説明

ガスクロマトグラフ装置

【課題】検出器に供給するガスの流量の最適値が成分毎に相違するような場合に、分析に伴って自動的に流量を適切に設定する流量制御プログラムの作成を簡便に行えるようにする。
【解決手段】制御・処理部30は、所定のガス流量条件の下でデュアルフォトマル型FPD10で得られた2つのクロマトグラムを表示部40の画面上に表示する。オペレータはガス流量の変更内容(例えばリン検出最適条件→硫黄検出最適条件への変更)を指示した上で、その変更対象の時間範囲をクロマトグラム上の適宜の位置をクリック操作することで指定する。その操作に応じて、指定された時間範囲の背景色を変更する。それにより、オペレータはその色によりガス流量条件の相違が直感的に把握できる。また、流量制御プログラム作成部32はプログラムを自動的に変更する。したがって、再GC分析を行うと、硫黄化合物の検出感度が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスクロマトグラフ装置に関し、さらに詳しくは、カラムから流出する試料ガス中の成分を検出するために、水素ガスや空気、酸素ガスなどの付加ガスを試料ガスに混合する必要のある検出器を用いたガスクロマトグラフ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスクロマトグラフ装置の検出器としては、分析対象の成分の種類や分析目的などに応じて、炎光光度検出器(FPD)、フレームサーミオニック検出器(FTD)、水素炎イオン化検出器(FID)など、様々な検出器が使用される。
【0003】
例えば炎光光度検出器では、カラムから流出する試料ガスに燃料ガス(水素)と助燃ガス(空気又は酸素)とを混合し、ノズルから吹き出して燃焼させ水素炎フレームを形成する。この水素炎フレーム中に硫黄化合物やリン化合物などの特定の成分が導入されて燃焼すると、成分に特有の波長光を発する。この光を干渉フィルタに導入して目的成分の波長光を選択的に透過させ、光電子増倍管に入射してその光量を検出する。
【0004】
炎光光度検出器では、装着した干渉フィルタの透過波長に応じた成分のみしか検出できないので、例えばリン化合物と硫黄化合物との2種を同時に検出したい場合には、水素炎フレームから発した光を、互いに異なる透過波長を持つ2つの干渉フィルタに導入し、それぞれの透過光を別の光電子増倍管で検出する、デュアルフォトマル型の構成が採られる。
【0005】
上記デュアルフォトマル型の炎光光度検出器は複数の成分に対して応答性を有するが、その複数の成分について最大の検出感度が得られる燃料ガス流量、助燃ガス流量は同一とはならない。それは、ガス流量によって成分の燃焼の高さや燃焼状態が変わるためである。最近のガスクロマトグラフでは、コンピュータ制御可能な電子式フローコントローラが検出器用ガスの流量制御に用いられているため、予め設定した流量制御プログラムに基づいて分析実行中に自動的にガス流量を変更することは可能である(特許文献1など参照)。しかしながら、時間経過に伴って順番に出現する各種成分に対応して適切なガス流量を設定する流量制御プログラムを作成するためには、時間や流量などを数値入力する必要がある。こうした作業は慣れた者でも面倒であり、入力ミスなども起きやすい。
【0006】
また、作成した流量制御プログラムに従ってガス流量の制御を行いつつGC分析を実行している最中に、どの条件で動作しているのかをリアルタイムで直感的に知ることは難しい。そのため、分析の経過に伴って描出されるクロマトグラムで十分なピーク強度が得られないことが判明した場合でも、流量設定に問題があったのか否かを即座に且つ直感的に知ることはできず、無駄な分析を引き続き行ってしまう1つの要因となっている。
【0007】
なお、上記問題はデュアルフォトマル型の炎光光度検出器のみならず、これと同様に、水素ガスや空気を試料ガスに混合する必要があるフレームサーミオニック検出器や水素炎イオン化検出器でも、同じ問題が起こり得る。
【0008】
【特許文献1】特開平11−237339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、上記のような検出器を用いたガスクロマトグラフ装置において、検出器に供給する水素ガス、空気、酸素ガスなどの付加ガスの流量を制御するためのプログラムの作成を簡便に行えるようにして操作性の向上を図ることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために成された本発明は、カラムから流出する試料ガスに1又は複数の所定の付加ガスを混合し、その付加ガスの燃焼又は該付加ガスの物理的作用を利用して試料ガス中の成分を検出する検出器を使用したガスクロマトグラフ装置において、
a)所定の流量制御プログラムに従って前記付加ガスの流量調整がなされた状態で所定の試料について取得されたクロマトグラムを表示する表示手段と、
b)前記表示手段に表示されたクロマトグラム上における任意の時間範囲と付加ガス流量の変更内容とをユーザが指定するための入力手段と、
c)前記入力手段により指定された時間範囲における付加ガス流量を前記変更内容に従って変更するように流量制御プログラムを修正するプログラム設定手段と、
を備えることを特徴としている。
【0011】
上記検出器は例えば、炎光光度検出器、フレームサーミオニック検出器、水素炎イオン化検出器などであり、上記付加ガスは例えば、水素ガスや空気(又は酸素ガス)などである。
【0012】
本発明の好ましい一態様として、前記検出器は複数の波長選択手段及び光検出器を有する炎光光度検出器であり、前記表示手段は、複数の成分に対するクロマトグラムを表示し、前記入力手段は、そのうちの1つのクロマトグラム上で任意の時間範囲をユーザが指定するものである構成とすることができる。
【0013】
また好ましくは、上記入力手段として、例えばマウス等のポインティングデバイスを用い、クロマトグラム上で所望の位置をクリック操作することで任意の時間範囲を指定できるようにするとよい。
【0014】
また入力手段により指定される付加ガス流量の変更内容とは、例えば、複数のモードと各モードにおけるガス流量の値とが決まっている場合には、そのモードの変更を選択するものとすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るガスクロマトグラフ装置によれば、ユーザ(オペレータ)は、所定の流量制御プログラムに従ったGC分析により取得されたクロマトグラム上に現れているピーク波形を見ながら、例えばピーク強度が低く、付加ガス流量が適切でないと推定されるピークを選んで、それを含むように時間範囲を簡単な操作で設定し、付加ガス流量を変更することができる。したがって、流量制御プログラムの作成や修正に関して、時間や流量などを数値で入力する作業は不要であって、作業性が良好であり、入力ミスも軽減できる。
【0016】
また好ましくは、上記表示手段は、前記入力手段を用いて設定された時間範囲の背景色を他と相違させたクロマトグラムを表示するようにするとよい。
【0017】
これにより、ユーザは、クロマトグラムの背景色から直感的にその時間範囲の付加ガス流量が他の時間範囲の付加ガス流量とは異なることを知ることができる。さらにまた、その背景色を目的成分の種類や目的成分選択の情報(例えば炎光光度検出器では干渉フィルタの色)と対応付けておくことにより、背景色から直接的に付加ガス流量などを知ることも容易である。
【0018】
さらに、変更した流量制御プログラムに従って再分析を実行している際にも、時々刻々と得られるクロマトグラムの背景色を上述のように設定しておくことで、付加ガス流量をリアルタイムで且つ直感的に知ることができる。それによって、例えばピークの強度が意図するように高くならない場合に、付加ガス流量が適切であるか否かを即座に判断し、不適切な条件の下での分析である場合に速やかに分析を打ち切る等の対応を採ることが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係るガスクロマトグラフ(GC)装置の一実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は本実施例によるGC装置の概略構成図である。この例は、検出器として炎光光度検出器を用いたものである。
【0020】
試料成分を分離するためのカラム6の入口端には試料気化室1が設置され、キャリアガス供給管3を通して試料気化室1に供給されるキャリアガス(ヘリウム)は一部がカラム6に導入され、残りはパージ流路5を通して外部へ排出される。このキャリアガスの流量はマスフローコントローラ2により調整される。一定流量で試料気化室1からカラム6へとキャリアガスが送られている状態でシリンジ4から微量の試料液が滴下されると、試料液は短時間で気化してキャリアガス流に乗ってカラム6内へと送り込まれる。試料液に含まれる複数の試料成分はカラム6を通過する間に時間的に分離される。
【0021】
カラム6の出口端にはデュアルフォトマル型の炎光光度検出器10が設置されている。炎光光度検出器10では、カラム6から流出する試料ガスに水素ガス供給管17を通して供給される水素と空気供給管19を通して供給される空気とが混合され、ノズル11から吹き出した混合ガスが燃焼されることで水素炎フレーム12が形成される。この水素炎フレーム12中に試料ガス中の成分が導入されると、該成分は燃焼して特有の波長光を放出する。水素の流量、及び空気の流量は、水素ガス供給管17及び空気供給管19上に設けられたマスフローコントローラ18、20によりそれぞれ独立に調整される。
【0022】
水素炎フレーム12の側方には、干渉フィルタと光電子増倍管とが2組設置されている。一方の干渉フィルタ13はリンの燃焼に特有の波長526[μm]の光を選択的に透過させるものであり、光電子増倍管14はその透過光の強度を検出する。他方の干渉フィルタ15は硫黄の燃焼に特有の波長394[μm]の光を選択的に透過させるものであり、光電子増倍管16はその透過光の強度を検出する。即ち、この炎光光度検出器10は、リン化合物と硫黄化合物とを同時に検出可能である。なお、ここでは、干渉フィルタ13と光電子増倍管14との組み合わせをCh1、干渉フィルタ15と光電子増倍管16との組み合わせをCh2という。
【0023】
制御・処理部30は、GC分析を実行する際に各部を制御するとともに炎光光度検出器10で得られたデータを処理する機能を有する。制御・処理部30は汎用のパーソナルコンピュータを中心に構成し、コンピュータにインストールした所定の制御・処理用ソフトウエアを動作させることで後述する各種の機能を達成するものとすることができる。具体的に、制御・処理部30は、本発明に関連した機能ブロックとして、クロマトグラム作成部31、流量制御プログラム作成部32、流量制御部33などを含む。また、制御・処理部30には条件パラメータ記憶領域36を有する記憶部35、キーボード38やマウス(又は別のポインティングデバイス)39を含む入力部37、液晶モニタなどの表示部40が接続されている。
【0024】
炎光光度検出器10においてリン化合物を検出する場合と硫黄化合物を検出する場合とでは、検出感度が最大となるような水素ガス及び空気の流量が相違する。条件パラメータ記憶領域36には、リン化合物を検出する場合(以下「Pモード」という)に最適な水素ガス及び空気の流量と、硫黄化合物を検出する場合(以下「Sモード」という)に最適な水素ガス及び空気の流量とが、それぞれデフォルト値として予め格納されている。ここでは、Pモードのデフォルトのパラメータは、水素ガス流量:80[mL/min]、空気流量:120[mL/min]であり、Sモードのデフォルトのパラメータは、水素ガス流量:60[mL/min]、空気流量:70[mL/min]である。但し、これは感度の点からの最大条件であり、別の観点、例えばリン化合物と硫黄化合物とに対する検出の選択性(換言すればクロストークの少なさ)の点では必ずしも上記パラメータが最適ではない。したがって、ガス流量としてはデフォルト値だけでなく、ユーザが適宜に変更・設定した値を用いることができるのは当然である。
【0025】
本実施例に特徴的な動作を具体的な分析の一例を挙げて説明する。オペレータは、入力部37により、ガス流量をPモードのデフォルト値を用いるように指定した上で、目的とする未知試料のGC分析の実行開始を指示する。この指示を受けて、流量制御プログラム作成部32は、記憶部35の条件パラメータ記憶領域36からPモードのデフォルト値を読み出して、分析開始から終了までの全期間に亘る水素ガス及び空気の流量を水素ガス流量:80[mL/min]、空気流量:120[mL/min]とするように流量制御プログラムを設定する。そして、GC分析の実行中、流量制御部33はその流量制御プログラムに従って、マスフローコントローラ18、20をそれぞれ制御する。炎光光度検出器10では、2組の干渉フィルタ13、15及び光電子増倍管14、16で並行して、試料注入時点からの時間経過に伴って検出信号を取得する。
【0026】
クロマトグラム作成部31は上記の2系統の検出信号に基づいて、Ch1のクロマトグラムとCh2のクロマトグラムとを作成する。目的とする未知試料に対するGC分析が終了すると、制御・処理部30は図2に示すように、Ch1及びCh2の2つのクロマトグラムを並べて表示部40の画面上に表示する。上述のようにこの1回目のGC分析の際のガス流量の設定はリンの検出に適したものであるため、リン化合物については高い感度で検出されるものの、硫黄化合物については感度が低い。したがって、オペレータはCh2のクロマトグラムを見て、ピーク群P2が硫黄化合物のピークであると推定することはできるが、ピーク強度が低いため、ピーク強度の比較や高精度の定量分析には無理がある。
【0027】
そこで、オペレータはまず、後で指定する時間範囲について水素ガスや空気の流量をSモードのデフォルト値に変更する旨の指示を入力部37より行う。このデフォルト値やプリセット値への変更の指示は、数値入力を伴わないので、簡単なマウス操作又はキー操作で行うことができる。その後に、ガス流量を変更する時間範囲を設定するべく、Ch1のクロマトグラムでピーク群P1の出現が終わった時点とCh2のクロマトグラムでピーク群P2の出現が始まる時点との間の一点にカーソル50を移動させ、クリック操作を行うようにマウス39を操作する。この点が時間範囲の始点となる。次に、Ch2のクロマトグラムでピーク群P2の出現が終わった後の一点にカーソル50を移動させて再度クリック操作を行うようにマウス39を操作する。この点が時間範囲の終了となり、これによって、始点から終点までの時間範囲が確定する。時間範囲が確定すると、クロマトグラムにおいて、その時間範囲(図3(b)中の範囲T)の背景色がそれ以外の背景色とは異なる色に変化する。なお、ガス流量を変更する時間範囲を複数設定することも可能である。
【0028】
炎光光度検出器では、測定対象成分毎に干渉フィルタの種類(透過波長)が相違し、一般に、リン用干渉フィルタは黄色、硫黄用干渉フィルタは青色、スズ用干渉フィルタは橙色である。そこで、これらの干渉フィルタの色と同色をクロマトグラムの背景色としておくことで、オペレータが画面を見たときに、どの成分に適したガス流量で分析しているのかを直感的に把握し易くなる。図3の例では、Tの時間範囲の背景色は青色、他の部分の背景色は黄色となる。
【0029】
上記のようなユーザインターフェイスによるガス流量の変更操作を受けて、流量制御プログラム作成部32は、変更前に全ての時間範囲に亘りPモードのデフォルト値に設定されていたガス流量を、図4(a)に示すように変更する。即ち、記憶部35の条件パラメータ記憶領域36からSモードのデフォルト値を読み出して、上記のように設定された時間範囲t1〜t2の期間だけ、水素ガス及び空気の流量を水素ガス流量:60[mL/min]、空気流量:70[mL/min]とするように流量制御プログラムを修正する。t1〜t2の期間以外は、従前通り、Pモードのデフォルト値のまま、つまり、水素ガス流量:80[mL/min]、空気流量:120[mL/min]である。
【0030】
なお、先に変更したい時間範囲を設定した上で、その時間範囲のガス流量を例えばSモードのデフォルト値に変更する指示を行うようにしてもよい。いずれにしても、クロマトグラム上のクリック操作だけで時間範囲を設定し、その時間範囲の変更内容も簡単な操作で指示できるようにしておけばよい。もちろん、場合によっては予め決められているデフォルト値以外のガス流量をオペレータが設定したい場合もあるから、モード名称や各モードに対するガス流量値は適宜にカスタマイズ可能としておくことが望ましい。特に炎光光度検出器の場合、リン化合物と硫黄化合物とを検出する際に検出感度がそれぞれ最大になるようなガス流量と、検出時のクロストークを最小にする(成分の選択性を最良にする)ようなガス流量とは同一ではない。通常、ガス流量のデフォルト値は検出感度を最大にするように設定されているため、選択性を重視する場合にはガス流量を適宜に変更する必要がある。
【0031】
上記のような簡単な操作で流量制御プログラムを変更(編集)した後に、同一の試料について再度GC分析を実行すると、その実行に伴って表示部40の画面上に表示されるクロマトグラムでは、その背景色が上記モードに対応した表示色となる。流量制御部33は変更後の流量制御プログラムに従って、マスフローコントローラ18、20をそれぞれ制御するから、分析開始時から時刻t1まではPモードのガス流量、時刻t1からt2までの間はSモードのガス流量、時刻t2以降は再びPモードのガス流量に切り替わる。その結果、硫黄化合物に対する検出感度が向上するから、図4(c)に示すように、Ch2のクロマトグラムに現れるピークの強度は1回目のGC分析の際よりも高くなり、強度比較や高精度の定量に有利である。
【0032】
上記実施例は炎光光度検出器でリン化合物と硫黄化合物とを測定対象とした例であるが、それ以外の成分、具体的にはスズ化合物を測定対象とする場合でも、同様に簡単な操作でガス流量を最適化した流量制御プログラムを作成することができる。
【0033】
また、炎光光度検出器のみならず、検出器に供給するガスの流量によって成分毎の検出感度が相違するような検出器全般に本発明を適用することができる。フレームサーミオニック検出器や水素炎フレーム検出器でも、試料ガスに水素ガスと空気とを混合して検出セル内に導入する。
【0034】
例えばフレームサーミオニック検出器は主としてリン化合物や窒素化合物などを検出するために使用されるが、それぞれの化合物に対して最大の感度を得るための水素ガス流量、空気流量が相違する。図5(a)はリン化合物に適したガス流量条件(水素ガス流量:3.5[mL/min]、空気流量:145[mL/min])の下で得られたクロマトグラムの一例である。いま、オペレータが強度が小さなピークP3が窒素化合物の可能性が高いと推定した場合、このピークP3を含むようにt3〜t4の時間範囲を設定して、この時間範囲のガス流量条件を窒素化合物の検出に適した値(例えばデフォルト値で水素ガス流量:1.5[mL/min]、空気流量:145[mL/min]))に変更する指示を与える。これにより、図5(b)に示すように、この時間範囲においてクロマトグラムの背景色が変化する。
【0035】
このような操作に応じて流量プログラムが変更された状態で同一試料に対する2回目のGC分析を実行すると、t3〜t4の時間範囲では水素ガス流量が3.5[mL/min]→1.5[mL/min]に減じられ、窒素化合物に対する検出感度が向上して、図5(b)に示すようにピーク強度が高くなる。このようにして、フレームサーミオニック検出器を用いた場合でも、炎光光度検出器を用いた場合と同様に、簡単な操作により流量制御プログラムを変更して、複数の成分のそれぞれに適した流量条件の下での測定を実行することができる。
【0036】
上記実施例は本発明の一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜修正、変更、追加等を行っても本願請求項に包含されることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施例によるガスクロマトグラフ装置の概略構成図。
【図2】本実施例における流量制御プログラム変更時の動作を説明するための図。
【図3】本実施例における流量制御プログラム変更時の動作を説明するための図。
【図4】本実施例において変更された流量制御プログラムに従って得られるクロマトグラムを示す図。
【図5】検出器としてフレームサーミオニック検出器を用いた場合における流量制御プログラム変更時の動作を説明するための図。
【符号の説明】
【0038】
1…試料気化室
3…キャリアガス供給管
4…シリンジ
5…パージ流路
6…カラム
10…炎光光度検出器
11…ノズル
12…水素炎フレーム
13、15…干渉フィルタ
14、16…光電子増倍管
17…水素ガス供給管
2、18、20…マスフローコントローラ
19…空気供給管
30…制御・処理部
31…クロマトグラム作成部
32…流量制御プログラム作成部
33…流量制御部
35…記憶部
36…条件パラメータ記憶領域
37…入力部
38…キーボード
39…マウス
40…表示部
50…カーソル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラムから流出する試料ガスに1又は複数の所定の付加ガスを混合し、その付加ガスの燃焼又は該付加ガスの物理的作用を利用して試料ガス中の成分を検出する検出器を使用したガスクロマトグラフ装置において、
a)所定の流量制御プログラムに従って前記付加ガスの流量調整がなされた状態で所定の試料について取得されたクロマトグラムを表示する表示手段と、
b)前記表示手段に表示されたクロマトグラム上における任意の時間範囲と付加ガス流量の変更内容とをユーザが指定するための入力手段と、
c)前記入力手段により指定された時間範囲における付加ガス流量を前記変更内容に従って変更するように流量制御プログラムを修正するプログラム設定手段と、
を備えることを特徴とするガスクロマトグラフ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のガスクロマトグラフ装置であって、前記検出器は複数の波長選択手段及び光検出器を有する炎光光度検出器であり、前記表示手段は、複数の成分に対するクロマトグラムを表示し、前記入力手段は、そのうちの1つのクロマトグラム上で任意の時間範囲をユーザが指定するものであることを特徴とするガスクロマトグラフ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のガスクロマトグラフ装置であって、前記表示手段は、前記入力手段を用いて設定された時間範囲の背景色を他と相違させたクロマトグラムを表示することを特徴とするガスクロマトグラフ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−288210(P2009−288210A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144103(P2008−144103)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】