説明

ガイド搬送機構およびこれを備えた写真処理装置

【課題】 画像の露光部などの画像処理機構におけるバンディングの発生を抑制する。
【解決手段】 圧着ローラ21a、21b、21cは、シャフト23を軸として回動することによってペーパー上ガイド19aから一部分が突出可能となっている。駆動ローラ20a、20b、20cは、位置調整ピン22によってコイルバネ24の弾性力に抗して押圧されたペーパー下ガイド19bが右下方向に変位することによって、ペーパー下ガイド19bからその一部分が突出可能となっている。そして、印画紙2が、ガイド搬送機構18に供給されたとき、駆動ローラ20a、20b、20cおよび圧着ローラ21a、21b、21cはペーパー下ガイド19bおよびペーパー上ガイド19aからそれぞれ突出しない位置にあるように制御される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像の形成または読み取りを行う画像処理機構から供給されたまたは画像処理機構に供給される画像保持媒体をガイド部材に沿って搬送するためのガイド搬送機構に関する。
【0002】
【従来の技術】写真処理装置においては、印画紙に対して露光処理が行われた後、搬送されて現像などの処理が施される。また、印画紙として、ロール状に巻回された長尺の印画紙が使用されることがある。この場合には、長尺の印画紙は所定の長さに切断され、露光処理された後、搬送機構によって搬送されることになる。また、搬送機構には、用紙の方向を規制するためのガイド部材を備えたガイド搬送機構がある。
【0003】ここで、写真処理装置のガイド搬送機構の一例を図6(a)に示す。なお、図6(a)は、ガイド搬送機構の駆動ローラ120a、120b、120cと圧着ローラ121a、121b、121cとが離れた位置にある状態の図である。このガイド搬送機構は、露光処理するための露光ユニットよりも下流に配置されており、印画紙102の搬送方向を90°曲げて搬送できるようになっている。ガイド搬送機構118は、ペーパー上ガイド119aおよびペーパー下ガイド119bと、ペーパー下ガイド119bに設けられた開口(図示せず)から一部分が突出するように配置された3つの駆動ローラ120a、120b、120cと、これらの駆動ローラ120a、120b、120cにそれぞれ対向配置された3つの圧着ローラ121a、121b、121cとを有している。圧着ローラ121a、121b、121cは、駆動ローラ120a、120b、120cに圧着する位置と駆動ローラ120a、120b、120cから離れた位置とを選択的に取ることができるようになっており、駆動ローラ120a、120b、120cに圧着する位置にあるときには、ペーパー上ガイド119aに設けられた開口(図示せず)から一部分が突出する。なお、駆動ローラ120a、120b、120cおよび圧着ローラ121a、121b、121cは、十分な搬送力を確保するために、その表面がゴムでできていることが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したようなガイド搬送機構118においては、その入口部(図6(a)において丸枠で囲んだ部分)を拡大した図である図6(b)に示すように、印画紙102の先端がペーパー下ガイド119bの開口から突出した駆動ローラ120aにひっかかることがある。特に、印画紙102として、ロール状に巻回されていたものを用いる場合には、印画紙102の先端はカール状になっていることが多く、これにより頻繁に駆動ローラ120aにひっかかることがある。このように、印画紙102の先端が駆動ローラ120aと圧着ローラ121aとの間に進入する際に、ゴム製の駆動ローラ120aにひっかかった場合には、ガイド搬送機構の上流側にある露光ユニットにおいて、印画紙102の搬送速度が変化することによる二重露光または露光処理される部分に隙間が生じることによる印画紙102上の濃淡のムラの発生などのバンディングが発生するという問題がある。また、印画紙102の先端が駆動ローラ120aと圧着ローラ121aとの間を通過した後に、印画紙102の先端以外の部分が駆動ローラ120aの表面に接触して、印画紙102に駆動ローラ120aとの摩擦力が加えられた場合にも、これに起因してバンディングが生じることがある。
【0005】また、この問題は、露光ユニットの上流側から印画紙が露光ユニットに供給される場合にも生じる。すなわち、露光ユニットでの露光中に印画紙が露光ユニットの上流側にある駆動ローラの表面に接触して、印画紙に駆動ローラとの摩擦力が加えられてその搬送速度が変化してしまい、これに起因してバンディングが生じることがある。
【0006】さらに、上述したような問題は、印画紙の露光やプリンタでの印刷を含む画像の形成時だけではなく、スキャナなどでの画像の読み取り時にも生じる。
【0007】そこで、本発明の目的は、画像の形成または読み取りを行う画像処理機構におけるバンディングの発生を抑制することができるローラ搬送機構を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1のガイド搬送機構は、画像の形成または読み取りを行う画像処理機構から供給されたまたは前記画像処理機構に供給される画像保持媒体を挟み込んで搬送可能な第1の状態、および、前記第1の状態よりも互いに離隔した第2の状態を選択的にとり得る第1および第2の搬送ローラと、前記画像保持媒体が搬送される方向を規制するために対向して配置された第1および第2のガイド部材と、前記第1の状態では前記第1の搬送ローラの少なくとも一部および前記第2の搬送ローラの少なくとも一部が前記第1および第2のガイド部材に対してそれぞれ対向するガイド部材側に突出する位置にあり、前記第2の状態では前記第1の搬送ローラおよび前記第2の搬送ローラが共に前記第1および第2のガイド部材に対してそれぞれ対向するガイド部材側に突出しない位置にあるように、前記第1の搬送ローラおよび前記第1のガイド部材の少なくともいずれか一方の位置と前記第2の搬送ローラおよび前記第2のガイド部材の少なくともいずれか一方の位置とを制御する位置制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0009】請求項1のローラ搬送機構が画像処理機構の下流側または上流側に配置されている場合において、第1の搬送ローラおよび第2の搬送ローラの少なくとも一部が共に対応したガイド部材に対して突出する位置にある第1の状態と、共に突出しない位置にある第2の状態とを選択的に切り替えることができるため、第1の搬送ローラおよび第2の搬送ローラが第2の状態にあるときにローラ搬送機構の上流側から供給されてきた画像保持媒体がガイド搬送機構に導入されるようにすることができる。これにより、画像処理機構において画像の形成または読み取りが行われている画像保持媒体が第1の搬送ローラまたは第2の搬送ローラにひっかかって画像処理機構においてバンディングが生じるのが抑制される。また、画像保持媒体がガイド搬送機構に導入された後に第1の搬送ローラおよび第2の搬送ローラを第1の状態とすることにより、第1の搬送ローラと第2の搬送ローラとの間に挟み込まれた画像保持媒体をガイド部材によって搬送方向を規制しつつ搬送することができる。
【0010】ここで、画像処理機構において画像保持媒体に対して施される画像処理とは、画像保持媒体上へ画像を形成すること、または、画像保持媒体上に形成された画像を読み取ることを含んでいる。また、画像処理機構におけるバンディングとは、画像処理機構において画像保持媒体の搬送速度が変化することに起因する画像保持媒体上の同じ位置に画像を形成すること、画像保持媒体上の同じ位置の画像を読み取ること、画像保持媒体上に画像を形成する際に画像中に画像が形成されない部分を生じること、画像保持媒体上の形成された画像を読み取る際に画像を読み取らない部分を生じることなどの画像処理機構における画像処理に関する不具合のことを示している。
【0011】また、請求項2のガイド搬送機構において、前記位置制御手段は、前記画像処理機構において画像の形成または読み取りが行われている前記画像保持媒体が前記第1および第2の搬送ローラの間にあるときには、前記第1および第2の搬送ローラを前記第1の状態にしない。
【0012】請求項2によると、画像保持媒体が第1および第2の搬送ローラによって挟み込まれた時点では画像処理機構における画像の形成または読み取りが既に終了しているので、圧着時の衝撃によって画像保持媒体が微小に変位したとしてもそれに起因して画像処理機構においてバンディングが生じることがない。
【0013】また、請求項3のガイド搬送機構は、前記位置制御手段によって位置を制御される部材が、弾性部材によって変位方向に付勢されていることを特徴としている。請求項3によると、搬送ローラまたはガイド部材を移動させるための機構を簡略化することができる。
【0014】また、請求項4の写真処理装置は、前記第1および第2の搬送ローラのうち駆動ローラとなる方が固定されているとともに、前記第1および第2のガイド部材のうち前記駆動ローラ側に設けられた方の位置が前記位置制御手段によって制御されることを特徴としている。
【0015】請求項4によると、駆動ローラを固定することにより、駆動ローラの回転駆動系の構造を簡略化することができる。
【0016】また、請求項5は、上述したガイド搬送機構を備えた写真処理装置である。請求項5によると、画像保持媒体としての印画紙を第1の搬送ローラおよび第2の搬送ローラにひっかかることなく安定して搬送することができるため、画像処理機構としての露光ユニットにおいてバンディングが生じるのを抑制することができる。これにより、高品質のプリントを出力することができるようになる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な一実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の一実施の形態であるガイド搬送機構を備えた写真処理装置の概略構成を示す図である。
【0018】まず、本実施の形態のガイド搬送機構を備えた写真処理装置の概略構成について、図1を参照して説明する。図1に示す写真処理装置1において、ペーパーマガジン11から引き出された長尺の印画紙2は、カッター12において所定の長さとなるように幅方向に沿って切断される。切断された印画紙2の感光乳剤層が形成されていない面(裏面)には、印字ユニット13において所望の文字が印字される。
【0019】印字ユニット13の下流側には、露光ユニット14が配置されている。露光ユニット14は、感光材料である印画紙2に対してディジタル画像データに基づく露光処理を行うものであって、露光光源ユニット(図示せず)からの光が光ファイバを介して導かれるPLZTプリントヘッド15を有している。PLZTプリントヘッド15においては、印加電圧に応じて複屈折率の変化するPLZT結晶からなる光シャッタが発光ドットとして印画紙2の幅方向すなわち印画紙2の搬送方向と直交する方向(図1の紙面垂直方向)に1次元的に配列されている。また、PLZTプリントヘッド15と対向する位置には、印画紙2を搬送するための2組の搬送ローラ対16a、16bが露光位置を挟んで対称に配置されている。そのため、印画紙2に形成されるべき潜像に関するディジタル画像信号に基づいて、搬送ローラ対16a、16bによる印画紙2の搬送タイミングとPLZTプリントヘッド15の光シャッタ開閉タイミングとを制御することによって、印画紙2の感光乳剤面をライン露光して所望画像の潜像を形成することができる。
【0020】露光ユニット14の下流側には、ガイド搬送機構18が配置されている。ガイド搬送機構18は、印画紙2の搬送方向を90°曲げて搬送するために用いられる。ガイド搬送機構18の詳細については後述する。
【0021】ガイド搬送機構18の下流側には、ペーパー振り分け部30が配置されている。ペーパー振り分け部30は、ここまで1列搬送されてきた印画紙2を2列或いはそれ以上の列に振り分けて、ここより下流において印画紙2の並列搬送を可能にするために用いられる。
【0022】ペーパー振り分け部30の下流側には、ここから排出された印画紙2を処理液部32に送り出すための送り出し搬送部31が配置されている。処理液部32では、露光済みの印画紙2に対して現像、漂白、安定化などの処理が施される。これにより、露光によって形成された印画紙2上の潜像が顕在化される。
【0023】次に、本実施の形態に係るガイド搬送機構の詳細な構造について、図2〜図5に基づいて説明する。図2は、図1に示すガイド搬送機構において、圧着ローラが駆動ローラと圧着する位置にある状態(第1の状態)を模式的に描いた図である。図3は、図1に示すガイド搬送機構の上面図である。図4は、図2におけるIV-IV 線での断面図である。図5(a)は、図1に示すガイド搬送機構において、圧着ローラが駆動ローラから離れた位置にある状態(第2の状態)を模式的に描いた図である。図5(b)は、図5(a)に示すガイド搬送機構の入口部(図5(a)のおいて丸枠で囲んだ部分)を拡大した図である。
【0024】図2および図5(a)に示すように、ガイド搬送機構18は、共に緩やかに湾曲するように90°曲げられており上下対となった板状のペーパー上ガイド19aおよびペーパー下ガイド19bと、ペーパー下ガイド19bの右下側に配置された3つの駆動ローラ20a、20b、20c(ここでは、これを支持するシャフトを含む意味で用いている。同様に、以下の説明においても「駆動ローラ」といった場合、シャフトを含む意味で用いることがある)と、ペーパー上ガイド19aの左上側であってそれぞれが3つの駆動ローラ20a、20b、20cと互いに対向する位置に配置された3つの圧着ローラ21a、21b、21c(ここでは、これを支持するシャフトを含む意味で用いている。同様に、以下の説明においても「圧着ローラ」といった場合、シャフトを含む意味で用いることがある)とを有している。
【0025】ペーパー上ガイド19aは、その両端において、左右に設けられたフレーム28に固定されている。ペーパー上ガイド19aには、3つの圧着ローラ21a、21b、21cとそれぞれ対向する位置に、圧着ローラ21a、21b、21cの径よりも小さい幅を有する開口(図示せず)が設けられている。
【0026】ペーパー下ガイド19bは、そのフレーム28側の一端部が図2中右斜め下方向に折り曲げられることによってガイド支持部19cとなっている。また、図2および図4に示すように、ガイド支持部19cの下端部近傍には、シャフト23と同じ方向に突出したピン25が固設されている。さらに、ガイド支持部19cには、2つの孔26a、27aが設けられており、これらの孔26a、27aにはフレーム28に固設されたピン26、27がそれぞれ嵌挿されている。ピン25にはコイルバネ24の一端が係止されているとともに、ピン26にはコイルバネ24の他端が係止されており、ピン25はコイルバネ24によって図5(a)中左上方向に常に付勢されている。これにより、ペーパー下ガイド19bは、ガイド支持部19cとともに、コイルバネ24を押し伸ばす方向の外力を与えることでコイルバネ24の弾性力に抗して図2に示した矢印A方向に移動可能であり、また、外力を解除することでコイルバネ24の弾性復帰力により図5(a)に示した矢印B方向に移動可能である。
【0027】ペーパー下ガイド19bには、3つの駆動ローラ20a、20b、20cとそれぞれ対向する位置に、駆動ローラ20a、20b、20cの径よりも小さい幅を有する開口(図示せず)が設けられている。従って、ペーパー下ガイド19bを矢印A方向に変位させると、フレーム28に固定された駆動ローラ20a、20b、20cの一部(圧着ローラ21a、21b、21cと対向する部分)がペーパー下ガイド19bに設けられた開口から突出する。
【0028】図3に示すように、圧着ローラ21a、21b、21cは、その両端において圧着ローラホルダ29に支持されている。また、圧着ローラホルダ29には、圧着ローラ21a、21b、21cのほかに、これと平行に延在する位置調整ピン22およびシャフト23が取り付けられている。圧着ローラホルダ29は、図示しない駆動源によってシャフト23を中心として回動可能となっている。そのため、圧着ローラホルダ29の回動に伴って、圧着ローラ21a、21b、21cは、その一部がペーパー上ガイド19aに設けられた開口からペーパー下ガイド19b側に突出する位置(図2参照)と、開口からペーパー下ガイド19b側に突出しない位置(図5参照)とを選択的に取り得る。なお、フレーム28には、圧着ローラ21a、21b、21cの回動による変位を可能とするための孔(図示せず)が開口している。
【0029】また、圧着ローラホルダ29の回動に伴って、位置調整ピン22の先端が、ペーパー下ガイド19bを図2(a)中右下方向に押圧する。この位置調整ピン22によるペーパー下ガイド19bの押圧力がコイルバネ24の弾性力に抗してペーパー下ガイド19bを矢印A方向に変位させるので、上述のように、駆動ローラ20a、20b、20cの一部がペーパー下ガイド19bに設けられた開口から突出する。なお、フレーム28には、圧着ローラホルダ29の回動による変位を可能とするための孔が開口している。
【0030】このとき、ペーパー上ガイド19aに設けられた開口からペーパー下ガイド19b側に突出した圧着ローラ21a、21b、21cは、図2に示すように、ペーパー下ガイド19bに設けられた開口からペーパー上ガイド19a側に突出した駆動ローラ20a、20b、20cとそれぞれ圧着する。圧着ローラ21a、21b、21cと駆動ローラ20a、20b、20cとが圧着した状態(第1の状態)では、印画紙2を両者の間にそれぞれ挟み込んで下流側に搬送することが可能である。これに対して、圧着ローラ21a、21b、21cと駆動ローラ20a、20b、20cとが圧着していない状態(第2の状態)では、両者の間に印画紙2を挟み込んでこれを搬送することができない。このように、本実施の形態のガイド搬送機構18によると、圧着ローラ21a、21b、21cと駆動ローラ20a、20b、20cとが第1の状態と第2の状態とを選択的にとり得るので、印画紙2がガイド搬送機構18に供給されてきたときには予め第2の状態としておくことで、大きな衝撃を与えることなく印画紙2をガイド搬送機構18に取り込むことができて、露光ユニット14でのバンディング(走査露光による2重露光や露光ライン抜け)が生じることが少なくなる。なお、圧着ローラホルダ29の回動タイミングは、図示しない制御部によって印画紙2の長さや搬送スピードなどに応じて適宜制御される。
【0031】次に、本実施の形態に係るガイド搬送機構18の動作について説明する。
【0032】露光ユニット14において露光処理された印画紙2は、露光ユニット14の搬送ローラ対16aによって、ガイド搬送機構18の入口部に供給される。このとき、図5(a)に示すように、圧着ローラ21a、21b、21cは駆動ローラ20a、20b、20cから離れた位置(第2の状態)にあり、圧着ローラ21a、21b、21cは、ペーパー上ガイド19aに設けられた開口から突出しておらず、駆動ローラ20a、20b、20cも同様に、ペーパー下ガイド19bに設けられた開口から突出していない。したがって、図5(b)に示すように、露光ユニット14から供給された印画紙2の先端が駆動ローラ20a、20b、20cまたは圧着ローラ21a、21b、21cにひっかかることなく、ガイド搬送機構18内に導入される。
【0033】そして、所定のタイミングでシャフト23を回動させることに伴って圧着ローラ21a、21b、21cが駆動ローラ20a、20b、20cに向かう方向に移動し、図2に示すように、圧着ローラ21a、21b、21cの一部分がペーパー上ガイド19aに設けられた開口から突出する。また、シャフト23の回動に伴って位置調整ピン22がペーパー下ガイド19bを駆動ローラ20a、20b、20cに向けて矢印A方向に移動させることにより、駆動ローラ20a、20b、20cの一部分がペーパー下ガイド19bに設けられた開口からペーパー上ガイド19a側に突出する。そして、ペーパー上ガイド19aに設けられた開口から突出した圧着ローラ21a、21b、21cと、ペーパー下ガイド19bに設けられた開口から突出した駆動ローラ20a、20b、20cとの間に挟み込まれた印画紙2は、駆動ローラ20a、20b、20cの回転に伴ってペーパー上ガイド19aおよびペーパー下ガイド19bに沿ってペーパー振り分け部30へと搬送される。
【0034】そして、1枚の印画紙2のペーパー振り分け部30への搬送が終了すると、シャフト23が逆方向に回転して圧着ローラ21a、21b、21cがペーパー上ガイド19aに設けられた開口から突出しない位置に戻る。また、位置調整ピン22がペーパー下ガイド19bから離れる方向に変位するために、コイルバネ24による弾性復帰力のためにペーパー下ガイド19bが矢印B方向に変位する。そのため、再び図5(a)に示すように、駆動ローラ20a、20b、20cは、ペーパー上ガイド19aから突出しなくなる。
【0035】また、本実施の形態のガイド搬送機構18においては、原則的に、印画紙2の先端が駆動ローラ20aおよび圧着ローラ21aの中間位置まで搬送された時点で駆動ローラ20a、20b、20cおよび圧着ローラ21a、21b、21cが圧着するようにシャフト23が回転駆動される。ただし、露光ユニット14において露光処理が行われている印画紙2が駆動ローラ20a、20b、20cおよび圧着ローラ21a、21b、21c間にあるときには、駆動ローラ20a、20b、20cおよび圧着ローラ21a、21b、21cが図2に示す第1の状態にならないようにシャフト23の回転駆動タイミングが制御される。この制御は、印画紙2の長さ、搬送スピードなどに基づいて行われる。そのため、本実施の形態では、駆動ローラ20a、20b、20cと圧着ローラ21a、21b、21cとの圧着の衝撃によって印画紙2が微小に変位したとしてもそれに起因してバンディングが生じることがない。
【0036】以上のように、本実施の形態のガイド搬送機構18によると、露光ユニット14から供給された印画紙2の先端が駆動ローラ20a、20b、20cまたは圧着ローラ21a、21b、21cにひっかかるのを防止することができるため、これに起因する露光ユニット14におけるバンディングを抑制することができる。これにより、高品質の写真プリントを出力することができる。
【0037】また、駆動ローラ20a、20b、20cおよび圧着ローラ21a、21b、21cが、露光ユニット14において露光中の印画紙2を挟み込んで圧着しないため、圧着時に印画紙2に与えられた衝撃に起因したバンディングが生じるのを抑制することができる。
【0038】また、本実施の形態のガイド搬送機構18では、ペーパー下ガイド19bがコイルバネ24の弾性力によって変位方向に付勢されているので、ペーパー下ガイド19bを変位させるための機構が簡略なものとなっている。
【0039】また、本実施の形態のガイド搬送機構18では、駆動ローラ20a、20b、20cが固定されており且つペーパー下ガイド19bが変位するように構成されているので、駆動ローラ20a、20b、20cの変位に合わせてその回転駆動系を動かす必要がない。従って、駆動ローラ20a、20b、20cの回転駆動系の構造が簡略化される。
【0040】以上、本発明の好適な一実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能なものである。例えば、上述の実施の形態では、ガイド搬送機構が露光ユニットの下流側に配置されている場合について説明したが、本発明は、ガイド搬送機構が露光ユニットの上流側に配置されている場合についても適用可能である。
【0041】また、上述の実施の形態では、駆動ローラ20a、20b、20cに対してペーパー下ガイド19bが移動し、且つ、ペーパー上ガイド19aに対して圧着ローラ21a、21b、21cが移動する構成であるが、これに限らず、ペーパー下ガイド19bに対して駆動ローラ20a、20b、20cが移動し、圧着ローラ21a、21b、21cに対してペーパー上ガイド19aが移動する構成など、駆動ローラ20a、20b、20cとペーパー下ガイド19bとの相対的位置および圧着ローラ21a、21b、21cとペーパー上ガイド19aとの相対的位置が変化することにより、駆動ローラ20a、20b、20cおよび圧着ローラ21a、21b、21cの一部が、それぞれペーパー下ガイド19bおよびペーパー上ガイド19aに設けられた開口から突出する位置または突出しない位置を取り得るものであれば、どのような構成であってもよい。
【0042】また、上述の実施の形態では、位置調整ピン22、シャフト23およびその駆動源、ガイド支持部19c、図示しない制御部などが位置調整手段を構成しているが、位置調整手段がこれらとは異なるように構成されていてもよい。
【0043】また、上述の実施の形態では、ペーパー下ガイド19bがコイルバネ24の弾性力によって駆動ローラ20a、20b、20cから遠ざかる方向に付勢されているが、それに限らず、ペーパー下ガイド19bがコイルバネ24の弾性力によって駆動ローラ20a、20b、20cに近づく方向に付勢されていてもよい。
【0044】また、上述の実施の形態では、ペーパー下ガイド19bがコイルバネ24の弾性力によって移動する構成であるものであるが、それに限らず、ペーパー上ガイド19aがコイルバネの弾性力によって移動する構成のものであってもよい。また、コイルバネ以外の弾性部材を用いるようにしてもよい。
【0045】また、上述の実施の形態では、写真処理装置に設けられたガイド搬送機構18について示しているが、本発明のガイド搬送機構は、写真処理装置に限らず、画像の印刷または読み取りが行われた画像保持媒体がガイド搬送される機器(例えばスキャナー、インクジェットプリンタなど)であればどのような機器に適用することも可能である。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1のローラ搬送機構が画像処理機構の下流側または上流側に配置されている場合において、画像処理機構において画像の形成または読み取りが行われている画像保持媒体が第1の搬送ローラまたは第2の搬送ローラにひっかかって画像処理機構においてバンディングが生じるのが抑制される。また、画像保持媒体がガイド搬送機構に導入された後に第1の搬送ローラおよび第2の搬送ローラを第1の状態とすることにより、第1の搬送ローラと第2の搬送ローラとの間に挟み込まれた画像保持媒体をガイド部材によって搬送方向を規制しつつ搬送することができる。
【0047】請求項2によると、画像保持媒体が第1および第2の搬送ローラによって挟み込まれた時点では画像処理機構における画像の形成または読み取りが既に終了しているので、圧着時の衝撃によって画像保持媒体が微小に変位したとしてもそれに起因して画像処理機構においてバンディングが生じることがない。
【0048】請求項3によると、搬送ローラまたはガイド部材を移動させるための機構を簡略化することができる。請求項4によると、駆動ローラを固定することにより、駆動ローラの回転駆動系の構造を簡略化することができる。請求項5によると、画像処理機構としての露光ユニットにおいてバンディングが生じるのを抑制することができるので、高品質のプリントを出力することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるガイド搬送機構を備えた写真処理装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示すガイド搬送機構において、圧着ローラが駆動ローラに圧着する位置にある状態の構造を模式的に描いた図である。
【図3】図1に示すガイド搬送機構の上面図である。
【図4】図1のIV-IV 線での断面図である。
【図5】図1に示すガイド搬送機構において、図5(a)は圧着ローラが駆動ローラから離れた位置にある状態の構造を模式的に描いた図であり、図5(b)はガイド搬送機構の入口部を拡大した図である。
【図6】従来のガイド搬送機構において、図6(a)は圧着ローラが駆動ローラから離れた位置にある状態の構造を模式的に描いた図であり、図6(b)はガイド搬送機構の入口部を拡大した図である。
【符号の説明】
1 写真処理装置
2 印画紙
11 ペーパーマガジン
12 カッター
13 印字ユニット
14 露光ユニット
15 PLZTプリントヘッド
16a、16b 搬送ローラ対
18 ガイド搬送機構
19a ペーパー上ガイド
19b ペーパー下ガイド
20a、20b、20c 駆動ローラ
21a、21b、21c 圧着ローラ
22 位置調整ピン
23 支持部材
24 コイルバネ
28 フレーム
29 圧着ローラホルダ
30 ペーパー振り分け部
31 送り出し搬送部
32 処理液部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 画像の形成または読み取りを行う画像処理機構から供給されたまたは前記画像処理機構に供給される画像保持媒体を挟み込んで搬送可能な第1の状態、および、前記第1の状態よりも互いに離隔した第2の状態を選択的にとり得る第1および第2の搬送ローラと、前記画像保持媒体が搬送される方向を規制するために対向して配置された第1および第2のガイド部材と、前記第1の状態では前記第1の搬送ローラの少なくとも一部および前記第2の搬送ローラの少なくとも一部が前記第1および第2のガイド部材に対してそれぞれ対向するガイド部材側に突出する位置にあり、前記第2の状態では前記第1の搬送ローラおよび前記第2の搬送ローラが共に前記第1および第2のガイド部材に対してそれぞれ対向するガイド部材側に突出しない位置にあるように、前記第1の搬送ローラおよび前記第1のガイド部材の少なくともいずれか一方の位置と前記第2の搬送ローラおよび前記第2のガイド部材の少なくともいずれか一方の位置とを制御する位置制御手段とを備えていることを特徴とするガイド搬送機構。
【請求項2】 前記位置制御手段は、前記画像処理機構において画像の形成または読み取りが行われている前記画像保持媒体が前記第1および第2の搬送ローラの間にあるときには、前記第1および第2の搬送ローラを前記第1の状態にしないことを特徴とする請求項1に記載のガイド搬送機構。
【請求項3】 前記位置制御手段によって位置を制御される部材が、弾性部材によって変位方向に付勢されていることを特徴とする請求項1または2に記載のガイド搬送機構。
【請求項4】 前記第1および第2の搬送ローラのうち駆動ローラとなる方が固定されているとともに、前記第1および第2のガイド部材のうち前記駆動ローラ側に設けられた方の位置が前記位置制御手段によって制御されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガイド搬送機構。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のガイド搬送機構を備えた写真処理装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【公開番号】特開2002−234628(P2002−234628A)
【公開日】平成14年8月23日(2002.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−29949(P2001−29949)
【出願日】平成13年2月6日(2001.2.6)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】