説明

ガイドロッド付き削孔装置

【課題】ガイドセル1の前端部のセントラライザ3にドリルロッド4とガイドロッド5とを平行に挿通支持し、削孔済みの先行孔H1にガイドロッドを挿入した状態で先行孔に連続する連続孔をドリルロッドで削孔する削孔装置において、ガイドロッド用の進退駆動源を設けずに、連続孔を先行孔と同じ深さまで削孔できるにする。
【解決手段】セントラライザ3の前方に突出するドリルロッド4の部分にロッドホルダ6を相対回転自在に装着する。ガイドロッド5をその前端の大径部51から後方にのびる小径部52においてロッドホルダ6に前後方向に摺動自在に挿通し、ロッドホルダ6に対するガイドロッド5の前方への摺動を、ガイドロッド5の前端がドリルロッド4の前端より前方に位置するストローク端位置で規制するストッパ部53をガイドロッド5に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドリルロッドと、ドリルロッドに平行なガイドロッドとを備え、削孔済みの先行孔にガイドロッドを挿入した状態で先行孔に隣接する位置に先行孔に連続する連続孔をドリルロッドで削孔するガイドロッド付き削孔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の削孔装置として、ジャンボのブーム等に取付けられるガイドセル上に移動自在に支持されるドリフタと、ドリフタにより回転駆動される、ドリフタの移動方向たる前後方向に長手のドリルロッドと、ガイドセルの前端部に固定した、ドリルロッドを挿通支持するセントラライザと、セントラライザにドリルロッドと平行に挿通支持される前後方向に長手のガイドロッドとを備え、ドリフタに搭載した油圧シリンダによりガイドロッドをドリルロッドに対し前後方向に進退自在としたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、このものでは、ガイドロッドの前端をドリルロッドの前端よりも前方に位置させた状態で先行孔にガイドロッドを挿入し、次に、ドリフタによりドリルロッドを回転させつつ前進させて、先行孔に隣接する位置に先行孔に連続する連続孔を削孔する。この際、ガイドロッドも先行孔内を前進し、ガイドロッドの案内作用により先行孔と連続孔との平行度が保たれる。ここで、ガイドロッドとドリルロッドとの前後方向の位置関係が上記の状態に拘束されると、ガイドロッドの前端が先行孔の孔底に到達したところでそれ以上削孔できなくなり、連続孔の深さが先行孔より浅くなってしまう。そこで、削孔途中で油圧シリンダによりガイドロッドをドリルロッドに対し後退させ、この状態でドリルロッドを前進させて先行孔と同じ深さまで連続孔を削孔する。
【0004】
このように上記従来例によれば、連続孔を先行孔との平行度を保った状態で先行孔と同じ深さまで削孔できるが、ガイドロッドをドリルロッドに対し前後方向に進退させる油圧シリンダが必要になって、コストが高くなる不具合がある。
【特許文献1】特許第2761954号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、連続孔を先行孔との平行度を保った状態で先行孔と同じ深さまで削孔できる構造簡単で低コストのガイドロッド付き削孔装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ガイドセル上に移動自在に支持されるドリフタと、ドリフタにより回転駆動される、ドリフタの移動方向たる前後方向に長手のドリルロッドと、ガイドセルの前端部に固定した、ドリルロッドを挿通支持するセントラライザと、セントラライザにドリルロッドと平行に挿通支持される前後方向に長手のガイドロッドとを備え、削孔済みの先行孔にガイドロッドを挿入した状態で先行孔に隣接する位置に先行孔に連続する連続孔をドリルロッドで削孔するガイドロッド付き削孔装置において、上記課題を解決するために、セントラライザから前方に突出するドリルロッドの部分に、ドリルロッドとガイドロッドとの間に跨る、先行孔及び連続孔の断面積に収まる大きさのロッドホルダがドリルロッドに対し相対回転自在に装着され、ガイドロッドに、先行孔に嵌合する前端の大径部から後方にのびる小径部が形成され、ロッドホルダに、ガイドロッドが小径部において前後方向に摺動自在に挿通されると共に、ガイドロッドに、ロッドホルダに対するガイドロッドの前方への摺動を、ガイドロッドの前端がドリルロッドの前端より所定距離だけ前方に位置し、且つ、ロッドホルダの前方に突出するガイドロッドの小径部の長さが上記所定距離以上になる前進ストローク端位置で規制するストッパ部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、ガイドロッドをロッドホルダに対しストッパ部で規制される前進ストローク端位置にセットすることで、ガイドロッドの前端がドリルロッドの前端よりも前方に位置する。そのため、ドリルロッドによる連続孔の削孔前に予めガイドロッドの前端の大径部を先行孔に嵌合させて、先行孔に対しドリルロッドを位置決めすることができる。そして、ドリフタによりドリルロッドを回転させつつ前進させて連続孔を削孔する際には、ロッドホルダがドリルロッドに追従して先行孔及び連続孔内を前進する。この場合、ガイドロッドがその大径部に作用する先行孔との間の摩擦でロッドホルダに対し後退しても、前進ストローク端位置においてロッドホルダの前方に突出するガイドロッドの小径部の長さ分だけガイドロッドが後退すると、大径部の尾端がロッドホルダに当接してそれ以上ロッドホルダに対し後退しなくなる。以後、ガイドロッドはロッドホルダの前進に追従して先行孔内を前進し、ガイドロッドによる案内作用で先行孔と連続孔との平行度が保たれる。
【0008】
また、ストッパ部で規制される前進ストローク端位置と大径部で規制される後退ストローク端位置との間のロッドホルダに対するガイドロッドのストロークは、前進ストローク端位置におけるガイドロッドの前端とドリルロッドの前端との間の距離以上であるため、後退ストローク端位置ではガイドロッドの前端がドリルロッドの前端と前後方向同一位置又はこれより後方に位置する。従って、連続孔の削孔途中でガイドロッドの前端が先行孔の孔底に当接してそれ以上連続孔を削孔できなくなる事態に陥ることはなく、先行孔と同じ深さの連続孔を削孔できる。
【0009】
このように本発明によれば、連続孔を先行孔との平行度を保った状態で先行孔と同じ深さまで削孔できる。そして、構造的にはロッドホルダとストッパ部とを設けるだけで足り、構造簡単で低コストの削孔装置が得られる。
【0010】
ところで、連続孔の削孔後は、ドリルロッドをセントラライザで規制される後退位置に後退させ、連続孔からドリルロッドを引き抜く。このドリルロッドの後退当初、ガイドロッドはその大径部に作用する先行孔との間の摩擦で動かないため、ドリルロッドに追従して後退するロッドホルダに対しガイドロッドが相対的に前進する。ガイドロッドがロッドホルダに対しストッパ部で規制される前進ストローク端位置まで前進するとそれ以上前進しなくなり、以後ロッドホルダに追従してガイドロッドが後退する。そのため、ドリルロッドをセントラライザで規制される後退位置に戻したときは、ガイドロッドが前進ストローク端位置に復帰し、ガイドロッドの前端がドリルロッドの前端より前方に位置して、次の連続孔の削孔を行うことができる状態になる。
【0011】
但し、ロッドホルダへの掘削粉等の噛み込みでロッドホルダに対するガイドロッドの摺動不良を生ずると、ガイドロッドが後退ストローク端位置に存するままロッドホルダと共に後退する。そして、ドリルロッドをセントラライザで規制される後退位置に戻したときに、ガイドロッドが前進ストローク端位置に復帰しなくなる。
【0012】
かかる不具合を解消するため、本発明において、ストッパ部は、ドリルロッドがセントラライザで規制される後退位置に存するときに、ロッドホルダとセントラライザとの間に挟み込まれるように構成されることが望ましい。これによれば、ガイドロッドが後退ストローク端位置に存するままロッドホルダに追従して後退した場合、ドリルロッドが後退位置に達する前にストッパ部がセントラライザに当接して、ガイドロッドがそれ以上後退しなくなる。そして、その後ドリルロッドが後退位置まで移動する間にロッドホルダがガイドロッドに対し後退し、即ち、ガイドロッドがロッドホルダに対し前進し、ガイドロッドが前進ストローク端位置に復帰する。
【0013】
尚、ガイドロッドをロッドホルダに対し前方に付勢する付勢手段を設けて、ガイドロッドを前進ストローク端位置に復帰させることも可能であるが、ストッパ部を上記の如く構成すれば、付勢手段が不要になり、コストダウンを図る上で有利である。
【0014】
ところで、連続孔を複数形成する場合は、前回削孔した連続孔を先行孔として、これにガイドロッドを挿入した状態で次の連続孔を削孔するが、最初の孔はガイドロッド無しの単孔用の削孔装置で削孔する必要がある。そして、上記した本発明のガイドロッド付き削孔装置を単孔用の削孔装置としても使用できるようにすれば、コスト的に非常に有利である。
【0015】
従って、本発明において、ドリルロッドは、ドリフタに連結されるロッド本体部と、ロッド本体部の前端に着脱自在に連結されるアダプタロッド部とで構成され、アダプタロッド部にロッドホルダが装着され、ロッド本体部の前端にアダプタロッド部に代えて削孔用ビットを取付け自在とすることが望ましい。これによれば、アダプタロッド部をロッド本体部から取外すことで、ロッドホルダに支持されるガイドロッドも取外すことができる。そして、ロッド本体部の前端に削孔用ビットを取付けることで、ガイドロッド付きの削孔装置を簡単に単孔用削孔装置に改変できる。
【0016】
ところで、削孔に際しては、ガイドセルの振れを防止するために、岩盤等の被削孔物にガイドセルの前端を当接させている。そして、ドリルロッドがセントラライザで規制される後退位置に存する状態において、ガイドセルの前端がドリルロッドの前端より前方に位置するようにしている。これにより、被削孔物にドリルロッドに先行してガイドロッドの前端を当接させることができる。
【0017】
ここで、ドリルロッドが後退位置に存するときのドリルロッドの前端の位置は、ロッド本体部の前端にアダプタロッド部を取付けた場合の方が削孔用ビットを取り付けた場合より前方になる。そのため、ガイドセルの前端は、アダプタロッド部を取付けた場合のドリルロッドの前端より前方に位置させる必要がある。然し、これでは、削孔用ビットを取付けた場合、ドリルロッドが後退位置に存するときのドリルロッドの前端からガイドセルの前端、即ち、被削孔物までの距離が長くなり、削孔位置の精度を確保することが困難になる。
【0018】
従って、ガイドロッド付きの削孔装置を上記の如く単孔用削孔装置に改変できるようにする場合には、ガイドセルを前方に伸縮自在とする機構を備えることが望ましい。これによれば、ロッド本体部の前端に削孔用ビットを取付けて単孔用削孔装置に改変するときに、ガイドセルの収縮でその前端の位置を後方に変位させて、ドリルロッドが後退位置に存するときのドリルロッドの前端からガイドセルの前端(被削孔物)までの距離を短くし、削孔位置の精度を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1及び図2は、岩盤等の被削孔物Wに、削孔済みの先行孔H1に隣接させて先行孔H1に連続する連続孔H2(図4参照)を削孔する本発明の実施形態の削孔装置を示している。この削孔装置は、図外のジャンボのブーム等に取付けられる前後方向に長手のガイドセル1を備えており、ガイドセル1上にドリフタ2が前後方向に移動自在に支持されている。ガイドセル1の前端部にはセントラライザ3が固定されており、セントラライザ3に前後方向に長手のドリルロッド4が挿通支持されている。ドリルロッド4は、その後端においてドリフタ2にジョイントスリーブ2aを介して連結される。そして、ドリフタ2によりドリルロッド4を回転させつつ前進させて、連続孔H2を削孔するようにしている。
【0020】
セントラライザ3には、更に、前後方向に長手のガイドロッド5がドリルロッド4と平行に挿通支持されている。セントラライザ3の前方に突出するドリルロッド4の部分にはロッドホルダ6が相対回転自在に装着されている。そして、ロッドホルダ6にガイドロッド5を前後方向に摺動自在に挿通している。ロッドホルダ6は、先行孔H1及び連続孔H2の断面積に収まる大きさに形成されている。
【0021】
ここで、ドリルロッド4は、ドリフタ2に連結されるロッド本体部41と、ロッド本体部41の前端に着脱自在に連結されるアダプタロッド部42とで構成されている。アダプタロッド部42は、ロッド本体部41の前端に螺着される後端のスリーブ部42aと、スリーブ部42aから一体に前方にのびるスリーブ部42aより小径の軸部42bと、軸部42bの前端に螺着した削孔用ビット42cとを備えている。そして、軸部42bにロッドホルダ6を装着し、削孔用ビット42cとスリーブ部42aとでロッドホルダ6を前後から挟んで、ドリルロッド4に対するロッドホルダ6の前後方向の摺動が極僅かに規制されるようにしている。
【0022】
また、ガイドロッド5は、先行孔H1に嵌合する前端の大径部51と、大径部51から後方にのびる小径部52とを備えている。そして、ガイドロッド5を小径部52においてロッドホルダ6に前後方向に摺動自在に挿通している。尚、図3に示すように、大径部51のドリルロッド4側の側面には、削孔用ビット42cに対する逃げとなる凹欠部51aが形成されている。そして、凹欠部51aが常にドリルロッド4側を向くように、ロッドホルダ6に対しガイドロッド5は回り止めされる。また、本実施形態では、大径部51を小径部52とは別体として、小径部52の前端に大径部51を螺着しているが、小径部52と大径部51とを一体に形成することも可能である。
【0023】
ガイドロッド5には、ロッドホルダ6に対するガイドロッド5の前方への摺動を、ガイドロッド5の前端(大径部51の前端)がドリルロッド4の前端(削孔用ビット42cの前端)より所定距離Lだけ前方に位置する前進ストローク端位置で規制するストッパ部53が設けられている。そして、前進ストローク端位置において、ロッドホルダ6の前方に突出するガイドロッド5の小径部52の長さが上記所定距離Lに等しくなるようにしている。そのため、ガイドロッド5がロッドホルダ6に対しその前端への大径部51の当接で規制される後退ストローク端位置に存するとき、ドリルロッド4の前端とガイドロッド5の前端とが前後方向同一位置に揃う。
【0024】
また、本実施形態では、前進ストローク端位置でロッドホルダ6の後端に当接するように小径部52に固定したカラーでストッパ部53を構成している。そして、ドリルロッド4がセントラライザ3へのスリーブ部42aの当接で規制される後退位置に存するときに、ストッパ部53がセントラライザ3とロッドホルダ6との間に挟まれるようにしている。
【0025】
ガイドセル1の前端には、図2に示す如く、被削孔物Wに当接するパッド7が設けられている。そして、ドリルロッド4がセントラライザ3で規制される後退位置に存するときに、ドリルロッド4の前端がパッド7の前端より若干後方に位置し、ガイドロッド5の前端(大径部51の前端)がパッド7の前端より前方に位置するようにしている。
【0026】
連続孔H2の削孔に際しては、先ず、図1に示すように、ガイドロッド5の大径部51を先行孔H1に嵌合させた状態でパッド7を被削孔物Wに当接させる。これにより、先行孔H1を基準にしてガイドセル1及びドリルロッド4が被削孔物Wに対し位置決めされる。次に、ドリフタ2によりドリルロッド4を回転させつつ前進させ、先行孔H1に隣接する位置に先行孔H1に連続する連続孔H2を削孔する。この際、当初は大径部51に作用する先行孔H1との間の摩擦でガイドロッド5は動かず、ドリルロッド2に追従して前進するロッドホルダ6に対しガイドロッド5が相対的に後退する。そして、ガイドロッド5の大径部51の後端がロッドホルダ6に当接する後退ストローク端位置に達すると、以後図4(a)に示す如く、ガイドロッド5がロッドホルダ6の前進に追従して先行孔H1内を前進し、ガイドロッド5による案内作用で先行孔H1と連続孔H2との平行度が保たれる。そして、ガイドロッド5が後退ストローク端位置に存するときはガイドロッド5の前端とドリルロッド6の前端とが前後方向同一位置に揃うため、図4(b)に示す如く、先行孔H1の孔底にガイドロッド5の前端が当接してそれ以上削孔不能になる位置までドリルロッド4を前進させることにより、先行孔H1と同一深さの連続孔H2を削孔することができる。
【0027】
このように本実施形態によれば、連続孔H2を先行孔H1との平行度を保った状態で先行孔と同じ深さまで削孔できる。そして、構造的にはロッドホルダ6とストッパ部53とを設けるだけで足り、構造簡単で装置コストを安くすることができる。
【0028】
連続孔H2の削孔後は、ドリルロッド4をセントラライザ3で規制される後退位置まで後退させて連続孔H2から引き抜く。ここで、ドリルロッド4の後退当初は大径部51に作用する先行孔H1との間の摩擦でガイドロッド5が動かず、ドリルロッド4に追従して後退するロッドホルダ6に対しガイドロッド5が相対的に前進する。そして、ガイドロッド5のストッパ部53がロッドホルダ6の後端に当接する前進ストローク端位置に達すると、以後、ガイドロッド5がロッドホルダ6に追従して後退し、図1に示す状態に復帰する。次に、ガイドセル1を若干後退させて、ガイドロッド5を先行孔H1から引き抜いた後、ガイドセル1を横方向にシフトして前進させ、今回削孔した連続孔H2を先行孔としてこれにガイドセル5の大径部51を嵌合させ、次の連続孔の削孔を行う。
【0029】
尚、ロッドホルダ6への掘削粉等の噛み込みでロッドホルダ6に対するガイドロッド5の摺動不良を生じ、ガイドロッド5が後退ストローク端位置に存するままロッドホルダ6と共に後退することもある。この場合、ドリルロッド4が後退位置に達する前にストッパ部53がセントラライザ3に当接して、ガイドロッド5がそれ以上後退しなくなる。そして、その後ドリルロッド4が後退位置まで移動する間にロッドホルダ6がガイドロッド5に対し後退し、即ち、ガイドロッド5がロッドホルダ6に対し前進し、ガイドロッド5が前進ストローク端位置に復帰する。そのため、ガイドロッド5をロッドホルダ6に対し前方に付勢して前進ストローク端位置に復帰させるための付勢手段を設ける必要がなく、コストダウンを図る上で有利である。
【0030】
ところで、連続孔を複数形成する場合、最初の孔はガイドロッド5無しの単孔用の削孔装置で削孔する必要がある。ここで、本実施形態では、上記の如くドリルロッド4のロッド本体部41の前端に着脱自在に連結されるアダプタロッド部42にロッドホルダ6が装着されているため、アダプタロッド部42を取外した状態で、ガイドロッド5をセントラライザ3の前方に引き抜くことができる。そして、ドリルロッド4のロッド本体部41の前端に、図5に示す如く、アダプタロッド部42に代えて削孔用ビット43を螺着することにより、ガイドロッド付きの削孔装置を単孔用削孔装置に簡単に改変できる。
【0031】
尚、ロッド本体部41の前端に削孔用ビット43を取付けて単孔用削孔装置に改変した場合、ドリルロッド4の前端(削孔用ビット43の前端)がアダプタロッド部42を取付けた場合のドリルロッド4の前端(削孔用ビット42cの前端)よりも後方に位置する。そして、ガイドセル1の前端のパッド7の位置が不変であると、単孔用削孔装置に改変した場合、ドリルロッド4が後退位置に存する状態において、ドリルロッド4の前端から被削孔物Wまでの距離が長くなる。そのため、後退位置からドリルロッド4の前端が被削孔物Wに達するまでドリルロッド4が前進する際のドリルロッド4の振れにより、削孔位置の精度を確保することが困難になる。
【0032】
そこで、本実施形態では、ガイドセル1を前方に伸縮自在とする機構を設けている。即ち、ガイドセル1を、前端部にセントラライザ3を固定したセル本体11と、セル本体11の前端にヒンジ12を介して屈伸自在に取付けた可動セル13とで構成し、可動セル13の動きでガイドセル1を前方に伸縮自在としている。そして、ドリルロッド4のロッド本体41の前端にアダプタロッド部42を取付けてガイドロッド付き削孔装置にするときは、可動セル13を前方に伸展させて、その前端面にパッド7を取り付け、また、ロッド本体41の前端に削孔用ビット43を取付けて単孔用削孔装置に改変するときは、可動セル13を後方に折り畳んで、セル本体11の前端面にパッド7を取付けようにしている。
【0033】
これによれば、単孔用削孔装置に改変した場合、ドリルロッド4の後退位置におけるドリルロッド4の前端からパッド7の前端までの距離が短くなる。そのため、後退位置からドリルロッド4の前端が被削孔物Wに達するまでドリルロッド4が前進する際のドリルロッド4の振れが小さく抑えられ、削孔位置の精度が確保される。
【0034】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、ガイドロッド5がロッドホルダ6に対し前進ストローク端位置に存するときに、ロッドホルダ6の前方に突出するガイドロッド5の小径部52の長さがガイドロッド5の前端とドリルロッド4の前端との間の距離Lに等しくなるようにしているが、ロッドホルダ6の長さを短くして、ロッドホルダ6の前方に突出するガイドロッド5の小径部52の長さがこの距離Lより長くなるようにすることも可能である。この場合、ガイドロッド5がロッドホルダ6に対し大径部51で規制される後退ストローク端位置に存する状態では、ガイドロッド5の前端よりドリルロッド4の前端の方が前方に位置するが、ドリルロッド4の前進距離を管理することで、先行孔H1と同じ深さの連続孔H2を削孔できる。
【0035】
また、上記実施形態では、ガイドセル1を前方に伸縮する機構をセル本体11の前端に屈伸自在に連結した可動セル13で構成しているが、セル本体11に対し前後方向に摺動自在な可動セルで伸縮機構を構成することも可能である。また、可動セル13に相当する部材をセル本体11に着脱自在とし、この部材の着脱でガイドセル1を伸縮させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態の削孔装置の平面図。
【図2】実施形態の削孔装置の側面図。
【図3】図1のIII−III線切断面図。
【図4】(a)実施形態の削孔装置による連続孔の削孔途中の状態を示す平面図、(b)実施形態の削孔装置による連続孔の削孔完了状態を示す平面図。
【図5】実施形態の削孔装置を単孔用のものに改変した状態を示す側面図。
【符号の説明】
【0037】
W…被削孔物、H1…先行孔、H2…連続孔、1…ガイドセル、13…可動セル(伸縮する機構)、2…ドリフタ、3…セントラライザ、4…ドリルロッド、41…ロッド本体部、42…アダプタロッド部、43…削孔用ビット、5…ガイドロッド、51…大径部、52…小径部、53…ストッパ部、6…ロッドホルダ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドセル上に移動自在に支持されるドリフタと、ドリフタにより回転駆動される、ドリフタの移動方向たる前後方向に長手のドリルロッドと、ガイドセルの前端部に固定した、ドリルロッドを挿通支持するセントラライザと、セントラライザにドリルロッドと平行に挿通支持される前後方向に長手のガイドロッドとを備え、削孔済みの先行孔にガイドロッドを挿入した状態で先行孔に隣接する位置に先行孔に連続する連続孔をドリルロッドで削孔するガイドロッド付き削孔装置において、
セントラライザから前方に突出するドリルロッドの部分に、ドリルロッドとガイドロッドとの間に跨る、先行孔及び連続孔の断面積に収まる大きさのロッドホルダがドリルロッドに対し相対回転自在に装着され、
ガイドロッドに、先行孔に嵌合する前端の大径部から後方にのびる小径部が形成され、ロッドホルダに、ガイドロッドが小径部において前後方向に摺動自在に挿通されると共に、
ガイドロッドに、ロッドホルダに対するガイドロッドの前方への摺動を、ガイドロッドの前端がドリルロッドの前端より所定距離だけ前方に位置し、且つ、ロッドホルダの前方に突出するガイドロッドの小径部の長さが上記所定距離以上になる前進ストローク端位置で規制するストッパ部が設けられていることを特徴とするガイドロッド付き削孔装置。
【請求項2】
前記ストッパ部は、前記ドリルロッドが前記セントラライザで規制される後退位置に存するときに、前記ロッドホルダとセントラライザとの間に挟み込まれるように構成されることを特徴とする請求項1記載のガイドロッド付き削孔装置。
【請求項3】
前記ドリルロッドは、前記ドリフタに連結されるロッド本体部と、ロッド本体部の前端に着脱自在に連結されるアダプタロッド部とで構成され、アダプタロッド部に前記ロッドホルダが装着され、ロッド本体部の前端にアダプタロッド部に代えて削孔用ビットを取付け自在としたことを特徴とする請求項1又は2記載のガイドロッド付き削孔装置。
【請求項4】
前記ガイドセルを前方に伸縮する機構を備えることを特徴とする請求項3記載のガイドロッド付き削孔装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−75274(P2008−75274A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−253017(P2006−253017)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【出願人】(000140292)株式会社奥村組 (469)
【Fターム(参考)】