説明

カード処理装置、遊技媒体排出装置、遊技媒体排出処理システム

【課題】カード貯留部12とカード排出口8へ振り分け案内する振分案内板14が薄いカードを確実に振り分け案内可能な精度を保ちつつ一時貯留庫内に入ってしまった規格外カード等を容易に取り出すことができるようにすることを目的とする。
【解決手段】 挿入されたカード型記憶媒体Cを、カード通路6を介し、カード貯留庫12内、カード排出口8外、およびカード挿入口4外のいずれかへ導き、カード貯留部12とカード排出口8との間に設けられ、カード通路6上を導くカード型記憶媒体Cを、カード貯留庫12側またはカード排出口8側に振り分けて案内する振り分け案内板14とを備え、振り分け案内板14は、カード貯留庫12の一部乃至全部を外部に露出するよう、振り分け案内板14の作動方向と異なる方向101に移動可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード形状記憶媒体の記憶情報を読み取るまたは/及び書き込むカード処理装置、及びカード処理装置と連動してパチンコ玉やメダルを払い出す為の処理をする遊技媒体排出装置、遊技媒体排出処理システムに関わる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のようなカード処理装置Aは、カード貯留庫12に再発行可能に一時貯留可能であり、水平方向の一方向に開口して設けられたカード挿入口から縦形状で受け入れたカードをカード通路6を介し、タイミングベルト16によって搬送してカード貯留庫12または排出口8のいずれかに導くことが可能である。つまりカード処理装置Aは、カード貯留庫12にカードを貯留可能なスペースが残っている場合には振り分け案内板14をカードの受け入れ方向側において一方の方向に水平回動させて受け入れカードをカード貯留庫12に導き、カード貯留庫12に貯留させる。一方、カード貯留庫12が再発行可能なカードで満杯の場合には、受け入れたカードを受け入れ方向側において他方に水平回動させて排出口8が開口する側に導き、受入カードを排出口8から下方に落下させる。そして、遊技客が金銭を投入するとカード貯留庫12から再発行可能に貯留されたカードを1枚取り出して、投入された金銭分の有価価値情報を記憶させる。
【0003】
このような振り分け案内板14は、ステッピングモータで動かすか、電磁石の吸引や反発によって動かす等の方法が考えられるが、ステッピングモータやの場合、カードリーダのような小型の装置には配置するスペースを取るのが困難であるため電磁石を用いるようにした。また補充する手間を省くため一時貯留庫12に再発行可能にできるだけ多くのカードを貯留することが望ましいが、薄型のカードをカード貯留庫12または排出口8のいずれかに確実に導くには、水平回動する回動先端部が非常に少なく、製品では0.5mm程度の非常に精密な精度が要求される幅を電磁石によって制御している。
【特許文献1】特許3605109号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、振り分け案内板14は上記の0.5mm幅しか動かすことができないので、一時貯留庫12に折れたり変形したカードや類似カード等の規格外カードが貯留されると、この0.5mm幅の隙間から規格外カードを取り出すことが困難になるという課題がある。ドア部材2bを開けると振り分け案内板14を大きく水平回動可能にすると、ドア部材2bを閉じた際に上記の0.5mm幅で回動させることが、ドア部材2bの取り付けのあそびによって困難である。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、振り分け案内板の動作について薄いカードを確実に振り分け可能な精度を保ちつつ一時貯留庫内に入ってしまった規格外カード等を容易に取り出すことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明のカード処理装置は、カード型記憶媒体を受け入れるカード挿入口と、該カード挿入口と連通するカード通路と、該カード通路と連通しカード型記憶媒体を貯留可能なカード貯留庫と、該カード貯留庫と並列に設けられ前記カード通路と連通するカード排出口とが形成された本体と、前記カード挿入口から挿入されたカード型記憶媒体を、前記カード通路を通じて、前記カード貯留庫内、前記カード排出口外、および前記カード挿入口外のいずれかへ導くことが可能なカード導き手段と、前記カード通路上のリードライト位置に設けられ、該リードライト位置に導かれたカード型記憶媒体からのデータの読み取りおよび/または該カード型記憶媒体へのデータの書き込みを行うカード処理手段と、前記カード貯留部と前記カード排出口との間に配設されて該カード貯留庫と該カード排出口との仕切り壁として形成されるとともに、カード型記憶媒体の受入方向側において該受入方向と異なる方向であって正逆2方向に移動可能に設けられ、該移動した先の位置に応じて、前記カード通路上のカード型記憶媒体を、該カード貯留庫側または該カード排出口側に振り分けて案内する振り分け案内部と、該振り分け案内部の位置を変位させる案内部駆動手段と、前記カード処理手段によって前記リードライト位置のカード型記憶媒体から読み取られまたは該カード型記憶媒体に書き込まれたデータの内容に応じて、前記案内部駆動手段を制御して、該カード型記憶媒体を、前記カード貯留庫内、前記カード排出口外、および前記カード挿入口外のいずれかへ選択的に搬送させる制御部と、を備えるカード処理装置において、前記振り分け案内部は、前記カード貯留庫の一部乃至全部を外部に露出するよう、前記正逆2方向と異なる方向に移動可能であることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、カード貯留庫により多く貯留可能な薄いカードを、振り分け案内部を正逆2方向に精密に移動させてカード貯留庫とカード排出口外へ確実に導くことができ、正逆2方向の精密動作に影響しない方向である正逆2方向と異なる方向に振り分け案内部を移動させてカード貯留庫の一部乃至全部を外部に露出させることができるので、カード貯留庫に詰まった規格外のカード型記憶媒体を、容易に取り除くことができる。
【0008】
なお、カード導き手段の導くとは、例えば、回転する無端ベルトとカードを当接させた際の摩擦力によって搬送する例、カードを重力によって通路の向う方向に滑落または落下させて導く例、等が例示できる。
【0009】
なお、カード型記憶媒体の受入方向側において該受入方向と異なる方向であって正逆2方向に移動可能とは、例えば、水平方向の一方向に開口して設けられたカード挿入口から縦形状で受け入れたカード型記憶媒体をカード通路を介し、タイミングベルトによって搬送して、その搬送方向と略直角であって水平に、振り分け案内部の受入方向側の一端を回動させる例、上方に向かって開口して設けられたカード挿入口から受け入れたカード型記憶媒体を垂直落下乃至所定傾斜角度で滑落させ、落下または滑落方向と44度から46度(例えば)の傾斜で、振り分け案内部の受入方向側の一端を回動させる例、などが例示できる。
【0010】
なお、正逆2方向と異なる方向とは、例えば正逆2方向に垂直な方向、例えば45度の方向、例えば60度の方向、等が例示できる。
【0011】
また本発明のカード処理装置は、上記構成に加えて、前記カード処理装置は、開くと少なくとも前記振り分け案内部を外部に露出状態としたり、閉じると非露出状態とすることが可能なドア部材を備え、前記ドア部材を開いて前記振り分け案内部を外部に露出状態とした場合に、前記振り分け案内部を、前記正逆2方向と異なる方向に前記カード貯留庫の一部乃至全部を外部に露出するよう移動可能とすることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、ドア部材を開いて振り分け案内部を外部に露出状態とした場合に、振り分け案内部を、正逆2方向と異なる方向に前記カード貯留庫の一部乃至全部を外部に露出するよう移動可能とするので、ドア部材を開いて、カード貯留庫の一部乃至全部を露出させることで、カード貯留庫内の規格外カードのつまりを容易に除去できるとともに、通常のカード貯留庫またはカード排出口外へ確実に導くことができる。
【0013】
また本発明のカード処理装置は、上記構成に加えて、前記振り分け案内部における仕切り壁が、前記正逆2方向へ平行移動、または前記カード型記憶媒体の受入方向側を回動先端側とし前記カード型記憶媒体の受入方向と反対側を回転軸とした回動によって移動可能であることを特徴とする。
【0014】
また本発明のカード処理装置は、前記振り分け案内部における仕切り壁が、前記正逆2方向と異なる方向へ、平行移動、または回動によって移動可能であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の遊技媒体排出装置は、上記カード処理装置と連動して、前記カード処理装置の前記カード処理手段によって読み取りまたは書き込んだ情報に応じて遊技媒体を排出するための処理を行うことを特徴とする。
【0016】
また本発明のカード処理システムは、上記遊技媒体排出装置を複数備え、該複数の遊技媒体排出装置と通信可能に接続され、前記読み取りまたは書き込んだ情報を記憶管理する管理装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明のカード処理装置によれば、カード貯留庫により多く貯留可能な薄いカードを、振り分け案内部を正逆2方向に精密に移動させてカード貯留庫とカード排出口外へ確実に導くことができ、正逆2方向の精密動作に影響しない方向である正逆2方向と異なる方向に振り分け案内部を移動させてカード貯留庫の一部乃至全部を外部に露出させることができるので、カード貯留庫に詰まった規格外のカード型記憶媒体を、容易に取り除くことができる、というすぐれた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係るカード処理装置の好適な実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は本実施の形態に係るカード処理装置Aの斜視外観図である。
図1に示すように、カード処理装置Aの本体2は、シャーシー2aと、シャーシー2aの一側面の凹部に嵌合するよう設けられ、シャーシー2aに対して開閉可能に設けられたドア部材2bとから成る。直方体をなす本体2には、その端面に設けられ、ICカード等のカード型記憶媒体C(以下、単にカードCと呼ぶ)を受け入れるカード挿入口4と、内部のカード通路6(図1には図示せず)を介してカード挿入口4と連通し、下方に向かって開口するカード排出口8とが形成されている。カード挿入口4、カード通路6、およびカード排出口8は、ドア部材2bが閉められた状態で、シャーシー2aとドア部材2bとの間に、カードCの厚さより若干幅広の細隙状に形成され、カードCがその板面に平行な方向に通過可能となっている。
【0020】
カード排出口8の下方には、図示しないカード回収庫が設けられ、カード処理装置AはカードCをカード排出口8から排出することで、カードCをカード回収庫内に回収することができる。
【0021】
また、本体2の外面には、接続端子部34が設けられ、カード処理装置Aは、例えば貨幣識別装置や玉貸し装置等の、他の機器とデータを送受信可能に設けられる。送受信の処理は、本体2内部に設けられた、CPUやメモリを備えROM等に記憶されたファームウェアプログラムを実行可能な、図示しない制御部によって行われる。
【0022】
図2〜図4は、本実施の形態に係るカード処理装置Aの構成を示す説明図である。
図2は、ドア部材2bを取り外した本体2(すなわちシャーシー2a)を、ドア部材2bが取り付けられる側面の側からみた説明図である。なお、図2上、破線で示された部材は、シャーシー2aの外観からは見られない、シャーシー2a内部の構成部材を表す。
図3は、図2の本体2のX−X断面を、本体2の底面側からみた説明図である。
図4は、本体2を、図2の左側からみた説明図である。
なお、図3および図4においては、シャーシー2aにドア部材2bが取り付けられている状態を示している。
【0023】
図3に示すように、ドア部材2bは、その一端側に設けられた軸10により回動自在にシャーシー2aに軸支され、シャーシー2aに対し開閉自在に設けられる。ドア部材2bの軸10が設けられた前記一端側の反対側の他端側には、ラッチ構造(図示せず)が設けられ、ラッチ構造によりドア部材2bは閉まった状態でロック可能に設けられる。
【0024】
図2に示すように、カード通路6は、カード挿入口4と連通し、本体2の奥方向(図2上では右方向)に延びている。カード通路6の奥側(図2上では右側)は、下方に開口するカード排出口8と連通している。
【0025】
カード排出口8は、図3に示すように、カード通路6のドア部材2b側の側壁と連続する壁部と、その壁部と対向してシャーシー2a側に設けられた振り分け案内部としての振り分け案内板14との間に形成されている。
カード排出口8の、振り分け案内板14を挟んで反対側には、振り分け案内板14とシャーシー2aの壁部との間に、カードCの数枚分(例として6枚分)の厚さの幅の空間が、カード貯留庫12として形成されている。
言い換えると、カード排出口8とカード貯留庫12とは並列して設けられ、板状の振り分け案内板14が、カード排出口8とカード貯留庫12との間に、カード排出口8とカード貯留庫12との仕切り壁として設けられている。
【0026】
次にカード搬送手段について説明する。
図2に示すように、カード通路6の片側の側壁を形成する、シャーシー2aの側壁には、カードCの進行方向(搬送方向)に細長の開口部20が形成され、開口部20の両端部に配置されたプーリー18aとプーリー18b間に掛け渡されたタイミングベルト16が、開口部20からカード通路6側へやや突出するように配設されている。カード通路6の奥側に位置するプーリー18aは、シャーシー2aに軸22を介して回転自在に軸支されている。軸22の一端側には、大歯車24が、カード搬送手段の駆動源としてのステッピングモータ26の回転軸に固定されたピニオン26aと歯合して設けられている。
この構成により、ステッピングモータ26が回転駆動することで、駆動ローラーとしてのプーリー18aが回転駆動され、伴ってタイミングベルト16がカード通路6に沿って駆動する。
【0027】
また、カード通路6の、前記片側の側壁に対向する、ドア部材2b側の側壁からは、図3に示すように、プーリー18aおよびプーリー18bのそれぞれに対応する位置に、回転自在の挟圧ローラー28a,28bが、カード通路6側にやや突出して設けられる。
【0028】
プーリー18aおよびプーリー18bは、その回転軸がトーションバネ32によってそれぞれ挟圧ローラー28a,28b側に付勢されることで、挟圧ローラー28a,28bにタイミングベルト16を挟んで圧接される。トーションバネ32は、シャーシー2aの内部に固定された支持材30に取り付けられている。プーリー18aおよびプーリー18b(タイミングベルト16)に圧接されることにより、挟圧ローラー28a,28bは、プーリー18a,18bおよびタイミングベルト16に伴って回転される。
【0029】
なお、本実施の形態においては、プーリー18a,18bを挟圧ローラー28a,28b側へ付勢して圧接させる構成を採ったが、逆に、挟圧ローラー28a,28bをプーリー18a,18b側へ付勢して圧接させるよう構成してもよい。
【0030】
ステッピングモータ26は、前記制御部によって、正逆転駆動および停止等の駆動が制御される。それに伴い、プーリー18a,18b、タイミングベルト16、および挟圧ローラー28a,28bも正逆転および停止制御される。
【0031】
上記制御部、ステッピングモータ26、ピニオン26a、大歯車24、軸22、プーリー18a,18b、タイミングベルト16、および挟圧ローラー28a,28bにより、カードCを搬送するカード搬送手段が構成される。
【0032】
次にカード処理手段について説明する。
図2に示すように、カード通路6の側壁内部には、ICカード等のカードCとデータを送受信して、カードCからデータを読み取ったり、カードCにデータを書き込んだりするカードリーダライタとしての、コイル状のアンテナ部36が設けられる。アンテナ部36がカードCから読み取ったデータは前記制御部に送られる。また、制御部はアンテナ部36を介してカードCにデータを書き込むことができる。制御部およびアンテナ部36により、カード処理手段が構成される。
図5は、カードCが、アンテナ部36とデータを送受信可能なリードライト位置に位置している状態を示す説明図である。図5に示すように、本実施の形態においては、カードCのリードライト位置は、リードライト位置に位置するカードCの先に挿入された奥部が、振り分け案内板14のカード排出口8側に重なる位置に設定されている。
【0033】
次に、振り分け案内部としての、板状の振り分け案内板14について説明する。
図6に、振り分け案内板14の底面拡大図(図2のX−X断面。ただし図6ではドア部材2bあり)を示す。なお、図6においては、説明に不要な部材は省略している。図6(a)から分かるように、振り分け案内板14は、カード排出口8とカード貯留庫12との間に、カード排出口8とカード貯留庫12との仕切り壁として、カード通路6を搬送されるカードCの板面とほぼ平行に設けられている。
【0034】
振り分け案内板14の、カードCの導入側の一端部14xの拡大説明図を、図7に示す。振り分け案内板14の上下縁部(カードCの搬送方向に沿った両縁部)には、カード貯留庫12側にほぼ直角に折れ曲がって形成された折れ曲がり部14a(上縁側は図示せず)が設けられている。言い換えると、振り分け案内板14は、カードCの搬送方向に直交する断面が、コの字状となるよう形成されている。また、振り分け案内板14に対向する、カード貯留庫12の側壁には、折れ曲がり部14aが入り込む溝部(図示せず)が形成されている。
【0035】
また、振り分け案内板14の一端部14x側には、折れ曲がり部14aから内側(上方)に、振り分け案内板14の板面と平行に突出して延び、振り分け案内板14のカード貯留庫12側の板面との間に、カードCが一枚のみ通過可能な幅(即ち、カードCの一枚分の厚さ以上、かつ二枚分の厚さ未満の幅)の隙間を形成する、カード通過規制部としての円筒形の邪魔ピン14bが設けられている。
【0036】
また、図6に示すように、邪魔ピン14bのカード貯留庫12側は、カード貯留庫12に貯留されたカードCが出庫される時、そのカードCを前記隙間に案内するための面取りがなされている。面取りは、その稜線の一方が、邪魔ピン14bと振り分け案内板14との距離が最も短くなる箇所にくるよう設定され、その稜線からカード貯留庫12側に向かって斜めに切り落としたようになされる。また、振り分け案内板14の一端部14xがカード貯留庫12側の側壁の受け部2aaに当接する位置にあるときに、プーリー18aの周りのタイミングベルト16の外周をプーリー18aの軸線方向に延長したとした半円筒内に邪魔ピン14bが収まるように、前記面取りは形成される。
【0037】
また、図7に示すように、振り分け案内板14の一端部14xは、プーリー18a(駆動ローラー)および挟圧ローラー28a(図7には図示せず)と重なる位置に配設され、振り分け案内板14の一端部14xには、プーリー18a(駆動ローラー)および挟圧ローラー28aをよける切り欠き部14cが形成されている。
【0038】
また、図6に示すように、振り分け案内板14の、前記一端部14xの反対側の他端部14y寄りには、対向する(上下の)両折れ曲がり部14aのそれぞれの一部から延びる延出部14dが形成される。振り分け案内板14は、延出部14dに設けられた開口部を貫通する、カードCの搬送方向に垂直かつ搬送されるカードCの板面と平行な回転軸14eに軸支されて、回動(移動)可能に設けられる。
【0039】
また、振り分け案内板14の、回転軸14eよりも前記他端部14y側は、本体2から突出している。他端部14yは、シャーシー2aに固定された支持部材38上の、付勢部材としてのバネ40によって、カード貯留庫12からカード排出口8へ向かう方向(図6(a)では上方)に向かって付勢されている。これにより、振り分け案内板14の、他端部14yの回転軸14eを挟んで反対側の一端部14x側は、カード排出口8からカード貯留庫12へ向かう方向(図6(a)では下方)に向かって付勢されることとなる。振り分け案内板14の一端部14xは、シャーシー2aのカード通路6を形成する側壁部の、受け部2aaに当接して止められている。
【0040】
次に、振り分け案内板14を変位させる案内部駆動手段としての案内板駆動手段について説明する。
支持部材38に隣接して(図6(a)では支持部材38奥方向に隣接して)、電磁石42が設けられる。電磁石42は、前記制御部によって通電、非通電が切り替えられる。
制御部が電磁石42に通電した時には、電磁石42は、鉄やステンレス等の金属板で構成された振り分け案内板14の前記他端部14yを、バネ40の付勢力に抗してカード貯留庫12へ向かう方向(図6(a)では下方)に向かって引きつける。これにより、図6(b)に示すように、一端部14x側は、カード排出口8側(図6(b)では上方)へ移動され、ドア部材2bのカード通路6を形成する側壁部の、受け部2baに当接する。
また、制御部が電磁石42の通電を止めた時には、電磁石42による振り分け案内板14の引きつけ力が働かなくなるため、振り分け案内板14の他端部14yは、バネ40の不勢力によって、カード排出口8へ向かう方向(図6(b)では上方)に向かって移動され、他方、他端部14yの反対側の一端部14x側は、カード貯留庫12へ向かう方向(図6(b)では下方)に向かって移動されて、一端部14xは受け部2aaに当接する、図6(a)の位置に復帰する。制御部、バネ40および電磁石42により、振り分け案内板14を駆動する案内板駆動手段が構成される。
【0041】
なお、振り分け案内板14の前記他端部14y側には、振り分け案内板14本体よりも肉厚の、鉄やステンレス等の金属板14fを取り付け、電磁石42による吸着力を高めるとよい。
なお、振り分け案内板14の本体と金属板14fとの間には、キック板44が設けられるが、これについては後述する。
【0042】
また、振り分け案内板14の、前記一端部14x寄りの中途部には、カード貯留庫12側に突出する凸部14gが形成される(図2および図9参照)。凸部14gは、カードCが新たにカード貯留庫12に貯留される際に、カード貯留庫12に既に貯留されているカードCに当接することで、振り分け案内板14とカード貯留庫12に既に貯留されているカードCとの間に、新たに貯留されるカードCが進入可能な間隙を生じさせる作用をもつ。
なお、凸部14gのより詳細な作用については、後述するカード処理装置Aの動作説明の中で述べる。
【0043】
また、カード処理装置Aは、図9に示すように、カード貯留庫12内のカードCの、カード貯留庫12の奥側の端部側を、振り分け案内板14に向かって押し付ける付勢部材としての板バネ52を備える。板バネ52は、カード貯留庫12を画成するシャーシー2aの側壁に一端が固定され、他端はカード貯留庫12の奥側に向かって延び、振り分け案内板14に向かって付勢している。
【0044】
次に、カード取り出し手段を構成する押し出し部材としてのキック板44について説明する。
キック板44は、図9に示すように、カードCの厚さよりも若干薄い平板状に形成され、振り分け案内板14の他端部14y側の、振り分け案内板14の本体のカード貯留庫12側の板面と金属板14fとの間に配設される。
キック板44には、その板面から、その板面に垂直な方向に延びるピン44aが設けられる。図2に示すように、ピン44aが、振り分け案内板14本体に、カードCの搬送方向に細長く形成された溝部14hを貫通することで、キック板44は、振り分け案内板14のカード貯留庫12側の面に沿って、搬送方向に摺動可能に設けられる。
【0045】
図2に示すように、キック板44に固定されたピン44aは、軸50aにより回動自在に軸支されたレバー50に連繋され、レバー50の回動により、搬送方向に往復摺動可能となっている。レバー50は、シャーシー2aの基体にに連続するベース部46上に固定されたプランジャー型ソレノイド48の往復駆動部48aにより回動駆動される。プランジャー型ソレノイド48は、前記制御部によって駆動制御される。
なお、キック板44の作用については、後述するカード処理装置Aの動作説明の中で詳述する。
【0046】
また、図2に示すように、カード通路6を形成するシャーシー2aの側壁には、挿入または搬送されるカードCを検出する、カード検出手段としてのフォトセンサ54,56が設けられる。フォトセンサ54は、カード通路6のカード挿入口4寄りに設けられる。フォトセンサ56は、振り分け案内板14のカードCの導入側端部14xの近くに、振り分け案内板14のもう一つの切り欠き部14iを通してカードCを検出可能に配設される。フォトセンサ54,56によるカードCの有無の検出状態は、前記制御部に伝達される。
【0047】
次に、カード処理装置Aの動作について説明する。
以下の動作の説明の前提として、カード処理装置Aは、パチンコ玉等の遊技媒体の貸し出しシステムに用いられ、パチンコ店(遊技店)のパチンコ台間の台間玉貸し機に組み込まれ、貨幣識別装置や、パチンコ玉(遊技媒体)を貸し出すべく排出する玉貸し装置等と通信可能に接続されているものとする。カード処理装置Aの制御部は、前記接続端子部34(図1参照)を介して、貨幣識別装置からは遊技者が投入した貨幣分の有価価値情報を受信でき、また玉貸し装置に対しては任意の有価価値分のパチンコ玉を排出するよう、コマンドや情報を送信することができるものとする。
【0048】
また、カード処理装置Aが扱うカードCには、金額や貸し出し可能玉数等の有価価値を特定可能な有価価値特定情報が記憶されているものとする。
有価価値特定情報は、例えば、金額や貸し出し可能玉数等の有価価値を直接表す情報であってもよいし、各カードCに固有のID番号であってもよい。
本実施の形態においては、カードCには、有価価値特定情報として、金額情報が直接記憶されているものとする。
【0049】
なお、有価価値特定情報が各カードCに固有のID番号である場合には、例えば、遊技店内や遊技店経営会社内に設置された管理コンピュータに、各カードCのID番号と、金額や貸し出し可能玉数等の有価価値を表す情報とを、関連付けて記憶させておき、台間玉貸し機がその管理コンピュータと通信して、有価価値を特定および更新できるよう、遊技媒体の貸し出しシステムを構成すればよい。
【0050】
カード処理装置Aの動作の説明に移る。
図2において、遊技者等がカード挿入口4からカードCを差し込むと、フォトセンサ54がカードCを検出して制御部がカード挿入を認識する。制御部はステッピングモータ26を制御してタイミングベルト16を搬送方向(カード通路6の奥方向)に駆動させる。カードCは挟圧ローラー28a,28bとタイミングベルト16との間に挟圧されて、カード通路6内を搬送される。
ここで、振り分け案内板14は、図6(a)に示すように、通常(すなわち電磁石42に通電を行わない状態では)、バネ40の付勢力によりカードCの進入側の端部14xがカード貯留庫12側の側壁の受け部2aaに当接した位置で止まっている。この状態で、カードCを図5のリードライト位置まで搬入させると、図8に示すように、カードCの搬送方向先端側は、振り分け案内板14のカード排出口8側の面に沿って進行する。
制御部は、奥側のフォトセンサ56(図2参照)がカードC先端を検出してからのステッピングモータ26の回転角度(ステップ数)を制御することで、カードCをリードライト位置に正確に位置決めすることができる。なお、カード搬送手段の駆動源として直流モータを用いた場合には、ロータリーエンコーダを使用すれば、カードCの正確な搬送位置精度を確保することができる。
【0051】
続いて、制御部は、アンテナ部36を介してカードCと通信を行い、カードCに記憶された金額情報を読み取り、その金額情報で許される範囲内の所定数のパチンコ玉を排出するよう指示するコマンドを、図示しない玉貸し装置に送信する。玉貸し装置は、指示された分のパチンコ玉を排出し、遊技者は遊技を行うことができる。
制御部は、カードCに記録されていた金額情報から、排出したパチンコ玉分の金額を差し引いて求めた差し引き金額情報を、アンテナ部36を介してカードCに再記録して、カードCの金額情報を更新する。
【0052】
ここで、カードCの更新された金額情報が0となる前に、即ち残金がある状態で、遊技者が遊技を止めた場合には、制御部は、カードCをカード挿入口4外へ排出する制御を行い、カードCを遊技者に返却する。この制御は、ステッピングモータ26を、カードCをカード挿入口4からリードライト位置へと導いた際とは逆方向に逆転させて、タイミングベルト16等を逆転させることで行うことができる。
【0053】
他方、カードCの更新された金額情報が0となった状態で、遊技者が遊技をやめた場合、制御部は、カードCをカード貯留庫12または前記カード回収庫(図示せず)内に回収する処理を行う。これは、金額情報が0となったカードCが遊技者の手に渡らないようにし、カードCの金額情報が不法に書き換えられて再利用されるといった犯罪を防ぐ目的と、カードCを確実に再利用する目的とからである。制御部は、カード貯留庫12内が満杯、すなわちカード貯留庫12内に貯留可能枚数(本実施の形態では6枚)分のカードCが既に貯留されているか否かを判断する。この判断は、カード貯留庫12にカードCが搬入出される度にインクリメントまたはデクリメントされる、メモリ上の貯留数カウンタの値を判定することで行われる。この判定の結果、カード貯留庫12が満杯だった場合には、制御部は、カードCをカード排出口8外に搬送してカードCを排出し、カード回収庫に回収させる制御を行う(詳細は後述する)。一方、前記判定の結果、カード貯留庫12が満杯でない場合には、制御部は、カードCをカード貯留庫12内に搬入する制御を行い(詳細は後述する)、前記貯留数カウンタをインクリメントする。
【0054】
なお、カード貯留庫12の前記貯留可能枚数は、物理的にカード貯留庫12内に貯留可能なカードCの上限枚数に設定してもよいし、物理的にはある程度の余裕を持たせて、上限枚数より少なめに設定してもよい。即ち、カード貯留庫12が満杯な状態とは、カード貯留庫12内のカードCの枚数が、設定された前記貯留可能枚数に達した状態を言い、必ずしもカード貯留庫12に新たにカードCを貯留することが物理的に不可能な状態のみを指すわけではない。
【0055】
制御部の、カードCをカード排出口8から排出する制御は、ステッピングモータ26を制御してタイミングベルト16を搬送方向に、カード排出口8に向かって駆動させることで行うことができる。この制御により、カードCは、図8に示した位置を経てさらにカード通路6の奥方向(カード排出口8側)に搬送され、カードCの搬送方向後端部がタイミングベルト16(プーリー18a、挟圧ローラー28a)を過ぎた時点で、重力によって下方に開口するカード排出口8から落下し、図示しない前記カード回収庫内に回収される。
【0056】
次に、制御部の、カードCをカード貯留庫12内に搬入する制御につき説明する。カードCのリードライト位置は、図5に示すように、カードCの先端側が、振り分け案内板14のカード排出口8側に重なる位置となっている。
ここから、カードCをカード貯留庫12内に導くには、制御部は、カードCを、前記カード搬送手段により一旦振り分け案内板14による分岐位置よりも前に戻した後、振り分け案内板14を位置制御して、振り分け案内板14に対して反対側のカード貯留庫12へ搬送させる。
【0057】
すなわち制御部は、まず、ステッピングモータ26を制御して、カードCをカード挿入口4側に、搬送方向に逆行するよう搬送し、カードCの奥側端部が、振り分け案内板14の端部14xよりもカード挿入口4側に位置するまで(即ち、振り分け案内板14による分岐位置よりも前の位置に)移動させる。
続いて、図6(b)に示すように、電磁石42に通電制御を行い、振り分け案内板14の端部14xがカード排出口8側の側壁の受け部2baに当接するよう位置制御する。ここで、図9(a)に示すように、カード貯留庫12内に既に貯留されているカードCaは、そのカード貯留庫12奥側の端部が板バネ52により振り分け案内板14に圧接され、カード貯留庫12の導入側の端部側には振り分け案内板14の凸部14gが当接するため、カード貯留庫12の導入側においては、振り分け案内板14とカード貯留庫12に既に貯留されているカードCaとの間には間隙58が生じている。続いて、ステッピングモータ26を制御して、カードCを搬送方向(カード通路6の奥方向)へ搬送することにより、カードCの搬送方向先端部は振り分け案内板14に案内されて、カード貯留庫12側に進入する(図9(b))。この際、カードCは、間隙58に進入する。もし凸部14gおよび板バネ52がなければ、カード貯留庫12に既に貯留されているカードCaの位置は安定しないため、カードCが、カードCaの端部に当たって引っ掛かり、カード貯留庫12内にスムーズに進入することができないといった不具合が生じる場合がある。
【0058】
このようにカードCの搬送方向先端側をカード貯留庫12側へ案内させた後、制御部は、電磁石42の通電を切り、振り分け案内板14の端部14xをカード貯留庫12側へ移動するよう制御する。これにより、振り分け案内板14は、カードCをカード貯留庫12側のタイミングベルト16を介してプーリー18a(駆動ローラー)に圧接させる。こうすることにより、図9(c)のように、プーリー18a(駆動ローラー)は、タイミングベルト16を介して、カードCの搬送方向後端部に至るまで、カードCに好適に当接し、カードCをカード貯留庫12内に残らず送りきることができるのである。
さらに、プーリー18aおよび挟圧ローラー28aは、振り分け案内板14と重なる位置に配設されているため、カードCをカード貯留庫の内方に確実に送りきることができるのである。
このようにして、搬入されたカードCは、カード貯留庫12内に積層されて貯留される。
【0059】
なお、リードライト位置が、リードライト位置に位置するカードCが、振り分け案内板14のカード排出口8側に重なる位置に設定されていることにより、リードライト位置のカードCと振り分け案内板14とが重ならずに搬送方向に直列に並ぶよう設定されている場合に比較して、カード処理装置Aの搬送方向の長さを短く設計することが可能となり、装置の小型化が図れる。
もちろん、リードライト位置を、リードライト位置に位置するカードCが、振り分け案内板14のカード貯留庫12側に重なる位置に設定してもよい。この場合に、リードライト位置のカードCを、振り分け案内板14に対して反対側のカード排出口8側に導く際には、同様に、カードCを、前記カード搬送手段により一旦振り分け案内板14による分岐位置よりも前に戻した後、振り分け案内板14を位置制御して、振り分け案内板14に対して反対側のカード排出口8へ搬送させる。
【0060】
次に、台間玉貸し機に設けられた貨幣識別装置に貨幣が投入された場合の、カード処理装置Aの動作について説明する。
遊技者が、遊戯中に貨幣識別装置に貨幣を投入し、その際に、既にカード処理装置A内のリードライト位置にカードCがある場合、制御部はそのカードCの金額情報に、投入された貨幣の金額分を足し合わせて、カードCの金額情報を、その足し合わせて求められた新たな金額情報に書き換える。これにより、遊技者は、その新たな金額分のパチンコ玉を借り受けることが可能となる。
【0061】
一方、遊技者が、カードCを持たずに(即ちカード処理装置AにカードCを挿入せずに)貨幣識別装置に貨幣を投入した場合や、挿入したカードCがカード貯留庫12やカード回収庫に回収されてしまった後で貨幣識別装置に貨幣を投入した場合には、制御部は、カード貯留庫12内に貯留されているカードCを、カード取り出し手段により、一枚あて、リードライト位置まで搬送して、そのカードCに投入された金額分の金額情報を書き込んで、遊技を可能とする。
【0062】
カード貯留庫12からカードCを一枚あてリードライト位置まで移動させる際の、制御部の制御を説明する。
まず、制御部は、まずタイミングベルト16を、搬送方向に逆行、即ち、カード通路6側からカード挿入口4側へ向かうよう、逆駆動させる。続いて、プランジャー型ソレノイド48を通電駆動させ、図10に示すように、キック板44を、カード貯留庫12内へ向けて移動させる。一方、カード貯留庫12内のカードは、そのカード貯留庫12の奥側、すなわちキック板44側の端部が、板バネ52により振り分け案内板14に向けて付勢されることで、最も振り分け案内板14側のカードCは振り分け案内板14に接触して位置している。従って、カードCの厚さよりも若干薄く形成され、振り分け案内板14に沿って移動するキック板44は、最も振り分け案内板14側のカードCの端面に当接して、カードCをカード貯留庫12の外側へ向かって移動させることとなる。そのカードCのもう一方の端部は、図10に示すように、邪魔ピン14bの面取り面に案内されて、振り分け案内板14と邪魔ピン14bとの間を通過し、タイミングベルト16と挟圧ローラー28aとの間に挿入される。これにより、カードCはカード搬送手段により搬送されて、リードライト位置まで搬送される。また、制御部は、前記貯留数カウンタをデクリメントする。
【0063】
なお、このとき、キック板44または移動されるカードCとの間の摩擦力等によって、カード貯留庫12内の他のカードCaまでもがカード貯留庫12外へ出て、複数のカードC,Caがカード搬送手段に搬送されてしまう不具合が懸念されるが、邪魔ピン14bと振り分け案内板14との間の隙間は、カードC,Caの2枚分の厚さよりも狭く設定されているため、その隙間を通過してカード搬送手段に当接するカードCは必ず一枚のみとなり、懸念される前記不具合は発生し得ない。
【0064】
カード搬送手段により再搬送されたカードCは、リードライト位置に搬送可能され、貨幣識別装置に投入された前記貨幣の金額分の金額情報が書き込まれ、遊技者の遊技に供される。
その後、遊技者が遊技を終えた際には、このリードライト位置のカードCに対して、カード挿入口4から発行、カード貯留庫12に再格納、またはカード回収庫に回収される等の処理が可能であることは言うまでもない。
【0065】
本実施の形態に係るカード処理装置Aによれば、カード貯留庫12に貯留したカードCを発行することができるため、貨幣識別装置に投入された貨幣分の残高を、カード貯留庫12に貯留されているカードCに書き込んで発行させるといった機能を実現することができる。つまり、台間玉貸し機に、投入された貨幣分の残高を書き込んだカードCを発行させる機能を実現させることができる。
【0066】
さらに、カード処理装置Aによれば、カード貯留庫12に入りきらないカードCは、カード排出口8から排出して落下させることによりカード処理装置Aの下方の回収庫に回収させる構成を採用しているため、カード貯留庫12が満杯となっても、店員がカード貯留庫12からカードCを取り出す等の処置を行う必要がなく手間が省けると共に、常に台間玉貸し機を運転させておくことが可能となる。また、回収庫の体積を大きくとって多くのカードCを回収できるよう構成でき、また、回収庫の開閉を容易に構成して、店員等による回収庫のカードCの収集を容易にすることができる。
また、単純な機構で構成でき、パチンコ台間等の狭い設置スペースに合わせて小型化および薄型化が容易である。
【0067】
ところで、本実施の形態においては、カード貯留庫12に貯留可能なカードCの枚数を6枚に設定しているが、従来の一般的なパチンコ店等の遊技店において、従来の台間玉貸し機で、新たに発行されるカードと、挿入されて回収されるカードとの差し引き枚数を統計した結果、一日の営業中に、新たに発行されるカードが、挿入されて回収されるカードよりも7枚以上多いということはほとんど発生しないことを、本願発明者らは確認している。即ち、一般的な台間玉貸し機に使用する場合には、カード貯留庫12には、6枚程度のカードCの貯留があれば十分である。もちろん、本発明のカード処理装置において、カード貯留庫のカード貯留可能枚数は、6枚程度に限定されるものではなく、その枚数は用途に応じて適宜変更可能な設計事項である。
【0068】
なお、本実施の形態においては、カード型記憶媒体に記録された有価価値特定情報が0の場合に、カード型記憶媒体を回収または貯留するよう構成したが、本発明のカード処理装置はこの用途に限定されない。例えば、有価価値情報が不法に書き換えられてたり、カード型記憶媒体の記憶手段が故障したりしているのを検出した場合に、カード型記憶媒体を回収(排出)するよう構成してもよい。
【0069】
また、本実施の形態では、本発明に係るカード処理装置を、台間玉貸し機に組み込んで使用しているが、本発明に係るカード処理装置はこれに限定されず、カード型記憶媒体からのデータの読み取りおよび/または該カード型記憶媒体へのデータの書き込みを行う用途であれば、あらゆる用途に使用することができる。
【0070】
次に図11から図15bに基づいて、振り分け案内部14は、カード貯留庫12の全部(一部でもよい)を外部に露出するよう、通常時には受け入れたカードをカード貯留口12またはカード排出口8のいずれかに振り分けて案内する振り分け案内部14のカード挿入口4側の先端の回転方向である正逆2方向108、と異なる方向101に移動可能とすることで、折れたり変形したカードや他の用途に用いられる規格外の寸法のカードをカード貯留庫12に受け入れてしまい、その結果詰まってしまい発行不能になってしまった場合、容易に除去可能な本実施の形態について説明する。
【0071】
図11は、通常時におけるカード処理装置Aのドア部材2bを開けた状態の斜視による内部構造説明図である。図12は、詰まった規格外カードを取り出す場合におけるカード処理装置Aのドア部材2bを開けた状態(ホルダー解除時)における斜視による内部構造説明図である。図13aは、図11の通常時におけるレバー操作部100付近の拡大斜視図である。図13bは、図11の詰まった規格外カードを取り出す時におけるレバー操作部100付近の拡大斜視図である。図14aは、図11の通常時におけるカード処理装置の断面説明図である。図14bは、図11の詰まった規格外カードを取り出す時におけるカード処理装置の断面説明図である。図15aは、図11の通常時におけるカード処理装置の他の態様の断面説明図である。図15bは、図11の詰まった規格外カードを取り出す時におけるカード処理装置の他の態様の断面説明図である。
【0072】
図11において、カード貯留庫12内が詰まったカードで再発行不能な状態でない通常時においては、上記したように振り分け案内板14のカード挿入口4側の先端の回転方向である正逆2方向108に回転する。その先端部における移動距離は、0.5mmである。移動距離を少なくする理由としては、カード貯留庫12内になるべく多くの枚数を貯留させるため薄いカードを用いる為高精度に確実に受け入れたカードをカード貯留口12またはカード排出口8のいずれかに振り分けて案内すること、移動距離を大きくするためのステップモータや電磁石は小型のカード処理装置Aに搭載できないことなどの理由が上がられる。従って、カード貯留庫12内が詰まったカードで再発行不能な状態において108の方向に、ドア部材2bを大きく開いて取り出すことは困難である。
【0073】
なお、既述した通り、振り分け案内板14は、図9(a)に示す如く、受け入れたカードをカード貯留庫12にストックする際には、電磁石42を制御して方向108の正方向に回動せしめ、14bと14xの間が0.5mm幅あける方向に移動させてタイミングベルト15の移動に伴い、カードCがカード貯留庫12に導く。また図8に示す如く、受け入れたカードをカード排出口8から排出する際には、電磁石42を制御して方向108の逆方向に回動せしめ、14xと14bとを当接させて、タイミングベルト15の移動に伴い振り分け案内板14の図8においての上方に導く。そして振り分け案内板14のカード受け入れ方向に対し直角な方向の端部が、方向108と異なる方向である方向101に回動可能に構成され、当該方向101に人手によって振り分け案内板14は大きく開口する。
【0074】
そこで図12において、カード貯留口12内が詰まったカードで再発行不能な状態時には、ドア部材2bを開いて振り分け案内板14を外部に露出させると、レバー100を操作し、図13aにおける孔102に細い棒を差し込んで図13bのようにレバー100を持ち上げる。すると、断面説明図14a、図14bに示す如く、リンク機構103、104がレバー100のスライドに伴い動いて、固定支点106を中心に支点105、107の各支点で支持されて移動しリンク104の先端が、振分案内板14を図中上方に突出するのを防止する位置(図14a)から防止しない位置(図14b)に退く。振り分け案内板14は、図14a、図14bにおける左端を回転軸に、右端が反時計回りに手動により90度回転可能である(カード貯留庫12の全部を外部に露出)。
【0075】
また図15における他の態様としては、振り分け案内板14の方向108への回動の為、回転軸111に振り分け案内板14を回転自在に嵌合させ、カード貯留庫12内が詰まったカードで再発行不能な状態となったら、レバー100を図15aの矢印方向にスライドさせ、レバー100の一端に取り付けられた押圧片111が、振り分け案内板14のカード受け入れ方向に対し直角な方向の端部を押圧して、方向108と異なる方向である方向101に20度程度回転させる(カード貯留庫12の一部を外部に露出)。
【0076】
なお、振り分け案内板14は、図14a及び図14bにおける左端奥側、図11及び図12の左端奥側(図中の最上部)に自在継ぎ手(ボールジョイント)で本体2aに、回転方位自在かつ回転自在に軸支される。また振り分け案内板14のカード挿入口4側の先端の回転方向である正逆2方向108には、移動幅で0.5mmに制限するための回転角度制限部材(図示しない)が本体2aに取り付けられるようにしてもよい。回転角度制限部材は、図14a及び図14bにおける振り分け案内板14の両端(図中14の左右両端)側それぞれに設けられ、左端側(図中)が [ の断面形状、右端側が ] の断面形状であり、リンク104の左端(図中)部の退きに伴って右方向(図中)に所定の金属案内部材(図示しない)にガイドされて本体2aに埋没するようにしてもよい。
【0077】
以上説明したように、
カード型記憶媒体を受け入れるカード挿入口4と、該カード挿入口4と連通するカード通路6と、該カード通路6と連通しカード型記憶媒体を貯留可能なカード貯留庫12と、該カード貯留庫12と並列に設けられ前記カード通路6と連通するカード排出口8とが形成された本体2と、
前記カード挿入口8から挿入されたカード型記憶媒体Cを、前記カード通路6を通じて、前記カード貯留庫12内、前記カード排出口8外、および前記カード挿入口4外のいずれかへ導くことが可能なカード導き手段と、
前記カード通路6上のリードライト位置(36付近)に設けられ、該リードライト位置に導かれたカード型記憶媒体Cからのデータの読み取りおよび/または該カード型記憶媒体へのデータの書き込みを行うカード処理手段と、
前記カード貯留部12と前記カード排出口8との間に配設されて該カード貯留庫12と該カード排出口8との仕切り壁として形成されるとともに、カード型記憶媒体の受入方向側において該受入方向と異なる方向であって正逆2方向101に移動可能に設けられ、該移動した先の位置に応じて、前記カード通路6上のカード型記憶媒体Cを、該カード貯留庫12側または該カード排出口8側に振り分けて案内する振り分け案内部と、
該振り分け案内部の位置を変位させる案内部駆動手段42と、
前記カード処理手段によって前記リードライト位置のカード型記憶媒体から読み取られまたは該カード型記憶媒体に書き込まれたデータの内容に応じて、前記案内部駆動手段を制御して、該カード型記憶媒体を、前記カード貯留庫12内、前記カード排出口8外、および前記カード挿入口4外のいずれかへ選択的に搬送させる制御部と、
を備えるカード処理装置Aにおいて、
前記振り分け案内部14は、前記カード貯留庫12の一部乃至全部を外部に露出するよう、前記正逆2方向108と異なる方向101に移動可能であることを特徴とするカード処理装置。
【0078】
また、前記カード処理装置Aは、開くと少なくとも前記振り分け案内部14を外部に露出状態としたり、閉じると非露出状態とすることが可能なドア部材2bを備え、前記ドア部材2bを開いて前記振り分け案内部14を外部に露出状態とした場合に、前記振り分け案内部14を、前記正逆2方向108と異なる方向101に前記カード貯留庫の一部乃至全部を外部に露出するよう移動可能としている。
【0079】
前記振り分け案内部14における仕切り壁が、前記正逆2方向108へ平行移動、または前記カード型記憶媒体の受入方向側を回動先端側とし前記カード型記憶媒体の受入方向と反対側を回転軸とした回動によって移動可能としてもよい。
【0080】
前記振り分け案内部14における仕切り壁が、前記正逆2方向と異なる方向へ、平行移動、または回動によって移動可能としてもよい。
【0081】
上記のカード処理装置Aと連動して、前記カード処理装置Aの前記カード処理手段によって読み取りまたは書き込んだ情報に応じて遊技媒体を排出するための処理を行う遊技媒体排出装置としてもよい。遊技媒体を排出するための処理としては、遊技媒体排出装置が直接遊技媒体である玉やメダルを排出するもの、遊技機に対し遊技媒体である玉やメダルを排出するための指示や許可を与えるもの、等が例示できる。
【0082】
この遊技媒体排出装置を複数備え、該複数の遊技媒体排出装置と通信可能に接続され、前記読み取りまたは書き込んだ情報を記憶管理する管理装置を備えて、遊技媒体排出処理システムを構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本実施の形態に係るカード処理装置の斜視外観図である。
【図2】本実施の形態に係るカード処理装置の構成を示す側面説明図である。
【図3】本実施の形態に係るカード処理装置の構成を示す底面説明図である。
【図4】本実施の形態に係るカード処理装置の構成を示す説明図である。
【図5】カード型記憶媒体のリードライト位置を示す説明図である。
【図6】振り分け案内板が移動する位置を示す説明図であり、(a)は、カード型記憶媒体をカード排出口側へ案内する位置、(b)は、カード型記憶媒体をカード貯留庫側へ案内する位置を示す。
【図7】振り分け案内板の、カード型記憶媒体の導入側の一端部の拡大説明図である。
【図8】振り分け案内板がカード型記憶媒体をカード排出口側へ案内している状態を示す説明図である。
【図9】振り分け案内板がカード型記憶媒体をカード貯留庫側へ案内している状態を示す説明図であり、(a)は、振り分け案内板が、カード型記憶媒体をカード貯留庫側へ案内する位置へ移動した状態、(b)は、振り分け案内板が、カード型記憶媒体の搬送方向先端側をカード貯留庫側へ案内している状態、(c)は、振り分け案内板が、カード型記憶媒体の搬送方向後端側を、駆動ローラー(タイミングベルト)に圧接すると共にカード貯留庫側へ案内している状態を示す。
【図10】カード貯留庫内に貯留されているカード型記憶媒体を、一枚あてリードライト位置へ移動させる際の動作を示す説明図である。
【図11】通常時におけるカード処理装置Aのドア部材2bを開けた状態の斜視による内部構造説明図である。
【図12】詰まった規格外カードを取り出す場合におけるカード処理装置Aのドア部材2bを開けた状態における斜視による内部構造説明図である。
【図13a】図11の通常時におけるレバー操作部100付近の拡大斜視図である。
【図13b】図11の詰まった規格外カードを取り出す時におけるレバー操作部100付近の拡大斜視図である。
【図14a】図11の通常時におけるカード処理装置の断面説明図である。
【図14b】図11の詰まった規格外カードを取り出す時におけるカード処理装置の断面説明図である。
【図15a】図11の通常時におけるカード処理装置の他の態様の断面説明図である。
【図15b】図11の詰まった規格外カードを取り出す時におけるカード処理装置の他の態様の断面説明図である。
【符号の説明】
【0084】
A カード処理装置
C,Ca カード(カード型記憶媒体)
2 本体
2a シャーシー
2b ドア部材
4 カード挿入口
6 カード通路
8 カード排出口
12 カード貯留庫
14 振り分け案内板(振り分け案内部)
14a 折れ曲がり部
14b 邪魔ピン(カード通過規制部)
14c 切り欠き部
14e 回転軸
14f 金属板
14g 凸部
14x カード型記憶媒体の導入側端部(一端部)
14y カード型記憶媒体の導入側の反対側の端部(他端部)
16 タイミングベルト
18a プーリー(駆動ローラー)
18b プーリー
26 ステッピングモータ
28a,28b 挟圧ローラー
34 接続端子部
36 アンテナ部
40 バネ
42 電磁石
44 キック板
48 プランジャー型ソレノイド
52 板バネ
54,56 フォトセンサ
58 間隙
100 レバー操作部
101 振り分け案内板14の通常時における移動方向
102 孔
103,104 リンク機構
105,107 支点
106 固定支点
110
回転軸
111
押圧片


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード型記憶媒体を受け入れるカード挿入口と、該カード挿入口と連通するカード通路と、該カード通路と連通しカード型記憶媒体を貯留可能なカード貯留庫と、該カード貯留庫と並列に設けられ前記カード通路と連通するカード排出口とが形成された本体と、
前記カード挿入口から挿入されたカード型記憶媒体を、前記カード通路を通じて、前記カード貯留庫内、前記カード排出口外、および前記カード挿入口外のいずれかへ導くことが可能なカード導き手段と、
前記カード通路上のリードライト位置に設けられ、該リードライト位置に導かれたカード型記憶媒体からのデータの読み取りおよび/または該カード型記憶媒体へのデータの書き込みを行うカード処理手段と、
前記カード貯留部と前記カード排出口との間に配設されて該カード貯留庫と該カード排出口との仕切り壁として形成されるとともに、カード型記憶媒体の受入方向側において該受入方向と異なる方向であって正逆2方向に移動可能に設けられ、該移動した先の位置に応じて、前記カード通路上のカード型記憶媒体を、該カード貯留庫側または該カード排出口側に振り分けて案内する振り分け案内部と、
該振り分け案内部の位置を変位させる案内部駆動手段と、
前記カード処理手段によって前記リードライト位置のカード型記憶媒体から読み取られまたは該カード型記憶媒体に書き込まれたデータの内容に応じて、前記案内部駆動手段を制御して、該カード型記憶媒体を、前記カード貯留庫内、前記カード排出口外、および前記カード挿入口外のいずれかへ選択的に搬送させる制御部と、
を備えるカード処理装置において、
前記振り分け案内部は、前記カード貯留庫の一部乃至全部を外部に露出するよう、前記正逆2方向と異なる方向に移動可能であることを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
前記カード処理装置は、開くと少なくとも前記振り分け案内部を外部に露出状態としたり、閉じると非露出状態とすることが可能なドア部材を備え、前記ドア部材を開いて前記振り分け案内部を外部に露出状態とした場合に、前記振り分け案内部を、前記正逆2方向と異なる方向に前記カード貯留庫の一部乃至全部を外部に露出するよう移動可能とすることを特徴とする請求項1記載のカード処理装置。
【請求項3】
前記振り分け案内部における仕切り壁が、前記正逆2方向へ平行移動、または前記カード型記憶媒体の受入方向側を回動先端側とし前記カード型記憶媒体の受入方向と反対側を回転軸とした回動によって移動可能であることを特徴とする請求項1または請求項2いずれか記載のカード処理装置。
【請求項4】
前記振り分け案内部における仕切り壁が、前記正逆2方向と異なる方向へ、平行移動、または回動によって移動可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれか記載のカード処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4記載のカード処理装置と連動して、前記カード処理装置の前記カード処理手段によって読み取りまたは書き込んだ情報に応じて遊技媒体を排出するための処理を行うことを特徴とする遊技媒体排出装置。
【請求項6】
請求項5記載の遊技媒体排出装置を複数備え、該複数の遊技媒体排出装置と通信可能に接続され、前記読み取りまたは書き込んだ情報を記憶管理する管理装置を備えることを特徴とする遊技媒体排出処理システム。

【図8】
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【図12】
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【図13a】
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【図13b】
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【図14a】
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【図14b】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図15a】
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【図15b】
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