数の駆動源と、を有し、
前記複数の駆動源における特定の駆動源は、対応する放射源が前記搬送路の挿入口の外側に放射する磁界を時間的に変化させるカード処理装置。
【請求項6】
前記特定の駆動源は、前記放射源を駆動する駆動信号の周波数を掃引することにより、対応する放射源が前記搬送路の挿入口の外側に放射する磁界を時間的に変化させる請求項5に記載のカード処理装置。
【請求項7】
前記特定の駆動源は、時間的に連続、または断続的に前記放射源を駆動する駆動信号の周波数を切り換えることにより、対応する放射源が前記搬送路の挿入口の外側に放射する磁界を時間的に変化させる請求項5に記載のカード処理装置。
【請求項8】
カード搬送路に沿って搬送されている磁気カードに記録されている磁気データを、この搬送路の途中に設けた磁気ヘッドで読み取る磁気データ読取手段と、
前記搬送路の挿入口の外側に磁界を発生させる磁界発生手段と、を備え、
前記磁界発生手段は、磁界を前記搬送路の挿入口の外側に放射する複数の放射源と、これら複数の放射源を駆動する駆動源と、前記駆動源により駆動される放射源を切り換える切換部と、を有するカード処理装置。
【請求項9】
前記駆動源は、所定のタイミングで前記放射源を駆動する駆動信号の周波数を切り換える請求項8に記載のカード処理装置。
【請求項10】
前記駆動源は、前記切換部が放射源を切り換えるタイミングで、前記放射源を駆動する駆動信号の周波数を切り換える請求項8に記載のカード処理装置。
【請求項11】
前記磁気データ読取手段の前記磁気ヘッドに対する、前記磁界発生手段により発生された磁界による影響を抑制する抑制手段を備えた請求項1〜10のいずれかに記載のカード処理装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載のカード処理装置を内蔵し、
前記カード処理装置の磁気データ読取手段が磁気カードから読み取った磁気データを用いてデータ処理を行う処理手段を備えたデータ処理装置。
【請求項13】
利用者の有無を検知する検知手段と、
前記検知手段により利用者の存在が検知されたときに、前記カード処理装置に対して前記磁界発生手段の動作開始を指示する指示手段と、を備えた請求項12に記載のデータ処理装置。
【請求項1】
カード搬送路に沿って搬送されている磁気カードに記録されている磁気データを、この搬送路の途中に設けた磁気ヘッドで読み取る磁気データ読取手段と、
前記搬送路の挿入口の外側に磁界を発生させる磁界発生手段と、を備え、
前記磁界発生手段は、磁界を前記搬送路の挿入口の外側に放射する複数の放射源と、放射源毎に設けられた複数の駆動源と、を有し、
前記複数の駆動源における特定の2つの駆動源は、前記放射源を駆動する駆動信号の周波数が異なっているカード処理装置。
【請求項2】
カード搬送路に沿って搬送されている磁気カードに記録されている磁気データを、この搬送路の途中に設けた磁気ヘッドで読み取る磁気データ読取手段と、
前記搬送路の挿入口の外側に磁界を発生させる磁界発生手段と、を備え、
前記磁界発生手段は、磁界を前記搬送路の挿入口の外側に放射する複数の放射源と、放射源毎に設けられた複数の駆動源と、を有し、
前記複数の駆動源における特定の2つの駆動源は、前記放射源を駆動する駆動信号の振幅比が時間的に異なっているカード処理装置。
【請求項3】
前記磁界発生手段は、前記駆動源毎に、その駆動源に対して予め定められたタイミングで前記放射源の駆動、停止を切り換える手段である請求項1または2に記載のカード処理装置。
【請求項4】
前記磁界発生手段は、前記駆動源毎に、その駆動源に対して予め定められたタイミングで前記放射源を駆動する駆動信号の振幅を変化させる手段である請求項1〜3のいずれかに記載のカード処理装置。
【請求項5】
カード搬送路に沿って搬送されている磁気カードに記録されている磁気データを、この搬送路の途中に設けた磁気ヘッドで読み取る磁気データ読取手段と、
前記搬送路の挿入口の外側に磁界を発生させる磁界発生手段と、を備え、
前記磁界発生手段は、磁界を前記搬送路の挿入口の外側に放射する複数の放射源と、放射源毎に設けられた複数の駆動源と、を有し、
前記複数の駆動源における特定の駆動源は、対応する放射源が前記搬送路の挿入口の外側に放射する磁界を時間的に変化させるカード処理装置。
【請求項6】
前記特定の駆動源は、前記放射源を駆動する駆動信号の周波数を掃引することにより、対応する放射源が前記搬送路の挿入口の外側に放射する磁界を時間的に変化させる請求項5に記載のカード処理装置。
【請求項7】
前記特定の駆動源は、時間的に連続、または断続的に前記放射源を駆動する駆動信号の周波数を切り換えることにより、対応する放射源が前記搬送路の挿入口の外側に放射する磁界を時間的に変化させる請求項5に記載のカード処理装置。
【請求項8】
カード搬送路に沿って搬送されている磁気カードに記録されている磁気データを、この搬送路の途中に設けた磁気ヘッドで読み取る磁気データ読取手段と、
前記搬送路の挿入口の外側に磁界を発生させる磁界発生手段と、を備え、
前記磁界発生手段は、磁界を前記搬送路の挿入口の外側に放射する複数の放射源と、これら複数の放射源を駆動する駆動源と、前記駆動源により駆動される放射源を切り換える切換部と、を有するカード処理装置。
【請求項9】
前記駆動源は、所定のタイミングで前記放射源を駆動する駆動信号の周波数を切り換える請求項8に記載のカード処理装置。
【請求項10】
前記駆動源は、前記切換部が放射源を切り換えるタイミングで、前記放射源を駆動する駆動信号の周波数を切り換える請求項8に記載のカード処理装置。
【請求項11】
前記磁気データ読取手段の前記磁気ヘッドに対する、前記磁界発生手段により発生された磁界による影響を抑制する抑制手段を備えた請求項1〜10のいずれかに記載のカード処理装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載のカード処理装置を内蔵し、
前記カード処理装置の磁気データ読取手段が磁気カードから読み取った磁気データを用いてデータ処理を行う処理手段を備えたデータ処理装置。
【請求項13】
利用者の有無を検知する検知手段と、
前記検知手段により利用者の存在が検知されたときに、前記カード処理装置に対して前記磁界発生手段の動作開始を指示する指示手段と、を備えた請求項12に記載のデータ処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−164533(P2007−164533A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360888(P2005−360888)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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