説明

ガスエンジン並びにその起動方法及び起動装置

【課題】火花点火方式を採用したガスエンジンの起動時に点火プラグの性能が低下するのを抑制する。
【解決手段】ガスエンジン1の起動方法(S3)が、乾燥したエアを給気通路11内に注入するドライエア注入工程(S32)と、ドライエア注入工程(S32)の後に、点火プラグ37で混合気を点火燃焼しながらガスエンジン1の出力軸2を回転始動させるクランキング工程(S35)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火花点火方式を採用したガスエンジン及びその起動方法及び起動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガスエンジンで発電機を駆動する発電プラントが提案されている。発電用ガスエンジンにおける混合気の燃焼方式として、点火プラグの電極間で発生する火花で混合気を点火する火花点火方式が知られている。また、発電用ガスエンジンには、機関出力及び発電機出力の向上のため、過給機が備え付けられることがある。過給された高圧のエアは、給気通路を介して燃焼室に送られる過程で、エアクーラによって冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−156229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガスエンジンの動作中には、過給及び冷却後のエアの圧力が飽和水蒸気圧を上回り、給気通路内で水が生じることがある。発電プラントが熱帯地域や温暖湿潤地域に設置されるなどしてガスエンジン周囲の雰囲気が高湿である場合、このような事態が顕在化する。また、発電プラントでは、電力需要に応じて又は定期的なメンテナンス作業のため、ガスエンジンの起動及び停止が繰り返される。
【0005】
ガスエンジンの動作中に給気通路内で水が生じると、その水は、給気管の壁面に付着するなどして、ガスエンジンの停止中にも給気通路内に残存する可能性がある。この場合、火花点火方式を採用したガスエンジンを再起動するときに、点火プラグの電極が給気通路からの高湿エアに晒され、電極の表面が湿る可能性がある。水は導電性を有するので、電極の表面が湿ると、電極間の絶縁抵抗が低下する。絶縁抵抗が低下すると、点火プラグが火花を正常に発生させることが難しくなるので、失火が生じやすくなる。起動時に失火が生じると、火炎で電極の温度を高めにくくなるので、湿りの解消が困難になる。結果、点火プラグの性能が回復しにくくなる。
【0006】
なお、特許文献1は、機関停止中に排気管内で水が生じるのを抑制するため、機関停止直後に排気管内のエアを乾燥空気でパージする装置を開示している。しかし、この装置によっても、機関起動時に点火プラグの性能が低下することを抑制することができない。
【0007】
そこで本発明は、混合気の燃焼方式に火花点火方式を採用したガスエンジンの起動時に、点火プラグの性能が低下するのを抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るガスエンジンの起動方法は、点火プラグが発生させる火花で混合気を点火燃焼させるガスエンジンの起動方法であって、乾燥したエアを給気通路内に注入するドライエア注入工程と、前記ドライエア注入工程の後に、前記点火プラグで混合気を点火燃焼させて前記ガスエンジンの出力軸を回転始動させるクランキング工程と、を備える。
【0009】
これにより、ガスエンジンの起動時、点火プラグの動作前に、乾燥したエアが給気通路内に注入され、それにより給気通路の内部の絶対湿度が低下する。このため、起動時最初に点火プラグが動作するとき、燃焼室内には低湿エアが供給される。このため、点火プラグの電極の表面が湿りにくくなり、電極間の絶縁抵抗を良好に高い値に保つことができる。したがって、点火プラグが火花を正常に発生し、失火が生じるのを防ぐことができる。
【0010】
前記クランキング工程の前に、混合気を点火燃焼させることなくピストンを往復動させ、燃焼室内の残存ガスを排気通路を介して外部へ排出するプレパージ工程を更に備え、前記ドライエア注入工程は、前記プレパージ工程の前に実行される第1ドライエア注入工程と、前記プレパージ工程の後且つ前記クランキング工程の前に実行される第2ドライエア注入工程とを有していてもよい。
【0011】
これにより、第1ドライエア注入工程で給気通路内に注入された乾燥したエアが、プレパージ工程で燃焼室を介して排気通路へ流れていく。これにより、混合気を点火燃焼させる前に、ガスエンジンの前回停止後に燃焼室内に残存したガスが燃焼室から排出され、燃焼室の内部が換気される。プレパージ工程を行えば、外部エアが給気通路内に流入し、給気通路内の絶対湿度が上昇する可能性がある。そこで、プレパージ工程の後且つクランキング工程の前に第2ドライエア注入工程を実行し、乾燥したエアを給気通路内に再注入するようにしている。このため、プレパージ工程を行っても、起動時最初に点火プラグが動作するとき、燃焼室内に高湿エアが供給されるのを防ぐことができる。
【0012】
前記第2ドライエア注入工程が、前記第1ドライエア注入工程よりも短期間実行されてもよい。
【0013】
これにより、ガスエンジンの停止中に給気通路内に溜まっていた高湿エアを良好に外部に追い出すことができ、燃焼室の内部を良好に換気することができ、起動時最初に点火プラグが動作するときに高湿エアが燃焼室内に供給されるのを防ぐことができ、なおかつ、ガスエンジンをできる限り短期間で起動することができる。
【0014】
前記ドライエア注入工程は、予め定められた期間かけて実行されてもよい。
【0015】
これにより、複雑な処理を必要とせずに、給気通路の内部を乾燥した空気で換気することができる。
【0016】
前記ドライエア注入工程は、前記給気通路内の湿度が所定の湿度閾値以上である間実行されてもよい。
【0017】
これにより、給気通路の内部を所望の湿度まで低下させてから点火プラグの動作を開始することができるので、点火プラグの性能の低下を良好に抑制することができる。
【0018】
前記ドライエア注入工程において、乾燥したエアを前記給気通路の下流端部から前記給気通路内に注入してもよい。
【0019】
これにより、給気通路内に溜まっていたエアを、給気が流れる方向に対し逆流させ、外部へと良好に追い出すことができる。
【0020】
本発明に係るガスエンジンの起動装置は、外部のエアをガスエンジンの燃焼室に供給するための給気通路と、前記燃焼室内で火花を発生して混合気を点火燃焼させる点火プラグと、前記給気通路と接続されたドライエア通路と、乾燥したエアを前記ドライエア通路を介して前記給気通路に注入する注入手段と、前記ガスエンジンの起動を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置が、乾燥したエアが前記給気通路内に注入されるように前記注入手段を制御した後に、混合気を点火燃焼して前記ガスエンジンの出力軸が回転始動するように前記点火プラグを制御する。
【0021】
また、本発明に係るガスエンジンは、前述の起動装置を備えている。
【0022】
前記構成によれば、前述の方法と同様、火花点火方式を採用したガスエンジンの起動時最初の点火プラグが良好に動作し、点火プラグの性能の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、混合気の燃焼方式に火花点火方式を採用したガスエンジンの起動時に、点火プラグの性能が低下するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係るガスエンジンの全体構成を示す概念図である。
【図2】図1のII−II線に沿って切断して示すガスエンジンの部分断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿って切断して示すガスエンジンの部分断面図である。
【図4】図1に示すガスエンジンの制御系の構成を示すブロック図である。
【図5】図4に示す制御装置により実行されるガスエンジンの運転方法を示すフローチャートである。
【図6】図5に示す起動処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態に係るガスエンジンの全体構成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、全ての図を通じて同一又は相当の要素には同一符号を付し、重複する詳細説明を省略する。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るガスエンジン1の全体構成を示す概念図である。図1に示すガスエンジン1は、ガス燃料及び空気の混合気を燃焼して出力軸2に回転出力を発生する。出力軸2は、発電機3の入力軸4に接続されている。このように、本実施形態に係るガスエンジン1は発電機3の駆動源に用いられ、発電機3はガスエンジン1により駆動されて交流を発電する。出力軸2上にはフライホイール5が設けられている。
【0027】
ガスエンジン1は、レシプロ式4ストロークエンジンであり、複数のシリンダ23(図2参照)を有したエンジン本体10を備えている。ガスエンジン1には、給気通路11、排気通路12及び過給機13が設けられている。給気通路11は、外部から取り入れた空気をエンジン本体10へ供給するための通路である。排気通路12は、排気をエンジン本体10から外部へ排出するための通路である。エンジン本体10には、給気管14及び排気管15が接続されている。給気管14の内部は、給気通路11の下流部を成している。排気管15の内部は、排気通路12の上流部を成している。
【0028】
過給機13は、排気通路12上のタービン13a及び給気通路11上のコンプレッサ13bを有している。タービン13aが排気により回転駆動されると、コンプレッサ13bがタービン13aにより回転駆動される。これにより、外部から給気通路11へ取り入れられた空気が圧縮される。排気通路12には、タービン13aを迂回する排気バイパス通路16が接続されている。排気バイパス通路16上には、タービン13aに供給される排気の流量を変更するための排気バイパス弁17が設けられている。
【0029】
給気通路11上のコンプレッサ13bの下流側に、エアクーラ18及びミストセパレータ19が設けられている。エアクーラ18は、過給された高温高圧のエアを冷却する。これにより、エアの圧力が飽和水蒸気圧に達することがある。ミストセパレータ19は、過給及び冷却されたエアから凝縮した水を分離する。ミストセパレータ19で分離された水は、ミストセパレータ19に設けられたドレンポート19aを介して外部に排出される。
【0030】
図2は、図1のII−II線に沿って切断して出力軸2(図1参照)の軸線方向に見て示したガスエンジン1の部分断面図である。図2に示すように、ガスエンジン1は、多気筒V型エンジンである。エンジン本体10は、出力軸2の軸線方向に見たときに側方に傾斜するようにして上方へ延びる第1バンク21と、第1バンク21とは反対側に傾斜するようにして上方へ延びる第2バンク22とを有する。複数のシリンダ23は、第1バンク21と第2バンク22とに半々に分かれて配置される。第1バンク21に配置されたシリンダ23は、出力軸2の軸線方向に整列している。第2バンク22におけるシリンダ23の整列方向も、出力軸2の軸線方向と一致している。各シリンダ23内には、ピストン24が往復動可能に挿入される。ピストン24は、コンロッド25を介して出力軸2のクランクピン(図示せず)に連結される。エンジン本体10は、主燃焼室26、給気ポート27及び排気ポート28を有している。主燃焼室26は、ピストン24の上面側に形成されている。給気ポート27及び排気ポート28は、主燃焼室26に開口している。
【0031】
第1バンク21及び第2バンク22は、全体として、出力軸2の軸線方向(シリンダ23の整列方向)に見てV字を呈している。このため、エンジン本体10は、第1バンク21及び第2バンク22の間に、出力軸2の軸線方向(シリンダ23の整列方向)に延在するV字の空間29を形成する。給気管14及び排気管15は、当該空間29内に配置され、出力軸2の軸線方向(シリンダ23の整列方向)に延在している。本実施形態に係る給気管14は排気管15の下に配置されているが、給気管14は排気管15の上に配置されていてもよい。給気管14からは、複数の枝管30が第1バンク21及び第2バンク22へと延びている。各枝管30の内部は、給気管14の内部を、対応する給気ポート27及び主燃焼室26に連通させる。排気管15からも、複数の枝管31が第1バンク21及び第2バンク22へと延びており、各枝管31の内部は、対応する主燃焼室26及び排気ポート28を排気管15の内部に連通させる。
【0032】
図3は、図2のIII−III線に沿って切断して示すガスエンジン1の模式的断面図である。図3は、1つのシリンダ23のみを示しているが、不図示の他のシリンダも同様に構成されている。図3に示すように、各シリンダ23には、給気弁32、排気弁33、副燃焼室34、第1インジェクタ35、第2インジェクタ36及び点火プラグ37が設けられている。給気弁32は、給気ポート27を開閉する。排気弁33は、排気ポート28を開閉する。給気弁32及び排気弁33は、出力軸2により駆動される。副燃焼室34は、主燃焼室26と隔壁38を介して区画されている一方、隔壁38に形成された連通穴39を介して主燃焼室26と連通している。第1インジェクタ35は、給気ポート27内にガス燃料を噴射する。第2インジェクタ36は、副燃焼室34内にガス燃料を噴射する。点火プラグ37は、火花を発生させる電極40を有しており、電極40は、副燃焼室34内に配置されている。
【0033】
給気行程では、給気弁32が開放されて第1インジェクタ35がガス燃料を噴射する。これにより、過給及び冷却後のエアと第1インジェクタ35からのガス燃料との混合気が、給気ポート27から主燃焼室26へ供給される。圧縮行程では、混合気が主燃焼室26及び副燃焼室34の内部で圧縮される。第2インジェクタ36は、給気行程又は圧縮行程において、ガス燃料を噴射する。圧縮行程の終了時期近傍で、点火プラグ37が副燃焼室34内で火花を発生させる。これにより、副燃焼室34内の混合気が燃焼する。副燃焼室34内で生じた火炎は、連通穴39を通り主燃焼室26内へ伝播する。これにより、主燃焼室26内の混合気が燃焼する。排気行程では、排気弁33が開放される。これにより、燃焼後のガスが主燃焼室26及び副燃焼室34から排気ポート28へと排出される。このように、本実施形態に係るガスエンジン1は、点火プラグ37で発生した火花で混合気を点火燃焼させる火花点火方式を採用している。
【0034】
図1に戻り、ガスエンジン1には、オイルパン41、第1ポンプライン42、第2ポンプライン43、オイル供給共通ライン44及びオイル戻り共通ライン45が設けられている。オイルパン41は、エンジンオイルを溜めている。図1では便宜的にオイルパン41がエンジン本体10と独立しているように記載されているが、オイルパン41は、エンジン本体10の底部に一体化されていてもよい。第1ポンプライン42及び第2ポンプライン43は、オイル供給共通ライン44に並列接続されている。第1ポンプライン42上には、潤滑ポンプ46及びオイルクーラ47が設けられている。第2ポンプライン43上には暖機用ポンプ48及びオイルヒータ49が設けられている。
【0035】
潤滑ポンプ46及び暖機用ポンプ48は油圧ポンプである。これらポンプ46,48のうち一方が動作しているときには、他方が停止する。ガスエンジン1が起動及び停止を繰り返すようにして運用される場合には、潤滑ポンプ46は、主にガスエンジン1の動作中に動作する。暖機用ポンプ48は、主にガスエンジン1の停止中に動作する。このため、潤滑ポンプ46は、電動式でもよいし出力軸2により駆動されてもよい。暖気用ポンプ48は、出力軸2とは異なる駆動源によって駆動される。
【0036】
潤滑ポンプ46が動作すると、オイルパン41に溜められているエンジンオイルが、第1ポンプライン42に圧送される。圧送されたオイルはオイルクーラ47で冷却され、オイル共通供給ライン44に送られる。冷却されたオイルは、オイル供給共通ライン44を介し、過給機13、出力軸2、給気弁32(図2参照)及び排気弁33(図2参照)などの潤滑を要する部位に送られる。ガスエンジン1の動作中には、混合気の燃焼や排気を用いた過給のためにエンジン各所が高温になる。そこで、オイルクーラ47を利用して、油温が潤滑性能を良好に発揮し得る適温に制御される。これら部位に送られたオイルは、オイル戻り共通ライン45を介してオイルパン41へ戻る。
【0037】
暖機用ポンプ48が動作すると、オイルパン41に溜められているエンジンオイルが、第2ポンプライン43に圧送される。圧送されたオイルはオイルヒータ49で加熱され、オイル供給共通ライン44に送られる。加熱されたオイルは、オイル供給共通ライン44を介し、過給機13、給気通路11を構成する部品、排気通路12を構成する部品、及び、エンジン本体10へと送られる。これにより、ガスエンジン1の停止中にガスエンジン1が外気温にまで冷却されるのを防止することができる。エンジン各所に送られたオイルは、オイル戻り共通ライン45を介し、オイルパン41へ戻る。このように、本実施形態では、潤滑用のエンジンオイル及び該エンジンオイルを供給及び戻すための共通ライン44,45を流用して、ガスエンジン1の停止中に暖気状態を保ち続けることができる。
【0038】
ガスエンジン1には、注入装置50、スタータモータ56、モータ給気通路57及びスタータ入口弁58が設けられている。注入装置50は、圧縮機51、ドライエア通路52、空気槽53、除湿器54及び注入切替弁55を有している。圧縮機51は、外部から取り入れた空気を圧縮する流体機械である。図1では圧縮機51がターボ形として表されているが、圧縮機51は容積形でもよい。ドライエア通路52は、乾燥したエアを給気通路11内に注入するための通路である。ドライエア通路52は、圧縮機51の出口を給気通路11の下流端部11aに接続している。本実施形態に係る給気通路11の下流端部11aは、具体的には、給気管14の下流端部であり、好ましくは、給気管14の内部のうち、最も下流に配置された枝管30(図2参照)との接続部分よりも下流側の部分である。
【0039】
空気槽53は、ドライエア通路52上に設けられている。圧縮機51からの圧縮エアは、空気槽53内に貯蔵される。除湿器54は、ドライエア通路52上の空気槽53よりも下流側に設けられている。除湿器54は、空気槽53からの圧縮エアを除湿して乾燥させる。注入切替弁55は、電磁開閉弁であり、ドライエア通路52上の空気槽53よりも下流側に設けられている。スタータモータ56は、空圧モータである。モータ給気通路57は、スタータモータ56のエア入口をドライエア通路52に接続している。モータ給気通路57の接続点は、ドライエア通路52上であって空気槽53よりも下流側且つ注入切替弁55よりも上流側である。スタータ入口弁58は、電磁開閉弁であり、モータ給気通路57上に設けられている。
【0040】
注入切替弁55が開且つスタータ入口弁58が閉のとき、空気槽53で貯蔵されている圧縮エアが、ドライエア通路52を介し、除湿器54で乾燥されてから給気通路11内に注入される。ドライエアは、給気通路11の下流端部11aから給気通路11内に流入する。本実施形態では、給気管14の下流端部から給気通路11内に流入する。ドライエアは、圧縮により大気圧よりも大きい圧力を有しているので、ドライエアを注入することで給気通路11内に溜まっているエアを外部へと追い出すことができる。ドライエアは給気通路11内に注入されればよいので、除湿器54は、空気槽53内に設けられていてもよい。注入切替弁55が閉且つスタータ入口弁58が開のとき、空気槽53で貯蔵されている圧縮エアがスタータモータ56に供給され、スタータモータ56が駆動される。スタータモータ56が動作することにより、フライホイール5と共に出力軸2が回転駆動される。このように、本実施形態では、注入装置50が、スタータモータ56に圧縮エアを供給するための供給源51,53と通路の一部とを流用して構成されており、ガスエンジン1の非動作時に給気通路11内にドライエアを注入することができる。
【0041】
図4はガスエンジン1の制御系の構成を示すブロック図である。ガスエンジン1には、ガスエンジン1の起動、動作及び停止を制御する制御装置60が設けられている。制御装置60の入力側には、起動スイッチ71及び停止スイッチ72が接続されている。起動スイッチ71及び停止スイッチ72は、オペレータにより操作される操作子である。オペレータは、ガスエンジン1の停止中に起動スイッチ71を操作することにより、制御装置60に起動指令を与えることができる。オペレータは、ガスエンジン1の動作中に停止スイッチ72を操作することにより、制御装置60に停止指令を与えることができる。
【0042】
制御装置60の入力側は、ガスエンジン1及び発電機3の運転状態を検出するための各種センサとも接続されている。これにより、制御装置60は、例えばガスエンジン1の出力軸の位相角や発電機3の出力などを入力することができ、また、入力された位相角に基づいてガスエンジン1のエンジン回転数を測定することができる。制御装置60の出力側は、第1インジェクタ35、第2インジェクタ36、点火プラグ37、排気バイパス弁17、潤滑ポンプ46、暖機用ポンプ48、圧縮機51、注入切替弁55及びスタータ入口弁58などと接続されている。
【0043】
制御装置60は、記憶部61及び演算部62を有する。演算部62は、記憶部61に予め記憶された制御プログラムを実行してガスエンジン1の運転を統括的に制御する。演算部62は、ガスエンジン1及び発電機3の運転状態に応じてガスエンジン1の動作を制御し、停止指令に応じてガスエンジン1の停止を制御し、また、起動指令に応じてガスエンジン1の起動を制御する。
【0044】
図5は図4に示す制御装置60により実行されるガスエンジン1の運転方法を示すフローチャートである。便宜的に、図5に示すフローは、ガスエンジン1が停止している状態で始まるものとしている。図5に示すように、ガスエンジン1の停止中、暖気確保運転が行われる(ステップS1)。暖機確保運転においては、潤滑ポンプ46が停止して暖機用ポンプ48が動作する。よって、エンジン各所にオイルヒータ49で加熱されたオイルが行き渡り、エンジン本体10、過給機13、給気管14及び排気管15等が外気で冷却されるのを防ぐことができる。起動指令が与えられていない間(S2:NO)、暖機確保運転が継続して実行される。
【0045】
起動指令が与えられると(S2:YES)、暖機確保運転が終了し、ガスエンジン1を起動した(ステップS3)後、ガスエンジン1及び発電機3が所要出力を継続して発生するよう、ガスエンジン1が連続運転される(ステップS4)。停止指令が与えられていない間(S5:NO)、ガスエンジン1が継続して連続運転される。ガスエンジン1が連続運転されている間、排気バイパス弁17の開度が調整され、第1インジェクタ35が適宜時期に動作する。これにより、過給及び冷却後のエアが混合気となって主燃焼室26に供給することができる。このとき、注入切替弁55は閉となる。これにより、過給及び冷却後のエアがドライエア通路52に逆流するのを阻止することができる。そして、第2インジェクタ36及び点火プラグ37が適宜時期に動作する。これにより、混合気が主燃焼室26及び副燃焼室34内で燃焼する。また、暖機用ポンプ48が停止し、潤滑ポンプ46が動作する。これによりエンジン各所の潤滑を要する部位を良好に潤滑することができる。過給及び冷却後のエアに含まれる水分は給気通路11内で凝縮することがあり、ガスエンジン1が高湿環境下におかれていれば水分発生量が多量になる。本実施形態では、ミストセパレータ19が給気通路11内で発生した水を過給及び冷却後のエアから分離するので、水分が主燃焼室26内に多量に混入することを防止することができる。
【0046】
停止指令が与えられると(S5:YES)、第1インジェクタ35、第2インジェクタ36及び点火プラグ37の動作を停止してガスエンジン1を停止し(ステップS6)、その後、暖機確保運転が実行される(ステップS1)。ガスエンジン1の連続運転中に給気通路11内で多量の水分が発生した場合、ミストセパレータ19内の水がドレンされずに残ったり、給気管14の内壁面に水が付着したまま残ったりすることがある。この状況下で暖機確保運転が実行されると、給気通路11内の絶対湿度が高いまま保持される。本実施形態では、ガスエンジン1が下記の手順に沿って起動し、それによりガスエンジン1の起動時に点火プラグ37の電極40の表面が湿るのを抑制している。
【0047】
図6は、図5に示す起動処理(S3)を示すフローチャートである。起動処理では、まず、制御装置60が補機を起動させる(ステップS31)。ここでの補機とは、圧縮機51である。潤滑ポンプ46が含まれていてもよい。補機の起動後、注入切替弁55が開且つスタータ入口弁58が閉となり、ドライエアが給気通路11内に注入される(ステップS32)。これにより、給気通路11の内部がドライエアで換気される。つまり、給気通路11内に溜まっていた高湿エアが給気の流れとは逆向きに流れて外部へと追い出され、給気通路11内のエアにドライエアが混入し、給気通路11内の絶対湿度が低下する。
【0048】
記憶部61が、給気通路11の内部がドライエアで満たされるために十分に長い予め定められた期間を予め記憶していたり、制御装置60の入力側が、オペレータが同様の期間を設定入力するための操作子と接続されていたりしてもよい。この場合、ドライエアの注入を、当該所定の期間が経過するまでの間継続して行うようにしてもよい。また、給気通路11上の所定箇所に絶対湿度を検出するための湿度センサ75(図4参照)を設けておき、記憶部61が、所定の湿度閾値を予め記憶していてもよい。この場合、ドライエアの注入を、湿度センサ75により検出される絶対湿度の測定値が予め記憶された所定の湿度閾値以下になるまでの間継続して行うようにしてもよい。
【0049】
何れの場合も、給気通路11内に溜まっていた高湿エアを外部へ追い出し、給気通路11内の絶対湿度を良好に低下させることができる。ドライエアの注入を所定の期間が経過するまでの間継続する場合は、複雑な処理及び構成を必要とせず、給気通路11内の絶対湿度を低下させることができる。絶対湿度の測定値を閾値と比較する方法を採る場合は、所望の絶対湿度に低下するまでドライエアの注入を行うことができ、点火プラグの性能の低下を良好に抑制することができる。高湿エアは、ミストセパレータ19の内部又はミストセパレータ19よりも下流側に溜まりがちであり、ドライエアは、給気通路11の下流端部11aから給気通路11内に注入される。このため、湿度センサ75がミストセパレータ19の内部又はミストセパレータ19の下流側に設けられていると、ドライエアの注入による湿度の低減を敏感に測定することができ、制御精度の向上を図ることができる。
【0050】
給気通路11内に注入されたドライエアは、給気管14の下流端部から給気管14の上流側に向けて流れていく。給気管14の内部空間は、枝管30及び給気ポート27を介して主燃焼室26に連通しているが、枝管30は給気管14よりも小さい流路断面を有する。よって、給気弁32が開放されていても、ドライエアが主燃焼室26、副燃焼室34及びシリンダ23内へと流れにくい。給気弁32が開放されていても、排気弁33が閉じている場合には、ドライエアが主燃焼室26を吹き抜けることはない。このため、ドライエアで給気通路11内の高湿エアを外部へと好適に追い出すことができる。なお、ガスエンジン1がバルブオーバーラップを採用している場合において、給気弁32と共に排気弁33が開放されていても、前述同様の流路断面の影響で、ドライエアは主燃焼室26を通り抜けて排気通路12へと流れにくい。このように、給気弁32及び排気弁33の状態に関わらず、ドライエアで給気通路11の内部が換気される。なお、バルブオーバーラップを採用している場合、ガスエンジン1の停止処理(S6)において、給気弁32及び排気弁33が両方開となる位相角を避けて出力軸2を停止させる制御を行ってもよい。
【0051】
次に、燃焼室26,34内の残存ガスを排気通路12を介し外部へと排出するプレパージを実行する(ステップS33)。このとき、第1インジェクタ35、第2インジェクタ36及び点火プラグ37は停止したままである。また、注入切替弁55が閉且つスタータ入口弁58が開となる。これにより、スタータモータ56が動作し、フライホイール5が出力軸2と共に回転駆動される。すると、混合気が点火燃焼することなくピストン24が往復動する。これにより、給気弁32及び排気弁33が、出力軸2により駆動され、ピストン24の行程に応じて開閉動作する。
【0052】
ピストン24の往復動が繰り返されると、燃焼室26,34内の残存ガスが排気通路12へと追い出される。替わりに、主燃焼室26及び副燃焼室34内には、給気通路11からドライエアが供給される。これにより、主燃焼室26及び副燃焼室34の内部をドライエアで換気することができ、起動時初めて混合気を点火燃焼するときに、その混合気に未燃ガスや煤が混じるのを防ぐことができる。ピストン24の往復動は、主燃焼室26及び副燃焼室34からガスを排出するために十分に多い数のエンジンサイクルであり、給気通路11内のエアが主燃焼室26を通り抜け尽くさないために十分に少ない数のエンジンサイクルだけ、繰り返される。
【0053】
プレパージを行うと、燃焼室26,34の内部がドライエアで換気される。一方、ガスエンジン1が高湿環境下におかれていれば、ガスエンジン1の周囲の高湿エアが給気通路11内に流入し、給気通路11の内部の絶対湿度が高くなる。そこで、プレパージを行った後、ドライエアが給気通路11内に再注入される(ステップS34)。このとき、注入切替弁55が開且つスタータ入口弁58が閉となる。これにより、プレパージのため給気通路11の内部の絶対湿度が高くなっても、給気通路11の内部がドライエアで再び換気され、給気通路11の内部の絶対湿度が再び低下する。ドライエアの再注入を行う時間は、最初の注入よりも短くてもよい。これにより、速やかに次の工程に移ることができ、ガスエンジン1を速く起動することができる。また、ドライエアを再注入するときに、湿度センサ75(図4参照)により検出される絶対湿度の測定値と所定の湿度閾値とを比較して、当該再注入を継続するか終了するかが判断されてもよい。
【0054】
ドライエアの再注入が終了し、給気通路11の内部がドライエアで換気された後に、クランキングが実行される(ステップS35)。このとき、注入切替弁55が閉且つスタータ入口弁58が開となり、スタータモータ56が動作する。フライホイール5及び出力軸2を回転駆動しながら、第1インジェクタ35、第2インジェクタ36及び点火プラグ37を、出力軸2の位相角に応じて適宜時期で動作させ、点火プラグ37で混合気を点火燃焼させて出力軸2及びピストン24を駆動する。起動時最初に点火プラグ37で点火燃焼される混合気は、給気通路11内のドライエアから生成される。したがって、点火プラグ37の電極40の表面が、当該混合気に晒されても湿ることはなく、点火プラグ37の電極間の絶縁抵抗が高い値に保たれる。このため、点火プラグ37は、起動時最初に動作するときに、火花を良好に発生する。このため、起動時最初の混合気が点火燃焼するときに、失火を防ぐことができる。副燃焼室34内で発生した火炎により、点火プラグ37の電極40の表面の温度が高くなる。したがって、エンジンサイクルが繰り返されて主燃焼室26及び副燃焼室34内にガスエンジン1の周囲の高湿エアが流入し始めても、そのときには、電極40の表面温度が既に十分に高くなっている。よって、電極40の表面が当該高湿エアで晒されても、電極間の絶縁抵抗は高い値で保たれ続ける。
【0055】
クランキングを行った後、エンジン回転数を発電機3の交流周波数に合う所定のエンジン回転数になるまで昇速させる(ステップS36、ステップS37:NO)。エンジン回転数が当該所定回転数に達すると(S37:YES)、起動処理を終了して連続運転に移行する(ステップS4)。
【0056】
このように、本実施形態では、ガスエンジン1の起動時にドライエアが給気通路11内に注入されるので、ガスエンジン1が高湿環境下におかれていても、点火プラグ37の電極40の表面が湿るのを抑制し、失火を生じさせないようにすることができる。これにより、電極間の絶縁抵抗の低下による点火プラグ37の性能の低下を抑制することができるので、ガスエンジン1の動作中に、ガスエンジン1及び発電機3が所要出力を発生する。
【0057】
ドライエアは、給気通路11の下流端部11aから給気通路11の内部に注入される。このため、給気通路11内に溜まっていた高湿エアを逆流させ、外部へと良好に追い出すことができ、それにより給気通路11内の絶対湿度を良好に低下させていくことができる。特に、本実施形態では、ドライエア通路52が、給気管14の内部の下流端部であって、給気管14の内部のうち最も下流側に配置された枝管30よりも下流側の部分に接続されており、当該部分からドライエアが給気通路11内に注入される。このため、全てのシリンダ23において、点火プラグ37の性能の低下を良好に抑制することができる。
【0058】
[第2実施形態]
図7は、本発明の第2実施形態に係るガスエンジン101の全体構成を示す概念図である。本実施形態は、スタータモータが設けられていない点で第1実施形態と相違する。以下、本発明に係る第2実施形態について、第1実施形態との相違を中心にして説明する。
【0059】
図7に示すように、本実施形態に係るガスエンジン101には、スタータモータが設けられていない。注入装置150は、圧縮機151、ドライエア通路152、除湿器154及び逆止弁155を有している。圧縮機151は、上記実施形態と同様の圧縮機である。ドライエア通路152は、圧縮機151を給気通路11の下流端部11aに接続している。逆止弁155は、ドライエア通路152上に設けられ、給気通路11からのエアがドライエア通路152に逆流してくるのを阻止する。本実施形態によれば、空圧モータであるスタータモータを用いて起動させるようにガスエンジン101が構成されていなくても、ガスエンジン101の起動時に、上記実施形態と同様、注入装置150が給気通路11内にドライエアを注入し、給気通路11内に溜まっているエアを外部へ追い出すことができ、また、ガスエンジン101の動作中に過給及び冷却後のエアがドライエア通路152に逆流するのを阻止することができる。したがって、ガスエンジン101が高湿環境下におかれていても、ガスエンジン101の起動時に点火プラグの性能が低下するのを抑制することができる。
【0060】
[変形例]
これまで本発明の実施形態について説明したが、上記構成及び処理の手順は、本発明の範囲内で適宜変更可能である。注入装置は、圧縮エアの供給源を有していなくてもよく、替わりに、ガスエンジンが設置される工場内の任意の高圧エアをドライエア通路52に引き込むように構成されていてもよい。また、注入装置は、エアの乾燥手段を有していなくてもよく、替わりに、例えば予め乾燥したエアを貯留する槽を有していてもよい。また、給気通路11内の絶対湿度を低湿化させるうえで、プレパージ工程は必須の処理でない。プレパージ工程を省略するときには、ドライエアを再注入するための第2ドライエア注入工程も省略可能である。ガスエンジン1のシリンダ配列は、V型に限られず直列型又は並列型でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、火花点火方式を採用したガスエンジンの起動時に点火プラグの性能が低下するのを抑制することができるとの作用効果を奏し、火花点火方式を採用したガスエンジン、特に、高湿環境下におかれる発電用の過給機付ガスエンジンに利用すると有益である。
【符号の説明】
【0062】
1 ガスエンジン
11 給気通路
12 排気通路
23 シリンダ
24 ピストン
26 主燃焼室
34 副燃焼室
37 点火プラグ
40 電極
46 潤滑ポンプ
48 暖機用ポンプ
50 注入装置
60 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
点火プラグが発生させる火花で混合気を点火燃焼させるガスエンジンの起動方法であって、
乾燥したエアを給気通路内に注入するドライエア注入工程と、
前記ドライエア注入工程の後に、前記点火プラグで混合気を点火燃焼させて前記ガスエンジンの出力軸を回転始動させるクランキング工程とを備える、ガスエンジンの起動方法。
【請求項2】
前記クランキング工程の前に、混合気を点火燃焼させることなくピストンを往復動させ、燃焼室内の残存ガスを排気通路を介して外部に排出するプレパージ工程を更に備え、
前記ドライエア注入工程は、前記プレパージ工程の前に実行される第1ドライエア注入工程と、前記プレパージ工程の後且つ前記クランキング工程の前に実行される第2ドライエア注入工程と、を有する、請求項1に記載のガスエンジンの起動方法。
【請求項3】
前記第2ドライエア注入工程が、前記第1ドライエア注入工程よりも短期間実行される、請求項2に記載のガスエンジンの起動方法。
【請求項4】
前記ドライエア注入工程は、予め定められた期間かけて実行される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のガスエンジンの起動方法。
【請求項5】
前記ドライエア注入工程は、前記給気通路内の湿度が所定の湿度閾値以上である間実行される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のガスエンジンの起動方法。
【請求項6】
前記ドライエア注入工程において、乾燥したエアを前記給気通路の下流端部から前記給気通路内に注入する、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のガスエンジンの起動方法。
【請求項7】
外部のエアをガスエンジンの燃焼室に供給するための給気通路と、
前記燃焼室内で火花を発生して混合気を点火燃焼させる点火プラグと、
乾燥したエアを前記給気通路に注入するための注入装置と、
前記ガスエンジンの起動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置が、乾燥したエアが前記給気通路内に注入されるように前記注入装置を制御した後、混合気を点火燃焼して前記ガスエンジンの出力軸が回転始動するように前記点火プラグを制御する、ガスエンジンの起動装置。
【請求項8】
請求項7に記載の起動装置を備える、ガスエンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−202376(P2012−202376A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70311(P2011−70311)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】