説明

カーボンナノチューブを含有する組成物および膜

【課題】カーボンナノチューブが本来有する電気的特性、光学的特性を損なうことなくカーボンナノチューブを含む膜を作成することのできる組成物、および該組成物より得られるカーボンナノチューブを含む膜を提供する。
【解決手段】カーボンナノチューブを含有する組成物は、(A)カーボンナノチューブ、(B)ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアンハイドライド、ポリスチレン系重合体およびポリ(メタ)アクリレートよりなる群から選択される1種以上の有機ポリマー、(C)溶媒を含有する組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブが溶媒中に分散されてなる組成物、及び該組成物より得られるカーボンナノチューブを含む膜に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(以下、CNTとも言う)はナノテクノロジーの有力な素材として広範な分野で応用の可能性が検討されている。たとえば、トランジスターや顕微鏡用プローブなどのようにCNTの単線を使用する方法や、電子放出電極や燃料電池用電極、あるいはCNTが分散している導電性コンポジットのように多数のCNTをバルクとして、たとえば膜として使用する方法等がある。(特許文献1、2参照)バルクとして用いる場合にはCNTが溶剤やマトリックス材となる材質、例えば重合体の溶液などに良好に分散または溶解できることが必須であるが、一般的にCNTは溶媒に対して分散または溶解が困難であるという問題がある。このためCNT表面の改質、化学修飾などによって分散性を向上する方法が種々検討されている。
【0003】
CNTの分散性を向上させる方法としては、CNT表面に非導電性の有機物が付着するとCNTの導電性や半導体特性が損なわれる。また、CNT表面をコイル状構造のポリマーであるポリ−m−フェニレンビニレン−co−ジオクトキシ−p−フェニレンビニレン(PmPV)で覆うことによってCNTの分散性を高める方法(特許文献3)等が提案されている。また、CNTとの間で電荷の移動が容易な共役系重合体の溶液にCNTが分散しやすいことを利用して共役系重合体にCNTを分散させる方法(特許文献4,5、6)等も提案されている。しかしながらこのような方法では、CNTを構成するπ共役系が影響を受けCNT本来の特性が損なわれるために、CNT本来の特性を利用した膜を作成することが困難である。
【特許文献1】特開2008−166591号公報
【特許文献2】米国特許2007/236325号公報
【特許文献3】特開2000−44216号公報
【特許文献4】特開2008−88341号公報
【特許文献5】特開2005−89738号公報
【特許文献6】米国特許2005/269554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題点を解決すべく、CNTが本来有する電気的特性、光学的特性を損なうことなくCNTを含む膜を作成することのできる組成物、および該組成物より得られるCNTを含む膜を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るCNTを含有する組成物は、(A)カーボンナノチューブ(CNT)、(B)ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアンハイドライド、ポリスチレン系重合体およびポリ(メタ)アクリレートよりなる群から選択される1種以上の有機ポリマー、(C)溶媒を含有する組成物であることを特徴とする。
本発明に係るCNTを含有する組成物は、前記(B)成分が窒素雰囲気下において80〜250℃での示差熱熱重量分析による重量減少率が90%以上であることができる。
本発明に係るCNTを含有する組成物は、さらに(D)pH調整剤を含むことができる。
本発明に係るCNTを含有する組成物は、さらに(E)窒素雰囲気下において80〜250℃での示差熱熱重量分析による重量減少率が80%以下である重合体を含むことができる。
本発明に係るCNTを含有する組成物は、前記(E)成分が共役系重合体であることができる。
本発明に係るCNTを含有する組成物は、前記(E)成分がシロキサン系重合体であることができる。
本発明に係るCNTを含有する組成物は、基板上に成膜することによって、CNTを含む膜を作成することができる。
本発明に係るCNTを含有する組成物は、基板上に成膜することによってCNTを含む膜を作成し、さらに250℃以上の温度で加熱してCNTを含む多孔質膜を作成することができる。
本発明に係る電子素子は、本願発明の組成物を基板上に成膜したCNTを含む膜、または成膜膜を250℃以上の温度で加熱した膜から形成することができる。
本発明に係るメモリーセルは、本願発明の組成物を基板上に成膜したCNTを含む膜、または成膜膜を250℃以上の温度で加熱した膜から形成することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、CNTが本来有する電気的特性、光学的特性を損なうことなく、高温を必要とせずに膜形成することができる。また、本発明によれば、はじき等の膜欠陥がなく、均一な膜厚のCNTを含む膜を得ることができる。さらに本発明に係るCNTを含有する組成物より得られる膜、および前記膜を250℃以上の温度で加熱した膜をCNTの電気的特性、光学的特性を利用する微細な素子の作成に供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、成膜性が良好であり、CNTを含有する均質な膜を作成することのできる組成物、さらには該組成物を基板上に成膜することによりCNTを含む膜が得られるものである。なお、本発明では、分散という言葉を用いるが、これはCNTが溶媒中に溶解している現象も含むものである。また、CNTという言葉を用いるが、これはCNT表面が修飾されていない材料、ならびにCNT表面が物理的、化学的に修飾されているCNT材料を意味する。
【0008】
1.CNTを含有する組成物
以下、CNTを含有する組成物について詳述する。
【0009】
1.1(A)成分
本願発明で使用することのできるCNTはアーク放電法、化学気相成長法(以下CVD法とする)、レーザー・アブレーション法等によって作製されるが、本発明に使用されるCNTはいずれの方法によって得られたものであってもよい。また、CNTには1枚の炭素膜(グラッフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層CNT(以下SWCNTと言う)と、2枚のグラッフェン・シートが同心円状に巻かれた2層CNT(以下DWCNTと言う)と、複数のグラッフェン・シートが同心円状に巻かれた多層CNT(以下MWCNTと言う)とがあり、本発明においてSWCNT、DWCNT、MWCNTをそれぞれ単体で、もしくは複数を同時に使用できる。特に、SWCNTとDWCNTは導電性および半導体特性において優れた性質を持つので好ましく用いることができるが、中でもSWCNTが特に好ましく用いられる。
【0010】
CNTを作製する際には、同時にフラーレンやグラファイト、非晶性炭素が副生産物として生成され、またニッケル、鉄、コバルト、イットリウムなどの触媒金属も残存するので、これらの不純物を除去し精製することが好ましい。不純物の除去には、硝酸、硫酸、フッ酸などによる酸処理、またはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、アンモニア、水酸化カリウムなどによる塩基処理とともに超音波処理が有効であり、またフィルターによる分離や遠心分離による分離を併用することは純度を向上させる上でさらに好ましい。本発明で用いられるCNTの直径は特に限定されないが、0.8nm以上100nm以下が好ましく、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは15nm以下である。
【0011】
また、本発明ではCNTは上記の精製後そのまま使用できるが、塗布膜が半導体として利用される場合には素子電極間の短絡を防ぐために、素子電極間の距離よりも短いCNTを使用することが望ましい。しかし、CNTは一般には紐状で生成されるので、短繊維状で使用するにはカットすることが望ましい。短繊維へのカットには、硝酸、硫酸などによる酸処理とともに超音波処理が有効であり、またフィルターによる分離を併用することは純度を向上させる上でもさらに好ましい。なお、カットしたCNTだけではなく、あらかじめ短繊維状に作製したCNTも本発明により好ましく使用される。このような短繊維状CNTは基板上に鉄、コバルトなどの触媒金属を形成し、その表面にCVD法により700〜900℃で炭素化合物を熱分解してCNTを気相成長させることによって基板表面に垂直方向に配向した形状で得られる。このようにして作製された短繊維状CNTは基板から剥ぎ取るなどの方法で取り出すことができる。また、短繊維状CNTはポーラスシリコンのようなポーラスな支持体や、アルミナの陽極酸化膜上に触媒金属を担持させ、その表面にCNTをCVD法にて成長させることもできる。触媒金属を分子内に含む鉄フタロシアニンのような分子を原料とし、アルゴン/水素のガス流中でCVDを行うことによって基板上にCNTを作製する方法でも配向した短繊維状のCNTを作製することもできる。さらには、SiC単結晶表面にエピタキシャル成長法によって配向した短繊維状CNTを得ることもできる。溶液の塗布より得られた分散体が半導体として利用される場合には、CNTの平均長さは電極間距離によるが、好ましくは2μm以下、より好ましくは0.5μm以下で使用される。
【0012】
本発明で用いられるCNTの直径は特に限定されないが、0.8nm以上、100nm以下、より好ましくは50nm以下が良好に使用される。さらに、従来技術で検討されている表面を修飾したCNTに関しても適応可能である。
本発明の組成物に含まれるCNT含有量は必要に応じて定められるが、CNT分散液100質量部中、0.00001〜10部が好ましく、0.0001〜1部がさらに好ましく用いられる。
【0013】
1.2(B)成分
本発明で用いられる(B)成分は、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアンハイドライド、ポリスチレン系重合体、および(メタ)アクリル系重合体よりなる群から選択される1種以上の有機ポリマーである。さらに、モノマー組成、分子量等を適切に選択することにより窒素雰囲気下において80〜250℃での示差熱熱重量分析による重量減少率が90%以上である有機ポリマーが好ましく使用することができる。また、本発明に使用することのできる有機ポリマーは分解後の残渣がCNTの性質に影響を及ぼさないものが好ましく、特に解重合による分解をする有機ポリマーが好ましい。また、(A)成分が100質量部に対して、(B)成分は0.01〜99質量部用いることが好ましく、0.1〜80質量部用いることがさらに好ましい。
【0014】
このうち、(B)成分を構成するポリエーテルとしては、繰り返し単位中の炭素数が2〜12のポリアルキレングリコール化合物を挙げることができ、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリペンタメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロックコポリマー、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコールブロックコポリマー、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールブロックコポリマー、およびそのメチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、トリメトキシシリルエーテル、トリエトキシシリルエーテル、トリプロポキシシリルエーテル、トリメトキシシリルメチルエーテル、トリエトキシシリルメチルエーテル、2−トリメトキシシリルエチルエーテル、2−トリエトキシシリルエチルエーテル、3−トリメトキシシリルプロピルエーテル、3−トリエトキシシリルプロピルエーテルなどのほか、ポリエチレングリコールモノペンチルエーテル、ポリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ポリエチレングリコールモノペプチルエーテル、ポリエチレングリコールモノオクチルエーテル、ポリエチレングリコールモノノニルエーテル、ポリエチレングリコールモノデカニルエーテル、ポリエチレングリコールモノウンデカニルエーテル、ポリエチレングリコールモノドデカニルエーテル、ポリエチレングリコールモノトリデカニルエーテル、ポリエチレングリコールモノテトラデカニルエーテル、ポリエチレングリコールモノペンタデカニルエーテル、ポリエチレングリコールモノヘキサデカニルエーテル、ポリエチレングリコールモノヘプタデカニルエーテル、ポリエチレングリコールモノオクタデカニルエーテル、ポリエチレングリコールモノノナデカニルエーテル、ポリエチレングリコールモノイコサニルエーテル、ポリエチレングリコールモノヘニコサニルエーテル、ポリエチレングリコールモノドコサニルエーテル、ポリエチレングリコールモノトリコサニルエーテル、ポリエチレングリコールモノテトラコサニルエーテル、ポリエチレングリコールモノペンタコサニルエーテル、ポリエチレングリコールモノヘキサコサニルエーテル、ポリエチレングリコールモノヘプタコサニルエーテル、ポリエチレングリコールモノオクタコサニルエーテル、ポリエチレングリコールモノノナコサニルエーテル、ポリエチレングリコールモノトリアコンタニルエーテルなどのポリエチレングリコールアルキルエーテル類およびそのメチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、トリメトキシシリルエーテル、トリエトキシシリルエーテル、トリプロポキシシリルエーテル、トリメトキシシリルメチルエーテル、トリエトキシシリルメチルエーテル、2−トリメトキシシリルエチルエーテル、2−トリエトキシシリルエチルエーテル、3−トリメトキシシリルプロピルエーテル、3−トリエトキシシリルプロピルエーテルなどのポリエチレングリコールアルキルエーテル誘導体;
【0015】
ポリエチレングリコールモノ−p−メチルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−エチルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−プロピルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−ブチルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−ペンチルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−ヘキシルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−ペプチルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−オクチルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−デカニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−ウンデカニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−ドデカニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−トリデカニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−テトラデカニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−ペンタデカニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−ヘキサデカニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−ヘプタデカニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−オクタデカニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−ノナデカニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−イコサニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−ヘニコサニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−ドコサニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−トリコサニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−テトラコサニルフェニルエーテルなどのポリエチレングリコール−p−アルキルフェニルエーテル類およびそのメチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、トリメトキシシリルエーテル、トリエトキシシリルエーテル、トリプロポキシシリルエーテル、トリメトキシシリルメチルエーテル、トリエトキシシリルメチルエーテル、2−トリメトキシシリルエチルエーテル、2−トリエトキシシリルエチルエーテル、3−トリメトキシシリルプロピルエーテル、3−トリエトキシシリルプロピルエーテルなどのポリエチレングリコール−p−アルキルフェニルエーテル誘導体;
【0016】
ポリエチレングリコールモノペンタン酸エステル、ポリエチレングリコールモノヘキサン酸エステル、ポリエチレングリコールモノヘプタン酸エステル、ポリエチレングリコールモノオクタン酸エステル、ポリエチレングリコールモノノナン酸エステル、ポリエチレングリコールモノデカン酸エステル、ポリエチレングリコールモノウンデカン酸エステル、ポリエチレングリコールモノドデカン酸エステル、ポリエチレングリコールモノトリデカン酸エステル、ポリエチレングリコールモノテトラデカン酸エステル、ポリエチレングリコールモノペンタデカン酸エステル、ポリエチレングリコールモノヘキサデカン酸エステル、ポリエチレングリコールモノヘプタデカン酸エステル、ポリエチレングリコールモノオクタデカン酸エステル、ポリエチレングリコールモノノナデカン酸エステル、ポリエチレングリコールモノイコサン酸エステル、ポリエチレングリコールモノヘニコサン酸エステル、ポリエチレングリコールモノドコサン酸エステル、ポリエチレングリコールモノトリコサン酸エステル、ポリエチレングリコールモノテトラコサン酸エステル、ポリエチレングリコールモノペンタコサン酸エステル、ポリエチレングリコールモノヘキサコサン酸エステル、ポリエチレングリコールモノヘプタコサン酸エステル、ポリエチレングリコールモノオクタコサン酸エステル、ポリエチレングリコールモノノナコサン酸エステル、ポリエチレングリコールモノトリアコンタン酸エステルなどのポリエチレングリコールアルキル酸エステル類およびそのメチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、トリメトキシシリルエーテル、トリエトキシシリルエーテル、トリプロポキシシリルエーテル、トリメトキシシリルメチルエーテル、トリエトキシシリルメチルエーテル、2−トリメトキシシリルエチルエーテル、2−トリエトキシシリルエチルエーテル、3−トリメトキシシリルプロピルエーテル、3−トリエトキシシリルプロピルエーテルなどのポリエチレングリコールアルキル酸エステル誘導体などを挙げることができる。これらのポリエーテルは、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
【0017】
ポリエーテルのGPC法によるポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常、300〜300,000、好ましくは300〜200,000、特に好ましくは300〜100,000である。
【0018】
また、(B)成分を構成するポリエステルとしては、炭素数2〜12の脂肪族鎖およびエステル結合を繰り返し単位中に含む化合物を挙げることができ、例えば、ポリカプロラクトン、ポリピバロラクトン、ポリエチレンオキサレート、ポリエチレンマロネート、ポリエチレンスクシネート、ポリエチレングリタレート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンピメレート、ポリエチレンスベレート、ポリエチレンアゼラート、ポリエチレンセバケート、ポリプロピレンオキサレート、ポリプロピレンマロネート、ポリプロピレンスクシネート、ポリプロピレングリタレート、ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンピメレート、ポリプロピレンスベレート、ポリプロピレンアゼラート、ポリプロピレンセバケート、ポリブチレンオキサレート、ポリブチレンマロネート、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレングリタレート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンピメレート、ポリブチレンスベレート、ポリブチレンアゼラート、ポリブチレンセバケート、ポリオキシジエチレンオキサレート、ポリオキシジエチレンマロネート、ポリオキシジエチレンスクシネート、ポリオキシジエチレングリタレート、ポリオキシジエチレンアジペート、ポリオキシジエチレンピメレート、ポリオキシジエチレンスベレート、ポリオキシジエチレンアゼラート、ポリオキシジエチレンセバケートなどの脂肪族ポリエステル類、およびそのメチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、トリメトキシシリルエーテル、トリエトキシシリルエーテル、トリプロポキシシリルエーテル、トリメトキシシリルメチルエーテル、トリエトキシシリルメチルエーテル、2−トリメトキシシリルエチルエーテル、2−トリエトキシシリルエチルエーテル、3−トリメトキシシリルプロピルエーテル、3−トリエトキシシリルプロピルエーテル、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、トリメトキシシリルエステル、トリエトキシシリルエステル、トリプロポキシシリルエステル、トリメトキシシリルメチルエステル、トリエトキシシリルメチルエステル、2−トリメトキシシリルエチルエステル、2−トリエトキシシリルエチルエステル、3−トリメトキシシリルプロピルエステル、3−トリエトキシシリルプロピルエステルなどの脂肪族ポリエステルアルキルエーテル誘導体及び脂肪族ポリエステルアルキルエステル誘導体が挙げられる。これらのポリエステルは、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
【0019】
ポリエステルのGPC法によるポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常、300〜300,000、好ましくは300〜200,000、特に好ましくは300〜100,000である。
【0020】
さらに、(B)成分を構成するポリカーボネートとしては、繰り返し単位中の炭素数が2〜12の脂肪族ポリカーボネートを挙げることができ、例えば、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリテトラメチレンカーボネート、ポリペンタメチレンカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリヘプタメチレンカーボネート、ポリオクタメチレンカーボネート、ポリノナメチレンカーボネート、ポリデカメチレンカーボネート、ポリオキシジエチレンカーボネート、ポリ−3,6−ジオキシオクタンカーボネート、ポリ−3,6,9−トリオキシウンデカンカーボネート、ポリオキシジプロピレンカーボネート、ポリシクロペンタンカーボネート、ポリシクロヘキサンカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネート、およびそのメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、トリメトキシシリルエステル、トリエトキシシリルエステル、トリプロポキシシリルエステル、トリメトキシシリルメチルエステル、トリエトキシシリルメチルエステル、2−トリメトキシシリルエチルエステル、2−トリエトキシシリルエチルエステル、3−トリメトキシシリルプロピルエステル、3−トリエトキシシリルプロピルエステルなどの脂肪族ポリカーボネートアルキルエステル誘導体が挙げられる。これらのポリカーボネートは、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
【0021】
ポリカーボネートのGPC法によるポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常、300〜300,000、好ましくは300〜200,000、特に好ましくは300〜100,000である。
【0022】
さらに、(B)成分を構成するポリアンハイドライドとしては、炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸から得られるポリアンハイドライドが挙げられ、例えば、ポリオキサリックアンハイドライド、ポリマロニックアンハイドライド、ポリスクシニックアンハイドライド、ポリグルタリックアンハイドライド、ポリアジピックアンハイドライド、ポリピメリックアンハイドライド、ポリスベリックアンハイドライド、ポリアゼライックアンハイドライド、ポリセバシックアンハイドライドなどの脂肪族ポリアンハイドライド、およびそのメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、トリメトキシシリルエステル、トリエトキシシリルエステル、トリプロポキシシリルエステル、トリメトキシシリルメチルエステル、トリエトキシシリルメチルエステル、2−トリメトキシシリルエチルエステル、2−トリエトキシシリルエチルエステル、3−トリメトキシシリルプロピルエステル、3−トリエトキシシリルプロピルエステルなどの脂肪族ポリアンハイドライドアルキルエステル誘導体などが挙げられる。これらのポリアンハイドライドは、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
【0023】
ポリアンハイドライドのGPC法によるポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常、300〜300,000、好ましくは300〜200,000、特に好ましくは300〜100,000である。
【0024】
さらに、(B)成分を構成するポリスチレン系重合体、としては、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体; スチレン− プロピレン共重合体、スチレン− ビニルトルエン共重合体、スチレン− ビニルナフタリン共重合体、スチレン− アクリル酸メチル共重合体、スチレン− アクリル酸エチル共重合体、スチレン− アクリル酸ブチル共重合体、スチレン− アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン− メタクリル酸メチル共重合体、スチレン− メタクリル酸エチル共重合体、スチレン− メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン− メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン− ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン− ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン− ビニルメチルケトン共重合体、スチレン− ブタジエン共重合体、スチレン− イソプレン共重合体、スチレン− マレイン酸共重合体、スチレン− マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体が挙げられる。特に、ポリスチレン解重合する性質があり、分解後に残渣を最小限とすることができるため好ましい。
【0025】
上記ポリスチレン系重合体は、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体; アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類; メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類; その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体を、単独重合または共重合することにより作成することができる。上述の単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独で、あるいはほかの単量体と混合して使用することが分解後に残渣を最小限とすることができるため好ましい。
【0026】
本発明において、ポリスチレン系重合体のGPC法によるポリスチレン換算の重量平均分子量は、1,000〜3,000,000、好ましくは5,000〜300,000である。
【0027】
さらに、(B)成分を構成する(メタ)アクリル系重合体としては、ポリオキシエチル基、ポリオキシプロピル基、アミド基、ヒドロキシル基、カルボキシル基の群より選ばれた少なくとも1種を有する(メタ)アクリル系重合体が挙げられる。上記(メタ)アクリル系重合体は、アクリル酸、メタクリル酸、上記官能基を有するアクリル酸誘導体、上記官能基を有するメタクリル酸誘導体、上記官能基を有さないアクリル酸エステルおよび上記官能基を有さないメタクリル酸エステルより構成される。
【0028】
上記官能基を有するアクリル酸誘導体の具体例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、エトキシポリエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、エトキシジプロピレングリコールアクリレート、エトキシポリプロピレングリコールアクリレート、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルアクリレートなどのモノアクリレート類;ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートなどのジアクリレート類;などが挙げられる。これらは、1種または2種以上を同時に使用してもよい。
【0029】
上記官能基を有するメタクリル酸誘導体の具体例としては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、エトキシジエチレングリコールメタクリレート、エトキシポリエチレングリコールメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジプロピレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、メトキシポリプロピレングリコールメタクリレート、エトキシジプロピレングリコールメタクリレート、エトキシポリプロピレングリコールメタクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、グリシジルメタクリレートなどのモノメタクリレート類;ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレートなどのジメタクリレート類;などが挙げられる。これらは、1種または2種以上を同時に使用してもよい。
【0030】
上記官能基を有さないアクリル酸エステルの具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、ter−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、テトラデシルアクリレート、ヘキサデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−メトキシプロピルアクリレート、2−エトキシプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルカルビトールアクリレート、ノニルフェニルアクリレート、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレートなどのモノアクリレート類;エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコールジアクリレート、2,2−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパンなどのジアクリレート類;トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのトリアクリレート類;ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどのテトラアクリレート類などが挙げられる。これらは、1種または2種以上を同時に使用してもよい。
【0031】
上記官能基を有さないメタクリル酸エステルの具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、ter−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−メトキシプロピルメタクリレート、2−エトキシプロピルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルカルビトールメタクリレート、ノニルフェニルメタクリレート、ノニルフェニルカルビトールメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートなどのモノメタクリレート類;エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサングリコールジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパンなどのジメタクリレート類;トリメチロールエタントリエタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどのトリメタクリレート類などが挙げられる。これらは、1種または2種以上を同時に使用してもよい。
【0032】
本発明において、ポリオキシエチル基、ポリオキシプロピル基、アミド基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、グリシジル基の群より選ばれた少なくとも1種を有する(メタ)アクリル系重合体は、アクリル酸、メタクリル酸、上記官能基を有するアクリル酸誘導体および上記官能基を有するメタクリル酸誘導体を、上記(メタ)アクリレート系重合体を構成する全モノマーに対して通常5モル%以上、好ましくは10モル%以上、特に好ましくは20モル%以上含むことができる。
【0033】
本発明において、(メタ)アクリレート系重合体は、上記アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸誘導体およびメタクリル酸誘導体以外のラジカル重合性モノマーを40モル%以下共重合していてもよい。ラジカル重合性モノマーとしては、アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル、メチルビニルケトンなどの不飽和ケトン、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族化合物などを挙げることができる。
本発明において、(メタ)アクリル系重合体のGPC法によるポリスチレン換算の重量平均分子量は、1,000〜200,000、好ましくは1,000〜50,000である。
【0034】
以上の(B)有機ポリマーは、1種あるいは2種以上を混合して使用することができる。本発明において上記(B)成分を用いることで、CNT分散体の成膜性を向上させると共に、良好なCNTを含む膜、およびCNTを含む膜を加熱して得られる均質な多孔質膜を得ることができる。
【0035】
本発明において、前記(B)成分が、窒素雰囲気下において80〜250℃での示差熱熱重量分析による重量減少率が90%以上であることが好ましく、95%以上が好ましく、99%以上であることが最も好ましい。重量減少率が90%未満であると、CNTを含む膜を250℃以上の温度で加熱した場合に多量の分解物(残渣)がCNTを含む膜中に残留するので、良好な膜特性が得られない。なお、重量減少率は、窒素雰囲気下で80℃で1時間乾燥させた試料を、TG−DTA(示差熱熱重量同時測定)により、80℃から500℃まで10℃/分の条件で昇温させ、試料の重量変化を追跡し、((80℃の試料重量)−(250℃の試料重量))/(80℃の試料重量)×100で計算される値である。
【0036】
1.3 (C)溶媒
本発明で用いられる(C)溶媒は、水、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒および非プロトン系溶媒の群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。このような溶媒としては、沸点50〜300度が好ましく、80〜250度がより好ましい。このような溶媒を用いることによりスピンコートなどの成膜工程において適度な蒸気圧と蒸発速度、基板への濡れ性、また粘度を付与することができる。
【0037】
ここで、アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコールなどのモノアルコール系溶媒;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールなどの多価アルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどの多価アルコール部分エーテル系溶媒;などを挙げることができる。これらのアルコール系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0038】
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン、フェンチョンなどのほか、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、3,5−オクタンジオン、2,4−ノナンジオン、3,5−ノナンジオン、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ヘプタンジオンなどのβ−ジケトン類などが挙げられる。これらのケトン系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0039】
アミド系溶媒としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、N−ホルミルピロリジン、N−アセチルモルホリン、N−アセチルピペリジン、N−アセチルピロリジンなどが挙げられる。これらアミド系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0040】
エステル系溶媒としては、ジエチルカーボネート、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどが挙げられる。これらエステル系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。非プロトン系溶媒としては、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N,N´,N´−テトラエチルスルファミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチルモルホロン、N−メチルピロール、N−エチルピロール、N−メチル−Δ3−ピロリン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、N−メチルイミダゾール、N−メチル−4−ピペリドン、N−メチル−2−ピペリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチルテトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンなどを挙げることができる。これらの有機溶剤の中で、特に下記一般式(6)で表される有機溶剤が特に好ましい。
【0041】
1.4(D)成分
本発明に係る組成物は、必要に応じて、さらに(D)pH調整剤を含有していてもよい。本願発明で使用することのできる(D)成分としては、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属の水酸化物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、アンモニア等の塩基性物質が挙げられる。特に好ましくは分解性、あるいは揮発性の塩基性物質であり、窒素雰囲気下において30〜250℃での示差熱熱重量分析による重量減少率が90%以上であることが好ましく、95%以上が好ましく、99%以上であることが最も好ましい。重量減少率が90%未満であると、CNTを含む膜を250℃以上の温度で加熱した場合に多量の分解物(残渣)がCNTを含む膜中に残留するので、良好な膜特性が得られない。なお、(D)成分の重量減少率は、窒素雰囲気下で30℃で1時間乾燥させた試料を、TG−DTA(示差熱熱重量同時測定)により、30℃から500℃まで10℃/分の条件で昇温させ、試料の重量変化を追跡し、((30℃の試料重量)−(250℃の試料重量))/(30℃の試料重量)×100で計算される値である。
上記(D)成分は、1種単独で、または2種以上を混合して使用することができる。これらの(D)成分のうち、水酸化カリウム、アンモニア、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)が好ましく、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)がより好ましい。
【0042】
1.5(E)成分
本発明に係る組成物は、必要に応じて、さらに(E)窒素雰囲気下において80〜250℃での示差熱熱重量分析による重量減少率が80%以下である重合体を含有していてもよい。前記(E)成分は示差熱熱重量分析による重量減少率が1〜70%であることが好ましく、2〜50%であることが好ましい。なお、重量減少率は、窒素雰囲気下で80℃で1時間乾燥させた試料を、TG−DTA(示差熱熱重量同時測定)により、80℃から500℃まで10℃/分の条件で昇温させ、試料の重量変化を追跡し、((80℃の試料重量)−(250℃の試料重量))/(80℃の試料重量)×100で計算される値である。本願発明で使用することのできる(E)成分としては、共役系重合体、シロキサン系重合体が好ましく用いられる。このような(E)成分を併用してCNTを含む膜を作成することにより、機械的強度にすぐれたCNTを含む膜を作成することが可能となる。また、CNTを含む膜を250℃以上の温度で加熱した場合においても、(E)成分により膜が補強されるため機械的強度にすぐれたCNTを含む膜を作成することが可能となる。
【0043】
前記共役系重合体としては、たとえば、ポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、などが挙げられる。これらの共役系重合体が直鎖状であるためには、ポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体はそれぞれチオフェン環、ピロール環の2、5位でモノマーユニットがつながる必要がある。また、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体ではフェニレン基のパラ位で重合体の骨格がつながっている必要がある。上記重合体は単一のモノマーユニットが並んだものが好ましく用いられるが、異なるモノマーユニットをブロック共重合したもの、ランダム共重合したものも用いられる。また、グラフト重合したものも用いることができる。上記重合体の中でも本発明においては、ポリチオフェン系重合体が特に好ましく使用される。
【0044】
ポリチオフェン系重合体とはポリ−チオフェン構造の骨格を持つ重合体に側鎖が付いた構造を有するものである。具体例としては、ポリ−3−メチルチオフェン、ポリ−3−ブチルチオフェン、ポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリ−3−オクチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルチオフェンなどのポリ−3−アルキルチオフェン(アルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜12)、ポリ−3−メトキシチオフェン、ポリ−3−エトキシチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシチオフェンなどのポリ−3−アルコキシチオフェン(アルコキシ基の炭素数はとくに制限はないが好ましくは1〜12)、ポリ−3−メトキシ−4−メチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシ−4−メチルチオフェンなどのポリ−3−アルコキシ−4−アルキルチオフェン(アルコキシ基およびアルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜12)、ポリ−3−チオヘキシルチオフェンやポリ−3−チオドデシルチオフェンなどのポリ−3−チオアルキルチオフェン(アルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜12)が挙げられ、1種もしくは2種以上を用いることができる。中でも、ポリ−3−アルキルチオフェン、ポリ−3−アルコキシチオフェンが好ましく、前者としては特にポリ−3−ヘキシルチオフェンが好ましい。好ましい分子量は重量平均分子量で800〜100000である。また、上記重合体は必ずしも高分子量である必要はなく、直鎖状共役系からなるオリゴマーであってもよい。
【0045】
本願発明で使用することのできる(E)成分は直鎖状共役系重合体であることが好ましい。ここで直鎖状とは、重合体の骨格構造が安定状態(外力が加わっていない状態)において螺旋構造を取らず、まっすぐ延びているものを意味し、また、共役系重合体とは重合体の骨格の炭素−炭素の結合が1重結合と2重結合が交互に連なっている重合体を意味する。共役系重合体は共役系構造が伸びた構造からなるのでCNTと重合体とでの電荷の移動がスムーズであり、またCNTに付着した重合体以外の重合体が介在しないため、CNTの高い導電性や半導体特性を効率的に利用できるという特徴がある。本発明のCNTを含む組成物においてCNTの濃度を変えることによって該組成物を成膜した基板の電導性や半導体特性を制御することができる。
【0046】
また、前記シロキサン系重合体としては、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物および下記一般式(3)で表される化合物の群から選ばれた少なくとも1種のシラン化合物の縮合物を使用することができる。また、公知の絶縁膜形成用材料(たとえば特開2005−120355号公報など)を用いることができる。このような重合体を添加することでCNTを含む膜を250℃以上の温度で加熱した場合においても膜が重合体により補強されるため、機械的強度にすぐれたCNTを含む多孔質膜を作成することが可能となる。
Si(OR4−a・・・・・(1)
(式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基、Rは1価の有機基、aは1〜2の整数を示す。)
Si(OR・・・・・(2)
(式中、Rは1価の有機基を示す。)
(RO)3−bSi−(R−Si(OR3−c・・・(3)
〔式中、R〜Rは同一または異なり、それぞれ1価の有機基、bおよびcは同一または異なり、0〜2の数を示し、Rは酸素原子、フェニレン基または−(CH−で表される基(ここで、nは1〜6の整数である)、dは0または1を示す。〕
【0047】
2.CNTを含有する組成物の製造
前記(A)CNT、前記(B)ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアンハイドライド、ポリスチレン系重合体およびポリ(メタ)アクリレートの群から選ばれた少なくとも1種の有機ポリマー、(C)溶媒とを混合し、分散させることによって、本発明の組成物を得ることができる。分散させる方法は特に限定されず、均一に分散させることができればどのような方法でも問題ない。
【0048】
各成分を混合する方法は任意に実施することができるが、たとえば本願組成物が(E)成分を含む場合、重合体の溶液中にCNTを添加して分散させることによって、少なくともその一部に付着したCNTが溶液中に生成される。該溶液中で重合体をCNTに効率的に付着させるには、CNTを溶媒中で予め超音波照射下で予備分散した後、重合体を添加し分散させる方法、あるいはCNTと高分子を溶媒に混合した後、超音波照射下で分散する方法、溶融した重合体の中にCNTを添加して分散させる方法等がある。本発明においては、何れの方法でも良いが、中でもCNTを溶媒中で超音波で予備分散しておいた後に重合体を添加する方法や、CNTと高分子を溶媒に混合した後、超音波照射を行う方法が好ましい。ここで、超音波照射は超音波洗浄機、超音波破砕機などを用いて行うことができる。
【0049】
上記の方法は重合体が少なくとも一部に付着したCNTへも応用することができる。なお、重合体がCNTの少なくとも一部に付着した状態とは、CNT表面の一部、あるいは全部を重合体が被覆した状態を意味する。定量的には元素分析によって付着物の存在とCNTに対する付着物の重量比を同定することができる。また重合体が少なくとも一部に付着した状態とは、CNTの重量を1.0とした時の重合体の重量比率が少なくとも0.1である状態ということもできる。
【0050】
本発明の組成物から得られるCNTを含む膜および本発明の組成物から得られるCNTを含む膜を加熱焼成した多孔質膜は、CNT本来の導電性(例えば、スイッチング素子など)や半導体特性に近い特性(例えば電界効果型トランジスタに使用した場合には高いキャリア移動度)が得られる。なお、濾過・洗浄後、共役系重合体がCNTの表面に吸着していることは種々の分析法、例えば元素分析、表面分析装置で確認することができる。
【0051】
次に、上記の方法で得られた重合体の付着したCNTを溶媒中に分散させることによってCNT分散液が調製される。ここで溶媒中への分散手段としては撹拌、超音波照射分散、振動分散などの手段から必要に応じて方法を選ぶことができる。
【0052】
3.CNTを含む膜の作成
前記の方法により製造されたCNT分散液を基板上に成膜することによって、基板上に導電性や半導体性の機能を付与することができる。成膜方法としては、キャスト法、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェット法、ブレードコート法、ディップ法、バーコーター法、滴下法など一般的な方法が可能である。基板としてはガラスやシリコンウエハー、構造材などの無機物のみならず、フィルム、繊維、織物膜、板、紙などの基材上に成膜することができる。
【0053】
本発明の組成物から得られるCNTを含む膜を電界効果型トランジスタの半導体層として用いる場合には、絶縁層で覆われたゲート電極上に本発明のCNT分散液をスピンコートし、塗布膜中に残存する溶媒を蒸発させることによってCNT分散体の半導体層が形成される。このCNTを含む膜の上にソース電極とドレイン電極とを対峙させて形成することによって、電界効果トランジスタ構造が作製される。また、本発明の組成物から得られるCNTを含む膜を加熱焼成した多孔質膜をスイッチング素子として用いることもできる。
【0054】
基板上にCNTを含む膜のパターンを形成する場合には、感光性レジストを用いてフォトリソグラフィー法によってパターンを形成することが可能である。
本願発明の組成物より得られる膜の密度は、0.5〜3.0g/cm、が好ましく、0.7〜2.0g/cmであることが好ましい。このような膜密度の膜を作成するために、適時、膜の加熱などの処理を行う事ができる。
【0055】
本願発明のCNTを含む膜は膜厚が2nm以上あれば良く、特に膜厚が1nm〜10μm、好ましくは2nm〜200nmの場合には透明性が高い。この範囲の膜厚であれば可視光透過率が50%T以上となり、膜厚を2nm〜100nmにすることで可視光透過率は80%Tを超える。該膜は膜厚が厚いほど抵抗を小さくできるが、同時に光の透過率が小さくなるので、目的に応じて膜厚を調製すると良い。より低抵抗、高透過率の透明導電体を得るためには、1本の長さがより長いCNTを用いたり、より細いCNTを用いたり、CNT分散時に用いる撹拌や超音波照射などの条件をより強力にする方法などが好ましく用いられる。
【0056】
本願発明の組成物からCNTを含む膜を得る他の方法として、ある支持体の上に一度CNTを含む膜を形成し、得られた分散体膜を他の支持体に写して形成する方法も用いることができる。例えば、CNT分散液を、フィルター上に捕集して堆積したCNTを別の基板上に写して形成する方法や、あるいは、フィルム上に塗布して得られたCNT分散体膜を別の基板に写して形成する方法などがある。この場合、CNT分散体膜の付着したフィルターやフィルムを、別の基板にCNT分散体膜が付着するように接触させることでCNT分散体膜を写すことができる。この際フィルターやフィルムはCNT分散体膜の剥離性の良好なものが好ましく用いられ、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ナイロン、PP(ポリプロピレン)、PTFE(ポリテトラフロオロエチレン)製のものが、より好ましく用いられる。さらにフィルターやフィルムの背面から圧力を加えたり、少量の溶媒を湿潤させることで良好に膜を写して形成することができる。
【0057】
このように膜を写して形成する方法においては、予め必要なパターンを支持体に施しておくことでパターン形成をすることができる。例えばフィルター上にCNT分散体膜を形成する場合にはフィルターの上面にパターンの型を抜いたフィルムなどを重ねておくことで、所望のパターンを得ることができ、フィルム上にCNT分散体膜を形成する場合には、別の支持体との間にパターンの型を抜いたフィルムを挟んだり、あるいはCNT分散液との親和性の異なる材料を用いてパターン形成しておくなどして、所望のパターンを得ることができる。
【0058】
本願発明の組成物から得られるCNTを含む膜ならびに本発明の組成物から得られるCNTを含む膜を加熱焼成した多孔質膜は面内の均一性が高く、例えば、本願発明の組成物から得られるCNTを含む膜を加熱焼成した膜は電子放出素子の電子放出源として好ましく用いることができる。面内均一性を高くできることで面内いずれの箇所においても均一に電界を印加することができ、スイッチング素子としては安定したスイッチング性能を発現させることができる。
【実施例】
【0059】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0060】
実施例1
CNT(単層カーボンナノチューブ:サイエンスラボラトリーズ社製、純度95%)を6mgと、ポリアクリル酸(分子量;25000、窒素雰囲気下において80〜250℃での示差熱熱重量分析による重量減少率が98%)を6mgと、プロピレングリコールモノプロピルエーテル30mL、水5mLを50mLのサンプル管に入れ、超音波破砕機(東京理化器械(株)製VCX−502、出力250W、直接照射)を用いて20分間超音波照射してCNTを含む組成物を作成した。
作成した組成物を、8inchシリコンウエハー上にスピンコートし、引き続きホットプレートで100℃/60sec.乾燥した後、さらに窒素雰囲気中で300℃で10min.加熱して成膜した。得られたCNTを含む膜は50倍の光学顕微鏡で観察したところ、欠陥のない平滑な膜であり、透過型電子顕微鏡観察(TEM)で膜表面および膜断面部を観察したところ均一な多孔質である、CNTを含む良好な膜が作成できることが判明した。
【0061】
実施例2
CNT(単層カーボンナノチューブ:Elicarb社製、純度90%、製品名SW/OPEN)を6mgと、ポリα−メチルスチレン(分子量;12000、窒素雰囲気下において80〜250℃での示差熱熱重量分析による重量減少率が99%)を6mgと、プロピレングリコールモノプロピルエーテル30mL、乳酸エチル5mLを50mLのサンプル管に入れ、超音波破砕機(東京理化器械(株)製VCX−502、出力250W、直接照射)を用いて30分間超音波照射してCNTを含む組成物を作成した。
作成した組成物を、8inchシリコンウエハー上にスピンコートし、引き続きホットプレートで100℃/60sec.乾燥した後、さらに窒素雰囲気中で300℃で10min.加熱して成膜した。得られたCNTを含む膜は50倍の光学顕微鏡で観察したところ、欠陥のない平滑な膜であり、透過型電子顕微鏡観察(TEM)で膜表面および膜断面部を観察したところ均一な多孔質である、CNTを含む良好な膜が作成できることが判明した。
【0062】
実施例3
CNT(単層カーボンナノチューブ:Elicarb社製、純度90%、製品名SW/OPEN)を6mgと、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王社製、商品名「エマルゲン104P」、窒素雰囲気下において80〜250℃での示差熱熱重量分析による重量減少率が97%)を6mgと、プロピレングリコールモノプロピルエーテル30mL、乳酸エチル5mL、10質量%TMAH水溶液1mLを50mLのサンプル管に入れ、超音波破砕機(東京理化器械(株)製VCX−502、出力250W、直接照射)を用いて30分間超音波照射してCNTを含む組成物を作成した。
作成した組成物を、8inchシリコンウエハー上にスピンコートし、引き続きホットプレートで100℃/60sec.乾燥した後、さらに窒素雰囲気中で300℃で10min.加熱して成膜した。得られたCNTを含む膜は50倍の光学顕微鏡で観察したところ、欠陥のない平滑な膜であり、透過型電子顕微鏡観察(TEM)で膜表面および膜断面部を観察したところ均一な多孔質である、CNTを含む良好な膜が作成できることが判明した。
実施例4
CNT(単層カーボンナノチューブ:Elicarb社製、純度90%、製品名SW/OPEN)を6mgと、ポリα−メチルスチレン(分子量;12000、窒素雰囲気下において80〜250℃での示差熱熱重量分析による重量減少率が99%)を6mgと、プロピレングリコールモノプロピルエーテル30mL、乳酸エチル5mL、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(アルドリッチ社製、レジオレギュラー、分子量(Mn):13000、窒素雰囲気下において80〜250℃での示差熱熱重量分析による重量減少率が5%)1mgを50mLのサンプル管に入れ、超音波破砕機(東京理化器械(株)製VCX−502、出力250W、直接照射)を用いて30分間超音波照射してCNTを含む組成物を作成した。
作成した組成物を、8inchシリコンウエハー上にスピンコートし、引き続きホットプレートで100℃/60sec.乾燥した後、さらに窒素雰囲気中で300℃で10min.加熱して成膜した。得られたCNTを含む膜は50倍の光学顕微鏡で観察したところ、欠陥のない平滑な膜であり、透過型電子顕微鏡観察(TEM)で膜表面および膜断面部を観察したところ均一な多孔質である、CNTを含む良好な膜が作成できることが判明した。
【0063】
合成例1
石英製セパラブルフラスコ中で、25%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液196.88g、超純水825.42gおよびエタノール2,835.5gの混合溶液中に、メチルトリメトキシシラン136.23g(完全加水分解縮合物換算で66.
75g)、テトラエトキシシラン260.41g(完全加水分解縮合物換算で75.52g)およびオクタメチルシクロテトラシロキサン74.16gを加えて、60℃で4時間反応させた。その後室温まで冷却した後この溶液に60%硝酸水溶液88.62gを加え、室温で1時間撹拌した。次いで、この溶液にプロピレングリコールモノプロピルエーテル1,082.15gを加え、その後、減圧下で全溶液量が2164.3gとなるまで濃縮した後、10%プロピレングリコールモノプロピルエーテルの酢酸溶液108.22gを添加して、固形分含有量10%の反応液を得た。さらにこの反応液100gにポリエチレングリコールモノウンデカン酸エステル(オキシエチレン繰り返し数=10)4.5gを溶解させ、0.2ミクロン孔径のテフロン(登録商標)製フィルタでろ過を行い、シロキサン溶液(A)を得た。
【0064】
実施例5
CNT(単層カーボンナノチューブ:Elicarb社製、純度90%、製品名SW/OPEN)を6mgと、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王社製、商品名「エマルゲン104P」、窒素雰囲気下において80〜250℃での示差熱熱重量分析による重量減少率が97%)を6mgと、プロピレングリコールモノプロピルエーテル30mL、乳酸エチル5mL、シロキサン溶液(A)5mLを50mLのサンプル管に入れ、超音波破砕機(東京理化器械(株)製VCX−502、出力250W、直接照射)を用いて30分間超音波照射してCNTを含む組成物を作成した。
作成した組成物を、8inchシリコンウエハー上にスピンコートし、引き続きホットプレートで100℃/60sec.乾燥した後、さらに窒素雰囲気中で300℃で10min.加熱して成膜した。得られたCNTを含む膜は50倍の光学顕微鏡で観察したところ、欠陥のない平滑な膜であり、透過型電子顕微鏡観察(TEM)で膜表面および膜断面部を観察したところ均一な多孔質である、CNTを含む良好な膜が作成できることが判明した。
【0065】
比較例1
CNT(単層カーボンナノチューブ:サイエンスラボラトリーズ社製、純度95%)を6mgと、プロピレングリコールモノプロピルエーテル5mL、水30mLを50mLのサンプル管に入れ、超音波破砕機(東京理化器械(株)製VCX−502、出力250W、直接照射)を用いて20分間超音波照射してCNTを含む組成物を作成した。
作成した組成物を、8inchシリコンウエハー上にスピンコートし、引き続きホットプレートで100℃/60sec.乾燥した後、さらに窒素雰囲気中で300℃で10min.加熱して成膜した。得られたCNTを含む膜は50倍の光学顕微鏡で観察したところ、はじきが見られ、また平滑でない不良な膜であることが判明した。このような膜では素子用途に使用することはできない。
【0066】
比較例2
CNT(単層カーボンナノチューブ:Elicarb社製、純度90%、製品名SW/OPEN)を6mgと、プロピレングリコールモノプロピルエーテル30mL、乳酸エチル5mL、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(アルドリッチ社製、レジオレギュラー、分子量(Mn):13000、窒素雰囲気下において80〜250℃での示差熱熱重量分析による重量減少率が5%)1mgを50mLのサンプル管に入れ、超音波破砕機(東京理化器械(株)製VCX−502、出力250W、直接照射)を用いて30分間超音波照射してCNTを含む組成物を作成した。
作成した組成物を、8inchシリコンウエハー上にスピンコートし、引き続きホットプレートで100℃/60sec.乾燥した後、さらに窒素雰囲気中で300℃で10min.加熱して成膜した。得られたCNTを含む膜は50倍の光学顕微鏡で観察したところ、はじきが見られ、また平滑でない不良な膜であることが判明した。このような膜では素子用途に使用することはできない。
【0067】
比較例3
CNT(単層カーボンナノチューブ:Elicarb社製、純度90%、製品名SW/OPEN)を6mgと、プロピレングリコールモノプロピルエーテル30mL、乳酸エチル5mL、シロキサン溶液(A)5mLを50mLのサンプル管に入れ、超音波破砕機(東京理化器械(株)製VCX−502、出力250W、直接照射)を用いて30分間超音波照射してCNTを含む組成物を作成した。
作成した組成物を、8inchシリコンウエハー上にスピンコートし、引き続きホットプレートで100℃/60sec.乾燥した後、さらに窒素雰囲気中で300℃で10min.加熱して成膜した。得られたCNTを含む膜は50倍の光学顕微鏡で観察したところ、はじきが見られ、また平滑でない不良な膜であることが判明した。このような膜では素子用途に使用することはできない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)カーボンナノチューブ、
(B)ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアンハイドライド、ポリスチレン系重合体およびポリ(メタ)アクリレートよりなる群から選択される1種以上の有機ポリマー、
(C)溶媒
を含有する組成物。
【請求項2】
前記(B)成分が窒素雰囲気下において80〜250℃での示差熱熱重量分析による重量減少率が90%以上である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
さらに(D)pH調整剤を含む請求項1〜2の記載いずれか1項記載の組成物。
【請求項4】
さらに(E)窒素雰囲気下において80〜250℃での示差熱熱重量分析による重量減少率が80%以下である重合体を含む、請求項1〜3の記載いずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
前記(E)成分が共役系重合体である請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記(E)成分がシロキサン系重合体である請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1〜6の記載いずれか1項記載の組成物を基板上に成膜することによって得られるカーボンナノチューブを含む膜。
【請求項8】
請求項7に記載のカーボンナノチューブを含む膜を250℃以上の温度で加熱して得られる膜から形成される電子素子。
【請求項9】
請求項7〜8の記載いずれか1項に記載のカーボンナノチューブを含む膜から形成される電子素子。
【請求項10】
請求項7〜8の記載いずれか1項に記載のカーボンナノチューブを含む膜から形成されるメモリーセル。

【公開番号】特開2010−64904(P2010−64904A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230254(P2008−230254)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】