説明

カーボンナノチューブ微粒子、組成物及びその使用法

カーボンナノチューブ微粒子を製造するための方法は、マグネシアなどの担持材料上に、鉄及びモリブデン又はVIB族若しくはVIIIB族元素の金属などの触媒性金属を含む触媒を提供すること、並びに1つ又は複数の層及び3nm未満の外壁直径を有する単層カーボンナノチューブを製造するのに十分な温度、及び十分な時間、メタンなどの炭素含有供給原料に触媒を接触させることを含む。カーボンナノチューブから担持材料を除去すると、除去された微粒子担持体に近い三次元の形及び大きさを保持する絡み合ったカーボンナノチューブが得られる。カーボンナノチューブ微粒子は、カーボンナノチューブのロープを含むことができる。カーボンナノチューブ微粒子は、ポリマー中によく分散し、少ない添加でポリマーにおいて高い伝導性を示す。電気エミッタとして、カーボンナノチューブ微粒子は、極めて低い「ターンオン」放出電界を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にカーボンナノチューブ微粒子を製造するための方法、組成物及びその使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブは、新規な形態の炭素である。単層カーボンナノチューブは、本質的に、通常は六角形及び五角形に配置されたsp混成炭素原子からなる中空の管状フラーレン分子である。通常、単層カーボンナノチューブは、約0.5ナノメートル(nm)〜約3.5nmの範囲の直径、及び通常は約50nmを超える長さを有する。単層カーボンナノチューブは、それらの優れた電気及び熱伝導度並びに高い引張り強さで知られている。1993年にそれらが発見されて以来、それらの特性について記述し、それらを用いる応用例を開発するための多くの研究がなされてきた。
【0003】
多重層(multiple−wall)カーボンナノチューブは、多層(multi−wall)カーボンナノチューブとも称され、入れ子式の単層炭素シリンダである。多層カーボンナノチューブにおける層の数は、わずか2(2層カーボンナノチューブ)又は3(3層カーボンナノチューブ)であってもよく、数百に及ぶこともある。多層カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブと類似しているいくつかの特性を有する。しかしながら、層の数が増加するにつれて、欠陥の数も増加する。単層カーボンナノチューブは、成長中に欠陥に適応できないため、欠陥は通常ほとんどない。通常、欠陥数が最低限であることが、単層カーボンナノチューブを多層カーボンナノチューブに比べてより強くより伝導性にしている。単層カーボンナノチューブは、互いに接触する複数の平行なチューブの集合体である「ロープ」を容易に形成することが知られている。ロープ中の単層カーボンナノチューブは、強いファンデルワールス力によって強固に粘着性に結合している。単層カーボンナノチューブのロープのほかに、小径カーボンナノチューブ(すなわち、直径0.5nm〜3nm)のロープが、単一及び複数の層を有するナノチューブについても観察されている。このような小径カーボンナノチューブのカーボンナノチューブロープは、2000年3月30日公開の国際特許公開WO00/17102A1「金属粒子からの単層カーボンナノチューブの触媒的成長(Catalytic Growth of Single−Wall Carbon Nanotubes from Metal Particles)」中に例示されている。直径が約4nmを超える大きな多層カーボンナノチューブは、欠陥数の増加並びに電気伝導度及び引張り強さの減少を有する傾向がある。より大きく、柔軟性の低い多層カーボンナノチューブも「ロープ」を形成しない。
【0004】
カーボンナノチューブ製造のための大部分の方法は、通常約700〜1200℃の高温において炭素含有供給原料と接触する遷移金属触媒の一つ又は組合せを含む。カーボンナノチューブを製造する方法の一部には、エレクトリックアーク、グラファイトのレーザアブレーション、並びに担持型及び非担持型金属触媒による気相法が含まれる。
【0005】
担持型金属触媒上でカーボンナノチューブを調製する一方法は、「化学蒸着」すなわち「CVD」として知られている。この方法では、基板上に担持された触媒性金属のナノメートルスケールの粒子上でガス状炭素含有供給原料分子が反応し、カーボンナノチューブを生成する。この手順は、多層カーボンナノチューブを製造するために用いられてきたが、特定の反応条件下では優れた単層カーボンナノチューブを生成することがある。CVD法を用いる小径カーボンナノチューブの合成は、Dai、他、Chem.Phys.Lett.、260巻、471〜475ページ、1996年、及び2000年3月30日公開の国際特許公開WO 00/17102A1「金属粒子からの単層カーボンナノチューブの触媒的成長(Catalytic Growth of Single−Wall Carbon Nanotubes from Metal Particles)」中に記載されており、各々を参照により本明細書に組み込む。CVD法によって得られるカーボンナノチューブ材料は、単層及び小径多層カーボンナノチューブ、残留触媒金属粒子、触媒担持材料、並びに無定形炭素、及び非管状フラーレンであってよい他の無関係な炭素体を含む。本明細書では、用語「無関係な炭素」は、カーボンナノチューブの形態でないすべての炭素として使用し、グラフェンシート、非管状フラーレン、部分的ナノチューブ体、無定形炭素及び他の無秩序な炭素が含まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カーボンナノチューブの多くの最終消費応用例には、ナノチューブ及び高分子材料、金属材料、有機材料、無機材料又はそれらの組合せであってもよいマトリクス材料を含む複合材料を生成するため、ナノチューブ材料が、液体溶媒溶液又は溶融材料などの別の媒体中に効果的に分散される必要がある。マトリクス材料中にカーボンナノチューブが分散される場合、複合材料の物理的、電気的、化学的及び熱的特性は、マトリクス材料単独に比べて異なることがある。ナノチューブ複合材料の特性は、部分的に、複合材料中のナノチューブの濃度、並びにマトリクス材料中のカーボンナノチューブの直径、長さ及び形態に左右される。例えば、液体中にカーボンナノチューブを混合した場合、ナノチューブの長さ分布は、液体/ナノチューブ混合物の粘度特性に影響することがある。複合材料の特性は、カーボンナノチューブが如何に効果的に複合材料中に分散されているかに大きく左右される。マトリクス材料中に容易に分散させることができるカーボンナノチューブ材料、特に、溶融ブレンド法(melt blending)などの商業的に効率的な方法によって分散させることができるカーボンナノチューブ材料に対する大きな必要性が存在する。さらに、約550℃までなどの高温で酸化的環境において安定であるカーボンナノチューブ材料の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、本発明は、カーボンナノチューブ微粒子、それを製造するための方法、組成物及びその使用法を含む。一実施形態は、カーボンナノチューブ微粒子中に三次元ネットワークで配置されている複数の小径カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ微粒子である。カーボンナノチューブ微粒子は、約1000ミクロン未満の断面寸法を有し、小径カーボンナノチューブは、約0.5nm〜約3nmの範囲の直径を有する。カーボンナノチューブ微粒子は、絡み合い相互接続したカーボンナノチューブの三次元ネットワークであってもよく、微粒子は、断面寸法が約1000ミクロン未満である巨視的な微粒子形態を有する。微粒子中のカーボンナノチューブは、単層、2層、3層、4層又はそれらの組合せであってもよい。カーボンナノチューブ微粒子を製造するための方法は、微粒子担持体上に触媒性金属を含む触媒を提供すること(微粒子担持体は、1000ミクロン未満の断面寸法を有する)、及び触媒上で炭素生成物を製造するのに十分な温度において、及び十分な接触時間、炭素含有供給原料を含むガス流と触媒を接触させること(炭素生成物は、カーボンナノチューブ微粒子を含み、カーボンナノチューブ微粒子は、約0.5nm〜約3nmの範囲の直径を有するカーボンナノチューブを含む)を含む。
【0008】
別の実施形態では、カーボンナノチューブ微粒子を製造するための方法は、(a)微粒子担持体上に触媒性金属を含む触媒を提供すること(微粒子担持体は、約1000ミクロン未満の断面寸法を有する)、(b)触媒上で炭素生成物を製造するのに十分な温度において、及び十分な接触時間、炭素含有供給原料を含むガス流と触媒を接触させること(炭素生成物は、カーボンナノチューブ微粒子を含み、微粒子は、小径カーボンナノチューブを含み、小径カーボンナノチューブは、約0.5nm〜約3nmの範囲の外径を有する)、及び(c)カーボンナノチューブ微粒子を含む炭素生成物から微粒子担持体を除去すること(カーボンナノチューブ微粒子は、微粒子担持体の除去前に近い形状及び断面寸法の巨視的形態を保持する)を含む。担持体を除去する過程では、触媒金属、又はその一部を除去することができる。触媒担持体の除去後、カーボンナノチューブ微粒子は、除去された微粒子担持体の形状、大きさ及び断面寸法に近い巨視的形態を保持する。担持体は、ゼオライト、シリカ、アルミナ、ジルコニア、マグネシア及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含むことができる。触媒性金属は、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、ランタニド系列元素、アクチニド系列元素、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の元素を含むことができる。一実施形態では、カーボンナノチューブ微粒子は、約0.01g/cm〜0.5g/cmの範囲のかさ密度を有する。通常、微粒子担持体は、約0.1ミクロン〜約1000ミクロンの範囲の断面寸法を有する。別の実施形態では、カーボンナノチューブ微粒子は、約0.1ミクロン〜約1000ミクロンの範囲の断面寸法を有する。
【0009】
別の実施形態では、カーボンナノチューブは、炭素生成物の総重量の約50重量%を超える、好ましくは炭素生成物の総重量の約80重量%を超える、好ましくは炭素生成物の総重量の約90重量%を超える量でカーボンナノチューブ微粒子中に存在する。カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブ微粒子間にまたがることがある。
【0010】
別の実施形態では、カーボンナノチューブ微粒子の表面積は、約10m/g〜約1000m/gの範囲にあり、約100m/g〜約1000m/gであることが好ましい。
【0011】
一実施形態では、カーボンナノチューブ微粒子は、小径カーボンナノチューブのカーボンナノチューブロープを含み、ナノチューブは、単層、2層、3層、また場合によっては4層であってもよく、ナノチューブの外壁の直径は、約3nm未満であり、一般的には約0.5nm〜約3nmの範囲である。カーボンナノチューブ微粒子は、カーボンナノチューブのロープを含むことができ、ロープの断面寸法は、約10nm〜約50nmの範囲である。また、ナノチューブ微粒子は、小径ナノチューブのカーボンナノチューブロープを含むことができ、ロープは、約10nm未満の断面寸法を有する。
【0012】
別の実施形態では、カーボンナノチューブは、10個のカーボンナノチューブ/μmを超える数密度でカーボンナノチューブ微粒子の表面上に存在する。カーボンナノチューブ微粒子をアニールし、酸化的環境(高温における空気への暴露など)における熱的安定性が増加したアニールされたカーボンナノチューブ微粒子を生成することができる。アニーリングは、約1〜約24時間、約800℃〜1500℃の温度において窒素又は不活性ガス環境中にカーボンナノチューブ微粒子を維持することによって行うことができる。アニールされたカーボンナノチューブ微粒子は、約400℃を超える、好ましくは約450℃を超える、好ましくは約500℃を超える、好ましくは約550℃を超える温度で空気中において安定である。
【0013】
別の実施形態では、ポリマー、金属、無機材料、有機材料及びそれらの組合せからなる群から選択されるマトリクス材料とカーボンナノチューブ微粒子を混合し、マトリクス材料中のカーボンナノチューブ微粒子の複合材料を生成する。マトリクス材料中のカーボンナノチューブ微粒子は、約0.001重量%〜約50重量%の範囲で複合材料中に存在することができる。
【0014】
別の実施形態では、カーボンナノチューブ微粒子電子エミッタは、表面上のカーボンナノチューブ微粒子を含み、カーボンナノチューブ微粒子は、絡み合った小径カーボンナノチューブを含み(小径ナノチューブは、約0.5nm〜約3nmの範囲の外径を有する)、カーボンナノチューブ微粒子は、約0.1ミクロン〜約100ミクロンの範囲、好ましくは約0.1ミクロン〜約3ミクロンの範囲の断面寸法を有する。カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、2層カーボンナノチューブ、3層カーボンナノチューブ、4層カーボンナノチューブ及びそれらの組合せからなる群から選択される。カーボンナノチューブ微粒子エミッタは、電界放出装置における陰極構成部品として使用するのに適している。
【0015】
別の実施形態では、カーボンナノチューブ微粒子電子エミッタを製造するための方法は、(a)カーボンナノチューブ微粒子を提供すること(カーボンナノチューブ微粒子は、絡み合った小径カーボンナノチューブを含み(小径カーボンナノチューブは、約0.5nm〜約3nmの範囲の外径を有する)、カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、2層カーボンナノチューブ、3層カーボンナノチューブ、4層カーボンナノチューブ及びそれらの組合せからなる群から選択され、カーボンナノチューブ微粒子は、約0.1ミクロン〜約100ミクロンの範囲、好ましくは約0.1ミクロン〜約3ミクロンの範囲の断面寸法を有する)、及び(b)表面上にカーボンナノチューブ微粒子を堆積させることを含む。カーボンナノチューブは、エッチング手段により活性化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、カーボンナノチューブ微粒子を製造する方法であって、微粒子担持体上に存在する触媒金属上でカーボンナノチューブを成長させることを含み、カーボンナノチューブ微粒子は、直径約3ナノメートル未満の小径カーボンナノチューブを含み、カーボンナノチューブ微粒子は、微粒子担持体とほぼ同じ大きさ及びほぼ同じ形状を有する方法を提供する。小径カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブと2、3又は4層などのいくつか層を有するナノチューブの双方を含む。
【0017】
以下の定義が当てはまる。
【0018】
「触媒」は、触媒性金属、触媒性金属の化合物、担持材料などの、系を構成するすべての構成成分、並びにその他の構成成分及び/又は実施形態に含まれると考えられる処理を含む完全な触媒系を意味するものとする。用語「触媒」、「担持触媒」及び「触媒微粒子」は、本出願において同一の意味を有することを意図している。
【0019】
「触媒性金属」、「触媒金属」又は「金属触媒」は、炭素含有供給原料のカーボンナノチューブへの反応を触媒する遷移金属又は遷移金属の組合せを意味するものとする。触媒性金属は、触媒の一部である。
【0020】
「担持材料」は、カーボンナノチューブを製造するための反応温度及び条件に耐えることができる材料である。担持材料は、触媒の一部であり、触媒性金属が存在するための表面を提供する。担持材料は、微粒子の形態であってもよく、「微粒子担持体」と呼ぶことができる。
【0021】
「小径カーボンナノチューブ」は、1つ又は複数の層を有していてもよいカーボンナノチューブであり、外壁は約3ナノメートル未満の直径を有する。
【0022】
一実施形態では、小径カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ微粒子は、触媒性金属、鉄(Fe)及びモリブデン(Mo)を含む触媒、並びに酸化マグネシウム(MgO)担持材料を提供することによって製造される(触媒は、酸化鉄、酸化モリブデン及び酸化マグネシウムの前駆体を燃焼することによって生成される)。この実施形態では、カーボンナノチューブは、小径カーボンナノチューブを含む炭素生成物を製造するのに十分な温度において、及び十分な接触時間、触媒をガス状炭素含有供給原料と接触させることによって製造する(カーボンナノチューブは、1つ又は複数の層を有することができ、カーボンナノチューブは、約3nm未満の外壁直径を有する)。
【0023】
一実施形態では、担持触媒は、燃焼温度に耐えることができる容器中で酸化鉄、酸化モリブデン及び酸化マグネシウムの前駆体を混合することによって調製する。燃焼させて酸化鉄にすることができる鉄化合物はすべて好適な鉄前駆体である。好適な鉄前駆体の例には、硝酸鉄(III)、亜硫酸鉄、硫酸鉄、炭酸鉄、酢酸鉄、クエン酸鉄、グルコン酸鉄、ヘキサシアノ鉄酸鉄(iron hexacyanoferrite)、シュウ酸鉄、及びトリス(エチレンジアミン)硫酸鉄が含まれるが、これらに限定されるものではない。一般に、水溶性の高い鉄塩が好ましい。水和した硝酸鉄(III)が好ましい鉄前駆体である。燃焼させて酸化モリブデンにすることができるモリブデン化合物はすべて好適なモリブデン前駆体である。モリブデンの好適な前駆体の例は、ヘプタモリブデン酸アンモニウム4水和物である。一般に、水溶性の高いモリブデン塩が好ましい。燃焼させて酸化マグネシウムにすることができるマグネシウム化合物はすべて好適な酸化マグネシウム前駆体である。好適な酸化マグネシウム前駆体の例は、硝酸マグネシウムである。各前駆体の量は、鉄とモリブデンの重量比が約2:1〜約10:1の範囲、好ましくは約5:1〜約10:1の範囲となるように定める。鉄の量は、重量或いはモルベースでモリブデンの量を上回ることが好ましい。モルベースでは、各前駆体の量は、鉄とモリブデンのモル比が約3:1〜約20:1になるように選択することができる。
【0024】
酸化マグネシウム担持体上の金属ローディングは、主に小径カーボンナノチューブの成長の助けとなる範囲で選択される。本明細書では、金属ローディングは、担持材料の総重量に対する金属重量の割合として定義してきた。また、各前駆体の量は、燃焼中に生成する酸化マグネシウム上の金属の総重量が、酸化マグネシウムの重量の約0.05重量%〜約20重量%の範囲、好ましくは酸化マグネシウムの重量の約0.05重量%〜約10重量%の範囲、より好ましくは酸化マグネシウムの重量の約0.05重量%〜約5重量%の範囲となるように定める。
【0025】
触媒調製の本方法は、上述の元素の使用に限定されるものではない。触媒担持体は、カーボンナノチューブの成長環境に存在する条件に耐えることができるいかなる金属酸化物であってもよい。そのような金属酸化物には、ゼオライト、アルミナ(Al)、シリカ(SiO)、マグネシア(MgO)、ジルコニア(ZrO)、及びそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。触媒性金属は、VIB族遷移金属(クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W))、VIIIB族遷移金属(例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)及び白金(Pt))、ランタニド系列元素、及びアクチニド系列元素の金属のうち1種類又は金属の組合せを含むことができる。触媒は、触媒性金属の組合せを含むことが好ましく、触媒は、VIB族の少なくとも1種類の金属及びVIIIB族の少なくとも1種類の金属の組合せを含むことがより好ましい。
【0026】
触媒調製は、本明細書に記載の燃焼法に限定されるものではない。別の実施形態では、触媒担持体及び触媒性金属又は金属の組合せの共沈によって触媒を生成することができる。この実施形態では、触媒担持体前駆体及び触媒性金属前駆体を溶液中で混ぜる。次いで、pH、温度、及び/又は組成を変化させることなどによって溶液を処理し、触媒担持体及び触媒性金属又は触媒性金属を含む化合物を含む触媒構成成分を沈殿させる。次いで、デカンテーション、濾過、遠心分離又はそれらの組合せなどであるがこれらに限定されない液体/固体分離の手段によって溶液から沈殿を取り出す。分離した固体を空気中又は別のガス状環境中で加熱することによって処理し、最終触媒組成物を作成することができる。この最終組成物は、微粉砕、粉砕又は他の機械的手段などであるがこれらに限定されない任意の物理的手段によって触媒微粒子にすることができる。触媒微粒子のサイズ分布は、微粒子をふるいにかけて望ましいサイズ分布を回収することによって得ることができる。
【0027】
別の実施形態では、初期段階の湿り又は含浸によって触媒を製造することができる。この方法では、微粒子担持材料を、触媒性の1種類又は複数の金属を含む1種類又は複数の化学分子種を含む少量の溶液又は懸濁液と接触させる。次いで、触媒性金属又は金属前駆体が微粒子担持体の表面上に残るように、好ましくはロータリーエバポレータを用いて溶液を蒸発させる。
【0028】
別の実施形態では、イオン交換によって触媒を製造することができる。この方法では、表面陽イオンを有するゼオライトなどの微粒子担持材料を、触媒性金属塩の溶液と混ぜる。触媒性金属塩の金属イオンは、担持体上の表面陽イオンと交換する。次いで、金属添加(metal−loaded)担持体を溶液から濾過し、乾燥する。乾燥した金属添加担持体を粉砕して微粒子にし、ふるいにかけることによって大きさをそろえることができる。担持材料の表面上の金属含有分子種は、約200℃以上の温度における水素への暴露により、又は他の還元手段により金属粒子まで還元することができる。金属分子種の還元は、ナノチューブを製造するため反応器に触媒をロードする前、又はナノチューブを製造するための反応器中で行うことができる。
【0029】
本発明の別の実施形態では、小径カーボンナノチューブを製造するための触媒は、触媒性金属の酸化コバルト及び酸化モリブデン、並びに酸化マグネシウム担持材料を含むことができる(触媒は、酸化コバルト、酸化モリブデン及び酸化マグネシウムの前駆体を燃焼することによって生成する)。
【0030】
本発明の特定の実施形態では、触媒組成物中の触媒性金属は、担持材料中に化学的に組み入れることができる。これらの組成物は固溶体と呼ばれることがあり、その例は、FeMg(1−x)(0<x<1、及び0<n<4)である。
【0031】
触媒調製の燃焼法では、燃焼に先立って触媒構成成分前駆体を混合する。構成成分前駆体は十分に混ぜることが好ましい。混合は、乳鉢及び乳棒により構成成分を粉砕し構成成分を物理的に混ぜることによるなどの任意の混合手段によって行うことができる。混合の別の方法は、少量の水、好ましくは脱イオン水に前駆体を溶かし、前駆体の溶液を作製することによることもある。クエン酸、尿素、グリシン、ヒドラジン、ショ糖、カルボヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、糖、アルコール、又はそれらの組合せは、燃焼において発泡促進剤として使用することができる。燃料とも呼ばれる発泡促進剤を用い、得られる触媒の表面積を増加させる。水と混ぜる前後に、任意の発泡促進剤を触媒前駆体と混ぜることができる。クエン酸を触媒前駆体に加えることが好ましい。前駆体及び任意の発泡促進剤を合わせて混ぜた後、各々の触媒前駆体の燃焼温度以上の温度において構成成分を燃焼させる。一般に、触媒前駆体の燃焼は、触媒前駆体を約150℃〜約1200℃の範囲の温度に暴露することによって実施する。通常、前駆体を、約200℃〜約750℃の範囲、好ましくは約250℃〜約650℃の範囲の燃焼温度に暴露する。燃焼は、酸化的環境、好ましくは空気などの酸素を含む雰囲気中で実施する。燃焼中に、触媒前駆体は急激に発泡し、かさ密度が低く表面積の大きな固体を形成する。一実施形態では、燃焼は、触媒前駆体構成成分の溶液を調製し、触媒前駆体の溶液を加熱した炉に入れ(溶媒が蒸発するので前駆体が乾燥する)、その後前駆体を燃焼させることによって行うことができる。
【0032】
別の実施形態では、触媒前駆体の溶液を、乾燥器、炉又は噴霧乾燥器などの加熱チャンバー内に噴霧してエアロゾルを生成させる。エアロゾルは、ガスの流れによる微粒化、ノズルを通した溶液の直接噴霧、静電噴霧、回転器具の表面からの溶液の分散、及びそれらの組合せなどであるがこれらに限定されない噴霧の任意の手段によって生成することができる。別の実施形態では、触媒前駆体の溶液を加熱した表面上に置いて溶媒を蒸発させることによって触媒前駆体を燃焼させ、その後触媒前駆体は燃焼し、得られる固体材料を表面から取り出す。加熱した表面上で行われる大規模な燃焼に有用な機器には、ポーキュパイン反応器、ドラムフレーカー、薄膜蒸留装置(wiped−film evaporator)及び類似のプロセス用機器が含まれるが、これらに限定されるものではない。燃焼後、固体生成物をさらに加熱し、完全な燃焼及び金属塩の分解を確保することができる。一般に、燃焼温度における約1時間が好適な時間であるが、24時間までの時間を用いてもよい。燃焼後、一般に低密度で表面積の大きな固体を冷却する。冷却は、乾燥窒素パージ又はデシケーターによって提供される乾燥した不活性雰囲気中で行うことが好ましい。冷却後、固体は、微粒子の形態であり、かつ/又は粉砕、製粉、微粉砕及びそれらの組合せなどであるがこれらに限定されない様々な手段によって小さな微粒子に粉砕し、望ましいサイズの微粒子を得ることができる。微粒子のさらなるサイジングは、様々なメッシュのふるいで微粒子をふるいにかけることによって行うことができる。
【0033】
一実施形態では、触媒粒子の好ましいサイズは、選択された反応器配置によって異なる。一部の反応器の場合、触媒粒子の好ましい断面寸法は約1000ミクロン未満であり、他の反応器配置の場合、好ましい触媒粒径は、約100ミクロン未満となり、さらに他の反応器配置の場合、触媒粒子の好ましい断面寸法は約30ミクロン未満である。触媒微粒子サイズは、カーボンナノチューブ微粒子のサイズに直接影響するため、触媒粒子のサイズは、特定の最終消費にとって望ましいカーボンナノチューブ微粒子サイズに基づいて選択することができる。通常、触媒のかさ密度は、約0.3g/cm未満、好ましくは約0.1g/cm未満である。
【0034】
カーボンナノチューブを製造するために触媒を使用する前に、触媒の触媒性金属は、酸化マグネシウム上に担持された酸化鉄及び酸化モリブデンなどの酸化物の形であってもよい。一実施形態では、カーボンナノチューブ製造で使用するのに先立って、触媒をイオウ含有化合物によって処理することができる。処理は、任意のイオウ含有化合物、好ましくはガスであるイオウ含有化合物又は揮発させてガス状形態で触媒と接触させることができる化合物によって行うことができる。好適なイオウ含有化合物の例は、チオフェン、硫化水素、メルカプタン及びそれらの組合せである。チオフェンは、触媒を処理するのに好ましいイオウ含有化合物である。イオウ含有化合物で触媒を処理するため、触媒を加熱し、イオウ含有化合物を触媒に通過させることができる装置に触媒を入れる。例えば、好適な装置は、石英管などの管状の反応器であり、反応器は、管状の加熱炉内で垂直に取り付けられており、反応器は、管状反応器の加熱部分に触媒を配置するための多孔性フリットを有している。反応器の底で導入されたガスは、反応器を通り、フリットを通り、触媒を通って上昇し、反応器の先端を通って出てゆく。好適なガス流により、上向きに流れるガスと一緒に触媒を流動化することができる。一実施形態では、反応器に触媒を入れ、触媒の入った反応器を窒素又はアルゴンなどの不活性ガスでパージし、約500℃までなどの温度に反応器を加熱し、窒素又は不活性ガスの流れを、反応器に入る窒素又は不活性ガスが少なくともいくらかのイオウ含有化合物を含むように、反応器に入る前にバブラー中のチオフェンなどのイオウ含有化合物を通過させることにより、酸化物型の触媒をイオウ含有化合物で処理することができる。次いで、イオウ含有化合物を含むガスを反応器に通し、加熱触媒を通過させる。触媒のイオウ処理は、約500℃などの好適な温度において、例えば約10分などの時間実施する。
【0035】
代替実施形態では、イオウ含有化合物を、ガス状供給原料を含むガスに加えてイオウ含有化合物/供給原料混合物を生成し、次いで、この混合物を、小径カーボンナノチューブを生成する反応条件下で反応器に導入することができる。
【0036】
触媒性金属が金属酸化物の形である場合、小径カーボンナノチューブの形成のために触媒性金属酸化物を触媒的に活性な部位に対して活性化することができる。活性化は、水素によるなどの還元剤による金属酸化物の還元によって行うことができる。還元は、触媒を炭素含有供給原料と接触させて小径カーボンナノチューブを製造する前、又は同時に行うことができる。
【0037】
一実施形態では、炭素含有供給原料を担持触媒に導入してカーボンナノチューブを製造する前に、酸化型触媒性金属を還元する。酸化物型の触媒性金属(イオウ処理の有無にかかわらず)は、管状反応器などの反応器中で還元することができる。還元前に、窒素又はアルゴンなどの不活性ガスにより触媒をパージすることができる。窒素又は不活性ガスのパージの下で、反応器温度を約500℃まで上げる。触媒性金属の還元は、水素ガス又は水素ガス及び窒素若しくは不活性ガスの混合物などの還元剤を用いて行う。触媒は、触媒を活性化するのに十分な時間、還元剤により、例えば10%Hのアルゴン混合物を用いて500℃で約10分間処理することができる。還元時間及び温度は、より高い還元温度は、触媒性金属をより短時間で還元するであろうという点で反比例する。触媒を過度に長い還元時間又は高い温度に暴露すると、触媒性金属を凝集させ、ナノチューブ製造中に外径が約4nmを超える大径多層カーボンナノチューブの生成を触媒する恐れのある大きな粒子にすることがある。
【0038】
別の実施形態では、触媒性金属酸化物を、炭素含有供給原料を触媒に導入しナノチューブを製造する間に還元して触媒を活性化する。このような場合、触媒を反応器中に入れ、窒素又はアルゴンなどの不活性ガスでパージする。窒素又は不活性ガスをパージする間に、小径カーボンナノチューブが生成できる温度まで温度を上昇させる。通常、小径カーボンナノチューブを生成するための温度は、約500℃〜約1500℃の範囲、好ましくは約650℃〜約1100℃の範囲、より好ましくは約800℃〜約950℃の範囲である。ナノチューブ生成温度に達したら、ガス状炭素含有供給原料を触媒に導入する。好適な炭素含有供給原料ガスには、メタン、炭化水素、アルコール、一酸化炭素及びそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。炭化水素は、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン又はそれらの混合物などの芳香族であってもよい。炭化水素は、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、アセチレン又はそれらの混合物などの非芳香族であってもよい。炭化水素は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メタノール、エタノール又はそれらの混合物のように酸素を含有してもよい。ガス状炭素含有供給原料は、メタンを含むことが好ましい。高温における触媒への炭素含有供給原料の導入は、触媒性金属を還元し触媒を活性化することができる。また、ガス状炭素含有供給原料を、触媒に導入する前に水素と混ぜることができる。ガス状炭素含有供給原料は、メタン及び水素を含むことが好ましい。
【0039】
供給原料がガスの混合物を含む場合、反応過程中にガス混合物を変えることができる。反応過程中のガス組成の変化を用い、生成物の製造を調整し、カーボンナノチューブの長さ、直径、及び/又は2層以上の小径カーボンナノチューブに対する単層ナノチューブの比率に関する特定の分布などの具体的なカーボンナノチューブ特性を得ることができる。
【0040】
担持材料は、小径カーボンナノチューブ合成に必要な高温に耐えることができるように選択する。酸化マグネシウムは、低コスト、製造の容易さ、ガス流中で運ばれる容易さ、及びカーボンナノチューブ生成物からの除去の容易さの理由から好ましい担持材料である。
【0041】
本発明の触媒は、周囲の空気から二酸化炭素及び水分などのガスを吸収することができる。暴露時間及び条件により、触媒重量は、約100℃〜約200℃などの中程度の温度で脱着することができる吸収分子種のため、約8重量%まで増加する。特定の実施形態では、触媒担持体は、空気と反応し、担持体の一部を水酸化物化合物に変換することがある。このような吸収された材料及び化学修飾された担持体は、小径カーボンナノチューブ成長過程を妨害することがある。例えば、水の脱着又は水酸化物の分解による水蒸気は、高温で炭素と反応するため、生成したカーボンナノチューブと反応して分解する可能性がある。したがって、本発明の一実施形態では、小径カーボンナノチューブを製造するために使用する前は、触媒を窒素又はアルゴンなどの乾燥した不活性雰囲気中に保持する。別の実施形態では、小径カーボンナノチューブを製造するために使用する前に、窒素又はアルゴンなどの乾燥した不活性雰囲気中で触媒を乾燥する。約100℃から約800℃までの範囲の温度を用い、大部分の吸収した分子種を触媒から除去することができる。また、真空を用い、熱の有無にかかわらず吸収した分子種を触媒から除去することができる。
【0042】
触媒を調製した後、小径カーボンナノチューブを含む炭素生成物を製造するのに十分な温度、及び十分な接触時間、炭素含有供給原料を含むガス流と触媒を接触させる。一実施形態では、ガス流は水素も含む。別の実施形態では、小径カーボンナノチューブを成長させるための接触時間は、約0.1秒〜約60分、好ましくは約0.1秒〜約30分の範囲である。30分未満の接触時間などの短い成長時間を用いて小径カーボンナノチューブを製造することが好ましく、接触時間は、約10秒〜約10分の範囲であることがより好ましい。接触時間を変えることにより、小径カーボンナノチューブを様々な長さに成長させることができる。また、接触時間及び温度は、成長する小径カーボンナノチューブの直径に影響することがある。触媒上の小径カーボンナノチューブの成長速度は、他の要素もあるが、供給原料のタイプ、濃度及び温度に左右される。具体的な成長速度にふさわしい条件下で成長した小径カーボンナノチューブの物理的長さは、これらの条件の時間に左右される。成長条件への短時間暴露は、長時間暴露によって製造されるナノチューブよりも物理的に短いナノチューブを生成する。また、成長条件への短時間暴露により、単層カーボンナノチューブをより大きな割合で含む材料が得られる。本発明では、炭素生成物における小径カーボンナノチューブの長さ、直径、及び層の数に関する様々な分布は、担持触媒を様々な時間成長条件に暴露することによって生み出すことができる。
【0043】
さらに、接触時間、反応温度、並びに活性な触媒が反応器中で接触するガスの組成及び圧力も、生成する小径カーボンナノチューブの直径、長さ及び層の数の分布、並びに反応器中で製造される小径カーボンナノチューブ及び無関係な炭素の相対量を決定する。反応器中の炭素含有供給原料及び水素などの他のガスの相対量は、小径カーボンナノチューブ生成物に影響することがある。例えば、炭素含有供給原料中のより多くの水素は、生成物中の無関係な炭素の量を減少させる。理論によって制限されることなく、カーボンナノチューブ生成の動力学は、カーボンナノチューブを生成するために炭素供給原料を触媒に供給する濃度及び速度に依存しているように見える。供給原料を供給する濃度又は速度が余りに高い場合、小径カーボンナノチューブの生成に比べて、より多くの無定形の炭素が生成する。さらに、小径カーボンナノチューブを生成する速度は、ナノチューブ構造における欠陥レベルと関連しているように見える。例えば、小径カーボンナノチューブ構造における低レベルの欠陥は、一般に低い生成速度と関連している。逆に、より多くの構造的欠陥は、高い生成速度と関連している。カーボンナノチューブを生成する速度は、温度及びガス状供給原料の分圧に極めて左右される。反応器に供給される窒素又は不活性ガスなどの希釈剤の量を調整することにより、分圧を部分的に制御することができる。また、極めて低濃度の酸素、水蒸気及び二酸化炭素などの酸化剤を添加することも、反応速度を抑えるばかりでなく、無関係な炭素の生成を最小限に抑える役割を果たす。しかしながら、反応器中の水素分圧を制御することは、カーボンナノチューブ及び無関係な炭素の核形成及び成長の速度を制御する際には極めて有効であり、反応器中の高い水素分圧に関連して無関係な炭素の相対量はより低くなる。
【0044】
ナノチューブ核形成過程の変更は、小径カーボンナノチューブの直径及び層数分布に影響することがある。反応過程中に変えることができる速度での水素若しくは他のガスの添加又は反応器中の異なる場所におけるそのようなガスの添加は、小径カーボンナノチューブ及び無定形炭素の相対量の制御、並びに生成される小径カーボンナノチューブの直径及び層数分布の制御を可能にする。
【0045】
さらに別の実施形態では、製造されるナノチューブの直径及び層数分布は、ナノチューブ成長の開始(すなわち核形成)の間の条件によって制御される。これらの条件には、核形成時間、温度、供給原料ガス組成及び小径カーボンナノチューブ核形成が起きる領域における圧力及び反応器配置が含まれるが、これらに限定されるものではない。ナノチューブ成長と関係のない条件下で行われる触媒性金属上のナノチューブ核形成は、ナノチューブの直径及び層の数のより大きな制御を提供する。
【0046】
小径カーボンナノチューブ成長は、バッチ操作、半連続的又は連続的操作モードなどの様々な製造方法によって行うことができる。連続的及び半連続的操作モードは、(1)炭素含有供給原料を含むガス流に触媒を分散するステップと、(2)好適な温度において好適な時間、触媒上で小径カーボンナノチューブを製造するステップと、(3)ガス流からナノチューブ生成物を取り出すステップとを含む。
【0047】
一実施形態では、小径カーボンナノチューブを成長させるための触媒は、反応器を通る輸送に適した範囲の粒径を有し、通常は、約0.1ミクロン〜約1000ミクロンの範囲の断面寸法を有する。次いで、触媒が反応器を通って運ばれるように反応器に触媒を導入するが、反応器は、各々がナノチューブの開始及び成長の異なる段階に個別に最適化された異なる反応条件に維持される様々な区域を含むことができる。反応条件には、反応時間、温度、圧力及び反応器中のガスの構成成分の濃度が含まれるが、これらに限定されるものではない。小径カーボンナノチューブの製造は多段階のプロセスであり、例えば、触媒を活性化するための触媒性金属の還元、ナノチューブ成長の開始、及びナノチューブ成長の継続を含むことがあるため、望ましい反応器配置は、触媒が、ある反応区域から別の反応区域へ運搬又は輸送される異なる区域を有する反応器配置である。1つ又は複数の区域を有する反応器では、反応温度及びガス組成を反応器の区域内で調整することができる。例えば、供給原料ガス又は水素などの他のガス、触媒、及び/又は熱を、連続的又は反応器の各区域の要求に応じて加えることができる。
【0048】
反応器における触媒の滞留時間、すなわち反応器を介して1つ又は複数の異なる反応条件に触媒が暴露される時間は、他の変数もあるが、反応器を通るガスの流量及び反応器配置を調整することによって制御することができる。製造される小径カーボンナノチューブの特徴は、他の変数もあるが、反応器における触媒の滞留時間、温度プロフィール、及び炭素含有供給原料を含むガス流の組成を調整することによって制御される。生成物の特徴には、無関係な炭素及び小径カーボンナノチューブの相対量、及び製造されるナノチューブの直径、長さ及び層の数の分布が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
反応器を通して触媒を輸送することは、反応器系内のある個所で触媒を連続的に導入し、別の個所で小径カーボンナノチューブを含む生成物を連続的に取り出す拡大可能な大容量ナノチューブ製造工程を提供する。小径カーボンナノチューブを製造するためのこの連続スキームは、単一プラントにまとめられた触媒生成区分、反応器区分、及び後処理区分を含む製造プラントにおいて行うことができる。後処理区分の後で、生成物の酸化処理、触媒担持体及び触媒性金属残渣の除去、ナノチューブの化学修飾、ナノチューブの物理修飾、ナノチューブを他の材料と混和又は混合すること、及びそれらの組合せなどであるがこれらに限定されない生成物に対する他の修飾を行うことができる。
【0050】
スクリュー又はコンベヤによるなどの機械的手段によって、小径カーボンナノチューブを製造するための反応器を通して触媒を輸送することができるが、炭素含有供給原料を含むガス流に乗せることが好ましい輸送の手段である。ガス流に乗せて触媒を輸送するため、触媒粒子は、反応器内のガス流中で輸送することができるサイズの十分な細粒にする。触媒は、反応器内のある個所で導入され、多くの区域を通って運ばれる。少なくとも1つの区域は、小径ナノチューブを成長させるための反応条件を提供することとし、他の区域には、小径カーボンナノチューブの成長を開始させる核形成区域、並びに未反応供給原料、副成物ガス及び反応器内に存在する輸送ガスを含むガス流から生成物を取り出す回収区域のうち1つ、又はそれらの組合せが含まれる。ガス流から炭素生成物を取り出す一手段は、反応器内に存在するガス流に対して透過性のフィルタ上で生成物を集めることによって行うことができる。また、生成物は、サイクロン、湿式スクラバー、電気集塵、バグ捕集(bag collection)、及びそれらの組合せなどであるがこれらに限定されないガス−固体分離の他の手段によって反応器に存在するガス流から取り出すことができる。
【0051】
本発明の一実施形態では、触媒粒子のサイズは、小径カーボンナノチューブが効率的に成長するように流れるガス中に容易に乗せるために選択する。特定の反応デザインの場合、触媒粒子は断面寸法で約100ミクロン未満、他の反応器デザインの場合、断面寸法で約30ミクロン未満であってもよい。一部の反応器条件の場合、最適サイズの粒子は、流動床又は流動懸濁液(fluidized suspension)におけるなどの効率的な反応器操作に十分なサイズまで小さな粒子を凝集させることによって製造することができる。粒子凝集は、物理的凝集、圧縮、ペレット化、押出及びそれらの組合せによるなどの様々な手段によって行うことができる。粒子凝集は、その酸化物が触媒担持体を形成する金属の水酸化物などの結合剤材料の有無にかかわらず行うことができる。
【0052】
本発明の一実施形態では、ガス状炭素含有供給原料を含むガス流は、各区域が小径カーボンナノチューブ製造の条件を調整するのを制御する反応器の1つ又は複数の区域又は区分を通して触媒を輸送する。別の実施形態では、窒素又はアルゴンなどの不活性ガスを含有するガス流を用い、ガス状炭素含有供給原料に遭遇する前に触媒が好ましい温度に達するように、加熱区域を通して触媒を輸送する。好ましい温度は、一般に約800℃〜約1000℃の範囲である。別の実施形態では、本質的に不活性で非触媒性の耐熱性粒子が場合により反応器に加えられるように反応器を構成する。これらの非触媒性粒子は、流動ガス内に触媒のより均一な分散を提供し、触媒の流れのための明確な通路を維持し、反応器壁上の触媒及びナノチューブ生成物の固着及び堆積を最小限に抑え、熱的安定性を提供し(すなわち、吸熱反応又は発熱反応用に、それぞれ熱源又はヒートシンクを提供することにより)、かつ触媒と反応器の壁との間の熱伝達を容易にすることができる。このような本質的に不活性な非触媒性粒子の材料の例には、砂、石英、セラミック、金属酸化物、カーバイド、シリカ、シリサイド、及びそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。非触媒性粒子は、一般的に均一な触媒の分散及び反応器内の熱の形成を促進する。反応器圧力、流路の長さ及び方向を変化させ、小径カーボンナノチューブの生成を最適化することができる。好適な反応器圧力は約0.1〜200気圧の範囲であり、好適な流路長は、約1〜約1000フィートの範囲である。反応器は垂直に向いていることが好ましい。
【0053】
一実施形態では、触媒性金属を反応器に導入する前に還元して触媒を活性化する別個の還元環境に触媒を置くことができる。別の実施形態では、メタンなどのカーボンナノチューブ用ガス状供給原料を用い、触媒上の酸化型触媒性金属を還元し、触媒をin situで活性化することができる。
【0054】
一実施形態では、小径カーボンナノチューブは、触媒を含む流動床を通ってガスが均一に流れるように、流動床反応器中の触媒によって製造される。この床は、小径カーボンナノチューブ成長に適した温度に維持され、ガス状供給原料を含むガスは、触媒を通過して触媒を流動化し、同時に触媒上で反応して小径カーボンナノチューブを生成する。この方法を用いて小径カーボンナノチューブを製造できるが、様々な触媒組成物、反応時間及び温度により、この方法を応用して直径が4nmを超える大径多層カーボンナノチューブを製造することができると思われる。
【0055】
触媒活性化並びにカーボンナノチューブの核形成及び成長を目的として触媒をガス又はガス混合物と接触させることは、約0.1気圧〜約200気圧の範囲のガス圧で行うことができる。各々の過程は同一又は異なる圧力で行ってもよい。炭素含有供給原料を含有するガス流に触媒を接触させ、一定量のカーボンナノチューブが生成した後、ガス状炭素含有供給原料を遮断し、窒素又は不活性ガスのパージで反応器を冷却することができる。次いで、触媒上の炭素生成物を反応器から取り出す。カーボンナノチューブ生成物は、主に触媒の表面上に生成し、多くの最終消費ではナノチューブ生成物から残留触媒を除去することが望ましいことが多い。担持材料としてMgOが特に望ましいのは、少量の無関係な炭素を生じるに過ぎないという理由ばかりでなく、弱酸で処理することにより最終ナノチューブ生成物から容易に除去することができるという理由からである。反応過程後に残る酸化マグネシウム及び触媒性金属を含む触媒は、小径カーボンナノチューブを含む炭素生成物及び残留触媒を、クエン酸、酢酸、硝酸、硫酸、塩酸、フッ化水素酸及びそれらの組合せなどであるがこれらに限定されない酸で処理するか、酸と混ぜることによって除去することができる。適度な濃度のこれらの酸は、酸化マグネシウム及び多くの触媒性金属を除去する際に有効である。強度の強い他の酸は高希釈で使用することができる。好適な酸は、約20重量%水性クエン酸などのクエン酸、硝酸及び塩酸であり、このうち塩酸が好ましい。
【0056】
酸と混ぜて酸化マグネシウムなどの微粒子担持体、及び触媒性金属を除去した後、炭素生成物を水で繰り返し洗浄する。洗浄後、精製された小径カーボンナノチューブ生成物を乾燥することができる。
【0057】
特定の応用例の場合、ナノチューブは、小径カーボンナノチューブ生成物のこれまで以上の精製を必要とすることがある。これまで以上の精製は、任意の知られている手段によって行うことができる。カーボンナノチューブを精製する手順は、2002年8月22日公開の国際特許公開「単層カーボンナノチューブ及びその組成物を精製する方法(Process for Purifying Single−Wall Carbon Nanotubes and Compositions Thereof)」WO02/064,869及び2002年8月22日公開の国際特許公開「単層カーボンナノチューブ及びその組成物を精製するための気相方法(Gas Phase Process for Purifying Single−Wall Carbon Nanotubes and Compositions Thereof)」WO02/064,868に述べられており、それらの全体を参照により本明細書に組み込む。一実施形態では、水蒸気で飽和された空気中、250℃において加熱することによりナノチューブを精製する。加熱は、非ナノチューブ炭素の少なくとも一部を酸化するような時間行い、金属不純物をある程度酸化することができる。酸化温度は、200℃〜約400℃、好ましくは約200℃〜約300℃の範囲であってよい。酸化は、酸素、空気、二酸化炭素、水蒸気及びそれらの組合せなどの酸化ガスを含むことができる任意のガス状酸化環境において実施することができる。酸化温度の選択は、特定の酸化ガス及びその濃度に左右される。水蒸気及び二酸化炭素による酸化処理の温度範囲は、約200℃〜約1200℃の範囲であってよい。酸化ガスの濃度は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス、又はそれらの組合せなどの、小径カーボンナノチューブと反応しない任意のガスとそれらを混合することによって調整及び制御することができる。酸化過程の時間は、酸化剤、その濃度、及び酸化温度を含むがこれらに限定されない変数に応じて、数分から数日に及ぶことがある。酸化的環境でナノチューブを加熱後、小径カーボンナノチューブを含む残りの材料を酸で処理して金属の不純物を除去し、酸の中でナノチューブのスラリを生成する。酸は、鉱酸、有機酸、又はそれらの組合せであってもよい。ナノチューブを処理しスラリ化するのに使用できると思われる酸の例には、塩酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、発煙硫酸、硝酸、クエン酸、シュウ酸、クロロスルホン酸、リン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、氷酢酸、一塩基有機酸、二塩基有機酸、及びそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。使用する酸は、純粋な酸、又は水性及び/又は有機溶媒などの液体媒体で希釈されていてもよい。一般に、水性溶媒が好ましい。金属の不純物を除去するには濃縮された水性塩酸が好ましい。酸処理後、酸及び不純物は、洗浄によってナノチューブから除去する。ナノチューブは、水、有機溶媒、又はそれらの組合せで洗浄して乾燥する。乾燥は、加熱の有無にかかわらず、真空中或いは窒素若しくはアルゴンなどの不活性ガスなどであるがこれらに限定されない乾燥ガス雰囲気中で行うことができる。
【0058】
微粒子担持体を除去すると、絡み合った小径カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ微粒子が得られ、カーボンナノチューブ微粒子は、触媒性金属を担持するのに使用した微粒子担持体とほぼ同一の形及びサイズを保持している。微粒子中のナノチューブの絡み合いは、いくらかランダムのように見える。カーボンナノチューブ微粒子のサイズは、カーボンナノチューブ微粒子を製造するのに使用した微粒子担持体の任意のサイズであってよい。通常、微粒子担持体は、約0.1ミクロン〜約1000ミクロンの範囲の断面寸法を有することが好ましい。微粒子担持体の断面寸法は、1000ミクロン未満、好ましくは300ミクロン未満、好ましくは100ミクロン未満、好ましくは30ミクロン未満であることが好ましい。使用する反応器系により、微粒子担持体の断面寸法は、10ミクロン未満、3ミクロン未満、或いは1ミクロン未満であってもよい。特定の応用例の場合、約0.1ミクロン〜約1ミクロンのより小さな粒径さえ好ましいことがある。
【0059】
本発明のカーボンナノチューブ微粒子の望ましい断面寸法は、特定の最終消費応用例に左右される。一般に、カーボンナノチューブ微粒子の断面寸法は、約0.1ミクロン〜約1000ミクロンの範囲であり、通常は約1ミクロン〜約100ミクロンの範囲である。カーボンナノチューブ微粒子の断面寸法は、1000ミクロン未満、好ましくは300ミクロン未満、好ましくは100ミクロン未満、好ましくは30ミクロン未満であることが好ましい。一部の応用例の場合、カーボンナノチューブ微粒子の断面寸法は、10ミクロン未満、3ミクロン未満、又は1ミクロン未満である。電界放出応用例における電気(electrical)エミッタなどの他の応用例の場合、カーボンナノチューブ微粒子の好ましい断面寸法は、約0.1ミクロン〜約3ミクロンの範囲である。
【0060】
小径カーボンナノチューブの微粒子は、無関係な炭素をほとんど含有しない。一実施形態では、生成物中の管状炭素のうち少なくとも約50重量%が小径カーボンナノチューブである。別の実施形態では、生成物中の管状炭素のうち少なくとも約80重量%が小径カーボンナノチューブである。さらに別の実施形態では、生成物中の管状炭素のうち少なくとも約90重量%が小径カーボンナノチューブである。さらに別の実施形態では、生成物中の管状炭素のうち少なくとも約95重量%が小径カーボンナノチューブである。
【0061】
カーボンナノチューブ微粒子は、無関係な炭素をほとんど含有しないが、微粒子のアニーリングは、それらの熱的安定性を高めるはずである。また、アニーリングは、電子エミッタとして有用な耐用年限を伸ばす。カーボンナノチューブ微粒子のアニーリングは、約1800℃までの温度で行うことができる。一部の応用例の場合、約2000℃までのより高いアニーリング温度を用いてもよい。一般に、アニーリングは、窒素又はアルゴンなどの不活性ガス中で行う。また、アニーリングは、窒素又は不活性ガスで希釈された水素又は一酸化炭素などの非酸化性ガス中で行うことができる。アニーリング時間は、温度及びアニーリングガスに左右されるが、一般に数秒から数日、好ましくは10分から1時間の範囲である。電子エミッタ応用例の場合、アニールされたカーボンナノチューブ微粒子は、アニールされていないカーボンナノチューブ微粒子より好ましい。
【0062】
カーボンナノチューブ微粒子におけるカーボンナノチューブの密度は、使用する成長条件に左右される。カーボンナノチューブ微粒子のかさ密度は、一般に約0.01g/cm〜約0.5g/cmの範囲であり、通常は約0.05g/cm〜約0.5g/cmの範囲である。一般に、低い密度は大きな表面積と関連している。一実施形態では、カーボンナノチューブ微粒子は、約100m/g〜約1000m/gの範囲の表面積を有する。カーボンナノチューブ表面積は、約100m/gを超えることが好ましく、約300m/gを超えることが好ましく、約1000m/gを超えることが好ましい。
【0063】
また、カーボンナノチューブ微粒子は、小径カーボンナノチューブのロープを含むことができ、ナノチューブは、単層、2層、3層、また場合によっては4層であってもよく、ナノチューブの外壁の直径は、約3nm未満、一般的には約0.5nm〜約3nmの範囲である。一般に、ナノチューブロープは、ロープ中のナノチューブの数及びサイズに応じて、50nmまでの断面寸法を有する。通常、断面寸法は、約10nm〜約50nmの範囲である。また、断面寸法は、約10nm〜約25nmの範囲であってもよい。別の実施形態では、カーボンナノチューブ微粒子は、断面寸法が10nm未満のロープを含むことができる。
【0064】
小径カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブと類似したロープを形成することができるが、層数の異なったナノチューブを含む小径カーボンナノチューブのロープは、単層カーボンナノチューブだけのロープに比べてより不均一で結晶性が低く(すなわち、より不規則で密集していない)見える。層数の異なったナノチューブを含む小径カーボンナノチューブの不均一なロープは、恐らく、部分的にはチューブ間の表面接触が少なく、各チューブの平均的な柔軟性及び可動性が低いため、ファンデルワールス力により十分には結合していない。このような小径カーボンナノチューブのロープは、純粋な単層カーボンナノチューブのロープに比べると分離及び分散がより容易である。
【0065】
ナノチューブの分散性は、特に、ナノチューブ及びマトリクス材料を含む複合材料にカーボンナノチューブの例外的な電気伝導度及び高い引張り強さを組み入れるため、懸濁液、溶液及び複合材料を製造する際に極めて望ましい特性である。理論的に、単層カーボンナノチューブは、大きな多層カーボンナノチューブに比べるとかなり高い電気伝導度及び引張り強さを有している。しかしながら、約4層までを有する小径カーボンナノチューブは、一般に欠陥が極めて少ないため、通常は単層カーボンナノチューブに類似した極めて高い電気伝導度及び大きな引張り強さも有している。また、数層のみを有する小径カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブと極めて類似した分光学的特徴を示す。このようなスペクトル的特徴には、ラマンシフトが約400cm−1未満であるラマンスペクトルにおける「ラジアルブリージングモード」ピーク、及び2つ以上の要素によってラマン「D」ライン(約1350cm−1の)を上回るラマン「G」ライン(約1582cm−1の)が含まれる。しかしながら、これらの分光学的特徴は、大径(すなわち4nmを超える)多層カーボンナノチューブでは観察されない。
【0066】
小径カーボンナノチューブは、電気伝導度又は強さを顕著に失うことなくより容易な分散性という利点を有している。カーボンナノチューブ微粒子の高い空隙率は、他の媒体における微粒子の分散しやすさを高めている。ナノチューブ微粒子は、水性液体(すなわち、界面活性剤の有無にかかわらず)、有機液体、超臨界流体又はそれらの組合せなどであるがこれらに限定されない液体に容易に分散させ懸濁液を生成することができる。また、ナノチューブ微粒子をマトリクス媒体に分散させ、複合材料を生成することができる。好適なマトリクス媒体には、熱可塑性及び熱硬化性ポリマー、金属、セラミック、無機材料、有機材料、又はそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。熱可塑性ポリマーの例には、ポリオレフィン、ポリエステル及びポリカーボネートが含まれるが、これらに限定されるものではない。熱硬化性ポリマーの例には、エポキシ系、フェノール系、ポリスルフィド系及びシリコーン系が含まれるが、これらに限定されるものではない。ナノチューブ微粒子は、約0.001重量%〜約50重量%の範囲の濃度でマトリクス媒体に分散することができる。分散の方法には、溶媒ブレンド法、溶融ブレンド法又はそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。溶媒ブレンド法の一実施形態では、ナノチューブ成分を、溶液中の、ポリマーなどの材料に加える。材料溶液にナノチューブ微粒子を加えた後、混合、超音波処理、高剪断混合、振動、振盪、均質化、押出及びそれらの組合せのような手段によってナノチューブを分散させる。ナノチューブ成分を十分に分散させた後、溶媒を除去し、分散したナノチューブを含有する材料とする。参照により本明細書に組み込む2003年9月25日公開の国際特許公開WO03/078317「極性ポリマー及び単層カーボンナノチューブを含む複合材料(Composite Materials Comprising Polar Polymers and Single−Wall Carbon Nanotubes)」を参照されたい。溶融ブレンド法では、カーボンナノチューブ材料をポリマー材料と混合し、単軸又は多軸押出機中などで熱及び高剪断混合により溶融形態で混合する。また、ナノチューブ材料を溶融ポリマーに加え、単軸又は二軸押出機などの押出機器中で混合する。
【0067】
別の実施形態では、他の媒体と混合することなくカーボンナノチューブ微粒子を使用することができる。カーボンナノチューブ微粒子は、加圧成形又は成形の他の手段によってフィルム、マット及び紙にすることができる。
【0068】
本発明の別の実施形態では、カーボンナノチューブ微粒子中のカーボンナノチューブを官能基で化学的に誘導体化する。参照により本明細書に組み込む2000年3月30日公開の国際特許公開WO00/17101「単層カーボンナノチューブの化学的誘導体化(Chemical Derivatization of Single−wall Carbon Nanotubes)」に記載の手順は、カーボンナノチューブ微粒子中の小さなカーボンナノチューブの側壁をフッ素化及び/又は誘導体化するのに適している。カーボンナノチューブは、1種又は複数の官能基で誘導体化することができる。カーボンナノチューブは、アルキル、アシル、アリール、アラルキル、ハロゲン;置換又は無置換チオール;無置換又は置換アミノ;ヒドロキシ、及びOR′(R′は、アルキル、アシル、アリール、アラルキル、無置換又は置換アミノからなる群から選択される);置換又は無置換チオール、及びハロゲン;及び1個又は複数のヘテロ原子で場合により中断され、1個又は複数の=O、又は=S、ヒドロキシ、アミノアルキル基、アミノ酸、又はペプチドで場合により置換されている線状又は環状炭素鎖などの官能基により末端又は側面で誘導体化することができる。通常、アルキル、アシル、アリール、アラルキル基中の炭素原子数は1〜約30の範囲であり、一部の実施形態では1〜約10の範囲である。
【0069】
本明細書では以下の定義を用いる。
【0070】
本明細書で用いる用語「アルキル」には、直鎖と分枝鎖ラジカルの双方、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチル、2,2,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、それらの様々な分枝鎖異性体が含まれる。鎖は、線状又は環状、飽和又は不飽和、例えば二重及び三重結合を含むことがある。アルキル鎖は、例えば、1個又は複数のハロゲン、酸素、ヒドロキシ、シリル、アミノ、若しくは許容可能な置換基で中断若しくは置換されていてもよい。
【0071】
本明細書で使用する用語「アシル」は、式−CORのカルボニル基を指し、Rは、例えば、アルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン;置換又は無置換チオール;無置換又は置換アミノ、無置換又は置換酸素、ヒドロキシ、又は水素などの適当な置換基であってもよい。
【0072】
本明細書で用いる用語「アリール」は、フェニル、ナフチル、置換フェニル、又は置換ナフチルなどの、環部分に6〜14個の炭素を含む単環式、二環式又は三環式芳香族基を指し、フェニル或いはナフチル上の置換基は、例えばC1−4アルキル、ハロゲン、C1−4アルコキシ、ヒドロキシ又はニトロであってもよい。
【0073】
本明細書で使用する用語「アラルキル」は、ベンジル、p−ニトロベンジル、フェニルエチル、ジフェニルメチル及びトリフェニルメチルなどの、アリール置換基を有する上述のアルキル基を指す。
【0074】
本明細書で使用する用語「芳香族又は非芳香族環」は、中断されていない、又は1個若しくは複数のヘテロ原子、例えば、O、S、SO、SO、及びNで中断されている5〜8員芳香族及び非芳香族環であることが好ましく、また環は、無置換若しくは、例えば、ハロゲン、アルキル、アシル、ヒドロキシ、アリール、及びアミノで置換されていてもよく、前記ヘテロ原子及び置換基は、例えば、アルキル、アシル、アリール、又はアラルキルで置換されていてもよい。
【0075】
本明細書で使用する用語「線状又は環状」には、例えば、芳香族又は非芳香族環によって場合により中断されていてもよい線状の鎖が含まれる。環状の鎖には、例えば、環の前にくる、又は後にくる炭素鎖に結合していてもよい芳香族又は非芳香族環が含まれる。
【0076】
本明細書で使用する用語「置換アミノ」は、1個又は複数の置換基、例えば、アルキル、アシル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、及びハロゲンで置換されていてもよいアミノを指す。
【0077】
本明細書で使用する用語「置換チオール」は、1個又は複数の置換基、例えば、アルキル、アシル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、及びハロゲンで置換されていてもよいチオールを指す。
【0078】
本発明の別の実施形態では、カーボンナノチューブが官能基で化学的に誘導体化されたカーボンナノチューブ微粒子は、水性液体(すなわち、界面活性剤の有無にかかわらず)、有機液体、超臨界流体又はそれらの組合せなどであるがこれらに限定されない液体に容易に分散させ懸濁液を生成することができる。また、カーボンナノチューブが化学的に誘導体化されたナノチューブ微粒子をマトリクス媒体に分散させ、複合材料を生成することができる。好適なマトリクス媒体には、熱可塑性及び熱硬化性ポリマー、金属、セラミック、無機材料、有機材料、又はそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。カーボンナノチューブが化学的に誘導体化されたナノチューブ微粒子は、約0.001重量%〜約50重量%の範囲の濃度でマトリクス媒体に分散することができる。分散の方法には、溶媒ブレンド法、溶融ブレンド法又はそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
また、カーボンナノチューブ微粒子は、陰極構成部品など又は電子管における陰極として電子電界放出応用例において特に有効である。そのような電子管は、増幅器、発振器、混合器、マイクロ波コンポーネント、放電始動器(discharge initiators)、レーザー管、スパークギャップ、制御(controlled)放電管、指向性エネルギー装置、表示管、フラットパネルディスプレイ及びそれらの組合せであってもよい。本発明の一実施形態では、触媒担持体及び金属触媒の少なくとも一部はカーボンナノチューブ微粒子から分離されてきた。微粒子による電界放出材料の調製には、場合により、粘稠な媒体に微粒子を分散させ、制御しながら表面上に堆積させることができるカーボンナノチューブペーストを生成することが含まれることがある。堆積は、スクリーン印刷、電気泳動堆積、埋込み(casting)、インクジェット印刷、吹き付け(spraying)、オフセット印刷、又はそれらの組合せによることができる。カーボンナノチューブ微粒子の分散性の容易さは、頑丈で真空に対応するフィルムの形成を可能にする。これらの堆積フィルムは、微粒子を含む表面に適切な電場が印加された場合に電子のフィールドエミッタの役割を果たす。
【0080】
本発明の材料を含む陰極の電界放出特性の増強は、陰極支持体表面上に陰極を置いてからの「活性化」手順によって行うことができる。このような活性化手順にはエッチングが含まれる。エッチングは、化学的手段、電気化学的手段、物理的手段又はそれらの組合せによることができる。強酸又は強塩基による化学的エッチングが有効である。酸又は塩基は、液体或いは気体の形態であってもよい。酸化的エッチングは、任意の温度においてはオゾン、原子酸素、又は高温においては分子酸素、二酸化炭素、水蒸気、過酸化物、若しくはそれらの組合せなどの酸化性ガスに陰極表面を暴露することによって行うことができる。また、エッチングは、スパッタリング、反応性イオンエッチング、プラズマエッチング、及び表面処理に係わる当業者に知られている他の方法によって行ってもよい。
【0081】
電界放出では、放出の均一性が重要である。カーボンナノチューブ微粒子サイズの厳密な制御は、放出の均一性を改善する。触媒粒子のサイズ範囲は、製造した後でカーボンナノチューブ微粒子を粉砕又は製粉し、特定の望ましいサイズ範囲まで微粒子をふるいにかけることによって選択することができる。カーボンナノチューブ生成物の確かな微粒子均一性及び電界放出特性における有効性を得るために有効な方法には、カーボンナノチューブ生成物のボールミリング及び生成物の懸濁液をロールミルすることが含まれる。
【0082】
本発明の好ましい実施形態を示すために以下の実施例を含める。当業者には当然のことながら、続く実施例に記載の技法は、発明者らによって発見され本発明の実施において十分に機能する技法を代表しており、発明の実施に関して好ましいモードを構成すると見なすことができる。しかしながら、本開示に鑑み、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、開示された具体的な実施形態において多くの変更を行っても、依然として同様な、又は類似した結果が得られることを当業者は理解するであろう。
【実施例1】
【0083】
硝酸鉄(III)9水和物(Fe(NO 9HO)(分子量404.02)0.40g、ヘプタモリブデン酸アンモニウム4水和物((NHMo24 4HO)0.0365g、硝酸マグネシウム6水和物(Mg(NO 6HO)10g、及び無水クエン酸4gを、500mlのビーカー中で脱イオン水10mlに溶かした。透明溶液が生成したらすぐに、650℃に予熱された高温炉にビーカーを入れた。炉温の急激な低下が観察された。数分のうちに溶液は発泡し、多量の淡黄色のフワフワしたフレークがビーカーを満たした。炉温を550℃に下げ、触媒を550℃に60分間保った。触媒を炉から取り出し、デシケーターに入れた。ブレンダーを用い、触媒フレークをすぐに粉砕して流動性の細かい粉末にした。触媒粉末の物理的特徴は、小さな一次粒径(<5μm)及び極めて低いかさ密度(〜0.1g/cm)であった。得られた触媒の化学組成は、Fe3.5重量%及びMo1.3重量%であった。周囲環境において、触媒は、二酸化炭素(CO)及び水分などのガスを吸収することができる。空気中で約800℃まで加熱した場合、触媒は、約8重量%まで重量を減らすことがある。
【0084】
触媒0.25gを、中央に石英フリットを取り付けた石英管に入れ、所定の位置に触媒を保持して流動床反応器として操作した。反応器は、高温の管状炉に垂直に入れた。ガス制御システムは、反応器管の下から様々なガスを供給した。反応器は、まずアルゴンガス(流速:150sccm)でパージし、温度は、20℃/分の速度で900℃まで上昇した。900℃において、メタン(CH)を30秒間出し、次いで止めた。反応器は、アルゴンパージの下で室温まで冷却した。反応器から回収された得られた材料は、暗黒色の粉末であった。空気中で800℃まで昇温するTGAにより測定されたSWNTの成長は、触媒重量に対して20.6重量%であった。走査型電子顕微鏡(SEM)によって生成物を調べた。図1A及び2Aは、それぞれ500×及び5,000×の倍率におけるSEM画像を示している。
【0085】
成長直後の生成物は、まず300℃において1時間、空気中で酸化し、次いで過剰の20重量%クエン酸と十分に混ぜて触媒を除去した。クエン酸処理生成物を水及びアセトンで繰り返し洗浄し、100℃においてオーブン乾燥して精製生成物を製造した。精製生成物をTGAによって分析すると、3重量%未満の触媒残渣を含んでいた。図1B、2B、3及び4Bは、それぞれ500×、5,000×、25,000×及び50,000×の倍率における精製生成物のSEM画像を示している。
【0086】
精製生成物数ミリグラムを、超音波器具によりエタノールに懸濁した。懸濁液数滴をレス状の炭素銅グリッド上に堆積させた。エタノールを乾燥した後、100kVまでの透過型電子顕微鏡(JEOL JEM2010)により生成物を調べた。50,000×の倍率におけるTEM画像を図4Aに示す。SWNTのロープがはっきりと見られる。画像分析は、SWNTの直径が約1nmであることを示した。
【実施例2】
【0087】
この実施例は、イオウ含有化合物で処理した実施例1の触媒を用いる小径カーボンナノチューブの製造を示す。
【0088】
実施例1で調製した触媒1gを流動床反応器に入れた。反応器をアルゴンガス(流速:150sccm)でパージし、温度を20℃/分の速度で500℃まで上昇させた。500℃において、チオフェン(CS、Acros)を、室温に10分間保持したチオフェンにアルゴンを通すことによって触媒に導入した。チオフェン処理後、アルゴンパージの下で反応器温度を850℃まで上昇させた。850℃において、アルゴンを止め、メタン(CH、Matheson)を10分間導入してナノチューブを成長させた。10分の成長反応後、メタンを止め、アルゴンを出した。反応器は、アルゴンパージの下で室温まで冷却した。反応器から回収された得られた材料は、暗黒色の粉末であった。空気中で800℃まで昇温するTGAにより測定されたSWNTの成長は、触媒重量に対して32.3重量%であった。
【0089】
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて製造直後の材料を調べた。画像は、触媒担持体の表面上及び多孔性構造中にナノチューブのロープをはっきりと示している。
【0090】
成長直後の生成物は、過剰の20重量%クエン酸と十分に混ぜた。約2重量%程度の様々な濃度のクエン酸溶液も、触媒担持体を除去する際に有効であることが分かった。クエン酸処理生成物を水及びアセトンで繰り返し洗浄し、100℃においてオーブン乾燥すると精製カーボンナノチューブ生成物が得られ、これをTGAによって分析すると、約4重量%の触媒残渣を含んでいた。
【0091】
精製小径カーボンナノチューブ生成物は、SEM及びTEMによって調べた。約700,000×の倍率における精製小径カーボンナノチューブ生成物のTEM画像を図5Aに示す。TEM画像分析は、単層カーボンナノチューブの直径が約1nmであることを示した。
【実施例3】
【0092】
この実施例は、鉄及びモリブデン組成が異なる触媒を用いる小径カーボンナノチューブの製造を示す。硝酸鉄9水和物(Fe(NO 9HO)1.1g、ヘプタモリブデン酸アンモニウム4水和物((NHMo24 4HO)0.028g、硝酸マグネシウム6水和物(Mg(NO 6HO)20g、及び無水クエン酸6gを、500mlのビーカー中で脱イオン水20mlに溶かした。調製手順の残りの部分は実施例1と同一とした。得られた触媒の触媒金属組成は、Fe4.8重量%及びMo0.48重量%であった。物理的特性は、実施例1における触媒の物理的特性と類似していた。
【0093】
触媒1gを決まった流動床反応器に入れた。反応器は、まずアルゴンガス(流速:150sccm)でパージし、温度は、20℃/分の速度で850℃まで上昇させた。850℃において、アルゴンを止め、メタン(CH)を10分間入れ、次いで止めた。反応器は、アルゴンパージの下で室温まで冷却した。反応器から回収された得られた材料は、暗黒色の粉末であった。空気中で800℃まで昇温するTGAにより測定されたSWNTの成長は、触媒重量に対して15.4重量%であった。
【実施例4】
【0094】
10分の成長を900℃の温度で実施したことを除いては実施例3の手順を繰り返した。炭素利得は、触媒重量に対して15.9重量%であった。成長直後の材料は、TEM及びラマン分光法によって分析した。
【0095】
この実施例に従って製造されたカーボンナノチューブ材料の高分解能TEMを図5Bに示す。顕微鏡写真は、1つ又は複数の層を有するナノチューブを含む小径ナノチューブの「ロープ」をはっきりと示している。スケールバーの長さは7.5nmであり、示されたロープにおけるナノチューブの直径は、約3ナノメートル未満であった。この画像は、カーボンナノチューブ微粒子の辺縁部において得られたもので、示されたロープの一部は、TEMにおける電子ビームと平行に位置する。TEMの焦点面は、ロープの断面に位置し、示された画像は、ロープの断面であるように見える。
【0096】
成長直後の生成物における小径カーボンナノチューブのRBMシフトのラマンスペクトルを図6Aに示す。成長直後の生成物における小径カーボンナノチューブの接線モードシフトのラマンスペクトルを図6Bに示す。
【実施例5】
【0097】
この実施例は、担持触媒による小径カーボンナノチューブの調製を示す。硝酸鉄9水和物(Fe(NO 9HO)0.225g、硝酸マグネシウム6水和物(Mg(NO 6HO)20g、及び無水クエン酸6gを、500mlのビーカー中で脱イオン水20mlに溶かした。調製手順の残りの部分は実施例1と同一とした。得られた触媒の鉄含有量は、MgOに対して1.0重量%であった。触媒の物理的特性は、実施例1における触媒の物理的特性と類似していた。
【0098】
触媒1gを流動床反応器に入れた。反応器は、まずアルゴンガス(流速:150sccm)でパージし、温度は、20℃/分の速度で850℃まで上昇させた。850℃において、アルゴンを止め、メタン(CH)を10分間入れ、次いで止めた。反応器は、アルゴンパージの下で室温まで冷却した。反応器から回収された得られた材料は、暗黒色の粉末であった。空気中で800℃まで昇温するTGAにより測定されたSWNTの成長は、触媒重量に対して7.3重量%であった。
【0099】
成長直後のSWNT生成物は、ラマン分光法によって分析した。成長直後の生成物における小径カーボンナノチューブのRBMシフトのラマンスペクトルを図7Aに示す。成長直後の生成物における小径カーボンナノチューブの接線モードシフトのラマンスペクトルを図7Bに示す。
【0100】
図6A及び7Aのラジアルブリージングモード(RBM)ピークの比較は、異なる触媒組成によって生じる直径分布の根本的な差を示しており、より大きな直径のナノチューブは、触媒がより低濃度の触媒性金属を含む場合に生成される。
【実施例6】
【0101】
カーボンナノチューブは、実施例1の方法によって調製した。カーボンナノチューブ生成物を回収した後、約300℃の温度において約1時間、空気中で生成物を加熱した。試料を冷却した後、室温において約30分間、水性HCl(約20重量%HCl)と混ぜることにより、触媒担持体及び触媒金属の一部を除去した。得られた試料を脱イオン水で洗浄し、乾燥した。乾燥試料をアルミナボートに入れ、高熱炉管の中央に置いた。室温において30分間、流速200ml/minでアルゴンをパージした後、15℃/minの割合で炉温を1450℃まで上昇させ、同様のアルゴン流の下で3時間保持した。次いで、同様のガス流の下で試料を室温まで冷却した。アニーリング熱処理前後のラマンスペクトルを図8に示す。アニーリング熱処理前後の試料のTGA曲線を図9に示す。アニーリング熱処理は、カーボンナノチューブ試料の燃焼温度を、アニールしていない試料に比べて約100℃上昇させた。
【実施例7】
【0102】
この実施例は、上記の実施例3に従って調製されたカーボンナノチューブ微粒子の直接溶融ブレンド法をCarbon Nanotechnologies、Inc.から入手したHIPCO(登録商標)単層カーボンナノチューブ(HIPCOは、Carbon Nanotechnologies、Incorporated、Houston、TX.に対して登録された商標である)と比較する。5.0重量%ナノチューブ/ポリカーボネート混合物は、各ナノチューブ材料2グラムをポリカーボネート粉末(GE PlasticsからのLEXAN(登録商標)HF1110ポリカーボネート樹脂。LEXANは、General Electric Companyの登録商標である。)38gと混合することによって調製した。混合は、Plasti−corder2軸ミキサー(C.W.Brabender Instruments、Inc.)中、275℃で10分間行った。各ナノチューブ/ポリカーボネート複合材料混合物をプレスして厚さ約0.5mmのシートとした。各シートの電気伝導度は、電流源及び電圧計としてKeithley Model2400 SourceMeterを用いる4点プローブ比抵抗/伝導度測定により測定した。HIPCO/ポリカーボネート複合材料の伝導度は、0.0452シーメンス/センチメートル(S/cm)であり、一方、本発明のカーボンナノチューブ微粒子で製造したポリカーボネート複合材料の伝導度は、0.0964S/cmであった。
【0103】
続いて、各々の混合複合材料を同じ2軸ミキサー中、追加のポリカーボネートと混ぜ、ナノチューブの添加がより少ない、すなわち、ポリカーボネート中のナノチューブ材料が1.0重量%及び0.5重量%である複合材料を製造した。1.0重量%及び0.5重量%HIPCO/ポリカーボネート複合材料の電気伝導度は、それぞれ3.84×10−4S/cm及び1.46×10−7S/cmであった。本発明のカーボンナノチューブ微粒子1.0重量%及び0.5重量%で製造したポリカーボネート複合材料の伝導度は、それぞれ5.09×10−3S/cm及び8.14×10−4S/cmであった。結果を表1に示す。比較すると、本発明のカーボンナノチューブ微粒子は、同一のナノチューブ添加レベルにおいて単層カーボンナノチューブよりも有意に高い電気伝導度を示した。高い伝導度は、1重量%未満の低い添加で特に顕著である。
【0104】
【表1】

【実施例8】
【0105】
この実施例は、カーボンFIBRIL(商標)ナノチューブ(FIBRILは、Hyperion Catalysis International、Cambridge、MA.の商標である)を本発明のカーボンナノチューブ微粒子と比較する。カーボンFIBRILナノチューブは、一般に20〜60nmの直径を有し、電気伝導度のために高分子添加物として使用することができる。
【0106】
双方とも実施例7の手順に従って調製された、FIBRILナノチューブ及び本発明のカーボンナノチューブ微粒子を含有する組成物の電気伝導度は、電流源及び電圧計としてKeithley Model2400 SourceMeterを用いる4点プローブ比抵抗/伝導度測定を用いて測定した。電気伝導度を下表2で比較する。同一添加レベルにおいて、本発明のカーボンナノチューブ微粒子は、FIBRILナノチューブよりも大きなポリカーボネート中の電気伝導度を提供した。
【0107】
このデータは、本発明のカーボンナノチューブ微粒子は、所与の添加レベルについてより高い電気伝導度を提供することを示している。0.5重量%などの極めて低い添加において、本発明のカーボンナノチューブ微粒子は、ポリカーボネート複合材料に測定可能な伝導度を提供するのに対して、カーボンFIBRILナノチューブの添加レベル0.5重量%においては測定可能な伝導度は認められない。
【0108】
【表2】

【実施例9】
【0109】
この実施例は、本発明のカーボンナノチューブ微粒子における小径カーボンナノチューブの側壁フッ素化を示す。精製カーボンナノチューブ微粒子を、管状炉中でフッ素10%及びアルゴン90%の混合物に暴露した。30分かけて温度を30℃から250℃まで上昇させ、次いで250℃において90分間維持した。炉を室温まで冷却し、カーボンナノチューブ材料を取り出した。試料の質量を測定すると、約10%増加しており、カーボンナノチューブ微粒子の部分的側壁フッ素化を示している。
【実施例10】
【0110】
様々な方法によって製造され、様々な処理がなされたカーボンナノチューブを電気エミッタとしてテストした。この実施例に含まれるカーボンナノチューブ試料は以下の通りである。
【0111】
試料101:本発明のカーボンナノチューブ微粒子は、実施例4に示した手順に従って製造し、300℃において1時間、空気中で加熱し、続いて室温において30分間、20重量%HCl水溶液中で混ぜることにより精製した。試料は、アルゴン中1450℃で1時間アニールした。残留金属含量は、4.5重量%であった。
【0112】
試料102:本発明のカーボンナノチューブ微粒子は、実施例4に示した手順に従って製造し、300℃において1時間、空気中で加熱し、続いて室温において30分間、20重量%HCl水溶液中で混ぜることにより精製した。試料は、アニールしなかった。残留金属含量は、3.8重量%であった。
【0113】
試料103:レーザーオーブン法によって製造された単層カーボンナノチューブ微粒子。単層カーボンナノチューブ試料は、2001年2月6日出願の米国特許第6,183,714号、「単層カーボンナノチューブのロープを製造する方法(Method of Making Ropes of Single−Wall Carbon Nanotubes)」に示されている手順を用い、Carbon Nanotechnologies、Inc.によって製造された。ナノチューブは、Ni/Co触媒及びダブルNd:YAGレーザーを用いて調製した。試料は、「調製直後」に使用し、精製もアニーリングもしなかった。残留金属含量は、8.0重量%であった。
【0114】
2000年3月11日公開の「高圧一酸化炭素からの単層カーボンナノチューブの気相核形成及び成長(Gas phase nucleation and growth of single−wall carbon nanotubes from high pressure carbon monoxide)」国際特許公開WO00/26138に示されている手順を用い、Carbon Nanotechnologies、Inc.によって製造されたHIPCO単層カーボンナノチューブ。試料は、250℃において1時間、湿った空気中で加熱し、続いて室温において1時間、20重量%水性HClと混ぜることによって精製した。試料は、アルゴン中1450℃において1時間アニールした。残留金属含量は、3.0重量%であった。
【0115】
2000年3月11日公開の「高圧一酸化炭素からの単層カーボンナノチューブの気相核形成及び成長(Gas phase nucleation and growth of single−wall carbon nanotubes from high pressure carbon monoxide)」国際特許公開WO00/26138に示されている手順を用い、Carbon Nanotechnologies、Inc.によって製造されたHIPCO単層カーボンナノチューブ。試料は、250℃において1時間、湿った空気中で加熱し、続いて室温において1時間、20重量%水性HClと混ぜることによって精製した。試料は、アニールしなかった。残留金属含量は、10.0重量%であった。
【0116】
調製及びすべての追加処理手順の後、各カーボンナノチューブをトルエン中で超音波処理し、スラリを生成した。各ナノチューブスラリを、導電性の金でコーティングしたシリコン基板上に堆積させ、トルエンを蒸発させてナノチューブフィルムを生成した。ナノチューブフィルム試料は、以下の試験手順に従い、電気エミッタとしてテストした。
【0117】
直径1.1mmの光学的に滑らかな白金球を陽極として用い、圧電インチワームモーターを有する走査型トンネル顕微鏡(STM)で正確に位置を合わせた。インチワームシステムは、超高真空(UHV)チャンバーに収納した。Pt陽極及びナノチューブフィルム試料を、それぞれインチワーム及び試料ホルダー上に載せ、系をSTMモードで操作した。陽極とナノチューブフィルム間の間隙を、陽極試料間距離d=0.5〜1.0nmにおいてトンネル効果が起きるまで狭めた。次いで、陽極を250μmの距離まで離し、電界に対する電界放出電流を測定した。
【0118】
電界に対する電界放出電流密度のプロットを図10に示す。本発明のアニールされたカーボンナノチューブ微粒子は、最低の「ターンオン」放出電界において最大の放出電流密度を示した。電流密度約0.1μA/cmの電流密度における各々の異なるナノチューブに関する「ターンオン」放出電界を表3に示す。低い「ターンオン」放出電界が望ましく、本発明のアニールされたカーボンナノチューブ微粒子の約0.85V/μmにおいて最も低かった。エミッタ応用例の場合、カーボンナノチューブ微粒子のサイズは約0.1ミクロン〜約3ミクロンの範囲が好ましい。
【0119】

【表3】

【0120】
本明細書に開示され請求の範囲に記載されるすべての組成物及び方法は、本開示に照らして、必要以上の実験なしに製造及び実行することができる。本発明の組成物及び方法を好ましい実施形態という点で説明してきたが、本発明の概念、精神及び範囲を逸脱することなく、本明細書に記載の組成物及び方法に対し、並びに方法のステップ及び一連のステップにおいて変形形態を適用できることは当業者にとって明らかであろう。より具体的に、化学的に関連している特定の試剤を本明細書に記載の試剤と置き換えても同一又は類似の結果が得られることは明らかであろう。当業者にとって明らかなこのような類似の置換及び変更はすべて、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の精神、範囲及び概念の範囲内にあると見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1A】500×の倍率における本発明の一実施形態の走査型電子顕微鏡写真(SEM)の図である。
【図1B】500×の倍率における本発明の一実施形態の走査型電子顕微鏡写真(SEM)の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブ微粒子を製造するための方法であって、
(a)微粒子担持体上に触媒性金属を含む触媒を提供し、前記微粒子担持体は、約1000ミクロン未満の断面寸法を有すること、
(b)前記触媒上で炭素生成物を製造するのに十分な温度において、及び十分な接触時間、炭素含有供給原料を含むガス流に触媒を接触させ、前記炭素生成物は、カーボンナノチューブ微粒子を含み、前記微粒子は、小径カーボンナノチューブを含み、前記小径カーボンナノチューブは、約0.5nm〜約3nmの範囲の外径を有すること、及び
(c)前記カーボンナノチューブ微粒子を含む前記炭素生成物から前記微粒子担持体を除去し、前記カーボンナノチューブ微粒子は、前記微粒子担持体の除去前に近い形状及び断面寸法の巨視的形態を保持すること、を含む方法。
【請求項2】
前記小径カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、2層カーボンナノチューブ、3層カーボンナノチューブ、4層カーボンナノチューブ及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記微粒子担持体は、ゼオライト、シリカ、アルミナ、ジルコニア、マグネシア及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記微粒子担持体は、マグネシアを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記触媒性金属は、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、ランタニド系列元素、アクチニド系列元素、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の元素を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記触媒性金属は、鉄を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記触媒性金属は、鉄及びモリブデンを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記小径カーボンナノチューブ微粒子は、約0.01g/cm〜約0.5g/cmの範囲のかさ密度を有する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記微粒子担持体は、約0.1ミクロン〜約1000ミクロンの範囲の断面寸法を有する請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記微粒子担持体は、約1ミクロン〜約100ミクロンの範囲の断面寸法を有する請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記カーボンナノチューブ微粒子は、約0.1ミクロン〜約1000ミクロンの範囲の断面寸法を有する請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記カーボンナノチューブ微粒子は、約1ミクロン〜約100ミクロンの範囲の断面寸法を有する請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記小径カーボンナノチューブは、前記炭素生成物の総重量の約50重量%を超える量で前記小径カーボンナノチューブ微粒子中に存在する請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記小径カーボンナノチューブは、前記炭素生成物の総重量の約80重量%を超える量で前記小径カーボンナノチューブ微粒子中に存在する請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記小径カーボンナノチューブは、前記炭素生成物の総重量の約90重量%を超える量で前記小径カーボンナノチューブ微粒子中に存在する請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記小径カーボンナノチューブは、2個以上のカーボンナノチューブ微粒子間にまたがっている請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記カーボン微粒子は、約10m/g〜約1000m/gの範囲の表面積を有する請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記カーボン微粒子は、約100m/g〜約1000m/gの範囲の表面積を有する請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記カーボンナノチューブ微粒子中の前記小径カーボンナノチューブは、小径カーボンナノチューブのロープを含む請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ロープは、約10nm〜約50nmの範囲の断面寸法を有する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ロープは、10nm未満の断面寸法を有する請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記カーボンナノチューブ微粒子は、前記カーボンナノチューブ微粒子の表面積1μmあたり約10個を超える小径カーボンナノチューブを有する小径カーボンナノチューブを含む請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記カーボンナノチューブ微粒子をアニールして、アニールされたカーボンナノチューブ微粒子を生成することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記アニーリングは、約1〜約24時間の範囲で、約800℃〜1500℃の温度において窒素又は不活性ガス環境中で前記カーボンナノチューブ微粒子を加熱することによって行われる請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記アニールされたカーボンナノチューブ微粒子は、約400℃を超える温度で空気中において安定である請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記アニールされたカーボンナノチューブ微粒子は、約450℃を超える温度で空気中において安定である請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記アニールされたカーボンナノチューブ微粒子は、約500℃を超える温度で空気中において安定である請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記アニールされたカーボンナノチューブ微粒子は、約550℃を超える温度で空気中において安定である請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記カーボンナノチューブ微粒子は、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、金属、セラミック、及びそれらの組合せからなる群から選択されるマトリクス材料と混合される請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記カーボンナノチューブ微粒子は、ポリマーを含むマトリクス材料と混合される請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記カーボンナノチューブを誘導体化して誘導体化カーボンナノチューブを生成することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記誘導体化カーボンナノチューブは、フッ素化カーボンナノチューブである請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記誘導体化カーボンナノチューブは、1種類又は複数の官能基を含む請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記誘導体化カーボンナノチューブを含む前記カーボンナノチューブ微粒子は、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、金属、セラミック、及びそれらの組合せからなる群から選択されるマトリクス材料と混合される請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記フッ素化カーボンナノチューブを含む前記カーボンナノチューブ微粒子は、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、金属、セラミック、及びそれらの組合せからなる群から選択されるマトリクス材料と混合される請求項32に記載の方法。
【請求項36】
1種類又は複数の官能基を含む前記誘導体化カーボンナノチューブを含む前記カーボンナノチューブ微粒子は、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、金属、セラミック、及びそれらの組合せからなる群から選択されるマトリクス材料と混合される請求項33に記載の方法。
【請求項37】
カーボンナノチューブ微粒子中に三次元ネットワークで配置されている複数の小径カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ微粒子であって、前記カーボンナノチューブ微粒子は、約1000ミクロン未満の断面寸法を有し、前記小径カーボンナノチューブは、約0.5nm〜約3nmの範囲の直径を有するカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項38】
前記小径カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、2層カーボンナノチューブ、3層カーボンナノチューブ、4層カーボンナノチューブ及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項37に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項39】
前記カーボンナノチューブ微粒子は、約0.01g/cm〜約0.5g/cmの範囲のかさ密度を有する請求項37に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項40】
前記カーボンナノチューブ微粒子は、約0.1ミクロン〜約1000ミクロンの範囲の断面寸法を有する請求項37に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項41】
前記カーボンナノチューブ微粒子は、約1ミクロン〜約100ミクロンの範囲の断面寸法を有する請求項37に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項42】
前記小径カーボンナノチューブは、2個以上のカーボンナノチューブ微粒子間にまたがっている請求項37に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項43】
前記カーボンナノチューブ微粒子は、約100m/g〜約1000m/gの範囲の表面積を有する請求項37に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項44】
前記カーボンナノチューブ微粒子は、小径カーボンナノチューブのロープを含む請求項37に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項45】
前記ロープは、約10nm〜約50nmの範囲の断面寸法を有する請求項44に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項46】
前記ロープは、10nm未満の断面寸法を有する請求項44に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項47】
前記カーボンナノチューブ微粒子をアニールして、アニールされたカーボンナノチューブ微粒子を生成する請求項37に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項48】
前記アニールされたカーボンナノチューブ微粒子は、約400℃を超える温度で空気中において安定である請求項47に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項49】
前記アニールされたカーボンナノチューブ微粒子は、約450℃を超える温度で空気中において安定である請求項47に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項50】
前記アニールされたカーボンナノチューブ微粒子は、約500℃を超える温度で空気中において安定である請求項47に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項51】
前記アニールされたカーボンナノチューブ微粒子は、約550℃を超える温度で空気中において安定である請求項47に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項52】
複数個のカーボンナノチューブ微粒子は、マトリクス材料中に存在し、前記複数個のカーボンナノチューブ微粒子は、約0.001重量%〜約50重量%の範囲の濃度で存在する請求項47に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項53】
前記マトリクス材料は、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、金属、セラミック、及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項52に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項54】
前記複数個のカーボンナノチューブ微粒子は、ポリマーを含むマトリクス材料中に存在し、前記複数個のカーボンナノチューブ微粒子は、約0.001重量%〜約50重量%の範囲の濃度で存在する請求項37に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項55】
前記カーボンナノチューブは、誘導体化カーボンナノチューブである請求項37に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項56】
前記カーボンナノチューブは、フッ素化カーボンナノチューブである請求項37に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項57】
前記誘導体化カーボンナノチューブは、1種類又は複数の官能基を有する請求項55に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項58】
前記誘導体化カーボンナノチューブを含む前記カーボンナノチューブ微粒子は、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、金属、セラミック、及びそれらの組合せからなる群から選択されるマトリクス材料を含む複合材料中にある請求項55に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項59】
フッ素化カーボンナノチューブを含む前記カーボンナノチューブ微粒子は、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、金属、セラミック、及びそれらの組合せからなる群から選択されるマトリクス材料を含む複合材料中にある請求項56に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項60】
1種類又は複数の官能基を含む前記誘導体化カーボンナノチューブを含む前記カーボンナノチューブ微粒子は、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、金属、セラミック、及びそれらの組合せからなる群から選択されるマトリクス材料を含む複合材料中にある請求項57に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項61】
前記微粒子は、電界放出装置中に存在する請求項37に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項62】
前記微粒子は、電界放出装置の陰極中に存在する請求項37に記載のカーボンナノチューブ微粒子。
【請求項63】
カーボンナノチューブ微粒子を製造するための方法であって、
(a)微粒子担持体上に触媒性金属を含む触媒を提供し、前記微粒子担持体は、約1000ミクロン未満の断面寸法を有すること、及び
(b)前記触媒上で炭素生成物を製造するのに十分な温度において、及び十分な接触時間、炭素含有供給原料を含むガス流と前記触媒を接触させ、前記炭素生成物は、カーボンナノチューブ微粒子を含み、前記カーボンナノチューブ微粒子は、小径カーボンナノチューブを含み、前記小径カーボンナノチューブは、約0.5nm〜約3nmの範囲の外径を有すること、を含む方法。
【請求項64】
前記カーボンナノチューブ微粒子を含む前記炭素生成物から前記微粒子担持体を除去し、前記カーボンナノチューブ微粒子は、前記微粒子担持体に近い形状及び断面寸法の巨視的形態を保持することをさらに含む請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記小径カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、2層カーボンナノチューブ、3層カーボンナノチューブ、4層カーボンナノチューブ及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記微粒子担持体は、ゼオライト、シリカ、アルミナ、ジルコニア、マグネシア及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む請求項63に記載の方法。
【請求項67】
前記微粒子担持体は、マグネシアを含む請求項63に記載の方法。
【請求項68】
前記触媒性金属は、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、ランタニド系列元素、アクチニド系列元素、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の元素を含む請求項63に記載の方法。
【請求項69】
前記触媒性金属は、鉄を含む請求項63に記載の方法。
【請求項70】
前記触媒性金属は、鉄及びモリブデンを含む請求項63に記載の方法。
【請求項71】
前記微粒子担持体は、約0.1ミクロン〜約1000ミクロンの範囲の断面寸法を有する請求項63に記載の方法。
【請求項72】
前記微粒子担持体は、約1ミクロン〜約100ミクロンの範囲の断面寸法を有する請求項63に記載の方法。
【請求項73】
前記小径カーボンナノチューブは、前記炭素生成物の総重量の約50重量%を超える量で前記小径カーボンナノチューブ微粒子中に存在する請求項63に記載の方法。
【請求項74】
前記小径カーボンナノチューブは、前記炭素生成物の総重量の約80重量%を超える量で前記小径カーボンナノチューブ微粒子中に存在する請求項63に記載の方法。
【請求項75】
前記小径カーボンナノチューブは、前記炭素生成物の総重量の約90重量%を超える量で前記小径カーボンナノチューブ微粒子中に存在する請求項63に記載の方法。
【請求項76】
前記小径カーボンナノチューブは、2個以上のカーボンナノチューブ微粒子間にまたがっている請求項63に記載の方法。
【請求項77】
前記カーボンナノチューブ微粒子中の前記小径カーボンナノチューブは、小径カーボンナノチューブのロープを含む請求項63に記載の方法。
【請求項78】
前記ロープは、約10nm〜約50nmの範囲の断面寸法を有する請求項78に記載の方法。
【請求項79】
前記ロープは、10nm未満の断面寸法を有する請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記カーボンナノチューブ微粒子をアニールして、アニールされたカーボンナノチューブ微粒子を生成することをさらに含む請求項64に記載の方法。
【請求項81】
前記アニーリングは、約1〜約24時間の範囲で、約800℃〜1500℃の温度において窒素又は不活性ガス環境中で前記カーボンナノチューブ微粒子を加熱することによって行われる請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記アニールされたカーボンナノチューブ微粒子は、約400℃を超える温度で空気中において安定である請求項80に記載の方法。
【請求項83】
前記アニールされたカーボンナノチューブ微粒子は、約450℃を超える温度で空気中において安定である請求項80に記載の方法。
【請求項84】
前記アニールされたカーボンナノチューブ微粒子は、約500℃を超える温度で空気中において安定である請求項80に記載の方法。
【請求項85】
前記アニールされたカーボンナノチューブ微粒子は、約550℃を超える温度で空気中において安定である請求項80に記載の方法。
【請求項86】
前記カーボンナノチューブ微粒子は、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、金属、セラミック、及びそれらの組合せからなる群から選択されるマトリクス材料と混合される請求項80に記載の方法。
【請求項87】
前記カーボンナノチューブ微粒子は、ポリマーを含むマトリクス材料と混合される請求項64に記載の方法。
【請求項88】
前記カーボンナノチューブを誘導体化して誘導体化カーボンナノチューブを生成することをさらに含む請求項64に記載の方法。
【請求項89】
誘導体化カーボンナノチューブは、フッ素化カーボンナノチューブである請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記誘導体化カーボンナノチューブは、1種類又は複数の官能基を含む請求項88に記載の方法。
【請求項91】
前記誘導体化カーボンナノチューブを含む前記カーボンナノチューブ微粒子は、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、金属、セラミック、及びそれらの組合せからなる群から選択されるマトリクス材料と混合される請求項88に記載の方法。
【請求項92】
前記フッ素化カーボンナノチューブを含む前記カーボンナノチューブ微粒子は、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、金属、セラミック、及びそれらの組合せからなる群から選択されるマトリクス材料と混合される請求項89に記載の方法。
【請求項93】
1種類又は複数の官能基を含む前記誘導体化カーボンナノチューブを含む前記カーボンナノチューブ微粒子は、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、金属、セラミック、及びそれらの組合せからなる群から選択されるマトリクス材料と混合される請求項90に記載の方法。
【請求項94】
(a)微粒子担持体上に触媒性金属を含む触媒を提供し、前記微粒子担持体は、約1000ミクロン未満の断面寸法を有すること、
(b)前記触媒上で炭素生成物を製造するのに十分な温度において、及び十分な接触時間、炭素含有供給原料を含むガス流と前記触媒を接触させ、前記炭素生成物は、小径カーボンナノチューブを含み、前記小径カーボンナノチューブは、約0.5nm〜約3nmの範囲の外径を有すること、及び
(c)前記炭素生成物から前記微粒子担持体を除去してカーボンナノチューブ微粒子を生成し、前記カーボンナノチューブ微粒子は、前記微粒子担持体の除去前に近い形状及び断面寸法の巨視的形態を保持すること、を含む方法の生成物。
【請求項95】
前記カーボンナノチューブ微粒子をアニールすることをさらに含む請求項94に記載の生成物。
【請求項96】
前記小径カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、2層カーボンナノチューブ、3層カーボンナノチューブ、4層カーボンナノチューブ及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項94に記載の生成物。
【請求項97】
表面上のカーボンナノチューブ微粒子を含み、前記カーボンナノチューブ微粒子は、絡み合った小径カーボンナノチューブを含み、前記小径カーボンナノチューブは、約0.5nm〜約3nmの範囲の外径を有し、前記カーボンナノチューブ微粒子は、約0.1ミクロン〜約100ミクロンの範囲の断面寸法を有する電子エミッタ。
【請求項98】
前記微粒子は、約0.1ミクロン〜約3ミクロンの範囲の断面寸法を有する請求項97に記載の電子エミッタ。
【請求項99】
前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、2層カーボンナノチューブ、3層カーボンナノチューブ、4層カーボンナノチューブ又はそれらの組合せからなる群から選択される請求項97に記載の電子エミッタ。
【請求項100】
前記カーボンナノチューブ微粒子は、カーボンナノチューブのロープを含む請求項97に記載の電子エミッタ。
【請求項101】
前記ロープは、約10nm〜約50nmの範囲の断面寸法を有する請求項100に記載の電子エミッタ。
【請求項102】
前記ロープは、10nm未満の断面寸法を有する請求項100に記載の電子エミッタ。
【請求項103】
前記カーボンナノチューブ微粒子は、前記カーボンナノチューブ微粒子の表面積1μmあたり約10個を超える小径カーボンナノチューブを有する小径カーボンナノチューブを含む請求項97に記載の電子エミッタ。
【請求項104】
表面上の前記カーボンナノチューブ微粒子は、エッチングによって活性化されている請求項97に記載の電子エミッタ。
【請求項105】
前記電子エミッタは、電界放出装置の陰極内の構成部品である請求項97に記載の電子エミッタ。
【請求項106】
前記電界放出装置は、電子管、増幅器、発振器、混合器、マイクロ波コンポーネント、放電始動器、レーザー管、スパークギャップ、制御放電管、指向性エネルギー装置、表示管、フラットパネルディスプレイ及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項105に記載の電子エミッタ。
【請求項107】
カーボンナノチューブ電子エミッタを製造するための方法であって、
(a)カーボンナノチューブ微粒子を提供し、前記カーボンナノチューブ微粒子は、絡み合った小径カーボンナノチューブを含み、前記小径ナノチューブは、約0.5nm〜約3nmの範囲の外径を有し、前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、2層カーボンナノチューブ、3層カーボンナノチューブ、4層カーボンナノチューブ及びそれらの組合せからなる群から選択され、前記カーボンナノチューブ微粒子は、約0.1ミクロン〜約100ミクロンの範囲の断面寸法を有すること、及び
(b)表面上に前記カーボンナノチューブ微粒子を堆積させること、を含む方法。
【請求項108】
前記カーボンナノチューブ微粒子は、約0.1〜約3ミクロンの範囲の断面寸法を有する請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記カーボンナノチューブ微粒子の前記カーボンナノチューブを活性化することをさらに含む請求項107に記載の方法。
【請求項110】
前記活性化は、エッチング手段によって行われる請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記エッチング手段は、化学的エッチング、電気化学的エッチング、物理的エッチング及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記エッチング手段は、化学的エッチングを含む請求項110に記載の方法。
【請求項113】
前記化学的エッチングは、酸化的エッチング、強酸によるエッチング、強塩基によるエッチング、及びそれらの組合せからなる群から選択される方法によって行われる請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記エッチング手段は、スパッタリング、反応性イオンエッチング、プラズマエッチング及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項110に記載の方法。
【請求項115】
前記カーボンナノチューブ微粒子は、アニールされたカーボンナノチューブ微粒子である請求項98に記載の方法。
【請求項116】
前記アニールされたカーボンナノチューブ微粒子は、約1〜約24時間の範囲で、約800℃〜1500℃の温度において窒素又は不活性ガス環境中で、カーボンナノチューブ微粒子を加熱することによって調製される請求項106に記載の方法。
【請求項117】
複数個のカーボンナノチューブ微粒子は、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、金属、セラミック、及びそれらの組合せからなる群から選択されるマトリクス材料と混合される請求項107に記載の方法。
【請求項118】
複数個のカーボンナノチューブ微粒子は、ポリマーを含むマトリクス材料と混合される請求項107に記載の方法。
【請求項119】
表面上の前記カーボンナノチューブ微粒子の前記堆積は、粘稠な媒体に微粒子を分散させてカーボンナノチューブペーストを生成すること並びに、スクリーン印刷、電気泳動堆積、埋込み、インクジェット印刷、吹き付け、オフセット印刷、及びそれらの組合せからなる群から選択される方法によって表面上にペーストを堆積させることによって行われる請求項107に記載の方法。

【図1A】実施例1に記載の成長過程を受けた後のカーボンナノチューブを内蔵する触媒を示す図である。
【図1B】実施例1に記載の酸処理による精製後の成長過程のカーボンナノチューブ生成物を示す図である。 図1Aと1Bの比較は、精製ナノチューブ材料中で担持体の形態が保持されていることを示し、本発明の微粒子の性質を示している。
【図2A】5000×の倍率における本発明の一実施形態のSEMの図である。
【図2B】5000×の倍率における本発明の一実施形態のSEMの図である。
【図2A】実施例1に記載の手順に従ってナノチューブを成長させた後の触媒担持体上のカーボンナノチューブを示す図である。
【図2B】実施例1に記載の酸処理による精製後の本発明のカーボンナノチューブ生成物を示す図である。 図2Aと2Bの比較は、精製ナノチューブ材料中で担持体の形態が保持されていることを示している。
【図3】実施例1に示す手順による精製後の25,000×の倍率におけるカーボンナノチューブ材料のSEMの図である。図3は、微粒子表面上のカーボンナノチューブロープの密度を示している。この画像は、カーボンナノチューブの個体群密度が平方ミクロンあたり10を超えていることを示している。
【図4A】実施例1の手順に従って調製された本発明の一実施形態による酸精製カーボンナノチューブ微粒子の50,000×の倍率における顕微鏡写真の図である。
【図4B】実施例1の手順に従って調製された本発明の一実施形態による酸精製カーボンナノチューブ微粒子の50,000×の倍率における顕微鏡写真の図である。
【図4A】透過型電子顕微鏡写真(TEM)の図である。
【図4B】SEMの図である。 両顕微鏡写真は、ナノチューブ微粒子材料及びナノチューブ微粒子間にまたがるカーボンナノチューブのロープを示している。
【図5A】実施例2に従って調製された酸精製カーボンナノチューブ材料の高分解能TEM(〜700,000×の倍率)を示す図である。材料は、直径が3nm未満のカーボンナノチューブを含むことを示している。
【図5B】実施例4に従って製造されたカーボンナノチューブ材料の高分解能TEMを示す図である。1及び複数の層を有するナノチューブを含む小径ナノチューブを示し、小径ナノチューブは、約3nm未満の直径を有する。
【図6A】実施例4の手順によって調製された成長直後の小径カーボンナノチューブ材料のRBM(ラジアルブリージングモード)シフトのラマンスペクトルを示す図である。成長温度は900℃とし、励起波長は514nmとした。
【図6B】実施例4の手順によって調製された成長直後の小径カーボンナノチューブ材料の接線モードシフトのラマンスペクトルを示す図である。成長温度は900℃とし、励起波長は514nmとした。
【図7A】実施例5の手順によって調製された成長直後の小径カーボンナノチューブ材料のRBMシフトのラマンスペクトルを示す図である。成長温度は850℃とし、励起波長は782nmとした。
【図7B】実施例5の手順によって調製された成長直後の小径カーボンナノチューブ材料の接線モードシフトのラマンスペクトルを示す図である。成長温度は850℃とし、励起波長は782nmとした。
【図8】アルゴン中1450℃で1時間の熱処理前後のCVD成長ナノチューブのラマンスペクトルを示す図である。350cm−1以下のカーボンナノチューブ「ラジアルブリージングモード」特性は、熱処理によって増強された。レーザー励起波長は、782nmとした。
【図9】アルゴン中1450℃で1時間の熱処理前後の本発明のカーボンナノチューブ材料の熱重量分析(TGA)曲線を示す図である。TGA条件には、温度ランプレート10℃/minにおけるエアフロー10sscmが含まれていた。
【図10】様々なカーボンナノチューブ材料について電界に対する電界放出電流のプロットを示す図である。電子エミッタ特性は、本発明の一実施形態のカーボンナノチューブ微粒子についてはサンプル曲線101により;本発明の一実施形態のアニールされたカーボンナノチューブ微粒子についてはサンプル曲線102により;レーザーオーブン法によって製造された製造直後の(as−produced)単層カーボンナノチューブ材料についてはサンプル曲線103により;精製HIPCO(登録商標)単層カーボンナノチューブ材料についてはサンプル曲線104により、並びに精製及びアニールされたHIPCO(登録商標)単層カーボンナノチューブ材料についてはサンプル曲線105により示す。曲線101及び102により、本発明は、最低しきい電界における電子放出を証明している。
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−505483(P2006−505483A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−555558(P2004−555558)
【出願日】平成15年11月21日(2003.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/037307
【国際公開番号】WO2004/048263
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(503332765)カーボン ナノテクノロジーズ インコーポレーテッド (6)
【Fターム(参考)】