説明

カール防止策が施された感熱ラベル

【課題】本発明は、ガラス瓶やPETボトル等に貼着する感熱ラベルであり、特に、ラベル裏面の貼着用の接着樹脂層の塗工を部分的に行いカールを防止する感熱ラベルを提供するものである。
【解決手段】本発明は、ラベルの裏面に熱可塑性の樹脂層(接着樹脂層)を塗工した感熱ラベルにおいて、この熱可塑性樹脂層(15)をラベル裏面側に全面に樹脂コートするのではなく、全面にパターン形状として線ラミパターン塗工、あるいはドットパターン塗工、またはスパイラルパターン塗工を施すことにより、ペットボトルやガラス瓶等に接着するためのラベル加熱においても、カールすることがなく、従ってペツトボトルやガラス瓶などにラベラーで貼着する場合も、曲がることなく正確な位置に貼ることが可能とした感熱ラベルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス瓶やPETボトル等に貼着するラベルに関し、特に、ラベル裏面の貼着用樹脂層の塗工を部分的に行うことによりカール防止策が施された感熱ラベルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な感熱ラベルは、ラベル裏面に「熱可塑性樹脂+可塑剤」をディスバージョン化したものを塗工し、低温で乾燥させると共に、固形分以外の溶剤等を揮散させてラベルの接着面を構成したものである。このラベルはラベラーで加熱し、接着面にタックを発現させるタイプである。
【0003】
他のタイプの感熱ラベルとしては、全面に熱可塑性樹脂を「エキストルーダー塗工」、または「フィルム化して貼り合わせる」、またはホットメルト等をコーティングした後、ラベラーで加熱し、この接着面を可塑状態にしてラベリングするもの等がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記に述べた各々の感熱ラベルにおいてはそれぞれ問題点が見られる。例えば、熱によるカールの問題は、塗工膜厚が薄いためにカールの発生はしないが、低温で熱可塑性樹脂と可塑剤が溶けるので、夏場の輸送などで高温下に置かれるとタック性が発現して、ブロッキング等の問題が発生する。
【0005】
また、図5に示すように、ラベル(20)は上層から紙やフィルム等の基材(20)、紙剥け防止層(22)、ラベル裏面に接着樹脂層(25)の一般的な構成であるが、裏面全面に樹脂をコーティングするため、ラベラーでの加熱により基材層と接着樹脂層(25)との収縮の違いからカールが発生するため、容器に正しく貼ることができなかったり、シワや位置ズレが起こり易くなる。
【0006】
そこで本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、ガラス瓶やPETボトル等に貼着する感熱ラベルであり、特に、ラベル裏面の貼着用の接着樹脂層の塗工を部分的に行いカールを防止する感熱ラベルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における請求項1は、
上層に紙や樹脂フィルムなどからなる基材(11)と、中間層に樹脂フィルム等の紙剥け防止層(12)と、該紙剥け防止層の裏面に熱可塑性樹脂層(15)を設けた感熱ラベル(10)であって、前記熱可塑性樹脂層を、部分的、かつ任意のパターン形状に塗工したことを特徴とするカール防止策が施された感熱ラベルである。
【0008】
請求項2は、請求項1に記載のカール防止策が施された感熱ラベルにおいて、
前記熱可塑性樹脂層(15)が、流れ方向にパターンとして線ラミ塗工したことを特徴とするカール防止策が施された感熱ラベルである。
【0009】
請求項3は、請求項1に記載のカール防止策が施された感熱ラベルにおいて、
前記熱可塑性樹脂層(15)が、流れ方向にパターンとしてドット塗工したことを特徴とするカール防止策が施された感熱ラベルである。
【0010】
請求項4は、請求項1に記載のカール防止策が施された感熱ラベルにおいて、
前記熱可塑性樹脂層(15)が、流れ方向にパターンとしてスパイラル塗工したことを特徴とするカール防止策が施された感熱ラベルである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ラベルの裏面に熱可塑性の樹脂層(接着樹脂層)を塗工した感熱ラベルにおいて、この熱可塑性樹脂層をラベル裏面側に全面に樹脂コートするのではなく、全面にパターン形状として線ラミ塗工、あるいはドット塗工、またはスパイラル塗工を施すことにより、ペットボトルやガラス瓶等に接着するためのラベル加熱においても、しわやカールすることがなく、従ってペツトボトルやガラス瓶などにラベラーで貼着する場合も、曲がることなく正確な位置に貼ることが可能となる等の優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の最良の形態を図に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例における感熱ラベルの積層構成を示す説明図であり、図2は、感熱ラベルにおける熱可塑性樹脂層を線ラミ塗工をした説明図である。また、図3は、感熱ラベルにおける熱可塑性樹脂層をドット塗工をした説明図であり、また、図4は、感熱ラベルにおける熱可塑性樹脂層をスパイラル塗工をした説明図である。
【0013】
図1に示すように、本発明の感熱ラベルは、上層に基材(11)と中間層に紙剥け防止層(12)と、この紙剥け防止層の裏面に熱可塑性樹脂層(接着樹脂層)(15)を設けたもので、この熱可塑性樹脂層(接着樹脂層)(15)を、全面塗工するのではなく、線ラミ塗工やドット塗工、或いはスパイラル塗工等のパターン形状で部分的に渡航することによりラベル加熱の熱にも熱可塑性樹脂層(接着樹脂層)の収縮が起こらずにラベルのカールを防止することができる。
【0014】
図に基づき詳細に説明すると、基材(11)は、紙またはフィルムからなり、これらの表面に印刷等により模様層を形成することができれば良く、また、ラベリングの際に必要な剛性、強度が得られるものであれば特に素材は限定するものではない。紙としては、片アート紙、両面アート紙、模造紙、晒クラフト、アルミ蒸着紙等を挙げることができ、樹脂フィルムとしては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド等で特に限定するものではないが、少なくとも表面に印刷加工が可能なもの、或いは印刷した物を貼り合わせることができるものが好ましい。その他としては、不織布なども使用可能なものとして挙げることができる。
【0015】
次に、紙剥け防止層(12)は、被着体との強度が強かったり、基材の破断強度が弱い場合に発生する剥離時のラベルの破れ、紙剥けを防止するためには必要である。また、特に限定はしないが、少なくとも、「紙剥け防止層引っ張り強度>基材層間強度」でなければならない。素材としては、延伸ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性樹脂等が望ましい。さらに、カール防止に対しては、熱収縮の小さいフィルムを用いることが望ましい。
【0016】
次に、熱可塑性樹脂層(接着樹脂層)(15)は、少なくとも被着体(ペットボトル、ガラス瓶等の容器)に接着または仮着可能である熱可塑性樹脂が良い。すなわち、容器に対して接着、仮着する樹脂で、ラベラーの熱で軟化すれば、特に限定するものではないが、例を挙げると、エチレンビニル共重合体、エチレンメタアクリル酸共重合体、アイオノマー、エチレンアクリル共重合体、スチレンブタジエン、ラバー等のゴム系樹脂等が挙げられる。
【実施例1】
【0017】
図2に基づき本発明の実施例1を説明する。片面アート紙79.1g/m2 の表面にグラビア印刷により適宜な絵柄層を設け、さらにその裏面にドライラミネートによりポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡製、E5200)厚さ12μmを貼り合わせる。さらにそのPETフィルムの裏面側にエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂(酢酸ビニル含有量14%)(15)により線ラミパターンを施した。この線ラミの厚みは20μmで、幅2mm、間隔は2mmである。すなわち、用紙幅に対する塗工幅比率は50%となる加工を施した。
【実施例2】
【0018】
図3に基づき本発明の実施例2を説明する。片面アート紙79.1g/m2 の表面にグラビア印刷により適宜な絵柄層を設け、さらにその裏面にドライラミネートによりポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡製、E5200)厚さ12μmを貼り合わせる。さらにそのPETフィルムの裏面側にエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂(酢酸ビニル含有量14%)(15)によりドットパターン塗工を行った。ドットの大きさはφ2mm、厚み20μm、間隔は千鳥で用紙幅に対する塗工面積比率は50%となる加工を施した。
【実施例3】
【0019】
図4に基づき本発明の実施例3を説明する。片面アート紙79.1g/m2 の表面にグラビア印刷により適宜な絵柄層を設け、さらにその裏面にドライラミネートによりポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡製、E5200)厚さ12μmを貼り合わせる。さらにそのPETフィルムの裏面側にエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂(酢酸ビニル含有量14%)(15)によりスパイラルパターン塗工を行った。スパイラルの太さは幅2mm、厚みは20μm、用紙幅に対する塗工幅比率は50%となる加工を施した。
【実施例4】
【0020】
比較例1を説明する。
【0021】
片面アート紙79.1g/m2 の表面にグラビア印刷により適宜な絵柄層を設け、さらにその裏面にドライラミネートによりポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡製、E5200)厚さ12μmを貼り合わせる。さらにそのPETフィルムの裏面側にエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂(酢酸ビニル含有量14%)を20μmの厚みで全面押し出し加工を行った。
【実施例5】
【0022】
比較例2を説明する。
【0023】
片面アート紙79.1g/m2 の表面にグラビア印刷により適宜な絵柄層を設け、さらにその裏面にドライラミネートによりポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡製、E5200)厚さ12μmを貼り合わせる。さらにPETフィルム面にSBR樹脂とフタル酸エステルを可塑剤としたディレードタック剤を塗工量10g/m2 で塗工した。尚、塗工は実施例1と同様のパターンで塗工したものである。
【0024】
<テスト>
上記ラベラー(幅60mm×ピッチ50mm)で120℃に裏面を加熱し、PETボトルに貼り付けた。この結果を表1に示す。
【0025】
表1のテスト結果に示すように、比較例1、2に示した従来品においてはEVAの全面塗工の馬蹄には凸カールが発生しラベラーのかけた際には貼りズレやシワの発生が見られ
る。またディレードタックの場合は塗工面積が50%であっても、ブロッキングが発生するので、これらの総合評価は不良である。
【0026】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施例における感熱ラベルの積層構成を示す説明図である。
【図2】上記感熱ラベルにおける熱可塑性樹脂層を線ラミパターンにより塗工をした説明図である。
【図3】上記感熱ラベルにおける熱可塑性樹脂層をドットパターンにより塗工をした説明図である。
【図4】上記感熱ラベルにおける熱可塑性樹脂層をスパイラルパターンにより塗工をした説明図である。
【図5】従来におけるディレードタック剤による感熱ラベルの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0028】
10,20……感熱ラベル
11,21……基材
12,22……紙剥け防止層
15,25……熱可塑性樹脂層(接着樹脂層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上層に紙や樹脂フィルムなどからなる基材(11)と、中間層に樹脂フィルム等の紙剥け防止層(12)と、該紙剥け防止層の裏面に熱可塑性樹脂層(15)を設けた感熱ラベル(10)であって、前記熱可塑性樹脂層を、部分的、かつ任意の形状に塗工したことを特徴とするカール防止策が施された感熱ラベル。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂層(15)が、流れ方向に線ラミ塗工したことを特徴とする請求項1に記載のカール防止策が施された感熱ラベル。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂層(15)が、流れ方向にドット塗工したことを特徴とする請求項1に記載のカール防止策が施された感熱ラベル。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂層(15)が、流れ方向にスパイラル塗工したことを特徴とする請求項1に記載のカール防止策が施された感熱ラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−53455(P2006−53455A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−236385(P2004−236385)
【出願日】平成16年8月16日(2004.8.16)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】